JP2004167554A - 鍛造プレス装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】鍛造物の加工材料として厚さにばらつきのあるものを使用しても、成形加工時に、高い位置精度で金型及びダイセットを保持することができる鍛造プレス装置を提供する。
【解決手段】下金型(第1金型)3を取付けた下ダイセット(第1ダイセット)1と、上金型(第2金型)4を取付けた上ダイセット(第2ダイセット)2と備え、プレス装置により上金型4及び下金型3との間で加工材料5を配置して鍛造プレスを行うことにより、加工材料から鍛造物を成形する鍛造プレス装置であって、下ダイセット1は開口したスライド穴1Aを有する有底略筒状のもので構成するとともに、上ダイセット2は、スライド穴1Aにスライド自在に嵌合する略柱状のものから構成し、プレス装置で上ダイセット2が下ダイセット1のスライド穴1Aに押し込むことにより、上金型4及び下金型3との間で加工材料5を鍛造するように構成した。
【選択図】 図1
【解決手段】下金型(第1金型)3を取付けた下ダイセット(第1ダイセット)1と、上金型(第2金型)4を取付けた上ダイセット(第2ダイセット)2と備え、プレス装置により上金型4及び下金型3との間で加工材料5を配置して鍛造プレスを行うことにより、加工材料から鍛造物を成形する鍛造プレス装置であって、下ダイセット1は開口したスライド穴1Aを有する有底略筒状のもので構成するとともに、上ダイセット2は、スライド穴1Aにスライド自在に嵌合する略柱状のものから構成し、プレス装置で上ダイセット2が下ダイセット1のスライド穴1Aに押し込むことにより、上金型4及び下金型3との間で加工材料5を鍛造するように構成した。
【選択図】 図1
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、加工材料に精密鍛造プレスを行うことにより、鍛造物を精密に成形することができる鍛造プレス装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
鍛造プレス装置としては、例えば図2に示すように、主に、下ダイセット101、上ダイセット102及び図示しないプレス装置で構成されているとともに、この下ダイセット101及び上ダイセット102には、それぞれ下金型103及び上金型104が図示外のクランパを介して着脱可能な状態で固定されているものが知られている。
【0003】
また、通常、下ダイセット101は、図示しない鍛造用のプレス装置のベッドに固定されているとともに、この下ダイセット101にはガイドポスト105が固定されている。一方、上ダイセット102には、ガイドポスト105を貫通するガイドブッシュ106が固定されており、図示しない鍛造用のプレス装置のラムとともにガイドポスト105に沿って昇降するように構成されている(例えば、特許文献1、2参照。)。
そして、このような鍛造プレス装置によれば、下金型103と上金型104との間に加熱した加工材料107を挟んで押圧し、金型に合わせた鍛造物を成形するように構成されている。
【0004】
次に、従来の鍛造プレスによる部品の鍛造プレス加工方法について説明する。
▲1▼初めに、下金型103に鍛造しようとする加工材料107をセットしておく。
▲2▼次に、プレス装置のラムとともに上ダイセット102を、ガイドポスト105に沿って降下させる。
▲3▼そして、必要に応じて所要の温度に加熱した状態で、この加工材料107を上金型104と下金型103とによって挟んで押圧し、鍛造プレスを行う。
▲4▼この鍛造プレスにより、加工材料107を所望の形状に鍛造加工する。
【0005】
なお、部品によっては、複数の鍛造加工を経てはじめて完成するものもあり、この場合には、各加工毎にクランパを操作し、その加工段階に応じた固有の金型を上下の各ダイセットに取付け直し、異なる金型を用いて鍛造加工を行うこともある。
【0006】
【特許文献1】
実開平6−23638号公報 (第5頁、図3)
【特許文献2】
特開平7−314057号公報 (第2頁右欄、図6)
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、このような鍛造プレス装置にあっては、例えば鍛造すべき加工材料107として、図2に示すような厚さにばらつきのあるものを使用すると、鍛造プレス加工の際、プレス装置によって上ダイセット102を下降させていき、上金型104と下金型103とで加工材料107を挟み込むと、上金型104が加工材料107の最も厚い部分を支点として、厚さの薄い脆弱な部分へ向けて傾こうとする力が発生する。
そして、これに伴い、上金型104を固定している上ダイセット102にも、同様に上金型104の傾き方向と同じ方向へ傾こうとする力が発生する。
【0008】
ところで、上ダイセット102は、プレス加工時の位置或いは姿勢の精度を、ガイドブッシュ106を介してガイドポスト105により保っているが、上ダイセット102が傾斜するとガイドブッシュ106も傾き、最終的には、図3のように、ガイドポスト105が曲がってしまう恐れがある。その結果、上金型104と下金型103との双方について、所要の位置精度を確保できなくなるため、目的の形状に鍛造加工することができなくなる、といった不都合をもたらしている。
【0009】
本発明は、上記した事情に鑑み、鍛造物の加工材料として厚さにばらつきのあるものを使用しても、成形加工時に、高い位置精度で金型及びダイセットを保持することができる鍛造プレス装置を提供することを目的とするものである。
【0010】
【課題を解決するための手段】
この発明の鍛造プレス装置は、第1金型を取付けた第1ダイセットと、第2金型を取付けた第2ダイセットと備え、プレス装置により前記第1金型及び第2金型との間で加工材料を配置して鍛造プレスを行うことにより、前記加工材料から鍛造物を成形する鍛造プレス装置であって、
前記第1ダイセットは、開口したスライド穴を有する有底略筒状のもので構成されるとともに、前記第2ダイセットは、前記スライド穴にスライド自在に嵌合する略柱状のもので構成され、
前記プレス装置で前記第2ダイセットを前記第1ダイセットの前記スライド穴に押し込むことにより、前記第1金型及び第2金型との間で前記加工材料を鍛造するように構成したことを特徴としている。
【0011】
これにより、鍛造物の加工材料として厚さにばらつきのあるものを使用しても、成形加工時に、高い位置精度で金型及びダイセットを保持することができる。
【0012】
また、この発明の鍛造プレス装置は、前記スライド穴は、円筒状を有するとともに、
前記第2ダイセットは、前記円筒状の前記スライド穴にスライド自在に嵌合する円柱状を有することを特徴としている。
【0013】
これにより、第2ダイセットを外挿する第1ダイセットには、半径方向の全周に亙り強度的に脆弱な部分が発生し難いので、常時安定した状態で第2ダイセットをガイドすることができ、高品質の鍛造プレスを行うことができる。
【0014】
また、この発明の鍛造プレス装置は、前記第1ダイセットとこれに嵌合する前記第2ダイセットとの嵌合長さは、前記第1ダイセットの外径寸法よりも大きいことを特徴としている。
【0015】
これにより、第2ダイセットのスライド(軸)方向について十分な強度が確保できるので、スライド方向についても、常時安定した状態で第2ダイセットをガイドすることができ、高品質の鍛造プレスを行うことができる。
【0016】
また、この発明の鍛造プレス装置は、前記第1ダイセットは、少なくとも、前記第2ダイセットよりも高剛性を有することを特徴としている。
【0017】
これにより、第1ダイセットは、半径方向及びスライド(軸)方向について十分な強度が得られるので、さらに一層安定した状態で第2ダイセットをガイドすることができ、高品質の鍛造プレスを行うことができる。
【0018】
また、この発明の鍛造プレス装置は、前記加工材料は、前記鍛造プレスを行うべき被加工面若しくは前記被加工面とは反対面に段差或いは凹凸を有することを特徴としている。
【0019】
これにより、第1ダイセットが第2ダイセットを安定した状態でガイドすることができるので、加工材料に厚さにムラを生じているものを用いる場合であっても、厚さの薄い方向に第2ダイセットが傾斜したり、折れ曲がったりするのを確実に防止できる。その結果、被加工面若しくは被加工面とは反対面に段差或いは凹凸を有する加工材料であっても、高品質の鍛造プレスを行うことができる。
【0020】
【発明の実施の形態】
以下、この発明に係る実施の形態について、添付図面を参照しながら詳細に説明する。
図1は、この発明の実施の形態に係る鍛造プレス装置を示すものであり、この鍛造プレス装置は、大略構成として、下ダイセット(第1ダイセットを構成する)1及び上ダイセット(第2ダイセットを構成する)2と、下金型(第1金型を構成する)3及び上金型(第2金型を構成する)4と、図示外の鍛造用のプレス装置とを備えている。
【0021】
下ダイセット1は、従来のものと同様に、前述した図示外のプレス装置のベッドに固定されており、図示外のクランパにより適宜の下金型3を着脱自在に取付けているが、従来の下ダイセットとは異なり、本発明の下ダイセット1にはガイドポストが突設されておらず、自分自身がこのガイドポストとしての機能を備えている。
即ち、この下ダイセット1は、中央部に上面から開口したスライド穴1Aを有する有底略筒状のもので構成されており、特に本実施の形態では、スライド穴1Aが円筒状に形成され、このスライド穴1A自身が上ダイセット2のスライド動作をガイドするように構成されている。
【0022】
上ダイセット2は、従来のものと同様に、前述した図示外のプレス装置のラムに固定されており、油圧シリンダの油圧力(或はメカニカルな適宜の加圧手段などでもよい)により下ダイセット1に向けて昇降しながらスライド穴1Aにスライド自在に入り込んで嵌合するようになっている。
この上ダイセット2は、下ダイセット1の略円筒状のスライド穴1Aに対応して略円柱状に形成されているが、特に、本実施の形態では、特にスライド方向に沿ってより精度の高い昇降動作を確保するために、下ダイセット1と上ダイセット2との嵌合部分の長さ(L)は、少なくとも上ダイセット2の外径寸法(D)よりも長くなるように、つまり次式
L>D
を満たすように構成されている。
【0023】
また、本実施の形態の下ダイセット1は、従来のものと同様に、図示外のクランパにより適宜の下金型3を着脱自在に取付けているが、従来の上ダイセット2とは異なり、ガイドポストを嵌挿させるガイドブッシュを必要としない構成となっているため、簡易な構造に形成されている。
即ち、この下ダイセット1は、従来は下ダイセットに付設していたガイドポストとしても機能するようになっており、スライド穴1Aの全周に亙る内面部分がガイドポストとして機能するので、従来のガイドポストに比べて強度が格段に高まり、ガイドポストが折曲するといったトラブルの発生が防止できるようになっている。
なお、この下ダイセット1は、少なくとも、上ダイセット2と同一若しくはこれよりも高い剛性を有する適宜の超硬材料、セラミック、或は焼き入れなどによって形成されている。
【0024】
下金型3及び上金型4は、それぞれ、図示外のクランパを介して着脱可能な状態で固定されており、必要に応じて上下のダイセット2、1から適宜交換可能になっている。また、これら上下の金型4、3は、例えば、ピンを用いて位置決めしたり、溝に嵌めこんで位置決めするなど、従来のものと同様に、公知の各種手段によって正確な位置決めが行えるようになっている。
【0025】
なお、この下金型3及び上金型4は、鍛造物(加工材料5に鍛造プレス加工を行って成形させた完成品)の形状などに応じて、例えば鍛造物の形状が単純な形状などであれば、上下1組のものを用いて付け替えずに形成してもよいが、鍛造物の形状が複雑な形状などであれば、複数の異なる組のものを用いて、従来と同様に、クランパを操作し、上下のダイセット2、1から上下の金型4、3を着脱して異なる別の上下の金型と適宜交換しながら、最終的に所望の形状の鍛造物を形成できるように構成してもよい。
【0026】
加工材料5としては、軟質の金属、例えばアルミニウム(Al)ばかりでなく比較的硬質の金属、例えば鉄や銅などであっても精密鍛造が可能となっており、本実施の形態では、鍛造物としてFDDやDVDなどに用いる流体軸受け等を形成するようになっている。
例えば、本実施形態では、鍛造物を形成するために用いる加工材料5としては、鍛造プレス加工する前の材料の段階から被加工面(鍛造プレスを行うべき面)がフラットな形状を呈しておらず、段差51や傾斜面を有しているものを用いているが、加工前はフラットな面形状を有するものに対して鍛造プレスを行うことで、プレス後(加工後の鍛造物)に段差や傾斜面を呈するようになるものであってもよい。
【0027】
次に、本実施の形態に係る鍛造プレス装置による鍛造プレス方法について説明する。
▲1▼初めに、下金型3に鍛造しようとする加工材料5をセットするとともに、所望の下金型3及び上金型4をそれぞれ下ダイセット1及び上ダイセット2に取付ける。なお、このとき用いる加工材料5には、鍛造プレスを行うべき被加工面である上面5A(若しくは被加工面とは反対面である下面5Bでもよい)にある程度大きな段差51(或いは凹凸でもよい)を有するものが用いられている。
【0028】
▲2▼次に、下ダイセット1のスライド穴1Aに内挿された上ダイセット2を、プレス装置のラムによってスライド穴1Aの奥部(底部)に向けて降下させていく。これにより、上ダイセット2は、外周面2Aが下ダイセット1のスライド穴1Aの内周面にガイドされながら、滑らかに降下していくことができる。
【0029】
▲3▼そして、必要に応じて所要の温度に加熱した状態で、この加工材料5を上金型4と下金型3とによって挟んで押圧し、鍛造プレスを行う。
【0030】
▲4▼この鍛造プレスにより、加工材料5を所望の形状に鍛造プレス加工して、精密な鍛造物を成形することができる。また、この鍛造プレスの際に、加工材料5は段差51部分を境界として厚さが異なるが、上ダイセット2は、外周面2Aが下ダイセット1のスライド穴1Aの内周面に堅固に拘束された状態にある。従って、中心軸Oから振れることがないので、従来のガイドポストの折れ曲がり現象が発生した場合のように、上ダイセット2が傾いて加工材料5がいびつに加工されたりするなどの加工不良を起こすことが防止されている。
【0031】
従って、本実施の形態によれば、加工材料5の加工面に初めから段差や傾斜があるために厚さにある程度大きなムラがある場合であっても、下ダイセット1の半径方向全周に亙って上ダイセット2を取り囲むような状態で設けてある外周縁側の部分が上ダイセット2を側方に変移するのを高剛性力で抑止しているので、加工材料5の厚さムラに起因して上ダイセット2が傾いたり折れ曲がるといったトラブルが発生するのを、全方向から確実に阻止できる。
【0032】
また、本実施の形態によれば、構造が非常にシンプルであるので、鍛造プレス装置自体の製造が容易であるとともに鍛造プレス装置自体の製造コストを削減することができ、かつ、鍛造加工する部品の製造コストの削減にもつながり、しかも故障などの発生も少なくなるとともに保守管理も容易となるので、便宜である。
【0033】
【発明の効果】
以上説明してきたように、この発明では、第1金型を取付けた第1ダイセットと、第2金型を取付けた第2ダイセットと備え、プレス装置により第1金型及び第2金型との間で加工材料を配置して鍛造プレスを行うことにより、加工材料から鍛造物を形成する鍛造プレス装置であって、第1ダイセットは、開口したスライド穴を有する有底略筒状のもので構成されるとともに、第2ダイセットは、スライド穴にスライド自在に嵌合する略柱状のもので構成され、プレス装置で第2ダイセットを第1ダイセットのスライド穴に押し込むことにより、第1金型及び第2金型との間で加工材料を鍛造するように構成している。
【0034】
従って、鍛造物の加工材料として厚さにばらつきのあるものを使用しても、成形加工時に、高い位置精度で金型及びダイセットを保持することができる鍛造プレス装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の鍛造プレス装置を示すものであり、(A)は概略縦断面図、(B)は概略横断面図である。
【図2】従来の鍛造プレス装置を示す概略断面図である。
【図3】図2に示す従来の鍛造プレス装置によって発生するガイドポストの折れ曲がり現象などの欠点を示す説明図である。
【符号の説明】
1 下ダイセット(第1ダイセット)
1A スライド穴
2 上ダイセット(第2ダイセット)
3 下金型(第1金型)
4 上金型(第2金型)
5 加工材料
5A 上面(加工面)
5B 下面
51 段差
O 中心軸
【発明の属する技術分野】
本発明は、加工材料に精密鍛造プレスを行うことにより、鍛造物を精密に成形することができる鍛造プレス装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
鍛造プレス装置としては、例えば図2に示すように、主に、下ダイセット101、上ダイセット102及び図示しないプレス装置で構成されているとともに、この下ダイセット101及び上ダイセット102には、それぞれ下金型103及び上金型104が図示外のクランパを介して着脱可能な状態で固定されているものが知られている。
【0003】
また、通常、下ダイセット101は、図示しない鍛造用のプレス装置のベッドに固定されているとともに、この下ダイセット101にはガイドポスト105が固定されている。一方、上ダイセット102には、ガイドポスト105を貫通するガイドブッシュ106が固定されており、図示しない鍛造用のプレス装置のラムとともにガイドポスト105に沿って昇降するように構成されている(例えば、特許文献1、2参照。)。
そして、このような鍛造プレス装置によれば、下金型103と上金型104との間に加熱した加工材料107を挟んで押圧し、金型に合わせた鍛造物を成形するように構成されている。
【0004】
次に、従来の鍛造プレスによる部品の鍛造プレス加工方法について説明する。
▲1▼初めに、下金型103に鍛造しようとする加工材料107をセットしておく。
▲2▼次に、プレス装置のラムとともに上ダイセット102を、ガイドポスト105に沿って降下させる。
▲3▼そして、必要に応じて所要の温度に加熱した状態で、この加工材料107を上金型104と下金型103とによって挟んで押圧し、鍛造プレスを行う。
▲4▼この鍛造プレスにより、加工材料107を所望の形状に鍛造加工する。
【0005】
なお、部品によっては、複数の鍛造加工を経てはじめて完成するものもあり、この場合には、各加工毎にクランパを操作し、その加工段階に応じた固有の金型を上下の各ダイセットに取付け直し、異なる金型を用いて鍛造加工を行うこともある。
【0006】
【特許文献1】
実開平6−23638号公報 (第5頁、図3)
【特許文献2】
特開平7−314057号公報 (第2頁右欄、図6)
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、このような鍛造プレス装置にあっては、例えば鍛造すべき加工材料107として、図2に示すような厚さにばらつきのあるものを使用すると、鍛造プレス加工の際、プレス装置によって上ダイセット102を下降させていき、上金型104と下金型103とで加工材料107を挟み込むと、上金型104が加工材料107の最も厚い部分を支点として、厚さの薄い脆弱な部分へ向けて傾こうとする力が発生する。
そして、これに伴い、上金型104を固定している上ダイセット102にも、同様に上金型104の傾き方向と同じ方向へ傾こうとする力が発生する。
【0008】
ところで、上ダイセット102は、プレス加工時の位置或いは姿勢の精度を、ガイドブッシュ106を介してガイドポスト105により保っているが、上ダイセット102が傾斜するとガイドブッシュ106も傾き、最終的には、図3のように、ガイドポスト105が曲がってしまう恐れがある。その結果、上金型104と下金型103との双方について、所要の位置精度を確保できなくなるため、目的の形状に鍛造加工することができなくなる、といった不都合をもたらしている。
【0009】
本発明は、上記した事情に鑑み、鍛造物の加工材料として厚さにばらつきのあるものを使用しても、成形加工時に、高い位置精度で金型及びダイセットを保持することができる鍛造プレス装置を提供することを目的とするものである。
【0010】
【課題を解決するための手段】
この発明の鍛造プレス装置は、第1金型を取付けた第1ダイセットと、第2金型を取付けた第2ダイセットと備え、プレス装置により前記第1金型及び第2金型との間で加工材料を配置して鍛造プレスを行うことにより、前記加工材料から鍛造物を成形する鍛造プレス装置であって、
前記第1ダイセットは、開口したスライド穴を有する有底略筒状のもので構成されるとともに、前記第2ダイセットは、前記スライド穴にスライド自在に嵌合する略柱状のもので構成され、
前記プレス装置で前記第2ダイセットを前記第1ダイセットの前記スライド穴に押し込むことにより、前記第1金型及び第2金型との間で前記加工材料を鍛造するように構成したことを特徴としている。
【0011】
これにより、鍛造物の加工材料として厚さにばらつきのあるものを使用しても、成形加工時に、高い位置精度で金型及びダイセットを保持することができる。
【0012】
また、この発明の鍛造プレス装置は、前記スライド穴は、円筒状を有するとともに、
前記第2ダイセットは、前記円筒状の前記スライド穴にスライド自在に嵌合する円柱状を有することを特徴としている。
【0013】
これにより、第2ダイセットを外挿する第1ダイセットには、半径方向の全周に亙り強度的に脆弱な部分が発生し難いので、常時安定した状態で第2ダイセットをガイドすることができ、高品質の鍛造プレスを行うことができる。
【0014】
また、この発明の鍛造プレス装置は、前記第1ダイセットとこれに嵌合する前記第2ダイセットとの嵌合長さは、前記第1ダイセットの外径寸法よりも大きいことを特徴としている。
【0015】
これにより、第2ダイセットのスライド(軸)方向について十分な強度が確保できるので、スライド方向についても、常時安定した状態で第2ダイセットをガイドすることができ、高品質の鍛造プレスを行うことができる。
【0016】
また、この発明の鍛造プレス装置は、前記第1ダイセットは、少なくとも、前記第2ダイセットよりも高剛性を有することを特徴としている。
【0017】
これにより、第1ダイセットは、半径方向及びスライド(軸)方向について十分な強度が得られるので、さらに一層安定した状態で第2ダイセットをガイドすることができ、高品質の鍛造プレスを行うことができる。
【0018】
また、この発明の鍛造プレス装置は、前記加工材料は、前記鍛造プレスを行うべき被加工面若しくは前記被加工面とは反対面に段差或いは凹凸を有することを特徴としている。
【0019】
これにより、第1ダイセットが第2ダイセットを安定した状態でガイドすることができるので、加工材料に厚さにムラを生じているものを用いる場合であっても、厚さの薄い方向に第2ダイセットが傾斜したり、折れ曲がったりするのを確実に防止できる。その結果、被加工面若しくは被加工面とは反対面に段差或いは凹凸を有する加工材料であっても、高品質の鍛造プレスを行うことができる。
【0020】
【発明の実施の形態】
以下、この発明に係る実施の形態について、添付図面を参照しながら詳細に説明する。
図1は、この発明の実施の形態に係る鍛造プレス装置を示すものであり、この鍛造プレス装置は、大略構成として、下ダイセット(第1ダイセットを構成する)1及び上ダイセット(第2ダイセットを構成する)2と、下金型(第1金型を構成する)3及び上金型(第2金型を構成する)4と、図示外の鍛造用のプレス装置とを備えている。
【0021】
下ダイセット1は、従来のものと同様に、前述した図示外のプレス装置のベッドに固定されており、図示外のクランパにより適宜の下金型3を着脱自在に取付けているが、従来の下ダイセットとは異なり、本発明の下ダイセット1にはガイドポストが突設されておらず、自分自身がこのガイドポストとしての機能を備えている。
即ち、この下ダイセット1は、中央部に上面から開口したスライド穴1Aを有する有底略筒状のもので構成されており、特に本実施の形態では、スライド穴1Aが円筒状に形成され、このスライド穴1A自身が上ダイセット2のスライド動作をガイドするように構成されている。
【0022】
上ダイセット2は、従来のものと同様に、前述した図示外のプレス装置のラムに固定されており、油圧シリンダの油圧力(或はメカニカルな適宜の加圧手段などでもよい)により下ダイセット1に向けて昇降しながらスライド穴1Aにスライド自在に入り込んで嵌合するようになっている。
この上ダイセット2は、下ダイセット1の略円筒状のスライド穴1Aに対応して略円柱状に形成されているが、特に、本実施の形態では、特にスライド方向に沿ってより精度の高い昇降動作を確保するために、下ダイセット1と上ダイセット2との嵌合部分の長さ(L)は、少なくとも上ダイセット2の外径寸法(D)よりも長くなるように、つまり次式
L>D
を満たすように構成されている。
【0023】
また、本実施の形態の下ダイセット1は、従来のものと同様に、図示外のクランパにより適宜の下金型3を着脱自在に取付けているが、従来の上ダイセット2とは異なり、ガイドポストを嵌挿させるガイドブッシュを必要としない構成となっているため、簡易な構造に形成されている。
即ち、この下ダイセット1は、従来は下ダイセットに付設していたガイドポストとしても機能するようになっており、スライド穴1Aの全周に亙る内面部分がガイドポストとして機能するので、従来のガイドポストに比べて強度が格段に高まり、ガイドポストが折曲するといったトラブルの発生が防止できるようになっている。
なお、この下ダイセット1は、少なくとも、上ダイセット2と同一若しくはこれよりも高い剛性を有する適宜の超硬材料、セラミック、或は焼き入れなどによって形成されている。
【0024】
下金型3及び上金型4は、それぞれ、図示外のクランパを介して着脱可能な状態で固定されており、必要に応じて上下のダイセット2、1から適宜交換可能になっている。また、これら上下の金型4、3は、例えば、ピンを用いて位置決めしたり、溝に嵌めこんで位置決めするなど、従来のものと同様に、公知の各種手段によって正確な位置決めが行えるようになっている。
【0025】
なお、この下金型3及び上金型4は、鍛造物(加工材料5に鍛造プレス加工を行って成形させた完成品)の形状などに応じて、例えば鍛造物の形状が単純な形状などであれば、上下1組のものを用いて付け替えずに形成してもよいが、鍛造物の形状が複雑な形状などであれば、複数の異なる組のものを用いて、従来と同様に、クランパを操作し、上下のダイセット2、1から上下の金型4、3を着脱して異なる別の上下の金型と適宜交換しながら、最終的に所望の形状の鍛造物を形成できるように構成してもよい。
【0026】
加工材料5としては、軟質の金属、例えばアルミニウム(Al)ばかりでなく比較的硬質の金属、例えば鉄や銅などであっても精密鍛造が可能となっており、本実施の形態では、鍛造物としてFDDやDVDなどに用いる流体軸受け等を形成するようになっている。
例えば、本実施形態では、鍛造物を形成するために用いる加工材料5としては、鍛造プレス加工する前の材料の段階から被加工面(鍛造プレスを行うべき面)がフラットな形状を呈しておらず、段差51や傾斜面を有しているものを用いているが、加工前はフラットな面形状を有するものに対して鍛造プレスを行うことで、プレス後(加工後の鍛造物)に段差や傾斜面を呈するようになるものであってもよい。
【0027】
次に、本実施の形態に係る鍛造プレス装置による鍛造プレス方法について説明する。
▲1▼初めに、下金型3に鍛造しようとする加工材料5をセットするとともに、所望の下金型3及び上金型4をそれぞれ下ダイセット1及び上ダイセット2に取付ける。なお、このとき用いる加工材料5には、鍛造プレスを行うべき被加工面である上面5A(若しくは被加工面とは反対面である下面5Bでもよい)にある程度大きな段差51(或いは凹凸でもよい)を有するものが用いられている。
【0028】
▲2▼次に、下ダイセット1のスライド穴1Aに内挿された上ダイセット2を、プレス装置のラムによってスライド穴1Aの奥部(底部)に向けて降下させていく。これにより、上ダイセット2は、外周面2Aが下ダイセット1のスライド穴1Aの内周面にガイドされながら、滑らかに降下していくことができる。
【0029】
▲3▼そして、必要に応じて所要の温度に加熱した状態で、この加工材料5を上金型4と下金型3とによって挟んで押圧し、鍛造プレスを行う。
【0030】
▲4▼この鍛造プレスにより、加工材料5を所望の形状に鍛造プレス加工して、精密な鍛造物を成形することができる。また、この鍛造プレスの際に、加工材料5は段差51部分を境界として厚さが異なるが、上ダイセット2は、外周面2Aが下ダイセット1のスライド穴1Aの内周面に堅固に拘束された状態にある。従って、中心軸Oから振れることがないので、従来のガイドポストの折れ曲がり現象が発生した場合のように、上ダイセット2が傾いて加工材料5がいびつに加工されたりするなどの加工不良を起こすことが防止されている。
【0031】
従って、本実施の形態によれば、加工材料5の加工面に初めから段差や傾斜があるために厚さにある程度大きなムラがある場合であっても、下ダイセット1の半径方向全周に亙って上ダイセット2を取り囲むような状態で設けてある外周縁側の部分が上ダイセット2を側方に変移するのを高剛性力で抑止しているので、加工材料5の厚さムラに起因して上ダイセット2が傾いたり折れ曲がるといったトラブルが発生するのを、全方向から確実に阻止できる。
【0032】
また、本実施の形態によれば、構造が非常にシンプルであるので、鍛造プレス装置自体の製造が容易であるとともに鍛造プレス装置自体の製造コストを削減することができ、かつ、鍛造加工する部品の製造コストの削減にもつながり、しかも故障などの発生も少なくなるとともに保守管理も容易となるので、便宜である。
【0033】
【発明の効果】
以上説明してきたように、この発明では、第1金型を取付けた第1ダイセットと、第2金型を取付けた第2ダイセットと備え、プレス装置により第1金型及び第2金型との間で加工材料を配置して鍛造プレスを行うことにより、加工材料から鍛造物を形成する鍛造プレス装置であって、第1ダイセットは、開口したスライド穴を有する有底略筒状のもので構成されるとともに、第2ダイセットは、スライド穴にスライド自在に嵌合する略柱状のもので構成され、プレス装置で第2ダイセットを第1ダイセットのスライド穴に押し込むことにより、第1金型及び第2金型との間で加工材料を鍛造するように構成している。
【0034】
従って、鍛造物の加工材料として厚さにばらつきのあるものを使用しても、成形加工時に、高い位置精度で金型及びダイセットを保持することができる鍛造プレス装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の鍛造プレス装置を示すものであり、(A)は概略縦断面図、(B)は概略横断面図である。
【図2】従来の鍛造プレス装置を示す概略断面図である。
【図3】図2に示す従来の鍛造プレス装置によって発生するガイドポストの折れ曲がり現象などの欠点を示す説明図である。
【符号の説明】
1 下ダイセット(第1ダイセット)
1A スライド穴
2 上ダイセット(第2ダイセット)
3 下金型(第1金型)
4 上金型(第2金型)
5 加工材料
5A 上面(加工面)
5B 下面
51 段差
O 中心軸
Claims (5)
- 第1金型を取付けた第1ダイセットと、第2金型を取付けた第2ダイセットと備え、プレス装置により前記第1金型及び第2金型との間で加工材料を配置して鍛造プレスを行うことにより、前記加工材料から鍛造物を成形する鍛造プレス装置であって、
前記第1ダイセットは、開口したスライド穴を有する有底略筒状のもので構成されるとともに、前記第2ダイセットは、前記スライド穴にスライド自在に嵌合する略柱状のもので構成され、
前記プレス装置で前記第2ダイセットを前記第1ダイセットの前記スライド穴に押し込むことにより、前記第1金型及び第2金型との間で前記加工材料を鍛造するように構成した
ことを特徴とする鍛造プレス装置。 - 前記スライド穴は、円筒状を有するとともに、
前記第2ダイセットは、前記円筒状の前記スライド穴にスライド自在に嵌合する円柱状を有する
ことを特徴とする請求項1に記載の鍛造プレス装置。 - 前記第1ダイセットとこれに嵌合する前記第2ダイセットとの嵌合長さは、前記第1ダイセットの外径寸法よりも大きいことを特徴とする請求項1または2に記載の鍛造プレス装置。
- 前記第1ダイセットは、少なくとも、前記第2ダイセットよりも高剛性を有することを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項に記載の鍛造プレス装置。
- 前記加工材料は、前記鍛造プレスを行うべき被加工面若しくは前記被加工面とは反対面に段差或いは凹凸を有することを特徴とする請求項1乃至4のいずれか1項に記載の鍛造プレス装置。
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Cited By (2)
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CN104439009A (zh) * | 2014-12-11 | 2015-03-25 | 西安东耘新金属材料有限公司 | 轴向闭式辗压成形设备 |
CN105414422A (zh) * | 2015-12-03 | 2016-03-23 | 常州和仕达机械装备制造有限公司 | 一种齿轮轴向闭式辗压成型工艺 |
-
2002
- 2002-11-20 JP JP2002336708A patent/JP2004167554A/ja active Pending
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