JP2005053248A - タイヤ - Google Patents
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Abstract
【課題】サイドウォール部の凹凸形状をより効果的に隠すことができるタイヤの提供。
【解決手段】サイドウォール部12の外面16にタイヤ10の周方向に沿って円環状に複数の薄肉凸条18が並設されている。各薄肉凸条18の上面26は、円弧状に形成されている。隣り合う薄肉凸条18の対向する側壁面27,28は、交差角度θ(θ≦60°)で交差している。連続する5本以上の薄肉凸条18によって、1組の凸条ユニットが構成されていてもよい。各薄肉凸条18の上面26の周縁距離は、連続的に変化されているのが好ましい。
【選択図】 図2
【解決手段】サイドウォール部12の外面16にタイヤ10の周方向に沿って円環状に複数の薄肉凸条18が並設されている。各薄肉凸条18の上面26は、円弧状に形成されている。隣り合う薄肉凸条18の対向する側壁面27,28は、交差角度θ(θ≦60°)で交差している。連続する5本以上の薄肉凸条18によって、1組の凸条ユニットが構成されていてもよい。各薄肉凸条18の上面26の周縁距離は、連続的に変化されているのが好ましい。
【選択図】 図2
Description
【0001】
【発明の属する技術の分野】
この発明は、タイヤに関し、詳細には、タイヤのサイドウォール部に形成されたセレーションの構造に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
一般にタイヤは、ドーナツ状に形成されており、その内部に骨格を形成するカーカスが備えられ、これを補強するブレーカーないしバンド等が設けられている。タイヤは、その内周縁部(リムに係合される部分)に円環状のビードコアを備えており、上記カーカスは、ビードコアの内側(軸方向内側)から当該ビードコアに掛け回され、外側(軸方向外側)へ折り返されている。このため、カーカスの端部は、タイヤのサイドウォール部にまで延設されることになるが、そのために、タイヤのサイドウォール部に、カーカスの端縁の位置を示す凹凸(段部)が形成されてしまう。
一方、タイヤのサイドウォール部には、タイヤサイズやブランドを示す標章が付されるが、この標章は、タイヤ成形時に当該タイヤと共に立体的に形成されるようになっている。
【0003】
従来では、上記凹凸(段部)は、タイヤの外観を損ねてしまうという問題があり、また、上記標章は、可及的明瞭に表示すべきであるとの要請があった。
そのため、従来では、上記標章は、サイドウォール部に形成された上記凹凸を隠すため(目立たなくするため)に、当該凹凸が形成された部分に付されていた(例えば、特許文献1〜3参照)。また、この標章は、一般に複数の凸条からなる薄肉リブ(セレーション)により立体的に構成されていた。これにより、セレーションの凸部に入射した光は効果的に反射され、セレーションの凹部に入射した光は反射されにくくなる。したがって、セレーションが形成された部分には光の濃淡が形成され、その結果、標章の視認性が向上されると共に、上記凹凸を目立たなくする目隠し効果が奏される。
【0004】
【特許文献1】
特開平7−164831号公報
【特許文献2】
特開平9−86106号公報
【特許文献3】
特開2000−280716号公報
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、従来のセレーションでは、上記目隠し効果が十分ではなく、当該効果をさらに向上させたいという要請があった。
そこで、本発明は、サイドウォール部の凹凸形状をより効果的に隠すことができるタイヤを提供することである。
【0006】
【課題を解決するための手段】
(1) 上記目的が達成されるためには、高い目隠し効果が奏されることが必要であるが、そのためには、セレーションの構造を改良し、サイドウォール部に光が照射されたときに顕著な光の濃淡が形成されることが重要である。
そこで、本願に係るタイヤは、サイドウォール部の外面の所定領域に複数の薄肉凸条が並設され、当該薄肉凸条の上面の少なくとも一部は、曲面に形成されていることを特徴とするものである。
【0007】
この構成によれば、複数の薄肉凸条が並設されることによって、サイドウォール部に凸部と凹部とが交互に連続するセレーションが形成される。これにより、サイドウォール部に光が照射されたときに、当該光は各薄肉凸条の上面(セレーションの凸部)で効率よく反射し、各薄肉凸条間に形成される隙間部分(セレーションの凹部)で反射しにくくなる。このため、サイドウォール部の薄肉凸条が設けられた領域に光が照射されると、光の濃淡が現出される。
しかも、薄肉凸条の上面には曲面部分が存在するから、当該曲面部分ではきわめて効率よく光りが反射される。したがって、上記濃淡は、一層明瞭なものとなる。
【0008】
(2) 薄肉凸条の上面は、円弧状の滑らかな凸面に形成されているのが好ましい。
この構成では、上記上面形状を簡単且つ安価に構成することができ、しかも、上面で光りが一層効率よく反射される。したがって、上記濃淡は、なお一層明瞭なものとなる。
【0009】
また、隣り合う薄肉凸条の対向する側壁同士の交差角度θは、θ≦60°(degree)であるのが好ましい。ただし、より好ましくは、−30°≦θ≦0°である。
上記交差角度θがかかる数値に設定されることにより、薄肉凸条間の隙間(上記セレーションの凹部)に入射する光が制限されると共に当該隙間から光が出射しにくくなる。したがって、上記濃淡は、なお一層明瞭なものとなる。
【0010】
(3) さらに、隣り合って連続する少なくとも5本の薄肉凸条が1組の凸条ユニットを構成しており、当該凸条ユニットに属する薄肉凸条の上面周縁距離は、連続的に変化するように構成されていてもよい。
この構成では、各薄肉凸条の上面で反射する光の量が異なるから、当該凸条ユニットについて上記濃淡が明瞭に現出される。また、この凸条ユニットが上記サイドウォール部に並設されることになるから、サイドウォール部全体として、上記濃淡は、さらに明瞭なものとなる。
【0011】
(4) また、薄肉凸条の側壁と上面とが連続する連続部の高さh1は、当該薄肉凸条と隣り合う薄肉凸条の上面の最大高さh2よりも低く設定されていてもよい。
この構成では、薄肉凸条の上面位置にばらつきが生じるから、各薄肉凸条の上面での光の反射の態様が異なって観測される。したがって、サイドウォール部全体として、上記濃淡は、さらに明瞭なものとなる。
【0012】
【発明の実施の形態】
以下、適宜図面が参照されつつ、好ましい実施形態に基づいて本発明が詳細に説明される。
【0013】
<第1の実施形態>
図1は、本発明の第1の実施形態に係るタイヤ10の構造を示す断面斜視図である。同図において断面Aは、タイヤ10の中心を通過し且つタイヤ10の赤道面Eと直交する平面である。また、同図において上下方向がタイヤ10の径方向であり、左右方向がタイヤ10の軸方向である。特に右方向は、軸方向外方を示している。
【0014】
タイヤ10は、赤道面Eを中心としたほぼ左右対称の形状を呈する。タイヤ10は、トレッド部11、サイドウォール部12、ビード部13、カーカス部14及びベルト部15を備えている。
本実施形態の特徴とするところは、サイドウォール部12の外面16に複数の薄肉凸条18から構成されるセレーション17が形成されており、各薄肉凸条18は、径方向に沿って延び且つ後述する外形形状に形成されている点である。後に詳述されるが、この薄肉凸条18が設けられることにより、セレーション17は、タイヤ10にとって優れた装飾効果を奏する。
【0015】
トレッド部11は架橋ゴムからなり、径方向外向きに凸となるような略円弧状に形成されている。トレッド部11の外面は、路面と接地するトレッド面19を構成する。トレッド面19には、溝部20とランド部21とからなるトレッドパターンが形成されている。
【0016】
サイドウォール部12は、トレッド部11の両端から径方向内向きに延びている。このサイドウォール部12も、架橋ゴムからなる。サイドウォール部12は、撓みによって路面からの衝撃を吸収する。また、サイドウォール部12は、カーカス部14の外傷を防止する。
ビード部13は、ビードコア22を備えている。ビードコア22は円環状に形成されており、複数本の非伸縮性ワイヤー(典型的にはスチール製ワイヤー)からなる。
【0017】
カーカス部14は、カーカスプライ23を備えている。カーカスプライ23は、単一のものに限定されるものではなく、複数重ねられていてもよい。カーカスプライ23は、トレッド部11、サイドウォール部12及びビード部13の内周面に沿うように配置されており、その両端部はビードコア22の軸方向内側から外側に向かって巻き上げられている。したがって、カーカスプライ23の端縁24は、サイドウォール部12の所定の位置において周方向に環状に配置されることになる。
カーカスプライ23は、カーカスコードと、このカーカスコードを被覆するトッピングゴムとからなる。例えば、タイヤ10がラジアルタイヤとして構成される場合は、カーカスコードの方向がタイヤ10の周方向となす角度は、80°以上90°以下に設定され得る。
【0018】
ベルト部15は、一般に複数枚のベルトプライ25からなる。本実施形態では、ベルト部15は、2枚のベルトプライ25を備えている。
ベルトプライ25は、公知の要領で形成されるが、例えば、ベルトコードがトッピングゴムで被覆されることにより形成される。ベルトコードは、各ベルトプライ25の長手方向に対して、例えば15°〜30°の角度で交差するように配置され得る。そして、各ベルトプライ25は、その長手方向がタイヤ10の周方向に沿うようにカーカス部14の外側に巻き付けられている。
【0019】
図2は、薄肉凸条18の斜視図である。同図において、薄肉凸条18が延びる方向Rが、タイヤ10の径方向である。同図では、5本の薄肉凸条18のみ図示されているが、実際には、タイヤ10の周方向に沿って多数の薄肉凸条18が並設されている。
また、図3は、隣り合う薄肉凸条18の断面図である。
【0020】
これら薄肉凸条18は、タイヤ10の成形加硫時にサイドウォール部12と共に形成される。薄肉凸条18は、断面形状が略扇形に形成されており、所定のピッチpで周方向に沿って配設されている。薄肉凸条18は、上面26と、上面の両側に連続する側壁面27,28とを有する。
薄肉凸条18の上面26(凸面)は、円弧状に形成されている。この上面26の曲率半径は、0.05mm〜0.4mmの範囲で適宜設定される。
【0021】
また、薄肉凸条18の側壁面27は、所定の角度θ/2で傾斜している。この角度θ/2は、側壁面27の方向が、サイドウォール部12の外面16に直交する仮想法線Hとなす角度である。本実施形態では、θ/2=15°(degree)に設定されている。ただし、この角度θ/2は、−30°≦θ/2≦30°の範囲で適宜設定され得る。
さらに、薄肉凸条18の側壁面28も所定の角度で傾斜している。側壁面28は、側壁面27と上記仮想法線Hに対して左右対称に傾斜しており、その傾斜角度は、−θ/2である。
【0022】
本実施形態に係るタイヤ10では、前述の薄肉凸条18が多数並設されることによって、サイドウォール部12に凸部と凹部とが交互に連続するセレーションが形成される。これにより、サイドウォール部12に外部から光が照射されたときに、当該光のうち各薄肉凸条18の上面26に入射した光は効率よく外部へ反射し、各薄肉凸条18間の隙間に入射した光は外部へ反射しにくくなる。このため、サイドウォール部12の薄肉凸条18が設けられた領域に光が照射されると、光の濃淡が現出する。
特に、上記上面26は、円弧状に形成されているから、上記光は、上面26できわめて効率よく反射され、上記濃淡は、一層明瞭なものとなる。しかも、光を効率よく反射させるための上面26が簡単且つ安価に構成される。
なお、上記上面26は円弧状に形成されているが、これに限定されるものではなく、その一部が曲面に形成されていればよい。
【0023】
その結果、光の濃淡が現出する部位にブランド等を表わす標章が付された場合に、当該ブランドが視覚的に浮彫状態にされ、その視認性が向上する。
また、薄肉凸条18によって光の濃淡が現出されることから、一定の目隠効果が奏される。したがって、薄肉凸条18が、カーカスプライ23の端縁24が配置される部位に沿って設けられることにより、サイドウォール部12に形成される凹凸が目立たなくなり、完成度の高いタイヤの外観が形成される。
【0024】
また、隣り合う薄肉凸条18の対向する側壁面27,28は、前述のように傾斜しており、側壁面28に対して側壁面27が交差角度θ=−30°で傾斜している。したがって、両側壁面27,28の上端部は、上記光が入射する入射口を構成するが、両側壁面27,28によってこの入射口が狭められた状態に形成されている。これにより、薄肉凸条18間の隙間(上記入射口)から入射する光が制限されると共に当該隙間から光が出射しにくくなる。したがって、上記光の濃淡は、一層明瞭なものとなり、その結果、上記ブランドの視認性が向上すると共に、上記目隠し効果が顕著なものとなる。
【0025】
<第2の実施形態>
次に、本発明の第2の実施形態について説明される。
図4は、本発明の第2の実施形態に係るタイヤ30の薄肉凸条38の斜視図である。同図において、薄肉凸条38が延びる方向Rが、タイヤ30の径方向である。同図では、6本の薄肉凸条38(38a〜38e)のみ図示されているが、実際には、タイヤ30の周方向に沿って多数の薄肉凸条38が並設されている。
【0026】
本実施形態に係るタイヤ30が上記第1の実施形態に係るタイヤ10と異なるところは、5本の薄肉凸条38a〜38eが一組となって凸条ユニット29を構成しており、この凸条ユニット29がタイヤ30の周方向に沿って連続している点、及び薄肉凸条38a〜38eは、その上面36a〜36eの周縁距離(上面36a〜36eの円弧に沿った長さ)が漸次連続的に変化している点である。なお、その他の構成については、上記第1の実施形態に係るタイヤ10と同様である。
【0027】
本実施形態では、薄肉凸条38aの上面36aの周縁距離が最も長く、薄肉凸条38eの上面36eの周縁距離が最も短い。そして、各薄肉凸条36a〜36eの順に漸次周縁距離が短くなっている。
各上面36a〜36eは、上記第1の実施形態に係るタイヤ10と同様に円弧状に形成されている。したがって、各薄肉凸条36a〜36eは、その高さ寸法が順に漸次小さくなっている。
なお、本実施形態では、5本の薄肉凸条38a〜38eが一組の凸条ユニット29を構成しているが、これに限定されるものではなく、5本以上であればさらに多数の薄肉凸条が一組の凸条ユニットを構成するものでもよい。
また、上記上面36a〜36eは円弧状に形成されているが、これに限定されるものではなく、上記第1の実施形態と同様に、その一部が曲面に形成されていればよい。
【0028】
本実施形態に係るタイヤ30では、隣り合って連続する5本の薄肉凸条38a〜38eが凸条ユニット29を構成し、この凸条ユニット29に属する薄肉凸条38a〜38eの上面36a〜36eの周縁距離は、連続的に変化しているから、各上面36a〜36eで反射する光の量がそれぞれ異なる。これにより、単一の凸条ユニット29について、光が入射した場合に光の濃淡がより明瞭に現出する。そして、この凸条ユニット29がサイドウォール部12に並設されるから、サイドウォール部12全体として、光の濃淡は、さらに明瞭なものとなる。
したがって、光の濃淡が現出する部位にブランド等を表わす標章が付された場合に、当該ブランドが視覚的に浮彫状態にされ、その視認性がさらに向上する。
また、光の濃淡が一層明瞭に現出されることから、目隠効果がさらに向上し、サイドウォール部12に形成される凹凸が目立たなくなる。
【0029】
次に、上記各実施形態に関する設計変更例について説明される。
図5は、第1の実施形態の変形例に係るタイヤ10の要部拡大断面図であり、薄肉凸条48の断面形状を詳細に図示している。
本変形例に係る薄肉凸条48が上記第1の実施形態に係る薄肉凸条18と異なるところは、連続する薄肉凸条48のうち隣り合う薄肉凸条48a,48bの高さが異なっている点である。なお、その他の構成については、上記第1の実施形態と同様である。
【0030】
同図が示すように、薄肉凸条48aのショルダ部(連続部)の高さ寸法h1は、薄肉凸条48bの最大高さ寸法h2よりも小さく設定されている。さらに詳細には、薄肉凸条48aの上面26の頂点の位置は、薄肉凸条48b上面26の頂点の位置よりも高い位置に配置され、且つ薄肉凸条48aのショルダ部の位置が薄肉凸条48bの上面26の頂点の位置よりも低い位置に配置されている。そして、薄肉凸条48aのショルダ部の高さ位置と薄肉凸条48bの頂点の高さ位置とは、寸法sだけ異なっている。この寸法sは、0.1mm〜0.4mmの範囲で適宜設定され得る。
【0031】
本変形例では、連続する薄肉凸条48a,48bの高さを異ならせることにより、隣り合う薄肉凸条48a,48bの上面26の位置にばらつきが生じる。したがって、多数連続する薄肉凸条48の上面26での光の反射の態様が異なり、上記光の濃淡は、さらに明瞭なものとなる。その結果、上記ブランドの視認性が向上すると共に、上記目隠し効果が一層顕著なものとなり、タイヤ10がその径方向から観察された場合であっても、サイドウォール部12に形成される凹凸が目立たなくなる。
【0032】
また、図6は、第1及び第2の実施形態の変形例に係る薄肉凸条58の拡大断面図である。
本変更例の特徴とするところは、各薄肉凸条58の側壁面27が仮想法線Hとなす角度が−θ/2に設定され、側壁面28が仮想法線Hとなす角度がθ/2に設定されている点である。つまり、本変形例では、両側壁面27,28の上端部は、前述の光が入射する入射口を構成するが、両側壁面27,28によってこの入射口が拡げられた状態に形成されている。ただし、この場合、θ/2は、30°以下の範囲で適宜設定され得る。
【0033】
本変形例では、上記側壁面28が側壁面27に対して交差角θ=60°以下の角度で交差するから、薄肉凸条58間の隙間(上記入射口)から入射した光は、当該隙間から出射しにくくなる。したがって、上記光の濃淡は明瞭なものとなる。その結果、上記ブランドの視認性が向上され、且つ上記目隠し効果が奏される。
【0034】
なお、上記各実施形態及び変形例では、薄肉凸条18,38,48,58は、タイヤ10(30)の径方向に沿って延びているが、これに限定されるものではなく、径方向に対して所定の角度で傾斜していてもよい。
また、両側壁面27,28の傾斜角度の大きさがθ/2であるが、両側壁面27,28が左右対称に傾斜されていなくてもよく、両者のなす角度θが一定の範囲内であればよい。
【0035】
【実施例】
次に、実施例によって本発明の効果について説明される。なお、この実施例の記載に基づいて本発明が限定的に解釈されるべきではない。
【0036】
表1は、本発明の実施例に係るタイヤについて、比較例に対する比較試験が行われた結果が示されている。
比較試験は、タイヤのサイドウォール部に形成された薄肉凸条の形状の違いによって、サイドウォール部の装飾効果(バルジ/デントの目隠効果)を評価するものである。この評価は、観察者がサイドウォール部に形成されるバルジ/デントを観察し、9点満点として6点以上が合格(装飾効果が高い)とする。
【0037】
各実施例及び比較例に係るタイヤの薄肉凸条の諸元は、次の通りである。
[比較例1]
薄肉凸条の上面は平坦面である。薄肉凸条の両側壁面がなす角度θは、θ<0に設定されている。6本の薄肉凸条が1組の凸条ユニットを構成し、各薄肉凸条の上面周縁距離が漸次異なっている。
[比較例2]
薄肉凸条の上面は平坦面である。薄肉凸条の両側壁面がなす角度(交差角度)θは、θ>0に設定されている。6本の薄肉凸条が1組の凸条ユニットを構成し、各薄肉凸条の上面周縁距離が漸次異なっている。
【0038】
[実施例1]
薄肉凸条の上面は円弧面である。薄肉凸条の両側壁面がなす角度θは、θ>0に設定されている。6本の薄肉凸条が1組の凸条ユニットを構成し、各薄肉凸条の上面周縁距離が漸次異なっている。
[実施例2]
薄肉凸条の上面は円弧面である。薄肉凸条の両側壁面がなす角度θは、θ>0に設定されている。10本の薄肉凸条が1組の凸条ユニットを構成し、各薄肉凸条の上面周縁距離が漸次異なっている。
[実施例3]
薄肉凸条の上面は円弧面である。薄肉凸条の両側壁面がなす角度θは、θ<0に設定されている。6本の薄肉凸条が1組の凸条ユニットを構成し、各薄肉凸条の上面周縁距離が漸次異なっている。
【0039】
【表1】
【0040】
表1が示すように、各比較例に係るタイヤについても薄肉凸条による装飾効果は奏されている。
実施例1及び3では、薄肉凸条の上面が円弧面にされることによって、上記装飾効果は一層顕著なものとなる。さらに、実施例2では、凸条ユニットを構成する薄肉凸条の本数が増やされることによって、上記装飾効果は一層顕著なものと
【0041】
【発明の効果】
以上のように本発明によれば、セレーションを構成する薄肉凸条の上面が曲面部分を含んでいるから、サイドウォール部に光が照射された場合に所定の領域において光の濃淡が明瞭に現出される。これにより、当該光の濃淡が現出される部位にブランド等を表わす標章を付した場合には、当該ブランドが視覚的に浮彫状態にされ、その視認性が向上する。また、薄肉凸条によって光の濃淡が現出されることから、一定の目隠効果が奏されるので、薄肉凸条がカーカス端部に対応する位置に形成されることによって、サイドウォール部に形成される凹凸が目立たなくされる。その結果、完成度の高いタイヤの外観が形成される。
【図面の簡単な説明】
【図1】図1は、本発明の第1の実施形態に係るタイヤの構造を示す断面斜視図である。
【図2】図2は、本発明の第1の実施形態に係るタイヤの薄肉凸条の斜視図である。
【図3】図3は、本発明の第1の実施形態に係るタイヤの隣り合う薄肉凸条の断面図である。
【図4】図4は、本発明の第2の実施形態に係るタイヤの薄肉凸条の斜視図である。
【図5】図5は、本発明の第1の実施形態の変形例に係るタイヤの要部拡大断面図である。
【図6】図6は、本発明の第1及び第2の実施形態の変形例に係る薄肉凸条の拡大断面図である。
【符号の説明】
10・・・タイヤ
12・・・サイドウォール部
14・・・カーカス部
16・・・外面
17・・・セレーション
18・・・薄肉凸条
23・・・カーカスプライ
24・・・端縁
26・・・上面
27・・・側壁面
28・・・側壁面
29・・・凸条ユニット
30・・・タイヤ
36・・・上面
38・・・薄肉凸条
48・・・薄肉凸条
58・・・薄肉凸条
【発明の属する技術の分野】
この発明は、タイヤに関し、詳細には、タイヤのサイドウォール部に形成されたセレーションの構造に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
一般にタイヤは、ドーナツ状に形成されており、その内部に骨格を形成するカーカスが備えられ、これを補強するブレーカーないしバンド等が設けられている。タイヤは、その内周縁部(リムに係合される部分)に円環状のビードコアを備えており、上記カーカスは、ビードコアの内側(軸方向内側)から当該ビードコアに掛け回され、外側(軸方向外側)へ折り返されている。このため、カーカスの端部は、タイヤのサイドウォール部にまで延設されることになるが、そのために、タイヤのサイドウォール部に、カーカスの端縁の位置を示す凹凸(段部)が形成されてしまう。
一方、タイヤのサイドウォール部には、タイヤサイズやブランドを示す標章が付されるが、この標章は、タイヤ成形時に当該タイヤと共に立体的に形成されるようになっている。
【0003】
従来では、上記凹凸(段部)は、タイヤの外観を損ねてしまうという問題があり、また、上記標章は、可及的明瞭に表示すべきであるとの要請があった。
そのため、従来では、上記標章は、サイドウォール部に形成された上記凹凸を隠すため(目立たなくするため)に、当該凹凸が形成された部分に付されていた(例えば、特許文献1〜3参照)。また、この標章は、一般に複数の凸条からなる薄肉リブ(セレーション)により立体的に構成されていた。これにより、セレーションの凸部に入射した光は効果的に反射され、セレーションの凹部に入射した光は反射されにくくなる。したがって、セレーションが形成された部分には光の濃淡が形成され、その結果、標章の視認性が向上されると共に、上記凹凸を目立たなくする目隠し効果が奏される。
【0004】
【特許文献1】
特開平7−164831号公報
【特許文献2】
特開平9−86106号公報
【特許文献3】
特開2000−280716号公報
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、従来のセレーションでは、上記目隠し効果が十分ではなく、当該効果をさらに向上させたいという要請があった。
そこで、本発明は、サイドウォール部の凹凸形状をより効果的に隠すことができるタイヤを提供することである。
【0006】
【課題を解決するための手段】
(1) 上記目的が達成されるためには、高い目隠し効果が奏されることが必要であるが、そのためには、セレーションの構造を改良し、サイドウォール部に光が照射されたときに顕著な光の濃淡が形成されることが重要である。
そこで、本願に係るタイヤは、サイドウォール部の外面の所定領域に複数の薄肉凸条が並設され、当該薄肉凸条の上面の少なくとも一部は、曲面に形成されていることを特徴とするものである。
【0007】
この構成によれば、複数の薄肉凸条が並設されることによって、サイドウォール部に凸部と凹部とが交互に連続するセレーションが形成される。これにより、サイドウォール部に光が照射されたときに、当該光は各薄肉凸条の上面(セレーションの凸部)で効率よく反射し、各薄肉凸条間に形成される隙間部分(セレーションの凹部)で反射しにくくなる。このため、サイドウォール部の薄肉凸条が設けられた領域に光が照射されると、光の濃淡が現出される。
しかも、薄肉凸条の上面には曲面部分が存在するから、当該曲面部分ではきわめて効率よく光りが反射される。したがって、上記濃淡は、一層明瞭なものとなる。
【0008】
(2) 薄肉凸条の上面は、円弧状の滑らかな凸面に形成されているのが好ましい。
この構成では、上記上面形状を簡単且つ安価に構成することができ、しかも、上面で光りが一層効率よく反射される。したがって、上記濃淡は、なお一層明瞭なものとなる。
【0009】
また、隣り合う薄肉凸条の対向する側壁同士の交差角度θは、θ≦60°(degree)であるのが好ましい。ただし、より好ましくは、−30°≦θ≦0°である。
上記交差角度θがかかる数値に設定されることにより、薄肉凸条間の隙間(上記セレーションの凹部)に入射する光が制限されると共に当該隙間から光が出射しにくくなる。したがって、上記濃淡は、なお一層明瞭なものとなる。
【0010】
(3) さらに、隣り合って連続する少なくとも5本の薄肉凸条が1組の凸条ユニットを構成しており、当該凸条ユニットに属する薄肉凸条の上面周縁距離は、連続的に変化するように構成されていてもよい。
この構成では、各薄肉凸条の上面で反射する光の量が異なるから、当該凸条ユニットについて上記濃淡が明瞭に現出される。また、この凸条ユニットが上記サイドウォール部に並設されることになるから、サイドウォール部全体として、上記濃淡は、さらに明瞭なものとなる。
【0011】
(4) また、薄肉凸条の側壁と上面とが連続する連続部の高さh1は、当該薄肉凸条と隣り合う薄肉凸条の上面の最大高さh2よりも低く設定されていてもよい。
この構成では、薄肉凸条の上面位置にばらつきが生じるから、各薄肉凸条の上面での光の反射の態様が異なって観測される。したがって、サイドウォール部全体として、上記濃淡は、さらに明瞭なものとなる。
【0012】
【発明の実施の形態】
以下、適宜図面が参照されつつ、好ましい実施形態に基づいて本発明が詳細に説明される。
【0013】
<第1の実施形態>
図1は、本発明の第1の実施形態に係るタイヤ10の構造を示す断面斜視図である。同図において断面Aは、タイヤ10の中心を通過し且つタイヤ10の赤道面Eと直交する平面である。また、同図において上下方向がタイヤ10の径方向であり、左右方向がタイヤ10の軸方向である。特に右方向は、軸方向外方を示している。
【0014】
タイヤ10は、赤道面Eを中心としたほぼ左右対称の形状を呈する。タイヤ10は、トレッド部11、サイドウォール部12、ビード部13、カーカス部14及びベルト部15を備えている。
本実施形態の特徴とするところは、サイドウォール部12の外面16に複数の薄肉凸条18から構成されるセレーション17が形成されており、各薄肉凸条18は、径方向に沿って延び且つ後述する外形形状に形成されている点である。後に詳述されるが、この薄肉凸条18が設けられることにより、セレーション17は、タイヤ10にとって優れた装飾効果を奏する。
【0015】
トレッド部11は架橋ゴムからなり、径方向外向きに凸となるような略円弧状に形成されている。トレッド部11の外面は、路面と接地するトレッド面19を構成する。トレッド面19には、溝部20とランド部21とからなるトレッドパターンが形成されている。
【0016】
サイドウォール部12は、トレッド部11の両端から径方向内向きに延びている。このサイドウォール部12も、架橋ゴムからなる。サイドウォール部12は、撓みによって路面からの衝撃を吸収する。また、サイドウォール部12は、カーカス部14の外傷を防止する。
ビード部13は、ビードコア22を備えている。ビードコア22は円環状に形成されており、複数本の非伸縮性ワイヤー(典型的にはスチール製ワイヤー)からなる。
【0017】
カーカス部14は、カーカスプライ23を備えている。カーカスプライ23は、単一のものに限定されるものではなく、複数重ねられていてもよい。カーカスプライ23は、トレッド部11、サイドウォール部12及びビード部13の内周面に沿うように配置されており、その両端部はビードコア22の軸方向内側から外側に向かって巻き上げられている。したがって、カーカスプライ23の端縁24は、サイドウォール部12の所定の位置において周方向に環状に配置されることになる。
カーカスプライ23は、カーカスコードと、このカーカスコードを被覆するトッピングゴムとからなる。例えば、タイヤ10がラジアルタイヤとして構成される場合は、カーカスコードの方向がタイヤ10の周方向となす角度は、80°以上90°以下に設定され得る。
【0018】
ベルト部15は、一般に複数枚のベルトプライ25からなる。本実施形態では、ベルト部15は、2枚のベルトプライ25を備えている。
ベルトプライ25は、公知の要領で形成されるが、例えば、ベルトコードがトッピングゴムで被覆されることにより形成される。ベルトコードは、各ベルトプライ25の長手方向に対して、例えば15°〜30°の角度で交差するように配置され得る。そして、各ベルトプライ25は、その長手方向がタイヤ10の周方向に沿うようにカーカス部14の外側に巻き付けられている。
【0019】
図2は、薄肉凸条18の斜視図である。同図において、薄肉凸条18が延びる方向Rが、タイヤ10の径方向である。同図では、5本の薄肉凸条18のみ図示されているが、実際には、タイヤ10の周方向に沿って多数の薄肉凸条18が並設されている。
また、図3は、隣り合う薄肉凸条18の断面図である。
【0020】
これら薄肉凸条18は、タイヤ10の成形加硫時にサイドウォール部12と共に形成される。薄肉凸条18は、断面形状が略扇形に形成されており、所定のピッチpで周方向に沿って配設されている。薄肉凸条18は、上面26と、上面の両側に連続する側壁面27,28とを有する。
薄肉凸条18の上面26(凸面)は、円弧状に形成されている。この上面26の曲率半径は、0.05mm〜0.4mmの範囲で適宜設定される。
【0021】
また、薄肉凸条18の側壁面27は、所定の角度θ/2で傾斜している。この角度θ/2は、側壁面27の方向が、サイドウォール部12の外面16に直交する仮想法線Hとなす角度である。本実施形態では、θ/2=15°(degree)に設定されている。ただし、この角度θ/2は、−30°≦θ/2≦30°の範囲で適宜設定され得る。
さらに、薄肉凸条18の側壁面28も所定の角度で傾斜している。側壁面28は、側壁面27と上記仮想法線Hに対して左右対称に傾斜しており、その傾斜角度は、−θ/2である。
【0022】
本実施形態に係るタイヤ10では、前述の薄肉凸条18が多数並設されることによって、サイドウォール部12に凸部と凹部とが交互に連続するセレーションが形成される。これにより、サイドウォール部12に外部から光が照射されたときに、当該光のうち各薄肉凸条18の上面26に入射した光は効率よく外部へ反射し、各薄肉凸条18間の隙間に入射した光は外部へ反射しにくくなる。このため、サイドウォール部12の薄肉凸条18が設けられた領域に光が照射されると、光の濃淡が現出する。
特に、上記上面26は、円弧状に形成されているから、上記光は、上面26できわめて効率よく反射され、上記濃淡は、一層明瞭なものとなる。しかも、光を効率よく反射させるための上面26が簡単且つ安価に構成される。
なお、上記上面26は円弧状に形成されているが、これに限定されるものではなく、その一部が曲面に形成されていればよい。
【0023】
その結果、光の濃淡が現出する部位にブランド等を表わす標章が付された場合に、当該ブランドが視覚的に浮彫状態にされ、その視認性が向上する。
また、薄肉凸条18によって光の濃淡が現出されることから、一定の目隠効果が奏される。したがって、薄肉凸条18が、カーカスプライ23の端縁24が配置される部位に沿って設けられることにより、サイドウォール部12に形成される凹凸が目立たなくなり、完成度の高いタイヤの外観が形成される。
【0024】
また、隣り合う薄肉凸条18の対向する側壁面27,28は、前述のように傾斜しており、側壁面28に対して側壁面27が交差角度θ=−30°で傾斜している。したがって、両側壁面27,28の上端部は、上記光が入射する入射口を構成するが、両側壁面27,28によってこの入射口が狭められた状態に形成されている。これにより、薄肉凸条18間の隙間(上記入射口)から入射する光が制限されると共に当該隙間から光が出射しにくくなる。したがって、上記光の濃淡は、一層明瞭なものとなり、その結果、上記ブランドの視認性が向上すると共に、上記目隠し効果が顕著なものとなる。
【0025】
<第2の実施形態>
次に、本発明の第2の実施形態について説明される。
図4は、本発明の第2の実施形態に係るタイヤ30の薄肉凸条38の斜視図である。同図において、薄肉凸条38が延びる方向Rが、タイヤ30の径方向である。同図では、6本の薄肉凸条38(38a〜38e)のみ図示されているが、実際には、タイヤ30の周方向に沿って多数の薄肉凸条38が並設されている。
【0026】
本実施形態に係るタイヤ30が上記第1の実施形態に係るタイヤ10と異なるところは、5本の薄肉凸条38a〜38eが一組となって凸条ユニット29を構成しており、この凸条ユニット29がタイヤ30の周方向に沿って連続している点、及び薄肉凸条38a〜38eは、その上面36a〜36eの周縁距離(上面36a〜36eの円弧に沿った長さ)が漸次連続的に変化している点である。なお、その他の構成については、上記第1の実施形態に係るタイヤ10と同様である。
【0027】
本実施形態では、薄肉凸条38aの上面36aの周縁距離が最も長く、薄肉凸条38eの上面36eの周縁距離が最も短い。そして、各薄肉凸条36a〜36eの順に漸次周縁距離が短くなっている。
各上面36a〜36eは、上記第1の実施形態に係るタイヤ10と同様に円弧状に形成されている。したがって、各薄肉凸条36a〜36eは、その高さ寸法が順に漸次小さくなっている。
なお、本実施形態では、5本の薄肉凸条38a〜38eが一組の凸条ユニット29を構成しているが、これに限定されるものではなく、5本以上であればさらに多数の薄肉凸条が一組の凸条ユニットを構成するものでもよい。
また、上記上面36a〜36eは円弧状に形成されているが、これに限定されるものではなく、上記第1の実施形態と同様に、その一部が曲面に形成されていればよい。
【0028】
本実施形態に係るタイヤ30では、隣り合って連続する5本の薄肉凸条38a〜38eが凸条ユニット29を構成し、この凸条ユニット29に属する薄肉凸条38a〜38eの上面36a〜36eの周縁距離は、連続的に変化しているから、各上面36a〜36eで反射する光の量がそれぞれ異なる。これにより、単一の凸条ユニット29について、光が入射した場合に光の濃淡がより明瞭に現出する。そして、この凸条ユニット29がサイドウォール部12に並設されるから、サイドウォール部12全体として、光の濃淡は、さらに明瞭なものとなる。
したがって、光の濃淡が現出する部位にブランド等を表わす標章が付された場合に、当該ブランドが視覚的に浮彫状態にされ、その視認性がさらに向上する。
また、光の濃淡が一層明瞭に現出されることから、目隠効果がさらに向上し、サイドウォール部12に形成される凹凸が目立たなくなる。
【0029】
次に、上記各実施形態に関する設計変更例について説明される。
図5は、第1の実施形態の変形例に係るタイヤ10の要部拡大断面図であり、薄肉凸条48の断面形状を詳細に図示している。
本変形例に係る薄肉凸条48が上記第1の実施形態に係る薄肉凸条18と異なるところは、連続する薄肉凸条48のうち隣り合う薄肉凸条48a,48bの高さが異なっている点である。なお、その他の構成については、上記第1の実施形態と同様である。
【0030】
同図が示すように、薄肉凸条48aのショルダ部(連続部)の高さ寸法h1は、薄肉凸条48bの最大高さ寸法h2よりも小さく設定されている。さらに詳細には、薄肉凸条48aの上面26の頂点の位置は、薄肉凸条48b上面26の頂点の位置よりも高い位置に配置され、且つ薄肉凸条48aのショルダ部の位置が薄肉凸条48bの上面26の頂点の位置よりも低い位置に配置されている。そして、薄肉凸条48aのショルダ部の高さ位置と薄肉凸条48bの頂点の高さ位置とは、寸法sだけ異なっている。この寸法sは、0.1mm〜0.4mmの範囲で適宜設定され得る。
【0031】
本変形例では、連続する薄肉凸条48a,48bの高さを異ならせることにより、隣り合う薄肉凸条48a,48bの上面26の位置にばらつきが生じる。したがって、多数連続する薄肉凸条48の上面26での光の反射の態様が異なり、上記光の濃淡は、さらに明瞭なものとなる。その結果、上記ブランドの視認性が向上すると共に、上記目隠し効果が一層顕著なものとなり、タイヤ10がその径方向から観察された場合であっても、サイドウォール部12に形成される凹凸が目立たなくなる。
【0032】
また、図6は、第1及び第2の実施形態の変形例に係る薄肉凸条58の拡大断面図である。
本変更例の特徴とするところは、各薄肉凸条58の側壁面27が仮想法線Hとなす角度が−θ/2に設定され、側壁面28が仮想法線Hとなす角度がθ/2に設定されている点である。つまり、本変形例では、両側壁面27,28の上端部は、前述の光が入射する入射口を構成するが、両側壁面27,28によってこの入射口が拡げられた状態に形成されている。ただし、この場合、θ/2は、30°以下の範囲で適宜設定され得る。
【0033】
本変形例では、上記側壁面28が側壁面27に対して交差角θ=60°以下の角度で交差するから、薄肉凸条58間の隙間(上記入射口)から入射した光は、当該隙間から出射しにくくなる。したがって、上記光の濃淡は明瞭なものとなる。その結果、上記ブランドの視認性が向上され、且つ上記目隠し効果が奏される。
【0034】
なお、上記各実施形態及び変形例では、薄肉凸条18,38,48,58は、タイヤ10(30)の径方向に沿って延びているが、これに限定されるものではなく、径方向に対して所定の角度で傾斜していてもよい。
また、両側壁面27,28の傾斜角度の大きさがθ/2であるが、両側壁面27,28が左右対称に傾斜されていなくてもよく、両者のなす角度θが一定の範囲内であればよい。
【0035】
【実施例】
次に、実施例によって本発明の効果について説明される。なお、この実施例の記載に基づいて本発明が限定的に解釈されるべきではない。
【0036】
表1は、本発明の実施例に係るタイヤについて、比較例に対する比較試験が行われた結果が示されている。
比較試験は、タイヤのサイドウォール部に形成された薄肉凸条の形状の違いによって、サイドウォール部の装飾効果(バルジ/デントの目隠効果)を評価するものである。この評価は、観察者がサイドウォール部に形成されるバルジ/デントを観察し、9点満点として6点以上が合格(装飾効果が高い)とする。
【0037】
各実施例及び比較例に係るタイヤの薄肉凸条の諸元は、次の通りである。
[比較例1]
薄肉凸条の上面は平坦面である。薄肉凸条の両側壁面がなす角度θは、θ<0に設定されている。6本の薄肉凸条が1組の凸条ユニットを構成し、各薄肉凸条の上面周縁距離が漸次異なっている。
[比較例2]
薄肉凸条の上面は平坦面である。薄肉凸条の両側壁面がなす角度(交差角度)θは、θ>0に設定されている。6本の薄肉凸条が1組の凸条ユニットを構成し、各薄肉凸条の上面周縁距離が漸次異なっている。
【0038】
[実施例1]
薄肉凸条の上面は円弧面である。薄肉凸条の両側壁面がなす角度θは、θ>0に設定されている。6本の薄肉凸条が1組の凸条ユニットを構成し、各薄肉凸条の上面周縁距離が漸次異なっている。
[実施例2]
薄肉凸条の上面は円弧面である。薄肉凸条の両側壁面がなす角度θは、θ>0に設定されている。10本の薄肉凸条が1組の凸条ユニットを構成し、各薄肉凸条の上面周縁距離が漸次異なっている。
[実施例3]
薄肉凸条の上面は円弧面である。薄肉凸条の両側壁面がなす角度θは、θ<0に設定されている。6本の薄肉凸条が1組の凸条ユニットを構成し、各薄肉凸条の上面周縁距離が漸次異なっている。
【0039】
【表1】
【0040】
表1が示すように、各比較例に係るタイヤについても薄肉凸条による装飾効果は奏されている。
実施例1及び3では、薄肉凸条の上面が円弧面にされることによって、上記装飾効果は一層顕著なものとなる。さらに、実施例2では、凸条ユニットを構成する薄肉凸条の本数が増やされることによって、上記装飾効果は一層顕著なものと
【0041】
【発明の効果】
以上のように本発明によれば、セレーションを構成する薄肉凸条の上面が曲面部分を含んでいるから、サイドウォール部に光が照射された場合に所定の領域において光の濃淡が明瞭に現出される。これにより、当該光の濃淡が現出される部位にブランド等を表わす標章を付した場合には、当該ブランドが視覚的に浮彫状態にされ、その視認性が向上する。また、薄肉凸条によって光の濃淡が現出されることから、一定の目隠効果が奏されるので、薄肉凸条がカーカス端部に対応する位置に形成されることによって、サイドウォール部に形成される凹凸が目立たなくされる。その結果、完成度の高いタイヤの外観が形成される。
【図面の簡単な説明】
【図1】図1は、本発明の第1の実施形態に係るタイヤの構造を示す断面斜視図である。
【図2】図2は、本発明の第1の実施形態に係るタイヤの薄肉凸条の斜視図である。
【図3】図3は、本発明の第1の実施形態に係るタイヤの隣り合う薄肉凸条の断面図である。
【図4】図4は、本発明の第2の実施形態に係るタイヤの薄肉凸条の斜視図である。
【図5】図5は、本発明の第1の実施形態の変形例に係るタイヤの要部拡大断面図である。
【図6】図6は、本発明の第1及び第2の実施形態の変形例に係る薄肉凸条の拡大断面図である。
【符号の説明】
10・・・タイヤ
12・・・サイドウォール部
14・・・カーカス部
16・・・外面
17・・・セレーション
18・・・薄肉凸条
23・・・カーカスプライ
24・・・端縁
26・・・上面
27・・・側壁面
28・・・側壁面
29・・・凸条ユニット
30・・・タイヤ
36・・・上面
38・・・薄肉凸条
48・・・薄肉凸条
58・・・薄肉凸条
Claims (5)
- サイドウォール部の外面の所定領域に複数の薄肉凸条が並設され、
当該薄肉凸条の上面の少なくとも一部は、曲面に形成されているタイヤ。 - 薄肉凸条の上面は、円弧状の滑らかな凸面に形成されている請求項1記載のタイヤ。
- 隣り合う薄肉凸条の対向する側壁同士の交差角度θは、θ≦60°である請求項1又は2記載のタイヤ。
- 隣り合って連続する少なくとも5本の薄肉凸条が1組の凸条ユニットを構成しており、
当該凸条ユニットに属する薄肉凸条の上面周縁距離は、連続的に変化している請求項1乃至3のいずれかに記載のタイヤ。 - 薄肉凸条の側壁と上面とが連続する連続部の高さh1は、当該薄肉凸条と隣り合う薄肉凸条の上面の最大高さh2よりも低く設定されている請求項1乃至3のいずれかに記載のタイヤ。
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