JP2004128170A - 多層配線基板、多層配線基板用基材およびその製造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】導電性樹脂組成物と導電回路部の接触信頼性を損なうことなく、しかも基板の平滑性を低下させることなく薄い多層配線基板を得ることができる多層配線基板用基材を提供すること。
【解決手段】貫通孔14の導電層13部分の口径Dbをシード層12の口径Daより大きくし、貫通孔14に充填された導電性樹脂組成物15とシード層12との接触面積を大きくし、シード層12を介した導電性樹脂組成物15と導電層13との導通を良好にする。
【選択図】 図1
【解決手段】貫通孔14の導電層13部分の口径Dbをシード層12の口径Daより大きくし、貫通孔14に充填された導電性樹脂組成物15とシード層12との接触面積を大きくし、シード層12を介した導電性樹脂組成物15と導電層13との導通を良好にする。
【選択図】 図1
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
この発明は、電子部品を実装するための多層配線基板(多層プリント配線板)や多層パッケージ基板、多層配線基板用基材およびその製造方法に関し、特に、フリップチップ実装などの高密度実装が可能な多層のフレキシブルプリント配線板等の多層配線基板、多層配線基板用基材およびその製造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
多層配線基板の層間導通を、バイアホールの壁面めっきによって取るものが従来より知られている。めっきによるバイアホールの場合、めっき工程により、バイアホールの形成にかかる時間が長く、生産性が悪いと云う問題点がある。
【0003】
このことに対処して、バイアホールに導電性樹脂組成物(樹脂系の導電性ペースト)を充填し、導電性樹脂組成物によって多層配線基板の層間導通を取る多層プログラム配線板が提案されている(例えば、特許文献1参照)。
【0004】
また、ポリイミドフィルムを絶縁層としてそれの片面に銅箔による導電層を貼り付けられている汎用の銅張り樹脂基材を出発材料として、簡便な工程によりIVH構造の多層FPCを得る構造と製法が本願出願人と同一の出願人による特願2001−85224号で提案されている。
【0005】
特願2001−85224号で提案されている多層配線基板用基材では、絶縁層の一方の面に銅箔を設けた銅張り樹脂基材に貫通孔を穴あけした後、導電性樹脂組成物(樹脂系の導電性ペースト)を銅箔側からスクリーン印刷法等による印刷法によって充填することで、図6に示されているようなIVH(Interstitial Via Hole)部分を形成している。なお、図6において、101はポリイミドフィルム等による絶縁層を、102は銅箔部を、104は貫通孔を、105は貫通孔104に充填された導電性樹脂組成物を各々示している。
【0006】
そして、スクリーン印刷時のマスク(ステンシル)の開口部の口径をIVH径より大きくすることにより、印刷時の位置合わせ精度にある程度の余裕ができると共に、銅箔部102上に導電性樹脂組成物105によってマスク開口部口径相当の大きさのヘッド状部105Aが形成され、貫通孔104に充填された導電性樹脂組成物105と銅箔部102との接触面積を大きくすることができる。また、ヘッド状部105Aの存在により、貫通孔104に充填された導電性樹脂組成物105が貫通孔104より抜け落ちることを防止できる。
【0007】
【特許文献1】
特開平6−302957号公報
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
また、多層配線基板用基材を重ね合わせる多層基板において、層間の導通接続をするため、1枚の基板内に存在する数百ものバイアホールに、アライメント精度よく導電性樹脂組成物を充填する必要がある。また、充填された導電性樹脂組成物は、層全体の平滑性や厚さを考慮した際に、均一に、かつ薄く形成されることが望ましい。これは、何層かを積層する上で、より高密度に数多くの層を積層するために、それぞれの層を薄くすることが必要なためである。
【0009】
しかしながら、特願2001−85224号で提案されている多層配線基板用基材では、導電性樹脂組成物105の銅箔部102より上の部分、すなわちヘッド状部105Aの厚さのため、導電性樹脂組成物105の硬化後に多層化のための積層接着を行う場合には、銅箔による回路部の厚さに、導電性樹脂組成物105の銅箔より上部(ヘッド状部105A)の厚さを加えた厚さを埋め込むのに十分な接着層の厚さが必要となり、接着層を厚くしないと、多層配線基板の表面平滑性の低下を招くことになる。
【0010】
このため、ポリイミドフィルムを絶縁層としてそれの片面に銅箔による導電層を貼り付けられている汎用の銅張り樹脂基材では、絶縁層の厚さが15〜30μm、銅箔の厚さが5〜20μm程度であることに対して、15〜30μm程度の厚さを有する接着層が必要になり、接着層の厚膜化に伴う基板の厚膜化を招くことになる。
【0011】
この発明は、上述の如き課題に鑑みてなされたものであり、多層配線基板の各層の回路間の層間接触抵抗が低く、層間導通の信頼性に優れ、しかも基板の平滑性を低下させることなく薄い多層配線基板を得ることができる多層配線基板用基材およびその製造方法および多層配線基板を提供することを目的としている。
【0012】
【課題を解決するための手段】
上述の目的を達成するために、この発明による多層配線基板用基材は、絶縁性基材の片面に金属下地層と導電層との2層が設けられ、前記絶縁性基材と前記金属下地層と前記導電層を連続貫通する貫通孔に層間導通を得るための導電性樹脂組成物を充填された多層配線基板用基材であって、前記貫通孔の導電層部分の口径が金属下地層部分の口径より大きい。
【0013】
この多層配線基板用基材によれば、貫通孔の金属下地層部分と導電層部分との口径差から、貫通孔に充填された導電性樹脂組成物と金属下地層との接触面積が多くなり、金属下地層を介した導電性樹脂組成物と導電層との導通接触が良好になる。
また、この多層配線基板用基材によれば、導電性樹脂組成物と導電層との導通が金属下地層を介して行われているから、導電性樹脂組成物の導電層側の面と導電層の外表面とを面一にすることができ、導電性樹脂組成物が導電層の上方に出る拡張部分を設ける必要がなくなり、導電性樹脂組成物と導電層とからなる導通パターン表面を平滑に形成することが可能になる。
【0014】
この多層配線基板用基材では、前記貫通孔の金属下地層部分の口径と前記絶縁性基部分の口径とは同一であってよい。また、前記貫通孔に充填された前記導電性樹脂組成物の前記導電層側の面は導電層の外表面と面一であり、導電性樹脂組成物の導電層の外表面より外方に突出していない。
【0015】
この発明による多層配線基板用基材では、絶縁性基材をポリイミド等の可撓性樹脂フィルムにより構成し、可撓性樹脂フィルムの一方の面に、金属下地層、銅めっき膜による導電層を形成されている銅張樹脂基材を出発材料とする。また、絶縁性基材は熱可塑性ポリイミドにより構成し、絶縁性基材を層間接着層とする。また、導電層を銅めっき膜により構成する場合、金属下地層は、銅めっき膜を成長させるためのCr、Ni、Ti、Mo、Wから選択された1種類または2種類以上の金属からなる薄膜と銅薄膜の2層構造のシード層であってよい。
【0016】
この発明による多層配線基板用基材は、上述の発明による多層配線基板用基材を複数枚、重ねて接合したものである。
【0017】
また、上述の目的を達成するために、この発明による多層配線基板用基材の製造方法は、絶縁性基材の片面に金属下地層と導電層との2層が設けられた出発材料に、導電層部分の口径が金属下地層部分と絶縁性基材部分の口径より大きい貫通孔を穿孔する穿孔工程と、導電性樹脂組成物を前記貫通孔に充填する充填工程とを有する。
【0018】
この発明による多層配線基板用基材の製造方法における好ましい穿孔工程として、まず、エッチングによって前記導電層に口径が大きい穴あけを行い、その後に前記金属下地層および前記絶縁性基材にレーザ加工、機械加工によって口径が小さい穴あけを行うか、前記導電層と前記金属下地層と前記絶縁性基材にレーザ加工、機械加工によって口径が小さい穴あけを行い、その後にエッチングによって前記導電層に口径が大きい穴あけを行うか、前記導電層を構成する金属のエッチングレートに比して前記金属下地層を構成する金属のエッチングレートが小さいエッチャントを用いて前記導電層と前記金属下地層に穴あけを行い、前記絶縁性基材にレーザ加工、機械加工によって口径が小さい穴あけを行うかの何れかを選択できる。
【0019】
この発明による多層配線基板用基材の製造方法における充填工程では、前記導電性樹脂組成物の前記導電層側の面が前記導電層の外表面とが面一になるよう、導電性樹脂組成物を前記貫通孔に穴埋め充填する。また、この充填工程は、導電性樹脂組成物を前記導電層の側より前記貫通孔に穴埋め充填する工程とする。
【0020】
【発明の実施の形態】
以下に添付の図を参照してこの発明の実施形態を説明する。
図1はこの発明による一実施形態に係わる多層配線基板用基材の基本構成を示している。
【0021】
図1に示されている多層配線基板用基材10は、絶縁性基材として、全芳香族ポリイミド(API)や接着性を有する熱可塑性ポリイミド(TPI)等の可撓性樹脂フィルムによる絶縁樹脂層(ベースフィルム)11を有しており、絶縁樹脂層11の一方の面には、銅めっき膜成長のための金属下地層として、Cr、Ni、Ti、Mo、Wから選択された1種類または2種類以上の金属からなる薄膜12aと銅薄膜12bによる2層構造のシード層(金属下地層)12が高周波スパッタリング等によって形成され、このシード層12上に銅めっき膜による導電層13が形成されている。
【0022】
絶縁樹脂層11とシード層12と導電層13には、これらを連続貫通してIVHを構成するための貫通孔14が穿設されている。貫通孔14には導電性樹脂組成物15が充填されている。
【0023】
貫通孔14のうち、絶縁樹脂層11とシード層12を貫通する部分(小径孔)14Aの口径Daは通常のバイアホール径とされ、導電層13を貫通する部分(大径孔)14Bの口径Dbは、絶縁樹脂層11とシード層12を貫通する部分14Aの口径Daより大径になっている。
【0024】
導電性樹脂組成物15は、銀粉等、導電機能を有する金属粉末を樹脂バインダに混入したものを、溶剤を含む粘性媒体に混ぜてペースト状にした導電性ペーストであり、導電層13の側よりスクイジングによる印刷法やディスペンス法等によって貫通孔14の孔内全体に、つまり小径孔14Aと大径孔14Bの全体に、満遍なく穴埋め充填されている。
【0025】
導電性樹脂組成物15の穴埋め充填が、大きい口径Dbの側から行われることにより、この穴埋め充填が容易に行われ、穴埋め充填時の孔内の空気抜きが良好に行われ、気泡の残存が少ない安定した充填状態が得られる。
【0026】
導電性樹脂組成物15の穴埋め充填は、充填量の制御により、硬化後において、導電性樹脂組成物15の導電層13側の面15Aと導電層13の外表面13Aとが同じ高さ位置の面、すなわち、面一となるように行われる。
【0027】
上述の構成による多層配線基板用基材10によれば、貫通孔14のシード層12部分と導電層13部分との口径差Db−Daから、シード層12に大きい孔内露出面12Aができ、この孔内露出面12Aによって貫通孔14に充填された導電性樹脂組成物15とシード層12との接触面積が多くなり、シード層12を介した導電性樹脂組成物15と導電層13との接触抵抗が下がり、両者の導通が良好になる。
【0028】
この発明による多層配線基板は、図2に例示されているように上述の構成による多層配線基板用基材10を、例えば、1層目、2層目として2枚重ね合わせ、これを互いに接着接合してなる。
【0029】
この多層配線基板では、各多層配線基板用基材10において、導電性樹脂組成物15と導電層13との導通がシード層12を介して良好に行われているので、多層回路の層間接触抵抗が低くなり、回路全体の伝送特性が向上する。
【0030】
また、導電性樹脂組成物15と導電層13との導通がシード層12を介して行われているから、導電性樹脂組成物15の導電層13側の面15Aと導電層13の外表面13Aとを面一にすることができ、導電性樹脂組成物15が導電層12の上方に出る拡張部分を設ける必要がなくなり、導電性樹脂組成物15と導電層13とからなる導通パターン表面を平滑に形成することが可能になる。
【0031】
このことにより、導通パターン表面に電子部品を実装し易くなり、併せて、図2に示されているように、複数枚の多層配線基板用基材10を重ねて接合してなる多層配線基板の厚さを減らすことができる。
【0032】
つぎに、図1に示されている多層配線基板用基材の製造方法の実施形態1を図3を参照して説明する。
【0033】
図3(a)に示されているように、絶縁樹脂層11の一方の面に、銅めっき膜成長のための金属下地層として、Cr、Ni、Ti、Mo、Wから選択された1種類または2種類以上の金属からなる薄膜と銅薄膜による2層構造のシード層12が成膜され、このシード層12上に銅めっき膜による導電層13が形成されたものを出発材料とし、導電層13をエッチング法により所望のパターンに形成する。
【0034】
すなわち、図3(b)に示されているように、導電層13上に感光性レジスト21をラミネートしてバイアホール部分を除くパターンに形成する。その後、ケミカルエッチングによって導電層13のバイアホール部分の除去を行う。すなわち、エッチングによって導電層13に口径が大きい穴あけを行い、導電層13に口径Dbの大径孔14Bを形成する。この穴あけでは、シード層12の薄膜12aは除去しない。
【0035】
つぎに、図8(d)に示されているように、感光性レジスト21を除去し、導電層13の反対の面にマスキングテープ22を貼付ける。
【0036】
つぎに、図3(e)に示されているように、レザービーム照射によるレーザ加工あるいはドリルを用いた機械加工によってシード層12の薄膜12aおよび絶縁樹脂層11およびマスキングテープ22に口径が小さい穴あけを一括して行い、シード層12と絶縁樹脂層11とマスキングテープ22とに口径Daの小径孔14Aを形成する。これにより、層間接続のために導電性樹脂組成物15を充填されるバイアホール(貫通孔14)が完成する。
【0037】
その後、図3(f)に示されているように、導電性樹脂組成物15を、印刷法あるいはディスペンス法により、充填量を制御して、大径孔14Bの側から貫通孔14内に穴埋め充填する。導電性樹脂組成物15としては、銀ペーストや、銅フィラーやカーボン混合物による導電性ペーストを使用することが可能である。
【0038】
この導電性樹脂組成物15の穴埋め充填では、導電性樹脂組成物15の充填量を制御することにより、硬化後において、導電性樹脂組成物15の導電層13側の面15Aと導電層13の外表面13Aとが同じ高さ位置の面、すなわち、面一となるように行われる。これにより、バイアホールの表面が平滑化され、表層へのめっきの被着や部品実装を可能とする。
【0039】
また、導電性樹脂組成物15の穴埋め充填が、大きい口径Dbの側から行われることにより、この穴埋め充填が容易に行われ、穴埋め充填時の孔内の空気抜きが良好に行われ、気泡の残存が少ない安定した充填状態が得られる。
【0040】
最後に、図3(g)に示されているように、マスキングテープ22の除去を行い、多層配線基板用基材10を完成する。このように製作された多層配線基板用基材10を何層かに積み重ねることによって、多層プリント基板が構成される。
【0041】
つぎに、図1に示されている多層配線基板用基材の製造方法の実施形態2を図4を参照して説明する。
【0042】
図4(a)に示されているように、絶縁樹脂層11の一方の面に、銅めっき膜成長のための金属下地層として、Cr、Ni、Ti、Mo、Wから選択された1種類または2種類以上の金属からなる薄膜と銅薄膜による2層構造のシード層12が成膜され、このシード層12上に銅めっき膜による導電層13が形成されたものを出発材料とし、導電層13をエッチング法により所望のパターンに形成する。
【0043】
つぎに、図4(b)に示されているように、出発材料の導電層13とは反対の面にマスキングテープ22を貼付ける。その後、図4(c)に示されているように、レザービーム照射によるレーザ加工あるいはドリルを用いた機械加工によって導電層13とシード層12と絶縁樹脂層11とマスキングテープ22とに、口径が小さい穴あけを一括して行い、導電層13とシード層12と絶縁樹脂層11とマスキングテープ22とに口径Daの小径孔14Aを貫通形成する。
【0044】
つぎに、図4(d)に示されているように、導電層13上に感光性レジスト21をラミネートしてバイアホール部分を除くパターンに形成する。その後、ケミカルエッチングによって導電層13のバイアホール部分の除去を行う。すなわち、エッチングによって導電層13に口径が大きい穴あけを行い、導電層13に口径Dbの大径孔14Bを形成する。これにより、層間接続のために導電性樹脂組成物15を充填されるバイアホール(貫通孔14)が完成する。
【0045】
その後、図4(e)および図4(f)に示されているように、感光性レジスト21を除去し、導電性樹脂組成物15を、印刷法あるいはディスペンス法により、充填量を制御して、大径孔14Bの側から貫通孔14内に穴埋め充填する。
【0046】
この導電性樹脂組成物15の穴埋め充填でも、導電性樹脂組成物15の充填量を制御することにより、硬化後において、導電性樹脂組成物15の導電層13側の面15Aと導電層13の外表面13Aとが同じ高さ位置の面、すなわち、面一となるように行われる。これにより、バイアホールの表面が平滑化され、表層へのめっきの被着や部品実装を可能とする。
【0047】
また、導電性樹脂組成物15の穴埋め充填が、大きい口径Dbの側から行われることにより、この穴埋め充填が容易に行われ、穴埋め充填時の孔内の空気抜きが良好に行われ、気泡の残存が少ない安定した充填状態が得られる。
【0048】
最後に、図4(g)に示されているように、マスキングテープ22の除去を行い、多層配線基板用基材10を完成する。このように製作された多層配線基板用基材10を何層かに積み重ねることによって、多層プリント基板が構成される。
【0049】
つぎに、多層配線基板用基材の製造方法の実施形態3を図5を参照して説明する。
【0050】
図5(a)に示されているように、絶縁樹脂層11の一方の面に、銅めっき膜成長のための金属下地層として、Cr、Ni、Ti、Mo、Wから選択された1種類または2種類以上の金属からなる薄膜と銅薄膜による2層構造のシード層12が成膜され、このシード層12上に銅めっき膜による導電層13が形成されたものを出発材料とし、導電層13をエッチング法により所望のパターンに形成する。
【0051】
すなわち、図5(b)に示されているように、導電層13上に感光性レジスト21をラミネートしてバイアホール部分を除くパターンに形成する。その後、塩化第2銅溶液など、導電層13をシード層12より速くエッチングできるエッチャント、つまり、導電層13を構成する金属(銅)のエッチングレートに比してシード層12を構成する金属のエッチングレートが小さいエッチャントを用いて導電層13とシード層12のバイアホール部分の除去を行う。
【0052】
このエッチングでは、シード層12のエッチングレートが導電層13のエッチングレートより遅いため、図5(c)に示されているように、導電層13には比較的大きい口径の大径孔14Bが形成され、シード層12には比較的小さい口径の小径孔14Aが形成される。
【0053】
つぎに、図5(d)に示されているように、感光性レジスト21を除去し、導電層13の反対の面にマスキングテープ22を貼付ける。
【0054】
つぎに、図5(e)に示されているように、残留しているシード層12をメタルマスクとして利用し、波長の長いレザービーム照射によるレーザ加工によって絶縁樹脂層11に口径が小さい穴あけを行い、絶縁樹脂層11にも小径孔14Aを形成する。これにより、層間接続のために導電性樹脂組成物15を充填されるバイアホール(貫通孔14)が完成する。
【0055】
その後、図5(f)に示されているように、導電性樹脂組成物15を、印刷法あるいはディスペンス法により、充填量を制御して、大径孔14Bの側から貫通孔14内に穴埋め充填する。
【0056】
この導電性樹脂組成物15の穴埋め充填でも、導電性樹脂組成物15の充填量を制御することにより、硬化後において、導電性樹脂組成物15の導電層13側の面15Aと導電層13の外表面13Aとが同じ高さ位置の面、すなわち、面一となるように行われる。これにより、バイアホールの表面が平滑化され、表層へのめっきの被着や部品実装を可能とする。
【0057】
また、導電性樹脂組成物15の穴埋め充填が、大きい口径Dbの側から行われることにより、この穴埋め充填が容易に行われ、穴埋め充填時の孔内の空気抜きが良好に行われ、気泡の残存が少ない安定した充填状態が得られる。
【0058】
最後に、図5(g)に示されているように、マスキングテープ22の除去を行い、多層配線基板用基材10を完成する。このように製作された多層配線基板用基材10を何層かに積み重ねることによって、多層プリント基板が構成される。
【0059】
なお、この発明による多層配線基板、多層配線基板用基材およびその製造方法は、ポリイミドフィルムを使用したフレキシブルプリント配線板に限られることはなく、ポリエステルフィルム使用したフレキシブルプリント配線板、エボキシ樹脂や、ガラス布、アラミド不織布等によるプリプレグ材を絶縁材を使用したリジッドタイプのものにも同様に適用することができる。
なお、上記2層構造のシード層12は、上記材料に限定されず、例えば上層にニッケル薄膜、下層にクロム薄膜の2重構造とすることもできる。また、上記実施形態では、絶縁性基材としてポリイミドの可撓性樹脂フィルムとしたがこれに限定されず、ポリイミドと接着剤の2層構造としても良い。
【0060】
以上に於ては、この発明を特定の実施の形態について詳細に説明したが、この発明は、これに限定されるものではなく、この発明に係わる技術的思想の範囲内にて種々の実施の形態が可能であることは当業者にとって明らかであろう。
【0061】
【発明の効果】
以上の説明から理解される如く、この発明による多層配線基板、多層配線基板用基材およびその製造方法によれば、貫通孔の金属下地層(シード層)部分と導電層部分との口径差から、貫通孔に充填された導電性樹脂組成物と金属下地層との接触面積が多くなり、金属下地層を介した導電性樹脂組成物と導電層との導通が良好になるから、導電性樹脂組成物と導電回路部との接触信頼性を損なうことなく、しかも基板の平滑性を低下させることなく、薄い多層配線基板を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明の一実施形態に係わる多層配線基板用基材の一つの基本構成を示す断面図である。
【図2】この発明の一実施形態に係わる多層配線基板を示す断面図である。
【図3】(a)〜(g)はこの発明の一実施形態に係わる多層配線基板用基材の製造方法の実施形態1を示す工程図である。
【図4】(a)〜(g)はこの発明の一実施形態に係わる多層配線基板用基材の製造方法の実施形態2を示す工程図である。
【図5】(a)〜(g)はこの発明の一実施形態に係わる多層配線基板用基材の製造方法の実施形態3を示す工程図である。
【図6】従来の多層配線基板用基材のIVH構造を示す断面図である。
【符号の説明】
10 基材
11 絶縁樹脂層
12 シード層
13 導電層
14 貫通孔
15 導電性樹脂組成物
【発明の属する技術分野】
この発明は、電子部品を実装するための多層配線基板(多層プリント配線板)や多層パッケージ基板、多層配線基板用基材およびその製造方法に関し、特に、フリップチップ実装などの高密度実装が可能な多層のフレキシブルプリント配線板等の多層配線基板、多層配線基板用基材およびその製造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
多層配線基板の層間導通を、バイアホールの壁面めっきによって取るものが従来より知られている。めっきによるバイアホールの場合、めっき工程により、バイアホールの形成にかかる時間が長く、生産性が悪いと云う問題点がある。
【0003】
このことに対処して、バイアホールに導電性樹脂組成物(樹脂系の導電性ペースト)を充填し、導電性樹脂組成物によって多層配線基板の層間導通を取る多層プログラム配線板が提案されている(例えば、特許文献1参照)。
【0004】
また、ポリイミドフィルムを絶縁層としてそれの片面に銅箔による導電層を貼り付けられている汎用の銅張り樹脂基材を出発材料として、簡便な工程によりIVH構造の多層FPCを得る構造と製法が本願出願人と同一の出願人による特願2001−85224号で提案されている。
【0005】
特願2001−85224号で提案されている多層配線基板用基材では、絶縁層の一方の面に銅箔を設けた銅張り樹脂基材に貫通孔を穴あけした後、導電性樹脂組成物(樹脂系の導電性ペースト)を銅箔側からスクリーン印刷法等による印刷法によって充填することで、図6に示されているようなIVH(Interstitial Via Hole)部分を形成している。なお、図6において、101はポリイミドフィルム等による絶縁層を、102は銅箔部を、104は貫通孔を、105は貫通孔104に充填された導電性樹脂組成物を各々示している。
【0006】
そして、スクリーン印刷時のマスク(ステンシル)の開口部の口径をIVH径より大きくすることにより、印刷時の位置合わせ精度にある程度の余裕ができると共に、銅箔部102上に導電性樹脂組成物105によってマスク開口部口径相当の大きさのヘッド状部105Aが形成され、貫通孔104に充填された導電性樹脂組成物105と銅箔部102との接触面積を大きくすることができる。また、ヘッド状部105Aの存在により、貫通孔104に充填された導電性樹脂組成物105が貫通孔104より抜け落ちることを防止できる。
【0007】
【特許文献1】
特開平6−302957号公報
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
また、多層配線基板用基材を重ね合わせる多層基板において、層間の導通接続をするため、1枚の基板内に存在する数百ものバイアホールに、アライメント精度よく導電性樹脂組成物を充填する必要がある。また、充填された導電性樹脂組成物は、層全体の平滑性や厚さを考慮した際に、均一に、かつ薄く形成されることが望ましい。これは、何層かを積層する上で、より高密度に数多くの層を積層するために、それぞれの層を薄くすることが必要なためである。
【0009】
しかしながら、特願2001−85224号で提案されている多層配線基板用基材では、導電性樹脂組成物105の銅箔部102より上の部分、すなわちヘッド状部105Aの厚さのため、導電性樹脂組成物105の硬化後に多層化のための積層接着を行う場合には、銅箔による回路部の厚さに、導電性樹脂組成物105の銅箔より上部(ヘッド状部105A)の厚さを加えた厚さを埋め込むのに十分な接着層の厚さが必要となり、接着層を厚くしないと、多層配線基板の表面平滑性の低下を招くことになる。
【0010】
このため、ポリイミドフィルムを絶縁層としてそれの片面に銅箔による導電層を貼り付けられている汎用の銅張り樹脂基材では、絶縁層の厚さが15〜30μm、銅箔の厚さが5〜20μm程度であることに対して、15〜30μm程度の厚さを有する接着層が必要になり、接着層の厚膜化に伴う基板の厚膜化を招くことになる。
【0011】
この発明は、上述の如き課題に鑑みてなされたものであり、多層配線基板の各層の回路間の層間接触抵抗が低く、層間導通の信頼性に優れ、しかも基板の平滑性を低下させることなく薄い多層配線基板を得ることができる多層配線基板用基材およびその製造方法および多層配線基板を提供することを目的としている。
【0012】
【課題を解決するための手段】
上述の目的を達成するために、この発明による多層配線基板用基材は、絶縁性基材の片面に金属下地層と導電層との2層が設けられ、前記絶縁性基材と前記金属下地層と前記導電層を連続貫通する貫通孔に層間導通を得るための導電性樹脂組成物を充填された多層配線基板用基材であって、前記貫通孔の導電層部分の口径が金属下地層部分の口径より大きい。
【0013】
この多層配線基板用基材によれば、貫通孔の金属下地層部分と導電層部分との口径差から、貫通孔に充填された導電性樹脂組成物と金属下地層との接触面積が多くなり、金属下地層を介した導電性樹脂組成物と導電層との導通接触が良好になる。
また、この多層配線基板用基材によれば、導電性樹脂組成物と導電層との導通が金属下地層を介して行われているから、導電性樹脂組成物の導電層側の面と導電層の外表面とを面一にすることができ、導電性樹脂組成物が導電層の上方に出る拡張部分を設ける必要がなくなり、導電性樹脂組成物と導電層とからなる導通パターン表面を平滑に形成することが可能になる。
【0014】
この多層配線基板用基材では、前記貫通孔の金属下地層部分の口径と前記絶縁性基部分の口径とは同一であってよい。また、前記貫通孔に充填された前記導電性樹脂組成物の前記導電層側の面は導電層の外表面と面一であり、導電性樹脂組成物の導電層の外表面より外方に突出していない。
【0015】
この発明による多層配線基板用基材では、絶縁性基材をポリイミド等の可撓性樹脂フィルムにより構成し、可撓性樹脂フィルムの一方の面に、金属下地層、銅めっき膜による導電層を形成されている銅張樹脂基材を出発材料とする。また、絶縁性基材は熱可塑性ポリイミドにより構成し、絶縁性基材を層間接着層とする。また、導電層を銅めっき膜により構成する場合、金属下地層は、銅めっき膜を成長させるためのCr、Ni、Ti、Mo、Wから選択された1種類または2種類以上の金属からなる薄膜と銅薄膜の2層構造のシード層であってよい。
【0016】
この発明による多層配線基板用基材は、上述の発明による多層配線基板用基材を複数枚、重ねて接合したものである。
【0017】
また、上述の目的を達成するために、この発明による多層配線基板用基材の製造方法は、絶縁性基材の片面に金属下地層と導電層との2層が設けられた出発材料に、導電層部分の口径が金属下地層部分と絶縁性基材部分の口径より大きい貫通孔を穿孔する穿孔工程と、導電性樹脂組成物を前記貫通孔に充填する充填工程とを有する。
【0018】
この発明による多層配線基板用基材の製造方法における好ましい穿孔工程として、まず、エッチングによって前記導電層に口径が大きい穴あけを行い、その後に前記金属下地層および前記絶縁性基材にレーザ加工、機械加工によって口径が小さい穴あけを行うか、前記導電層と前記金属下地層と前記絶縁性基材にレーザ加工、機械加工によって口径が小さい穴あけを行い、その後にエッチングによって前記導電層に口径が大きい穴あけを行うか、前記導電層を構成する金属のエッチングレートに比して前記金属下地層を構成する金属のエッチングレートが小さいエッチャントを用いて前記導電層と前記金属下地層に穴あけを行い、前記絶縁性基材にレーザ加工、機械加工によって口径が小さい穴あけを行うかの何れかを選択できる。
【0019】
この発明による多層配線基板用基材の製造方法における充填工程では、前記導電性樹脂組成物の前記導電層側の面が前記導電層の外表面とが面一になるよう、導電性樹脂組成物を前記貫通孔に穴埋め充填する。また、この充填工程は、導電性樹脂組成物を前記導電層の側より前記貫通孔に穴埋め充填する工程とする。
【0020】
【発明の実施の形態】
以下に添付の図を参照してこの発明の実施形態を説明する。
図1はこの発明による一実施形態に係わる多層配線基板用基材の基本構成を示している。
【0021】
図1に示されている多層配線基板用基材10は、絶縁性基材として、全芳香族ポリイミド(API)や接着性を有する熱可塑性ポリイミド(TPI)等の可撓性樹脂フィルムによる絶縁樹脂層(ベースフィルム)11を有しており、絶縁樹脂層11の一方の面には、銅めっき膜成長のための金属下地層として、Cr、Ni、Ti、Mo、Wから選択された1種類または2種類以上の金属からなる薄膜12aと銅薄膜12bによる2層構造のシード層(金属下地層)12が高周波スパッタリング等によって形成され、このシード層12上に銅めっき膜による導電層13が形成されている。
【0022】
絶縁樹脂層11とシード層12と導電層13には、これらを連続貫通してIVHを構成するための貫通孔14が穿設されている。貫通孔14には導電性樹脂組成物15が充填されている。
【0023】
貫通孔14のうち、絶縁樹脂層11とシード層12を貫通する部分(小径孔)14Aの口径Daは通常のバイアホール径とされ、導電層13を貫通する部分(大径孔)14Bの口径Dbは、絶縁樹脂層11とシード層12を貫通する部分14Aの口径Daより大径になっている。
【0024】
導電性樹脂組成物15は、銀粉等、導電機能を有する金属粉末を樹脂バインダに混入したものを、溶剤を含む粘性媒体に混ぜてペースト状にした導電性ペーストであり、導電層13の側よりスクイジングによる印刷法やディスペンス法等によって貫通孔14の孔内全体に、つまり小径孔14Aと大径孔14Bの全体に、満遍なく穴埋め充填されている。
【0025】
導電性樹脂組成物15の穴埋め充填が、大きい口径Dbの側から行われることにより、この穴埋め充填が容易に行われ、穴埋め充填時の孔内の空気抜きが良好に行われ、気泡の残存が少ない安定した充填状態が得られる。
【0026】
導電性樹脂組成物15の穴埋め充填は、充填量の制御により、硬化後において、導電性樹脂組成物15の導電層13側の面15Aと導電層13の外表面13Aとが同じ高さ位置の面、すなわち、面一となるように行われる。
【0027】
上述の構成による多層配線基板用基材10によれば、貫通孔14のシード層12部分と導電層13部分との口径差Db−Daから、シード層12に大きい孔内露出面12Aができ、この孔内露出面12Aによって貫通孔14に充填された導電性樹脂組成物15とシード層12との接触面積が多くなり、シード層12を介した導電性樹脂組成物15と導電層13との接触抵抗が下がり、両者の導通が良好になる。
【0028】
この発明による多層配線基板は、図2に例示されているように上述の構成による多層配線基板用基材10を、例えば、1層目、2層目として2枚重ね合わせ、これを互いに接着接合してなる。
【0029】
この多層配線基板では、各多層配線基板用基材10において、導電性樹脂組成物15と導電層13との導通がシード層12を介して良好に行われているので、多層回路の層間接触抵抗が低くなり、回路全体の伝送特性が向上する。
【0030】
また、導電性樹脂組成物15と導電層13との導通がシード層12を介して行われているから、導電性樹脂組成物15の導電層13側の面15Aと導電層13の外表面13Aとを面一にすることができ、導電性樹脂組成物15が導電層12の上方に出る拡張部分を設ける必要がなくなり、導電性樹脂組成物15と導電層13とからなる導通パターン表面を平滑に形成することが可能になる。
【0031】
このことにより、導通パターン表面に電子部品を実装し易くなり、併せて、図2に示されているように、複数枚の多層配線基板用基材10を重ねて接合してなる多層配線基板の厚さを減らすことができる。
【0032】
つぎに、図1に示されている多層配線基板用基材の製造方法の実施形態1を図3を参照して説明する。
【0033】
図3(a)に示されているように、絶縁樹脂層11の一方の面に、銅めっき膜成長のための金属下地層として、Cr、Ni、Ti、Mo、Wから選択された1種類または2種類以上の金属からなる薄膜と銅薄膜による2層構造のシード層12が成膜され、このシード層12上に銅めっき膜による導電層13が形成されたものを出発材料とし、導電層13をエッチング法により所望のパターンに形成する。
【0034】
すなわち、図3(b)に示されているように、導電層13上に感光性レジスト21をラミネートしてバイアホール部分を除くパターンに形成する。その後、ケミカルエッチングによって導電層13のバイアホール部分の除去を行う。すなわち、エッチングによって導電層13に口径が大きい穴あけを行い、導電層13に口径Dbの大径孔14Bを形成する。この穴あけでは、シード層12の薄膜12aは除去しない。
【0035】
つぎに、図8(d)に示されているように、感光性レジスト21を除去し、導電層13の反対の面にマスキングテープ22を貼付ける。
【0036】
つぎに、図3(e)に示されているように、レザービーム照射によるレーザ加工あるいはドリルを用いた機械加工によってシード層12の薄膜12aおよび絶縁樹脂層11およびマスキングテープ22に口径が小さい穴あけを一括して行い、シード層12と絶縁樹脂層11とマスキングテープ22とに口径Daの小径孔14Aを形成する。これにより、層間接続のために導電性樹脂組成物15を充填されるバイアホール(貫通孔14)が完成する。
【0037】
その後、図3(f)に示されているように、導電性樹脂組成物15を、印刷法あるいはディスペンス法により、充填量を制御して、大径孔14Bの側から貫通孔14内に穴埋め充填する。導電性樹脂組成物15としては、銀ペーストや、銅フィラーやカーボン混合物による導電性ペーストを使用することが可能である。
【0038】
この導電性樹脂組成物15の穴埋め充填では、導電性樹脂組成物15の充填量を制御することにより、硬化後において、導電性樹脂組成物15の導電層13側の面15Aと導電層13の外表面13Aとが同じ高さ位置の面、すなわち、面一となるように行われる。これにより、バイアホールの表面が平滑化され、表層へのめっきの被着や部品実装を可能とする。
【0039】
また、導電性樹脂組成物15の穴埋め充填が、大きい口径Dbの側から行われることにより、この穴埋め充填が容易に行われ、穴埋め充填時の孔内の空気抜きが良好に行われ、気泡の残存が少ない安定した充填状態が得られる。
【0040】
最後に、図3(g)に示されているように、マスキングテープ22の除去を行い、多層配線基板用基材10を完成する。このように製作された多層配線基板用基材10を何層かに積み重ねることによって、多層プリント基板が構成される。
【0041】
つぎに、図1に示されている多層配線基板用基材の製造方法の実施形態2を図4を参照して説明する。
【0042】
図4(a)に示されているように、絶縁樹脂層11の一方の面に、銅めっき膜成長のための金属下地層として、Cr、Ni、Ti、Mo、Wから選択された1種類または2種類以上の金属からなる薄膜と銅薄膜による2層構造のシード層12が成膜され、このシード層12上に銅めっき膜による導電層13が形成されたものを出発材料とし、導電層13をエッチング法により所望のパターンに形成する。
【0043】
つぎに、図4(b)に示されているように、出発材料の導電層13とは反対の面にマスキングテープ22を貼付ける。その後、図4(c)に示されているように、レザービーム照射によるレーザ加工あるいはドリルを用いた機械加工によって導電層13とシード層12と絶縁樹脂層11とマスキングテープ22とに、口径が小さい穴あけを一括して行い、導電層13とシード層12と絶縁樹脂層11とマスキングテープ22とに口径Daの小径孔14Aを貫通形成する。
【0044】
つぎに、図4(d)に示されているように、導電層13上に感光性レジスト21をラミネートしてバイアホール部分を除くパターンに形成する。その後、ケミカルエッチングによって導電層13のバイアホール部分の除去を行う。すなわち、エッチングによって導電層13に口径が大きい穴あけを行い、導電層13に口径Dbの大径孔14Bを形成する。これにより、層間接続のために導電性樹脂組成物15を充填されるバイアホール(貫通孔14)が完成する。
【0045】
その後、図4(e)および図4(f)に示されているように、感光性レジスト21を除去し、導電性樹脂組成物15を、印刷法あるいはディスペンス法により、充填量を制御して、大径孔14Bの側から貫通孔14内に穴埋め充填する。
【0046】
この導電性樹脂組成物15の穴埋め充填でも、導電性樹脂組成物15の充填量を制御することにより、硬化後において、導電性樹脂組成物15の導電層13側の面15Aと導電層13の外表面13Aとが同じ高さ位置の面、すなわち、面一となるように行われる。これにより、バイアホールの表面が平滑化され、表層へのめっきの被着や部品実装を可能とする。
【0047】
また、導電性樹脂組成物15の穴埋め充填が、大きい口径Dbの側から行われることにより、この穴埋め充填が容易に行われ、穴埋め充填時の孔内の空気抜きが良好に行われ、気泡の残存が少ない安定した充填状態が得られる。
【0048】
最後に、図4(g)に示されているように、マスキングテープ22の除去を行い、多層配線基板用基材10を完成する。このように製作された多層配線基板用基材10を何層かに積み重ねることによって、多層プリント基板が構成される。
【0049】
つぎに、多層配線基板用基材の製造方法の実施形態3を図5を参照して説明する。
【0050】
図5(a)に示されているように、絶縁樹脂層11の一方の面に、銅めっき膜成長のための金属下地層として、Cr、Ni、Ti、Mo、Wから選択された1種類または2種類以上の金属からなる薄膜と銅薄膜による2層構造のシード層12が成膜され、このシード層12上に銅めっき膜による導電層13が形成されたものを出発材料とし、導電層13をエッチング法により所望のパターンに形成する。
【0051】
すなわち、図5(b)に示されているように、導電層13上に感光性レジスト21をラミネートしてバイアホール部分を除くパターンに形成する。その後、塩化第2銅溶液など、導電層13をシード層12より速くエッチングできるエッチャント、つまり、導電層13を構成する金属(銅)のエッチングレートに比してシード層12を構成する金属のエッチングレートが小さいエッチャントを用いて導電層13とシード層12のバイアホール部分の除去を行う。
【0052】
このエッチングでは、シード層12のエッチングレートが導電層13のエッチングレートより遅いため、図5(c)に示されているように、導電層13には比較的大きい口径の大径孔14Bが形成され、シード層12には比較的小さい口径の小径孔14Aが形成される。
【0053】
つぎに、図5(d)に示されているように、感光性レジスト21を除去し、導電層13の反対の面にマスキングテープ22を貼付ける。
【0054】
つぎに、図5(e)に示されているように、残留しているシード層12をメタルマスクとして利用し、波長の長いレザービーム照射によるレーザ加工によって絶縁樹脂層11に口径が小さい穴あけを行い、絶縁樹脂層11にも小径孔14Aを形成する。これにより、層間接続のために導電性樹脂組成物15を充填されるバイアホール(貫通孔14)が完成する。
【0055】
その後、図5(f)に示されているように、導電性樹脂組成物15を、印刷法あるいはディスペンス法により、充填量を制御して、大径孔14Bの側から貫通孔14内に穴埋め充填する。
【0056】
この導電性樹脂組成物15の穴埋め充填でも、導電性樹脂組成物15の充填量を制御することにより、硬化後において、導電性樹脂組成物15の導電層13側の面15Aと導電層13の外表面13Aとが同じ高さ位置の面、すなわち、面一となるように行われる。これにより、バイアホールの表面が平滑化され、表層へのめっきの被着や部品実装を可能とする。
【0057】
また、導電性樹脂組成物15の穴埋め充填が、大きい口径Dbの側から行われることにより、この穴埋め充填が容易に行われ、穴埋め充填時の孔内の空気抜きが良好に行われ、気泡の残存が少ない安定した充填状態が得られる。
【0058】
最後に、図5(g)に示されているように、マスキングテープ22の除去を行い、多層配線基板用基材10を完成する。このように製作された多層配線基板用基材10を何層かに積み重ねることによって、多層プリント基板が構成される。
【0059】
なお、この発明による多層配線基板、多層配線基板用基材およびその製造方法は、ポリイミドフィルムを使用したフレキシブルプリント配線板に限られることはなく、ポリエステルフィルム使用したフレキシブルプリント配線板、エボキシ樹脂や、ガラス布、アラミド不織布等によるプリプレグ材を絶縁材を使用したリジッドタイプのものにも同様に適用することができる。
なお、上記2層構造のシード層12は、上記材料に限定されず、例えば上層にニッケル薄膜、下層にクロム薄膜の2重構造とすることもできる。また、上記実施形態では、絶縁性基材としてポリイミドの可撓性樹脂フィルムとしたがこれに限定されず、ポリイミドと接着剤の2層構造としても良い。
【0060】
以上に於ては、この発明を特定の実施の形態について詳細に説明したが、この発明は、これに限定されるものではなく、この発明に係わる技術的思想の範囲内にて種々の実施の形態が可能であることは当業者にとって明らかであろう。
【0061】
【発明の効果】
以上の説明から理解される如く、この発明による多層配線基板、多層配線基板用基材およびその製造方法によれば、貫通孔の金属下地層(シード層)部分と導電層部分との口径差から、貫通孔に充填された導電性樹脂組成物と金属下地層との接触面積が多くなり、金属下地層を介した導電性樹脂組成物と導電層との導通が良好になるから、導電性樹脂組成物と導電回路部との接触信頼性を損なうことなく、しかも基板の平滑性を低下させることなく、薄い多層配線基板を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明の一実施形態に係わる多層配線基板用基材の一つの基本構成を示す断面図である。
【図2】この発明の一実施形態に係わる多層配線基板を示す断面図である。
【図3】(a)〜(g)はこの発明の一実施形態に係わる多層配線基板用基材の製造方法の実施形態1を示す工程図である。
【図4】(a)〜(g)はこの発明の一実施形態に係わる多層配線基板用基材の製造方法の実施形態2を示す工程図である。
【図5】(a)〜(g)はこの発明の一実施形態に係わる多層配線基板用基材の製造方法の実施形態3を示す工程図である。
【図6】従来の多層配線基板用基材のIVH構造を示す断面図である。
【符号の説明】
10 基材
11 絶縁樹脂層
12 シード層
13 導電層
14 貫通孔
15 導電性樹脂組成物
Claims (13)
- 絶縁性基材の片面に金属下地層と導電層との2層が設けられ、前記絶縁性基材と前記金属下地層と前記導電層を連続貫通する貫通孔に層間導通を得るための導電性樹脂組成物を充填された多層配線基板用基材であって、
前記貫通孔の導電層部分の口径が金属下地層部分の口径より大きいことを特徴とする多層配線基板用基材。 - 前記貫通孔の金属下地層部分の口径と前記絶縁性基材部分の口径とが同一であることを特徴とする請求項1記載の多層配線基板用基材。
- 前記貫通孔に充填された前記導電性樹脂組成物の前記導電層側の面と当該導電層の外表面とが面一であることを特徴とする請求項1または2記載の多層配線基板用基材。
- 前記絶縁性基材はポリイミドの可撓性樹脂フィルムであることを特徴とする請求項1〜3の何れか1項記載の多層配線基板用基材。
- 前記絶縁性基材は熱可塑性ポリイミドにより構成されていることを特徴とする請求項1〜3の何れか1項記載の多層配線基板用基材。
- 前記導電層は銅めっき膜により構成され、前記金属下地層がCr、Ni、Ti、Mo、Wから選択された1種類または2種類以上の金属からなる薄膜と銅薄膜の2層構造のシード層であることを特徴とする請求項1〜5の何れか1項記載の多層配線基板用基材。
- 請求項1〜6の何れか1項記載の多層配線基板用基材を複数枚、重ねて接合してなることを特徴とする多層配線基板。
- 絶縁性基材の片面に金属下地層と導電層とが設けられた出発材料に、導電層部分の口径が金属下地層部分と絶縁性基材部分の口径より大きい貫通孔を穿孔する穿孔工程と、
導電性樹脂組成物を前記貫通孔に充填する充填工程と、
を有することを特徴とする多層配線基板用基材の製造方法。 - 前記穿孔工程は、エッチングによって前記導電層に口径が大きい穴あけを行う工程と、その後に前記金属下地層および前記絶縁性基材にレーザ加工、機械加工によって口径が小さい穴あけを行う工程とを含んでいることを特徴とする請求項8記載の多層配線基板用基材の製造方法。
- 前記穿孔工程は、前記導電層と前記金属下地層と前記絶縁性基材にレーザ加工、機械加工によって口径が小さい穴あけを行う工程と、その後にエッチングによって前記導電層に口径が大きい穴あけを行う工程とを含んでいることを特徴とする請求項8記載の多層配線基板用基材の製造方法。
- 前記穿孔工程は、前記導電層を構成する金属のエッチングレートに比して前記金属下地層を構成する金属のエッチングレートが小さいエッチャントを用いて前記導電層と前記金属下地層に穴あけを行う工程と、前記絶縁性基材にレーザ加工、機械加工によって口径が小さい穴あけを行う工程とを含んでいることを特徴とする請求項8記載の多層配線基板用基材の製造方法。
- 前記充填工程は、前記導電性樹脂組成物の前記導電層側の面が前記導電層の外表面とが面一になるよう、導電性樹脂組成物を前記貫通孔に穴埋め充填する工程を含んでいることを特徴とする請求項8〜11の何れか1項記載の多層配線基板用基材の製造方法。
- 前記充填工程は、導電性樹脂組成物を前記導電層の側より前記貫通孔に穴埋め充填する工程を含んでいることを特徴とする請求項8〜12の何れか1項記載の多層配線基板用基材の製造方法。
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Cited By (2)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
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2002
- 2002-10-01 JP JP2002289268A patent/JP2004128170A/ja active Pending
Cited By (4)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
US8786058B2 (en) | 2010-11-08 | 2014-07-22 | Samsung Electronics Co., Ltd. | Semiconductor devices and methods of manufacturing the same |
WO2022224557A1 (ja) * | 2021-04-20 | 2022-10-27 | Fict株式会社 | 回路基板、回路基板の製造方法及び電子機器 |
JP2022165765A (ja) * | 2021-04-20 | 2022-11-01 | Fict株式会社 | 回路基板、回路基板の製造方法及び電子機器 |
JP7216139B2 (ja) | 2021-04-20 | 2023-01-31 | Fict株式会社 | 回路基板の製造方法 |
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