JP2005101547A - 電子部品の製造方法および電子部品 - Google Patents

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Abstract

【課題】 たとえば積層セラミックコンデンサなどの電子部品における誘電体層の超薄層化を実現することができ、しかもショート不良率が少ない電子部品の製造方法と、その製造方法により得られる電子部品を提供すること。
【解決手段】 少なくとも一対の内部電極層14,16と、内部電極層の間に形成される誘電体層10とを有する電子部品を製造する方法である。導電性組成物と誘電体組成物とを含み、焼成後に内部電極層を形成することになる電極膜12a,14aを形成する。誘電体組成物の誘電体主成分を含まないバッファ層40を介して電極膜12a,14aを積層する。バッファ層40を介して積層された電極膜12a,14aを焼成し、電極膜12a,14aに含まれる誘電体組成物を、電極膜12a,14aの間に拡散させ、電極膜12a,14aの間に誘電体層10を形成する。
【選択図】 図3

Description

本発明は、電子部品の製造方法および電子部品に係り、さらに詳しくは、たとえば積層セラミックコンデンサなどの積層電子部品における誘電体層の超薄層化を実現することができる電子部品の製造方法と、その製造方法により得られる電子部品に関する。
電子部品の一例としての積層セラミックコンデンサは、誘電体層と内部電極層とが交互に複数配置された積層構造の素子本体と、該素子本体の両端部に形成された一対の外部端子電極とで構成される。
この積層セラミックコンデンサは、まず焼成前誘電体層と焼成前内部電極層とを必要枚数だけ交互に複数積層させて焼成前素子本体を製造し、次に、これを焼成した後、焼成後素子本体の両端部に一対の外部端子電極を形成して製造される。
焼成前誘電体層としては、セラミックグリーンシートが用いられ、焼成前内部電極層としては、所定パターンの内部電極ペーストや金属薄膜などが用いられる。
セラミックグリーンシートは、シート法や延伸法などで製造することができる。シート法とは、誘電体粉末、バインダ、可塑剤および有機溶剤などを含む誘電体塗料を、ドクターブレード法などを用いてPETなどのキャリアシート上に塗布し、加熱乾燥させて製造する方法である。延伸法とは、誘電体粉末とバインダが溶媒に混合された誘電体懸濁液を押出成形して得られるフィルム状成形体を二軸延伸して製造する方法である。
所定パターンの内部電極ペーストは、たとえば印刷法により製造される。印刷法とは、Pd、Ag−Pd、Niなどの金属を含む導電材と、バインダおよび有機溶剤などを含む導電塗料を、セラミックグリーンシート上に所定パターンで塗布形成する方法である。所定パターンの金属薄膜は、スパッタリングなどの薄膜法により製造される。
このように、積層セラミックコンデンサの製造に際しては、焼成前誘電体層と焼成前内部電極層とを同時に焼成することになる。このため、焼成前内部電極層に含まれる導電材には、焼成前誘電体層に含まれる誘電体粉末の焼結温度よりも高い融点を持つこと、誘電体粉末と反応しないこと、焼成後誘電体層に拡散しないこと、が要求される。
従来は、これらの要求を満足させるために、焼成前内部電極層に含まれる導電材には、PtやPdなどの貴金属を使用してきた。しかしながら、貴金属はそれ自体が高価であり、結果として最終的に得られる積層セラミックコンデンサがコスト高になるという欠点があった。そこで、誘電体粉末の焼結温度を900〜1100℃に低下させ、焼成前内部電極層に含まれる導電材にAg−Pd合金を用いたり、誘電体材料に耐還元性を付与し還元雰囲気で焼成可能なNiなどの安価な卑金属を用いたものが開発されている。
ところで、近年、各種電子機器の小型化により、電子機器の内部に装着される積層セラミックコンデンサの小型化および大容量化が進んでいる。この積層セラミックコンデンサの小型化および大容量化を進めるために、誘電体層グリーンシートの一層の薄層化が求められている。
しかしながら、グリーンシートの薄層化は、シート強度の低下や、ピンホールなどの欠陥が生じやすく、それに伴いショート耐圧不良も増大し、様々な困難があった。
また、焼成前内部電極層に含まれる導電材にNiを用いた場合を例示すると、このNiは、焼成前誘電体層に含まれる誘電体粉末と比較して融点が低い。このため、これらを同時焼成した場合、両者の焼結温度の間で大きな差が生じていた。焼結温度に大きな差がある場合に高い温度で焼結させると、内部電極層の割れや剥離が生じ、一方、低い温度で焼結させると、誘電体粉末の焼成不良を生じることがある。
なお、下記の特許文献1〜3に示すように、内部電極層と誘電体層との密着性を向上させると共に、これらの層の熱収縮率の差を小さくするために、内部電極用ペースト中に、誘電体粒子を含ませる技術は知られている。
しかしながら、これらの特許文献1〜3に記載の方法では、いずれも、誘電体層をグリーンシートの焼成により形成しており、誘電体層の薄層化の点で不十分であった。
このような課題を解決するために、本出願人は、先に、下記の特許出願に係る発明を提案している。この発明では、電極膜間にグリーンシートを介在させることなく、電極膜を積層し、これらの電極膜に含まれる誘電体組成物を析出させることで、極めて薄層の誘電体層を析出させている。
しかしながら、この先に提案している発明では、極めて薄層の誘電体層を実現できるものの、ショート不良率の点で、課題を残していた。
特開平10−172855号公報 特開平11−124602号公報 特開平11−354374号公報 特願2003−171779号。
本発明は、このような実状に鑑みてなされ、たとえば積層セラミックコンデンサなどの電子部品における誘電体層の超薄層化を実現することができ、しかもショート不良率が少ない電子部品の製造方法と、その製造方法により得られる電子部品を提供することを目的とする。
上記目的を達成するために、本発明に係る電子部品の製造方法は、
少なくとも一対の内部電極層と、前記内部電極層の間に形成される誘電体層とを有する電子部品を製造する方法であって、
導電性組成物と誘電体組成物とを含み、焼成後に前記内部電極層を形成することになる電極膜を形成する工程と、
前記誘電体組成物の誘電体主成分を実質的に含まないバッファ層を介して、前記電極膜を積層する工程と、
前記バッファ層を介して積層された前記電極膜の積層体を焼成し、前記電極膜に含まれる誘電体組成物を、前記電極膜の間に拡散させ、前記電極膜の間に前記誘電体層を形成する工程と、を有する。
バッファ層は、厚みが、好ましくは0.8μm以下、より好ましくは0.6μm以下である。バッファ層の厚みの下限は、好ましくは0.01μm、特に好ましくは0.05μmである。
本発明のバッファ層は、誘電体組成物の誘電体主成分を実質的に含まない層であり、従来のグリーンシートとは異なり、これ自体では誘電体層としては機能しない。このバッファ層を電極膜の間に入れることによって、電極膜間への誘電体組成物の拡散を促し、極めて薄い誘電体層の析出を実現すると共に、ニッケルの拡散を抑制することによって劇的にショート不良を改善できる。
バッファ層は、誘電体組成物を実質的に含まない層であれば良く、たとえば合成樹脂成分を含んでも良い。たとえば、バッファ層は、焼成後には積層体から気化して飛散してしまう材質で構成してある。
一般的にニッケルの焼結開始温度は粒径によっても異なるが、平均粒径が0.1〜0.4μmのニッケル粉では約200℃〜600℃であるため、前記バッファ層は、好ましくは少なくとも200℃以上で気化する材質で構成することが好ましい。特に好ましくは、バッファ層が、200℃未満ではほとんど気化せずに、200℃以上で気化する材質で構成してある。
あるいは、前記バッファ層が、焼成後には前記積層体における電極膜間に析出する前記誘電体層の内部に取り込まれて残存する材質で構成しても良い。その場合において、前記と同様な理由から、前記バッファ層が、200℃以上の温度で焼結が開始する材質で構成してあることが好ましい。
そのようなバッファ層の材質としては、たとえば炭化物、ホウ酸化物、リチウム化合物などが例示される。あるいは、バッファ層は、希土類酸化物、MgO、CaO、SrO、BaO、SiO、V、MoO、WO、MnOおよびCrなどのように、誘電体層中に添加物として含まれる副成分添加物を含んでも良い。ただし、本発明のバッファ層は、誘電体組成物の誘電体主成分は、実質的に含まない。
なお、バッファ層の組成は、狙いの厚みによって適宜変化させることができる。また、バッファ層は、積層時に各電極膜間に形成されていることが重要であり、PETフィルムなどの支持シート上に形成され、その上に電極膜を形成しても良く、または支持シート上に電極膜を作成後に電極膜上に形成しても良い。あるいは、別々の支持シート上に別々に電極膜とバッファ層とを形成し、それぞれを転写法により形成しても良い。
すなわち、前記電極膜の上にバッファ層を形成、またはバッファ層の上に電極膜を形成し、それを1ブロックとして転写法により、積層を行っても良いし、または、前記電極膜およびバッファ層を、いったん支持シートの表面にそれぞれ形成し、その後に、各支持シートの表面に形成してある電極膜およびバッファ層を、転写法により、繰り返し積層してもよい。電極膜の上にバッファ層および電極膜を印刷法により形成することもできるが、バッファ層および電極膜の層状の構造を得ることが難しいため、転写法により形成することが好ましい。
前記支持シートの表面に形成してある電極膜の表面に、接着層を形成しても良い。電極膜が薄層化されると、転写法により電極膜を積層することが好ましいが、その接着性が低下する傾向にあることから、電極膜の表面には接着層を形成することが好ましい。なお、本発明におけるこの接着層は、電極膜の間に介在されることになるが、積層された電極膜を焼成する際に、電極膜の間に誘電体組成物が析出することを補助する効果もある。
本発明に係る電子部品の製造方法によれば、電極膜の間にグリーンシートを積層させることなく、バッファ層を介して積層された電極膜を焼成するのみで、電極膜に含まれる誘電体組成物を、電極膜間に拡散させ、電極膜間に誘電体層を形成することができる。本発明の方法により得られる誘電体層の厚みは、たとえば1μm以下の超薄層であり、好ましくは0.05〜1.0μm、さらに好ましくは0.05〜0.8μmである。
しかも本発明では、バッファ層を仲介として、電極膜に含まれる誘電体組成物を、電極膜間に拡散させ、電極膜間に誘電体層を形成するため、均一な膜厚の誘電体層を形成しやすく、ショート不良の低減を図ることができる。
好ましくは、前記導電性組成物と誘電体組成物とを含む内部電極用ペーストを準備し、この内部電極用ペーストを用いて、前記電極膜を形成する。電極膜は、薄膜法により形成しても良いが、印刷法により電極膜を形成することで、電極膜中に、導電性組成物以外に、誘電体組成物を含せ易い。
本発明において、導電性組成物としては、特に限定されないが、好ましくは、前記導電性組成物がニッケルなどの卑金属を主成分とする導電性粒子で構成してある。Niなどの安価な卑金属を用いることで、電子部品の低価格化に寄与する。
本発明において、誘電体組成物としては特に限定されず、たとえばチタン酸カルシウム、チタン酸ストロンチウムおよび/またはチタン酸バリウムなどの誘電体主成分が用いられ、希土類酸化物、MgO、CaO、SrO、BaO、SiO、V、MoO、WO、MnOおよびCrなどの副成分添加物が含まれていても良い。
好ましくは、前記電極膜には、前記誘電体組成物が、前記導電性組成物100質量部に対して、10〜80質量部、さらに好ましくは10〜70質量部の割合で含まれている。誘電体組成物の添加量が少なすぎると、本発明の効果が少なくなる傾向にあり、添加量が多すぎると、内部電極層の導電性が低下する傾向にある。
一般的には、誘電体組成物の添加量が少なすぎると、ニッケルの焼結抑制に対する効果が得難くなり、電極が途切れやすくなる傾向がある。また添加量が多すぎると、ニッケル及び添加物の分散性の低下などから内部電極の導電性が低下する傾向がある。そのため、誘電体磁器組成物の添加については、その好ましい添加量は、ある程度限定されていた。
しかし本発明では、誘電体組成物の添加の大きな役割は、電極間に拡散させることによって誘電体層を形成することを第一目的としているため、添加物の役割も別の意味を持ってくる。もちろん、誘電体磁器組成物の添加により、電極の焼結抑制としての効果もある。
本発明の有用な点として、誘電体磁器組成物の添加量によって、誘電体層の厚みを設計できることが挙げられる。そのため、添加量は適宜変化させることができる。本発明においては、焼成温度、雰囲気、焼成方法を変化させることによって、電極の途切れを抑制しつつ、誘電体組成物を効率的に電極間に拡散し、最終的には、電極と誘電体層が交互に配したチップコンデンサを得ることが可能である。
焼成雰囲気は電極材料によって異なるため本発明では特に限定されないがNiを用いた場合、積層された前記電極膜を、還元性雰囲気下で焼成することが好ましい。導電性組成物としてニッケル粒子を用いる場合に、酸素雰囲気下で焼成すると、ニッケルが酸化してしまい、電極としての導電性が低下してしまう傾向にある。
本発明に係る電子部品は、上記の何れかに記載の電子部品の製造方法により得られる。本発明において、電子部品としては、特に限定されず、たとえば積層セラミックコンデンサ、チップバリスタ、高周波積層部品、アクチュエーター等の積層部品などが例示される。
以下、本発明を、図面に示す実施形態に基づき説明する。
図1は本発明の一実施形態に係る電子部品としての積層セラミックコンデンサの概略断面図、図2〜図4は図1に示す積層セラミックコンデンサの製造過程を示す要部断面図、図5は本発明の一実施例に係る方法により得られた積層セラミックコンデンサの断面写真である。
まず、本発明に係る電子部品の一実施形態として、積層セラミックコンデンサの全体構成について説明する。
図1に示すように、本実施形態に係る積層セラミックコンデンサ2は、コンデンサ素体4と、第1端子電極6と、第2端子電極8とを有する。コンデンサ素体4は、誘電体層10と、内部電極層12,14とを有し、誘電体層10の間に、内部電極層12,14が交互に積層してある。交互に積層される一方の内部電極層12は、コンデンサ素体4の一方の端部に形成してある第1端子電極6の内側に対して電気的に接続してある。また、交互に積層される他方の内部電極層14は、コンデンサ素体4の他方の端部に形成してある第2端子電極8の内側に対して電気的に接続してある。
なお、各内部電極層12,14におけるニッケルと合金を構成することが可能な副成分としての金属としては、たとえばPt,Ru,Rh,Re,W,Ta,Ir,Osなどが例示される。
各内部電極層12,14の厚みは、好ましくは0.05〜1.2μm、さらに好ましくは0.05〜1.0μmである。内部電極層12,14は、後で詳細に説明するように、電極膜を転写して形成される。
誘電体層10の材質は、特に限定されず、たとえばチタン酸カルシウム、チタン酸ストロンチウムおよび/またはチタン酸バリウムなどの誘電体材料から成る誘電体主成分と、希土類酸化物、MgO、CaO、SrO、BaO、SiO、V、MoO、WO、MnOおよびCrなどの副成分添加物とで構成される。この誘電体層10は、好ましくは、還元雰囲気焼成が可能な誘電体材料で構成してある。
各誘電体層10の厚みは、特に限定されないが、本実施形態では、たとえば1μm以下の超薄層であり、好ましくは0.05〜1.0μm、さらに好ましくは0.05〜0.8μmである。各誘電体層10は、後述するように、電極膜からの誘電体組成物の拡散により形成される。
誘電体層10および内部電極層12,14の積層方向の両端部には、内部電極層12,14が形成されていない比較的に厚めの誘電体外層16が形成してある。この誘電体外層16は、従来公知のセラミックグリーンシートを焼成することにより形成される。
端子電極6および8の材質は、特に限定されないが、通常、銅や銅合金、ニッケルやニッケル合金などが用いられるが、銀や銀とパラジウムの合金なども使用することができる。端子電極6および8の厚みも特に限定されないが、通常10〜50μm程度である。
積層セラミックコンデンサ2の形状やサイズは、目的や用途に応じて適宜決定すればよい。積層セラミックコンデンサ2が直方体形状の場合は、通常、縦(0.6〜5.6mm、好ましくは0.6〜3.2mm)×横(0.3〜5.0mm、好ましくは0.3〜1.6mm)×厚み(0.1〜1.9mm、好ましくは0.3〜1.6mm)程度である。
次に、積層セラミックコンデンサ2の製造方法の一例を説明する。
まず、図2に示すように、支持シートとしてのPETフィルムからなるキャリアシート30の上に、比較的厚膜のグリーンシート16aを形成する。グリーンシート16aは、図1に示す誘電体外層16となる部分である。
グリーンシート16aは、誘電体ペーストをドクターブレードなどでシート状に加工して得られる。誘電体ペーストは、通常、誘電体原料と有機ビヒクルとを混練して得られた有機溶剤系ペースト、または水系ペーストで構成される。
グリーンシート16aの誘電体原料としては、複合酸化物や酸化物となる各種化合物、たとえば炭酸塩、硝酸塩、水酸化物、有機金属化合物などから適宜選択され、混合して用いることができる。誘電体原料は、通常、平均粒子径が0.1〜1μm程度の粉末として用いられる。
有機ビヒクルとは、バインダを有機溶剤中に溶解したものである。有機ビヒクルに用いられるバインダとしては、特に限定されず、エチルセルロース、ポリビニルブチラール、アクリル樹脂などの通常の各種バインダが用いられるが、好ましくはポリビニルブチラールなどのブチラール系樹脂が用いられる。
また、有機ビヒクルに用いられる有機溶剤も特に限定されず、テルピネオール、ブチルカルビトール、アセトン、トルエン、エタノール、プロパノール、キシレンなどの有機溶剤が用いられる。また、水系ペーストにおけるビヒクルは、水に水溶性バインダを溶解させたものである。水溶性バインダとしては特に限定されず、ポリビニルアルコール、メチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、水溶性アクリル樹脂、エマルジョンなどが用いられる。誘電体ペースト中の各成分の含有量は特に限定されず、通常の含有量、たとえばバインダは1〜5質量%程度、溶剤(または水)は10〜50質量%程度とすればよい。
誘電体ペースト中には、必要に応じて各種分散剤、可塑剤、誘電体、ガラスフリット、絶縁体などから選択される添加物が含有されても良い。ただし、これらの総含有量は、10質量%以下とすることが望ましい。バインダ樹脂として、ブチラール系樹脂を用いる場合には、可塑剤は、バインダ樹脂100質量部に対して、25〜100質量部の含有量であることが好ましい。可塑剤が少なすぎると、グリーンシートが脆くなる傾向にあり、多すぎると、可塑剤が滲み出し、取り扱いが困難である。
次に、上記のキャリアシート30とは別に、図2に示すように、支持シートとしてのキャリアシート20を準備し、その上に、所定パターンの電極膜12aを形成すると共に、電極膜12aが形成されていない部分には、余白パターン膜24を形成する。電極膜12aは、焼成後に図1に示す内部電極層12となる部分である。余白パターン膜24は、図1に示す内部電極層12または14とそれぞれ接続しない端子電極6,8と、内部電極層12または14の端部との隙間に相当する誘電体部分を焼成後に形成する。支持シート20は、たとえばPETフィルムにより構成される。
電極膜12aは、たとえば印刷法により、まず、キャリアシート20の表面に形成される。印刷法としては、たとえば、スクリーン印刷などが挙げられる。印刷法の1種であるスクリーン印刷法により、キャリアシート20の表面に電極膜12aを形成する場合には、たとえば以下のようにして行う。
まず、膜12aに含まれる金属粉または合金粉(導電性組成物)を準備する。これらの粉の平均粒径は、好ましくは0.01〜1μm(さらに好ましくは0.01〜0.5μm)である。各金属粉または合金粉を有機ビヒクルとともに混練してペースト化し、膜12aを形成するための導電性ペースト(内部電極用ペースト)を得る。有機ビヒクルは、誘電体ペーストにおける場合と同様の材質を用いてもよいが異なってもよい。
本実施形態では、導電性ペーストには、誘電体組成物(主成分組成物および/またはセラミック副組成物)が含まれる。この導電性ペーストに含まれる誘電体原料の粒径は、好ましくは0.01〜1.0μm、さらに好ましくは0.01〜0.5μmである。また、誘電体原料は、導電性組成物100質量部に対して、好ましくは10〜80質量部の割合、さらに好ましくは10〜70質量部の割合で含まれている。
導電体ペーストに添加する誘電体原料の効果は、導電ペーストの金属粉の焼結の抑制するためである。しかし本発明の形態では、この誘電体原料がそのまま電極層間に拡散し、誘電体層を形成する。従って、その焼成方法によって粒成長を制御し、焼成後には所望の焼結体粒径を有した誘電体層を形成可能になっている。なお、本発明では、前述したが層間の設計も容易に可能であるが、焼結後の粒径の制御(誘電率の制御)も可能である。そのため、導電体ペーストに添加する誘電体原料の粒径は、単純に導電ペーストとしての役割としてだけでなく、誘電体特性の設計という点からこの範囲に限定されず、適宜変化させることが出来る。
余白パターン膜24は、グリーンシート16aと同様な材質で構成され、同様な方法により形成される。余白パターン膜24の厚みは、電極膜12aの厚みと同程度である。電極膜12aおよび余白パターン膜24は、必要に応じて乾燥される。乾燥温度は、特に限定されないが、好ましくは70〜120°Cであり、乾燥時間は、好ましくは5〜15分である。なお、余白パターン膜24は、必要に応じて設ければよい。
電極膜12aおよび余白パターン膜24の表面には、本実施形態では、バッファ層40が形成される。バッファ層40は、グリーンシート16aおよび余白パターン膜24とは異なり、誘電体組成物(チタン酸バリウムなどの誘電体主成分)を含まない。
本実施形態のバッファ層40は、転写接着層としての機能を兼ねる場合もあるので、接着性に優れた成分を含んでも良い。具体的には、バッファ層40は、合成樹脂成分で構成される。合成樹脂成分としては、たとえばアクリル樹脂、ポリビニルブチラール、ポリビニルアセタール、ポリビニルアルコール、ポリウレタン、ポリスチレン、または、これらの共重合体からなる有機質、またはエマルジョンで構成される。バッファ層に含まれる構成樹脂成分は、グリーンシート16aまたは電極膜12aに含まれる樹脂成分と同じであっても異なっていてもよい。
本発明形態では、バッファ層40を電極膜の間に入れた構造にすることで顕著なショート不良の低減に効果がある。このバッファ層40は好ましくは、焼成後には積層体から気化し飛散していまう物質で構成したほうがよい。これは、このバッファ層の成分が、特定成分の場合には、最終的に誘電体層へ拡散した場合に電気特性へ影響を及ぼす場合もあるからである。
気化して飛散してしまう物質としては、樹脂成分でもよいし、好ましくは、炭化物、ホウ酸化合物、またはリチウム化合物などが挙げられる。ただしこの範囲に限定はされない。
あるいは、バッファ層40は、焼成後には積層体における電極膜間に析出する誘電体層10の内部に取り込まれて残存する材質で構成しても良い。その場合において、バッファ層40は、200℃以上の温度で焼結が開始する材質で構成してあることが好ましい。
バッファ層40の厚みは、好ましくは0.8μm以下、より好ましくは0.6μm以下である。バッファ層40の厚みの下限は、好ましくは0.01μm、特に好ましくは0.05μmである。バッファ層に含まれる誘電体組成物原料の粒径は、好ましくは0.01〜0.5μmである。バッファ層の形成方法としては、特に限定されないが、たとえば、ワイヤーバーコータ、ダイコータ、ドクターブレードなどの塗布法、またはスパッタリングなどの薄膜形成方法などが挙げられる。
キャリアシート20の表面に形成された電極膜12aおよび余白パターン膜24は、図2に示すように、バッファ層40を介して、グリーンシート16aの表面に転写され、その後、キャリアシート20は、電極膜12aおよび余白パターン膜24から剥がされる。
その後に、図3に示すように、電極膜12aおよび余白パターン膜24の表面に、バッファ層40を介して、電極膜14aおよび余白パターン膜24を、電極膜12aおよび余白パターン膜24と同様な転写法により形成する。電極膜14aは、図1に示す内部電極層14となる部分であり、パターンが異なる以外は、電極膜12aと同様にして形成される。
グリーンシート16aの上で、このような転写を繰り返すことで、電極膜12aと電極膜14aとが、バッファ層40を介して交互に積層された積層体を得ることができる。その後、この積層体を最終加圧した後、キャリアシート20を引き剥がす。最終加圧時の圧力は、好ましくは10〜200MPaである。また、加熱温度は、40〜100℃が好ましい。
その後に、積層体を所定サイズに切断し、グリーンチップを形成する。そして、グリーンチップを脱バインダ処理および焼成する。
脱バインダ処理は、本実施形態のように内部電極層に卑金属としてのNiを用いる場合、Air中または還元雰囲気中で脱バインダ処理することが好ましい。また、それ以外の脱バインダ条件としては、昇温速度を好ましくは5〜300℃/時間、保持温度を好ましくは200〜400℃、温度保持時間を好ましくは0.5〜20時間とする。
本実施形態では、グリーンチップの焼成を、酸素分圧が好ましくは10−10 〜10−2Paの雰囲気で行う。焼成時の酸素分圧が低すぎると、内部電極層の導電材が異常焼結を起こし、途切れてしまうことがあり、逆に酸素分圧が高すぎると、内部電極層が酸化する傾向がある。
本実施形態では、グリーンチップの焼成を、1350℃以下の低温で行う。焼成温度が低すぎると、グリーンチップが緻密化せず、逆に焼成温度が高すぎると、内部電極が途切れたり、導電材の拡散により容量温度特性が悪化したり、誘電体の還元が生じてしまうからである。
これ以外の焼成条件としては、昇温速度を好ましくは50〜500℃/時間、温度保持時間を好ましくは0.5〜8時間、冷却速度を好ましくは50〜500℃/時間とする。また、焼成雰囲気は還元性雰囲気とすることが好ましく、雰囲気ガスとしてはたとえば、NとHとの混合ガスをウェット(加湿)状態で用いることが好ましい。
本実施形態では、焼成後のコンデンサチップ体にはアニールを施すことが好ましい。アニールは、誘電体層を再酸化するための処理であり、これにより絶縁抵抗(IR)の加速寿命を著しく長くすることができ、信頼性が向上する。
本実施形態では、焼成後コンデンサチップ体のアニールを、焼成時の還元雰囲気よりも高い酸素分圧下で行うことが好ましく、具体的には、酸素分圧が好ましくは10−4〜100Paの雰囲気で行う。アニール時の酸素分圧が低すぎると、誘電体層の再酸化が困難であり、逆に高すぎると、内部電極層のニッケルが酸化して絶縁化する傾向にある。
本実施形態では、アニール時の保持温度または最高温度を、好ましくは1200℃以下する。また、本実施形態では、これらの温度の保持時間を、好ましくは0.5〜4時間とする。アニール時の保持温度または最高温度が、前記範囲未満では誘電体材料の酸化が不十分なために絶縁抵抗寿命が短くなる傾向にあり、前記範囲をこえると内部電極のNiが酸化し、容量が低下するだけでなく、誘電体素地と反応してしまい、寿命も短くなる傾向にある。なお、アニールは昇温過程および降温過程だけから構成してもよい。すなわち、温度保持時間を零としてもよい。この場合、保持温度は最高温度と同義である。
これ以外のアニール条件としては、冷却速度を好ましくは50〜500℃/時間とする。また、アニールの雰囲気ガスとしては、たとえば、加湿したNガス等を用いることが好ましい。
なお、Nガスを加湿するには、例えばウェッター等を使用すればよい。この場合、水温は0〜75℃程度が好ましい。
脱バインダ処理、焼成およびアニールは、連続して行っても、独立に行ってもよい。これらを連続して行なう場合、脱バインダ処理後、冷却せずに雰囲気を変更し、続いて焼成の際の保持温度まで昇温して焼成を行ない、次いで冷却し、アニールの保持温度に達したときに雰囲気を変更してアニールを行なうことが好ましい。一方、これらを独立して行なう場合、焼成に際しては、脱バインダ処理時の保持温度までNガスあるいは加湿したNガス雰囲気下で昇温した後、雰囲気を変更してさらに昇温を続けることが好ましく、アニール時の保持温度まで冷却した後は、再びNガスあるいは加湿したNガス雰囲気に変更して冷却を続けることが好ましい。また、アニールに際しては、Nガス雰囲気下で保持温度まで昇温した後、雰囲気を変更してもよく、アニールの全過程を加湿したNガス雰囲気としてもよい。
このようにして得られた焼結体(素子本体4)には、例えばバレル研磨、サンドプラスト等にて端面研磨を施し、端子電極用ペーストを焼きつけて端子電極6,8が形成される。端子電極用ペーストの焼成条件は、例えば、加湿したNとHとの混合ガス中で600〜800℃にて10分間〜1時間程度とすることが好ましい。そして、必要に応じ、端子電極6,8上にめっき等を行うことによりパッド層を形成する。なお、端子電極用ペーストは、上記した電極ペーストと同様にして調製すればよい。
このようにして製造された本実施形態の積層セラミックコンデンサは、ハンダ付等によりプリント基板上などに実装され、各種電子機器等に使用される。
本実施形態では、電極膜12a,14aの間にグリーンシートを積層させることなく、バッファ層40を介して積層された電極膜12a,14aを焼成するのみで、各電極膜12a,14aに含まれる誘電体組成物が、バッファ層40を仲介として焼成中に電極膜12a,14a間に拡散して析出し、その後に焼結する。その結果、図4に示すように、内部電極層12,14の間に、たとえば1μm以下の超薄層な誘電体層10を形成することができる。
また、本実施形態では、電極膜12a,14aを直接に積層させないで、バッファ層40を介して積層するために、焼成後の誘電体層におけるショート不良を低減することができる。
なお、本発明は、上述した実施形態に限定されるものではなく、本発明の範囲内で種々に改変することができる。
たとえば、本発明は、積層セラミックコンデンサに限らず、その他の電子部品に適用することが可能である。また、上述した図に示す実施形態では、電極膜12a,14aおよび余白パターン膜24の表面にバッファ層40を形成してあるが、支持シート20と電極膜12a,14aおよび余白パターン膜24との間にバッファ層40を形成しても良い。いずれにしても、これらのバッファ層40は、積層される電極膜12aおよび14aの間に介在されることになる。
以下、本発明を、さらに具体的な実施例に基づき説明する。ただし、本発明は、以下の実施例に限定されない。
外層用誘電体ペースト
BaTiO粉末(平均粒径:0.2μm) 100重量部
MgCO 0.72重量部
MnO 0.13重量部
(Ba0.6 Ca0.4 )SiO 1.5重量部
1.0重量部。
こうして調製した誘電体粉末100重量部に対して、以下の組成を有する有機ビヒクルを加え、ボールミルを用いて、20時間にわたって、混合し、バッファ層用ペーストを調製した。
ポリビニルブチラール樹脂(バインダ) 6重量部
DOP[フタル酸ヒ゛ス(2ヘチルヘキシル)](可塑剤) 3重量部
エタノール 78重量部
n−プロパノール 78重量部
キシレン 14重量部
ミネラルスピリット 7重量部
分散剤 0.7重量部。
内部電極用ペースト
下記に示される配合比にて、ボールミルにより混練し、スラリー化して内部電極用ペーストとした。すなわち、平均粒径が0.2μmのNi粒子(電極材粉体)100質量部に対して、セラミック粉体(BaTiO粉体およびセラミック粉体副成分添加物)を30質量部と、ポリビニルブチラール樹脂4.4質量部と、ターピネオール95質量部とを加え、ボールミルにより混練し、スラリー化して内部電極用ペーストとした。
セラミック粉体としては、BaTiO粉体(平均粒径:0.1μm)100質量部に対して、(Ba0.6Ca0.4)SiO:1.5質量部、Y:1.0質量部、MgCO:0.72質量部、およびMnO:0.13質量部含むセラミック粉体を用いた。
余白パターン膜用ペースト
余白パターン膜用ペーストは、次のようにして作製した。
内部電極用ペーストと同じセラミック粉体(150g)に、エステル系重合体の分散剤(1.5g)と、テルピネオール(5g)と、アセトン(60g)と、可塑剤としてフタル酸ジオクチル(5g)とを加えて、4時間混合した。次に、この混合液に、積水化学社製のBH6(重合度:1450、ブチラール化度:69モル%±3%のポリビニルブチラール樹脂)の8%ラッカー(ラッカー全量に対して、ポリビニルブチラールが8質量%、テルピネオールが92質量%)を、120gの量で加えて16時間混合した。その後、余剰溶剤のアセトンを除去し、粘度調整としてテルピネオールを40〜100g加えることで、余白パターン膜用ペーストを作製した。
バッファ層用ペースト
0.1μmのカーボンブラック粉末100重量部に対して、以下の組成を有する有機ビヒクルを加え、ボールミルを用いて、20時間にわたって、混合し、バッファ層用ペーストを調製した。
ポリビニルブチラール樹脂(バインダ) 6重量部
DOP[フタル酸ヒ゛ス(2ヘチルヘキシル)](可塑剤) 3重量部
エタノール 200重量部
n−プロパノール 200重量部
キシレン 36重量部
ミネラルスピリット 7重量部
分散剤 0.7重量部。
成膜工程
支持シート20としてのPETフィルム上に、電極膜12aおよび余白パターン膜24を形成した。電極膜12aは、上記の内部電極用ペーストを用いた印刷法により、1μmの厚みで形成した。また、余白パターン膜24は、上記の余白パターン膜用ペーストを用いた印刷法により、1μmの厚みで形成した。
次に、別の支持シートの上に上記バッファ層用ペーストをワイヤーバーコータによって塗布し、約0.6μmのバッファ層40を形成した。さらに、別の支持シート30の上に、外装用誘電体ペーストを用いて、ドクターブレード法により、外層用グリーンシート16aを形成した。
積層工程から焼成工程
バッファ層40が表面に形成された電極膜12aおよび余白パターン膜24を1ブロックとして、これらのブロックを、転写法により、外装用グリーンシート16aの上に積層した。焼成前の積層体における電極層の間には、誘電体層となる通常のグリーンシートは積層せず、バッファ層のみを積層した。その積層体に、脱バインダ処理、焼成およびアニール(熱処理)処理を行って、チップ形状の焼結体を作製した。
脱バインダは、保持温度:260℃、保持時間:8時間、雰囲気ガス:加湿したNとHの混合ガス、で行った。
焼成は、昇温速度:200℃/時間、保持温度:1240℃、保持時間:2時間、雰囲気ガス:加湿したNとHの混合ガス、酸素分圧:10−7Paで行った。
アニール(再酸化)は、保持温度:1050℃、保持時間:2時間、雰囲気ガス:加湿したNガス、酸素分圧:10−1Paで行った。なお、雰囲気ガスの加湿には、ウェッターを用い、水温0〜75℃にて行った。
次いで、チップ形状の焼結体の端面をサンドブラストにて研磨したのち、断面写真を撮影した。結果を図5に示す。図5に示すように、Niから成る約1μmの内部電極層の間に、約0.38μmの誘電体層(表1では、焼き上げ層間)が析出して形成されることが確認できた。また、この一対の内部電極層の間での静電容量は、約49nFであることも確認できた。結果を表1に示す。
なお、静電容量は、焼結体のサンプルに対して、基準温度25℃において、デジタルLCRメータ(YHP社製4272A)にて周波数1kHz、入力信号レベル(測定電圧)1Vrmsの条件下で測定した。
また、ショート不良率の測定を行った。ショート不良率は39%であった。結果を表1に示す。なお、ショート不良率は、100個のサンプルを準備し、ショート不良が発生した個数を調べて測定した。
ショート不良とは、焼結体のサンプルに対して、対の電極同士が接触することによって導通してしまうことを言う。具体的には絶縁抵抗計(HEWLETT PACKARD社製E2377Aマルチメーター)を用いて、25℃においてDC10Vを60秒間印加した後の絶縁抵抗値を測定し、10Ω以下をショート不良とした。
Figure 2005101547
実施例2〜5および比較例1および2
電極膜12aを形成するための内部電極用ペーストにおけるNi粒子100質量部に対して、セラミック粉体の質量部を、0〜90質量部(表1では誘電体組成物量)の範囲で変化させた以外は、実施例1と同様にして、チップ形状の焼結体を作製し、同様な測定を行った。結果を表1に示す。
評価1
表1に示すように、内部電極用ペーストのニッケルに対して誘電体組成物の添加量が0質量部、つまり無添加では、バッファ層があったとしても、バッファ層だけでは緻密化が不十分であるため、静電容量を得ることが出来なかった。
また、内部電極用ペーストのニッケルに対して誘電体組成物の添加量が90質量部では、誘電体層の厚みが1μm以上となり、本発明の目的とする薄層に適していない。また、添加量の増加によってペースト中のニッケルおよび誘電体組成物の分散が悪くなり、電極が途切れやすくなり、容量の低下が生じた。
したがって、電極膜に含まれる誘電体組成物の添加量は、ニッケルなどの導電性組成物100質量部に対して、10〜80質量部が好ましいことが確認できた。
比較例3
バッファ層を介在させることなく、電極膜同士を積層させた以外は、実施例1と同様にして、チップ形状の焼結体を作製し、誘電体層(焼き上げ層間)の厚み、静電容量、およびショート不良率の測定を行った。結果を表1に示す。
評価2
表2に示すように、バッファ層無しの比較例3では、ショート不良率が92%であったのを、実施例1では、39%まで低減できることが確認できた。
実施例6
バッファ層用ペースト中に、外層用誘電体ペーストのバインダ樹脂として用いたものと同じポリビニルブチラール樹脂を、カーボン粉末の代わりに、添加した以外は、実施例1と同様にして、チップ形状の焼結体を作製し、誘電体層(焼き上げ層間)の厚み、静電容量、およびショート不良率の測定を行った。結果を表1に示す。
実施例7
実施例1におけるカーボンブラックの代わりに、ホウ酸化物としてのB、またはリチウム化合物としてのLiCOを用いた場合でも、同様な結果が得られることを確認した。
図1は本発明の一実施形態に係る電子部品としての積層セラミックコンデンサの概略断面図である。 図2は図1に示す積層セラミックコンデンサの製造過程を示す要部断面図である。 図3は図2の続きの工程を示す要部断面図である。 図4は図3の続きの工程を示す要部断面図である。 図5は本発明の一実施例に係る方法により得られた積層セラミックコンデンサの断面写真である。
符号の説明
2… 積層セラミックコンデンサ
4… コンデンサ素体
6,8… 端子電極
10… 誘電体層
12,14… 内部電極層
12a,14a… 電極膜
16… 誘電体外層
16a… グリーンシート
20,30… キャリアシート(支持シート)
24… 余白パターン膜
40… バッファ層

Claims (14)

  1. 少なくとも一対の内部電極層と、前記内部電極層の間に形成される誘電体層とを有する電子部品を製造する方法であって、
    導電性組成物と誘電体組成物とを含み、焼成後に前記内部電極層を形成することになる電極膜を形成する工程と、
    前記誘電体組成物の誘電体主成分を実質的に含まないバッファ層を介して、前記電極膜を積層する工程と、
    前記バッファ層を介して積層された前記電極膜の積層体を焼成し、前記電極膜に含まれる誘電体組成物を、前記電極膜の間に拡散させ、前記電極膜の間に前記誘電体層を形成する工程と、を有する
    電子部品の製造方法。
  2. 前記バッファ層の厚みが0.8μm以下である請求項1に記載の電子部品の製造方法。
  3. 前記バッファ層が、焼成後には前記積層体から気化して飛散してしまう材質で構成してある請求項1または2に記載の電子部品の製造方法。
  4. 前記バッファ層が、合成樹脂成分を含む請求項3に記載の電子部品の製造方法。
  5. 前記バッファ層が、200℃以上で気化する材質で構成してある請求項3に記載の電子部品の製造方法。
  6. 前記バッファ層が、炭化物、ホウ酸化物、リチウム化合物のいずれかで構成してある請求項1〜5のいずれかに記載の電子部品の製造方法。
  7. 前記電極膜には、前記誘電体組成物が、前記導電性組成物100質量部に対して、10〜80質量部の割合で含まれている請求項1〜6のいずれかに記載の電子部品の製造方法。
  8. 前記導電性組成物が卑金属を主成分とする導電性粒子で構成してある請求項1〜7のいずれかに記載の電子部品の製造方法。
  9. 前記導電性組成物と誘電体組成物とを含む内部電極用ペーストを準備し、この内部電極用ペーストを用いて、前記電極膜を形成することを特徴とする請求項1〜8のいずれかに記載の電子部品の製造方法。
  10. 前記電極膜およびバッファ層を、いったん支持シートの表面に形成し、その後に、この支持シートの表面に形成してある電極膜およびバッファ層を、転写法により、他の電極膜に積層する請求項1〜9のいずれかに記載の電子部品の製造方法。
  11. 前記バッファ層が前記電極膜の表面に形成してある請求項10に記載の電子部品の製造方法。
  12. 前記バッファ層が前記電極膜と支持シートとの間に形成してある請求項11に記載の電子部品の製造方法。
  13. 積層された前記電極膜を、還元性雰囲気下で焼成する請求項1〜12のいずれかに記載の電子部品の製造方法。
  14. 請求項1〜13のいずれかに記載の電子部品の製造方法により得られる電子部品。
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