JP2021146963A - 車両制御装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】運転者と運転支援の目標経路が一致しない場合に、運転者の操舵アシスト受け入れ度合に応じて、左右輪の制駆動力を制御する事で運転者との協調性を向上でき、操舵フィーリングを悪化させることなく、操舵アシストが行えるようにする。【解決手段】目標経路決定部25と、目標経路に基づいて決定される規範操舵角と実操舵角とを参照して実操舵角が前記規範操舵角に近づくよう操舵アシストする操舵アシスト計算手段21とを備える。制駆動力発生機構3に付与するDYCトルクを演算するDYC計算手段22を備える。実操舵角と操舵系7Aに作用する操舵トルクを用いて運転者が操舵アシストを受容しているかを判定する操舵アシスト受容判定手段23を備える。操舵アシスト受容判定手段23で運転者が操舵アシストを受容していないと判定されるときにDYC計算手段22は、車両にヨーモーメントを発生させるDYC指令値を制駆動力発生機構に付与する。【選択図】図2
Description
この発明は、操舵アシスト制御およびDYC(ダイレクト・ヨーモーメント・コントロール)の機能を備えた車両に適用される車両制御装置に関し、運転者の操舵アシスト受け入れ度合に応じたDYCにより操舵フィーリングを向上させる技術に係る。
特許文献1には、操舵アシスト機構と左右制駆動力配分機構を備えた車両において、それらの作動制御と運転者の操舵との協調を図りながら運転支援を実行する装置が示されている。制駆動力は、制動力および駆動力の総称である。
特許文献2には、操舵系のエネルギーの変化率を演算し、操舵系のエネルギーの変化率に基づいて操舵伝達装置に付与する操舵支援量を調整する制御装置が示されている。
特許文献2には、操舵系のエネルギーの変化率を演算し、操舵系のエネルギーの変化率に基づいて操舵伝達装置に付与する操舵支援量を調整する制御装置が示されている。
特許文献1の開示技術では、運転者の操舵との協調を図りながら運転支援を実行する為に、運転者の運転特性(運転技能の高さ)によって、DYCで発生させるヨーモーメントの大きさを調整している。しかし、上記で用いている運転特性は運転者の操舵角と車両状態量から求めていて、運転者の操舵アシスト受け入れ度合に関しては考慮していない。
特許文献2の開示技術では、操舵系の操舵エネルギーを演算し、運転者が操舵系にエネルギーを加えている方向を正方向とし、運転者が操舵している正入力か、路面外乱等により運転者が力を受ける逆入力かを判別し、ステアリングと操舵輪を繋ぐ操舵伝達装置に付与する操舵支援量を調整している。しかし、操舵アシスト機構による逆入力については示されていない。
特許文献2の開示技術では、操舵系の操舵エネルギーを演算し、運転者が操舵系にエネルギーを加えている方向を正方向とし、運転者が操舵している正入力か、路面外乱等により運転者が力を受ける逆入力かを判別し、ステアリングと操舵輪を繋ぐ操舵伝達装置に付与する操舵支援量を調整している。しかし、操舵アシスト機構による逆入力については示されていない。
運転者が操舵をする際に、特許文献1に記されている運転者の運転特性に応じた運転支援は、有効であると考えられる。しかし、運転者は必ずしも運転支援を受け入れ、運転支援が教示する方向へ操舵をするとは限らない。運転者と運転支援の目標経路が一致しない場合、運転者はその偏差に応じた操舵アシストトルクを受けながら操舵をしなければならず、運転者への負荷が増大してしまう。
また、特許文献2では、運転者が操舵している正入力を基準に考えると、特許文献1に記されている操舵アシストトルクは操舵系に働く外乱として考える事となる。運転者と運転支援の目標経路が一致しない場合に操舵アシストトルクが操舵系への外乱による逆入力を運転者が受けながら操舵していると判断され、パワーステアリングのパワーアシスト量を変更する事になる。特許文献2に記されている路面外乱等に応じて、パワーアシスト量を変更する事には有効であるが、制御が作用させた操舵アシストトルクを外乱と捉え、パワーアシスト量を変更する事は操舵系のフィーリングを悪化させ、運転者に違和感を与えてしまう。
また、特許文献2では、運転者が操舵している正入力を基準に考えると、特許文献1に記されている操舵アシストトルクは操舵系に働く外乱として考える事となる。運転者と運転支援の目標経路が一致しない場合に操舵アシストトルクが操舵系への外乱による逆入力を運転者が受けながら操舵していると判断され、パワーステアリングのパワーアシスト量を変更する事になる。特許文献2に記されている路面外乱等に応じて、パワーアシスト量を変更する事には有効であるが、制御が作用させた操舵アシストトルクを外乱と捉え、パワーアシスト量を変更する事は操舵系のフィーリングを悪化させ、運転者に違和感を与えてしまう。
この発明の目的は、運転者と運転支援の目標経路が一致しない場合に、運転者の操舵アシスト受け入れ度合に応じて、左右輪の制駆動力を制御する事で運転者との協調性を向上させることができ、操舵フィーリングを悪化させることなく、操舵アシストが行える車両制御装置を提供することである。
この発明の第1の車両制御装置は、前輪および後輪の少なくとも一方で駆動力および制動力の両方またはいずれか一方を左右輪独立に発生出来る制駆動力発生機構3と、ステアリングホイール9による操舵のトルクに操舵アシストトルクTaを付与出来る操舵機構7とを備えた車両1に装備される車両制御装置であって、
前記車両1の目標経路R*を決定する目標経路決定部25と、前記目標経路R*に基づいて決定される規範操舵角θ* SWと操舵角センサ11が出力する実操舵角θSWとを参照して前記実操舵角θSWが前記規範操舵角θ* SWに近づくように操舵アシストするための操舵アシスト指令トルクTa*を演算する操舵アシストトルク演算部28を含む操舵アシスト計算手段21と、
前記制駆動力発生機構3に付与するDYCトルクの指令値であるDYC指令値IWMFL, IWMFR, IWMRL, IWMRRを演算するDYC指令値演算部33を含むDYC計算手段22と、
前記実操舵角θSWと操舵系7Aに作用する操舵トルクTを用いて運転者が前記操舵アシストを受容しているかを判定する操舵アシスト受容判定手段23とを備え、
前記操舵アシスト受容判定手段23で運転者が操舵アシストを受容していないと判定されるときに前記DYC計算手段22は、前記車両1にヨーモーメントを発生させる前記DYC指令値IWMFL, IWMFR, IWMRL, IWMRRを前記制駆動力発生機構3に付与する。
前記車両1の目標経路R*を決定する目標経路決定部25と、前記目標経路R*に基づいて決定される規範操舵角θ* SWと操舵角センサ11が出力する実操舵角θSWとを参照して前記実操舵角θSWが前記規範操舵角θ* SWに近づくように操舵アシストするための操舵アシスト指令トルクTa*を演算する操舵アシストトルク演算部28を含む操舵アシスト計算手段21と、
前記制駆動力発生機構3に付与するDYCトルクの指令値であるDYC指令値IWMFL, IWMFR, IWMRL, IWMRRを演算するDYC指令値演算部33を含むDYC計算手段22と、
前記実操舵角θSWと操舵系7Aに作用する操舵トルクTを用いて運転者が前記操舵アシストを受容しているかを判定する操舵アシスト受容判定手段23とを備え、
前記操舵アシスト受容判定手段23で運転者が操舵アシストを受容していないと判定されるときに前記DYC計算手段22は、前記車両1にヨーモーメントを発生させる前記DYC指令値IWMFL, IWMFR, IWMRL, IWMRRを前記制駆動力発生機構3に付与する。
この構成によると、運転者と運転支援の目標経路R,R*が一致せず、操舵アシストが受け入れられていないと操舵アシスト受容判定手段23が判定した場合に、DYC計算手段22は、DYCによるヨーモーメントを発生させる。このDYCによるヨーモーメント制御は、実操舵角θSWが操舵アシストの規範操舵角θ* SWに近づくようにヨーモーメントを発生させる。これにより、運転者の目標経路Rでの実操舵角θSWが規範操舵角θ* SWに近づくことになり、このことによって、操舵アシストトルクTaは減少し、運転者との協調性を向上させることができて、運転者の負荷が減る。操舵アシストトルクTaが減少する事で、パワーステアリングのパワーアシスト量を変更する事が抑えられ、操舵フィーリングの悪化を防ぐ事が出来る。
この発明において、前記操舵アシスト受容判定手段23は、前記実操舵角θSWと前記操舵系7Aに作用する操舵トルクTから前記操舵系7Aに作用する操舵エネルギー量DEとこの操舵エネルギー量DEの変化量dDEを推定する操舵エネルギー推定部29を有し、操舵エネルギー量DEと操舵エネルギー量DEの変化量dDEとで規定される領域Eから、前記推定された操舵エネルギー量DEおよびこの操舵エネルギー量DEの変化量dDEのいずれかが外れたときに、運転者が操舵アシストを受容していないと判定するようにしてもよい。
操舵アシスト受容判定手段23が実操舵角θSWと操舵系7Aに作用する操舵トルクTを用いて運転者が操舵アシストを受容しているか判定するにつき、具体的には前記のように操舵系7Aの操舵エルギーで判別することができる。
操舵エネルギー量DEとこの操舵エネルギー量DEの変化量dDEとを用いて判定することで、運転者の操舵アシスト受入れ度合いをより適切に判定することができる。
操舵アシスト受容判定手段23が実操舵角θSWと操舵系7Aに作用する操舵トルクTを用いて運転者が操舵アシストを受容しているか判定するにつき、具体的には前記のように操舵系7Aの操舵エルギーで判別することができる。
操舵エネルギー量DEとこの操舵エネルギー量DEの変化量dDEとを用いて判定することで、運転者の操舵アシスト受入れ度合いをより適切に判定することができる。
この発明の第2の制御装置は、運転者が操舵アシストを受容しているか判定するにつき、第1の車両制御装置では実操舵角θSWと操舵系7Aに作用する操舵トルクTを用いて判定していたところを、目標操舵トルクT*と操舵トルクTとの偏差(T*−T)によって判定する。
すなわち、この発明の第2の車両制御装置は、前輪および後輪の少なくとも一方で駆動力および制動力の両方またはいずれか一方を左右輪独立に発生出来る制駆動力発生機構3と、ステアリングホイール9による操舵のトルクに操舵アシストトルクTaを付与出来る操舵機構7とを備えた車両1に装備される車両制御装置であって、
前記車両1の目標経路R*を決定する目標経路決定部25と、前記目標経路R*に基づいて決定される規範操舵角θ* SWと操舵角センサ11が出力する実操舵角θSWとを参照して前記実操舵角θSWが前記規範操舵角θ* SWに近づくように操舵アシストするための操舵アシスト指令トルクTa*を演算する操舵アシストトルク演算部28を含む操舵アシスト計算手段21と、
前記制駆動力発生機構3に付与するDYCトルクの指令値であるDYC指令値IWMFL, IWMFR, IWMRL, IWMRRを演算するDYC指令値演算部33を含むDYC計算手段22と、
前記規範操舵角θ* SWから計算される目標操舵トルクT*と前記操舵系7Aに作用する操舵トルクTとの偏差(T*−T)が閾値を超えたときに、運転者が操舵アシストを受容していないと判定する操舵アシスト受容判定手段23とを備え、
前記操舵アシスト受容判定手段23で運転者が操舵アシストを受容していないと判定されるときに前記DYC計算手段22は、前記車両1にヨーモーメントを発生させるDYC指令値IWMFL, IWMFR, IWMRL, IWMRRを前記制駆動力発生機構3に付与する。
すなわち、この発明の第2の車両制御装置は、前輪および後輪の少なくとも一方で駆動力および制動力の両方またはいずれか一方を左右輪独立に発生出来る制駆動力発生機構3と、ステアリングホイール9による操舵のトルクに操舵アシストトルクTaを付与出来る操舵機構7とを備えた車両1に装備される車両制御装置であって、
前記車両1の目標経路R*を決定する目標経路決定部25と、前記目標経路R*に基づいて決定される規範操舵角θ* SWと操舵角センサ11が出力する実操舵角θSWとを参照して前記実操舵角θSWが前記規範操舵角θ* SWに近づくように操舵アシストするための操舵アシスト指令トルクTa*を演算する操舵アシストトルク演算部28を含む操舵アシスト計算手段21と、
前記制駆動力発生機構3に付与するDYCトルクの指令値であるDYC指令値IWMFL, IWMFR, IWMRL, IWMRRを演算するDYC指令値演算部33を含むDYC計算手段22と、
前記規範操舵角θ* SWから計算される目標操舵トルクT*と前記操舵系7Aに作用する操舵トルクTとの偏差(T*−T)が閾値を超えたときに、運転者が操舵アシストを受容していないと判定する操舵アシスト受容判定手段23とを備え、
前記操舵アシスト受容判定手段23で運転者が操舵アシストを受容していないと判定されるときに前記DYC計算手段22は、前記車両1にヨーモーメントを発生させるDYC指令値IWMFL, IWMFR, IWMRL, IWMRRを前記制駆動力発生機構3に付与する。
このように、目標操舵トルクT*と操舵トルクTとの偏差(T*−T)によって判定する場合も、運転者が操舵アシストを受容している否かを適切に判定することができる。特に、ステアリングハンドル9を保舵するような定常状態において、運転者が操舵アシストを受容している否かを適切に判定することができる。その他の作用は、第1の車両制御装置の場合と同様である。
この発明において、前記操舵アシスト受容判定手段23が、運転者が操舵アシストを受容していないと判定したとき、前記操舵アシストトルク演算部28は、出力する操舵アシスト指令トルクTa*を小さくするようにしてもよい。前記操舵アシストトルク演算部28は、例えば、操舵アシストゲインKaを小さくすることで、出力する操舵アシスト指令トルクTa*を小さくする。
運転者が操舵アシストを受容していないと判定したときに操舵アシスト指令トルクTa*を小さくすることで、パワーステアリングのパワーアシスト量を変更する事が抑えられ、操舵フィーリングの悪化を防ぐ事がより良好に行える。
運転者が操舵アシストを受容していないと判定したときに操舵アシスト指令トルクTa*を小さくすることで、パワーステアリングのパワーアシスト量を変更する事が抑えられ、操舵フィーリングの悪化を防ぐ事がより良好に行える。
この発明において、前記操舵アシスト受容判定手段23は、運転者が操舵アシストを受容してない程度を判定し、操舵アシストを受容してないと判定した場合に、受容してない程度に応じ、前記DYC計算手段22がDYCのヨーモーメントをある一定の大きさまで発生させた後にアシストゲイン演算部31が操舵アシストゲインKaを小さくし、または前記DYC計算手段22がDYCのヨーモーメントを発生させるとともに前記アシストゲイン演算部31が操舵アシストゲインKaを小さくするようにしてもよい。
DYCによるヨーモーメントにより操舵アシストトルクTaの大きさを小さくすることができるが、滑りやすい路面や車両に生じる横加速度が大きな走行等では制駆動力発生手段が発生する制駆動力によってタイヤがスリップし易いため、DYCで発生できるヨーモーメントには限界がある。そのため、運転者が操舵アシストを受容していないと判定した時、DYCのヨーモーメントMzをある一定の大きさまで発生させた後に操舵アシストゲインKaを小さくするか、またはDYCのヨーモーメントを発生させるとともに操舵アシストゲインKaを小さくするのが良い。
DYCによるヨーモーメントにより操舵アシストトルクTaの大きさを小さくすることができるが、滑りやすい路面や車両に生じる横加速度が大きな走行等では制駆動力発生手段が発生する制駆動力によってタイヤがスリップし易いため、DYCで発生できるヨーモーメントには限界がある。そのため、運転者が操舵アシストを受容していないと判定した時、DYCのヨーモーメントMzをある一定の大きさまで発生させた後に操舵アシストゲインKaを小さくするか、またはDYCのヨーモーメントを発生させるとともに操舵アシストゲインKaを小さくするのが良い。
この発明の車両制御装置は、前輪および後輪の少なくとも一方で駆動力および制動力の両方またはいずれか一方を左右輪独立に発生出来る制駆動力発生機構と、ステアリングホイールに操舵アシストトルクを付与出来る操舵機構とを備えた車両に装備される車両制御装置であって、前記車両の目標経路を決定する目標経路決定部と、前記目標経路に基づいて決定される規範操舵角と操舵角センサが出力する実操舵角とを参照して前記実操舵角が前記規範操舵角に近づくように操舵アシストするための操舵アシスト指令トルクを演算する操舵アシストトルク演算部を含む操舵アシスト計算手段と、前記制駆動力発生機構に付与するDYCトルクの指令値であるDYC指令値を演算するDYC指令値演算部を含むDYC計算手段と、運転者が前記操舵アシストを受容しているか判定する操舵アシスト受容判定手段とを備え、前記操舵アシスト受容判定手段で運転者が操舵アシストを受容していないと判定されるときに前記DYC計算手段は、前記車両にヨーモーメントを発生させるDYC指令値を前記制駆動力発生機構に付与するため、運転者と運転支援の目標経路が一致しない場合に、運転者の操舵アシスト受け入れ度合に応じて、左右輪の制駆動力を制御する事で運転者との協調性を向上させることができ、操舵フィーリングを悪化させることなく、操舵アシストが行える。
<車両全体の構成>
この発明の第1の実施形態を図1〜図10と共に説明する。図1は、この実施形態に係る車両制御装置を装備した車両の概念構成を示す。この車両1は、4輪駆動の自動車であり、前輪2fおよび後輪2rの各々に対し、駆動力および制動力を左右輪独立に発生できる制駆動力発生装置3が設けられている。
制駆動力発生装置3は、この実施形態ではインホイールモータ駆動装置で構成され、図10に一例を示すように、制駆動源であるモータ4と、前記前輪2fまたは後輪2rである車輪を回転自在に支持する車輪用軸受5と、モータ4の出力を減速して前記車輪用軸受5の回転輪であるハブ輪5aに伝達する減速機6とを有している。モータ4は、同期モータ等の交流モータであり、ステータ4aとロータ4bを有する。車輪用軸受5の固定輪5bは、サスペンションを介して、またはナックルおよびサスペンションを介して車体(いずれも図示せず)に設置される。車輪用軸受5の前記ハブ輪5aに、前記車輪のホイール(図示せず)が取付けられる。前記減速機6は、ギヤ列からなる。
図1において、車両1には制御装置として、制動駆動力制御装置13、操舵制御装置10、および車両制御装置20が装備されている。
この発明の第1の実施形態を図1〜図10と共に説明する。図1は、この実施形態に係る車両制御装置を装備した車両の概念構成を示す。この車両1は、4輪駆動の自動車であり、前輪2fおよび後輪2rの各々に対し、駆動力および制動力を左右輪独立に発生できる制駆動力発生装置3が設けられている。
制駆動力発生装置3は、この実施形態ではインホイールモータ駆動装置で構成され、図10に一例を示すように、制駆動源であるモータ4と、前記前輪2fまたは後輪2rである車輪を回転自在に支持する車輪用軸受5と、モータ4の出力を減速して前記車輪用軸受5の回転輪であるハブ輪5aに伝達する減速機6とを有している。モータ4は、同期モータ等の交流モータであり、ステータ4aとロータ4bを有する。車輪用軸受5の固定輪5bは、サスペンションを介して、またはナックルおよびサスペンションを介して車体(いずれも図示せず)に設置される。車輪用軸受5の前記ハブ輪5aに、前記車輪のホイール(図示せず)が取付けられる。前記減速機6は、ギヤ列からなる。
図1において、車両1には制御装置として、制動駆動力制御装置13、操舵制御装置10、および車両制御装置20が装備されている。
<制駆動力制御装置13>
制駆動制御装置13は、アクセルペダル14およびブレーキペダル(図示せず)の踏み込み量に応じて車両全体の制駆動力指令を生成し、各輪に分配して駆動電流を各輪の制駆動力発生装置3のモータ4(図10)に与える。制駆動制御装置13は、前記基本機能に加え、車両制御装置20から与えられたDYC指令値IWMFL, IWMFR, IWMRL, IWMRR(図2参照)に従って各制駆動力発生装置3をDYC制御する機能を有する。
制駆動制御装置13は、コンピュータおよび電子部品で構成されて車両1の全体の協調制御等を行うECU(「VCU」とも称される)と、バッテリの直流電流を交流電流に変換して制御して前記モータ4に出力する各輪のインバータ装置(いずれも図示せず)とで構成される。
制駆動制御装置13は、アクセルペダル14およびブレーキペダル(図示せず)の踏み込み量に応じて車両全体の制駆動力指令を生成し、各輪に分配して駆動電流を各輪の制駆動力発生装置3のモータ4(図10)に与える。制駆動制御装置13は、前記基本機能に加え、車両制御装置20から与えられたDYC指令値IWMFL, IWMFR, IWMRL, IWMRR(図2参照)に従って各制駆動力発生装置3をDYC制御する機能を有する。
制駆動制御装置13は、コンピュータおよび電子部品で構成されて車両1の全体の協調制御等を行うECU(「VCU」とも称される)と、バッテリの直流電流を交流電流に変換して制御して前記モータ4に出力する各輪のインバータ装置(いずれも図示せず)とで構成される。
<操舵機構7>
図1において、前輪2fは操舵輪であり、操舵機構7によって操舵される。操舵機構7は、モータ8を備えたパワーステアリング装置であり、運転者により操作されるステアリングハンドル9の実操舵角θSW(図2参照)に応じて操舵制御装置10がモータ8を制御することで操舵を行う。前記実操舵角θSWは、ステアリングハンドル9が取付けられたステアリングシャフト9aの回転角度を検出する操舵角センサ11の出力により得る。ステアリングシャフト9aに対しては、操舵角センサ11の他に、ステアリングシャフト9aに作用する操舵トルクTを検出する操舵トルクセンサ12が設けられ、トルクセンサ12の出力が、ステアリングハンドル9および操舵機構7を含む操舵系7Aに作用する操舵トルクTとして取り扱われる。
図1において、前輪2fは操舵輪であり、操舵機構7によって操舵される。操舵機構7は、モータ8を備えたパワーステアリング装置であり、運転者により操作されるステアリングハンドル9の実操舵角θSW(図2参照)に応じて操舵制御装置10がモータ8を制御することで操舵を行う。前記実操舵角θSWは、ステアリングハンドル9が取付けられたステアリングシャフト9aの回転角度を検出する操舵角センサ11の出力により得る。ステアリングシャフト9aに対しては、操舵角センサ11の他に、ステアリングシャフト9aに作用する操舵トルクTを検出する操舵トルクセンサ12が設けられ、トルクセンサ12の出力が、ステアリングハンドル9および操舵機構7を含む操舵系7Aに作用する操舵トルクTとして取り扱われる。
<操舵アシスト機能>
操舵機構7は、車両制御装置20から与えられる操舵アシスト指令トルクTa*に従い、操舵制御装置10によりモータ8を駆動し、モータ8から出力される操舵アシストトルクTaにより、運転者の操舵を支援する操舵アシスト機能を備えている。
操舵機構7は、車両制御装置20から与えられる操舵アシスト指令トルクTa*に従い、操舵制御装置10によりモータ8を駆動し、モータ8から出力される操舵アシストトルクTaにより、運転者の操舵を支援する操舵アシスト機能を備えている。
<車両制御装置20>
車両制御装置20は、操舵アシストおよびDYC制御を行う制御手段であり、前記制駆動力制御装置13を構成するECU(VCU)の一部として、または独立した専用のECUとして設けられる。車両制御装置20は、前記操舵角センサ11およびトルクセンサ12の検出信号、並びに各種の外界センサ、内界センサ等のセンサ類19の検出信号が入力されて、DYC指令値IWMFL, IWMFR, IWMRL, IWMRRおよび操舵アシスト指令トルクTa*を生成し、それぞれ制駆動力制御装置13および操舵制御装置10に出力する。
車両制御装置20は、操舵アシストおよびDYC制御を行う制御手段であり、前記制駆動力制御装置13を構成するECU(VCU)の一部として、または独立した専用のECUとして設けられる。車両制御装置20は、前記操舵角センサ11およびトルクセンサ12の検出信号、並びに各種の外界センサ、内界センサ等のセンサ類19の検出信号が入力されて、DYC指令値IWMFL, IWMFR, IWMRL, IWMRRおよび操舵アシスト指令トルクTa*を生成し、それぞれ制駆動力制御装置13および操舵制御装置10に出力する。
車両制御装置20の概念構成のブロック図を図2に示す。車両制御装置20は、操舵アシスト計算手段21、DYC計算手段22、および操舵アシスト受容判定手段23で構成される。
<操舵アシスト計算手段21>
操舵アシスト計算手段21は、地図情報24を記憶した手段、目標経路決定部25、自車位置推定部26、規範操舵角演算部27、および操舵アシストトルク演算部28を備える。
操舵アシスト計算手段21は、地図情報24を記憶した手段、目標経路決定部25、自車位置推定部26、規範操舵角演算部27、および操舵アシストトルク演算部28を備える。
地図情報24は、道路地図、自車が走行する経路上の交差点や交通標識といったランドマークの位置、道路幅、道路曲率などである。
目標経路決定部25は、ミリ波レーダや、光センサ技術であるライダー(LiDAR)、およびカメラ等といった外界センサから得られる車両周囲の環境情報、前記地図情報24、および自車位置推定部26が出力する自車位置を基に、操舵アシスト制御において自車が走行する目標経路R*(図6〜図9参照)を決定する。目標経路R*は、運転者が見える程度の距離範囲における経路であり、例えば数十m(20〜60m)程度の範囲とし、車両1が走行するに従って逐次更新する。
自車位置推定部26は、自車が道路上のどの位置を走行しているかを前記各外界センサおよび、IMU(慣性センサ)等の内界センサの情報を取得して推定し出力する。前記「外界センサ」および「内界センサ」は、図1のセンサ類19における一部のセンサである。
目標経路決定部25は、ミリ波レーダや、光センサ技術であるライダー(LiDAR)、およびカメラ等といった外界センサから得られる車両周囲の環境情報、前記地図情報24、および自車位置推定部26が出力する自車位置を基に、操舵アシスト制御において自車が走行する目標経路R*(図6〜図9参照)を決定する。目標経路R*は、運転者が見える程度の距離範囲における経路であり、例えば数十m(20〜60m)程度の範囲とし、車両1が走行するに従って逐次更新する。
自車位置推定部26は、自車が道路上のどの位置を走行しているかを前記各外界センサおよび、IMU(慣性センサ)等の内界センサの情報を取得して推定し出力する。前記「外界センサ」および「内界センサ」は、図1のセンサ類19における一部のセンサである。
規範操舵角演算部27は、自車位置推定部26が出力した操舵アシスト制御の目標経路R*および自車位置推定部26が推定した自車位置から、規範操舵角θ* SWを演算する手段である。
規範操舵角θ* SWの演算方法の一例として、前方注視モデルを用いる方法を示す。
前方注視モデルでは、運転者は前方の距離Lだけ離れた位置を注視してその位置を将来到達位置とし、目標経路R*と将来到達位置との差に比例した操舵を行う(目標操舵角を決める)と仮定している。式(1) は、前方注視モデルによる規範操舵角θ* SWの計算式である。
規範操舵角θ* SWの演算方法の一例として、前方注視モデルを用いる方法を示す。
前方注視モデルでは、運転者は前方の距離Lだけ離れた位置を注視してその位置を将来到達位置とし、目標経路R*と将来到達位置との差に比例した操舵を行う(目標操舵角を決める)と仮定している。式(1) は、前方注視モデルによる規範操舵角θ* SWの計算式である。
ここで、h:操舵比例定数
τL:操舵むだ時間
Y:現在位置の車両横位置
L:前方注視の距離
θ:現在位置の車両ヨー角
YOL:将来到達位置の目標横位置
τL:操舵むだ時間
Y:現在位置の車両横位置
L:前方注視の距離
θ:現在位置の車両ヨー角
YOL:将来到達位置の目標横位置
操舵アシストトルク演算部28は、操舵アシスト指令トルクTa*を演算し、前記操舵制御装置10に出力する。操舵アシスト指令トルクTa*は、例えば式(2) のように求める。式(2) は、自車が目標経路R*を追従する為に必要な規範操舵角θ* SWと実操舵角θSWとの差に比例したトルクを示す。
Ta*=Ka(θSW−θ* SW) ……(2)
ここでKaは操舵アシストゲインである。
操舵アシストゲインKaは、操舵アシスト指令トルクTa*の大きさを調整する係数であり、操舵アシスト受容判定手段23から入力される。
Ta*=Ka(θSW−θ* SW) ……(2)
ここでKaは操舵アシストゲインである。
操舵アシストゲインKaは、操舵アシスト指令トルクTa*の大きさを調整する係数であり、操舵アシスト受容判定手段23から入力される。
<操舵アシスト受容判定手段23>
操舵アシスト受容判定手段23は、前記実操舵角θSWと操舵系7Aに作用する操舵トルクTを用いて運転者が前記操舵アシストを受容しているか判定する手段である。
操舵アシスト受容判定手段23は、操舵エネルギー推定部29および受容判定部30を備え、受容判定部30にアシストゲイン演算部31を有している。
操舵アシスト受容判定手段23は、前記実操舵角θSWと操舵系7Aに作用する操舵トルクTを用いて運転者が前記操舵アシストを受容しているか判定する手段である。
操舵アシスト受容判定手段23は、操舵エネルギー推定部29および受容判定部30を備え、受容判定部30にアシストゲイン演算部31を有している。
操舵エネルギー推定部29は、操舵エネルギーDEおよび操舵エネルギーDEの変化量dDEを推定し出力する。操舵エネルギーDEは操舵系7Aのステアリングハンドル9(図1参照)を回す回転エネルギーとステアリングシャフト9aを捩じる弾性エネルギーの総和であり、式(6) で計算する。
ここで、Iはステアリングハンドル9の慣性モーメント、kはステアリングシャフト9aのバネ定数である。
操舵トルクTは式(7) となるため、式(6) は式(8) になる。
T=k・θSW 式(7)
上記、操舵エネルギーの推定は操舵系7Aに作用する操舵トルクTを操舵トルクセンサ12で測定した値から推定する事が望ましい。
受容判定部30は、操舵エネルギー推定部31から入力された操舵エネルギーDEと操舵エネルギーDEの変化量dDEから、運転者が操舵アシストを受容しているかを判定し、DYCのON/OFF指令を出力する。
操舵エネルギーDEについて説明する。式(8) の右辺第1項はゼロまたは正の値となり、第2項は、操舵角の正負(ステアリングハンドル9が切られている向き)と操舵トルクTの正負(向き)が同じときに正、逆のときに負の値になる。第2項が正の時は運転者がステアリングハンドル9を切り増すか保持しており、負の時は運転者がステアリングハンドル9を積極的に切り戻していることを示す。
日常的な運転では急操舵を行わないので第1項の値は比較的小さく、第2項が支配的になる。
日常的な運転では急操舵を行わないので第1項の値は比較的小さく、第2項が支配的になる。
運転者が操舵アシストトルクTaに逆らうとき、運転者の操舵トルクTは大きくなるため、第2項の値の大きさは大きくなり、そのため、操舵エネルギーDEの大きさから運転者が操舵アシストを受容しているかどうか判定することができる。
また、第2項の大きさは、運転者の操舵トルクTの大きさと操舵角の大きさに比例するので、操舵角が大きい場面、すなわち車両の横移動量やヨー運動が大きく運転操作の難易度が高い走行シーンにおいて操舵トルクTの大きさが操舵エネルギーDEの大きさに反映され易いため、操舵アシストが受容されているかを判定し易い。
次に操舵エネルギーDEの変化量dDEについて説明する。操舵エネルギーDEの変化量dDEの絶対値が大きい場合、操舵角θ、操舵角速度 dθもしくは操舵トルクTが大きく変化しているため、運転者が違和感を持つ可能性が高く、操舵アシストを受容していないと判定できる。
受容判定部30は、これらの考え方に基づき、操舵エネルギーDEと操舵エネルギーDEの変化量dDEの絶対値が共に小さい場合は操舵アシストが受容されていると判断し、大きい場合は受容されていないと判定する。
<受容判定部30の判定方法の具体例、図3>
受容判定部30が判定する判定方法の一例を図3に示す。グラフの縦軸を操舵エネルギーDEの変化量dDE、横軸を操舵エネルギーDEとしたとき、DE1<0<DE2、およびdDE1<0<dDE2となる領域Eの閾値を設定する。具体的には、DE1とdDE1、DE1とdDE2、DE2とdDE1、DE2とdDE2をそれぞれを結ぶ線分で形成される四角形の内側の領域Eに、推定した操舵エネルギーDEと操舵エネルギーDEの変化量dDEを示す点Dが存在するとき、操舵アシストが受容されていると判定し、それ以外の領域Uに操舵エネルギーDEと操舵エネルギーDEの変化量dDEが存在するときは操舵アシストが受容されていないと判定する。
受容判定部30が判定する判定方法の一例を図3に示す。グラフの縦軸を操舵エネルギーDEの変化量dDE、横軸を操舵エネルギーDEとしたとき、DE1<0<DE2、およびdDE1<0<dDE2となる領域Eの閾値を設定する。具体的には、DE1とdDE1、DE1とdDE2、DE2とdDE1、DE2とdDE2をそれぞれを結ぶ線分で形成される四角形の内側の領域Eに、推定した操舵エネルギーDEと操舵エネルギーDEの変化量dDEを示す点Dが存在するとき、操舵アシストが受容されていると判定し、それ以外の領域Uに操舵エネルギーDEと操舵エネルギーDEの変化量dDEが存在するときは操舵アシストが受容されていないと判定する。
DE1とdDE1、DE1とdDE2、DE2とdDE1、DE2とdDE2はそれぞれを曲線で結んでも良く、例えば図4のように楕円形状としても良い。
操舵アシストが受容されていると判定された場合、受容判定部30はDYCのOFF指令を出力し、かつ操舵アシストゲインKaとして操舵アシストゲインの初期設定値K1を出力する。操舵アシストが受容されていないと判定された場合、受容判定部30はDYCのON指令を出力し、かつ受容判定部30の内部に存在するアシストゲイン演算部31の出力を操舵アシストゲインKaとして出力する。
アシストゲイン演算部31は、推定した操舵エネルギーDEおよび操舵エネルギーDEの変化量dDEと、図3における原点から前記点Pまでの、式(10)で求まる距離Disに応じて操舵アシストゲインKaを出力する。
距離Disが図3における操舵アシストが受容されていないと判断する領域Uに対して閾値を越えて大きくなった場合、操舵アシストゲインKaを初期値K1から次第に小さくなるように出力する。
図5は、前記距離Disと操舵アシストゲインKaの関係を示している。操舵アシストゲインKaは、距離Disが大きくなるに従い、実線のように直線的に0まで減少させても良いし、破線のように正の下限値を設けても良いし、一点鎖線のように曲線的に減少させても良い。
また、後述するDYCによるヨーモーメントにより操舵アシストトルクTaの大きさを小さくすることができるが、滑りやすい路面や車両1に生じる横加速度が大きな走行等では、インホイールモータ駆動装置からなる制駆動装置3の制駆動力によってタイヤがスリップし易いため、DYCで発生できるヨーモーメントには限界がある。そのため、運転者が操舵アシストを受容していないと判定した時、DYCのヨーモーメントをある一定の大きさまで発生させた後に操舵アシストゲインKaを小さくするか、もしくはDYCのヨーモーメントを発生させるとともに操舵アシストゲインKaを小さくするのが良い。
また、後述するDYCによるヨーモーメントにより操舵アシストトルクTaの大きさを小さくすることができるが、滑りやすい路面や車両1に生じる横加速度が大きな走行等では、インホイールモータ駆動装置からなる制駆動装置3の制駆動力によってタイヤがスリップし易いため、DYCで発生できるヨーモーメントには限界がある。そのため、運転者が操舵アシストを受容していないと判定した時、DYCのヨーモーメントをある一定の大きさまで発生させた後に操舵アシストゲインKaを小さくするか、もしくはDYCのヨーモーメントを発生させるとともに操舵アシストゲインKaを小さくするのが良い。
<DYC計算手段22、図2>
DYC計算手段22は、ヨーモーメント演算部32およびDYC指令値演算部33を備える。
ヨーモーメント演算部32は、インホイールモータ駆動装置からなる制駆動装置3の制駆動力により車両1に発生させるヨーモーメントMz(図7、図9)を演算し出力する。
DYC計算手段22は、ヨーモーメント演算部32およびDYC指令値演算部33を備える。
ヨーモーメント演算部32は、インホイールモータ駆動装置からなる制駆動装置3の制駆動力により車両1に発生させるヨーモーメントMz(図7、図9)を演算し出力する。
DYCで発生させるヨーモーメントMzについて、円旋回中の定常状態を例に説明する。図6は、操舵アシスト制御の目標経路R*に対し、ある一定の距離だけ旋回の外側の経路Rを運転者が走行しようとしている場面である。
このとき、同図(B)のように操舵アシスト計算手段21の規範操舵角演算部27で演算される規範操舵角θ* SWに比べて実操舵角θSWが小さいため、規範操舵角θ* SWと実舵角θSWの差(θ* SW−θSW)に基づいた反時計回りの操舵アシストトルクTaがステアリングハンドル9に発生している。また運転者は、自身の目標経路Rを走行するため時計回りの操舵トルクTを入力し、操舵アシストトルクTaに対抗している。
このとき、同図(B)のように操舵アシスト計算手段21の規範操舵角演算部27で演算される規範操舵角θ* SWに比べて実操舵角θSWが小さいため、規範操舵角θ* SWと実舵角θSWの差(θ* SW−θSW)に基づいた反時計回りの操舵アシストトルクTaがステアリングハンドル9に発生している。また運転者は、自身の目標経路Rを走行するため時計回りの操舵トルクTを入力し、操舵アシストトルクTaに対抗している。
この実施形態では、このような場面で運転者が操舵アシストを受容していないと操舵アシスト受容判定手段23が判定し、図7のようにDYCでヨーモーメントMzを発生させる。ヨーモーメントMzの向きは、運転者がステアリングハンドル9の操作で車両1に発生させようとしているヨーモーメントと同じ向きであり、大きさは、ステアリングハンドル9の操作のみで操舵アシスト制御の目標経路R*を走行する場合の規範ヨーレートと、で運転者の目標経路Rを走行する場合の実ヨーレートとの差であるヨーレート偏差に比例する。
Mz=Km(r(θ* SW)−r(act))
KmはDYCゲイン
実ヨーレートr(act)は、車両1に搭載されたセンサ等から計測された値、もしくは、実操舵角θSWとDYCのヨーモーメントMzを用いて計算された値を使用するのが好ましい。
Mz=Km(r(θ* SW)−r(act))
KmはDYCゲイン
実ヨーレートr(act)は、車両1に搭載されたセンサ等から計測された値、もしくは、実操舵角θSWとDYCのヨーモーメントMzを用いて計算された値を使用するのが好ましい。
ヨーモーメントMzを車両1に発生させると、運転者は目標経路Rを走行するために実操舵角θSWを大きくする必要があり、実操舵角θSWが規範操舵角θ* SWに近づく。これにより、操舵アシストトルクTaは小さくなるため、運転者は小さな操舵トルクTで自身の目標経路Rを走行することができる。ヨーモーメントMzの大きさを調節し、実操舵角θSWを規範操舵角θ* SWに一致させることで、操舵アシストトルクTaの発生をゼロとすることもできる。
図8は、操舵アシスト制御の目標経路R*に対し、ある一定の距離だけ旋回の内側の経路Rを運転者が走行しようとしている場面である。図4と同様にDYCでヨーモーメントMzを発生させたとき、図9のようになる。実操舵角θSWが規範操舵角θ* SWに近づくことにより、操舵アシストトルクTaおよび運転者の操舵トルクTを小さくすることができる。
DYC指令値演算部33(図2)は、ヨーモーメント演算部32が出力するヨーモーメントMzを実現するために必要な制駆動力発生装置3の制駆動力を、4 輪の制駆動力発生装置3のDYC指令値IWMFL, IWMFR, IWMRL, IWMRRとして演算し出力する。
DYC指令値演算部33(図2)は、ヨーモーメント演算部32が出力するヨーモーメントMzを実現するために必要な制駆動力発生装置3の制駆動力を、4 輪の制駆動力発生装置3のDYC指令値IWMFL, IWMFR, IWMRL, IWMRRとして演算し出力する。
<作用、効果のまとめ>
この実施形態は、このように、操舵アシスト機構と前輪2fもしくは後輪2rで左右独立に制駆動力を制御出来る車両に於いて、運転者の操舵アシスト受け入れ度合を操舵系7Aの操舵エネルギーDEで判別する。操舵エネルギーDEと操舵エネルギーDEの変化量dDE から操舵アシストが受け入れられていないと判定された場合、操舵アシストゲインの変更とDYCによるヨーモーメントMzを発生させる。操舵アシストゲインKaは、操舵エネルギーDEと操舵エネルギーDEの変化量dDE の大きさに応じて変更する。DYCによるヨーモーメント制御は、実操舵角θSWが操舵アシストの規範操舵角θ* SWに近づくようにヨーモーメントMzを発生させる。
このように、運転者と運転支援の目標経路R,R*が一致せず、操舵アシストが受け入れられていないと判定した場合に、この実施形態による操舵アシストゲインKaの変更とDYC によるヨーモーメントMzを発生させる事で運転者の目標経路Rでの実操舵角θSWが規範操舵角θ* SWに近づく事になる。このことによって、操舵アシストトルクTaは減少し、運転者の負荷が減る。操舵アシストトルクTaが減少する事で、パワーステアリングのパワーアシスト量を変更する事が抑えられ、操舵フィーリングの悪化を防ぐ事が出来る。
この実施形態は、このように、操舵アシスト機構と前輪2fもしくは後輪2rで左右独立に制駆動力を制御出来る車両に於いて、運転者の操舵アシスト受け入れ度合を操舵系7Aの操舵エネルギーDEで判別する。操舵エネルギーDEと操舵エネルギーDEの変化量dDE から操舵アシストが受け入れられていないと判定された場合、操舵アシストゲインの変更とDYCによるヨーモーメントMzを発生させる。操舵アシストゲインKaは、操舵エネルギーDEと操舵エネルギーDEの変化量dDE の大きさに応じて変更する。DYCによるヨーモーメント制御は、実操舵角θSWが操舵アシストの規範操舵角θ* SWに近づくようにヨーモーメントMzを発生させる。
このように、運転者と運転支援の目標経路R,R*が一致せず、操舵アシストが受け入れられていないと判定した場合に、この実施形態による操舵アシストゲインKaの変更とDYC によるヨーモーメントMzを発生させる事で運転者の目標経路Rでの実操舵角θSWが規範操舵角θ* SWに近づく事になる。このことによって、操舵アシストトルクTaは減少し、運転者の負荷が減る。操舵アシストトルクTaが減少する事で、パワーステアリングのパワーアシスト量を変更する事が抑えられ、操舵フィーリングの悪化を防ぐ事が出来る。
<他の実施形>
図11は、この発明の他の実施形態を示す。この実施形態において、特に説明する事項の他は、図1〜図10と共に示す第1の実施形態で説明した事項と同様である。
この実施形態は、操舵アシスト受容判定手段23Aを、第1の実施形態における操舵アシスト受容判定手段23と次のように異ならせた例である。
この実施形態では、操舵アシスト受容判定手段23Aが、第1の実施形態における操舵エネルギー推定部29(図2)の代わりに、操舵トルク偏差演算部34を備えている。操舵アシスト計算手段21で算出される規範操舵角θ* SWから目標経路R*を辿る際に転舵輪に発生するセルフアライニングトルクを推定することで、セルフアライニングトルクに釣り合うトルクを操舵系7A(図1)に入力するべき目標操舵トルクT*と考える事が出来る。
図11は、この発明の他の実施形態を示す。この実施形態において、特に説明する事項の他は、図1〜図10と共に示す第1の実施形態で説明した事項と同様である。
この実施形態は、操舵アシスト受容判定手段23Aを、第1の実施形態における操舵アシスト受容判定手段23と次のように異ならせた例である。
この実施形態では、操舵アシスト受容判定手段23Aが、第1の実施形態における操舵エネルギー推定部29(図2)の代わりに、操舵トルク偏差演算部34を備えている。操舵アシスト計算手段21で算出される規範操舵角θ* SWから目標経路R*を辿る際に転舵輪に発生するセルフアライニングトルクを推定することで、セルフアライニングトルクに釣り合うトルクを操舵系7A(図1)に入力するべき目標操舵トルクT*と考える事が出来る。
操舵トルク偏差演算部34では、操舵トルクセンサ11(図1)の測定値から求められる運転者が入力している操舵トルクTと目標操舵トルクT*の偏差(以下、操舵トルク偏差(T*−T)を演算し出力する。受容判定部30では、操舵トルク偏差(T*−T)の絶対値が増加し予め定めた閾値を超えた場合、上記操舵エネルギーと同様に運転者が操舵アシストを受け入れていないと判別する。
この構成の場合、特にステアリングホイール9(図1)を保舵するような定常状態において運転者が操舵アシストを受容しているかどうかを直感的にも判別できる。
この構成の場合、特にステアリングホイール9(図1)を保舵するような定常状態において運転者が操舵アシストを受容しているかどうかを直感的にも判別できる。
なお、前記各実施形態では、四輪駆動でかつ制駆動力発生装置3がインホールモータ駆動装置である場合につき、説明したが、制駆動力発生装置3は、前輪2fおよび後輪2rの少なくとも一方で駆動力および制動力の両方または一方を左右輪独立に発生出来る装置であればよく、前輪駆動または後輪駆動の二輪駆動であってもよく、また制駆動力発生装置3は、左右輪に対してモータを設けたオンボード形式の装置であっても、さらに、ガソリンエンジン等の内燃機関車であって、ブレーキを左右独立に制御できる構成したものであってもよい。
以上、実施形態に基づいてこの発明を実施するための形態を説明したが、今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではない。この発明の範囲は上記した説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
1…車両、2f…前輪、2r…後輪、3…制駆動力発生装置、4…モータ、5…車輪用軸受、7…操舵機構、8…モータ、10…操舵制御装置、13…制動駆動力制御装置、11…操舵角センサ、9a…ステアリングシャフト、12…操舵トルクセンサ、8…モータ、20…車両制御装置、21…操舵アシスト計算手段、22…DYC計算手段、23,23A…操舵アシスト受容判定手段、24…地図情報、25…目標経路決定部、26…自車位置推定部、27…規範操舵角演算部、28…操舵アシストトルク演算部、29…操舵エネルギー推定部、30…受容判定部、31…アシストゲイン演算部、32…ヨーモーメント演算部、33…DYC指令値演算部、34…操舵トルク偏差演算部
Claims (5)
- 前輪および後輪の少なくとも一方で駆動力および制動力の両方またはいずれか一方を左右輪独立に発生出来る制駆動力発生機構と、ステアリングホイールによる操舵のトルクに操舵アシストトルクを付与出来る操舵機構とを備えた車両に装備される車両制御装置であって、
前記車両の目標経路を決定する目標経路決定部と、前記目標経路に基づいて決定される規範操舵角と操舵角センサが出力する実操舵角とを参照して前記実操舵角が前記規範操舵角に近づくように操舵アシストするための操舵アシスト指令トルクを演算する操舵アシストトルク演算部を含む操舵アシスト計算手段と、
前記制駆動力発生機構に付与するDYCトルクの指令値であるDYC指令値を演算するDYC指令値演算部を含むDYC計算手段と、
前記実操舵角と操舵系7Aに作用する操舵トルクを用いて運転者が前記操舵アシストを受容しているか判定する操舵アシスト受容判定手段とを備え、
前記操舵アシスト受容判定手段で運転者が操舵アシストを受容していないと判定されるときに前記DYC計算手段は、前記車両にヨーモーメントを発生させる前記DYC指令値を前記制駆動力発生機構に付与する、車両制御装置。 - 請求項1に記載の車両制御装置において、前記操舵アシスト受容判定手段は、前記実操舵角と前記操舵系に作用する操舵トルクから前記操舵系に作用する操舵エネルギー量とこの操舵エネルギー量の変化量を推定する操舵エネルギー推定部を有し、操舵エネルギー量と操舵エネルギー量の変化量とで規定される領域から、前記推定された操舵エネルギー量およびこの操舵エネルギー量の変化量の変化量のいずれかが外れたときに、運転者が操舵アシストを受容していないと判定する車両制御装置。
- 前輪および後輪の少なくとも一方で駆動力および制動力の両方またはいずれか一方を左右輪独立に発生出来る制駆動力発生機構と、ステアリングホイールによる操舵のトルクに操舵アシストトルクを付与出来る操舵機構とを備えた車両に装備される車両制御装置であって、
前記車両の目標経路を決定する目標経路決定部と、前記目標経路に基づいて決定される規範操舵角と操舵角センサが出力する実操舵角とを参照して前記実操舵角が前記規範操舵角に近づくように操舵アシストするための操舵アシスト指令トルクを演算する操舵アシストトルク演算部を含む操舵アシスト計算手段と、
前記制駆動力発生機構に付与するDYCトルクの指令値であるDYC指令値を演算するDYC指令値演算部を含むDYC計算手段と、
前記規範操舵角から計算される目標操舵トルクと前記操舵系7Aに作用する操舵トルクとの偏差が閾値を超えたときに、運転者が操舵アシストを受容していないと判定する操舵アシスト受容判定手段とを備え、
前記操舵アシスト受容判定手段で運転者が操舵アシストを受容していないと判定されるときに前記DYC計算手段は、前記車両にヨーモーメントを発生させる前記DYC指令値を前記制駆動力発生機構に付与する、車両制御装置。 - 請求項1ないし請求項3のいずれか1項に記載の車両制御装置において、前記操舵アシスト受容判定手段が、運転者が操舵アシストを受容していないと判定したとき、前記操舵アシストトルク演算部は、出力する操舵アシスト指令トルクを小さくする車両制御装置。
- 請求項1ないし請求項4のいずれか1項に記載の車両制御装置において、前記操舵アシスト受容判定手段は、運転者が操舵アシストを受容してない程度を判定し、運転者が操舵アシストを受容してないと判定した場合に受容していない程度に応じ、前記DYC計算手段がDYCのヨーモーメントをある一定の大きさまで発生させた後に前記操舵アシスト計算手段が操舵アシストゲインを小さくし、または前記DYC計算手段がDYCのヨーモーメントを発生させるとともに前記操舵アシスト計算手段が操舵アシストゲインを小さくする車両制御装置。
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Cited By (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
WO2023223513A1 (ja) * | 2022-05-19 | 2023-11-23 | 株式会社ジェイテクト | 4輪駆動車両 |
-
2020
- 2020-03-23 JP JP2020050683A patent/JP2021146963A/ja active Pending
Cited By (1)
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WO2023223513A1 (ja) * | 2022-05-19 | 2023-11-23 | 株式会社ジェイテクト | 4輪駆動車両 |
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