JP2004503341A - 物質を経皮的に投与する投与器具 - Google Patents

Abstract

物質を患者の皮膚中へ投与する器具が、ハウジングと、皮膚を穿刺する複数本の微小針とを有する。ハウジングは、物質を微小針に供給する複数の孔を備えた底壁を有している。ハウジングは、投与されるべき物質の入った袋を包囲する可撓性トップカバー部材を更に有している。ハウジングの底壁は、袋に向いた少なくとも１つのカニューレを有している。トップカバー部材を押すと、カニューレは、袋を穿通して物質を患者への投与のために微小針に送る。一実施形態では、カニューレは、可撓性部材で包囲されており、この可撓性部材は、これを押し下げるのに十分な圧力がトップカバー部材に加えられるまで袋の穿通を阻止するようになっている。

Description

【０００１】
〔発明の分野〕
本発明は、物質、例えば薬剤又は医薬品を経皮的に患者に投与する方法及び投与器具に関する。特に、本発明は、希釈剤又は賦形薬を収容していて、再構成された薬剤を経皮的に患者に投与する器具に関する。
【０００２】
〔発明の背景〕
医薬品、薬剤及び他の物質を経皮的に投与する種々の器具が提案されている。標準型カニューレを用いる皮下投薬法は多くの用途で有効であるが、通常カニューレにより引き起こされる痛みに鑑みて、痛みの少ない投薬方法の開発が促された。
【０００３】
あらかじめ充填（以下、「予備充填」）という）された注射器及び他の投与器具を用いることは、１つには便利であること及び汚染の恐れが少ないことにより最近の数年間において著しく増大した。予備充填注射器は一般に、長期間安定した薬剤溶液に適している。薬剤溶液はそれ自体、安定性がなければならず、しかもこの溶液は、貯蔵中、注射器バレル又は他の容器と反応してはならない。或る薬剤は、本来的に溶液中で不安定であり、乾燥又は凍結乾燥状態の粉末として貯蔵されるのが通例であり、かかる粉末は使用に先立って再構成の必要がある。これら薬剤は、標準型の予備充填注射器には適していない。
最近の数年間において多くの注目を浴びた方法は、微小孔又は切れ目を角質層に形成することにより皮膚を通して薬剤を投与することである。角質層を穿刺して薬剤を角質層中又はその下で皮膚に投与することにより、多くの薬剤を効果的に投与することができる。角質層を穿刺する器具は一般に、表皮を完全に貫通することなく、角質層を穿刺する長さを備えた複数本のミクロンサイズの針又はブレードを有している。これら器具の例が、ゴッドシャル（Ｇｏｄｓｈａｌｌ）氏等に付与された米国特許第５，８７９，３２６号明細書、リー（Ｌｅｅ ）氏等に付与された米国特許第５，２５０，０２３号及び国際公開第ＷＯ９７／４８４４０号パンフレットに開示されている。
【０００４】
皮膚は、幾つかの層で構成されており、上に位置する複合層は、上皮層である。皮膚の最も外側に位置する層は、角質層であり、この角質層は、分子及び種々の物質が身体に入ったり分析物が身体から出るのを防止するよう周知のバリヤ特性を備えている。角質層は、角質化した細胞レムナントを押し固めたものから成る複雑な構造であり、その厚さは約１０〜３０ミクロンである。
【０００５】
角質層の生まれつき備わった不透過性は、皮膚を通る大抵の医薬品及び他の物質の投与を阻止する。皮膚の透過性を高め、身体によって利用できる種々の薬剤の皮膚経由の拡散性を促進する多くの方法及び器具が提案された。典型的には、皮膚経由の薬剤投与は、皮膚の透過性を高めるか、或いは薬剤を皮膚中へ差し向けるのに用いられる力又はエネルギを増大させることによって促進される。
皮膚を通る薬剤の投与のための力を増大させる方法の一例は、イオン電気導入法（イオン浸透療法とも呼ばれる）である。イオン電気導入法では一般に、外部電界をかけて薬剤をイオン化し、それにより皮膚を通る薬剤の拡散を促進する。しかしながら、イオン電気導入法を用いた薬剤投与の量及び速度を制御することは困難な場合がある。かかる状況の下で、イオン電気導入法は、イオン化の程度、薬剤をイオン化するのに加えられるエネルギ及び治療期間に応じて皮膚の損傷を引き起こす場合がある。
【０００６】
また、皮膚を通る薬物の拡散を促進するために音波、特に超音波エネルギが用いられている。音波エネルギを発生させるには典型的には、電流を圧電結晶又は他の適当な電気機械的装置に流す。音波エネルギを用いる薬剤投与性能を向上させる多くの手法が提案されたが、結果は一般に、薬剤投与速度は低いものである。
薬剤の経皮的投与のための従来方法及び器械では、限られた成功しか収めることができなかった。したがって、当該技術分野において、種々の薬剤及び他の物質の投与のための改良型器具が要望され続けている。
【０００７】
〔発明の概要〕
本発明は、物質、例えば薬剤、ワクチン又は他の医薬品を患者に経皮的に投与する方法及び器具に関する。特に、本発明は、医薬品を身体が吸収して利用できる十分な深さまで医薬品を皮膚の角質層に投与する方法及び器具に関する。
したがって、本発明の主目的は、医薬品を再構成し、薬品を実質的に患者に痛みを与えないで皮膚を通して経皮的に投与する方法及び器具を提供することにある。
【０００８】
本発明の別の目的は、物質を収容したリザーバを及び物質を皮膚に投与するために皮膚の角質層を穿刺する複数の微小針又はブレードを備えた予備充填状態の投与器具を提供することにある。
本発明の別の目的は、乾燥状態の医薬品及び希釈剤を収容していて、乾燥状態の医薬品を再構成し、医薬品を患者に投与するリザーバを有する器具を提供することにある。
本発明の別の目的は、物質を収容した袋及び袋を穿通して物質を小出しし、物質を患者に投与するカニューレを有する器具を提供することにある。
【０００９】
本発明の別の目的は、物質の経皮的投与のための器具であって、物質を収容した袋、袋を穿通するカニューレ及び袋の時期尚早な穿通を阻止する保護シールドを有する器具を提供することにある。
本発明のさらに別の目的は、医薬品の経皮的な投与のための器具であって、角質層を穿刺する複数の微小針及び医薬品を収容していて、医薬品を微小針に送る袋を有する器具を提供することにある。
本発明の別の目的は、角質層を穿刺する複数の微小針及び器具を患者の皮膚に接着剤で取り付ける外側接着剤パッチを有する器具を提供することにある。
【００１０】
本発明のさらに別の目的は、皮膚の角質層を穿刺するアレイ状に配列された微小針、物質を収容した可撓性袋及び物質を微小針に小出しするよう袋に向かって撓ませることができる可撓性カバーを有する経皮的投与器具を提供することにある。
本発明の別の目的は、物質を患者に経皮的に投与する器具であって、アレイ状に配列された微小針及び微小針状に設けられた乾燥状態の物質を有し、乾燥状態の物質は、器具内の袋から希釈剤を小出しすることにより再構成されるようになった器具を提供することにある。
【００１１】
本発明の上記目的及び他の目的は実質的に、物質を患者の皮膚中へ導入する器具によって達成される。この器具は、中央開口部を備えたハウジングと、ハウジングの中央開口部内に配置された平らな部材とを有する。平らな部材は、内面及び外面を有し、外面からは複数本の微小針が延びている。平らな部材は、平らな部材を貫通して内面から外面まで延びる少なくとも１つの開口部及び内面上に設けられた少なくとも１つのカニューレを更に有する。可撓性カバーが、ハウジング内にキャビティを構成するよう中央開口部を覆うと共に平らな部材から間隔を置いて位置した状態でハウジングに結合されている。少なくとも１種類の物質を収容した袋が、平らな部材と可撓性カバーとの間でハウジングのキャビティ内に配置されている。袋は、カニューレによって穿通可能であり、開口部を通って物質を微小針に小出しするよう可撓性カバーを押すことによって押しつぶし可能である。
【００１２】
本発明の目的及び利点は更に、物質を患者の皮膚に投与する投与器具によって達成される。この器具は、キャビティを構成する底壁と少なくとも１つの側壁を備えたハウジングを有する。底壁は、複数の微小針及び底壁を貫通して微小針まで延びる複数の通路を有する。可撓性カバーが、ハウジングに結合されると共にキャビティを包囲している。可撓性カバーは、第１の位置では全体として弧状の外面を有し、第１の位置から底壁に向かう第２の位置に動くことができる。袋が、物質を収容しており、袋は、キャビティ内に配置され、底壁の通路を通して物質を微小針に小出しするよう圧力を可撓性カバーに加えることにより押しつぶし可能である。
【００１３】
本発明の別の目的は、患者の皮膚を通して物質、例えば医薬品を投与する方法であって、キャビティを構成する底壁と少なくとも１つの側壁を備えたハウジングを有する投与器具を準備する段階を有する方法を提供することにある。底壁は、外面を有し、外面から複数本の微小針が延び、底壁は、底壁を貫通してキャビティから微小針まで延びる複数の通路を有する。袋が、少なくとも１種類の物質を収容しており、袋は、キャビティ内に配置され、可撓性カバーが、キャビティを包囲している。器具を患者の皮膚に接触させ、微小針が、物質を患者に投与するのに十分な深さ、皮膚を穿刺するようにするのに十分な圧力を器具に加える。十分な圧力を可撓性カバーに加えて袋を破裂させ、物質を微小針に小出しする。
本発明の目的、利点及び新規な特徴は、添付の図面と関連して本発明の好ましい実施形態を開示する以下の詳細な説明から明らかになろう。
【００１４】
〔好ましい実施形態の詳細な説明〕
本発明は、物質を患者に投与する表皮内投与器具に関する。特に、本発明は、薬剤溶液又は乾燥薬剤の希釈剤を収容した予備充填状態の投与器具及び薬剤溶液又は再構成薬剤溶液を患者の皮膚の角質層中又はその下へ投与する方法に関する。「皮内」という用語は、皮膚内の１以上の層を意味し、皮膚の真皮層には限定されない。
【００１５】
本発明の器具及び方法は、医薬品を含む種々の物質を患者、特に人に投与する際に用いるのに特に適している。本明細書で用いる「医薬品」という用語は、身体の膜及び表面、特に皮膚を通して投与できる生物学的活性を備えた物質を含む。例としては、抗生物質、抗ウイルス剤、鎮痛薬、麻酔薬、食欲抑制剤、抗関節炎薬、抗うつ剤、抗ヒスタミン薬、抗炎症剤、抗腫瘍性薬、ＤＮＡワクチンを含むワクチン、アジュバント、生物製剤等が挙げられる。患者に皮内的に投与できる他の物質としては、蛋白質、ペプチド及びそのフラグメントが挙げられる。蛋白質及びペプチドは、生まれつき生じるものであってもよく、合成したものであってもよく、或いは組換えにより作ったものであってもよい。
本発明は、図１〜図４に示すようにハウジング１２、複数本の微小針１４及び予備充填袋１６を有する投与器具１０に関する。本発明は更に、投与器具１０を用いて物質を患者に投与する方法に関する。
【００１６】
図１〜図４を参照すると、この実施形態における器具１０のハウジング１２は、内壁２０を構成する中央開口部１８を備えた形状が全体として円形のものである。ハウジング１２は好ましくは、患者に投与されている物質に対して無反応の軟質プラスチック又はゴム状材料で作られる。図示の実施形態では、微小針１４は、平らな部材２２と一体に形成され、この平らな部材は、中央開口部１８に嵌まり込むよう寸法決めされている。平らな部材２２は好ましくは、中央開口部１８の形状と一致した形状を有し、内壁２０としっかりとした嵌着状態にある。平らな部材２２の外縁部２４は、流体密シールを形成するよう内壁２０に当接している。本発明の一実施形態では、平らな部材２２は、適当な接着剤又は他の適当な結合方法で内壁２０に取り付けられている。図２に示すように、平らな部材２２は、微小針１４がハウジング１２を越えて外方に向いた状態でハウジングの中央開口部１８内に配置されていて、以下に詳細に説明するように患者の皮膚と完全に接触するようになっている。
【００１７】
図１〜図４に示す実施形態のハウジング１２は、患者の皮膚の輪郭に一致するのに十分可撓性である。他の実施形態では、ハウジングを剛性材料で作ってもよい。ハウジング１２の底面２６は好ましくは、使用中、ハウジング１２を患者の皮膚に取り付ける感圧接着剤２８を有する。感圧接着剤２８は、接着ガーゼ包帯で通常用いられている当該技術分野で公知の適当な接着剤であるのがよい。接着剤層２８は好ましくは、中央開口部１８を包囲し、中央開口部１８及び微小針１４の周りに実質的に流体密のシールを形成することができる。
平らな部材２２は、ハウジング１２から外方に向いた微小針１４を備えたハウジング１２の底壁を形成している。図示の実施形態では、微小針１４は、平らな部材２２と一体形成される。変形実施形態では、別個の底壁を設け、微小針が形成された第２の部材をこれに重ね合わせて設けてもよい。
【００１８】
図１に示すように、シート材料の軟質フィルム４２がハウジング１２に取り付けられている。フィルム４２は、互いに反対方向にハウジングからはみ出す寸法のものである。フィルム４２は、接着ガーゼ包帯ストリップに類似した方法で投与器具１０を患者の皮膚に取り付ける接着剤の皮膜を有している。
投与器具１０は一般に、投与対象の物質と反応しないプラスチック材料から作られる。適当なプラスチック材料としては、当該技術分野で知られているように例えばポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエステル、ポリアミド及びポリカーボネートが挙げられる。微小針を当該技術分野で知られている方法で種々の材料から作ることができる。例えば、微小針をシリコン、ステンレス鋼、タングステン鋼、ニッケル、モリブデン、クロム、コバルト及びチタンの合金、セラミック、ガラスポリマー、他の非反応性金属及びこれらの合金で作るのがよい。
【００１９】
皮膚穿刺部材の長さ及び厚さは、投与される物質及び器具が当てられる場所の皮膚の厚さに応じて選択される。一実施形態では、微小針は、表皮を穿刺し又は通過しないで角質層を実質的に穿刺する。微小針は、皮膚を最高約２５０ミクロンまで穿刺する長さを有するのがよい。適当な微小針の長さは、約５〜２００ミクロンである。代表的には、微小針の長さは、約５〜約１００ミクロン、一般的に約１０〜４０ミクロンでる。図示の実施形態の微小針は、形状が全体として円錐形である。変形実施形態では、微小針は、三角形であってもよく、平らなブレードであってもよく、ピラミッド形のものであってもよい。代表的には、微小針は、器具の平面に垂直である。
【００２０】
微小針の幅は、皮膚の最適な穿刺を得るために約１５〜４０ゲージであるのがよい。微小針１４は一般に、アレイを形成するよう一様な間隔を置いた列（横列）と行（縦列）の状態に形成されている。微小針アレイの表面積は一般に、約０．５〜約５．０ｃｍ^２　である。列及び行の相互間隔は、投与対象の物質及び所望の用量に応じて様々であってよい。一実施形態では、微小針は、約０．０５ｍｍ〜約５．０ｍｍの距離をおいて設けられている。
【００２１】
図１〜図４の実施形態では、微小針１４は、各微小針１４及び平らな部材２２を軸方向に貫通して延びる中空通路３０を有している。各微小針の通路３０は、流体が皮膚表面への投与のために微小針を通って微小針の先端部３２に至ることができるように寸法決めされている。
全体としてドーム形のカバー部材３４が、中央開口部１８を完全に覆い、キャビティ３８をハウジング１２内に構成するようハウジング１２の頂面３６に取り付けられている。図２に示すように、カバー部材３４は、中央開口部１８の寸法よりも僅かに大きな寸法を有し、全体として凸状の外面４０を備えている。カバー部材３４は好ましくは、全体として下向きの方向に撓むのに十分可撓性であるプラスチックシート材料で作られる。一実施形態では、カバー部材３４は、そのドーム形状に戻るのに十分な記憶特性を有していて、押し下げられるとこれは逆の凹状の形状にスナップ動作できる材料で作られている。
【００２２】
軟質の袋１６がハウジング１２のキャビティ３８内に設けられている。袋１６は好ましくは、キャビティ３８の形状に一致することができ、内容物を小出しするよう押し下げ可能な軟質材料で作られた密閉状態の球状部材である。袋１６は、投与器具を組み立てる前に所望の物質であらかじめ充填されている。
カニューレ４４が、図２に示すように平らな部材２２の頂面４６上に設けられている。図示の実施形態では、３つのカニューレ４４が袋４２に向いて位置決めされている。ただし、使用する個数は必要に応じて様々であってよい。カニューレ４４は、全体として平らなベース４６及び袋を穿通できる尖った先端部４８を有している。カニューレ４４は、袋４２を穿通するのに十分な強度を備えた適当な金属又はプラスチックで作られたものであるのがよい。図２に示すように、カニューレ４４は、平らな部材２２に取り付けられた別個の要素である。変形実施形態では、カニューレ４４を平らな部材２２に一体形成してもよい。代表的には、カニューレ４４は、全体として円錐形の形をしている。ただし、袋１６を穿通できる任意適当な形状を用いてもよい。
【００２３】
袋１６は、患者に投与される薬剤溶液又は他の物質を収容することができる。好ましくは、袋１６は、投与対象の特定の薬剤溶液についてあらかじめ測定された用量を収容するよう寸法決めされている。
別の実施形態では、袋１６は、患者に投与されるべき物質を再構成する希釈剤又はキャリヤを収容している。希釈剤は例えば、蒸留水又は食塩水であるのがよい。好ましい実施形態では、乾燥状態の薬剤が、微小針の外面上に皮膜として設けられている。別の実施形態では、乾燥薬剤は、平らな部材２２の頂面又は通路３０内に施された皮膜であってもよい。この実施形態では、乾燥又は凍結乾燥薬剤又は医薬品を希釈剤中に溶解させ又は分散させ、そして患者に投与する。この実施形態は、不安定な薬剤溶液に特に適している。
【００２４】
投与器具１０は、物質を患者に投与する完全な予備充填ユニットとして製造される。この器具は、微小針１４上に設けられ、貯蔵及び輸送中における微小針の損傷又は汚染を防止する保護カバー（図示せず）を有するのがよい。これと同様に、保護剥離ライナー（図示せず）を接着剤に貼付し、そして器具を医療器具に通常用いられる適当な包装材料で包装するのがよい。
【００２５】
薬剤穿刺に対する抵抗を含む皮膚の主要なバリヤ特性は、角質層と呼ばれる皮膚の最も外側の層にある。表皮の内側層は一般に、神経層、マルピーギ層及び胚芽層と通称されている３つの層を有している。薬剤又は他の物質が角質層の下にいったん侵入すると、皮膚の次に位置する層中への耐浸透性が実質的に低くなり、最終的に身体による吸収が行われる。かくして、角質層下への物質の投与は、或る物質、特に或るワクチンを身体に投与する効果的な方式である。本発明の投与器具は、物質を角質層中又はその下に投与することができ、ここで物質は身体によって利用可能である。好ましくは、本発明の器具及び方法は、実質的に真皮を穿刺しないで角質層を穿通して角質層の下の組織層を標的にする。本明細書で用いる「穿刺」という用語は、皮膚の層にこれを完全に貫通しないで入ることをいう。「穿通」は、皮膚の層を完全に貫通することを意味する。本明細書で用いる「経皮的」という用語は、皮膚の１以上の層を通して物質、例えば医薬品、生物製剤又はワクチンを投与することを意味している。
【００２６】
使用にあたり、投与器具１０をその包装材から取り出し、剥離シート（もし設けられていれば）を剥離して器具の底面上の接着剤層を露出させる。投与器具１０を皮膚４８の所望の場所の上に置き、そのままで穏やかな下向きの圧力で押して、ついには微小針が皮膚の最も外側の層を穿刺し、接着剤層が皮膚に接触して微小針アレイの周りにシールを形成するようにする。また、穏やかな擦り動作を投与器具１０に対して行って微小針１４による皮膚の穿刺を助長するのがよい。次に、カバー部材３４を、カニューレ４４が袋１６を穿通するのに十分な圧力で、図３及び図４に示すように矢印５０の方向に下方に押す。圧力をカバー部材３４及び袋１６に加えて袋を潰し、袋の中身をキャビティ３８内へ押し出し、そして通路３０を通って微小針１４の先端部３２に至らせる。好ましくは、ハウジング１２の底部上の接着剤層２８及びフィルム４２は、薬剤溶液又は他の物質を微小針アレイの標的領域内に封じ込めるシールを形成し、かかる標的領域において、薬剤溶液又は他の物質は角質層に侵入することができ、そして身体によって吸収されるようになる。
【００２７】
一般に、カバー３４に加えられる圧力は、薬剤溶液が微小針１４の先端部まで流れることができるようにするほど十分であり、かかる先端部のところで、薬剤溶液は皮膚によって吸収される。別の実施形態では、カバー部材３４を硬いプラスチック材料で作ってもよく、したがってドーム状のカバー部材は、押圧されると、裏返し位置にスナップ動作し、そしてその裏返し位置を保持して袋に加わる一定の力を維持する。このように、一定の圧力を生じさせて物質を微小針に送ることができる。
【００２８】
図５の実施形態
図５は、第２の実施形態としての投与器具５２を示している。投与器具５２は、図１〜図４の実施形態と類似しており、中央開口部５６、底面５８及び頂面６０を備えたハウジング５４を有している。底面５８は好ましくは、中央開口部５６を包囲する感圧接着剤の層６２を備えている。接着剤６６が塗布された軟質フィルム６４が、投与器具５２を患者の皮膚６８に取り付けるためにハウジング５４の頂面６０に取り付けられている。
平らな部材７０は、アレイ状に配列された微小針７２を備えている。微小針７２は、平らな部材７０を貫通して延びる軸方向中空通路７４を備えている。袋７５が、先の実施形態の場合と同様、薬剤溶液、希釈剤又は他の物質を収容している。カニューレ７６が、平らな部材７０の頂面上に設けられ、可撓性カバー７８が、キャビティ８０を包囲するようハウジング５４に取り付けられている。
【００２９】
図５の実施形態では、微小針アレイと患者の皮膚６８が正しく接触しているかどうかを指示する指示器具８２がハウジング５４内に設けられている。図示の実施形態では、指示器具８２は、十分な下向きの圧力を投与器具５２に及ぼすと、皮膚に接触する電気器具である。指示器具８２は、ハウジング５４の底面６２から頂面６０まで延びるリード線によって互いに接続された１対の電極８４を有している。電極８４は、目視指示器８８、例えば液晶ディスプレイ又は液晶ダイオードを備えた電源８６に結合されている。
【００３０】
投与器具５４を電極８４が皮膚６８に接触するまで下向きの圧力で患者の皮膚６８に当てる。患者の皮膚の導電性により、電極８４相互間の電気回路が構成され又は閉じられて指示器８８を作動させ、それにより、薬剤溶液の投与に十分な深さまで皮膚を穿刺するのに十分な圧力が微小針７２に加えられていることが分かるようになる。次に、カバー部材７８を押し下げてカニューレ７６により袋７５を穿通し、袋７５の内容物を小出しする。
図示の実施形態では、指示器具は、患者の皮膚の導電性を利用する電気器具である。別の実施形態では、指示器は、十分な圧力が微小針アレイに加えられていることが分かるようにすることができる圧力センサ装置又は他の適当な装置であってもよい。
【００３１】
図６の実施形態
図６は、本発明の別の実施形態の投与器具９２を示している。投与器具９２は、アレイ状に配列された微小針９４を除き、図１〜図４の投与器具１０と実質的に同一である。したがって、同一の要素は、プライム記号（′）付きの同一番号で示してある。微小針アレイ９４は、平らな部材９６の底面上に形成されている。上述の実施形態の場合と同様、平らな部材９６は、キャビティを構成するよう中央開口部１４′内でハウジング１２′に結合されている。複数の通路９８が、平らな部材９６を貫通してキャビティから外面まで延びている。この実施形態では、微小針９４は、中実構造体であり、通路９８が、実質的に微小針の底部のところで隣り合う微小針９４相互間で終端している。
【００３２】
投与器具９２は、上述の実施形態と実質的に同一の仕方で用いられる。投与器具９２を皮膚の上に置き、そして優しく擦り又は押さえて微小針９４が皮膚を穿刺することができるようにする。次に、カバー部材３４′を押して袋１６′がカニューレ４４′によって穿通されるようにする。次に、袋１６′に入っている物質を小出しして微小針９４に通じる通路９８に差し向ける。上述の実施形態の場合と同様、袋１６′は、キャビティ３８′内又は微小針９４の表面上の乾燥状態の薬剤を溶解する薬剤溶液又は希釈剤を収容しているのがよい。
【００３３】
図７〜図９の実施形態
別の実施形態としての投与器具１００が、図７〜図９に示されている。投与器具１００は、カニューレ１０４と協働する保護シールド装置１０２を除き、図１〜図４の実施形態の投与器具１０と実質的に同一である。したがって、同一の要素は、プライム記号（′）付きの同一番号で示してある。
上述の実施形態の場合と同様、投与器具１００は、平らな部材２２′を有し、この平らな部材２２′は、その底面上にアレイ状に配列された微小針１４′を有している。微小針１４′は、平らな部材２２′を貫通してキャビティ３８′まで延びる軸方向通路３０′を有している。
【００３４】
保護部材１０２は、カニューレ１０４を覆うよう平らな部材２２′の上面内に配置されていて、袋１６′の時期尚早な破裂及び穿通を阻止し、又はこれに抵抗する支持又はクレードル状装置である。図６及び図７に示すように、保護部材１００は、外縁部１０８を備えたベース１０６を有し、その高さはカニューレ１０４の高さよりも大きい。図示の実施形態では、ベース１０６は、平らな円形の部材である。ただし、器具の特定の要望に応じてベースの実際の形状を変えてもよい。
カニューレ１０４は、ベース１０６に結合されており、平らな部材２２′から袋１６′に向かって全体として上向きの方向に延びている。図示の実施形態のカニューレ１０４は、適当な接着剤、溶接等によりベース１０６に結合された別個の部材である。変形実施形態では、カニューレ１０４をベースに一体形成してもよい。カニューレ１０４は、袋１６′を穿通するのに適した尖った先端部１１０に収斂する全体として円錐形の形をしている。
【００３５】
弾性アーム１１２が、ベース１０６に結合された第１の端部１１４及びベース１０６から遠ざかって延びる第２の端部１１６を有している。図７〜図９の実施形態では、４つのアーム１１２が、ベース１０６に結合されており、これらアームは、カニューレ１０４の先端部１１０に向かって傾斜した状態で延びている。アーム１１２は、アーム１１２の第２の自由端部１１６が図７に示すようにカニューレ１０８の先端部１１８の上方で常態位置を取るように位置決めされている。アーム１１２は、カニューレ１０４の先端部１１０を包囲すると共にカニューレ１０４の上方で袋１６′を支持しており、それにより袋１６′が輸送及び貯蔵中、カニューレ１０４に接触するのを阻止する。図示の実施形態では、アーム１１２は、ベース１０６に一体形成されている。ただし、他の実施形態では、アーム１１２は、互いに組み付けられる別個の部材であってもよい。
【００３６】
投与器具１００は、上述の実施形態と類似した仕方で用いられる。投与器具１００を患者の皮膚１１８に対して、優しく擦ったり押し付け、そして接着剤で定位置に固定する。次に、カバー部材３４′を下方に押して袋１６′をカニューレ１０４に向かって押す。保護部材１０２のアーム１１２は、カバー部材３４′及び袋１６′に加わる下向きの圧力により、アーム１１２の自由端部１１６がベース１０６に向かって回動してカニューレ１０４が図９に示すように袋１６′を穿通でき、それにより袋の内容物を小出しするほど可撓性である。
【００３７】
本発明の投与器具は一般に、１回使用向きのものであり、患者に投与される物質について選択された用量を収容している。接着剤フィルムは、長期間にわたり不快感を最小限に抑えた状態で投与器具を定位置に保持することができる。投与器具が皮膚と接触した状態のままの時間の長さは、数分間から数時間まで様々であってよい。投与器具が皮膚と接触したままである時間の長さを決定する種々の要因としては、例えば穿刺深さ、投与対象の物質の量、物質の吸収速度が挙げられる。
【００３８】
本発明を説明するために幾つかの実施形態を示したが、当業者であれば、特許請求の範囲に記載された本発明の範囲から逸脱することなく、本発明の種々の設計変更例及び改造例を想到できることは理解されよう。
【図面の簡単な説明】
【図１】本発明の第１の実施形態の経皮的投与器具の平面図である。
【図２】図１の経皮的投与器具の断面図である。
【図３】図１の経皮的投与器具の斜視図である。
【図４】図１の経皮的投与器具の断面側面図であり、外側カバー及び袋を押し潰した状態で示す図である。
【図５】本発明の第２の実施形態の断面側面図である。
【図６】本発明の第３の実施形態の投与器具の断面側面図である。
【図７】本発明の第４の実施形態の経皮的投与器具の部分側面図である。
【図８】図７の実施形態の部分平面図である。
【図９】図７の実施形態の部分断面側面図であり、カニューレにより穿通した袋を示す図である。

Claims (39)

1. 物質を患者の皮膚中へ導入する器具であって、中央開口部を備えたハウジングと、前記ハウジングの前記中央開口部内に配置された平らな部材とを有し、前記平らな部材は、内面及び外面を有し、前記外面からは複数本の微小針が延びており、前記平らな部材は、前記平らな部材を貫通して前記内面から前記外面まで延びる少なくとも１つの開口部及び前記内面上に設けられた少なくとも１つのカニューレを更に有し、前記器具は、前記ハウジング内にキャビティを構成するよう前記中央開口部を覆うと共に前記平らな部材から間隔を置いて位置した状態で前記ハウジングに結合された可撓性カバーと、少なくとも１種類の物質を収容していて、前記平らな部材と前記可撓性カバーとの間で前記ハウジングの前記キャビティ内に配置された袋とを更に有し、前記袋は、前記カニューレによって穿通可能であり、前記開口部を通って前記物質を前記微小針に小出しするよう前記可撓性カバーを押すことによって押しつぶし可能であることを特徴とする器具。
2. 乾燥状態の医薬品を更に有し、前記袋に収容された前記物質は、希釈剤であることを特徴とする請求項１記載の器具。
3. 前記乾燥状態の医薬品は、前記平らな部材の前記少なくとも１つの開口部内に設けられていることを特徴とする請求項２記載の器具。
4. 前記乾燥状態の医薬品は、前記微小針上に設けられていることを特徴とする請求項２記載の器具。
5. 前記乾燥状態の医薬品は、前記平らな部材の前記内面上に設けられていることを特徴とする請求項２記載の器具。
6. 前記乾燥状態の医薬品は、前記キャビティ内に設けられていることを特徴とする請求項１記載の器具。
7. 前記カニューレは、前記袋に向いた先端部を有する実質的に円錐形の部材であることを特徴とする請求項１記載の器具。
8. 前記カニューレは、前記平らな部材の前記内面に一体形成されていることを特徴とする請求項１記載の器具。
9. 前記微小針は、皮膚の角質層を穿刺するほどの長さを有していることを特徴とする請求項１記載の器具。
10. 前記平らな部材には複数の前記開口部が設けられ、前記開口部は、それぞれ対応関係にある微小針を貫通していることを特徴とする請求項１記載の器具。
11. 前記平らな部材の前記少なくとも１つの開口部は、前記微小針のうちの少なくとも１つに隣接して位置していることを特徴とする請求項１記載の器具。
12. 前記可撓性カバーは、弾性材料で作られており、全体として凸状の外面を備えた第１の位置から全体として凹状の外面を備えた第２の位置に動くことができることを特徴とする請求項１記載の器具。
13. 前記可撓性カバーは、記憶特性を備えた剛性のプラスチック材料で作られ、前記第１の位置から前記第２の位置にスナップ動作できることを特徴とする請求項１２記載の器具。
14. 前記微小針の長さは、約１０〜４０ミクロンであることを特徴とする請求項１記載の器具。
15. 前記ハウジングは、前記平らな部材を包囲した底面を有し、前記器具は、前記底面上に施されていて、前記ハウジングを患者の皮膚に取り付ける接着剤を更に有していることを特徴とする請求項１記載の器具。
16. 前記ハウジングに取り付けられた底面を備える軟質フィルムを更に有し、前記軟質フィルムは、前記ハウジングを包囲した状態でこれから外方に延びており、前記器具を患者の皮膚に取り付ける接着剤が、前記底面上に施されていることを特徴とする請求項１記載の器具。
17. 前記底壁の前記内面に取り付けられた保護部材を更に有し、前記保護部材は、前記カニューレの高さよりも大きな高さを有し、十分な圧力が前記可撓性カバーに加えられるまで、前記袋が前記カニューレに接触するのを阻止するよう位置決めされていることを特徴とする請求項１記載の器具。
18. 前記保護部材は、前記底壁の前記内面に結合されたベースを有し、前記ベースは、前記袋に向かう方向に延びる状態で前記ベースに結合された少なくとも１つの可撓性アームを有し、前記少なくとも１つのアームは、前記袋が前記カニューレに接触するの阻止する長さを有すると共に十分に可撓性であり、力を前記可撓性カバーに加えると、前記アームは前記底壁に向かって撓み、それにより前記袋は前記カニューレに接触することを特徴とする請求項１７記載の器具。
19. 前記ハウジングは、前記器具が患者の皮膚と接触しているかどうかが分かるようにする指示装置を有していることを特徴とする請求項１記載の器具。
20. 前記指示装置は、皮膚に接触する１対の電極と、前記電極に結合された電源と、前記電源及び前記電極に結合された指示器とから成ることを特徴とする請求項１９記載の器具。
21. 物質を患者の皮膚に投与する投与器具であって、キャビティを構成する底壁と少なくとも１つの側壁を備えたハウジングを有し、前記底壁は、複数の微小針及び前記底壁を貫通して前記微小針まで延びる複数の通路を有し、前記投与器具は、前記ハウジングに結合されると共に前記キャビティを包囲した可撓性カバーを更に有し、前記可撓性カバーは、第１の位置では全体として弧状の外面を有し、前記第１の位置から前記底壁に向かう第２の位置に動くことができ、前記投与器具は、物質を収容した袋を更に有し、前記袋は、前記キャビティ内に配置され、前記底壁の前記通路を通して前記物質を前記微小針に小出しするよう圧力を前記可撓性カバーに加えることにより押しつぶし可能であることを特徴とする器具。
22. 前記袋に収容された前記物質は、希釈剤であり、前記キャビティは、前記希釈剤中で可溶性又は分散性である少なくとも１つの乾燥状態の医薬品を収容していることを特徴とする請求項２１記載の投与器具。
23. 前記袋に収容された前記物質は、希釈剤であり、前記微小針は、前記希釈剤中で可溶性又は分散性である少なくとも１つの乾燥状態の医薬品の被膜を有していることを特徴とする請求項２１記載の投与器具。
24. 前記キャビティ内に設けられていて、十分な力を前記可撓性カバーに及ぼすことにより前記袋を穿通するよう位置決めされたカニューレを更に有していることを特徴とする請求項２１記載の投与器具。
25. 前記カニューレは、前記ハウジングの前記底壁上に配置されていることを特徴とする請求項２４記載の投与器具。
26. 前記微小針は、通路を前記キャビティから前記微小針の先端部まで形成するよう中空であることを特徴とする請求項２１記載の投与器具。
27. 前記ハウジングに取り付けられた底面を備える軟質フィルムを更に有し、前記フィルムは、前記ハウジングを包囲した状態でこれから外方に延びており、前記フィルムは、前記底面上に施されていて、前記投与器具を患者の皮膚に取り付ける接着剤を有していることを特徴とする請求項２１記載の投与器具。
28. 前記底壁の内面上に取り付けられた保護部材を更に有し、前記保護部材は、前記カニューレの高さよりも大きな高さを有し、十分な圧力が前記可撓性カバーに加えられるまで、前記袋が前記カニューレに接触しないよう位置決めされていることを特徴とする請求項２４記載の投与器具。
29. 前記保護部材は、前記底壁の前記内面に結合されたベースを有し、前記ベースは、前記ベースに結合されると共に前記袋に向かう方向に延びる少なくとも１つの可撓性アームを有し、前記可撓性アームは、自分が圧力を前記カバー部材に加えることにより前記底壁に向かって曲がるほど十分可撓性であり、それにより前記カニューレは、前記袋を穿通することを特徴とする請求項２８記載の投与器具。
30. 患者の皮膚を通して物質を投与する方法であって、キャビティを構成する底壁と少なくとも１つの側壁を備えたハウジングを有し、前記底壁が外面を有し、前記外面から複数本の微小針が延び、前記底壁が前記底壁を貫通して前記キャビティから前記微小針まで延びる複数の通路を有し、少なくとも１種類の物質を収容していて、前記キャビティ内に配置された袋と、前記キャビティを包囲する可撓性カバーとを有する投与器具を準備する段階と、前記器具を患者の皮膚に接触させ、前記微小針が、前記物質を患者に投与するのに十分な深さ、皮膚を穿刺するようにするのに十分な圧力を前記器具に加える段階と、十分な圧力を前記可撓性カバーに加えて前記袋を破裂させ、前記物質を前記微小針に小出しする段階とを有していることを特徴とする方法。
31. 前記器具は、乾燥状態の医薬品を有し、前記袋に収容された前記物質は、希釈剤であることを特徴とする請求項３０記載の方法。
32. 前記乾燥状態の医薬品は、前記キャビティ内に設けられていることを特徴とする請求項３０記載の方法。
33. 前記器具は、前記キャビティ内に配置されていて、前記袋を穿通するよう位置決めされた先端部を備えるカニューレを有し、前記方法は、十分な圧力を前記カバーに加えて前記カニューレが前記袋を穿通するようにする段階を更に有していることを特徴とする請求項３０記載の方法。
34. 前記カニューレは、前記底壁の内面に一体形成されていることを特徴とする請求項３３記載の方法。
35. 前記底壁の前記通路は、前記微小針に隣接して位置していることを特徴とする請求項３０記載の方法。
36. 前記可撓性カバーは、弾性材料で作られており、全体として凸状の外面を備えた第１の位置から全体として凹状の外面を備えた第２の位置に動くことができることを特徴とする請求項３０記載の方法。
37. 前記器具は、前記ハウジングに取り付けられた底面を備える軟質フィルムを更に有し、前記軟質フィルムは、前記ハウジングを包囲した状態でこれから外方に延びており、前記器具は、前記底面上に施された接着剤を更に有し、前記方法は、前記軟質フィルムを押して前記器具を患者の皮膚に取り付ける段階を更に有していることを特徴とする請求項３０記載の方法。
38. 前記底壁の前記内面上に設けられた弾性保護部材を更に有し、前記保護部材は、前記カニューレの高さよりも大きな高さを有し、前記袋が前記カニューレに接触するのを阻止するよう位置決めされており、前記方法は、前記袋を押して前記カニューレに接触させるのに十分な圧力で前記カバーを押してこれが前記袋を穿通するようにする段階を更に有していることを特徴とする請求項３０記載の方法。
39. 前記保護部材は、前記底壁の前記内面に結合されたベースを有し、前記袋に向かう方向に延びる少なくとも１つの可撓性アームが、前記ベースに結合され、前記少なくとも１つのアームは、前記袋が前記カニューレに接触するのを阻止する長さを有し、前記方法は、十分な圧力を前記カバーに加えて前記アームを前記底壁に向かって撓ませ、それにより前記袋を前記カニューレで穿通する段階を更に有していることを特徴とする請求項３８記載の方法。