JP2005263996A - 非晶質ポリエステル系樹脂組成物及びその成形品 - Google Patents

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Abstract

【課題】耐衝撃性及び加工性の両特性をバランスよく兼ね備えた非晶質ポリエステル系樹脂組成物を開発する。
【解決手段】(A)非晶質ポリエステル系樹脂99〜50質量部、(B)アクリルゴム及び/又はシリコーンアクリルゴムに一種以上のビニル系単量体をグラフト重合させることにより得られるグラフト共重合体1〜50質量部及び(A)と(B)の合計量100質量部に対して(C)モンタン酸エステルワックス0.2〜5質量部を含有する非晶質ポリエステル系樹脂組成物及びその成形品。

Description

本発明は、耐衝撃性、加工性、耐候性及び意匠性に優れる新規な非晶質ポリエステル系樹脂組成物及び成形品に関する。
非晶質ポリエステル系樹脂は透明性、機械的特性、ガスバリヤー性に優れておりボトル、シート等包装材料を中心に幅広く用いられている。しかしながら、最近の容器の大型化、形状の複雑化により、より高い耐衝撃性、加工性が求められるようになってきている。
従来、非晶質ポリエステル系樹脂の耐衝撃性を改良する手段として、ゴム状重合体及びゴム含有重合体を非晶質ポリエチレンテレフタレート系樹脂に添加し耐衝撃性を改良する試みも多く見られる。特に、ゴム状重合体粒子をガラス状重合体で取り囲んだ構造をとるコアシェル型グラフト重合体は耐衝撃性の向上に効果を示すことが知られている。
また、非晶質ポリエステル系樹脂の加工性を改良する手段として、非晶質ポリエチレンテレフタレート系樹脂に滑剤及び/又はゴム状重合体を添加したポリエステル系樹脂組成物法が提案されている(例えば、特許文献1、2参照)。
特開2001−200146号公報 特開2001−214044号公報
上記公知のポリエステル系組成物は、耐衝撃性あるいは加工性の一方の特性改善効果が見られるが、両特性をバランスよく具備するものではなかった。本発明の課題は、耐衝撃性及び加工性の両特性をバランスよく兼ね備えた非晶質ポリエステル系樹脂組成物を開発することにある。
本発明者らは、上記課題を解決すべく鋭意検討を重ねた結果、非晶質ポリエステル系樹脂組成物において、特定のグラフト共重合体及び滑剤を添加することにより、耐衝撃性と加工性を同時に満足する特性が得られ、さらに耐候性、意匠性においても向上することを見出し、本発明をなすに至った。
すなわち、本発明は、(A)非晶質ポリエステル系樹脂99〜50質量部、(B)アクリルゴム及び/又はシリコーンアクリルゴムに一種以上のビニル系単量体をグラフト重合させることにより得られるグラフト共重合体1〜50質量部及び(A)と(B)の合計量100質量部に対して(C)モンタン酸エステルワックス0.2〜5質量部を含有する新規な非晶質ポリエステル系樹脂組成物を提供するものであり、さらに当該非晶質ポリエステル系樹脂組成物を成形して得られる耐衝撃性、耐候性、意匠性に優れた各種成形品を提供するものである。
本発明の非晶質ポリエステル系樹脂組成物は、加工性及び耐衝撃性をバランスよく備え、さらに意匠性に優れた成形品を得ることができる。したがって、本発明の非晶質ポリエステル系樹脂組成物は、シート、壁紙、表面化粧材、容器等の成形材料として広い分野において高い利用性を有する。
本発明に用いられる(A)非晶質ポリエステル系樹脂としては、結晶性が実質認められないか、又は低く、かつ、透明性が良好な樹脂である、例えば、50モル%以上がエチレングリコールであるジオール化合物と、50モル%以上がテレフタル酸又はそのアルキルエステルであるジカルボン酸類を縮重合して得られるホモポリマー、コポリマー又はこれらの混合物を挙げることができる。このコポリマーとしては、例えば、全カルボン酸類の50モル%以下の範囲で他のジカルボン酸、例えば、イソフタル酸あるいはハロゲン化テレフタル酸を共重合したものや、全ジオールの50モル%以下の範囲でポリ(アルキレングリコール)、具体的にはジエチレングリコールを共重合したもの、又は、C3〜C12のアルキレングリコール、例えば、1,4−シクロヘキサンジメタノールを共重合したものが挙げられる。
具体的には、テレフタル酸からなるジカルボン酸成分と、30モル%の1,4−シクロヘキサンジメタノールと70モル%のエチレングリコールからなるジオール成分とを共重合したコポリエステル(商品名「PETG 6763」)及びテレフタル酸からなるジカルボン酸成分と、30モル%の1,4−シクロヘキサンジメタノールと70モル%のエチレングリコールからなるジオール成分と、極めて少量の第3成分を共重合した溶融粘度が高いコポリエステル(商品名「Provista」)(いずれもイーストマンケミカル社製)が市販されている。
本発明に用いられるグラフト共重合体(B)に用いられるゴム状弾性体は、アクリルゴム、シリコーンアクリルゴムを始めとする実質的に非晶質の共重合体樹脂である。
アクリルゴムとは、炭素数が1〜12のアルキル基又はアリール基、好ましくは炭素数が4〜8のアルキルアクリレート又はアリールアクリレートを主成分とするモノマーを用いて架橋剤を使用し、好ましくは乳化重合により、必要によりグラフト交叉剤を併用して調製することができる。アクリルゴムのガラス転移温度は、常温よりも低いものであって、具体的にはブチルアクリレート又は2−エチルヘキシルアクリレートの単独もしくは共重合体を挙げることができる。アルキル基及びアリール基の炭素数が上記範囲内にあることにより、充分なゴム弾性が得られる。
シリコーンアクリルゴムは、シロキサン単位と(メタ)アクリレート単量体単位を含有するゴムであり、オルガノポリシロキサンとポリアルキル(メタ)アクリレートとからなるシリコーン/アクリル複合ゴムを用いることが好ましい。シリコーン/アクリル複合ゴムの形態としては、両成分がほぼ均一に混合分散した形態、シリコーン中にアクリルゴムがサラミ構造状に分散した形態、シリコーンとアクリルゴムとが層状になった形態等をとることができ、これらの形態が混在するものであってもよい。
上記複合ゴム部分を予め製造する場合、どのような方法で製造されたものを用いてもよいが、乳化重合法が最適である。この乳化重合法を行う際には、先ず、ポリオルガノシロキサンのラテックスを調製し、次に、アルキル(メタ)アクリレートの合成用単量体を調製済みポリオルガノシロキサンラテックスの粒子に含浸させて、前記合成用単量体を重合する手順をとることが好ましい。
また、複合ゴム部分に含まれるポリオルガノシロキサンのラテックス部分を先に調製する際には、以下に示す原料のオルガノシロキサン及び架橋剤を用いて、乳化重合により調製する方法を用いることができる。加えて、その際、グラフト交叉剤を併用することもできる。
原料のオルガノシロキサンとしては、3員環以上の各種の環状化合物が挙げられる。好ましくは、3〜6員環の環状化合物を原料に用いて調製する。3〜6員環の環状化合物の好適な例としては、ヘキサメチルシクロトリシロキサン、オクタメチルシクロテトラシロキサン、デカメチルシクロペンタシロキサン、ドデカメチルシクロヘキサシロキサン、トリメチルトリフェニルシクロトリシロキサン、テトラメチルテトラフェニルシクロテトラシロキサン、オクタフェニルシクロテトラシロキサン等が挙げられる。この3〜6員環の環状化合物は、単独で又は2種以上を混合して用いることができる。ポリオルガノシロキサンのラテックス部分全体における、これらオルガノシロキサンの使用量比率(含有率)は少なくとも50質量%以上、好ましくは、70質量%以上に選択する。
ポリオルガノシロキサンのラテックス調製に用いる架橋剤としては、3官能性又は4官能性のシラン系架橋剤を用いることができる。好適なシラン系架橋剤として、例えば、トリメトキシメチルシラン、トリエトキシフェニルシラン、テトラメトキシシラン、テトラエトキシシラン、テトラ−n−プロポキシシラン、テトラブトキシシラン等が挙げられる。特に、4官能性のシラン系架橋剤が好ましく、ここに例示した4官能性のシラン系架橋剤のなかでもテトラエトキシシランは特に好ましい。一般に、単一の架橋剤を用いることが多いが、二種以上の架橋剤を混合して用いることもできる。ポリオルガノシロキサン成分全体における、架橋剤の使用量比率(含有率)は、オルガノシロキサンと架橋剤の混合物を100質量%として、0.1〜30質量%、より好ましくは、0.5〜10質量%の範囲である。
ポリオルガノシロキサンのラテックス部分を先に調製する際には、架橋剤に加えて、グラフト交叉剤を併用することができる。このグラフト交叉剤は、グラフト重合の起点を形成するものであり、また、架橋剤とともに、ポリオルガノシロキサン相互の架橋を行う役割をも有する。
なお、(メタ)アクリロイルオキシシロキサン類のうち、メタクリロイルオキシシロキサンがより好ましい。
好適なメタクリロイルオキシシロキサンの具体例として、β−メタクリロイルオキシエチルジメトキシメチルシラン、γ−メタクリロイルオキシプロピルメトキシジメチルシラン、γ−メタクリロイルオキシプロピルジメトキシメチルシラン、γ−メタクリロイルオキシプロピルトリメトキシシラン、γ−メタクリロイルオキシプロピルエトキシジエチルシラン、γ−メタクリロイルオキシプロピルジエトキシメチルシラン、γ−メタクリロイルオキシブチルジエトキシメチルシラン等を挙げることができる。
一方、上記複合ゴム部分を構成する残る成分であるポリアルキル(メタ)アクリレートは、以下に示す原料のアルキル(メタ)アクリレート、架橋剤及びグラフト交叉剤を用いて合成することができる。
原料のアルキル(メタ)アクリレートとしては、例えば、メチルアクリレート、エチルアクリレート、n−プロピルアクリレート、n−ブチルアクリレート、2−エチルヘキシルアクリレート等のアルキルアクリレート、ならびにヘキシルメタクリレート、2−エチルヘキシルメタクリレート、n−ラウリルメタクリレート等のアルキルメタクリレートが挙げられる。ここに例示する化合物のなかでも、n−ブチルアクリレートを原料に用いることが好ましい。
好適に利用できる架橋剤として、例えば、エチレングリコールジメタクリレート、プロピレングリコールジメタクリレート、1,3−ブチレングリコールジメタクリレート、1,4−ブチレングリコールジメタクリレート等が挙げられる。これら架橋剤は、単独で用いることもでき、あるいは二種以上を併用して用いることもできる。
好適に利用されるグラフト交叉剤としては、分子内に2−プロペニル(アリル)基の構造を内在する化合物、例えば、アリルメタクリレート、トリアリルシアヌレート、トリアリルイソシアヌレート等が挙げられる。なお、アリルメタクリレートは、架橋剤としても用いることができる。これらグラフト交叉剤は、単独で用いることもでき、あるいは二種以上を併用して用いることもできる。
なお、ポリアルキル(メタ)アクリレート部分全体における、架橋剤の使用量比率(含有率)とグラフト交叉剤の使用量比率(含有率)は、合計して、0.1〜20質量%、より好ましくは、0.5〜15質量%の範囲に選択することが好ましい。
複合ゴム部分に含まれるポリアルキル(メタ)アクリレート成分の重合は、先に述べたように、予め調製したポリオルガノシロキサンのラテックス粒子へ、原料のアルキル(メタ)アクリレート、架橋剤及びグラフト交叉剤を添加し、含浸させた後、通常のラジカル重合開始剤を作用させて行うことが好ましい。より具体的には、予め調製したポリオルガノシロキサンのラテックスを、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、炭酸ナトリウム等のアルカリの水溶液に添加して中和し、次いで、上記原料のアルキル(メタ)アクリレート、架橋剤及びグラフト交叉剤を添加し、中和されたポリオルガノシロキサン粒子へ含浸させた後、通常のラジカル重合開始剤を作用させて重合を行う。重合の進行と共に、ポリオルガノシロキサン成分とポリアルキル(メタ)アクリレート成分とが緻密に組み合わされた複合ゴムが得られる。
なお、本発明において利用されるシリコーン/アクリル系グラフト共重合体を調製する際、この複合ゴム部分として、ポリオルガノシロキサン成分の主骨格はジメチルシロキサンの繰り返し単位を有し、また、ポリアルキル(メタ)アクリレート成分の主骨格はn−ブチルアクリレートの繰り返し単位を有している構成の複合ゴムを用いることが好ましい。
上述する構成ならびに調製方法を用い、例えば、乳化重合により調製された複合ゴムは、グラフト交叉剤ならびにグラフト交叉剤に由来する構造を利用して、上述したビニル系単量体とグラフト共重合可能である。また、複合ゴム部分において、トルエンにより90℃で4時間抽出して測定したゲル含量が、この複合ゴム部分の80質量%以上であることがより好ましい。
本発明において、添加するグラフト共重合体(B)は、前記のゴムに、芳香族アルケニル化合物、メタクリル酸エステル、アクリル酸エステル及びシアン化ビニル化合物からなる群から選ばれた少なくとも一種の単量体をグラフト重合して得られるグラフト共重合体である。
このグラフト重合の単量体として可能なビニル系単量体は、芳香族アルケニル化合物、メタクリル酸エステル、アクリル酸エステル及びシアン化ビニル化合物からなる群から選ばれるが、具体的には、スチレン、α−メチルスチレン、ビニルトルエン等の芳香族アルケニル化合物、メチルメタクリレート、2−エチルヘキシルメタクリレート等のメタクリル酸エステル、メチルアクリレート、エチルアクリレート、n−ブチルアクリレート等のアクリル酸エステル、アクリロニトリル、メタクリロニトリル等のシアン化ビニル化合物等が挙げられる。これらの単量体は、その分子構造中に、CH=CH−、あるいは、CH=C(R)−の部分構造を有し、総称してビニル系単量体と呼ぶことができる。これらの単量体から選ばれた一種の単量体を用いることもでき、あるいは、二種以上の単量体を併用して用いることもできる。なお、ここに例示した単量体の中でも、マトリクス樹脂との相溶性を考えるとメチルメタクリレート、ブチルアクリレートが好ましく、加工時の熱安定性からはこれらを併用するとより好ましい。
本発明に用いるグラフト共重合体(B)は乳化重合、懸濁重合、溶液重合等で得ることができるが乳化重合が好ましい。乳化重合については公知の乳化方法、重合順序によって製造される。
グラフト共重合体(B)は、(A)非晶質ポリエステル系樹脂99〜50質量部に対して、1〜50質量部((A)と(B)の合計量が100質量部)配合する。好ましい添加量は、用途及び必要な物性により異なるが、樹脂シート等に用いる場合には、非晶質ポリエステル系樹脂組成物中にゴム分として3%以上含有することが好ましく、低温時の耐衝撃性が必要な場合には、5%以上、より好ましくは10%以上である。反対に、非晶質ポリエステル系樹脂組成物中に50質量部以上グラフト共重合体(B)が含まれると、非晶質ポリエステル系樹脂本来の特性が損なわれる恐れがある。
本発明の(C)モンタン酸エステルワックスとしては、モンタン酸をアルコール等で一部分あるいは全てをエステル化されているものである。具体的にはモンタン酸エステルワックス、あるいはモンタン酸部分ケン化エステルワックスと称されるものが挙げられる。このモンタン酸エステルワックスは、クラリアントジャパン社からLicowax E、Licowax OP、Licolub WE等の商品名で市販されているものが挙げられる。
この(C)モンタン酸エステルワックスを、(A)非晶質ポリエステル系樹脂99〜50質量部、(B)ゴム状弾性体1〜50質量部に一種以上のビニル系単量体をグラフト重合させることにより得られるグラフト共重合体1〜50質量部の合計量100質量部に対して適量添加することで、加工性、耐衝撃性、顔料等を添加する場合には顔料の分散性にも優れた非晶質ポリエステル系樹脂組成物が得られる。
(C)モンタン酸エステルワックスの添加量としては、(A)非晶質ポリエステル系樹脂と(B)グラフト共重合体の合計100質量部に対して、0.2〜5質量部の範囲で添加する。その中でも、0.3〜2質量部添加することががより好ましい。0.2質量部未満の場合、ロールシートの離形性が悪化するなど、加工性が大きく低下する。5質量部を超える量添加した場合、耐衝撃性が低下し、加工面においても、ロール離形性には優れるものの、加工時に表面にブリードアウトしやすくなる可能性がある。
本発明の樹脂組成物を製造する方法としては成分(A)及び(B)を各々予め単独に製造したのちに通常のブレンド方法であるヘンシェルミキサー、タンブラー等を使用して混合したのち、単軸押出機、二軸押出機バンバリーミキサー等通常の賦形に用いられる装置により賦形して樹脂組成物となす方法を採用することができる。また、本発明の樹脂組成物には通常の添加剤として使用される抗酸化剤、熱安定剤、耐光性向上剤、紫外線吸収剤、滑剤、可塑剤、離型剤、帯電防止剤、摺動性向上剤、着色剤等を添加しても差し支えない。
次に、本発明を実施例によりさらに詳細に説明するが、これらはいずれも例示的なものであり、本発明を限定するものではない。なお、実施例、比較例の中で各種の物性の評価方法は下記の方法によった。また、部及び%は特に断らない限り質量部、質量%を表す。
1)シートの作成と衝撃性評価方法
非晶質ポリエステル系樹脂(イーストマンコダック社製イースター6763)100部に対し、グラフト共重合体を5〜15部、モンタン酸エステルワックスを0.1〜5部配合した後、予備混合し、関西ロール製8インチ加熱ロールにて溶融混練し、約1mmのシートにする。
このシートをプレス機を用いて3枚重ね合わせたシートを作製し、切断して得られる厚さ3.2mmの試験片を用いて、23℃及び0℃での衝撃強さについてASTM D−256により評価する。
2)加工性評価方法
加熱ロールによる溶融混練を行い、シートを加工する際に、3分間及び5分間混練した後の、ロールからの剥がれ易さ、ロールシートの表面状態を観察した。以下の評価基準で加工性の評価を行った。
◎:5分間混練後の離形性に優れ、表面状態も良好である。
○:3分間混練後の離形性に優れ、表面状態も良好であるが、5分間混練するとやや剥がれ難くなる。
×:ロールから剥がれ難く、加工性が非常に悪い。
△:離形性には優れるが、シート表面に滑剤が斑点状に存在する。
3)平均粒子径、粒子径分布の測定方法
ゴムラテックスの粒子径は以下のように測定した。得られたゴムラテックスを蒸留水で希釈し、濃度約3%の希釈ラテックス0.1mlを試料とし、米国MATEC社製CHDF2000型粒度分布計を用い、流速1.4ml/min、圧力約2.76MPa(約4000psi)、温度35℃の条件下で測定した。測定では、粒子分離用キャピラリー式カートリッジ及びキャリア液を用い、液性はほぼ中性にした。なお、測定前には、米国DUKE社製の粒子径既知の単分散ポリスチレンを標準粒子径物質とし、0.02μmから0.8μmの合計12点の粒子径を測定して、検量線を作成した。
[参考例1]アクリルゴム系グラフト共重合体(B−1)の製造
攪拌機を備えたセパラブル・フラスコに蒸留水195部及びドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム0.1部を加え、窒素置換をし、50℃に昇温した。次いで、硫酸第一鉄0.002部、エチレンジアミン四酢酸二ナトリウム塩0.006部、ロンガリット0.26部及び蒸留水5部の混合液を加え、さらに、窒素置換したn−ブチルアクリレート70部、アリルメタクリレート0.75部及びt−ブチルヒドロペルオキシド0.4部の混合液を加えて、ラジカル重合を開始させた。その後、液温70℃で2時間保持し重合を完了して、ゴムラテックスを得た。このラテックスを一部採取し、平均粒子径を測定したところ0.22μmであった。
このゴムラテックスに、t−ブチルヒドロペルオキシド0.06部とメチルメタクリレート29部及びブチルアクリレート1部との混合液を70℃にて15分間かけて滴下し、その後70℃で4時間保持し、ゴムラテックスへのグラフト重合を完了し、アクリル系グラフト共重合体(C−3)ラテックスを得た。このグラフト共重合体ラテックスを一部採取し、平均粒子径を測定したところ0.24μmであった。なお、メチルメタクリレートの重合率は、原料メチルメタクリレートに対して98.2%であった。
得られたグラフト共重合体ラテックスを塩化カルシウム1.5%の熱水200部中に滴下し、凝固させ、分離・洗浄した後、75℃で16時間乾燥し、粉末状のアクリルゴム系グラフト共重合体(B−1)を得た。
[参考例2]アクリルゴム系グラフト共重合体(B−2)の製造
参考例1において用いる原材料の量をn−ブチルアクリレート84.15部、アリルメタクリレート0.85部、メチルメタクリレート13.5部、エチルアクリレート0.5部に変更した以外は同様の方法でアクリルゴム系グラフト共重合体(B−2)を得た。
[参考例3]シリコーン/アクリル複合ゴム系グラフト共重合体(B−3)の製造
テトラエトキシシラン2部、γ−メタクリロイルオキシプロピルジメトキシメチルシラン0.5部及びオクタメチルシクロテトラシロキサン97.5部を混合し、シロキサン混合物100部を得た。ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム及びドデシルベンゼンスルホン酸をそれぞれ0.67部を溶解した蒸留水200部に前記シロキサン混合物100部を加え、ホモミキサーにて10,000rpmで予備攪拌した。その後、ホモジナイザーにより200kg/cmの圧力で乳化、分散させ、オルガノシロキサンのラテックスを得た。この混合液をコンデンサー及び攪拌翼を備えたセパラブル・フラスコに移し、混合攪拌しながら80℃で5時間加熱した後、20℃で放置した。48時間経過後に、水酸化ナトリウム水溶液を用いて中和し、このラテックスのpHを7.0とし、重合を完結し、ポリオルガノシロキサンのラテックス(以下このラテックスをPDMS−1と称する。)を得た。得られたポリオルガノシロキサンの重合率は、原料のシロキサンに対して89.1%であり、ポリオルガノシロキサンの平均粒子径は0.19μmであった。また、このPDMS−1をイソプロパノールで凝固乾燥し固形物を得た。この固形物から、トルエンで90℃、12時間抽出し、ゲル含量を測定したところ、91.4%であった。
このPDMS−1をポリマー換算で10部採取し、書く半期を備え足せ派らブル・フラスコに入れ、蒸留水175部を加え、窒素置換をした。その後、50℃に昇温し、n−ブチルアクリレート76.8部、アリルメタクリレート1.2部及びt−ブチルヒドロペルオキシド0.3部の混合液を加え、30分間攪拌して、この混合液をポリオルガノシロキサン粒子に浸透させた。次いで、硫酸第一鉄0.002部、エチレンジアミン四酢酸二ナトリウム塩0.006部、ロンガリット0.3部及び蒸留水10部の混合液を加え、ラジカル重合を開始させ、その後、液温70℃で2時間保持し重合を完了して、複合ゴムのラテックスを得た。この複合ゴムのラテックスを一部採取し、複合ゴムの平均粒子径を測定したところ0.22μmであった。また、このラテックスを乾燥し固形物を得て、その固形物からトルエンで90℃、4時間抽出し、ゲル含量を測定したところ、95%であった。
この複合ゴムラテックスに、メチルメタクリレート11.5部、ブチルアクリレート0.5部とt−ブチルヒドロペルオキシド0.024部との混合液を60℃にて15分間かけて滴下し、その後60℃で2時間保持し、複合ゴムへのグラフト重合を完了した。得られたグラフト共重合体ラテックスの平均粒径は0.23μmであった。得られたグラフト共重合体ラテックスに、40℃で濃度5%の酢酸カルシウム水溶液を比率が1:2となるように添加し、その後、90℃まで昇温し凝固させた。凝固の後、水により洗浄を繰り返した後、固形分を分離し、80℃で24時間乾燥し、ポリオルガノシロキサン系グラフト重合体(B−2)粉末を得た。
[参考例4]アクリルゴム系グラフト共重合体(B−4)の製造
参考例3において用いる原材料の量をPDMS−1を15部、n−ブチルアクリレート70部、アリルメタクリレート0.5部、メチルメタクリレート14部、ブチルアクリレート0.5部に変更した以外は同様の方法でアクリルゴム系グラフト共重合体(B−4)を得た。
[参考例5]ブタジエン系グラフト共重合体(B−5)の製造
耐圧オートクレーブ中に、脱イオン水150部、1,3−ブタジエン85部、スチレン15部、t−ドデシルメルカプタン0.5部、ジイソプロピルベンゼンヒドロペルオキシド0.4部、ピロリン酸ソーダ1.5部、硫酸第一鉄0.02部、デキストローズ1.0部、及びオレイン酸カリウム1.0部を仕込み、撹拌しながら50℃で15時間反応させて、ブタジエン系ゴム重合ラテックスを製造した。このゴムラテックスの粒子径は、約80nmであった。
前記ブタジエン系ゴム重合ラテックス70部(固形分として)をフラスコに仕込み、窒素置換した後、NaHCO 1.2部を10%の水溶液にして添加し、30分間撹拌した。この液に、オレイン酸カリウム1部を7%水溶液として添加し、安定化した。その後、ロンガリット0.6部を添加し、液温を70℃に保持して、メチルメタアクリレート15部、スチレン13部、エチルアクリレート2部及びクメンハイドロパーオキサイト0.2部の混合液をブタジエン系ゴム重合ラテックスにグラフト重合させた。
得られたグラフト共重合体ラテックスにBHTを0.5部添加した後、0.2%の硫酸水溶液を添加して、グラフト共重合体を凝析させ、90℃で熱処理固化した。その後、凝固物を温水で洗浄し、さらに乾燥してMBS樹脂系グラフト共重合体(B−5)粉末を得た。
[実施例1−実施例9]
表1に示した原料及び配合比率からなる樹脂組成物を調製し、各調製物から試験片を作成し、その特性を試験した。その結果を表1に示す。
なお、各実施例にて使用した原材料は以下のとおりである。
(A) 非晶質ポリエステル系樹脂:PETG イースター6763(イーストマンコダック社製)
(B) グラフト共重合体:参考例1〜3で製造した(B−1〜3)
(C) 滑剤
(C−1) モンタン酸エステルワックス:Licowax E(クラリアントジャパン社製)
(C−2) モンタン酸エステルワックス:Licowax E/Licowax OPの1:1混合物
(C−3) モンタン酸ワックス:G431L(クラリアントジャパン社製)
(D) カーボンブラック
Figure 2005263996
以上詳細な説明から明らかなように、本発明の非晶質ポリエステル系樹脂組成物は、特に、加工性及び耐衝撃性の両特性をバランスよく備えており、その一部は0℃という低温においても高い耐衝撃性を有している。
したがって、本発明の非晶質ポリエステル系樹脂組成物は、樹脂シート、フィルム、壁紙、表面化粧剤、容器、瓶、発泡体等広い分野における成形品用の材料として極めて高い利用価値を有する。

Claims (2)

  1. (A)非晶質ポリエステル系樹脂99〜50質量部、(B)アクリルゴム及び/又はシリコーンアクリルゴムに一種以上のビニル系単量体をグラフト重合させることにより得られるグラフト共重合体1〜50質量部及び(A)と(B)の合計量100質量部に対して(C)モンタン酸エステルワックス0.2〜5質量部を含有することを特徴とする非晶質ポリエステル系樹脂組成物。
  2. 請求項1記載の非晶質ポリエステル系樹脂組成物を成形して得られる成形品。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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