JP2005005257A - 燃料電池用空気極触媒及びその製造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】貴金属合金を用いた電極触媒において、合金成分の溶出や貴金属成分のシンタリングを防止して、高い酸素還元活性を長期に亘って維持することができる燃料電池用空気極触媒と、その製造方法を提供する。
【解決手段】貴金属に格子定数調整金属を添加した合金から成る貴金属合金電極触媒粒子2を導電性担体1に担持し、当該触媒粒子2の表面をこの触媒粒子2を構成する貴金属合金に含まれている格子定数調整金属の酸化物3で部分的に被覆する。
【選択図】 図1
【解決手段】貴金属に格子定数調整金属を添加した合金から成る貴金属合金電極触媒粒子2を導電性担体1に担持し、当該触媒粒子2の表面をこの触媒粒子2を構成する貴金属合金に含まれている格子定数調整金属の酸化物3で部分的に被覆する。
【選択図】 図1
Description
本発明は、電解質として、例えばフッ素樹脂系高分子のようなプロトン伝導性固体高分子膜を用いる固体高分子形燃料電池(PEFC:Polymer Electrolyte Fuel Cell、PEMFC:Proton Exchange Membrame Fuel Cell)や、リン酸溶液を含浸させた絶縁性マトリックスを用いるリン酸形燃料電池(PAFC:Phosphoric Acid Fuel Cell)に用いられる燃料電池用空気極触媒と、その製造方法に関するものである。
燃料電池は、電極反応による生成物が水であるため、地球環境への悪影響がほとんどないクリーンな発電システムである。
このような燃料電池は、自動車等の移動体用電源や定置用電源としての利用が試みられているが、いずれの場合においても長期に亘って所望の発電性能を維持することが求められている。
また、各種の燃料電池のうち、例えば溶融炭酸塩形燃料電池(MCFC)では、作動温度が600℃以上、固体酸化物形燃料電池(SOFC)では1000℃近くの高温であるのに対して、固体高分子形燃料電池では100℃以下、リン酸形燃料電池でも200℃程度での比較的低温での作動が可能であるという利点を備えている。
このような燃料電池は、自動車等の移動体用電源や定置用電源としての利用が試みられているが、いずれの場合においても長期に亘って所望の発電性能を維持することが求められている。
また、各種の燃料電池のうち、例えば溶融炭酸塩形燃料電池(MCFC)では、作動温度が600℃以上、固体酸化物形燃料電池(SOFC)では1000℃近くの高温であるのに対して、固体高分子形燃料電池では100℃以下、リン酸形燃料電池でも200℃程度での比較的低温での作動が可能であるという利点を備えている。
このような燃料電池における酸素還元電極においては、酸素還元過電圧が大きく、これが燃料電池の効率を低下させる主な原因となっており、プロトンと酸素の反応触媒として白金(Pt)などの貴金属触媒が用いられるが、これら貴金属単独の電極触媒においては、酸素還元活性が不十分であって、さらに高活性の酸素還元電極触媒が求められている。
そして、このような触媒の活性化手段のひとつとして、貴金属、なかでもPtと卑金属の合金、あるいは金属間化合物が、Pt単独の電極触媒よりも高い酸素還元活性を示すことが知られており、このようなPt系合金触媒を燃料電池用の電極触媒として用いることが提案されている(例えば、特許文献1参照)。
特開昭62−163746号公報
そして、このような触媒の活性化手段のひとつとして、貴金属、なかでもPtと卑金属の合金、あるいは金属間化合物が、Pt単独の電極触媒よりも高い酸素還元活性を示すことが知られており、このようなPt系合金触媒を燃料電池用の電極触媒として用いることが提案されている(例えば、特許文献1参照)。
しかしながら、上記のような白金系合金触媒は、白金単独の触媒よりも高い活性を示すものの、第2成分としての卑金属が強酸性、貴電位環境で溶出し、電解質膜にダメージを与えることから、燃料電池の性能低下を招くという問題点がある。また、燃料電池の長期間運転を行うと、白金(Pt)のシンタリングが発生することにより、性能低下が生じるという問題点もあった。
本発明は、貴金属合金を用いた従来の電極触媒における上記課題に着目してなされたものであって、合金成分の溶出や貴金属成分のシンタリングを防止して、高い酸素還元活性を長期に亘って維持することができる燃料電池用空気極触媒と、その製造方法を提供することを目的としている。
本発明の燃料電池用空気極触媒は、貴金属に少なくとも1種の格子定数調整金属を添加した合金から成ると共に、導電性担体に担持された状態の貴金属合金電極触媒であって、その表面の一部が当該電極触媒を構成する貴金属合金に含まれている格子定数調整金属のうちの少なくとも1種の金属の酸化物で被覆されている構成としたことを特徴としている。
また、本発明の燃料電池用空気極触媒の製造方法においては、合金化熱処理によって格子定数調整金属の一部を貴金属に固溶させる第1の工程と、当該合金化熱処理によって固溶せずに残存した格子定数調整金属を酸化処理することによって当該格子定数調整金属の酸化物を形成する第2の工程を含む構成としたことを特徴としている。
そして、本発明の燃料電池は、固体高分子形燃料電池あるいはリン酸形燃料電池であって、上記した本発明の燃料電池用空気極触媒を備えたことを特徴としている。
以上説明したように、本発明の燃料電池用空気極触媒は、導電性担体の上に、貴金属と格子定数調整金属との合金からなる触媒粒子が担持され、この貴金属合金電極触媒粒子の表面にこの触媒粒子に含まれる合金成分である格子定数調整金属の酸化物を付着させて、その表面を部分的に被覆したものであるから、合金成分の溶出や貴金属成分のシンタリングが抑制され、高い酸素還元活性を長期に亘って維持することができるという極めて優れた効果をもたらすものである。
また、本発明による燃料電池用空気極触媒の製造方法は、合金化熱処理によって格子定数調整金属の一部を貴金属に固溶させる第1の工程と、固溶せずに残存した格子定数調整金属を酸化処理することによって当該格子定数調整金属の酸化物を形成する第2の工程を含むものであるから、貴金属中に含まれる格子定数調整金属成分と表面に形成されたその酸化物とが連通し、貴金属合金の表面に合金成分の酸化物が密着した燃料電池用空気極触媒を確実に得ることができる。
本発明の燃料電池用空気極触媒は、図1に示すように、導電性担体1の上に、貴金属と格子定数調整金属との合金からなる触媒粒子2が担持され、この貴金属合金電極触媒粒子2の表面には、当該触媒粒子2に含まれる合金成分である格子定数調整金属の酸化物3が付着しており、触媒粒子2の表面を部分的に被覆している。
なお、触媒粒子2に含まれる格子定数調整金属は1種類のみに限定されず、複数種の格子定数調整金属が合金成分として添加されている場合には、その酸化物3には、必ずしも全ての合金成分の酸化物が含まれている必要はなく、これら複数の格子定数調整金属のうちの少なくとも1種の金属の酸化物が含まれていればよい。
なお、触媒粒子2に含まれる格子定数調整金属は1種類のみに限定されず、複数種の格子定数調整金属が合金成分として添加されている場合には、その酸化物3には、必ずしも全ての合金成分の酸化物が含まれている必要はなく、これら複数の格子定数調整金属のうちの少なくとも1種の金属の酸化物が含まれていればよい。
このような構造を有する燃料電池用空気極触媒において、触媒粒子2を構成する貴金属としては、例えばPt、Pd、Ir又はAgを単独で、あるいはこれらの2種以上を任意に組合わせた合金として使用することができる。
これら貴金属は、担体あるいは、合金として高い酸素還元活性を有し、酸素還元活性の高い電極触媒を得ることができる。これらの貴金属のうち、貴金属単体については、特に、Pt、Pd、Irなどが硫酸水溶液中での酸素還元活性に関して高い活性を示す。また、これらPt、Pd、Irをベースとした貴金属合金についても高い酸素還元活性を示す。
これら貴金属は、担体あるいは、合金として高い酸素還元活性を有し、酸素還元活性の高い電極触媒を得ることができる。これらの貴金属のうち、貴金属単体については、特に、Pt、Pd、Irなどが硫酸水溶液中での酸素還元活性に関して高い活性を示す。また、これらPt、Pd、Irをベースとした貴金属合金についても高い酸素還元活性を示す。
また、触媒粒子2を構成する上記貴金属に添加される格子定数調整金属としては、貴金属の格子定数を小さくする方向に調整する作用を有する金属であれば特に限定されず、例えば、Ti、V、Cr、Co、Ga、W、Y、Zr、Nb、Mo又はIrを単独で、あるいはこれら金属の2種以上を任意に組合わせて使用することができる。
これらの金属元素を貴金属と合金化することによって、貴金属の格子定数を小さくし、さらに酸素還元活性を向上することができ、酸素還元活性の高い電極触媒を得ることができる。なお、Irについては、上記の貴金属中にIrが含まれる場合には格子定数調整金属としての選択肢群から除外されることは言うまでもない。
これらの金属元素を貴金属と合金化することによって、貴金属の格子定数を小さくし、さらに酸素還元活性を向上することができ、酸素還元活性の高い電極触媒を得ることができる。なお、Irについては、上記の貴金属中にIrが含まれる場合には格子定数調整金属としての選択肢群から除外されることは言うまでもない。
なお、貴金属、例えばPtに格子定数調整金属を固溶させることによる酸素還元活性向上メカニズムについては、必ずしも明らかになっていないが、Ptに格子定数調整金属が固溶することによって格子定数が小さくなると、Pt−Pt間距離が短くなるため、酸素分子の触媒表面へのside−on吸着が促進され、酸素の水への還元が促進されるものと考えられる。この場合side−on吸着が起こり、酸素の水への還元が促進されるためには、Pt−Pt間距離が酸素のO=O結合距離に近くなるほど良いとされており、Pt−Pt間距離はO=O結合距離と比較してかなり大きいので、Pt−Pt間距離を格子定数調整金属との合金化により短くすることによって、酸素還元活性を向上させることができる。
さらにPt以外のPd、Irなどの貴金属をベースとし、格子定数調製金属を合金化させた合金触媒の酸素還元電極触媒の場合にも同様な機構で活性が向上すると考えられる。
さらにPt以外のPd、Irなどの貴金属をベースとし、格子定数調製金属を合金化させた合金触媒の酸素還元電極触媒の場合にも同様な機構で活性が向上すると考えられる。
そして、上記触媒粒子2を担持する導電性担体1としては、カーボンブラックなどの炭素質材料を用いるのが一般的であるが、この他には、十分な電子導電率を有し(およそ0.01S/cm以上)、触媒微粒子を分散担持するために十分な比表面積を有するもので(およそ30m2/g以上)、なおかつ燃料電池の作動環境下で急速な劣化を示すことのない材料であれば利用することが可能であり、グラファイト、非晶質炭素、導電性金属酸化物、導電性金属窒化物、導電性金属炭化物などが例示できる。
このような構造を備えた本発明の燃料電池用空気極触媒においては、貴金属合金の表面が部分的に金属酸化物で覆われていることから、合金中の格子定数調整金属成分の溶出が抑制され、合金の活性が保たれると同時に金属酸化物による活性向上効果によって、さらに酸素還元活性が向上する。また、酸化物により表面の一部が保護されていることにより、燃料電池運転中の貴金属合金のシンタリングが抑えられる。そして、表面の酸化物は、貴金属中に固溶している合金成分と共通であって、貴金属合金との密着性が高いため長期安定性に優れ、高い酸素還元活性が長期間に亘って維持されることになる。
なお、金属酸化物による酸素還元活性の向上メカニズムについても、必ずしも明らかではないが、金属酸化物から高活性な吸着酸素が貴金属合金に供給されるため、活性が向上するものと考えられている。
なお、金属酸化物による酸素還元活性の向上メカニズムについても、必ずしも明らかではないが、金属酸化物から高活性な吸着酸素が貴金属合金に供給されるため、活性が向上するものと考えられている。
また、電気化学的酸素還元反応は、主に貴金属合金表面に酸素が供給されることにより進行し、合金表面に存在する格子定数調整金属酸化物は、多孔質であっても緻密であっても差し支えない。
本発明の燃料電池用空気極触媒においては、電極触媒を構成する貴金属合金中における格子定数調整金属の固溶率を5〜60原子%の範囲とすることが望ましい。すなわち、格子定数調整金属の固溶率が5原子%に満たない場合には、このような第2成分を添加した効果が現れ難く、貴金属単独の電極触媒並みの活性しか得られず、60原子%を超えた場合には、貴金属量が相対的に減少することによって貴金属触媒としての活性が失われ、貴金属単独の電極触媒よりもむしろ活性が低下する傾向があることによる。
なお、格子定数調整金属の「固溶率」とは、貴金属成分に対して固溶した格子定数調整金属成分の原子%で定義され、この固溶率は、X線回折により格子定数を求めて、Vegard則にあわせて判断する。
なお、格子定数調整金属の「固溶率」とは、貴金属成分に対して固溶した格子定数調整金属成分の原子%で定義され、この固溶率は、X線回折により格子定数を求めて、Vegard則にあわせて判断する。
また、添加する格子定数調整金属のうちの10〜80原子%を貴金属に固溶させ、残りの90〜20原子%を酸化物とすることが望ましく、これによって、貴金属合金触媒の高い活性が長期間維持されることになる。
すなわち、固溶量が添加した格子定数調整金属のうちの10原子%未満であると、表面酸化物の割合が多くなり、合金触媒の表面が完全に被覆されてしまいために合金触媒表面の酸素還元活性サイトが減少し、80原子%を超えると、表面酸化物が少なくなるため、溶出抑制および保護効果が十分に得られなくなる傾向があることによる。ここで、固溶量とは、添加した全格子定数調整金属成分のうち貴金属に固溶した割合(原子%)で定義される。
すなわち、固溶量が添加した格子定数調整金属のうちの10原子%未満であると、表面酸化物の割合が多くなり、合金触媒の表面が完全に被覆されてしまいために合金触媒表面の酸素還元活性サイトが減少し、80原子%を超えると、表面酸化物が少なくなるため、溶出抑制および保護効果が十分に得られなくなる傾向があることによる。ここで、固溶量とは、添加した全格子定数調整金属成分のうち貴金属に固溶した割合(原子%)で定義される。
また、本発明の上記燃料電池用電極触媒は、合金化熱処理によって格子定数調整金属の一部を貴金属に固溶させる第1の工程と、固溶せずに残存した格子定数調整金属を酸化処理することによって当該格子定数調整金属の酸化物を形成する第2の工程を含む工程によって製造することができる。
このような工程において、貴金属に固溶した格子定数調整金属のうち、合金表面近傍のものは酸化され、表面の金属酸化物と連通するため、表面を被覆する金属酸化物は貴金属合金触媒粒子表面に好適に保持されることになる。そして、貴金属合金の表面の一部が金属酸化物に被覆されることによって、合金成分の溶出が抑制され、合金の活性が保たれ、同時に金属酸化物による活性向上効果によりさらに酸素還元活性が向上する。また、酸化物により表面の一部が保護されていることにより、燃料電池運転中の貴金属合金のシンタリングが抑えられることになる。
このような工程において、貴金属に固溶した格子定数調整金属のうち、合金表面近傍のものは酸化され、表面の金属酸化物と連通するため、表面を被覆する金属酸化物は貴金属合金触媒粒子表面に好適に保持されることになる。そして、貴金属合金の表面の一部が金属酸化物に被覆されることによって、合金成分の溶出が抑制され、合金の活性が保たれ、同時に金属酸化物による活性向上効果によりさらに酸素還元活性が向上する。また、酸化物により表面の一部が保護されていることにより、燃料電池運転中の貴金属合金のシンタリングが抑えられることになる。
このとき、第1の工程における合金化熱処理については、400〜1000℃の温度範囲で行うことが望ましく、これによって所望の固溶率を備えた合金が作製でき、高い活性を示す触媒が得られようになる。
すなわち、400℃に満たない温度では格子定数調整金属の合金化が進まず、一方1000℃を超えた場合には、貴金属合金の粒成長が進んで触媒粒子が粗大化するために、酸素還元活性が低下する傾向がある。なお、当該合金化熱処理は、窒素やアルゴンのような不活性雰囲気中、あるいはこのような不活性ガスに水素を含有させた還元雰囲気中で行うことがさらに望ましい。
すなわち、400℃に満たない温度では格子定数調整金属の合金化が進まず、一方1000℃を超えた場合には、貴金属合金の粒成長が進んで触媒粒子が粗大化するために、酸素還元活性が低下する傾向がある。なお、当該合金化熱処理は、窒素やアルゴンのような不活性雰囲気中、あるいはこのような不活性ガスに水素を含有させた還元雰囲気中で行うことがさらに望ましい。
また、上記第2の工程における酸化処理、すなわち合金化熱処理によっても合金化されずに残存した格子定数調整金属の酸化処理については、0〜300℃の温度範囲で行うことが望ましい。これは、0℃未満の処理温度では、格子定数調整金属の酸化速度が遅く、300℃を超えた処理温度では、導電性担体として一般的に用いられるカーボンが燃焼してしまう傾向があることによる。
すなわち、Pt担持カーボンの熱重量−示差熱分析を行った結果、酸素含有雰囲気中では320℃付近でカーボンの燃焼が起こることが確認できた。なお、通常カーボンブラックのみの場合には、その燃焼温度は600℃を超えるが、Pt担持カーボンの場合には、Ptが燃焼触媒として作用するため、上記燃焼温度よりもかなり低温においてもカーボン担体の燃焼が起こるものと認められる。
したがって、第2の工程における酸化処理温度を上記範囲とすることにより、貴金属合金触媒やカーボン担体を変質させることなく、合金化されずに残存した格子定数調整金属成分のみを金属酸化物にすることができる。
したがって、第2の工程における酸化処理温度を上記範囲とすることにより、貴金属合金触媒やカーボン担体を変質させることなく、合金化されずに残存した格子定数調整金属成分のみを金属酸化物にすることができる。
以下、本発明を実施例に基づいて具体的に説明する。なお、本発明は、これらの実施例のみに限定されることはない。また、当該実施例において、「%」は特記しない限り質量百分率を表わすものとする。
[1]実施例I
(発明例1)
導電性カーボンブラック(Cabot社製 VulcanXC−72)3gを0.4%のPtを含んだ塩化白金酸水溶液250g中にホモジナイザを用いて十分に分散させた後、これにクエン酸ナトリウム3gを加え、還流反応装置を用いて80℃に加熱し、Ptの還元担持を行った。そして、室温まで放冷した後、Ptが担持されたカーボンを濾別することによりPt担持カーボンを得た。
このPt担持カーボンを0.225gのコバルト(Co)を含んだ塩化コバルト水溶液200ml中によく分散させ、加熱攪拌により水分を蒸発させてCoを含浸させた。次いで、これを5%H2を含んだ窒素気流中に900℃×4時間保持して合金化処理を行い、一旦室温まで試料温度を低下させた後、大気中で200℃×24時間焼成することによって、合金化せずに残ったCo成分を酸化させ、酸化コバルトを形成した。
(発明例1)
導電性カーボンブラック(Cabot社製 VulcanXC−72)3gを0.4%のPtを含んだ塩化白金酸水溶液250g中にホモジナイザを用いて十分に分散させた後、これにクエン酸ナトリウム3gを加え、還流反応装置を用いて80℃に加熱し、Ptの還元担持を行った。そして、室温まで放冷した後、Ptが担持されたカーボンを濾別することによりPt担持カーボンを得た。
このPt担持カーボンを0.225gのコバルト(Co)を含んだ塩化コバルト水溶液200ml中によく分散させ、加熱攪拌により水分を蒸発させてCoを含浸させた。次いで、これを5%H2を含んだ窒素気流中に900℃×4時間保持して合金化処理を行い、一旦室温まで試料温度を低下させた後、大気中で200℃×24時間焼成することによって、合金化せずに残ったCo成分を酸化させ、酸化コバルトを形成した。
このようにして調製したPt−Co合金−Co3O4担持カーボンについて、X線回折の結果、Pt−Co合金におけるCoの固溶率が23原子%であって、全Co成分においてPtに固溶したCoと、酸化物化したCo成分の比(モル比)が4:6であると見積もられることが確認された。つまり、この実施例1に係る触媒においては、固溶率が23原子%であり、固溶量が40原子%である。
(比較例1)
格子定数調整金属としてのCoを添加することなく、上記実施例1と同様の方法によって、Ptのみをカーボン担体に担持させ、比較例1の電極触媒を得た。
格子定数調整金属としてのCoを添加することなく、上記実施例1と同様の方法によって、Ptのみをカーボン担体に担持させ、比較例1の電極触媒を得た。
(比較例2)
発明例1と同様の方法により作製したPt担持カーボンを0.1gのCoを含む塩化コバルト水溶液200ml中によく分散させ、加熱攪拌により水分を蒸発させてCoを含浸させた。これを5%H2を含んだ窒素気流中に350℃×6時間保持して塩化コバルトの熱分解処理を行った。この電極触媒をX線回折により分析した結果、CoのPtへの固溶は確認できなかった。この電極触媒を大気中で200℃24時間焼成した。再びX線回折により分析した結果、Co成分は酸化されてCo3O4になっていることがわかった。つまり、比較例2の電極触媒はカーボン担体上にPt微粒子とCo3O4が混合状態として担持されているといえる。
発明例1と同様の方法により作製したPt担持カーボンを0.1gのCoを含む塩化コバルト水溶液200ml中によく分散させ、加熱攪拌により水分を蒸発させてCoを含浸させた。これを5%H2を含んだ窒素気流中に350℃×6時間保持して塩化コバルトの熱分解処理を行った。この電極触媒をX線回折により分析した結果、CoのPtへの固溶は確認できなかった。この電極触媒を大気中で200℃24時間焼成した。再びX線回折により分析した結果、Co成分は酸化されてCo3O4になっていることがわかった。つまり、比較例2の電極触媒はカーボン担体上にPt微粒子とCo3O4が混合状態として担持されているといえる。
ここで、発明例1の電極触媒と、比較例2の電極触媒とは、前者が格子定数調製金属成分を一度に含浸させ、続いて合金化処理と酸化処理を行ったのに対し、後者は格子定数調製金属の合金化処理は行わず、それに続いて酸化物形成処理を行ったことにより、Pt合金を形成することなくPtと金属酸化物の混合状態である点で相違する。
(電極触媒の性能評価)
MEA(Membrane Electrode Assembly:膜−電極接合体)の作製については、以下のような手順で行った。
まず、カソードとして各発明例および比較例に係る電極触媒に精製水とイソプロピルアルコールを加え、さらには所定量のNafion(登録商標)を含んだ溶液を加えてホモジナイザでよく分散させ、さらに脱泡操作を加えることによって触媒スラリーを作製した。これをガス拡散層(GDL)であるカーボンペーパー(東レ製 TGP−H)の片面にスクリーン印刷法によって所定量印刷し、60℃で24時間乾燥させた後、触媒層を塗布した面を電解質膜に合わせて120℃、0.2MPaで、3分間ホットプレスを行うことによって、それぞれのMEAを作製した。
一方、アノードとしては同様な方法を用いて電極触媒として50%Pt担持カーボンを用いてMEAを作製した。
MEA(Membrane Electrode Assembly:膜−電極接合体)の作製については、以下のような手順で行った。
まず、カソードとして各発明例および比較例に係る電極触媒に精製水とイソプロピルアルコールを加え、さらには所定量のNafion(登録商標)を含んだ溶液を加えてホモジナイザでよく分散させ、さらに脱泡操作を加えることによって触媒スラリーを作製した。これをガス拡散層(GDL)であるカーボンペーパー(東レ製 TGP−H)の片面にスクリーン印刷法によって所定量印刷し、60℃で24時間乾燥させた後、触媒層を塗布した面を電解質膜に合わせて120℃、0.2MPaで、3分間ホットプレスを行うことによって、それぞれのMEAを作製した。
一方、アノードとしては同様な方法を用いて電極触媒として50%Pt担持カーボンを用いてMEAを作製した。
これらのMEAは、アノード、カソードともにPt使用量を見かけの電極面積1cm2あたり0.5mgとし、電極面積は300cm2とした。また、電解質膜としてNafion112を用いた。
そして、このようにして形成された燃料電池単セルの性能測定を行った。測定に際しては、アノード側に燃料として水素を供給し、カソード側には空気を供給した。両ガスとも供給圧力は大気圧とし、水素は80℃、空気は60℃で飽和加湿し、燃料電池本体の温度は80℃に設定し、水素利用率は70%、空気利用率は40%として、電流密度−セル電圧特性を調べた。その結果として、各実施例及び比較例に係る電極触媒を用いた単セルの質量活性を表1に示す。
なお、表1において、「質量活性」とは燃料電池における電極触媒性能を示す指標のひとつであり、一般にセル電圧0.9VにおいてPt1gあたりの電流値で定義される。つまり、質量活性の値が大きいほど高性能電極触媒といえる。 本発明の電極触媒を用いたセルと従来型の電極触媒を用いたセルの質量活性値を比較すると、従来のPt単独の電極触媒(比較例1)よりも、格子定数調製金属成分を固溶させた合金触媒を含んだ電極触媒(発明例1)の方が高い活性を示すことが確認された。
次に、これら発明例及び比較例に係る電極触媒を用いた固体高分子電解質型燃料電池を0.5A/cm2の一定電流密度で連続運転させた場合における各電池のセル電圧の変化を調査した。その結果を図2に示す。
図2から明らかなように、比較例1の電極触媒を用いた燃料電池においては、運転開始当初からセル電圧が低く、運転時間に対するセル電圧の低下が大きい。これに対し、発明例1の電極触媒を用いた燃料電池における初期のセル電圧は、両比較例に係る電極触媒を用いた燃料電池よりも高い値を示しており、運転時間の経過によるセル電圧の低下速度も低く、特に運転時間が長くなるほど比較例電極触媒を用いた燃料電池に較べて格段に高いセル電圧を示すことが確認された。
図2から明らかなように、比較例1の電極触媒を用いた燃料電池においては、運転開始当初からセル電圧が低く、運転時間に対するセル電圧の低下が大きい。これに対し、発明例1の電極触媒を用いた燃料電池における初期のセル電圧は、両比較例に係る電極触媒を用いた燃料電池よりも高い値を示しており、運転時間の経過によるセル電圧の低下速度も低く、特に運転時間が長くなるほど比較例電極触媒を用いた燃料電池に較べて格段に高いセル電圧を示すことが確認された。
この結果から、本発明の電極触媒を用いた電極では、触媒の合金化や金属酸化物の効果により電池効率が高くなるばかりでなく、格子定数調整金属の溶出や触媒粒子のシンタリングが抑制されたため、長時間の連続運転によっても性能の劣化が小さく抑えられたともの考えられる。
これに対し、比較例1の電極触媒においてはPtのシンタリングによりセル性能の劣化が進み、比較例2の電極触媒においてはセル性能の劣化速度は比較例1の電極触媒よりも低かったが、初期のセル性能が低いため十分な性能を示さなかった。
これに対し、比較例1の電極触媒においてはPtのシンタリングによりセル性能の劣化が進み、比較例2の電極触媒においてはセル性能の劣化速度は比較例1の電極触媒よりも低かったが、初期のセル性能が低いため十分な性能を示さなかった。
[2]実施例II
(発明例2)
上記発明例1と同様の方法によって、Ptのみをカーボン担体に担持させ、このPt担持カーボン4gを0.5gのイリジウム(Ir)を含んだ塩化イリジウム水溶液200ml中によく分散させ、加熱攪拌により水分を蒸発させてイリジウムを含浸させた。これを5%H2を含んだ窒素気流中で900℃×2時間合金化処理を行い、一旦室温まで試料温度を低下させた後、大気中で250℃×24時間焼成することにより、合金化せずに残ったイリジウム成分を酸化させ、酸化イリジウムを形成した。
(発明例2)
上記発明例1と同様の方法によって、Ptのみをカーボン担体に担持させ、このPt担持カーボン4gを0.5gのイリジウム(Ir)を含んだ塩化イリジウム水溶液200ml中によく分散させ、加熱攪拌により水分を蒸発させてイリジウムを含浸させた。これを5%H2を含んだ窒素気流中で900℃×2時間合金化処理を行い、一旦室温まで試料温度を低下させた後、大気中で250℃×24時間焼成することにより、合金化せずに残ったイリジウム成分を酸化させ、酸化イリジウムを形成した。
このようにして調製したPt−Ir合金−IrO2担持カーボンについて、X線回折の結果、図3に示すようにPt−Ir合金の形成とIrO2の生成が確認され、Pt−Ir合金におけるIrの固溶率は20原子%であることがわかった。さらに、誘導結合プラズマ発光分光法によってIr成分の定量分析を行った結果を考慮すると、全イリジウム成分においてPtに固溶したイリジウムと酸化物化したイリジウム成分の比(モル比)は、54:46であると見積もられる。つまり、この発明例2に係わる電極触媒におけるPtに対するIrの固溶率は20原子%、全IrのPtへの固溶量は54原子%である。
なお、図3には、上記比較例1のX線回折の結果をも示しているが、当然のことながら、Ptのピークしか認められない。
なお、図3には、上記比較例1のX線回折の結果をも示しているが、当然のことながら、Ptのピークしか認められない。
(比較例3)
発明例1と同様の方法により作製したPt担持カーボン4gを0.3gのイリジウムを含んだ塩化イリジウム水溶液150ml中によく分散させ、加熱攪拌により水分を蒸発させてイリジウムを含浸させた。これを5%H2を含んだ窒素気流中に700℃×4時間保持した後、続いて950℃×4時間合金化処理を行った。
このようにして調製したPt担持カーボンについて、X線回折の結果、Pt−Ir合金の形成が確認され、当該Pt−Ir合金におけるIrの固溶率は24原子%であることがわかった。
発明例1と同様の方法により作製したPt担持カーボン4gを0.3gのイリジウムを含んだ塩化イリジウム水溶液150ml中によく分散させ、加熱攪拌により水分を蒸発させてイリジウムを含浸させた。これを5%H2を含んだ窒素気流中に700℃×4時間保持した後、続いて950℃×4時間合金化処理を行った。
このようにして調製したPt担持カーボンについて、X線回折の結果、Pt−Ir合金の形成が確認され、当該Pt−Ir合金におけるIrの固溶率は24原子%であることがわかった。
(電極触媒の性能評価・耐久性評価)
上記発明例2、比較例1及び比較例3に係わる電極触媒について、以下のような手法を用いて空気極触媒としての性能評価及び耐久性評価を行った。
上記発明例2、比較例1及び比較例3に係わる電極触媒について、以下のような手法を用いて空気極触媒としての性能評価及び耐久性評価を行った。
まず、電極触媒の耐久性評価を行うために、電気化学セルを用いた評価を行った。金メッシュ(100メッシュ、10mm×10mm)を集電体とし、この金メッシュに、発明例及び比較例に係わる上記電極触媒に精製水とイソプロピルアルコールを加え、さらには所定量のNafionを含んだ溶液を加えてホモジナイザでよく分散させ、さらに脱泡操作を加えることによって作製した触媒スラリーをマイクロピペットを用いて20μl塗布し、室温で減圧乾燥後、120℃で乾燥させた。塗布触媒量は金メッシュの塗布前後の重量変化と触媒スラリーの組成から触媒重量を算出した。
触媒塗布後の金メッシュは直径0.5mmの金線の先にスポット溶接により取り付け、これを試料極とし、従来の3電極型の電気化学セルを用いて室温(22〜25℃)で電流−電圧特性を測定した。対極としては白金黒、参照極としては水銀/硫酸水銀参照極を用い、電解液は0.5mol/Lの硫酸水溶液を使用した。電極触媒の性能評価として、酸素還元活性を評価した。この場合、電解液を酸素で30分バブリングさせた後、酸素をそのまま電解液にバブリングさせたまま自然電位から0.85V vs.SHE(標準水素電極)まで1mV/sの速度で電位を掃引し、測定試料に含まれる白金の単位重量あたりの0.90V vs.SHEにおける電流値を質量活性(A/g−Pt)と定義し、この値で電極触媒の酸素還元活性を評価した。
触媒塗布後の金メッシュは直径0.5mmの金線の先にスポット溶接により取り付け、これを試料極とし、従来の3電極型の電気化学セルを用いて室温(22〜25℃)で電流−電圧特性を測定した。対極としては白金黒、参照極としては水銀/硫酸水銀参照極を用い、電解液は0.5mol/Lの硫酸水溶液を使用した。電極触媒の性能評価として、酸素還元活性を評価した。この場合、電解液を酸素で30分バブリングさせた後、酸素をそのまま電解液にバブリングさせたまま自然電位から0.85V vs.SHE(標準水素電極)まで1mV/sの速度で電位を掃引し、測定試料に含まれる白金の単位重量あたりの0.90V vs.SHEにおける電流値を質量活性(A/g−Pt)と定義し、この値で電極触媒の酸素還元活性を評価した。
一方、耐久性の評価は以下のように行った。上記の性能評価装置をそのまま用いて測定試料に図4に示すような電位サイクル(0.60V vs.SHEと1.0V vs.SHEの矩形波、それぞれの電位で10秒保持)を印加し、電極触媒金属の劣化を促進させ、一定サイクル数を印加した後、上記の性能評価を行い、その前後での質量活性の低下幅から、電極触媒の劣化を評価し、耐久性の比較を行った。
表2は、各発明例及び比較例の電極触媒を用いた電解液による電気化学セルの質量活性を示している。「質量活性」は、酸素還元電極触媒性能を示す一つの指標であり、質量活性の値が大きいほど高性能電極触媒といえる。
発明例2の電極触媒と比較例1及び3の電極触媒の質量活性値を比較すると、従来タイプであるPt単独の電極触媒(比較例1)よりも、イリジウムを固溶させた合金触媒を含んだ比較例3の電極触媒の方が高い活性を示し、合金化処理後に続いてさらに酸化処理を行うことにより酸化イリジウムが共存する発明例2の電極触媒がさらに高い活性値を示すことが確認された。
発明例2の電極触媒と比較例1及び3の電極触媒の質量活性値を比較すると、従来タイプであるPt単独の電極触媒(比較例1)よりも、イリジウムを固溶させた合金触媒を含んだ比較例3の電極触媒の方が高い活性を示し、合金化処理後に続いてさらに酸化処理を行うことにより酸化イリジウムが共存する発明例2の電極触媒がさらに高い活性値を示すことが確認された。
図5は、発明例2、比較例1及び比較例3の電極触媒について、電位サイクル数に対する質量活性値の低下率の変化を示すグラフであって、図に示すように、比較例1及び比較例3の電極触媒と比較して発明例2の電極触媒の質量活性低下速度は小さく、耐久性が大幅に改善されていることが確認された。
以上の結果から、発明例2の電極では触媒の合金化や金属酸化物の効果により酸素還元活性が大幅に改善されたばかりでなく、格子定数調整金属の溶出や触媒粒子のシンタリングが抑制されたため、従来の電極触媒では性能低下が著しい電位サイクル試験においても性能の劣化が小さく抑えられたものと考えられる。
1 導電性担体
2 触媒粒子(貴金属−格子定数調整金属合金)
3 格子定数調整金属の酸化物
2 触媒粒子(貴金属−格子定数調整金属合金)
3 格子定数調整金属の酸化物
Claims (9)
- 導電性担体に担持され、貴金属に少なくとも1種の格子定数調整金属を添加した合金から成る貴金属合金電極触媒であって、当該電極触媒表面の一部が当該電極触媒を構成する貴金属合金に含まれる少なくとも1種の格子定数調整金属の酸化物で被覆されていることを特徴とする燃料電池用空気極触媒。
- 上記貴金属合金中における格子定数調整金属の固溶率が5〜60原子%であることを特徴とする請求項1に記載の燃料電池用空気極触媒。
- 添加された格子定数調整金属のうちの10〜80原子%が貴金属に固溶させてあり、残りが酸化物となっていることを特徴とする請求項1又は2に記載の燃料電池用空気極触媒。
- 上記貴金属は、Pt、Pd、Ir及びAgから成る群より選ばれた少なくとも1種の金属であることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1つの項に記載の燃料電池用空気極触媒。
- 格子定数調整金属は、Ti、V、Cr、Co、Ga、W、Y、Zr、Nb、Mo及びIrから成る群より選ばれた少なくとも1種の金属であることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1つの項に記載の燃料電池用空気極触媒。
- 請求項1〜5のいずれか1つの項に記載の燃料電池用空気極触媒を製造する方法であって、
合金化熱処理によって格子定数調整金属の一部を貴金属に固溶させる第1の工程と、固溶せずに残存した格子定数調整金属を酸化処理することによって当該格子定数調整金属の酸化物を形成する第2の工程を含むことを特徴とする燃料電池用空気極触媒の製造方法。 - 上記合金化熱処理を400〜1000℃の温度範囲で行うことを特徴とする請求項6に記載の燃料電池用空気極触媒の製造方法。
- 上記酸化処理を0〜300℃の温度範囲で行うことを特徴とする請求項6又は7に記載の燃料電池用空気極触媒の製造方法。
- 請求項1〜5のいずれか1つの項に記載の燃料電池用空気極触媒を備えたことを特徴とする燃料電池。
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