JP4529073B2 - 動力伝達チェーンおよびこれを備える動力伝達装置 - Google Patents

動力伝達チェーンおよびこれを備える動力伝達装置 Download PDF

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Description

本発明は、動力伝達チェーンおよびこれを備える動力伝達装置に関する。
自動車のプーリ式無段変速機(CVT:Continuously Variable Transmission)等の動力伝達装置に用いられる無端状の動力伝達チェーンには、複数のリンクをチェーン進行方向に並べ、チェーン進行方向に隣接するリンク同士を一対のピンで連結したものがある(例えば、特許文献1参照)。
実開昭64−15840号公報
このような動力伝達チェーンのなかには、一方のピンをプーリに接触させ、且つ他方のピンを一方のピンに転がり摺動接触させるものがある。
このような動力伝達チェーンおよびこれを備える動力伝達装置において、実用上十分な耐久性を確保しつつ、小型化することが要請されている。本発明は、これを目的とする。
本願発明者は、上記動力伝達チェーンにおいて、小型化を達成するために、一対のピンの厚みを薄くすることを試みた。しかしながら、プーリに接触する一方のピンは、プーリとの接触面積をある程度確保する必要があり、薄型化に限界がある。また、他方のピンを薄型化するにしても、単に薄型化するのみでは、強度(耐久性)の向上に限界がある。
そこで、本発明は、チェーン進行方向に並ぶ複数のリンクを備え、動力伝達対象に係合する第1のピンおよび第1のピンに転がり摺動接触する第2のピンを用いて対応するリンクが相互に連結される動力伝達チェーンにおいて、上記第2のピンの表面および内部の少なくとも一方は、第1のピンの表面と比較して硬度の低い低硬度部からなり、上記複数のリンクはそれぞれ、第1および第2のピンが挿通される貫通孔を有し、各貫通孔の周縁は、第1および第2のピンの表面の硬度と比較して硬度の低い低硬度部からなることを特徴とするものである。
本発明によれば、第2のピンの低硬度部は、第1のピンの表面と比較して靭性に優れており、緩衝作用を発揮して第1のピン等から受ける衝撃を吸収することができる。これにより、第2のピンに十分な強度を持たせることができ、第2のピンの実用上十分な耐久性を確保しつつ、小型化(薄型化)することが可能となる。その結果、動力伝達チェーンにおいて、実用上十分な耐久性を確保しつつ、小型化を達成することができる。また、例えば、チェーンの製造時において、対応する第1および第2のピンが各貫通孔を挿通する際、各貫通孔の周縁が、対応する第1および第2のピンの表面に損傷を与えることを防止できる。その結果、第1および第2のピンの強度を確実に維持して、耐久性をさらに向上できる。
また、本発明において、上記第2のピンの低硬度部の硬度は、第1のピンの表面の硬度と比較してロックウェル硬度HRCで5以上低い場合がある。この場合、第1のピンの表面の靭性と比較して、第2のピンの低硬度部の靭性を極めて優れたものにできる。その結果、第2のピンの緩衝作用を極めて優れたものにでき、更なる耐久性を確保できる
また、本発明において、上記複数のリンクは第1および第2のリンクを含み、これら各リンクは、チェーン進行方向の前後に並ぶ前貫通孔および後貫通孔をそれぞれ有し、上記第1のピンは、第1のリンクの前貫通孔に圧入固定され且つ第2のリンクの後貫通孔に移動可能に嵌め入れられ、第2のピンは、第1のリンクの前貫通孔に移動可能に嵌め入れられ且つ第2のリンクの後貫通孔に圧入固定される場合がある。
この場合、例えば、第1のピンがプーリのシーブ面に接触して動力を伝達する際、第2のピンがこの第1のピンに対して転がり摺動接触することにより、リンク同士のチェーン進行方向の屈曲が可能とされる。その結果、第1のピンが上記シーブ面に対してほとんど回転しないこととなり、摩擦損失を低減して高い伝動効率を確保することができる。
また、本発明において、相対向する一対の円錐面状のシーブ面をそれぞれ有する第1および第2のプーリと、これらのプーリ間に巻き掛けられ、動力伝達対象としてのシーブ面に係合して動力を伝達する上記の動力伝達チェーンとを備える場合がある。この場合、耐久性に優れ、且つコンパクトな動力伝達装置を実現することができる。
本発明の好ましい実施の形態を添付図面を参照しつつ説明する。
図1は、本発明の動力伝達チェーンの一実施の形態に係るチェーン式無段変速機用の動力伝達チェーン(以下では、単にチェーンという)の要部の構成を模式的に示す斜視図である。図2は、図1に示すチェーンの要部の断面平面図である。図3は、図2のII−II線に沿う断面図である。
図1および図2を参照して、チェーン1は、複数のリンク2と、第1の列51、第2の列52および第3の列53と、互いに転がり摺動接触する一対のピンとしての複数の第1および第2のピン3,4とを備えている。なお、転がり摺動接触とは、転がり接触およびすべり接触の少なくとも一方を含む接触のことをいう。
図2および図3を参照して、各リンク2は、例えば、炭素鋼(SK5)により板状に形成されている。この炭素鋼は、熱処理(焼入れおよび焼戻し)が施されており、全体が均一な硬度を有している。すなわち、各リンク2は、全体が均一な硬度を有している。各リンク2は、チェーン進行方向Xの前後に並ぶ一対の端部としての前端部7および後端部8を含み、これらの端部7,8には前貫通孔9および後貫通孔10がそれぞれ形成されている。
第1の列51、第2の列52および第3の列53はそれぞれ、チェーン幅方向Wに並ぶ複数のリンク2を含んでいる。第1〜第3の列51〜53のそれぞれにおいて、同一列のリンク2は、チェーン進行方向Xの位置が互いに同じである(揃えられている)。第1〜第3の列51〜53は、チェーン進行方向Xに沿って並んで配置されている。
各第1のピン3は、チェーン幅方向Wに延びる棒状体である。各第1のピン3の一対の端部が、チェーン幅方向Wの一対の端部に配置されるリンク2からチェーン幅方向Wに突出している。各第1のピン3の一対の端面には、動力伝達対象としてのシーブ面に接触(係合)するための動力伝達面5,6がそれぞれ設けられている。各第1のピン3は、その動力伝達面5,6によって直接動力伝達に寄与するため、例えば、軸受用鋼(例えばSUJ2)等の高強度材料で形成されている。なお、この高強度材料は、熱処理(焼入れおよび焼戻し)が施されており、全体が均一な硬度を有している。すなわち、各第1のピン3は、全体が均一な硬度を有している。
各第2のピン4(ストリップ、またはインターピースともいう)は、チェーン幅方向Wに延びる棒状体であり、上記シーブ面と接触しないように、第1のピン3よりも若干短く形成されている。各第2のピン4の断面形状は、第1のピン3よりも薄肉の扁平小判形形状をなしている。各第2のピン4は、第1のピン3と同様の材料、すなわち熱処理が施された高強度材料により形成されており、全体が均一な硬度を有している。
対応する第1〜第3の列51〜53の対応するリンク2は、対応する第1および第2のピン3,4を用いて相互に連結されるようになっている。
具体的には、第1のリンクとしての第1の列51の各リンク2の前貫通孔9と、第2のリンクとしての第2の列52の各リンク2の後貫通孔10とは、チェーン幅方向Wに並んで互いに対応しており、これらの各貫通孔9,10を挿通する第1および第2のピン3,4によって、第1および第2の列51,52のリンク2同士がチェーン進行方向Xに屈曲可能に連結されている。
同様に、第2の列52の各リンク2の前貫通孔9と、第3の列53の各リンク2の後貫通孔10とは、チェーン幅方向Wに並んで互いに対応しており、これらの各貫通孔9,10を挿通する第1および第2のピン3,4によって、第2および第3の列52,53のリンク2同士がチェーン進行方向Xに屈曲可能に連結されている。
図2において、第1〜第3の列51〜53は、それぞれ1つしか図示していないが、チェーン進行方向Xに沿って第1〜第3の列51〜53が繰り返すように配置されている。そして、チェーン進行方向Xに相隣接する2つの列のリンク2同士が第1および第2のピン3,4によって順次に連結され、無端状をなすチェーン1が形成されている。
各第1のピン3は、対応するリンク2の前貫通孔9に圧入固定(嵌合)されてこのリンク2に対する相対回転が規制されると共に、対応するリンク2の後貫通孔10に遊嵌されてこのリンク2に対する相対移動(回転)が可能とされている。
具体的には、第1のピン3は、第1の列51の各リンク2の前貫通孔9に圧入固定されて、第1の列51の各リンク2に対する相対回転が規制されると共に、第2の列52の各リンク2の後貫通孔10に遊嵌されて、第2の列52の各リンク2に対する相対回転が可能とされている。同様に、第1のピン3は、第2の列52の各リンク2の前貫通孔9に圧入固定されると共に、第3の列53の各リンク2の後貫通孔10に遊嵌されている。
また、各第2のピン4は、対応するリンク2の前貫通孔9に遊嵌されてこのリンク2に対する相対移動(回転)が可能とされると共に、対応するリンク2の後貫通孔10に圧入固定(嵌合)されてこのリンク2に対する相対回転が規制されている。
具体的には、第2のピン4は、第1の列51の各リンク2の前貫通孔9に遊嵌されて、第1の列51の各リンク2に対する相対移動(回転)が可能とされると共に、第2の列52の各リンク2の後貫通孔10に圧入固定されて、第2の列52の各リンク2に対する相対回転が規制されている。同様に、第2のピン4は、第2の列52の各リンク2の前貫通孔9に遊嵌されると共に、第3の列53の各リンク2の後貫通孔10に圧入固定されている。
上記の構成により、チェーン進行方向Xに隣接するリンク2同士がチェーン進行方向Xに屈曲するとき、対応する第2のピン4は、隣り合う第1のピン3に対して転がり摺動接触する。このとき、チェーン1をチェーン幅方向Wの外側から見て、第1のピン3を基準とした第1のピン3と第2のピン4との接触線T(図3において、紙面に垂直な方向に延びる直線)の軌跡が、概ねインボリュート曲線となるようにされている。
具体的には、図3に示すように、各第1のピン3の表面11(周面)のうち、対応する第2のピン4と接触し得る接触部12が、断面インボリュート形状に形成される。また、各第2のピン4の表面13(周面)のうち、対応する第1のピン3と接触し得る接触部14が、平坦面(断面直線形状)に形成される。
本実施の形態の特徴の1つは、各第2のピン4に、対応する第1のピン3の表面11と比較して硬度の低い低硬度部を設けることで、各第2のピン4の靭性を優れたものにして十分な強度を持たせている点にある。
具体的には、前述したように、各第2のピン4は全体が均一な硬度を有しており、全体が低硬度部とされている。各第2のピン4の硬度は、ロックウェル硬度HRCで例えば53に設定されている。各第1のピン3は、前述したように、全体が均一な硬度を有しており、ロックウェル硬度HRCが例えば58に設定される。このように、第2のピン4の硬度は、第1のピン3(の表面11)の硬度と比較して、ロックウェル硬度HRCで5低くされる。
なお、第2のピン4の硬度は、第1のピン3の硬度と比較して、ロックウェル硬度HRCで5未満(0を除く)だけ低くされてもよいし、5より低くされてもよい。
第1のピン3と第2のピン4との硬度差は、チェーン1の製造時において以下のようにして設けられる。すなわち、例えば、第1および第2のピン3,4の両方に同様の条件で焼入れ処理を施すが、第2のピン4の焼戻し温度を高くすることで、両者間に硬度差が設けられる。
本実施の形態のもう1つの特徴は、各リンク2の各貫通孔9,10の周縁15,16に、対応する第1および第2のピン3,4の表面11,13の硬度と比較して硬度の低い低硬度部を設けることで、これらの周縁15,16が対応する第1および第2のピン3,4の表面11,13に損傷を与えることを防止している点にある。
具体的には、前述したように、各リンク2は、全体が均一な硬度を有しており、各貫通孔9,10の周縁15,16を含む全体が低硬度部とされている。各リンク2の硬度は、ロックウェル硬度HRCで例えば48に設定される。このように、各リンク2の硬度は、対応する第1および第2のピン3,4の表面11,13のうち、より硬度の低いほう(第2のピン4の表面13)と比較して、ロックウェル硬度HRCで5低くされる。
なお、各リンク2の硬度は、対応する第2のピン4の硬度と比較して、ロックウェル硬度HRCで5未満(0を除く)だけ低くされてもよいし、5より低くされてもよい。
以上説明したように、本実施の形態によれば、各第2のピン4は、対応する第1のピン3の表面11と比較して靭性に優れており、緩衝作用を発揮して対応する第1のピン3等から受ける衝撃を吸収することができる。しかも、第1のピン3がシーブ面に強圧に接触して撓んだときには、対応する第2のピン4も追従して撓むことができる。これにより、各第2のピン4に十分な強度を持たせることができ、各第2のピン4の実用上十分な耐久性を確保しつつ、小型化(薄型化)することが可能となる。その結果、チェーン1において、実用上十分な耐久性を確保しつつ、小型化を達成することができる。
また、各第2のピン4の硬度は、対応する第1のピン3の表面11の硬度と比較して、ロックウェル硬度HRCで5低くされているので、第1のピン3の表面11の靭性と比較して、第2のピン4の靭性を極めて優れたものにできる。その結果、各第2のピン4の緩衝作用を極めて優れたものにでき、更なる耐久性を確保できる。
さらに、例えば、チェーン1の製造時において、各第1および第2のピン3,4が対応するリンク2の対応する貫通孔9,10を挿通する際、各貫通孔9,10の周縁15,16が、対応する第1および第2のピン3,4の表面11,13に損傷を与えることを防止できる。その結果、第1および第2のピン3,4の強度を確実に維持して、耐久性をさらに向上できる。
また、各リンク2の硬度は、対応する第2のピン4の表面13の硬度と比較して、ロックウェル硬度HRCで5低くされているので、各貫通孔9,10の周縁15,16の硬度が十分に低くされ、対応する第1および第2のピン3,4の表面11,13に損傷を与えることをより確実に防止できる。
さらに、各第1のピン3がプーリのシーブ面に接触して動力を伝達する際、対応する第2のピン4がこの第1のピン3に対して転がり摺動接触することにより、対応するリンク2同士のチェーン進行方向Xの屈曲が可能とされている。この際、対応する第1および第2のピン3,4に関して、互いの転がり接触成分が多くてすべり接触成分が少なく、各第1のピン3が上記シーブ面に対してほとんど回転しないこととなり、摩擦損失を低減して高い伝動効率を確保することができる。
また、第1および第2のピン3,4の互いの接触線Tの軌跡が、チェーン幅方向Wの外側から見て、概ねインボリュート形状を描くようにされることで、各第1のピン3が順次シーブ面に噛み込まれた際に、チェーン1に弦振動的な運動が生じることを抑制できる。その結果、チェーン駆動時の騒音を十分に低減することができ、静粛性が強く求められる自動車用無段変速機に好適である。
なお、上記実施の形態において、各第1のピン3は、表面部分と内側部分で均一な硬度を有するものとして説明したが、これに限らず、図4に示すように、表面部分と内側部分の硬度が相異なっていてもよい。この場合、各第1のピン3は、表面11と略同一の硬度を有し、表面11から所定の深さを有する表面部18と、内部17とを備えている。各第1のピン3の表面部18の硬度は、内部17の硬度より高くてもよいし、低くてもよい。
また、上記各実施の形態において、各第2のピン4は、表面部分と内側部分で均一な硬度を有するものとして説明したが、これに限らず、図5に示すように、表面部分と内側部分の硬度が相異なっていてもよい。この場合、第2のピン4は、表面13と略同一の硬度を有し、表面13から所定の深さを有する表面部23と、内部19とを備えている。
各第2のピン4は、表面部23が、内部19よりも低い硬度を有するように形成されてもよいし、内部19が、表面部23よりも低い硬度を有するように形成されてもよい。この場合、表面部23および内部19のうち、少なくとも硬度の低いほうが、低硬度部とされる。これら表面部23および内部19のうち、硬度の高いほうは、第1のピン3の表面11の硬度よりも低い硬度であれば、低硬度部としての機能を有することとなる。
さらに、上記各実施の形態において、各リンク2は、表面部分と内側部分で均一な硬度を有するものとして説明したが、これに限らず、図6に示すように、表面部分と内側部分の硬度が相異なっていてもよい。この場合、各リンク2は、表面20と略同一の硬度を有し、表面20から所定の深さを有する表面部22と、内部21とを備えている。
各リンク2の表面部22のうち、各貫通孔9,10の周縁部分が、周縁15,16(低硬度部)に相当する。各リンク2の表面部22(各貫通孔9,10の周縁15,16)の硬度は、内部21の硬度より高くてもよいし、低くてもよい。ただし、各第1および第2のピン3,4の表面11,13の硬度より低くされる。
また、上記各実施の形態において、各第1のピン3に代えて、動力伝達面を有する動力伝達ブロックを用いてもよい。また、各リンク2に低硬度部を設けなくてもよい。
図7は、本発明の動力伝達装置の一実施の形態に係るいわゆるチェーン式無段変速機(以下では、単に無段変速機ともいう)の要部構成を模式的に示す斜視図である。図7を参照して、本実施の形態に係る無段変速機は、自動車等の車両に搭載されるものであり、第1のプーリとしての金属(構造用鋼等)製のドライブプーリ60と、第2のプーリとしての金属(構造用鋼等)製のドリブンプーリ70と、これらの両プーリ60,70間に巻き掛けられた無端状のチェーン1とを備えている。なお、図7中のチェーン1は、理解を容易にするために一部断面を示している。
図8は、図7に示すチェーン式無段変速機のドライブプーリ60(ドリブンプーリ70)およびチェーン1の部分的な拡大断面図である。図7および図8を参照して、ドライブプーリ60は、車両の駆動源に動力伝達可能に連なる入力軸61に取り付けられるものであり、固定シーブ62と可動シーブ63とを備えている。固定シーブ62および可動シーブ63は、動力伝達対象としての相対向する一対のシーブ面62a,63aをそれぞれ有している。シーブ面62a,63aは円錐面状の傾斜面を含む。これらシーブ面62a,63a間に溝が区画され、この溝によってチェーン1を強圧に挟んで保持するようになっている。
また、可動シーブ63には、溝幅を変更するための油圧アクチュエータ(図示せず)が接続されており、変速時に、入力軸61の軸方向(図8の左右方向)に可動シーブ63を移動させることにより溝幅を変化させ、それにより、入力軸61の径方向(図8の上下方向)にチェーン1を移動させて入力軸61に対するチェーン1の巻き掛け半径(有効半径)を変化できるようになっている。
一方、ドリブンプーリ70は、駆動輪(図示せず)に動力伝達可能に連なる出力軸71に一体回転可能に取り付けられており、ドライブプーリ60と同様に、チェーン1を強圧で挟む溝を形成するための動力伝達対象としてのシーブ面72a,73aをそれぞれ有する固定シーブ72および可動シーブ73を備えている。ドリブンプーリ70の可動シーブ73には、ドライブプーリ60の可動シーブ63と同様に油圧アクチュエータ(図示せず)が接続されており、変速時に、この可動シーブ73を移動させることにより溝幅を変化させ、それによりチェーン1を移動させて出力軸71に対するチェーン1の巻き掛け半径(有効半径)を変化できるようにしてある。
上記のように構成された本実施の形態に係る無段変速機では、例えば、以下のようにして無段階の変速を行うことができる。すなわち、出力軸71の回転を減速する場合、ドライブプーリ60の溝幅を可動シーブ63の移動によって拡大させ、チェーン1の第1のピン3の両端の動力伝達面5,6を円錐面状のシーブ面62a,63aの内側方向(図8の下方向)に向けて境界潤滑(接触面内の一部が微小突起の直接接触で、残部が潤滑油膜を介して接触する潤滑状態)条件下ですべり接触しながらチェーン1の入力軸61に対する巻き掛け半径を小さくする。一方、ドリブンプーリ70では、可動シーブ73の移動によって溝幅を縮小させ、チェーン1の第1のピン3の動力伝達面5,6を円錐面状のシーブ面72a,73aの外側方向(図8の上方向)に向けて境界潤滑条件下ですべり接触させながらチェーン1の出力軸71に対する巻き掛け半径を大きくする。
逆に、出力軸71の回転を増速する場合には、ドライブプーリ60の溝幅を可動シーブ63の移動によって縮小させ、チェーン1の第1のピン3の動力伝達面5,6を円錐面状のシーブ面62a,63aの外側方向に向けて境界潤滑条件下ですべり接触しながらチェーン1の入力軸61に対する巻き掛け半径を大きくする。一方、ドリブンプーリ70では、可動シーブ73の移動によって溝幅を拡大させ、チェーン1の動力伝達面5,6を円錐面状のシーブ面72a,73aの内側方向に向けて境界潤滑条件下ですべり接触させながらチェーン1の出力軸71に対する巻き掛け半径を小さくする。
以上の次第で、本実施の形態によれば、伝動効率、静粛性および耐久性に優れ、さらにはコンパクトな動力伝達装置を実現することができる。
なお、本発明の動力伝達装置は、ドライブプーリ60およびドリブンプーリ70の双方の溝幅が変動する態様に限定されるものではなく、何れか一方の溝幅のみが変動し、他方が変動しない固定幅にした態様であっても良い。また、上記では溝幅が連続的(無段階)に変動する態様について説明したが、段階的に変動したり、固定式(無変速)である等の他の動力伝達装置に適用しても良い。
本発明は、以上の実施の形態の内容に限定されるものではなく、種々の変更が可能である。
図1は、本発明の動力伝達チェーンの一実施の形態に係るチェーン式無段変速機用の動力伝達チェーンの要部の構成を模式的に示す斜視図である。 図1に示すチェーンの要部の断面平面図である。 図2のII−II線に沿う断面図である。 本発明の他の実施の形態の第1のピンの断面側面図である。 本発明のさらに他の実施の形態の第2のピンの断面側面図である。 本発明のさらに他の実施の形態のリンクの断面側面図である。 本発明の動力伝達装置の一実施の形態に係るいわゆるチェーン式無段変速機の要部構成を模式的に示す斜視図である。 図7に示すチェーン式無段変速機のドライブプーリ(ドリブンプーリ)およびチェーンの部分的な拡大断面図である。
符号の説明
1 チェーン(動力伝達チェーン)
2 リンク(低硬度部、第1のリンク、第2のリンク)
3 第1のピン
4 第2のピン(低硬度部)
9 前貫通孔(貫通孔)
10 後貫通孔(貫通孔)
11 (第1のピンの)表面
13 (第2のピンの)表面
15 (前貫通孔の)周縁(低硬度部)
16 (後貫通孔の)周縁(低硬度部)
19 (第2のピンの)内部(低硬度部)
22 (リンクの)表面部(低硬度部)
23 (第2のピンの)表面部(低硬度部)
60 ドライブプーリ(第1のプーリ)
70 ドリブンプーリ(第2のプーリ)
62a,63a,72a,73a シーブ面(動力伝達対象)
X チェーン進行方向

Claims (4)

  1. チェーン進行方向に並ぶ複数のリンクを備え、動力伝達対象に係合する第1のピンおよび第1のピンに転がり摺動接触する第2のピンを用いて対応するリンクが相互に連結される動力伝達チェーンにおいて、
    上記第2のピンの表面および内部の少なくとも一方は、第1のピンの表面と比較して硬度の低い低硬度部からなり
    上記複数のリンクはそれぞれ、第1および第2のピンが挿通される貫通孔を有し、各貫通孔の周縁は、第1および第2のピンの表面の硬度と比較して硬度の低い低硬度部からなることを特徴とする動力伝達チェーン。
  2. 請求項1において、上記第2のピンの低硬度部の硬度は、第1のピンの表面の硬度と比較してロックウェル硬度HRCで5以上低いことを特徴とする動力伝達チェーン。
  3. 請求項1または2において、上記複数のリンクは第1および第2のリンクを含み、これら各リンクは、チェーン進行方向の前後に並ぶ前貫通孔および後貫通孔をそれぞれ有し、
    上記第1のピンは、第1のリンクの前貫通孔に圧入固定され且つ第2のリンクの後貫通孔に移動可能に嵌め入れられ、第2のピンは、第1のリンクの前貫通孔に移動可能に嵌め入れられ且つ第2のリンクの後貫通孔に圧入固定されることを特徴とする動力伝達チェーン。
  4. 相対向する一対の円錐面状のシーブ面をそれぞれ有する第1および第2のプーリと、これらのプーリ間に巻き掛けられ、動力伝達対象としてのシーブ面に係合して動力を伝達する請求項1,2,または3記載の動力伝達チェーンとを備えることを特徴とする動力伝達装置。
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