JP2004353301A - ドーザ装置付き油圧ショベル - Google Patents
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Abstract
【解決手段】下部走行体のロワーフレーム20に設けられた支点部29に後端部が接続されているアーム28と、このアーム28の先端部に設けられるドーザブレード30と、アーム28を上下方向に揺動させるドーザシリンダ33をドーザ装置として備えている油圧ショベルにおいて、ドーザシリンダ33とアーム28が側面から見て三角形の二辺をなす状態で配置され、ドーザシリンダ33が下部走行体上に旋回自在に搭載されている上部旋回体の底部と干渉しないようにアーム28が上下に揺動し、このアーム28によって昇降するドーザブレード30を最高位置にしたときのアプローチ角が35°以上に設定されていることを特徴とする。
【選択図】 図2
Description
【発明の属する技術分野】
本発明はドーザ装置を備えた油圧ショベルに関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来、ミニショベルの多くは下部走行体にドーザ装置を備えている。このドーザ装置は、そのドーザブレードを地面に接触させて均し作業を行なうことが一般的であるが、ドーザブレードを地面に押し付けて下部走行体の前後方向一方を浮かし、斜面でのショベルの姿勢を水平に保つ場合に使用されることもある(例えば特許文献1参照)。
【0003】
ドーザ装置のドーザブレードは、下部走行体のロワーフレームに設けられた支点部を支点として上下に揺動するアームの先端部に固定されており、このドーザブレードの地面からの上昇角としてのアプローチ角(ドーザブレードを最高位置にしたときの、ブレード下端を通りクローラシュー前側周面に対して接線方向に接する平面が地面となす角度)は、トラックの荷台と地面との間に架け渡されたブリッジを登る際に地面に引っ掛からないことを目的として決められており、具体的には28°程度に設定されている。
【0004】
【特許文献1】
特開2000−322668号公報(第(4)頁、図5)
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、このようにドーザ装置を備えたショベルは、均し作業や機体の姿勢を調整することができるという付加価値を備えている反面、ドーザ装置を備えていることによる不利な面もある。
【0006】
例えば、ドーザブレードがあるためにドーザブレードを備えていないショベルのように積み上げられた山を削ることなく乗り越えることができず、また、整地した法面を走行する際にその法面をドーザブレードで削ってしまうことがある。また、トラックの荷台に登る場合には、ドーザブレードが地面に引っ掛からないように注意を払わなければない。
【0007】
本発明は以上のような従来のドーザ装置を備えたショベルにおける課題を考慮してなされたものであり、ドーザ装置を備えていながらドーザ装置を備えていないショベルと同等の走行性を確保することができるドーザ装置付き油圧ショベルを提供するものである。
【0008】
【課題を解決するための手段】
請求項1の本発明は、下部走行体のロワーフレームに設けられた支点部に後端部が接続されているアームと、このアームの先端部に設けられるドーザブレードと、アームを上下方向に揺動させるドーザシリンダをドーザ装置として備えている油圧ショベルにおいて、ドーザシリンダとアームが側面から見て三角形の二辺をなす状態で配置され、ドーザシリンダが下部走行体上に旋回自在に搭載されている上部旋回体の底部と干渉しないようにアームが上下に揺動し、このアームによって昇降するドーザブレードを最高位置にしたときのアプローチ角が35°以上に設定されているドーザ装置付き油圧ショベルである。
【0009】
本発明に従えば、ドーザシリンダを駆動させると、上部旋回体の底部と干渉しない範囲でドーザブレードが35°以上持ち上げられる。それにより、地山を登る場合には地山を崩すことなく乗り上げることができ、また、法面を削ることなく走行することができ、また、トラックの荷台に登る場合にはドーザブレードが地面に引っ掛かることがないため、登坂に集中することができる。
【0010】
請求項2の本発明は、上記ドーザブレードが上昇限界まで持ち上げられた状態で、ドーザシリンダが略水平姿勢となるように構成されているドーザ装置付き油圧ショベルである。
【0011】
本発明に従えば、ドーザブレードを最大限持ち上げた場合でもドーザシリンダは略水平姿勢にあるため、上部旋回体の底部、例えば上部旋回体の前側ではスイングブラケット、後側ではカウンタウエイトに干渉する虞れがない。
【0012】
【発明の実施の形態】
以下、図面に示した実施形態に基づき、本発明に係るドーザ装置付き油圧ショベルの構成を詳細に説明する。
【0013】
図1において、ドーザ装置付き油圧ショベル(以下、油圧ショベルと略称する)1は、クローラシュー2が装着された下部走行体3と、この下部走行体3に備えられたドーザ装置4と、下部走行体3上に旋回自在に搭載された上部旋回体5と、この上部旋回体5の前側に設けられたフロントアタッチメント6とを備えている。
【0014】
上部旋回体5には運転席5aが備えられ、この運転席5aの後方にはカウンタウエイト7が配置されている。
【0015】
本実施形態に示す油圧ショベル1は、フロントアタッチメント6を左右方向にスイングさせるためのスイングブーム8を有し、このスイングブーム8のブーム支持部8aは上部旋回体5のメインフレーム(図示しない)から前方に張り出されたスイングブラケット9に連結されている。
【0016】
ブーム支持部8aは、スイングブラケット9の右側に配置されたシリンダ(図示しない)の伸縮動作によって回転軸RAまわりに回転するように構成されており、フロントアタッチメント6を左右方向に振ることができる。それにより、例えば横溝掘削等の作業を行うことができるようになっている。
【0017】
なお、10はスイングブーム7の先端部に連結されたアーム、11はそのアーム10の先端部に連結されたバケットである。12はスイングブーム7を起伏させるブームシリンダ、13はアーム10を前後方向に揺動させるアームシリンダ、14はバケット11を前後方向に揺動させるバケットシリンダである。また、15はキャノピである。
【0018】
図2は上記ドーザ装置4を拡大して示したものであり、(a)は平面図、(b)は正面図である。なお、図(a)においてフレーム右側は省略している。
【0019】
両図において、下部走行体3のロワーフレーム20の左側には左サイドフレーム21が配置されており、この左サイドフレーム21の前側にはアイドラ22が回転自在に支持され、このアイドラ22と左サイドフレーム21の後方に配置されたスプロケット23とにクローラシュー2が掛け渡されている。
【0020】
なお、スプロケット23は油圧走行モータ24によって駆動するようになっており、また、左サイドフレーム2の下方には複数のロワーローラ25が配列され、上方にはクローラシュー2の上辺をガイドするためのアッパーローラ(図示しない)が設けられている。
【0021】
次に、本発明の特徴部分であるドーザ装置4の構成について説明する。
【0022】
ドーザ装置4はロワーフレーム20の前後方向一方側に設けられており、ロワーフレーム20から前方に突出して設けられたブラケット26,26と、同じくロワーフレーム20から前方に突出して形成され、上記ブラケット26の下方に配置されるブラケット27,27とに連結されている。
【0023】
上記一対のブラケット27,27には、平行に配置されたアームの各基端部28a,28aがそれぞれ連結ピン29を介して連結されている。
【0024】
上記アーム28,28の先端側にはドーザブレード30が固定されており、さらにアーム28同士は接続フレーム31によって幅方向に接続され、また、アーム28とドーザブレード30とは補強フレーム32で接続されている。
【0025】
また、ブラケット26と上記接続フレーム31の中央部にはドーザシリンダ33が架設されており、ロワーフレーム側は連結ピン34によって、ドーザブレード側は連結ピン35によってそれぞれ連結されている。31aは接続フレーム31に立設されたブラケットであり、上記ドーザシリンダ33のチューブ側ボスを上記連結ピン35を介して連結するようになっている。
【0026】
このドーザシリンダ33を伸縮させると、連結ピン34を支点としてドーザブレード30を上下方向(矢印A方向)に揺動させることができるようになっている。
【0027】
詳しくは、ドーザシリンダ33を縮小させてドーザブレード30を地上面GLから上昇限界まで持ち上げたとき(図中、二点鎖線で示すB位置)のアプローチ角θ1は38°となるように、また、地上面GLから下方に回転する角度θ2は、従来と同様に略12°となるようにアーム28とドーザシリンダ38が配置されている。
【0028】
また、ドーザブレード30が上昇限界のB位置にあるとき、ドーザシリンダ33が略水平姿勢となるように、連結ピン29、連結ピン34及び連結ピン35の配置が決められている。
【0029】
このようにドーザブレード30が上昇限界にあるときにドーザシリンダ33を略水平姿勢にする目的は、ドーザシリンダ33上方の上部旋回体の底部と干渉しないようにするためである。
【0030】
例えば、ドーザ装置4が走行方向に対して前方にあるときその上方には、例えばスイングブラケット9やブーム支持ブラケット8が位置している。従って、ドーザブレード30を持ち上げる際にドーザシリンダ33が先上がりに傾斜していくと、それらのブラケットに干渉してしまう。
【0031】
そこで、本実施形態ではドーザブレード30を上昇限界まで持ち上げた状態でもそれらのブラケットと干渉しないようにドーザシリンダ33を略水平姿勢に留めるようにしている。
【0032】
また、ドーザ装置4が走行方向に対して後方にある場合は、その上方にカウンタウエイト7が位置している。この場合であっても上記したように、ドーザブレード30を上昇限界まで持ち上げた際にドーザシリンダ33を略水平姿勢に留めておけば、カウンタウエイト7に干渉することがない。それにより、オペレータは安心してドーザブレード30の上げ下げを行うことができる。
【0033】
次に、アプローチ角θ1を38°に設定した理由について以下に説明する。
【0034】
表1はダンプから降ろされ積み上げられた砂山の安息角を調べたものである。
【0035】
【表1】
【0036】
上記表1より、比重や粒の大きさによって山の角度にばらつきがあるものの、平均すると砂山の安息角は約34°程度となる。
【0037】
作業現場で油圧ショベルが押している土は、通常、砂利と砂が混ざった土であるが、均一な粒の砂利であってもその安息角は35°である。また、山の大きさが安息角に影響するかどうかを調べた。11トンダンプ20台から降ろされて積み上げられた山と、11トンダンプ1台分の山とを比較したところ、どちらの山も安息角は35°と変わらない。
【0038】
さらにまた、比重による影響を通常の砂と比重の大きい九州の砂とで比較した。通常の砂は安息角が36°であり、九州の砂は38°であった。このように比重の違いによって若干の角度差が生じることがわかる。
【0039】
以上の結果より、比重の大きい九州の砂以外で安息角が36°を超えるものは存在しなかった。このことから、ドーザ装置4のアプローチ角θ1を35°以上に設定しておけば、作業現場に積み上げられた山を乗り越えることができることになる。
【0040】
なお、山を乗り越える場合に油圧ショベルの自重による沈みを考慮すると、アプローチ角θ1が35°であると、乗り越える際に若干、地山を削ることになる。従って、積み上げられた地山を削ることなく乗り越えるにはアプローチ角θ1を38°に設定することが好ましい。
【0041】
図2に戻って説明する。
【0042】
ドーザ装置4をロワーフレーム20に組み付けるにあたり、アプローチ角θ1を38°確保しようとすると、ドーザシリンダ33のチューブ側33aを、アーム28の中心線CLよりも下側で連結することが有利である。
【0043】
しかしながら、連結ピン35を地面GL近くに低く配置すると、地上の砂利等に接触してその連結ピン35が損傷しやすくなり、また、ドーザシリンダ33そのものが破損する虞れもある。また、ドーザ装置4を組み立てる場合においてもアーム28間の狭いスペースで連結ピン35の装着作業を行わなければならず、組立作業がしづらくなる。
【0044】
そこで、本実施形態では、アーム28の中心線CL上かその上側に連結ピン35を配置した状態で38°のアプローチ角θ1を確保するようにしている。
【0045】
上記配置の連結ピン35によって連結されたドーザシリンダ33とアーム28は鋭角にならざるを得ず、そのためドーザブレード30を持ち上げるには従来のドーザシリンダを上回る駆動力が必要となる。そのため、本実施形態では駆動力を補うため、そしてドーザブレード30を上昇限界まで持ち上げた状態でも上部旋回体の底部と干渉しないようにするため、通常の油圧シリンダよりも径が大きく且つ全長の短い油圧シリンダを使用している。
【0046】
なお、ドーザ装置4をロワーフレーム20に組み付けるにあたり、構造上の制約を超えない範囲でロワーフレーム側のブラケット26,27の取付位置を調整することもできる。
【0047】
【発明の効果】
以上説明したことから明らかなように、請求項1の本発明によれば、ドーザシリンダを駆動させると、上部旋回体の底部と干渉しない範囲でドーザブレードが35°以上持ち上げられるように構成したため、ドーザ装置を備えていないショベルと同等の走行性を得ることができる。例えば、地山を登る場合には地山を崩すことなく乗り上げることができ、また、法面を削ることなくその斜面を走行することができ、また、トラックの荷台に登る場合にはドーザブレードを地面に引っ掛かけることなくブリッジを登ることができる。
【0048】
また、ドーザブレードを高く持ち上げることができるため、壁を有する敷地の隅に土を積み上げる場合に少ないスペースで山を築くことができる。
【0049】
請求項2の本発明によれば、ドーザブレードを最大限持ち上げた場合でもドーザシリンダは略水平姿勢にあるため、上部旋回体の底部、例えば上部旋回体の前側ではスイングブラケット、後側ではカウンタウエイトに干渉する虞れがなく、安心してドーザブレードを上げ下げすることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係るドーザ装置付き油圧ショベルの全体図である。
【図2】(a)はドーザ装置を拡大した平面図、(b)は正面図である。
【符号の説明】
1 油圧ショベル
2 クローラシュー
3 下部走行体
4 ドーザ装置
5 上部旋回体
6 運転席
7 カウンタウエイト
8 スイングブーム
9 スイングブラケット
10 アーム
11 バケット
20 ロワーフレーム
28 アーム
30 ドーザブレード
33 ドーザシリンダ
Claims (2)
- 下部走行体のロワーフレームに設けられた支点部に後端部が接続されているアームと、このアームの先端部に設けられるドーザブレードと、上記アームを上下方向に揺動させるドーザシリンダをドーザ装置として備えている油圧ショベルにおいて、
上記ドーザシリンダと上記アームが側面から見て三角形の二辺をなす状態で配置され、上記ドーザシリンダが上記下部走行体上に旋回自在に搭載されている上部旋回体の底部と干渉しないように上記アームが上下に揺動し、このアームによって昇降する上記ドーザブレードを最高位置にしたときのアプローチ角が35°以上に設定されていることを特徴とするドーザ装置付き油圧ショベル。 - 上記ドーザブレードが上昇限界まで持ち上げられた状態で、上記ドーザシリンダが略水平姿勢となるように構成されている請求項1記載のドーザ装置付き油圧ショベル。
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