JP2005282640A - 電磁式カップリング - Google Patents
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Abstract
【課題】電磁式カップリングを作動するための電磁クラッチの消費電力を抑制して、電磁式カップリングを用いる4輪駆動車の燃費を低減できるようにする。
【解決手段】リング状の電磁コイル16の磁力作用面からの磁力にて作動する電磁クラッチ9にて作動する電磁式カップリングにおいて、上記電磁コイル16を、個々に制御可能にした複数のコイル16a,16bを電磁クラッチの軸方向に、または同心状のいずれかに重ね合わせて配置した構成になっている。
【選択図】図3
【解決手段】リング状の電磁コイル16の磁力作用面からの磁力にて作動する電磁クラッチ9にて作動する電磁式カップリングにおいて、上記電磁コイル16を、個々に制御可能にした複数のコイル16a,16bを電磁クラッチの軸方向に、または同心状のいずれかに重ね合わせて配置した構成になっている。
【選択図】図3
Description
本発明は、リング状の電磁コイルの磁力作用面からの磁力にて作動する電磁クラッチにて作動し、2輪駆動と4輪駆動の相互に切り替え可能にした4輪駆動車のプロペラシャフトの後端側または前端側に配置される電磁式カップリングに関するものである。
上記電磁式カップリングは例えば特許文献1によって知られており、その構成は図1に示すようになっている。例えば、図中2はエンジン側に連結されている入力軸、1は動力を後輪に伝える出力軸で、両軸はメインクラッチ3にてON、OFF可能にして連結されている。メインクラッチ3は、内径側を出力軸1側にスプライン係合するドリブンプレート3aと、外径側を入力軸2と一体状にして設けたケース2aの内側にスプライン係合するドライブプレート3bを交互に配置し、これをケース2aの先端側に固着した固定板4に向けて押圧装置5の押し板6にて押圧することにより両軸1,2の係合がONとなり、押圧を解除することによりOFFとなるようになっている。
押圧装置5は上記押し板6と、この押し板6の後側に配置される受け板7と、この受け板7に対して押し板6を押動作用させるためのスラスト力発生機構8とからなっている。
押し板6の内径側は出力軸1にスプライン係合されている。また受け板7はケース2aと一体状になっている入力軸2に対してスラストベアリングにて回転自在に支持されていると共に、内径側は出力軸1側に摺動自在に嵌合されている。そしてこの受け板7は、この受け板7より外側に設けた電磁クラッチ9を介して入力軸2のケース2aに回転方向に係脱可能に連結されている。
電磁クラッチ9は、上記受け板7の外側とケース2aの内側にてリング状の空間が構成され、この空間内にアーマチュア10がストップリングに当接する範囲において摺動可能に嵌合されている。そしてこのアーマチュア10とケース2aとの軸方向の間に、内径側が受け板7にスプライン係合するクラッチ板と外径側がケース2a側にスプライン係合する摩擦板とが交互に配置されている。ケース2aには励磁力にて上記アーマチュア10をケース2a側へ引きつけて上記クラッチ板と摩擦板を押圧し、電磁クラッチ9をONにするためのリング状の電磁コイル11が設けてある。
電磁コイル11はケース2aに設けたリング状の凹部12内にコア11aに収納されて上記電磁クラッチ9側へ向けて配置されている。そしてこの電磁コイル11を収納するコア11aは出力軸2に回転自在に嵌合され、フレーム側に結合されたカバー13に支持されている。
ケース2aの電磁コイル11に対向するロータ部は、非磁性体であるステンレススチールの非磁性リング14によって径方向に外側と内側に分断されており、また電磁クラッチ9の各クラッチ板と摩擦板には、非磁性リング14と対応する径方向位置に、切欠きとこれらを連結するブリッジ部とが設けており、これら非磁性リング14と切欠きによって、電磁コイル11の磁気ループ15での磁力の短絡が防止されている。
上記構成の電磁式カップリングは以下のような作用がなされる。
電磁コイル11への通電をONにすると、磁気ループ15が発生して、この電磁コイル11の励磁力によりアーマチュア10が引きつけられて電磁クラッチ9の両板をケース2a側へ押圧してこの電磁クラッチ9がONになり、これにより押圧装置5の受け板7が電磁クラッチ9を介してケース2aに、すなわち入力軸2側に係合される。4WDカップリングにあってはこの状態が4WD状態である。
この状態で後輪のスリップ等により出力軸1と入力軸2との間に回転差が生じると、入力軸2側に係合しているこの受け板7と、出力軸1側に係合している押し板6との間に回転差が生じ、この回転差によりスラスト力発生機構8が作動して受け板7に対して押し板6が押されてメインクラッチ3がONとなり、出力軸1と入力軸2が係合して両軸は一体回転される。
なお、上記スラスト力発生機構8は図2(a)に示すようになっていて、押し板6と受け板7のそれぞれの対向面に設けられた凹状カム6a,7aにボール8aを介装する構成になっている。そして両板6,7に回転差が生じると図2(b)に示すようにボール8aが凹状カム6a,7aを乗り上げることにより押し板6が受け板7に対して離間する方向に移動し、これにより押圧作動がなされるようになっている。
上記した電磁式カップリングの電磁クラッチにおいて必要とするトルクは図4(a)に示すようになり、2輪駆動から4輪駆動への切り替え時のトルクT1が大きくなり、切り替え後の4輪駆動走行時のトルクT2は小さくなる。そしてこの必要とするトルクを得るために必要な電磁力も図4(b)に示すようになって、上記切り替え時における電磁力F1は大きくなり、その後の電磁力F2は小さくてよいことになり、切り替え後の4輪駆動走行時のコイルへの供給電力は当然切り替え時より小さくてよいことになる。
ところが、従来の電磁コイル11は上記したように1個のコイルが用いられていて、2輪駆動から4輪駆動に切り替える際の大きなトルクT1を必要とする場合も、4輪駆動に切り替わった後の4輪駆動走行状態を維持する際の上記の駆動切り替え時より小さなトルクT2しか必要としない場合でも、同じ能力の電磁コイルを用いて、上記必要とするトルクの大小に応じて電流値を増減して電磁力を制御することにより対応していた。
そのため、従来の電磁クラッチ9の電磁コイル11は、必要最大のトルクを出力できるもの、すなわち、2輪駆動から4輪駆動への切り替え時に必要とするトルクT1を出力することができる巻数の多いコイルを備えたものが用いられていた。
電磁コイルの場合、これの電気抵抗はコイルの巻数に比例することにより、巻数の多いコイルは電気抵抗が大きく、従って消費電力も大きい。そのため、従来の電磁クラッチのコイルへの供給電流は、図4(c)に示すようになり、4輪駆動への切り替え時の電流値I1はともかくとして、4輪駆動走行時における電流値I2は上記抵抗に応じて大きくなり、上記したようにこのときにおける消費電力が大きかった。このことが4輪駆動車の燃費悪化の一因であった。
また、上記電磁クラッチを頻繁に切り替えを行うと、コイルの温度が上昇し、これの焼き付きが発生する恐れがある。
これを防止するために、コイル温度が上昇した場合には、電磁クラッチをOFFにして4輪駆動を解除する制御を加えている。そのため、車両の走行時において、4輪駆動が必要になったときにも4輪駆動に切り替えることができないという事態が発生することがある。
また、コイルの線径を太くしてこれの電気抵抗を抑えることも考えられるが、これではコイルスペースが大きくなってしまい、ユニットが大型化してしまうことになる。
本発明は上記した従来の課題を解決して、電磁クラッチの消費電力を抑制して4輪駆動車の燃費を低減できるようにした電磁式カップリングを提供しようとするもので、その構成は、リング状の電磁コイルの磁力作用面からの磁力にて作動する電磁クラッチにて作動する電磁式カップリングにおいて、上記電磁コイルを、個々に制御可能にした複数のコイルを電磁クラッチの軸方向に、または同心状のいずれかに重ね合わせて配置した構成になっている。
また、上記複数のコイルのそれぞれの電磁力制御を、2輪駆動と4輪駆動の切り替え時において、電磁クラッチをスリップ状態にすることによりメインクラッチがスリップ状態になるように制御する。
上記構成によれば、電磁式カップリングを作動する電磁クラッチのトルクの変動に応じて、これの複数のコイルの制御を選択的に行うことにより、1個のコイルを用いた電磁クラッチに比較して、それぞれのコイルの巻数が少ないことにより、この電磁クラッチの消費電力を抑制できる。
そのため、発電機の容量を小さくでき、発電機を駆動するための消費電力を低減でき、結果として、この電磁クラッチにて作動する電磁式カップリングを用いた4輪駆動車の燃費を低減することができる。
また、4輪駆動による通常走行時には複数のコイルのうち少なくとも1つはOFFにしておくことができることにより、電磁クラッチ全体の温度上昇を防止でき、常に正常な2輪駆動と4輪駆動の切り替えを行うことができる。さらに本発明によれば、電磁クラッチのコイルを、これの電気抵抗を抑えるために太くする必要はなく、コイルスペースが大きくなることがなく、ユニットの大型化を防止することができる。
そして、上記の電磁式カップリングにおいて、複数のコイルのそれぞれの電磁力制御を、2輪駆動と4輪駆動の切り替え時に、電磁クラッチがスリップ状態になるように制御することにより、2輪駆動と4輪駆動の切り替え時のメインクラッチをスリップ状態として、2輪駆動と4輪駆動の中間状態とすることができ、2輪駆動と4輪駆動の相互の切り替え時の駆動系にかかる負担を軽減することができ、上記切り替えを滑らかに行うことができる。
本発明の第1の実施の形態を図3及び図5に基づいて説明する。なお以下において、図1に示した従来の技術における部材と同一の部材は同一の符号を用いて説明を省略する。
電磁クラッチ9をON,OFFするための電磁コイル16は、コア17内に収納されて電磁クラッチ9側に向けて設けられているが、この電磁コイル16は電磁クラッチ9の軸方向に2個重ね合わせて収納した第1コイル16a、第2コイル16bにて構成されている。そしてこの各コイル16a,16bはそれぞれ図示しない制御装置にて個々にON,OFF制御できるようになっている。
上記の第1コイル16aと第2コイル16bのそれぞれの電磁力をF3,F4とすると、例えば第1コイル16aの電磁力F3は、図4(a)に示すところの切り替え後の4輪駆動走行時に必要な電磁力F2と同じ大きさになっており、また第2のコイル16bの電磁力F4は、図4(b)に示した切り替え時の電磁力F1から4輪駆動走行時の電磁力F3を引いた値と同じ大きさになっている。すなわち、F3=F2、F4=(F1−F2)である。そしてこの各電磁コイル16a,16bは、それぞれの電磁力に応じたコイルの巻数になっていて、それぞれのコイルの巻数は当然従来の1個の電磁コイル11のコイル巻数より少なくなっている。
上記構成において、2輪駆動走行から4輪駆動走行に切り替えるには、第1・第2の双方のコイル16a,16bをONにする。これにより、電磁コイル16は図5(c)に示すように両コイル16a,16bの合計の電磁力F3+F4(=F1)の電磁力を出力する。
4輪駆動走行に切り替わった後は第2コイル16bをOFFにし、第1コイル16aのみに通電して電磁力F3の出力を継続する。
このときにおける各コイル16a,16bへの電流値I3,I4の大きさは図5(d),(e)に示すようになり、4輪駆動切り替え時の合計の電流値I5は図5(f)に示すようにI3+I4となる。
このときにおいて、切り替え時の電流値I5は図4(c)にて示した従来の電磁コイル11の切り替え時の電流値I1と略同じであるが、4輪駆動走行時の第1コイル16aの上記従来の電磁コイル11による4輪駆動走行時における電磁力F2と略同じ電磁力F3を出すための電流値I3は、この第1コイル16aのコイル巻数が上記従来の電磁コイル11のコイル巻数より少なく、これを流れる電流の抵抗がその分小さいことにより、この従来の電磁コイルの電流値I2より小さい。すなわちI5≒I1,I3<I2である。
従って、4輪駆動切り替え時における電磁コイル16への入力電力は従来の電磁コイル11の場合と略同じになるが、4輪駆動走行時における入力電力は従来の電磁コイル11のものより小さくなる。
上記実施の形態では電磁コイル16を2個のコイル16a,16bにて構成した例を示したが、このコイルの数は2個以上で、数に限定はなく、この場合も各コイルは個々に制御できるようにする。
そしてこの複数個の制御において、2輪駆動から4輪駆動への切り替え時におけるそれぞれへの入力電力を、各コイルの電磁力が上記した電磁クラッチ9をONにする電磁力より弱い電磁力になるように制御して、4輪駆動時の電磁クラッチ9をスリップ状態にすることによりメインクラッチがスリップ状態になるようにすることにより、電磁式カップリングが2輪駆動と4輪駆動の中間状態となり、2輪駆動と4輪駆動の相互の切り替え時の駆動系に負担がかかることなく、滑らかに切り替え走行できる。
また、上記複数の電磁コイルのコイルの巻き数比は、それぞれの電磁コイルが出力しようとする電磁力に応じて、例えば1:1.1:1.2のように最適にすることにより、各電磁コイルにダメージを与えない最適条件で電磁式カップリングの切り替えを行うことができる。
図6は本発明の第2の実施の形態であり、この実施の形態では、電磁コイル16′を構成する2個(複数)のコイル16a′,16b′は同心状に重ねて配置されており、この場合においても、2輪駆動走行から4輪駆動走行への切り替え時には双方のコイル16a′,16b′を励磁し、切り替え後では、一方のコイルをOFFに、他方のコイルの励磁力を作用させて4輪駆動走行を継続する。
1…出力軸、2…入力軸、2a…ケース、3…メインクラッチ、3a…ドリブンプレート、3b…ドライブプレート、4…固定板、5…押圧装置、6…押し板、7…受け板、8…スラスト力発生機構、8a…ボール、9…電磁クラッチ、10…アーマチュア、11,16,16′…電磁コイル、11a,17…コア、16a,16b,16a′,16b′…コイル、12…凹部、13…カバー、14…非磁性リング、15…磁気ループ、21…ケース、22…カバー部材、23…電磁コイル、24…磁性リング、25a、25b…空間。
Claims (2)
- リング状の電磁コイルの磁力作用面からの磁力にて作動する電磁クラッチにて作動する電磁式カップリングにおいて、
上記電磁コイルを、個々に制御可能にした複数のコイルを電磁クラッチの軸方向に、または同心状のいずれかに重ね合わせて配置した構成にしたことを特徴とする電磁式カップリング。 - 電磁コイルを構成する複数のコイルのそれぞれの電磁力制御を、2輪駆動と4輪駆動の切り替え時に、電磁クラッチをスリップ状態にすることによりメインクラッチがスリップ状態になるように制御することを特徴とする請求項1記載の電磁式カップリング。
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- 2004-03-29 JP JP2004094287A patent/JP2005282640A/ja active Pending
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