JP2004296327A - アルカリ電池 - Google Patents
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Abstract
【課題】本発明の目的は、重負荷の用途に適した電池において、電池反応が早いことにより生じる、ガス発生を抑制するためになされたもので、実用上ガス発生に問題なくかつ重負荷放電性能のすぐれたアルカリ電池を実現することである。
【解決手段】本発明のアルカリ電池は、無汞化亜鉛合金粉末とゲル化剤及びアルカリ電解液を含むゲル状亜鉛負極を備えたアルカリ電池において、前記無汞化亜鉛合金粉末として、75μm以下の粒子の比率を3〜7%、300μm以上の粒子の比率を5%以下とすることにより重負荷パルス特性を向上させ、かつガスの発生を抑止するものである。
【選択図】 なし
【解決手段】本発明のアルカリ電池は、無汞化亜鉛合金粉末とゲル化剤及びアルカリ電解液を含むゲル状亜鉛負極を備えたアルカリ電池において、前記無汞化亜鉛合金粉末として、75μm以下の粒子の比率を3〜7%、300μm以上の粒子の比率を5%以下とすることにより重負荷パルス特性を向上させ、かつガスの発生を抑止するものである。
【選択図】 なし
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は亜鉛アルカリ電池に関し、詳しくは無汞化亜鉛合金粉末を用いたゲル状亜鉛負極を備えたアルカリ電池に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来、亜鉛アルカリ電池の負極活物質としては、亜鉛の腐食によるガス発生の抑制及び電気特性の向上を目的として、汞化亜鉛合金粉末が用いられていたが、近年、使用済み電池による環境汚染が問題視されるようになってきたことから低公害化が社会的な要望となり、亜鉛合金粉末を無汞化(無水銀)にするための亜鉛合金組成や防食剤(インヒビター)等の研究が進められ、ついに実用上ガス発生に問題のない無水銀アルカリ電池用ゲル状亜鉛負極が開発されるに至っている。
これまでの種々の検討の結果、亜鉛粉末の粒径は、ガス発生速度の速い75μm以下の微粉および充填作業性の悪い500μmを超える粗目を極力除去して使用しているのが現状である(特許文献1参照)。
【0003】
一方、近年の携帯用機器の増加により、デジタルスチルカメラ、ポータブルMDプレーヤー等のより重負荷用途に使用される機会が増してきた。一方、ヘッドホンステレオ、携帯用ゲーム機器等の軽負荷用途の需要もあり、高容量かつ重負荷放電に対応した電池が求められている。
ところで、これまで、重負荷の用途に適した電池は、電池反応が早く、重負荷が電池に印加された場合、速やかにこれに応答して電力を供給することが可能となっている。しかしながら、このように反応が早い電池は、同時にガス発生が顕著であるという特性を有している。一方、ガス発生が少ない電池は、電池反応が遅く、重負荷の用途に適していないという、相反する性質があった。
【0004】
【特許文献1】特開平7−169463号公報
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、アルカリ電池における上記状況に鑑みてなされたもので、その目的は実用上ガス発生に問題なくかつ重負荷放電性能のすぐれた電池を実現することである。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明のアルカリ電池は、無汞化亜鉛合金粉末とゲル化剤及びアルカリ電解液を含むゲル状亜鉛負極を備えたアルカリ電池において、前記無汞化亜鉛合金粉末として、75μm以下の粒子の比率を3〜7%、300μm以上の粒子の比率を5%以下とすることにより重負荷パルス特性を向上させ、かつガスの発生を抑止するものである。
【0007】
上記本発明においては、電池の重負荷パルス特性は、亜鉛粉末の表面積による影響を大きく受けるため、75μm以下の微粉亜鉛比率を増加することで、表面積を増大させ特性を向上することができるが、同時にゲル亜鉛の高粘度化による作業性の悪化が発生し問題となる。
そこで、75μm以下の微粉亜鉛を篩分により除去し、かつ、300μm以上の粒径の亜鉛粉をふるい分けにより除去して、特定の粒径分布の亜鉛粉末原料とすることにより、ガス発生を抑止し、重負荷パルス特性を向上することができる。
【0008】
【発明の実施の形態】
以下本発明の実施の形態について説明する。
以下、本発明の電池の詳細な実施の形態について、図面を参照しながら詳細に説明する。図1は、本発明をいわゆるインサイドアウト構造(電池缶体が正極側、電池蓋側が負極側となっている構造)と呼ばれているJIS規格のLR6形(単3形)の電池に応用した例である。
【0009】
図1において1は、正極端子を兼ねる有底円筒形の金属缶であり、この金属缶1の内部に中空円筒状に成形された正極活物質を含有する正極合剤2が金属缶1の内面に接触するように収容されている。この正極合剤2の中空内部には有底円筒状のセパレータ3を介して、ゲル状亜鉛負極材料4が充填されている。そして、この負極材料4には黄銅製の金属棒からなる負極集電棒5が挿着され、この負極集電棒5の一端は負極材料4の表面から突出してリング状金属板7及び陰極端子を兼ねる金属封口板8に電気的に接続されている。そして、正極となる金属缶1内面と、負極集電棒5の突出部外周面には、二重環状のポリアミド樹脂からなる絶縁ガスケット6が配設され、これらは絶縁されている。また、金属缶1の開口部はかしめられて液密に封止されている。
【0010】
以下に、本発明で用いられる負極材料、セパレータ、正極合剤、及び電解液について詳細に説明する。
【0011】
(負極材料)
本発明で用いられる負極材料は、負極活物質である亜鉛合金を主成分とする負極材料であり、公知の二酸化マンガン−亜鉛一次電池で使用されている亜鉛ゲルを用いることができる。この負極材料は、ゲル状であることが取り扱いの点で望ましい。これを、負極材料をゲル状とするためには、負極活物質に電解液及び増粘剤を添加することにより容易にゲル化することができる。
【0012】
本発明において用いる亜鉛合金は、無汞化亜鉛合金として知られている水銀及び鉛を含まない亜鉛合金を用いることができる。具体的には、インジウム0.06質量%、ビスマス0.014質量%、アルミニウム0.0035質量%を含む亜鉛合金が、水素ガス発生の抑制効果があり望ましい。特にインジウム、ビスマスは放電性能を向上させるため望ましい。
負極作用物質として純亜鉛ではなく亜鉛合金を用いる理由は、アルカリ性電解液中での自己溶解速度を遅くし、密閉系の電池製品とした場合の電池内部での水素ガス発生を抑制して、漏液による事故を防止するためである。
【0013】
また、亜鉛合金の形状は、表面積を大きくして大電流放電に対応できるように粉末状とすることが望ましい。
本発明において、無汞化亜鉛合金粉末の好ましい粒径分布は、前述の通り75μm以下の粒子の比率を3〜7%、300μm以上の粒子の比率を5%以下とするものであり、原料となる無汞化亜鉛合金を粉砕した後、所定のサイズを有するふるいにかけることによって容易に作成することができる。
【0014】
また、本発明において用いられる増粘剤としては、ポリビニルアルコール、ポリアクリル酸塩、CMC、アルギン酸などを用いることができる。特に、ポリアクリル酸が、強アルカリに対する耐薬品性に優れているため好ましい。
【0015】
(セパレータ)
本発明で用いられるセパレータは、セルロース系繊維と、ポリビニルアルコール系繊維とからなっている。これらの繊維においては、セルロース系繊維が、アルカリ電解液との親和性がよいため、保液性を高めるために用いられており、一方、ポリビニルアルコール系繊維は、耐アルカリ性に優れており、セパレータ紙の基本骨格を形成するために用いられるもので、これらを併用することによって、本発明の所期の目的を達成するセパレータが得られる。本発明においてセルロース系繊維とは、セルロース繊維、アセチルセルロース繊維、マーセル化パルプ、レーヨン、ポリノジックレーヨンなどを単独でもしくは混合して用いることができる。また、ポリビニルアルコール系繊維(PVA系繊維)としては、ビニロン繊維、ポリビニルアルコール繊維などを単独でもしくは混合して用いることができる。
本発明においては、これらのセルロース系繊維およびポリビニルアルコール系繊維をそれぞれ複数種混抄して製造したセパレータが本発明の目的に適した特性を有するため好ましく、特にマーセル化パルプ、レーヨン、ビニロン、およびポリビニルアルコール繊維の混抄物が、セパレータ紙の保液性と強度とをバランスよく両立させることが可能になるという理由からもっとも好ましい。
【0016】
本発明において、これらの繊維の構成比が、質量比で35:65〜75:25の範囲とすることが必要である。さらに、これらの構成比が、50:50〜70:30の範囲がより好ましい。セルロース系繊維がこの範囲を上回ると、保液力が大きくなるものの、膨潤も合わせて過大となり、活物質を収容する電池の内容積が減少してしまう。一方、ポリビニルアルコール系繊維が、上記 範囲を上回ると、保液力が低下し、内部電気抵抗が増加して電池容量の低下につながる。
【0017】
本発明においては、このセパレータ紙の保液率は、400〜600質量%の範囲が望ましい。この保液率が、この範囲を下回った場合、電池の内部抵抗が増加して、電池容量の低下につながる。一方、保液率が上記範囲を上回った場合、繊維の膨潤などにより電池内部の容積を過大に占めることになり、電池容量の低下に結びつく。
【0018】
本発明において、これらのセルロース系繊維とポリビニルアルコール系繊維は、それぞれの繊維を混合して抄紙してもよいし、それぞれを個別に抄紙した後、張り合わせてもよい。そして、これらのセパレータ紙の最大気孔径は、10〜70μmの範囲が望ましい。最大気孔径がこの範囲を下回った場合、電解液の流通の抵抗となり、イオン電導性が低下して、電池の内部抵抗が増大し放電容量が低下する。一方、最大気孔径がこの範囲を上回った場合、活物質粒子が対極に移動しやすく、電気ショートの原因となり、電池寿命を低下させる。
【0019】
このセパレータ紙を用いてセパレータとするには、セパレータ紙を捲回し、底部を接着して有底円筒状に形成する。この際、捲回セパレータ紙の側部を接着しても差し支えない。この接着は、セパレータ紙を成形した後熱接着してもよいし、また、接着剤を使用してもよい。接着剤を使用する場合には、耐薬品性のある接着剤である必要がある。
本発明において、このセパレータ紙を捲回する際に、3重もしくは4重に重ね合わさるように捲回する必要がある。捲回数が2重以下の場合、活物質粒子移動防止の機能が発揮されず、電気ショートの原因となる。一方、捲回数が5重以上の場合、極間距離が大きくなり、内部抵抗が増加して好ましくない。
また、本発明において捲回したセパレータの合計の厚さが、0.2〜0.4mmの範囲である必要がある。このセパレータの合計厚さが、この範囲を下回った場合、セパレータ紙としては、機械的強度が十分ではなく、捲回作業が困難になる。一方、セパレータ厚さが上記範囲を上回った場合、電池の極間距離が増加して、内部抵抗が増加することになり好ましくない。
【0020】
(正極合剤)
本発明において、正極合剤は、従来の二酸化マンガンを主体とする正極合剤でもよいし、近年重負荷特性に優れている電池として知られているオキシ水酸化ニッケル系化合物を主体とする正極合剤であってもよい。
以下オキシ水酸化ニッケル系化合物を用いた正極合剤について説明する。
本実施の形態の正極合剤は、オキシ水酸化ニッケル化合物粒子からなる正極活物質、黒鉛からなる導電材、およびアルカリ電解液、また必要に応じてポリエチレン、ポリプロピレンなどのバインダなどを混合し、プレスにより、その外径が金属缶の内径にほぼ等しい中空円筒形状に成形して製造される。そして、成形された正極合剤は、正極活物質粒子、および導電材粒子が相互に結着し、粒子間の粒界には電解液が充填されている。
【0021】
本実施の形態において用いられる前記正極活物質であるオキシ水酸化ニッケル化合物は、水酸化ニッケルを一部酸化した化合物であり、ニッケル原子の価数が3価のγ−オキシ水酸化ニッケルでもよいし、水酸化ニッケルのニッケル原子の価数である4価のニッケル原子と、完全にオキシ水酸化物となっているニッケル原子の3価の中間的な価数を持っている化合物であってもよい。
【0022】
また、本実施の形態において用いられるオキシ水酸化ニッケル化合物粒子の表面は、オキシ水酸化コバルト、三酸化二コバルト、一酸化コバルト、水酸化コバルト、金属ニッケル、金属コバルトより選ばれる少なくとも一つの物質により被覆されている。
このオキシ水酸化ニッケル化合物粒子表面が電気伝導度の高い物質により被覆されることで、正極全体の電気伝導性が高まり、放電容量、高率放電特性を向上させる。これらの物質の内でも、オキシ水酸化コバルト、金属ニッケル、金属コバルトを用いることが、より導電性が高いという理由で好ましい。
かかる被覆層の量は、正極活物質に対して、2.0〜6.0質量%の範囲が望ましい。被覆層の量がこの範囲を上回ると、コスト高の問題が生じ、またこの範囲を下回ると、集電性低下の問題が生じて好ましくない。
【0023】
さらに、正極活物質であるオキシ水酸化ニッケル化合物自体が、亜鉛もしくはコバルト単独あるいはその両方と共晶しているものであってもよい。この正極活物質は低電解液比率でも安定した放電が行えるという特徴を有している。このオキシ水酸化ニッケル化合物に共晶させる亜鉛もしくはコバルトの量としては、4.0〜12.0%の範囲が好ましい。亜鉛の量がこの範囲を下回ると、利用率低下の問題が発生し、またこの範囲を上回ると、比重低下により容量密度が低下する問題があるからである。
【0024】
また、上記オキシ水酸化ニッケル化合物正極活物質に、Y、Er、Yb、Caの化合物を添加することにより、貯蔵時の容量維持率を改善することができる。本発明において用いられる上記化合物としては、例えばY2O3、Er2O3、Yb2O3、などの金属酸化物、およびCaF2などの金属フッ化物があげられる。これらの金属酸化物および金属フッ化物は、正極活物質であるオキシ水酸化ニッケル化合物に対して、0.1〜10質量%の範囲で用いることができる。金属酸化物もしくは金属フッ化物の配合量が上記範囲を下回った場合、十分な効果が得られない。一方配合量が上記範囲を上回った場合、容量低下の問題が発生し好ましくない。
このような本発明において、オキシ水酸化ニッケル化合物に金属酸化物あるいは金属フッ化物を添加するには、水性媒体に分散したニッケル水酸化物粒子に、上記金属酸化物粒子もしくは金属フッ化物粒子を添加することにより製造することができる。
【0025】
上記本実施の形態の正極活物質は、次の方法によって製造することができる。
すなわち、亜鉛及びコバルトをドープした水酸化ニッケル粒子に、水酸化コバルトを添加し、大気雰囲気中で攪拌しながら水酸化ナトリウム水溶液を噴霧する。引き続きマイクロウェーブ加熱を施すことにより水酸化ニッケル表面にコバルト高次酸化物の層が形成された複合水酸化ニッケル粒子が生成する。
そして、この反応系に次亜塩素酸ナトリウムなどの酸化剤を添加して酸化を進め、コバルト高次酸化物が被着した複合オキシ水酸化ニッケルを製造することができる。これによって導電性が極めて優れた正極活物質を得ることができる。
【0026】
また、本実施の形態においては、前記正極合剤中に黒鉛粒子を配合し導電性を改善する。
本実施の形態においては、この炭素粒子として、平均粒径が5〜40μmの黒鉛を用いる。その理由は、平均粒径が、この範囲を下回った場合には、本来黒鉛が持っている正極合剤成分を結着する能力が低下し、成形した正極合剤の強度が低下して電池製造の作業性に問題があるばかりでなく、正極合剤の導電性が低下するからである。一方、黒鉛の平均粒径が上記範囲を上回った場合、活物質の粒子と比較して径が大きくなるため、導電性が低下するからである。
そして、本実施の形態においては、前記正極合剤中のかかる黒鉛粒子の含有量を10質量%以下とすることが望ましい。正極合剤中の黒鉛粒子の含有量を大きくしすぎると、限られた金属缶の容積中に充填することのできる正極活物質量自体が減少することと、黒鉛粒子が酸化されて生じる炭酸イオンが自己放電を加速して、放電容量が減少するからである。
そのためには、正極合剤中の炭素粒子の含有量は、10質量%以下が好ましく、より好ましくは7質量%以下である。
【0027】
(電解液)
本発明で用いられる電解液は、水酸化カリウム、水酸化ナトリウムなどのアルカリ物質を電解質として用いた水溶液が好ましく、特に、水酸化カリウムを電解質として用いることが、好ましい。
また、本発明においては、上記水酸化カリウムなどの電解質を水に溶解して電解液とするが、さらに電解液中に亜鉛化合物を添加することが望ましい。かかる亜鉛化合物としては、酸化亜鉛、水酸化亜鉛などの化合物が挙げられるが、特に酸化亜鉛が好ましい。
【0028】
電解液として少なくとも亜鉛化合物を含有するアルカリ性水溶液を用いるのは、アルカリ性水溶液中での亜鉛合金の自己溶解が酸性系の電解液と比較して格段に少なく、更には亜鉛合金のアルカリ性電解液中での自己溶解を亜鉛化合物、例えば酸化亜鉛を溶解して亜鉛イオンを予め存在させておくことにより更に抑制するためである。
電解液の濃度は、7〜11mol/lの範囲とすることが、高い電気導電率を得るために最適である。
【0029】
【実施例】
(実施例及び比較例)
(正極の作製)
オキシ水酸化コバルトにより被覆されたオキシ水酸化ニッケル粉末90質量%に対して、黒鉛粉末5.4質量%を10分間混合し、これに、40質量%濃度の水酸化カリウム水溶液4.6質量%を添加し、汎用混合器で30分間混合し、混合粉末を得た。これを外径13.3mm、内径9.0mm、高さ13.7mmの中空円筒状に加圧成形し、正極合剤ペレットを得た。
【0030】
(負極の作製)
亜鉛合金粉末の75μm以下と300μm以上を篩分により除去して下記表1に示す粒径分布の負極原料粉末を作成した。これに、アルカリ電解液(40%KOH、4%ZnO)とゲル化剤を加えて混合してゲル状亜鉛を調製した。
【0031】
(セパレータの作製)
セルロース系繊維とポリビニルアルコール系繊維を、質量比で35:65の割合で混合し、抄紙して、厚さ0.1mmのセパレータ紙を作製した。このセパレータ紙の保液率を測定した結果、403質量%であった。また、最大気孔径は、30μmであった。
このセパレータ紙を、3重に捲回し、底部に厚さ0.3mmの円形のセパレータ紙を接着して、有底円筒状のセパレータを作製した。この捲回部の厚さは0.3mmであった。
【0032】
(電池の組立)
図1において、1は正極端子を兼ねる有底円筒形の金属缶であり、この金属缶1内には円筒状に加圧成形した正極合剤ペレットを3個積み重ねた状態で、再度加圧成形し正極合剤2を9.0g充填した。また、正極合剤2の中空部には、上記方法によって得た有底円筒状のセパレータ3を介して前記方法で製造したゲル状負極4が充填した。ゲル状負極4内には真鍮製の負極集電棒5が、その上端部をゲル状負極4より突出するように挿着した。負極集電棒5の突出部外周面及び金属缶1の上部内周面には二重環状のポリアミド樹脂からなる絶縁ガスケット6を配設した。また、絶縁ガスケット6の二重環状部の間にはリング状の金属板7を配設し、かつ金属板7には負極端子を兼ねる帽子形の金属封口板8が集電棒5の頭部に当接するように配設した。そして、金属缶1の開口縁を内方に屈曲させることによりガスケット6及び金属封口板8で金属缶1内を密封口した。このようにして製造されたゲル状負極を用いて図1に示す単3形アルカリ電池を組み立てた。
【0033】
(評価)
上記工程で作成したゲル状亜鉛負極のゲル充填作業性及びガス発生速度を測定し、さらにこれを用いて作成した電池について、1000mAの電流で10秒間放電、50秒間開放のサイクルを繰り返す(1000mA10s−on/50s−offテストと略称する)パルス放電試験を実施した。その結果を表1に示す。
【0034】
【表1】
【0035】
上記結果のように、亜鉛合金粉末を75μmと300μmの篩を用いて上記粒度分布となるように選別して使用することで、1000mA10s−on/50s−offのような重負荷パルス特性が改善される。なおかつゲルの粘度変化に与える影響もすくなく、良好な作業性を維持できる。
【0036】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明によれば、無汞化亜鉛合金粉末として75μm以下および300μm以上の粒径の粉末を除去した亜鉛合金粉末を用いることで、作業性に問題なく、かつ、重負荷パルス放電性能を改善した電池を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施例であるアルカリ電池の断面図。
【符号の説明】
1…金属缶
2…正極合剤
3…セパレータ
4…ゲル状亜鉛負極
5…負極集電棒
6…絶縁ガスケット
7…金属封口板
【発明の属する技術分野】
本発明は亜鉛アルカリ電池に関し、詳しくは無汞化亜鉛合金粉末を用いたゲル状亜鉛負極を備えたアルカリ電池に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来、亜鉛アルカリ電池の負極活物質としては、亜鉛の腐食によるガス発生の抑制及び電気特性の向上を目的として、汞化亜鉛合金粉末が用いられていたが、近年、使用済み電池による環境汚染が問題視されるようになってきたことから低公害化が社会的な要望となり、亜鉛合金粉末を無汞化(無水銀)にするための亜鉛合金組成や防食剤(インヒビター)等の研究が進められ、ついに実用上ガス発生に問題のない無水銀アルカリ電池用ゲル状亜鉛負極が開発されるに至っている。
これまでの種々の検討の結果、亜鉛粉末の粒径は、ガス発生速度の速い75μm以下の微粉および充填作業性の悪い500μmを超える粗目を極力除去して使用しているのが現状である(特許文献1参照)。
【0003】
一方、近年の携帯用機器の増加により、デジタルスチルカメラ、ポータブルMDプレーヤー等のより重負荷用途に使用される機会が増してきた。一方、ヘッドホンステレオ、携帯用ゲーム機器等の軽負荷用途の需要もあり、高容量かつ重負荷放電に対応した電池が求められている。
ところで、これまで、重負荷の用途に適した電池は、電池反応が早く、重負荷が電池に印加された場合、速やかにこれに応答して電力を供給することが可能となっている。しかしながら、このように反応が早い電池は、同時にガス発生が顕著であるという特性を有している。一方、ガス発生が少ない電池は、電池反応が遅く、重負荷の用途に適していないという、相反する性質があった。
【0004】
【特許文献1】特開平7−169463号公報
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、アルカリ電池における上記状況に鑑みてなされたもので、その目的は実用上ガス発生に問題なくかつ重負荷放電性能のすぐれた電池を実現することである。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明のアルカリ電池は、無汞化亜鉛合金粉末とゲル化剤及びアルカリ電解液を含むゲル状亜鉛負極を備えたアルカリ電池において、前記無汞化亜鉛合金粉末として、75μm以下の粒子の比率を3〜7%、300μm以上の粒子の比率を5%以下とすることにより重負荷パルス特性を向上させ、かつガスの発生を抑止するものである。
【0007】
上記本発明においては、電池の重負荷パルス特性は、亜鉛粉末の表面積による影響を大きく受けるため、75μm以下の微粉亜鉛比率を増加することで、表面積を増大させ特性を向上することができるが、同時にゲル亜鉛の高粘度化による作業性の悪化が発生し問題となる。
そこで、75μm以下の微粉亜鉛を篩分により除去し、かつ、300μm以上の粒径の亜鉛粉をふるい分けにより除去して、特定の粒径分布の亜鉛粉末原料とすることにより、ガス発生を抑止し、重負荷パルス特性を向上することができる。
【0008】
【発明の実施の形態】
以下本発明の実施の形態について説明する。
以下、本発明の電池の詳細な実施の形態について、図面を参照しながら詳細に説明する。図1は、本発明をいわゆるインサイドアウト構造(電池缶体が正極側、電池蓋側が負極側となっている構造)と呼ばれているJIS規格のLR6形(単3形)の電池に応用した例である。
【0009】
図1において1は、正極端子を兼ねる有底円筒形の金属缶であり、この金属缶1の内部に中空円筒状に成形された正極活物質を含有する正極合剤2が金属缶1の内面に接触するように収容されている。この正極合剤2の中空内部には有底円筒状のセパレータ3を介して、ゲル状亜鉛負極材料4が充填されている。そして、この負極材料4には黄銅製の金属棒からなる負極集電棒5が挿着され、この負極集電棒5の一端は負極材料4の表面から突出してリング状金属板7及び陰極端子を兼ねる金属封口板8に電気的に接続されている。そして、正極となる金属缶1内面と、負極集電棒5の突出部外周面には、二重環状のポリアミド樹脂からなる絶縁ガスケット6が配設され、これらは絶縁されている。また、金属缶1の開口部はかしめられて液密に封止されている。
【0010】
以下に、本発明で用いられる負極材料、セパレータ、正極合剤、及び電解液について詳細に説明する。
【0011】
(負極材料)
本発明で用いられる負極材料は、負極活物質である亜鉛合金を主成分とする負極材料であり、公知の二酸化マンガン−亜鉛一次電池で使用されている亜鉛ゲルを用いることができる。この負極材料は、ゲル状であることが取り扱いの点で望ましい。これを、負極材料をゲル状とするためには、負極活物質に電解液及び増粘剤を添加することにより容易にゲル化することができる。
【0012】
本発明において用いる亜鉛合金は、無汞化亜鉛合金として知られている水銀及び鉛を含まない亜鉛合金を用いることができる。具体的には、インジウム0.06質量%、ビスマス0.014質量%、アルミニウム0.0035質量%を含む亜鉛合金が、水素ガス発生の抑制効果があり望ましい。特にインジウム、ビスマスは放電性能を向上させるため望ましい。
負極作用物質として純亜鉛ではなく亜鉛合金を用いる理由は、アルカリ性電解液中での自己溶解速度を遅くし、密閉系の電池製品とした場合の電池内部での水素ガス発生を抑制して、漏液による事故を防止するためである。
【0013】
また、亜鉛合金の形状は、表面積を大きくして大電流放電に対応できるように粉末状とすることが望ましい。
本発明において、無汞化亜鉛合金粉末の好ましい粒径分布は、前述の通り75μm以下の粒子の比率を3〜7%、300μm以上の粒子の比率を5%以下とするものであり、原料となる無汞化亜鉛合金を粉砕した後、所定のサイズを有するふるいにかけることによって容易に作成することができる。
【0014】
また、本発明において用いられる増粘剤としては、ポリビニルアルコール、ポリアクリル酸塩、CMC、アルギン酸などを用いることができる。特に、ポリアクリル酸が、強アルカリに対する耐薬品性に優れているため好ましい。
【0015】
(セパレータ)
本発明で用いられるセパレータは、セルロース系繊維と、ポリビニルアルコール系繊維とからなっている。これらの繊維においては、セルロース系繊維が、アルカリ電解液との親和性がよいため、保液性を高めるために用いられており、一方、ポリビニルアルコール系繊維は、耐アルカリ性に優れており、セパレータ紙の基本骨格を形成するために用いられるもので、これらを併用することによって、本発明の所期の目的を達成するセパレータが得られる。本発明においてセルロース系繊維とは、セルロース繊維、アセチルセルロース繊維、マーセル化パルプ、レーヨン、ポリノジックレーヨンなどを単独でもしくは混合して用いることができる。また、ポリビニルアルコール系繊維(PVA系繊維)としては、ビニロン繊維、ポリビニルアルコール繊維などを単独でもしくは混合して用いることができる。
本発明においては、これらのセルロース系繊維およびポリビニルアルコール系繊維をそれぞれ複数種混抄して製造したセパレータが本発明の目的に適した特性を有するため好ましく、特にマーセル化パルプ、レーヨン、ビニロン、およびポリビニルアルコール繊維の混抄物が、セパレータ紙の保液性と強度とをバランスよく両立させることが可能になるという理由からもっとも好ましい。
【0016】
本発明において、これらの繊維の構成比が、質量比で35:65〜75:25の範囲とすることが必要である。さらに、これらの構成比が、50:50〜70:30の範囲がより好ましい。セルロース系繊維がこの範囲を上回ると、保液力が大きくなるものの、膨潤も合わせて過大となり、活物質を収容する電池の内容積が減少してしまう。一方、ポリビニルアルコール系繊維が、上記 範囲を上回ると、保液力が低下し、内部電気抵抗が増加して電池容量の低下につながる。
【0017】
本発明においては、このセパレータ紙の保液率は、400〜600質量%の範囲が望ましい。この保液率が、この範囲を下回った場合、電池の内部抵抗が増加して、電池容量の低下につながる。一方、保液率が上記範囲を上回った場合、繊維の膨潤などにより電池内部の容積を過大に占めることになり、電池容量の低下に結びつく。
【0018】
本発明において、これらのセルロース系繊維とポリビニルアルコール系繊維は、それぞれの繊維を混合して抄紙してもよいし、それぞれを個別に抄紙した後、張り合わせてもよい。そして、これらのセパレータ紙の最大気孔径は、10〜70μmの範囲が望ましい。最大気孔径がこの範囲を下回った場合、電解液の流通の抵抗となり、イオン電導性が低下して、電池の内部抵抗が増大し放電容量が低下する。一方、最大気孔径がこの範囲を上回った場合、活物質粒子が対極に移動しやすく、電気ショートの原因となり、電池寿命を低下させる。
【0019】
このセパレータ紙を用いてセパレータとするには、セパレータ紙を捲回し、底部を接着して有底円筒状に形成する。この際、捲回セパレータ紙の側部を接着しても差し支えない。この接着は、セパレータ紙を成形した後熱接着してもよいし、また、接着剤を使用してもよい。接着剤を使用する場合には、耐薬品性のある接着剤である必要がある。
本発明において、このセパレータ紙を捲回する際に、3重もしくは4重に重ね合わさるように捲回する必要がある。捲回数が2重以下の場合、活物質粒子移動防止の機能が発揮されず、電気ショートの原因となる。一方、捲回数が5重以上の場合、極間距離が大きくなり、内部抵抗が増加して好ましくない。
また、本発明において捲回したセパレータの合計の厚さが、0.2〜0.4mmの範囲である必要がある。このセパレータの合計厚さが、この範囲を下回った場合、セパレータ紙としては、機械的強度が十分ではなく、捲回作業が困難になる。一方、セパレータ厚さが上記範囲を上回った場合、電池の極間距離が増加して、内部抵抗が増加することになり好ましくない。
【0020】
(正極合剤)
本発明において、正極合剤は、従来の二酸化マンガンを主体とする正極合剤でもよいし、近年重負荷特性に優れている電池として知られているオキシ水酸化ニッケル系化合物を主体とする正極合剤であってもよい。
以下オキシ水酸化ニッケル系化合物を用いた正極合剤について説明する。
本実施の形態の正極合剤は、オキシ水酸化ニッケル化合物粒子からなる正極活物質、黒鉛からなる導電材、およびアルカリ電解液、また必要に応じてポリエチレン、ポリプロピレンなどのバインダなどを混合し、プレスにより、その外径が金属缶の内径にほぼ等しい中空円筒形状に成形して製造される。そして、成形された正極合剤は、正極活物質粒子、および導電材粒子が相互に結着し、粒子間の粒界には電解液が充填されている。
【0021】
本実施の形態において用いられる前記正極活物質であるオキシ水酸化ニッケル化合物は、水酸化ニッケルを一部酸化した化合物であり、ニッケル原子の価数が3価のγ−オキシ水酸化ニッケルでもよいし、水酸化ニッケルのニッケル原子の価数である4価のニッケル原子と、完全にオキシ水酸化物となっているニッケル原子の3価の中間的な価数を持っている化合物であってもよい。
【0022】
また、本実施の形態において用いられるオキシ水酸化ニッケル化合物粒子の表面は、オキシ水酸化コバルト、三酸化二コバルト、一酸化コバルト、水酸化コバルト、金属ニッケル、金属コバルトより選ばれる少なくとも一つの物質により被覆されている。
このオキシ水酸化ニッケル化合物粒子表面が電気伝導度の高い物質により被覆されることで、正極全体の電気伝導性が高まり、放電容量、高率放電特性を向上させる。これらの物質の内でも、オキシ水酸化コバルト、金属ニッケル、金属コバルトを用いることが、より導電性が高いという理由で好ましい。
かかる被覆層の量は、正極活物質に対して、2.0〜6.0質量%の範囲が望ましい。被覆層の量がこの範囲を上回ると、コスト高の問題が生じ、またこの範囲を下回ると、集電性低下の問題が生じて好ましくない。
【0023】
さらに、正極活物質であるオキシ水酸化ニッケル化合物自体が、亜鉛もしくはコバルト単独あるいはその両方と共晶しているものであってもよい。この正極活物質は低電解液比率でも安定した放電が行えるという特徴を有している。このオキシ水酸化ニッケル化合物に共晶させる亜鉛もしくはコバルトの量としては、4.0〜12.0%の範囲が好ましい。亜鉛の量がこの範囲を下回ると、利用率低下の問題が発生し、またこの範囲を上回ると、比重低下により容量密度が低下する問題があるからである。
【0024】
また、上記オキシ水酸化ニッケル化合物正極活物質に、Y、Er、Yb、Caの化合物を添加することにより、貯蔵時の容量維持率を改善することができる。本発明において用いられる上記化合物としては、例えばY2O3、Er2O3、Yb2O3、などの金属酸化物、およびCaF2などの金属フッ化物があげられる。これらの金属酸化物および金属フッ化物は、正極活物質であるオキシ水酸化ニッケル化合物に対して、0.1〜10質量%の範囲で用いることができる。金属酸化物もしくは金属フッ化物の配合量が上記範囲を下回った場合、十分な効果が得られない。一方配合量が上記範囲を上回った場合、容量低下の問題が発生し好ましくない。
このような本発明において、オキシ水酸化ニッケル化合物に金属酸化物あるいは金属フッ化物を添加するには、水性媒体に分散したニッケル水酸化物粒子に、上記金属酸化物粒子もしくは金属フッ化物粒子を添加することにより製造することができる。
【0025】
上記本実施の形態の正極活物質は、次の方法によって製造することができる。
すなわち、亜鉛及びコバルトをドープした水酸化ニッケル粒子に、水酸化コバルトを添加し、大気雰囲気中で攪拌しながら水酸化ナトリウム水溶液を噴霧する。引き続きマイクロウェーブ加熱を施すことにより水酸化ニッケル表面にコバルト高次酸化物の層が形成された複合水酸化ニッケル粒子が生成する。
そして、この反応系に次亜塩素酸ナトリウムなどの酸化剤を添加して酸化を進め、コバルト高次酸化物が被着した複合オキシ水酸化ニッケルを製造することができる。これによって導電性が極めて優れた正極活物質を得ることができる。
【0026】
また、本実施の形態においては、前記正極合剤中に黒鉛粒子を配合し導電性を改善する。
本実施の形態においては、この炭素粒子として、平均粒径が5〜40μmの黒鉛を用いる。その理由は、平均粒径が、この範囲を下回った場合には、本来黒鉛が持っている正極合剤成分を結着する能力が低下し、成形した正極合剤の強度が低下して電池製造の作業性に問題があるばかりでなく、正極合剤の導電性が低下するからである。一方、黒鉛の平均粒径が上記範囲を上回った場合、活物質の粒子と比較して径が大きくなるため、導電性が低下するからである。
そして、本実施の形態においては、前記正極合剤中のかかる黒鉛粒子の含有量を10質量%以下とすることが望ましい。正極合剤中の黒鉛粒子の含有量を大きくしすぎると、限られた金属缶の容積中に充填することのできる正極活物質量自体が減少することと、黒鉛粒子が酸化されて生じる炭酸イオンが自己放電を加速して、放電容量が減少するからである。
そのためには、正極合剤中の炭素粒子の含有量は、10質量%以下が好ましく、より好ましくは7質量%以下である。
【0027】
(電解液)
本発明で用いられる電解液は、水酸化カリウム、水酸化ナトリウムなどのアルカリ物質を電解質として用いた水溶液が好ましく、特に、水酸化カリウムを電解質として用いることが、好ましい。
また、本発明においては、上記水酸化カリウムなどの電解質を水に溶解して電解液とするが、さらに電解液中に亜鉛化合物を添加することが望ましい。かかる亜鉛化合物としては、酸化亜鉛、水酸化亜鉛などの化合物が挙げられるが、特に酸化亜鉛が好ましい。
【0028】
電解液として少なくとも亜鉛化合物を含有するアルカリ性水溶液を用いるのは、アルカリ性水溶液中での亜鉛合金の自己溶解が酸性系の電解液と比較して格段に少なく、更には亜鉛合金のアルカリ性電解液中での自己溶解を亜鉛化合物、例えば酸化亜鉛を溶解して亜鉛イオンを予め存在させておくことにより更に抑制するためである。
電解液の濃度は、7〜11mol/lの範囲とすることが、高い電気導電率を得るために最適である。
【0029】
【実施例】
(実施例及び比較例)
(正極の作製)
オキシ水酸化コバルトにより被覆されたオキシ水酸化ニッケル粉末90質量%に対して、黒鉛粉末5.4質量%を10分間混合し、これに、40質量%濃度の水酸化カリウム水溶液4.6質量%を添加し、汎用混合器で30分間混合し、混合粉末を得た。これを外径13.3mm、内径9.0mm、高さ13.7mmの中空円筒状に加圧成形し、正極合剤ペレットを得た。
【0030】
(負極の作製)
亜鉛合金粉末の75μm以下と300μm以上を篩分により除去して下記表1に示す粒径分布の負極原料粉末を作成した。これに、アルカリ電解液(40%KOH、4%ZnO)とゲル化剤を加えて混合してゲル状亜鉛を調製した。
【0031】
(セパレータの作製)
セルロース系繊維とポリビニルアルコール系繊維を、質量比で35:65の割合で混合し、抄紙して、厚さ0.1mmのセパレータ紙を作製した。このセパレータ紙の保液率を測定した結果、403質量%であった。また、最大気孔径は、30μmであった。
このセパレータ紙を、3重に捲回し、底部に厚さ0.3mmの円形のセパレータ紙を接着して、有底円筒状のセパレータを作製した。この捲回部の厚さは0.3mmであった。
【0032】
(電池の組立)
図1において、1は正極端子を兼ねる有底円筒形の金属缶であり、この金属缶1内には円筒状に加圧成形した正極合剤ペレットを3個積み重ねた状態で、再度加圧成形し正極合剤2を9.0g充填した。また、正極合剤2の中空部には、上記方法によって得た有底円筒状のセパレータ3を介して前記方法で製造したゲル状負極4が充填した。ゲル状負極4内には真鍮製の負極集電棒5が、その上端部をゲル状負極4より突出するように挿着した。負極集電棒5の突出部外周面及び金属缶1の上部内周面には二重環状のポリアミド樹脂からなる絶縁ガスケット6を配設した。また、絶縁ガスケット6の二重環状部の間にはリング状の金属板7を配設し、かつ金属板7には負極端子を兼ねる帽子形の金属封口板8が集電棒5の頭部に当接するように配設した。そして、金属缶1の開口縁を内方に屈曲させることによりガスケット6及び金属封口板8で金属缶1内を密封口した。このようにして製造されたゲル状負極を用いて図1に示す単3形アルカリ電池を組み立てた。
【0033】
(評価)
上記工程で作成したゲル状亜鉛負極のゲル充填作業性及びガス発生速度を測定し、さらにこれを用いて作成した電池について、1000mAの電流で10秒間放電、50秒間開放のサイクルを繰り返す(1000mA10s−on/50s−offテストと略称する)パルス放電試験を実施した。その結果を表1に示す。
【0034】
【表1】
【0035】
上記結果のように、亜鉛合金粉末を75μmと300μmの篩を用いて上記粒度分布となるように選別して使用することで、1000mA10s−on/50s−offのような重負荷パルス特性が改善される。なおかつゲルの粘度変化に与える影響もすくなく、良好な作業性を維持できる。
【0036】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明によれば、無汞化亜鉛合金粉末として75μm以下および300μm以上の粒径の粉末を除去した亜鉛合金粉末を用いることで、作業性に問題なく、かつ、重負荷パルス放電性能を改善した電池を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施例であるアルカリ電池の断面図。
【符号の説明】
1…金属缶
2…正極合剤
3…セパレータ
4…ゲル状亜鉛負極
5…負極集電棒
6…絶縁ガスケット
7…金属封口板
Claims (1)
- 無汞化亜鉛合金粉末とゲル化剤及びアルカリ電解液を含むゲル状亜鉛負極を備えたアルカリ電池において、前記無汞化亜鉛合金粉末として、75μm以下の粒子の比率を3〜7%、300μm以上の粒子の比率を5%以下とした亜鉛合金粉末を用いることを特徴とするアルカリ電池。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
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JP2003088861A JP2004296327A (ja) | 2003-03-27 | 2003-03-27 | アルカリ電池 |
Applications Claiming Priority (1)
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JP2003088861A JP2004296327A (ja) | 2003-03-27 | 2003-03-27 | アルカリ電池 |
Publications (1)
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JP2003088861A Pending JP2004296327A (ja) | 2003-03-27 | 2003-03-27 | アルカリ電池 |
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Cited By (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
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JP2008504666A (ja) * | 2004-06-28 | 2008-02-14 | エバレデイ バツテリ カンパニー インコーポレーテツド | ブレンドされた亜鉛粉体を用いたアルカリ化学セル |
-
2003
- 2003-03-27 JP JP2003088861A patent/JP2004296327A/ja active Pending
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