JP2004175038A - インク吐出装置及びその製造方法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】インクを噴射するためにインクにエネルギーを与えるヘッド部2に形成された、少なくとも1つ以上のインク流路3の端部開口部に面して、インクの噴射口となるインク吐出孔4が形成されたインク吐出装置において、インク吐出孔4は、インク出口側開口部の内径が、インク入口側開口部の内径よりも小さく設定されてテーパー状に形成され、かつ、インク出口側開口部の形状が、インク流路3の端部開口部の縦方向と同一向きに設定された長軸と、該長軸に直交する短軸と、を有する閉ループ状に形成される。
【選択図】 図2
Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、ノズルプレートに形成したインク吐出孔よりインクを噴射して高速高密度な記録動作を行えるインク吐出装置及びその製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
近年、プリンタにおいては、インパクト印字装置に代わって、カラー化、多階調化に対応し易いインクジェット方式などのノンインパクト印字装置が急速に普及している。これに用いるインク吐出装置としては、特に、印字に必要なインク滴のみを吐出するというドロップ・ オン・ デマンド型がインク吐出効率の良さ、低コスト化の容易さなどから注目されている。
【0003】
このドロップ・ オン・ デマンド型としてはカイザー方式やサーマルジェット方式が主流となっている。しかし、カイザー方式は、小型化が困難であるために高密度化に不向きである。また、サーマルジェット方式は、インクを高温にして噴射する必要があるため、インクの耐熱性が要求され、またエネルギー効率が悪いため省エネの観点から好ましいものではなかった。
【0004】
そこで、このような各方式における欠点を解決するものとして、例えば、圧電性基板材料からなるインク流路の両側の壁面に電極膜を形成し、その電極に電位差を与えることでインク流路壁面を変形させ、その際に生じる圧力波変動を利用してインクを噴射する圧電駆動によるインク吐出方法が提案されている(例えば、特許文献1参照)。この方法は、ノズルの高密度化、省エネ化に適している。
【0005】
上記方式を含むインクジェット吐出装置は、図4の斜視図に示すように、ノズルプレート1はヘッド部2のインク流路3と面する位置に接合される。このインク吐出孔4はインク入口側が広く出口側の狭いテーパー状に形成されている。そして、出口側開口部の開口面積に応じて噴射液滴サイズが変動する。
【0006】
より高密度、高速印字を実現するために、インク噴射の吐出密度を上げようとすれば、インク吐出孔4の間隔が狭まり、非常に細い狭インク流路3が形成されることとなる。
【0007】
一方、インク吐出孔4の出口側開口部の大きさは、多諧調化によりその噴射液滴サイズを変更できるが、所望の液滴サイズで紙面を塗りつぶすためには適当な大きさの噴射液滴サイズを実現する必要があり、所望の面積のインク吐出孔4出口側開口部が必要となる。
【0008】
そこで、このような細い狭インク流路3に収まるインク吐出孔4を接合するため、例えば、平凹円筒レンズに通過させたレーザ光をノズルプレート1の入口側に照射することにより、図5に示すように、インク吐出孔4の入口側開口部を楕円形状、出口側開口部(点線で示す)を真円形状とするインク吐出孔4の形成方法が提案されている(例えば、特許文献2参照)。
【0009】
【特許文献1】
特開昭63−247051号公報(図9(a)(b),明細書p11右上欄7行〜p12右上欄3行)
【特許文献2】
特許第3285041号公報(図1,図2,図5,段落「0017」〜「0020」,「0030」,「0040」)
【0010】
【発明が解決しようとする課題】
前述したように、噴射液滴サイズは、インク吐出孔の出口開口部の開口面積に応じて変動する。そのため、液滴量不足が生じない適切な最小液滴サイズを実現する必要がある。3plから6pl程度の液滴サイズを実現するためには、インク吐出孔の出口側開口部において300μm2 〜800μm2 程度の開口面積が必要とされ、真円面積に直すと直径20μm〜30μm程度の大きさとなり、比較的大きなインク吐出孔開口部を形成する必要がある。
【0011】
しかし、インク吐出孔の断面形状はインク吐出電圧値を低下させるため入口が広く、出口の狭いテーパー状に形成されているため、インク流路に収まるようにインク吐出孔の入口側を形成すると、例えば前記特許文献2のインク吐出孔形成方法でも出口側の形状が真円であることから、その開口面積が小さくなり、その結果、噴射液滴サイズを所望の大きさにできない場合がある。
【0012】
言い換えれば、真円形状で所望のインク吐出孔出口開口部の表面積に合せてインク吐出孔を形成すると、インク吐出孔の入口側開口部の開口面積が大きくなり、長円や楕円形状でもインク吐出孔の入口側開口部の一部がインク流路の壁部と重なってしまうこととなる(尚、本発明における長円とは長方形または正方形の1 組の両対辺に其々半円の直径部が外接した形状とする)。
【0013】
その結果、ノズルプレート接合時においてノズルプレート接合用に用いる接着剤によりインク吐出孔テーパー部への接着剤の進入や、更にはインク吐出孔の閉塞という問題が生じる虞がある。また、インク吐出孔と重なったインク流路壁部が障害物となり、気泡の巻き込みやインク吐出方向の曲がりなどの吐出不安定要因となる。
【0014】
本発明は、このような実情に鑑みてなされ、インク吐出孔を高密度に配置しても、所望の大きさの噴射液滴サイズを得られるインク吐出孔形状を具備したインク吐出装置及びその製造方法を提供することを目的とする。
【0015】
【課題を解決するための手段】
本発明は、上述の課題を解決するための手段を以下のように構成している。
【0016】
(1)インクを噴射するためにインクにエネルギーを与えるヘッド部に形成された、少なくとも1つ以上のインク流路の端部開口部に面して、インクの噴射口となるインク吐出孔が形成されたインク吐出装置において、
前記インク吐出孔は、インク出口側開口部の内径が、インク入口側開口部の内径よりも小さく設定されてテーパー状に形成され、かつ、前記インク出口側開口部の形状が、前記インク流路の端部開口部の縦方向と同一向きに設定された長軸と、該長軸に直交する短軸と、を有する閉ループ状に形成されることを特徴とする。
【0017】
この構成においては、インク吐出孔の出口側開口部(及び入口側開口部)を、インク流路開口部の形状に合わせた長軸と短軸を有する閉ループ状に形成することで、より狭いインク流路間においてもインク吐出孔がインク流路開口部内に収まりやすくなるため、インク吐出孔を高密度に配列しても、充分な開口面積を有するインク流路の出口側開口部の形成が容易となる。
【0018】
また、インク吐出孔におけるインク出口側開口部の内径を、インク入口側開口部の内径よりも小さく設定しているため、インク吐出後のインク面のメニスカスが安定化して気泡の引き込みがなく、飛翔特性が安定化する。
【0019】
(2)前記インク吐出孔の出口側開口部の形状が、前記短軸と長軸に対してそれぞれ軸対称に形成されていることを特徴とする。
【0020】
この構成においては、インク吐出孔列が短軸方向に形成され、かつ、各インク吐出孔が、それぞれ短軸(及び長軸)に対して軸対称に形成されため、インク吐出孔を高密度に配置した場合においても、インク流路の狭い開口部に、所望のインク吐出孔出口側開口面積を有するインク吐出孔を容易かつ適切に収めることができる。
【0021】
(3)前記インク吐出孔の出口側開口部の形状が、長円または楕円であることを特徴とする。
【0022】
この構成においては、インク吐出孔の出口側開口部の形状を、長円または楕円としたことで、その短軸方向に、インク吐出孔列を高密度に配列することができ、かつ、その場合においても、インク流路の狭い開口部に、所望のインク吐出孔出口側開口面積を有するインク吐出孔を収めやすくなる。
【0023】
(4)前記インク吐出孔の出口側開口部における内径の短軸長さをa、長軸長さをbとした場合に、
0.25≦a/b<1.0・・・・・・・・・(1)式
上記(1)式が満たされることを特徴とする。
【0024】
この構成においては、長軸と短軸の比を、上記(1)式の範囲に設定するので、インク噴射の吐出安定化を実現できる。
【0025】
(5)前記インク吐出孔の出口側開口部の短軸部のテーパー角度が長軸部のテーパー角度よりも小さいことを特徴とする。
【0026】
この構成においては、インク吐出孔の入口側開口部においてインク吐出孔がインク流路開口部の壁面に重なることはなく、より大きく広いインク吐出孔出口側開口部を形成できるため、ノズルプレート接合時の貼り合わせ精度に余裕が生じ、ノズルプレートの接合工程における歩留まりが向上する。
【0027】
(6)前記インク吐出孔の加工にレーザ光を用いることを特徴とする。
【0028】
この構成においては、高い加工精度を必要とするインク吐出孔の微細形状を安定的に精度良く作製でき、インク噴射の吐出安定化が達成できる。尚、そのレーザ光による加工は、エキシマレーザによる加工であることが好ましい。
【0029】
(7)前記インク吐出孔を形成するノズルプレート基材として、紫外線を吸収する有機材料を用い、その基材厚をtとすると、
20μm≦t≦100μm・・・・・・・・・(2)式
上記(2)式が満たされることを特徴とする。
【0030】
この構成においては、上述の板厚のノズルプレート基材を用いれば、(レーザー加工により、)吐出状態が安定なインク吐出孔を形成することができる。
【0031】
(8)輪郭が、長軸と、該長軸に直交する短軸と、を有する閉ループ状に形成され、かつ、その長軸と短軸に対して軸対称な形状をなすマスクパターンを用いて、レーザ加工装置により紫外線を吸収する有機材料からなるノズルプレート基材を加工してインク吐出孔を形成し、そのインク吐出孔の長軸方向を、インク流路開口部の縦方向と同一向きに設定して、前記インク吐出孔が形成されたノズルプレートを、ヘッド部に対して接合することを特徴とする。
【0032】
この製造方法においては、マスクパターンを用いたレーザ加工により、高密度な配列が可能で、充分な開口面積を有するインク流路の出口側開口部の形成が容易なインク吐出孔を高精度に形成することができ、しかも接着剤等によりインク吐出に影響を及ぼすことのないように、ノズルプレートを接合することができ、インク吐出状態の安定したインク吐出装置を製造することができる。
【0033】
【発明の実施の形態】
以下に、本発明の実施の形態に係るインク吐出装置及びその製造方法について図面を参照しつつ詳細に説明する。
【0034】
(実施の形態1,2)
図1は楕円形状のインク吐出孔4を有す実施の形態1のインク吐出装置を示し、図2は長円形状のインク吐出孔4を有する実施の形態2のインク吐出装置を示す。以下、これらの図を参照しつつ圧電駆動で作動するインクジェットヘッドを例として説明する。
【0035】
ヘッド部2は、圧電基板21とカバー部材22とを接着・一体化してなり、その圧電基板21には、分極処理を施したチタン酸ジルコン酸鉛(PZT)やチタン酸鉛(PZ)などの圧電性セラミック基板にダイアモンドブレードを用いて溝加工し、溝深さ約200μm、溝幅約40μmの互いに平行なインク流路用の溝を複数条形成する。
【0036】
そして、溝内部に蒸着装置、スパッタリング装置またはプラズマCVD装置などを用いた真空蒸着法やメッキ法を用いて、Cu、Al、Ni、Cr、Auといった導電性を有する金属膜を形成した後、カバー部材22で溝上部を閉塞してインク流路3を形成する。
【0037】
ノズルプレート1は、その表面に撥インク性を有する撥液層を形成した後、エキシマレーザなどのレーザ加工装置を用いて、インク吐出孔4を高精度に加工する。その加工では、ノズルプレート内面側にレーザ光を入射させ、内面側のインク入口側開口部の内径が、インク出口側開口部の内径より大きいテーパー状となるように、インク流路3の中心部に対応する部位にインク流路3と同数のインク吐出孔4を形成する。
【0038】
すなわち、図1(実施の形態1)の場合、インク吐出孔4におけるインク出口側開口部における短軸a1 と長軸b1 及びインク入口側開口部における短軸a2 と長軸b2 の間には、a1 <a2 ,b1 <b2 なる関係が成立する。また、図2(実施の形態2)の場合、インク吐出孔4におけるインク出口側開口部における短軸a3 と長軸b3 及びインク入口側開口部における長軸a4 と短軸b4 の間には、a3 <a4 ,b3 <b4 なる関係が成立する。
【0039】
さらに、インク吐出孔4の出口側開口部における内径の短軸長さaと長軸長さbとの間には、
0.25≦a/b<1.0・・・・・・・・・(1)式
上記(1)式の関係が満たされることが好ましい。長軸と短軸の長さの比を、このような範囲に設定することで、インク噴射の吐出状態が安定化する。
【0040】
また、ノズルプレート1の基材は、レーザ加工に適した材料が好ましく、例えば、波長域が200nmから400nmの紫外線を吸収する有機材料としてポリイミドを用い、その基材厚を、例えば、50μmとする。その基材厚については、上述のように、インク吐出孔4をレーザ光の入射面と出射面で開口部の面積が異なるテーパー状に形成するため、基材厚をtとすると、
20μm≦t≦100μm・・・・・・・・・(2)式
上記(2)式が満たされるのが好ましい。
【0041】
この板厚については、基材厚tが20μmより薄い基材では、インク吐出装置内に充填されたインクに負圧を与えた場合などにおいて、装置内部へインク吐出孔4を通して気泡を巻き込み易く、吐出が不安定となりやすい。
【0042】
一方、100μmより厚い基材では、テーパー角度によりレーザ光入射部でのインク吐出孔4のインク入口側開口部を、液滴サイズに必要なインク出口開口部の面積に合せて形成すると、その開口部が大きくなりすぎ、狭ピッチに配置されたインク吐出孔配置ではインク吐出孔4のインク入口側開口部の周縁がインク流路3の壁部と重なる可能性が大きくなる。また、基材が厚いことで、レーザによる加工精度のばらつきが大きくなり、噴射液滴サイズを決める主な要素となるインク吐出孔4の出口側開口部の面積の形状精度を安定化できなくなる。
【0043】
(比較例1)
ところで、本実施の形態におけるインク吐出孔4のピッチは、300dpi(dot per inch)、即ち85μmに設定している。そのため、前述したインク流路3の開口部において、溝深さが約200μm、溝幅が約40μmの溝が形成される場合に、所定の噴射液滴を実現するために、インク吐出孔4を、例えば図3(a),(b)に示すようなインク入口側開口部とインク出口開口部を共に真円形状とした比較例1では、出口側開口部の内径が28μm、表面積が約615μm2 のインク吐出孔4を形成しようとすると、インク吐出孔4の入口側開口部ではテーパー角度により内径が約60μmの真円形状となる。従って、40μmの溝幅より大となる結果、入口側開口部の周縁がインク流路3の壁部と重なってしまうことになる。このような場合には、インク流路壁部が障害物となり、気泡の巻き込みやインク吐出方向の曲がりなどの吐出不安定要因となる。
【0044】
(比較例2)
この点に関しては、同様に、特許文献2に記載されたように、インク吐出孔4の出口側開口部を真円、入口側開口部を楕円とした構成においても、ノズルプレート1の基材厚を50μmとした場合には、インク吐出孔のテーパー角度を考慮すると、入口側での開口部ではインク流路3の溝幅に余裕がなく、ノズルプレート接合時の接合精度を加味するとインク吐出孔4の一部がインク流路3の壁部と重なる可能性が大きくなる。
【0045】
上述の比較例1,2におけるように、インク吐出孔4の入口側開口部の内径が溝幅よりも大となる場合には、入口側開口部が溝からはみ出して楔状部分ができ、その部分でインクの流れが乱されるため、インク吐出状態が不安定となり、飛翔特性も低下する。また、その楔状部分にインクが溜まりやすくなるため、ノズル部の清掃が面倒になる。
【0046】
(実験例1,2,3)
これに対して、実験例1では(図2参照)、インク吐出孔4の入口側開口部の短軸長さa4 を29.5μm、長軸長さb4 を58μmとし、出口側開口部の短軸長さa3 を17μm、長軸長さb3 を41μmとして、入口側出口側共に長円形状のインク吐出孔4を形成した。
【0047】
その際、レーザー加工では、長軸部と短軸部で其々異なるテーパー角度を有するインク吐出孔4を形成することができ、その際、短軸部のテーパー角度t1 が、長軸部のテーパー角度t2 よりも小さくなるため、インク吐出孔4の入口側の短軸部があまり大きくならず、インク流路3に対するインク吐出孔4の大きさについての余裕度が大となる。これにより、インク吐出孔4の位置に多少の誤差があった場合でも、その誤差を吸収することができるため、ノズルプレート1の接合工程で有利となる。すなわち、インク吐出孔4のテーパー角度については、
短軸部のテーパー角度t1 <長軸部のテーパー角度t2 ・・・(3)
上記(3)式が満たされることが好ましい。尚、この点に関しては、図1の場合(図示省略)も同様である。
【0048】
以上のように形成したインク吐出孔4のインク吐出方向の安定性を評価するために、短軸長さaと長軸長さbの比率の異なるインク吐出孔4を製作してそれぞれについて吐出実験を行った。
【0049】
その実験は、前述の実験例1のインク吐出孔4と比較するため、実験例2の試験片として、インク吐出孔4の出口側長軸長さbを63μm、短軸長さaを17μmとして入口出口共に長円形状のインク吐出孔4を形成したものを製作した。
また、実験例3の試験片としては、インク吐出孔4の出口側長軸長さbを69μm、短軸長さaを17μmとし、より細長く入口出口共に長円形状のインク吐出孔4を形成したものを製作した。
【0050】
次に、上記実験例1、実験例2、実験例3の各ノズルプレート1を其々ヘッド部2のノズルプレート接着面に約2μm程度の厚さでエポキシ系液状接着剤を転写した後、各インク吐出孔4がインク流路3の中心位置となるように位置合わせを行い、かつインク吐出孔4の出口側開口部の長軸方向がインク流路開口部の縦方向と一致するようにノズルプレート1とヘッド部2を加圧接着した。
【0051】
実験では、各ノズルプレート1を接合したヘッド部2にインクを導入して電界を印加して、その飛翔状態を観察し比較した。その結果、表1に示すように、実験例3においては、短軸と長軸の比率が0.25以下であり、吐出状態が安定しない結果(吐出状態不安定)となった。
【0052】
【表1】
【0053】
また、出口側開口部の開口面積を同等にして、短軸長さaと長軸長さbの比率を変化させた状態のインク吐出孔4も製作して、上記と同様の吐出実験を行った。その結果は前述と同様で、短軸長さaと長軸長さbの比率が0.25より小さい場合には、吐出状態が安定しなかった。
【0054】
以上の実験を通じて、インク吐出孔4の出口側開口部の短軸長さaと長軸長さbの比率は前記(1)式に示す範囲が良好であることを確認することができた。
【0055】
【発明の効果】
以上の説明から明らかなように、本発明は、以下の効果を奏する。
【0056】
(1)インク吐出孔の出口側開口部(及び入口側開口部)を、インク流路開口部の形状に合わせた長軸と短軸を有する閉ループ状に形成することで、狭いインク流路間においてもインク吐出孔がインク流路開口部内に収まりやすくなるため、インク吐出孔を高密度に配列しても、充分な開口面積を有するインク流路の出口側開口部の形成が容易となる。
【0057】
また、インク吐出孔におけるインク出口側開口部の内径を、インク入口側開口部の内径よりも小さく設定しているため、インク吐出後のインク面のメニスカスが安定化して気泡の引き込みがなく、飛翔特性が安定化する。
【0058】
(2)インク吐出孔の出口側開口部の形状が、短軸と長軸に対してそれぞれ軸対称に形成されているので、インク吐出孔を高密度に配置した場合においても、インク流路の狭い開口部に、所望のインク吐出孔出口側開口面積を有するインク吐出孔を容易かつ適切に収めることができる。
【0059】
(3)インク吐出孔の出口側開口部の形状を、長円または楕円としたので、その短軸方向に、インク吐出孔列を高密度に配列することができ、かつ、その場合においても、インク流路の狭い開口部に、所望のインク吐出孔出口側開口面積を有するインク吐出孔を収めやすくなる。
【0060】
(4)インク吐出孔の出口側開口部における内径の短軸長さをa、長軸長さをbとした場合に、0.25≦a/b<1.0・・・・・・・・・(1)式が満たされるので、インク噴射の吐出安定化を実現できる。
【0061】
(5)インク吐出孔の出口側開口部の短軸部のテーパー角度が長軸部よりも小さいので、インク吐出孔の入口側開口部においてインク吐出孔がインク流路開口部の壁面と交差せず、より大きく広いインク吐出孔出口側開口部を実現でき、ノズルプレート接合時の貼り合わせ精度に余裕が生じ、ノズルプレートの接合工程における歩留まりが向上する。
【0062】
(6)インク吐出孔の加工にレーザ光を用いるので、高い加工精度を必要とするインク吐出孔の微細形状を安定的に精度良く作製でき、インク噴射の吐出安定化が達成できる。
【0063】
(7)インク吐出孔を形成するノズルプレート基材として、紫外線を吸収する有機材料を用い、その基材厚をtとすると、20μm≦t≦100μm・・・・・・・・・(2)式が満たされるので、(レーザー加工により、)吐出状態が安定なインク吐出孔を形成することができる。
【0064】
(8)マスクパターンを用いたレーザ加工により、高密度な配列が可能で、充分な開口面積を有するインク流路の出口側開口部の形成が容易なインク吐出孔を高精度に形成することができ、しかも接着剤等によりインク吐出に影響を及ぼすことのないように、ノズルプレートを接合することができ、インク吐出状態の安定したインク吐出装置を製造することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施の形態に係る楕円形状のインク吐出孔を有すインク吐出装置の説明図である。
【図2】同別の実施の形態に係る長円形状のインク吐出孔を有すインク吐出装置の説明図である。
【図3】同比較例としての真円形状のインク吐出孔を有すインク吐出装置の説明図である。
【図4】従来例のインク吐出装置の一例を示す一部破断斜視図である。
【図5】同インク吐出孔の一例を示すノズルプレートの斜視図である。
【符号の説明】
1−ノズルプレート
2−ヘッド部
3−インク流路
4−インク吐出孔
a−短軸長さ
b−長軸長さ
t1 −短軸部のテーパー角度
t2 −長軸部のテーパー角度
Claims (8)
- インクを噴射するためにインクにエネルギーを与えるヘッド部に形成された、少なくとも1つ以上のインク流路の端部開口部に面して、インクの噴射口となるインク吐出孔が形成されたインク吐出装置において、
前記インク吐出孔は、インク出口側開口部の内径が、インク入口側開口部の内径よりも小さく設定されてテーパー状に形成され、かつ、
前記インク出口側開口部の形状が、前記インク流路の端部開口部の縦方向と同一向きに設定された長軸と、該長軸に直交する短軸と、を有する閉ループ状に形成されることを特徴とするインク吐出装置。 - 前記インク吐出孔の出口側開口部の形状が、前記短軸と長軸に対してそれぞれ軸対称に形成されていることを特徴とする請求項1に記載のインク吐出装置。
- 前記インク吐出孔の出口側開口部の形状が、長円または楕円であることを特徴とする請求項1または2に記載のインク吐出装置。
- 前記インク吐出孔の出口側開口部における内径の短軸長さをa、長軸長さをbとした場合に、
0.25≦a/b<1.0・・・・・・・・・(1)式
上記(1)式が満たされることを特徴とする請求項1ないし3のいずれかに記載のインク吐出装置。 - 前記インク吐出孔の出口側開口部の短軸部のテーパー角度が長軸部のテーパー角度よりも小さいことを特徴とする請求項1ないし4のいずれかに記載のインク吐出装置。
- 前記インク吐出孔の加工にレーザ光を用いることを特徴とする請求項1ないし5のいずれかに記載のインク吐出装置。
- 前記インク吐出孔を形成するノズルプレート基材として、紫外線を吸収する有機材料を用い、その基材厚をtとすると、
20μm≦t≦100μm・・・・・・・・・(2)式
上記(2)式が満たされることを特徴とする請求項1ないし6のいずれかに記載のインク吐出装置。 - 輪郭が、長軸と、該長軸に直交する短軸と、を有する閉ループ状に形成され、かつ、その長軸と短軸に対して軸対称な形状をなすマスクパターンを用いて、レーザ加工装置により紫外線を吸収する有機材料からなるノズルプレート基材を加工してインク吐出孔を形成し、そのインク吐出孔の長軸方向を、インク流路開口部の縦方向と同一向きに設定して、前記インク吐出孔が形成されたノズルプレートを、ヘッド部に対して接合することを特徴とする請求項1ないし7のいずれかに記載のインク吐出装置の製造方法。
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