JP2002212400A - 熱可塑性樹脂組成物およびこれを用いた自動車用成形品 - Google Patents

熱可塑性樹脂組成物およびこれを用いた自動車用成形品

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JP2002212400A
JP2002212400A JP2001009497A JP2001009497A JP2002212400A JP 2002212400 A JP2002212400 A JP 2002212400A JP 2001009497 A JP2001009497 A JP 2001009497A JP 2001009497 A JP2001009497 A JP 2001009497A JP 2002212400 A JP2002212400 A JP 2002212400A
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weight
molded article
thermoplastic resin
resin
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JP2001009497A
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Takashi Kawamura
孝 川村
Tomohiro Ito
智啓 伊藤
Masao Nakajima
正雄 中島
Koichi Handa
浩一 半田
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DIC Corp
Nissan Motor Co Ltd
Original Assignee
Nissan Motor Co Ltd
Dainippon Ink and Chemicals Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】成形時の収縮率の異方性が少なく、かつ耐衝撃
性、耐湿熱性、熱膨張特性、剛性、流動性に優れた樹脂
組成物および自動車外板等の大型成形品等の成形品を提
供する。 【解決手段】少なくとも、酸価が1.5mgKOH/g
以下の熱可塑性ポリエステル樹脂(A)と、アクリロニ
トリル/ブタジエン/スチレン樹脂〔ABS樹脂〕
(B)と、ポリオルガノシロキサンゴム成分10〜90
重量%およびポリアルキル(メタ)アクリレートゴム成
分90〜10重量%からなり、かつ平均粒子径が0.0
8〜0.6μmである複合ゴムに1種または2種以上の
ビニル系単量体をグラフト重合させてなる複合ゴム系グ
ラフト共重合体(C)と、ガラス繊維(D−1)と、ガ
ラスフレ−ク(D−2)を配合してなる熱可塑性樹脂組
成物。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、優れた耐衝撃性、
耐湿熱性、熱膨張特性、剛性、流動性を有し、かつ成形
時の収縮率の異方性が少なく、その結果、成形品のソリ
が改善される熱可塑性樹脂組成物およびそれを用いた自
動車外板用成形品に関する。
【0002】
【従来の技術】ポリブチレンテレフタレート(以下、P
BTと略称する)に代表される熱可塑性ポリエステル樹
脂は優れた成形性、機械的特性、耐熱性、電気的特性、
耐薬品性等を有するため、電気・電子分野、自動車分野
等において幅広く使用されている。
【0003】しかしながら、熱可塑性ポリエステル樹脂
は耐衝撃性が低く、かつ射出成形時の成形収縮率が大き
く、特にガラス繊維等で強化された熱可塑性ポリエステ
ル樹脂の場合は、成形時の溶融樹脂の流動方向とその直
角方向とでは収縮率が大きく異なるため、収縮率に異方
性を生じて成形品にソリが発生しやすく、大型の成形品
用途には使用が制限されていたという不具合があった。
このため、特にフェンダ−、ルーフ、フ−ド、ドア等の
自動車外板用としては使用されていないのが実状であ
る。
【0004】成形時の収縮率の異方性を改善する方法と
して、ABS樹脂のような収縮率の小さい非結晶性樹脂
を添加して収縮率を小さくしソリを低減する方法(特開
昭49−97081号公報、特開昭50−23449号
公報等)、平板状の充填材であるマイカあるいは球状の
粒子であるガラスビーズ等を使用する方法(特公昭49
−18615号公報、特開昭57−16055号公報、
特開昭57−80447号公報、特開平5−98138
号公報等)などが開示されている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、これら
の従来の方法では、成形時の収縮率の異方性に対する改
善効果は小さく、ソリは充分には改良されず、しかも耐
衝撃性が低下し、実用上、大型成形品の使用には大きな
問題があった。本発明の目的は、成形時の収縮率の異方
性が少なく、かつ耐衝撃性、耐湿熱性、熱膨張特性、剛
性、流動性に優れた樹脂組成物および自動車外板等の大
型成形品等の成形品を提供することにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、上記の課
題を解決するために鋭意検討した結果、特定の範囲の酸
価を持つ熱可塑性ポリエステル樹脂と、ABS樹脂と、
ビニル系単量体をグラフト重合したポリオルガノシロキ
サンゴムとポリアルキル(メタ)アクリレ−トゴムとの
複合ゴムと、特定の無機充填材を組み合わせて使用する
ことにより、高い衝撃性と優れた耐湿熱性を持ち、かつ
収縮率の異方性が少なく、大型成形品に好適な樹脂組成
物を得ることが可能であることを見出し、本発明に至っ
た。
【0007】即ち、本発明は、 1.少なくとも、酸価が1.5mgKOH/g以下の熱
可塑性ポリエステル樹脂(A)と、アクリロニトリル/
ブタジエン/スチレン樹脂〔ABS樹脂〕(B)と、ポ
リオルガノシロキサンゴム成分10〜90重量%および
ポリアルキル(メタ)アクリレートゴム成分90〜10
重量%からなり、かつ平均粒子径が0.08〜0.6μ
mである複合ゴムに1種または2種以上のビニル系単量
体をグラフト重合させてなる複合ゴム系グラフト共重合
体(C)と、ガラス繊維(D−1)と、ガラスフレ−ク
(D−2)を配合してなることを特徴とする熱可塑性樹
脂組成物、
【0008】2.前記熱可塑性樹脂組成物全体を100
重量%とするとき、前記熱可塑性ポリエステル樹脂
(A)が30〜80重量%、前記アクリロニトリル/ブ
タジエン/スチレン樹脂〔ABS樹脂〕(B)が2〜3
0重量%、前記複合ゴム系グラフト共重合体(C)が2
〜20重量%、前記ガラス繊維(D−1)およびガラス
フレ−ク(D−2)の合計量が10〜50重量%であ
り、かつ(D−1)/(D−2)=10〜60/90〜
40重量%である上記1に記載の熱可塑性樹脂組成物、
【0009】3.前記熱可塑性ポリエステル樹脂(A)
の、フェノ−ル/テトラクロロエタン=6/4重量比の
混合溶媒を用いて、温度30±0.1℃で測定した極限
粘度〔η〕が0.6〜1.0dl/gであることを特徴
とする上記1に記載の熱可塑性樹脂組成物、 4.上記1ないし3のいずれかに記載の熱可塑性樹脂組
成物から成る自動車外板用の成形品、
【0010】5.成形品の一方の面を被覆する樹脂製フ
ィルムを型内にセットした後、上記1ないし3のいずれ
かに記載の熱可塑性樹脂組成物を型内に充填し、該樹脂
製フィルムと該熱可塑性樹脂組成物を一体化してなるこ
とを特徴とする上記4に記載の成形品、
【0011】6.上記樹脂製フィルムが少なくとも着色
樹脂層を含む多層構造を有するものであることを特徴と
する上記5に記載の成形品、
【0012】7.予め印刷層が形成された樹脂製フィル
ムを型内に印刷層の裏面が型内氏で露出するようにセッ
トした後、上記1ないし3のいずれかに記載の熱可塑性
樹脂組成物を型内に充填し、該印刷層と該熱可塑性樹脂
組成物を一体化してなることを特徴とする上記4に記載
の成形品、
【0013】8.型表面に塗料を塗布した後、上記1な
いし3のいずれかに記載の熱可塑性樹脂組成物を型内に
充填し、該熱可塑性樹脂組成物に塗料を転写し一体化し
てなることを特徴とする上記4に記載の成形品、
【0014】9.予め印刷層が形成された樹脂製フィル
ムに上記1ないし3のいずれかに記載の熱可塑性樹脂組
成物から成る成形体を押し当て、該印刷層と該熱可塑性
樹脂組成物から成る成形体とを一体化したことを特徴と
する上記4に記載の成形品、を提供するものである。
【0015】本発明における熱可塑性ポリエステル樹脂
(A)としては、特に限定されるものではないが、例と
して、少なくとも1種の2官能性カルボン酸成分と少な
くとも1種のグリコール成分またはオキシカルボン酸成
分との重縮合反応により得られる熱可塑性ポリエステル
樹脂が挙げられる。
【0016】2官能性カルボン酸成分としては、例え
ば、テレフタル酸、イソフタル酸、2,6−ナフタレン
ジカルボン酸、2,7−ナフタレンジカルボン酸、アジ
ピン酸、またはこれらのカルボキシル基をエステル化し
たエステル形成性誘導体などを挙げられる。中でも芳香
族ジカルボン酸、またはこれらのカルボキシル基をエス
テル化したエステル形成性誘導体が好ましく、特には、
テレフタル酸または、テレフタル酸ジエステルが好まし
い。
【0017】グリコール成分としては、特に限定される
ものではないが、例えば、下記一般式[1]で表され
る、α,ω−アルキレングリコールが挙げられ、その中
でもエチレングリコール、1,4−ブタンジオールが好
ましい。
【0018】
【化1】
【0019】α,ω−アルキレングリコール以外のグル
コール成分としては、例えば、ネオペンチルグリコー
ル、1,4−シクロヘキサンジオール、1,4−シクロ
ヘキサンジメタノール、ポリオキシエチレングリコー
ル、ポリオキシテトラメチレングリコール、またはこれ
らの水酸基をエステル化したエステル形成誘導体等が挙
げられる。
【0020】また、本発明において熱可塑性ポリエステ
ル樹脂(A)を構成する全酸成分または全ジオール成分
の70mol%以上が単一成分であることが好ましい。
その理由は、かかる量であれば良好な耐薬品性および耐
熱性が得られる。
【0021】上記に挙げた各成分から構成される熱可塑
性ポリエステル樹脂(A)の中でも、特にPBT樹脂が
好ましい例として挙げられる。PBT樹脂は、通常、
1,4−ブタンジオールとジメチルテレフタレートまた
はテレフタル酸とから製造されるが、製造時に必要に応
じて1,3−プロパンジオール、エチレングリコール等
のジオール成分やテレフタル酸以外のジカルボン酸など
第三成分を共縮合させてもよい。
【0022】この様な熱可塑性ポリエステル樹脂(A)
は、とりわけフェノ−ル/テトラクロロエタン=6/4
重量比の混合溶媒を用いて、温度30±0.1℃で測定
した極限粘度〔η〕が0.6〜1.0dl/gであるこ
とが好ましく、その中でも成形性および耐衝撃性の点か
ら0.7〜0.95dl/gであることが特に好まし
い。また、酸価は1.5mgKOH/g以下のものが好
ましく、その中でも1.0mgKOH/g以下のものが
特に好ましい。熱可塑性ポリエステル樹脂(A)の酸価
が1.5mgKOH/gより大きいと耐湿熱性が低下す
る可能性があり、好ましくない。
【0023】熱可塑性ポリエステル樹脂(A)の使用量
は、本発明の熱可塑性樹脂組成物全体の量に対して30
〜80重量%、好ましくは40〜70重量%である。熱
可塑性ポリエステル樹脂(A)の量がかかる範囲内であ
れば流動性が良好である。
【0024】本発明におけるABS樹脂(B)とは、ブ
タジエンを主成分とする共役ジエン系オレフィンゴムか
らなる成分(ジエン系ポリマー)と、少なくともアクリ
ロニトリルとスチレンを主成分とするシアン化ビニル系
単量体と、芳香族ビニル系単量体とを含む、これら3成
分からなるグラフト共重合体、ブロック共重合体、ラン
ダム共重合体、またはそれら共重合体の混合物である。
【0025】ABS樹脂(B)におけるジエン系ポリマ
ーと単量体との構成比には制限はないが、ジエン系ポリ
マ−が10〜40重量%、シアン化ビニル系単量体およ
び芳香族ビニル系単量体の合計が90〜60重量%の範
囲が好ましい。ジエン系ポリマーがかかる範囲の配合量
であれば、より優れた耐衝撃性や親和性をもたらすこと
が出来る。
【0026】又、芳香族ビニル系単量体とシアン化ビニ
ル系単量体との構成比にも制限はないが、芳香族ビニル
系単量体/シアン化ビニル系単量体=50〜90/50
〜10重量%、特に芳香族ビニル系単量体/シアン化ビ
ニル系単量体=60〜80/40〜20重量%が好まし
い。その理由は、かかる量であれば良好な耐薬品性およ
び耐熱性が得られる。
【0027】ABS樹脂(B)の使用量は、本発明の熱
可塑性樹脂組成物全体の量に対して2〜30重量%、好
ましくは5〜20重量%である。ABS樹脂(B)の量
がかかる範囲内であれば、より優れたソリの抑制効果、
耐衝撃性、流動性、熱安定性をもたらすことが出来る。
更に、本発明では熱可塑性ポリエステル樹脂(A)とA
BS樹脂(B)の重量比が、熱可塑性ポリエステル樹脂
(A)/ABS樹脂(B)=50〜90/50〜10重
量%の範囲で用いるのが好ましい。熱可塑性ポリエステ
ル樹脂(A)とABS樹脂(B)の重量比がこの範囲内
であると耐薬品性に優れ、流動性が良好である。
【0028】次に、本発明における複合ゴム系グラフト
共重合体(C)とは、ポリオルガノシロキサンゴム成分
10〜90重量%とポリアルキル(メタ)アクリレート
ゴム成分90〜10重量%からなり、かつ平均粒子径が
0.08〜0.6μmである複合ゴムに1種または2種
以上のビニル系単量体をグラフト重合させてなるもので
ある。尚、本発明においてポリアルキル(メタ)アクリ
レートゴムとは、ポリアルキルアクリレートゴムおよび
ポリアルキルメタクリレートゴムを総称するものであ
る。
【0029】上記複合ゴムの代わりにポリオルガノシロ
キサンゴム成分およびポリアルキル(メタ)アクリレ−
トゴム成分のいずれか1種類あるいはこれらの単純混合
物を使用しても、本発明の熱可塑性樹脂組成物の有する
如き優れた特徴は得られず、ポリオルガノシロキサンゴ
ム成分とポリアルキル(メタ)アクリレートゴム成分と
が分離できないように相互に絡み合った構造を有する複
合ゴムの形態で用いることによってはじめて優れた耐衝
撃性と成形流動性を有する樹脂組成物を得ることが出来
るのである。
【0030】また、複合ゴムにおけるポリオルガノシロ
キサンゴム成分とポリアルキル(メタ)アクリレ−トゴ
ム成分の比率が上記の範囲内にあれば、表面外観、耐衝
撃性、流動性が良好な樹脂組成物を得ることが出来る。
すなわち、ポリオルガノシロキサンゴム成分/ポリアル
キル(メタ)アクリレ−トゴム成分=10〜90/90
〜10重量%の範囲が好ましく、より好ましくは20〜
80/80〜20重量%である。
【0031】上記複合ゴムの平均粒子径は0.08〜
0.6μmの範囲内であることが好ましく、かかる範囲
の平均粒子径であれば、より優れた耐衝撃性や成形品の
外観をもたらすことが出来る。
【0032】このような平均粒子径を有する複合ゴムを
製造するには、乳化重合法が好ましく、まずポリオルガ
ノシロキサンゴムのラテックスを調製し、次にアルキル
(メタ)アクリレ−トゴムの合成用単量体をポリオルガ
ノシロキサンゴムラテックスのゴム粒子に含浸させてか
ら前記アルキル(メタ)アクリレ−トゴムの合成用単量
体を重合する方法が挙げられる。
【0033】上記複合ゴムを構成するポリオルガノシロ
キサンゴム成分は、以下に示すオルガノシロキサン及び
架橋剤を用いて乳化重合により調製することが出来、そ
の際、更に、グラフト交叉剤を併用することが出来る。
【0034】オルガノシロキサンとしては、3員環以上
の各種のオルガノシロキサン系環状体が挙げられ、その
中でも3〜6員環のものが好ましい。具体的には、ヘキ
サメチルシクロトリシロキサン、オクタメチルシクロテ
トラシロキサン、デカメチルシクロペンタシロキサン、
ドデカメチルシクロヘキサシロキサン、トリメチルトリ
フェニルシクロトリシロキサン、テトラメチルテトラフ
ェニルシクロテトラシロキサン、オクタフェニルシクロ
テトラシロキサン等が挙げられるが、これらは単独でま
たは二種以上混合して用いられる。これらの使用量はポ
リオルガノシロキサンゴム成分中50重量%以上、好ま
しくは70重量%以上である。オルガノシロキサンの使
用量がこれより少ないと耐衝撃性が低下する可能性があ
る。
【0035】ポリオルガノシロキサンゴムの調製に用い
られる架橋剤としては3官能以上の官能性を有する架橋
剤が挙げられ、例えば、トリアルコキシアルキルシラ
ン、トリアルコキシアリールシラン、テトラアルコキシ
シランが用いられる。このような架橋剤の具体例として
トリメトキシメチルシラン、トリエトキシフェニルシラ
ン、テトラメトキシシラン、テトラエトキシシラン、テ
トラn−プロポキシシラン、テトラブトキシシラン等を
例示できる。本発明で用いられる架橋剤としてはテトラ
アルコキシシランが好ましく、テトラエトキシシランが
特に好ましい。
【0036】また、グラフト交叉剤としては、下記の一
般式[2]〜[5]で表される単位を形成しうる化合物
等が用いられる。
【0037】
【化2】
【0038】
【化3】
【0039】
【化4】
【0040】
【化5】
【0041】尚、一般式[2]〜[5]において、R1
はメチル基、エチル基、プロピル基またはフェニル基
を、R2は水素原子またはメチル基、nは0、1または
2、pは1〜6の数を示す。
【0042】一般式[2]の単位を形成しうる(メタ)
アクリロイルオキシシロキサンはグラフト効率が高いた
め、有効なグラフト鎖を形成することが可能であり、耐
衝撃性発現の点で有利である。 尚、一般式[2]の単
位を形成しうるものの例としては、メタクリロイルオキ
シシロキサンが特に好ましい。メタクリロイルオキシシ
ロキサンの具体例としては、β−メタクリロイルオキシ
エチルジメトキシメチルシラン、γ−メタクリロイルオ
キシプロピルメトキシジメチルシラン、γ−メタクリロ
イルオキシプロピルジメトキシメチルシラン、γ−メタ
クリロイルオキシプロピルトリメトキシシラン、γ−メ
タクリロイルオキシプロピルエトキシジエチルシラン、
γ−メタクリロイルオキシプロピルジエトキシメチルシ
ラン、δ−メタクリロイルオキシブチルジエトキシメチ
ルシラン等が挙げられる。
【0043】一般式[3]の単位を形成し得るものとし
てはビニルシロキサン類が挙げられ、具体例としては、
テトラメチルテトラビニルシクロテトラシロキサンが挙
げられる。一般式[4]の単位を形成し得るものとして
はp-ビニルフェニルジメトキメチルシランが挙げられ
る。また、一般式[5]の単位を形成し得るものとして
は、γ−メルカプトプロピルジメトキメチルシラン、γ
−メルカプトプロピルメトキシジメチルシラン、γ−メ
ルカプトプロピルジエトキシメチルシランなどが挙げら
れる。
【0044】これらグラフト交叉剤の使用量は、オルガ
ノシロキサン系混合物、すなわち前記オルガノシロキサ
ンおよび架橋剤を含むポリオルガノシロキサン重合用の
混合物中において10重量%以下であり、好ましくは
0.5〜5重量%である。グラフト交叉剤の使用量がこ
れより多いと耐衝撃性が低下する可能性がある。
【0045】乳化剤としては、アニオン系乳化剤が好ま
しく、アルキルベンゼンスルホン酸ナトリウム、ラウリ
ルスルホン酸ナトリウム、スルホコハク酸ナトリウム、
ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテル硫酸エステ
ルナトリウムなどの中から選ばれた乳化剤が使用され
る。特にアルキルベンゼンスルホン酸ナトリウム、ラウ
リルスルホン酸ナトリウムなどのスルホン酸系の乳化剤
が好ましい。
【0046】これらの乳化剤は、通常、前記オルガノシ
ロキサン系混合物100重量部に対して、0.05〜5
重量部の範囲で使用される。これらの乳化剤をこの範囲
で使用することにより、微小な粒子径の安定した分散状
態を保つことが出来、かつ乳化剤に起因する着色もなく
すことが出来る。
【0047】このようにして製造されるポリオルガノシ
ロキサンラテックスに、ポリアルキル(メタ)アクリレ
ートゴムの合成用単量体、すなわちアルキル(メタ)ア
クリレートと多官能性アルキル(メタ)アクリレートを
含浸させ、次いでこれらを重合させることにより複合ゴ
ムを得ることが出来る。
【0048】アルキル(メタ)アクリレ−トとしては、
例えば、メチルアクリレ−ト、エチルアクリレ−ト、n
−プロピルアクリレ−ト、n−ブチルアクリレ−ト、2
−エチルヘキシルアクリレ−ト等のアルキルアクリレ−
トおよびヘキシルメタアクリレ−ト、2−エチルヘキシ
ルメタアクリレ−ト、n−ラウリルメタクリレ−ト等の
アルキルメタクリレ−トが挙げられ、特に、n−ブチル
アクリレ−トが好ましい。
【0049】また、多官能性アルキル(メタ)アクリレ
ートとしては、例えば、アリルメタクリレート、エチレ
ングリコ−ルジメタクリレ−ト、プロピレングリコ−ル
ジメタクリレ−ト、1,3-ブチレングリコ−ルジメタ
クリレ−ト、1,4-ブチレングリコ−ルジメタクリレ
−ト、トリアリルシアヌレート、トリアリルイソシアヌ
レート等が挙げられる。ポリアルキル(メタ)アクリレ
ートゴムの合成用単量体のうち、多官能性アルキル(メ
タ)アクリレートは好ましくは0.1〜20重量%、特
に好ましくは0.5〜10重量%であり、残部がアルキ
ル(メタ)アクリレートである。多官能性アルキル(メ
タ)アクリレートの使用量がこの範囲であれば、より優
れた耐衝撃性をもたらすことができる。
【0050】アルキル(メタ)アクリレ−トや多官能ア
ルキル(メタ)アクリレ―トは単独でまたは2種以上併
用して用いられる。
【0051】尚、本発明の実施に際しては、ジアルキル
オルガノシランとしてオクタメチルテトラシクロシロキ
サンを、シロキサン系グラフト交叉剤としてγ−メタク
リロイルオキシプロピルジメトキシメチルシランを用い
ることによって得られるポリオルガノシロキサンゴム成
分に対して、主骨格がn−ブチルアクリレートの繰り返
し単位を有するポリアルキル(メタ)アクリレートゴム
成分を複合化させた複合ゴムを用いることが好ましい。
【0052】このようにして乳化重合法により製造され
た複合ゴムは、ビニル系単量体とグラフト共重合が可能
である。この複合ゴムにグラフト重合させるビニル系単
量体としては、例えば、スチレン、α−メチルスチレ
ン、ビニルトルエン等の芳香族アルケニル化合物;メチ
ルメタクリレ−ト、2-エチルヘキシルメタクリレ−ト等
のメタクリル酸エステル;アクリロニトリル、メタクリ
ロニトリル等のシアン化ビニル化合物などの各種ビニル
系単量体が挙げられ、これらは単独でまたは2種以上を
組み合わせて用いることも可能である。グラフト成分が
2種以上からなる共重合体の形態で用いてもよい。
【0053】複合ゴム系グラフト共重合体(C)は、ビ
ニル系単量体を複合ゴムのラテックスに加え、ラジカル
重合技術により一段あるいは多段で重合させることによ
って得ることが出来る。複合ゴム系グラフト共重合体
(C)を得る際の複合ゴムとビニル系単量体の割合は、
得られるグラフト共重合体の重量を基準にして複合ゴム
が10〜95重量%、好ましくは20〜90重量%であ
り、対してビニル系単量体が90〜5重量%、好ましく
は80〜10重量%程度である。ビニル系単量体がかか
る範囲内にあれば、より優れた耐衝撃強度をもたらすこ
とが出来る。
【0054】本発明で用いられるガラス繊維(D−1)
とは、無アルカリガラスからなるガラス繊維であり、好
ましくは重量平均アスペクト比が10以上のものであ
る。更に、熱可塑性ポリエステル樹脂(A)とガラス繊
維(D−1)との密着性を向上させるために、シランカ
ップリング剤、チタネ−ト系カップリング剤等のカップ
リング剤で処理されたガラス繊維が好ましい。また、ガ
ラス繊維(D−1)の直径はφ15μm以下のものが好
ましく、φ13μm以下の繊維が特に好ましい。
【0055】また、本発明で用いられるガラスフレ−ク
(D−2)とは、混合前の重量平均フレ−ク径が40〜
1400μmで、重量平均アスペクト比が10〜100
の極めて薄い板状強化材であり、通常、無アルカリのガ
ラスフレ−クが用いられる。更に、熱可塑性ポリエステ
ル樹脂(A)とガラスフレ−ク(D−2)との密着性を
向上させるために前述のカップリング剤を用いることが
好ましい。ガラスフレ−ク(D−2)としては、アスペ
クト比が20以上であり、重量平均粒径が50μm以上
のものがより好ましい。
【0056】本発明ではガラス繊維(D−1)とガラス
フレ−ク(D−2)とは常に併用して用いられる。ガラ
ス繊維(D−1)とガラスフレ−ク(D−2)の配合比
率はガラス繊維(D−1)/ガラスフレ−ク(D−2)
=10〜60/90〜40重量%であり、好ましくは
(D−1)/(D−2)=20〜50/80〜50重量
%である。ガラス繊維(D−1)とガラスフレーク(D
−2)の配合比率がかかる範囲にあるなら、流動性、靱
性、成形品のソリ、機械的強度などのより優れた特性を
得ることが出来る。
【0057】また、本発明の熱可塑性樹脂組成物におい
て、ガラス繊維(D−1)とガラスフレ−ク(D−2)
の合計量は10〜50重量%が好ましく、より好ましく
は20〜45重量%である。かかる範囲の配合量であれ
ば、良好な流動性と優れた機械的強度を得ることが出来
る。
【0058】また、本発明の熱可塑性樹脂組成物には、
熱可塑性ポリエステル樹脂(A)およびABS樹脂
(B)以外の熱可塑性樹脂および熱硬化樹脂を30重量
%以下で使用しても差し支えない。その際に用いられる
各種の熱可塑性樹脂および熱硬化性樹脂としては、ポリ
アミド、ポリウレタン、ポリエチレン、ポリプロピレ
ン、ポリスチレン系、AS、PVC、POM、ポリカ−
ボネ−ト、ポリサルホン、ポリエ−テルサルホン、ポリ
フェニレンサルファイド、ポリフェニレンオキサイド、
ポリエチレンナフタレ−ト、ポリブチレンナフタレ−
ト、PCT、液晶ポリマ−等の熱可塑性樹脂;ビニルエ
ステル樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、メラミン樹脂、
ベンゾグアナミン樹脂、ジアリルフタレ−ト樹脂、アル
キッド樹脂、フェノ−ル樹脂、エポキシ樹脂、ポリイミ
ド樹脂等の熱硬化性樹脂;SBR、水添SBR、NB
R、水添NBR、エチレン-プロピレン共重合体、シリ
コンゴム、フッ素系ゴム、ポリエステル系エラストマ
−、ポリアミド系エラストマ−等の耐衝撃改良剤を添加
することも可能である。
【0059】更に、本発明の熱可塑性樹脂組成物には必
要に応じて、安定剤、可塑剤、滑剤、難燃剤、顔料等を
配合することが出来る。具体的には、ヒンダードフェノ
−ル系、ホスファイト系、チオエ−テル系等の熱安定
剤;エステル系ワックス、ポリエチレンワックス、ポリ
プロピレンワックス等の滑剤および離型剤;トリフェニ
ルホスフェート、トリクレジルホスフェート等のホスフ
ェート系難燃剤;デカブロモビフェニル、デカブロモフ
ェニルエーテル等の臭素系難燃剤;三酸化アンチモン等
の難燃助剤;酸化チタン、硫化亜鉛、酸化亜鉛等の顔
料;本発明以外のアスベスト、ウオラストナイト、タル
ク等の充填剤等;アルミ粉末等の金属粉が挙げられる。
【0060】本発明の熱可塑性樹脂組成物は公知の方法
により得ることが出来、前記(A)、(B)、(C)、
(D−1)、(D−2)の各成分およびその他の成分
を、例えば、ブレンダーやミキサーなどを用いてドライ
ブレンドする方法、押出機を用いて溶融混合する方法な
どが挙げられるが、通常、スクリュー押出機を用いて溶
融混合してストランド状に押し出し、ペレット化する方
法等が行われる。
【0061】本発明の熱可塑性樹脂組成物は、射出成
形、押出成形、圧縮成形などの種々の成形法で容易に成
形出来、優れた流動性を有するため、特に射出成形に好
適である。また、機械的性質に優れているので、特に自
動車外板用の成形品に有用であり、その他の用途の成形
品にも使用出来る。
【0062】本発明の樹脂組成物は上述の通り種々の顔
料を添加することが出来、これにより意匠性に富んだ成
形品とすることが可能である。また優れた流動性を有す
るため、任意の樹脂製フィルムを型内にセットした後、
型内に樹脂を充填しフィルムと一体化する所謂フィルム
インサート成形にも好適であり、外観欠陥のない表面品
質に優れた成形品を得ることが出来る。樹脂製フィルム
は透明樹脂から成る透明フィルムでもよいし、着色層を
含む多層構造の着色フィルムでもよい。着色フィルムを
用いた場合、樹脂の色等を気にすることなく意匠性に優
れた成形品が得られる。通常、大型の成形品をこのよう
なインサート成形で得る場合、型内の隅々まで樹脂を充
填するため、型に多点のゲートを設ける場合が多いが、
ウエルドの発生頻度が高くなり、皺等の外観欠陥を生じ
易くなる。本発明の樹脂組成物はその良好な流動性のた
め、多点ゲートを用いなくとも表面品質に優れた成形品
を複雑な型設計を要することなく得ることが可能である
という大きな利点がある。
【0063】また、本発明の樹脂組成物を用いて意匠性
に優れた成形品を得る方法としては、上述の方法の他
に、予め印刷層が形成された樹脂製フィルムを型内に印
刷層の裏面が型内で露出するようセットした後、型内に
樹脂を充填し印刷層と一体化し、印刷層が転写された成
形品を得る方法や、予め型内面に塗料を塗布し、その後
型内に樹脂を充填し塗料と一体化し表面に塗膜を有する
成形品を得る方法などがある。これらの場合も上述と同
様、本発明の熱可塑性樹脂組成物の良好な流動性のた
め、複雑な型設計を要することなく表面品質と意匠性に
優れた成形品を得ることが出来るのである。また、先に
成形品を成形しておき、これを予め印刷層が形成された
樹脂製フィルムに押し当て、印刷層と成形品を一体化す
る水圧転写法等を用いることも出来る。
【0064】
【実施例】以下、本発明を実施例と比較例により、更に
具体的に説明するが、本発明はその要旨を越えない限り
これらの実施例に限定されるものではない。以下におい
て、部および%は特にことわりのない限り、全て重量基
準である。尚、比較例の測定値に記した×印は著しく劣
ることを意味する。
【0065】[熱可塑性ポリエステル樹脂の酸価の測定
方法]200mlの三角フラスコに熱可塑性ポリエステ
ル樹脂を1.0〜2.0g精秤し、ベンジルアルコール
を60ml加えて、三角フラスコ内を窒素ガスで充分に
置換した後、直ちにアルミ箔で封をして、三角フラスコ
を160℃の恒温油槽に浸して振動させながら樹脂を溶
解させる。完全に溶解したことを確認し、0.1%ブロ
モチモ−ルブル−/エタノール溶液を加え、三角フラス
コに撹拌子を入れ、加熱スタ−ラ−上で加熱撹拌しなが
ら、1/50N水酸化カリウム/ベンジルアルコ−ル溶
液にて滴定する。滴定の終点は黄色が黄緑色に変化した
時点とした。次式に従い、酸価を算出する。
【0066】 酸価(mgKOH/g)=〔(V-V0)×F×1.122〕/S V(ml):試料での1/50N水酸化カリウム/ベンジルアル
コ−ル溶液の滴定量 V0(ml):ブランクの1/50N水酸化カリウム/ベンジル
アルコ−ル溶液の滴定量 F:1/50N水酸化カリウム/ベンジルアルコ−ル溶液の
ファクター S(g):試料の重さ
【0067】[曲げ強さの測定方法]曲げ強さ及び曲げ
弾性率を、射出成形機により、長さ127mm、幅1
2.7mm、厚み3.01mmの棒状試験片を成形し、
ASTM D−790に準拠し、荷重速度5mm/分、
スパン間距離50mmで島津オートグラフ AG500
0を用いて測定した。
【0068】[アイゾット衝撃値の測定方法]射出成形
機により、長さ127mm、幅12.7mm、厚み3.
01mmの棒状試験片を成形し、この試験片を長手方向
に半分切断し、ゲ−ト側に切削でVノッチを付け、ノッ
チ付き試験片とした。測定温度は23℃と−20℃の2
点で、ASTM D−256に準拠し、アイゾット衝撃
値を測定した。
【0069】[スパイラルフロ−長の測定方法]断面形
状が幅6.4mm、厚み1.6mmのスパイラル状を有
する金型を用い、以下の条件でスパイラルフロ−長を測
定した。 成形機 東芝IS50AM シリンダ−温度 260℃ 金型温度 60℃ 圧力 60kg/cm2 射出速度 C−0 冷却時間 15秒 射出時間 5秒 計量 45mm
【0070】[耐湿熱性の評価方法]曲げ試験片を12
1℃、1.1kg/cm2の飽和水蒸気圧下に48時間
放置後、曲げ強さを測定し、放置前と放置後の曲げ強さ
を測定し、曲げ強さ保持率で評価した。
【0071】[収縮率異方性の評価方法]射出成形機に
て、シリンダ−温度250℃、金型60℃で、長さ10
5mm×幅50mm×厚み2.0mmで厚み1mmのフ
ィルムゲ−トを持つ金型で、上記の形状の成形シ−トを
成形し、流動方向と直角方向の寸法をノギスで測定し、
収縮率を求めた。また、収縮率の流動方向/直角方向の
比により収縮率異方性の評価(1に近いほど異方性が小
さい)を行った。
【0072】[線熱膨張率の測定方法]前述した曲げ試
験用試験片を、長さ5mm×幅5mmに切削加工し、−
30℃〜100℃の流動方向線膨張係数を、マックサイ
エンス社製 TMA4000Sを用いて測定した。
【0073】《実施例1〜6》および《比較例1〜6》
極限粘度0.7dl/g、酸価:1.1mgKOH/g
のPBT樹脂(A−1)と、ABS樹脂(B)としてア
クリロニトリル/ブタジエン/スチレン=30/20/
50重量%のABS樹脂と、複合ゴム系グラフト共重合
体(C)として、ポリオルガノシロキサンゴム=60重
量%とポリアルキル(メタ)アクリレ−トゴム=24重
量%の平均粒径が0.16μmの複合ゴムにグラフト共
重合体成分(アクリロニトリル30重量%、スチレン7
0重量%からなるアクリロニトリル/スチレン共重合
体)=16重量%からなる複合ゴム系グラフト共重合
体、ガラス繊維(D−1)として、直径が13μmのガ
ラス繊維、ガラスフレ−ク(D−2)として、重量平均
粒径140μmのガラスフレ−クを用い、表1に示す割
合で配合し、タンブラ−で10分間攪拌したものを得
た。この配合物を40mmのベントタイプ1軸押出機(ア
イ・ケ−・ジ−社製)を用いて250℃で混練してスト
ランドに押し出し、ペレット化し、このペレットを射出
成形機にて前述した試験片に成形し、測定方法に従って
評価した。比較例として実施例1と同様の原料を用い
て、表2に示す割合で配合し試験片に成形し、実施例1
と同様に評価した。実施例1〜6の結果を表1に、比較
例1〜6の結果を表2に示した。本発明の組成物は流動
性、靭性および機械的強度に優れていることが判る。
【0074】
【表1】
【0075】
【表2】
【0076】《実施例7〜8》および《比較例7》実施
例1で使用したPBT樹脂(A−1)の代わりに、表3
に示すPBT樹脂(A−2)〜(A−4)を用いて表4
に示すように配合し、実施例7〜8および比較例7を行
い、実施例1と同様に評価した。その結果を表4に示し
た。本発明の組成物は流動性、靭性においてバランスの
良い材料であり、かつ耐湿熱性に優れていることが判
る。
【0077】
【表3】
【0078】
【表4】
【0079】《実施例9》および《比較例8〜9》 リアフェンダー形状の部品を成形し、評価を行なった。
部品成形は、予め真空成形機で形状付与した市販の樹脂
製着色フィルム(三菱化学MKV(株)製:ドライペイ
ントフィルムAVLOY、厚み約0.6mm、バッキン
グABS)を型内にセットした後、型締め力5000ト
ンの射出成形機で型内に樹脂を充填して行なった。樹脂
材として実施例3および比較例4と同じ組成物を用い、
それぞれ実施例9および比較例8とした。併せて、市販
のPC/ABS材(三菱エンシ゛ニアリンク゛フ゜ラスチック(株)製:
PM1210)を用いて同様に成形し、比較例9とし
た。得られたリアフェンダー形状部品は平均板厚約3.
5mmであった。部品のほぼ平滑かつ板厚約5mmの面
より試験片を切り出し、以下の評価を行なった。評価結
果を表5に示す。
【0080】[変形/反りの評価方法]目視にて実部品
形状と設計形状との差異を確認した。
【0081】[表面品質の評価方法]目視にて部品表面
の皺や割れ等の外観欠陥の有無を確認した。
【0082】[曲げ弾性率の測定方法]試験片の巾を1
0mmとし、荷重速度2mm/min、スパン間距離48.
5mm、測定温度23℃で、ISO R−178に準拠
し、三菱化成全自動曲げ試験機を用いて曲げ弾性率を測
定した。
【0083】[アイゾット衝撃値の測定方法]試験片の
巾を10mmとし、切削でVノッチを付けノッチ付き試
験片とした。測定温度は−30℃で、ISO R−18
0に準拠し、安田精機温度可変衝撃試験機No195−
LFRを用いてアイゾット衝撃値を測定した。
【0084】[平均線膨張係数の測定方法]試験片を長
さ15mm、一辺の長さが約5mmの角柱状に加工し、
−30℃〜130℃の平均線膨張係数を、JIS K7
197に準拠し、セイコー電子TMA装置を用いて測定
した。
【0085】
【表5】
【0086】本発明の組成物を用いた場合、変形/反り
が小さく、優れた表面品質を有し、剛性、耐衝撃性、熱
膨張特性に優れた大型成形品が得られる。
【0087】
【発明の効果】本発明によれば、靭性、特に低温衝撃値
に優れ、かつ収縮率の異方性が少なく、また流動性、耐
湿熱性、熱膨張特性、剛性に優れた組成物を提供でき
る。したがって、本発明の組成物は大形の成形品に好適
であるため、特に自動車外板用に有用である。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) C08J 5/00 CFD C08J 5/00 CFD C08K 7/00 C08K 7/00 7/14 7/14 C08L 51/08 C08L 51/08 55/02 55/02 (72)発明者 中島 正雄 神奈川県横浜市神奈川区宝町2番地 日産 自動車株式会社内 (72)発明者 半田 浩一 神奈川県横浜市神奈川区宝町2番地 日産 自動車株式会社内 Fターム(参考) 4F071 AA12 AA12X AA22 AA22X AA33 AA33X AA34 AA34X AA44 AA45 AA46 AA67 AA77 AB28 AD01 AD05 AH07 BB03 BB05 BB06 BC07 4F100 AG00A AK01B AK41A AK52A AK74A AL01A AL04A AL05A AL09A BA02 BA07 CA13B DE02A DG01A EH17 EH36 EH46B GB32 HB00B HB31B JA20A JD04 JJ03 JK01 JK10 JL04 JL10B YY00A 4J002 BN123 BN152 BN173 CF031 CF041 CF051 CF061 CF071 CF081 CF181 CP173 DL006 DL007 FA017 FA046 FD010 FD060 FD090 FD130 FD160 FD170 GN00

Claims (9)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 少なくとも、酸価が1.5mgKOH/
    g以下の熱可塑性ポリエステル樹脂(A)と、アクリロ
    ニトリル/ブタジエン/スチレン樹脂〔ABS樹脂〕
    (B)と、ポリオルガノシロキサンゴム成分10〜90
    重量%およびポリアルキル(メタ)アクリレートゴム成
    分90〜10重量%からなり、かつ平均粒子径が0.0
    8〜0.6μmである複合ゴムに1種または2種以上の
    ビニル系単量体をグラフト重合させてなる複合ゴム系グ
    ラフト共重合体(C)と、ガラス繊維(D−1)と、ガ
    ラスフレ−ク(D−2)を配合してなることを特徴とす
    る熱可塑性樹脂組成物。
  2. 【請求項2】 前記熱可塑性樹脂組成物全体を100重
    量%とするとき、前記熱可塑性ポリエステル樹脂(A)
    が30〜80重量%、前記アクリロニトリル/ブタジエ
    ン/スチレン樹脂〔ABS樹脂〕(B)が2〜30重量
    %、前記複合ゴム系グラフト共重合体(C)が2〜20
    重量%、前記ガラス繊維(D−1)およびガラスフレ−
    ク(D−2)の合計量が10〜50重量%であり、かつ
    (D−1)/(D−2)=10〜60/90〜40重量
    %であることを特徴とする請求項1記載の熱可塑性樹脂
    組成物。
  3. 【請求項3】 前記熱可塑性ポリエステル樹脂(A)
    の、フェノ−ル/テトラクロロエタン=6/4重量比の
    混合溶媒を用いて、温度30±0.1℃で測定した極限
    粘度〔η〕が0.6〜1.0dl/gであることを特徴
    とする請求項1記載の熱可塑性樹脂組成物。
  4. 【請求項4】 請求項1〜3のいずれかに記載の熱可塑
    性樹脂組成物から成る自動車外板用の成形品。
  5. 【請求項5】 成形品の一方の面を被覆する樹脂製フィ
    ルムを型内にセットした後、前記熱可塑性樹脂組成物を
    型内に充填し、該樹脂製フィルムと該熱可塑性樹脂組成
    物を一体化してなることを特徴とする請求項4記載の成
    形品。
  6. 【請求項6】 上記樹脂製フィルムが少なくとも着色樹
    脂層を含む多層構造を有することを特徴とする請求項5
    記載の成形品。
  7. 【請求項7】 予め印刷層が形成された樹脂製フィルム
    を型内に印刷層の裏面が型内で露出するようにセットし
    た後、前記熱可塑性樹脂組成物を型内に充填し、該印刷
    層と該熱可塑性樹脂組成物を一体化してなることを特徴
    とする請求項4記載の成形品。
  8. 【請求項8】 型の内面に塗料を塗布した後、前記熱可
    塑性樹脂組成物を型内に充填し、該熱可塑性樹脂組成物
    に塗料を転写し一体化してなることを特徴とする請求項
    4記載の成形品。
  9. 【請求項9】 予め印刷層が形成された樹脂製フィルム
    に前記熱可塑性樹脂組成物から成る成形体を押し当て、
    該印刷層と該熱可塑性樹脂組成物から成る成形体を一体
    化してなることを特徴とする請求項4記載の成形品。
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