JP2004322918A - 車両用エアヒータユニット及び車両用エアヒータシステム - Google Patents
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Abstract
【課題】簡易な構造で、エアヒータに対する通電制御を容易に行うことができる車両用エアヒータユニット及び車両用エアヒータシステムを提供する。
【解決手段】本発明の車両用エアヒータシステム200は、電熱式発熱体120を有するエアヒータ101と、電熱式発熱体120に直列に接続され、エアヒータ101への通電を制御する半導体スイッチ110とを備える。
【選択図】 図4
【解決手段】本発明の車両用エアヒータシステム200は、電熱式発熱体120を有するエアヒータ101と、電熱式発熱体120に直列に接続され、エアヒータ101への通電を制御する半導体スイッチ110とを備える。
【選択図】 図4
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、車両用エアヒータユニット及び車両用エアヒータシステムに関する。
【0002】
【従来の技術】
従来より、様々な車両用エアヒータユニットが提案されている(例えば、特許文献1、特許文献2、特許文献3参照)。これらの車両用エアヒータユニットは、電熱式発熱体(ヒータエレメント)を備えており、例えば、内燃機関の吸気経路に設けられ、吸気を加熱するために用いられている。
【0003】
【特許文献1】
特開07−217508号公報(第2図)
【特許文献2】
特開09−245939号公報(第8(b)図)
【特許文献3】
特開2000−257518号公報(第5,6頁、第1図)
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、これらの車両用エアヒータユニットでは、電熱式発熱体に対する通電のON−OFF切り替えは、いずれもリレースイッチを用いて行っていた。このため、車両用エアヒータユニットを含めた車両用エアヒータシステム全体の部品点数が多くなり、さらに、これらを接続するハーネスを取り回すスペースも大きくなっていた。さらに、車両用エアヒータには100A程度の大電流を用いるため、ON−OFF切り替えを繰り返すことによってリレー接点が溶着してしまう虞があった。
【0005】
また、リレースイッチでは、ON−OFF切り替えの速度が遅いうえ、例えば、10万回程度でリレー接点の寿命が尽きてしまうので、1つの電熱式発熱体を用いて、その通電のON−OFFを短時間で切り替えて加熱温度を調整することは、耐久性及び信頼性の点から実質的に実用困難であった。このため、特許文献2及び特許文献3では、個々にON−OFF切り替えを可能とした複数の電熱式発熱体を用いることで、吸気に対する加熱温度を調節するようにしていた。このように、リレースイッチを用いた車両用エアヒータユニットでは、電熱式発熱体への通電制御が容易でなかった。
【0006】
本発明は、かかる現状に鑑みてなされたものであって、簡易な構造で、エアヒータに対する通電制御を容易に行うことができる車両用エアヒータユニット及び車両用エアヒータシステムを提供することを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段、作用及び効果】
その解決手段は、電熱式発熱体を有するエアヒータと、上記電熱式発熱体に直列に接続され、上記電熱式発熱体への通電を制御する半導体スイッチと、を備える車両用エアヒータシステムである。
【0008】
本発明のエアヒータシステムは、電熱式発熱体に直列に接続された半導体スイッチを用いて、この電熱式発熱体への通電を制御する。このため、本発明のエアヒータシステムは、従来のように、エアヒータのON−OFF切り替えを行うためにリレースイッチを用いたエアヒータシステムに比して、構造が簡易になると共に信頼性及び耐久性が向上し、さらには低コストとなる。さらに、本発明のエアヒータシステムでは、半導体スイッチを用いていることから、エアヒータに対する通電制御(例えば、ON−OFF制御、PWM制御等)を容易に行うことができる。例えば、エアヒータの電熱式発熱体に直列に接続した半導体スイッチを、制御装置(例えば、ECU)によってON−OFFさせることで、電熱式発熱体への通電制御を容易に行うことができる。また、半導体スイッチを用いることにより、リレースイッチに比して速い速度で電熱式発熱体へのON−OFF切替えを行うことが可能となるので、電熱式発熱体に対する細かな(換言すれば、精度の良い)通電制御を実現することができる。
【0009】
なお、半導体スイッチとしては、例えば、MOSFET、IGBT、GTO、サイリスタ等が挙げられる。また、これらの半導体スイッチの取付位置については特に限定されるものではなく、例えば、エアヒータに、半導体スイッチまたはこれを搭載した基板を固着して、両者を一体としても良い。あるいは、半導体スイッチまたはこれを搭載した基板を車両のボディ等に別途取付け、エアヒータと別体にしても良い。
【0010】
さらに、上記の車両用エアヒータシステムであって、前記エアヒータへの通電制御がPWM制御である車両用エアヒータシステムとすると良い。
【0011】
本発明のエアヒータシステムでは、半導体スイッチを用いてエアヒータについてPWM制御を行う。このため、本発明のエアヒータシステムでは、Duty比を調整することで、バッテリ電圧の変化を補正してエアヒータへの供給電力量を一定にすることができるなど、適切なエアヒータの温度制御、電力制御を行うことができる。特に、半導体スイッチを用いるため、PWM制御における繰り返し周波数を、吸気管の寸法、吸気の流速、あるいはエアヒータの取付位置等に応じて適切に設定することができ、ON−OFF切替えによる電熱式発熱体の温度の変動を抑え、加熱温度を略一定に保つことができる。
【0012】
また、内燃機関では、運転状況に応じたヒートモードが要求されている。具体的には、まず、内燃機関を始動する際は、クランキング前に所定時間エアヒータに通電することで吸気を加熱する(以下、プリヒートともいう)。このように加熱された吸気によって内燃機関を予熱し、内燃機関の始動性を向上させることができる。さらに、内燃機関始動後は、運転状況に応じたアフターヒートを行う。アフターヒートには、アイドリング時の吸気加熱と、走行時の吸気加熱とがある。アイドリング時にはバッテリへの負担軽減のために吸気加熱を抑制すると良い。一方、走行時には内燃機関の回転数の増大に伴う吸気量の増大に対応して、吸気加熱を増大させる必要がある。
【0013】
これに対し、本発明のエアヒータシステムでは、Duty比を調整することで、様々な内燃機関の運転状況に応じたヒートモードを実現することができる。このため、従来のように、複数の電熱式発熱体及びリレースイッチを設けて加熱調整を行う場合に比して、運転状況に応じて精度良く通電制御を行うことができると共に、部品点数が削減でき、省スペースである。
【0014】
さらに、上記いずれかの車両用エアヒータシステムであって、前記半導体スイッチは、前記電熱式発熱体に流れる電流を検知可能とする電流検知用端子を有する電流検知機能付き半導体スイッチである車両用エアヒータシステムとすると良い。
【0015】
一般に、エアヒータの電熱式発熱体は低抵抗であり、12ボルト程度の電圧のバッテリから100アンペア程度の大電流を電熱式発熱体に流して発熱させている。このため、エアヒータの電熱式発熱体を流れる電流を検知するために別途抵抗を挿入すると、電熱式発熱体にかかる電圧、電流が大きく低下する等の不具合が生じてしまう。また、別途抵抗等を挿入すると、エアヒータシステムの大型化につながってしまう。従って、従来の車両用エアヒータシステムにおいて、別途抵抗を挿入してエアヒータの電熱式発熱体を流れる電流を検知することは、現実的なものとは言い難かった。
【0016】
これに対し、本発明のエアヒータシステムでは、電熱式発熱体に流れる電流を検知可能とする電流検知機能付き半導体スイッチを用いている。このため、この電流検知機能付き半導体スイッチの電流検知用端子を利用して、エアヒータの電熱式発熱体を流れる電流を検知することができる。これによって、例えば、電熱式発熱体に投入する電力を制御したり、エアヒータ(電熱式発熱体)が正常に作動しているかどうかを確認することができる。
【0017】
さらに、上記車両用エアヒータシステムであって、前記半導体スイッチの前記電流検知用端子を用いて検知した前記電熱式発熱体に流れる前記電流に対応する出力に基づいて、上記電熱式発熱体の抵抗値を制御する抵抗値制御手段を有する車両用エアヒータシステムとすると良い。
【0018】
本発明の車両用エアヒータシステムでは、電熱式発熱体に流れる電流に対応する出力に基づいて、電熱式発熱体の抵抗値を制御する。具体的には、例えば、電熱式発熱体に流れる電流と電熱式発熱体への印加電圧(バッテリ電圧)とを検知し、これらの値から電熱式発熱体の抵抗値を算出し、この抵抗値が所定の値となるように、電熱式発熱体への供給電力を制御する。電熱式発熱体の抵抗値とその温度とは所定の対応関係を有しているので、このように、電熱式発熱体の抵抗値が所定値となるように制御することで、電熱式発熱体の温度を所定の温度に制御することができる。なお、特に、抵抗係数の大きな材質で電熱式発熱体を構成した場合に、良好にその抵抗値を制御することができる。
【0019】
さらに、上記いずれかの車両用エアヒータシステムであって、前記半導体スイッチの前記電流検知用端子を用いて検知した前記電熱式発熱体に流れる前記電流に対応する出力に基づいて上記電熱式発熱体の抵抗値を検知することで、上記電熱式発熱体の異常を検知する異常検知手段を有する車両用エアヒータシステムとすると良い。
【0020】
近年、環境保護のため、内燃機関から漏れた未燃ガスを吸気側に戻して燃焼させ、未燃ガスを車外に排出させないようにする技術が提案されている。また、内燃機関の熱効率を高めるため、高温となっている排気の一部を吸気側に戻す技術(EGR)も提案されている。ところが、このように、未燃ガスや排気を吸気側に戻すようにすると、未燃ガスや排気に含まれている汚損物質がエアヒータの電熱式発熱体に付着して、電熱式発熱体の抵抗値が低下し、さらには電熱式発熱体が短絡してしまう虞がある。他方、電熱式発熱体と半導体スイッチとの間の直列回路に対して過度の電力負荷が及ぶと、上記直列回路にて断線が生じる可能性もある。
【0021】
これに対し、本発明のエアヒータシステムでは、電熱式発熱体に流れる電流に対応する出力に基づいて、電熱式発熱体の抵抗値を検知する。例えば、電熱式発熱体に流れる電流と電熱式発熱体への印加電圧(バッテリ電圧)とを検知することで、電熱式発熱体の抵抗値を得ることができる。そして、検知された抵抗値と下限基準抵抗値(例えば、電熱式発熱体の初期抵抗値×80%)とを比較し、下限基準抵抗値を下回った場合(電熱式発熱体の異常)には、電熱式発熱体が汚損されていると判断できる。このように、エアヒータの電熱式発熱体の汚損状況を確認することができる。さらに、下限基準抵抗値を下回った場合に警告を発する警告装置等を別途設けるようにすれば、短絡防止対策等を促すことが可能となる。また、検知された抵抗値と上限基準抵抗値(例えば、電熱式発熱体の初期抵抗値×120%)とを比較し、上限基準抵抗値を上回った場合には、電熱式発熱体の断線を検知することができ、運転者にエアヒータシステムの異常を警告することが可能となる。
【0022】
さらに、上記いずれかの車両用エアヒータシステムであって、前記エアヒータは、前記電熱式発熱体を保持する枠体を有し、前記半導体スイッチは、上記枠体に固着されてなる車両用エアヒータシステムとすると良い。
【0023】
本発明の車両用エアヒータシステムでは、半導体スイッチをエアヒータの枠体に固着している。このため、半導体スイッチの取付場所を別途設ける必要がなく、省スペースである。また、半導体スイッチを別途車両に取付ける場合に比して、組付けの作業効率が良い。
【0024】
他の解決手段は、電熱式発熱体及びこの電熱式発熱体を保持する枠体を有するエアヒータと、上記エアヒータの上記枠体に固着され、上記電熱式発熱体に直列に接続されて、上記電熱式発熱体への通電制御が可能な半導体スイッチと、を備える車両用エアヒータユニットである。
【0025】
本発明の車両用エアヒータユニットは、電熱式発熱体に直列に接続され、この電熱式発熱体への通電制御が可能な半導体スイッチを備えている。このため、本発明の車両用エアヒータユニットを用いることで、エアヒータの電熱式発熱体への通電制御(例えば、ON−OFF制御、PWM制御等)を容易に行うことができる。また、半導体スイッチを用いることにより、リレースイッチに比して速い速度で電熱式発熱体へのON−OFF切替えを行うことが可能となるので、電熱式発熱体に対する細かな(換言すれば、精度の良い)通電制御を実現することができる。
【0026】
さらに、本発明の車両用エアヒータユニットでは、半導体スイッチをエアヒータの枠体に固着しているので、半導体スイッチの取付場所を別途設ける必要がなく、省スペースである。また、半導体スイッチを別途車両に取付ける場合に比して、組付けの作業効率が良い。
【0027】
【発明の実施の形態】
(実施形態)
本発明の実施の形態について図面を参照しつつ説明する。
図1は、本実施形態の車両用エアヒータユニット100を示す図であり、(a)はその平面図、(b)はその側面図である。車両用エアヒータユニット100は、エアヒータ101と、半導体スイッチ110と、配線基板170とを有している。
【0028】
エアヒータ101は、電熱式発熱体120と、これを保持する枠体130と、枠体130に固着されて電熱式発熱体120に電気的に接続する第1,第2,第3接続端子140,150,160とを有している。
このうち、枠体130は、アルミニウム合金からなり、ダイキャストによって略矩形環状に成型された金属体である。この枠体130には、表面130dと裏面130eとの間を貫通する4つの取付孔131、及び内側面130bと外側面130cとの間を貫通する第1貫通孔132b、第2貫通孔132c、第3貫通孔132dが形成されている。さらに、枠体130の内側面130bには、2つの凹部133が対向する位置に形成されている。
【0029】
この2つの凹部133には、それぞれ、長手方向に直交する断面形状が略コの字状の金属ブラケット135が配置されている。さらに、この金属ブラケット135の内側(凹部内)には、それぞれ、インシュレータ136が板バネ137を間に介して設けられている。このため、板バネ137が電熱式発熱体120の屈曲部121に付勢されることによって、インシュレータ136及び金属ブラケット135が枠体130の凹部133に固定されている。
【0030】
第1接続端子140は、金属製のボルトからなり、絶縁ワッシャ186を介して枠体130の第1貫通孔132bに挿設されている。第2接続端子150も、金属製のボルトからなり、絶縁ワッシャ186を介して枠体130の第2貫通孔132cに挿設されている。第3接続端子160も、金属製のボルトからなり、絶縁ワッシャ186を介して枠体130の第3貫通孔132dに挿設されている。なお、枠体130と第1,第2,第3接続端子140,150,160との絶縁を図るため、第1,第2,第3貫通孔132b,132c,132d内には、それぞれ絶縁スリーブ185が嵌入されている。
【0031】
電熱式発熱体120は、鉄−クロム合金からなる帯状の薄板を、蛇行形状に成形した発熱体である。この電熱式発熱体120は、円弧状に折り曲げられた複数の屈曲部121がインシュレータ136内に埋め込まれることで、電流的な絶縁を図りつつ枠体130に保持されている。さらに、電熱式発熱体120の両端部には貫通孔が形成されており、この貫通孔には第2,第3接続端子150,160が挿通している。このようにして、電熱式発熱体120が第2接続端子150と第3接続端子160とに電気的に接続されている。
【0032】
図2は、半導体スイッチ110を示す図であり、(a)はその平面図、(b)はその側面図である。本実施形態では、半導体スイッチ110として、infineon technorogies社製のPROFET(商標名)、NO.BTS550Pを用いた。この半導体スイッチ110は、MOSFETを基本構造とし、MOSFETのドレイン−ソース間を流れる電流I1に対し、所定比率(本実施形態では、1/21000)の電流I2が出力される構造となっている(図4参照)。
【0033】
このような半導体スイッチ110は、本体部117と、この本体部117に接続する第1コネクタピン111〜第5コネクタピン115及びタブ116とを有している。本体部117は、スイッチ回路、及び自身を流れる電流を検知できる電流検出回路を有している。第3コネクタピン113とタブ116とは電気的に接続しており、両者は共に電源入力用端子である。第1,5コネクタピン111,115は、電力出力用端子である。第2コネクタピン112は、通電制御信号(ON−OFF信号)入力用端子である。第4コネクタピン114は、電流検知用端子である。
【0034】
配線基板170は、図3に示すように、アルミナセラミックからなる基板本体部175と、その主面175b上に第1導体層171〜第4導体層174とを有する。基板本体部175には、第1,第2接続端子140,150を挿通可能な基板取付孔175c,175dが形成されている。そして、第1導体層171は、貫通孔175cの周縁部を含む位置に形成されており、第1接続端子140を枠体130に取付けるとこれに接続する。第2導体層172は、貫通孔175dの周縁部を含む位置に形成されており、第2接続端子150を枠体130に取付けるとこれに接続する。第3,第4導体層173,174には、それぞれ、金属ピンからなる第3,第4端子173b,174bが接続されている。この第3,第4端子173b,174bには、それぞれ、ECU(エンジンコンピュータユニット)210に接続するための導線182,184が、コネクタ端子183を介して接続されている(図1,図4参照)。
【0035】
半導体スイッチ110は、図1に示すように、このような配線基板170に搭載され、この配線基板170を介して枠体130に固着される。具体的には、図3に示すように、半導体スイッチ110は、ハンダ接合によって、タブ116が第1導体層171と電気的に接続される。同様に、第1,5コネクタピン111,115が第2導体層172と、第2コネクタピン112が第3導体層173と、第4コネクタピン114が第4導体層174と電気的に接続される。このようにして半導体スイッチ110が搭載された配線基板170を、基板取付孔175c,175dにそれぞれ第1,第2接続端子140,150を挿通させ、ナット187によって締結することで枠体130に固着する。なお、本実施形態では、第3コネクタピン113は、いずれも導体層にも接続されていない。また、第2接続端子150には、ECU210に接続するための導線181に固着されているワッシャ端子181bをも挿通させている(図1,図4参照)。
【0036】
また、本実施形態では、半導体スイッチ110及び配線基板170等の防水を図るために、シリコン樹脂によって半導体スイッチ110及び配線基板170等をモールドしている。具体的には、樹脂(PPS)製の箱形状で、第1,第2接続端子140,150を挿通可能な取付孔190b,190cが形成されたケーシング190を用意し、取付孔190b,190cにそれぞれ第1,第2接続端子140,150を挿通させて、配線基板170より先に枠体130に配置する。そして、半導体スイッチ110等を搭載した配線基板170を上記のように取付けることで、これらがケーシング190内に配置される。その後、このケーシング190内を、シリコン樹脂によって充填することで、半導体スイッチ110及び配線基板170等を樹脂モールドすることができる。
【0037】
このような車両用エアヒータユニット100は、図示しないエアクリーナと内燃機関のインテークマニホールドとを連結する吸気経路に固設され、吸気の加熱を行う。具体的には、エアヒータ101の電熱式発熱体120が吸気経路内に位置するように、枠体130に設けられた4つの取付孔131を利用して、ボルトによって吸気経路に固定される。
【0038】
ここで、このような車両用エアヒータユニット100とECU210とを備えた、本実施形態の車両用エアヒータシステム200の回路図を図4に示す。
車両用エアヒータシステム200は、第1接続端子140が片側端子を接地した車載バッテリ220と電気的に接続されている。これによって、半導体スイッチ110のタブ116と車載バッテリ220とが電気的に接続される。さらに、半導体スイッチ110の第1,5コネクタピン111,115が第2接続端子150に接続され、電熱式発熱体120を介して第3接続端子160が接地されている。このようにすることで、車載バッテリ220から半導体スイッチ110を介して電熱式発熱体120に電力が供給されるので、吸気経路内を流れる気体(吸入空気)を加熱することができる。なお、図4に示すように、半導体スイッチ110は、車載バッテリ220に接続され、電熱式発熱体120に直列に接続されている。
【0039】
さらに、半導体スイッチ110の第2コネクタピン112は、導線182を介してECU210に接続されている。このようにすることで、ECU210によって半導体スイッチ110のON−OFF切り替えを制御することができる。
また、第4コネクタピン114は、導線184を介してECU210に接続されている。この半導体スイッチ110では、電熱式発熱体120に流れる電流I1に対し、所定比率(本実施形態では、1/21000)の電流I2が、第4コネクタピン114から出力されるように構成されている。一方、エアヒータ101の第2接続端子150が、導線181を介してECU210に接続されている。このため、ECU210において電熱式発熱体120にかかる電圧Vを検知することができ、この電圧Vと電流I2とを用いて電熱式発熱体120の抵抗値R1を算出できる。
【0040】
そこで、車両用エアヒータシステム200では、電熱式発熱体120の抵抗値R1が所定の抵抗値となるようにPWM制御を行うようにしている。電熱式発熱体120の抵抗値R1とその温度とは所定の対応関係を有しているので、電熱式発熱体120の抵抗値R1が所定の抵抗値となるようにPWM制御を行うことで、電熱式発熱体120の温度を所定の温度に制御することができる。具体的には、バッテリ220の電圧Vに応じて、半導体スイッチ110のON−OFFのDuty比を調整することで、電熱式発熱体120への供給電力を調整して、電熱式発熱体120の抵抗値R1が所定の抵抗値となるように制御することができる。従って、車両用エアヒータシステム200では、吸気量の多少に拘わらず、電熱式発熱体120の温度を所定の温度に制御することができる。
【0041】
また、半導体スイッチ110のON−OFFのDuty比を調整して、電熱式発熱体120の温度を多段階に調整することで、吸気温度を内燃機関の運転状況に適した温度にすることができる。このため、様々な内燃機関の運転状況に応じたヒートモードを実現することもできる。
【0042】
ここで、車両用エアヒータシステム200による吸気加熱について、図5に示すフローチャートを参照して説明する。
まず、エンジンのキースイッチがONとなり、ECU210に電圧が印加されてECU210が起動すると、ステップS1において、ECU210のプログラムを初期値に設定する。具体的には、プリヒート中フラグをセットし、プリヒートカウンタT1=0、アフターヒートカウンタT2=0に設定する。次いで、ステップS2に進み、プリヒート中フラグがセットされているかどうかを確認する。
【0043】
プリヒート中フラグがセットされている場合には、ステップS3に進み、プリヒート通電を開始する。なお、本実施形態では、Duty比100%でプリヒート通電が行われる。具体的には、導線182を介して半導体スイッチ110をONにし続ける。次いで、ステップS4に進み、プリヒート継続時間に対応するプリヒートカウンタT1を積算する。具体的には、後述するように、ステップS7において、所定のサイクルタイムが経過する毎にステップS2に戻るようにしているため、ステップS4を通過する毎にプリヒートカウンタT1を、1ずつインクリメントする。次いで、ステップS5に進み、プリヒートカウンタT1がプリヒート終了時間に対応するプリヒート設定回数Tpに達したかどうかを判定する。なお、本実施形態では、1回のサイクルタイムを0.05秒に設定し、プリヒート設定回数Tpを200回、従ってプリヒート終了時間を10秒に設定している。
【0044】
ここで、プリヒートカウンタT1がプリヒート設定回数Tpに達していない場合(NO)には、ステップS7に進み、サイクルタイムを経過したかどうかを判定し、サイクルタイムを経過するまでこの判定を繰り返す。サイクルタイムを経過すると、再びステップS2に戻り、上述した動作を繰り返してプリヒートを継続する。そして、ステップS5において、プリヒートカウンタT1がプリヒート設定回数Tpに達した場合(YES)には、ステップS6に進み、プリヒート中フラグを解除する。次いで、ステップS7に進み、サイクルタイムの経過を待ってステップS2に戻る。
【0045】
すると、ステップS2では、プリヒート中フラグがセットされていない(NO)と判断されるので、プリヒート期間を終了し、ステップS8に進む。ステップS8では、導線181を通じて、車載バッテリ220の電圧(電熱式発熱体120の印加電圧)Vを検知する。さらに、ステップS9では、導線184を通じて電流I2の電流を検知する。これにより、電熱式発熱体120を流れる電流I1の大きさが判る。次いで、ステップSAにおいて、ステップS8,S9で得られた電圧Vと電流I1との値から、電熱式発熱体120の抵抗値R1を算出する。
【0046】
次いで、ステップSBに進み、電熱式発熱体120の抵抗値R1が、下限基準抵抗値TH1(本実施形態では、電熱式発熱体120の初期抵抗値Rc×80%の値)と上限基準抵抗値TH2(本実施形態では、電熱式発熱体120の初期抵抗値Rc×120%の値)との間の値であるか否かを判定する。抵抗値R1が、下限基準抵抗値TH1より小さい場合、あるいは上限基準抵抗値TH2より大きい場合には、ステップSCに進み、エラー出力をする。このとき、ECU210に接続された警告装置230(図4参照)によって、運転者にエアヒータシステム200の異常を警告する(例えば、運転席の警告ランプを点灯させる)ことができる。その後、ステップSHに進み、アフターヒートを終了する。
【0047】
抵抗値R1が、下限基準抵抗値TH1と上限基準抵抗値TH2との間にある場合には、ステップSDに進み、電熱式発熱体120の抵抗値R1が所定の抵抗値Rbとなるように、アフターヒートにおけるDuty比を算出する。具体的には、電熱式発熱体120の抵抗値R1が、アフターヒートにおける所定の電熱式発熱体120の温度に対応する抵抗値Rbとなるように、バッテリ220の電圧Vに応じた半導体スイッチ110のON−OFFのDuty比を算出する。このようにして算出されたDuty比を用いて電熱式発熱体120への供給電力の制御を行うことで、電熱式発熱体120の温度を所定の温度にすることができる。
【0048】
次いで、ステップSEに進み、算出されたDuty比を用いてアフターヒートの通電を行う。具体的には、Duty比で決まる時間割合で、半導体スイッチ110のON−OFFを繰り返す。次いで、ステップSFに進み、アフターヒートカウンタT2を積算する。具体的には、プリヒートカウンタT1と同様に、ステップSEを通過する毎に、アフターヒートカウンタT2をインクリメントする。次いで、ステップSGに進み、アフターヒートカウンタT2がアフターヒート終了時間に対応するアフターヒート設定回数Taに達したかどうかを判定する。なお、本実施形態では、アフターヒート設定回数Taを12000回に、従って、アフターヒート終了時間を600秒に設定している。
【0049】
ここで、アフターヒートカウンタT2がアフターヒート設定回数Taに達していない場合(NO)には、ステップS7に進み、サイクルタイムの経過を待って、再びステップS2に戻る。かくして、上述した動作を繰り返してアフターヒートを継続する。そして、ステップSGにおいて、アフターヒートカウンタT2がアフターヒート設定回数Taに達した場合(YES)には、ステップSHに進み、アフターヒートを終了する。本実施形態では、このようにして、プリヒート及びアフターヒート(PWM制御による電熱式発熱体120の抵抗値制御)が行われる。
【0050】
ところで、近年、環境保護のため、内燃機関から漏れた未燃ガスを吸気側に戻して燃焼させ、未燃ガスを車外に排出させないようにする技術が提案されている。また、内燃機関の熱効率を高めるため、高温となっている排気の一部を吸気側に戻す技術(EGR)も提案されている。ところが、このように、未燃ガスや排気を吸気側に戻すようにすると、未燃ガスや排気に含まれている汚損物質がエアヒータ101の電熱式発熱体120に付着して、電熱式発熱体120の抵抗値が低下し、さらには電熱式発熱体120が短絡してしまう虞がある。
【0051】
これに対し、車両用エアヒータシステム200では、ステップSBにおいて、電熱式発熱体120の抵抗値R1が、下限基準抵抗値TH1と上限基準抵抗値TH2との間の値であるか否かを判定し、抵抗値R1が、下限基準抵抗値TH1より小さい場合、あるいは上限基準抵抗値TH2より大きい場合には、ステップSCにおいて、エラー出力をするようにしている。このため、ECU210に接続された警告装置230(図4参照)によって、運転者にエアヒータシステム200の異常(電熱式発熱体120の短絡等)を警告する(例えば、運転席の警告ランプを点灯させる)ことができる。
【0052】
以上において、本発明を実施形態に即して説明したが、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で、適宜変更して適用できることはいうまでもない。
【0053】
例えば、実施形態では、ステップS5において、プリヒートカウンタT1がプリヒート設定回数Tpに達した場合(プリヒート終了時間が経過した場合)に、プリヒートを終了してアフターヒートに移行するようにした。しかし、ヒートモード切り替え方法は、このような手法に限定されるものではなく、例えば、プリヒートにおいて、アフターヒートと同様にバッテリ220の電圧Vと電流I2とを検知して電熱式発熱体120の抵抗値R1を算出し、この抵抗値R1が所定の抵抗値に達した場合(すなわち、電熱式発熱体120が所定の温度に達した場合)に、次のヒートモード(実施形態ではアフターヒート)に切り替えるようにしても良い。あるいは、バッテリ220の電圧Vと電流I2とから電熱式発熱体120に投入した積算電力量を算出し、この積算電力量が所定値に達した場合に、次のヒートモードに切り替えるようにしても良い。プリヒート段階では、電熱式発熱体120の温度と積算電力量との間に対応関係があるからである。
【0054】
また、実施形態では、半導体スイッチ110として、電熱式発熱体120に流す電流を検知できる第4コネクタピン114(電流検知用端子)を有している半導体スイッチを用いた。しかし、このような半導体スイッチに限定されるものではなく、電熱式発熱体120に流す電流をON−OFFできるスイッチとして機能するものであればいずれのものでも良く、例えば、MOSFET、IGBT、GTO、サイリスタ等を用いるようにしても良い。さらに、電流検知用端子を有しない半導体スイッチを用いた場合には、電流I2、電熱式発熱体120の抵抗値Rを検知することができない。そこで、この場合には、バッテリ220の電圧(電熱式発熱体120の印加電圧)Vに基づいて、Duty比を決めるようにすると良い。
【0055】
また、実施形態では、半導体スイッチ110をエアヒータ101の枠体130に固着するようにした。しかし、半導体スイッチの取付位置はいずれの場所でも良く、例えば、車両のボディに別途取付けたり、ECU210に内蔵するようにしても良い。
また、実施形態では、配線基板170を介して半導体スイッチ110を枠体130に固着したが、半導体スイッチを枠体130に直接固着するようにしても良い。
また、実施形態では、アルミナセラミックからなる配線基板170を用いたが、配線基板の材質はアルミナセラミックに限定されるものではない。例えば、表面に絶縁層を有する金属製の配線基板を用いるようにしても良い。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施形態にかかる車両用エアヒータユニット100を示す図であり、(a)はその平面図、(b)はその側面図である。
【図2】実施形態にかかる車両用エアヒータユニット100の半導体スイッチ110を示す図であり、(a)はその平面図、(b)はその側面図である。
【図3】実施形態にかかる車両用エアヒータユニット100の半導体スイッチ110の電気的接続を説明する説明図である。
【図4】実施形態にかかる車両用エアヒータシステム200の回路図である。
【図5】実施形態にかかるプリヒート及びアフターヒートの流れを示すフローチャートである。
【符号の説明】
100 車両用エアヒータユニット
101 エアヒータ
110 半導体スイッチ
114 第4コネクタピン(電流検知用端子)
120 電熱式発熱体
130 枠体
200 車両用エアヒータシステム
【発明の属する技術分野】
本発明は、車両用エアヒータユニット及び車両用エアヒータシステムに関する。
【0002】
【従来の技術】
従来より、様々な車両用エアヒータユニットが提案されている(例えば、特許文献1、特許文献2、特許文献3参照)。これらの車両用エアヒータユニットは、電熱式発熱体(ヒータエレメント)を備えており、例えば、内燃機関の吸気経路に設けられ、吸気を加熱するために用いられている。
【0003】
【特許文献1】
特開07−217508号公報(第2図)
【特許文献2】
特開09−245939号公報(第8(b)図)
【特許文献3】
特開2000−257518号公報(第5,6頁、第1図)
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、これらの車両用エアヒータユニットでは、電熱式発熱体に対する通電のON−OFF切り替えは、いずれもリレースイッチを用いて行っていた。このため、車両用エアヒータユニットを含めた車両用エアヒータシステム全体の部品点数が多くなり、さらに、これらを接続するハーネスを取り回すスペースも大きくなっていた。さらに、車両用エアヒータには100A程度の大電流を用いるため、ON−OFF切り替えを繰り返すことによってリレー接点が溶着してしまう虞があった。
【0005】
また、リレースイッチでは、ON−OFF切り替えの速度が遅いうえ、例えば、10万回程度でリレー接点の寿命が尽きてしまうので、1つの電熱式発熱体を用いて、その通電のON−OFFを短時間で切り替えて加熱温度を調整することは、耐久性及び信頼性の点から実質的に実用困難であった。このため、特許文献2及び特許文献3では、個々にON−OFF切り替えを可能とした複数の電熱式発熱体を用いることで、吸気に対する加熱温度を調節するようにしていた。このように、リレースイッチを用いた車両用エアヒータユニットでは、電熱式発熱体への通電制御が容易でなかった。
【0006】
本発明は、かかる現状に鑑みてなされたものであって、簡易な構造で、エアヒータに対する通電制御を容易に行うことができる車両用エアヒータユニット及び車両用エアヒータシステムを提供することを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段、作用及び効果】
その解決手段は、電熱式発熱体を有するエアヒータと、上記電熱式発熱体に直列に接続され、上記電熱式発熱体への通電を制御する半導体スイッチと、を備える車両用エアヒータシステムである。
【0008】
本発明のエアヒータシステムは、電熱式発熱体に直列に接続された半導体スイッチを用いて、この電熱式発熱体への通電を制御する。このため、本発明のエアヒータシステムは、従来のように、エアヒータのON−OFF切り替えを行うためにリレースイッチを用いたエアヒータシステムに比して、構造が簡易になると共に信頼性及び耐久性が向上し、さらには低コストとなる。さらに、本発明のエアヒータシステムでは、半導体スイッチを用いていることから、エアヒータに対する通電制御(例えば、ON−OFF制御、PWM制御等)を容易に行うことができる。例えば、エアヒータの電熱式発熱体に直列に接続した半導体スイッチを、制御装置(例えば、ECU)によってON−OFFさせることで、電熱式発熱体への通電制御を容易に行うことができる。また、半導体スイッチを用いることにより、リレースイッチに比して速い速度で電熱式発熱体へのON−OFF切替えを行うことが可能となるので、電熱式発熱体に対する細かな(換言すれば、精度の良い)通電制御を実現することができる。
【0009】
なお、半導体スイッチとしては、例えば、MOSFET、IGBT、GTO、サイリスタ等が挙げられる。また、これらの半導体スイッチの取付位置については特に限定されるものではなく、例えば、エアヒータに、半導体スイッチまたはこれを搭載した基板を固着して、両者を一体としても良い。あるいは、半導体スイッチまたはこれを搭載した基板を車両のボディ等に別途取付け、エアヒータと別体にしても良い。
【0010】
さらに、上記の車両用エアヒータシステムであって、前記エアヒータへの通電制御がPWM制御である車両用エアヒータシステムとすると良い。
【0011】
本発明のエアヒータシステムでは、半導体スイッチを用いてエアヒータについてPWM制御を行う。このため、本発明のエアヒータシステムでは、Duty比を調整することで、バッテリ電圧の変化を補正してエアヒータへの供給電力量を一定にすることができるなど、適切なエアヒータの温度制御、電力制御を行うことができる。特に、半導体スイッチを用いるため、PWM制御における繰り返し周波数を、吸気管の寸法、吸気の流速、あるいはエアヒータの取付位置等に応じて適切に設定することができ、ON−OFF切替えによる電熱式発熱体の温度の変動を抑え、加熱温度を略一定に保つことができる。
【0012】
また、内燃機関では、運転状況に応じたヒートモードが要求されている。具体的には、まず、内燃機関を始動する際は、クランキング前に所定時間エアヒータに通電することで吸気を加熱する(以下、プリヒートともいう)。このように加熱された吸気によって内燃機関を予熱し、内燃機関の始動性を向上させることができる。さらに、内燃機関始動後は、運転状況に応じたアフターヒートを行う。アフターヒートには、アイドリング時の吸気加熱と、走行時の吸気加熱とがある。アイドリング時にはバッテリへの負担軽減のために吸気加熱を抑制すると良い。一方、走行時には内燃機関の回転数の増大に伴う吸気量の増大に対応して、吸気加熱を増大させる必要がある。
【0013】
これに対し、本発明のエアヒータシステムでは、Duty比を調整することで、様々な内燃機関の運転状況に応じたヒートモードを実現することができる。このため、従来のように、複数の電熱式発熱体及びリレースイッチを設けて加熱調整を行う場合に比して、運転状況に応じて精度良く通電制御を行うことができると共に、部品点数が削減でき、省スペースである。
【0014】
さらに、上記いずれかの車両用エアヒータシステムであって、前記半導体スイッチは、前記電熱式発熱体に流れる電流を検知可能とする電流検知用端子を有する電流検知機能付き半導体スイッチである車両用エアヒータシステムとすると良い。
【0015】
一般に、エアヒータの電熱式発熱体は低抵抗であり、12ボルト程度の電圧のバッテリから100アンペア程度の大電流を電熱式発熱体に流して発熱させている。このため、エアヒータの電熱式発熱体を流れる電流を検知するために別途抵抗を挿入すると、電熱式発熱体にかかる電圧、電流が大きく低下する等の不具合が生じてしまう。また、別途抵抗等を挿入すると、エアヒータシステムの大型化につながってしまう。従って、従来の車両用エアヒータシステムにおいて、別途抵抗を挿入してエアヒータの電熱式発熱体を流れる電流を検知することは、現実的なものとは言い難かった。
【0016】
これに対し、本発明のエアヒータシステムでは、電熱式発熱体に流れる電流を検知可能とする電流検知機能付き半導体スイッチを用いている。このため、この電流検知機能付き半導体スイッチの電流検知用端子を利用して、エアヒータの電熱式発熱体を流れる電流を検知することができる。これによって、例えば、電熱式発熱体に投入する電力を制御したり、エアヒータ(電熱式発熱体)が正常に作動しているかどうかを確認することができる。
【0017】
さらに、上記車両用エアヒータシステムであって、前記半導体スイッチの前記電流検知用端子を用いて検知した前記電熱式発熱体に流れる前記電流に対応する出力に基づいて、上記電熱式発熱体の抵抗値を制御する抵抗値制御手段を有する車両用エアヒータシステムとすると良い。
【0018】
本発明の車両用エアヒータシステムでは、電熱式発熱体に流れる電流に対応する出力に基づいて、電熱式発熱体の抵抗値を制御する。具体的には、例えば、電熱式発熱体に流れる電流と電熱式発熱体への印加電圧(バッテリ電圧)とを検知し、これらの値から電熱式発熱体の抵抗値を算出し、この抵抗値が所定の値となるように、電熱式発熱体への供給電力を制御する。電熱式発熱体の抵抗値とその温度とは所定の対応関係を有しているので、このように、電熱式発熱体の抵抗値が所定値となるように制御することで、電熱式発熱体の温度を所定の温度に制御することができる。なお、特に、抵抗係数の大きな材質で電熱式発熱体を構成した場合に、良好にその抵抗値を制御することができる。
【0019】
さらに、上記いずれかの車両用エアヒータシステムであって、前記半導体スイッチの前記電流検知用端子を用いて検知した前記電熱式発熱体に流れる前記電流に対応する出力に基づいて上記電熱式発熱体の抵抗値を検知することで、上記電熱式発熱体の異常を検知する異常検知手段を有する車両用エアヒータシステムとすると良い。
【0020】
近年、環境保護のため、内燃機関から漏れた未燃ガスを吸気側に戻して燃焼させ、未燃ガスを車外に排出させないようにする技術が提案されている。また、内燃機関の熱効率を高めるため、高温となっている排気の一部を吸気側に戻す技術(EGR)も提案されている。ところが、このように、未燃ガスや排気を吸気側に戻すようにすると、未燃ガスや排気に含まれている汚損物質がエアヒータの電熱式発熱体に付着して、電熱式発熱体の抵抗値が低下し、さらには電熱式発熱体が短絡してしまう虞がある。他方、電熱式発熱体と半導体スイッチとの間の直列回路に対して過度の電力負荷が及ぶと、上記直列回路にて断線が生じる可能性もある。
【0021】
これに対し、本発明のエアヒータシステムでは、電熱式発熱体に流れる電流に対応する出力に基づいて、電熱式発熱体の抵抗値を検知する。例えば、電熱式発熱体に流れる電流と電熱式発熱体への印加電圧(バッテリ電圧)とを検知することで、電熱式発熱体の抵抗値を得ることができる。そして、検知された抵抗値と下限基準抵抗値(例えば、電熱式発熱体の初期抵抗値×80%)とを比較し、下限基準抵抗値を下回った場合(電熱式発熱体の異常)には、電熱式発熱体が汚損されていると判断できる。このように、エアヒータの電熱式発熱体の汚損状況を確認することができる。さらに、下限基準抵抗値を下回った場合に警告を発する警告装置等を別途設けるようにすれば、短絡防止対策等を促すことが可能となる。また、検知された抵抗値と上限基準抵抗値(例えば、電熱式発熱体の初期抵抗値×120%)とを比較し、上限基準抵抗値を上回った場合には、電熱式発熱体の断線を検知することができ、運転者にエアヒータシステムの異常を警告することが可能となる。
【0022】
さらに、上記いずれかの車両用エアヒータシステムであって、前記エアヒータは、前記電熱式発熱体を保持する枠体を有し、前記半導体スイッチは、上記枠体に固着されてなる車両用エアヒータシステムとすると良い。
【0023】
本発明の車両用エアヒータシステムでは、半導体スイッチをエアヒータの枠体に固着している。このため、半導体スイッチの取付場所を別途設ける必要がなく、省スペースである。また、半導体スイッチを別途車両に取付ける場合に比して、組付けの作業効率が良い。
【0024】
他の解決手段は、電熱式発熱体及びこの電熱式発熱体を保持する枠体を有するエアヒータと、上記エアヒータの上記枠体に固着され、上記電熱式発熱体に直列に接続されて、上記電熱式発熱体への通電制御が可能な半導体スイッチと、を備える車両用エアヒータユニットである。
【0025】
本発明の車両用エアヒータユニットは、電熱式発熱体に直列に接続され、この電熱式発熱体への通電制御が可能な半導体スイッチを備えている。このため、本発明の車両用エアヒータユニットを用いることで、エアヒータの電熱式発熱体への通電制御(例えば、ON−OFF制御、PWM制御等)を容易に行うことができる。また、半導体スイッチを用いることにより、リレースイッチに比して速い速度で電熱式発熱体へのON−OFF切替えを行うことが可能となるので、電熱式発熱体に対する細かな(換言すれば、精度の良い)通電制御を実現することができる。
【0026】
さらに、本発明の車両用エアヒータユニットでは、半導体スイッチをエアヒータの枠体に固着しているので、半導体スイッチの取付場所を別途設ける必要がなく、省スペースである。また、半導体スイッチを別途車両に取付ける場合に比して、組付けの作業効率が良い。
【0027】
【発明の実施の形態】
(実施形態)
本発明の実施の形態について図面を参照しつつ説明する。
図1は、本実施形態の車両用エアヒータユニット100を示す図であり、(a)はその平面図、(b)はその側面図である。車両用エアヒータユニット100は、エアヒータ101と、半導体スイッチ110と、配線基板170とを有している。
【0028】
エアヒータ101は、電熱式発熱体120と、これを保持する枠体130と、枠体130に固着されて電熱式発熱体120に電気的に接続する第1,第2,第3接続端子140,150,160とを有している。
このうち、枠体130は、アルミニウム合金からなり、ダイキャストによって略矩形環状に成型された金属体である。この枠体130には、表面130dと裏面130eとの間を貫通する4つの取付孔131、及び内側面130bと外側面130cとの間を貫通する第1貫通孔132b、第2貫通孔132c、第3貫通孔132dが形成されている。さらに、枠体130の内側面130bには、2つの凹部133が対向する位置に形成されている。
【0029】
この2つの凹部133には、それぞれ、長手方向に直交する断面形状が略コの字状の金属ブラケット135が配置されている。さらに、この金属ブラケット135の内側(凹部内)には、それぞれ、インシュレータ136が板バネ137を間に介して設けられている。このため、板バネ137が電熱式発熱体120の屈曲部121に付勢されることによって、インシュレータ136及び金属ブラケット135が枠体130の凹部133に固定されている。
【0030】
第1接続端子140は、金属製のボルトからなり、絶縁ワッシャ186を介して枠体130の第1貫通孔132bに挿設されている。第2接続端子150も、金属製のボルトからなり、絶縁ワッシャ186を介して枠体130の第2貫通孔132cに挿設されている。第3接続端子160も、金属製のボルトからなり、絶縁ワッシャ186を介して枠体130の第3貫通孔132dに挿設されている。なお、枠体130と第1,第2,第3接続端子140,150,160との絶縁を図るため、第1,第2,第3貫通孔132b,132c,132d内には、それぞれ絶縁スリーブ185が嵌入されている。
【0031】
電熱式発熱体120は、鉄−クロム合金からなる帯状の薄板を、蛇行形状に成形した発熱体である。この電熱式発熱体120は、円弧状に折り曲げられた複数の屈曲部121がインシュレータ136内に埋め込まれることで、電流的な絶縁を図りつつ枠体130に保持されている。さらに、電熱式発熱体120の両端部には貫通孔が形成されており、この貫通孔には第2,第3接続端子150,160が挿通している。このようにして、電熱式発熱体120が第2接続端子150と第3接続端子160とに電気的に接続されている。
【0032】
図2は、半導体スイッチ110を示す図であり、(a)はその平面図、(b)はその側面図である。本実施形態では、半導体スイッチ110として、infineon technorogies社製のPROFET(商標名)、NO.BTS550Pを用いた。この半導体スイッチ110は、MOSFETを基本構造とし、MOSFETのドレイン−ソース間を流れる電流I1に対し、所定比率(本実施形態では、1/21000)の電流I2が出力される構造となっている(図4参照)。
【0033】
このような半導体スイッチ110は、本体部117と、この本体部117に接続する第1コネクタピン111〜第5コネクタピン115及びタブ116とを有している。本体部117は、スイッチ回路、及び自身を流れる電流を検知できる電流検出回路を有している。第3コネクタピン113とタブ116とは電気的に接続しており、両者は共に電源入力用端子である。第1,5コネクタピン111,115は、電力出力用端子である。第2コネクタピン112は、通電制御信号(ON−OFF信号)入力用端子である。第4コネクタピン114は、電流検知用端子である。
【0034】
配線基板170は、図3に示すように、アルミナセラミックからなる基板本体部175と、その主面175b上に第1導体層171〜第4導体層174とを有する。基板本体部175には、第1,第2接続端子140,150を挿通可能な基板取付孔175c,175dが形成されている。そして、第1導体層171は、貫通孔175cの周縁部を含む位置に形成されており、第1接続端子140を枠体130に取付けるとこれに接続する。第2導体層172は、貫通孔175dの周縁部を含む位置に形成されており、第2接続端子150を枠体130に取付けるとこれに接続する。第3,第4導体層173,174には、それぞれ、金属ピンからなる第3,第4端子173b,174bが接続されている。この第3,第4端子173b,174bには、それぞれ、ECU(エンジンコンピュータユニット)210に接続するための導線182,184が、コネクタ端子183を介して接続されている(図1,図4参照)。
【0035】
半導体スイッチ110は、図1に示すように、このような配線基板170に搭載され、この配線基板170を介して枠体130に固着される。具体的には、図3に示すように、半導体スイッチ110は、ハンダ接合によって、タブ116が第1導体層171と電気的に接続される。同様に、第1,5コネクタピン111,115が第2導体層172と、第2コネクタピン112が第3導体層173と、第4コネクタピン114が第4導体層174と電気的に接続される。このようにして半導体スイッチ110が搭載された配線基板170を、基板取付孔175c,175dにそれぞれ第1,第2接続端子140,150を挿通させ、ナット187によって締結することで枠体130に固着する。なお、本実施形態では、第3コネクタピン113は、いずれも導体層にも接続されていない。また、第2接続端子150には、ECU210に接続するための導線181に固着されているワッシャ端子181bをも挿通させている(図1,図4参照)。
【0036】
また、本実施形態では、半導体スイッチ110及び配線基板170等の防水を図るために、シリコン樹脂によって半導体スイッチ110及び配線基板170等をモールドしている。具体的には、樹脂(PPS)製の箱形状で、第1,第2接続端子140,150を挿通可能な取付孔190b,190cが形成されたケーシング190を用意し、取付孔190b,190cにそれぞれ第1,第2接続端子140,150を挿通させて、配線基板170より先に枠体130に配置する。そして、半導体スイッチ110等を搭載した配線基板170を上記のように取付けることで、これらがケーシング190内に配置される。その後、このケーシング190内を、シリコン樹脂によって充填することで、半導体スイッチ110及び配線基板170等を樹脂モールドすることができる。
【0037】
このような車両用エアヒータユニット100は、図示しないエアクリーナと内燃機関のインテークマニホールドとを連結する吸気経路に固設され、吸気の加熱を行う。具体的には、エアヒータ101の電熱式発熱体120が吸気経路内に位置するように、枠体130に設けられた4つの取付孔131を利用して、ボルトによって吸気経路に固定される。
【0038】
ここで、このような車両用エアヒータユニット100とECU210とを備えた、本実施形態の車両用エアヒータシステム200の回路図を図4に示す。
車両用エアヒータシステム200は、第1接続端子140が片側端子を接地した車載バッテリ220と電気的に接続されている。これによって、半導体スイッチ110のタブ116と車載バッテリ220とが電気的に接続される。さらに、半導体スイッチ110の第1,5コネクタピン111,115が第2接続端子150に接続され、電熱式発熱体120を介して第3接続端子160が接地されている。このようにすることで、車載バッテリ220から半導体スイッチ110を介して電熱式発熱体120に電力が供給されるので、吸気経路内を流れる気体(吸入空気)を加熱することができる。なお、図4に示すように、半導体スイッチ110は、車載バッテリ220に接続され、電熱式発熱体120に直列に接続されている。
【0039】
さらに、半導体スイッチ110の第2コネクタピン112は、導線182を介してECU210に接続されている。このようにすることで、ECU210によって半導体スイッチ110のON−OFF切り替えを制御することができる。
また、第4コネクタピン114は、導線184を介してECU210に接続されている。この半導体スイッチ110では、電熱式発熱体120に流れる電流I1に対し、所定比率(本実施形態では、1/21000)の電流I2が、第4コネクタピン114から出力されるように構成されている。一方、エアヒータ101の第2接続端子150が、導線181を介してECU210に接続されている。このため、ECU210において電熱式発熱体120にかかる電圧Vを検知することができ、この電圧Vと電流I2とを用いて電熱式発熱体120の抵抗値R1を算出できる。
【0040】
そこで、車両用エアヒータシステム200では、電熱式発熱体120の抵抗値R1が所定の抵抗値となるようにPWM制御を行うようにしている。電熱式発熱体120の抵抗値R1とその温度とは所定の対応関係を有しているので、電熱式発熱体120の抵抗値R1が所定の抵抗値となるようにPWM制御を行うことで、電熱式発熱体120の温度を所定の温度に制御することができる。具体的には、バッテリ220の電圧Vに応じて、半導体スイッチ110のON−OFFのDuty比を調整することで、電熱式発熱体120への供給電力を調整して、電熱式発熱体120の抵抗値R1が所定の抵抗値となるように制御することができる。従って、車両用エアヒータシステム200では、吸気量の多少に拘わらず、電熱式発熱体120の温度を所定の温度に制御することができる。
【0041】
また、半導体スイッチ110のON−OFFのDuty比を調整して、電熱式発熱体120の温度を多段階に調整することで、吸気温度を内燃機関の運転状況に適した温度にすることができる。このため、様々な内燃機関の運転状況に応じたヒートモードを実現することもできる。
【0042】
ここで、車両用エアヒータシステム200による吸気加熱について、図5に示すフローチャートを参照して説明する。
まず、エンジンのキースイッチがONとなり、ECU210に電圧が印加されてECU210が起動すると、ステップS1において、ECU210のプログラムを初期値に設定する。具体的には、プリヒート中フラグをセットし、プリヒートカウンタT1=0、アフターヒートカウンタT2=0に設定する。次いで、ステップS2に進み、プリヒート中フラグがセットされているかどうかを確認する。
【0043】
プリヒート中フラグがセットされている場合には、ステップS3に進み、プリヒート通電を開始する。なお、本実施形態では、Duty比100%でプリヒート通電が行われる。具体的には、導線182を介して半導体スイッチ110をONにし続ける。次いで、ステップS4に進み、プリヒート継続時間に対応するプリヒートカウンタT1を積算する。具体的には、後述するように、ステップS7において、所定のサイクルタイムが経過する毎にステップS2に戻るようにしているため、ステップS4を通過する毎にプリヒートカウンタT1を、1ずつインクリメントする。次いで、ステップS5に進み、プリヒートカウンタT1がプリヒート終了時間に対応するプリヒート設定回数Tpに達したかどうかを判定する。なお、本実施形態では、1回のサイクルタイムを0.05秒に設定し、プリヒート設定回数Tpを200回、従ってプリヒート終了時間を10秒に設定している。
【0044】
ここで、プリヒートカウンタT1がプリヒート設定回数Tpに達していない場合(NO)には、ステップS7に進み、サイクルタイムを経過したかどうかを判定し、サイクルタイムを経過するまでこの判定を繰り返す。サイクルタイムを経過すると、再びステップS2に戻り、上述した動作を繰り返してプリヒートを継続する。そして、ステップS5において、プリヒートカウンタT1がプリヒート設定回数Tpに達した場合(YES)には、ステップS6に進み、プリヒート中フラグを解除する。次いで、ステップS7に進み、サイクルタイムの経過を待ってステップS2に戻る。
【0045】
すると、ステップS2では、プリヒート中フラグがセットされていない(NO)と判断されるので、プリヒート期間を終了し、ステップS8に進む。ステップS8では、導線181を通じて、車載バッテリ220の電圧(電熱式発熱体120の印加電圧)Vを検知する。さらに、ステップS9では、導線184を通じて電流I2の電流を検知する。これにより、電熱式発熱体120を流れる電流I1の大きさが判る。次いで、ステップSAにおいて、ステップS8,S9で得られた電圧Vと電流I1との値から、電熱式発熱体120の抵抗値R1を算出する。
【0046】
次いで、ステップSBに進み、電熱式発熱体120の抵抗値R1が、下限基準抵抗値TH1(本実施形態では、電熱式発熱体120の初期抵抗値Rc×80%の値)と上限基準抵抗値TH2(本実施形態では、電熱式発熱体120の初期抵抗値Rc×120%の値)との間の値であるか否かを判定する。抵抗値R1が、下限基準抵抗値TH1より小さい場合、あるいは上限基準抵抗値TH2より大きい場合には、ステップSCに進み、エラー出力をする。このとき、ECU210に接続された警告装置230(図4参照)によって、運転者にエアヒータシステム200の異常を警告する(例えば、運転席の警告ランプを点灯させる)ことができる。その後、ステップSHに進み、アフターヒートを終了する。
【0047】
抵抗値R1が、下限基準抵抗値TH1と上限基準抵抗値TH2との間にある場合には、ステップSDに進み、電熱式発熱体120の抵抗値R1が所定の抵抗値Rbとなるように、アフターヒートにおけるDuty比を算出する。具体的には、電熱式発熱体120の抵抗値R1が、アフターヒートにおける所定の電熱式発熱体120の温度に対応する抵抗値Rbとなるように、バッテリ220の電圧Vに応じた半導体スイッチ110のON−OFFのDuty比を算出する。このようにして算出されたDuty比を用いて電熱式発熱体120への供給電力の制御を行うことで、電熱式発熱体120の温度を所定の温度にすることができる。
【0048】
次いで、ステップSEに進み、算出されたDuty比を用いてアフターヒートの通電を行う。具体的には、Duty比で決まる時間割合で、半導体スイッチ110のON−OFFを繰り返す。次いで、ステップSFに進み、アフターヒートカウンタT2を積算する。具体的には、プリヒートカウンタT1と同様に、ステップSEを通過する毎に、アフターヒートカウンタT2をインクリメントする。次いで、ステップSGに進み、アフターヒートカウンタT2がアフターヒート終了時間に対応するアフターヒート設定回数Taに達したかどうかを判定する。なお、本実施形態では、アフターヒート設定回数Taを12000回に、従って、アフターヒート終了時間を600秒に設定している。
【0049】
ここで、アフターヒートカウンタT2がアフターヒート設定回数Taに達していない場合(NO)には、ステップS7に進み、サイクルタイムの経過を待って、再びステップS2に戻る。かくして、上述した動作を繰り返してアフターヒートを継続する。そして、ステップSGにおいて、アフターヒートカウンタT2がアフターヒート設定回数Taに達した場合(YES)には、ステップSHに進み、アフターヒートを終了する。本実施形態では、このようにして、プリヒート及びアフターヒート(PWM制御による電熱式発熱体120の抵抗値制御)が行われる。
【0050】
ところで、近年、環境保護のため、内燃機関から漏れた未燃ガスを吸気側に戻して燃焼させ、未燃ガスを車外に排出させないようにする技術が提案されている。また、内燃機関の熱効率を高めるため、高温となっている排気の一部を吸気側に戻す技術(EGR)も提案されている。ところが、このように、未燃ガスや排気を吸気側に戻すようにすると、未燃ガスや排気に含まれている汚損物質がエアヒータ101の電熱式発熱体120に付着して、電熱式発熱体120の抵抗値が低下し、さらには電熱式発熱体120が短絡してしまう虞がある。
【0051】
これに対し、車両用エアヒータシステム200では、ステップSBにおいて、電熱式発熱体120の抵抗値R1が、下限基準抵抗値TH1と上限基準抵抗値TH2との間の値であるか否かを判定し、抵抗値R1が、下限基準抵抗値TH1より小さい場合、あるいは上限基準抵抗値TH2より大きい場合には、ステップSCにおいて、エラー出力をするようにしている。このため、ECU210に接続された警告装置230(図4参照)によって、運転者にエアヒータシステム200の異常(電熱式発熱体120の短絡等)を警告する(例えば、運転席の警告ランプを点灯させる)ことができる。
【0052】
以上において、本発明を実施形態に即して説明したが、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で、適宜変更して適用できることはいうまでもない。
【0053】
例えば、実施形態では、ステップS5において、プリヒートカウンタT1がプリヒート設定回数Tpに達した場合(プリヒート終了時間が経過した場合)に、プリヒートを終了してアフターヒートに移行するようにした。しかし、ヒートモード切り替え方法は、このような手法に限定されるものではなく、例えば、プリヒートにおいて、アフターヒートと同様にバッテリ220の電圧Vと電流I2とを検知して電熱式発熱体120の抵抗値R1を算出し、この抵抗値R1が所定の抵抗値に達した場合(すなわち、電熱式発熱体120が所定の温度に達した場合)に、次のヒートモード(実施形態ではアフターヒート)に切り替えるようにしても良い。あるいは、バッテリ220の電圧Vと電流I2とから電熱式発熱体120に投入した積算電力量を算出し、この積算電力量が所定値に達した場合に、次のヒートモードに切り替えるようにしても良い。プリヒート段階では、電熱式発熱体120の温度と積算電力量との間に対応関係があるからである。
【0054】
また、実施形態では、半導体スイッチ110として、電熱式発熱体120に流す電流を検知できる第4コネクタピン114(電流検知用端子)を有している半導体スイッチを用いた。しかし、このような半導体スイッチに限定されるものではなく、電熱式発熱体120に流す電流をON−OFFできるスイッチとして機能するものであればいずれのものでも良く、例えば、MOSFET、IGBT、GTO、サイリスタ等を用いるようにしても良い。さらに、電流検知用端子を有しない半導体スイッチを用いた場合には、電流I2、電熱式発熱体120の抵抗値Rを検知することができない。そこで、この場合には、バッテリ220の電圧(電熱式発熱体120の印加電圧)Vに基づいて、Duty比を決めるようにすると良い。
【0055】
また、実施形態では、半導体スイッチ110をエアヒータ101の枠体130に固着するようにした。しかし、半導体スイッチの取付位置はいずれの場所でも良く、例えば、車両のボディに別途取付けたり、ECU210に内蔵するようにしても良い。
また、実施形態では、配線基板170を介して半導体スイッチ110を枠体130に固着したが、半導体スイッチを枠体130に直接固着するようにしても良い。
また、実施形態では、アルミナセラミックからなる配線基板170を用いたが、配線基板の材質はアルミナセラミックに限定されるものではない。例えば、表面に絶縁層を有する金属製の配線基板を用いるようにしても良い。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施形態にかかる車両用エアヒータユニット100を示す図であり、(a)はその平面図、(b)はその側面図である。
【図2】実施形態にかかる車両用エアヒータユニット100の半導体スイッチ110を示す図であり、(a)はその平面図、(b)はその側面図である。
【図3】実施形態にかかる車両用エアヒータユニット100の半導体スイッチ110の電気的接続を説明する説明図である。
【図4】実施形態にかかる車両用エアヒータシステム200の回路図である。
【図5】実施形態にかかるプリヒート及びアフターヒートの流れを示すフローチャートである。
【符号の説明】
100 車両用エアヒータユニット
101 エアヒータ
110 半導体スイッチ
114 第4コネクタピン(電流検知用端子)
120 電熱式発熱体
130 枠体
200 車両用エアヒータシステム
Claims (7)
- 電熱式発熱体を有するエアヒータと、
上記電熱式発熱体に直列に接続され、上記電熱式発熱体への通電を制御する半導体スイッチと、
を備える車両用エアヒータシステム。 - 請求項1に記載の車両用エアヒータシステムであって、
前記エアヒータへの通電制御がPWM制御である
車両用エアヒータシステム。 - 請求項1または請求項2に記載の車両用エアヒータシステムであって、
前記半導体スイッチは、前記電熱式発熱体に流れる電流を検知可能とする電流検知用端子を有する電流検知機能付き半導体スイッチである
車両用エアヒータシステム。 - 請求項3に記載の車両用エアヒータシステムであって、
前記半導体スイッチの前記電流検知用端子を用いて検知した前記電熱式発熱体に流れる前記電流に対応する出力に基づいて、上記電熱式発熱体の抵抗値を制御する抵抗値制御手段を有する
車両用エアヒータシステム。 - 請求項3または請求項4に記載の車両用エアヒータシステムであって、
前記半導体スイッチの前記電流検知用端子を用いて検知した前記電熱式発熱体に流れる前記電流に対応する出力に基づいて上記電熱式発熱体の抵抗値を検知し、上記電熱式発熱体の異常を検知する異常検知手段を有する
車両用エアヒータシステム。 - 請求項1〜請求項5のいずれか一項に記載の車両用エアヒータシステムであって、
前記エアヒータは、前記電熱式発熱体を保持する枠体を有し、
前記半導体スイッチは、上記枠体に固着されてなる
車両用エアヒータシステム。 - 電熱式発熱体及びこの電熱式発熱体を保持する枠体を有するエアヒータと、
上記エアヒータの上記枠体に固着され、上記電熱式発熱体に直列に接続されて、上記電熱式発熱体への通電制御が可能な半導体スイッチと、
を備える車両用エアヒータユニット。
Priority Applications (5)
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Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
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KR101398480B1 (ko) | 2012-12-07 | 2014-05-27 | 우리산업 주식회사 | 전기차 또는 하이브리드 차량용 고전압 히터 제어 장치 |
JP2015174579A (ja) * | 2014-03-17 | 2015-10-05 | 株式会社デンソー | 車載用輻射ヒータ制御装置 |
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- 2003-04-25 JP JP2003122395A patent/JP2004322918A/ja active Pending
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