(A) 上述の現像処理技術に係るスリット状のノズルから現像液を基板に膜状に吐出して現像を行う技術では、次のような課題がある。
(A−1) すなわち、液盛り時にノズルから供給される現像液のうち、現像に寄与することなく基板外にこぼれ落ちる液の割合が大きく(例えば、約30%弱)、現像液の無駄が多い。
(A−2) また、疎水性を有する基板の場合は、現像液をはじき、現像欠陥が生じやすいため、基板上に液盛りした現像液に十分な厚みを持たせることが必要である等の理由により、現像液の使用量の削減が難しい。
(A−3) また、一般的に現像液として用いられるTMAH(水酸化テトラメチルアンモニウム)2.380wt%水溶液は、容易に空気中の二酸化炭素と反応し劣化するため、空気に触れTMAH濃度が低下した現像液をそのまま使用すると、基板の面内や面間のパターンの線幅の均一性が悪化する。このため、ノズル先端部等に溜まり空気と触れた現像液は、基板Wに供給する前に吐出して(ダミー吐出して)廃液する必要があり、この点も現像液の使用量の削減を妨げている。
(A−4) また、スリット式ノズルの問題点として、基板上の吐出開始側と終了側との時間差が挙がられる。すなわち、理想的には、基板上に同時に現像液を液盛りすることが望ましいが、実際には数秒以上の時間差が生じ、結果的に吐出開始側と終了側のパターンの線幅値に差違が生じる場合がある。
(A−5) また、特定種のレジストにおいて、パターン形状の粗密差によりパターンの線幅値に差違が生じる場合がある。
(A−6) なお、現像液の液盛り方法として、スプレーノズルを用いた方法もあるが、スプレーノズルから吐出される強力な霧状の流体によりレジスト表面に与えられる物理的衝撃によりパターン形状の劣化が生じたり、強力な霧状の流体により周囲の空気が巻き込まれることにより液盛りされた現像液中に気泡が生じる場合がある。現像液中の気泡は現像欠陥の原因となる。また、スプレーノズルを用いた構成では、適切に霧状の現像液を吐出するためにはスプレーノズルの構成に応じた圧力で空気等を供給して噴霧を行う必要がため、噴霧量の調節にはノズルの交換等が必要であり、噴霧量の調節が容易でない。
(B) また、上述の現像処理技術に係る基板を回転させて乾燥させる技術では、遠心力によって振り切られる水の衝撃、及び水が微細パターン間で乾燥する際に働く表面張力、毛細管力等によって、微細なレジストパターンの倒壊が生じる場合がある。なお、これを防止する方法として、IPA等の揮発性が高く、表面張力が低い溶剤蒸気雰囲気を用いて基板上の水分を置換乾燥する方法があるが、フォトリソ工程ではIPA等の溶剤にレジストが溶解するため、この方法を使用することができない。
(C) また、上述の現像処理技術では、基板を回転させるための回転駆動機構や、回転により飛散する各種液体に対する特別な対策(例えば、カップ機構、現像処理容器内等の清浄度を確保するために清浄空気を供給するための構成等)が必要であり、装置構成の大型化及び高コスト化を招いている。
(D) また、上述の現像処理技術では、現像処理後の基板に施す熱処理を現像処理ユニットとは別の熱処理ユニットで行っているため、この点によっても装置構成の大型化及び高コスト化が生じる。さらには、基板を現像処理ユニットから熱処理ユニットに搬送する必要があるため、その分処理装置のスループットが低下する。
そこで、本発明の解決すべき第1の課題は、装置構成の小型化及び低コスト化が図れ、スループットの向上が図れる基板処理装置及び基板処理方法を提供することである。
また、本発明の解決すべき第2の課題は、現像液の使用量を抑制しつつ基板への現像液の良好な液盛り状態を実現でき、高い均一度で現像処理を行うことができる基板処理装置及び基板処理方法を提供することである。
また、本発明の解決すべき第3の課題は、パターンの倒壊等の劣化を防止しつつ基板を乾燥することができる基板処理装置及び基板処理方法を提供することである。
前記課題を解決するための手段は、基板を収容する容器と、前記容器内にて前記基板に対して現像処理を行う現像処理手段と、前記容器内にて前記基板に対して洗浄処理を行う洗浄処理手段と、前記容器内にて前記基板に対して熱処理を行う熱処理手段と、を備える。
好ましくは、前記容器内にて前記基板に対して乾燥処理を行う乾燥処理手段をさらに備えるのがよい。
また、好ましくは、前記現像処理手段は、前記現像処理のための霧状又は蒸気状の現像物質を少なくとも含む流体を前記容器内に供給するのがよい。
また、好ましくは、前記現像処理手段は、超音波を印加することにより液状の現像液を霧化して前記現像物質を供給する現像物質供給手段を備えるのがよい。
また、好ましくは、前記現像物質供給手段は、前記現像物質と化学反応しないガスを供給するガス供給手段をさらに備え、前記現像処理手段は、前記ガスと前記現像物質を混合して前記流体として前記容器内に供給するのがよい。
また、好ましくは、前記現像処理手段は、前記霧状又は蒸気状の現像物質を少なくとも含む流体を前記容器内に導くための配管を所定の温度レベルに昇温して保持するヒータ手段をさらに備えるのがよい。
また、好ましくは、前記容器の内壁を所定の温度レベルに昇温して保持するヒータ手段をさらに備えるのがよい。
また、好ましくは、前記洗浄処理手段は、洗浄用液体を前記容器内に供給するのがよい。
また、好ましくは、前記洗浄用液体は昇温された純水であるのがよい。
また、好ましくは、前記熱処理手段は、前記容器内に設けられ、前記基板を加熱するホットプレートを備えるのがよい。
また、好ましくは、前記乾燥処理手段は、乾燥用気体を前記容器内に供給するのがよい。
また、好ましくは、前記乾燥用気体は過熱蒸気であるのがよい。
また、好ましくは、前記容器内に設けられた共用ノズル部をさらに備え、前記現像処理手段は、前記現像処理のための現像物質を前記共用ノズル部を介して前記容器内に供給し、前記洗浄処理手段は、洗浄用液体を前記共用ノズル部を介して前記容器内に供給するのがよい。
また、好ましくは、前記容器内に設けられた共用ノズル部をさらに備え、前記現像処理手段は、前記現像処理のための現像物質を前記共用ノズル部を介して前記容器内に供給し、前記洗浄処理手段は、洗浄用液体を前記共用ノズル部を介して前記容器内に供給し、前記乾燥処理手段は、乾燥用気体を前記共用ノズル部を介して前記容器内に供給するのがよい。
また、好ましくは、前記共通ノズル部は、流体を吐出するその吐出口に対向して配置され、その吐出口から吐出される流体と干渉して流体を分散させる分散部を備えるのがよい。
また、好ましくは、前記容器内に設けられ、前記基板を保持する保持部材と、前記保持部材を昇降駆動する昇降機構と、を備えるのがよい。
また、好ましくは、前記熱処理手段は、前記容器内において前記保持部材によって保持された前記基板に対して下方から対向するように設けられ、前記基板を加熱するホットプレートを備え、前記昇降機構は、前記保持部材を昇降駆動することにより、前記ホットプレート上面に対する前記基板の高さ位置を変化させるのがよい。
また、前記課題を解決するための手段は、基板を収容する容器と、現像液に超音波を印加して霧状の現像物質を発生させて供給する超音波式の現像物質供給手段と、前記容器内に設けられ、前記現像物質供給手段によって発生された前記現像物質を前記容器内に供給するノズル部と、を備える。
また、前記課題を解決するための手段は、基板を収容する容器と、現像液を回転板に導いて遠心力によりエリミネータに衝突させることにより霧状の現像物質を発生させて供給する遠心式の現像物質供給手段と、前記容器内に設けられ、前記現像物質供給手段によって発生された前記現像物質を前記容器内に供給するノズル部と、を備える。
また、前記課題を解決するための手段は、基板を収容する容器と、現像液を加熱して蒸気状の現像物質を発生させて供給する加熱式の現像物質供給手段と、前記容器内に設けられ、前記現像物質供給手段によって発生された前記現像物質を前記容器内に供給するノズル部と、を備える。
また、好ましくは、前記現像物質供給手段は、前記現像物質と化学反応しないガスを供給するガス供給手段をさらに備え、前記現像物質供給手段は、前記ガスと前記現像物質を混合して前記ノズル部を介して前記容器内に供給するのがよい。
また、前記課題を解決するための手段は、基板を収容する容器と、前記容器内にて前記基板に対して現像処理を行う現像処理手段と、前記容器内にて前記基板に対して洗浄処理を行う洗浄処理手段と、乾燥用気体を前記容器内に供給することにより、前記基板に対して乾燥処理を行う乾燥処理手段と、を備える。
また、好ましくは、前記乾燥用気体は過熱蒸気であるのがよい。
また、前記課題を解決するための手段は、容器内に基板を搬入する搬入工程と、前記容器内にて前記基板に対して現像処理を行う現像処理工程と、前記容器内にて前記基板に対して洗浄処理を行う洗浄処理工程と、前記容器内にて前記基板に対して熱処理を行う熱処理工程と、を備える。
また、好ましくは、前記洗浄処理工程と前記熱処理工程との間に、前記容器内にて前記基板に対して乾燥処理を行う乾燥処理工程をさらに備えるのがよい。
請求項1及び24に記載の発明によれば、一つの容器内で現像処理、洗浄処理及び熱処理を行うことができ、熱処理のための専用のユニットを別個に設ける必要がないため、装置構成の小型化及び低コスト化が図れる。例えば、現像処理、その現像処理後の現像液等を洗浄する洗浄処理、及びその後に行う熱処理を一つの容器内で行うことができる。また、現像処理を行う現像処理ユニットの小型化により、設置スペースを増大させることなく、現像処理ユニットの設置台数を増加させ、現像処理の処理能力の向上が図れる。
また、従来のように基板を現像処理ユニットから熱処理ユニットに搬送する必要がないため、その分基板処理のスループットの向上が図れる。
また、基板及び容器内の温度を熱処理手段により調節することができ、容器内の温度環境を良好な状態に保持することができる。
請求項2及び25に記載の発明によれば、現像処理及び熱処理を行う容器内にて基板の乾燥も行うことができる。
請求項3に記載の発明によれば、容器内に供給した霧状又は蒸気状の現像物質を徐々に基板に付着させ(又は結露させ)、付着(又は結露)した現像物質同士が互いに結合して拡大してゆくことにより、基板上に現像液の層を形成し、現像を行うため、スリット状のノズルを使用する場合に比して、現像物質の使用量を抑制して少量の現像物質により現像処理を行うことができ、また疎水性を示す基板に対しても、現像物質の供給量を抑制しつつ、基板上の現像液の層を適切な厚みで形成することができる。
また、基板表面の全面において同時に霧状又は蒸気状の現像物質を付着(又は結露)させて現像液の層を形成することができるため、従来のように基板表面の部分間で現像液の液盛りにかかる時間差が生じることがなく、基板表面の全面において均一な現像処理を行うことができる。
請求項4に記載の発明によれば、超音波により現像液を霧化する構成であるため、スプレーノズルで噴霧する場合に比して霧状の現像物質を緩やかな流速で容器内の基板に供給することができ、その結果、霧状の現像物質等によるレジスト表面への物理的衝撃を緩和してその衝撃によりパターン形状の劣化が生じるのを防止することができるとともに、霧状の現像物質を含む流体の流れにより周囲の雰囲気が巻き込まれ、基板上に形成される現像液の層内に気泡が生じるのが防止できる。
また、超音波の出力レベル等を制御することにより、容器内に供給する霧状の現像物質の量を容易に調節することができる。
また、非加熱で現像液を霧化するため、加熱による現像液の劣化を防止できる。
請求項5に記載の発明によれば、霧状の現像物質をその現像物質と化学反応しないガスと混合して容器内に供給する構成であるため、現像物質が基板に付着するまでに他の雰囲気と反応して劣化するのを防止することができ、現像物質を有効に利用して現像を行うことができ、この点においても現像物質の使用量を削減することができる。
請求項6に記載の発明によれば、霧状又は蒸気状の現像物質を少なくとも含む流体を容器内に導くための配管が所定の温度レベルに昇温されて保持されるため、現像物質の配管内での結露等を防止することができる。
請求項7に記載の発明によれば、容器の内壁が所定の温度レベルに昇温されて保持されるため、現像物質の容器内壁への結露等を防止することができる。
請求項8に記載の発明によれば、洗浄用液体により基板(あるいは、基板及び容器内)に付着した現像液や溶解したレジスト等の洗浄を良好に行うことができる。
請求項9に記載の発明によれば、昇温された純水を用いて基板の洗浄を行うため、基板及び容器内の温度を一定レベル以上に保持した状態で洗浄処理を行うことができる。その結果、洗浄時やその後の処理の際において、容器内の温度低下により容器内で水蒸気の結露が生じるのを防止することができる。
また、洗浄後に乾燥処理を行う場合において、温純水により基板を高温に保持しておくことにより、基板に付着した水分の乾燥を促進させることができる。
請求項10に記載の発明によれば、ホットプレートにより基板に対するベーク処理(例えば、現像処理後のベーク処理)を行うことができる。
また、ホットプレートによる加熱により基板に付着した水分の乾燥も行うことができる。
また、基板及び容器内の温度をホットプレートにより調節することができ、容器内の温度環境を良好な状態に保持することができる。例えば、容器内の温度を昇温して乾燥処理を促すことや、容器内の温度が低下して不所望な結露が生じることなどを防止する等の効果が得られる。
請求項11に記載の発明によれば、容器内に乾燥用気体を供給して現像処理後の基板の乾燥を行うため、従来の基板を回転させて遠心力により乾燥させる技術のように、乾燥の際に遠心力によって振り切られる水の衝撃、表面張力、毛細管力等によってレジストパターンの倒壊が生じるのを防止することができる。
また、基板を回転させる回転駆動機構や回転により飛散する各種液体に対する特別な対策が不要であるため、装置構成の小型化及び低コスト化が図れる。
請求項12に記載の発明によれば、乾燥用気体として簡易な構成で容易に生成できる過熱蒸気を用いるため、低コストで乾燥処理を行うことができる。
請求項13に記載の発明によれば、容器内における現像物質の供給、及び洗浄用液体の供給を一つの共用ノズル部を用いて行うことができるため、個別にノズル部を設ける構成に比して簡略化が図れ、小型化及び低コスト化が図れる。
請求項14に記載の発明によれば、容器内における現像物質の供給、洗浄用液体の供給、及び乾燥用気体の供給を一つの共用ノズル部を用いて行うことができるため、個別にノズル部を設ける構成に比して簡略化が図れ、小型化及び低コスト化が図れる。
請求項15に記載の発明によれば、共通ノズル部の吐出口に対向して配置された分散部により、液、霧、ガス等の各種流体を効果的に四方に分散させて、ソフトかつ均一に容器内に供給することができる。
請求項16に記載の発明によれば、保持部材を昇降駆動する昇降機構が設けられているため、容器内における基板を保持する高さ位置を状況(例えば、処理内容、容器に対する基板の搬入・搬出の状況等)に応じて変化させることができる。例えば、容器が略上下に2分割されて開閉される構成の場合、容器を開放して基板の搬入又は搬出を行う際には基板を支持する高さ位置を上昇させることにより搬入又は搬出を容易にすることができる一方、容器を閉じて処理を行う場合には、基板を支持する高さ位置を下げることにより薄型(高さの低い)の容器を用いて基板に対する処理を行うことができる。
請求項17に記載の発明によれば、ホットプレート上面に対する基板の高さ位置を状況(例えば、処理の内容、容器に対する基板の搬入・搬出の状況等)に応じて変化させることができる。例えば、基板に対して加熱処理を行う際には基板の高さ位置を下げて基板をホットプレートに近接させたり、基板の搬入又は搬出を行う際には基板の高さ位置を上昇させて搬入又は搬出を容易にしたり、基板に対して加熱処理以外の処理(例えば、現像処理、洗浄処理等)を行う際には基板の高さ位置を熱処理のときよりもやや上昇させるなどの高さ調節が可能である。
請求項18に記載の発明によれば、超音波により現像液を霧化する構成であるため、スプレーノズルで噴霧する場合に比して霧状の現像物質を緩やかな流速で容器内の基板に供給することができ、その結果、霧状の現像物質等によるレジスト表面への物理的衝撃を緩和してその衝撃によりパターン形状の劣化が生じるのを防止することができるとともに、霧状の現像物質を含む流体の流れにより周囲の雰囲気が巻き込まれ、基板上に形成される現像液の層内に気泡が生じるのが防止できる。
また、超音波の出力レベル等を制御することにより、容器内に供給する霧状の現像物質の量を容易に調節することができる。
また、非加熱で現像液を霧化するため、加熱による現像液の劣化を防止できる。
請求項19に記載の発明によれば、回転板の遠心力を利用して現像液を霧化する構成であるため、スプレーノズルで噴霧する場合に比して霧状の現像物質を緩やかな流速で容器内の基板に供給することができ、その結果、霧状の現像物質等によるレジスト表面への物理的衝撃を緩和してその衝撃によりパターン形状の劣化が生じるのを防止することができるとともに、霧状の現像物質を含む流体の流れにより周囲の雰囲気が巻き込まれ、基板上に形成される現像液の層内に気泡が生じるのが防止できる。
また、この遠心式の現像物質供給手段によれば霧状の現像物質を大量に生成することができるという利点がある。
また、非加熱で現像液を霧化するため、加熱による現像液の劣化を防止できる。
請求項20に記載の発明によれば、加熱により現像液を蒸気化する構成であるため、スプレーノズルで噴霧する場合に比して蒸気状の現像物質を緩やかな流速で容器内の基板に供給することができ、その結果、蒸気状の現像物質等によるレジスト表面への物理的衝撃を緩和してその衝撃によりパターン形状の劣化が生じるのを防止することができるとともに、蒸気状の現像物質を含む流体の流れにより周囲の雰囲気が巻き込まれ、基板上に形成される現像液の層内に気泡が生じるのが防止できる。
また、加熱の出力レベル等を制御することにより、容器内に供給する蒸気状の現像物質の量を容易に調節することができる。
請求項21に記載の発明によれば、霧状(又は蒸気状)の現像物質をその現像物質と化学反応しないガスと混合して容器内に供給する構成であるため、現像物質が基板に付着するまでに他の雰囲気と反応して劣化するのを防止することができ、現像物質を有効に利用して現像を行うことができ、この点においても現像物質の使用量を削減することができる。
請求項22に記載の発明によれば、容器内に乾燥用気体を供給して現像処理後の基板の乾燥を行うため、従来の基板を回転させて遠心力により乾燥させる技術のように、乾燥の際に遠心力によって振り切られる水の衝撃、表面張力、毛細管力等によってレジストパターンの倒壊が生じるのを防止することができる。
また、基板を回転させる回転駆動機構や回転により飛散する各種液体に対する特別な対策が不要であるため、装置構成の小型化及び低コスト化が図れる。
請求項23に記載の発明によれば、乾燥用気体として簡易な構成で容易に生成できる過熱蒸気を用いるため、低コストで乾燥処理を行うことができる。
<第1実施形態>
<全体説明>
図1は、本発明の第1実施形態に係る基板処理装置の概略構成を示す平面図である。この基板処理装置1は、基板Wにレジスト塗布処理及び現像処理を行う基板処理装置(いわゆるコータ&デベロッパ)であり、大別してインデクサIDとユニット配置部MPとインターフェイスIFBとにより構成されている。
インデクサIDは、移載ロボットTF及び載置ステージ30を備えている。載置ステージ30には、4つのキャリアCを水平方向(Y軸方向)に沿って配列して載置することができる。それぞれのキャリアCには、複数枚の基板Wを多段に収容することができる。
移載ロボットTFは、1本の移載アームを備えており、その移載アームを高さ方向に昇降動作させること、回転動作させること及び水平方向に進退移動させることができる。また、移載ロボットTF自身がY方向に沿って移動することにより、移載アームをY軸方向に沿って水平移動させることができる。つまり、移載ロボットTFは、移載アームを3次元的に移動させることができるのである。
このような移載ロボットTFの動作により、インデクサIDは、複数の基板Wを収納可能なキャリアCから未処理の基板Wを取り出してユニット配置部MPに渡すとともに、ユニット配置部MPから処理済の基板Wを受け取ってキャリアCに収納することができる。
ユニット配置部MPには、基板Wに所定の処理を行う処理ユニットが複数配置されている。すなわち、ユニット配置部MPの前面側(−Y側)には2つの塗布処理ユニットSCが配置されている。塗布処理ユニットSCは、基板Wを回転させつつその基板主面にフォトレジストを滴下することによって均一なレジスト塗布を行う、いわゆるスピンコータである。
また、ユニット配置部MPの背面側(+Y側)であって、塗布処理ユニットSCと同じ高さ位置には2つの現像処理ユニットDが配置されている。現像処理ユニットDは、露光後の基板W上に現像液を供給することによって現像処理を行うユニットであり、現像処理後のベーク処理も可能な構成となっている。この現像処理ユニットDは、塗布処理ユニットSCと搬送路4を挟んで対向配置されている。この現像処理ユニットDの詳細な構成については後述する。
2つの塗布処理ユニットSC及び2つの現像処理ユニットDのそれぞれの上方には、図示を省略するファンフィルタユニットを挟んで熱処理ユニット群が配置されている(図示の便宜上、図1では熱処理ユニット群を省略)。熱処理ユニット群には、基板Wを加熱して所定の温度にまで昇温するいわゆるホットプレート及び基板Wを冷却して所定の温度にまで降温するとともに該基板Wを当該所定の温度に維持するいわゆるクールプレートが組み込まれている。なお、ホットプレートには、レジスト塗布処理前の基板に密着強化処理を行う密着強化ユニットや露光後の基板のベーク処理を行う露光後ベークユニットが含まれる。本明細書では、ホットプレート及びクールプレートを総称して熱処理ユニットとし、塗布処理ユニットSC、現像処理ユニットD及び熱処理ユニットを総称して処理ユニット(処理部)とする。
塗布処理ユニットSCと現像処理ユニットDとの間に挟まれた搬送路4には搬送ロボットTRが配置されている。搬送ロボットTRは、2つの搬送アームを備えており、その搬送アームを鉛直方向に沿って昇降させることと、水平面内で回転させることと、水平面内にて進退移動を行わせることができる。これにより、搬送ロボットTRはユニット配置部MPに配置された各処理ユニットの間で基板Wを所定の処理手順にしたがって循環搬送することができる。また、搬送ロボットTRは、インデクサIDの移載ロボットTF及びインターフェイスIFBとの間でも基板Wの受け渡しを行うことができる。
インターフェイスIFBは、レジスト塗布処理済の基板Wをユニット配置部MPから受け取って図外の露光装置(ステッパ)に渡すとともに、露光後の基板Wを該露光装置から受け取ってユニット配置部MPに戻す機能を有する。この機能を実現するためにインターフェイスIFBには基板Wの受け渡しを行うための受け渡しロボット(図示省略)が配置されている。また、インターフェイスIFBにはユニット配置部MPでの処理時間と露光装置での処理時間との差を解消するために基板Wを一時収納するバッファ部も設けられている。
次に、上記の構成を有する基板処理装置1における処理について説明する。まず、インデクサIDの移載ロボットTFが未処理の基板WをキャリアCから取り出して、ユニット配置部MPの搬送ロボットTRに渡す。未処理の基板Wを取り出すときには、該基板Wを収納したキャリアCの正面に移載ロボットTFが移動し、移載アームを基板Wの下方に差し入れる。そして、移載ロボットTFは、移載アームを若干上昇させて基板Wを保持し、移載アームを退出させることによって未処理の基板Wを取り出す。
ユニット配置部MPに渡された基板Wは、所定の処理手順に従って搬送ロボットTRにより各処理ユニット間で循環搬送される。大略的に、密着強化処理を行った基板Wにレジスト塗布処理を行い、その後プリベーク処理を行ってレジスト膜を形成した基板WをインターフェイスIFBを介して露光装置に渡す。露光処理が終了した基板Wは露光装置からインターフェイスIFBを介して再びユニット配置部MPに戻される。露光後の基板Wに対しては露光後ベーク処理(その後のクール処理を含む)を行った後、現像処理ユニットDにて現像処理(現像処理後のベーク処理を含む)を行う。現像処理が終了した基板Wは、熱処理部にてクール処理が行われた後、ユニット配置部MPの搬送ロボットからインデクサIDの移載ロボットTFに渡される。処理済の基板Wを受け取った移載ロボットTFは、その基板WをキャリアCに収納する。なお、現像処理ユニットDでの処理内容については後に詳細に説明する。
<現像処理ユニットの説明>
図2は、現像処理ユニットDの構成を概略的に示す図である。この現像処理ユニットDは、図2に示すように、基板Wを収容するチャンバ(容器)51と、霧状の現像物質を供給して現像処理を行う現像物質供給部(現像処理手段及び現像物質供給手段に相当)53と、N2ガスを供給するN2ガス供給部(ガス供給手段)55と、温純水を供給して洗浄処理を行う温純水供給部(洗浄処理手段)57と、乾燥用の過熱蒸気を供給して乾燥処理を行う蒸気供給部(乾燥処理部)59と、ノズル部61と、加熱処理を行うホットプレート(熱処理手段)63と、チャンバ51内の排液及び排気を行う排出部65と、複数の支持ピン(保持部材)67と、その複数の支持ピン67を昇降駆動するピン駆動機構(駆動機構)69と、チャンバ51を開閉する開閉機構71とを備えている。
チャンバ51は、図2及び図3に示すように、互いに近接、離反して開閉する下側チャンバ部51a及び上側チャンバ部51bとを備えている。上下のチャンバ部51a,51bが当接されて閉じられると、チャンバ51内は密閉されるようになっている。本実施形態では、開閉機構71が蓋として機能する上側チャンバ部51bを上下に駆動することにより、上側チャンバ部51bを開閉するようになっている。例えば、開閉機構71としては、上側チャンバ部51bに連結された駆動軸71aを上下方向に伸縮駆動させて上側チャンバ部51bを開閉するシリンダが用いられる。この場合、シリンダ(71)が駆動軸71aを伸張させると、図3に示すように上側チャンバ部51bが上方に移動されて開放され、シリンダ(71)が駆動軸71aを縮小させると、図1に示すように上側チャンバ部51bが下方に移動されて閉じられる。なお、図3では現像物質供給部53等の一部の構成要素を省略している。
ホットプレート63は、チャンバ51内の底部側に水平姿勢で設置されており、その輻射熱により基板Wに対する加熱処理(ベーク処理を含む)を施すとともに、基板W及びチャンバ51内の温度調節を行う役目も担っている。
複数の支持ピン67は、チャンバ51の気密性を保持できるような態様で、チャンバ51内でその先端部が上下に昇降動作可能に設けられている。例えば、支持ピン67は、気密性を保持しつつ、その先端側がチャンバ51内に挿入されている。このような支持ピン67は、それらの先端部に載置された基板Wの下面側に当接して基板Wを支持するようになっている。チャンバ51内における支持ピン67の配置位置は、支持ピン67上に載置した基板Wがホットプレート63に対して上方から対向するような位置に設定されている。
ピン駆動機構69は、図2の矢印A1で示すように、支持ピン67を昇降駆動することにより、支持ピン67によって支持された基板Wのチャンバ51内における高さ位置(特に、ホットプレート63の上面に対する高さ位置)を上下に変化させる。ピン駆動機構69としては、例えばシリンダが用いられる。
ここで、ホットプレート63の上面に対する基板Wの高さ位置は、例えば複数段階(例えば、3段階)で変化される。第1段階の高さ位置H1、第2段階の高さ位置H2及び第3段階の高さ位置H3となるに従って、基板Wとホットプレート63との距離が縮小するようになっている。
これに対応して、例えば、搬送ロボットTRの搬送アームにより基板Wをチャンバ51に対して搬入、搬出する際には、搬入、搬出が容易なように、基板Wの高さ位置が最も高い第1段階の高さ位置H1に設定される。基板Wに対して現像処理が行われる際には、基板Wがホットプレート63に近接して基板Wが高温となって現像液が劣化しないように、基板Wの高さ位置が中間の第2段階の高さ位置H2に設定される。基板Wに対して洗浄処理が行われる際にも、基板Wの下面側やホットプレート63の洗浄がより有効に行われるように基板Wとホットプレート63との間に大きな隙間を設けるべく、基板Wの高さ位置が第2段階の高さ位置H2に設定される。また、基板Wに対して乾燥処理が行われる際にも、基板Wの下面側等の乾燥がより有効に行われるように、基板Wの高さ位置を第2段階の高さ位置H2に設定するようにしもよい。基板Wに対してホットプレート63による加熱処理が行われる際には、基板Wがホットプレート63に近接されるように、基板Wの高さ位置が最も低い第3段階の高さ位置H3に設定される。
ノズル部61は、チャンバ51内の上方側における基板Wの中央部に上方から対向する位置に設置され、この一つのノズル部61を介して、チャンバ51外からチャンバ51内に供給される全ての種類の流体の供給が行われる。ノズル部61は、図4に示すように、筒状体611と、詰栓部612と、分散部613とを備えている。筒状体611の図示しない上流側端部は、各種流体が供給される配管P1に接続される。筒状体611の下流側端部には詰栓部612が詰められている。詰栓部612の中央部には、流体をチャンバ51内に吐出するための吐出口614が設けられている。分散部613は、その外径が下方側に向けて末広がり状(例えば、ラッパ状)に拡大する略錐体形状を有しており、詰栓部612の吐出口614に下方側から対向するように配置されている。本実施形態では、例えば、分散部613は、その上端の外周部と詰栓部612の内周部との間に設けられた複数のリブ615によって詰栓部612と一体的に連結されている。
このようなノズル部61の構成により、配管P1から筒状体611内に導入された各種流体は、その流体の形態(液体であるか、気体であるか、霧状の形態であるか、あるいはこれらの混合であるか等)かかわらず、複数の矢印A2で示すように、吐出口614から下方に吐出された後、分散部613の外周面と干渉することにより、四方に均一に分散されて、ソフトかつ均一に基板W上に到達するようになっている。このため、本実施形態では、単一のノズル部61及びそれに連結される配管P1を用いて、チャンバ51内へのN2ガス、霧状の現像物質とN2ガスの混合流体、温純水、過熱蒸気の供給をすべて行えるようになっている。
N2ガス供給部55は、N2ボンベ等を備えて構成されており、現像液が空気中の二酸化炭素と反応して劣化を防止する等の目的で、パージガス及びキャリアガスとしてN2ガスを供給する。本実施形態では、霧状の現像物質のキャリアガス等してN2ガスを用いたが、現像液と化学反応せず、現像液を劣化させないガスであれば、他のガスを用いてもよい。
N2ガス供給部55は、バルブV1を介して配管P1と連結されており、バルブV1を開閉駆動することにより、N2ガスのチャンバ51内への供給がオン、オフ制御される。また、N2ガス供給部55は、現像物質供給部53に対しても、霧状の現像物質のキャリアガスとしてN2ガスを供給する。
現像物質供給部53は、図5に示すように、大略的にタンク531と、超音波振動子532とを備えて構成されており、超音波で現像液533を霧化させる超音波式の構成を採用している。タンク531内には現像液533が貯留されており、超音波振動子532は例えばタンク531の底部等に配設される。超音波振動子532により現像液533に超音波が印加されると、現像液533が霧化されてゆくようになっている。タンク531の上端には、霧状の現像物質を配管P1内に導入するための配管P2が連結されている。そして、霧状の現像物質は、N2ガス供給部55から供給されるN2ガスと混じり合いながら、N2ガスにより配管P2を介して配管P1内に導入され、ノズル部61を介してチャンバ51内に供給される。配管P2には、バルブV2が介挿されており、バルブV2を開閉駆動することにより、霧状の現像物質(正確には、現像物質とN2ガスとの混合流体)のチャンバ51内への供給がオン、オフ制御される。なお、タンク531内の現像液の供給は、現像液供給系統(配管及び補助タンク等を含む)534により行われる。
ここで、現像液としては、例えばTMAHが主成分として用いられる。このTMAHは、通常、135〜140℃でガス化する。このため、超音波印加により現像液を霧化させた場合、それによって生成される霧状の現像物質中には、現像液と同じ濃度比率のTMAHと水分とが含まれており、現像液の微細な霧粒子(液滴粒子)と、霧粒子が気化して生じたガス成分とが混在することとなる。
また、現像物質を霧化したままの状態でチャンバ51内に供給し、配管P1,P2内等での現像物質の結露等を防止するため、超音波振動子532から配管P1,P2を介したチャンバ51までの距離は短く設定され、配管P1,P2は、図示しないヒータ(ヒータ手段)により130℃以下の温度(例えば、100〜130℃の温度範囲内)に昇温されて温度保持されている。
また、チャンバ51の内周等に現像物質が結露するのを防止するため、チャンバ51の内壁はヒータ(ヒータ手段)により130℃近傍に加熱、保持されている。なお、チャンバ51の内壁の加熱、及び温度保持を、ホットプレート63の輻射熱により行うようにしてもよい。
温純水供給部57及び蒸気供給部59は、例えば図6に示すようなボイラ装置571によって構成されている。このボイラ装置571は、ボイラ572とリボイラ573とを備えて構成されている。ボイラ572は、市水供給系統574から供給される市水をその加熱部575で加熱、沸騰させ、その蒸気を配管P3を介してリボイラ573に供給する。リボイラ573には、純水を加熱する加熱容器576と、加熱容器576の周囲に設けられた熱交換用の配管577とが備えられている。加熱容器576には、純水供給系統578から供給される純水579が貯留されている。配管577にはボイラ572から供給される高温の蒸気が通され、この蒸気の熱によって加熱容器576内の純水579が加熱されるようになっている。そして、加熱容器576内の昇温された温純水(例えば、100℃の温純水)が、配管P4を介して共通の配管P1内に導入されるようになっている。また、加熱容器576内で純水が加熱されて生成された蒸気が、配管P5を介して共通の配管P1内に供給されるようになっている。配管P1内に供給された温純水と蒸気は、ノズル部61を介してチャンバ51内にそれぞれ供給される。なお、配管P5には蒸気の圧力を減圧させる図示しない減圧手段が介挿されている。
ここで、配管P4を介してチャンバ51側に供給される温純水は基板Wの洗浄に用いられ、配管P5を介してチャンバ51側に供給される蒸気は基板Wの乾燥に用いられる。このため、蒸気は高温(例えば、120℃以上)の直ぐには凝結しない熱量を有する過熱蒸気である。
また、配管P4,P5には、バルブV3,V4がそれぞれ介挿されており、バルブV3,V4を開閉駆動することにより、温純水及び蒸気のチャンバ51内への供給がオン、オフ制御される。また、チャンバ51内への蒸気供給を行わないときは、図示しない所定の切替バルブによりバイパスライン(図示せず)を介して排気される。なお、この切替バルブとバルブV3とを多方弁等を用いて一体に構成してもよい。
ここで、金属の錆や成分溶出を防ぎ、清浄な純水及び蒸気をチャンバ51内に供給するため、リボイラ573の加熱容器576、配管P1,P4,P5及びノズル部61等における純水又は蒸気に接する部分には、PTFE(ポリテトラフルオロエチレン)等の樹脂がコーティングされているのが好ましい。
排出部65は、例えば図7に模式的に示すようなエゼクタポンプ651が用いられる。このエゼクタポンプ651は、高圧の水652を牽引源に用い、チャンバ51に連結された排出用の配管P6を介して、チャンバ51内の液体及びガス等を同時に強制的に排出することができる。牽引源に水652を用いることにより、基板Wの乾燥用に供給された蒸気を容易に復水させることができる効果が得られる。
また、この排出部65は、チャンバ51内を減圧するため役目も担っているが、減圧用の専用のポンプを備える構成としてもよい。
ここで、この現像処理ユニットDに備えられるピン駆動機構69、開閉機構71、各種バルブV1〜V4等の駆動制御が必要な構成要素は、この基板処理装置の制御を統括する図示しない制御ユニットにより自動制御されるようになっている。
図8は、現像処理ユニットDを用いた処理手順を示す工程図である。なお、基板Wが現像処理ユニットDに導入される前には、各種の前処理が行われる。その前処理としては、例えば、PEB処理(露光後ベーク処理)、及びそのPEB処理後の基板温度を基板面内において均一に常用〜低温状態に移行させる冷却処理等が含まれる。
図8に示すように、工程S1では、現像処理ユニットDに対する基板Wの搬入処理が行われる。すなわち、開閉機構71によりチャンバ51の上側チャンバ部51bが開放され、搬送ロボットTRの搬送アームにより、チャンバ51内に設置されている基板Wが搬出されるとともに、新たな基板Wがチャンバ51の支持ピン67上に載置される。このとき、支持ピン67は最も突出量の大きい第1段階の高さ位置H1にセットされている。基板Wの搬入、搬出が終了すると、ピン駆動機構69により支持ピン67が駆動され、基板Wの高さ位置が第2段階の高さ位置H2にセットされるとともに、開閉機構71により上側チャンバ部51bが駆動されてチャンバ51が閉鎖され、チャンバ51内が減圧される。
ここで、基板Wを支持ピン67により支持することにより、基板Wがホットプレート63に当接又は近接することにより、基板Wが不必要に急激に加熱されるのが防止されるようになっている。なお、基板Wの高さ位置は後述の乾燥処理が終了するまで第2段階の高さ位置H2に保持される。
続く工程S2では、バルブV1が開放され、N2ガス供給部55によるN2ガスが配管P1及びノズル部61を介してチャンバ51内に供給され、これによってチャンバ51内がN2ガスによりパージされる。バルブV1はパージが終了すると閉じられる。このパージ処理の間、他のバルブV2〜V4は閉じられている。
続く工程S3では現像処理が行われる。すなわち、他のバルブV1,V3,V4が閉鎖された状態でバルブV2が開放され、現像物質供給部53により供給される霧状の現像物質が、N2ガス供給部55が供給するN2ガスをキャリアガスとして、配管P1及びノズル部61を介してチャンバ51内に供給される。ノズル部61から吐出される霧状の現像物質は、ノズル部61の分散部613によって四方に均一に分散されて基板Wに吹き付けられるようにして付着(又は結露)してゆく。そして、付着(又は結露)した現像物質同士が互いに結合して膜状に拡大してゆくことにより、基板W上に現像液の層が形成され、現像液の液盛りが行われ、この状態を所定時間保持することにより現像が行われる。
このとき、基板Wが疎水性の場合であっても、基板Wの温度をチャンバ51内に供給される霧状の現像物質の温度よりも低く設定しておくことにより、気化している現像物質の基板W上への凝結等が促進され、液盛り及び現像処理の促進が図られる。また、疎水性を示すレジスト表面に予めUV光等を照射することで親水化処理を施することにより、現像物質を液的凝縮させる代わりに直ちに膜状凝縮させることも可能であり、現像欠陥の防止に有効である。疎水性の基板Wに対しては、界面活性剤を添加した現像液を霧化して用いるのも効果的である。
なお、液盛り完了して現像が進行している間の期間については、霧状の現像物質の供給を継続し、現像処理の終了にとなってバルブV2を閉鎖して現像物質の供給を停止してもよいし、所定レベルの液盛りの完了に伴ってバルブV2を閉鎖してもよい。
続く工程S4では洗浄処理が行われる。すなわち、他のバルブV1,V2,V4が閉鎖された状態でバルブV3が開放され、温純水供給部57として機能するボイラ装置571からの温純水が、配管P1,P4及びノズル部61を介してチャンバ51内に供給される。ノズル部61から吐出される温純水は、ノズル部61の分散部613によって四方に均一に分散されて基板W及びチャンバ51内に吐出され、基板W及びチャンバ51内に付着して現像液や現像液に溶解したレジスト成分等を洗い落とす。その廃液等は、排出部65によりチャンバ51外に強制的に排出される。
このように温純水により基板Wを洗浄することにより、基板W及びチャンバ51内の温度を一定レベル以上に保持した状態で洗浄処理を行うことができ、洗浄時やその後の処理の際において、容器内の温度低下によりチャンバ51内で水蒸気の結露が生じるのを防止することができる。また、洗浄後の水分乾燥(乾燥処理)を促進させることができる。
続く工程S5では乾燥処理が行われる。すなわち、他のバルブV1〜V3が閉鎖された状態でバルブV4が開放され、蒸気供給部59として機能するボイラ装置571からの過熱蒸気が、配管P1,P5及びノズル部61を介してチャンバ51内に供給される。
ノズル部61から吐出される高温(例えば、120℃以上)の過熱蒸気は、ノズル部61の分散部613によって四方に均一に分散されて基板W等に吹き付けられ、基板W及びチャンバ51内に付着した水分を蒸発さえて乾燥させる。このとき、蒸気によって基板Wに付着した水分が加熱により蒸発乾燥されるため、乾燥時の水の表面張力を小さく抑えることができるとともに、基板Wを回転させる必要がない。なお、この乾燥処理が行われている間は、排出部65による排出処理が継続して行われる。
ここで、過熱蒸気のチャンバ51内への供給開始直後は、基板Wの温度等が低い場合には蒸気が冷却されることにより基板W表面等に一時的に結露が生じるが、蒸気の供給が継続的に行われて基板W等の温度が上昇するのに伴って、基板W表面が乾燥し、水分が除去されてゆく。
試験の結果、この乾燥処理では、例えば6〜8kg/hの供給能力を有するボイラ装置517で130℃の蒸気をチャンバ51内に供給して、直径200mmのSi基板Wの乾燥を行った場合、約10秒の蒸気供給で乾燥が完了することが分かった。
乾燥処理が完了すると、バルブV4が閉鎖されて蒸気のチャンバ51内への供給が停止される。
続く工程S6ではベーク処理が行われる。すなわち、他のバルブV1,V3,V4が閉鎖された状態でバルブV2が開放され、N2ガス供給部55からのN2ガスが、配管P1及びノズル部61を介してチャンバ51内に供給されてチャンバ51内がN2ガスによりパージされる。これに伴って、ピン駆動機構69により支持ピン67が駆動され、基板Wの高さ位置が第2段階の高さ位置H2から第3段階の高さ位置H3に下げられて、基板Wがホットプレート63に所定の隙間間隔をあけて近接され、この状態でホットプレート63の輻射熱により基板Wに対するベーク処理(現像後ベーク処理)が行われる。このベーク処理の間、チャンバ51に対するN2ガスの供給、及び排気部65による排ガス等の排気は継続して行われる。
なお、このベーク処理は、現像後のレジストパターン等を焼き固めるためのものである。また、このベーク処理をN2ガスを継続的に供給して行うのは、基板W表面やチャンバ51内に残留した余分な水分、及びレジストから排出される溶剤ガスをチャンバ51内から迅速に排出するため、及び、基板Wの搬出時にチャンバ51を外界に対して負圧にしないことで、チャンバ51のスムーズの開放を可能とするためである。また、チャンバ51の開放時にチャンバ51外にN2ガス以外のものが残留して外部に漏れ出すのを防止するためである。
続く工程S7では、現像処理ユニットDに対する基板Wの搬出処理が行われる。すなわち、開閉機構71によりチャンバ51の上側チャンバ部51bが開放されるとともに、ピン駆動機構69により支持ピン67が駆動されて基板Wの高さ位置が第3段階の高さ位置H3から第1段階の高さ位置H1に上昇され、搬送ロボットTRの搬送アームにより、チャンバ51内に設置されている基板Wが搬出されるとともに、新たな基板Wがチャンバ51の支持ピン67上に載置される。
現像処理ユニットDから搬出された基板Wは、熱処理部に運ばれ、冷却処理が施される。
次に、実際に超音波により霧化した現像液を用いてArFレジストに対して現像を行った結果について説明する。
使用したレジストはJSR製ArFレジストAR237Jであり、下地はBARCである。この場合、未露光部の現像液(界面活性剤 未含有)に対する接触角は65°であるが、露光部ではその接触角が大きく低下し、接液10秒後には約20〜30℃の接触角を示した。
このレジストに対し、ターゲット線幅180nmとなる様に露光処理を行い、約60秒間霧化したTMAH濃度2.380%現像液を吹き付けて現像した結果、パターンの線幅値の線幅の均一性が向上し、パターン形状も良好であった。この結果より、露光処理したArFレジストは現像液に対して親水性を示し、また霧状現像液でも通常の液体の現像液と同様、十分な現像性能を有していることが確認できた。
なお、この試験では、基板温度は室温であり、かつ現像液温度も室温で行っているが、基板温度と現像液温度、霧状現像液の発生量等の適正化を行えば、霧状現像液の吹き付けに要する時間の短縮も可能である。
以上のように、本実施形態によれば、一つのチャンバ51内で基板Wに対する現像処理、洗浄処理、乾燥処理及び加熱処理を行うことができ、熱処理のための専用のユニットを別個に設ける必要がないため、装置構成の小型化及び低コスト化が図れる。特に、非化学増幅型レジストの場合は、露光後ベーク処理が不要であるため、露光処理後における現像処理とハードベーク処理とを一つのチャンバ51により行うことができる。また、現像処理を行う現像処理ユニットDの小型化により、設置スペースを増大させることなく、現像処理ユニットDの設置台数を増加させ、現像処理の処理能力の向上が図れる。
また、従来のように基板Wを現像処理ユニットから熱処理ユニットに搬送する必要がないため、その分基板処理のスループットの向上が図れる。
また、基板W及びチャンバ51内の温度をホットプレート63により調節することができ、チャンバ51内の温度環境を良好な状態に保持することができる。
また、チャンバ51内に供給した霧状の現像物質を徐々に基板に付着させ(又は結露させ)、付着(又は結露)した現像物質同士が互いに結合して拡大してゆくことにより、基板W上に現像液の層を形成し、現像を行うため、スリット状のノズルを使用する場合に比して、現像物質の使用量を抑制して少量の現像物質により現像処理を行うことができ、また疎水性を示す基板Wに対しても、現像物質の供給量を抑制しつつ、基板W上の現像液の層を適切な厚みで形成することができる。
例えば、現像処理の際、基板Wの温度をチャンバ51内の温度に比して低く設定しておくことにより、霧状の現像物質に含まれる気化成分の現像物質の凝結及び結露が実質的に基板W上でのみ生じるようにすることができ、これによって、現像物質が基板W外に付着することによる生じる無駄を抑制することができる。
また、基板W表面の全面において同時に霧状の現像物質を付着(又は結露)させて現像液の層を形成することができるため、従来のように基板W表面の部分間で現像液の液盛りかかる時間差が生じることがなく、基板W表面の全面において均一な現像処理を行うことができる。しかも、温純水が均一に基板W上に供給されて洗浄が行われるため、現像物質の供給開始から洗浄までの全ての工程において、基板W表面の各部における現像を同一の条件で均一に行うことができる。
また、基板W上に形成した現像液の層は、チャンバ51内への霧状の現像物質の供給を停止すると直ちに静止状態が保持されるため、この点によっても基板W表面内における現像処理の均一性が向上する。なお、特定のレジスト種において、パターンの線幅値に差が生じるのを防ぐために、新液の供給や振動等による液循環が必要な場合には、液盛り後も霧状の現像物質の供給を継続すればよい。
また、超音波により現像液を霧化する構成であるため、スプレーノズルで噴霧する場合に比して霧状の現像物質を緩やかな流速でチャンバ51内の基板Wに供給することができ、その結果、霧状の現像物質等によるレジスト表面への物理的衝撃を緩和してその衝撃によりパターン形状の劣化が生じるのを防止することができるとともに、霧状の現像物質を含む流体の流れにより周囲の雰囲気が巻き込まれ、基板W上に形成される現像液の層内に気泡が生じるのが防止できる。
また、超音波の出力レベル等を制御することにより、チャンバ51内に供給する霧状の現像物質の量を容易に調節することができる。
また、非加熱で現像液を霧化するため、加熱による現像液の劣化を防止できる。
また、霧状の現像物質をN2ガスと混合してチャンバ51内に供給する構成であるため、現像物質が基板Wに付着するまでに他の雰囲気と反応して劣化するのを防止することができ、現像物質を有効に利用して現像を行うことができ、この点においても現像物質の使用量を削減することができる。
また、N2ガスによりチャンバ51内をパージした状態で、チャンバ51内に霧状の現像物質を供給する構成であるため、霧状の現像物質をチャンバ51内への供給開始当初から現像に使用することができる。このため、従来のように二酸化炭素との接触により劣化した現像液をダミー吐出するようなことが不要であり、現像物質の使用量の削減が図れる。
また、霧状の現像物質をチャンバ51内に導くための配管P1,P2が所定の温度レベル(例えば、100〜130℃の温度範囲内)に昇温して保持されるため、現像物質の配管P1,P2内での結露等を防止することができる。
また、チャンバ51の内壁が所定の温度レベル(例えば、130℃近傍)に昇温されて保持されるため、現像物質のチャンバ51の内壁への結露等を防止することができる。
また、昇温された温純水を用いて基板W等の洗浄を行うため、基板W及びチャンバ51内の温度を一定レベル以上に保持した状態で洗浄処理を行うことができる。その結果、洗浄時やその後の処理の際において、チャンバ51内の温度低下によりチャンバ51内で水蒸気の結露が生じるのを防止することができる。
また、温純水により基板Wを高温に保持しておくことにより、後の乾燥処理において基板Wに付着した水分の乾燥を促進させることができる。
また、熱処理手段として備えられたホットプレート63により基板Wに対する現像処理後のベーク処理を行うとができる。
また、ホットプレート63による加熱より基板Wに付着した水分の乾燥も行うことができる。
また、基板W及びチャンバ51内の温度をホットプレート63により調節することができ、チャンバ51内の温度環境を良好な状態に保持することができる。例えば、チャンバ51内の温度を昇温して乾燥処理を促すことや、チャンバ51内の温度が低下して不所望な結露が生じることなどを防止する等の効果が得られる。
また、チャンバ51内に過熱蒸気を供給して現像処理後の基板の乾燥を行うため、従来の基板を回転させて遠心力により乾燥させる技術のように、乾燥の際に遠心力によって振り切られる水の衝撃、表面張力、毛細管力等によってレジストパターンの倒壊が生じるのを防止することができる。
また、基板Wを回転させる回転駆動機構や回転により飛散する各種液体に対する特別な対策が不要であるため、装置構成の小型化及び低コスト化が図れる。
また、簡易な構成で容易に生成できる過熱蒸気を用いて乾燥を行うため、低コストで乾燥処理を行うことができる。
また、乾燥用の過熱蒸気の供給をボイラ装置571のリボイラ573により供給するため、清浄な過熱蒸気をチャンバ51内に供給することができる。
また、チャンバ51内における霧状の現像物質の供給、洗浄用の温純水の供給、及び乾燥用の過熱蒸気の供給を一つのノズル部61及び配管P1を用いて行うことができるため、個別にノズル部を設ける構成に比して簡略化が図れ、小型化及び低コスト化が図れる。
また、ノズル部61の吐出口614に対向して配置された分散部613により、液、霧、ガス等の各種流体を効果的に四方に分散させて、ソフトかつ均一にチャンバ51内に供給することができる。
また、支持ピン67を昇降駆動するピン駆動機構69が設けられているため、チャンバ51内における基板Wを保持する高さ位置を状況(例えば、処理内容、チャンバ51に対する基板Wの搬入・搬出の状況等)に応じて変化させることができる。例えば、チャンバ51を開放して基板Wの搬入又は搬出を行う際には基板Wの高さ位置を第1段階の高さ位置H1に上昇させることにより搬入又は搬出を容易にすることができる一方、チャンバ51を閉じて処理を行う場合には、基板Wの高さ位置を第2又は第3段階の高さ位置H2,H3に下げることにより薄型(高さの低い)のチャンバ51を用いて基板Wに対する処理を行うことができる。さらに、基板Wに対して加熱処理を行う際には基板Wの高さ位置を第3段階の高さ位置H3に下げて基板Wをホットプレート63に近接させたり、基板Wに対して加熱処理以外の処理(例えば、現像処理、洗浄処理等)を行う際には基板Wの高さ位置を熱処理のときよりもやや上方の第2段階の高さ位置H2に上昇させるなどの高さ調節が可能である。
<第2実施形態>
図9は本発明の第2実施形態に係る基板処理装置に用いられる現像物質供給部の構成を模式的に示す図である。本実施形態に係る基板処理装置が上記第1実施形態と実質的に異なる点は、現像物質供給部53の代わりに現像物質供給部81が備えられた点のみであり、互いに対応する部分には同一の参照符号を用い、同様な部分の説明は省略する。
本実施形態に係る現像物質供給部81は、図9に示すように、大略的にタンク811と、回転板812と、回転板812を回転駆動するモータ813と、エリミネータ814とを備えている。タンク811には現像液815が貯留されている。回転板812は、タンク811内の現像液815の上方に水平姿勢で回転可能に支持されており、モータ813によって回転駆動される。タンク811内の現像液815は液供給部816によって回転板812に導かれる。エリミネータ814は回転板812の周囲に配設されている。そして、現像液815が液供給部816によって回転板812に導かれると、現像液815が回転板812の回転による遠心力にり外側に振り飛ばされてエリミネータ814に衝突し、霧化される。
タンク811の上端には、霧状の現像物質を配管P1内に導入するための配管P7が連結されている。そして、霧状の現像物質は、N2ガス供給部55から供給されるN2ガスと混じり合いながら、N2ガスにより配管P7を介して配管P1内に導入され、ノズル部61を介してチャンバ51内に供給される。配管P7には、霧状の現像物質(正確には、現像物質とN2ガスとの混合流体)のチャンバ51内への供給をオン、オフするための図示しないバルブが介挿されている。
これによって、本実施形態においても、遠心式の現像物質供給部81に特有の点を除いて、上記の第1実施形態の場合とほぼ同様な効果が得られる。
遠心式の現像物質供給部81を用いることによる特有の効果としては、霧状の現像物質を大量に生成することができるという利点がある。
また、超音波式と同様に、遠心式においても非加熱で現像液を霧化するため、加熱による現像液の劣化を防止できる。
<第3実施形態>
図10は本発明の第3実施形態に係る基板処理装置に用いられる現像物質供給部の構成を模式的に示す図である。本実施形態に係る基板処理装置が上記第1実施形態と実質的に異なる点は、現像物質供給部53の代わりに現像物質供給部83が備えられた点のみであり、互いに対応する部分には同一の参照符号を用い、同様な部分の説明は省略する。
本実施形態に係る現像物質供給部83は、図10に示すように、大略的にタンク831と、ヒータ832とを備えている。タンク831には現像液833が貯留されている。そして、タンク831内の現像液833がヒータ832によって加熱されて気化し、これによって蒸気状の現像物質が発生される。
タンク831の上端には、蒸気状の現像物質を配管P1内に導入するための配管P8が連結されている。そして、蒸気状の現像物質は、N2ガス供給部55から供給されるN2ガスと混じり合いながら、N2ガスにより配管P8を介して配管P1内に導入され、ノズル部61を介してチャンバ51内に供給される。チャンバ51内に供給された蒸気状の現像物質は基板W表面にて凝結により結露し、その結露により生じた現像液の液滴が互いに結合して拡大して基板W上で膜状に広がってゆくことにより、現像液の液盛りが行われる。配管P8には、蒸気状の現像物質(正確には、現像物質とN2ガスとの混合流体)のチャンバ51内への供給をオン、オフするための図示しないバルブが介挿されている。
これによって、本実施形態においても、加熱式の現像物質供給部83に特有の点を除いて、上記の第1実施形態の場合とほぼ同様な効果が得られる。
加熱式の現像物質供給部83を用いることによる特有の効果としては、加熱の出力レベル等を制御することにより、チャンバ51内に供給する蒸気状の現像物質の量を容易に調節することができる。
なお、高温下では現像液成分であるTMAHが劣化変質するため、加熱式の現像物質供給部81のみによって現像に必要な現像物質を供給するのは困難な場合がある。この場合には、必要とされる霧状又は蒸気状の現像物質の供給量や粒子径に応じて、本実施形態に係る加熱式の現像物質供給部83、第1実施形態に係る超音波式の現像物質供給部53、及び第2実施形態に係る遠心式の現像物質供給部81のうちの2つ又は3つを組み合わせて使用したり、それらのうちの1つを選択して使用するのがよい。
<変形例>
また、上記各実施形態では、現像液を霧化又は蒸気化させてチャンバ51内に供給するようにしたが、現像液の使用量や基板Wへの接触時の強度等を問題にしない場合には、現像液をそのまま配管P1及びノズル部61を介してチャンバ51内に供給するようにしてもよい。また、現像液を霧化させる場合であっても、TMAH濃度が2.380wt%以上の高濃度の現像液を霧化させてチャンバ51内に供給するようにしてもよい。
また、霧状の現像物質液を供給する現像物質供給部として、ガスをタンク内の現像液に吹き込んで霧化させるバブリング式の現像物質供給部を用いてもよい。
また、上記各実施形態では、乾燥用の蒸気をリボイラ573を有するボイラ装置571によって供給するようにしたが、純水を直接ボイラで蒸発させて供給するようにしてもよい。あるいは、超音波で霧化した霧状の純水を加熱して蒸気化して供給するようにしてもよい。
また、上記各実施形態では、洗浄用の温純水を蒸気供給用のボイラ装置571(リボイラ573)から供給するようにしたが、別個の温純水供給装置を設けるようにしてもよい。
また、上記各実施形態では、過熱蒸気を用いて基板Wの乾燥を行うようにしたが、N2ガス等のガスを用いて乾燥を行うようにしてもよい。
また、上記各実施形態では、温純水を用いて基板Wの洗浄を行うようにしたが、通常の純水等の他の洗浄液を用いて基板Wの洗浄を行うようにしてもよい。
また、上記各実施形態の変形例として、排出部65に、選択的にチャンバ51に接続可能な排液用のラインと排気用のラインとを切り替え可能に設け、チャンバ51内からの排出物中の現像液の含有量、溶解レジスト成分量等に応じて、排液用のライン又は排気用のラインをチャンバ51に切り替えて接続して排出物の排出を分別して行うようにしてもよい。これによって、排出物の処理に要する費用と時間を削減することができる。
また、上記各実施形態では、一つのノズル部61を用いてチャンバ51内への霧状の現像物質、洗浄用の温純水、乾燥用の過熱蒸気及びパージ用のN2ガスの供給を行うようにしたが、2以上のノズル部を設け、その各ノズル部に1又は複数種類の供給流体を割り当てるようにしてもよい。