JP2004251385A - 動力伝達チェーンおよび動力伝達装置 - Google Patents

動力伝達チェーンおよび動力伝達装置 Download PDF

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Abstract

【課題】高トルクおよび高面圧条件下において、境界潤滑状態で滑り接触させて使用しても、長期にわたって、ピン端面やシーブ面に表面損傷を発生させることなく、大きな動力伝達を行うことができる動力伝達チェーンを提供する。
【解決手段】本発明の動力伝達チェーン1は、複数のリンク2と、これらを相互に連結する複数のピン3とを備えている。このチェーン1は、第1および第2のプーリの間に架け渡されて用いられ、前記ピン3の端面3a,3bと第1および第2のプーリのシーブ面との間で滑り接触をする。このため、ピン3の軸方向断面視において、端面3a,3b側の外形線を対数曲線になるようにした。
【選択図】 図2

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、車両などに採用されるいわゆるチェーン式無段変速機などに用いられる動力伝達チェーンおよびそれを用いた動力伝達装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
自動車の無段変速機(CVT:Continuously Variable Transmission)としては、例えば、エンジン側に設けられたドライブプーリと、駆動輪側に設けられたドリブンプーリと、両者間に架け渡された無端状のチェーンとを備えたものがある。このような、いわゆるチェーン式無段変速機では、各プーリの円錐面状のシーブ面とチェーンのピン端面とが境界潤滑状態(接触面内の一部が微小突起の直接接触で、残部が潤滑油膜を介して接触する潤滑状態)でシーブ面の周方向に若干の滑り接触をすることによりトラクションを発生させ、このトラクション力によって動力を伝達する。そして、ドライブプーリおよびドリブンプーリのうちの少なくとも一方の溝幅(シーブ面間距離)を連続的に変えることにより、従来のギア式とは異なるスムーズな動きで、無段の変速を行うことができる。
【0003】
上記のチェーン式無段変速機では、大型車への適用を可能とすべく、高トルク(300N・m以上)および高面圧(400MPa以上)の使用条件に耐えうるチェーンの開発が進められている。詳細には、チェーンは、そのピンの両端面側から高トルクで回転するプーリによって強い力で挟まれた状態で動力伝達を行うことから、そのピンの両端面には垂直方向の大きな荷重とせん断方向の大きな荷重とが作用する。このため、主に垂直方向に大きな荷重が作用する転がり軸受と比較して、特有の過酷な接触条件になっており、この特有の過酷な接触条件に耐えうるピン端面を備えたチェーンの開発が進められている。
【0004】
このようななか、ピン端面に浸炭窒化層などの窒素を含有する縁部層を形成し、そのピンの軸方向断面視において端面側の外形線が直線状になっているチェーンが提案されている(例えば、特許文献1参照)。
【0005】
【特許文献1】
特開2002−147542号公報(第4頁〜第5頁、第1図、第3図)
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
上記従来のチェーンは、プーリとの接触面を浸炭窒化層にしているので、ある程度耐摩耗性が向上したものとなっているが、高面圧かつ高トルクという使用条件の下では充分なものとはいえない。また、ピンの軸方向がシーブ面の軸中心に対して平行とならないようなミスアライメントが生じた場合、ピン端面が直線状になっていることから、ピンのエッジ部がシーブ面に強く接触することになり、そのためエッジロード(エッジ付近の局所的な接触応力増大)が発生して、摩耗、圧痕などの表面損傷が生じるという問題もある。
【0007】
かかる問題に対して、ピン端面を円弧面(フルクラウニング形状)にする方策が考えられるが、この方策では、つぎのような問題が生ずる。例えば、図5に示すようにチェーン31を構成するピン33の端面33aを曲率半径の小さい円弧面にした場合、プーリ34との接触面積が小さいために大きな動力伝達を行うのが難しく、しかもプーリ34との接触面圧が非常に高くなってピン端面やシーブ面に早期に摩耗、圧痕などの表面損傷を発生させてしまうという問題が生じる。一方、例えば、図6に示すようにチェーン31を構成するピン33の端面33bを曲率半径の大きい円弧面にした場合、ピン端面33bが直線状の場合と同様、ミスアライメントが生じると、ピン33のエッジ部33cにエッジロードが起こり、摩耗、圧痕などの表面損傷が発生するという問題が生じる。
【0008】
本発明はこのような事情に鑑みなされたものであり、高トルクおよび高面圧条件下において、境界潤滑状態で滑り接触させて使用しても、長期にわたって、ピン端面やシーブ面に表面損傷を発生させることなく、大きな動力伝達を行うことができる動力伝達チェーンおよびそれを用いた動力伝達装置の提供をその目的とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】
本発明の第1の動力伝達チェーンは、複数のリンクと、これらを相互に連結する複数のピンとを備え、円錐面状のシーブ面を有する第1のプーリと、円錐面状のシーブ面を有する第2のプーリとの間に架け渡されて用いられ、前記ピンの端面と前記第1および第2のプーリのシーブ面との間で滑り接触をする動力伝達チェーンであって、前記ピンは、その軸方向断面視において端面側の外形線が対数曲線になっていることを特徴としている。
【0010】
上記の構成によれば、ピン端面の外形線が対数曲線になっている(ピン端面が対数クラウニング形状になっている)ので、シーブ面との接触面積が適度となり、接触圧力を略均一に分布させることができる。そのため、高トルクおよび高面圧条件下において、境界潤滑状態で滑り接触させて使用しても、ピン端面とシーブ面との接触部全体に略均一な圧力が作用するために、ピン端面やシーブ面に局所的に摩耗、圧痕などの表面損傷を早期に発生させてしまうのを防止できて全体としての寿命が延長するとともに、大きな動力伝達が可能となる。さらに、ミスアライメントが生じてもエッジロードの発生を防止できることから、大きなミスアライメントを許容できるものとなる。よって、長期にわたって、ピン端面やシーブ面に表面損傷を生じることなく、大きな動力伝達を行うことができるものとなる。
【0011】
上記の動力伝達チェーンにおいて、前記対数曲線が下記の数式(1)で表される対数曲線であることが好ましい。この場合、接触圧力をきわめて均一に分布させることができるとともに、チェーンとプーリの接触後(運転後)の接触部内の材料のダメージを均一に分布させることができる。このため、高トルクおよび高面圧条件下において、境界潤滑状態で滑り接触させて使用しても、接触部内の局所的損傷を防止でき、確実に長期にわたってピン端面やシーブ面に表面損傷を生じることなく、大きな動力伝達を行うことができるものとなる。
【数4】
Figure 2004251385
【数5】
Figure 2004251385
【数6】
Figure 2004251385
【0012】
本発明の第2の動力伝達チェーンは、複数のリンクと、これらを相互に連結する複数のピンとを備え、円錐面状のシーブ面を有する第1のプーリと、円錐面状のシーブ面を有する第2のプーリとの間に架け渡されて用いられ、前記ピンの端面と前記第1および第2のプーリのシーブ面との間で滑り接触をする動力伝達チェーンであって、前記ピンは、その軸方向断面視において端面側の外形線が対数曲線に近似した曲線になっていることを特徴としている。
【0013】
上記の構成のように、ピン端面の外形線が対数曲線に近似した曲線になっていても(ピン端面が擬似的な複合クラウニング形状になっていても)、上記第1の動力伝達チェーンと同様、高トルクおよび高面圧条件下において、境界潤滑状態で滑り接触させて使用しても、長期にわたって、ピン端面やシーブ面に表面損傷を生じることなく、大きな動力伝達を行うことができるものとなる。また、大きなミスアライメントを許容することができる。さらに、この場合、加工しやすいという利点がある。
ここで、本発明において「対数曲線に近似した曲線」とは、ピン端面の外形線が完全な対数曲線とはいえないが、例えば、曲率半径の異なる複数の円弧を連結することで対数曲線に近似するようにした曲線のように、上記した対数曲線と同様の作用効果を奏する曲線をいう。
【0014】
本発明の第1の動力伝達装置は、円錐面状のシーブ面を有する第1のプーリと、円錐面状のシーブ面を有する第2のプーリと、両者の間に架け渡され、前記第1および第2のプーリのシーブ面と滑り接触をする端面を有する複数のピンと、これらピンによって相互に連結された複数のリンクとを有するチェーンと、を備えた動力伝達装置であって、前記チェーンが、上記した第1または第2の動力伝達チェーンであることを特徴としている。
上記の構成によれば、高トルクおよび高面圧下において境界潤滑状態で接触させて使用するという過酷な使用条件に耐えうる動力伝達チェーンを用いているので、長期にわたって安定して所定の伝達比で動力伝達を行うことが可能なものとなる。
【0015】
本発明の第2の動力伝達装置は、円錐面状のシーブ面を有する第1のプーリと、円錐面状のシーブ面を有する第2のプーリと、両者の間に架け渡され、前記第1および第2のプーリのシーブ面と滑り接触をする端面を有する複数のピンと、これらピンによって相互に連結された複数のリンクとを有するチェーンと、を備えた動力伝達装置であって、前記ピンの端面とプーリのシーブ面の無負荷接触における面間隙間の値をY(x)としたとき、無負荷で前記ピン端面とシーブ面が接触する場合の接触点とプーリの回転軸を含む断面視においてY(x)は対数曲線または対数曲線に近似した曲線になっていることを特徴としている。
上記の構成によれば、高トルクおよび高面圧下において境界潤滑状態で接触させて使用するという過酷な使用条件に耐えうる動力伝達チェーンを用いているので、長期にわたって安定して所定の伝達比で動力伝達を行うことが可能なものとなる。
【0016】
【発明の実施の形態】
つぎに、本発明の好ましい実施形態について図面を参照しながら説明する。まず、本発明の動力伝達チェーンについて説明する。
図1は本発明の動力伝達チェーンの一実施形態に係るいわゆるチェーン式無段変速機用のチェーン(以下単に「チェーン」ともいう)の要部構成を模式的に示す斜視図である。図1において、X,Y,Zを互いに直交する3方向とする。
本形態に係るチェーン1は、無端状であって、複数の金属(軸受鋼等)製リンク2と、これらリンク2を相互に連結するための複数の金属(軸受鋼等)製ピン3とから構成される。
【0017】
リンク2は、直方体状であって、1枚につき貫通孔4が2つずつ設けられており、貫通孔4毎にそれぞれピン3が2つずつ圧入できるようになっている。そして、リンク2は、チェーン1の幅方向(Z方向)に平行に配列され、1列おきに貫通孔4が1つ分ずれるよう、さらにチェーン1の長手方向(X方向)に屈曲可能なように連結されている。
【0018】
ピン3は、貫通孔4内周面に沿う側面を有する棒状体であり、その側面をリンク2の貫通孔4の内周面に沿わせて、周方向に摺動可能に圧入されている。
そして、ピン3は、図2に示すように、ピン3の軸方向(長手方向、図1のZ方向)断面視において端面3a,3b側の外形線がそれぞれ対数曲線になっている。具体的には、下記の数式(1)で表される対数曲線になっている。
【0019】
【数7】
Figure 2004251385
【0020】
上記数式(1)において、Fはピン端面にかかる全体荷重であり、Lはピン端面の外形線の有効長さであり、πは円周率である。また、E′は等価ヤング率であって、ピンのヤング率Eおよびポアソン比ν、ピン端面と接触する相手部材であるプーリのヤング率Eおよびポアソン比νの各数値を用い、E′=2/〔(1−ν )/E+(1−ν )/E〕により算出される値である。さらに、kは下記の数式(2)で表される係数であり、kは下記の数式(3)で表される係数である。
【0021】
【数8】
Figure 2004251385
【数9】
Figure 2004251385
【0022】
このようなピン3は、例えば軸受鋼からなる素材に対し、鍛造、旋削、切削等を施して所定形状に形成された棒状の中間素材を形成した後、ピン端面3a,3b側の外形線が上記数式(1)で表される対数曲線になるよう研削加工などを行うことにより製造することができる。
【0023】
本形態に係るチェーン1は、ピン端面3a,3bの外形線が対数曲線になっているので、ピン3の軸方向断面視において直線状のプーリのシーブ面と接触して、高トルク(300N・m以上)および高面圧(400MPa以上)条件下において、境界潤滑状態で滑り接触させて使用しても、局所的に接触圧力の高い部分が発生しない。さらに、上記数式(1)で表される対数曲線としているため、接触部材料内部のダメージが均一に分布する効果もある。このため、ピン端面3a,3bやシーブ面に局部的に摩耗、圧痕などの表面損傷が早期に発生してしまうといったことなく、大きな動力伝達を行うことが可能となる。また、大きなミスアライメントを許容することが可能となる。なお、本発明者らは、ピン端面3a,3bの外形線を上記数式(1)で表される対数曲線としたもの(対数クラウニング形状、実施例品)が、ピン端面の外形線を円弧にしたもの(フルクラウニング形状、比較例品)と比べ、1.5倍程度の接触面圧に耐えつつ動力伝達を行えたことを確認している。
【0024】
なお、本発明のチェーンは、上記数式(1)で表される対数曲線に限定されるものではない。例えば、ピン3の材料がフォンミーゼス(von Mises)の降伏条件に従う場合には、下記の数式(4)に示す対数曲線になっていることが好ましく、またピン3の材料がトレスカ(Tresca)の降伏条件に従う場合には、下記の数式(5)に示す対数曲線になっていることが好ましい。これらの数式(4)(5)で表される対数曲線の場合には、材料の強度限界まで表面損傷を生じることなく、大きな動力伝達を行うことができる。
【0025】
【数10】
Figure 2004251385
【0026】
また、本発明のチェーン1において、ピン3は、ピン3の軸方向(長手方向、図1のZ方向)断面視において端面3a,3b側の外形線がそれぞれ実質的に対数曲線に近似した曲線になっていてもよい。例えば、大きな曲率半径を有する円弧の両端に小さな曲率半径を有する円弧をそれぞれ連結してなる曲線になっていてもよい。このような複合クラウニング形状であれば、対数曲線の場合と比較して機械加工しやすいという利点がある。
【0027】
さらに、本発明のチェーン1は、ピン3の端面3a,3bの外形線が上記したようになっておれば、ピン3やリンク2について適宜の形状に変更してもよい。また、ピン3側面や貫通孔4内周面には、摩耗や摺動抵抗を減少させるために、二硫化モリブデン、フッ素等の固体潤滑材を塗布したり、あるいはショットピーニング処理やバレル処理等の粗面化処理を施して潤滑油溜まりのための凹部を形成したりしてもよい。
【0028】
つぎに、本発明の動力伝達装置について説明する。
図3は、本発明の動力伝達装置の一実施形態に係るいわゆるチェーン式無段変速機(以下単に「無段変速機」ともいう)の要部構成を示す模式的な斜視図である。本形態に係る無段変速機は、例えば自動車に搭載され、第1のプーリとしての金属(構造用鋼等)製ドライブプーリ10と、第2のプーリとしての金属(構造用鋼等)製ドリブンプーリ20と、その間に架け渡された無端状のチェーン1とを備えている。なお、図3中のチェーン1は理解を容易にするために一部断面を明示している。
【0029】
図4も参照して、ドライブプーリ10は、エンジン側に接続された入力軸11に一体回転可能に取り付けられたものであり、円錐面状の傾斜面12aを有する固定シーブ12と、その傾斜面12aに対向して配置される円錐面状の傾斜面13aを有する可動シーブ13とを備えている。よって、ピン端面とシーブ面は略線接触の状態にある。また、これら傾斜面は図4の断面内(無負荷でピン端面とシーブ面が接触する場合の接触点とプーリの回転軸を含む断面内)で直線状となるよう形成されている。そして、これらシーブの傾斜面12a、13aにより溝を形成し、この溝によってチェーン1を強圧で挟んで保持するようになっている。また、可動シーブ13には、溝幅を変更するための油圧アクチュエータ(図示せず)が接続されており、変速時に、図4の左右方向に可動シーブ13を移動させることにより溝幅を変化させ、それにより図4の上下方向にチェーン1を移動させて入力軸11に対するチェーン1の巻掛け半径を変化できるようになっている。
【0030】
一方、ドリブンプーリ20は、駆動輪側に接続された出力軸21に一体回転可能に取り付けられており、ドライブプーリ10と同様に、チェーン1を強圧で挟む溝を形成するための傾斜面を有する固定シーブ22と可動シーブ23とを備えている。また、このプーリ20の可動シーブ23には、ドライブプーリ10の可動シーブ13と同様に、油圧アクチュエータ(図示せず)が接続されており、変速時に、可動シーブ13を移動させることにより、溝幅を変化させ、それによりチェーン1を移動させて出力軸21に対するチェーン1の巻掛け半径を変化できるようになっている。
【0031】
上記ドライブプーリ10とドリブンプーリ20との間に架け渡されるチェーン1は、上述した、図1および図2に示すものである。すなわち、チェーン1を構成するピン3は、その軸方向断面視において端面3a,3b側の外形線が対数曲線になっているものである。また、対数曲線に近似した曲線になっていてもよい。なお、詳細については、上述したとおりであるので、その説明は省略する。
【0032】
上記のように構成された本形態に係る無段変速機では、例えば、以下のようにして無段階の変速を行うことができる。
出力軸21の回転を減速する場合、ドライブプーリ10側の溝幅を可動シーブ13の移動によって拡大させ、チェーン1のピン端面3a,3bを円錐面状のシーブ面12a,13aの内側方向(図4の下方向)に向けて境界潤滑条件下で滑り接触させながらチェーン1の入力軸11に対する巻き掛け径を小さくする一方、ドリブンプーリ20側では可動シーブ23の移動によって溝幅を縮小させ、チェーン1のピン端面3a,3bを円錐面状のシーブ面22a,23aの外側方向に向けて境界潤滑条件下で滑り接触させながらチェーン1の出力軸21に対する巻き掛け径を大きくする。こうすることで、出力軸21の回転を減速することができる。
出力軸21の回転を増速する場合、ドライブプーリ10側の溝幅を可動シーブ13の移動によって縮小させ、チェーン1のピン端面3a,3bを円錐面状のシーブ面12a,13aの外側方向(図4の上方向)に向けて境界潤滑条件下で滑り接触させながらチェーン1の入力軸11に対する巻き掛け径を大きくする一方、ドリブンプーリ20側では可動シーブ23の移動によって溝幅を拡大させ、チェーン1のピン端面3a,3bを円錐面状のシーブ面22a,23aの内側方向に向けて境界潤滑条件下で滑り接触させながらチェーン1の出力軸21に対する巻き掛け径を小さくする。こうすることで、出力軸21の回転を増速することができる。
【0033】
以上のように、本形態に係る無段変速機では、変速時にはピン端面3a,3bと円錐面状のシーブ面12a,13a(22a,23a)とがシーブ面12a,13a(22a,23a)の内外方向に境界潤滑条件下で滑り接触するとともにシーブ面12a,13a(22a,23a)の周方向にも境界潤滑条件下で若干の滑り接触し、また一定の伝達比に固定して動力伝達を行う時にはシーブ面12a,13a(22a,23a)の周方向に境界潤滑条件下で若干の滑り接触を生じながら、動力伝達が行われるが、上記したようなチェーン1を用いているので、高トルク(300N・m以上)および高面圧(400MPa以上)条件下で使用しても、長期にわたって安定して所定の伝達比で動力伝達を行うことが可能なものとなる。
【0034】
なお、上記実施形態では、図4の断面視で、対数曲線状のピン端面と直線状のプーリのシーブ面が接触する例を示したが、前記局所的接触応力増大抑制や、ダメージ均一化効果は、ピン端面とシーブ面の接触部形状が相対的に対数曲線等になっていればよい。すなわち、この断面視において、ピン端面とシーブ面の両方に曲線形状を施し、両者が接触した場合、あるいはピン端面を直線状にシーブ面に対数曲線形状を施し、両者が接触した場合の接触部の(無負荷接触における)両面間の隙間の値が対数曲線あるいは対数曲線に近似した曲線となっていても、同様の効果を得ることができる。つまり、無負荷でピン端面とシーブ面とが接触する場合の接触点とプーリの回転軸を含む断面視において、前記隙間の値をY(x)(x:前記断面においてyと垂直方向の座標)とした時、曲線Y(x)が対数曲線あるいは対数曲線に近似していればよい。対数曲線の場合は前記数式(1)が好ましいのは前述と同様である。
【0035】
本発明の動力伝達装置は、ドライブプーリおよびドリブンプーリの両方の溝幅が変動する態様に限定されるものではなく、いずれか一方の溝幅のみが変動し、他方が変動しない固定幅にした態様であってもよい。また、上記では溝幅が連続的(無段階)に変動する無段変速機について説明したが、有段的に変動したり、固定式(無変速)である等の他の動力伝達装置に適用してもよい。
【0036】
【発明の効果】
以上のように、本発明の第1の動力伝達チェーンによれば、高トルクおよび高面圧条件下において、境界潤滑状態で滑り接触させて使用しても、長期にわたって、ピン端面やシーブ面に表面損傷を発生させることなく、大きな動力伝達を行うことができるものとなる。
また、本発明の第2の動力伝達チェーンによれば、上記第1の動力伝達チェーンと同様に、高トルクおよび高面圧で、しかも境界潤滑状態の接触という過酷な使用条件に耐え、大きな動力伝達を行うことができるものとなる。また、加工しやすいという利点がある。
さらに、本発明の動力伝達装置によれば、長期にわたって安定して所定の伝達比で動力を伝達することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の動力伝達チェーンの一実施形態に係るチェーン式無段変速機用チェーンの要部構成を模式的に示す斜視図である。
【図2】図1に示すチェーン式無段変速機用チェーンのピン、リンクのZ方向の断面図である。
【図3】本発明の動力伝達装置の一実施形態に係るチェーン式無段変速機の要部構成を模式的に示す斜視図である。
【図4】図3に示すチェーン式無段変速機のドライブプーリ(ドリブンプーリ)、チェーンの部分的な拡大断面図である。
【図5】ピン端面形状を曲率半径の小さい円弧面にした場合を模式的に示す断面図である。
【図6】ピン端面形状を曲率半径の大きい円弧面にした場合を模式的に示す断面図である。
【符号の説明】
1 チェーン式無段変速機用チェーン(動力伝達チェーン)
2 リンク
3 ピン
3a,3b ピンの端面
4 貫通孔

Claims (5)

  1. 複数のリンクと、これらを相互に連結する複数のピンとを備え、円錐面状のシーブ面を有する第1のプーリと、円錐面状のシーブ面を有する第2のプーリとの間に架け渡されて用いられ、前記ピンの端面と前記第1および第2のプーリのシーブ面との間で滑り接触をする動力伝達チェーンであって、
    前記ピンは、その軸方向断面視において端面側の外形線が対数曲線になっていることを特徴とする動力伝達チェーン。
  2. 前記対数曲線が、下記の数式(1)で表される対数曲線である請求項1記載の動力伝達チェーン。
    Figure 2004251385
    Figure 2004251385
    Figure 2004251385
  3. 複数のリンクと、これらを相互に連結する複数のピンとを備え、円錐面状のシーブ面を有する第1のプーリと、円錐面状のシーブ面を有する第2のプーリとの間に架け渡されて用いられ、前記ピンの端面と前記第1および第2のプーリのシーブ面との間で滑り接触をする動力伝達チェーンであって、
    前記ピンは、その軸方向断面視において端面側の外形線が対数曲線に近似した曲線になっていることを特徴とする動力伝達チェーン。
  4. 円錐面状のシーブ面を有する第1のプーリと、
    円錐面状のシーブ面を有する第2のプーリと、
    両者の間に架け渡され、前記第1および第2のプーリのシーブ面と滑り接触をする端面を有する複数のピンと、これらピンによって相互に連結された複数のリンクとを有するチェーンと、を備えた動力伝達装置であって、
    前記チェーンが、請求項1〜3のいずれか一項に記載の動力伝達チェーンであることを特徴とする動力伝達装置。
  5. 円錐面状のシーブ面を有する第1のプーリと、
    円錐面状のシーブ面を有する第2のプーリと、
    両者の間に架け渡され、前記第1および第2のプーリのシーブ面と滑り接触をする端面を有する複数のピンと、これらピンによって相互に連結された複数のリンクとを有するチェーンと、を備えた動力伝達装置であって、
    前記ピンの端面とプーリのシーブ面の無負荷接触における面間隙間の値をY(x)としたとき、無負荷で前記ピン端面とシーブ面とが接触する場合の接触点とプーリの回転軸を含む断面視においてY(x)は対数曲線または対数曲線に近似した曲線になっていることを特徴とする動力伝達装置。
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