JP2006077847A - 動力伝達チェーンおよびこれを備える動力伝達装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】動力伝達チェーンにおいて、伝動効率の向上、チェーン駆動時の騒音の低減、耐久性の向上および製造コストの低減を達成すること。
【解決手段】チェーンは、チェーン進行方向Xに並ぶ複数のリンク2と、複数のピン3とを備えており、対応するリンク2同士が単一のピン3を用いて相互に屈曲可能に連結されている。ピン3は、対応する一のリンク2の前貫通孔6に遊嵌されてこの前貫通孔6の周縁8に対する転がり摺動接触が可能とされると共に、対応する他のリンク2の後貫通孔7に圧入嵌合されてこのリンク2に対する相対移動(相対回転)が規制されている。
【選択図】 図7
【解決手段】チェーンは、チェーン進行方向Xに並ぶ複数のリンク2と、複数のピン3とを備えており、対応するリンク2同士が単一のピン3を用いて相互に屈曲可能に連結されている。ピン3は、対応する一のリンク2の前貫通孔6に遊嵌されてこの前貫通孔6の周縁8に対する転がり摺動接触が可能とされると共に、対応する他のリンク2の後貫通孔7に圧入嵌合されてこのリンク2に対する相対移動(相対回転)が規制されている。
【選択図】 図7
Description
本発明は、動力伝達チェーンおよびこれを備える動力伝達装置に関する。
自動車のプーリ式無段変速機(CVT:Continuously Variable Transmission)等の動力伝達装置に用いられる無端状の動力伝達チェーンには、複数のリンクをチェーン進行方向に並べ、チェーン進行方向に隣接するリンク同士を、互いに転がり運動可能なピンおよびインターピースで連結したものがある(例えば、特許文献1参照)。
特許文献1のチェーンは、対をなすピンおよびインターピースのうち、一方が対応するリンクの貫通孔に圧入固定され、他方が当該貫通孔に相対移動可能に嵌め合わされている。また、ピンおよびインターピースのうち、ピンのみがプーリに接触してプーリとの間で動力を伝達するようになっている。
特許文献1のチェーンは、対をなすピンおよびインターピースのうち、一方が対応するリンクの貫通孔に圧入固定され、他方が当該貫通孔に相対移動可能に嵌め合わされている。また、ピンおよびインターピースのうち、ピンのみがプーリに接触してプーリとの間で動力を伝達するようになっている。
上記の構成により、ピンがプーリの表面に接触した際、ピンは、プーリの表面に対してほとんど回転しないこととなり、摩擦損失を低減して高い伝動効率を確保できるようになっている。
特開平8−312725号公報
動力伝達チェーンにおいて、チェーン駆動時の騒音の低減、耐久性の向上および製造コストの低減が求められている。本発明は、これらの課題を解決することを目的とする。
本願発明者は、上記の動力伝達チェーンにおいて、まず、チェーン駆動時の騒音を低減することを試みた。具体的には、ピンおよびインターピースの厚みを薄くすることで、隣り合うピン間のピッチをより短くして(ショートピッチ化して)より多くのピンを設け、チェーン駆動時において、単位時間当たりにプーリに接触するピンの数をより多くすることを試みた。これにより、ピンとプーリとの接触音を、人が認識し難い高周波に近づけることができ、騒音を低減することができると考えたからである。
しかしながら、ピンは、プーリとの接触面積を確保するためにある程度の厚みが必要であり、薄型化は困難である。また、インターピースについても、十分な強度を確保しつつ薄型化することには限界がある。
そこで、本発明は、チェーン進行方向に並ぶ複数のリンクを備える動力伝達チェーンにおいて、各リンクは、チェーン進行方向に並ぶ第1の貫通孔および第2の貫通孔をそれぞれ含み、互いに対応するリンクが単一のピンを用いて相互に屈曲可能に連結され、上記各ピンは、一のリンクの第1の貫通孔に遊嵌されてこの第1の貫通孔の周縁に対する転がり摺動接触が可能とされ、且つ他のリンクの第2の貫通孔に嵌め入れられて他のリンクに対する相対移動が規制されていることを特徴とするものである。
そこで、本発明は、チェーン進行方向に並ぶ複数のリンクを備える動力伝達チェーンにおいて、各リンクは、チェーン進行方向に並ぶ第1の貫通孔および第2の貫通孔をそれぞれ含み、互いに対応するリンクが単一のピンを用いて相互に屈曲可能に連結され、上記各ピンは、一のリンクの第1の貫通孔に遊嵌されてこの第1の貫通孔の周縁に対する転がり摺動接触が可能とされ、且つ他のリンクの第2の貫通孔に嵌め入れられて他のリンクに対する相対移動が規制されていることを特徴とするものである。
本発明によれば、例えば、ピンの一対の端面がプーリのシーブ面に接触して動力を伝達する際、ピンは、上記シーブ面に対してほとんど回転しないこととなり、摩擦損失を低減して高い伝動効率を確保することができる。また、各貫通孔には単一のピンのみが嵌め入れられているので、隣接するピン間の距離をより短くして(ショートピッチ化して)、より多くのピンを設けることができる。これにより、チェーン駆動時において、単位時間当たりにプーリに接触するピンの数をより多くして、ピンとプーリとの接触音を、人が認識し難い高周波に近づけることができ、騒音を格段に低減することができる。しかも、プーリに一時に接触するピンの数をより多くできるので、ピン1本当たりの負荷を低減して耐久性を格段に向上することができる。また、従来のチェーンに設けられていたインターピースを廃止でき、部品点数を低減して製造コストをより安価にすることができる。また、上記リンクは、第1および第2の貫通孔を互いに連通する連通溝を含むものであれば、第1および第2の貫通孔の周縁部の応力集中をより緩和することが可能となる。
また、本発明において、上記一のリンクとこの一のリンクの第1の貫通孔に遊嵌されるピンを1つの組として、一のリンクの第1の貫通孔の周縁とピンとの転がり摺動接触の接触点の軌跡が互いに異なる組が2種類以上設けられ、これらの組がランダムに配列される場合がある。この場合、ピンが、例えばプーリに接触した際の接触音を各組において相異ならせて接触音の周波数帯域を分散させることができ、チェーンの駆動音をより低減することができる。
また、本発明において、上記一のリンクの第1の貫通孔の周縁とピンとの転がり摺動接触の接触点の軌跡がインボリュート曲線を含む場合がある。この場合、例えば、ピンがプーリのシーブ面に順次噛み込まれた際に、動力伝達チェーンに弦振動的な運動が生じることを抑制できる。その結果、チェーン駆動時の騒音をより一層低減することができる。
また、本発明において、ピッチの相異なる2種類以上のリンクが設けられ、これらのリンクがランダムに配列されている場合がある。この場合、ピンが、例えばプーリに接触する際の接触音が共鳴することを防止でき、チェーン駆動音を極めて小さくできる。
また、本発明において、ピッチの相異なる2種類以上のリンクが設けられ、これらのリンクがランダムに配列されている場合がある。この場合、ピンが、例えばプーリに接触する際の接触音が共鳴することを防止でき、チェーン駆動音を極めて小さくできる。
また、本発明は、相対向する一対の円錐面状のシーブ面をそれぞれ有する第1および第2のプーリと、これらのプーリ間に巻き掛けられる上記の動力伝達チェーンとを備え、上記ピンの一対の端部のそれぞれに設けられた動力伝達面がシーブ面に係合して動力を伝達することを特徴とする動力伝達装置を提供するものである。本発明によれば、伝動効率、静粛性および耐久性に優れ、しかもコスト安価な動力伝達装置を実現することができる。
本発明の好ましい実施の形態を添付図面を参照しつつ説明する。
図1は、本発明の一実施の形態に係る動力伝達チェーンを備える動力伝達装置としてのチェーン式無段変速機(以下では、単に無段変速機ともいう)の要部構成を模式的に示す斜視図である。図1を参照して、無段変速機100は、自動車等の車両に搭載されるものであり、第1のプーリとしての金属(構造用鋼等)製のドライブプーリ60と、第2のプーリとしての金属(構造用鋼等)製のドリブンプーリ70と、これらの両プーリ60,70間に巻き掛けられた無端状の動力伝達チェーン1(以下では、単にチェーンともいう)とを備えている。なお、図1中のチェーン1は、理解を容易にするために一部断面を示している。
図1は、本発明の一実施の形態に係る動力伝達チェーンを備える動力伝達装置としてのチェーン式無段変速機(以下では、単に無段変速機ともいう)の要部構成を模式的に示す斜視図である。図1を参照して、無段変速機100は、自動車等の車両に搭載されるものであり、第1のプーリとしての金属(構造用鋼等)製のドライブプーリ60と、第2のプーリとしての金属(構造用鋼等)製のドリブンプーリ70と、これらの両プーリ60,70間に巻き掛けられた無端状の動力伝達チェーン1(以下では、単にチェーンともいう)とを備えている。なお、図1中のチェーン1は、理解を容易にするために一部断面を示している。
図2は、図1のドライブプーリ60(ドリブンプーリ70)およびチェーン1の部分的な拡大断面図である。図1および図2を参照して、ドライブプーリ60は、車両の駆動源に動力伝達可能に連なる入力軸61に取り付けられるものであり、固定シーブ62と可動シーブ63とを備えている。固定シーブ62および可動シーブ63は、相対向する一対のシーブ面62a,63aをそれぞれ有している。シーブ面62a,63aは円錐面状の傾斜面を含む。これらシーブ面62a,63a間に溝が区画され、この溝によってチェーン1を強圧に挟んで保持するようになっている。
また、可動シーブ63には、溝幅を変更するための油圧アクチュエータ(図示せず)が接続されており、変速時に、入力軸61の軸方向(図2の左右方向)に可動シーブ63を移動させることにより溝幅を変化させ、それにより、入力軸61の径方向(図2の上下方向)にチェーン1を移動させて入力軸61に対するチェーン1の巻き掛け半径(有効半径)を最小値R1(図3(A)参照)から最大値R2(図3(B)参照)まの間で変化できるようになっている。
一方、ドリブンプーリ70は、図1および図2に示すように、駆動輪(図示せず)に動力伝達可能に連なる出力軸71に一体回転可能に取り付けられており、ドライブプーリ60と同様に、チェーン1を強圧で挟む溝を形成するための相対向する一対のシーブ面72a,73aをそれぞれ有する固定シーブ72および可動シーブ73を備えている。ドリブンプーリ70の可動シーブ73には、ドライブプーリ60の可動シーブ63と同様に油圧アクチュエータ(図示せず)が接続されており、変速時に、この可動シーブ73を移動させることにより溝幅を変化させ、それによりチェーン1を移動させて出力軸71に対するチェーン1の巻き掛け半径(有効半径)を最大値R2(図3(A)参照)から最小値R1(図3(B)参照)まの間で変化できるようになっている。
図4は、チェーン1の要部の構成を模式的に示す斜視図である。図5は、図4に示すチェーンの要部の断面平面図である。図6は、図5のII−II線に沿う一部断面図である。
図4および図5を参照して、チェーン1は、チェーン進行方向Xに並ぶ複数のリンク2と、対応するリンク2同士を連結する複数のピン3とを備えている。
図4および図5を参照して、チェーン1は、チェーン進行方向Xに並ぶ複数のリンク2と、対応するリンク2同士を連結する複数のピン3とを備えている。
図5および図6を参照して、各リンク2は板状に形成されており、チェーン進行方向Xの前後に並ぶ一対の端部としての前端部4および後端部5を含んでいる。これら前端部4および後端部5には、第1の貫通孔としての前貫通孔6および第2の貫通孔としての後貫通孔7がそれぞれ形成されている。各貫通孔6,7の周縁8,9は、滑らかな曲線からなり、ピン3等から負荷を受けたときでも応力集中を生じ難い形状とされている。各リンク2は十分な厚み(例えば、ピンおよびインターピースを用いる従来のチェーンのリンクと比較して、約2倍の厚みである1.6mm)に形成されている。
第1〜第3の列51〜53が、それぞれ複数のリンク2を用いることで形成されている。具体的には、第1の列51、第2の列52および第3の列53はそれぞれ、チェーン幅方向Wに並ぶ複数のリンク2を含んでいる。第1〜第3の列51〜53のそれぞれにおいて、同一列のリンク2は、チェーン進行方向Xの位置が互いに同じとなるように揃えられている。第1〜第3の列51〜53は、チェーン進行方向Xに沿って並んで配置されている。
第1〜第3の列51〜53のリンク2はそれぞれ、単一の(1つの)ピン3を用いて、対応する第1〜第3の列51〜53のリンク2と相互に屈曲可能に連結されている。
具体的には、第1の列51のリンク2の前貫通孔6と、第2の列52のリンク2の後貫通孔7とは、チェーン幅方向Wに並んで互いに対応しており、これらの各貫通孔6,7を挿通するピン3によって、第1および第2の列51,52のリンク2同士がチェーン進行方向Xに屈曲可能に連結されている。
具体的には、第1の列51のリンク2の前貫通孔6と、第2の列52のリンク2の後貫通孔7とは、チェーン幅方向Wに並んで互いに対応しており、これらの各貫通孔6,7を挿通するピン3によって、第1および第2の列51,52のリンク2同士がチェーン進行方向Xに屈曲可能に連結されている。
同様に、第2の列52のリンク2の前貫通孔6と、第3の列53のリンク2の後貫通孔7とは、チェーン幅方向Wに並んで互いに対応しており、これらの各貫通孔6,7を挿通するピン3によって、第2および第3の列52,53のリンク2同士がチェーン進行方向Xに屈曲可能に連結されている。
図5において、第1〜第3の列51〜53は、それぞれ1つしか図示されていないが、チェーン進行方向Xに沿って第1〜第3の列51〜53が繰り返すように配置されている。そして、チェーン進行方向Xに互いに隣接する2つの列のリンク2同士が対応する単一のピン3によって順次に連結され、無端状をなすチェーン1が形成されている。
図5において、第1〜第3の列51〜53は、それぞれ1つしか図示されていないが、チェーン進行方向Xに沿って第1〜第3の列51〜53が繰り返すように配置されている。そして、チェーン進行方向Xに互いに隣接する2つの列のリンク2同士が対応する単一のピン3によって順次に連結され、無端状をなすチェーン1が形成されている。
ピン3は、チェーン幅方向Wに延びる棒状体である。ピン3の一対の端部が、チェーン幅方向Wの一対の端部に配置されているリンク2からチェーン幅方向Wにそれぞれ突出している。ピン3の一対の端面には、動力伝達面10,11がそれぞれ設けられている。図2を参照して、動力伝達面10,11は、各プーリ60,70の対応するシーブ面62a,63a,72a,73aに接触(係合)可能となっている。ピン3は、その動力伝達面10,11によって直接動力伝達に寄与するため、例えば、軸受用鋼(SUJ2)等の高強度耐摩耗材料で形成されている。
各プーリ60,70における、ピン3に関する有効半径R(チェーン1の巻き掛け半径)は、以下のようにして定義される。すなわち、プーリ60におけるピン3に関する有効半径R(以下、「プーリ60における有効半径R」という)は、プーリ60およびピン3の互いの接触点T1と、プーリ60の中心軸線C1との間のプーリ径方向の距離として定義される。なお、接触点T1は、プーリ60の各シーブ面62a,63aと、ピン3の対応する動力伝達面10,11とのそれぞれの接触点をいう。
同様に、プーリ70におけるピン3に関する有効半径R(以下、「プーリ70における有効半径R」という)は、プーリ70およびピン3の互いの接触点T2と、プーリ70の中心軸線C2との間のプーリ径方向の距離として定義されている。なお、接触点T2は、プーリ70の各シーブ面72a,73aと、ピン3の対応する動力伝達面10,11とのそれぞれの接触点をいう。
再び図5よび図6を参照して、本実施の形態の特徴とするところは、ピン3は、一のリンク2の前貫通孔6に遊嵌されてこの前貫通孔6の周縁8に対する転がり摺動接触(相対移動)が可能とされると共に、対応する他のリンク2の後貫通孔7に嵌め入れられて(圧入嵌合されて)この他のリンク2に対する相対移動(相対回転)が規制されている点にある。なお、転がり摺動接触とは、転がり接触およびすべり接触の少なくとも一方を含む接触のことをいう。
具体的には、リンク2の前貫通孔6の周縁8は、ピン3の断面形状よりも大きな形状に形成されており、後貫通孔7の周縁9は、ピン3の断面形状に対応する形状に形成されている。
ピン3は、第1の列51のリンク2の前貫通孔6に遊嵌されて、第1の列51のリンク2に対する相対移動が可能とされると共に、第2の列52のリンク2の後貫通孔7に圧入嵌合されて、第2の列52のリンク2に対する相対回転が規制されている。同様に、ピン3は、第2の列52のリンク2の前貫通孔6に遊嵌されると共に、第3の列53のリンク2の後貫通孔7に圧入嵌合されている。また、ピン3は、図示していないが、第3の列53の前貫通孔6に遊嵌されている。さらに、ピン3は、第1の列51の後貫通孔7に圧入嵌合されている。
ピン3は、第1の列51のリンク2の前貫通孔6に遊嵌されて、第1の列51のリンク2に対する相対移動が可能とされると共に、第2の列52のリンク2の後貫通孔7に圧入嵌合されて、第2の列52のリンク2に対する相対回転が規制されている。同様に、ピン3は、第2の列52のリンク2の前貫通孔6に遊嵌されると共に、第3の列53のリンク2の後貫通孔7に圧入嵌合されている。また、ピン3は、図示していないが、第3の列53の前貫通孔6に遊嵌されている。さらに、ピン3は、第1の列51の後貫通孔7に圧入嵌合されている。
上記の構成により、チェーン進行方向Xに隣接するリンク2同士が相互に屈曲する際(図7参照)ピン3は、対応するリンク2の前貫通孔6の周縁8上を転がり摺動接触する。
また、ピン3を基準とした、ピン3と対応するリンク2の前貫通孔6の周縁8との転がり摺動接触の接触点Lの軌跡が、概ねインボリュート曲線となるようにされている。
具体的には、チェーン1の直線部分(図7の3枚のリンク2のうち、チェーン進行方向Xの1番後ろにあるリンク2)において、ピン3の周面12(外周面)のうち、チェーン進行方向Xを向いている部分の断面形状が、インボリュート曲線をなしており、この部分に接触部13が設けられている。上記インボリュート曲線は、図8に示すように、半径Rb、中心Mの基礎円Bを持つインボリュート曲線とされている。
また、ピン3を基準とした、ピン3と対応するリンク2の前貫通孔6の周縁8との転がり摺動接触の接触点Lの軌跡が、概ねインボリュート曲線となるようにされている。
具体的には、チェーン1の直線部分(図7の3枚のリンク2のうち、チェーン進行方向Xの1番後ろにあるリンク2)において、ピン3の周面12(外周面)のうち、チェーン進行方向Xを向いている部分の断面形状が、インボリュート曲線をなしており、この部分に接触部13が設けられている。上記インボリュート曲線は、図8に示すように、半径Rb、中心Mの基礎円Bを持つインボリュート曲線とされている。
また、図7に示すように、リンク2の前貫通孔6の周縁8(内周面)のうち、チェーン進行方向Xの先端部分が、チェーン進行方向Xおよび幅方向Wに直交する直交方向Vに沿って平坦に延びている(断面直線形状に形成されている)。この平坦に延びる部分には、対応するピン3の接触部13と接触し得る接触部14が設けられている。
チェーン1の直線部分における、ピン3と対応するリンク2の前貫通孔6との接触点Lを原点とし、チェーン進行方向Xに沿う方向をx軸、直交方向Vに沿う方向をy軸とし、さらに、チェーン1の屈曲部分における、ピン3と対応するリンク2の前貫通孔6との接触点Lでのピン3の接線方向とy軸のなす角をγとした場合、接触点Lの軌跡は、次の式(1),(2)を満たす、基礎円半径Rbの円のインボリュート曲線とされている。
チェーン1の直線部分における、ピン3と対応するリンク2の前貫通孔6との接触点Lを原点とし、チェーン進行方向Xに沿う方向をx軸、直交方向Vに沿う方向をy軸とし、さらに、チェーン1の屈曲部分における、ピン3と対応するリンク2の前貫通孔6との接触点Lでのピン3の接線方向とy軸のなす角をγとした場合、接触点Lの軌跡は、次の式(1),(2)を満たす、基礎円半径Rbの円のインボリュート曲線とされている。
x=Rb・(sinγ−γ・cosγ) (1)
y=Rb・(cosγ+γ・sinγ)−Rb (2)
基礎円半径Rbは、例えば、図3(A)および図3(B)に示すように、各プーリ60,70における有効半径Rの最小値R1(Rb=R1)とされている。
すなわち、ピン3の接触部13の断面形状は、上記式(1),(2)を満たす、基礎円半径Rbの円のインボリュート曲線とされている。
y=Rb・(cosγ+γ・sinγ)−Rb (2)
基礎円半径Rbは、例えば、図3(A)および図3(B)に示すように、各プーリ60,70における有効半径Rの最小値R1(Rb=R1)とされている。
すなわち、ピン3の接触部13の断面形状は、上記式(1),(2)を満たす、基礎円半径Rbの円のインボリュート曲線とされている。
図1および図2を参照して、上記のように構成された無段変速機100では、例えば、以下のようにして無段階の変速を行うことができる。すなわち、出力軸71の回転を減速する場合、ドライブプーリ60の溝幅を可動シーブ63の移動によって拡大させ、チェーン1のピン3の両端の動力伝達面10,11を、円錐面状のシーブ面62a,63aの内側方向(図2の下方向)に向けて境界潤滑(接触面内の一部が微小突起の直接接触で、残部が潤滑油膜を介して接触する潤滑状態)条件下ですべり接触しながらチェーン1の入力軸61に対する巻き掛け半径を小さくする。
一方、ドリブンプーリ70では、可動シーブ73の移動によって溝幅を縮小させ、チェーン1のピン3の動力伝達面10,11を円錐面状のシーブ面72a,73aの外側方向(図2の上方向)に向けて境界潤滑条件下ですべり接触させながらチェーン1の出力軸71に対する巻き掛け半径を大きくする。
逆に、出力軸71の回転を増速する場合には、ドライブプーリ60の溝幅を可動シーブ63の移動によって縮小させ、チェーン1のピン3の動力伝達面10,11を円錐面状のシーブ面62a,63aの外側方向に向けて境界潤滑条件下ですべり接触しながらチェーン1の入力軸61に対する巻き掛け半径を大きくする。一方、ドリブンプーリ70では、可動シーブ73の移動によって溝幅を拡大させ、チェーン1のピン3の動力伝達面10,11を円錐面状のシーブ面72a,73aの内側方向に向けて境界潤滑条件下ですべり接触させながらチェーン1の出力軸71に対する巻き掛け半径を小さくする。
逆に、出力軸71の回転を増速する場合には、ドライブプーリ60の溝幅を可動シーブ63の移動によって縮小させ、チェーン1のピン3の動力伝達面10,11を円錐面状のシーブ面62a,63aの外側方向に向けて境界潤滑条件下ですべり接触しながらチェーン1の入力軸61に対する巻き掛け半径を大きくする。一方、ドリブンプーリ70では、可動シーブ73の移動によって溝幅を拡大させ、チェーン1のピン3の動力伝達面10,11を円錐面状のシーブ面72a,73aの内側方向に向けて境界潤滑条件下ですべり接触させながらチェーン1の出力軸71に対する巻き掛け半径を小さくする。
以上説明したように、本実施の形態によれば、ピン3の動力伝達面10,11が各プーリ60,70の対応するシーブ面62a,63a,72a,73aに接触して動力を伝達する際、リンク2は、遊嵌されたピン3に対して転がり摺動接触し、これにより、リンク2同士の屈曲が可能とされている。この際、互いに転がり摺動接触するリンク2およびピン3に関して、互いの転がり接触成分が多くてすべり接触成分が極めて少なく、するとその結果、ピン3は、上記各シーブ面62a,63a,72a,73aに対してほとんど回転しないこととなり、摩擦損失を低減して高い伝動効率を確保することができる。
また、リンク2の各貫通孔6,7には、単一のピン3のみが嵌め入れられているので、チェーン進行方向Xに隣接するピン3間の距離をより短くして(ショートピッチ化して)、より多くのピン3を設けることができる。これにより、チェーン1の駆動時において、単位時間当たりに各プーリ60,70に接触するピン3の数をより多くして、ピン3と各プーリ60,70との接触音を、人が認識し難い高周波に近づけることができ、騒音を格段に低減することができる。
しかも、各プーリ60,70に一時に接触するピン3の数をより多くできるので、ピン3の1本当たりの負荷を低減して耐久性および許容伝達荷重を格段に向上することができる。さらに、ピン3の1本当たりの負荷が低減されているので、ピン3が各プーリ60,70に接触する際の衝撃をより低減することができ、騒音をより低減することができる。また、従来のチェーンに設けられていたインターピースを廃止でき、部品点数を低減して製造コストをより安価にすることができる。しかも、インターピースを廃止した分ピン3の断面形状をより大型にでき、その結果、ピン3の曲げ強度をより高めることができる。
また、リンク2の前貫通孔6の接触部14とピン3の接触部13との接触点Lの軌跡がインボリュート曲線を描くようにされている。これにより、ピン3が各プーリ60,70のシーブ面62a,63a,72a,73aに順次噛み込まれた際に、チェーン1の直線部分が上記の噛み込みの影響を受けて弦振動動的な運動を生じることを抑制できる。その結果、チェーン駆動時の騒音をより一層低減することができる。
さらに、チェーン1は、リンク2とピン3とを組み合わせた簡易な構成であり、可動部が少ないので、組立時の寸法管理を行い易く、精度の高いチェーン1を容易に製造することができる。
また、リンク2は、十分な厚みを有しているので、リンク2自身の強度を十分に確保できると共に、ピン3の接触部13と線接触することができ、ピン3から受ける面圧を低いものにして十分な耐久性を確保することができる。しかも、リンク2に十分な強度を持たせることでリンク2の使用枚数を低減することができ、部品点数を低減して製造コストをより低減することができる。
また、リンク2は、十分な厚みを有しているので、リンク2自身の強度を十分に確保できると共に、ピン3の接触部13と線接触することができ、ピン3から受ける面圧を低いものにして十分な耐久性を確保することができる。しかも、リンク2に十分な強度を持たせることでリンク2の使用枚数を低減することができ、部品点数を低減して製造コストをより低減することができる。
したがって、伝動効率、静粛性および耐久性に優れ、しかもコスト安価な無段変速機100を実現することができる。
なお、本実施の形態において、第3の列53は、図5に示すように、5枚のリンク2を含んでいるが、このうちチェーン幅方向Wの中央にある1枚のリンク2を廃止しても良い。この場合、第1〜第3の列51〜53の各列のリンク2の枚数を4枚に統一することができる。これにより、チェーン幅方向Wに積層されるリンク2の枚数を12枚に統一することができ、その結果、チェーン1の各部の強度をより均一にすることができると共に部品点数をより低減することができる。
なお、本実施の形態において、第3の列53は、図5に示すように、5枚のリンク2を含んでいるが、このうちチェーン幅方向Wの中央にある1枚のリンク2を廃止しても良い。この場合、第1〜第3の列51〜53の各列のリンク2の枚数を4枚に統一することができる。これにより、チェーン幅方向Wに積層されるリンク2の枚数を12枚に統一することができ、その結果、チェーン1の各部の強度をより均一にすることができると共に部品点数をより低減することができる。
また、ピン3の接触部13のインボリュート曲線に関して、インボリュート曲線は、基礎円半径Rbに応じて無数にあり、基礎円半径Rbが変化しても、同様の騒音低減・制振効果を維持できるので、上記式(1),(2)を満たすものに限らず、下記式(3),(4)を満たすものであっても良い。
x=k・R1・(sinγ−γ・cosγ) (3)
y=k・R1・(cosγ+γ・sinγ)−k・R1 (4)
なお、Rb=k・R1であり、kは、定数である。
x=k・R1・(sinγ−γ・cosγ) (3)
y=k・R1・(cosγ+γ・sinγ)−k・R1 (4)
なお、Rb=k・R1であり、kは、定数である。
ここで、無段変速機100の変速比をrとして、kを次の範囲とすることが好ましい。
0.25≦k≦2r
例えば、変速比r=1とすると、上記kの範囲は、0.25≦k≦2となる。このとき、チェーン1の巻き掛け半径の最小値R1の値を50mmとすれば、上記k・R1(すなわち、基礎円半径Rb)の範囲は、12.5≦k・R1≦100となる。
0.25≦k≦2r
例えば、変速比r=1とすると、上記kの範囲は、0.25≦k≦2となる。このとき、チェーン1の巻き掛け半径の最小値R1の値を50mmとすれば、上記k・R1(すなわち、基礎円半径Rb)の範囲は、12.5≦k・R1≦100となる。
上記式(3),(4)およびk・R1の範囲より、ピン3の接触部13のインボリュート曲線は、下記式(5),(6)を満たす曲線(許容下限曲線)と、下記式(7),(8)を満たす曲線(許容上限曲線)の範囲内にあれば良い。
許容下限曲線 x=12.5(sinγ−γ・cosγ) (5)
y=12.5(cosγ+γ・sinγ)−12.5 (6)
許容上限曲線 x=100(sinγ−γ・cosγ) (7)
y=100(cosγ+γ・sinγ)−100 (8)
すなわち、図9に示すように、k=0.25としたときのインボリュート曲線(許容下限曲線)とk=2としたときのインボリュート曲線(許容上限曲線)との間にある任意のインボリュート曲線を、接触部13の断面形状としても良い。この場合も、チェーンに弦振動的な運動が生じることを抑制することができ、騒音を十分に低減することができる。
許容下限曲線 x=12.5(sinγ−γ・cosγ) (5)
y=12.5(cosγ+γ・sinγ)−12.5 (6)
許容上限曲線 x=100(sinγ−γ・cosγ) (7)
y=100(cosγ+γ・sinγ)−100 (8)
すなわち、図9に示すように、k=0.25としたときのインボリュート曲線(許容下限曲線)とk=2としたときのインボリュート曲線(許容上限曲線)との間にある任意のインボリュート曲線を、接触部13の断面形状としても良い。この場合も、チェーンに弦振動的な運動が生じることを抑制することができ、騒音を十分に低減することができる。
なお、kの下限を0.6(0.6≦k)とすることがより好ましい。kの下限を0.6とした場合、k・R1の下限(基礎円半径Rbの下限)は0.6×50=30とされる。また、kの上限を1.6(k≧1.6)とすることがより好ましい。kの上限を1.6とした場合、k・R1(基礎円半径Rb)の上限は1.6×50=80とされる。
図10は、本発明の他の実施の形態の要部の断面側面図である。なお、以下では、図6に示す実施の形態と異なる点について主に説明し、同様の構成については図に同一の符号を付してその説明を省略する。
図10は、本発明の他の実施の形態の要部の断面側面図である。なお、以下では、図6に示す実施の形態と異なる点について主に説明し、同様の構成については図に同一の符号を付してその説明を省略する。
図10を参照して、本実施の形態の特徴とするところは、一のリンク2とこの一のリンク2の前貫通孔6に遊嵌されるピン3を1つの組15とし、また、一のリンク2とこの一のリンク2の前貫通孔6に遊嵌されるピン3Aをもう1つの組16として、2種類の組を設け、各組15,16における、リンク2の前貫通孔6の周縁8と対応するピン3,3Aとの接触点L,LAの軌跡が互いに異なるようにされ、且つこれらの組15,16がランダムに(不規則に)配列されている点にある。
具体的には、各ピン3,3Aの接触部13、13Aの断面のインボリュート曲線の基礎円の半径Rb、RbAを相異ならせており、半径RbAは、半径Rbよりも小さく(RbA<Rb)設定されている。
したがって、ピン3Aの断面形状は、ピン3の断面形状よりも小さくなっており、ピン3Aと対応するリンク2の後貫通孔7との間の一部に隙間ができているが、このピン3Aは、後貫通孔7に以下のようにして固定されている。すなわち、このピン3Aは、断面視において、周面12Aのうち接触部13A以外の部分の略全部が、リンク2の対応する後貫通孔7の周縁9に圧接されており、接触部13Aは、少なくとも一点Qが後貫通孔7の周縁9に圧接されている。
したがって、ピン3Aの断面形状は、ピン3の断面形状よりも小さくなっており、ピン3Aと対応するリンク2の後貫通孔7との間の一部に隙間ができているが、このピン3Aは、後貫通孔7に以下のようにして固定されている。すなわち、このピン3Aは、断面視において、周面12Aのうち接触部13A以外の部分の略全部が、リンク2の対応する後貫通孔7の周縁9に圧接されており、接触部13Aは、少なくとも一点Qが後貫通孔7の周縁9に圧接されている。
すなわち、ピン3Aの周面12Aは、断面視において、直交方向Vにおける一対の端部と、チェーン進行方向Xに関する接触部13Aと反対側の端部の3箇所(3面)が、リンク2の後貫通孔7の周縁9に接触しており、接触部13Aが周縁9に点接触している。
このように、ピン3Aの接触部13Aは、後貫通孔7の周縁9と少なくとも1点で接していれば良く、各ピン3,3Aの接触部13、13Aの形状が多少異なっていても、各ピン3,3Aのそれぞれの形状に対応して後貫通孔7の形状を変更する必要がなく、同一形状の後貫通孔7を有するリンク2を用いることができ、製造に係る手間をより少なくすることができる。
このように、ピン3Aの接触部13Aは、後貫通孔7の周縁9と少なくとも1点で接していれば良く、各ピン3,3Aの接触部13、13Aの形状が多少異なっていても、各ピン3,3Aのそれぞれの形状に対応して後貫通孔7の形状を変更する必要がなく、同一形状の後貫通孔7を有するリンク2を用いることができ、製造に係る手間をより少なくすることができる。
なお、「ランダムに配列」とは、組15,16がチェーン進行方向Xの少なくとも一部に不規則に混在して配置されていることを意味するものである。
また、組15,16をチェーン進行方向Xにランダムに配列する条件としては、連続して並ぶ同じ組15,16の数が素数とされていることが好ましい。
本実施の形態によれば、各ピン3,3Aが、各プーリ60,70に接触した際の接触音を各組15,16において相異ならせて接触音の周波数帯域を分散させることができ、チェーン1の駆動音をより低減することができる。
また、組15,16をチェーン進行方向Xにランダムに配列する条件としては、連続して並ぶ同じ組15,16の数が素数とされていることが好ましい。
本実施の形態によれば、各ピン3,3Aが、各プーリ60,70に接触した際の接触音を各組15,16において相異ならせて接触音の周波数帯域を分散させることができ、チェーン1の駆動音をより低減することができる。
なお、本実施の形態において、2種類の組15,16は、同数だけ設けられていても良いし、一方の組の数が他方の組の数よりも多くても良い。また、接触部の断面形状が相異なるピン(転がり摺動接触の接触点の軌跡が相異なる組)を3種類以上設けても良い。
図11(A)および図11(B)は、本発明のさらに他の実施の形態の要部の断面側面図である。図11(A)および図11(B)を参照して、本実施の形態の特徴とするところは、2種類のリンク2,2Aが設けられてこれら各リンク2,2AのピッチP,PAが相異なるようにされており、且つ各リンク2,2Aがランダムに配列されている点にある。
図11(A)および図11(B)は、本発明のさらに他の実施の形態の要部の断面側面図である。図11(A)および図11(B)を参照して、本実施の形態の特徴とするところは、2種類のリンク2,2Aが設けられてこれら各リンク2,2AのピッチP,PAが相異なるようにされており、且つ各リンク2,2Aがランダムに配列されている点にある。
リンク2のピッチPとは、チェーン1の直線部分のリンク2における隣り合うピン3間のチェーン進行方向Xの距離をいい、具体的には、リンク2の前貫通孔6の接触部14とピン3の接触部13との接触点Lおよび、後貫通孔7の周縁9とピン3の接触部13との接触部のうち接触点Lとチェーン進行方向Xに並んでいる接触点L2間の距離として定義される。また、リンク2のピッチPと同様にして、リンク2AのピッチPAが定義されている。リンク2のピッチPは例えば6mmに設定され、リンク2AのピッチPAは例えば7.5mmに設定されており、P<PAとされている。
各リンク2,2Aは、図10に示す実施の形態で説明した「ランダムに配列」と同様にして、チェーン進行方向Xにランダムに配列されている。
本実施の形態によれば、ピン3が、各プーリ60,70の対応するシーブ面62a,63a,72a,73aに接触する際の周期を不規則にして接触音が共鳴することを防止でき、チェーン駆動音を極めて小さくできる。
本実施の形態によれば、ピン3が、各プーリ60,70の対応するシーブ面62a,63a,72a,73aに接触する際の周期を不規則にして接触音が共鳴することを防止でき、チェーン駆動音を極めて小さくできる。
なお、本実施の形態において、2種類のリンク2,2Aの数は、同数だけ設けられていても良いし、一方のリンクの数が他方のリンクの数よりも多くても良い。また、接触部の断面形状が相異なるピン(転がり摺動接触の接触点の軌道が相異なる複数の組)を2種類以上用いても良い。この場合、ピンの接触部の基礎円半径を、ピンが嵌め入れられるリンクのピッチの大きさに対応して大きくしても小さくしても良い。より具体的には、リンク2Aに嵌め入れられるピンの基礎円半径を、リンク2に嵌め入れられるピンの基礎円半径よりも大きくしても良いし小さくしても良い。さらに、ピンの接触部の基礎円半径を、ピンが嵌め入れられるリンクのピッチの大きさに対応させなくても良い。また、ピッチの相異なるリンクを3種類以上設けても良い。
本発明は、上記各実施の形態に限定されるものではない。例えば、上記各実施の形態において、ピンの接触部の断面形状は、図9に示す許容上限曲線および許容下限曲線の範囲内にある非インボリュート曲線であっても良い。また、複数種類のピンの組み合わせとして、ピンの接触部の断面形状がインボリュート曲線を含むものと、非インボリュート曲線を含むものとを組み合わせても良い。
また、ピンの接触部の形状と、対応するリンクの前貫通孔の接触部の形状とを入れ換えても良い。さらに、ピンの接触部およびリンクの前貫通孔の接触部の両方を曲面に形成しても良い。また、前貫通孔6と後貫通孔7の配置を入れ換えても良い。さらに、プーリのシーブ面に係合する動力伝達面をピンの両端部に設けた動力伝達ブロックを用いても良い。
また、各リンクの前貫通孔6および後貫通孔7は、それぞれの機能を損なわない限りにおいて、互いに連通されていてもよい。具体的には、各リンクの前貫通孔6および後貫通孔7間に配置される柱部に、互いの貫通孔6,7同士を連通する連通溝を形成してもよい。これにより、上記各貫通孔6,7の周縁部の応力集中をより緩和することができる。本発明は、このような貫通孔の形状を含むものである。
さらに、変速比rの値は上記例示した値よりも小さくてもよいし大きくてもよい。
また、無段変速機100は、ドライブプーリ60およびドリブンプーリ70の双方の溝幅が変動する態様に限定されるものではなく、何れか一方の溝幅のみが変動し、他方が変動しない固定幅にした態様であっても良い。さらに、各プーリ60,70の溝幅が段階的に変動するものであったり、固定式(無変速)であったりしても良い。
また、無段変速機100は、ドライブプーリ60およびドリブンプーリ70の双方の溝幅が変動する態様に限定されるものではなく、何れか一方の溝幅のみが変動し、他方が変動しない固定幅にした態様であっても良い。さらに、各プーリ60,70の溝幅が段階的に変動するものであったり、固定式(無変速)であったりしても良い。
1 チェーン(動力伝達チェーン)
2,2A リンク
3,3A ピン
6 前貫通孔(第1の貫通孔)
7 後貫通孔(第2の貫通孔)
8 (前貫通孔の)周縁
10,11 動力伝達面
15,16 組
60 ドライブプーリ(第1のプーリ)
62a,63a シーブ面
70 ドリブンプーリ(第2のプーリ)
72a,73a シーブ面
100 無段変速機(動力伝達装置)
L,LA (転がり摺動接触の)接触点
P,PA ピッチ
X チェーン進行方向
2,2A リンク
3,3A ピン
6 前貫通孔(第1の貫通孔)
7 後貫通孔(第2の貫通孔)
8 (前貫通孔の)周縁
10,11 動力伝達面
15,16 組
60 ドライブプーリ(第1のプーリ)
62a,63a シーブ面
70 ドリブンプーリ(第2のプーリ)
72a,73a シーブ面
100 無段変速機(動力伝達装置)
L,LA (転がり摺動接触の)接触点
P,PA ピッチ
X チェーン進行方向
Claims (5)
- チェーン進行方向に並ぶ複数のリンクを備える動力伝達チェーンにおいて、
各リンクは、チェーン進行方向に並ぶ第1の貫通孔および第2の貫通孔をそれぞれ含み、
互いに対応するリンクが単一のピンを用いて相互に屈曲可能に連結され、
上記各ピンは、一のリンクの第1の貫通孔に遊嵌されてこの第1の貫通孔の周縁に対する転がり摺動接触が可能とされ、且つ他のリンクの第2の貫通孔に嵌め入れられて他のリンクに対する相対移動が規制されていることを特徴とする動力伝達チェーン。 - 請求項1において、上記一のリンクとこの一のリンクの第1の貫通孔に遊嵌されるピンを1つの組として、一のリンクの第1の貫通孔の周縁とピンとの転がり摺動接触の接触点の軌跡が互いに異なる組が2種類以上設けられ、これらの組がランダムに配列されることを特徴とする動力伝達チェーン。
- 請求項1または2において、上記一のリンクの第1の貫通孔の周縁とピンとの転がり摺動接触の接触点の軌跡がインボリュート曲線を含むことを特徴とする動力伝達チェーン。
- 請求項1,2または3において、ピッチの相異なる2種類以上のリンクが設けられ、これらのリンクがランダムに配列されていることを特徴とする動力伝達チェーン。
- 相対向する一対の円錐面状のシーブ面をそれぞれ有する第1および第2のプーリと、これらのプーリ間に巻き掛けられる請求項1,2,3または4に記載の動力伝達チェーンとを備え、上記ピンの一対の端部のそれぞれに設けられた動力伝達面がシーブ面に係合して動力を伝達することを特徴とする動力伝達装置。
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