JP2005118979A - 研削・研磨用真空チャックおよび吸着板 - Google Patents

研削・研磨用真空チャックおよび吸着板 Download PDF

Info

Publication number
JP2005118979A
JP2005118979A JP2004090105A JP2004090105A JP2005118979A JP 2005118979 A JP2005118979 A JP 2005118979A JP 2004090105 A JP2004090105 A JP 2004090105A JP 2004090105 A JP2004090105 A JP 2004090105A JP 2005118979 A JP2005118979 A JP 2005118979A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
polishing
grinding
vacuum chuck
annular partition
suction
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP2004090105A
Other languages
English (en)
Inventor
Shigeji Ishikawa
茂治 石川
Katsuyuki Kiriyama
勝之 桐山
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Ibiden Co Ltd
Original Assignee
Ibiden Co Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Ibiden Co Ltd filed Critical Ibiden Co Ltd
Priority to JP2004090105A priority Critical patent/JP2005118979A/ja
Priority to KR1020057024906A priority patent/KR100753302B1/ko
Priority to PCT/JP2005/005563 priority patent/WO2005092564A1/ja
Priority to CNB2005800096751A priority patent/CN100467210C/zh
Publication of JP2005118979A publication Critical patent/JP2005118979A/ja
Priority to US11/525,820 priority patent/US7654887B2/en
Pending legal-status Critical Current

Links

Images

Landscapes

  • Mechanical Treatment Of Semiconductor (AREA)
  • Constituent Portions Of Griding Lathes, Driving, Sensing And Control (AREA)

Abstract

【課題】 被吸着体を吸着、保持するための保持面の平坦度に優れ、被吸着体の均一な研磨を実現することができる研磨用真空チャックを提供すること。
【解決手段】 被吸着体を吸着、保持するための吸着板と、上記吸着板を保持する保持台とからなり、上記吸着板は、空気が透過する吸着部と、空気の透過を遮断する環状隔壁層とにより構成され、上記吸着部は、上記吸着板が上記保持台と接触する面から上記吸着板が上記被吸着体と接触する面に至る全ての部分が多孔質セラミックスにて構成されていることを特徴とする研削・研磨用真空チャック。
【選択図】 図1

Description

本発明は、半導体ウエハ等の被吸着体の研磨処理を行うために用いられる研削・研磨用真空チャックおよび吸着板に関する。
一般に、半導体製品を製造する際には、単結晶シリコンインゴットを薄くスライスした後、その表面を研削、ラッピング、ポリッシングすることにより、鏡面に研磨されたシリコンウエハを得ることができる。
このシリコンウエハの研削・研磨工程は、精密な半導体製品(半導体チップ)を製造するために必要不可欠な重要な工程であり、このようなシリコンウエハの研削・研磨工程では、シリコンウエハを固定して研削・研磨を行うウエハ研削・研磨装置が必要となる。そこで、従来から様々な種類のウエハ研削・研磨装置が提案されている。
具体的には、例えば、多孔質セラミックスからなる吸着テーブルを用い、大きさの異なるウエハを吸着するために、多孔質セラミックスの所定の位置に、空気を遮断するエポキシ樹脂を含浸させて封印部を形成したウエハ研削・研磨装置が提案されている(例えば、特許文献1参照)。
このようなウエハ研削・研磨装置では、空気を遮断するための封印部は、多孔質セラミックス体にエポキシ樹脂を含浸させたものにより構成されている。エポキシ樹脂は環境によって形状変化を起こし易く、そのため、ウエハ吸着面の精度を出すことが困難であった。
また、エポキシ樹脂を含浸させているため、封印部の幅が広くなり、吸着面の精度出し加工をする際に、含浸されている部位と含浸されていない部位との研削性が異なるため、段差が生じ、吸着面の平面精度が悪化し、ワーク精度を出すことが困難であった。
また、別のウエハ研削・研磨装置としては、多孔質セラミックス板と、この外周にガラス接合された緻密質セラミックスからなる外周シール層を備える研削・研磨用真空チャックが提案されている(例えば、特許文献2参照)。
具体的には、図3に示すようなものが開示されている。すなわち、その周囲部に低融点ガラス104が含浸され、その上面に吸着面101aが形成された円板状の多孔質セラミックス101が、緻密体セラミックスからなる空気吸引部106を有する有底円筒形状の外周シール層102に嵌め込まれるとともに、その境界部分が低融点ガラス105によりガラス接合された吸着体からなる研削・研磨用真空チャックが開示されている。
このような研削・研磨用真空チャックでは、その下面、すなわち内部の空気を吸引するための空気吸引面に、真空ポンプ等の吸引装置(図示せず)が接続された固定ベース108が取り付けられ、この固定ベースを介して吸着体内の空気を吸引することにより、被吸着体が、保持、吸着されることとなる。
従って、このような構成を有する研削・研磨用真空チャックでは、被吸着体を保持するための保持面から吸着体内の空気を吸引するための空気吸引面に至る領域が、多孔質セラミックスと緻密質セラミックスとから構成されており、保持面から空気吸引面に至るまでの間に接合層が介在していることとなる。
このような研削・研磨用真空チャックでは、吸着体を構成する多孔質セラミックス板を緻密質セラミックスにガラス接合する際に、接合ムラや剥れが起こりやすい。そのため、被吸着体を研削研磨する際に、クランプ荷重や研削荷重によって、形状のばらつきが生じ、これが被吸着体の研削・研磨精度の悪化の原因となってしまっていた。
また、種々の大きさのウエハに対応可能なウエハ研削・研磨装置(ユニバーサルチャック機構)も開示されている(例えば、特許文献3〜7参照)。
ユニバーサルチャック機構の具体例としては、例えば、図4(a)、(b)に示すようなものが開示されている。すなわち、(A)通気性ポーラスセラミックス製円板322を中心とし、この円板の外周に軸心を同一、かつ、高さを同一にした複数の通気性ポーラスセラミックス製環状体323a、323b、323c、323dが配列され、上記通気性ポーラスセラミックス製円板322と通気性ポーラスセラミックス製環状体323aの間、及び、これら通気性ポーラスセラミックス製環状体323a〜323d同士の間に、幅が数ミリメートル、高さが上記円板と同一の非通気性薄膜環状仕切壁324a〜324dが配列されて全体として1枚の円盤を構成するウエハ取付板325、(B)上面にウエハ取付板325を収納する凹状環状縁部326を有し、取付板325の下側に位置する上面部分の中心部に凹陥部327を設けると共に、凹陥部327を中心にして複数の流体通路用の環状溝328a〜328dが同心円状に設けられ、該環状溝には複数の吸気孔329が各々垂直方向に設けられたウエハ取付板収納フレーム330、および、(C)ウエハ取付板325に設けられた環状溝328a〜328dに連通する空気吸引部を有し、ウエハ取付板収納フレーム330を固定することが可能な固定ベース331を有するユニバーサルチャック機構が開示されている。
また、このユニバーサルチャック機構において、固定ベース331には、図示されていないが、コンプレッサー、吸水ポンプ、真空ポンプ等が接続されている。
従って、ポーラスセラミックス内の空気は、空気吸引面、すなわちウエハ取付板収納フレーム330の下面から固定ベース331と真空ポンプ等の吸引装置により吸引されることとなる。
このようなユニバーサルチャック機構では、通気性を有するウエハ取付板325をベース部材となる不通気性のウエハ取付板収納フレーム330に接合する必要があり、保持面から空気吸引面までが通気性部材と不通気性部材とから構成されることとなっていた。そのため、両者の接合ムラや通気性を有するウエハ取付板のズレに起因した精度低下を招くことがあった。
特開平6−143073号公報 実用新案登録第2555938号公報 特開平3−32537号公報 特開平8−1464号公報 特開平8−148548号公報 特開平9−174364号公報 特開2000−232083号公報
本発明は、上記課題に鑑みてなされたものであり、被吸着体を吸着、保持するための保持面の平坦度に優れ、被吸着体の均一な研削・研磨を実現することができる研削・研磨用真空チャックおよび吸着板を提供することを目的とする。
本発明の研削・研磨用真空チャックは、被吸着体を吸着、保持するための吸着板と、上記吸着板を保持する保持台とからなり、
上記吸着板は、空気が透過する吸着部と、空気の透過を遮断する環状隔壁層とにより構成され、
上記吸着部は、上記吸着板が上記保持台と接触する面から上記吸着板が上記被吸着体と接触する面に至る全ての部分が多孔質セラミックスにて構成されていることを特徴とする。
上記研削・研磨用真空チャックにおいて、上記吸着板が上記被吸着体と接触する面の平坦度は、5μm以下であることが望ましい。
また、上記研削・研磨用真空チャックにおいて、上記吸着板が上記被吸着体と接触する面の吸着部からなる部分と、上記環状隔壁層からなる部分との段差は、0.5μm以下であることが望ましい。
また、上記研削・研磨用真空チャックにおいて、上記環状隔壁層の材質は、そのヤング率および熱膨張率が、上記多孔質セラミックスのヤング率および熱膨張率と略同一であることが望ましい。
また、上記研削・研磨用真空チャックにおいて、上記多孔質セラミックスの材質は、炭化珪素であることが望ましい。
また、上記研削・研磨用真空チャックにおいて、上記環状隔壁層の厚さは、0.1〜1.0mmであることが望ましい。
さらに、上記研削・研磨用真空チャックにおいて、上記環状隔壁層の外縁は、上記被吸着体の外縁から内側に0.5〜15mmの領域に位置するように構成されていることが望ましい。
本発明の吸着板は、吸着板を保持する保持台と一体化して使用され、かつ、空気が透過する吸着部と、空気の透過を遮断する環状隔壁層とにより構成され、
上記吸着部は、上記吸着板が上記保持台と接触する面から上記吸着板が上記被吸着体と接触する面に至る全ての部分が多孔質セラミックスにて構成されていることを特徴とする。
本発明の吸着板において、上記吸着板が上記被吸着体と接触する面の平坦度は、5μm以下であることが望ましい。
また、本発明の吸着板において、上記吸着板が上記被吸着体と接触する面の吸着部からなる部分と、上記環状隔壁層からなる部分との段差は、0.5μm以下であることが望ましい。
また、上記吸着板において、上記環状隔壁層の材質は、そのヤング率および熱膨張率が、上記多孔質セラミックスのヤング率および熱膨張率と略同一であることが望ましい。
また、上記吸着板において、上記多孔質セラミックスの材質は、炭化珪素であることが望ましい。
また、上記吸着板において、上記環状隔壁層の厚さは、0.1〜1.0mmであることが望ましい。
さらに、上記吸着板において、上記環状隔壁層の外縁は、上記被吸着体の外縁から内側に0.5〜15mmの領域に位置するように構成されていることが望ましい。
なお、以下の説明においては、吸着板が保持台と接触する面を保持面ともいい、吸着板が被吸着体と接触する面を空気吸引面ともいうこととする。
本発明の研削・研磨用真空チャックにおいて、空気が透過する吸着部は、上記吸着板が上記保持台と接触する面から上記吸着板が上記被吸着体と接触する面に至る全ての部分が多孔質セラミックスにより構成されている。
そのため、本発明の研削・研磨用真空チャックでは、上述した従来の研削・研磨用真空チャックにおいて発生していた不都合、すなわち、吸着板の保持面から空気吸引面に至る全ての部分が、多孔質セラミックス等と緻密質セラミックス等とからなる場合に、両者の接合部で生じる接合ムラや接合部のズレ等の不都合が発生することがなく、研削・研磨精度に優れることとなる。
また、本発明の研削・研磨用真空チャックにおいて、上記吸着板が上記被吸着体と接触する面の平坦度が5μm以下である場合には、被吸着体を確実に吸着、保持することができるとともに、高精度で被吸着体を研削・研磨することができる。
また、上記研削・研磨用真空チャックにおいて、上記吸着板が上記被吸着体と接触する面の吸着部からなる部分と、環状隔壁層からなる部分との段差が0.5μm以下である場合には、被吸着体を確実に吸着、保持することができるとともに、高精度で被吸着体を研削・研磨することができる。
また、本発明の研削・研磨用真空チャックにおいて、吸着板を構成する上記環状隔壁層のヤング率および熱膨張率が、多孔質セラミックスのヤング率および熱膨張率と略同一の場合には、環状隔壁層と多孔質セラミックスとの研削性が略同一であるため、保持面の平坦度を上記範囲とするのに特に適することとなる。
また、本発明の研削・研磨用真空チャックにおいて、上記多孔質セラミックスの材質が炭化珪素である場合には、研磨時に発生する熱を素早く逃がすことができ、研磨時に発生する熱に起因した炭化珪素の熱膨張による研磨精度の低下等の不都合が発生することがない。
また、本発明の研削・研磨用真空チャックにおいて、上記環状隔壁層の厚さが0.1〜1.0mmである場合には、空気を確実に遮断することができるとともに、保持面の平坦度および/または段差を上記した望ましい範囲とするのに特に適することとなる。
また、本発明の研削・研磨用真空チャックにおいて、上記環状隔壁層の外縁が、上記被吸着体の外縁から内側に0.5〜15mmの領域に位置するように構成されている場合には、被吸着体を確実に吸着することができ、被吸着体をより均一に研磨・研削することができる。
本発明の吸着板において、空気が透過する吸着部は、上記吸着板が上記保持台と接触する面から上記吸着板が上記被吸着体と接触する面に至る全ての部分が多孔質セラミックスにより構成されている。
そのため、本発明の吸着板を保持台と一体化して使用した場合には、上述した従来の研削・研磨用真空チャックにおいて発生していた不都合、すなわち、吸着板の保持面から空気吸引面に至る全ての部分が、多孔質セラミックス等と緻密質セラミックス等とからなる場合に、両者の接合部で生じる接合ムラや接合部のズレ等の不都合が発生することがなく、研削・研磨精度に優れることとなる。
また、本発明の吸着板において、上記吸着板が上記被吸着体と接触する面の平坦度が5μm以下である場合には、上記吸着板を保持台と一体化して使用した場合に、被吸着体を確実に吸着、保持することができるとともに、高精度で被吸着体を研削・研磨することができる。
また、上記吸着板において、上記吸着板が上記被吸着体と接触する面の吸着部からなる部分と、環状隔壁層からなる部分との段差が0.5μm以下である場合には、上記吸着板を保持台と一体化して使用した場合に、被吸着体を確実に吸着、保持することができるとともに、高精度で被吸着体を研削・研磨することができる。
また、本発明の吸着板において、該吸着板を構成する上記環状隔壁層のヤング率および熱膨張率が、多孔質セラミックスのヤング率および熱膨張率と略同一の場合には、環状隔壁層と多孔質セラミックスとの研削性が略同一であるため、保持面の平坦度を上記範囲とするのに特に適することとなる。
また、本発明の吸着板において、上記多孔質セラミックスの材質が炭化珪素である場合には、上記吸着板を保持台と一体化して使用した場合に、研磨時に発生する熱を素早く逃がすことができ、研磨時に発生する熱に起因した炭化珪素の熱膨張による研磨精度の低下等の不都合が発生することがない。
また、本発明の吸着板において、上記環状隔壁層の厚さが0.1〜1.0mmである場合には、空気を確実に遮断することができるとともに、保持面の平坦度および/または段差を上記した望ましい範囲とするのに特に適することとなる。
また、本発明の吸着板において、上記環状隔壁層の外縁が、上記被吸着体の外縁から内側に0.5〜15mmの領域に位置するように構成されている場合には、保持台と一体化して使用した場合に、被吸着体を確実に吸着することができ、被吸着体をより均一に研磨・研削することができる。
まず、本発明の研削・研磨用真空チャックについて説明する。
本発明の研削・研磨用真空チャックは、被吸着体を吸着、保持するための吸着板と、上記吸着板を保持する保持台とからなり、
上記吸着板は、空気が透過する吸着部と、空気の透過を遮断する環状隔壁層とにより構成され、
上記吸着部は、上記吸着板が上記保持台と接触する面から上記吸着板が上記被吸着体と接触する面に至る全ての部分が多孔質セラミックスにて構成されていることを特徴とする。
以下、本発明の研削・研磨用真空チャックについて図面を参照しながら説明する。
図1(a)は、本発明の研削・研磨用真空チャックの実施形態の一例を模式的に示す斜視図であり、(b)は、(a)のA−A線断面図である。
図1に示したように、研削・研磨用真空チャック10は、空気が透過する吸着部12a〜12dと、空気の透過を遮断する環状隔壁層16a〜16cとからなる吸着板11から構成されている。吸着板11は、半導体ウエハ(被吸着体)15を吸着、保持するための保持面11aと、保持面11aの反対面の空気を吸引するための空気吸引面11bとを有している。また、吸着板11は、直径の異なる2枚の円板が積み重ねられ一体化した形状(ツバ付き円板状)を有している。
ここで、吸着部12a〜12dのそれぞれには、保持面11aと空気吸引面11bとが形成されており、この保持面から空気吸引面に至る全ての部分が、多孔質セラミックスにより連続的に構成されていることとなる。
また、環状隔壁層16a〜16cは、吸着板11と同心で円環状に形成されている。
なお、吸着板11を構成するツバ付きドーナツ状の吸着部12dは、被吸着体を吸着する機能を有さないため、実質的には吸着部に該当しないが、被吸着体を吸着する機能を有する他の吸着部12a〜12cと同様、多孔質セラミックスからなるものであるため、便宜的に吸着部12dということとする。
また、吸着板11の下部には、図示しない真空ポンプ等の真空装置に空気吸引部が接続された保持台20が等間隔に設置された4本のボルト18を用いて固定されている。なお、ボルトの数は4本に限定されるわけではなく、通常、4〜12本程度である。
また、保持台20には、吸着板11の空気吸引面11bに接する部分に溝14a〜14cが形成された空気吸引部13a〜13cが設けられている。
また、吸着板の下面であって、最外周の環状隔壁層16cの外側の部分には、空気不透過層17が形成されている。
なお、空気不透過層17は、必ずしも形成する必要はなく、必要に応じて形成すればよい。
従って、研削・研磨用真空チャック10は、空気吸引部13a〜13cおよび真空ポンプ(図示せず)により、吸着部12a〜12c内の空気を吸引するように構成されている。
また、図1に示した研削・研磨用真空チャック10では、吸着板11の側面、すなわち、ツバ付きドーナツ状の吸着部12dの側面は、多孔質セラミックスが露出しているが、この部分に空気不透過層が形成されていてもよい。これにより、研磨液や研削液の浸透を防ぐことができるからである。
このような実施形態に係る研削・研磨用真空チャック10では、空気吸引部13a〜13cおよび真空ポンプ(図示せず)より、多孔質セラミックスからなる吸着部12a〜12c内の空気を吸引し、被吸着体を吸着、保持することができる。
さらに、いずれの吸着部内の空気を吸引するかを適宜選択することにより、被吸着部の大きさの異なる半導体ウエハ等の被吸着体を吸着することができる。具体的には、平面視した際の被吸着部の大きさが、最外周の環状隔壁層16cの大きさより若干大きい被吸着体を吸着する場合には、全ての空気吸引部13a〜13cから空気を吸引するように真空ポンプを作動させることにより被吸着体を吸着する。平面視した際の被吸着部の大きさが、平面視した環状隔壁層16bの大きさより若干大きい被吸着体を吸着する場合には、空気吸引部13a、13bから空気を吸引することにより吸着板を吸着する。平面視した際の被吸着部の大きさが平面視した環状隔壁層16aの大きさより若干大きい被吸着体を吸着する場合には、空気吸引部13aからのみ空気を吸引することにより、被吸着体を吸着する。
本発明の研削・研磨用真空チャックにおいて、吸着板に形成される環状隔壁層の層数は、図1に示したように3層に限定されるわけではなく、被吸着部の大きさの異なる2種類の半導体ウエハを吸着する場合には、少なくとも2層の環状隔壁層が形成されていればよく、被吸着部の大きさが異なる3種類以上の半導体ウエハを吸着する場合には、少なくとも3層の環状隔壁層が形成されていればよい。また、被吸着物の大きさが一定の場合には、1層の環状隔壁層が形成されていればよい。
本発明の研削・研磨用真空チャックが、吸着板が少なくとも2つの吸着部と、少なくとも2層の環状隔壁層とから構成されている場合には、大きさの異なる被吸着体を確実に吸着、保持することが可能な研削・研磨用真空チャックとして機能することとなる。
また、本発明の研削・研磨用真空チャック10において、吸着板11の保持面11aは、その平坦度が5μm以下であることが望ましい。平坦度が5μmを超えると、被吸着体を均一に精度良く研削・研磨することができなくなり、さらに、被吸着体の吸着力が低下することがあるからである。より望ましくは1μm以下である。
なお、本明細書において、吸着板の保持面の平坦度とは、一番高い点と低い点との間の差(距離)とする。なお、上記保持面のうち多孔質セラミックスからなる部分については、粒子が存在する部分について、その高さをプロットしていき、その一番高い点と低い点との間の差(距離)とする。これにより、保持面の起伏の大きさを評価することが可能である。このように規定したのは、保持面の多孔質セラミックスからなる部分では、粒子が存在する部分により被吸着体を支持するため、この部分の起伏の大きさの程度により、研削・研磨を行う際の被吸着体の研削・研磨面の凹凸が影響を受けるからである。なお、吸着板は、多孔質セラミックスからなるため、保持面の多孔質セラミックスからなる部分の表面には、上述したように、粒子が存在する部分と気孔が存在する部分とがあり、これに起因して細かな凹凸が形成されているが、この凹凸の大きさは、細孔分布等により評価を行うことができる。
また、本発明の研削・研磨用真空チャック10において、吸着板11の保持面11aの吸着部からなる部分と、上記環状隔壁層からなる部分との段差は、0.5μm以下であることが望ましい。
上記段差が、0.5μmを超えると、被吸着体を確実に吸着、保持することができないことがあり、また、仮に吸着、保持することができたとしても、シリコンウエハ等の被吸着体の表面形状に段差が生じてしまうことがある。そのため、被吸着体の研削・研磨精度が低下することとなる。より望ましい段差は、0.1μm以下である。
なお、本明細書において、上記段差とは、上記吸着部の空気吸引面から保持面までの平均高さと、環状隔壁層の空気吸引面から保持面までの平均高さとの差をいう。
また、研削・研磨用真空チャック10においては、吸着板11を構成する環状隔壁層16a、16bのヤング率および熱膨張率は、吸着板11を構成する吸着部12a〜12d(多孔質セラミックス)のヤング率および熱膨張率と略同一であることが望ましい。吸着部と環状隔壁層との研削性が略同一となるため、保持面11aの平坦度を5μm以下にしたり、保持面の段差を0.5μm以下にしたりするのに適しているからである。
また、ヤング率が略同一である場合には、吸着板に撓みやバラツキがより発生しにくくなり、熱膨張率が略同一の場合には、研磨時に生じた摩擦熱による精度の悪化や剥れ等が発生するおそれがより小さくなる。
なお、本明細書において、ヤング率および熱膨張率が略同一であるとは、多孔質セラミックスのヤング率および熱膨張率の値に対して、環状隔壁層のヤング率および熱膨張率の値が、それぞれ80〜120%の範囲にあることをいう。勿論、100%に近ければ近いほど望ましい。
研削・研磨用真空チャック10では、空気吸引部13a〜13cおよび真空ポンプ(図示せず)により空気を吸引することにより、吸着板11の保持面11aに載置した半導体ウエハ15を吸着・保持することができるようになっている。なお、研削・研磨用真空チャック10は、吸着板の中心軸を中心として回転を可能にする回転機構を備えていてもよい。
なお、図1に示した吸着板11には、溝や穴等が形成されていないが、吸引速度を速めるために、例えば、空気吸引面11bに種々の形状の溝や穴等が形成されていてもよい。
研削・研磨用真空チャック10では、半導体ウエハ等の被吸着体と砥石軸とが平行になった状態で、砥石を回転させるとともに、研削・研磨用真空チャック10自体を回転させ、両者を接触させることにより、半導体ウエハ等の表面の研削を行うことができる。
また、研磨面を有する研磨テーブルと保持面に吸着された半導体ウエハ等の被吸着体とが平行になった状態で、研磨面を有する研磨テーブルを回転させるか、研削・研磨用真空チャック10自体を回転させるか、又は、両者を回転させ、両者を接触させることにより、半導体ウエハ表面の研磨等を行うことができる。研磨テーブルには、研磨クロスを貼り付けることにより粗化面が形成されていてもよく、ダイヤモンド砥粒等を用いて粗化面が形成されていてもよい。
次に、本発明の研削・研磨用真空チャックを構成する各構成部材について説明する。
上記吸着板の形状は、特に限定されず、円板状であってもよく、ツバ付き円板状であってもよく、平面視楕円形の板状であってもよく、直方体形状や立方体形状であってもよい。さらにはこれらを組み合わせた形状であってもよい。
上記多孔質セラミックスとしては特に限定されず、例えば、窒化アルミニウム、窒化ケイ素、窒化ホウ素、窒化チタン等の窒化物セラミックス、炭化珪素、炭化ジルコニウム、炭化チタン、炭化タンタル、炭化タングステン等の炭化物セラミックス、アルミナ、ジルコニア、コージュライト、ムライト等の酸化物セラミックス等を挙げることができるが、これらのなかでは、高い熱伝導率を有するとともに、塩酸、硝酸、硫酸、フッ酸、フッ硝酸及び水酸化ナトリウム等に対する耐薬品性に優れる炭化珪素が望ましい。また、多孔質セラミックスとして炭化珪素を用いた場合には、研磨時に発生する摩擦熱を素早く逃すことができる。
なお、上述したセラミックスに金属珪素を配合した珪素含有セラミックス、珪素や珪酸塩化合物で結合されたセラミックスも用いることができる。
本発明の研削・研磨用真空チャックにおいて、保持面の形状は特に限定されないが、円形状であることが望ましい。主に研磨対象となる半導体ウエハの形状が円板状だからである。
吸着板の保持面が円形状である場合、その直径としては、研磨対象物である半導体ウエハの直径等を考慮して適宜決定されるが、100〜400mmであることが望ましい。
上記吸着板を構成する多孔質セラミックスの熱伝導率は、50W/m・K以上であることが望ましい。半導体ウエハの研磨加工を行うと、上記吸着板が高温になりやすいため、冷媒による冷却を行う場合があるが、この冷媒による冷却効果を向上させるために、熱伝導率の高い材料が好ましいからである。
また、吸着板の厚さは、研削・研磨用真空チャックを構成する材料の熱伝導率やヤング率等を考慮して適宜決定されるが、例えば、上記吸着板が炭化珪素から構成されている場合、5〜60mmであることが望ましい。吸着板の厚さが5mm未満であると、その直径に対して薄くなりすぎ、吸着板に反りが発生しやすく、また、強度が低下して破損しやすくなる。一方、吸着板の厚さが60mmを超えると、重量が増し研削・研磨用真空チャックの大型化を招く。
吸着板の気孔率は特に限定されないが、20〜50%程度であることが望ましい。気孔率が20%未満であると、被吸着体の吸引力が弱くなり、研磨の際に半導体ウエハ等の被吸着体が移動したり、剥れたりする。一方、気孔率が50%を超えると、吸着板の強度が低下するため、破壊されやすく、それを防止するためには吸着板の厚さを厚くする必要が生じ、研削・研磨用真空チャックが大型化してしまうとともに、高価になってしまう。
保持面の吸着力を均一に保つためには、吸着板の気孔径が揃っていることが望ましく、上記吸着板の細孔分布を水銀圧入法により測定した際、平均気孔径が10〜40μmで、上記平均気孔径の0.7〜1.2倍の気孔径を有する細孔の全細孔容積に対する割合が75%以上であり、10μm未満の気孔径を有する細孔の全細孔容積に対する割合が15%以下であり、40μmを超える気孔径を有する細孔の全細孔容積に対する割合が10%以下であることが望ましい。
なお、上記気孔率は、水銀圧入法のほか、アルキメデス法、走査型電子顕微鏡(SEM)による測定等、従来公知の方法により測定することができる。
上記多孔質炭化珪素からなる吸着板の平均粒径は、30〜70μmであることが好ましい。このように平均粒径が30〜70μmと比較的大きめの粒子が好ましいのは、一般に、熱が粒子の内部を伝導する効率は、熱が粒子間を伝導する効率に比べて高いため、平均粒径が大きいほど熱伝導率が高くなり、また、気孔径が揃い易いからである。
上記吸着板には環状隔壁層が形成されている。
上記環状隔壁層の厚さは、0.1〜1.0mmが望ましい。環状隔壁層の厚さが0.1mm未満では、空気の透過を遮断することができない場合があり、1.0mmを超えると、被吸着物を保持したり、研削・研磨したりした際に、段差を上記範囲に保てない場合があるからである。
上記環状隔壁層の材質は、ガラス、金属、セラミックス等が望ましい。
上記ガラスとしては、例えば、Al、SiO、NaO−SiO、NaO−CaO−SiO、KO−CaO−SiO、KO−PbO−SiO、BaO−SiO−B、NaO−B−SiO等を主要成分とするガラス等が挙げられる。また、上記ガラスは無機系ガラスが望ましい。膨潤等の形状変化を起こしにくいからである。
上記金属としては、例えば、SUS、アルミニウム、タングステン、モリブデン、ニッケル、金、銀、白金等が挙げられる。
上記セラミックスとしては、窒化アルミニウム、窒化ケイ素、窒化ホウ素、窒化チタン等の窒化物セラミックス、炭化珪素、炭化ジルコニウム、炭化チタン、炭化タンタル、炭化タングステン等の炭化物セラミックス、アルミナ、ジルコニア、コージュライト、ムライト等の酸化物セラミックス等が挙げられる。
特に、上記環状隔壁層の材質は、そのヤング率および熱膨張率が、吸着板を構成する多孔質セラミックスのヤング率および熱膨張率と略同一であることが望ましい。多孔質セラミックスと環状隔壁層との研削性が略同一となるからである。
また、上記環状隔壁層の外縁は、被吸着体の外縁から内側に0.5〜15mmの領域に位置するように構成されていることが望ましい。上記環状隔壁層の外縁が0.5mm未満の領域に位置するように構成されている場合には、通常、被吸着体となるシリコンウエハの外縁には面取りが施されていることに起因して、該被吸着体を吸引した際に空気漏れが生じることがあり、また、上記環状隔壁層の外縁が15mmを超える領域に位置するように構成されている場合には、被吸着体を吸着した際に充分な保持力を得ることができない場合がある。
一方、上記環状隔壁層の外縁が上記範囲の領域に位置するように構成されている場合には、吸着力が高く、かつ、吸着板の吸着力が全体的に均一であり、被吸着体の均一な研削・研磨を実現することができるからである。また、このような構成にすることにより、空気が吸引される吸着部の保持面は、全て被吸着体で覆われることとなるため、研削・研磨加工時に多孔質セラミックスからなる吸着部の目詰まりが生じることがなく、被吸着体を長時間に渡って、高精度で研削・研磨することができる。
従って、図1に示したように、環状隔壁層が円環状で、シリコンウエハ等の被吸着体が円板状である場合には、環状隔壁層の平面視した際の直径(外径)は、被吸着体の直径より0.5〜15mm小さいことが望ましい。
なお、環状隔壁層の外縁が上記被吸着体の外縁が、被吸着体の外縁から内側に0.5〜15mmの領域に位置するとは、平面視した際に被吸着体の外縁から内側に0.5〜15mmの領域中に、環状隔壁層の外縁が視認されることをいう。
また、上記吸着板では、図1に示したように、必要に応じて空気不透過層が形成されていてもよい。上記空気不透過層の材質等は、特に限定されず、上記環状隔壁層と同様のもの等が挙げられる。
また、本発明の研削・研磨用真空チャックでは、上記吸着板を保持するための保持台を備えており、この保持台には、通常、真空装置等が接続されている。上記保持台は、所定の形状の空気吸引部を有しており、一定以上の機械的強度を有する緻密体であれば特に限定されず、その材料としては、例えば、SUS、銅、アルミニウム合金等の金属、窒化ケイ素、炭化ケイ素、アルミナ等のセラミックス等が挙げられる。
また、上記真空装置としては、真空ポンプのほか、エジェクター等が挙げられる。
なお、このような構成からなる研削・研磨用真空チャックの製造方法については、後述する。
また、本発明の研削・研磨用真空チャックにおいて、これを保持台に取り付ける形態としては、図1に示したような形態に限定されるわけではなく、例えば、図2に示すような形態であってもよい。
図2(a)は、本発明の研削・研磨用真空チャックの実施形態の別の一例を模式的に示す斜視図であり、(b)は、(a)のA−A線断面図である。
図2に示すように、本発明の研削・研磨用真空チャック30は、吸着板11のツバ部を固定用冶具21と保持台20とで挟み込み、固定用冶具21を4本のボルト23により保持台20に固定することにより、吸着板11を保持台に取り付けている。
なお、研削・研磨用真空チャック30は、吸着板11の保持台20への固定方法が、図1に示した研削・研磨用真空チャック10と異なる以外は、研削・研磨用真空チャック10と同様であるため、その説明を省略する。
次に、本発明の研削・研磨用真空チャックの製造方法について簡単に説明する。
まず、初めに多孔質セラミックスからなる円板状の吸着部と、ドーナツ状の吸着部とを製造する。吸着部を製造するには、セラミックス粉末にバインダー及び分散媒液を加えて混合組成物を調製する。
上記セラミックス粉末は、予めその粒径をある程度揃えておくことにより、平均粒径のバラツキを小さくすることが望ましい。セラミックス粉末の平均粒径のバラツキが大きいと、製造する吸着板の気孔径にバラツキが発生することがあるからである。上記セラミックス粉末の粒径を揃える方法としては特に限定されず、例えば、セラミックス粉末を密度の高い塊状等の成形体とした後、該成形体を破砕、解砕及び整粒する方法等公知の方法を挙げることができる。
上記セラミックス粉末は、平均粒径の0.7〜1.2倍の粒径を有するセラミックス粉末の全セラミックス粉末に対する割合が75%以上となるように調整されることが望ましい。
上記セラミックス粉末は、平均粒径5〜100μmの粗粉末100重量部に対して、平均粒径0.1〜1.0μmの微粉末10〜100重量部を均一に混合することが望ましい。
上記バインダーとしては特に限定されず、例えば、メチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ポリエチレングリコール、フェノール樹脂、エポキシ樹脂等を挙げることができる。
上記バインダーの配合量は、通常、セラミックス粉末100重量部に対して、1〜10重量部程度が望ましい。
上記分散媒液としては特に限定されず、例えば、ベンゼン等の有機溶媒;メタノール等のアルコール、水等を挙げることができる。
上記分散媒液は、混合組成物の粘度が一定範囲内となるように、適量配合される。
これらセラミックス粉末、バインダー及び分散媒液は、アトライター等で混合した後、ニーダー等で充分に混練し、さらに、スプレードライ法等により顆粒状の粉末を製造する。そして、この顆粒を所定の形状の金型に入れて成形することにより、円板状とドーナツ状と直径の異なる2つのドーナツ状体が積み重ねられた形状(本明細書においては、ツバ付きドーナツ状ともいう)の生成形体を作製する。
この生成形体を、不活性ガス(アルゴン)雰囲気下、400〜650℃程度に加熱することで脱脂し、バインダー等を分解、消失させ、略セラミックス粉末のみを残留させる。
そして、上記脱脂処理を施した後、窒素、アルゴン等の不活性ガス雰囲気下、1400〜2300℃程度に加熱することで焼成し、セラミックス粉末を焼結させ、さらに、所定の形状に加工することにより吸着部を製造する。
焼結体の加工は、ダイヤモンドカッターを用いた切削加工、ダイヤモンド砥石を用いた研削加工等により行うことができる。
ここで、環状隔壁層を介して接することとなる円板状の吸着部の直径とドーナツ状の吸着部の内径、環状隔壁層を介して接することとなるドーナツ状の吸着部同士の外径と内径、および、環状隔壁層を介して接することとなるドーナツ状の吸着部の外径とツバ付きドーナツ状の吸着部の内径は、その寸法差が0.2〜2.0mmとなるように設計しておくことが望ましい。これにより、後工程を経て厚さ0.1〜1.0mmの環状隔壁層を形成することができるからである。
次に、予めペースト化したガラス等を調製しておき、これを円板状の吸着部、ドーナツ状の吸着部、および、ツバ付きドーナツ状の吸着部の側面に塗布する。その後、円板状の吸着部、ドーナツ状の吸着部およびツバ付きドーナツ状の吸着部を図1に示した形状となるように組み立て、さらに、塗布したペースト状のガラス等を硬化させるべく、酸素雰囲気下、500〜1200℃にて融解させ、環状隔壁層を形成する。
次に、環状隔壁層が形成された吸着板に仕上げ加工を施し、吸着板の作製を終了する。
この仕上げ加工では、保持面の平坦度を5μm以下することが望ましい。また、保持面の吸着板からなる部分と保持面の環状隔壁層とからなる部分との段差を0.5μm以下とすることも望ましい。
上記仕上げ加工は、ダイヤモンドカッターを用いた切削加工、ダイヤモンド砥石を用いた研削加工、ダイヤモンド砥粒を用いた研磨加工等により行うことができる。
多孔質セラミックスからなる吸着板の製造方法は、上述した方法に限定されず、従来からセラミックスを製造するために用いられている種々の方法を適用することができる。
次に、必要に応じて、吸着部の下面であって、最外周の環状隔壁層の外側の部分に空気不透過層を形成する。なお、空気不透過層は環状隔壁層と同様、ペースト状のガラスを塗布し、その後、硬化させることにより形成することができる。
さらに、上述した工程を経て作製した吸着板を、ボルト等を用いて、真空ポンプ等の真空装置に接続された保持台に固定する。
このような工程を経ることにより、本発明の研削・研磨用真空チャックを製造することができる。
次に、本発明の吸着板について説明する。
本発明の吸着板は、吸着板を保持する保持台と一体化して使用され、かつ、空気が透過する吸着部と、空気の透過を遮断する環状隔壁層とにより構成され、
上記吸着部は、上記吸着板が上記保持台と接触する面から上記吸着板が上記被吸着体と接触する面に至る全ての部分が多孔質セラミックスにて構成されていることを特徴とする。
本発明の吸着板の具体的な形態は、既に説明した本発明の研削・研磨用真空チャックを構成する吸着板の形態と同様である。
また、本発明の吸着板は、本発明の研削・研磨用真空チャックの製造方法における吸着板を製造する方法と同様の方法により製造することができる。
以下に実施例を掲げて本発明を更に詳しく説明するが、本発明はこれら実施例のみに限定されるものではない。
(実施例1)
(1)平均粒径60μmのα型炭化珪素粉末90重量%と、平均粒径1.0μmのα型炭化珪素粉末10重量%とを湿式混合し、得られた混合物100重量部に対して、有機バインダー(メチルセルロース)を5重量部、水を10重量部加えて混練した後、スプレードライを行い、顆粒状の粉末を得た。
この顆粒状の粉末を金型に入れ、冷間静水圧(CIP)を利用する成形機を用いて、50MPaの圧力で、5分間保持して円板形状およびドーナツ板状の炭化珪素成形体を作製した。
(2)次に、上記炭化珪素成形体を脱脂炉に搬入し、アルゴンガス雰囲気下、600℃で2時間加熱することにより炭化珪素成形体の脱脂を行った。
(3)次に、脱脂された炭化珪素成形体を温度:2200℃で焼成し、多孔質炭化珪素焼結体からなり、直径129.6mm、厚さ20mmの円板状の吸着部Aと、内径130mm、外径179.6mm、厚さ20mmのドーナツ状の吸着部Bと、内径180mm、上部外径220mm、ツバ部外径250mm、厚さ20mmのツバ付きドーナツ状の吸着部Cとを製造した。
(4)次に、ペースト状に調製したガラス(ホウケイ酸ガラス)を吸着部A〜Cの側面に塗布し、これらを組み立て、さらに、吸着部Cの下面(保持面と反対側の面)にもペースト状のガラスを塗布する。その後、酸素雰囲気下、1000℃で融解することにより吸着部A〜Cを接合し、環状隔壁層と空気不透過層とが形成された吸着板とした。なお、環状隔壁層および空気不透過層のヤング率および熱膨張率は、それぞれ66(GPa)および4.4(×10−6/℃)である。
次に、吸着板の保持面にダイヤモンド砥石を用いた研削加工を施し、保持面の平坦度を1μm、段差を0.1μmとした。なお、保持面の平坦度および段差は、黒田精工社製、ナノメトロにより測定した。
また、細孔分布測定装置(島津製作所社製)を用い、水銀圧入法により細孔直径0.2〜600μmの範囲で吸着板の細孔分布を測定した。
(5)次に、図1に示すように、得られた吸着板11の空気吸引面を保持台20に取り付け、研削・研磨用真空チャック10の製造を終了した。
(実施例2)
実施例1の(1)の工程において、下記の方法により顆粒状の粉末を得た以外は、実施例1と同様にして研削・研磨用真空チャックを製造した。
すなわち、平均粒径60μmのアルミナ粉末90重量%と、平均粒径1.0μmのアルミナ粉末10重量%とを湿式混合し、得られた混合物100重量部に対して、有機バインダー(メチルセルロース)を5重量部、水を10重量部加えて混練した後、スプレードライを行い、顆粒状の粉末を得た。
なお、本実施例で製造した研削・研磨用真空チャックの保持面の平坦度は3μm、段差は0.5μmである。
(実施例3)
実施例1の(4)の工程で、ペースト状のガラスとして、鉛ガラスを用いた以外は、実施例1と同様にして研削・研磨用真空チャックを製造した。
なお、鉛ガラスを用いて形成した環状隔壁層および空気不透過層のヤング率および熱膨張率は、それぞれ75(GPa)および9.0(×10−6/℃)である。
また、本実施例で製造した研削・研磨用真空チャックの保持面の平坦度は2μm、段差は0.4μmである。
(実施例4)
実施例1の(4)の工程で、ペースト状のガラスとして、並ガラスを用いた以外は、実施例1と同様にして研削・研磨用真空チャックを製造した。
なお、鉛ガラスを用いて形成した環状隔壁層および空気不透過層のヤング率および熱膨張率は、それぞれ70(GPa)および8.5(×10−6/℃)である。
また、本実施例で製造した研削・研磨用真空チャックの保持面の平坦度は5μm、段差は0.5μmである。
(実施例5)
実施例1の(3)の工程において、直径129.84mm、厚さ20mmの円板状の吸着部Aと、内径130mm、外径179.84mm、厚さ20mmのドーナツ状の吸着部Bと、内径180mm、上部外径220mm、ツバ部外径250mm、厚さ20mmのツバ付きドーナツ状の吸着部Cとを製造した以外は、実施例1と同様にして研削・研磨用真空チャックを製造した。
なお、本実施例で製造した研削・研磨用真空チャックの環状隔壁層の厚さは、0.08mmである。
(実施例6)
実施例1の(3)の工程において、直径127.6mm、厚さ20mmの円板状の吸着部Aと、内径130mm、外径177.6mm、厚さ20mmのドーナツ状の吸着部Bと、内径180mm、上部外径220mm、ツバ部外径250mm、厚さ20mmのツバ付きドーナツ状の吸着部Cとを製造した以外は、実施例1と同様にして研削・研磨用真空チャックを製造した。
なお、本実施例で製造した研削・研磨用真空チャックの環状隔壁層の厚さは、1.2mmである。
(実施例7)
実施例1の(3)の工程において、直径170mm、厚さ20mmの円板状の吸着部Aと、内径170、4mm、外径220mm、厚さ20mmのドーナツ状の吸着部Bと、内径220.4mm、上部外径240mm、ツバ部外径270mm、厚さ20mmのツバ付きドーナツ状の吸着部Cとを製造した以外は、実施例1と同様にして研削・研磨用真空チャックを製造した。
(実施例8)
実施例1の(3)の工程において、直径117.6mm、厚さ20mmの円板状の吸着部Aと、内径118mm、外径167.6mm、厚さ20mmのドーナツ状の吸着部Bと、内径168mm、上部外径220mm、ツバ部外径250mm、厚さ20mmのツバ付きドーナツ状の吸着部Cとを製造した以外は、実施例1と同様にして研削・研磨用真空チャックを製造した。
(実施例9)
実施例1の(4)の工程において、ペースト状に調製したガラスに代えて、ペースト状に調製した金属シリコンと炭化珪素とを含む組成物を塗布し、その後、1600℃で融解することにより吸着部A〜Cを接合し、SiC−Si複合層からなる環状隔壁層と空気不透過層とが形成された吸着板とした以外は、実施例1と同様にして研削・研磨用真空チャックを製造した。なお、環状隔壁層および空気不透過層のヤング率および熱膨張率は、それぞれ220(GPa)および4.4(×10−6/℃)である。
(試験例1)
実施例1において、ペースト状のガラスを塗布する代わりに、未硬化のエポキシ樹脂を塗布し、このエポキシ樹脂を硬化させて環状隔壁層および空気不透過層を形成した以外は実施例1と同様にして研削・研磨用真空チャックを製造した。
(比較例1)
(1)平均粒径60μmのアルミナ粉末90重量%と、平均粒径1.0μmのアルミナ粉末10重量%とを湿式混合し、得られた混合物100重量部に対して、有機バインダー(メチルセルロース)を5重量部、水を10重量部加えて混練した後、スプレードライを行い、顆粒状の粉末を得た。
この顆粒状の粉末を金型に入れ、冷間静水圧(CIP)を利用する成形機を用いて、50MPaの圧力で、5分間保持して円板形状およびドーナツ板状のアルミナ成形体を作製した。
(2)次に、上記アルミナ成形体を脱脂炉に搬入し、酸化雰囲気下、600℃で2時間加熱することによりアルミナ成形体の脱脂を行った。
(3)次に、脱脂されたアルミナ成形体を温度:2200℃で焼成し、多孔質アルミナ焼結体からなり、直径129.6mm、厚さ10mmの円板形状の吸着部Aと、内径130mm、外径179.6mm、厚さ10mmのドーナツ板状の吸着部Bとを製造した。
(4)次に、ペースト状に調製したガラス(ホウケイ酸ガラス)を吸着部Aの外周面、および、吸着部Bの内周面に塗布し、これらを組み立て、さらに、酸素雰囲気下、1000℃で融解することにより吸着部A、Bを接合し、環状隔壁層が形成された吸着板とした。
(5)別途、アルミナからなる緻密質セラミックスの円板状体を準備し、この緻密質セラミックスに直径180mm、高さ10mmの円板状の凹部と、空気吸引孔とを形成した。
さらに、上記(4)の工程で作製した吸着板を、緻密質セラミックスの円板状体の凹部に、低融点ガラス(ホウケイ酸ガラス)を用いて、ガラス接合し、次に、吸着板の保持面にダイヤモンド砥石を用いた研削加工を施し、研削・研磨用真空チャックの製造を終了した。(図3参照)。なお、保持面の平坦度は7μmとなった。
(比較例2)
(1)平均粒径60μmのα型炭化珪素粉末90重量%と、平均粒径1.0μmのα型炭化珪素粉末10重量%とを湿式混合し、得られた混合物100重量部に対して、有機バインダー(メチルセルロース)を5重量部、水を10重量部加えて混練した後、スプレードライを行い、顆粒状の粉末を得た。
この顆粒状の粉末を金型に入れ、冷間静水圧(CIP)を利用する成形機を用いて、50MPaの圧力で、5分間保持して円板形状およびドーナツ板状の炭化珪素成形体を作製した。
(2)次に、上記炭化珪素成形体を脱脂炉に搬入し、アルゴンガス雰囲気下、600℃で2時間加熱することにより炭化珪素成形体の脱脂を行った。
(3)次に、脱脂された炭化珪素成形体を温度:2200℃で焼成し、多孔質炭化珪素焼結体からなり、直径129.6mm、厚さ10mmの円板状の吸着部Aと、内径130mm、外径179.6mm、厚さ10mmのドーナツ状の吸着部Bとを製造した。
(4)次に、ペースト状に調製した金属シリコンと炭化珪素とを含む組成物を吸着部Aの外周面、および、吸着部Bの内周面に塗布し、これらを組み立て、さらに、1600℃で融解することにより吸着部A、Bを接合し、SiC−Si複合層からなる環状隔壁層が形成された吸着板とした。
(5)別途、炭化珪素からなる緻密質セラミックスの円板状体を準備し、この緻密質セラミックスに直径180mm、高さ10mmの円板状の凹部と、空気吸引孔とを形成した。
さらに、上記(4)の工程で作製した吸着板を、緻密質セラミックスの円板状体の凹部に、ペースト状に調製した金属シリコンと炭化珪素とを含む組成物を用いてSiC−Si複合層を介して接合し、次に、吸着板の保持面にダイヤモンド砥石を用いた研削加工を施し、研削・研磨用真空チャックの製造を終了した。なお、保持面の平坦度は、8.5μmとなった。
実施例1〜9、試験例1および比較例1、2に係る研削・研磨用真空チャックの保持面に、直径の異なる2種類のシリコンウエハ(ウエハ1:直径150mm、ウエハ2:直径200mm)を平面視した遮断壁の中心部とシリコンウエハの中心部とが一致するように載置し、該シリコンウエハを圧力10KPaで吸着し、上記シリコンウエハの研磨処理を10回行い、このときのシリコンウエハの研磨面の平坦度を評価した。また、研磨時のシリコンウエハ温度を測定し、さらに、吸着時のクランプ圧(ウエハクランプ時の到達圧力)および空気漏れの有無を測定した。
なお、シリコンウエハ温度は、表面温度計により測定した。
また、クランプ圧(ウエハクランプ時の到達圧力)は圧力計を用いて測定し、さらに、空気漏れの有無はクランプ圧を基準に評価した。
なお、研磨処理は湿式研磨により行った。即ち、フェルト状の研磨クロスが貼り付けられたテーブルにシリカスラリーを塗布した後、このテーブルを回転させ、ここにシリコンウエハを吸着・保持した真空チャックを接触させることにより行った。テーブルの回転数は1.2s−1とした。
研削・研磨用真空チャックの特性を表1に、研磨したシリコンウエハの評価結果を表2に示した。
Figure 2005118979
Figure 2005118979
表1、2に示した結果から明らかなように、実施例1に係る研削・研磨用真空チャックは、それぞれ直径の異なるシリコンウエハを載置しても、良好に研磨が行われていた。すなわち、研磨処理されたシリコンウエハの表面の平坦度は0.1μmであり、精度よく、かつ、均一に研磨処理されていた。これは、保持面の平坦度が1μmと小さく、また、段差が0.1μmと充分に小さいからであると考えられる。
また、実施例3、4のそれぞれで研磨された直径の異なるシリコンウエハは、その表面の平坦度が0.4μm(実施例3)、0.5μm(実施例4)であった。従って、実施例1の研削・研磨用真空チャックと比べると劣るものの、実施例3、4の研削・研磨用真空チャックを用いた場合にもシリコンウエハを良好に研磨することができることが明らかとなった。
また、実施例1、3、4に係る研削・研磨用真空チャックの保持面の平坦度および段差の比較から、環状隔壁層のヤング率および熱膨張率は、多孔質セラミックスのヤング率および熱膨張率と略同一であるほうが望ましいことが明らかとなった。
また、実施例2で研磨されたシリコンウエハは、その表面の平坦度が0.5μmであった。従って、実施例2の研削・研磨用真空チャックを用いた場合にもシリコンウエハを良好に研磨することができることが明らかとなった。
但し、実施例2で研磨されたシリコンウエハの表面の平坦度は、実施例1で研磨されたシリコンウエハの表面の平坦度に比べて劣るものであった。
これは、実施例2の研削・研磨用真空チャックの保持面の平坦度および段差が、実施例1の研削・研磨用真空チャックの保持面の平坦度および段差に比べて大きいことに加え、多孔質セラミックスとしてアルミナを用いた場合には、炭化珪素を用いた場合に比べ、研磨時に発生した熱を逃がしにくくなるからであると考えられる。このことは、研磨時のシリコンウエハの温度の比較からも推定される。
また、実施例5、6で研磨されたシリコンウエハは、その表面の平坦度がそれぞれ0.3μm(実施例5)、0.8μm(実施例6)であった。従って、実施例5、6の研削・研磨用真空チャックを用いた場合にもシリコンウエハを良好に研磨することができることが明らかとなった。
但し、実施例5、6で研磨されたシリコンウエハの表面の平坦度は、実施例1で研磨されたシリコンウエハの表面の平坦度に比べて劣るものであった。
これは、実施例5の研削・研磨用真空チャックでは、環状隔壁層の厚さが、0.08mmと薄いことに起因して、若干の空気漏れが生じており、そのため、実施例1の研削・研磨用真空チャック比べて、シリコンウエハの吸着力に劣ることとなっているからであると考えられる。
また、実施例6の研削・研磨用真空チャックは、環状隔壁層の厚さが、1.2mmと厚いことに起因して、保持面の段差が実施例1の研削・研磨用真空チャック比べて大きくなっているためであると考えられる。
また、実施例7、8で研磨されたシリコンウエハは、その表面の平坦度がそれぞれ0.7
μm(実施例7)、0.3μm(実施例8)であった。従って、実施例7、8の研削・研磨用真空チャックを用いた場合にもシリコンウエハを良好に研磨することができることが明らかとなった。
但し、実施例7、8で研磨されたシリコンウエハの表面の平坦度は、実施例1で研磨されたシリコンウエハの表面の平坦度に比べて劣るものであった。
これは、実施例7の研削・研磨用真空チャックでは、環状隔壁層の外縁が、シリコンウエハの外縁より外側に位置しているため、若干の空気漏れが生じており、そのため、実施例1の研削・研磨用真空チャック比べて、シリコンウエハの吸着力に劣ることが原因であると考えられる。なお、研磨後、保持面の顕微鏡観察を行ったところ、その一部で目詰まりが生じていることが確認された。
また、実施例8の研削・研磨用真空チャックは、環状隔壁層の外縁が、シリコンウエハの外縁より16mm内側に位置しているため、シリコンウエハの吸着力が不充分であることに起因して、シリコンウエハの表面の平坦度が実施例1の研削・研磨用真空チャック比べて劣るものとなっていると考えられる。
また、実施例9で研磨されたシリコンウエハは、その表面の平坦度が0.6μmであった。従って、実施例9の研削・研磨用真空チャックを用いた場合にもシリコンウエハを良好に研磨することができることが明らかとなった。
但し、実施例9で研磨されたシリコンウエハの表面の平坦度は、実施例1で研磨されたシリコンウエハの表面の平坦度に比べて劣るものであった。
これは、実施例9の研削・研磨用真空チャックでは、多孔質セラミックス(吸着部)と環状隔壁層とのヤング率が異なることに起因して、保持面の平坦度が4μmと、実施例1の研削・研磨用真空チャックの保持面の平坦度より劣るものとなっていることが原因ではないかと考えられる。
一方、試験例1では、研磨処理されたそれぞれのシリコンウエハの表面の平坦度は、2μmと平坦度が大きく低下しており、均一な研磨を行うことができなかった。これは、研削・研磨用真空チャックの保持面の平坦度が悪く、段差が大きいからであると考えられ、その理由は、環状隔壁層の材料がエポキシ樹脂だからであると考えられる。
また、比較例1では、研磨処理されたそれぞれのシリコンウエハの表面の平坦度は、2.5〜3.0μmと平坦度が大きく低下しており、均一な研磨を行うことができなかった。これは、本比較例の研削・研磨用真空チャックでは、多孔質セラミックスを緻密質セラミックスにガラス接合しており、両者を接合する際の接合ムラや、研磨時におけるクランプ荷重や研磨荷重による接合部の剥れやズレに起因した研磨精度の悪化によるものではないかと考えられる。
また、比較例2では、研磨処理されたそれぞれのシリコンウエハの表面の平坦度は、2.0μmと平坦度が大きく低下しており、均一な研磨を行うことができなかった。これは、本比較例の研削・研磨用真空チャックでは、多孔質セラミックスを緻密質セラミックスにSiC−Si複合層を介して接合されており、両者を接合する際の接合ムラや、研磨時におけるクランプ荷重や研磨荷重による接合部の剥れやズレに起因した研磨精度の悪化によるものではないかと考えられる。
(a)は、本発明の研削・研磨用真空チャックの一例を模式的に示す斜視図であり、(b)は、その縦断面図である。 (a)は、本発明の研削・研磨用真空チャックの別の一例を模式的に示す斜視図であり、(b)は、その縦断面図である。 従来のウエハ研磨装置の一例を模式的に示した断面図である。 従来のウエハ研磨装置の別の一例を模式的に示した断面図である。
符号の説明
10 研削・研磨用真空チャック
11 吸着板
11a 保持面
11b 空気吸引面
12a〜12c 吸着部
13a〜13c 空気吸引部
15 半導体ウエハ
16a、16b、16c 環状隔壁層
20 保持台

Claims (14)

  1. 被吸着体を吸着、保持するための吸着板と、前記吸着板を保持する保持台とからなり、
    前記吸着板は、空気が透過する吸着部と、空気の透過を遮断する環状隔壁層とにより構成され、
    前記吸着部は、前記吸着板が前記保持台と接触する面から前記吸着板が前記被吸着体と接触する面に至る全ての部分が多孔質セラミックスにて構成されていることを特徴とする研削・研磨用真空チャック。
  2. 前記吸着板が前記被吸着体と接触する面の平坦度は、5μm以下である請求項1に記載の研削・研磨用真空チャック。
  3. 前記吸着板が前記被吸着体と接触する面の前記吸着部からなる部分と、前記環状隔壁層からなる部分との段差は、0.5μm以下である請求項1または2に記載の研削・研磨用真空チャック。
  4. 前記環状隔壁層の材質は、そのヤング率および熱膨張率が、前記多孔質セラミックスのヤング率および熱膨張率と略同一である請求項1〜3のいずれか1に記載の研削・研磨用真空チャック。
  5. 前記多孔質セラミックスの材質は、炭化珪素である請求項1〜4のいずれか1に記載の研削・研磨用真空チャック。
  6. 前記環状隔壁層の厚さは、0.1〜1.0mmである請求項1〜5のいずれか1に記載の研削・研磨用真空チャック。
  7. 前記環状隔壁層の外縁は、前記被吸着体の外縁から内側に0.5〜15mmの領域に位置するように構成されている請求項1〜6のいずれか1に記載の研削・研磨用真空チャック。
  8. 吸着板を保持する保持台と一体化して使用され、かつ、空気が透過する吸着部と、空気の透過を遮断する環状隔壁層とにより構成され、
    前記吸着部は、前記吸着板が前記保持台と接触する面から前記吸着板が前記被吸着体と接触する面に至る全ての部分が多孔質セラミックスにて構成されていることを特徴とする吸着板。
  9. 前記吸着板が前記被吸着体と接触する面の平坦度は、5μm以下である請求項8に記載の吸着板。
  10. 前記吸着板が前記被吸着体と接触する面の前記吸着部からなる部分と、前記環状隔壁層からなる部分との段差は、0.5μm以下である請求項8または9に記載の吸着板。
  11. 前記環状隔壁層の材質は、そのヤング率および熱膨張率が、前記多孔質セラミックスのヤング率および熱膨張率と略同一である請求項8〜10のいずれか1に記載の吸着板。
  12. 前記多孔質セラミックスの材質は、炭化珪素である請求項8〜11のいずれか1に記載の吸着板。
  13. 前記環状隔壁層の厚さは、0.1〜1.0mmである請求項8〜12のいずれか1に記載の吸着板。
  14. 前記環状隔壁層の外縁は、前記被吸着体の外縁から内側に0.5〜15mmの領域に位置するように構成されている請求項8〜13のいずれか1に記載の吸着板。
JP2004090105A 2003-09-22 2004-03-25 研削・研磨用真空チャックおよび吸着板 Pending JP2005118979A (ja)

Priority Applications (5)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2004090105A JP2005118979A (ja) 2003-09-22 2004-03-25 研削・研磨用真空チャックおよび吸着板
KR1020057024906A KR100753302B1 (ko) 2004-03-25 2005-03-25 진공 척, 흡착판, 연마 장치 및 반도체 웨이퍼의 제조 방법
PCT/JP2005/005563 WO2005092564A1 (ja) 2004-03-25 2005-03-25 真空チャックおよび吸着板
CNB2005800096751A CN100467210C (zh) 2004-03-25 2005-03-25 真空卡盘和吸附板
US11/525,820 US7654887B2 (en) 2004-03-25 2006-09-25 Vacuum chuck and suction board

Applications Claiming Priority (2)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2003330489 2003-09-22
JP2004090105A JP2005118979A (ja) 2003-09-22 2004-03-25 研削・研磨用真空チャックおよび吸着板

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JP2005118979A true JP2005118979A (ja) 2005-05-12

Family

ID=34621890

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2004090105A Pending JP2005118979A (ja) 2003-09-22 2004-03-25 研削・研磨用真空チャックおよび吸着板

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP2005118979A (ja)

Cited By (8)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2007253284A (ja) * 2006-03-23 2007-10-04 Kyocera Corp 真空チャック及びこれを用いた真空吸着装置
JP2012033640A (ja) * 2010-07-29 2012-02-16 Disco Abrasive Syst Ltd チャックテーブル
JP2014200888A (ja) * 2013-04-05 2014-10-27 ローム株式会社 吸引保持装置およびウエハ研磨装置
US9815167B2 (en) 2014-09-30 2017-11-14 Fujifilm Corporation Lens manufacturing method
JP2018034299A (ja) * 2017-11-22 2018-03-08 ローム株式会社 吸引保持装置およびウエハ研磨装置
JP2020015133A (ja) * 2018-07-25 2020-01-30 株式会社タカハシキカイ 真空チャック
JP2020146780A (ja) * 2019-03-12 2020-09-17 株式会社ディスコ チャックテーブルの保持面の形成方法
WO2022201648A1 (ja) * 2021-03-23 2022-09-29 株式会社東京精密 ワーク保持装置

Cited By (8)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2007253284A (ja) * 2006-03-23 2007-10-04 Kyocera Corp 真空チャック及びこれを用いた真空吸着装置
JP2012033640A (ja) * 2010-07-29 2012-02-16 Disco Abrasive Syst Ltd チャックテーブル
JP2014200888A (ja) * 2013-04-05 2014-10-27 ローム株式会社 吸引保持装置およびウエハ研磨装置
US9815167B2 (en) 2014-09-30 2017-11-14 Fujifilm Corporation Lens manufacturing method
JP2018034299A (ja) * 2017-11-22 2018-03-08 ローム株式会社 吸引保持装置およびウエハ研磨装置
JP2020015133A (ja) * 2018-07-25 2020-01-30 株式会社タカハシキカイ 真空チャック
JP2020146780A (ja) * 2019-03-12 2020-09-17 株式会社ディスコ チャックテーブルの保持面の形成方法
WO2022201648A1 (ja) * 2021-03-23 2022-09-29 株式会社東京精密 ワーク保持装置

Similar Documents

Publication Publication Date Title
US7654887B2 (en) Vacuum chuck and suction board
JP3880977B2 (ja) 真空チャック
JP4885165B2 (ja) 真空吸着装置
JP5730071B2 (ja) 吸着用部材
JP2008132562A (ja) 真空チャックおよびこれを用いた真空吸着装置
JP4666656B2 (ja) 真空吸着装置、その製造方法および被吸着物の吸着方法
JP4908263B2 (ja) 真空吸着装置およびその製造方法
CN112407936B (zh) 一种多孔真空吸盘及其制备方法
JP4718397B2 (ja) 真空吸着装置の製造方法
KR100543735B1 (ko) 세라믹 소결체 및 그 제조방법
JP2009056518A (ja) 吸着装置およびそれを備えた加工システムならびに加工方法
JP2005118979A (ja) 研削・研磨用真空チャックおよび吸着板
JP2005279789A (ja) 研削・研磨用真空チャック
JP5261057B2 (ja) 吸着盤および真空吸着装置
JP2005279788A (ja) 研削・研磨用真空チャック
JP2004296898A (ja) 真空チャック
JP4704971B2 (ja) 真空吸着装置
JP4405887B2 (ja) 真空吸着装置
JP2009033001A (ja) 真空チャックおよびこれを用いた真空吸着装置並びに加工装置
JP5279550B2 (ja) 真空吸着装置及びその製造方法
JP4964910B2 (ja) 真空吸着装置およびその製造方法
JP2002103213A (ja) ウエハ保持治具
JP2008006529A (ja) 真空チャック及びこれを用いた真空吸着装置
JP2009107880A (ja) 接合体、吸着部材、吸着装置および加工装置
JP5530275B2 (ja) 真空吸着装置及びその製造方法

Legal Events

Date Code Title Description
A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20070313

A02 Decision of refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A02

Effective date: 20070703