JP2004143934A - エンジン再始動制御装置 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】車両停車中にエンジンを自動停止し、車両が発進する場合にエンジンを自動的に再始動するエンジン再始動制御装置において、車両へ所定以上の大きさの入力がなされたかどうかを検出する外部入力検出手段を設け、エンジン停止中に、外部入力が検知されてから所定時間内にブレーキが解除された場合、前記エンジン再始動手段によるエンジンの自動的な再始動を禁止するエンジン再始動禁止手段を設けたこととした。
【選択図】 図3
Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、車両のアイドルストップ制御装置を備えた車両であって、特にアイドルストップ後のエンジン再始動制御を行うエンジン再始動制御装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
近年、走行中において車両が停止し、かつ所定の停止条件が成立した場合に、エンジンを自動的に停止させ、燃料の節約、排気エミッションの低減、あるいは騒音の低減等を図るように構成したアイドルストップ車両がすでに実用化されている(特許文献1参照)。このような車両にあっては、運転者が特別な操作を行うことなしに、アイドルストップを行うようにすることが望まれ、例えば車両停止時にブレーキの踏み込み状態が検出された場合にエンジンを停止させ、その後、ブレーキの踏み込みが解除されるとエンジンを再始動させるようにしている。
【0003】
【特許文献1】
特開2002−4909号公報(第4頁)
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記特許文献1に記載の技術には下記に示す問題があった。すなわち、車両停車時であってもエンジン駆動中は車両へ動力伝達可能であるため、運転者は車両の動きや周囲への注意を行う。これに対し、アイドルストップ制御を行っている場合は、車両停車時にエンジンが停止し動力伝達不可能な状態となる。そして、ブレーキの解除が行われるとエンジン停止状態から駆動状態へ自動的に変化する。よって、運転者は意識を切り換える必要がある。
【0005】
通常、車両停車状態から発進する際には運転者の意図したブレーキの解除が行われるため、運転者は同時にエンジンが始動されることを想定して注意の切り換えを行うことができる。しかしながら、アイドルストップ制御中に追突や突然のドアの開閉等により車両に大きな変化が発生すると、運転者は意図せずしてブレーキを解除してしまう場合があり得る。こういった状態でブレーキの解除がなされた場合であっても、エンジンが再始動されるため、運転者は意図していない状態で早急な対応を迫られ、運転者の負荷が増大するという問題があった。
【0006】
本発明は、上述の課題に鑑み、アイドルストップ制御装置を備えた車両において、運転者の意図に応じてエンジンを再始動できるエンジン再始動制御装置を提供することを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するため、本願発明では、車両停車中にエンジンを自動停止し、車両が発進する場合にエンジンを自動的に再始動するエンジン再始動制御装置において、車両の停車状態を検出する車両停車状態検出手段と、ブレーキの作動状態を検出するブレーキ作動状態検出手段と、車両停車状態でブレーキが解除されたと判断した場合、エンジンを自動的に再始動するエンジン再始動手段と、車両への外部からの入力を検出し、車両へ所定以上の大きさの入力がなされたかどうかを検出する外部入力検出手段と、車両停車中のエンジン停止時に、前記外部入力検出手段により外部入力が検出されてから所定時間内にブレーキ作動が解除された場合、前記エンジン再始動手段によるエンジンの自動的な再始動を禁止するエンジン再始動禁止手段とを設けたことで上記課題を解決するに至った。
【0008】
【発明の効果】
本願発明にあっては、運転者はエンジンの再始動をブレーキの解除に伴って予測できるが、ブレーキの解除が運転者の意図したものかどうかを判断することで、運転者の意図しないブレーキの解除の場合はエンジンの再始動が行われない。よって、運転者が予測しない状況下でエンジンが再始動し、対応にあわてるような状況を防止することができる。
【0009】
【発明の実施の形態】
以下、本発明におけるアイドルストップ制御装置の実施形態について説明するが、本発明は実施例に限定されるものではない。
【0010】
(実施の形態1)
図1は本発明の実施の形態1における基本構成を示す概略図である。
1はガソリンエンジンやディーゼルエンジン等の内燃機関(エンジン)である。エンジン1の出力トルクはトルクコンバータ4を介して無段変速機3に伝達される。無段変速機3は入力軸と出力軸の可変プーリと、これらの間に掛け回されたベルトから構成され、可変プーリのプーリ比率を変化させることにより変速比を変更する。変速比は、油圧により変化する可変プーリのプーリ溝(溝幅)を車速とアクセル開度に応じて変化させることで制御する。
【0011】
エンジン1とトルクコンバータ4との間には、スタータジェネレータ2が配置されている。このスタータジェネレータ2はエンジンの出力軸に直結、もしくはチェーンなどを介して連結され、エンジン1と同期して回転し、エンジン1を始動させる際には電動機として使用し、バッテリ11の充電量が低減したときやコースト走行時にエネルギ回生用の発電機として使用する。これらの制御はコントロールユニット10の指令に基づいて行われる。
【0012】
ECU14は、図示しないスロットル弁を制御するアクチュエータや燃料噴射弁、点火回路に接続されており、エンジン1の燃料噴射の量やタイミング、点火時期を制御する信号を出力する。また、ECU14とコントロールユニット10は相互に情報を送受しており、アイドルストップ制御時にはコントロールユニット14からの指令に基づいてエンジン1の始動・停止指令を各アクチュエータに出力する。
【0013】
コントロールユニット10には、エンジンの水温を検出する水温センサ21,ブレーキのストロークを検出するブレーキストロークセンサ22,車速センサ23,追突を検出するGセンサ24,無段変速機3の油温を検出する油温センサ25,バッテリ11の充電状態(SOC)を検出するバッテリセンサ26,及び運転者の操舵角を検出する舵角センサ27からの信号が入力され、スタータジェネレータ2及び燃料供給装置11の作動を制御する。スタータジェネレータ2の作動は、電動機として使用するときにはインバータ12を介してバッテリ11からの電流を供給し、また発電機として使用するときにはインバータ12を介して励磁電流を供給すると同時に発電された電力をバッテリ11に充電する。
【0014】
表示装置31は、運転者にアイドルストップ時におけるエンジン駆動状態をコントロールユニット10からの信号に基づいて表示する。
【0015】
図2は実施の形態1におけるアイドルストップ制御の制御内容を表すフローチャートである。
【0016】
ステップ101では、車速が0かどうかを判断し、車速が0のときはステップ102へ進み、それ以外は本制御を終了する。
【0017】
ステップ102では、ブレーキが踏まれているかどうかを判断し、踏まれているときはステップ103へ進み、それ以外は本制御を終了する。
【0018】
ステップ103では、舵角が0かどうかを判断し、舵角0のときはステップ104へ進み、それ以外は本制御を終了する。
【0019】
ステップ104では、油温Toilが下限油温Tlowよりも温度が高く上限油温Thiよりも低いかどうかを判定し、条件を満たしていればステップ105へ進み、それ以外は本制御を終了する。
【0020】
ステップ105では、エンジン10を停止する。
【0021】
ステップ106では、エンジン再始動判断制御を実行し、ステップ106aへ進む。
【0022】
ステップ106aでは、エンジン再始動フラグが再始動許可を表すF=1にセットされているかどうかを判断し、セットされているときはステップ107へ進み、それ以外はエンジンを停止したままとする。
【0023】
ステップ107では、スタータジェネレータ2を作動する。
【0024】
ステップ108では、エンジン回転数Neが所定のエンジン回転数N0を越えたかどうかを判定し、越えていればステップ109へ進み、越えていなければステップ107へ進み、スタータジェネレータ60の作動を継続する。
【0025】
すなわち、車両が停止状態で、ブレーキが踏まれており、舵角が0で、油温Toilが下限油温Tlowよりも高く、上限油温Thiよりも低いかどうかを判定する。舵角が0としたのは、交差点などで右折をしているときにエンジンを停止するのは望ましくないからである。また、油温が所定範囲内としたのは、油温が所定温度以上でないと、油の粘性抵抗のために、エンジン完爆前に無段変速機3への所定油量の充填ができない可能性があるためである。また、油温が高温状態では、粘性抵抗の低下によりオイルポンプの容積効率が低下することと、バルブ各部のリーク量が増加するため、同様にエンジン完爆前に締結要素への所定油量が充填できない可能性があるためである。上記各条件が満たされたときは、エンジン1を停止する。
【0026】
次にエンジン再始動判断制御を実行し、エンジン再始動が許可されたときは、運転者にエンジン始動の意志があると判断し、運転者にエンジン始動の意志があると判断する。そして、エンジン再始動時に、スタータジェネレータ2の回転によりエンジン1を駆動する。そして、スタータジェネレータ2を作動し、エンジン回転数Neが所定の値N0を越えるまでスタータジェネレータ2を作動し、越えた場合はスタータジェネレータ2の作動を停止する。
【0027】
ここで、エンジン再始動判断制御について説明する。図3はエンジン再始動判断制御における制御内容を表すフローチャートである。
【0028】
ステップ201では、追突検知を行う。図4は追突検知制御の制御内容を表すフローチャートである。ステップ301では、Gセンサ24から追突されたかどうかを判断する。これは、急激にGセンサ24の値が変化したとき等を検出することで行われる(請求項2に対応)。そして、追突されたときはステップ302へ進み、追突フラグF1を1にセットする。次に、ステップ303に進み、タイマのカウントを開始する。ステップ304では、追突検知後、タイマ値が所定時間(例えば5秒間)を経過したかどうかを判断し、所定時間を経過するまでは追突フラグF1を1にセットし、所定時間経過後はステップ305へ進み、追突フラグを0にセットする。そして、追突フラグF1=1のときはステップ202へ進み、それ以外はステップ209へ進む。
【0029】
ステップ202では、ブレーキがONからOFF(ブレーキを踏んでいる状態から離した状態)に切り換えられたかどうかを判断し、ブレーキが離されたと判断したときはステップ203へ進み、それ以外はステップ206へ進む。
【0030】
ステップ203では、再始動許可フラグが1にセットされているかどうかを判断し、1すなわち再始動許可のときは図2のステップ106aに進み、0すなわち再始動禁止のときはステップ204へ進む。
【0031】
ステップ204では、表示装置31であるモニタに<エンジン始動禁止>状態であることを表示する。
【0032】
ステップ205では、再始動許可フラグFを0にセットする。
【0033】
ステップ206では、ブレーキがOFFからON(ブレーキを離した状態から踏み込んだ状態)かどうかを判断し、踏み込まれているときはステップ207へ進み、それ以外はステップ204へ進む。
【0034】
ステップ207では、表示装置31であるモニタの表示をOFFする。
【0035】
ステップ208では、再始動許可フラグを1にセットする。
【0036】
ステップ209では、ブレーキがONからOFFすなわち離されたかどうかを判断し、ブレーキが離されたと判断したときはステップ210に進み、それ以外はステップ205へ進む。
【0037】
ステップ210では、再始動許可フラグを1にセットする。
【0038】
上述のエンジン再始動判断制御を状況別に説明する。
(追突されていないときのエンジン再始動判断制御)
エンジン停止中であって、追突されていないときは、ステップ201→ステップ209→ステップ210へと進む。まず、ステップ201において、追突されたかどうかを検知する。追突されていないと判断されたときは、ステップ209へ進み、運転者の操作するブレーキが離されたと判断したときは、ステップ210へ進みエンジン再始動フラグを1にセットする。ブレーキが踏まれたままのときは、ステップ205へ進み再始動許可フラグを0にセットする。
【0039】
(エンジン停止中に追突され、運転者が無意識にブレーキを解除したとき)
アイドルストップ制御によるエンジン停止中に追突されたときは、ステップ201→ステップ202→ステップ203と進む。まず、ステップ201において、追突されたと検知される。このとき、ステップ202へ進みブレーキが解除されたと判断されると、ステップ203において再始動許可フラグが1にセットされているかどうかを判断する。このとき、ブレーキが踏まれた状態でエンジンが停止した状態で追突されているため再始動許可フラグが0にセットされている。よって、ステップ204へ進み、モニタに<エンジン再始動禁止>と表示すると共に、ステップ205において再始動許可フラグを0にセットし、エンジン再始動を禁止する(請求項1に対応)。
【0040】
(エンジン停止中に追突され、運転者がブレーキを解除したかどうかが疑わしいとき)
アイドルストップ制御によるエンジン停止中に追突され、運転者がブレーキを解除していない、もしくは既に運転者がブレーキを解除しているがエンジン再始動が禁止されているときは、ステップ206へ進み、再度ブレーキが踏み込まれているかどうかを判断する。ブレーキが踏み込み方向に変化しているときは運転者の車両停止状態を維持する意図が明確であると判断してステップ207及びステップ208へ進み、エンジン再始動を許可する(請求項3に対応)。ここで、本実施の形態1では、ブレーキストロークセンサを用いており、ストローク量の変化方向を検出しているが、ブレーキスイッチを用いて所定量以上踏み込まれたときにON,それ以外はOFFという構成を用いてブレーキが離されたと判断してもよい。
【0041】
一方、ステップ206において、ブレーキが踏み込み方向に変化していないときは、運転者の車両停止状態を維持する意図が明確でないと判断してステップ204へ進み、モニタに<エンジン再始動禁止>と表示すると共に、ステップ205において再始動許可フラグを0にセットし、エンジン再始動を禁止する(請求項1に対応)。
【0042】
(実施の形態2)
次に、実施の形態2について説明する。尚、基本的な構成は実施の形態1と同様であり異なる点についてのみ説明する。実施の形態2のエンジン再始動制御装置では、ドアの開閉を検知するドア開閉センサ28が設けられている。図5は実施の形態2における追突検知制御を表すフローチャートである。
【0043】
ステップ401では、ドア開閉センサからドアの開閉が行われているかどうかを判断し、ドアの開閉が行われているときはステップ302へ進み、それ以外はステップ305へ進む。
【0044】
すなわち、運転者の意図していないドアの開閉で思わずブレーキを解除したような場合であってもエンジンが再始動されることはないので、運転者が慌てて対応を求められるような状況を防止することができる(請求項4に対応)。
【0045】
(その他の実施の形態)
以上、実施の形態1及び実施の形態2について説明してきたが、本発明は上述の構成に限られるものではない。例えば、自動変速機として無段変速機を示したが、有段式自動変速機を適用しても良い。また、ブレーキ操作のストローク量を検出するブレーキストロークセンサを用いたが、例えば運転者の踏力を検出する圧力センサ等を用いても良い。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施の形態1におけるアイドルストップ制御装置を備えたエンジン再始動制御装置のシステムを示す全体図である。
【図2】実施の形態1におけるアイドルストップ制御の制御内容を表すフローチャートである。
【図3】実施の形態1におけるエンジン再始動判断制御の制御内容を表すフローチャートである。
【図4】実施の形態1における追突検知制御の制御内容を表すフローチャートである。
【図5】実施の形態2における追突検知制御の制御内容を表すフローチャートである。
【符号の説明】
1 エンジン
2 スタータジェネレータ
3 無段変速機
4 トルクコンバータ
10 コントロールユニット
11 バッテリ
12 インバータ
14 エンジンコントロールユニット(ECU)
21 水温センサ
22 ブレーキストロークセンサ
23 車速センサ
24 Gセンサ
25 油温センサ
26 バッテリセンサ
27 舵角センサ
28 ドア開閉センサ
31 表示装置(モニタ)
Claims (4)
- 車両停車中にエンジンを自動停止し、車両が発進する場合にエンジンを自動的に再始動するエンジン再始動制御装置において、
車両の停車状態を検出する車両停車状態検出手段と、
ブレーキの作動状態を検出するブレーキ作動状態検出手段と、
車両停車状態でブレーキが解除されたと判断した場合、エンジンを自動的に再始動するエンジン再始動手段と、
車両への外部からの入力を検出し、車両へ所定以上の大きさの入力がなされたかどうかを検出する外部入力検出手段と、
車両停車中のエンジン停止時に、前記外部入力検出手段により所定以上の大きさの外部入力が検出されてから所定時間内にブレーキ作動が解除された場合、前記エンジン再始動手段によるエンジンの自動的な再始動を禁止するエンジン再始動禁止手段と、
を設けたことを特徴とするエンジン再始動制御装置。 - 請求項1に記載のエンジン再始動制御装置において、
車両の前後加速度を検出する加速度検出手段を設け、
前記外部入力検出手段を、検出された加速度が所定以上のときを追突として検知する手段としたことを特徴とするエンジン再始動制御装置。 - 請求項1または2に記載のエンジン再始動制御装置において、
前記エンジン再始動禁止手段は、エンジンの自動的な再始動を禁止し、その後再度ブレーキ作動が行われた場合には、エンジンの自動的な再始動禁止を解除する手段としたことを特徴とするエンジン再始動制御装置。 - 請求項1に記載のエンジン再始動制御装置において、
前記外部入力検出手段を、車両のドアの開閉を検知するドア開閉検出手段としたことを特徴とするエンジン再始動制御装置。
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2002
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