JP2004335953A - 露光装置及び露光方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】固体光源を備えた露光装置を提供する。
【解決手段】光源1から射出される光束をマスクMへ導き、前記マスクのパターンを感光性基板P上に転写する露光装置において、前記光源と前記マスクとの間の光路中に配置されて、前記光源からの光束に基づいて前記マスクを照明する照明光学系を備え、前記光源は、前記感光性基板上での照度の値が30mW/cm2 以上となるように配列された複数個の固体光源を有する固体光源ユニットを備える。
【選択図】 図1
【解決手段】光源1から射出される光束をマスクMへ導き、前記マスクのパターンを感光性基板P上に転写する露光装置において、前記光源と前記マスクとの間の光路中に配置されて、前記光源からの光束に基づいて前記マスクを照明する照明光学系を備え、前記光源は、前記感光性基板上での照度の値が30mW/cm2 以上となるように配列された複数個の固体光源を有する固体光源ユニットを備える。
【選択図】 図1
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
この発明は、半導体素子、液晶表示素子、撮像素子、薄膜磁気ヘッド、その他のマイクロデバイスの製造工程において用いられる露光装置及び露光方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
マイクロデバイスの一つである液晶表示素子は、通常、ガラス基板(プレート)上に透明薄膜電極をフォトリソグラフィの手法で所望の形状にパターニングして、TFT(Thin Film Transistor)等のスイッチング素子及び電極配線を形成して製造される。このフォトリソグラフィの手法を用いた製造工程では、マスク上に形成された原画となるパターンを、投影光学系を介してフォトレジスト等の感光剤が塗布されたプレート上に投影露光する投影露光装置が用いられている。
【0003】
従来は、マスクとプレートとの相対的な位置合わせを行った後で、マスクに形成されたパターンをプレート上に設定された1つのショット領域に一括して転写し、転写後にプレートをステップ移動させて他のショット領域の露光を行う、ステップ・アンド・リピート方式の投影露光装置(所謂、ステッパー)が多用されていた。
【0004】
近年、液晶表示素子の大面積化が要求されており、これに伴ってフォトリソグラフィ工程において用いられる投影露光装置は露光領域の拡大が望まれている。投影露光装置の露光領域を拡大するためには投影光学系を大型化する必要があるが、残存収差が極力低減された大型の投影光学系を設計及び製造するにはコスト高となってしまう。そこで、投影光学系の大型化を極力避けるために、投影光学系の物体面側(マスク側)における投影光学系の有効径と同程度に長手方向の長さが設定されたスリット状の照明光をマスクに照射し、マスクを介したスリット状の光が投影光学系を介してプレートに照射されている状態で、マスクとプレートとを投影光学系に対して相対的に移動させて走査し、マスクに形成されたパターンの一部を順次プレートに設定された1つのショットに転写し、転写後にプレートをステップ移動させて他のショット領域に対する露光を同様にして行う、所謂ステップ・アンド・スキャン方式の投影露光装置が案出されている。
【0005】
また、近年では、更なる露光領域の拡大を図るため、1つの大型の投影光学系を用いるのではなく、小型の部分投影光学系を走査方向に直交する方向(非走査方向)に所定間隔をもって複数配列した第1の配列と、この部分投影光学系の配列の間に部分光学系が配置されている第2の配列とを走査方向に配置した、所謂マルチレンズ方式の投影光学系を備える投影露光装置が案出されている(例えば特許文献1参照)。
【0006】
【特許文献1】
特開平7−57986号公報
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
ところで上述の投影露光装置の光源としては、波長約360nm程度の紫外領域においては主に水銀ランプなどが用いられていた。この水銀ランプの寿命は、概ね500h〜1000h程度であることから、定期的にランプ交換が必要となり露光装置ユーザには大きな負担となっていた。また、高照度確保のために高電力が必要であり、またそれに伴う発熱対策などが必要になるなど、高いランニングコストの問題や、経時劣化などの要因に伴う破裂の危険性を有していた。
【0008】
これに対して発光ダイオードは、水銀ランプなどに比べて発光効率が高く、そのため省電力、小発熱という特長を持ち大幅なランニングコストの低減を実現できる。また寿命も3000h程度のものもあるため、交換にかかる負担も少なく、経時劣化などの要因に伴う破裂の危険性もない。さらに最近では、波長365nmで100mw程度の高い光出力を達成したUV−LEDなども開発されている。
【0009】
この発明の課題は、固体光源を備えた露光装置及び該露光装置を用いた露光方法を提供することである。
【0010】
【課題を解決するための手段】
請求項1記載の露光装置は、光源から射出される光束をマスクへ導き、前記マスクのパターンを感光性基板上に転写する露光装置において、前記光源と前記マスクとの間の光路中に配置されて、前記光源からの光束に基づいて前記マスクを照明する照明光学系を備え、前記光源は、前記感光性基板上での照度の値が30mW/cm2 以上となるように配列された複数個の固体光源を有する固体光源ユニットを備えることを特徴とする。
【0011】
この請求項1記載の露光装置によれば、光源が感光性基板上での照度の値が30mW/cm2 以上となるように配列された複数個の固体光源を有する固体光源ユニットを備えるため、像面照度を実用的な露光装置に要求される値にすることができ、実用的な露光装置としてのスループットを確保することができる。
【0012】
また、請求項2記載の露光装置は、前記固体光源が放出される光束のうち最も放射強度が強い光線を中心として±1°の光束の範囲内において、平均放射輝度が1000mW/(cm2・sr)以上であることを特徴とする。
【0013】
この請求項2記載の露光装置によれば、放出される光束のうち最も放射強度が強い光線を中心として±1°の光束の範囲内において、平均放射輝度が1000mW/(cm2・sr)以上である固体光源を備えるため、投影光学系を介して多くの光束を感光性基板上に照射することができ、露光装置のスループットを向上させることができる。ここで、平均放射輝度とは、±1°内でのすべての角度の輝度の平均値である。
【0014】
また、請求項3記載の露光装置は、マスクのパターンを感光性基板上に転写する露光装置において、複数個の固体光源を有する固体光源ユニットと、該固体光源ユニットから射出される光束を前記マスクへ導く照明光学系とを備え、前記固体光源は、放出される光束のうち最も放射強度が強い光線を中心として±1°の光束の範囲内において、平均放射輝度が1000mW/(cm2・sr)以上であることを特徴とする。
【0015】
この請求項3記載の露光装置によれば、放出される光束のうち最も放射強度が強い光線を中心として±1°の光束の範囲内において、平均放射輝度が1000mW/(cm2・sr)以上である固体光源を備えるため、投影光学系を介して多くの光束を感光性基板上に照射することができ、露光装置のスループットを向上させることができる。
【0016】
また、請求項4記載の露光装置は、前記固体光源が少なくとも10mW/個以上の出力を有することを特徴とする。この請求項4記載の露光装置によれば、個々の固体光源の出力が大きいことから実用的な露光装置に要求される像面照度を確保することができる。
【0017】
また、請求項5記載の露光装置は、前記感光性基板上の照度むらが平均値に対して±20%以内であることを特徴とする。この請求項5記載の露光装置によれば、実用的な露光装置に要求される解像度や線幅均一性を確保することができる。
【0018】
また、請求項6記載の露光装置は、前記固体光源の光射出部の面積が、1cm2 以下であることを特徴とする。ここでいう光射出部とは、固体光源において実際に発光している部分のことを指し、パッケージの大きさとは無関係である。
【0019】
また、請求項7記載の露光装置は、前記固体光源ユニットの前記複数個の固体光源が、1個/cm2以上となるように配列されることを特徴とする。
【0020】
この請求項6、請求項7記載の露光装置によれば、多数の固体光源を配列することができることから、実用的な露光装置に要求される像面照度を確保することができる。
【0021】
また、請求項8記載の露光装置は、前記固体光源から放出される光束のうち最も放射強度の強い光線に対して半分の放射強度となる光線の分布が、前記最も放射強度の強い光線を中心として±2°(±35mrad)以上であることを特徴とする。
【0022】
この請求項8記載の露光装置によれば、放出される光束のうち最も放射強度の強い光線に対して半分の放射強度となる光線の分布が、最も放射強度の強い光線を中心として±2°(±35mrad)以上である固体光源を備えるため、投影光学系を介して多くの光束を感光性基板上に照射することができ、露光装置のスループットを向上させることができる。
【0023】
また、請求項9記載の露光装置は、前記固体光源から放出される光束のうち最も放射強度の強い光線に対して半分の放射強度となる光線と前記最も放射強度の強い光線とのなす角をθ(rad)とし、1cm2当たりの前記固体光源の個数をnとしたとき、θ2 ×n≧0.002、の条件を満足することを特徴とする。
【0024】
この請求項9記載の露光装置によれば、放出される光束のうち最も放射強度の強い光線に対して半分の放射強度となる光線と最も放射強度の強い光線とのなす角をθ(rad)とし、1cm2当たりの固体光源の個数をnとしたとき、θ2 ×n≧0.002、の条件を満足する固体光源を備えるため、投影光学系を介して多くの光束を感光性基板上に照射することができ、露光装置のスループットを向上させることができる。
【0025】
また、請求項10記載の露光装置は、前記固体光源から射出される光の波長の半値幅は±20nm以下であることを特徴とする。
【0026】
また、請求項11記載の露光装置は、前記マスクのパターン像を前記感光性基板上に形成する投影光学系をさらに備えることを特徴とする。
【0027】
また、請求項12記載の露光装置は、マスクのパターンを感光性基板上に転写する露光装置において、複数個の固体光源を有する固体光源ユニットと、前記固体光源ユニットと前記マスクとの間の光路中に配置されて、前記固体光源ユニットからの光束に基づいて前記マスクを照明する照明光学系と、前記マスクからの光束に基づいて、前記マスクのパターン像を前記感光性基板上に形成する投影光学系とを備え、前記固体光源の発光スペクトルの波長の半値幅は±20nm以下であり、前記投影光学系は、反射屈折型光学系を備えることを特徴とする。
【0028】
この請求項12記載の露光装置によれば、固体光源の発光スペクトルの波長の半値幅は±20nm以下であることから、反射屈折型投影光学系の色収差の発生量を小さくすることができる。
【0029】
また、請求項13記載の露光装置は、放出される光束のうち最も放射強度の強い光線に対して半分の放射強度となる光線と前記最も放射強度の強い光線とのなす角をθ(rad)とし、前記投影光学系の倍率をβとし、前記投影光学系の開口数をN.A.としたとき、
0.2 ≦(|sinθ|/|β|)/N.A. ≦ 5
の条件を満足することを特徴とする。
【0030】
この請求項13記載の露光装置によれば、放出される光束のうち最も放射強度の強い光線に対して半分の放射強度となる光線と最も放射強度の強い光線とのなす角をθ(rad)とし、投影光学系の倍率をβとし、投影光学系の開口数をNAとしたとき、
0.2 ≦(|sinθ|/|β|)/N.A. ≦ 5
の条件を満足する固体光源を備えるため、投影光学系を介して多くの光束を感光性基板上に照射することができ、露光装置のスループットを向上させることができる。
【0031】
また、請求項14記載の露光装置は、前記投影光学系が前記マスク上で互いに異なる視野を有する複数の投影光学ユニットを備え、前記照明光学系は、前記複数の投影光学ユニットの複数の視野にそれぞれ対応した複数の照明光学ユニットを備え、前記複数の照明光学ユニットのそれぞれは、前記固体光源ユニットを備えることを特徴とする。
【0032】
また、請求項15記載の露光装置は、前記複数の照明光学ユニットにそれぞれ設けられた前記固体光源ユニットに接続されて、前記複数の固体光源ユニットの光出力を各照明光学ユニット毎に設定可能にする光源出力設定部を備えることを特徴とする。
【0033】
また、請求項16記載の露光装置は、前記感光性基板上の照度を計測する照度計測手段をさらに備え、前記光源出力設定部は、前記照度計測手段の計測結果に基づいて、前記照明光学ユニット毎に設けられた前記複数の固体光源ユニットの出力を個別に設定することを特徴とする。
【0034】
この請求項15、請求項16記載の露光装置によれば、各照明光学ユニットの光出力を均一にする等の制御を行うことができ、露光むらの発生の抑制等を行うことができる。
【0035】
また、請求項17記載の露光装置は、前記感光性基板を載置する基板ステージをさらに備え、前記照度計測手段は前記基板ステージ上に設置されることを特徴とする。
【0036】
また、請求項18記載の露光装置は、前記照明光学系の出力を計測する出力計測手段と、前記出力計測手段により計測された結果に基づいて、前記固体光源ユニットの光出力を制御する制御部とを備えることを特徴とする。
【0037】
また、請求項19記載の露光装置は、前記出力計測手段が感光性基板上の照度を計測する照度計測手段を備えることを特徴とする。
【0038】
また、請求項20記載の露光装置は、前記複数の固体光源の仕事率の総和をA(W)、前記マスクを照明する照明光の仕事率の総和をB(W)としたとき、
B/A≧0.4
の条件を満足することを特徴とする。この請求項20記載の露光装置によれば、照明効率を向上させることができる。
【0039】
また、請求項21記載の露光装置は、前記複数個の固体光源はアレイ状に配置されることを特徴とする。この請求項21記載の露光装置によれば、複数の固体光源がアレイ状に配列されているため、複数の固体光源の集積化を図ることができ固体光源ユニットの小型化に寄与する。
【0040】
また、請求項22記載の露光装置は、前記固体光源ユニットが2次元アレイ状に配列された複数の前記固体光源を備えることを特徴とする。この請求項22記載の露光装置によれば、複数の固体光源が2次元アレイ状に配列されているため、さらなる固体光源ユニットの小型化を図ることができる。
【0041】
また、請求項23記載の露光装置は、前記照明光学系が2次元的に配列された複数の光学面を持つオプティカルインテグレータを備え、前記オプティカルインテグレータの射出面側の前記光学面の有効領域の全体形状と前記複数の固体光源の発光部の形状とはほぼ相似形状であることを特徴とする。
【0042】
この請求項23記載の露光装置によれば、オプティカルインテグレータの射出面側の光学面の有効領域の全体形状と複数の固体光源の発光部の形状とはほぼ相似形状であるため、固体光源から射出された光を効率よく用いることができ、像面の照度を高くすることができる。
【0043】
また、請求項24記載の露光装置は、前記固体光源ユニットが複数のファイバを備え、前記複数のファイバのそれぞれの入射端は前記複数個の固体光源と光学的に接続されていることを特徴とする。
【0044】
この請求項24記載の露光装置によれば、固体光源の配置の自由度を大きくすることができ、また複数のファイバの射出端の配列形状を容易に任意な形とすることができる。
【0045】
また、請求項25記載の露光装置は、前記固体光源から射出された光束が、前記複数のファイバの前記入射端に直接に入射することを特徴とする。この請求項25記載の露光装置によれば、構成を複雑化させることなく簡単な構成により固体光源から射出された光束をファイバに入射させることができる。
【0046】
また、請求項26記載の露光装置は、前記固体光源ユニット中の前記固体光源と前記ファイバの入射端との間に配置された集光光学系を備えることを特徴とする。
【0047】
また、請求項27記載の露光装置は、前記固体光源の発光部の大きさの最大値をφ、前記固体光源からの発散光の内で最大の射出角度を持つ光の前記射出角度の正弦をNA1、前記ファイバのコア直径をD、前記光ファイバが光を取り込むことが可能な角度範囲の正弦をNA2とするとき、NA2≧φ/D×NA1の条件を満たすことを特徴とする。
【0048】
この請求項26、請求項27記載の露光装置によれば、固体光源から射出された光束を無駄なくファイバに入射させることができる。
【0049】
また、請求項28記載の露光装置は、前記照明光学系が2次元的に配列された複数の光学面を持つオプティカルインテグレータを備え、前記オプティカルインテグレータの射出面側の前記光学面の有効領域の形状と前記複数のファイバの射出端の全体形状とはほぼ相似形であることを特徴とする。
【0050】
この請求項28記載の露光装置によれば、オプティカルインテグレータの射出面側の光学面の有効領域の形状と複数のファイバの射出端の全体形状とはほぼ相似形であるため、照明光を効率的に用いることができる。
【0051】
また、請求項29記載の露光装置は、前記複数の固体光源が互いに出力特性が異なる第1及び第2の固体光源を少なくとも備えていることを特徴とする。
【0052】
この請求項29記載の露光装置によれば、出力特性の異なる固体光源を組み合わせることにより、所望の出力特性を得ることができる。
【0053】
また、請求項30記載の露光装置は、静電気の帯電を防止する帯電防止手段を更に備えることを特徴とする。この請求項30記載の露光装置によれば、静電気により固体光源が破損するのを防止することができる。
【0054】
また、請求項31記載の露光装置は、前記光源が、定格出力以下の出力で照明光の射出を行うことを特徴とする。この請求項31記載の露光装置によれば、定格出力以下の出力で照明光の射出を行うため、固体光源の寿命を延ばすことができる。
【0055】
また、請求項32記載の露光装置は、前記光源から射出される光束と前記マスクとの位置関係を走査方向に沿って相対的に走査させる走査手段と、前記マスクとほぼ共役な位置に配置されて、前記走査方向の開口幅を変更可能な可変絞りと、前記光源から射出される光束と前記マスクとの相対位置に関する情報に基づいて、前記可変絞りの前記走査方向の開口幅を可変制御する制御手段とをさらに備えることを特徴とする。
【0056】
この請求項32記載の露光装置によれば、光源から射出される光束とマスクとの相対位置に関する情報に基づいて、可変絞りの走査方向の開口幅を可変制御するため、露光する必要のないマスクに付されている情報、露光する必要のないマスクパターン等が感光性基板上に転写されるのを防止することができる。
【0057】
また、請求項33記載の露光方法は、請求項1乃至請求項32記載の露光装置を用いた露光方法において、前記固体光源ユニットからの光により前記マスクを照明する照明工程と、前記マスクのパターンを前記感光性基板に転写する転写工程とを含むことを特徴とする。
【0058】
この請求項33記載の露光方法によれば、実用的な露光に要求される像面照度の値を確保した露光装置を用いて露光を行うため、実用的な露光方法としてのスループットを確保することができる。
【0059】
【発明の実施の形態】
以下、図面を参照して、この発明の実施の形態を説明する。図1は第1の実施の形態にかかる投影露光装置の概略構成を示す図である。
図1に示す投影露光装置は、高圧水銀ランプからなる光源に代えて光源(固体光源ユニット)1を備えている。即ち光源1は、発光ダイオード(固体光源)をアレイ状に配列した発光ダイオードアレイにより構成され、従来の水銀ランプ及び回転楕円面からなる反射面を有する楕円鏡を備える光源を用いた場合の楕円鏡の第2焦点位置に位置決めされている。ここで楕円鏡の第2焦点位置は、後述するコンデンサ光学系7の前側焦点位置と光学的に共役な位置である。なお、光源1を配置する位置は、コンデンサ光学系7の前側焦点位置と光学的に共役な位置の近傍であってもよい。
【0060】
図2は、光源1の構成を説明するための図である。この図に示すように光源1は、矩形状の基板1a上に発光ダイオード(固体光源)1bが複数個、アレイ状に配列されている。ここで発光ダイオード1bは、後述するプレート(感光性基板)P上での照度の値が30mW/cm2 以上となるように、基板1a上においてアレイ状に配列されている。また、発光ダイオード1bは、放出される光束のうち最も放射強度が強い光線を中心として±1°の光束の範囲内において、平均放射輝度が1000mW/(cm2・sr)以上のものが基板1a上に配列されている。
【0061】
また、発光ダイオード1bは、少なくとも10mW/個以上の出力を有するものが基板1a上に配列されている。また、発光ダイオード1bは、1cm2以下の光射出部の面積を有するものが基板1a上に配列されている。更に、光源1においては、複数個の発光ダイオード1bが1個/cm2以上となるように基板1a上に配列されている。
【0062】
また、発光ダイオード1bは、放出される光束のうち最も放射強度の強い光線に対して半分の放射強度となる光線の分布が、最も放射強度の強い光線を中心として±2°以上のものが基板1a上に配列されている。更に、発光ダイオード1bは、放出される光束のうち最も放射強度の強い光線に対して半分の放射強度となる光線と、最も放射強度の強い光線とのなす角をθ(rad)とし、1cm2当たりの発光ダイオード1bの個数をnとしたとき、
θ2 ×n≧0.002
の条件を満足するものが基板1a上に配列されている。また、発光ダイオード1bは、射出される光(発光スペクトル)の波長の半値幅は±20nm以下であるものが基板1a上に配列されている。
【0063】
コンデンサ光学系7の前側焦点位置と光学的に共役な位置に配置された光源1からの光束は、コリメートレンズ3によりほぼ平行な光束に変換された後、オプティカルインテグレータとしてのフライアイレンズ4に入射する。
【0064】
フライアイレンズ4は、正の屈折力を有する多数のレンズエレメントをその光軸が基準光軸AXと平行になるように縦横に且つ稠密に配列することによって構成されている。フライアイレンズ4を構成する各レンズエレメントは、マスク上において形成すべき照野の形状(ひいてはプレート上において形成すべき露光領域の形状)と相似な矩形状の断面を有する。また、フライアイレンズ4を構成する各レンズエレメントの入射側の光学面は入射側に凸面を向けた球面状に形成され、射出側の光学面は射出側に凸面を向けた球面状に形成されている。
【0065】
したがって、フライアイレンズ4に入射した光束は多数のレンズエレメントにより波面分割され、各レンズエレメントの後側焦点面には1つの光源像がそれぞれ形成される。すなわち、フライアイレンズ4の後側焦点面には、多数の光源像からなる実質的な面光源すなわち二次光源が形成される。なお、フライアイレンズ4の各レンズエレメント射出面側の光学面の有効領域の形状と複数の固体光源の発光部の形状とはほぼ相似形状に構成されている。
【0066】
フライアイレンズ4の後側焦点面に形成された二次光源からの光束は、その近傍に配置されたσ絞り5に入射する。σ絞り5は、後述する投影光学系PLの入射瞳面と光学的にほぼ共役な位置に配置され、二次光源の照明に寄与する範囲を規定するための可変開口部を有する。σ絞り5は、可変開口部の開口径を変化させることにより、照明条件を決定するσ値(投影光学系の瞳面の開口径に対するその瞳面上での二次光源像の口径の比)を所望の値に設定する。
【0067】
σ絞り5を介した二次光源からの光は、ミラー6を介してコンデンサ光学系7の集光作用を受けた後、所定のパターンが形成されたマスクMを重畳的に均一照明する。ここでコリメートレンズ3、フライアイレンズ4、σ絞り5、ミラー6及びコンデンサ光学系7は、照明光学系を構成する。マスクMのパターンを透過した光束は、投影光学系PLを介して、感光性基板であるプレートP上にマスクパターンの像を形成する。
【0068】
なお、この投影露光装置においては、複数の発光ダイオード(固体光源)により構成される光源1により、プレートP(被照射面)で、30mW/cm2以上の照度が得られる。また、光源1により、プレートP(被照射面)では、照度むらを平均値(基準値)に対して±20%以内に抑えることができる。ここで、プレートP上の照度の基準値に対する照度むらI(%)は、プレートP上の照度の最大値をImax(W/cm2)、プレートP上の照度の最小値をImin(W/cm2)とすると、次の数式により定義される。
【0069】
I={(Imax−Imin)/(Imax+Imin)}×100(%)
また、この投影露光装置においては、光源1が、定格出力以下の出力で照明光の射出を行っている。従って、固体光源の寿命を延ばすことができる。
【0070】
そして、投影光学系PLの光軸と直交する平面内においてプレートPを二次元的に駆動制御しながら一括露光を行うことにより、プレートPの各露光領域にはマスクMのパターンが逐次露光される。
【0071】
なお、プレートPは、プレートステージPS上に載置されており、プレートステージPS上には、照度センサ(照度計測手段)8が配置されている。また、フライアイレンズ4とミラー6との間の光路中には、ビームスプリッタ9が配置され、ビームスプリッタ9により反射された光は、インテグレータセンサ10に入射する。インテグレータセンサ10による検出信号は、制御部11に対して出力される。また、照度センサ8による検出信号も制御部11に対して出力される。
【0072】
ここで、インテグレータセンサ10の検出信号とプレートP上での露光光の照度との関係は予め高精度に計測されて、制御部11内のメモリに記憶されている。制御部11は、インテグレータセンサ10の検出信号より間接的にプレートPに対する露光光の照度(平均値)及びその積分値(積算露光量の平均値)をモニタできるように構成されている。そして、この制御部11は、露光中において、インテグレータセンサ10を介してプレートPに対する露光光の照度の積分値を算出する。制御部11では、その照度の積分値を逐次算出し、この結果に応じてプレートP上において適正露光量が得られるように、光源1の出力を設定して制御を行う。また、制御部11は、照度センサ8からの出力に基づいても、光源1の出力を制御する。ここで、光源1の出力制御は、光源1全体を一体として行うことができるだけでなく、光源1を構成する発光ダイオード毎に出力を制御することができる。なお、照度センサ8による検出結果及びインテグレータセンサ10による検出結果は、表示部12によっても表示される。
【0073】
この投影露光装置においては、光源1から放出される光束のうち最も放射強度の強い光線に対して半分の放射強度となる光線と、最も放射強度の強い光線とのなす角をθ(rad)とし、投影光学系PLの倍率をβとし、投影光学系PLの開口数をN.A.としたとき、
0.2 ≦(|sinθ|/|β|)/N.A. ≦ 5
の条件を満足する。また、複数の発光ダイオード1bの仕事率の総和をA(W)、マスクMを照明する照明光の仕事率の総和をB(W)としたとき、
B/A≧0.4
の条件を満足する。
【0074】
次に、この第1の実施の形態にかかる露光装置の実施例について説明する。以下に、第1実施例の装置構成を表す数値を示す。
【0075】
光源のサイズ 12×3cm
発光ダイオードの数 24×6個
発光ダイオードの出力 12.5mW/個
発光ダイオードのサイズ 4.5mmφ
発光ダイオードの輝度 50000mW/(nm・cm2・sr)
発光ダイオードの発光部 1mm×1mm
発光ダイオードの波長の半値幅 ±10nm
照明光学系の透過率 80%
投影光学系の開口数(N.A.) 0.1
投影光学系の倍率(β) 等倍
投影光学系の透過率 80%
プレート上の照度 32mW
プレート上の照度むら ±3%
次に、図面を参照して、この発明の第2の実施の形態にかかる露光装置について説明する。図3は、第2の実施の形態にかかる露光装置の全体の概略構成を示す斜視図である。この実施の形態においては、複数の反射屈折型の投影光学ユニットからなる投影光学系に対してマスクMとプレート(基板)Pとを相対的に移動させつつマスクMに形成された液晶表示素子のパターンDPの像を感光性材料(レジスト)が塗布された感光性基板としてのプレートP上に転写するステップ・アンド・スキャン方式の露光装置を例に挙げて説明する。
【0076】
また、以下の説明においては、図3中に示したXYZ直交座標系を設定し、このXYZ直交座標系を参照しつつ各部材の位置関係について説明する。XYZ直交座標系は、X軸及びY軸がプレートPに対して平行となるよう設定され、Z軸がプレートPに対して直交する方向に設定されている。図中のXYZ座標系は、実際にはXY平面が水平面に平行な面に設定され、Z軸が鉛直上方向に設定される。また、この実施の形態ではマスクM及びプレートPを移動させる方向(走査方向)をX軸方向に設定している。
【0077】
この実施の形態の露光装置は、マスクステージ(図3では不図示)MS上においてマスクホルダ(図示せず)を介してXY平面に平行に支持されたマスクMを均一に照明するための固体光源ユニットSU1〜SU5、各固体光源ユニットSU1〜SU5に対応した照明光学ユニットIL1〜IL5により構成される照明光学系を備えている。
【0078】
ここで、固体光源ユニットSU1〜SU5は、第1の実施の形態における光源1(図2参照)と同様な構成を有するものである。なお、固体光源ユニットSU2〜SU5は、固体光源ユニットSU1と同一の構成を有するものであるため、固体光源ユニットSU1を代表して説明する。
【0079】
固体光源ユニットSU1は、矩形状の基板1aを有し、この基板1a上に複数個の発光ダイオード(固体光源)1bがアレイ状に配列されている。ここで発光ダイオード1bは、後述するプレート(感光性基板)P上での照度の値が30mW/cm2 以上となるように、基板1a上においてアレイ状に配列されている。また、発光ダイオード1bは、放出される光束のうち最も放射強度が強い光線を中心として±1°の光束の範囲内において、平均放射輝度が1000mW/(cm2・sr)以上のものが基板1a上に配列されている。
【0080】
また、発光ダイオード1bは、少なくとも10mW/個以上の出力を有するものが基板1a上に配列されている。また、発光ダイオード1bは、1cm2 以下の光射出部の面積を有するものが基板1a上に配列されている。更に、固体光源ユニットSU1においては、複数個の発光ダイオード1bが1個/cm2以上となるように基板1a上に配列されている。
【0081】
また、発光ダイオード1bは、放出される光束のうち最も放射強度の強い光線に対して半分の放射強度となる光線の分布が、最も放射強度の強い光線を中心として±2°以上のものが基板1a上に配列されている。更に、発光ダイオード1bは、放出される光束のうち最も放射強度の強い光線に対して半分の放射強度となる光線と、最も放射強度の強い光線とのなす角をθ(rad)とし、1cm2 当たりの発光ダイオード1bの個数をnとしたとき、
θ2 ×n≧0.002
の条件を満足するものが基板1a上に配列されている。また、発光ダイオード1bは、射出される光(発光スペクトル)の波長の半値幅は±20nm以下であるものが基板1a上に配列されている。
【0082】
図4は、固体光源ユニットSU1及び照明光学ユニットIL1の側面図であり、図3に示した部材と同一の部材には同一の符号を付してある。なお、この図に示されるXYZ直交座標系は、図3に示す直交座標系と同一のものである。
【0083】
固体光源ユニットSU1とマスクMとの間には、コリメートレンズ20a、フライアイ・インテグレータ21a、開口絞り22a、ハーフミラー23a及びコンデンサーレンズ系27aが順に配置されている。なお、照明光学ユニットIL2〜IL5の構成は、照明光学ユニットIL1の構成と同一であるためその説明は省略する。
【0084】
固体光源ユニットSU1から射出された発散光束は、コリメートレンズ20aによりほぼ平行な光束に変換された後、フライアイ・インテグレータ(オプティカルインテグレータ)21aに入射する。フライアイ・インテグレータ21aは、多数の正レンズエレメントをその中心軸線が光軸AX2に沿って延びるように縦横に且つ稠密に配列することによって構成されている。従って、フライアイ・インテグレータ21aに入射した光束は、多数のレンズエレメントにより波面分割され、その後側焦点面(即ち、射出面の近傍)にレンズエレメントの数と同数の光源像からなる二次光源を形成する。即ち、フライアイ・インテグレータ21aの後側焦点面には、実質的な面光源が形成される。なお、図5に示すように、フライアイ・インテグレータ21aの射出面側の光学面の有効領域の形状(図において斜線で示すフライアイ・インテグレータ21aを構成する1つのエレメントの射出側の光学面の形状)と、固体光源ユニットSU1発光部の形状(複数の発光ダイオードにより形成される発光部の形状)とはほぼ相似形状に構成されている。
【0085】
フライアイ・インテグレータ21aの後側焦点面に形成された多数の二次光源からの光束は、フライアイ・インテグレータ21aの後側焦点面の近傍に配置された開口絞り22aにより制限された後、ハーフミラー23aに入射する。ハーフミラー23aにより反射された光束は、レンズ24aを介して照度センサ25aに入射する。この照度センサ25aは、プレートPと光学的に共役な位置の照度を検出するためのセンサであり、この照度センサ25aにより、露光中においてもスループットを低下させることなくプレートP上の照度を検出することができる。なお、照度センサ25aの検出値は、主制御系26に入力される。
【0086】
一方、ハーフミラー23aを透過した光束は、コンデンサーレンズ系27aに入射する。なお、開口絞り22aは、対応する投影光学ユニットPL1の瞳面と光学的にほぼ共役な位置に配置され、照明に寄与する二次光源の範囲を規定するための開口部を有する。この開口絞り22aの開口部は、開口径が固定であってもよく、また開口径が可変であってもよい。ここでは開口絞り22aの開口部が可変であるものとして説明する。開口絞り22aは、この可変開口部の開口径を変化させることにより、照明条件を決定するσ値(投影光学系PLを構成する各投影光学ユニットPL1〜PL5の瞳面の開口径に対するその瞳面上での二次光源像の口径の比)を所望の値に設定する。コンデンサーレンズ系24aを介した光束は、パターンDPが形成されたマスクMを重畳的に照明する。
【0087】
固体光源ユニットSU2〜SU5から射出された光束も同様に、照明光学ユニットIL2〜IL5を介してマスクMを重畳的にそれぞれ照明する。即ち、照明光学系を構成する照明光学ユニットIL1〜IL5は、マスクM上においてY軸方向に並んだ複数(図3では合計で5つ)の台形状の領域を照明する。
【0088】
なお、主制御系26は、照明光学ユニットIL1の照度センサ25aにより検出された照度、及び照明光学ユニットIL2〜IL5の照度センサにより検出された照度に基づいて、各照明光学ユニットIL1〜IL5によりマスクM照明する際の照度が均一になるように、各照明光学ユニットIL1〜IL5に対応して設けられている各固体光源ユニットSU2〜SU5の光出力を設定する光源出力設定部に対して制御信号を出力する。
【0089】
マスクM上の各照明領域からの光は、各照明領域に対応するようにY軸方向に沿って配列された複数(図3では合計で5つ)の投影光学ユニットPL1〜PL5からなる投影光学系PLに入射する。ここで、各投影光学ユニットPL1〜PL5の構成は、互いに同じである。こうして、複数の投影光学ユニットPL1〜PL5から構成された投影光学系PLを介した光は、図示しないプレートステージ上において、図示しないプレートホルダを介してXY平面に平行に支持されたプレートP上にパターンDPの像を形成する。
【0090】
なお、この複数の発光ダイオード(固体光源)により構成される固体光源ユニットSU1〜SU5により、プレートP(被照射面)では、30mW/cm2以上の照度が得られる。また、固体光源ユニットSU1〜SU5により、プレートP(被照射面)では、照度むらを平均値に対して±20%以内に抑えることができる。
【0091】
上述の主制御系26にはハードディスク等の記憶装置28が接続されており、この記憶装置28内に露光データファイルが格納されている。露光データファイルには、プレートPの露光を行う上で必要となる処理及びその処理順が記憶されており、この処理毎に、プレートP上に塗布されているレジストに関する情報(例えば、レジストの分光特性)、必要となる解像度、使用するマスクM、照明光学系の補正量(照明光学特性情報)、投影光学系の補正量(投影光学特性情報)、及び基板の平坦性に関する情報等(所謂、レシピデータ)が含まれている。
【0092】
図3に戻り、前述したマスクステージMSには、マスクステージMSを走査方向であるX軸方向に沿って移動させるための長いストロークを有する走査駆動系(図示せず)が設けられている。また、マスクステージMSを走査直交方向であるY軸方向に沿って微小量だけ移動させると共にZ軸廻りに微小量だけ回転させるための一対のアライメント駆動系(図示せず)が設けられている。そして、マスクステージMSの位置座標が移動鏡を用いたレーザ干渉計(図示せず)によって計測され且つ位置制御されるように構成されている。
【0093】
同様の駆動系が、プレートステージにも設けられている。即ち、プレートステージを走査方向であるX軸方向に沿って移動させるための長いストロークを有する走査駆動系(図示せず)、プレートステージを走査直交方向であるY軸方向に沿って微小量だけ移動させると共にZ軸廻りに微小量だけ回転させるための一対のアライメント駆動系(図示せず)が設けられている。そして、プレートステージの位置座標が移動鏡31を用いたレーザ干渉計(図示せず)によって計測され且つ位置制御されるように構成されている。更に、マスクMとプレートPとをXY平面に沿って相対的に位置合わせするための手段として、一対のアライメント系32a,32bがマスクMの上方に配置されている。更に、プレートステージ上には、プレートP上の照明光による照度を検出するための照度センサ33が設けられており、検出値が照明光学系ILの主制御系26に入力される。主制御系26は、照度センサ33により検出されたプレートP上の照明光による照度に基づいて、各固体光源ユニットSU2〜SU5の光出力を制御する。なお、主制御系26による各固体光源ユニットSU2〜SU5の光出力の制御は、各固体光源ユニットSU2〜SU5毎の光出力の制御の他、各固体光源ユニットSU2〜SU5を構成する各発光ダイオード毎の光出力の制御によっても行うことができる。
【0094】
こうして、マスクステージMS側の走査駆動系及びプレートステージ側の走査駆動系の作用により、複数の投影光学ユニットPL1〜PL5からなる投影光学系PLに対してマスクMとプレートPとを一体的に同一方向(X軸方向)に沿って移動させることによって、マスクM上のパターン領域の全体がプレートP上の露光領域の全体に転写(走査露光)される。
【0095】
この投影露光装置においては、固体光源ユニットを構成する発光ダイオード1bから放出される光束のうち最も放射強度の強い光線に対して半分の放射強度となる光線と、最も放射強度の強い光線とのなす角をθ(rad)とし、投影光学系PLの倍率をβとし、投影光学系PLの開口数をN.A.としたとき、
0.2 ≦(|sinθ|/|β|)/N.A. ≦ 5
の条件を満足する。また、複数の発光ダイオード1bの仕事率の総和をA(W)、マスクMを照明する照明光の仕事率の総和をB(W)としたとき、
B/A≧0.4
の条件を満足する。
【0096】
上述の各実施の形態にかかる露光装置によれば、光源が複数個の発光ダイオード(固体光源)をアレイ状に配列した固体光源ユニットを備えるため、像面照度を実用的な露光装置に要求される値にすることができ、実用的な露光装置としてのスループットを確保することができる。
【0097】
また、この実施の形態にかかる露光装置によれば、複数の固体光源をアレイ状に配列した光源を備えているため、露光装置の小型化を図ることができる。また、露光光の照射、遮断を制御するためのメカシャッタが不要になり装置構造を簡素化することができる。更に、メカシャッタ作動時に発生する振動が露光に悪影響を及ぼす恐れもなくすことができる。
【0098】
また、複数の固体光源をアレイ状に配列した光源を備えているため、従来の水銀ランプ等に比較して、光源の長寿命化を図ることができる。また、省電力化、低ランニングコスト化を実現することができる。更に、光源の光出力の制御も容易に行うことができる。
【0099】
なお、上述の第1の実施の形態においては、照明光学系にオプティカルインテグレータとしてのフライアイレンズを用いており、上述の第2の実施の形態においては、照明光学系にフライアイ・インテグレータを用いているが、これに代えてロッド型のインテグレータ又はシリンダ型のインテグレータを用いてもよい。
【0100】
ロッド型のインテグレータを用いる場合には、光源(発光ダイオードアレイ)の形状とロッドの断面形状を相似形とすることが好ましい。また、シリンダ型のインテグレータを用いる場合には、シリンダ型のインテグレータを構成する一方のシリンダレンズのピッチと、これと直交して配置される他方のシリンダレンズのピッチで形成される矩形領域(オプティカルインテグレータの射出面側の光学面の有効領域)と光源(発光ダイオードアレイ)の形状とを相似形とすることが好ましい。
【0101】
なお、上述の第1の実施の形態においては、ステップ・アンド・リピート型の投影露光装置を例として説明し、第2の実施の形態においては、ステップ・アンド・スキャン型の投影露光装置を例として説明したが、プロキシミティ方式の露光装置に本発明を適用してもよい。この場合には、投影光学系が存在しないことから像面照度を高くすることができる。
【0102】
また、第2の実施の形態のステップ・アンド・スキャン型の投影露光装置においては、照明光学ユニット毎に固体光源ユニットを配置して、固体光源ユニットSU1〜SU5から照明光学ユニットに対して照明光を供給しているが、多数のファイバ素線をランダムに束ねて構成されたランダムライトガイドファイバの入射端に1つの固体光源ユニットを配置し、5つの射出端のそれぞれから射出される照明光を照明光学ユニットIL1〜IL5に入射させるようにしてもよい。
【0103】
また、上述の各実施の形態においては、固体光源として発光ダイオードを用いているが、レーザダイオードなどの他の種類の固体光源を用いてもよい。
【0104】
また、上述の各実施の形態において、複数の固体光源として、複数の発光点を有する固体光源チップ、チップを複数個アレイ状に配列した固体光源チップアレイ、さらに複数の発光点を一枚の基板に作り込んだタイプのものなどを用いても良い。なお、固体光源素子は、無機、有機を問わない。
【0105】
また、上述の各実施の形態において、光源として、複数個の固体光源と各固体光源に対応して設けられた複数の光ファイバ等のライトガイド(ファイバ)とを組み合わせたファイバ光源を用いても良い。この場合には、第1の実施の形態の光源1をファイバ光源に変更し、光源1の発光ダイオード1bの位置にファイバ光源のファイバ射出端が位置するように配置する。また、第2の実施の形態の固体光源ユニットSU1〜SU5をファイバ光源に変更し、固体光源ユニットSU1〜SU5の発光ダイオード1bの位置にファイバ光源のファイバ射出端が位置するように配置する。
【0106】
図6は、固体光源71と各固体光源71に対応して設けられた光ファイバ72とを複数個束ね合わせたファイバ光源69を示す図である。図6に示すファイバ光源69においては、固体光源71から射出される光は、光ファイバ72の入射端に入射して、光ファイバ72の射出端から射出する。即ち、光ファイバ72のそれぞれの入射端は、固体光源71と光学的に接続されている。また、図7は、固体光源71、各固体光源71に対応して設けられたレンズ(集光光学系)73及び光ファイバ72を複数個束ね合わせたファイバ光源70を示す図である。図7に示すファイバ光源70においては、固体光源71から射出される光は、レンズ73に入射して、レンズ73により集光されて光ファイバ72の入射端に入射し、光ファイバ72の射出端から射出する。即ち、光ファイバ72のそれぞれの入射端は、固体光源71と光学的に接続されている。
【0107】
図6に示すファイバ光源69及び図7に示すファイバ光源70においては、適切な開口数を有する光ファイバ72を用いることにより、通常楕円形である固体光源71のビームプロファイル75(図8(a)参照)を円形のビームプロファイル76(図8(b)及び図8(c)参照)に成形することができる。
【0108】
また、複数個の光ファイバの射出端部分を任意の形に束ね合わせることにより光源の射出端の形状(射出端の配置形状)を最適な形状に成形することが可能である。例えば、図9(a)に示すような矩形状に成形することもでき、図9(b)に示すような形状に成形することもできる。また、図10に示すように、ファイバ光源69、70の光ファイバの射出端を束ねた形状とフライアイ・インテグレータ80の1つのエレメント81の形状とが相似形になるように、複数個の光ファイバの射出端部分の形状を成形することも極めて容易となる。従って、照明光を効率的に用いることができる。
【0109】
ここで、図11は、図7に示すファイバ光源70の1つの固体光源71、それに対応して設けられたレンズ(集光光学系)73及び光ファイバ72を示す図である。図7に示すファイバ光源70においては、固体光源71の発散光の内で最大の射出角度を持つ光の開口数(最大の射出角度(半角)の正弦(sin)、以下、最大開口数と呼ぶこととする)をNA1、固体光源71の発光部の大きさ(直径)の最大値をφ、光ファイバ72が光を取り込むことが可能な角度範囲(半角)の正弦(sin)、いわゆる光ファイバ72の開口数をNA2、光ファイバ72の入射端のコア直径をDとしたとき、NA2≧φ/D×NA1の条件を満足している。この条件を満足することにより、固体光源71から射出される光を無駄なく光ファイバ72に取り込むことができ、固体光源71から射出される光の光量を維持して、光ファイバ72の射出端から射出させることができる。
【0110】
また、光ファイバとして石英ファイバを用いる場合、固体光源71の最大開口数をNA1、固体光源71の発光部の大きさ(直径)の最大値をφ、石英ファイバの入射端のコア直径をDとしたとき、0.3≧φ/D×NA1の条件を満足している。この条件を満足することにより、固体光源から射出される光を無駄なく石英ファイバに取り込むことができ、固体光源から射出される光の光量を維持して、光ファイバ72の射出端から射出させることができる。
【0111】
また、図12はファイバ光源69、70の射出端からフライアイ・インテグレータ80までの構成を示す図、図13はフライアイ・インテグレータ80の1つのエレメント81における入射面の形状を示す図、図14はファイバ光源69、70の射出端83の形状を示す図である。ここで、フライアイ・インテグレータ80のエレメント81の入射面の一方の長さをa、他方の長さをb、複数個の光ファイバ72を束ね合わせた射出端83の形状において一方の長さをA、他方の長さをB、光ファイバ72とフライアイ・インテグレータ80との間に位置するコリメートレンズ82の焦点距離をf1、フライアイ・インテグレータ80の焦点距離をf2としたとき、A×f2/f1≦a及びB×f2/f1≦bの関係が成り立つ。
【0112】
また、ファイバ光源がm組の光ファイバ光源69、70で構成される場合(mは自然数)、m組の光ファイバ72から射出される光出力の総量をW、光ファイバ72の射出端のコア直径をdとしたとき、[m×{d(f2/f1)}2π/(4×a×b)]×W≧30(mW)の条件を満足することが望ましい。この条件を満足することにより、フライアイ・インテグレータ80の1つのエレメント81に対する光源像の充填率を最適な状態にすることができ、露光装置として実用的な照度を得ることができる。なお、この場合において、光ファイバ72の射出端を束ねた形状とフライアイ・インテグレータ80のエレメント81の形状とは相似形であることが望ましい。
【0113】
また、図6に示すファイバ光源69及び図7に示すファイバ光源70においては、光ファイバ72の射出端における時間的に変化する光量の最大値をPmax、最小値をPminとしたとき、その光ファイバ72の射出端における光量の平均リップル幅ΔPは、ΔP=(Pmax−Pmin)/(Pmax+Pmin)により算出される。ここで、フライアイ・インテグレータ80の入射端において要求される光量のリップル幅をΔWとしたとき、固体光源71の数nはn≧(ΔP/ΔW)2の条件を満たしている。
【0114】
この条件を満足することにより、ファイバ光源69、70の射出端から射出される光出力のばらつきは、固体光源71の数nを(ΔP/ΔW)2より多くすることにより平均化され、その平均化効果により安定した光出力を有するファイバ光源69、70を提供することができる。
【0115】
また、図6に示すファイバ光源69及び図7に示すファイバ光源70においては、それぞれの固体光源71の波長、光量等の出力特性にばらつきがある場合、それら出力特性の異なる複数個の固体光源71をファイバ光源の光源として用いることにより、ファイバ光源69,70の射出端において出力特性のばらつきが平均化される。また、異なる出力特性を有する固体光源を組み合わせることにより所望の特性を得ることができる。ファイバ光源69,70の射出端において平均化された光は、さらにフライアイ・インテグレータ80により平均化される。図15は、各固体光源71の出力特性のばらつきを平均化した状態をグラフ化した図である。それぞれ異なった出力特性を持つ固体光源71を平均化して、グラフ化したものがAVEである。このように、出力特性の異なる複数個の固体光源71を組み合わせたものをファイバ光源69、70に使用した場合において、平均化効果により安定した光出力を有する照明光を得ることができる。
【0116】
また、露光装置が走査型露光装置である場合に、同期ブラインドを備えても良い。図16は、走査型露光装置の構成図である。この露光装置は、投影光学系に対して、マスクステージ及び基板ステージが移動しつつ、マスクのパターンをプレート上に転写する走査型露光装置であり、同期ブラインド(可動ブラインド機構)91を有する。その他の点においては、第1の実施の形態にかかる露光装置と同一の構成を有する。
【0117】
図16に示すように、マスクMの近傍には、固定ブラインドBL0と、可動ブラインド機構91とが配置されており、図17に示すように、この可動ブラインド機構は、4枚の可動ブレードBL1、BL2、BL3、BL4からなる。可動ブレードBL1、BL2のエッジによって走査露光方向の開口APの幅が決定され、可動ブレードBL3、BL4のエッジによって非走査方向の開口APの長さが決定される。また、4枚の可動ブレードBL1〜BL4の各エッジで規定された開口APの形状は、投影レンズPLの円形イメージフィールドIF内に包含されるように定められる。
【0118】
固定ブラインドBL0の開口と可動ブランド機構91の開口APとを通過した照明光はマスクMを照射する。つまり、各可動ブレードBL1〜BL4によって形成される開口APと固定ブラインドの開口とが重なっている領域についてのみ、マスクMの照明が行われることになる。通常の露光状態においては、固定ブラインドBL0の開口の像がマスクMのパターン面に結像されるが、マスクM上の特定走査露光領域の周辺すなわち遮光部分の近傍領域の露光が行われる場合、4枚の可動ブレードBL1〜BL4によって遮光部分の外側に照明光が入射することが防止される。即ち、マスクステージの走査に際して、照明光学系から射出される光束とマスクMとの相対位置に関する情報が監視される。この監視情報に基づいて、マスクM上の特定走査露光領域の露光開始時や露光終了時において遮光部分の近傍領域について露光が始まると判断した場合、可動ブレードBL1、BL2のエッジ位置を移動させ、走査露光方向の開口APの幅を制御する。これにより、不要なパターン等がプレートに対して転写されるのを防止することができる。なお、この露光装置においては、マスクM近傍に可動ブラインド機構91を設けているが、マスクMと共役な位置又はその近傍の位置であれば、他の位置に可動ブラインド機構を設けても良い。
【0119】
また、露光装置に帯電防止手段を設けるようにしても良い。図18は、帯電防止手段を備えた露光装置の構成図である。その他の点においては、第1の実施の形態にかかる露光装置と同一の構成を有する。この露光装置においては、光源を収容する筐体92と、照明光学系及び投影光学系等の露光装置本体を収容する筐体93とが別々に設けられており、筐体92と筐体93とが電気的に接続され、更にアースされている。即ち、筐体92と筐体93とが同電位に保たれている。また、光源に電力を供給する電源部84と露光装置本体に電力を供給する電源部85とが別々に設けられており、それぞれアースされている。したがって、露光装置の光源及び露光装置本体に静電気が帯電するのを防止することができ、静電気による固体光源の破損を防止することができる。
【0120】
また、上述の各実施形態におけるマスクに替えて、投影すべきパターンを生成する可変パターン生成装置を用いても良い。このような可変パターン生成装置は、自発光型画像表示素子と、非発光型画像表示素子とに大別される。自発光型画像表示素子としては、CRT(cathode ray tube)、無機ELディスプレイ、有機ELディスプレイ(OLED:Organic Light Emitting diode)、LEDディスプレイ、LDディスプレイ、電界放出ディスプレイ(FED:field emission display)、プラズマディスプレイ(PDP:Plasma Display Panel)が例としてあげられる。また、非発光型画像表示素子は、空間光変調器 (Spatial Light Modulator:以下SLMと略記する)とも呼ばれ、光の振幅、位相あるいは偏光の状態を空間的に変調する素子であり、透過型空間光変調器と反射型空間光変調器とに分けられる。透過型空間光変調器としては、透過型液晶表示素子(LCD:Liquid Crystal Display)、エレクトロクロミックディスプレイ(ECD)などが例としてあげられ、反射型空間光変調器としては、DMD(Deformable Micro−mirror Device, またはDigital Micro−mirror Device)、反射ミラーアレイ、反射型液晶表示素子、電気泳動ディスプレイ(EPD:Electro Phoretic Display)、電子ペーパー(または電子インク)、光回折型ライトバルブ(Grating Light Valve)などが例としてあげられる。
【0121】
次に、この発明の実施の形態による露光装置をリソグラフィ工程で使用したマイクロデバイスの製造方法について説明する。図19は、マイクロデバイスとしての半導体デバイスの製造方法を説明するためのフローチャートである。まず、図19のステップS40において、1ロットのウェハ上に金属膜が蒸着される。次のステップS42において、その1ロットのウェハ上の金属膜上にフォトレジストが塗布される。その後、ステップS44において、この発明の実施の形態にかかる露光装置を用いて、マスクM上のパターンの像がその投影光学系(投影光学ユニット)を介して、その1ロットのウェハ上の各ショット領域に順次露光転写される。即ち、照明装置を用いてマスクMが照明され、投影光学系を用いてマスクM上のパターンの像が基板上に投影され露光転写される。
【0122】
その後、ステップS46において、その1ロットのウェハ上のフォトレジストの現像が行われた後、ステップS48において、その1ロットのウェハ上でレジストパターンをマスクとしてエッチングを行うことによって、マスク上のパターンに対応する回路パターンが、各ウェハ上の各ショット領域に形成される。その後、更に上のレイヤの回路パターンの形成等を行うことによって、半導体素子等のデバイスが製造される。上述の半導体デバイス製造方法によれば、極めて微細な回路パターンを有する半導体デバイスをスループット良く得ることができる。
【0123】
また、この発明の実施の形態にかかる露光装置では、プレート(ガラス基板)上に所定のパターン(回路パターン、電極パターン等)を形成することによって、マイクロデバイスとしての液晶表示素子を得ることもできる。図20は、この実施の形態の露光装置を用いてプレート上に所定のパターンを形成することによって、マイクロデバイスとしての液晶表示素子を製造する方法を説明するためのフローチャートである。
【0124】
図20のパターン形成工程S50では、この実施の形態の露光装置を用いてマスクのパターンを感光性基板(レジストが塗布されたガラス基板等)に転写露光する、所謂光リソグラフィ工程が実行される。この光リソグラフィ工程によって、感光性基板上には多数の電極等を含む所定パターンが形成される。その後、露光された基板は、現像工程、エッチング工程、レジスト剥離工程等の各工程を経ることによって、基板上に所定のパターンが形成され、次のカラーフィルタ形成工程S52へ移行する。
【0125】
次に、カラーフィルタ形成工程S52では、R(Red)、G(Green)、B(Blue)に対応した3つのドットの組がマトリックス状に多数配列されたり、又はR、G、Bの3本のストライプのフィルタの組を複数水平走査線方向に配列したカラーフィルタを形成する。そして、カラーフィルタ形成工程S52の後に、セル組み立て工程S54が実行される。セル組み立て工程S54では、パターン形成工程S50にて得られた所定パターンを有する基板、及びカラーフィルタ形成工程S52にて得られたカラーフィルタ等を用いて液晶パネル(液晶セル)を組み立てる。
【0126】
セル組み立て工程S54では、例えば、パターン形成工程S50にて得られた所定パターンを有する基板とカラーフィルタ形成工程S52にて得られたカラーフィルタとの間に液晶を注入して、液晶パネル(液晶セル)を製造する。その後、モジュール組立工程S56にて、組み立てられた液晶パネル(液晶セル)の表示動作を行わせる電気回路、バックライト等の各部品を取り付けて液晶表示素子として完成させる。上述の液晶表示素子の製造方法によれば、極めて微細な回路パターンを有する液晶表示素子をスループット良く得ることができる。
【0127】
このマイクロデバイスの製造方法によれば、実用的な露光に要求される像面照度の値を確保した露光装置を用いているため、実用的な露光装置としてのスループットを確保することができる。
【0128】
【発明の効果】
この発明の露光装置によれば、光源が複数個の固体光源をアレイ状に配列した固体光源ユニットを備えるため、像面照度を実用的な露光装置に要求される値にすることができ、実用的な露光装置としてのスループットを確保することができる。
【0129】
また、この発明の露光方法によれば、実用的な露光に要求される像面照度の値を確保した露光装置を用いて露光を行うため、実用的な露光方法としてのスループットを確保することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】第1の実施の形態にかかる露光装置の全体の概略構成を示す斜視図である。
【図2】第1の実施の形態にかかる光源の構成を示す図である。
【図3】第2の実施の形態にかかる露光装置の全体の概略構成を示す斜視図である。
【図4】第2の実施の形態にかかる照明光学系の側面図である。
【図5】第2の実施の形態にかかる照明光学系の概略斜視図である。
【図6】実施の形態にかかるファイバ光源の構成を示す図である。
【図7】実施の形態にかかる別のファイバ光源の構成を示す図である。
【図8】実施の形態にかかる光源から射出されるビームプロファイルの形状を説明するための図である。
【図9】実施の形態にかかるファイバ光源の射出端の形状を示す図である。
【図10】実施の形態にかかるファイバ光源の射出端の形状とフライアイ・インテグレータのエレメントの形状とが相似形であることを示す図である。
【図11】実施の形態にかかるファイバ光源において、固体光源から射出される光を無駄なく光ファイバに取り込むための条件を説明するための図である。
【図12】実施の形態にかかるファイバ光源の射出端からフライアイ・インテグレータまでの構成を示す図である。
【図13】実施の形態にかかるフライアイ・インテグレータの1つのエレメントの形状を示す図である。
【図14】実施の形態にかかるファイバ光源の射出端の形状を示す図である。
【図15】実施の形態にかかる各固体光源の出力特性のばらつきを平均化した状態をグラフ化した図である。
【図16】実施の形態にかかる走査型露光装置の構成を示す図である。
【図17】実施の形態にかかる走査型露光装置に設けられた4枚の可動ブレードを示す図である。
【図18】実施の形態にかかる帯電防止手段を備えた露光装置の構成を示す図である。
【図19】実施の形態にかかるマイクロデバイスとしての半導体デバイスを製造する方法のフローチャートである。
【図20】実施の形態にかかるマイクロデバイスとしての液晶表示素子を製造する方法のフローチャートである。
【符号の説明】
1…光源、1b…発光ダイオード、3…コリメートレンズ、4…フライアイレンズ、5…σ絞り、7…コンデンサ光学系、8…照度サンサ、10…インテグレータセンサ、11…制御部、M…マスク、P…プレート、PL…投影光学系、SU1〜SU5…固体光源ユニット、IL1〜IL5…照明光学ユニット、PL1〜PL5…投影光学ユニット、MS…マスクステージ、PS…プレートステージ。
【発明の属する技術分野】
この発明は、半導体素子、液晶表示素子、撮像素子、薄膜磁気ヘッド、その他のマイクロデバイスの製造工程において用いられる露光装置及び露光方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
マイクロデバイスの一つである液晶表示素子は、通常、ガラス基板(プレート)上に透明薄膜電極をフォトリソグラフィの手法で所望の形状にパターニングして、TFT(Thin Film Transistor)等のスイッチング素子及び電極配線を形成して製造される。このフォトリソグラフィの手法を用いた製造工程では、マスク上に形成された原画となるパターンを、投影光学系を介してフォトレジスト等の感光剤が塗布されたプレート上に投影露光する投影露光装置が用いられている。
【0003】
従来は、マスクとプレートとの相対的な位置合わせを行った後で、マスクに形成されたパターンをプレート上に設定された1つのショット領域に一括して転写し、転写後にプレートをステップ移動させて他のショット領域の露光を行う、ステップ・アンド・リピート方式の投影露光装置(所謂、ステッパー)が多用されていた。
【0004】
近年、液晶表示素子の大面積化が要求されており、これに伴ってフォトリソグラフィ工程において用いられる投影露光装置は露光領域の拡大が望まれている。投影露光装置の露光領域を拡大するためには投影光学系を大型化する必要があるが、残存収差が極力低減された大型の投影光学系を設計及び製造するにはコスト高となってしまう。そこで、投影光学系の大型化を極力避けるために、投影光学系の物体面側(マスク側)における投影光学系の有効径と同程度に長手方向の長さが設定されたスリット状の照明光をマスクに照射し、マスクを介したスリット状の光が投影光学系を介してプレートに照射されている状態で、マスクとプレートとを投影光学系に対して相対的に移動させて走査し、マスクに形成されたパターンの一部を順次プレートに設定された1つのショットに転写し、転写後にプレートをステップ移動させて他のショット領域に対する露光を同様にして行う、所謂ステップ・アンド・スキャン方式の投影露光装置が案出されている。
【0005】
また、近年では、更なる露光領域の拡大を図るため、1つの大型の投影光学系を用いるのではなく、小型の部分投影光学系を走査方向に直交する方向(非走査方向)に所定間隔をもって複数配列した第1の配列と、この部分投影光学系の配列の間に部分光学系が配置されている第2の配列とを走査方向に配置した、所謂マルチレンズ方式の投影光学系を備える投影露光装置が案出されている(例えば特許文献1参照)。
【0006】
【特許文献1】
特開平7−57986号公報
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
ところで上述の投影露光装置の光源としては、波長約360nm程度の紫外領域においては主に水銀ランプなどが用いられていた。この水銀ランプの寿命は、概ね500h〜1000h程度であることから、定期的にランプ交換が必要となり露光装置ユーザには大きな負担となっていた。また、高照度確保のために高電力が必要であり、またそれに伴う発熱対策などが必要になるなど、高いランニングコストの問題や、経時劣化などの要因に伴う破裂の危険性を有していた。
【0008】
これに対して発光ダイオードは、水銀ランプなどに比べて発光効率が高く、そのため省電力、小発熱という特長を持ち大幅なランニングコストの低減を実現できる。また寿命も3000h程度のものもあるため、交換にかかる負担も少なく、経時劣化などの要因に伴う破裂の危険性もない。さらに最近では、波長365nmで100mw程度の高い光出力を達成したUV−LEDなども開発されている。
【0009】
この発明の課題は、固体光源を備えた露光装置及び該露光装置を用いた露光方法を提供することである。
【0010】
【課題を解決するための手段】
請求項1記載の露光装置は、光源から射出される光束をマスクへ導き、前記マスクのパターンを感光性基板上に転写する露光装置において、前記光源と前記マスクとの間の光路中に配置されて、前記光源からの光束に基づいて前記マスクを照明する照明光学系を備え、前記光源は、前記感光性基板上での照度の値が30mW/cm2 以上となるように配列された複数個の固体光源を有する固体光源ユニットを備えることを特徴とする。
【0011】
この請求項1記載の露光装置によれば、光源が感光性基板上での照度の値が30mW/cm2 以上となるように配列された複数個の固体光源を有する固体光源ユニットを備えるため、像面照度を実用的な露光装置に要求される値にすることができ、実用的な露光装置としてのスループットを確保することができる。
【0012】
また、請求項2記載の露光装置は、前記固体光源が放出される光束のうち最も放射強度が強い光線を中心として±1°の光束の範囲内において、平均放射輝度が1000mW/(cm2・sr)以上であることを特徴とする。
【0013】
この請求項2記載の露光装置によれば、放出される光束のうち最も放射強度が強い光線を中心として±1°の光束の範囲内において、平均放射輝度が1000mW/(cm2・sr)以上である固体光源を備えるため、投影光学系を介して多くの光束を感光性基板上に照射することができ、露光装置のスループットを向上させることができる。ここで、平均放射輝度とは、±1°内でのすべての角度の輝度の平均値である。
【0014】
また、請求項3記載の露光装置は、マスクのパターンを感光性基板上に転写する露光装置において、複数個の固体光源を有する固体光源ユニットと、該固体光源ユニットから射出される光束を前記マスクへ導く照明光学系とを備え、前記固体光源は、放出される光束のうち最も放射強度が強い光線を中心として±1°の光束の範囲内において、平均放射輝度が1000mW/(cm2・sr)以上であることを特徴とする。
【0015】
この請求項3記載の露光装置によれば、放出される光束のうち最も放射強度が強い光線を中心として±1°の光束の範囲内において、平均放射輝度が1000mW/(cm2・sr)以上である固体光源を備えるため、投影光学系を介して多くの光束を感光性基板上に照射することができ、露光装置のスループットを向上させることができる。
【0016】
また、請求項4記載の露光装置は、前記固体光源が少なくとも10mW/個以上の出力を有することを特徴とする。この請求項4記載の露光装置によれば、個々の固体光源の出力が大きいことから実用的な露光装置に要求される像面照度を確保することができる。
【0017】
また、請求項5記載の露光装置は、前記感光性基板上の照度むらが平均値に対して±20%以内であることを特徴とする。この請求項5記載の露光装置によれば、実用的な露光装置に要求される解像度や線幅均一性を確保することができる。
【0018】
また、請求項6記載の露光装置は、前記固体光源の光射出部の面積が、1cm2 以下であることを特徴とする。ここでいう光射出部とは、固体光源において実際に発光している部分のことを指し、パッケージの大きさとは無関係である。
【0019】
また、請求項7記載の露光装置は、前記固体光源ユニットの前記複数個の固体光源が、1個/cm2以上となるように配列されることを特徴とする。
【0020】
この請求項6、請求項7記載の露光装置によれば、多数の固体光源を配列することができることから、実用的な露光装置に要求される像面照度を確保することができる。
【0021】
また、請求項8記載の露光装置は、前記固体光源から放出される光束のうち最も放射強度の強い光線に対して半分の放射強度となる光線の分布が、前記最も放射強度の強い光線を中心として±2°(±35mrad)以上であることを特徴とする。
【0022】
この請求項8記載の露光装置によれば、放出される光束のうち最も放射強度の強い光線に対して半分の放射強度となる光線の分布が、最も放射強度の強い光線を中心として±2°(±35mrad)以上である固体光源を備えるため、投影光学系を介して多くの光束を感光性基板上に照射することができ、露光装置のスループットを向上させることができる。
【0023】
また、請求項9記載の露光装置は、前記固体光源から放出される光束のうち最も放射強度の強い光線に対して半分の放射強度となる光線と前記最も放射強度の強い光線とのなす角をθ(rad)とし、1cm2当たりの前記固体光源の個数をnとしたとき、θ2 ×n≧0.002、の条件を満足することを特徴とする。
【0024】
この請求項9記載の露光装置によれば、放出される光束のうち最も放射強度の強い光線に対して半分の放射強度となる光線と最も放射強度の強い光線とのなす角をθ(rad)とし、1cm2当たりの固体光源の個数をnとしたとき、θ2 ×n≧0.002、の条件を満足する固体光源を備えるため、投影光学系を介して多くの光束を感光性基板上に照射することができ、露光装置のスループットを向上させることができる。
【0025】
また、請求項10記載の露光装置は、前記固体光源から射出される光の波長の半値幅は±20nm以下であることを特徴とする。
【0026】
また、請求項11記載の露光装置は、前記マスクのパターン像を前記感光性基板上に形成する投影光学系をさらに備えることを特徴とする。
【0027】
また、請求項12記載の露光装置は、マスクのパターンを感光性基板上に転写する露光装置において、複数個の固体光源を有する固体光源ユニットと、前記固体光源ユニットと前記マスクとの間の光路中に配置されて、前記固体光源ユニットからの光束に基づいて前記マスクを照明する照明光学系と、前記マスクからの光束に基づいて、前記マスクのパターン像を前記感光性基板上に形成する投影光学系とを備え、前記固体光源の発光スペクトルの波長の半値幅は±20nm以下であり、前記投影光学系は、反射屈折型光学系を備えることを特徴とする。
【0028】
この請求項12記載の露光装置によれば、固体光源の発光スペクトルの波長の半値幅は±20nm以下であることから、反射屈折型投影光学系の色収差の発生量を小さくすることができる。
【0029】
また、請求項13記載の露光装置は、放出される光束のうち最も放射強度の強い光線に対して半分の放射強度となる光線と前記最も放射強度の強い光線とのなす角をθ(rad)とし、前記投影光学系の倍率をβとし、前記投影光学系の開口数をN.A.としたとき、
0.2 ≦(|sinθ|/|β|)/N.A. ≦ 5
の条件を満足することを特徴とする。
【0030】
この請求項13記載の露光装置によれば、放出される光束のうち最も放射強度の強い光線に対して半分の放射強度となる光線と最も放射強度の強い光線とのなす角をθ(rad)とし、投影光学系の倍率をβとし、投影光学系の開口数をNAとしたとき、
0.2 ≦(|sinθ|/|β|)/N.A. ≦ 5
の条件を満足する固体光源を備えるため、投影光学系を介して多くの光束を感光性基板上に照射することができ、露光装置のスループットを向上させることができる。
【0031】
また、請求項14記載の露光装置は、前記投影光学系が前記マスク上で互いに異なる視野を有する複数の投影光学ユニットを備え、前記照明光学系は、前記複数の投影光学ユニットの複数の視野にそれぞれ対応した複数の照明光学ユニットを備え、前記複数の照明光学ユニットのそれぞれは、前記固体光源ユニットを備えることを特徴とする。
【0032】
また、請求項15記載の露光装置は、前記複数の照明光学ユニットにそれぞれ設けられた前記固体光源ユニットに接続されて、前記複数の固体光源ユニットの光出力を各照明光学ユニット毎に設定可能にする光源出力設定部を備えることを特徴とする。
【0033】
また、請求項16記載の露光装置は、前記感光性基板上の照度を計測する照度計測手段をさらに備え、前記光源出力設定部は、前記照度計測手段の計測結果に基づいて、前記照明光学ユニット毎に設けられた前記複数の固体光源ユニットの出力を個別に設定することを特徴とする。
【0034】
この請求項15、請求項16記載の露光装置によれば、各照明光学ユニットの光出力を均一にする等の制御を行うことができ、露光むらの発生の抑制等を行うことができる。
【0035】
また、請求項17記載の露光装置は、前記感光性基板を載置する基板ステージをさらに備え、前記照度計測手段は前記基板ステージ上に設置されることを特徴とする。
【0036】
また、請求項18記載の露光装置は、前記照明光学系の出力を計測する出力計測手段と、前記出力計測手段により計測された結果に基づいて、前記固体光源ユニットの光出力を制御する制御部とを備えることを特徴とする。
【0037】
また、請求項19記載の露光装置は、前記出力計測手段が感光性基板上の照度を計測する照度計測手段を備えることを特徴とする。
【0038】
また、請求項20記載の露光装置は、前記複数の固体光源の仕事率の総和をA(W)、前記マスクを照明する照明光の仕事率の総和をB(W)としたとき、
B/A≧0.4
の条件を満足することを特徴とする。この請求項20記載の露光装置によれば、照明効率を向上させることができる。
【0039】
また、請求項21記載の露光装置は、前記複数個の固体光源はアレイ状に配置されることを特徴とする。この請求項21記載の露光装置によれば、複数の固体光源がアレイ状に配列されているため、複数の固体光源の集積化を図ることができ固体光源ユニットの小型化に寄与する。
【0040】
また、請求項22記載の露光装置は、前記固体光源ユニットが2次元アレイ状に配列された複数の前記固体光源を備えることを特徴とする。この請求項22記載の露光装置によれば、複数の固体光源が2次元アレイ状に配列されているため、さらなる固体光源ユニットの小型化を図ることができる。
【0041】
また、請求項23記載の露光装置は、前記照明光学系が2次元的に配列された複数の光学面を持つオプティカルインテグレータを備え、前記オプティカルインテグレータの射出面側の前記光学面の有効領域の全体形状と前記複数の固体光源の発光部の形状とはほぼ相似形状であることを特徴とする。
【0042】
この請求項23記載の露光装置によれば、オプティカルインテグレータの射出面側の光学面の有効領域の全体形状と複数の固体光源の発光部の形状とはほぼ相似形状であるため、固体光源から射出された光を効率よく用いることができ、像面の照度を高くすることができる。
【0043】
また、請求項24記載の露光装置は、前記固体光源ユニットが複数のファイバを備え、前記複数のファイバのそれぞれの入射端は前記複数個の固体光源と光学的に接続されていることを特徴とする。
【0044】
この請求項24記載の露光装置によれば、固体光源の配置の自由度を大きくすることができ、また複数のファイバの射出端の配列形状を容易に任意な形とすることができる。
【0045】
また、請求項25記載の露光装置は、前記固体光源から射出された光束が、前記複数のファイバの前記入射端に直接に入射することを特徴とする。この請求項25記載の露光装置によれば、構成を複雑化させることなく簡単な構成により固体光源から射出された光束をファイバに入射させることができる。
【0046】
また、請求項26記載の露光装置は、前記固体光源ユニット中の前記固体光源と前記ファイバの入射端との間に配置された集光光学系を備えることを特徴とする。
【0047】
また、請求項27記載の露光装置は、前記固体光源の発光部の大きさの最大値をφ、前記固体光源からの発散光の内で最大の射出角度を持つ光の前記射出角度の正弦をNA1、前記ファイバのコア直径をD、前記光ファイバが光を取り込むことが可能な角度範囲の正弦をNA2とするとき、NA2≧φ/D×NA1の条件を満たすことを特徴とする。
【0048】
この請求項26、請求項27記載の露光装置によれば、固体光源から射出された光束を無駄なくファイバに入射させることができる。
【0049】
また、請求項28記載の露光装置は、前記照明光学系が2次元的に配列された複数の光学面を持つオプティカルインテグレータを備え、前記オプティカルインテグレータの射出面側の前記光学面の有効領域の形状と前記複数のファイバの射出端の全体形状とはほぼ相似形であることを特徴とする。
【0050】
この請求項28記載の露光装置によれば、オプティカルインテグレータの射出面側の光学面の有効領域の形状と複数のファイバの射出端の全体形状とはほぼ相似形であるため、照明光を効率的に用いることができる。
【0051】
また、請求項29記載の露光装置は、前記複数の固体光源が互いに出力特性が異なる第1及び第2の固体光源を少なくとも備えていることを特徴とする。
【0052】
この請求項29記載の露光装置によれば、出力特性の異なる固体光源を組み合わせることにより、所望の出力特性を得ることができる。
【0053】
また、請求項30記載の露光装置は、静電気の帯電を防止する帯電防止手段を更に備えることを特徴とする。この請求項30記載の露光装置によれば、静電気により固体光源が破損するのを防止することができる。
【0054】
また、請求項31記載の露光装置は、前記光源が、定格出力以下の出力で照明光の射出を行うことを特徴とする。この請求項31記載の露光装置によれば、定格出力以下の出力で照明光の射出を行うため、固体光源の寿命を延ばすことができる。
【0055】
また、請求項32記載の露光装置は、前記光源から射出される光束と前記マスクとの位置関係を走査方向に沿って相対的に走査させる走査手段と、前記マスクとほぼ共役な位置に配置されて、前記走査方向の開口幅を変更可能な可変絞りと、前記光源から射出される光束と前記マスクとの相対位置に関する情報に基づいて、前記可変絞りの前記走査方向の開口幅を可変制御する制御手段とをさらに備えることを特徴とする。
【0056】
この請求項32記載の露光装置によれば、光源から射出される光束とマスクとの相対位置に関する情報に基づいて、可変絞りの走査方向の開口幅を可変制御するため、露光する必要のないマスクに付されている情報、露光する必要のないマスクパターン等が感光性基板上に転写されるのを防止することができる。
【0057】
また、請求項33記載の露光方法は、請求項1乃至請求項32記載の露光装置を用いた露光方法において、前記固体光源ユニットからの光により前記マスクを照明する照明工程と、前記マスクのパターンを前記感光性基板に転写する転写工程とを含むことを特徴とする。
【0058】
この請求項33記載の露光方法によれば、実用的な露光に要求される像面照度の値を確保した露光装置を用いて露光を行うため、実用的な露光方法としてのスループットを確保することができる。
【0059】
【発明の実施の形態】
以下、図面を参照して、この発明の実施の形態を説明する。図1は第1の実施の形態にかかる投影露光装置の概略構成を示す図である。
図1に示す投影露光装置は、高圧水銀ランプからなる光源に代えて光源(固体光源ユニット)1を備えている。即ち光源1は、発光ダイオード(固体光源)をアレイ状に配列した発光ダイオードアレイにより構成され、従来の水銀ランプ及び回転楕円面からなる反射面を有する楕円鏡を備える光源を用いた場合の楕円鏡の第2焦点位置に位置決めされている。ここで楕円鏡の第2焦点位置は、後述するコンデンサ光学系7の前側焦点位置と光学的に共役な位置である。なお、光源1を配置する位置は、コンデンサ光学系7の前側焦点位置と光学的に共役な位置の近傍であってもよい。
【0060】
図2は、光源1の構成を説明するための図である。この図に示すように光源1は、矩形状の基板1a上に発光ダイオード(固体光源)1bが複数個、アレイ状に配列されている。ここで発光ダイオード1bは、後述するプレート(感光性基板)P上での照度の値が30mW/cm2 以上となるように、基板1a上においてアレイ状に配列されている。また、発光ダイオード1bは、放出される光束のうち最も放射強度が強い光線を中心として±1°の光束の範囲内において、平均放射輝度が1000mW/(cm2・sr)以上のものが基板1a上に配列されている。
【0061】
また、発光ダイオード1bは、少なくとも10mW/個以上の出力を有するものが基板1a上に配列されている。また、発光ダイオード1bは、1cm2以下の光射出部の面積を有するものが基板1a上に配列されている。更に、光源1においては、複数個の発光ダイオード1bが1個/cm2以上となるように基板1a上に配列されている。
【0062】
また、発光ダイオード1bは、放出される光束のうち最も放射強度の強い光線に対して半分の放射強度となる光線の分布が、最も放射強度の強い光線を中心として±2°以上のものが基板1a上に配列されている。更に、発光ダイオード1bは、放出される光束のうち最も放射強度の強い光線に対して半分の放射強度となる光線と、最も放射強度の強い光線とのなす角をθ(rad)とし、1cm2当たりの発光ダイオード1bの個数をnとしたとき、
θ2 ×n≧0.002
の条件を満足するものが基板1a上に配列されている。また、発光ダイオード1bは、射出される光(発光スペクトル)の波長の半値幅は±20nm以下であるものが基板1a上に配列されている。
【0063】
コンデンサ光学系7の前側焦点位置と光学的に共役な位置に配置された光源1からの光束は、コリメートレンズ3によりほぼ平行な光束に変換された後、オプティカルインテグレータとしてのフライアイレンズ4に入射する。
【0064】
フライアイレンズ4は、正の屈折力を有する多数のレンズエレメントをその光軸が基準光軸AXと平行になるように縦横に且つ稠密に配列することによって構成されている。フライアイレンズ4を構成する各レンズエレメントは、マスク上において形成すべき照野の形状(ひいてはプレート上において形成すべき露光領域の形状)と相似な矩形状の断面を有する。また、フライアイレンズ4を構成する各レンズエレメントの入射側の光学面は入射側に凸面を向けた球面状に形成され、射出側の光学面は射出側に凸面を向けた球面状に形成されている。
【0065】
したがって、フライアイレンズ4に入射した光束は多数のレンズエレメントにより波面分割され、各レンズエレメントの後側焦点面には1つの光源像がそれぞれ形成される。すなわち、フライアイレンズ4の後側焦点面には、多数の光源像からなる実質的な面光源すなわち二次光源が形成される。なお、フライアイレンズ4の各レンズエレメント射出面側の光学面の有効領域の形状と複数の固体光源の発光部の形状とはほぼ相似形状に構成されている。
【0066】
フライアイレンズ4の後側焦点面に形成された二次光源からの光束は、その近傍に配置されたσ絞り5に入射する。σ絞り5は、後述する投影光学系PLの入射瞳面と光学的にほぼ共役な位置に配置され、二次光源の照明に寄与する範囲を規定するための可変開口部を有する。σ絞り5は、可変開口部の開口径を変化させることにより、照明条件を決定するσ値(投影光学系の瞳面の開口径に対するその瞳面上での二次光源像の口径の比)を所望の値に設定する。
【0067】
σ絞り5を介した二次光源からの光は、ミラー6を介してコンデンサ光学系7の集光作用を受けた後、所定のパターンが形成されたマスクMを重畳的に均一照明する。ここでコリメートレンズ3、フライアイレンズ4、σ絞り5、ミラー6及びコンデンサ光学系7は、照明光学系を構成する。マスクMのパターンを透過した光束は、投影光学系PLを介して、感光性基板であるプレートP上にマスクパターンの像を形成する。
【0068】
なお、この投影露光装置においては、複数の発光ダイオード(固体光源)により構成される光源1により、プレートP(被照射面)で、30mW/cm2以上の照度が得られる。また、光源1により、プレートP(被照射面)では、照度むらを平均値(基準値)に対して±20%以内に抑えることができる。ここで、プレートP上の照度の基準値に対する照度むらI(%)は、プレートP上の照度の最大値をImax(W/cm2)、プレートP上の照度の最小値をImin(W/cm2)とすると、次の数式により定義される。
【0069】
I={(Imax−Imin)/(Imax+Imin)}×100(%)
また、この投影露光装置においては、光源1が、定格出力以下の出力で照明光の射出を行っている。従って、固体光源の寿命を延ばすことができる。
【0070】
そして、投影光学系PLの光軸と直交する平面内においてプレートPを二次元的に駆動制御しながら一括露光を行うことにより、プレートPの各露光領域にはマスクMのパターンが逐次露光される。
【0071】
なお、プレートPは、プレートステージPS上に載置されており、プレートステージPS上には、照度センサ(照度計測手段)8が配置されている。また、フライアイレンズ4とミラー6との間の光路中には、ビームスプリッタ9が配置され、ビームスプリッタ9により反射された光は、インテグレータセンサ10に入射する。インテグレータセンサ10による検出信号は、制御部11に対して出力される。また、照度センサ8による検出信号も制御部11に対して出力される。
【0072】
ここで、インテグレータセンサ10の検出信号とプレートP上での露光光の照度との関係は予め高精度に計測されて、制御部11内のメモリに記憶されている。制御部11は、インテグレータセンサ10の検出信号より間接的にプレートPに対する露光光の照度(平均値)及びその積分値(積算露光量の平均値)をモニタできるように構成されている。そして、この制御部11は、露光中において、インテグレータセンサ10を介してプレートPに対する露光光の照度の積分値を算出する。制御部11では、その照度の積分値を逐次算出し、この結果に応じてプレートP上において適正露光量が得られるように、光源1の出力を設定して制御を行う。また、制御部11は、照度センサ8からの出力に基づいても、光源1の出力を制御する。ここで、光源1の出力制御は、光源1全体を一体として行うことができるだけでなく、光源1を構成する発光ダイオード毎に出力を制御することができる。なお、照度センサ8による検出結果及びインテグレータセンサ10による検出結果は、表示部12によっても表示される。
【0073】
この投影露光装置においては、光源1から放出される光束のうち最も放射強度の強い光線に対して半分の放射強度となる光線と、最も放射強度の強い光線とのなす角をθ(rad)とし、投影光学系PLの倍率をβとし、投影光学系PLの開口数をN.A.としたとき、
0.2 ≦(|sinθ|/|β|)/N.A. ≦ 5
の条件を満足する。また、複数の発光ダイオード1bの仕事率の総和をA(W)、マスクMを照明する照明光の仕事率の総和をB(W)としたとき、
B/A≧0.4
の条件を満足する。
【0074】
次に、この第1の実施の形態にかかる露光装置の実施例について説明する。以下に、第1実施例の装置構成を表す数値を示す。
【0075】
光源のサイズ 12×3cm
発光ダイオードの数 24×6個
発光ダイオードの出力 12.5mW/個
発光ダイオードのサイズ 4.5mmφ
発光ダイオードの輝度 50000mW/(nm・cm2・sr)
発光ダイオードの発光部 1mm×1mm
発光ダイオードの波長の半値幅 ±10nm
照明光学系の透過率 80%
投影光学系の開口数(N.A.) 0.1
投影光学系の倍率(β) 等倍
投影光学系の透過率 80%
プレート上の照度 32mW
プレート上の照度むら ±3%
次に、図面を参照して、この発明の第2の実施の形態にかかる露光装置について説明する。図3は、第2の実施の形態にかかる露光装置の全体の概略構成を示す斜視図である。この実施の形態においては、複数の反射屈折型の投影光学ユニットからなる投影光学系に対してマスクMとプレート(基板)Pとを相対的に移動させつつマスクMに形成された液晶表示素子のパターンDPの像を感光性材料(レジスト)が塗布された感光性基板としてのプレートP上に転写するステップ・アンド・スキャン方式の露光装置を例に挙げて説明する。
【0076】
また、以下の説明においては、図3中に示したXYZ直交座標系を設定し、このXYZ直交座標系を参照しつつ各部材の位置関係について説明する。XYZ直交座標系は、X軸及びY軸がプレートPに対して平行となるよう設定され、Z軸がプレートPに対して直交する方向に設定されている。図中のXYZ座標系は、実際にはXY平面が水平面に平行な面に設定され、Z軸が鉛直上方向に設定される。また、この実施の形態ではマスクM及びプレートPを移動させる方向(走査方向)をX軸方向に設定している。
【0077】
この実施の形態の露光装置は、マスクステージ(図3では不図示)MS上においてマスクホルダ(図示せず)を介してXY平面に平行に支持されたマスクMを均一に照明するための固体光源ユニットSU1〜SU5、各固体光源ユニットSU1〜SU5に対応した照明光学ユニットIL1〜IL5により構成される照明光学系を備えている。
【0078】
ここで、固体光源ユニットSU1〜SU5は、第1の実施の形態における光源1(図2参照)と同様な構成を有するものである。なお、固体光源ユニットSU2〜SU5は、固体光源ユニットSU1と同一の構成を有するものであるため、固体光源ユニットSU1を代表して説明する。
【0079】
固体光源ユニットSU1は、矩形状の基板1aを有し、この基板1a上に複数個の発光ダイオード(固体光源)1bがアレイ状に配列されている。ここで発光ダイオード1bは、後述するプレート(感光性基板)P上での照度の値が30mW/cm2 以上となるように、基板1a上においてアレイ状に配列されている。また、発光ダイオード1bは、放出される光束のうち最も放射強度が強い光線を中心として±1°の光束の範囲内において、平均放射輝度が1000mW/(cm2・sr)以上のものが基板1a上に配列されている。
【0080】
また、発光ダイオード1bは、少なくとも10mW/個以上の出力を有するものが基板1a上に配列されている。また、発光ダイオード1bは、1cm2 以下の光射出部の面積を有するものが基板1a上に配列されている。更に、固体光源ユニットSU1においては、複数個の発光ダイオード1bが1個/cm2以上となるように基板1a上に配列されている。
【0081】
また、発光ダイオード1bは、放出される光束のうち最も放射強度の強い光線に対して半分の放射強度となる光線の分布が、最も放射強度の強い光線を中心として±2°以上のものが基板1a上に配列されている。更に、発光ダイオード1bは、放出される光束のうち最も放射強度の強い光線に対して半分の放射強度となる光線と、最も放射強度の強い光線とのなす角をθ(rad)とし、1cm2 当たりの発光ダイオード1bの個数をnとしたとき、
θ2 ×n≧0.002
の条件を満足するものが基板1a上に配列されている。また、発光ダイオード1bは、射出される光(発光スペクトル)の波長の半値幅は±20nm以下であるものが基板1a上に配列されている。
【0082】
図4は、固体光源ユニットSU1及び照明光学ユニットIL1の側面図であり、図3に示した部材と同一の部材には同一の符号を付してある。なお、この図に示されるXYZ直交座標系は、図3に示す直交座標系と同一のものである。
【0083】
固体光源ユニットSU1とマスクMとの間には、コリメートレンズ20a、フライアイ・インテグレータ21a、開口絞り22a、ハーフミラー23a及びコンデンサーレンズ系27aが順に配置されている。なお、照明光学ユニットIL2〜IL5の構成は、照明光学ユニットIL1の構成と同一であるためその説明は省略する。
【0084】
固体光源ユニットSU1から射出された発散光束は、コリメートレンズ20aによりほぼ平行な光束に変換された後、フライアイ・インテグレータ(オプティカルインテグレータ)21aに入射する。フライアイ・インテグレータ21aは、多数の正レンズエレメントをその中心軸線が光軸AX2に沿って延びるように縦横に且つ稠密に配列することによって構成されている。従って、フライアイ・インテグレータ21aに入射した光束は、多数のレンズエレメントにより波面分割され、その後側焦点面(即ち、射出面の近傍)にレンズエレメントの数と同数の光源像からなる二次光源を形成する。即ち、フライアイ・インテグレータ21aの後側焦点面には、実質的な面光源が形成される。なお、図5に示すように、フライアイ・インテグレータ21aの射出面側の光学面の有効領域の形状(図において斜線で示すフライアイ・インテグレータ21aを構成する1つのエレメントの射出側の光学面の形状)と、固体光源ユニットSU1発光部の形状(複数の発光ダイオードにより形成される発光部の形状)とはほぼ相似形状に構成されている。
【0085】
フライアイ・インテグレータ21aの後側焦点面に形成された多数の二次光源からの光束は、フライアイ・インテグレータ21aの後側焦点面の近傍に配置された開口絞り22aにより制限された後、ハーフミラー23aに入射する。ハーフミラー23aにより反射された光束は、レンズ24aを介して照度センサ25aに入射する。この照度センサ25aは、プレートPと光学的に共役な位置の照度を検出するためのセンサであり、この照度センサ25aにより、露光中においてもスループットを低下させることなくプレートP上の照度を検出することができる。なお、照度センサ25aの検出値は、主制御系26に入力される。
【0086】
一方、ハーフミラー23aを透過した光束は、コンデンサーレンズ系27aに入射する。なお、開口絞り22aは、対応する投影光学ユニットPL1の瞳面と光学的にほぼ共役な位置に配置され、照明に寄与する二次光源の範囲を規定するための開口部を有する。この開口絞り22aの開口部は、開口径が固定であってもよく、また開口径が可変であってもよい。ここでは開口絞り22aの開口部が可変であるものとして説明する。開口絞り22aは、この可変開口部の開口径を変化させることにより、照明条件を決定するσ値(投影光学系PLを構成する各投影光学ユニットPL1〜PL5の瞳面の開口径に対するその瞳面上での二次光源像の口径の比)を所望の値に設定する。コンデンサーレンズ系24aを介した光束は、パターンDPが形成されたマスクMを重畳的に照明する。
【0087】
固体光源ユニットSU2〜SU5から射出された光束も同様に、照明光学ユニットIL2〜IL5を介してマスクMを重畳的にそれぞれ照明する。即ち、照明光学系を構成する照明光学ユニットIL1〜IL5は、マスクM上においてY軸方向に並んだ複数(図3では合計で5つ)の台形状の領域を照明する。
【0088】
なお、主制御系26は、照明光学ユニットIL1の照度センサ25aにより検出された照度、及び照明光学ユニットIL2〜IL5の照度センサにより検出された照度に基づいて、各照明光学ユニットIL1〜IL5によりマスクM照明する際の照度が均一になるように、各照明光学ユニットIL1〜IL5に対応して設けられている各固体光源ユニットSU2〜SU5の光出力を設定する光源出力設定部に対して制御信号を出力する。
【0089】
マスクM上の各照明領域からの光は、各照明領域に対応するようにY軸方向に沿って配列された複数(図3では合計で5つ)の投影光学ユニットPL1〜PL5からなる投影光学系PLに入射する。ここで、各投影光学ユニットPL1〜PL5の構成は、互いに同じである。こうして、複数の投影光学ユニットPL1〜PL5から構成された投影光学系PLを介した光は、図示しないプレートステージ上において、図示しないプレートホルダを介してXY平面に平行に支持されたプレートP上にパターンDPの像を形成する。
【0090】
なお、この複数の発光ダイオード(固体光源)により構成される固体光源ユニットSU1〜SU5により、プレートP(被照射面)では、30mW/cm2以上の照度が得られる。また、固体光源ユニットSU1〜SU5により、プレートP(被照射面)では、照度むらを平均値に対して±20%以内に抑えることができる。
【0091】
上述の主制御系26にはハードディスク等の記憶装置28が接続されており、この記憶装置28内に露光データファイルが格納されている。露光データファイルには、プレートPの露光を行う上で必要となる処理及びその処理順が記憶されており、この処理毎に、プレートP上に塗布されているレジストに関する情報(例えば、レジストの分光特性)、必要となる解像度、使用するマスクM、照明光学系の補正量(照明光学特性情報)、投影光学系の補正量(投影光学特性情報)、及び基板の平坦性に関する情報等(所謂、レシピデータ)が含まれている。
【0092】
図3に戻り、前述したマスクステージMSには、マスクステージMSを走査方向であるX軸方向に沿って移動させるための長いストロークを有する走査駆動系(図示せず)が設けられている。また、マスクステージMSを走査直交方向であるY軸方向に沿って微小量だけ移動させると共にZ軸廻りに微小量だけ回転させるための一対のアライメント駆動系(図示せず)が設けられている。そして、マスクステージMSの位置座標が移動鏡を用いたレーザ干渉計(図示せず)によって計測され且つ位置制御されるように構成されている。
【0093】
同様の駆動系が、プレートステージにも設けられている。即ち、プレートステージを走査方向であるX軸方向に沿って移動させるための長いストロークを有する走査駆動系(図示せず)、プレートステージを走査直交方向であるY軸方向に沿って微小量だけ移動させると共にZ軸廻りに微小量だけ回転させるための一対のアライメント駆動系(図示せず)が設けられている。そして、プレートステージの位置座標が移動鏡31を用いたレーザ干渉計(図示せず)によって計測され且つ位置制御されるように構成されている。更に、マスクMとプレートPとをXY平面に沿って相対的に位置合わせするための手段として、一対のアライメント系32a,32bがマスクMの上方に配置されている。更に、プレートステージ上には、プレートP上の照明光による照度を検出するための照度センサ33が設けられており、検出値が照明光学系ILの主制御系26に入力される。主制御系26は、照度センサ33により検出されたプレートP上の照明光による照度に基づいて、各固体光源ユニットSU2〜SU5の光出力を制御する。なお、主制御系26による各固体光源ユニットSU2〜SU5の光出力の制御は、各固体光源ユニットSU2〜SU5毎の光出力の制御の他、各固体光源ユニットSU2〜SU5を構成する各発光ダイオード毎の光出力の制御によっても行うことができる。
【0094】
こうして、マスクステージMS側の走査駆動系及びプレートステージ側の走査駆動系の作用により、複数の投影光学ユニットPL1〜PL5からなる投影光学系PLに対してマスクMとプレートPとを一体的に同一方向(X軸方向)に沿って移動させることによって、マスクM上のパターン領域の全体がプレートP上の露光領域の全体に転写(走査露光)される。
【0095】
この投影露光装置においては、固体光源ユニットを構成する発光ダイオード1bから放出される光束のうち最も放射強度の強い光線に対して半分の放射強度となる光線と、最も放射強度の強い光線とのなす角をθ(rad)とし、投影光学系PLの倍率をβとし、投影光学系PLの開口数をN.A.としたとき、
0.2 ≦(|sinθ|/|β|)/N.A. ≦ 5
の条件を満足する。また、複数の発光ダイオード1bの仕事率の総和をA(W)、マスクMを照明する照明光の仕事率の総和をB(W)としたとき、
B/A≧0.4
の条件を満足する。
【0096】
上述の各実施の形態にかかる露光装置によれば、光源が複数個の発光ダイオード(固体光源)をアレイ状に配列した固体光源ユニットを備えるため、像面照度を実用的な露光装置に要求される値にすることができ、実用的な露光装置としてのスループットを確保することができる。
【0097】
また、この実施の形態にかかる露光装置によれば、複数の固体光源をアレイ状に配列した光源を備えているため、露光装置の小型化を図ることができる。また、露光光の照射、遮断を制御するためのメカシャッタが不要になり装置構造を簡素化することができる。更に、メカシャッタ作動時に発生する振動が露光に悪影響を及ぼす恐れもなくすことができる。
【0098】
また、複数の固体光源をアレイ状に配列した光源を備えているため、従来の水銀ランプ等に比較して、光源の長寿命化を図ることができる。また、省電力化、低ランニングコスト化を実現することができる。更に、光源の光出力の制御も容易に行うことができる。
【0099】
なお、上述の第1の実施の形態においては、照明光学系にオプティカルインテグレータとしてのフライアイレンズを用いており、上述の第2の実施の形態においては、照明光学系にフライアイ・インテグレータを用いているが、これに代えてロッド型のインテグレータ又はシリンダ型のインテグレータを用いてもよい。
【0100】
ロッド型のインテグレータを用いる場合には、光源(発光ダイオードアレイ)の形状とロッドの断面形状を相似形とすることが好ましい。また、シリンダ型のインテグレータを用いる場合には、シリンダ型のインテグレータを構成する一方のシリンダレンズのピッチと、これと直交して配置される他方のシリンダレンズのピッチで形成される矩形領域(オプティカルインテグレータの射出面側の光学面の有効領域)と光源(発光ダイオードアレイ)の形状とを相似形とすることが好ましい。
【0101】
なお、上述の第1の実施の形態においては、ステップ・アンド・リピート型の投影露光装置を例として説明し、第2の実施の形態においては、ステップ・アンド・スキャン型の投影露光装置を例として説明したが、プロキシミティ方式の露光装置に本発明を適用してもよい。この場合には、投影光学系が存在しないことから像面照度を高くすることができる。
【0102】
また、第2の実施の形態のステップ・アンド・スキャン型の投影露光装置においては、照明光学ユニット毎に固体光源ユニットを配置して、固体光源ユニットSU1〜SU5から照明光学ユニットに対して照明光を供給しているが、多数のファイバ素線をランダムに束ねて構成されたランダムライトガイドファイバの入射端に1つの固体光源ユニットを配置し、5つの射出端のそれぞれから射出される照明光を照明光学ユニットIL1〜IL5に入射させるようにしてもよい。
【0103】
また、上述の各実施の形態においては、固体光源として発光ダイオードを用いているが、レーザダイオードなどの他の種類の固体光源を用いてもよい。
【0104】
また、上述の各実施の形態において、複数の固体光源として、複数の発光点を有する固体光源チップ、チップを複数個アレイ状に配列した固体光源チップアレイ、さらに複数の発光点を一枚の基板に作り込んだタイプのものなどを用いても良い。なお、固体光源素子は、無機、有機を問わない。
【0105】
また、上述の各実施の形態において、光源として、複数個の固体光源と各固体光源に対応して設けられた複数の光ファイバ等のライトガイド(ファイバ)とを組み合わせたファイバ光源を用いても良い。この場合には、第1の実施の形態の光源1をファイバ光源に変更し、光源1の発光ダイオード1bの位置にファイバ光源のファイバ射出端が位置するように配置する。また、第2の実施の形態の固体光源ユニットSU1〜SU5をファイバ光源に変更し、固体光源ユニットSU1〜SU5の発光ダイオード1bの位置にファイバ光源のファイバ射出端が位置するように配置する。
【0106】
図6は、固体光源71と各固体光源71に対応して設けられた光ファイバ72とを複数個束ね合わせたファイバ光源69を示す図である。図6に示すファイバ光源69においては、固体光源71から射出される光は、光ファイバ72の入射端に入射して、光ファイバ72の射出端から射出する。即ち、光ファイバ72のそれぞれの入射端は、固体光源71と光学的に接続されている。また、図7は、固体光源71、各固体光源71に対応して設けられたレンズ(集光光学系)73及び光ファイバ72を複数個束ね合わせたファイバ光源70を示す図である。図7に示すファイバ光源70においては、固体光源71から射出される光は、レンズ73に入射して、レンズ73により集光されて光ファイバ72の入射端に入射し、光ファイバ72の射出端から射出する。即ち、光ファイバ72のそれぞれの入射端は、固体光源71と光学的に接続されている。
【0107】
図6に示すファイバ光源69及び図7に示すファイバ光源70においては、適切な開口数を有する光ファイバ72を用いることにより、通常楕円形である固体光源71のビームプロファイル75(図8(a)参照)を円形のビームプロファイル76(図8(b)及び図8(c)参照)に成形することができる。
【0108】
また、複数個の光ファイバの射出端部分を任意の形に束ね合わせることにより光源の射出端の形状(射出端の配置形状)を最適な形状に成形することが可能である。例えば、図9(a)に示すような矩形状に成形することもでき、図9(b)に示すような形状に成形することもできる。また、図10に示すように、ファイバ光源69、70の光ファイバの射出端を束ねた形状とフライアイ・インテグレータ80の1つのエレメント81の形状とが相似形になるように、複数個の光ファイバの射出端部分の形状を成形することも極めて容易となる。従って、照明光を効率的に用いることができる。
【0109】
ここで、図11は、図7に示すファイバ光源70の1つの固体光源71、それに対応して設けられたレンズ(集光光学系)73及び光ファイバ72を示す図である。図7に示すファイバ光源70においては、固体光源71の発散光の内で最大の射出角度を持つ光の開口数(最大の射出角度(半角)の正弦(sin)、以下、最大開口数と呼ぶこととする)をNA1、固体光源71の発光部の大きさ(直径)の最大値をφ、光ファイバ72が光を取り込むことが可能な角度範囲(半角)の正弦(sin)、いわゆる光ファイバ72の開口数をNA2、光ファイバ72の入射端のコア直径をDとしたとき、NA2≧φ/D×NA1の条件を満足している。この条件を満足することにより、固体光源71から射出される光を無駄なく光ファイバ72に取り込むことができ、固体光源71から射出される光の光量を維持して、光ファイバ72の射出端から射出させることができる。
【0110】
また、光ファイバとして石英ファイバを用いる場合、固体光源71の最大開口数をNA1、固体光源71の発光部の大きさ(直径)の最大値をφ、石英ファイバの入射端のコア直径をDとしたとき、0.3≧φ/D×NA1の条件を満足している。この条件を満足することにより、固体光源から射出される光を無駄なく石英ファイバに取り込むことができ、固体光源から射出される光の光量を維持して、光ファイバ72の射出端から射出させることができる。
【0111】
また、図12はファイバ光源69、70の射出端からフライアイ・インテグレータ80までの構成を示す図、図13はフライアイ・インテグレータ80の1つのエレメント81における入射面の形状を示す図、図14はファイバ光源69、70の射出端83の形状を示す図である。ここで、フライアイ・インテグレータ80のエレメント81の入射面の一方の長さをa、他方の長さをb、複数個の光ファイバ72を束ね合わせた射出端83の形状において一方の長さをA、他方の長さをB、光ファイバ72とフライアイ・インテグレータ80との間に位置するコリメートレンズ82の焦点距離をf1、フライアイ・インテグレータ80の焦点距離をf2としたとき、A×f2/f1≦a及びB×f2/f1≦bの関係が成り立つ。
【0112】
また、ファイバ光源がm組の光ファイバ光源69、70で構成される場合(mは自然数)、m組の光ファイバ72から射出される光出力の総量をW、光ファイバ72の射出端のコア直径をdとしたとき、[m×{d(f2/f1)}2π/(4×a×b)]×W≧30(mW)の条件を満足することが望ましい。この条件を満足することにより、フライアイ・インテグレータ80の1つのエレメント81に対する光源像の充填率を最適な状態にすることができ、露光装置として実用的な照度を得ることができる。なお、この場合において、光ファイバ72の射出端を束ねた形状とフライアイ・インテグレータ80のエレメント81の形状とは相似形であることが望ましい。
【0113】
また、図6に示すファイバ光源69及び図7に示すファイバ光源70においては、光ファイバ72の射出端における時間的に変化する光量の最大値をPmax、最小値をPminとしたとき、その光ファイバ72の射出端における光量の平均リップル幅ΔPは、ΔP=(Pmax−Pmin)/(Pmax+Pmin)により算出される。ここで、フライアイ・インテグレータ80の入射端において要求される光量のリップル幅をΔWとしたとき、固体光源71の数nはn≧(ΔP/ΔW)2の条件を満たしている。
【0114】
この条件を満足することにより、ファイバ光源69、70の射出端から射出される光出力のばらつきは、固体光源71の数nを(ΔP/ΔW)2より多くすることにより平均化され、その平均化効果により安定した光出力を有するファイバ光源69、70を提供することができる。
【0115】
また、図6に示すファイバ光源69及び図7に示すファイバ光源70においては、それぞれの固体光源71の波長、光量等の出力特性にばらつきがある場合、それら出力特性の異なる複数個の固体光源71をファイバ光源の光源として用いることにより、ファイバ光源69,70の射出端において出力特性のばらつきが平均化される。また、異なる出力特性を有する固体光源を組み合わせることにより所望の特性を得ることができる。ファイバ光源69,70の射出端において平均化された光は、さらにフライアイ・インテグレータ80により平均化される。図15は、各固体光源71の出力特性のばらつきを平均化した状態をグラフ化した図である。それぞれ異なった出力特性を持つ固体光源71を平均化して、グラフ化したものがAVEである。このように、出力特性の異なる複数個の固体光源71を組み合わせたものをファイバ光源69、70に使用した場合において、平均化効果により安定した光出力を有する照明光を得ることができる。
【0116】
また、露光装置が走査型露光装置である場合に、同期ブラインドを備えても良い。図16は、走査型露光装置の構成図である。この露光装置は、投影光学系に対して、マスクステージ及び基板ステージが移動しつつ、マスクのパターンをプレート上に転写する走査型露光装置であり、同期ブラインド(可動ブラインド機構)91を有する。その他の点においては、第1の実施の形態にかかる露光装置と同一の構成を有する。
【0117】
図16に示すように、マスクMの近傍には、固定ブラインドBL0と、可動ブラインド機構91とが配置されており、図17に示すように、この可動ブラインド機構は、4枚の可動ブレードBL1、BL2、BL3、BL4からなる。可動ブレードBL1、BL2のエッジによって走査露光方向の開口APの幅が決定され、可動ブレードBL3、BL4のエッジによって非走査方向の開口APの長さが決定される。また、4枚の可動ブレードBL1〜BL4の各エッジで規定された開口APの形状は、投影レンズPLの円形イメージフィールドIF内に包含されるように定められる。
【0118】
固定ブラインドBL0の開口と可動ブランド機構91の開口APとを通過した照明光はマスクMを照射する。つまり、各可動ブレードBL1〜BL4によって形成される開口APと固定ブラインドの開口とが重なっている領域についてのみ、マスクMの照明が行われることになる。通常の露光状態においては、固定ブラインドBL0の開口の像がマスクMのパターン面に結像されるが、マスクM上の特定走査露光領域の周辺すなわち遮光部分の近傍領域の露光が行われる場合、4枚の可動ブレードBL1〜BL4によって遮光部分の外側に照明光が入射することが防止される。即ち、マスクステージの走査に際して、照明光学系から射出される光束とマスクMとの相対位置に関する情報が監視される。この監視情報に基づいて、マスクM上の特定走査露光領域の露光開始時や露光終了時において遮光部分の近傍領域について露光が始まると判断した場合、可動ブレードBL1、BL2のエッジ位置を移動させ、走査露光方向の開口APの幅を制御する。これにより、不要なパターン等がプレートに対して転写されるのを防止することができる。なお、この露光装置においては、マスクM近傍に可動ブラインド機構91を設けているが、マスクMと共役な位置又はその近傍の位置であれば、他の位置に可動ブラインド機構を設けても良い。
【0119】
また、露光装置に帯電防止手段を設けるようにしても良い。図18は、帯電防止手段を備えた露光装置の構成図である。その他の点においては、第1の実施の形態にかかる露光装置と同一の構成を有する。この露光装置においては、光源を収容する筐体92と、照明光学系及び投影光学系等の露光装置本体を収容する筐体93とが別々に設けられており、筐体92と筐体93とが電気的に接続され、更にアースされている。即ち、筐体92と筐体93とが同電位に保たれている。また、光源に電力を供給する電源部84と露光装置本体に電力を供給する電源部85とが別々に設けられており、それぞれアースされている。したがって、露光装置の光源及び露光装置本体に静電気が帯電するのを防止することができ、静電気による固体光源の破損を防止することができる。
【0120】
また、上述の各実施形態におけるマスクに替えて、投影すべきパターンを生成する可変パターン生成装置を用いても良い。このような可変パターン生成装置は、自発光型画像表示素子と、非発光型画像表示素子とに大別される。自発光型画像表示素子としては、CRT(cathode ray tube)、無機ELディスプレイ、有機ELディスプレイ(OLED:Organic Light Emitting diode)、LEDディスプレイ、LDディスプレイ、電界放出ディスプレイ(FED:field emission display)、プラズマディスプレイ(PDP:Plasma Display Panel)が例としてあげられる。また、非発光型画像表示素子は、空間光変調器 (Spatial Light Modulator:以下SLMと略記する)とも呼ばれ、光の振幅、位相あるいは偏光の状態を空間的に変調する素子であり、透過型空間光変調器と反射型空間光変調器とに分けられる。透過型空間光変調器としては、透過型液晶表示素子(LCD:Liquid Crystal Display)、エレクトロクロミックディスプレイ(ECD)などが例としてあげられ、反射型空間光変調器としては、DMD(Deformable Micro−mirror Device, またはDigital Micro−mirror Device)、反射ミラーアレイ、反射型液晶表示素子、電気泳動ディスプレイ(EPD:Electro Phoretic Display)、電子ペーパー(または電子インク)、光回折型ライトバルブ(Grating Light Valve)などが例としてあげられる。
【0121】
次に、この発明の実施の形態による露光装置をリソグラフィ工程で使用したマイクロデバイスの製造方法について説明する。図19は、マイクロデバイスとしての半導体デバイスの製造方法を説明するためのフローチャートである。まず、図19のステップS40において、1ロットのウェハ上に金属膜が蒸着される。次のステップS42において、その1ロットのウェハ上の金属膜上にフォトレジストが塗布される。その後、ステップS44において、この発明の実施の形態にかかる露光装置を用いて、マスクM上のパターンの像がその投影光学系(投影光学ユニット)を介して、その1ロットのウェハ上の各ショット領域に順次露光転写される。即ち、照明装置を用いてマスクMが照明され、投影光学系を用いてマスクM上のパターンの像が基板上に投影され露光転写される。
【0122】
その後、ステップS46において、その1ロットのウェハ上のフォトレジストの現像が行われた後、ステップS48において、その1ロットのウェハ上でレジストパターンをマスクとしてエッチングを行うことによって、マスク上のパターンに対応する回路パターンが、各ウェハ上の各ショット領域に形成される。その後、更に上のレイヤの回路パターンの形成等を行うことによって、半導体素子等のデバイスが製造される。上述の半導体デバイス製造方法によれば、極めて微細な回路パターンを有する半導体デバイスをスループット良く得ることができる。
【0123】
また、この発明の実施の形態にかかる露光装置では、プレート(ガラス基板)上に所定のパターン(回路パターン、電極パターン等)を形成することによって、マイクロデバイスとしての液晶表示素子を得ることもできる。図20は、この実施の形態の露光装置を用いてプレート上に所定のパターンを形成することによって、マイクロデバイスとしての液晶表示素子を製造する方法を説明するためのフローチャートである。
【0124】
図20のパターン形成工程S50では、この実施の形態の露光装置を用いてマスクのパターンを感光性基板(レジストが塗布されたガラス基板等)に転写露光する、所謂光リソグラフィ工程が実行される。この光リソグラフィ工程によって、感光性基板上には多数の電極等を含む所定パターンが形成される。その後、露光された基板は、現像工程、エッチング工程、レジスト剥離工程等の各工程を経ることによって、基板上に所定のパターンが形成され、次のカラーフィルタ形成工程S52へ移行する。
【0125】
次に、カラーフィルタ形成工程S52では、R(Red)、G(Green)、B(Blue)に対応した3つのドットの組がマトリックス状に多数配列されたり、又はR、G、Bの3本のストライプのフィルタの組を複数水平走査線方向に配列したカラーフィルタを形成する。そして、カラーフィルタ形成工程S52の後に、セル組み立て工程S54が実行される。セル組み立て工程S54では、パターン形成工程S50にて得られた所定パターンを有する基板、及びカラーフィルタ形成工程S52にて得られたカラーフィルタ等を用いて液晶パネル(液晶セル)を組み立てる。
【0126】
セル組み立て工程S54では、例えば、パターン形成工程S50にて得られた所定パターンを有する基板とカラーフィルタ形成工程S52にて得られたカラーフィルタとの間に液晶を注入して、液晶パネル(液晶セル)を製造する。その後、モジュール組立工程S56にて、組み立てられた液晶パネル(液晶セル)の表示動作を行わせる電気回路、バックライト等の各部品を取り付けて液晶表示素子として完成させる。上述の液晶表示素子の製造方法によれば、極めて微細な回路パターンを有する液晶表示素子をスループット良く得ることができる。
【0127】
このマイクロデバイスの製造方法によれば、実用的な露光に要求される像面照度の値を確保した露光装置を用いているため、実用的な露光装置としてのスループットを確保することができる。
【0128】
【発明の効果】
この発明の露光装置によれば、光源が複数個の固体光源をアレイ状に配列した固体光源ユニットを備えるため、像面照度を実用的な露光装置に要求される値にすることができ、実用的な露光装置としてのスループットを確保することができる。
【0129】
また、この発明の露光方法によれば、実用的な露光に要求される像面照度の値を確保した露光装置を用いて露光を行うため、実用的な露光方法としてのスループットを確保することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】第1の実施の形態にかかる露光装置の全体の概略構成を示す斜視図である。
【図2】第1の実施の形態にかかる光源の構成を示す図である。
【図3】第2の実施の形態にかかる露光装置の全体の概略構成を示す斜視図である。
【図4】第2の実施の形態にかかる照明光学系の側面図である。
【図5】第2の実施の形態にかかる照明光学系の概略斜視図である。
【図6】実施の形態にかかるファイバ光源の構成を示す図である。
【図7】実施の形態にかかる別のファイバ光源の構成を示す図である。
【図8】実施の形態にかかる光源から射出されるビームプロファイルの形状を説明するための図である。
【図9】実施の形態にかかるファイバ光源の射出端の形状を示す図である。
【図10】実施の形態にかかるファイバ光源の射出端の形状とフライアイ・インテグレータのエレメントの形状とが相似形であることを示す図である。
【図11】実施の形態にかかるファイバ光源において、固体光源から射出される光を無駄なく光ファイバに取り込むための条件を説明するための図である。
【図12】実施の形態にかかるファイバ光源の射出端からフライアイ・インテグレータまでの構成を示す図である。
【図13】実施の形態にかかるフライアイ・インテグレータの1つのエレメントの形状を示す図である。
【図14】実施の形態にかかるファイバ光源の射出端の形状を示す図である。
【図15】実施の形態にかかる各固体光源の出力特性のばらつきを平均化した状態をグラフ化した図である。
【図16】実施の形態にかかる走査型露光装置の構成を示す図である。
【図17】実施の形態にかかる走査型露光装置に設けられた4枚の可動ブレードを示す図である。
【図18】実施の形態にかかる帯電防止手段を備えた露光装置の構成を示す図である。
【図19】実施の形態にかかるマイクロデバイスとしての半導体デバイスを製造する方法のフローチャートである。
【図20】実施の形態にかかるマイクロデバイスとしての液晶表示素子を製造する方法のフローチャートである。
【符号の説明】
1…光源、1b…発光ダイオード、3…コリメートレンズ、4…フライアイレンズ、5…σ絞り、7…コンデンサ光学系、8…照度サンサ、10…インテグレータセンサ、11…制御部、M…マスク、P…プレート、PL…投影光学系、SU1〜SU5…固体光源ユニット、IL1〜IL5…照明光学ユニット、PL1〜PL5…投影光学ユニット、MS…マスクステージ、PS…プレートステージ。
Claims (33)
- 光源から射出される光束をマスクへ導き、前記マスクのパターンを感光性基板上に転写する露光装置において、
前記光源と前記マスクとの間の光路中に配置されて、前記光源からの光束に基づいて前記マスクを照明する照明光学系を備え、
前記光源は、前記感光性基板上での照度の値が30mW/cm2 以上となるように配列された複数個の固体光源を有する固体光源ユニットを備えることを特徴とする露光装置。 - 前記固体光源は、放出される光束のうち最も放射強度が強い光線を中心として±1°の光束の範囲内において、平均放射輝度が1000mW/(cm2・sr)以上であることを特徴とする請求項1に記載の露光装置。
- マスクのパターンを感光性基板上に転写する露光装置において、
複数個の固体光源を有する固体光源ユニットと、
該固体光源ユニットから射出される光束を前記マスクへ導く照明光学系とを備え、
前記固体光源は、放出される光束のうち最も放射強度が強い光線を中心として±1°の光束の範囲内において、平均放射輝度が1000mW/(cm2・sr)以上であることを特徴とする露光装置。 - 前記固体光源は、少なくとも10mW/個以上の出力を有することを特徴とする請求項1乃至請求項3の何れか一項に記載の露光装置。
- 前記感光性基板上の照度むらは、平均値に対して±20%以内であることを特徴とする請求項1乃至請求項4の何れか一項に記載の露光装置。
- 前記固体光源の光射出部の面積は、1cm2 以下であることを特徴とする請求項1乃至請求項5の何れか一項に記載の露光装置。
- 前記固体光源ユニットの前記複数個の固体光源は、1個/cm2以上となるように配列されることを特徴とする請求項1乃至請求項6の何れか一項に記載の露光装置。
- 前記固体光源は、放出される光束のうち最も放射強度の強い光線に対して半分の放射強度となる光線の分布が、前記最も放射強度の強い光線を中心として±2°以上であることを特徴とする請求項1乃至請求項7の何れか一項に記載の露光装置。
- 前記固体光源は、放出される光束のうち最も放射強度の強い光線に対して半分の放射強度となる光線と前記最も放射強度の強い光線とのなす角をθ(rad)とし、1cm2 当たりの前記固体光源の個数をnとしたとき、以下の条件を満足することを特徴とする請求項1乃至請求項8の何れか一項に記載の露光装置。
θ2 ×n≧0.002 - 前記固体光源から射出される光の波長の半値幅は±20nm以下であることを特徴とする請求項1乃至請求項9の何れか一項に記載の露光装置。
- 前記マスクのパターン像を前記感光性基板上に形成する投影光学系をさらに備えることを特徴とする請求項1乃至請求項10の何れか一項に記載の露光装置。
- マスクのパターンを感光性基板上に転写する露光装置において、
複数個の固体光源を有する固体光源ユニットと、
前記固体光源ユニットと前記マスクとの間の光路中に配置されて、前記固体光源ユニットからの光束に基づいて前記マスクを照明する照明光学系と、
前記マスクからの光束に基づいて、前記マスクのパターン像を前記感光性基板上に形成する投影光学系とを備え、
前記固体光源の発光スペクトルの波長の半値幅は±20nm以下であり、
前記投影光学系は、反射屈折型光学系を備えることを特徴とする露光装置。 - 放出される光束のうち最も放射強度の強い光線に対して半分の放射強度となる光線と前記最も放射強度の強い光線とのなす角をθ(rad)とし、前記投影光学系の倍率をβとし、前記投影光学系の開口数をN.A.としたとき、以下の条件を満足することを特徴とする請求項11又は請求項12に記載の露光装置。
0.2 ≦(|sinθ|/|β|)/N.A. ≦ 5 - 前記投影光学系は、前記マスク上で互いに異なる視野を有する複数の投影光学ユニットを備え、
前記照明光学系は、前記複数の投影光学ユニットの複数の視野にそれぞれ対応した複数の照明光学ユニットを備え、
前記複数の照明光学ユニットのそれぞれは、前記固体光源ユニットを備えることを特徴とする請求項11乃至請求項13の何れか一項に記載の露光装置。 - 前記複数の照明光学ユニットにそれぞれ設けられた前記固体光源ユニットに接続されて、前記複数の固体光源ユニットの光出力を各照明光学ユニット毎に設定可能にする光源出力設定部を備えることを特徴とする請求項14に記載の露光装置。
- 前記感光性基板上の照度を計測する照度計測手段をさらに備え、
前記光源出力設定部は、前記照度計測手段の計測結果に基づいて、前記照明光学ユニット毎に設けられた前記複数の固体光源ユニットの出力を個別に設定することを特徴とする請求項15に記載の露光装置。 - 前記感光性基板を載置する基板ステージをさらに備え、
前記照度計測手段は前記基板ステージ上に設置されることを特徴とする請求項16に記載の露光装置。 - 前記照明光学系の出力を計測する出力計測手段と、
前記出力計測手段により計測された結果に基づいて、前記固体光源ユニットの光出力を制御する制御部と
を備えることを特徴とする請求項1乃至請求項17の何れか一項に記載の露光装置。 - 前記出力計測手段は、前記感光性基板上の照度を計測する照度計測手段を備えることを特徴とする請求項18に記載の露光装置。
- 前記複数の固体光源の仕事率の総和をA(W)、前記マスクを照明する照明光の仕事率の総和をB(W)としたとき、以下の条件を満足することを特徴とする請求項1乃至請求項19の何れか一項に記載の露光装置。
B/A≧0.4 - 前記複数個の固体光源はアレイ状に配置されることを特徴とする請求項1乃至請求項20の何れか一項に記載の露光装置。
- 前記固体光源ユニットは、2次元アレイ状に配列された複数の前記固体光源を備えることを特徴とする請求項21に記載の露光装置。
- 前記照明光学系は、2次元的に配列された複数の光学面を持つオプティカルインテグレータを備え、
前記オプティカルインテグレータの射出面側の前記光学面の有効領域の形状と前記複数の固体光源の発光部の全体形状とはほぼ相似形状であることを特徴とする請求項22に記載の露光装置。 - 前記固体光源ユニットは複数のファイバを備え、
前記複数のファイバのそれぞれの入射端は前記複数個の固体光源と光学的に接続されていることを特徴とする請求項1乃至請求項23の何れか一項に記載の露光装置。 - 前記固体光源から射出された光束は、前記複数のファイバの前記入射端に直接に入射することを特徴とする請求項24に記載の露光装置。
- 前記固体光源ユニット中の前記固体光源と前記ファイバの入射端との間に配置された集光光学系を備えることを特徴とする請求項24に記載の露光装置。
- 前記固体光源の発光部の大きさの最大値をφ、前記固体光源からの発散光の内で最大の射出角度を持つ光の前記射出角度の正弦をNA1、前記ファイバのコア直径をD、前記光ファイバが光を取り込むことが可能な角度範囲の正弦をNA2とするとき、
以下の条件を満たすことを特徴とする請求項26に記載の露光装置。
NA2≧φ/D×NA1 - 前記照明光学系は、2次元的に配列された複数の光学面を持つオプティカルインテグレータを備え、
前記オプティカルインテグレータの射出面側の前記光学面の有効領域の形状と前記複数のファイバの射出端の全体形状とはほぼ相似形であることを特徴とする請求項24乃至請求項27の何れか一項に記載の露光装置。 - 前記複数の固体光源は、互いに出力特性が異なる第1及び第2の固体光源を少なくとも備えていることを特徴とする請求項1乃至請求項28の何れか一項に記載の露光装置。
- 静電気の帯電を防止する帯電防止手段を更に備えることを特徴とする請求項1乃至請求項29の何れか一項に記載の露光装置。
- 前記光源は、定格出力以下の出力で照明光の射出を行うことを特徴とする請求項1乃至請求項30の何れか一項に記載の露光装置。
- 前記光源から射出される光束と前記マスクとの位置関係を走査方向に沿って相対的に走査させる走査手段と、
前記マスクとほぼ共役な位置に配置されて、前記走査方向の開口幅を変更可能な可変絞りと、
前記光源から射出される光束と前記マスクとの相対位置に関する情報に基づいて、前記可変絞りの前記走査方向の開口幅を可変制御する制御手段と
をさらに備えることを特徴とする請求項1乃至請求項31の何れか一項に記載の露光装置。 - 請求項1乃至請求項32記載の露光装置を用いた露光方法において、
前記固体光源ユニットからの光により前記マスクを照明する照明工程と、
前記マスクのパターンを前記感光性基板に転写する転写工程と
を含むことを特徴とする露光方法。
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