JP2005026343A - 電気化学素子電極用活性炭、それを用いた電気化学素子電極、及び、電気化学素子 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】電気化学素子電極に構成材料として含まれる活性炭であって、繊維状で且つアスペクト比が8以下であることを特徴とする電気化学素子電極用活性炭100。
【選択図】 図1
Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、電気化学素子電極用活性炭、それを用いた電気化学素子電極、及び、電気化学素子に関する。
【0002】
【従来の技術】
電気化学キャパシタ、非水二次電池をはじめとする電気化学素子は、小型化、軽量化が容易に可能であるため、例えば、携帯機器(小型電子機器)等の電源のバックアップ用電源、電気自動車やハイブリッド車向けの補助電源等として期待されており、その性能向上のための様々な検討がなされている。
【0003】
例えば、電気化学素子電極の内部抵抗の低減、及び、電極の単位質量当たりの静電容量や単位体積当たりの静電容量等の電極特性の向上が検討されている。このような電極の内部抵抗(インピーダンス)の低減、及び電極特性向上のために、略球状の活性炭を電極の構成材料として用いることが提案されている(例えば、特許文献1及び2参照)。また、電極の構成材料としては微紛炭素繊維を用いることも提案されている(例えば、特許文献3参照)。
【0004】
【特許文献1】
特開2001−180923号公報
【特許文献2】
特開2002−231589号公報
【特許文献3】
特開平11−322314号公報
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記特許文献1及び2に記載の略球状の活性炭を構成材料として含有する電極を用いた電気二重層キャパシタでは、内部抵抗を十分に低減できておらず、未だ十分な充放電特性を得ることができていなかった。また、上記特許文献3に記載の微紛炭素繊維を構成材料として含有する電極を用いた従来のリチウムイオン二次電池でも、賦活処理をしていなく活性炭ではない微紛炭素繊維と記載されているものの実態は略球状であり、さらに活性炭のように十分な比表面積を有していないため、内部抵抗を十分に低減できておらず、未だ十分な充放電特性を得ることができていなかった。
【0006】
本発明は、上記従来技術の有する課題に鑑みてなされたものであり、内部抵抗が十分に低減されており、優れた電極特性を有する電気化学素子電極の作製に有用な、電気化学素子電極用活性炭、それを用いた電気化学素子電極、及び、その電極を備える電気化学素子並びに電気化学キャパシタを提供することを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、上記目的を達成するべく鋭意研究を重ねた結果、電気化学素子電極の構成材料として特定の形状の活性炭を用いることにより、上記目的が達成されることを見出し、本発明に到達した。
【0008】
すなわち、本発明は、電気化学素子電極に構成材料として含まれる活性炭であって、繊維状で且つアスペクト比が8以下であることを特徴とする電気化学素子電極用活性炭を提供する。ここで、「アスペクト比」とは、繊維状の活性炭の長径(長さ)bをその短径(直径)aで除した値(b/a)を示す。
【0009】
本発明の電気化学素子電極用活性炭を構成材料として含有する電気化学素子電極は、内部抵抗が十分に低減されており、優れた電極特性を有し、更に、この電気化学素子電極を備える電気化学素子は、内部抵抗が十分に低減されており、優れた充放電特性を得ることができる。
【0010】
本発明の電気化学素子電極用活性炭を用いることで、上記効果が得られる理由は定かではないが、本発明者らは以下のように推察する。すなわち、従来の略球状の活性炭を用いた電極では、電極中の活性炭同士の接触が点接触であり、接触面積が小さいために活性炭間で伝わる電気量が少なく、このため電極における内部抵抗が大きいと考えられる。また、充放電の際の電解質イオンの脱吸着による活性炭の膨張収縮が起こり、活性炭同士の接触が失われやすく、これも内部抵抗が大きい原因の1つであると考えられる。
【0011】
これに対して、本発明の電気化学素子電極用活性炭は繊維状であることから、電極中の活性炭同士の接触が線接触となることが多く、接触面積が略球状の活性炭と比較して大きいことから活性炭間で伝わる電気量が増大し、内部抵抗が実用的に十分に低減されると考えられる。さらに、本発明の電気化学素子電極用活性炭は、充放電の際の電解質イオンの脱吸着による活性炭全体の膨張収縮が起こりにくく、活性炭同士の接触が失われにくい。従って、電極の内部抵抗を十分に低減することが可能となり、長時間に渡り使用した場合であっても活性炭同士の接触面積が一定であることから、優れた電極特性が得られると考えられる。
【0012】
また、本発明の活性炭は、(1)アスペクト比が1.5以上であること、(2)活性炭の短径が15μm以下であること、(3)活性炭の密度が1.2g/cm3以下であること、のうちの少なくとも1つの条件を満たすことが好ましい。上記(1)の条件を満たすことで、活性炭の線接触の面積が大きくなり、電極の内部抵抗をより低減させることが可能となる。また、上記(2)の条件を満たすことで、電極の薄膜化をより容易に達成することが可能となる。また、上記(3)の条件を満たすことで、活性炭における比表面積を十分に確保しやすくなるので、電極特性を更に向上させることが可能となる。
【0013】
また、本発明は、電子伝導性を有する集電体と、該集電体上に形成された電子伝導性を有する多孔体層と、を有しており、多孔体層が上記本発明の電気化学素子電極用活性炭を含有することを特徴とする電気化学素子電極を提供する。本発明の電極は、上記本発明の電気化学素子電極用活性炭を含有していることから、内部抵抗が十分に低減されており、優れた電極特性を有する。
【0014】
また、本発明の電極は、板状の形状を呈しており、多孔体層の厚さが200μm以下(より好ましくは100μm以下)であることが好ましい。このような電極は、電気化学素子の小型化及び軽量化に有用である。
【0015】
さらに、本発明の電極は、多孔体層が、上記電気化学素子電極用活性炭を少なくとも含有する多孔体層形成用塗布液を調製し、多孔体層形成用塗布液を集電体上に塗布する工程により形成されていることが好ましい。アスペクト比が8以下の繊維状の活性炭を用い、上記塗布する工程により形成されることで、前述のように内部抵抗を低減しつつ凝集の無い薄い電極を形成することが可能である。
【0016】
また、本発明は、互いに対向する第1の電極及び第2の電極と、第1の電極と第2の電極との間に配置されるセパレータと、電解質溶液と、第1の電極、第2の電極、セパレータ及び電解質溶液を密閉した状態で収容するケースと、を有しており、
第1の電極及び第2の電極のうちの少なくとも一方が、上記本発明の電気化学素子電極であることを特徴とする電気化学素子を提供する。本発明の電気化学素子は、上記本発明の電気化学素子電極を有していることから、内部抵抗が十分に低減されており、優れた充放電特性を示す。
【0017】
本発明の電気化学素子においては、第1の電極及び第2の電極の両方が上記本発明の電気化学素子電極であることを特徴としてもよい。この場合、この電気化学素子は、電気化学キャパシタとして機能する。
【0018】
ここで、本発明において、「電気化学素子」とは、互いに対向する第1の電極及び第2の電極と、第1の電極と第2の電極との間に配置されるセパレータと、電解質溶液と、を少なくとも備えている素子を示す。更に、本発明において、電気化学素子は、複数の単位セルを1つのケース内に直列または並列に配置させたモジュールの構成を有していてもよい。
【0019】
より具体的には、「電気化学素子」とは、好ましくは二次電池又は電気化学キャパシタを示す。二次電池として好ましくは、リチウムイオン二次電池等の非水電解質を使用する非水電解質二次電池、電解質水溶液を使用する二次電池等が挙げられる。電気化学キャパシタとしては、電気二重層キャパシタ、擬似容量キャパシタ、レドックスキャパシタ等が挙げられる。
【0020】
【発明の実施の形態】
以下、図面を参照しながら本発明の電気化学素子電極用活性炭、それを用いた電気化学素子電極、及び、電気化学素子の好適な実施形態について説明する。なお、以下の説明では、同一又は相当部分には同一符号を付し、重複する記載は省略する。
【0021】
(電気化学素子電極用活性炭)
図1は、本発明の電気化学素子電極用活性炭の模式図である。図1に示すように、本発明の電気化学素子電極用活性炭100は繊維状である。また、この活性炭100はアスペクト比(b/a)が8以下(好ましくは1.5〜8、より好ましくは2〜6、更に好ましくは2〜4)である。
【0022】
アスペクト比が8を超えると、電極を作製する際の電極形成用塗布液において凝集隗が発生しやすくなり、電極の作製(特に薄膜化)が困難となる。他方、1.5未満であると、活性炭同士の接触が点接触に近くなり、電極の内部抵抗の低減が不十分となる傾向がある。
【0023】
また、本発明の活性炭100の短径aは、15μm以下であることが好ましく、0.1〜12μmであることがより好ましく、1〜10μmであることがさらに好ましい。このような短径aが15μmを超えると、電極の薄膜化が困難となる傾向にあり、他方、0.1μm未満であると、活性炭の作製が困難となる傾向にある。
【0024】
また、活性炭100の密度は、1.2g/cm3以下であることが好ましく、0.1〜1.0g/cm3であることがより好ましく、0.5〜0.8g/cm3であることがより好ましい。このような密度が1.2g/cm3を超えると、電極特性が不十分となる傾向にあり、他方、0.1g/cm3未満であると、活性炭の作製が困難となる傾向にある。
【0025】
また、活性炭100は、比表面積が1000〜3000m2・g−1であることが好ましく、1000〜2000m2・g−1であることが好ましく、1000〜1200m2・g−1であることが好ましい。比表面積が1000m2・g−1未満であると、電極特性が不十分となる傾向があり、他方、比表面積が3000m2・g−1を超えると、電解質溶液が不安定になる傾向がある。
【0026】
活性炭の材料としては、原料炭{例えば、石油系重質油の流動接触分解装置のボトム油や減圧蒸留装置の残さ油を原料油とするディレードコーカーより製造された石油コークス又は樹脂を炭化したもの(フェノール樹脂など)や天然材料を炭化したもの(例えばヤシ殻炭)等}を賦活処理することにより得られるものを主成分としているものが好ましい。
【0027】
本発明の活性炭100は、先ず、上記材料のうち繊維状で短径aが所定範囲のものを所定長さに切断し、賦活処理を行う。なお、切断及び賦活処理は、公知の方法で行うことができる。次に、賦活処理後の材料を所定の回転数のローターを用いて更に粉砕することで、本発明の活性炭100が得られる。
【0028】
(電気化学素子電極)
図2は、本発明の電気化学素子電極の模式断面図である。図2に示すように、本発明の電気化学素子電極10は、電子伝導性を有する集電体16と、該集電体上に形成された電子伝導性を有する多孔体層18とからなる。この多孔体層18は、電子伝導性を有する本発明の活性炭100を構成材料として含んでいる。これにより、この多孔体層18を有する電極10を備える電気化学素子は、内部抵抗が十分に低減され、優れた充放電特性を有するものとなる。
【0029】
集電体16は、多孔体層18への電荷の移動を十分に行うことができる良導体であれば特に制限されず、公知の電気化学素子電極に用いられる集電体を使用することができる。例えば、集電体16としては、アルミニウム等の金属箔等が挙げられ、金属箔としては、エッチング加工されたものや圧延加工されたもの等が特に制限なく使用可能である。
【0030】
この集電体16の厚さは、電極10の小型化及び軽量化を図る観点から、20〜50μmであることが好ましく、20〜30μmであることがより好ましい。
【0031】
多孔体層18は、その構成材料に本発明の活性炭100を含んで構成されていれば、その他の構成条件は特に限定されないが、本発明の効果をより確実に得る観点から、多孔体層18中の本発明の活性炭100の含有量は、多孔体層18の総質量を基準として、70〜90質量%であることが好ましい。
【0032】
また、多孔体層18は、板状の形状を呈しており、その厚さが200μm以下であることが好ましく、100μm以下であることがより好ましく、20〜100μmであることがより好ましい。多孔体層18の厚さが、200μmを超えると、電極の小型化が困難となり、また、電極作製の際に筋などが生じ、電極作製が困難となる傾向がある。他方、20μm未満であると、電極作製の際にスジ等の表面の凸凹を生じ、電極作製が困難となる傾向にある。
【0033】
また、多孔体層18には、本発明の活性炭100以外の炭素材料が含まれていてもよく、バインダー等の炭素材料以外の構成材料が含まれていてもよい。その種類とその含有量は特に限定されるものではないが、例えば、炭素粉末に導電性を付与するための導電性補助剤(カーボンブラック等)と、例えばバインダー(ポリテトラフルオロエチレン,以下、PTFEという)とが添加されていてもよい。
【0034】
多孔体層18は、集電体16(アンダーコート層がある場合は、アンダーコート層)上に形成される。そして、多孔体層18は、例えば、以下のようにして形成される。すなわち、先ず、本発明の活性炭100、バインダー及びバインダーを溶解可能な液体を少なくとも含む多孔体層形成用塗布液を調製し、次いで、これを集電体16上に塗布し、その後、液体を除去することで形成される。なお、多孔体層18は、より優れた電子伝導性を得るために導電助剤を更に含有していることが好ましい。
【0035】
また、本発明の電極10にはアンダーコート層(図示せず)が設けられていてもよい。アンダーコート層は、集電体16と多孔多層18との間に配置される層であって、電極10における各層(集電体16及び多孔体層18)の物理的及び電気的な密着性を付与する層であり、その構成材料として導電性粒子と該導電性粒子に結着可能なバインダーとを少なくとも含有している。なお、アンダーコート層は、以下のようにして形成される。すなわち、先ず、導電性粒子、バインダー及び該バインダーを溶解可能な液体を含むアンダーコート層形成用塗布液を調製し、次いで、これを集電体16の面上に塗布し、その後、液体を除去することで形成される。
【0036】
(電気化学素子)
図3は本発明の電気化学素子の好適な一実施形態(電気化学キャパシタ)を示す正面図である。また、図4は図3に示す電気化学キャパシタの内部をアノード10の表面の法線方向からみた場合の展開図である。更に、図5は図3に示す電気化学キャパシタを図3のX1−X1線に沿って切断した場合の模式断面図である。また、図6は図3に示す電気化学キャパシタを図3のX2−X2線に沿って切断した場合の要部を示す模式断面図である。
【0037】
図3〜図7に示すように、電気化学キャパシタ1は、主として、互いに対向する板状のアノード10及び板状のカソード20と、アノード10とカソード20との間に隣接して配置される板状のセパレータ40と、電解質溶液30と、これらを密閉した状態で収容するケース50と、アノード10に一方の端部が電気的に接続されると共に他方の端部がケース50の外部に突出されるアノード用リード12と、カソード20に一方の端部が電気的に接続されると共に他方の端部がケース50の外部に突出されるカソード用リード22とから構成されている。ここで、「アノード」10及び「カソード」20は、電気化学キャパシタ1の放電時の極性を基準に決定したものである。なお、アノード10及びカソード20には、図2で示した本発明の電気化学素子電極10を適用する。
【0038】
そして、電気化学キャパシタ1は、先に述べた本発明の目的を達成するために、以下に説明する構成を有している。
【0039】
以下に図3〜図9に基づいて本実施形態の各構成要素の詳細を説明する。
【0040】
ケース50は、互いに対向する第1のフィルム51及び第2のフィルム52とを有している。ここで、図4に示すように、本実施形態における第1のフィルム51及び第2のフィルム52は連結されている。すなわち、本実施形態におけるケース50は、一枚の複合包装フィルムからなる矩形状のフィルム53を、図4に示す折り曲げ線X3−X3において折り曲げ、矩形状のフィルムの対向する1組の縁部同士(図中の第1のフィルム51の縁部51B及び第2のフィルムの縁部52B)を重ね合せて接着剤を用いるか又はヒートシールを行うことにより形成されている。
【0041】
そして、第1のフィルム51及び第2のフィルム52は、1枚の矩形状のフィルムを上述のように折り曲げた際にできる互いに対向する面(F51及びF52)を有する該フィルムの部分をそれぞれ示す。ここで、本明細書において、接合された後の第1のフィルム51及び第2のフィルム52のそれぞれの縁部を「シール部」という。
【0042】
これにより、折り曲げ線X3−X3の部分に第1のフィルム51と第2のフィルム52とを接合させるためのシール部を設ける必要がなくなるため、ケース50におけるシール部をより低減することができる。その結果、後述する電気化学キャパシタ1の設置されるべき設置空間の単位体積当たりのエネルギー密度(以下、「設置されるべき空間の体積を基準とする体積エネルギー密度」という)を向上させることができる。
【0043】
また、本実施形態の場合、図3及び図4に示すように、アノード10に接続されたアノード用リード12及びカソード用リード22のそれぞれの一端が上述の第1のフィルム51の縁部51B及び第2のフィルムの縁部52Bシール部とを接合したシール部から外部に突出するように配置されている。
【0044】
更に、第1のフィルム51及び第2のフィルム52を構成するフィルムは可とう性を有するフィルムである。このように軽量であり薄膜化が容易な可とう性を有するフィルムを用いて形成されたケース50を備え、更に、アノード10、カソード20及びセパレータ40のそれぞれの形状を板状とすることにより、電気化学キャパシタ1自体の形状を薄膜状とすることができる。フィルムは軽量であり薄膜化が容易なため、電気化学キャパシタ自体の形状を薄膜状とすることができる。そのため、本来の体積エネルギー密度を容易に向上させることができるとともに、電気化学キャパシタの設置されるべき空間の体積を基準とする体積エネルギー密度も容易に向上させることができる。
【0045】
ここで、電気化学キャパシタの「体積エネルギー密度」とは、本来、電気化学キャパシタの容器を含む全体積に対する全出力エネルギーの割合で定義されるものである。これに対して、「設置されるべき空間の体積を基準とする体積エネルギー密度」とは、電気化学キャパシタの最大縦、最大横、最大厚さに基づいて求められる見かけ上の体積に対する電気化学キャパシタの全出力エネルギーの割合を意味する。実際に、電気化学キャパシタを小型電子機器に搭載する場合、上述した本来の体積エネルギー密度の向上とともに、設置されるべき空間の体積を基準とする体積エネルギー密度を向上させることが、小型電子機器内の限られたスペースをデッドスペースを充分に低減した状態で有効利用する観点から重要となる。
【0046】
このフィルムは可とう性を有するフィルムであれば特に限定されないが、ケースの十分な機械的強度と軽量性を確保しつつ、ケース外部からケース内部への水分や空気の侵入及びケース内部からケース外部への電解質成分の逸散を効果的に防止する観点から、電解質溶液に接触する合成樹脂製の最内部の層と、最内部の層の上方に配置される金属層とを少なくとも有する「複合包装フィルム」であることが好ましい。
【0047】
第1のフィルム51及び第2のフィルム52として使用可能な複合包装フィルムとしては、例えば、図8及び図9に示す構成の複合包装フィルムが挙げられる。図8に示す複合包装フィルム53は、その内面F50aにおいて電解質溶液に接触する合成樹脂製の最内部の層50aと、最内部の層50aのもう一方の面(外側の面)上に配置される金属層50cと有する。また、図9に示す複合包装フィルム54は、図8に示す複合包装フィルム53の金属層50cの外側の面に更に合成樹脂製の最外部の層50bが配置された構成を有する。
【0048】
第1のフィルム51及び第2のフィルム52として使用可能な複合包装フィルムは、上述の最内部の層をはじめとする1以上の合成樹脂の層、金属箔などの金属層を備えた2以上の層を有する複合包装材であれば特に限定されないが、上記と同様の効果をより確実に得る観点から、図9に示した複合包装フィルム54のように、最内部の層50aと、最内部の層から最も遠いケース50の外表面の側に配置される合成樹脂製の最外部の層50bと、最内部の層と最外部の層との間に配置される少なくとも1つの金属層50cとを有する3層以上の層から構成されていることがより好ましい。
【0049】
最内部の層は可とう性を有する層であり、その構成材料は上記の可とう性を発現させることが可能であり、かつ、使用される電解質溶液に対する化学的安定性(化学反応、溶解、膨潤が起こらない特性)、並びに、酸素及び水(空気中の水分)に対する化学的安定性を有している合成樹脂であれば特に限定されないが、更に酸素、水(空気中の水分)及び電解質溶液の成分に対する透過性の低い特性を有している材料が好ましい。例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエチレン酸変成物、ポリプロピレン酸変成物、ポリエチレンアイオノマー、ポリプロピレンアイオノマー等の熱可塑性樹脂などが挙げられる。
【0050】
また、上述した図9に示した複合包装フィルム54のように、最内部の層50a以外に、最外部の層50b等のような合成樹脂製の層を更に設ける場合、この合成樹脂製の層も、上記最内部の層と同様の構成材料を使用してよい。更に、この合成樹脂製の層としては、例えば、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリアミド(ナイロン)等のエンジニアリングプラスチックからなる層を使用してもよい。
【0051】
また、ケース50における全てのシール部のシール方法は、特に限定されないが、生産性の観点から、ヒートシール法であることが好ましい。
【0052】
金属層としては、酸素、水(空気中の水分)及び電解質溶液に対する耐腐食性を有する金属材料から形成されている層であることが好ましい。例えば、アルミニウム、アルミニウム合金、チタン、クロム等からなる金属箔を使用してもよい。
【0053】
次に、アノード10及びカソード20について説明する。本実施形態の電気化学キャパシタにおけるアノード10及びカソード20としては、図2に示す、上述の本発明の電気化学素子電極10をそれぞれ適用したものである。
【0054】
なお、本発明の電気化学素子は、アノード10及びカソード20のうちの少なくとも一方が本発明の電気化学素子電極10であればよく、例えば、集電体の一方の面上に多孔体層が形成された構成を有する従来公知の電極をアノード又はカソードとして用いてもよい。ただし、十分な電極特性を保持したまま更なる小型化及び軽量化を図る観点から、本実施形態に示したように、アノード及びカソードの両方が本発明の電気化学素子電極10であることが好ましい。
【0055】
アノード10とカソード20との間に配置されるセパレータ40は、絶縁性の多孔体から形成されていれば特に限定されず、公知の電気化学キャパシタに用いられているセパレータを使用することができる。例えば、絶縁性の多孔体としては、ポリエチレン、ポリプロピレン又はポリオレフィンからなるフィルムの積層体や上記樹脂の混合物の延伸膜、或いは、セルロース、ポリエステル及びポリプロピレンからなる群より選択される少なくとも1種の構成材料からなる繊維不織布が挙げられる。
【0056】
ただし、電解質溶液との接触界面を充分に確保する観点から、多孔体層18の空隙体積Zは、多孔体層体積100μLの時に50〜75μLであることが好ましく、60〜70μLであることがより好ましい。なお、空隙体積Zを求める方法は特に限定されず、公知の方法により求めることができる。
【0057】
また、カソード20の集電体28は、例えばアルミニウムからなるカソード用リード22の一端に電気的に接続され、カソード用リード22の他端はケース50の外部に延びている。一方、アノード10の集電体18も、例えばアルミニウムからなるアノード用リード12の一端に電気的に接続され、アノード用リード12の他端は封入袋14の外部に延びている。
【0058】
電解質溶液30はケース50の内部空間に充填され、その一部は、アノード10及びカソード20、及びセパレータ40の内部に含有されている。
【0059】
この電解質溶液30は、特に限定されず、公知の電気化学キャパシタに用いられている電解質溶液(電解質水溶液、有機溶媒を使用する電解質溶液)を使用することができる。ただし、電解質水溶液は電気化学的に分解電圧が低いことにより、キャパシタの耐用電圧が低く制限されるので、有機溶媒を使用する電解質溶液(非水電解質溶液)であることが好ましい。
【0060】
更に、電解質溶液30の種類は特に限定されないが、一般的には溶質の溶解度、解離度、液の粘性を考慮して選択され、高導電率でかつ高電位窓(分解開始電圧が高い)の電解質溶液であることが望ましい。例えば、代表的な例としては、テトラエチルアンモニウムテトラフルオロボレートのような4級アンモニウム塩を、プロピレンカーボネート、ジエチレンカーボネート、アセトニトリル、γ−ブチロラクトン、スルホランなどの有機溶媒に溶解したものが使用される。なお、この場合、混入水分を厳重に管理する必要がある。
【0061】
更に、図3及び図4に示すように、第1のフィルム51の縁部51B及び第2のフィルムの縁部52Bからなる封入袋のシール部に接触するアノード用リード12の部分の部分には、アノード用リード12と各フィルムを構成する複合包装フィルム中の金属層との接触を防止するための絶縁体14が被覆されている。更に、第1のフィルム51の縁部51B及び第2のフィルムの縁部52Bからなる封入袋のシール部に接触するカソード用リード22の部分には、カソード用リード22と各フィルムを構成する複合包装フィルム中の金属層との接触を防止するための絶縁体24が被覆されている。
【0062】
これら絶縁体14及び絶縁体24の構成は特に限定されないが、例えば、それぞれ合成樹脂から形成されていてもよい。なお、アノード用リード12及びカソード用リード22のそれぞれに対する複合包装フィルム中の金属層の接触が充分に防止可能であれば、これら絶縁体14及び絶縁体24は配置しない構成としてもよい。
【0063】
更に、携帯用の小型電子機器内の限られた狭い設置スペースにも設置可能とする観点から、アノード10、セパレータ40及びカソード20からなる積層体(アノード、セパレータ及びカソードからなる積層体)の厚さ(素体60の厚さ)が、0.1〜0.4mmであることが好ましく、0.1〜0.3mmであることがより好ましい。
【0064】
電気化学キャパシタ1は、キャパシタ容量が1×10−3〜1Fであることが好ましく、0.01〜0.10Fであることがより好ましい。これにより、フィルム状でありながら容量の大きい電気二重層キャパシタが得られる。これらは薄い特性を活かし、ICカード、ICタグ等への利用も可能となる。また、玩具等への用途や携帯機器への用途も拡大する。
【0065】
次に、上述したケース50及び電気化学キャパシタ1の作製方法について説明する。
【0066】
素体60(アノード10、セパレータ40及びカソード20がこの順で順次積層された積層体)の製造方法は、特に限定されず、公知の電気化学キャパシタの製造に採用されている公知の薄膜製造技術を用いることができる。
【0067】
先ず、アノード10及びカソード20のそれぞれに対して、アノード用リード12及びカソード用リード22をそれぞれ電気的に接続する。セパレータ40をアノード10とカソード20との間に接触した状態(非接着状態)で配置し、素体60を作製する。
【0068】
次に、ケース50の作製方法の一例について説明する。まず、第1のフィルム及び第2のフィルムを先に述べた複合包装フィルムから構成する場合には、ドライラミネ−ション法、ウエットラミネ−ション法、ホットメルトラミネ−ション法、エクストル−ジョンラミネ−ション法等の既知の製造法を用いて作製する。
【0069】
例えば、複合包装フィルムを構成する合成樹脂製の層となるフィルム、アルミニウム等からなる金属箔を用意する。金属箔は、例えば金属材料を圧延加工することにより用意することができる。
【0070】
次に、好ましくは先に述べた複数の層の構成となるように、合成樹脂製の層となるフィルムの上に接着剤を介して金属箔を貼り合わせる等して複合包装フィルム(多層フィルム)を作製する。そして、複合包装フィルムを所定の大きさに切断し、矩形状のフィルム53を1枚用意する。
【0071】
次に、先に図4を参照して説明したように、1枚のフィルム53を折り曲げ、この折り曲げたフィルム53内(第1のフィルム51と第2のフィルム52との間)に素体60を挟み込む。その際、素体60のリード部(アノード用リード12及びカソード用リード22)の一部をシール部51B及びシール部52Bからケース50の外部に突出るようにする。次に、第1のフィルム51のシール部51B(縁部51B)と第2のフィルムのシール部52B(縁部52B)を、例えば、シール機を用いて所定の加熱条件で所望のシール幅だけヒートシールする。このとき、電解質溶液30をケース50中に導入するための開口部を確保するために、一部のヒートシールを行わない部分を設けておく。これにより開口部を有した状態のケース50が得られる。
【0072】
そして、この素体60の入ったケース50の開口部より電解質溶液30を注入する。続いて、アノード用リード12、カソード用リード22の一部をそれぞれケース50内に挿入した状態で、シール機を用いて、ケース50の開口部をシールする。このようにしてケース50及び電気化学キャパシタ1の作製が完了する。
【0073】
以上、本発明の好適な実施形態について詳細に説明したが、本発明は上記実施形態に限定されるものではない。例えば、上記実施形態の説明においては、主として、本発明を電気化学キャパシタ(電気二重層キャパシタ)に適用した場合に好適な構成について説明したが、本発明の電気化学素子は電気化学キャパシタに限定されるものではなく、例えば、非水二次電池(例えば、リチウムイオン二次電池)等の、互いに対向するアノード及びカソードと、アノードとカソードとの間に隣接して配置される板状のセパレータと、電解質溶液とを有し、これらがケース内に収容される構成の電気化学素子に適用可能である。
【0074】
なお、このように電気化学素子が非水二次電池として構成される場合には、本発明の活性炭の他に必要に応じて、酸化還元能を有する電極活物質が電極に更に含まれていてもよい。電極活物質としては、例えば、電極反応に関与する金属イオン(リチウムイオン)を吸蔵又は放出(インターカレート、又は、ドープ・脱ドープ)することが可能な材料であればよい。
【0075】
また、電気化学素子は、アノード10とカソード20との間にセパレータ40が配置された3層構造のものの他に、電極(アノード10又はカソード20)とセパレータとが交互に積層された5層以上の積層体からなる構成を有していてもよい。
【0076】
【実施例】
以下、実施例及び比較例を挙げて本発明の電気化学素子の内容をさらに詳しく説明するが、本発明はこれらの実施例に何ら限定されるものではない。
【0077】
(実施例1)
以下の手順により、図3に示した電気化学素子(電気化学キャパシタ)と同様の構成を有する電気化学キャパシタを作製した。
【0078】
(1)電極の作製
アノード(分極性電極)及びカソード(分極性電極)となる電極は以下の手順により作製した。繊維状の活性炭(比表面積:2000m2/g、アスペクト比:2、繊維平均長:15μm、密度:0.7g/cm3)と、バインダー{フッ素系樹脂、デュポン社製、商品名:「Viton−GF」}と、導電助剤(アセチレンブラック、電気化学工業社製、商品名:「DENKABLACK」)とを、これらの質量比が炭素材料:バインダー:導電助剤=80:10:10となるように配合し、これを溶媒であるNMP(N−メチルピロリドン)中に投入して混練することにより、電極形成用の塗布液(以下、「塗布液L1」という)を調製した。
【0079】
なお、上記アスペクト比は以下の方法で測定した。すなわち、アスペクト比は、粒度分布測定から求めており、繊維状活性炭の繊維平均長と平均繊維径によりアスペクト比を求めた。尚、平均繊維径は顕微鏡による実測である。また、上記繊維平均長は、繊維状活性炭をエタノール溶液中に分散させ、粒度分布測定器(HORIBA LA920)にて測定をして求めた。
【0080】
次に、この塗布液L1をアルミニウム箔からなる集電体(厚さ:50μm)の一方の面上に均一に塗布した。その後、乾燥処理により、塗膜からNMPを除去し、更に圧延ロールを用いて集電体と乾燥後の塗膜とからなる積層体をプレスし、アルミニウム箔からなる集電体(厚さ:50μm)の一方の面上に電子伝導性の多孔体層(厚さ:0.120mm)が形成された電極(以下、「電極E1」という)を作製した。
【0081】
次に、この電極E1を矩形(大きさ:17.5mm×32.3mm)状を呈するように切断し、更に、150℃〜175℃の温度で真空乾燥を12時間以上行うことにより、電子伝導性の多孔体層の表面に吸着した水分を除去し、実施例1の電気化学キャパシタに搭載する電極(アノード及びカソード)を作製した。
【0082】
(2)電気化学キャパシタの作製
先ず、作製したアノード及びカソードの電子伝導性の多孔体層の形成されていない側の集電体の面の外縁部にアルミニウム箔からなるタブ部(幅4mm、長さ3mm)を、集電体にタブ部が電気的に接続された状態で配設した。また、アノード及びカソードの各タブ部に、アルミニウムリボン(幅3mm、長さ20mm)からなるリードをそれぞれ超音波溶接により電気的に接続した。次に、アノード及びカソードを互いに対向させ、その間に再生セルロース不織布からなるセパレータ(18.0mm×33.5mm、厚さ:0.05mm、ニッポン高度紙工業製、商品名:「TF4050」)を配置し、アノード、セパレータ及びカソードがこの順で接触した状態(非接合の状態)で積層された積層体(素体)を形成した。
【0083】
次に、タブ部にシーラント材を熱圧着した。次に、上記積層体(素体)を可とう性を有する複合包装フィルムから形成されたケース中へ入れ、タブ部同士をヒートシールした。可とう性を有する複合包装フィルムとしては、電解質溶液に接触する合成樹脂製の最内部の層(変性ポリプロピレンからなる層)、アルミニウム箔からなる金属層、ポリアミドからなる層がこの順で順次積層された積層体を使用した。そして、この複合包装フィルムを2枚重ね合せてその縁部をヒートシールして作製した。
【0084】
上記ケース内へ電解質溶液(1.2mol/Lの四フッ化ホウ酸トリエチルメチルアンモニウム塩のプロピレンカーボネート溶液)を注入した後、真空シールすることにより電気化学キャパシタ(電気二重層キャパシタ)の作製を完了した。
【0085】
(実施例2)
先ず、実施例1の電極の作製の際に用いた繊維状の活性炭を、比表面積が2000m2/g、アスペクト比が4、繊維平均長が30μm、密度が0.7g/cm3の繊維状の活性炭としたこと以外は、実施例1と同様にして電極を作製した。次に、その電極を用いて実施例1と同様にして電気化学キャパシタの作製した。
【0086】
(実施例3)
先ず、実施例1の電極の作製の際に用いた繊維状の活性炭を、比表面積が2000m2/g、アスペクト比が8、繊維平均長が70μm、密度が0.7g/cm3の繊維状の活性炭としたこと以外は、実施例1と同様にして電極を作製した。次に、その電極を用いて実施例1と同様にして電気化学キャパシタの作製した。
【0087】
(比較例1)
先ず、実施例1の電極の作製の際に用いた繊維状の活性炭を、比表面積が2000m2/g、アスペクト比が10、繊維平均長が110μm、密度が0.7g/cm3の繊維状の活性炭としたこと以外は、実施例1と同様にして電極を作製した。次に、その電極を用いて実施例1と同様にして電気化学キャパシタの作製した。
【0088】
(比較例2)
先ず、実施例1の電極の作製の際に用いた繊維状の活性炭を、比表面積が2000m2/g、アスペクト比が15、繊維平均長が180μm、密度が0.7g/cm3の繊維状の活性炭としたこと以外は、実施例1と同様にして電極を作製した。次に、その電極を用いて実施例1と同様にして電気化学キャパシタの作製した。
【0089】
(比較例3)
先ず、実施例1の電極の作製の際に用いた繊維状の活性炭を、比表面積が2000m2/g、アスペクト比が1、平均粒径が6μm、密度が0.7g/cm3の球状の活性炭としたこと以外は、実施例1と同様にして電極を作製した。次に、その電極を用いて実施例1と同様にして電気化学キャパシタの作製した。
【0090】
[電気二重層キャパシタの特性評価試験]
実施例1〜3及び比較例1〜3の各電気化学キャパシタについて以下の諸特性を測定した。
【0091】
充放電の測定は、充放電試験装置(北斗電工(株)製、HJ−101SM6)を使用した。先ず、0.5Cの定電流充電を行い、電気二重層キャパシタに電荷が蓄積していくに従って電圧が上昇するのをモニタし、電位が2.5Vに達したのち、定電圧充電(緩和充電)に移行し、電流が充電電流の1/10になった時に充電を終了させた。そして、放電も0.5Cの定電流放電を行い終止電圧を0Vとした。この試験後、1Cの電流で充電を行い、電位が2.5Vに達した後、定電圧充電に移行し、電流が充電電流の1/10になったときに充電を終了させた。そして、放電も1Cの定電流放電を行い終止電圧を0Vとした。再び充電を開始させ、これを10回繰り返した。
【0092】
キャパシタ容量(電気化学キャパシタのセルの静電容量)は次のようにして求めた。すなわち、放電曲線(放電電圧−放電時間)から放電エネルギー(放電電圧×電流の時間積分として合計放電エネルギー[W・s]を求め、キャパシタ容量[F]=2×合計放電エネルギー[W・s]/(放電開始電圧[V])2の関係式を用いて評価セルのキャパシタ容量[F]を求めた。
【0093】
次に、各電気化学キャパシタの内部抵抗(インピーダンス)は以下の方法で求めた。すなわち、測定環境温度25℃、相対湿度60%において、Solartron(東陽テクニカ社製,商品名)を用いて測定した1KHzの周波数における値を示した。
【0094】
「レート特性」(C2/C1)は以下の定義に基づいて算出した。すなわち、「C1」ととは、キャパシタ容量がαFである電気化学キャパシタを、放電電流値:α×10−3Aで放電させた場合の静電容量を示す。また、「C2」とは、上記C1を測定した同一の電気化学キャパシタ(キャパシタ容量がαFである電気化学キャパシタ)を、放電電流値:100×α×10−3Aで放電させた場合の静電容量を示す。そして、「レート特性」は、上記C2をC1で除した値(C2/C1)を示す。この「レート特性」の値が大きな電気化学キャパシタは、優れた充放電特性を有していると評価することができる。例えば、実施例1の電気化学キャパシタでは、α=1.8Fであるので、C1は1.8mAの電流値で放電した際に測定される静電容量となり、C2は180mAの電流値で放電した際に測定される静電容量となる。
【0095】
表1に、実施例1〜3及び比較例1〜3の各電気化学キャパシタの内部抵抗と、レート特性とを示す。なお、表1における内部抵抗値のうち、「初期」と記載された内部抵抗値は、セルを作製した直後に測定した値を示す。また、表1における内部抵抗値のうち、「120サイクル後の内部抵抗」と記載された内部抵抗値は、1C充放電を120サイクルした後の値を示す。なお、表中の「−」は、電極表面に筋が入ったため、又は、多孔体層形成用塗布液を作製することでできずに電極が作製できなかったため、測定が行えなかったものである。
【0096】
【表1】
【0097】
表1に示した結果から明らかなように、アスペクト比が10以上になると電極表面に筋が入ったり、電極形成用塗布液が作製できなくなることが確認された。また、アスペクト比が1、すなわち、略球状の活性炭の場合は、電気抵抗の著しい増加と、レート特性(充放電特性)が劣化することが確認された。これに対して、実施例1〜3は、内部抵抗が十分に低減されており、優れたレート特性を示すことが確認された。
【0098】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明によれば、内部抵抗が十分に低減されており、優れた電極特性を有する電気化学素子電極の作製に有用な、電気化学素子電極用活性炭、それを用いた電気化学素子電極を提供することができる。さらに、本発明の電極を用いることで、内部抵抗が十分に低減されており、優れた充放電特性を示す電気化学素子並びに電気化学キャパシタを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の電気化学素子電極用活性炭を示す模式図である。
【図2】本発明の電極の基本構成の一例を示す模式断面図である。
【図3】本発明の電気化学素子(電気化学キャパシタ)の好適な一実施形態を示す正面図である。
【図4】図3に示す電気化学キャパシタの内部をアノード10の表面の法線方向からみた場合の展開図である。
【図5】図3に示す電気化学キャパシタを図3のX1−X1線に沿って切断した場合の模式断面図である。
【図6】図3に示す電気化学キャパシタを図3のX2−X2線に沿って切断した場合の要部を示す模式断面図である。
【図7】図3に示す電気化学キャパシタを図3のY−Y線に沿って切断した場合の要部を示す模式断面図である。
【図8】図3に示す電気化学キャパシタのケースの構成材料となるフィルムの基本構成の一例を示す模式断面図である。
【図9】図3に示す電気化学キャパシタのケースの構成材料となるフィルムの基本構成の別の一例を示す模式断面図である。
【符号の説明】
100…電気化学素子電極用活性炭、10…電気化学素子電極、1…電気化学素子(電気化学キャパシタ)、10…アノード、12…アノード用リード、14…絶縁体、20…カソード、22…カソード用リード、24…絶縁体、30…電解質溶液、40…セパレータ、50…ケース、60…素体。
Claims (9)
- 電気化学素子電極に構成材料として含まれる活性炭であって、繊維状で且つアスペクト比が8以下であることを特徴とする電気化学素子電極用活性炭。
- 前記アスペクト比が1.5以上であることを特徴とする請求項1に記載の電気化学素子電極用活性炭。
- 前記活性炭の短径が15μm以下であることを特徴とする請求項1又は2に記載の電気化学素子電極用活性炭。
- 前記活性炭の密度が1.2g/cm3以下であることを特徴とする請求項1〜3のうちの何れか一項に記載の電気化学素子電極用活性炭。
- 電子伝導性を有する集電体と、該集電体上に形成された電子伝導性を有する多孔体層と、を有しており、
前記多孔体層が請求項1〜4のうちの何れか一項に記載の電気化学素子電極用活性炭を含有することを特徴とする電気化学素子電極。 - 前記多孔体層が、請求項1〜4のうちの何れか一項に記載の電気化学素子電極用活性炭を少なくとも含有する多孔体層形成用塗布液を調製し、該多孔体層形成用塗布液を前記集電体上に塗布する工程により形成されていることを特徴とする請求項5に記載の電気化学素子電極。
- 板状の形状を呈しており、前記多孔体層の厚さが200μm以下であることを特徴とする請求項5又は6に記載の電気化学素子電極。
- 互いに対向する第1の電極及び第2の電極と、
前記第1の電極と前記第2の電極との間に配置されるセパレータと、
電解質溶液と、
前記第1の電極、前記第2の電極、前記セパレータ及び前記電解質溶液を密閉した状態で収容するケースと、
を有しており、
前記第1の電極及び前記第2の電極のうちの少なくとも一方が、請求項5〜7のうちの何れか一項に記載の電気化学素子電極であることを特徴とする電気化学素子。 - 前記第1の電極及び前記第2の電極の両方が、請求項5〜7のうちの何れか一項に記載の電気化学素子電極であることを特徴とする請求項8に記載の電気化学素子。
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