JP2005001968A - 多孔質炭素の製造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】石炭系生コークスを原料として、安価に高静電容量を発現する電気二重層キャパシタの分極性電極用炭素材料を製造する。
【解決手段】石炭系重質油またはタールピッチや石油系重質油から選択される少なくとも一種を原料とするディレードコーカーによる生コークス製造工程で、原料油中にアルカリ金属(K,Na,Li)/アルカリ土類金属(Ca,Mg,Zn)/遷移金属(Fe,Ni,Co)元素のうちの1種以上を添加したのち、賦活成分が分散した生コークスを水蒸気、二酸化炭素および酸素から選択される少なくとも一種を有効成分とする酸化性ガスで賦活又はアルカリ賦活処理して多孔質炭素を製造する。また得られた多孔質炭素を電極としたことを特徴とする電気二重層キャパシタ。
【選択図】 なし
【解決手段】石炭系重質油またはタールピッチや石油系重質油から選択される少なくとも一種を原料とするディレードコーカーによる生コークス製造工程で、原料油中にアルカリ金属(K,Na,Li)/アルカリ土類金属(Ca,Mg,Zn)/遷移金属(Fe,Ni,Co)元素のうちの1種以上を添加したのち、賦活成分が分散した生コークスを水蒸気、二酸化炭素および酸素から選択される少なくとも一種を有効成分とする酸化性ガスで賦活又はアルカリ賦活処理して多孔質炭素を製造する。また得られた多孔質炭素を電極としたことを特徴とする電気二重層キャパシタ。
【選択図】 なし
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、比表面積が大きく、電気二重層キャパシタに用いたときの充填密度が高く、重量あたりの容量が高い多孔質炭素微粉と、これを使用した電気二重層キャパシタに関する。
【0002】
【従来の技術】
電気二重層とは、固体と液体など二つの異なる層が接触すると、その境界面にプラスとマイナスの電荷が存在する状態をいう。この原理を利用し電気を貯蔵したものが、電気二重層キャパシタである。通常使われる電池に比べ、急速充電が可能なこと、化学反応を伴わないので繰り返し充放電による劣化が少ないこと、メンテナンスフリー等非常に優れた特性を示す素子である。
【0003】
電気二重層キャパシタの用途はコンピュータ用のメモリーバックアップに利用されつつあるし、自動車などのパワー用途分野でもハイブリッドカーへの応用展開が活発化している。また、電気二重層キャパシタに活性炭等の多孔質炭素材料を使用することは知られている(例えば特許文献1参照)。
【0004】
電気二重層キャパシタでは非常に優れた特性を持つがエネルギー密度が低いことが電池との違いである。電気二重層キャパシタでは界面に形成される電気二重層は静電容量Cで示される。静電容量を改善するためにいろいろな検討がなされてきた。電気二重層は固体と液体の界面で発生するために固体の表面積を増やし界面を増やすことが試みられてきた。また、電気二重層キャパシタに使用される静電容量を増加させるために充填密度を向上させる方法も試みられてきた。
【0005】
充填密度を向上させるために近年生コークス製造時に発生するメソフェースを取出したメソカーボンマイクロビーズを使用する方法が報告されている(例えば特許文献2、特許文献3参照)。これは、メソフェースがコーキング時に合体してバルクメソフェースになる前に抽出で取出したものであり、球形の生コークスである。このメソカーボンマイクロビーズを賦活処理して表面積を増加させることで、重量あたりの静電容量を向上させると共に、球形による形状のために体積あたりの静電容量を発現させるものである。しかし、メソカーボンマイクロビーズは製造設備に多大のコストがかかりすぎるなどの問題があった。
【0006】
【特許文献1】
特開2001−319837号公報
【特許文献2】
特開2001−302225号公報
【特許文献3】
特開2001−302226号公報
【特許文献4】
特開2001−118753号公報
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的は、ディレードコーキング法を適用することで、比較的安価に、且つ工業的に大量に製造することが可能な静電容量の高い電気二重層キャパシタを与える多孔質炭素の製造方法を提供することである。また、他の目的は静電容量の高い電気二重層キャパシタを提供することである。
【0008】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、前記の課題を解決するため鋭意研究を行った結果、コールタールピッチあるいは石油系重油等の重質油を原料にピッチコークスを製造するディレードコーキング法において、この重質油原料にアルカリ金属(K,Na,Li)、アルカリ土類金属(Ca,Mg)、遷移金属(Fe,Ni,Co)から選択される少なくとも1種の金属元素を賦活剤として添加した生コークスを原料することで、安価に静電容量の高い電気二重層キャパシタを製造可能であることを見出し、本発明に到った。
作用機構は不確定であるが、金属元素添加の場合、表記金属元素は炭素促進作用が知られている。このため炭素中の黒鉛化度の不均一化が進み、酸化ガスによる炭素自体のエッチング耐性がミクロレベルで変わると考えられること、及び金属によるガス化触媒作用の両機構が併発していると推定している。
【0009】
【発明の実施の形態】
以下、本発明を詳細に説明する
本発明ではピッチ、瀝青物、重油等と称される石炭系又は石油系の重質油を原料に用いるディレードコーカーを使用する。原料の重質油は、公知の範囲で選定すれば差し支えない。原料油には一般にキノリン不溶分(QI)が含まれ、QIを1wt%程度以下にすると異方性の生コークスが得られ、数%以上であると等方性の生コークスが得られるが、異方性の生コークスが電極用炭素材料として優れる傾向が認められる。しかし、等方性の生コークスであっても電極用炭素材料として優れるものが得られるので、30wt%程度までのQIの存在は差支えない。
【0010】
ディレードコーカーの運転条件は公知の範囲で差し支えなく、通常、400〜600℃程度、5〜50時間程度の条件でディレードコーキングが行われる。ディレードコーキング条件は、好ましくは450〜550℃程度、15〜25時間程度であり、得られる生コークスの揮発分は通常5〜15%程度になる。
【0011】
賦活剤は、原料油のフィード部に定量ポンプ等で原料油に対して添加することができる。原料油に安定供給できれば供給方法は限定されない。
改質剤は、アルカリ金属(K,Na,Li)、アルカリ土類金属(Ca,Mg)、8族遷移金属(Fe,Ni,Co)を有機又は無機塩、有機錯体等の形態で単独又は溶剤分散して供給することができる。
添加量は、金属元素含有量として原料油に対し、0.05以上10wt%の範囲が好ましい。
【0012】
添加剤として黒鉛微紛を添加する場合は、黒鉛を微粉砕後、重質油に事前に分散してから添加することができる。使用する黒鉛は電気伝導性に優れた黒鉛材料であれば、原料は制限されない。粉砕粒子径は、電気二重層キャパシタに必要な粒子径にあわせて粉砕するのが良い。平均粒子径は20μ以下、更に好ましくは10μ以下が好ましい。
【0013】
ディレードコーキングで得られた生コークスは、必要なら更に熱処理を行い、次いで賦活処理を行う。賦活にあたっては、反応が均等に進行する程度に粉砕するが良い。処理を効果的に行うために平均粒径が2mm以下とすることがよく、粉砕は公知の方法で差し支えない。
尚、ディレードコーキング温度が低い場合は、生コークスの揮発分が高くなり、高温で行う賦活処理時に融着現象が起こり、粉体のまま取出すことができなくなる場合がある。このような場合には、表面を酸化して融着現象を抑えることが可能である。酸化は酸化性のガスや液体であれば特に限定するものではなく、コストの面から見れば気体であれば空気、液体であれば硫酸が望ましい。
【0014】
賦活工程については、酸化性ガス賦活は、空気、酸素、二酸化炭素、水蒸気などのガスの存在下で加熱を行う公知の方法を採用できる。不活性ガスで希釈しても良い。また、上記2つの賦活処理を組合せてもよいし、処理条件が合致すれば同時に行ってもよいし、順次行ってもよい。これらの賦活処理の組合せは、生コークスの構造や性状及び目的とされる比表面積や細孔分布とから、考慮し決定すればよい。賦活温度は、限定されないが、通常800−900℃が好ましい。賦活処理時間は、賦活処理温度によって変化するが、通常0.1〜10hr、好ましくは0.5〜5hr程度である。
【0015】
生コークス粉末を賦活処理して得た多孔質炭素は、冷却、必要なら酸洗浄、水洗、粉砕等がされた後、キャパシタ用多孔質炭素材料として使用することができる。キャパシタとしては、多孔質炭素材料を使用した電極、電解液及びセパレータを構成要素として含む公知の電気二重層キャパシタがある。このようなキャパシタは、前記特許文献1〜3やその他(例えば特許文献4参照)に詳細に記載されているのでこれが参照される。多孔質炭素材料を使用した電極は例えば、前記多孔質炭素材料に、導電材としてのアセチレンブラック、結合材としてのポリテトラフルオロエチレン(PTFE)及び溶媒を混合してペースト状にし、これを圧縮成形し、加熱乾燥して所定の電極形状にすることにより得ることができる。分極性電極は、例えば、前記電極の片面にアルミニウム等の金属を溶射又は圧接して導電性集電材層を設けたり、前記ペースト状物をアルミニウム等の金属箔に塗布し、加熱乾燥することにより得ることができる。
【0016】
【実施例】
以下の実施例によって本発明を更に具体的に説明するが、本発明はこの実施例によって何ら限定されるものではない。また、%はwt%である。
【0017】
実施例1
キノリン不溶分(QI)を0.1%以下にコントロールした石炭系重質油を原料とした石炭系重質油に対し、KOHは、予め原料油に分散させておき、1wt%添加し、ディレードコーカーで500℃で24hrコーキングして等方性生コークスを得た。元素分析の結果、生コークス中のK元素含有量は1.8wt%であった。この生コークスを、粉砕機で粉砕後、分級し、平均粒径1mm(0.1−2mm)の生コークス粒を得た。このものを100g取り、小型ロータリキルン内で、水蒸気雰囲気下、900℃3時間反応させた。その後、これを冷却、水洗、乾燥して多孔質炭素材料を得た。得られた炭素材料の表面積測定結果と静電容量の測定結果を表1に示す。
【0018】
実施例2
キノリン不溶分(QI)を0.1%以下にコントロールした石炭系重質油を原料とした石炭系重質油に対し、塩化鉄を予め原料油に分散したものを1wt%添加し、ディレードコーカーで500℃で24hrコーキングして等方性生コークスを得た。この生コークス中のFe元素含有量は2.1%であった。この生コークスを、粉砕機で粉砕後、分級し、平均粒径1mm(0.1−2mm)の生コークス粒を得た。このものを100g取り、小型ロータリキルン内で、水蒸気10g/分の割合で供給し900℃3時間反応させた。その後、これを冷却、水洗、乾燥して多孔質炭素材料を得た。得られた炭素材料の表面積測定結果と静電容量の測定結果を表1に示す。
【0019】
比較例
原料油中に賦活剤を添加しない以外は実施例1と同じ方法で調整した炭素材料の表面積測定結果と静電容量の測定結果を表1に示す。
【0020】
BET表面積の測定には、ユアサアイオニクス社製AUTOSORB 1−C装置を用いた。
【0021】
静電容量の測定は、実施例及び比較例で得られた多孔質炭素材料を30μに粉砕した微紛とカーボンブラック(ケッチェンブラック)、PTFEを8:1:1になるように配合して混連/シート化し、電極を調製した。電極二枚を重ね合わせてキャパシタを作成し、充放電特性から電気容量を求めた。作成したキャパシタの放電電流は2.4mAとした。電解液はEt4NBF4のプロピレンカーボネート溶液を用い、放電容量Cは、TOYO SYSTEM製TOSCAT−3000K装置を用い、次の式の放電勾配より求めた。
C=I×(T2−T1)/(V1−V2)
V1:充電電圧の80%となる値
V2:充電電圧の40%となる値
T1:V1における時間
T2:V2における時間
I:放電電量
【0022】
【表1】
【0023】
含有元素の分析は、通常の原子吸光法によった。
【0024】
【発明の効果】
本発明の方法によれば、ピッチコークスを原料として安価で高静電容量を発現する電気二重層キャパシタ用分極性電極材料の製造が可能となる。
【発明の属する技術分野】
本発明は、比表面積が大きく、電気二重層キャパシタに用いたときの充填密度が高く、重量あたりの容量が高い多孔質炭素微粉と、これを使用した電気二重層キャパシタに関する。
【0002】
【従来の技術】
電気二重層とは、固体と液体など二つの異なる層が接触すると、その境界面にプラスとマイナスの電荷が存在する状態をいう。この原理を利用し電気を貯蔵したものが、電気二重層キャパシタである。通常使われる電池に比べ、急速充電が可能なこと、化学反応を伴わないので繰り返し充放電による劣化が少ないこと、メンテナンスフリー等非常に優れた特性を示す素子である。
【0003】
電気二重層キャパシタの用途はコンピュータ用のメモリーバックアップに利用されつつあるし、自動車などのパワー用途分野でもハイブリッドカーへの応用展開が活発化している。また、電気二重層キャパシタに活性炭等の多孔質炭素材料を使用することは知られている(例えば特許文献1参照)。
【0004】
電気二重層キャパシタでは非常に優れた特性を持つがエネルギー密度が低いことが電池との違いである。電気二重層キャパシタでは界面に形成される電気二重層は静電容量Cで示される。静電容量を改善するためにいろいろな検討がなされてきた。電気二重層は固体と液体の界面で発生するために固体の表面積を増やし界面を増やすことが試みられてきた。また、電気二重層キャパシタに使用される静電容量を増加させるために充填密度を向上させる方法も試みられてきた。
【0005】
充填密度を向上させるために近年生コークス製造時に発生するメソフェースを取出したメソカーボンマイクロビーズを使用する方法が報告されている(例えば特許文献2、特許文献3参照)。これは、メソフェースがコーキング時に合体してバルクメソフェースになる前に抽出で取出したものであり、球形の生コークスである。このメソカーボンマイクロビーズを賦活処理して表面積を増加させることで、重量あたりの静電容量を向上させると共に、球形による形状のために体積あたりの静電容量を発現させるものである。しかし、メソカーボンマイクロビーズは製造設備に多大のコストがかかりすぎるなどの問題があった。
【0006】
【特許文献1】
特開2001−319837号公報
【特許文献2】
特開2001−302225号公報
【特許文献3】
特開2001−302226号公報
【特許文献4】
特開2001−118753号公報
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的は、ディレードコーキング法を適用することで、比較的安価に、且つ工業的に大量に製造することが可能な静電容量の高い電気二重層キャパシタを与える多孔質炭素の製造方法を提供することである。また、他の目的は静電容量の高い電気二重層キャパシタを提供することである。
【0008】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、前記の課題を解決するため鋭意研究を行った結果、コールタールピッチあるいは石油系重油等の重質油を原料にピッチコークスを製造するディレードコーキング法において、この重質油原料にアルカリ金属(K,Na,Li)、アルカリ土類金属(Ca,Mg)、遷移金属(Fe,Ni,Co)から選択される少なくとも1種の金属元素を賦活剤として添加した生コークスを原料することで、安価に静電容量の高い電気二重層キャパシタを製造可能であることを見出し、本発明に到った。
作用機構は不確定であるが、金属元素添加の場合、表記金属元素は炭素促進作用が知られている。このため炭素中の黒鉛化度の不均一化が進み、酸化ガスによる炭素自体のエッチング耐性がミクロレベルで変わると考えられること、及び金属によるガス化触媒作用の両機構が併発していると推定している。
【0009】
【発明の実施の形態】
以下、本発明を詳細に説明する
本発明ではピッチ、瀝青物、重油等と称される石炭系又は石油系の重質油を原料に用いるディレードコーカーを使用する。原料の重質油は、公知の範囲で選定すれば差し支えない。原料油には一般にキノリン不溶分(QI)が含まれ、QIを1wt%程度以下にすると異方性の生コークスが得られ、数%以上であると等方性の生コークスが得られるが、異方性の生コークスが電極用炭素材料として優れる傾向が認められる。しかし、等方性の生コークスであっても電極用炭素材料として優れるものが得られるので、30wt%程度までのQIの存在は差支えない。
【0010】
ディレードコーカーの運転条件は公知の範囲で差し支えなく、通常、400〜600℃程度、5〜50時間程度の条件でディレードコーキングが行われる。ディレードコーキング条件は、好ましくは450〜550℃程度、15〜25時間程度であり、得られる生コークスの揮発分は通常5〜15%程度になる。
【0011】
賦活剤は、原料油のフィード部に定量ポンプ等で原料油に対して添加することができる。原料油に安定供給できれば供給方法は限定されない。
改質剤は、アルカリ金属(K,Na,Li)、アルカリ土類金属(Ca,Mg)、8族遷移金属(Fe,Ni,Co)を有機又は無機塩、有機錯体等の形態で単独又は溶剤分散して供給することができる。
添加量は、金属元素含有量として原料油に対し、0.05以上10wt%の範囲が好ましい。
【0012】
添加剤として黒鉛微紛を添加する場合は、黒鉛を微粉砕後、重質油に事前に分散してから添加することができる。使用する黒鉛は電気伝導性に優れた黒鉛材料であれば、原料は制限されない。粉砕粒子径は、電気二重層キャパシタに必要な粒子径にあわせて粉砕するのが良い。平均粒子径は20μ以下、更に好ましくは10μ以下が好ましい。
【0013】
ディレードコーキングで得られた生コークスは、必要なら更に熱処理を行い、次いで賦活処理を行う。賦活にあたっては、反応が均等に進行する程度に粉砕するが良い。処理を効果的に行うために平均粒径が2mm以下とすることがよく、粉砕は公知の方法で差し支えない。
尚、ディレードコーキング温度が低い場合は、生コークスの揮発分が高くなり、高温で行う賦活処理時に融着現象が起こり、粉体のまま取出すことができなくなる場合がある。このような場合には、表面を酸化して融着現象を抑えることが可能である。酸化は酸化性のガスや液体であれば特に限定するものではなく、コストの面から見れば気体であれば空気、液体であれば硫酸が望ましい。
【0014】
賦活工程については、酸化性ガス賦活は、空気、酸素、二酸化炭素、水蒸気などのガスの存在下で加熱を行う公知の方法を採用できる。不活性ガスで希釈しても良い。また、上記2つの賦活処理を組合せてもよいし、処理条件が合致すれば同時に行ってもよいし、順次行ってもよい。これらの賦活処理の組合せは、生コークスの構造や性状及び目的とされる比表面積や細孔分布とから、考慮し決定すればよい。賦活温度は、限定されないが、通常800−900℃が好ましい。賦活処理時間は、賦活処理温度によって変化するが、通常0.1〜10hr、好ましくは0.5〜5hr程度である。
【0015】
生コークス粉末を賦活処理して得た多孔質炭素は、冷却、必要なら酸洗浄、水洗、粉砕等がされた後、キャパシタ用多孔質炭素材料として使用することができる。キャパシタとしては、多孔質炭素材料を使用した電極、電解液及びセパレータを構成要素として含む公知の電気二重層キャパシタがある。このようなキャパシタは、前記特許文献1〜3やその他(例えば特許文献4参照)に詳細に記載されているのでこれが参照される。多孔質炭素材料を使用した電極は例えば、前記多孔質炭素材料に、導電材としてのアセチレンブラック、結合材としてのポリテトラフルオロエチレン(PTFE)及び溶媒を混合してペースト状にし、これを圧縮成形し、加熱乾燥して所定の電極形状にすることにより得ることができる。分極性電極は、例えば、前記電極の片面にアルミニウム等の金属を溶射又は圧接して導電性集電材層を設けたり、前記ペースト状物をアルミニウム等の金属箔に塗布し、加熱乾燥することにより得ることができる。
【0016】
【実施例】
以下の実施例によって本発明を更に具体的に説明するが、本発明はこの実施例によって何ら限定されるものではない。また、%はwt%である。
【0017】
実施例1
キノリン不溶分(QI)を0.1%以下にコントロールした石炭系重質油を原料とした石炭系重質油に対し、KOHは、予め原料油に分散させておき、1wt%添加し、ディレードコーカーで500℃で24hrコーキングして等方性生コークスを得た。元素分析の結果、生コークス中のK元素含有量は1.8wt%であった。この生コークスを、粉砕機で粉砕後、分級し、平均粒径1mm(0.1−2mm)の生コークス粒を得た。このものを100g取り、小型ロータリキルン内で、水蒸気雰囲気下、900℃3時間反応させた。その後、これを冷却、水洗、乾燥して多孔質炭素材料を得た。得られた炭素材料の表面積測定結果と静電容量の測定結果を表1に示す。
【0018】
実施例2
キノリン不溶分(QI)を0.1%以下にコントロールした石炭系重質油を原料とした石炭系重質油に対し、塩化鉄を予め原料油に分散したものを1wt%添加し、ディレードコーカーで500℃で24hrコーキングして等方性生コークスを得た。この生コークス中のFe元素含有量は2.1%であった。この生コークスを、粉砕機で粉砕後、分級し、平均粒径1mm(0.1−2mm)の生コークス粒を得た。このものを100g取り、小型ロータリキルン内で、水蒸気10g/分の割合で供給し900℃3時間反応させた。その後、これを冷却、水洗、乾燥して多孔質炭素材料を得た。得られた炭素材料の表面積測定結果と静電容量の測定結果を表1に示す。
【0019】
比較例
原料油中に賦活剤を添加しない以外は実施例1と同じ方法で調整した炭素材料の表面積測定結果と静電容量の測定結果を表1に示す。
【0020】
BET表面積の測定には、ユアサアイオニクス社製AUTOSORB 1−C装置を用いた。
【0021】
静電容量の測定は、実施例及び比較例で得られた多孔質炭素材料を30μに粉砕した微紛とカーボンブラック(ケッチェンブラック)、PTFEを8:1:1になるように配合して混連/シート化し、電極を調製した。電極二枚を重ね合わせてキャパシタを作成し、充放電特性から電気容量を求めた。作成したキャパシタの放電電流は2.4mAとした。電解液はEt4NBF4のプロピレンカーボネート溶液を用い、放電容量Cは、TOYO SYSTEM製TOSCAT−3000K装置を用い、次の式の放電勾配より求めた。
C=I×(T2−T1)/(V1−V2)
V1:充電電圧の80%となる値
V2:充電電圧の40%となる値
T1:V1における時間
T2:V2における時間
I:放電電量
【0022】
【表1】
【0023】
含有元素の分析は、通常の原子吸光法によった。
【0024】
【発明の効果】
本発明の方法によれば、ピッチコークスを原料として安価で高静電容量を発現する電気二重層キャパシタ用分極性電極材料の製造が可能となる。
Claims (6)
- ディレードコーカーの原料油中に賦活剤を添加し、賦活成分が分散した生コークスを原料とすることを特徴とする多孔質炭素の製造方法。
- 賦活剤が、アルカリ金属(K,Na,Li)、アルカリ土類金属(Ca,Mg,Zn)、遷移金属(Fe,Ni,Co)から選択される少なくとも1種の金属元素又は金属化合物であることを特徴とする請求項1記載の多孔質炭素の製造方法。
- 原料油が石炭系重質油または石油系重質油から選択される少なくとも一種を原料とすることを特徴とする請求項1または2に記載の製造方法。
- 金属元素含有量が、原料油に対し0.1〜20wt%であることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の多孔質炭素の製造方法。
- 生コークスを水蒸気、二酸化炭素および酸素から選択される少なくとも一種を有効成分とする酸化性ガスで賦活処理することを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の多孔質炭素の製造方法。
- 請求項1〜5のいずれかに記載の製造方法によって得られた多孔質炭素を電極としたことを特徴とする電気二重層キャパシタ。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2003169948A JP2005001968A (ja) | 2003-06-13 | 2003-06-13 | 多孔質炭素の製造方法 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2003169948A JP2005001968A (ja) | 2003-06-13 | 2003-06-13 | 多孔質炭素の製造方法 |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JP2005001968A true JP2005001968A (ja) | 2005-01-06 |
Family
ID=34094932
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP2003169948A Withdrawn JP2005001968A (ja) | 2003-06-13 | 2003-06-13 | 多孔質炭素の製造方法 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP2005001968A (ja) |
Cited By (7)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2006269961A (ja) * | 2005-03-25 | 2006-10-05 | Japan Energy Corp | 電極材料用炭素質物 |
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