JP2005204489A - 車両の制御装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】4輪操舵が可能であり、前後輪の少なくとも一方の左右輪にモータが搭載された4輪駆動車両において、運転者の操舵に対する車両挙動の遅れを低減し、且つ車両を所望の状態に維持することを可能にする。
【解決手段】4輪操舵可能で、且つ4輪駆動車両が有する車両制御システムは、車両にモーメントを付与するための制御と、前輪と後輪に独立に実操舵角を設定するための制御を行う。車両に付与すべきモーメントと、ハンドル入力と前輪に設定すべき実操舵角との前輪実操舵角比と、ハンドル入力と後輪に設定すべき実操舵角との後輪実操舵角比は、操舵時で、且つモーメントが付与された場合の車両が発生するヨーレートと、車体スリップ角と、横加速度とが目標値となるようにして算出される。このように算出されたモーメントと前輪実操舵角比と後輪実操舵角比とを車両に設定することにより、操舵時の車両に、適切な車両挙動を発生させることができる。
【選択図】図7

Description

本発明は、エンジンの他にモータを利用して4輪駆動し、且つ前後輪で操舵が可能な車両の旋回安定制御に関する。
前後輪の一方をエンジンで駆動すると共に他方をモータなどの駆動装置で駆動する4輪駆動(4WD;Four-wheel-drive)車両が知られている。かかる4輪駆動車両の中には、走行中に車両の拳動が不安定になると、前後輪の駆動力配分比を変えたり、或いは左右輪の駆動力(即ち、「トルク」)配分比を変えたりして、車両の姿勢や旋回などの安定を図るものがある。例えば、特許文献1に記載された車両の制御装置では、車両の操舵角と、車速と、前後加速度と、横加速度と、ヨーレートなどの車両の走行状態を表すパラメータに基づいて、車両に付与すべき目標のヨーモーメント(以下では、単に「モーメント」と呼ぶ)を算出している。
また、前輪だけでなく後輪も操舵することが可能な4輪操舵(4WS;Four-wheel-steering)車両がある。かかる4輪操舵車両の中には、車両の旋回時などに、4輪それぞれの実操舵角などを変えたりして、車両の旋回安定性の向上を図るものがある。例えば、特許文献2に記載された技術では、4輪操舵が可能であり、前後輪の一方をエンジンにて駆動し他方をモータで駆動する4輪駆動車両に関するものが記載されている。
ところで、運転者の操舵に対して、車両は遅れてヨーレートや横方向加速度(以下、単に「横加速度」と呼ぶ)や車体スリップ角など(以下、これらを「車両挙動」と呼ぶ)が発生することがわかっている。このように運転者の操舵に対して遅れて車両挙動が発生するため、運転者は、操舵に対して生ずる車両挙動が一致しないとの違和感を覚える場合がある。また、運転者にこのような違和感が生ずることによって、車両の旋回運動の安定性などが損なわれてしまう場合がある。
しかしながら、上記した特許文献1及び2に記載された車両の制御技術においては、モータなどを用いたモーメントのみの制御しか行っておらず、ステアリング系との協調を行っていないため、運転者の操舵時において、その操舵に対して適切な車両挙動を得ることができなかった。よって、運転者が車両の操舵時に覚える違和感を解消することはできなかった。
特開平11−301293号公報 特開平6−247168号公報
本発明は、以上の点に鑑みてなされたものであり、4輪操舵が可能であり、前後輪の少なくとも一方の左右輪にモータが搭載された4輪駆動車両において、運転者の操舵に対する車両挙動の遅れを低減し、且つ車両を所望の状態に維持することが可能な車両の制御装置を提供することにある。
本発明の1つの観点では、前後輪の一方をモータにより駆動し、前後輪を各々独立して操舵可能な車両の制御装置は、当該車両に付与すべきモーメントを算出するモーメント算出手段と、当該車両の前輪及び後輪に設定すべき実操舵角を算出する前後輪実操舵角算出手段と、を備え、前記モーメント算出手段、及び前記前後輪実操舵角算出手段は、操舵時の車両が所望の状態となるように算出する。
上記の車両の制御装置は、前後輪の少なくとも一方をモータにより駆動する4輪駆動車両において、車両に付与すべきモーメントを算出し、算出されたモーメントに基づいて各モータへの駆動トルクなどを制御する。また、車両の制御装置は、前輪と後輪に対して独立に設定すべき実操舵角を算出し、算出された実操舵角を前輪及び後輪に課すことができる。車両を旋回させるための運転者によるハンドルの操作(即ち、操舵)に対して、車両にはヨーレート、横加速度、車体スリップ角がその操舵に対して遅れて発生する。そのため、上記の車両の制御装置は、操舵時の車両が所望の状態にて旋回運動するように、車両に付与すべきモーメント、及び車両に設定すべき前輪と後輪の実操舵角(以下、単に「前後輪実操舵角」とも呼ぶ)を算出する。こうして算出されたモーメントと前後輪実操舵角を車両に設定することにより、操舵時の車両に、適切な車両挙動を行わせることができるようになる。即ち、車両は、運転者のハンドル操作に協調した車両挙動を行うことができる。よって、運転者のハンドル操作に対して、車両に働くヨーレートと横加速度と車体スリップ角の発生が遅れない。また、運転者はハンドル操作時に違和感を覚えなくなる。
上記の車両の制御装置の一態様は、前記算出されたモーメントに基づいて、前記モータを制御するモータ制御手段と、前記算出された前輪の実操舵角及び後輪の実操舵角に基づいて、当該車両の前輪及び後輪の角度を変更する前後輪操舵手段と、を有し、前記モータ制御手段、及び前記前後輪操舵手段は、運転者のハンドル操作が所定条件を満たして行われた際に行う。この所定条件としては、運転者のハンドルを回す速度が所定速度以上である場合や、運転者のハンドルを回す角度が所定の角度を超えた場合などが挙げられる。これにより、操舵時の車両に生じる車両挙動の遅れを低減することができる。また、運転者のハンドルの操作が所定条件を満たした際に行うので、車両を旋回させるためでなくハンドル操作が行われた場合などに、無駄にモーメント及び前後輪実操舵角を車両に課すことはない。
上記の車両の制御装置の他の一態様では、前記モーメント算出手段、及び前記前後輪実操舵角算出手段は、前記車両に働くヨーレートと、前記車両の車体スリップ角とが目標値となるように算出し、前記前後輪実操舵角算出手段は、前輪の実操舵角に対する後輪に設定すべき実操舵角の比を算出する。操舵時の車両に発生するヨーレート及び車体スリップ角が目標値となるような条件のもと、車両に付与すべきモーメント、及び車両に設定すべき前輪と後輪の実操舵角比(以下、「前後輪実操舵角比」とも呼ぶ)を算出する。こうして算出されたモーメントと前後輪実操舵角比を車両に課すことにより、操舵時の車両は、運転者によるハンドルの操作に協調し、所望のヨーレートと車体スリップ角が発生した状態にて安定した旋回運動を行うことができる。また、運転者のハンドルの操作に対して、車両に働くヨーレートと車体スリップ角の発生が遅れないので、運転者は違和感を覚えない。
この場合、好ましくは、前記モーメント算出手段及び前記前後輪実操舵角算出手段は、式(1)に基づいてモーメントMと、前輪の実操舵角δfに対する後輪に設定すべき実操舵角の比kと、を算出し、
Figure 2005204489
Yr_taは当該車両の目標ヨーレート、β_taは当該車両の目標車体スリップ角、Grfは操舵による前輪のヨーレートゲイン、Grrは操舵による後輪のヨーレートゲイン、Trfは操舵による前輪のヨーレート時定数、Trrは操舵による後輪のヨーレート時定数、Grmは前記モーメントの付与によるヨーレートゲイン、Trmは前記モーメントの付与によるヨーレート時定数、Gbfは操舵による前輪の車体スリップ角ゲイン、Gbrは操舵による後輪の車体スリップ角ゲイン、Tbfは操舵による前輪の車体スリップ角時定数、Tbrは操舵による後輪の車体スリップ角時定数、Gbmは前記モーメントの付与による車体スリップ角ゲイン、Sはラプラス演算子、ωnは当該車両の車体固有振動数、ζは当該車両の車体減衰比、とする。式(1)を用いることにより、即座に車両に付与すべきモーメントと前後輪実操舵角比を算出することができる。
上記の車両の制御装置の他の一態様では、前記モーメント算出手段及び前記前後輪実操舵角算出手段は、前記車両に働くヨーレートと、前記車両に働く横加速度とが目標値になるように算出し、前記前後輪実操舵角算出手段は、前輪の実操舵角に対する後輪に設定すべき実操舵角の比を算出する。こうして算出されたモーメントと前後輪実操舵角比を車両に課すことにより、操舵時の車両は、運転者によるハンドルの操作に協調し、所望のヨーレートと横加速度が発生した状態にて安定した旋回運動を行うことができる。また、操舵時の車両に発生する車体スリップ角を目標値にするのでなく、横加速度を目標値にするため、車両の設計上の制約に拘束されることなく実現することができる。
この場合、好ましくは、前記モーメント算出手段及び前記前後輪実操舵角算出手段は、式(2)に基づいてモーメントMと、前輪の実操舵角δfに対する後輪に設定すべき実操舵角の比kと、を算出し、
Figure 2005204489
Yr_taは当該車両の目標ヨーレート、gy_taは当該車両の目標横加速度、Grfは操舵による前輪のヨーレートゲイン、Grrは操舵による後輪のヨーレートゲイン、Trfは操舵による前輪のヨーレート時定数、Trrは操舵による後輪のヨーレート時定数、Grmは前記モーメントの付与によるヨーレートゲイン、Trmは前記モーメントの付与によるヨーレート時定数、Ggyfは操舵による前輪の横加速度ゲイン、Ggyrは操舵による後輪の横加速度ゲイン、T1fは操舵による前輪の第1の横加速度時定数、T2fは操舵による前輪の第2の横加速度時定数、T1rは操舵による後輪の第1の横加速度時定数、T2rは操舵による後輪の第2の横加速度時定数、Ggymは前記モーメントの付与による横加速度ゲイン、Tgymは前記モーメントの付与による横加速度時定数、Sはラプラス演算子、ωnは当該車両の車体固有振動数、ζは当該車両の車体減衰比、とする。式(2)を用いることにより、即座に車両に付与すべきモーメントと前後輪実操舵角比を算出することができる。
上記の車両の制御装置の他の一態様では、前記モーメント算出手段及び前記前後輪実操舵角算出手段は、前記車両に働くヨーレートと、前記車両の車体スリップ角と、前記車両に働く横加速度と、が目標値になるように算出し、前記前後輪実操舵角算出手段は、ハンドルの操作に相当する実操舵角に対する前輪に設定すべき実操舵角の比と、ハンドルの操作に相当する実操舵角に対する後輪に設定すべき実操舵角の比と、を算出する。上記の車両の制御装置は、車両が操舵された際、車両にモーメントを付与すると共に、ハンドル操作に対して、前輪の実操舵角(以下、単に「前輪実操舵角」とも呼ぶ)及び後輪の実操舵角(以下、単に「後輪実操舵角」とも呼ぶ)をそれぞれ独立に設定する。更に、モーメントが付与された操舵時の車両において、車両に発生するヨーレートと横加速度と車体スリップ角が、目標値となるような条件のもと、モーメントと前輪実操舵角と後輪実操舵角を算出する。こうして算出されたものを車両に課すことにより、操舵時の車両は、運転者によるハンドルの操作に協調し、精度良く所望のヨーレートと横加速度と車体スリップ角が発生した状態にて、安定した旋回運動を行うことができる。
この場合、好ましくは、前記モーメント算出手段及び前記前後輪実操舵角算出手段は、式(3)に基づいてモーメントMと、ハンドルの操作に相当する実操舵角θに対する前輪に設定すべき実操舵角の比kfと、ハンドルの操作に相当する実操舵角θに対する後輪に設定すべき実操舵角の比krと、を算出し、
Figure 2005204489
Yr_taは当該車両の目標ヨーレート、β_taは当該車両の目標車体スリップ角、gy_taは当該車両の目標横加速度、Grfは操舵による前輪のヨーレートゲイン、Grrは操舵による後輪のヨーレートゲイン、Trfは操舵による前輪のヨーレート時定数、Trrは操舵による後輪のヨーレート時定数、Grmは前記モーメントの付与によるヨーレートゲイン、Trmは前記モーメントの付与によるヨーレート時定数、Ggyfは操舵による前輪の横加速度ゲイン、Ggyrは操舵による後輪の横加速度ゲイン、T1fは操舵による前輪の第1の横加速度時定数、T2fは操舵による前輪の第2の横加速度時定数、T1rは操舵による後輪の第1の横加速度時定数、T2rは操舵による後輪の第2の横加速度時定数、Ggymは前記モーメントの付与による横加速度ゲイン、Tgymは前記モーメントの付与による横加速度時定数、Gbfは当該車両の操舵による前輪の車体スリップ角ゲイン、Gbrは操舵による後輪の車体スリップ角ゲイン、Tbfは操舵による前輪の車体スリップ角時定数、Tbrは操舵による後輪の車体スリップ角時定数、Gbmは前記モーメントの付与による車体スリップ角ゲイン、Sはラプラス演算子、ωnは当該車両の車体固有振動数、ζは当該車両の車体減衰比、とする。式(3)を用いることにより、即座に車両に付与すべきモーメントと前後輪実操舵角比を算出することができる。
上記において、好適には、前記操舵による前輪のヨーレートゲインGrfは、式(4)に基づいて算出し、
Figure 2005204489
前記操舵による後輪のヨーレートゲインGrrは、式(5)に基づいて算出し、
Figure 2005204489
前記操舵による前輪の横加速度ゲインGgyfは、式(6)に基づいて算出し、
Figure 2005204489
前記操舵による後輪の横加速度ゲインGgyrは、式(7)に基づいて算出し、
Figure 2005204489
前記操舵による前輪の車体スリップ角ゲインGbfは、式(8)に基づいて算出し、
Figure 2005204489
前記操舵による後輪の車体スリップ角ゲインGbrは、式(9)に基づいて算出し、
Figure 2005204489
前記モーメントの付与によるヨーレートゲインGrmは、式(10)に基づいて算出し、
Figure 2005204489
前記モーメントの付与による横加速度ゲインGgymは、式(11)に基づいて算出し、
Figure 2005204489
前記モーメントの付与による車体スリップ角ゲインGbmは、式(12)に基づいて算出し、
Figure 2005204489
前記操舵による前輪のヨーレート時定数Trfは、式(13)に基づいて算出し、
Figure 2005204489
前記操舵による後輪のヨーレート時定数Trrは、式(14)に基づいて算出し、
Figure 2005204489
前記操舵による前輪の第1の横加速度時定数T1fは、式(15)に基づいて算出し、
Figure 2005204489
前記操舵による後輪の第2の横加速度時定数T2rは、式(16)に基づいて算出し、
Figure 2005204489
前記操舵による後輪の第1の横加速度時定数T1rは、式(17)に基づいて算出し、
Figure 2005204489
前記操舵による後輪の第2の横加速度時定数T2rは、式(18)に基づいて算出し、
Figure 2005204489
前記操舵による前輪の車体スリップ角時定数Tbfは、式(19)に基づいて算出し、
Figure 2005204489
前記操舵による後輪の車体スリップ角時定数Tbrは、式(20)に基づいて算出し、
Figure 2005204489
前記モーメントの付与によるヨーレート時定数Trmは、式(21)に基づいて算出し、
Figure 2005204489
前記モーメントの付与による横加速度時定数Tgymは、式(22)に基づいて算出し、
Figure 2005204489
前記車両の車体固有振動数ωnは、式(23)に基づいて算出し、
Figure 2005204489
前記車両の車体減衰比ζは、式(24)に基づいて算出し、
Figure 2005204489
mは当該車両の質量、Vは当該車両の速度、Iは当該車両のヨー方向の慣性モーメント、Kfは当該車両の前輪のコーナリングパワー、Kfは当該車両の後輪のコーナリングパワー、Lは当該車両のホイールベース、Lfは当該車両の重心点から前輪のドライブシャフトまでの距離、Lrは当該車両の重心点から後輪のドライブシャフトまでの距離、khは当該車両のスタビリティファクタ、とする。これらの値は、車両に設けてある走行状態などを検出するセンサからの検出値と車両の仕様情報から即座に算出することができる。
以下、図面を参照して本発明の最良な実施の形態について説明する。
[車両の構成]
まず、本発明の実施形態に係る車両の概略構成について図1を用いて説明する。図1は、本実施形態に係る車両100の概略構成を示す平面図である。なお、図1に示す車両100は、4WD(4輪駆動)で且つ4WS(4輪操舵)仕様のFR車両(エンジン前置き後輪駆動方式)に本発明を適用したものである。
車両100は、主として、エンジン1と、トルクコンバータ2と、トランスミッション3と、プロペラシャフト4と、ディファレンシャルギヤ5と、後輪用の左右のドライブシャフト6L及び6Rと、前輪用の左右のドライブシャフト9L及び9Rと、左右の後輪7L及び7Rと、左右の前輪10L及び10Rと、ハンドル16と、ステアリングシャフト18と、前輪操舵装置20と、後輪操舵装置21と、バッテリー13と、インバータ14と、左右の駆動ユニット8L及び8Rと、操舵角センサ151と、車速センサ152と、車両制御システム200と、を備える。なお、以下の説明では、左右対称に配置された構成要素については、左右の区別が必要な場合は符号に「L」、「R」を付し、左右の区別が不要な場合は「L」、「R」を省略する。例えば、左右の駆動ユニットを指す場合は「駆動ユニット8」と記述し、左側のモータを指す場合は「駆動ユニット8L」と記述する。
エンジン1は、燃焼室内の混合気を爆発させて、動力を発生する内燃機関である。燃焼室内での混合気の燃焼によるピストンの往復運動は、コンロッド(図示略)を介してクランクシャフト(図示略)の回転運動に変換される。クランクシャフトは、トルクコンバータ2、トランスミッション3、プロペラシャフト4、ディファレンシャルギヤ5、及びドライブシャフト6を介して後輪7に動力を伝達する。
トルクコンバータ2は、エンジン1とトランスミッション3との間に設けられる。トルクコンバータ2は、油などの作動流体を利用することにより、エンジン1から出力される回転トルクを断続的にトランスミッション3へ伝達するクラッチとしての機能と、その回転トルクを増大させてトランスミッション3へ伝達する機能とを有する。
トランスミッション3は、トルクコンバータ2とプロペラシャフト4との間に設けられ、前進4段(第1速〜第4速)、後進1段の各変速段に対応する複数のギヤ(プラネタリギヤ)などを有する。トランスミッション3は、ECUからの指令信号に基づき、図示しない油圧制御装置を作動させることにより、低速段から高速段への変速操作(シフトアップ)、或いは高速段から低速段への変速操作(シフトダウン)を行う。
プロペラシャフト4は、トランスミッション3とディファレンシャルギヤ5との間に設けられ、エンジン1から得られる駆動力を後輪7側へ伝達する推進軸である。
ディファレンシャルギヤ5は、複数の傘歯歯車を組み合わせたものから構成され、車両旋回時に内側の車輪と外側の車輪との回転速度を調整するギヤである。具体的には、車両100が直線道路を走行するときは、ディファレンシャルギヤ5は、左右の後輪7を同一の速度で回転させる。一方、車両100が旋回運動をするときは左右の後輪7の回転速度差が生じるため、ディファレンシャルギヤ5はそれらの回転速度を調整して、スムーズな旋回運動を可能とする。
ドライブシャフト6は、左右の後輪7と回転自在に連結される車軸である。ドライブシャフト6は、エンジン1からの駆動力によって回転し、後輪7へ動力を伝達する。
駆動ユニット8は、例えば永久磁石型同期式モータなどの電動式モータと減速機とを備え、左右の前輪を駆動させる位置に夫々設けられる。駆動ユニット8R及び8Lの夫々に、インバータ14と繋がっている電源ケーブル71が接続され、電圧信号が供給される。そして、その電圧信号に基づいて駆動ユニット8R及び8Lが駆動する。
ドライブシャフト9は左右独立にそれぞれ左右前輪10と回転自在に連結される車軸である。ドライブシャフト9は、それぞれ左右の駆動ユニット8の出力軸であり、各駆動ユニット8から独立に駆動力を与えられる。即ち、左右前輪10の駆動は左右の駆動ユニット8により独立に行われる。
ハンドル16は、運転者が車両100を旋回させるために操作される。そして、ハンドル16は、運転者のその操舵力を伝達する。このハンドル16の中央部にはステアリングシャフト17が接続されている。即ち、運転者がハンドル16を操舵すると、ステアリングシャフト17も回転するようになっている。さらに、ステアリングシャフト17は、前輪操舵装置20に接続されている。
前輪操舵装置20は、上記のステアリングシャフト17から伝達される操舵力と、車両制御システム200からの制御信号80によって駆動される。前輪操舵装置20はドライブシャフト9に接続されており、前輪操舵装置20の駆動によって前輪10の車体に対する角度が変更されるようになっている。
後輪操舵装置21は、車両制御装置200からの制御信号81によって駆動される。後輪制御装置21は、ドライブシャフト6に接続されており、後輪操舵装置21の駆動によって後輪7の車体に対する角度が変更されるようになっている。
また、車両100には、車両100の走行状態などを検出する様々なセンサが設けられている。図1においては、本実施形態に係る車両100の制御に主に用いるセンサとして、操舵角センサ151と車速センサ152を示している。操舵角センサ151は、ハンドル16の入力に対応する実際の操舵角(即ち、「実操舵角」)を検出するセンサである。車速センサ152は、車両100の走行スピード(即ち、「車速V」)を検出するセンサである。
操舵角センサ18の出力信号74(即ち、「実操舵角」に相当する電気信号)は、車両制御システム200に供給される。また、車速センサ19の出力信号75(即ち、「車速」に相当する電気信号)も、車両制御システム200に供給される。
バッテリー13は、鉛蓄電池、ニッケル水素電池などの2次電池であり、電源ケーブル70を介してインバータ14との間で電力の授受を行う。
インバータ14は、主として発電電力量を制御する装置であり、電源ケーブル70を通じてバッテリー13と、電源ケーブル71を通じて左右の駆動ユニット8と夫々接続される。また、インバータ14は車両制御システム200からトルク制御信号72を入力される。インバータ14は、バッテリー13から電力の供給を受けると、それを左右の駆動ユニット8が駆動するのに適した3相交流電圧に変換する。そして、インバータ14は、その変換後の3相交流電圧を左右の駆動ユニット8に供給して左右の駆動ユニット8を各々独立に駆動する。尚、インバータ14による左右の駆動ユニット8の駆動制御は、車両制御システム200からのトルク制御信号72に基づきなされる。また、インバータ14は、車両減速時などに駆動ユニット8から発生する電力の供給を受けると、その電力をバッテリー12の充電を行うのに適した直流電圧に変換し、電源ケーブル70を通じてバッテリー13の充電を行う。
車両制御システム200は、左右の前輪10を独立に駆動するとともに、前輪10と後輪7を独立に操舵して、操舵時の車両100が所望の車両挙動を行うようにさせるシステムである。車両制御システム200は、操舵時の車両100が、運転者の操舵に対して適切なヨーレートと横加速度と車体スリップ角が発生するように制御する。具体的には、車両制御システム200は、車両100に付与すべきモーメントと、前輪10と後輪7に設定すべき実操舵角とを算出する。こうして算出されたモーメントに基づいて左右の駆動ユニット8L及び8Rにおける夫々の出力トルクを決定し、この出力トルクに対応するトルク制御信号72をインバータ14へ出力する。また、算出された前輪10に設定すべき実操舵角比に基づいて前輪10の実操舵角を決定し、この実操舵角に対応する制御信号80を前輪操舵装置20へ出力する。同様に、算出された後輪7に設定すべき実操舵角比に基づいて後輪7の実操舵角を決定し、この実操舵角に対応する制御信号81を前輪操舵装置20へ出力する。なお、車両制御システム200は、図示しないECU(Engine Control Unit)内などに設けてもよい。
[第1実施形態]
以下では、本発明の第1実施形態に係る車両の制御に関する概念について、図2及び図3を用いて説明する。
まず、図2を参照して、車両100の操舵時に生ずる車両挙動の遅れについて説明する。なお、図2においては、説明の便宜上、車両100の操舵開始時の状態から説明を進めていく。
図2(a)は、車両100が旋回運動を開始したときの状態を示している(即ち、運転者が、車両を旋回させるために操舵を開始したときの状態である)。車両100の旋回は、運転者がハンドル16を回すことによって行われる。この場合、道が左方向へカーブしているため車両100は矢印40の方向に進まなければならないので、運転者はハンドル16を矢印42で示す方向(即ち、反時計回り)に回す。図示するように、車両100には、まだ操舵に対する挙動は生じていない。
次に、図2(b)に図2(a)から所定時間経過後の車両100の状態について示す。図2(b)は、車両100の旋回運動の最中を示す図である。このとき、車両100には、ヨーレートrと、横加速度gyと、車体スリップ角βとが発生している。これらの車両100が発生している挙動は、運転者がハンドル16を操舵した際に発生するべきであったものに当たる。すなわち、運転者による操舵に対して、車両100の挙動は遅れて生じていることがわかる。したがって、車両の旋回性能の低下に繋がる場合がある。また、運転者は操舵時に違和感を覚えるため、適切なハンドル16の操作を行うことができないので、車両100は安定した旋回を行うことできない場合もある。
そこで、本発明の実施形態では、車両100が操舵された際、車両100にモーメントを付与すると共に、前後輪の実操舵角をそれぞれ別個に設定する。図3に、それを具体的に示す。運転者によりハンドル16が操作されているとき、車両100にモーメントMを付与し、前後輪の実操舵角をそれぞれ別個に設定する(前輪の実操舵角をδfであり、後輪の操舵角をδrである)。これにより、操舵時の車両100は、運転者のハンドル16の操作に協調した適切な挙動を行うことができるようになる。即ち、操舵に対して、ヨーレートrと横加速度gyと車体スリップ角βの発生が遅れない。よって、車両100の旋回性能が向上する。また、運転者はハンドル16の操作時に違和感を覚えなくなり、適切にハンドル16の操作を行うことができるので、これによっても車両100は安定した旋回を行うことができる。
(車両制御システムでの処理)
次に、第1実施形態に係る車両制御システム200aでの具体的な処理について、図4を用いて説明する。車両制御システム200aは、左右の前輪10を独立に駆動するとともに、前輪10と後輪7を独立に操舵して、操舵時の車両100が所望の車両挙動を行うようにさせるシステムである。
図4に、第1実施形態に係る車両制御システム200aの構成などを示す。車両制御システム200aは、主として、車両仕様情報記憶部210と、車両状態量算出部220と、モーメント算出部230と、前後輪実操舵角比算出部232と、コントローラユニット240と、を備える。
車両制御システム200aには、各種センサ150から車両100の走行状態を示す信号250が入力される。車両制御システム200aは、各種センサ150の入力信号などに基づいてモーメントMと前後輪実操舵角比kとを算出する。さらに、車両制御システム200aは、モーメントMに基づいてトルク制御信号72を導出して、インバータ14にトルク制御信号72を出力する。同様に、車両制御システム200aは、前後輪実操舵角比kに基づいて実操舵角に相当する制御信号81を導出して、後輪操舵装置21に制御信号81に出力する。
各種センサ150は、主として、運転者によるハンドル16の操作時の実操舵角を検出する操舵角センサ151と、車両の走行速度を検出する車速センサ152と、運転者によりアクセルペダルが踏込まれたときの踏込量を検出するアクセル開度センサ153、車両100の前後加速度及び横加速度を夫々検出する加速度センサ154、旋回時における車両100のヨーレートを検出するヨーレートセンサ155などが挙げられる。各種センサ150の検出した値は、後述する車両状態量算出部220へ出力される。
車両仕様情報記憶部210は、主として、車両100における、ヨー慣性モーメント(以下、単に「慣性モーメント」と呼ぶ)I、質量m、ホイールベースL、重心点から前輪10のドライブシャフト9までの距離Lf、重心点から後輪7のドライブシャフト6までの距離Lr、前輪10のコーナリングパワーKf(1輪分のコーナリングパワーを表す)、後輪7のコーナリングパワーKf(1輪分のコーナリングパワーを表す)、車両の静的安定性を示すスタビリティファクタkhを記憶している。これらの情報は、車両の走行状態に影響を受けない定数である。車両仕様情報記憶部210は、これらの記憶している値を車両状態量算出部220へ出力する。
車両状態量算出部220は、各種センサ150からの入力される信号250と、車両仕様情報記憶部210から入力される信号252と、に基づいて求められる値(以下、「車両状態量」と呼ぶ)を算出する。具体的には、車両状態量算出部220は、目標ヨーレート算出部221と、目標スリップ角算出部224と、ゲイン算出部226と、時定数算出部228と、を備えて構成される。目標ヨーレート算出部221は、車両100が追従すべきヨーレートを算出する。目標車体スリップ角算出部224は、車両100がとるべき車体スリップ角を算出する。また、ゲイン算出部226と時定数算出部228は、モーメントMと前後輪実操舵角比kを算出する際に用いる演算式内の係数を算出する。車両状態量算出部220にて算出された車両状態量は、モーメント算出部230と前後輪実操舵角比算出部232へ出力される。なお、上記した車両状態量を算出するための演算式などは後述する。
モーメント算出部230は、車両状態量算出部220から車両状態量を示す信号254を取得する。そして、モーメント算出部230は、この信号254に基づいて車両100に付与すべきモーメントMを算出する。このモーメントMは、モーメント算出部230又は車両制御システム200a内の図示しないメモリに記憶された演算式に基づいて算出される。算出されたモーメントMは、コントローラユニット240へ出力される。
前後輪実操舵角比算出部232は、車両状態量算出部220から車両状態量を示す信号256を取得する。そして、前後輪実操舵角比算出部232は、車両100に設定すべき前輪の実操舵角δfと後輪の実操舵角δrの比k(即ち、「前後輪実操舵角比」)を算出する。第1実施形態においては、前輪の実操舵角δfはハンドル16の操作に対応する実操舵角δと同じものに設定する(即ち、δf=δ)。よって、前後輪実操舵角比kは、後輪の実操舵角δrを決定するものとなる(即ち、δr=kδf=kδ)。なお、前後輪実操舵角比kは、前後輪実操舵角比算出部232又は車両制御システム200a内の図示しないメモリに記憶された演算式に基づいて算出される。算出された前後輪実操舵角比kは、コントローラユニット240へ出力される。
コントローラユニット240は、入力されたモーメントMを実際に車両100が発生できるように、左右の駆動ユニット8L及び8Rにおける夫々の出力トルクを決定する。そして、コントローラユニット214は、決定した出力トルクに対応するトルク制御信号72をインバータ14へ出力する。同様に、コントローラユニット240は、入力された前後輪実操舵角比kから決定される実操舵角δrを後輪7が実現できるように、後輪操舵装置21に制御信号81を出力する。
以上のようにして算出されたモーメントM及び前後輪実操舵角比kを、操舵時の車両100に課すことにより、操舵に対するヨーレートの追従性が向上し、且つ車体スリップ角も所望の値に維持される。これにより、操舵時の車両100は、運転者のハンドル16の操作に協調した適切な挙動を行うことができるようになる。よって、車両100の旋回性能が向上する。また、運転者はハンドル16の操作時に違和感を覚えなくなる。
なお、車両制御システム200aは、運転者からのハンドル16の操舵が所定条件を満たして行われた際に、前述のモーメントM及び前後輪実操舵角比kを算出するための処理を開始する。この所定条件としては、運転者のハンドル16を回す速度が所定速度以上である場合や、運転者のハンドル16を回す角度が所定の角度を超えた場合などが挙げられる。また、モーメント算出部230及び前後輪実操舵角比算出部232は、所定時間毎に最新の信号が入力され、その都度モーメントM及び前後輪実操舵角比kを算出するものとする。さらに、モーメント算出部230及び前後輪実操舵角比算出部232は、運転者の操舵が定常状態に達した場合(即ち、運転者のハンドル16を切る速度が0となった場合)に、処理を終了するものとする。即ち、車両100の操舵が定常になった場合には、車両100に対してモーメントMを付与すること、及び前後輪に別個の実操舵角を設定することを終了する。
(モーメント及び前後輪実操舵角比の算出方法)
以下では、前述した車両100に付与するモーメントMと車両100に設定する前後輪実操舵角比kの算出方法などについて説明する。なお、モーメントM及び前後輪実操舵角比kの算出は、それぞれ、車両制御システム200a内のモーメント算出部230と前後輪実操舵角比算出部232が行うものとする。
一般的に、車両100の操舵に対するヨーレートrδと車体スリップ角βδの応答(即ち、車両100の操舵により発生するヨーレートと車体スリップ角)は、それぞれ式(25)及び式(26)で表される。
Figure 2005204489
Figure 2005204489
式(25)及び式(26)は、時間(t)の関数として表された式に対してラプラス変換を行った式である。したがって、式(25)及び式(26)は、Sはラプラス演算子であり、ラプラス演算子Sの関数として表現されている。また、δfは前輪10の実操舵角、δrは後輪7の実操舵角を示し、δr=kδf(k;前後輪実操舵角比)を満たしているものとする。なお、式(25)及び式(26)においては、モータなどにより車両100にモーメントが付与されていない状況での、操舵のみにより車両100に発生するヨーレートと車体スリップ角を示しているものとする。
式(25)において、Grfは操舵による前輪10のヨーレートゲイン、Grrは操舵による後輪7のヨーレートゲイン、Trfは操舵による前輪10のヨーレート時定数、Trrは操舵による後輪7のヨーレート時定数、ωnは車両固有振動数、ζはヨー減衰比を示しており、それぞれ式(27)及至式(32)を満たすものとする。これらの値は、車両100の走行状態等により求めることができ、ラプラス演算子Sの関数として表された式(25)の係数に当たる。
Figure 2005204489
Figure 2005204489
Figure 2005204489
Figure 2005204489
Figure 2005204489
Figure 2005204489
式(27)及至(32)において、mは車両100の質量、Lはホイールベース、Lfは車両100の重心点から前輪10のドライブシャフト9までの距離、Lrは車両100の重心点から後輪7のドライブシャフト6までの距離、Kfは前輪10のコーナリングパワー(1輪分)、Kfは後輪7のコーナリングパワー(1輪分)、Iは車両100の慣性モーメント、Vは車速、khは車両100の静的安定性を示すスタビリティファクタを示している。なお、これらの記号が示す意味などは、以下でも同様のものとして用いる。
また、式(26)において、Gbfは操舵による前輪10の車体スリップ角ゲイン、Gbrは操舵による後輪7の車体スリップ角ゲイン、Tbfは操舵による前輪10の車体スリップ角時定数、Tbrは操舵による後輪7の車体スリップ角時定数を示しており、それぞれ式(33)及至(36)を満たすものとする。これらの値は、車両100の走行状態等により求めることができ、ラプラス演算子Sの関数として表された式(26)の係数に当たる。
Figure 2005204489
Figure 2005204489
Figure 2005204489
Figure 2005204489
なお、式(26)中の車両固有振動数ωnとヨー減衰比ζは、それぞれ式(31)と式(32)を満たすものする。
以上の操舵によるヨーレートゲインGrf、Grr、及び操舵による車体スリップ角ゲインGbf、Gbは、それぞれ車両制御システム200a内の車両状態量算出部220が有するゲイン算出部226が算出する。また、操舵によるヨーレート時定数Trf、Trr、及び操舵による車体スリップ角ゲインTbf、Tbrは、それぞれ車両状態量算出部220内の時定数算出部228が算出する。
ここで、車両100が旋回運動している際の車両100に働く力などについて図5を用いて説明する。車両100は、速度Vにて進行し、実操舵角δ(ハンドル16の操舵に対応する実操舵角)の状態で、矢印45で示す進行方向に対して車体スリップ角βを付けて旋回運動をしている。このとき車両100にはヨーレートrが発生しており、車体スリップ角βが生じていることから前輪10にはコーナリングフォースFfが働き、後輪7にはコーナリングフォースFrが働いている。前述したように、本実施形態においては、操舵時の車両100に対して、点線矢印で示すモーメントMを付与し、前輪10の実操舵角をδfに設定し、後輪7の実操舵角をδrに設定してある。なお、図5においては、説明を簡単にする為、左右輪の実操舵角は同じであるものとしている。
車両100に図5に示すような力(車両100に付与するモーメントMを含む)が働いているときの、横方向の運動方程式を式(37)に示し、モーメント運動方程式(重心点G周りのモーメント運動方程式である)を式(38)に示す。
Figure 2005204489
Figure 2005204489
式(38)に示すように、車両100には本実施形態に係るモーメントMが付与されている。
横方向の運動方程式を表した式(37)とモーメント運動方程式を表した式(38)をそれぞれラプラス変換し、実操舵角δ=0のもと、ヨーレートrと車体スリップ角βについて解くと、式(39)と式(40)が得られる。ここで、実操舵角δ=0としたのは、車両100にモーメントMのみを付与したときのヨーレートr及び車体スリップ角βを算出するためである。
Figure 2005204489
Figure 2005204489
式(39)及び式(40)は、ラプラス演算子Sの関数として表されている。式(39)において、rmはモーメントMを付与したときのヨーレートを示しており、式(40)において、βmはモーメントMを付与したときの車体スリップ角を示している。このようにして、モーメントMを付与したときのヨーレートrmと車体スリップ角βmを求めることができる。
また、式(39)において、モーメントMを付与したときのヨーレートゲインGrmは式(41)で表され、モーメントMを付与したときのヨーレート時定数Trmは式(42)で表される。これらの値は、車両100の走行状態等により求めることができ、ラプラス演算子Sの関数として表された式(39)の係数に当たる。
Figure 2005204489
Figure 2005204489
さらに、式(40)において、モーメントMを付与したときの車体スリップ角ゲインGbmは式(43)で表される。車体スリップ角ゲインGbmは、車両100の走行状態等により求めることができ、ラプラス演算子Sの関数として表された式(40)の係数に当たる。
Figure 2005204489
前述したように、操舵された際の車両100には、式(25)に示したヨーレートrδと、式(26)に示した車体スリップ角βδが発生する。また、モーメントMを付与した際の車両100には、式(39)に示したヨーレートrmと、式(40)に示した車体スリップ角βmが発生する。以上から、車両100を操舵した際に同時にモーメントMを付与した場合の、車両100に発生するヨーレートr’は、式(44)のように表すことができる。
Figure 2005204489
式(44)に示すヨーレートr’は、式(25)に示した車両100の操舵によるヨーレートrδと、式(39)に示したモーメントMを付与したときのヨーレートrmを加算して表される。
一方、車両100を操舵したときに同時にモーメントMを付与した場合の、車両100に発生する車体スリップ角β’は式(45)のように表すことができる。
Figure 2005204489
式(45)に示す車体スリップ角β’は、式(26)に示した車両100の操舵による車体スリップ角βδと、式(40)に示したモーメントMを付与したときの車体スリップ角βmを加算して表される。
第1実施形態では、運転者により操舵されて旋回運動する車両100に対して、その旋回運動の安定性を向上させるために、車両100に発生するヨーレートr’が目標ヨーレートYr_taに追従するようにし、且つ車両100に発生する車体スリップ角β’が目標車体スリップ角β_taに維持されるようにする。即ち、車両100を操舵した際に同時にモーメントMを付与した場合の車両100に発生するヨーレートr’、車体スリップ角β’は、それぞれ式(46)、式(47)に示す条件を満たす必要がある。
Figure 2005204489
Figure 2005204489
式(46)に式(44)を代入すると式(48)が得られる。また、式(47)に式(45)を代入すると式(49)が得られる。
Figure 2005204489
Figure 2005204489
式(48)は、操舵された際にモーメントMが付与された車両100に発生するヨーレートr’を、目標ヨーレートYr_taに一致させることを示した式である。また、式(49)は、操舵された際にモーメントMが付与された車両100に発生する車体スリップ角β’を、目標車体スリップ角β_taに一致させることを示した式である。
式(48)と式(49)を連立させて、前後輪実操舵角比kとモーメントMについて解くと式(50)が得られる。
Figure 2005204489
式(50)より、前後輪実操舵角比kは、目標ヨーレートYr_taと、操舵によるヨーレートゲインGrf、Grrと、操舵によるヨーレート時定数Trf、Trrと、モーメントMの付与によるヨーレートゲインGrm、モーメントMの付与によるヨーレート時定数Trm、操舵による後輪7の車体スリップ角ゲインGbrと、操舵による後輪7の車体スリップ角時定数Tbrと、モーメントMの付与による車体スリップ角Gbmと、を用いて算出される。
また、式(50)より、モーメントMは、目標車体スリップ角β_taと、操舵による前輪10のヨーレートゲインGrrと、操舵による前輪10のヨーレート時定数Trrと、モーメントMの付与によるヨーレートゲインGrm、モーメントMの付与によるヨーレート時定数Trm、操舵による車体スリップ角ゲインGbf、Gbrと、操舵による車体スリップ角時定数Tbf、Tbrと、モーメントMの付与による車体スリップ角Gbmと、を用いて算出される。
以上説明したように、本発明の第1実施形態では、車両100が操舵された際、車両100にモーメントを付与すると共に、前後輪の実操舵角をそれぞれ別個に設定する。更に、モーメントMが付与された操舵時の車両100において、車両100に発生するヨーレートr’及び車体スリップ角β’が、目標値となるような条件のもと算出している。これらにより、操舵時の車両100は、運転者によるハンドル16の操作に協調し、所望のヨーレート及び車体スリップ角が発生した状態にて安定した旋回運動を行うことができる。また、運転者のハンドル16の操作に対して、車両に働くヨーレートと車体スリップ角の発生が遅れないので、運転者は違和感を覚えない。
[第2実施形態]
以下では、本発明の第2実施形態に係る車両の制御について説明する。
第2実施形態においても、運転者による操舵時の車両100に対して、モーメントMを付与し、前輪10と後輪7に対して別個に実操舵角を設定する。但し、第2実施形態においては、車両100に発生するヨーレートと横加速度が目標値になるようにして、上記の車両100に設定すべきモーメントMと前後輪実舵角比kを算出する。こうするのは、第1実施形態で示したように車体スリップ角を目標値に維持しようとするのは、車両100の設計上の制約のために、実現が困難である場合があるからでる。
(車両制御システムでの処理)
次に、第2実施形態に係る車両制御システム200bでの具体的な処理について、図6を参照して説明する。
車両制御システム200bは、左右の前輪10を独立に駆動するとともに、前輪10と後輪7を独立に操舵して、操舵時の車両100が所望の車両挙動を行うようにさせるシステムである。
車両制御システム200bは、各種センサ150から入力信号250を取得し、インバータ14と後輪操舵装置21に、車両100にモーメントを付与するためのトルク制御信号72と、後輪7の角度を変更するための制御信号81を出力する。各種センサ150と、インバータ14と、後輪操舵装置21は、第1実施形態にて示したものと同様のものを用いる。
車両制御システム200bは、基本的な構成・処理などは、第1実施形態に示したものと同様である。即ち、車両仕様情報記憶部210と、車両状態量算出部220と、モーメント算出部230と、前後輪実操舵角比算出部232と、コントローラユニット240から構成される。但し、車両状態量算出部220が、目標車体スリップ角算出部224の代わりに目標横加速算出部225を含んで構成される点で第1実施形態に示したものと異なる。
目標横加速度算出部225は、各種センサ150から入力される値と車両仕様情報記憶部210から入力される値に基づいて、車両100が発生すべき横加速度を算出する。よって、モーメント算出部230及び前後輪実操舵角算出部232は、目標横加速度算出部225にて算出された目標横加速度に基づいて、モーメントM及び前後輪実操舵角比kを算出する。
このように、第2実施形態に係る車体制御システム200bにて算出されたモーメントM及び前後輪実操舵角比kを操舵時の車両100に課すことにより、操舵に対するヨーレートの追従性が向上し、且つ横加速度も所望の値に維持される。これにより、操舵時の車両100は、運転者のハンドル16の操作に協調した適切な車両挙動を行うことができるようになる。また、モーメントM及び前後輪実操舵角比kを、横加速度が目標値となるように算出するので、車両100の素性に関係なく適切な車両挙動を実現することができる。
(モーメント及び前後輪実操舵角比の算出方法)
以下では、第2実施形態に係る、車両100に付与するモーメントMと車両100に設定する前後輪実操舵角比kの算出方法などについて説明する。なお、モーメントM及び前後輪実操舵角比kの算出は、それぞれ、車両制御システム200内のモーメント算出部230と前後輪実操舵角比算出部232が行うものとする。
一般的に、車両100の操舵に対するヨーレートrδは上記の式(25)で表され、操舵に対する横加速度gyδの応答は、式(51)で表される。なお、第2実施形態においても前輪10の実操舵角δfと後輪7の実操舵角δrは、δr=kδfの関係を満たしており、前輪10の実操舵角δfはハンドル16の操作に対応する実操舵角δに一致するものとする。
Figure 2005204489
式(51)において、Ggyfは操舵による前輪10の横加速度ゲイン、Ggyrは操舵による後輪7の横加速度ゲイン、T1fは操舵による前輪10の第1の横加速度時定数、T2fは操舵による前輪10の第2の横加速度時定数、T1rは操舵による後輪7の第1の横加速度時定数、T2rは操舵による後輪7の第2の横加速度時定数を示しており、それぞれ式(52)及至(57)を満たすものとする。これらの値は、車両100の走行状態等により求めることができ、ラプラス演算子Sの関数として表された式(51)の係数に当たる。
Figure 2005204489
Figure 2005204489
Figure 2005204489
Figure 2005204489
Figure 2005204489
Figure 2005204489
以上の操舵による横加速度ゲインGgyf、Ggyrは、車両制御システム200内の車両状態量算出部220が有するゲイン算出部226が算出する。また、操舵による横加速度時定数T1f、T2f、T1r、T2rは、車両状態量算出部220内の時定数算出部228が算出する。
次に、車両100に図5に示したような力などが働いており、車両100の運動方程式が式(37)及び式(38)で表されるものとする。横方向の運動方程式を表した式(37)とモーメント運動方程式を表した式(38)をそれぞれラプラス変換し、実操舵角δ=0のもと、横加速度gyについて解くと式(58)が得られる。
Figure 2005204489
式(58)において、gymはモーメントMを付与したときの横加速度を示している。また、式(58)において、モーメントMを付与したときの横加速度ゲインGgymは式(59)で表され、モーメントMを付与したときの横加速度時定数Tgymは式(59)で表される。これらの値は、車両100の走行状態等により求めることができ、ラプラス演算子Sの関数として表された式(58)の係数に当たる。
Figure 2005204489
Figure 2005204489
操舵された時の車両100には、上記した式(25)に示したヨーレートrδと、式(51)に示した横加速度gyδが発生する。また、モーメントMを付与した際の車両100には、式(39)に示したヨーレートrmと、式(58)に示した横加速度gymが発生する。よって、車両100を操舵した際に同時にモーメントMを付与した場合の、車両100に発生するヨーレートr’は、前述したように式(44)のように表すことができる。また、車両100を操舵したときに同時にモーメントMを付与した場合の、車両100に発生する横加速度gy’は式(61)のように表すことができる。
Figure 2005204489
式(61)に示す横加速度gy’は、式(51)に示した車両100の操舵による横加速度gyδと、式(58)に示したモーメントMを付与したときの横加速度gymとを加算したものである。
第2実施形態では、運転者により操舵されて旋回運動する車両100に対して、車両100の素性に関係なく旋回運動を安定して行えるように、車両100に発生するヨーレートr’が目標ヨーレートYr_taに追従するようにし、且つ車両100に発生する横加速度gy’が目標横加速度gy_taに維持されるようにする。即ち、車両100を操舵した際にモーメントMを付与した際に発生するヨーレートr’は上記した式(46)を満たし、横加速度gy’は式(62)を満たす必要がある。
Figure 2005204489
式(46)に式(44)を代入すると式(48)が得られ、式(62)に式(61)を代入すると式(63)が得られる。
Figure 2005204489
式(48)は、操舵された際にモーメントMが付与された車両100に発生するヨーレートr’を、目標ヨーレートYr_taに一致させることを示した式である。また、式(63)は、操舵された際にモーメントMが付与された車両100に発生する横加速度gy’を、目標車体スリップ角gy_taに一致させることを示した式である。
式(48)と式(63)を連立させて、前後輪実操舵角比kとモーメントMについて解くと式(64)が得られる。
Figure 2005204489
式(64)より、前後輪実操舵角比kは、目標ヨーレートYr_taと、操舵によるヨーレートゲインGrf、Grrと、操舵によるヨーレート時定数Trf、Trrと、モーメントMの付与によるヨーレートゲインGrm、モーメントMの付与によるヨーレート時定数Trm、操舵による後輪7の横加速度ゲインGgyrと、操舵による後輪7の横加速度時定数T1r、T2rと、モーメントMの付与による横加速度ゲインGgymと、モーメントMの付与による横加速度時定数Tgymと、を用いて算出される。
また、式(64)より、モーメントMは、目標横加速度gy_taと、操舵による後輪7のヨーレートゲインGrrと、操舵による後輪7のヨーレート時定数Trrと、モーメントMの付与によるヨーレートゲインGrm、モーメントMの付与によるヨーレート時定数Trm、操舵による横加速度ゲインGgyr、Ggyfと、操舵による横加速度時定数T1f、T2f、T1r、T2rと、モーメントMの付与による横加速度ゲインGgymと、モーメントMの付与による横加速度時定数Tgymと、を用いて算出される。
以上説明したように、本発明の第2実施形態では、車両100が操舵された際、車両100にモーメントを付与すると共に、前後輪の実操舵角をそれぞれ別個に設定する。更に、モーメントMが付与された操舵時の車両100において、車両100に発生するヨーレートr’及び横加速度gy’が、目標値となるような条件の下に算出している。これらにより、操舵時の車両100は、運転者によるハンドル16の操作に協調し、所望のヨーレート及び横加速度が発生した状態にて安定した旋回運動を行うことができる。また、運転者のハンドル16の操作に対して、車両に働くヨーレートと横加速度の発生が遅れないので、運転者は違和感を覚えない。更に、以上の車両制御システム200による制御は、操舵時の車両100に発生する車体スリップ角を目標値にするのでなく、横加速度を目標値にするように行っているので、車両の設計上の制約に拘束されることなく実現することができる。
[第3実施形態]
以下では、本発明の第3実施形態に係る車両の制御について説明する。
第3実施形態においても、運転者による操舵時の車両100に対して、モーメントMを付与し、前輪10と後輪7に対して別個に実操舵角を設定する。但し、第3実施形態においては、車両100に発生するヨーレートと横加速度と車体スリップ角が目標値になるようにして、上記の車両100に設定すべきモーメントMと前後輪実舵角比kを算出する。
さらに、第1実施形態及び第2実施形態では、前輪10の実操舵角δfはハンドル16の操作に相当する実操舵角δに設定し、後輪7の実操舵角δrのみを前後輪実操舵角比kを用いて設定したが、第3実施形態では、前輪10の実操舵角δfもハンドル16からの入力に対して可変にする。即ち、ハンドル16の操作に相当する実操舵角δを用いて、前輪10の実操舵角δfも独立に制御する。
(車両制御システムでの処理)
次に、第3実施形態に係る車両制御システム200cでの具体的な処理について、図7を参照して説明する。
車両制御システム200cは、左右の前輪10を独立に駆動するとともに、前輪10と後輪7を独立に操舵して、操舵時の車両100が所望の車両挙動を行うようにさせるシステムである。
車両制御システム200cは、各種センサ150から入力信号250を取得し、インバータ14と後輪操舵装置21に、車両100にモーメントを付与するためのトルク制御信号72と、前輪10の角度を変更するための制御信号80と、後輪7の角度を変更するための制御信号81と、を出力する。各種センサ150と、インバータ14と、後輪操舵装置21は、前述したものと同様のものを用いる。
車両制御システム200cは、車両仕様情報記憶部210と、車両状態量算出部220と、モーメント算出部230と、前輪実操舵角比算出部233と、後輪実操舵角比算出部234と、コントローラユニット240から構成される。車両仕様情報記憶部210は、上記したものと同様の情報を記憶しているものとする。
車両状態量算出部220は、第1実施形態及び第2実施形態と同様に、各種センサ150と車両仕様情報記憶部210から入力を受ける。第3実施形態に係る車両状態量算出部220では、目標ヨーレート算出部222と、目標車体スリップ角算出部224と、目標加速度算出部225を含んで構成される。それぞれ、第1実施形態又は第2実施形態にて説明したものと同様の処理を行う。各種センサ150から入力される値と車両仕様情報記憶部210から入力される値に基づいて、車両100が発生すべき目標ヨーレートと、目標車体スリップ角、目標横加速度を算出する。車両状態量算出部220は、モーメント算出部230と、前輪実操舵角比算出部233と、後輪実操舵角比算出部234と、に算出された値を出力する。
モーメント算出部230は車両100に付与すべきモーメントMを算出する。前輪実操舵角比算出部233は、ハンドル16の操作に対応する実操舵角δと前輪10に設定すべき実操舵角δfとの比(即ち、「前輪実操舵角比kf」)を算出する。後輪実操舵角比算出部234は、ハンドル16の操作に対応する実操舵角δと後輪7に設定すべき実操舵角δrとの比(即ち、「後輪実操舵角比kr」)を算出する。これら算出されたモーメントM、前輪実操舵角比kf、後輪実操舵角比krは、コントローラユニット240に出力される。
コントローラユニット240は、入力されたモーメントMを実際に車両100が発生できるように、左右の駆動ユニット8L及び8Rにおける夫々の出力トルクを決定する。そして、コントローラユニット214は、決定した出力トルクに対応するトルク制御信号72をインバータ14へ出力する。また、コントローラユニット240は、入力された前輪実操舵角比kfから決定される実操舵角δfを前輪10が実現できるように、前輪操舵装置20に制御信号80を出力する。同様に、コントローラユニット240は、入力された後輪実操舵角比krから決定される実操舵角δrを後輪7が実現できるように、後輪操舵装置21に制御信号81を出力する。
このように、第3実施形態に係る車体制御システム200bにて算出されたモーメントMと、前輪実操舵角比kfと、後輪実操舵角比krと、を操舵時の車両100に課すことにより、操舵に対するヨーレート、横加速度、車体スリップ角が所望の値に常に維持されるようになる。これにより、操舵時の車両100は、運転者のハンドル16の操作に協調した適切な車両挙動を、精度良く行わせることができる。
(モーメント、前輪実操舵角比、及び後輪実操舵角比の算出方法)
以下では、第3実施形態に係る、車両100に付与するモーメントMと車両100に設定する前輪実操舵角比kfと前輪実操舵角比krの算出方法などについて説明する。なお、モーメントMと、前輪実操舵角比kfと、前輪実操舵角比krの算出は、それぞれ、車両制御システム200内のモーメント算出部230と、前輪実操舵角比算出部233と、後輪実操舵角比算出部234と、が行うものとする。
運転者のハンドル16の操作に対応する実操舵角をθ、前輪実操舵角比をkf、後輪実操舵角比をkrとすると、操舵に対して車両100に発生するヨーレートrδ、横加速度gyδ、車体スリップ角βδは、それぞれ式(65)、式(66)、式(67)にて表される。
Figure 2005204489
Figure 2005204489
Figure 2005204489
なお、式(65)、式(66)、式(67)内の記号などは、前述したものと同様の意味で用いている。
ここで、車両100にモーメントMが付与された車両100に発生するヨーレートrm、横加速度gym、車体スリップ角βmは、それぞれ前述した式(39)、式(58)、式(40)を満たすものとする。
以上より、操舵時の車両100にモーメントMを付与した場合の車両100に発生するヨーレートr’、横加速度gy’、車体スリップ角β’は、それぞれ式(68)、式(69)、式(70)にて表される。
Figure 2005204489
Figure 2005204489
Figure 2005204489
第3実施形態では、操舵時の車両100にモーメントMを付与した場合の車両100に発生するヨーレート’、横加速度gy’、車体スリップ角β’が目標値を取るようにするという条件を設ける。即ち、車両100が、前述した式(46)、式(62)、式(47)が同時に満たされるようにする。
よって、式(46)に式(68)を代入すると式(71)が得られ、式(62)に式(69)を代入すると式(72)が得られ、式(47)に式(70)を代入すると式(73)が得られる。
Figure 2005204489
Figure 2005204489
Figure 2005204489
次に、式(71)と式(72)と式(73)を連立させて、前輪実操舵角比kfと後輪実操舵角比krとモーメントMについて解くと、式(74)が得られる。
Figure 2005204489
式(74)より、前輪実操舵角比kfと後輪実操舵角比krとモーメントMは、操舵によるヨーレートゲインGrf、Grrと、操舵によるヨーレート時定数Trf、Trrと、モーメントMの付与によるヨーレートゲインGrm、モーメントMの付与によるヨーレート時定数Trm、操舵による横加速度ゲインGgyf、Ggyrと、操舵による横加速度時定数T1f、T2f、T1r、T2rと、モーメントMの付与による横加速度ゲインGgymと、モーメントMの付与による横加速度時定数Tgymと、操舵による車体スリップ角ゲインGbf、Gbrと、操舵による車体スリップ角時定数Tbf、Tbrと、モーメントMの付与による車体スリップ角Gbmと、を用いて算出される。
前輪実操舵角比kfは、上記のものに加えて目標ヨーレートYr_taも用いて算出される。後輪実操舵角比krは、上記のものに加えて目標横加速度gy_taも用いて算出される。モーメントMは、上記のものに加えて目標車体スリップ角β_taも用いて算出される。
以上説明したように、本発明の第3実施形態では、車両100が操舵された際、車両100にモーメントを付与すると共に、ハンドル操作に対して前輪10及び後輪7の実操舵角をそれぞれ独立に設定する。更に、モーメントMが付与された操舵時の車両100において、車両100が発生するヨーレートr’と横加速度gy’と車体スリップ角β’が、目標値になるような条件の下に算出している。これらにより、操舵時の車両100は、運転者によるハンドル16の操作に精度良く協調し、所望のヨーレートと横加速度と車体スリップ角が発生した状態にて、安定した旋回運動を正確に行うことができる。また、運転者のハンドル16の操作に対して、車両に働くヨーレートと横加速度と車体スリップ角の発生が遅れないので、運転者は違和感を覚えない。
本発明の実施形態に係る車両の概略構成を示す図である。 操舵時の車両に生じる車両挙動を示した図である。 車両の操舵時に、本実施形態に係るモーメントを付与することなどを示した図である。 本発明の第1実施形態に係る車両制御システムの構成を示す図である。 車両の操舵時にモーメントを付与したときに、車両に働く力などを示した図である。 本発明の第2実施形態に係る車両制御システムの構成を示す図である。 本発明の第3実施形態に係る車両制御システムの構成を示す図である。
符号の説明
1 エンジン
7 後輪
8 駆動ユニット
10 前輪
13 バッテリー
14 インバータ
16 ハンドル
20 前輪操舵装置
21 後輪操舵装置
100 車両
200、200a、200b、200c 車両制御システム

Claims (8)

  1. 前後輪の一方をモータにより駆動し、前後輪を各々独立して操舵可能な車両の制御装置であって、
    当該車両に付与すべきモーメントを算出するモーメント算出手段と、
    当該車両の前輪及び後輪に設定すべき実操舵角を算出する前後輪実操舵角算出手段と、を備え、
    前記モーメント算出手段、及び前記前後輪実操舵角算出手段は、操舵時の車両が所望の状態となるように算出することを特徴とする車両の制御装置。
  2. 前記算出されたモーメントに基づいて、前記モータを制御するモータ制御手段と、
    前記算出された前輪の実操舵角及び後輪の実操舵角に基づいて、当該車両の前輪及び後輪の角度を変更する前後輪操舵手段と、を有し、
    前記モータ制御手段、及び前記前後輪操舵手段は、運転者のハンドル操作が所定条件を満たして行われた際に実行することを特徴とする請求項1に記載の車両の制御装置。
  3. 前記モーメント算出手段、及び前記前後輪実操舵角算出手段は、前記車両に働くヨーレートと、前記車両の車体スリップ角とが目標値となるように算出し、
    前記前後輪実操舵角算出手段は、前輪の実操舵角に対する後輪に設定すべき実操舵角の比を算出することを特徴とする請求項1又は2に記載の車両の制御装置。
  4. 前記モーメント算出手段及び前記前後輪実操舵角算出手段は、式(1)に基づいてモーメントMと、前輪の実操舵角δfに対する後輪に設定すべき実操舵角の比kと、を算出し、
    Figure 2005204489
    Yr_taは当該車両の目標ヨーレート、β_taは当該車両の目標車体スリップ角、Grfは操舵による前輪のヨーレートゲイン、Grrは操舵による後輪のヨーレートゲイン、Trfは操舵による前輪のヨーレート時定数、Trrは操舵による後輪のヨーレート時定数、Grmは前記モーメントの付与によるヨーレートゲイン、Trmは前記モーメントの付与によるヨーレート時定数、Gbfは操舵による前輪の車体スリップ角ゲイン、Gbrは操舵による後輪の車体スリップ角ゲイン、Tbfは操舵による前輪の車体スリップ角時定数、Tbrは操舵による後輪の車体スリップ角時定数、Gbmは前記モーメントの付与による車体スリップ角ゲイン、Sはラプラス演算子、ωnは当該車両の車体固有振動数、ζは当該車両の車体減衰比、とすることを特徴とする請求項3に記載の車両の制御装置。
  5. 前記モーメント算出手段及び前記前後輪実操舵角算出手段は、前記車両に働くヨーレートと、前記車両に働く横加速度とが目標値になるように算出し、
    前記前後輪実操舵角算出手段は、前輪の実操舵角に対する後輪に設定すべき実操舵角の比を算出することを特徴とする請求項1又は2に記載の車両の制御装置。
  6. 前記モーメント算出手段及び前記前後輪実操舵角算出手段は、式(2)に基づいてモーメントMと、前輪の実操舵角δfに対する後輪に設定すべき実操舵角の比kと、を算出し、
    Figure 2005204489
    Yr_taは当該車両の目標ヨーレート、gy_taは当該車両の目標横加速度、Grfは操舵による前輪のヨーレートゲイン、Grrは操舵による後輪のヨーレートゲイン、Trfは操舵による前輪のヨーレート時定数、Trrは操舵による後輪のヨーレート時定数、Grmは前記モーメントの付与によるヨーレートゲイン、Trmは前記モーメントの付与によるヨーレート時定数、Ggyfは操舵による前輪の横加速度ゲイン、Ggyrは操舵による後輪の横加速度ゲイン、T1fは操舵による前輪の第1の横加速度時定数、T2fは操舵による前輪の第2の横加速度時定数、T1rは操舵による後輪の第1の横加速度時定数、T2rは操舵による後輪の第2の横加速度時定数、Ggymは前記モーメントの付与による横加速度ゲイン、Tgymは前記モーメントの付与による横加速度時定数、Sはラプラス演算子、ωnは当該車両の車体固有振動数、ζは当該車両の車体減衰比、とすることを特徴とする請求項5に記載の車両の制御装置。
  7. 前記モーメント算出手段及び前記前後輪実操舵角算出手段は、前記車両に働くヨーレートと、前記車両の車体スリップ角と、前記車両に働く横加速度と、が目標値になるように算出し、
    前記前後輪実操舵角算出手段は、
    ハンドルの操作に相当する実操舵角に対する前輪に設定すべき実操舵角の比と、
    ハンドルの操作に相当する実操舵角に対する後輪に設定すべき実操舵角の比と、を算出することを特徴とする請求項1又は2に記載の車両の制御装置。
  8. 前記モーメント算出手段及び前記前後輪実操舵角算出手段は、式(3)に基づいてモーメントMと、ハンドルの操作に相当する実操舵角θに対する前輪に設定すべき実操舵角の比kfと、ハンドルの操作に相当する実操舵角θに対する後輪に設定すべき実操舵角の比krと、を算出し、
    Figure 2005204489
    Yr_taは当該車両の目標ヨーレート、β_taは当該車両の目標車体スリップ角、gy_taは当該車両の目標横加速度、Grfは操舵による前輪のヨーレートゲイン、Grrは操舵による後輪のヨーレートゲイン、Trfは操舵による前輪のヨーレート時定数、Trrは操舵による後輪のヨーレート時定数、Grmは前記モーメントの付与によるヨーレートゲイン、Trmは前記モーメントの付与によるヨーレート時定数、Ggyfは操舵による前輪の横加速度ゲイン、Ggyrは操舵による後輪の横加速度ゲイン、T1fは操舵による前輪の第1の横加速度時定数、T2fは操舵による前輪の第2の横加速度時定数、T1rは操舵による後輪の第1の横加速度時定数、T2rは操舵による後輪の第2の横加速度時定数、Ggymは前記モーメントの付与による横加速度ゲイン、Tgymは前記モーメントの付与による横加速度時定数、Gbfは当該車両の操舵による前輪の車体スリップ角ゲイン、Gbrは操舵による後輪の車体スリップ角ゲイン、Tbfは操舵による前輪の車体スリップ角時定数、Tbrは操舵による後輪の車体スリップ角時定数、Gbmは前記モーメントの付与による車体スリップ角ゲイン、Sはラプラス演算子、ωnは当該車両の車体固有振動数、ζは当該車両の車体減衰比、とすることを特徴とする請求項7に記載の車両の制御装置。
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