JP2005023485A - 防カビ性ポリエステル繊維 - Google Patents

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聡 ▲くわ▼山
Satoshi Kuwayama
Kazutomi Suda
一臣 須田
Hiroyuki Kurokawa
浩亨 黒川
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Abstract

【課題】工程安定性に優れ、ポリエステルの着色、粒子混入による工程不良の防止や単糸細繊度化を可能である、耐熱・耐久性に優れた高性能防カビ性ポリエステル繊維を提供する。
【解決手段】ポリエステル中に軽質炭酸カルシウム粒子を含有していることを特徴とする防カビ性ポリエステル繊維。
【選択図】なし

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、耐熱・耐摩擦・洗濯耐久性に優れた高性能防カビ性ポリエステル繊維に関するものであり、加えてポリエステルの変色防止、粒子混入による工程不良の防止、および単糸細繊度化が可能であり、良好な外観・風合のものを安定に提供できるのであります。
【0002】
【従来の技術】
ポリエステル、ナイロンなどの合成繊維は耐熱性、耐薬品性などの特性に優れているため、衣料、産業用資材、寝装具などの用途に広く展開されている。従来より、これらの合成繊維に機能性を付与させる技術が多数開示されている。例えば、抗菌防カビ剤として銀化合物を付着した基材を光照射することにより金属塩を析出させる方法(特開昭50−6717号公報)、金、銀、銅などの金属およびその酸化物粒子を繊維表面に固着させる方法(特開昭54−82500号公報)やゼオライトを保持体として繊維内に練り込む方法(特開平3−206147号公報)が提案されている。しかしながら、これら粒子は高価であるだけでなく、粒子が脱落したり、粒子自体の着色のため製品に好ましくない着色をもたらしたり、比重が大きいため樹脂に配合しようとすると粒子が沈降するので成形性が悪いなどの問題があった。
【0003】
また、繊維に防カビ性を付与する方法として芳香族ハロゲン化合物、有機シリコン系第4級アンモニウム塩、有機窒素化合物などの有機化合物を繊維に付着させる方法が採用されているが、一般にこれらの化合物は洗濯等により脱落し易いため、耐久性に問題があった。
【0004】
また安価な防カビ剤として貝殻をポリエステル繊維に固着あるいは混練する方法(特許文献1参照)が提案されている。この方法では貝殻中に微量な不純物を含むため、ポリマー中への混練を図った場合、異物混入による工程不良の問題があった。
【0005】
【特許文献1】
特開2002−20970号公報(p.3)
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、上述の問題を解決し、工程安定性に優れ、ポリエステルの着色、異物混入による工程不良を防止や単糸細繊度化を可能とし、耐熱・耐久性に優れた高性能防カビ性ポリエステル繊維に関するものである。
【0007】
【課題を解決するための手段】
上記の課題を解決するために鋭意研究した結果、ポリエステル中に軽質炭酸カルシウム粒子を含有していることを特徴とする防カビ性ポリエステル繊維によって、本発明の目的を達成できる。
【0008】
【発明の実施の形態】
以下、本発明について詳細に説明する。
【0009】
本発明の防カビ性ポリエステル繊維は、ポリエステル中に軽質炭酸カルシウム粒子を含有していることが重要である。
【0010】
本発明は、軽質炭酸カルシウム粒子によって、耐熱性に優れたカビの生殖・発育抑制効果を発揮することができる。炭酸カルシウムは天然成分由来の重質炭酸カルシウムと化学合成により得られる軽質炭酸カルシウムに分類されるが、軽質炭酸カルシウムは重質炭酸カルシウム対比アルカリ性が強いため、効率的にカビの生息を阻害し、また炭酸カルシウム成分の純度が高いため、製糸工程や高次加工での工程不良を削減することができる上、単糸細繊度品を安定して得ることが出来る。中でも結晶格子は構造的に安定なカルサイト型やアルゴナイト型が好ましい。
【0011】
本発明において、ポリエステル中に軽質炭酸カルシウム粒子を含有させる方法は、粒子状態でポリエステルの重合段階や紡糸段階で添加する方法や、ポリエステル中への高濃度添加によってマスターバッチ化した後に他のポリエステルとチップブレンドする方法や、各々計量した後に溶融ブレンドする方法等を挙げることができるが、軽質炭酸カルシウム粒子が吸湿し、ポリエステルが加水分解することを防止するには重合時に添加することが好ましく、中でもアルキルグリコール成分によるスラリー状態で添加することがなお好ましい。
【0012】
また、本発明の軽質炭酸カルシウム粒子の含有量は、0.5〜10重量%が好ましい。軽質炭酸カルシウム粒子を0.5重量%以上含有させることにより、安定した防カビ性を得ることができる。一方、軽質炭酸カルシウム粒子の含有量を10重量%以下にすることにより、ポリエステル中での軽質炭酸カルシウム粒子の分散性が良好となるため製糸性が安定し、繊維製品の色調、質感等の風合いも良好になり、加えて耐摩擦や洗濯耐久性が良好になる。より好ましくは1〜5重量%である。
【0013】
また、本発明における軽質炭酸カルシウム粒子の平均2次粒子径は、糸切れ抑制や紡糸工程のパック濾過寿命延長化等の工程安定化、および粒子が安定分散していることにより防カビ性を向上できるため、0.05〜3μmであることが好ましい。尚、粒子径は堀場製作所社製、粒径分布測定器LA−700を用いて測定した。
【0014】
本発明の防カビ性ポリエステル繊維は、本発明の目的を損なわない限り、必要に応じてイソフタル酸、2,2−ビス{4−(β−ヒドロキシエトキシ)フェニル}プロパン等の共重合成分や、ヒンダートフェノール系化合物等の酸化防止剤や酸化チタン等の平滑剤、多孔性無機化合物や光触媒等の消臭剤、その他無機粒子を併有しても良く、更には別の抗菌剤、防カビ剤を併用しても良い。また、他のポリマーとの複合化(ブレンド、芯鞘、海島、バイメタル等)を行っても良い。本発明で定義する他のポリマーとはポリエステルに限定するものでなく、本発明の目的を損なわない限り、ポリアミドやポリオレフィン等を用いても良い。
【0015】
本発明の防カビ性ポリエステル繊維に用いるポリエステルとはポリエチレンテレフタレートやポリブチレンテレフタレート、ポリトリメチレンテレフタレートが好ましい。
【0016】
本発明の防カビ性ポリエステル繊維の断面形状は、特に限定されるものではなく、丸断面以外に異型断面でも良い。異型断面にすることにより、3葉断面化による光沢感や、4葉以上の多葉断面化による吸水性や速乾性能、中空断面化によるハリコシ感や保温性、軽量感などの機能性を付与させることができる。また、繊維を異形断面化することで糸表面積が拡大し、防カビ性を向上させることもできる。
【0017】
本発明の防カビ性ポリエステル繊維は単糸繊度を特に限定するものでないが、防カビ性粒子として本発明の軽質炭酸カルシウムを用いることによって、単糸繊度2.5dtex以下の細繊度化を図ることができ、ソフトな風合いを有する布帛を安定して得ることが出来る。
【0018】
本発明の防カビ性ポリエステル繊維はアルカリ処理や酸処理、バッフィング等を施すことが好ましい。アルカリ処理や酸処理、バッフィング等によって繊維表面に凹凸を形成し、軽質炭酸カルシウムが繊維表面に露出し易くなるため防カビ性が向上する。
【0019】
【実施例】
以下、本発明を実施例によって具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。なお、実施例における評価方法は次の通りである。
【0020】
1.製糸性
168時間連続紡糸を行い、製糸性を次の判定方法に従った。
○○:糸切れ率が3.0%未満
○:糸切れ率が3.0%以上6.0%未満
△:糸切れ率が6.0%以上10.0%未満
×:糸切れ率が10.0%以上
−:評価不可。
【0021】
2.防カビ性能
JIS Z 2911に則り、アスペルギルス ニガー(IFO 6341)、ペニシリウム シトリニウム(IFO 6352)、カトミウム グロボスム(IFO 6347)、ミロテシウム ベルカリア(IFO 6113)の湿式法によるカビの発育状態を測定回数2回実施し、発育状態の高い方にて防カビ性を評価した。
○○:菌糸の発育部分が認められない
○:菌糸の発育部分が全面積の1/3以内で認められる
×:菌糸の発育部分が全面積の1/3を超えて認められる。
【0022】
3.製品風合い
ハンター法による色調、染色斑を主体に表面品位の均一性の総合評価を熟練者5名にて4段階判定法で評価した。
○○:優
○:良
△:可
×:不可。
【0023】
4.極限粘度
25℃オルソクロロフェノール中で測定した値である。(IVと記す。)
実施例1
紡糸温度290℃の条件下、重量比率でカルサイト型の軽質炭酸カルシウム粒子(丸尾カルシウム(株)社製)を3重量%含有したエチレンテレフタレート繰り返し単位97モル%からなるIV=0.65のポリエチレンテレフタレートを吐出量37.8g/分の溶融ポリマーを72ホールの口金ノズル(φ0.23mm)より吐出させて紡糸速度1500m/分で紡糸し、次いで得られた未延伸糸を延伸温度90℃、熱セット温度140℃、倍率3.0倍で延伸熱セットし、84dtex−72フィラメント(単糸繊度1.17dtex)の延伸糸を得た。得られた延伸糸を経糸と緯糸に用い、生機密度54×57本/inの平織物を得、次いで精練を行った後にアルカリ濃度2g/lの条件下、80℃、30分のアルカリ減量処理を施し、浴比が分散染料/染色液=1/20の条件下、130℃×60分の染色を実施した。防カビ性ポリエステル繊維中には軽質炭酸カルシウム粒子を3重量%含有する織物(水準1)は本発明の目的とする優れた防カビ性および製品風合いを有し、かつ製糸・高次通過性の非常に優れたものであった。
【0024】
水準2と水準3は水準1の製糸条件を基本として添加粒子をそれぞれ変更した実験である。
【0025】
水準2は添加粒子を重質炭酸カルシウムに変更した実験であるが、粒子の異物の影響により安定した製糸が行えず、防カビ性も不十分であった。
【0026】
水準3は粒子を添加しない実験であるが、製品風合いは問題ないものの、カビの増殖が著しく、本発明を満足するものでなかった。評価結果を表1に示す。
【0027】
【表1】
Figure 2005023485
【0028】
実施例2
水準4から水準7は水準1の製糸条件を基本として、軽質炭酸カルシウムの平均2次粒子径を変更した実験である。
【0029】
水準4は平均2次粒子径を0.03μmに変更した実験であるが、わずかなカビの生息があったが問題レベルであり、優れた製品風合いを有していた。
【0030】
水準5および水準6は平均2次粒子径をそれぞれ0.05μm、3μmとした実験であるが、工程安定性に優れ、得られた布帛は防カビ性、表面品位ともに優れていた。
【0031】
水準7は平均2次粒子径を4μmに変更した実験であるが、優れた防カビ性を有し、工程安定性も特に問題なかった。評価結果を表2に示す。
【0032】
【表2】
Figure 2005023485
【0033】
実施例3
水準1の製糸条件を基本として、軽質炭酸カルシウムの含有量を変更し、水準8から水準13を得た。
【0034】
水準8は軽質炭酸カルシウムの含有量を0.4重量%とした実験であるが、カビの生息を若干見られたが問題ないレベルであり、優れた工程安定性と製品風合いを有していた。
【0035】
水準9から水準12は軽質炭酸カルシウムの含有量をそれぞれ0.5重量%、1重量%、5重量%、10重量%とした実験であるが、いずれも本発明を満足する優れた製品が得られた。
【0036】
水準13は軽質炭酸カルシウムの含有量を12重量%とした実験であるが、軽質炭酸カルシウムの含有量が多く、得られた布帛に若干のムラ感を有すものの特に問題となるレベルでなく、優れた防カビ性を有していた。評価結果を表3に示す。
【0037】
【表3】
Figure 2005023485
【0038】
実施例4
水準1の製糸条件を基本として軽質炭酸カルシウムの添加方法を変更し、水準14を得た。
【0039】
水準14はエチレンテレフタレート繰り返し単位100モル%からなるIV=0.65のポリエチレンテレフタレートに3重量%の軽質炭酸カルシウム粒子をエクストルーダ入りで添加混合した実験であるが、紡糸時にポリエチレンテレフタレートの加水分解現象が確認され、若干糸切れがあったものの、優れた防カビ性を有し、本発明を満足するものであった。評価結果を表4に示す。
【0040】
【表4】
Figure 2005023485
【0041】
【発明の効果】
本発明は原糸及び高次工程での糸切れやポリエステルの変色を防ぎ、かつ従来為し得なかった高耐熱・高耐摩擦・高洗濯耐久性を有する防カビ性粒子を見出し、単糸細繊度化を可能な上、優れた製品風合いを有する防カビ性ポリエステル繊維の開発に成功した。

Claims (2)

  1. ポリエステル中に軽質炭酸カルシウム粒子を含有していることを特徴とする防カビ性ポリエステル繊維。
  2. ポリエステル中に平均2次粒子径が0.05〜3μmである軽質炭酸カルシウム粒子を0.5〜10重量%含有していることを特徴とする請求項1記載の防カビ性ポリエステル繊維。
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