JP2005206456A - 高純度炭酸カルシウム及びその製造方法 - Google Patents

高純度炭酸カルシウム及びその製造方法 Download PDF

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恭之 星野
Hideyuki Kurihara
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Abstract

【課題】 含有不純物金属が少ない高純度炭酸カルシウムを製造する方法を提供する。
【解決手段】 不純物金属を含む水酸化カルシウムの水溶液または懸濁液(水酸化カルシウム濃度:0.5質量%以下)に、二酸化炭素を含むガスを供給して高純度炭酸カルシウムを合成する。反応温度を40〜90℃の間とすることにより、含有不純物金属が極めて少ない(ストロンチウム及びマグネシウムの濃度が、各々0.1質量ppm以下の)超高純度の炭酸カルシウムが得られる。
【選択図】なし

Description

本発明は高純度炭酸カルシウムの製造方法に関する。さらに詳しく言えば、特に、光学材料や電子材料として使用するのに適した含有不純物金属が極めて少ない超高純度炭酸カルシウムの製造方法に関する。
炭酸カルシウムは、半導体製造装置の光学部材やコンデンサなどの電子部品の材料として使用されている。光学部材として使用される場合には、炭酸カルシウムはフッ化カルシウム結晶まで加工されて、主に半導体の回路をシリコン半導体基板に転写する露光装置(ステッパ)などに適用されている。フッ化カルシウム結晶中に不純物金属が多く含まれると、紫外波長域の露光光の透過率が大きく低下してしまい、光学部材として使用する上で重大な問題となる。また、積層セラミックコンデンサなどの電子部品を製造するための原料として炭酸カルシウムを用いる場合には、炭酸カルシウム中に含有する不純物金属のために、希望する電気特性が得られないなど問題を生じる場合がある。
したがって、炭酸カルシウムを光学部材や電子部品の原料として使用する場合に、その特性を十分に引き出すためには、含有不純物金属が極めて少ない高純度炭酸カルシウムを用いることが必要不可欠である。
特に、ステッパにおいては、光リソグラフィによる転写パターンの解像度を高めるために使用する光の波長を短くする必要がある。このため光リソグラフィ用光源として、g線(436nm)からi線(365nm)、さらにKrFエキシマレーザ(248nm)、ArFエキシマレーザ(193nm)へと短波長化が実現されており、次世代技術としてはF2エキシマレーザ(157nm)が開発されている。ステッパでは、これらのエキシマレーザ光源から発振された光が、数十枚にもおよぶ光学レンズなどを通して、半導体ウエハの表面に集光される。特に、波長が短いF2エキシマレーザ光(157nm)を利用する場合、光学レンズとして使用されるフッ化カルシウム単結晶中に、0.01〜1質量ppmレベルの極微量の不純物を含有していると、その含有不純物に由来する光吸収損失や屈折率の違いから、ステッパの露光性能を大きく低下させてしまう場合があることが確認されている。そのために、フッ化カルシウムの原料として利用される炭酸カルシウムには、不純物として含有する全ての金属元素濃度が、好ましくは、各々0.1質量ppm以下のレベルまで、より好ましくは、0.01質量ppm以下のレベルまでの超高純度化が要求されるようになってきている。すなわち、目標となる高純度炭酸カルシウムの純度は、好ましくは、99.9999質量%以上、より好ましくは、99.99999質量%以上である。
一般的に、高純度炭酸カルシウムは、(1)塩化カルシウムや硝酸カルシウムなどのカルシウム化合物の水溶液と、炭酸ナトリウムや炭酸アンモニウムなどの炭酸イオンを含有する水溶液を混合し反応させるか、あるいは(2)水酸化カルシウムの懸濁液(スラリー)に二酸化炭素ガスを供給することによって合成されている。これらの合成方法の中で、(1)の方法では、副生する塩の処理が必要になる。例えば、塩化カルシウムと炭酸ナトリウムの反応では、炭酸カルシウムの他に塩化ナトリウムが副生する。一方、(2)の方法では、塩の副生を回避できるため、水酸化カルシウム懸濁液に二酸化炭素ガスを供給する方法が、高純度炭酸カルシウムの工業的な製造プロセスに利用される場合が多い。
しかしながら、カルシウム塩を高純度化する工程で、カルシウムと同族であるアルカリ土類金属の分離除去は極めて困難で、特にカルシウムと物性が類似するマグネシウムとストロンチウムを、0.1質量ppm以下、さらには0.01質量ppm以下の濃度まで低減する方法は、これまでに報告されていない。一方、マグネシウムとストロンチウム以外の金属元素(鉄、銅、鉛などの重金属や、ナトリウム、カリウムなどのアルカリ金属など)は、カルシウムと不純物金属元素の物性の違い(硫化物や水酸化物の溶解度差など)を利用する従来の化学的手法により、容易に分離除去・精製することが可能である。それゆえ、マグネシウムとストロンチウム以外の不純物金属元素を、0.1質量ppm以下、さらには0.01質量ppm以下の濃度まで低減することは、従来手法により十分に可能であった。
上述したような、炭酸カルシウムの超高純度化の要求は、半導体回路の線幅が65nm以下となる次世代の半導体製造技術に利用されるF2エキシマレーザステッパの開発に伴って、急速に高まってきている。一方、高純度炭酸カルシウムの従来までの一般的な用途(プラスチック、ゴム、紙、食品等への添加剤や、赤外から可視光領域で用いられる一般光学部材など)において要求されていた純度レベルが、99.9〜99.99質量%程度であったことから、通常の化学的手法を利用した従来技術による高純度炭酸カルシウムの製造方法では、炭酸カルシウム中に含有する不純物金属、特に、マグネシウムとストロンチウムの濃度は、せいぜい数質量ppm〜数100質量ppm程度までしか低減されていない。
例えば、特開昭62-3602号公報(特許文献1)には、生石灰を水と接触させて消石灰スラリーを生成させ、固液分離してストロンチウムを水相に溶出除去し、続いて硝酸アンモニウムあるいは塩酸アンモニウム水溶液に消石灰を溶解してストロンチウムを含む不溶物を分離除去した後、消石灰のアンモニウム塩水溶液に二酸化炭素を接触させて高純度の炭酸カルシウムを析出させる方法が提案されている。この方法により、残存するストロンチウムを20質量ppm以下まで低減した炭酸カルシウムを製造することができる。また、特開昭63-156012号公報(特許文献2)には、カルシウム塩と炭酸塩あるいは炭酸ガスとの反応で高純度炭酸カルシウムを製造する方法において、反応させるCO2/Caのモル比を0.2〜0.9の範囲に調整することにより高純度炭酸カルシウムを製造する方法が提案されている。この方法で製造した炭酸カルシウム中のストロンチウムは、10質量ppm以下まで低減される。しかし、これらの従来方法では、本発明において目標としている99.9999〜99.99999質量%以上の超高純度炭酸カルシウムを合成することは不可能であった。
したがって、特にF2エキシマレーザステッパの光学部材として使用される良質な超高純度炭酸カルシウムを、効率的に製造する新しい方法の開発が強く望まれていた。
特開昭62−3602号公報 特開昭63−156012号公報
上記の技術背景に鑑み、本発明の課題は含有不純物金属が極めて少ない高純度炭酸カルシウムを製造する方法を提供することにある。
本発明者らは、前記の課題を解決すべく鋭意検討した結果、炭酸カルシウム中に含有する不純物金属の中で、特に分離除去・精製が困難であるストロンチウムとマグネシウムの含有量が、各々0.1質量ppm以下、さらには、0.01質量ppm以下まで低減できる高純度炭酸カルシウムの製造方法を見出した。この本発明の方法により、炭酸カルシウム中に含有する全ての不純物金属濃度が、各々0.1質量ppm以下、さらには0.01質量ppm以下である高純度の炭酸カルシウムを合成することが初めて可能となった。
すなわち、本発明は、以下の炭酸カルシウムの製造方法及びその方法により得られた高純度炭酸カルシウムを原料として得られる高純度フッ化カルシウムに関する。
1.水酸化カルシウムと二酸化炭素との反応により、炭酸カルシウムを製造する方法において、水溶液または懸濁液中の水酸化カルシウム濃度が0.5質量%以下であることを特徴とする高純度炭酸カルシウムの製造方法。
2.水酸化カルシウムの濃度が0.2質量%以下である前記1に記載の高純度炭酸カルシウムの製造方法。
3.前記二酸化炭素として、二酸化炭素の濃度が0.01〜1体積%となるように希釈されたものを使用する前記1または2に記載の高純度炭酸カルシウムの製造方法。
4.前記二酸化炭素として、二酸化炭素の濃度が0.1〜0.5体積%となるように希釈されたものを使用する前記3に記載の高純度炭酸カルシウムの製造方法。
5.前記水酸化カルシウムと二酸化炭素とを反応させる温度が、40〜90℃である前記1乃至4のいずれか1項に記載の高純度炭酸カルシウムの製造方法。
6.水酸化カルシウムと二酸化炭素とを反応させる温度が、50〜60℃である前記5に記載の高純度炭酸カルシウムの製造方法。
7.前記1乃至6のいずれか1項に記載の高純度炭酸カルシウムの製造方法によって製造された高純度炭酸カルシウム。
8.炭酸カルシウム中に含有するストロンチウム及びマグネシウムの濃度が、各々0.1質量ppm以下である前記7に記載の高純度炭酸カルシウム。
9.炭酸カルシウム中に含有するストロンチウム及びマグネシウムの濃度が、各々0.01質量ppm以下である前記8に記載の高純度炭酸カルシウム。
10.炭酸カルシウムの純度が99.9999質量%以上である前記7に記載の高純度炭酸カルシウム。
11.炭酸カルシウムの純度が99.99999質量%以上である前記10に記載の高純度炭酸カルシウム。
12.前記7乃至10のいずれか1項に記載の高純度炭酸カルシウムを原料として製造された高純度フッ化カルシウム。
以下、本発明について詳しく説明する。
本発明の方法では、マグネシウム、ストロンチウムなどの不純物金属を含む水酸化カルシウムを原料として使用し、水酸化カルシウムを水中に添加して、反応開始前の水酸化カルシウム水溶液または懸濁液とする。水酸化カルシウムの濃度は0.5質量%以下であり、0.01〜0.5質量%とすることが好ましく、特に、水に希釈する水酸化カルシウムが、水中で完全に溶解して水溶液として存在している状態に至るまで希釈した液を原料液とすることが好ましい。水酸化カルシウムの水への溶解度は、溶液の温度によって決まり、10℃では約0.19g/100g(水)、50℃では約0.13g/100g(水)、90℃では約0.10g/100g(水)である。このようにして調整した水酸化カルシウム液中に、二酸化炭素を含むガスを供給し、カルシウムの炭酸化反応を進行させて、高純度の炭酸カルシウムを製造する。
前述したように、工業的な炭酸カルシウムの製造方法では、石灰乳と呼ばれる水酸化カルシウムの懸濁液(=スラリー)に二酸化炭素を含むガスを供給することによって、高純度の軽質炭酸カルシウムを得る方法が一般的である。出発原料のスラリー濃度は、製造によって得たい炭酸カルシウムの形状や粒子サイズなどによって、5〜20質量%程度の範囲内で適宜選択される。このように、反応開始前の水酸化カルシウムとして、低濃度の水溶液ではなく、高濃度のスラリーを選択するのは、工業生産におけるプロセス設計上の理由からである。すなわち、原料となる水酸化カルシウムの濃度を、例えば1質量%以下の濃度まで低下させた場合には、単位体積当たりで製造可能な炭酸カルシウム量が制限されてしまい、その結果として、生産効率が低下してしまう。従って、工業生産の効率を考慮して、原料となる水酸化カルシウムの濃度を、可能な限り高めに設定するのが従来からの基本的な考え方であった。また、従来方法のように、出発原料を水酸化カルシウムの高濃度スラリーとして、高純度炭酸カルシウムを製造する方法でも、従来まで要求されていた程度の純度レベル(99.9〜99.99質量%程度)に十分に到達する炭酸カルシウムを製造することが、実際に可能であった。それゆえ、本発明のように、原料となる水酸化カルシウムの濃度を0.5質量%以下まで低下させて、高純度炭酸カルシウムを製造するための原料とする方法は、工業プロセスを設計する上では、生産効率を向上させるための工夫を新たに加えることが必要となる。しかし、本発明の方法は、従来技術では製造不可能であった超高純度の炭酸カルシウムを製造することをはじめて可能としたものであり、その技術的な価値は極めて大きいものである。
本発明の方法では、以下のような理由から、炭酸カルシウムの高純度化が可能になっている。水酸化カルシウムの濃度を、0.5質量%以下まで低下させて、水溶液あるいは超低濃度の懸濁液とすることにより、水酸化カルシウムの溶解と同時に、原料水酸化カルシウム中に含有している不純物金属を水中に完全に溶解することができる。この液中に、二酸化炭素を含むガスを供給することによって、炭酸化反応が進行し炭酸カルシウムが生成するが、この際、原料の水酸化カルシウムに元来含有されていたマグネシウム、ストロンチウムなどの不純物金属イオンは、炭酸カルシウムの沈殿に混入することなく、溶液側に残存することになる。この方法で製造した炭酸カルシウムを、通常の方法でろ過し、洗浄水により炭酸カルシウム粒子の表面に付着している不純物金属を除去した後乾燥する。この方法によって製造した炭酸カルシウム中に含有する不純物金属の濃度は、原料の水酸化カルシウム中に含有していた不純物金属の濃度に比べて、1/10〜1/100以下のレベルまで低減する。すなわち、原料して用いる水酸化カルシウム中に含有する不純物金属濃度が、数質量ppmである場合には、本発明の方法により製造した炭酸カルシウム中に含有する、マグネシウム、ストロンチウムなどの不純物金属濃度は、0.1〜0.01質量ppm以下のレベルまで低減することが可能である。ただし、反応液中の水酸化カルシウム液の濃度を、0.01質量%より低く設定した場合には、生産効率が著しく低下してしまうため、実用的な方法ではなくなってしまう。
一方、従来の方法のように、水酸化カルシウムのスラリーを出発原料として用いた場合には、原料の水酸化カルシウム中に含有していた不純物は、完全には溶液側に溶け出すことができない。そのために、水酸化カルシウムのスラリーに二酸化炭素を含むガスを供給した場合には、合成炭酸カルシウムの結晶中に、原料の水酸化カルシウムに元来含有していた不純物金属の一部が、混入してしまうものと考えられる。
さらに、水酸化カルシウム液に供給する、二酸化炭素を含むガス中の二酸化炭素の濃度は、0.01〜1体積%とすることが好ましく、0.1〜0.5体積%とすることがさらに好ましい。また、二酸化炭素を希釈するためのガスは、酸素、空気、及び窒素、アルゴン、ヘリウムなどの不活性ガスから任意に選択することが可能であるが、コスト的に有利な空気を利用することが好ましい。
前述したように、工業的な炭酸カルシウムの製造法では、水酸化カルシウムのスラリーに、二酸化炭素を含むガスを供給することによって、高純度の軽質炭酸カルシウムを得る方法が一般的であるが、水酸化カルシウムのスラリーに供給する二酸化炭素の濃度は、20〜100体積%程度の範囲で設定されている。このように、水酸化カルシウム液に供給する二酸化炭素の濃度を20〜100体積%程度の高濃度に規定して、高純度炭酸カルシウムを製造する方法でも、従来まで要求されていた程度の純度レベル(99.9〜99.99質量%程度)に十分に到達する炭酸カルシウムを製造することが可能であった。
本発明の方法によれば、水酸化カルシウムの希釈液に供給するガス中の二酸化炭素の濃度を低下させることによって、原料の水酸化カルシウム中に含有していた不純物金属が、合成炭酸カルシウム中に混入するのを防止することができる。二酸化炭素を含むガス中における二酸化炭素の濃度は、0.01〜1体積%とすることが好ましく、高純度化と生産効率の両者を有利にするために、0.1〜0.5体積%とすることがさらに好ましい。ただし、水酸化カルシウムの希釈液に供給する二酸化炭素の濃度を0.01体積%より低く設定すると、生産効率が著しく低下してしまうため、実用的でなくなってしまう。
また、本発明の方法では、水酸化カルシウムと二酸化炭素とを反応させる温度は、40〜90℃とすることが好ましく、50〜60℃とすることがさらに好ましい。
水酸化カルシウムと二酸化炭素とを反応させる温度を、10〜90℃まで変化させる詳細な実験を行った結果、反応温度が高いほど、合成炭酸カルシウム中のマグネシウム濃度が低減できること、また、反応温度が低いほど、合成炭酸カルシウム中に含有するストロンチウム濃度が低減できることを見出した。それゆえ、反応温度を中間の40〜90℃に設定することによって、マグネシウムとストロンチウムの含有濃度を低下させた高純度の炭酸カルシウムを得ることが可能となった。特に、50〜60℃の狭い温度領域で制御することにより、合成炭酸カルシウム中のマグネシウム及びストロンチウム濃度を0.01質量ppm以下まで低減することができる。
以下、本発明を実施例により説明するが、本発明はこれらの実施例に何ら限定されるものではない。
実施例1:
原料となる水酸化カルシウムの水中濃度を、0.01〜2質量%で変化させて、水酸化カルシウム水溶液あるいは水酸化カルシウム懸濁液に供給するガス中の二酸化炭素の濃度(空気により希釈)を0.5体積%、反応温度を50℃に固定して、炭酸カルシウムの合成実験を行った。含有する不純物金属濃度は、ICP(誘導結合プラズマ)発光分析法により分析した。
具体的には、不純物としてマグネシウムを0.52質量ppm、ストロンチウムを1.77質量ppm含有する水酸化カルシウムを原料として用いた。ポリエチレン製の反応容器内の純水(1000g)に、原料水酸化カルシウム0.1gを添加して、反応開始前の水酸化カルシウム水溶液を調製した。この液をウォーターバスにより50℃に加熱して、スターラーにより撹拌しながら、二酸化炭素を含むガスを供給した。二酸化炭素の濃度が0.5体積%となるように、空気により希釈した二酸化炭素を含むガスを、1000ml/minの流量で、6分間供給して炭酸カルシウムを合成した。合成した炭酸カルシウムを、ろ過後、純水で洗浄した後、100℃にて2時間乾燥した。
上記のように、水酸化カルシウムを0.1gとした場合は、水酸化カルシウムの液中濃度は0.01質量%となる。水酸化カルシウムの50℃における水への溶解度は、0.13g/100g(水)であるため、添加した水酸化カルシウムは水溶液として存在していることになる。水酸化カルシウムの水中濃度を変化させる目的で、純水(1000g)に添加する水酸化カルシウムの質量を変化させて、原料となる水酸化カルシウム液各種を調整した。例えば、2質量%とする場合には、純水(1000g)に、原料水酸化カルシウム20gを添加することによって、反応開始前の水酸化カルシウム液を調製した。また、水酸化カルシウムの濃度が、0.13質量%以上である場合には、水酸化カルシウムの溶解度を超過するために、水酸化カルシウムは、懸濁液として存在していることになる。
また、原料水酸化カルシウム水溶液中に供給する、0.5体積%の二酸化炭素を含むガス(1000ml/min)を流通する時間は、原料水酸化カルシウム液中に存在するCaのモル数と、供給する二酸化炭素のモル数が等量となる点を計算して設定した。例えば、原料水酸化カルシウム液中の水酸化カルシウム濃度が2質量%である場合には、0.5体積%の二酸化炭素を含むガス(1000ml/min)を流通する時間は、1211分間に設定した。
また、ろ過後の炭酸カルシウムの粒子表面を洗浄するために用いた洗浄水の使用量は、合成した炭酸カルシウム1g当たり、100gとした。
表1に、原料水酸化カルシウム及び各条件で合成した炭酸カルシウムの含有不純物金属濃度(マグネシウム及びストロンチウム)を示す。表1より、原料水酸化カルシウム濃度が低いほど、合成炭酸カルシウム中に含有する不純物濃度が低減可能であることがわかる。特に、水酸化カルシウムが0.13質量%以下で、反応温度50℃において水酸化カルシウムが水溶液として存在している場合には、合成炭酸カルシウム中のマグネシウム及びストロンチウムは、定量分析下限値(すなわち、0.01質量ppm)以下まで低減することができた。
Figure 2005206456
実施例2:
原料水酸化カルシウム水溶液に供給する二酸化炭素の濃度(空気により希釈)を0.01〜10体積%まで変化させて、原料水酸化カルシウムの水中濃度を0.1質量%、反応温度を50℃にそれぞれ固定して、炭酸カルシウムの合成実験を行った。含有する不純物金属濃度は、ICP(誘導結合プラズマ)発光分析法により分析した。
原料水酸化カルシウム水溶液に供給するガス中の二酸化炭素の濃度(空気により希釈)を変化させたこと以外は、実施例1と同様の方法で行った。すなわち、ポリエチレン製の反応容器内の純水(1000g)に、原料水酸化カルシウム1gを添加して、反応開始前の水酸化カルシウム水溶液を調製した。この液をウォーターバスにより50℃に加熱して、スターラーにより撹拌しながら、二酸化炭素を含むガスを供給した。空気により希釈した二酸化炭素を、1000ml/minの流量で、規定時間供給して炭酸カルシウムを合成した。二酸化炭素の濃度は、0.01〜10体積%となるよう変化させた。反応により合成した炭酸カルシウムは、ろ過後、純水で洗浄した後、100℃にて2時間乾燥した。
表2に、原料水酸化カルシウム及び各条件で合成した炭酸カルシウムの含有不純物金属濃度(マグネシウム及びストロンチウム)を示す。表2より明らかなように、原料水酸化カルシウム水溶液に供給するガス中の二酸化炭素の濃度が低いほど、合成炭酸カルシウム中に含有する不純物濃度が低減される。特に、二酸化炭素の濃度を0.5体積%以下に設定した場合には、合成炭酸カルシウム中のマグネシウム及びストロンチウムは、定量分析下限値(すなわち、0.01質量ppm)以下まで低減することができる。
Figure 2005206456
実施例3:
原料となる水酸化カルシウムの水中濃度を、0.10質量%、水酸化カルシウム水溶液に供給するガス中の二酸化炭素の濃度(空気により希釈)を0.5体積%に固定し、反応温度を10〜90℃の間で変化させて、炭酸カルシウムの合成実験を行った。含有する不純物金属濃度は、ICP(誘導結合プラズマ)発光分析法により分析した。
反応温度を変化させたこと以外は、実施例1と同様の方法で行った。すなわち、ポリエチレン製の反応容器内の純水(1000g)に、原料水酸化カルシウム1gを添加して、反応開始前の水酸化カルシウム水溶液を調製した。この液をウォーターバスにより規定の温度に調節して、スターラーにより撹拌しながら、二酸化炭素を含むガスを供給した。空気により希釈した二酸化炭素を、1000ml/minの流量で、規定の時間供給して炭酸カルシウムを合成した。反応温度は、10〜90℃の間で10℃毎に変化させた。反応により合成した炭酸カルシウムは、ろ過後、純水で洗浄した後、100℃にて2時間乾燥した。
表3に、原料水酸化カルシウム及び各条件で合成した炭酸カルシウムの含有不純物金属濃度(マグネシウム及びストロンチウム)を示す。表3より、合成温度が高いほど、合成炭酸カルシウム中に含有するマグネシウム濃度が低減できること、また、合成温度が低いほど、合成炭酸カルシウム中に含有するストロンチウム濃度が低減できることがわかる。それゆえ、合成温度を40〜90℃に設定することによって、高純度の炭酸カルシウムを得ることができる。特に、50〜60℃の狭い温度領域で制御することにより、合成炭酸カルシウム中のマグネシウム及びストロンチウムは、定量分析下限値(すなわち、0.01質量ppm)以下まで低減することが可能である。
Figure 2005206456
本発明の方法を用いれば、不純物金属を含む水酸化カルシウムを原料として用い、反応条件を最適化することによって、原料水酸化カルシウムに含有する不純物金属を分離して除去し、特に、光学部材や電子部品の材料として使用される高純度の炭酸カルシウムを製造することができる。

Claims (12)

  1. 水酸化カルシウムと二酸化炭素との反応により、炭酸カルシウムを製造する方法において、水溶液または懸濁液中の水酸化カルシウム濃度が0.5質量%以下であることを特徴とする高純度炭酸カルシウムの製造方法。
  2. 水酸化カルシウムの濃度が0.2質量%以下である請求項1に記載の高純度炭酸カルシウムの製造方法。
  3. 前記二酸化炭素として、二酸化炭素の濃度が0.01〜1体積%となるように希釈されたものを使用する請求項1または2に記載の高純度炭酸カルシウムの製造方法。
  4. 前記二酸化炭素として、二酸化炭素の濃度が0.1〜0.5体積%となるように希釈されたものを使用する請求項3に記載の高純度炭酸カルシウムの製造方法。
  5. 前記水酸化カルシウムと二酸化炭素とを反応させる温度が、40〜90℃である請求項1乃至4のいずれか1項に記載の高純度炭酸カルシウムの製造方法。
  6. 水酸化カルシウムと二酸化炭素とを反応させる温度が、50〜60℃である請求項5に記載の高純度炭酸カルシウムの製造方法。
  7. 請求項1乃至6のいずれか1項に記載の高純度炭酸カルシウムの製造方法によって製造された高純度炭酸カルシウム。
  8. 炭酸カルシウム中に含有するストロンチウム及びマグネシウムの濃度が、各々0.1質量ppm以下である請求項7に記載の高純度炭酸カルシウム。
  9. 炭酸カルシウム中に含有するストロンチウム及びマグネシウムの濃度が、各々0.01質量ppm以下である請求項8に記載の高純度炭酸カルシウム。
  10. 炭酸カルシウムの純度が99.9999質量%以上である請求項7に記載の高純度炭酸カルシウム。
  11. 炭酸カルシウムの純度が99.99999質量%以上である請求項10に記載の高純度炭酸カルシウム。
  12. 請求項7乃至10のいずれか1項に記載の高純度炭酸カルシウムを原料として製造された高純度フッ化カルシウム。
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