JP2009014134A - 駆動力伝達装置及び駆動力伝達装置の制御方法 - Google Patents

駆動力伝達装置及び駆動力伝達装置の制御方法 Download PDF

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Abstract

【課題】電磁石に供給される電流が小さい場合に、クラッチの応答性を向上させることができる駆動力伝達装置及び駆動力伝達装置の制御方法を提供すること。
【解決手段】ECU60は、指令電流値I*を補正するか否かを判定する判定部74と、その判定結果に基づいて指令電流値I*に加える補正値αを算出する補正値演算部75とを備えた。判定部74は、起動時であり、且つ指令電流値I*が第2の所定電流値以下である場合には、指令電流値I*を補正するフラグをセットするようにした。また、補正値演算部75は、指令電流値I*を補正するフラグをセットされている場合には、指令電流値I*が第2の所定電流値よりも大きくなるように補正値αを算出するようにした。
【選択図】図4

Description

本発明は、駆動力伝達装置及び駆動力伝達装置の制御方法に関するものである。
従来、駆動力の入力により回転する筒状の第1回転部材と、該第1回転部材の筒内に回転自在に同軸配置された軸状の第2回転部材と、これら第1回転部材と第2回転部材との間に設けられ電磁石を駆動源とするクラッチ機構とから構成され、入力側から出力側に伝達するトルクを制御する駆動力伝達装置がある。こうした駆動力伝達装置は、例えば4輪駆動車両における補助駆動輪側への駆動力伝達経路に設けられ、補助駆動輪に伝達するトルクを制御している(例えば、特許文献1)。
このような駆動力伝達装置を構成するクラッチ機構の多くは、各クラッチプレート間に潤滑油が介在された所謂湿式クラッチとして構成されるため、各クラッチプレート間が非係合である場合であっても、その間に介在された潤滑油の粘性に基づく係合力に起因して所謂引きずりトルクが発生する。そこで、例えば特許文献2には、クラッチプレートの摩擦係合面に、潤滑油を内周端から径方向外側に導く複数の油溝が形成された駆動力伝達装置が開示されている。そして、これにより各クラッチプレート間に導入される潤滑油の増加を図り、該潤滑油の動圧によって各クラッチプレート同士を離間させて引きずりトルクを低減させるといった提案がなされている。
特開2004−340345号公報 特開2005−3167号公報
ところで、上記した駆動力伝達装置においては、電磁石に供給される電流が小さいとアーマチャを吸引する力が弱くなるため、各クラッチプレート同士が離間している場合等には、指令値に応じたトルクを伝達するまでの時間が長くなる。即ちクラッチの応答性が低下するといった問題が生じる。そして、駆動力伝達装置のクラッチ機構が湿式クラッチとして構成される場合には、各クラッチプレート間に介在する潤滑油が排出されてクラッチプレート同士が接触しなければ摩擦係合できないので、クラッチの応答性がさらに低下する。特に、上記特許文献2のように、引きずりトルクを低減させるための対策が施された駆動力伝達装置においては、各クラッチプレート同士が離間しやすいため、応答性の低下が顕著なものとなっていた。
本発明は上記問題点を解決するためになされたものであって、その目的は、電磁石に供給される電流が小さい場合に、クラッチの応答性を向上させることができる駆動力伝達装置及び駆動力伝達装置の制御方法を提供することにある。
上記目的を達成するため、請求項1に記載の発明は、円筒部を有する第1回転部材と、前記第1回転部材の内側にて前記第1回転部材と同軸上で相対回転可能な第2回転部材と、前記第1回転部材に対して軸方向移動可能且つ相対回転不能に係合する複数のアウタクラッチプレート及び前記第2回転部材に対して軸方向移動可能且つ相対回転不能に係合する複数のインナクラッチプレートを軸方向に交互に配置してなるクラッチ機構と、前記クラッチ機構の軸方向一端側に配置された電磁石と、前記電磁石との間に前記クラッチ機構を挟んで軸方向移動可能に配置されるアーマチャと、前記第1回転部材内に所定の充填率で収容された潤滑油と、入力側から出力側へ伝達すべき指令トルクを演算し前記指令トルクに基づいて前記電磁石に電流を供給する制御手段と、を備えた駆動力伝達装置であって、前記制御手段は、前記電磁石に供給される電流が、前記アウタクラッチプレートと前記インナクラッチプレートとの摩擦係合が解除される第1の所定電流値以下である非伝達状態から、前記第1の所定電流値よりも大きい伝達状態に移行する起動時に前記指令トルクに基づいた電流よりも大きい電流を前記電磁石に供給することを要旨とする。
電磁石に供給される電流が小さいとアーマチャを吸引する力が弱くなるため、各クラッチプレート同士が離間している場合等にクラッチの応答性が低下するといった問題が生じる。そして、クラッチ機構が湿式クラッチとして構成される場合には、クラッチプレート間に介在する潤滑油が排出されてアウタクラッチプレートとインナクラッチプレートとが接触しなければ摩擦係合できないので、クラッチの応答性がさらに低下する。この点、上記構成によれば、電磁石に供給される電流が、アウタクラッチプレートとインナクラッチプレートとの摩擦係合が解除される第1の所定電流値以下である非伝達状態から、第1の所定電流値よりも大きい伝達状態に移行する起動時に指令トルクに基づいた電流よりも大きい電流を電磁石に供給する。従って、起動時おいて指令トルクに基づいた電流が小さくクラッチの応答性が低下するような場合であっても、電磁石に指令トルクに基づいた電流よりも大きな電流が供給されてクラッチプレート同士を引き寄せるため、その応答性の向上が図られる。
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の駆動力伝達装置において、前記アウタクラッチプレートと前記インナクラッチプレートとの回転による前記潤滑油の動圧によって前記アウタクラッチプレートと前記インナクラッチプレートを離間させる離間手段とを備えたことを要旨とする。
引きずりトルクを低減させる構成を有するものにおいては、アウタクラッチプレートとインナクラッチプレートとが離間しやすいため、クラッチの応答性の低下がさらに顕著なものとなる。この点、上記構成によれば、指令トルクに基づいた電流よりも大きな電流が供給されることで、引きずりトルクの低減とクラッチの応答性の向上との両立が図られる。
請求項3に記載の発明は、請求項1又は2に記載の駆動力伝達装置において、前記制御手段は、前記指令トルクに基づく指令電流値が、前記アウタクラッチプレートと前記インナクラッチプレートとが所定の応答速度で摩擦係合可能な第2の所定電流値以下である場合に、前記指令電流値が前記第2の所定電流値以上になるように前記指令電流値を所定時間補正することを要旨とする。
上記構成によれば、制御手段は、指令電流値がアウタクラッチプレートとインナクラッチプレートとが所定の応答速度で摩擦係合可能な第2の所定電流値以上になるように指令電流値を所定時間補正する。そのため、起動時においてアウタクラッチプレートとインナクラッチプレートとが所定の応答速度(使用上、応答遅れが問題とならない速度)以上で摩擦係合し、十分にクラッチの応答性の向上が図られる。
請求項4に記載の発明は、請求項3に記載の駆動力伝達装置において、前記アウタクラッチプレートと前記インナクラッチプレートとの間に介在する潤滑油の温度を推定する温度推定手段を備え、前記制御手段は、前記潤滑油の温度低下に基づいて前記第2の所定電流値を大きくすることを要旨とする。
潤滑油は一般に温度が低くなるほど粘性が大きくなるため、潤滑油の温度が低い場合、十分なクラッチの応答性を得るためには、電磁石に供給する電流を大きくする必要がある。従って、上記構成のように、制御手段が潤滑油の温度上昇に基づいて所定値を第2の所定電流値に加算して、該第2の所定電流値を変更することで、潤滑油の温度によらずクラッチの応答性の向上が図られる。
請求項5に記載の発明は、請求項3又は4に記載の駆動力伝達装置において、前記制御手段は、前記第1回転部材と前記第2回転部材との差動回転速度の増大に基づいて前記第2の所定電流値を大きくすることを要旨とする。
潤滑油の動圧を利用してアウタクラッチプレートとインナクラッチプレートとを離間させるものにおいては、第1回転部材と第2回転部材との差動回転速度が大きくなると動圧が大きくなり、アウタクラッチプレートとインナクラッチプレートとが大きく離間する。従って、上記構成のように、制御手段が第1回転部材と第2回転部材との差動回転速度の増大に基づいて所定値を第2の所定電流値に加算して、該第2の所定電流値を変更することで、アウタクラッチプレートとインナクラッチプレートとが大きく離間した場合においても応答性の向上が図られる。
請求項6に記載の発明は、請求項1〜5のうちの何れか一項に記載の駆動力伝達装置において、前記アウタクラッチプレートと前記インナクラッチプレートとの間に所定間隔以上の隙間があるか否かを判定する隙間判定手段を備え、前記制御手段は、所定間隔以上の隙間があり、且つ前記起動時である場合に、前記指令トルクに基づいた電流よりも大きい電流を前記電磁石に供給することを要旨とする。
上記構成によれば、制御手段は、アウタクラッチプレートとインナクラッチプレートとの間に所定間隔以上の隙間があり、且つ起動時であると判定した場合に、指令トルクに基づく電流よりも大きな電流を電磁石に供給する。そのため、クラッチの応答性の低下が著しい場合に、指令電流値よりも大きな電流が供給されるので、効率的にクラッチの応答性の向上が図られ、不必要な場合に指令電流値よりも大きな電流が供給されて伝達トルクが変動することが低減される。
請求項7に記載の発明は、請求項6に記載の駆動力伝達装置において、前記隙間判定手段は、前記電磁石に流れる電流が前記第1の所定電流値以下で、且つ前記第1回転部材と前記第2回転部材との差動回転速度が所定差動回転速度以上である場合に、前記アウタクラッチプレートと前記インナクラッチプレートとの間に所定間隔以上の隙間があると判定することを要旨とする。
上記構成によれば、電磁石に供給される電流が、前記第1の所定電流値以下で、且つ前記第1回転部材と前記第2回転部材との差動回転速度が所定差動回転速度以上であるかを判定することで、精度良く所定間隔以上の隙間があると判定される。
請求項8に記載の発明は、請求項1〜7のうちの何れか一項に記載の駆動力伝達装置において、前記制御手段は、前記潤滑油の温度上昇に基づいて前記第1の所定電流値を小さくすることを要旨とする。
潤滑油の温度が高い場合には、電磁石に供給される電流が小さくてもアウタクラッチプレートとインナクラッチプレートとが摩擦係合しやすい。従って、上記構成のように、制御手段が潤滑油の温度上昇に基づいて所定値を第1の所定電流値に加算して該第1の所定電流値を変更することで、潤滑油の温度に応じた、起動時の判定及びアウタクラッチプレートとインナクラッチプレートとの間の隙間判定が行われる。
請求項9に記載の発明は、請求項7に記載の駆動力伝達装置において、前記制御手段は、前記潤滑油の温度上昇に基づいて前記所定差動回転速度を大きくすることを要旨とする。
潤滑油の温度が高い場合には、第1回転部材と第2回転部材との差動回転速度が大きくなってもアウタクラッチプレートとインナクラッチプレートとが離間し難い。従って、上記構成のように、制御手段が潤滑油の温度上昇に基づいて所定値を所定回転数に加算して、該所定回転数を変更することで、潤滑油の温度に応じてアウタクラッチプレートとインナクラッチプレートとの間に所定間隔以上の隙間があるか否かの判定が行われる。
請求項10に記載の発明は、円筒部を有する第1回転部材と、前記第1回転部材の内側にて前記第1回転部材と同軸上で相対回転可能な第2回転部材と、前記第1回転部材に対して軸方向移動可能且つ相対回転不能に係合する複数のアウタクラッチプレート及び前記第2回転部材に対して軸方向移動可能且つ相対回転不能に係合する複数のインナクラッチプレートを軸方向に交互に配置してなるクラッチ機構と、前記クラッチ機構の軸方向一端側に配置された電磁石と、前記電磁石との間に前記クラッチ機構を挟んで軸方向移動可能に配置されるアーマチャと、前記第1回転部材内に所定の充填率で収容された潤滑油とを備え、前記電磁石に供給する電流を増減することで入力側から出力側へ伝達するトルクを制御可能な駆動力伝達装置の制御方法であって、前記電磁石に供給される電流が、前記アウタクラッチプレートと前記インナクラッチプレートとの摩擦係合が解除される第1の所定電流値以下である非伝達状態から、前記第1の所定電流値よりも大きい伝達状態に移行する起動時には、入力側から出力側へ伝達すべき指令トルクに基づいた電流よりも大きい電流を前記電磁石に供給することを要旨とする。
上記構成によれば、起動時おいて指令トルクに基づいた電流が小さくクラッチの応答性が低下するような場合であっても、電磁石に指令トルクに基づいた電流よりも大きな電流が供給されるため、その応答性の向上が図られる。
本発明によれば、電磁石に供給される電流が小さい場合に、クラッチの応答性を向上させることが可能な駆動力伝達装置及び駆動力伝達装置の制御方法を提供することができる。
(第1実施形態)
以下、本発明を4輪駆動車両における補助駆動輪側への駆動力伝達経路に設けられ、補助駆動輪に伝達するトルクを制御する駆動力伝達装置に具体化した第1実施形態を図面に従って説明する。
図1に示すように、車両1は、前輪駆動車をベースとする4輪駆動車である。車両1の前部(図1において左側)にはエンジン2が搭載されるとともに、そのエンジン2に組み付けられたトランスアクスル3には、一対のフロントアクスル4が連結されている。また、トランスアクスル3には、上記各フロントアクスル4とともにプロペラシャフト5が連結される。プロペラシャフト5は、カップリング装置20を介してピニオンシャフト(ドライブピニオンシャフト)6と連結可能となっている。そして、ピニオンシャフト6は、リヤディファレンシャルギア7を介して一対のリヤアクスル8と連結されている。従って、エンジン2のトルクは、トランスアクスル3からフロントアクスル4を介して前輪9fに伝達されるとともに、トランスアクスル3からプロペラシャフト5、カップリング装置20、ピニオンシャフト6、リヤディファレンシャルギア7及び各リヤアクスル8を介して後輪9rに伝達されるようになっている。
カップリング装置20には、制御手段としてのECU60が接続されている。ECU60には、アクセル開度センサ10、車輪速センサ11f,11r及び外気温センサ12が接続されている。ECU60は、アクセル開度センサ10、車輪速センサ11f,11r及び外気温センサからの信号に基づいてカップリング装置20の作動を制御することにより、後輪9r伝達するトルクを制御する。つまり、カップリング装置20及びECU60により駆動力伝達装置13が構成されている。そして、カップリング装置20は、ピニオンシャフト6、及びリヤディファレンシャルギア7とともに、ディファレンシャルキャリヤ14内に収容されている。
次にカップリング装置20の構成について説明する。
図2に示すように、カップリング装置20は、ディファレンシャルキャリヤ14のカップリングケース21内に回転自在に収容された有底筒状のフロントハウジング22と、同フロントハウジング22の円筒内に回転自在に同軸配置された軸状のインナシャフト23とを備えている。
第1回転部材としてのフロントハウジング22は、その底部22a(同図中、左側)がカップリングケース21外部に露出された状態で、ボール軸受24により回転自在に支承されるとともに、その開口端22bには、環状のリヤハウジング25が嵌着されている。また、第2回転部材としてのインナシャフト23は、リヤハウジング25の内周に設けられたニードル軸受26及びフロントハウジング22の筒内に設けられたボール軸受27により回転自在に支承されている。そして、フロントハウジング22の筒内は、同フロントハウジング22とリヤハウジング25との嵌合部、及びリヤハウジング25の内周とインナシャフト23の外周との間に設けられたシール部材28,29により封止され、その筒内には潤滑油が収容されている。
尚、フロントハウジング22の底部22aは、プロペラシャフト5に設けられたフランジ部(図示略)と、ボルト30によって連結される。これにより、フロントハウジング22は、駆動源であるエンジン2の発生するトルクの入力により回転する。また、インナシャフト23の上記ニードル軸受26に支承された側の軸端(同図中、右側)の内周には、ピニオンシャフト6との連結部(スプライン嵌合部)31が形成されている。即ち、車両1に搭載した状態において、フロントハウジング22は主駆動輪である前輪9f側と連結され、インナシャフト23は補助駆動輪である後輪9r側と連結されるようなっている。
また、フロントハウジング22の筒内には、フロントハウジング22とインナシャフト23とをトルク伝達可能に連結可能なメインクラッチ32が設けられるとともに、メインクラッチ32の軸方向リヤハウジング25側にはパイロットクラッチ33が並置されている。そして、これらメインクラッチ32とパイロットクラッチ33との間にカム機構34が設けられている。
第1クラッチとしてのメインクラッチ32には、軸方向に移動可能に設けられた複数のアウタクラッチプレート35及びインナクラッチプレート36を交互に配置してなる多板式の摩擦クラッチが採用されている。具体的には、各アウタクラッチプレート35はフロントハウジング22の内周にスプライン嵌合され、各インナクラッチプレート36はインナシャフト23の外周にスプライン嵌合されることにより、それぞれ軸方向に移動可能、且つ対応するフロントハウジング22又はインナシャフト23と一体回転可能に設けられている。メインクラッチ32は、これら各アウタクラッチプレート35及びインナクラッチプレート36が軸方向に押圧され、互いに摩擦係合することにより、フロントハウジング22とインナシャフト23とをトルク伝達可能に連結するようになっている。
カム機構34は、インナシャフト23に回転自在に支承されたパイロットカム37と、インナシャフト23の外周にスプライン嵌合されることにより同インナシャフト23と一体回転可能且つ軸方向に移動可能に設けられたメインカム38と、パイロットカム37とメインカム38との間に介在されたボール部材39とを備えてなる。パイロットカム37及びメインカム38は、ともに円環状に形成されている。パイロットカム37のメインカム38との対向面の反対側の面は、リヤハウジング25との間に設けられたニードル軸受40に当接している。これにより、パイロットカム37はリヤハウジング25と一定の間隔を保持して相対回転可能に支持されている。また、メインカム38は、インナクラッチプレート36が嵌合しているインナシャフト23のスプライン溝のパイロットクラッチ33側にスプライン嵌合している。
これらパイロットカム37及びメインカム38の対向面には、周方向に対して傾斜する複数のV字溝が互いに対向するように形成されており、ボール部材39は、これら対向する各V字溝内に配置された状態でパイロットカム37及びメインカム38により挟持されている。そして、カム機構34は、パイロットカム37とメインカム38とが相対回転することにより、これらパイロットカム37とメインカム38との間が離間、即ちパイロットカム37がメインクラッチ32側に軸方向移動して、メインクラッチ32を押圧するように構成されている。
第2クラッチとしてのパイロットクラッチ33には、上記メインクラッチ32と同様に、軸方向に移動可能に設けられた複数のアウタクラッチプレート41及びインナクラッチプレート42を交互に配置してなる多板式の摩擦クラッチが採用されている。具体的には、各アウタクラッチプレート41は、フロントハウジング22の内周にスプライン嵌合され、インナクラッチプレート42はパイロットカム37の外周にスプライン嵌合されることにより、それぞれ軸方向に移動可能、且つ対応するフロントハウジング22又はパイロットカム37と一体回転可能に設けられている。本実施形態では、図3に示すように、各インナクラッチプレート42の摩擦係合面43には、潤滑油を内周端から径方向外側に導く複数の油溝44が形成されている。そして、パイロットクラッチ33は、これら各アウタクラッチプレート41及びインナクラッチプレート42が軸方向に押圧され、互いに摩擦係合することにより、フロントハウジング22とパイロットカム37とをトルク伝達可能に連結するようになっている。
即ち、メインカム38との間にボール部材39を挟持したパイロットカム37は、パイロットクラッチ33の非作動時、メインカム38、即ちインナシャフト23とともに一体回転し、フロントハウジング22とパイロットカム37との間には、フロントハウジング22とインナシャフト23との回転差に相当する回転差が生じている。そして、パイロットクラッチ33は、その作動により、フロントハウジング22とパイロットカム37とをトルク伝達可能に連結することで、フロントハウジング22とインナシャフト23(パイロットカム37)との回転差に基づくトルクをカム機構34に伝達するようになっている。
つまり、カップリング装置20では、パイロットクラッチ33の作動により、フロントハウジング22とインナシャフト23との回転差に基づくトルクがカム機構34に伝達され、カム機構34は、そのトルクにより生ずるパイロットカム37とメインカム38との回転差に基づいて同メインカム38を軸方向メインクラッチ32側に移動させる。即ち、カム機構34は、パイロットクラッチ33を介して伝達されたフロントハウジング22とインナシャフト23との回転差に基づくトルクを軸方向の押圧力に変換し、かつ増幅する。そして、そのメインカム38がメインクラッチ32を押圧することにより、同メインクラッチ32が作動、即ちフロントハウジング22とインナシャフト23とがトルク伝達可能に連結されるようになっている。
パイロットクラッチ33は、電磁石45を駆動源とする電磁クラッチとして構成されている。具体的には、リヤハウジング25には、フロントハウジング22の筒外(反フロントハウジング22側、図2中右側)に開口する環状溝46が形成されており、電磁石45は、この環状溝46内に収容されている。尚、リヤハウジング25には、その内周部から軸方向、反フロントハウジング22側に延びる円筒部25aが設けられており、電磁石45は、この円筒部25aに設けられたボール軸受47によりリヤハウジング25(及びフロントハウジング22)と相対回転可能に支承されている。
また、フロントハウジング22の筒内には、円環状に形成されたアーマチャ48が、同アーマチャ48とリヤハウジング25との間にアウタクラッチプレート41及びインナクラッチプレート42を挟む位置において、軸方向に摺動可能にスプライン嵌合されている。そして、パイロットクラッチ33は、このアーマチャ48が、電磁石45の電磁力に吸引され、リヤハウジング25との間に各アウタクラッチプレート41及びインナクラッチプレート42を挟み込むように移動することにより、該各アウタクラッチプレート41及びインナクラッチプレート42が摩擦係合するようになっている。
このように、カップリング装置20は、電磁石45に対する電力供給を通じてパイロットクラッチ33の作動を制御することが可能である。そして、このパイロットクラッチ33の作動を通じてメインクラッチ32の作動、即ち、フロントハウジング22とインナシャフト23との間で伝達可能なトルクを自在に制御可能な構成となっている。
次に駆動力伝達装置13の電気的構成について説明する。
図4に示すように、ECU60は、マイコン(マイクロコンピュータ)61を備え、マイコン61には、アクセル開度センサ10からアクセル開度信号Saが入力され、各車輪速センサ11f,11rからそれぞれ、前車輪速Vf及び後車輪速Vrが入力される。さらに、マイコン61には、外気温センサ12から外気温度Tmpが入力される。
具体的には、各車輪速センサ11f,11rにより検出された前車輪速Vf及び後車輪速Vrは、マイコン61の車速演算部62、車輪速差演算部63及び差動回転速度演算部64に入力される。車速演算部62は、前車輪速Vf及び後車輪速Vrに基づいて車速Vを算出し、指令トルク演算部65に出力する。また、車輪速差演算部63は、前車輪速Vf及び後車輪速Vrに基づいて前輪9fと後輪9rとの間の車輪速差ΔWを算出し、指令トルク演算部65に出力する。指令トルク演算部65には、車速演算部62により算出された車速V及び車輪速差演算部63により算出された車輪速差ΔWとともに、アクセル開度信号Saが入力される。指令トルク演算部65は、これら車速V,車輪速差ΔW及びアクセル開度信号Saに基づいて指令トルクT*を算出し、該指令トルクT*を指令電流値演算部66に出力する。また、差動回転速度演算部64は、前車輪速Vf及び後車輪速Vrに基づいてフロントハウジング22とインナシャフト23との差動回転速度ΔNを算出し、電流補正部67に出力する。ここで、差動回転速度ΔNとは、フロントハウジング22の回転速度とインナシャフト23の回転速度との差をいう。なお、指令トルク演算部65は、所定のマップを参照することにより、車速V及び車輪速差ΔWに基づいた第1トルクと車速及びアクセル開度信号Saに基づいた第2トルクとを算出するとともに、これら第1トルクと第2トルクとを足し合わせることで指令トルクT*を算出する。
指令電流値演算部66には、指令トルクT*と指令電流値I*との関係を記憶したT−I特性マップが設けられている。指令電流値演算部66は、指令トルクT*をT−I特性マップに照らし合わせることで指令電流値I*を算出し、電流補正部67及び加算器68に出力する。尚、T−I特性マップは、指令トルクT*の絶対値が大きくなる程、指令電流値I*が大きくなるように設定されている。
また、電流補正部67には、指令電流値I*及び差動回転速度演算部64により算出された差動回転速度ΔNが入力される。さらに、電流補正部67には、外気温センサ12により検出された外気温度Tmpが入力される。そして、電流補正部67は、指令電流値I*に加える補正値αを加算器68に出力する。
加算器68には、指令電流値演算部66により算出された指令電流値I*及び電流補正部67により算出された補正値αが入力される。加算器68は、指令電流値I*と補正値αとを加算した値を補正指令電流値I**として減算器69に出力する。
減算器69には、加算器68により算出された補正指令電流値I**が入力されるとともに、電磁石45に供給される電流を検出する電流センサ70により検出された電流値Iが入力される。減算器69は、補正指令電流値I**と電流値Iとの電流偏差ΔIを算出し、F/B(フィードバック)制御演算部71に出力する。F/B制御演算部71は、入力された電流偏差ΔIに基づいてフィードバック制御量を算出し、駆動信号出力部72に出力する。本実施形態では、F/B制御演算部71は、電流偏差ΔIに所定の比例ゲインを乗じた値と、電流偏差ΔIの積分値に所定の積分ゲインを乗じた値との合計をフィードバック制御量として算出する。即ち、F/B制御演算部71は、PI制御(比例・積分制御)によりフィードバック制御量を演算する。駆動信号出力部72は、このフィードバック制御量に応じたPWM(Pulse Width Modulation)演算を行い、所定のDUTY比を有するパルス信号を駆動信号として駆動回路73に出力する。そして、駆動回路73により、駆動信号に応じた電流が電磁石45に供給されることで、検出される電流値Iを補正指令電流値I**に追従させるようになっている。
次に、指令電流値I*に補正値αを加える電流補正部67について詳細に説明する。
電流補正部67は、指令電流値I*を補正するか否かを判定する判定部74と、その判定結果に基づいて指令電流値I*に加える補正値αを算出する補正値演算部75とを備えている。
詳述すると、判定部74には指令電流値I*及び差動回転速度ΔNが入力される。判定部74は、入力された指令電流値I*に基づいて起動時であるか否かを判定する。ここで、起動時とは、電磁石45に供給される電流が、アウタクラッチプレート41とインナクラッチプレート42との摩擦係合が解除される第1の所定電流値以下である非伝達状態から第1の所定電流値よりも大きい伝達状態に移行することをいう。また、第1の所定電流値I1とは、アウタクラッチプレート41とインナクラッチプレート42との摩擦係合が解除される電流値をいう。本実施形態では、判定部74は、指令トルクT*に基づいて算出された指令電流値I*が、第1の所定電流値I1以下である状態から第1の所定電流値I1よりも大きな値が入力された場合に起動時であると判定する。また、判定部74は、指令電流値I*が第2の所定電流値I2以下であるか否かを判定する。ここで、第2の所定電流値I2とは、アウタクラッチプレート41とインナクラッチプレート42とが所定の応答速度(使用上、応答遅れが問題とならない速度)以上で摩擦係合可能な電流値をいう。
そして、判定部74は、起動時であり、且つ指令電流値I*が第2の所定電流値I2以下である場合には、指令電流値I*が第2の所定電流値I2よりも大きくなるように補正値αを加える突入電流供給制御を行う判定をし、指令電流値I*を補正するフラグをセットする。一方、判定部74は、起動時でない場合、又は指令電流値I*が第2の所定電流値I2よりも大きい場合には、指令電流値I*を変更しない通常制御を行う判定をし、指令電流値I*を補正するフラグをクリアする。
さらに、判定部74には、外気温センサ12から外気温度Tmpが入力され、判定部74は、外気温度Tmpに基づいて潤滑油温度Kを推定する。外気温センサ12及び判定部74は温度推定手段を構成する。判定部74には、図5(a)に示すような潤滑油温度Kと第1の所定電流値I1との関係を示したK−I1マップ、及び同K−I1マップと同様の傾向を示す潤滑油温度Kと第2の所定電流値I2との関係を示したK−I2マップが設けられている。判定部74は、所定周期毎に、推定された潤滑油温度KをK−I1マップ及びK−I2マップに照らし合わせることにより所定値をそれぞれ算出し、第1及び第2の所定電流値I1,I2に加算することで、第1及び第2の所定電流値I1,I2をそれぞれ変更する。具体的には、判定部74は、潤滑油温度Kが小さくなるほど、第1及び第2の所定電流値I1,I2をそれぞれ大きくし、潤滑油温度Kが大きくなるほど、第1及び第2の所定電流値I1,I2をそれぞれ小さくする。また、本実施形態では、判定部74は、差動回転速度ΔNの増大に基づいて所定値を加算して第2の所定電流値I2を変更する。具体的には、差動回転速度ΔNが大きくなるほど、第2の所定電流値I2を大きくする。
補正値演算部75は、指令電流値I*を補正するフラグがクリアされている場合には、補正値αとして0を算出し加算器68に出力する。一方、補正値演算部75は、指令電流値I*を補正するフラグがセットされている場合には、補正値αとして指令電流値I*が第2の所定電流値I2よりも大きくなる値を算出し、加算器68に出力する。そして、補正値演算部75は、補正値αとして上記した値を所定時間(伝達トルクが指令トルクT*を超えない時間)出力した後は補正値αとして0を出力する。
次に、判定部74の判定手順について説明する。図6のフローチャートに示すように、判定部74は、起動時であるか否かを判定(ステップ100)し、起動時である場合(ステップ100:YES)には、指令電流値I*が第2の所定電流値I2以下であるが否かを判定(ステップ101)する。そして、判定部74は、指令電流値I*が第2の所定電流値I2以下である場合(ステップ101:YES)には、指令電流値I*を補正するフラグをセットする(ステップ102)。一方、判定部74は、起動時でない場合(ステップ100:NO)、及び指令電流値I*が第2の所定電流値I2よりも大きい場合(ステップ101:NO)には、指令電流値I*を補正するフラグをクリアする(ステップ103)。
次に、駆動力伝達装置13の動作について説明する。
カップリング装置20内には潤滑油が収容されているため、アウタクラッチプレート41とインナクラッチプレート42とは、それらの間に介在する潤滑油が排出されなければ摩擦係合できない。そのため、起動時において指令電流値I*が小さい場合(第2の所定電流値I2以下の電流)には、図7(a)の二点鎖線で示すように、伝達トルクが指令トルクT*になるまでの時間が長くなる。即ちクラッチの応答性が低下するといった問題が生じる。しかし、本実施形態の駆動力伝達装置13は、起動時に指令電流値I*が第2の所定電流値I2以下の場合には、指令電流値I*が第2の所定電流値I2以上になるように補正値αを所定時間加算し、その後に補正値αを0とする。つまり、電磁石45に供給される電流は、図7(b)の実線で示すように、第1の所定電流値I1よりも小さい状態から、所定時間第2の所定電流値I2となり、その後に指令電流値I*に変化する。従って、アウタクラッチプレート41とインナクラッチプレート42とが所定の応答速度で摩擦係合するため、図7(a)の一点鎖線で示すようにトルクが伝達され、クラッチの応答性の向上が図られる。
また、本実施形態ではアウタクラッチプレート41とインナクラッチプレート42との回転による潤滑油の動圧を利用して引きずりトルクの低減を図っているため、応答性の低下が顕著なものとなる。しかし、上記のように起動時に第2の所定電流値I2以上の電流が電磁石45に供給されるため、引きずりトルクの低減とクラッチの応答性の向上との両立が図られる。さらに、アウタクラッチプレート41とインナクラッチプレート42との回転による潤滑油の動圧を利用して引きずりトルクの低減を図っているため、差動回転速度ΔNが大となるほど動圧が大きくなってアウタクラッチプレート41とインナクラッチプレート42とが大きく離間しやすく、応答性の低下がより顕著なものになる。この点、補正値演算部75は、差動回転速度ΔNが大となるほど第2の所定電流値I2を大きくするため、差動回転速度ΔNが大きい場合に指令電流値I*がさらに大きな値になり、クラッチの応答性の向上が図られる。
以上記述したように、本実施の形態によれば、以下の効果を奏する。
(1)ECU60は、指令電流値I*を補正するか否かを判定する判定部74と、その判定結果に基づいて指令電流値I*に加える補正値αを算出する補正値演算部75とを備えた。判定部74は、起動時であり、且つ指令電流値I*が第2の所定電流値I2以下である場合には、指令電流値I*を補正するフラグをセットするようにした。また、補正値演算部75は、指令電流値I*を補正するフラグをセットされている場合には、指令電流値I*が第2の所定電流値I2よりも大きくなるように補正値αを算出するようにした。このため、起動時において指令電流値I*が第2の所定電流値I2以下の場合には、指令電流値I*が第2の所定電流値I2よりも大きくなるように補正値αが加算される。従って、アウタクラッチプレート41とインナクラッチプレート42とが所定の応答速度で摩擦係合し、図7(a)の一点鎖線で示すように、十分に伝達トルクの応答性の向上を図ることができる。
(2)引きずりトルクの低減させる構成を有するものにおいては、アウタクラッチプレート41とインナクラッチプレート42とが離間しやすいため、クラッチの応答性の低下が顕著なものとなる。この点、指令電流値I*よりも大きな電流が供給されることで、引きずりトルクの低減とクラッチの応答性の向上との両立を図ることができる。
(3)潤滑油は一般に温度が低くなるほど粘性が大きくなるため、潤滑油の温度が低い場合、十分なクラッチの応答性を得るためには、電磁石45に供給する電流を大きくする必要がある。従って、判定部74が所定周期毎に、推定された潤滑油温度KをK−I2マップに照らし合わせることにより、第2の所定電流値I2を変更することで、潤滑油の温度によらずクラッチの応答性の向上を図ることができる。
(4)判定部74は、差動回転速度ΔNが大となるほど第2の所定電流値I2を大きくするため、差動回転速度ΔNが大きい場合に指令電流値I*がさらに大きな値になり、確実にクラッチの応答性の向上を図ることができる。また、第2の所定電流値I2が大きくなることで、補正値αが加算される対象となる指令電流値I*の範囲が大きくなり、確実に伝達トルクの応答性の向上を図ることができる。
(5)潤滑油の温度が高い場合には、電磁石45に供給される電流が小さくてもアウタクラッチプレート41とインナクラッチプレート42とが摩擦係合しやすい。従って、判定部74が所定周期毎に、推定された潤滑油温度KをK−I1マップに照らし合わせることにより、第1の所定電流値I1を変更することで、潤滑油の温度に応じた起動時の判定を行うことができる。
(第2実施形態)
以下、本発明を、2輪駆動と4輪駆動とを切り換え可能な所謂パートタイム型の4輪駆動車における補助駆動輪側への駆動力伝達経路に設けられ、補助駆動輪に伝達するトルクを制御する駆動力伝達装置に具体化した第2実施形態を図面に従って説明する。
尚、本実施形態の駆動力伝達装置80は、指令トルク演算部81及び電流補正部82の制御のみが上記第1実施形態の駆動力伝達装置13と相違する。このため、同一の構成については上記第1実施形態と同一の符号を付してその説明を省略する。
本実施形態の指令トルク演算部81は、車速V、車輪速差ΔW及びアクセル開度信号Saによらず指令トルクT*を0とする2輪駆動モードと、車速V、車輪速差ΔW及びアクセル開度信号Saに応じた指令トルクを算出する4輪駆動モードとを備えている。図8に示すように、指令トルク演算部81には、車速V、車輪速差ΔW及びアクセル開度信号Saとともに、図示しない上位ECUから2輪駆動モードと4輪駆動モードとを切り換えるモード信号Smが入力される。指令トルク演算部81は、モード信号Smに応じて2輪駆動モードと4輪駆動モードとを切り換え、各モードに応じた指令トルクT*を算出する。
また、隙間判定手段としての判定部83には指令電流値I*及び差動回転速度演算部64により算出された差動回転速度ΔNが入力される。判定部83は、指令電流値I*に基づいて起動時であるか否かを判定し、入力された差動回転速度ΔNに基づいて各アウタクラッチプレート41と各インナクラッチプレート42との間に所定間隔以上の隙間があるか否かを判定する。そして、判定部83は、起動時において、アウタクラッチプレート41とインナクラッチプレート42との間に所定間隔以上の隙間があり、且つ指令電流値I*が第2の所定電流値I2以下である場合には、突入電流供給制御を行う判定をし、指令電流値I*を補正するフラグをセットする。
本実施形態では、判定部83は起動時である場合に入力された差動回転速度ΔNと予め設定された所定回転速度Ncとを比較し、差動回転速度ΔNが所定回転速度Ncよりも大きいか否かを判定する。ここで所定回転速度Ncとは、アウタクラッチプレート41とインナクラッチプレート42との回転による潤滑油の動圧が十分に発生する回転数をいう。判定部83は、起動時、即ち電磁石45に供給されている電流が第1の所定電流値I1以下である状態において、差動回転速度ΔNが所定回転速度Ncよりも大きい場合に、各アウタクラッチプレート41と各インナクラッチプレート42との間に所定間隔以上の隙間があると判定する。そして、判定部83は、指令電流値I*が第2の所定電流値I2以下である場合に、指令電流値I*を補正するフラグをセットし、それ以外の場合には、指令電流値I*を補正するフラグをクリアする。尚、補正値演算部84は、上記第1実施形態における補正値演算部75と同様の処理を実行する。
また、判定部83には、図5(a)に示すK−I1マップとともに、図5(b)に示すような潤滑油温度Kと所定回転速度Ncとの関係を示したK−Ncマップが設けられている。判定部83は、所定周期毎に、推定された潤滑油温度KをK−I1マップ、K−I2マップ及びK−Ncマップに照らし合わせることにより所定値をそれぞれ算出し、第1及び第2の所定電流値I1,I2及び所定回転速度Ncに加算することで第1及び第2の所定電流値I1,I2及び所定回転速度Ncそれぞれを変更する。具体的には、潤滑油温度Kが小さくなるほど、第1及び第2の所定電流値I1,I2を大きくするとともに、潤滑油温度Kが大きくなるほど所定回転速度Ncが大きくなるように変更する。
次に、判定部83の判定手順について説明する。図9のフローチャートに示すように、判定部83は、起動時であるか否かを判定し(ステップ200)、起動時である場合(ステップ200:YES)には、差動回転速度ΔNが所定回転速度Ncよりも大きいか否かを判定(ステップ201)する。差動回転速度ΔNが所定回転速度Ncよりも大きい場合(ステップ201:YES)には、アウタクラッチプレート41とインナクラッチプレート42との間に所定間隔以上の隙間があると判定し、指令電流値I*が第2の所定電流値I2以下であるか否かを判定する(ステップ202)。そして、判定部83は、指令電流値I*が第2の所定電流値I2以下である場合(ステップ202:YES)には、指令電流値I*を補正するフラグをセットする(ステップ203)。一方、判定部83は、起動時でない場合(ステップ200:NO)には、指令電流値I*を補正するフラグをクリアする(ステップ204)。また、判定部83は、差動回転速度ΔNが所定回転速度Nc以下である場合(ステップ201:NO)、及び指令電流値I*が第2の所定電流値I2よりも大きい場合(ステップ202:NO)においても、ステップ204へ移行する。
次に、本実施形態の駆動力伝達装置80の動作について説明する。
例えば、2輪駆動モードである場合にスリップが発生して車輪速差ΔWが大きくなっても、後輪9rにトルクは伝達されず電磁石45に電流が供給されない。このとき、本実施形態のように、潤滑油の動圧を利用して引きずりトルクを低減する構成においては、差動回転速度ΔNが大きくなることで潤滑油の動圧が大きくなり、アウタクラッチプレート41とインナクラッチプレート42とが大きく離間する。そして、上位ECUから指令トルク演算部81にモード信号Smが入力されて4輪駆動モードに切り換わった場合に、指令トルクT*が小さく指令電流値I*が第2の所定電流値I2以下であるとクラッチの応答性の低下が顕著なものとなる。
この点、本実施形態では、駆動力伝達装置80は、起動時において、アウタクラッチプレート41とインナクラッチプレート42との間に所定間隔以上の隙間があると判定された場合であって、且つ指令電流値I*が第2の所定電流値I2以下であるときに、指令電流値I*を補正するフラグをセットする。一方、判定部83は、アウタクラッチプレート41とインナクラッチプレート42との間に所定間隔以上の隙間がないと判定した場合には、指令電流値I*を補正するフラグをクリアする。そのため、アウタクラッチプレート41とインナクラッチプレート42とが大きく離間し応答性の悪化が顕著になるときに、第2の所定電流値I2よりも大きな電流が供給されて応答性の向上が図られる。そして、アウタクラッチプレート41とインナクラッチプレート42とが大きく離間していない場合には通常の制御が行われるため、効率的に伝達トルクの応答性が向上され、不必要な場合に第2の所定電流値I2よりも大きな電流が供給されて伝達トルクが変動することが低減される。
以上記述したように、本実施形態によれば、第1実施形態の(1)〜(5)の効果に加えて以下の効果を奏する。
(6)判定部83は、起動時において差動回転速度ΔNが所定回転速度Ncよりも大きい場合に、各アウタクラッチプレート41と各インナクラッチプレート42とが離間していると判定するようにした。そして、駆動力伝達装置80は、アウタクラッチプレート41とインナクラッチプレート42との間に所定間隔以上の隙間があると判定された場合であって、且つ指令電流値I*が第2の所定電流値I2以下であるときに、指令電流値I*を補正するフラグをセットし、それ以外の場合には、指令電流値I*を補正するフラグをクリアするようにした。そのため、本実施形態のように、潤滑油の動圧を利用して引きずりトルクを低減する構成において、差動回転速度ΔNが大きくなることで潤滑油の動圧が大きくなり、アウタクラッチプレート41とインナクラッチプレート42とが大きく離間した場合に、指令電流値I*が補正されて伝達トルクの応答性の向上を図ることができる。そして、アウタクラッチプレート41とインナクラッチプレート42とが大きく離間していない場合には、通常制御が行われるため、効率的に伝達トルクの応答性の向上を図ることが可能になり、不必要な場合に指令電流値I*よりも大きな電流が供給されて伝達トルクが変動することを低減できる。
(7)判定部83は、所定周期毎に、推定された潤滑油温度KをK−I1マップ及びK−Ncマップに照らし合わせることにより、第1の所定電流値I1及び所定回転速度Ncを変更するようにした。従って、潤滑油の温度に応じて好適にアウタクラッチプレート41とインナクラッチプレート42との離間を判定することができる。そして、その判定結果に基づいて指令電流値I*を補正するため、クラッチの応答性の低下が著しい場合に指令電流値I*が補正され、より効率的にクラッチの応答性の向上を図ることができる。
尚、上記各実施形態は、以下の態様で実施してもよい。
・上記各実施形態において、補正値演算部75,84に差動回転速度ΔNを入力し、差動回転速度ΔNに基づいて補正値αを変更してもよい。具体的には、差動回転速度ΔNが大きくなるほど補正値αが大きくなるように変更してもよく、また、所定の差動回転速度ΔN毎にステップ状に補正値αが大きくなるように変更してもよい。
・上記各実施形態では、インナクラッチプレート42の摩擦係合面43に油溝44を形成することで潤滑油の動圧を利用して引きずりトルクの低減を図ったが、これに限らず、例えばばね等によってアウタクラッチプレート41とインナクラッチプレート42との間を離間させる機械的な構成のものでもよい。
・上記各実施形態では、潤滑油の動圧を利用して引きずりトルクの低減を図る構成を有していたが、引きずりトルクの低減を図る構成を有さずともよい。このような場合であっても、潤滑油の粘性等に起因して伝達トルクの応答性が低下するため、本発明を適用することにより、伝達トルクの応答性の向上を図ることができる。特に、潤滑油の粘性が高くなる低温時においては、効果的に伝達トルクの応答性の向上を図ることができる。
・上記第1実施形態では、外気温度Tmpに基づいて第1及び第2の所定電流値I1,I2を変更し、上記第2実施形態では、外気温度Tmpに基づいて第1及び第2の所定電流値I1,I2及び所定回転速度Ncを変更した。しかし、これに限らず、第1及び第2の所定電流値I1,I2及び所定回転速度Ncは一定のままでもよい。
・上記各実施形態では、外気温センサ12により検出された外気温度Tmpに基づいて潤滑油温度Kを推定したが、これに限らず、カップリング装置20の温度を検出し、該温度に基づいて潤滑油温度Kを推定してもよい。
・上記各実施形態では、判定部74,83は指令電流値I*に基づいて起動時である否かを判定したが、これに限らず、判定部74,83に指令トルクT*を入力し、該指令トルクT*に基づいて起動時であるか否かを判定してもよい。また、電流センサ70によって検出される電流値Iに基づいて起動時であるか否かを判定してもよい。
さらに、指令電流値I*が第1の所定電流値I1以下である状態が所定期間継続した後に、第1の所定電流値I1よりも大きな値が入力された場合に起動時であると判定してもよい。
・上記第2実施形態では、起動時において差動回転速度ΔNが所定回転速度Ncよりも大きい場合に、アウタクラッチプレート41とインナクラッチプレート42とが離間していると判定したが、これに限らない。例えば、電流値Iが第1の所定電流値I1以下である場合に、所定期間継続して差動回転速度ΔNが所定回転速度Ncよりも大きい場合に離間していると判定してもよい。ここで、所定期間とは、例えば指令トルクT*を算出する周期をいう。また、電流値Iや差動回転速度ΔNによらず、アウタクラッチプレート41又はインナクラッチプレート42に変位センサを設けて、クラッチプレート間の距離を直接検出して所定間隔以上の隙間があるか否かの判定を行ってもよい。このようにすることで、指令値の変動とは別に、例えば外乱などの影響で電流値が瞬間的に変動したことによって起動時である判定されても、突入電流供給制御が行われない。従って、アウタクラッチプレート41とインナクラッチプレート42とが摩擦係合している状態で、指令電流値I*が補正されて伝達トルクが変動することを低減することができる。
・上記各実施形態では、判定部74,83は、差動回転速度ΔNが大きくなるほど第2の所定電流値I2を大きくしたが、これに限らず、所定の差動回転速度ΔN毎にステップ状に第2の所定電流値I2が大きくなるように変更してもよい。また、判定部74,83は、潤滑油温度Kが小さくなるほど第1及び第2の所定電流値I1,I2を大きくしたが、これに限らず、所定の潤滑油温度K毎にステップ状に第1及び第2の所定電流値I1,I2が大きくなるようにそれぞれ変更してもよい。
・上記第2実施形態では、潤滑油温度Kが大きくなるほど所定回転速度Ncが大きくなるように変更したが、これに限らず、所定の潤滑油温度K毎にステップ状に所定回転速度Ncが大きくなるように変更してもよい。
・上記第1実施形態において、判定部74は、推定された潤滑油温度KをK−I1マップ及びK−I2マップに照らし合わせることにより、第1及び第2の所定電流値I1,I2を直接算出してもよい。同様に、上記第2実施形態において、判定部83は、推定された潤滑油温度KをK−I1マップ、K−I2マップ及びK−Ncマップに照らし合わせることにより、第1及び第2の所定電流値I1,I2及び所定回転速度Ncを直接算出してもよい。
・上記各実施形態では、第1回転部材としてのフロントハウジング22に駆動力が入力されたが、これに限らず、第2回転部材としてのインナシャフト23に駆動力が入力されるようにしてもよい。
・上記第1実施形態では、起動時であり、且つ指令電流値I*が第2の所定電流値I2以下である場合に、指令電流値I*が第2の所定電流値I2よりも大きくなるように補正値αを加えたが、起動時であるとの判定のみによって指令電流値I*に補正値αを加えるようにしてもよい。
・上記各実施形態では、指令電流値I*に補正値αを加えることで電磁石45に供給される電流を大きくしたが、これに限らず、電磁石45に供給される電流が指令電流値I*よりも大きくなれば、どのような方法であってもよい。
・上記各実施形態では、本発明を、前輪9fを主駆動輪とする車両1の駆動力伝達装置13に具体化したが、後輪9rを主駆動輪とする車両の駆動力伝達装置に具体化してもよい。
・上記各実施形態では、本発明を、4輪駆動車両における補助駆動輪側への駆動力伝達経路に設けられ、補助駆動輪に伝達するトルクを制御する駆動力伝達装置に具体化したが、これに限らず、例えば左右駆動力配分装置としての機能を有するディファレンシャル等、その他に用途に用いられるものに具体化してもよい。
駆動力伝達装置を備えた車両の概略構成図。 カップリング装置の断面図。 クラッチプレートの平面図。 第1実施形態の駆動力伝達装置のブロック図。 (a)潤滑油温度と第1の所定電流値との関係を示す波形図、(b)潤滑油温度と所定回転数との関係を示す波形図。 第1実施形態の判定部の判定手順を示すフローチャート。 (a)時間と電磁石に供給される電流及び伝達トルクとの関係を示す波形図、(b)時間と電磁石に供給される電流との関係を示す波形図。 第2実施形態の駆動力伝達装置のブロック図。 第2実施形態の判定部の判定手順を示すフローチャート。
符号の説明
13,80…駆動力伝達装置、20…カップリング装置、3…フロントハウジング、4…インナシャフト、6…リヤハウジング、35,41…アウタクラッチプレート、36,42…インナクラッチプレート、43…摩擦係合面、44…油溝、45…電磁石、48…アーマチャ、60…ECU、67,81電流補正部、74,83…判定部、75,84…補正値演算部、I*…指令電流値、I1…第1の所定電流値、I2…第2の所定電流値、K…潤滑油温度、T*…指令トルク、α…補正値、ΔN…差動回転速度。

Claims (10)

  1. 円筒部を有する第1回転部材と、前記第1回転部材の内側にて前記第1回転部材と同軸上で相対回転可能な第2回転部材と、前記第1回転部材に対して軸方向移動可能且つ相対回転不能に係合する複数のアウタクラッチプレート及び前記第2回転部材に対して軸方向移動可能且つ相対回転不能に係合する複数のインナクラッチプレートを軸方向に交互に配置してなるクラッチ機構と、前記クラッチ機構の軸方向一端側に配置された電磁石と、前記電磁石との間に前記クラッチ機構を挟んで軸方向移動可能に配置されるアーマチャと、前記第1回転部材内に所定の充填率で収容された潤滑油と、入力側から出力側へ伝達すべき指令トルクを演算し前記指令トルクに基づいて前記電磁石に電流を供給する制御手段と、を備えた駆動力伝達装置であって、
    前記制御手段は、前記電磁石に供給される電流が、前記アウタクラッチプレートと前記インナクラッチプレートとの摩擦係合が解除される第1の所定電流値以下である非伝達状態から、前記第1の所定電流値よりも大きい伝達状態に移行する起動時に前記指令トルクに基づいた電流よりも大きい電流を前記電磁石に供給することを特徴とする駆動力伝達装置。
  2. 前記アウタクラッチプレートと前記インナクラッチプレートとの回転による前記潤滑油の動圧によって前記アウタクラッチプレートと前記インナクラッチプレートを離間させる離間手段とを備えたことを特徴とする請求項1に記載の駆動力伝達装置。
  3. 前記制御手段は、前記指令トルクに基づく指令電流値が、前記アウタクラッチプレートと前記インナクラッチプレートとが所定の応答速度で摩擦係合可能な第2の所定電流値以下である場合に、前記指令電流値が前記第2の所定電流値以上になるように前記指令電流値を所定時間補正することを特徴とする請求項1又は2に記載の駆動力伝達装置。
  4. 前記アウタクラッチプレートと前記インナクラッチプレートとの間に介在する潤滑油の温度を推定する温度推定手段を備え、
    前記制御手段は、前記潤滑油の温度低下に基づいて前記第2の所定電流値を大きくすることを特徴とする請求項3に記載の駆動力伝達装置。
  5. 前記制御手段は、前記第1回転部材と前記第2回転部材との差動回転速度の増大に基づいて前記第2の所定電流値を大きくすることを特徴とする請求項3又は4に記載の駆動力伝達装置。
  6. 前記アウタクラッチプレートと前記インナクラッチプレートとの間に所定間隔以上の隙間があるか否かを判定する隙間判定手段を備え、
    前記制御手段は、所定間隔以上の隙間があり、且つ前記起動時である場合に、前記指令トルクに基づいた電流よりも大きい電流を前記電磁石に供給することを特徴とする請求項1〜5のうちの何れか一項に記載の駆動力伝達装置。
  7. 前記隙間判定手段は、前記電磁石に流れる電流が前記第1の所定電流値以下で、且つ前記第1回転部材と前記第2回転部材との差動回転速度が所定差動回転速度以上である場合に、前記アウタクラッチプレートと前記インナクラッチプレートとの間に所定間隔以上の隙間があると判定することを特徴とする請求項6に記載の駆動力伝達装置。
  8. 前記制御手段は、前記潤滑油の温度上昇に基づいて前記第1の所定電流値を小さくすることを特徴とする請求項1〜7のうちの何れか一項に記載の駆動力伝達装置。
  9. 前記制御手段は、前記潤滑油の温度上昇に基づいて前記所定差動回転速度を大きくすることを特徴とする請求項7に記載の駆動力伝達装置。
  10. 円筒部を有する第1回転部材と、前記第1回転部材の内側にて前記第1回転部材と同軸上で相対回転可能な第2回転部材と、前記第1回転部材に対して軸方向移動可能且つ相対回転不能に係合する複数のアウタクラッチプレート及び前記第2回転部材に対して軸方向移動可能且つ相対回転不能に係合する複数のインナクラッチプレートを軸方向に交互に配置してなるクラッチ機構と、前記クラッチ機構の軸方向一端側に配置された電磁石と、前記電磁石との間に前記クラッチ機構を挟んで軸方向移動可能に配置されるアーマチャと、前記第1回転部材内に所定の充填率で収容された潤滑油とを備え、前記電磁石に供給する電流を増減することで入力側から出力側へ伝達するトルクを制御可能な駆動力伝達装置の制御方法であって、
    前記電磁石に供給される電流が、前記アウタクラッチプレートと前記インナクラッチプレートとの摩擦係合が解除される第1の所定電流値以下である非伝達状態から、前記第1の所定電流値よりも大きい伝達状態に移行する起動時には、入力側から出力側へ伝達すべき指令トルクに基づいた電流よりも大きい電流を前記電磁石に供給することを特徴とする駆動力伝達装置の制御方法。
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