JP2005133323A - 建築工法およびそれに利用する門型ラーメン構造体 - Google Patents
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Abstract
建築物に必要な耐力壁や開口部を構成することができる建築工法およびそれに利用する門型ラーメン構造体を提供する。
【解決手段】一対の柱部材1、1の上端部を梁部材2で連結した門型ラーメン構造体10を建築物の開口部に配置して荷重を支持する。門型ラーメン構造体10の柱部材1は中実構造の柱材で構成され、梁部材2は1対の柱部材1、1の間に配置された上下に略平行に配列された一対の角材41、42と、一対の角材41、42の各々の両側面同士を連結する一対の面材23、24により構成され、柱部材1、1と梁部材2はホールダウン金具により連結される。
【選択図】 図5
Description
また、母材と受けリングまたはナット、戻り止めナット、ねじ山を切ったワッシャー等およびボルト、ねじ等から構成された受け金物付母材と、取付材と取付金物から構成された取付金物付取付材とを使用し、取付金物を取付材にボルトで固定し、母材に挿入したボルト、ねじ等の軸部または受けリングに取付金物を引掛けた後、ボルト、ねじ等とナットを締め付け接合する構成の接合構造が知られている(たとえば、特許文献1参照)。
一方、特許文献1のように、金物付母材と金物付取付材とを使用して接合する方法は、2方向ラーメン構造を木構造で実現することができる。しかし、施工平面空間の中央部などに設ける支柱には両側の壁、床、小屋荷重などを支持するために太い支柱が必要である。また、ラーメン構造に使用する梁もその重量が大きいものが使用される。したがって、コストあるいは施工性の点で種々の課題がある。
また、施工平面空間が広い場合でも平面空間内に太い支柱を設ける必要がない建築工法を提供することを目的とする。
また、重量が軽く、しかも施工性に優れた剛接合または半剛接が可能な門型ラーメン構造体を提供することを目的とする。
請求項2記載の本発明は、請求項1に記載の建築工法において、柱部材が中実構造の柱材で構成され、前記梁部材が前記柱部材の間に配置された中実構造の角材で構成され、前記角材は前記柱部材と連結される位置において上面と下面に切溝が形成され、前記梁部材と前記柱部材は前記切溝内に配置されたホールダウン金具により連結されたことを特徴とする。
請求項3記載の本発明は、請求項1に記載の建築工法において、柱部材が中実構造の柱材で構成され、前記梁部材が前記柱部材の間に配置された上下に略平行に配列された一対の角材と、一対の前記角材の各々の両側面同士を連結する一対の面材により構成されたことを特徴とする。
請求項4記載の本発明は、請求項3に記載の建築工法において、一対の前記角材は、各々前記柱部材と連結される位置において、上側に配置される前記角材の上面および下側に配置される前記角材の下面に切溝が形成され、前記切溝内にホールダウン金具が設置され、一対の前記角材と前記柱部材が前記ホールダウン金具により連結されたことを特徴とする。
請求項5記載の本発明は、請求項1に記載の建築工法において、柱部材が中実構造の角材で構成され、前記梁部材が前記柱部材の各々の上端面に横架された中実構造の柱材で構成され、前記角材は前記梁部材と連結される位置において側面に切溝が形成され、前記柱部材と前記梁部材は前記切溝内に配置されたホールダウン金具により連結されたことを特徴とする。
請求項6記載の本発明は、請求項1に記載の建築工法において、柱部材が略平行に配列された一対の角材と、一対の前記角材の各々の両側面同士を連結する一対の面材により構成され、前記梁部材が前記柱部材の各々の上端面に横架された中実構造の柱材で構成されたことを特徴とする。
請求項7記載の本発明は、請求項6に記載の建築工法において、一対の前記角材は、各々前記梁部材と連結される位置において側面に切溝が形成され、前記切溝内にホールダウン金具が設置され、一対の前記角材と前記梁部材が前記ホールダウン金具により連結されたことを特徴とする。
請求項8記載の本発明は、請求項2から請求項7のいずれかに記載の建築工法において、前記角材が複数の角材の積層体で構成されたことを特徴とする。
請求項9記載の本発明は、請求項1に記載の建築工法において、門型ラーメン構造体を複数体使用し、各門型ラーメン構造体の柱部材を連結金具で連結したことを特徴とする。
請求項10記載の本発明は、請求項9に記載の建築工法において、複数体の前記門型ラーメン構造体を前記梁部材が直線状になるように各々の前記柱部材を連結したことを特徴とする。
請求項11記載の本発明は、請求項9に記載の建築工法において、複数体の前記門型ラーメン構造体を前記梁部材が互いに直交するように各々の前記柱部材を連結したことを特徴とする。
請求項12記載の本発明は、請求項9に記載の建築工法において、4体の前記門型ラーメン構造体を前記梁部材が互いに直交するように各々の前記柱部材を連結したことを特徴とする。
請求項13記載の本発明は、請求項1および請求項9から請求項12のいずれかに記載の建築工法において、複数体の前記門型ラーメン構造体の少なくとも1体を建築物の開口部に配置したことを特徴とする。
請求項14記載の本発明は、請求項12に記載の建築工法において、4体の前記門型ラーメン構造体の連結した柱部材を建築物の施工平面空間の内部に配置したことを特徴とする。
請求項15記載の本発明は、請求項1に記載の建築工法において、第1の前記門型ラーメン構造体の前記柱部材の上面に第2の門型ラーメン構造体の柱部材の下面を重ねて積み上げ、前記第1の門型ラーメン構造体の前記柱部材と前記第2の門型ラーメン構造体の前記柱部材とをホールダウンプレートで連結したことを特徴とする。
請求項16記載の本発明の門型ラーメン構造体は、中実構造の柱材で構成された一対の柱部材と、前記柱部材の上端部を連結する梁部材を有し、前記梁部材が一対の前記柱部材の間に配置された中実構造の角材で構成され、前記角材は前記柱部材と連結される位置において上面と下面に切溝が形成され、前記梁部材と前記柱部材は前記切溝内に配置されたホールダウン金具により連結されたことを特徴とする。
請求項17記載の本発明の門型ラーメン構造体は、中実構造の柱材で構成された一対の柱部材と、前記柱部材の上端部を連結する梁部材を有し、前記梁部材が一対の前記柱部材の間に配置された上下に略平行に配列された一対の角材と、一対の前記角材の各々の両側面同士を連結する一対の面材により構成されたことを特徴とする。
請求項18記載の本発明は、請求項17に記載の門型ラーメン構造体において、一対の前記角材は、各々前記柱部材と連結される位置において、上側に配置される前記角材の上面および下側に配置される前記角材の下面に切溝が形成され、前記切溝内にホールダウン金具が設置され、一対の前記角材と前記柱部材が前記ホールダウン金具により連結されたことを特徴とする。
請求項19記載の本発明の門型ラーメン構造体は、中実構造の柱材で構成された一対の柱部材と、一対の前記柱部材の各々の上端面に横架された梁部材を有し、前記梁部材が一対の前記柱部材の間に配置された中実構造の角材で構成され、前記角材は前記柱部材と連結される位置において上面と下面に切溝が形成され、前記梁部材と一対の前記柱部材は前記切溝内に配置されたホールダウン金具により連結されたことを特徴とする。
請求項20記載の本発明の門型ラーメン構造体は、一対の柱部材と、一対の前記柱部材の各々の上端面に横架された梁部材を有し、前記柱部材が略平行に配列された一対の角材と一対の前記角材の各々の両側面同士を連結する一対の面材により構成され、前記梁部材が前記柱部材の各々の上端面に横架された中実構造の柱材で構成されたことを特徴とする。
請求項21記載の本発明は、請求項20に記載の門型ラーメン構造体において、一対の前記角材は、各々前記梁部材と連結される位置において側面に切溝が形成され、前記切溝内にホールダウン金具が設置され、一対の前記角材と前記梁部材が前記ホールダウン金具により連結されたことを特徴とする。
請求項22記載の本発明は、請求項16から請求項21のいずれかに記載の門型ラーメン構造体において、角材が複数の角材の積層体で構成されたことを特徴とする。
また、施工平面空間が広い場合でもその中央部に太い支柱を設ける必要がない建築工法を実現することができる。
また、重量が軽く、しかも施工性に優れた剛接合または半剛接が可能な門型ラーメン構造体を実現することができる。
本実施の形態によれば、開口部の広い空間を有する建築物において、開口部に筋交いや耐力壁を設けることなく、門型ラーメン構造体自体で建築物に必要な耐力壁や開口部を実現し、かつ、外壁、床、屋根などの加重を確実に支持することができる。したがって、高い強度および高耐震性を保ちつつ、現場における施工も簡単に行うことができる。また、施工平面空間が広い場合でも平面空間内に太い柱を設ける必要がない。
本発明の第2の実施の形態は、第1の実施の形態による建築工法において、門型ラーメン構造体が中実構造の柱部材と、柱部材の間に配置された中実構造の角材による梁部材で構成され、梁部材と柱部材がホールダウン金具により連結されたものである。本実施の形態によれば、使用する門型ラーメン構造体の構造が簡単であり、この門型ラーメン構造体をあらかじめ製作しておき、それを施工現場で必要な箇所に設置するだけで施工することができる。
本発明の第3の実施の形態は、第1の実施の形態による建築工法において、門型ラーメン構造体が中実構造の柱部材と梁部材で構成され、梁部材が柱部材の間に配置された上下に略平行に配列された一対の角材と、その角材の各々の両側面同士を連結する一対の面材により構成されたものである。本実施の形態によれば、使用する門型ラーメン構造体の構造が簡単であり、この門型ラーメン構造体をあらかじめ製作しておき、それを施工現場で必要な箇所に設置するだけで施工することができる。また、梁部材の重量を軽減することができ、かつ、コストを低下させることができる。
本発明の第4の実施の形態は、第3の実施の形態による建築工法において、梁部材を構成する一対の角材と柱部材がホールダウン金具により連結されたものである。本実施の形態によれば、使用する門型ラーメン構造体を既存のアンカーボルト接続金具を使用して構成できるので、構成および製造が簡単である。
本発明の第5の実施の形態は、第1の実施の形態による建築工法において、門型ラーメン構造体が中実構造の柱部材と、柱部材の各々の上端面に横架された中実構造の梁部材で構成され、梁部材と柱部材がホールダウン金具により連結されたものである。本実施の形態によれば、使用する門型ラーメン構造体の構造が簡単であり、この門型ラーメン構造体をあらかじめ製作しておき、それを施工現場で必要な箇所に設置するだけで施工することができる。また、梁部材が柱部材に載った構成であるので、建築物の荷重が梁部材と柱部材の接合部に直接作用することはない。したがって、荷重に対する安定性が向上する。また、施工性が向上する。
本発明の第6の実施の形態は、第1の実施の形態による建築工法において、門型ラーメン構造体が柱部材と中実構造の梁部材で構成され、柱部材が略平行に配列された一対の角材とこの角材の各々の両側面同士を連結する一対の面材により構成され、梁部材が柱部材の各々の上端面に横架されたものである。本実施の形態によれば、使用する門型ラーメン構造体の構造が簡単であり、この門型ラーメン構造体をあらかじめ製作しておき、それを施工現場で必要な箇所に設置するだけで施工することができる。また、柱部材の重量を軽減し、かつ、コストを低下させることができる。また、梁部材が柱部材に載った構成であるので、建築物の荷重が梁部材と柱部材の接合部に直接作用することはない。したがって、荷重に対する安定性が向上する。また、施工性が向上する。
本発明の第7の実施の形態は、第6の実施の形態による建築工法において、一対の角材は、各々前記梁部材と連結される位置において側面に切溝が形成され、柱部材と梁部材がホールダウン金具により連結されたものである。本実施の形態によれば、使用する門型ラーメン構造体の構造が簡単であり、この門型ラーメン構造体をあらかじめ製作しておき、それを施工現場で必要な箇所に設置するだけで施工することができる。
本発明の第8の実施の形態は、第2から第7のいずれかの実施の形態による建築工法において、角材が複数の角材の積層体で構成されたものである。本実施の形態によれば、門型ラーメン構造体を構成する柱部材または梁部材を太い角材を使用せずに安価な細い角材を使用して構成することができる。
本発明の第9の実施の形態は、第1の実施の形態による建築工法において、門型ラーメン構造体を複数体使用し、各門型ラーメン構造体の柱部材を連結金具で連結したものである。本実施の形態によれば、門型ラーメン構造体の連結部が外壁、床、屋根などの加重を確実に支持する柱としての作用をするので当該部分に柱を設ける必要がない。また、門型ラーメン構造体自体で建築物に必要な耐力壁や開口部を簡単に実現することができる。
本発明の第10の実施の形態は、第9の実施の形態による建築工法において、複数体の門型ラーメン構造体を前記梁部材が直線状になるように各々の柱部材を連結したものである。本実施の形態によれば、建築物の開口部を有する外壁や間仕切り壁としての耐力壁や開口部を簡単に実現することができる。
本発明の第11の実施の形態は、第9の実施の形態による建築工法において、複数体の門型ラーメン構造体を前記梁部材が互いに直交するように各々の柱部材を連結したものである。本実施の形態によれば、建築物の開口部を有する外壁とそれに直交する間仕切り壁としての耐力壁や開口部を簡単に実現することができる。
本発明の第12の実施の形態は、第9の実施の形態による建築工法において、4体の門型ラーメン構造体を前記梁部材が互いに直交するように各々の柱部材を連結したものである。本実施の形態によれば、建築物の室内空間における開口部を有する間仕切り壁としての耐力壁や開口部を簡単に実現することができる。
本発明の第13の実施の形態は、第1および第9から第12のいずれかに記載の実施の形態による建築工法において、複数体の門型ラーメン構造体の少なくとも1体を建築物の開口部に配置したものである。本実施の形態によれば、建築物の開口部を有する耐力壁や開口部を簡単に実現することができる。
本発明の第14の実施の形態は、第12の実施の形態による建築工法において、4体の門型ラーメン構造体の連結した柱部材を建築物の施工平面空間の内部に配置したものである。本実施の形態によれば、4体の門型ラーメン構造体の連結部が床や屋根などの加重を確実に支持する柱としての作用をするので建築物の施工平面空間の内部に柱を設ける必要がない。
本発明の第15の実施の形態は、第1の実施の形態による建築工法において、第1の門型ラーメン構造体の柱部材の上面に第2の門型ラーメン構造体の柱部材の下面を重ねて積み上げ、第1の門型ラーメン構造体の柱部材と第2の門型ラーメン構造体の柱部材とをホールダウンプレートで連結したものである。本実施の形態によれば、2階建て以上の建築物における各階に必要な耐力壁や開口部を実現することができる。
本発明の第16の実施の形態による門型ラーメン構造体は、中実構造の一対の柱部材と、この一対の柱部材の間に配置された中実構造の角材による梁部材で構成され、梁部材と柱部材がホールダウン金具により連結されたものである。本実施の形態によれば、門型ラーメン構造体自体の構造が簡単であり、この門型ラーメン構造体をあらかじめ製作しておき、それを施工現場で必要な箇所に設置するだけで施工することができる。
本発明の第17の実施の形態による門型ラーメン構造体は、中実構造の一対の柱部材と、この柱部材の上端部を連結する梁部材を有し、梁部材が一対の柱部材の間に配置された上下に略平行に配列された一対の角材と、この一対の角材の各々の両側面同士を連結する一対の面材により構成されたものである。本実施の形態によれば、門型ラーメン構造体の構造が簡単であり、この門型ラーメン構造体をあらかじめ製作しておき、それを施工現場で必要な箇所に設置するだけで施工することができる。また、梁部材の重量を軽減することができ、かつ、コストを低下させることができる。
本発明の第18の実施の形態は、第17の実施の形態による門型ラーメン構造体において、一対の角材と柱部材がホールダウン金具により連結されたものである。本実施の形態によれば、門型ラーメン構造体を既存のアンカーボルト接続金具を使用して構成できるので、構成および製造が簡単である。
本発明の第19の実施の形態による門型ラーメン構造体は、中実構造の一対の柱部材と、この一対の柱部材の各々の上端面に横架された中実構造の角材による梁部材で構成され、梁部材と柱部材がホールダウン金具により連結されたものである。本実施の形態によれば、門型ラーメン構造体自体の構造が簡単であり、この門型ラーメン構造体をあらかじめ製作しておき、それを施工現場で必要な箇所に設置するだけで施工することができる。
本発明の第20の実施の形態による門型ラーメン構造体は、一対の柱部材と、この一対の柱部材の各々の上端面に横架された梁部材を有し、柱部材が略平行に配列された一対の角材と、この一対の角材の各々の両側面同士を連結する一対の面材により構成されたものである。本実施の形態によれば、門型ラーメン構造体の構造が簡単であり、この門型ラーメン構造体をあらかじめ製作しておき、それを施工現場で必要な箇所に設置するだけで施工することができる。また、柱部材の重量を軽減することができ、かつ、コストを低下させることができる。
本発明の第21の実施の形態は、第20の実施の形態による門型ラーメン構造体において、一対の角材と柱部材がホールダウン金具により連結されたものである。本実施の形態によれば、門型ラーメン構造体を既存のアンカーボルト接続金具を使用して構成できるので、構成および製造が簡単である。
本発明の第22の実施の形態は、第16から第21のいずれかに記載の実施の形態による門型ラーメン構造体において、角材が複数の角材の積層体で構成されたものである。本実施の形態によれば、門型ラーメン構造体を構成する柱部材または梁部材を太い角材を使用せずに安価な細い角材を使用して構成することができる。
図1は、本発明の建築工法に使用される門型ラーメン構造体10の基本構造を示す。門型ラーメン構造体10は、中実構造の一対の柱部材1、1とその上端部の内側に連結された梁部材2から構成される。梁部材2の両端部の上面および下面には切溝4が形成され、切溝4内に図4に示すホールダウン金具が取り付けられ、柱部材1、1に外側から六角ボルト5を貫通させてホールダウン金具にねじ止めする。梁部材2としては、図2に示す中実構造の角材によるもの、図5、6に示す一対の角材21、22とそれらの側面を連結する一対の面材23、24により構成されたものが使用される。詳細は後述する。
梁部材2の上面および下面に形成された切溝4内にホールダウン金具8が取り付けられる。ホールダウン金具8は、図4(b)に示すように、板部90にハウジング部92が載せられた構成をしており、板部90には図4(a)に示すように複数のボルト孔91が形成されている。また、ハウジング部92には図4(c)に示すように六角ボルト5を貫通させる孔93が形成されている。このホールダウン金具8は在来工法の土台工事に使用されるアンカーボルト用の金具として知られているので詳細な説明は省略する。本発明においては、土台工事用として使用されているホールダウン金具8を門型ラーメン構造体10の柱部材1、1と梁部材2の剛接合金具として利用することにより接合金具の標準化を図っている点に特徴がある。
柱部材1、1の梁部材2を接合する位置にはダボ11が、梁部材2にはダボ11の位置に対応してダボ11を挿入する穴が形成されており、柱部材1、1のダボ11を梁部材2の穴に挿入して仮止めする。このとき必要に応じて接着剤を併用する。柱部材1、1と梁部材2が仮止めされた状態で、柱部材1、1に外側から六角ボルト5を貫通させ、六角ボルト5をホールダウン金具8の孔93に通して固定することにより柱部材1、1と梁部材2は剛接合される。図3に柱部材1、1と梁部材2が接合された状態の平面図を示す。この固定時には、六角ボルト5の頭側にスクリューワッシャー、先端側に座金が使用される(図示省略)。
角材21の上面および角材22の下面にはそれぞれ切溝41、42が形成され、各切溝41、42内にホールダウン金具81、82が取り付けられる。ホールダウン金具81、82は、図2のホールダウン金具8と同一のものである。
柱部材1、1の梁部材2を接合する位置には、角材21および角材22間の間隔に対応した長さの方形ダボ25が取り付けられる。方形ダボ25は木材片や合板の積層体で形成され、スクリューボルトなどで柱部材1、1に固定される。柱部材1、1の方形ダボ25は梁部材2の角材21および角材22間の空隙内に挿入して仮止めする。このとき必要に応じて接着剤を併用する。柱部材1、1と梁部材2が仮止めされた状態で、柱部材1、1に外側から2本の六角ボルト5、5を貫通させ、六角ボルト5、5を角材21、22のホールダウン金具81、82に通して固定する。このときの接合状態は図3と同様である。この固定時にも、図2の場合と同様に、六角ボルト5の頭側にスクリューワッシャー、先端側に座金が使用される。
図5のように、梁部材2を一対の角材21、22とこれらの角材21、22の側面を連結する一対の面材23、24による太鼓張りの構成にすると、梁部材2の重量を軽くすることができるとともに、材料のコストを削減することができる。また角材21、22の間に空隙があっても、面材23、24の作用により中実構造の梁部材2と同様の強度を維持することができる。
なお、面材23、24の貼り付け位置は、角材21、22の全側面以外に、角材21、22間の空隙に沿って角材21、22の側面に切溝を形成し、この切溝内に面材23、24の上下縁部をはめ込んで固定するようにしても良い。このように、切溝内に面材23、24の上下縁部をはめ込んで固定することで、角材21、22と面材23、24とを同一面として構成することができる。
以上のように構成された門型ラーメン構造体10は、基本的に建築物の桁梁または開口部に使用される。そして、この門型ラーメン構造体10を単体または複数体を組み合わせて使用される。単体の場合は開口部が1つの位置に使用され、複数体を組み合わせる場合は開口部が直線位置に連続している場合や開口部が直交して存在する場合に使用される。
なお、柱部材1の断面寸法は、BB(A)650およびBB(A)750では120mm×360mm、BB(A)850およびBB(A)950では120mm×380mm、BB(B)450〜BB(B)750では120mm×360mm、BB(B)850およびBB(B)950では120mm×480mmである。また、梁部材2の上角材21および下角材22の断面寸法は、BB(A)では上角材21が120mm×360mm、下角材22が120mm×150mm、BB(B)では上角材21および下角材22ともに120mm×150mmである。
このような構成の建築物において、1階の駐車場33の施工方法として、本発明による門型ラーメン構造体10を複数体、図11(a)では5体、平行に配列する。5体の門型ラーメン構造体10としては、図10におけるBB(A)600を2体、BB(B)500を3体使用する。これらの5体の門型ラーメン構造体10により図11(a)に示す駐車場33は、建築基準法に規定されている強度基準を十分に満たすことができる。
なお、台所43、食事室44、浴室45などの空間を含めて台所43の角46、浴室45の角47までの外壁部や内壁部にも門型ラーメン構造体10を配置すれば、強度を一層向上させることができる。
また、この住居に2階部分がある場合には、1階に配置した門型ラーメン構造体10の上に図8に示したように2階用の門型ラーメン構造体10を積み重ねてそれらを略H字型ホールダウンプレート39により連結すればよい。
柱部材51は、実施例1と同様に、中実構造の角材や、図5または図6のように鉛直方向に平行に配された1対の角材とその側面同士を連結する一対の面材により構成することができる。
門型ラーメン構造体としての機能、柱部材51同士の接合、施工方法などは実施例1の場合と基本的に同一であるので、説明は省略する。
本実施例によれば、梁部材52が柱部材51の上面に載置されているので、建築物の荷重が梁部材52と柱部材51の接合部に直接作用することはない。したがって、荷重に対する安定性が向上する。また、柱部材51の幅が大きいので、建築物の外壁用の門型ラーメン構造体10として特に有用である。
なお、図11、図12における建築物においては、一部を門型ラーメン構造体とした場合を示したが、建築物の全てを門型ラーメン構造体で構成してもよい。
2 梁部材
4 切溝
5 六角ボルト
8 ホールダウン金具
10 門型ラーメン構造体
11 ダボ
17、18、37、38 柱部材
21、22 角材
23、24 面材
25 方形ダボ
27 梁部材
39 略H字型ホールダウンプレート
41、42 切溝
51 柱部材
52 梁部材
57、58 六角ボルト
68、69 両ねじボルト
81、82 ホールダウン金具
90 板部
91 ボルト孔
92 ハウジング部
93 孔
Claims (22)
- 一対の柱部材の上端部を梁部材で連結した門型ラーメン構造体を1体または複数体使用し、1体または複数体の前記門型ラーメン構造体により建築物の荷重を支持することを特徴とする建築工法。
- 前記柱部材が中実構造の柱材で構成され、前記梁部材が前記柱部材の間に配置された中実構造の角材で構成され、前記角材は前記柱部材と連結される位置において上面と下面に切溝が形成され、前記梁部材と前記柱部材は前記切溝内に配置されたホールダウン金具により連結されたことを特徴とする請求項1に記載の建築工法。
- 前記柱部材が中実構造の柱材で構成され、前記梁部材が前記柱部材の間に配置された上下に略平行に配列された一対の角材と、一対の前記角材の各々の両側面同士を連結する一対の面材により構成されたことを特徴とする請求項1に記載の建築工法。
- 一対の前記角材は、各々前記柱部材と連結される位置において、上側に配置される前記角材の上面および下側に配置される前記角材の下面に切溝が形成され、前記切溝内にホールダウン金具が設置され、一対の前記角材と前記柱部材が前記ホールダウン金具により連結されたことを特徴とする請求項3記載の建築工法。
- 前記柱部材が中実構造の角材で構成され、前記梁部材が前記柱部材の各々の上端面に横架された中実構造の柱材で構成され、前記角材は前記梁部材と連結される位置において側面に切溝が形成され、前記柱部材と前記梁部材は前記切溝内に配置されたホールダウン金具により連結されたことを特徴とする請求項1に記載の建築工法。
- 前記柱部材が略平行に配列された一対の角材と、一対の前記角材の各々の両側面同士を連結する一対の面材により構成され、前記梁部材が前記柱部材の各々の上端面に横架された中実構造の柱材で構成されたことを特徴とする請求項1に記載の建築工法。
- 一対の前記角材は、各々前記梁部材と連結される位置において、側面に切溝が形成され、前記切溝内にホールダウン金具が設置され、一対の前記角材と前記梁部材が前記ホールダウン金具により連結されたことを特徴とする請求項6に記載の建築工法。
- 前記角材が複数の角材の積層体で構成されたことを特徴とする請求項2から請求項7のいずれかに記載の建築工法。
- 前記門型ラーメン構造体を複数体使用し、各前記門型ラーメン構造体の前記柱部材を連結金具で連結したことを特徴とする請求項1に記載の建築工法。
- 複数体の前記門型ラーメン構造体を前記梁部材が直線状になるように各々の前記柱部材を連結したことを特徴とする請求項9に記載の建築工法。
- 複数体の前記門型ラーメン構造体を前記梁部材が互いに直交するように各々の前記柱部材を連結したことを特徴とする請求項9記載の建築工法。
- 4体の前記門型ラーメン構造体を前記梁部材が互いに直交するように各々の前記柱部材を連結したことを特徴とする請求項9に記載の建築工法。
- 複数体の前記門型ラーメン構造体の少なくとも1体を建築物の開口部に配置したことを特徴とする請求項1および請求項9から請求項12のいずれかに記載の建築工法。
- 4体の前記門型ラーメン構造体の連結した前記柱部材を建築物の施工平面空間の内部に配置したことを特徴とする請求項12に記載の建築工法。
- 第1の門型ラーメン構造体の前記柱部材の上面に、第2の門型ラーメン構造体の前記柱部材の下面を重ねて積み上げ、前記第1の門型ラーメン構造体の前記柱部材と前記第2の門型ラーメン構造体の前記柱部材とをホールダウンプレートで連結したことを特徴とする請求項1に記載の建築工法。
- 中実構造の柱材で構成された一対の柱部材と、前記柱部材の上端部を連結する梁部材を有し、前記梁部材が一対の前記柱部材の間に配置された中実構造の角材で構成され、前記角材は前記柱部材と連結される位置において上面と下面に切溝が形成され、前記梁部材と前記柱部材は前記切溝内に配置されたホールダウン金具により連結されたことを特徴とする門型ラーメン構造体。
- 中実構造の柱材で構成された一対の柱部材と、前記柱部材の上端部を連結する梁部材を有し、前記梁部材が一対の前記柱部材の間に配置された上下に略平行に配列された一対の角材と一対の前記角材の各々の両側面同士を連結する一対の面材により構成されたことを特徴とする門型ラーメン構造体。
- 一対の前記角材は、各々前記柱部材と連結される位置において、上側に配置される前記角材の上面および下側に配置される前記角材の下面に切溝が形成され、前記切溝内にホールダウン金具が設置され、一対の前記角材と前記柱部材が前記ホールダウン金具により連結されたことを特徴とする請求項17に記載の門型ラーメン構造体。
- 中実構造の柱材で構成された一対の柱部材と、一対の前記柱部材の各々の上端面に横架された梁部材を有し、前記梁部材が一対の前記柱部材の間に配置された中実構造の角材で構成され、前記角材は前記柱部材と連結される位置において上面と下面に切溝が形成され、前記梁部材と一対の前記柱部材は前記切溝内に配置されたホールダウン金具により連結されたことを特徴とする門型ラーメン構造体。
- 一対の柱部材と、一対の前記柱部材の各々の上端面に横架された梁部材を有し、前記柱部材が略平行に配列された一対の角材と一対の前記角材の各々の両側面同士を連結する一対の面材により構成され、前記梁部材が前記柱部材の各々の上端面に横架された中実構造の柱材で構成されたことを特徴とする門型ラーメン構造体。
- 一対の前記角材は、各々前記梁部材と連結される位置において側面に切溝が形成され、前記切溝内にホールダウン金具が設置され、一対の前記角材と前記梁部材が前記ホールダウン金具により連結されたことを特徴とする請求項20に記載の門型ラーメン構造体。
- 前記角材が複数の角材の積層体で構成されたことを特徴とする請求項16から請求項21のいずれかに記載の門型ラーメン構造体。
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