JP2003258431A - 多層配線基板、多層配線基板用基材およびその製造方法 - Google Patents
多層配線基板、多層配線基板用基材およびその製造方法Info
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Abstract
中に気泡が残存し難く、導電性樹脂組成物と銅箔部との
導通が信頼性高く行われるようすること。 【解決手段】 バイアホールを形成する貫通孔14の導
電層部分14cの口径が絶縁性基材部分14bおよび接
着層部分14aの口径より小さく、貫通孔14の絶縁性
基材部分14bの内壁面が縦断面で見て曲線状で、貫通
孔14の内壁面と導電層裏面12aとの接続が、角張っ
た変局部を含むことなく滑らかに行われ、貫通孔14に
対する導電性樹脂組成物14の充填時の貫通孔14内の
空気抜きがすべて良好に行われるようにする。
Description
(多層プリント配線板)、多層配線基板用基材およびそ
の製造方法に関し、特に、フリップチップ実装などの高
密度実装が可能な多層のフレキシブルプリント配線板等
の多層配線基板、多層配線基板用基材およびその製造方
法に関するものである。
H(Interstitial Via Hole)に
よって行い、ビア・オン・ビアが可能な樹脂多層プリン
ト配線板、例えば、松下電器産業社のALIVH(An
y Layer Interstitial Via
Hole)基板や、ポリイミドによるFPCをスルーホ
ールを使用せずにビルドアップ方式で多層に積層するソ
ニーケミカル社のポリイミド複合多層ビルドアップ集積
回路基板(MOSAIC)が開発されている。
それの片面に銅箔による導電層を貼り付けられている汎
用の銅張樹脂基材を出発基材として、簡便な工程により
IVH構造の多層FPCを得る構造と製法が本願出願人
と同一の出願人による特願2001−85224号で提
案されている。
いる多層配線基板用基材では、絶縁層の一方の面に銅箔
を設けた銅張樹脂基材に貫通孔(バイアホール)を穴あ
けした後、導電性樹脂組成物(樹脂系の導電性ペース
ト)を銅箔側からスクリーン印刷法等による印刷法によ
って充填することで、図11に示されているようなIV
H部分を形成している。なお、図11において、101
は絶縁層を、102は銅箔部を、104は貫通孔を、1
05は貫通孔104に充填された導電性樹脂組成物を各
々示している。
部の口径をIVH径より大きくすることにより、印刷時
の位置合わせ精度にある程度の余裕ができると共に、銅
箔部102上に導電性樹脂組成物105によってマスク
開口部口径相当の大きさのヘッド状部105Aが形成さ
れ、貫通孔104に充填された導電性樹脂組成物105
と銅箔部102との接触面積を大きくすることができ
る。
た印刷法によってバイアホールに導電性樹脂組成物を充
填する場合、ヘッド状部105Aは印刷用マスクの厚さ
等により基材表面よりも数十μm程度の厚さをもって突
出する。このため、多層配線基板の表面平滑性を確保す
るためには、ヘッド状部105Aの全体を層間接着剤の
層内に埋め込むに十分な接着層の厚さが必要になる。
くなることにより、多層配線基板の厚膜化を招くことに
なる。これに対し、接着層を厚くしない場合には、多層
配線基板の表面平滑性が損ねられる。
に、多層積層を行うことで、導電性樹脂組成物と他層の
銅箔との接触が密接に行われるようにした場合、図12
に示されているように、導電性樹脂組成物105の銅箔
部102より上の部分(ヘッド状部105A)が、多層
積層時の積層圧Pによって押しつぶれ、圧潰状態で広が
ってしまい、基板表面上から見たヘッド状部105Aの
大きさを均一化することが困難であるばかりか、他配線
部102’までヘッド状部105Aの導電性樹脂組成物
が広がってしまい、回路の短絡を招く虞れがある。
電性樹脂組成物との導通接触を銅箔裏面側でとる構造が
考えられている。即ち、これは、絶縁性基材の片面に配
線パターンをなす導電層を設けられ、前記絶縁性基材と
前記導電層を貫通する貫通孔に層間導通を得るための導
電性樹脂組成物を充填された多層配線基板用基材におい
て、貫通孔の導電層部分の口径を絶縁性基材部分の口径
より小さくする、あるいは、絶縁性基材の一方の面に配
線パターンをなす導電層を、他方の面に層間接着のため
の接着層を設けられ、前記導電層と前記絶縁性基材と前
記接着層を貫通する貫通孔に層間導通を得るための導電
性樹脂組成物を充填された多層配線基板用基材におい
て、貫通孔の導電層部分の口径を絶縁性基材部分および
接着層部分の口径より小さくし、このような多層配線基
板用基材を、複数枚、重ね合わせて接合するものであ
る。なお、銅箔部に設けられる樹脂部(絶縁性基材ある
いは絶縁性基材+接着層)よりも小さい穴はIVH内へ
の気泡の入り込みを防ぐものである。
は、レーザ加工による穴あけが提案されているが、レー
ザ加工で貫通孔を穿該した場合には、図13に示されて
いるように、絶縁性基材101部分の貫通孔106の内
壁面106Aの断面形状は、極めて直線的なものにな
り、貫通孔106の内壁面106Aと銅箔部102の裏
面102Aとの接続が、角張った隅角部(変局部)10
7によって行われることになる。
組成物105を穴埋め充填する際に、貫通孔106内の
銅箔部102と絶縁性基材101との境界部、即ち、図
14に〇印で示されている部分が澱み領域になってこの
部分の空気抜きが良好に行われず、この部分の導電性樹
脂組成物105に気泡が入り込み、導電性樹脂組成物1
05内に気泡が残存し易いと云う問題がある。
02Aにおける導電性樹脂組成物105と銅箔部102
との接触面積の変動を招き、導電性樹脂組成物105と
銅箔部102との導通を不安定なものにする原因にな
る。
ためになされたもので、バイアホールに充填された導電
性樹脂組成物と銅箔部(導電層)との導通を銅箔裏面側
でとる構造のものにおいて、バイアホールに充填された
導電性樹脂組成物中に気泡が残存し難く、導電性樹脂組
成物と銅箔部との導通信頼性が高い多層配線基板用基材
およびその製造方法および多層配線基板を提供すること
を目的としている。
めに、この発明による多層配線基板用基材は、絶縁性基
材の片面に配線パターンをなす導電層を設けられ、前記
絶縁性基材と前記導電層を貫通する貫通孔に層間導通を
得るための導電性樹脂組成物を充填された多層配線基板
用基材であって、前記貫通孔の導電層部分の口径が絶縁
性基材部分の口径より小さく、当該貫通孔の前記絶縁性
基材部分の内壁面が縦断面で見て曲線状、あるいは、絶
縁性基材の一方の面に配線パターンをなす導電層を、他
方の面に層間接着のための接着層を設けられ、前記導電
層と前記絶縁性基材と前記接着層を貫通する貫通孔に層
間導通を得るための導電性樹脂組成物を充填された多層
配線基板用基材であって、前記貫通孔の導電層部分の口
径が絶縁性基材部分および接着層部分の口径より小さ
く、当該貫通孔の絶縁性基材部分の内壁面が縦断面で見
て曲線状である。
で見て曲線状であることにより、貫通孔の絶縁性基材部
分の形状がすり鉢状になり、貫通孔の内壁面と導電層裏
面との接続が、角張った変局部を含むことなく滑らかに
行われ、貫通孔に対する導電性樹脂組成物の充填時の貫
通孔内の空気抜きがすべて良好に行われるようになり、
貫通孔に穴埋め充填された導電性樹脂組成物内に気泡が
残存しなくなる。
面をもって前記導電層の裏面と滑らかに接続されている
ことが好ましく、貫通孔がエッチングにより形成された
孔である場合、(絶縁性基材厚さT)/(サイドエッチ
L)=(エッチングファクタ)とし、エッチングファク
タが1以下であることが好ましい。
絶縁性基材をポリイミド等の可撓性樹脂フィルムにより
構成し、可撓性樹脂フィルムの一方の面に銅箔による導
電層を貼り付けられている汎用の銅張樹脂基材を出発基
材とすることができる。また、接着層は熱可塑性ポリイ
ミドにより構成することができる。
明による多層配線基板用基材を複数枚、重ねて接合した
ものである。
よる多層配線基板用基材の製造方法は、絶縁性基材の片
面に配線パターンをなす導電層を設けられたものに、導
電層部分の口径が絶縁性基材部分の口径より小さく、当
該貫通孔の前記絶縁性基材部分の断面形状が近円弧状の
貫通孔を穿孔する穿孔工程と、導電性樹脂組成物を前記
貫通孔に充填する充填工程とを有する。
発明による多層配線基板用基材の製造方法は、絶縁性基
材の一方の面に配線パターンをなす導電層を、他方の面
に層間接着のための接着層を設けられたものに、導電層
部分および接着層部分の口径が絶縁性基材部分の口径よ
り小さく、当該貫通孔の前記絶縁性基材部分の断面形状
が近円弧状の貫通孔を穿孔する穿孔工程と、導電性樹脂
組成物を前記貫通孔に充填する充填工程とを有する。
方法における穿孔工程は、エッチングによって絶縁性基
材部分の貫通孔を形成することができ、絶縁性基材がポ
リイミド等の可撓性樹脂フィルムである場合には、液状
エッチャントによってエッチングして絶縁性基材に貫通
孔を形成することができる。
エッチングして貫通孔を形成する場合、液状エッチャン
トの粘性や、反応・物質移動の等方性により、エッチン
グのキャビティ形状が近円弧状になることはよく知られ
ており、この発明による多層配線基板用基材の製造方法
は、これを応用したものである。
接着層としてもポリイミド基材を使用した場合には、市
販のポリイミドエッチング液によって容易にエッチング
することができるうえに、製品としての耐熱性、対薬品
性、電気絶縁性等に優れる。
孔の形成の場合、(絶縁性基材厚さT)/(サイドエッ
チL)=(エッチングファクタ)とし、エッチングファ
クタを1以下である孔を絶縁性基材部分に形成すること
ができる。
明の実施形態を詳細に説明する。 (実施形態1)図1はこの発明による一実施形態に係わ
る多層配線基板用基材の基本構成を示している。
は、絶縁性基材をなす絶縁樹脂層11の一方の面に配線
パターンをなす銅箔等による導電層12を、他方の面に
層間接着のための接着層13を各々設けられ、接着層1
3と絶縁樹脂層11と導電層12とを貫通する貫通孔1
4を穿設されている。貫通孔14には導電性樹脂組成物
15が充填され、IVH(バイアホール)を形成してい
る。
ポリイミド(API)等によるポリイミドフィルムやポ
リエステルフィルム等の可撓性を有する樹脂フィルムで
構成され、絶縁樹脂層11と導電層12と接着層13と
の3層構造は、汎用の片面銅箔付きポリイミド基材のポ
リイミド部(絶縁樹脂層11)の銅箔(導電層12)と
は反対側の面に接着層13としてポリイミド系接着材を
貼付したもので構成できる。
熱可塑性ポリイミド(TPI)あるいは熱可塑性ポリイ
ミドに熱硬化機能を付与したフィルムの貼り付けにより
形成することができる。熱可塑性ポリイミドの場合、基
板の耐熱性を考慮し、ガラス転移点の高いものを使用す
るのが好ましい。
部分14aと絶縁樹脂層11を貫通する部分14bの口
径は通常のバイアホール径とされ、導電層12を貫通す
る部分14cの口径は絶縁樹脂層11および接着層13
を貫通する部分14a、14bの口径より小径になって
おり、絶縁性基材部分14bの断面形状が近円弧状にな
っている。すなわち、貫通孔14の絶縁性基材部分14
bの形状がすり鉢状をなし、貫通孔14の内壁面が近円
弧面14eをもって導電層12の裏面12aに接続され
ている。すなわち、図1の縦断面図に示す様に、絶縁樹
脂層11の内壁面14eが縦断面で見て曲線状となって
いる。ここで、近円弧面14eとは、全体が一つの曲率
による湾曲面(球面)、異なる複数の曲率による湾曲面
が滑らかに連続した曲面、その他、回転楕円面、回転放
物線面等、各種曲面の総称とする。
通孔14bは、液状エッチャントによってエッチングに
よって形成することができ、液状エッチャントの粘性
や、反応・物質移動の等方性により、エッチングのキャ
ビティ形状が近円弧状になることを利用して貫通孔14
の内壁面を近円弧面14eとすることができる。これに
より、図2に示されているように、(絶縁性基材厚さ
T)/(サイドエッチL)=(エッチングファクタ)と
すると、エッチングファクタは1以下になり、貫通孔1
4の内壁面が近円弧面14eをもって、角張った変局部
を含むことなく、導電層12の裏面12aと滑らかに接
続される。
脂組成物15の充填時の貫通孔14内の空気抜きがすべ
て良好に行われるようになり、貫通孔14に穴埋め充填
された導電性樹脂組成物15内に気泡が残存しなくな
り、バイアホール(貫通孔14)に充填された導電性樹
脂組成物15と導電層12の裏面12aとの接触による
導通が所要の接触面積をもって信頼性高く行われる。
の実施形態を示している。この多層配線基板は、図1に
示されている構造の多層配線基板用基材を、1層目の基
材10Aと2層目の基材10Bとして、2枚重ね合わ
せ、1層目の基材10Aの接着層13によって1層目の
基材10Aと2層目の基材10Bとを互いに接着接合し
てなる。2層目の基材10Bの接着層13上には表面部
の配線パターンをなす銅箔による導電層16が形成され
ている。
孔14はIVHをなし、各貫通孔14の内壁面が近円弧
面14eをもって、角張った変局部を含むことなく、導
電層12の裏面12aと滑らかに接続される形状になっ
ているから、貫通孔14に穴埋め充填された導電性樹脂
組成物15内に気泡が残存することがなく、貫通孔14
に穴埋め充填された導電性樹脂組成物15によって、各
層の導電層12、あるいは導電層12と16の層間導通
が信頼性高く行われる。
用基材、およびその多層配線基板用基材による多層配線
基板の製造方法の一実施形態を図4、図5を参照して説
明する。
ように、絶縁樹脂層(ポリイミドフィルム)11の片面
に銅箔による導電層12を設けられた基材の絶縁樹脂層
11側に、熱可塑性ポリイミドあるいは熱可塑性ポリイ
ミドに熱硬化機能を付与したフィルムを貼り付けて接着
層13を形成する。
に、導電層12にエッチングを行って導電層12による
配線パターン(回路パターン)を形成する。導電層12
が銅箔の場合、銅箔のエッチングは、塩化第2鉄を主成
分とした水溶液、塩化第2銅を主成分としたエッチャン
トを用いて行うことができる。
に、接着層13の表面にエッチングレジスト(図示省
略)を形成し、接着層13をエッチングして当該部分の
孔14aを形成する。
合には、接着層13は、水酸化カリウムとヒドラジンと
エチレンジアミンの混合物や水酸化アルカリとヒドラジ
ンと1.3−ジメチル−2−イミダゾリジノンを主成分
とする熱可塑性ポリイミド用液状エッチャントによって
エッチングすることができる。その後、接着層表面のエ
ッチングレジストは除去する。
に、絶縁樹脂層(ポリイミドフイルム)11のエッチン
グのためのエッチングレジスト(図示省略)を接着層1
3の表面に形成し、絶縁樹脂層11をエッチングして当
該部分の孔14bを形成する。
熱可塑性ポリイミド用液状エッチャントと同等のポリイ
ミド用液状状エッチャントで行うことができるが、ポリ
イミドフィルムと接着層(熱可塑性ポリイミド)13と
の境界に段差ができないよう、エッチング条件を決定す
る必要がある。
電層12と絶縁樹脂層11との境界付近は、絶縁樹脂層
11のエッジが急峻であると、後の工程である貫通孔1
4に対する導電性樹脂組成物充填の際に気泡が入り込ん
でしまうが、液状エッチャントで絶縁樹脂層11をエッ
チングしたところ、図2で定義しているエッチングファ
クタは1以下となり、エッジが急峻にならず、絶縁樹脂
層11の部分の貫通孔14の内壁面が近円弧面14eを
もって、角張った変局部(隅角部)を含むことなく、導
電層12の裏面12aと滑らかに接続される形状にな
り、気泡排出の効率がよくなる。
チングは、エッチレートが同じエッチング液が使用され
れば、2層一括でエッチングできる。
に、エッチングあるいはレーザ加工等により、導電層1
2に小さい孔14cを穿設し、貫通孔14を完成する。
(g)に示されているように、接着層13上にメタルマ
スク50を載せ、メタルマスク50の開口50aが各貫
通孔14に整合するように、マスク合わせを行い、スク
リーン印刷で使用するようなスクイジプレート(スキー
ジプレート)51を使用してメタルマスク50の面側か
ら導電性樹脂組成物(導電ペースト)15をスクイジン
グ(印刷法)によって貫通孔14に穴埋め充填する。図
4(h)は、導電性樹脂組成物15の穴埋め充填完了状
態を示している。
る加熱に対する酸化を避けるため、銀ペーストを使用し
た。この時、粘度を300dPa・sのものを使用した
ところ、銅箔部(導電層12)の小孔14cから導電ペ
ーストが抜け落ちることなく的確に穴埋め充填すること
ができた。なお、導電性樹脂組成物15としては、銀ペ
ースト以外に、銅フィラーやカーボン混合物による導電
性ペーストを使用することも可能である。
は、マスクを介して行うが、スクリーンマスクを使用し
た場合にはスクリーン開口部のメッシュに導電性樹脂組
成物が持っていかれてしまい、積層後の電気的信頼性を
確保できないため、メタルマスク50を介して印刷を行
ったところ、このような不具合が解消された。
樹脂層部分(ポリイミド部分)14bの形状が滑らかな
近円弧状であるため、銅箔(導電層12)の小孔14c
から気泡が速やかに排出され、銅箔部(導電層12)と
導電性樹脂組成物15との密着が導電層12の裏面12
aで十分に行われる。また、図4(h)に示すように、
この実施形態では、導電性樹脂組成物15の後端15a
は、接続を良くするため、接着層13の上端より少し突
出している。
脂組成物15との接触抵抗からの要求に加えて、導電性
樹脂組成物15の粘度やチキソ性といった諸特性に応
じ、気泡の残留と導電性樹脂組成物15の脱落を回避で
きるように選択することになり、例えば、接着層13、
絶縁樹脂層11を貫通する部分14a、14bの口径を
通常のバイアホール径、例えば、100μmとすると、
導電層12を貫通する部分14cの口径は、バイアホー
ル径より小径の30〜50μm程度になる。
ば、図4(h)に示されているようにメタルマスク50
を外して1枚の基材10Aを完成する。
(a)〜(h)に示されているこれまでと同様の製法で
作製した基材10Bと、銅箔による導電層16を各々適
当な位置合わせ法によって位置合わせしつつ積層加熱圧
着(ラミネーション)することで、図5(a)、(b)
に示されているように、多層化が達成される。
ながら加熱圧着することで、導電層12による回路パタ
ーンの凹凸に対する接着層13の追従性を高くすること
ができる。また、導電性樹脂組成物15が柔らかい状態
で積層を行い、導電性樹脂組成物15と他層の銅箔との
接触を密接にすることができる。
に、最外層の導電層16をエッチングによって回路形成
することで、多層配線板として完成を見る。
実施形態に係わる多層配線基板用基材の基本構成を示し
ている。
は、絶縁性基材をなす絶縁樹脂層21自体が層間接着の
ための接着性を有しており、絶縁樹脂層21の一方の面
に配線パターンをなす銅箔等による導電層22を設けら
れ、絶縁樹脂層21と導電層22とを貫通する貫通孔2
4を穿設されている。貫通孔24には導電性樹脂組成物
25が充填され、IVH(バイアホール)を形成してい
る。
1は、熱可塑性ポリイミド(TPI)あるいは熱可塑性
ポリイミドに熱硬化機能を付与したもので構成される。
熱可塑性ポリイミドの場合、基板の耐熱性を考慮し、ガ
ラス転移点の高いものを使用するのが好ましい。
する部分24bの口径は通常のバイアホール径とされ、
導電層22を貫通する部分24cの口径は絶縁樹脂層2
1を貫通する部分24bの口径より小径になっており、
絶縁性基材部分24bの断面形状が近円弧状になってい
る。すなわち、貫通孔24の絶縁性基材部分24bの形
状がすり鉢状をなし、貫通孔24の内壁面が近円弧面2
4eをもって導電層22の裏面22aに接続されてい
る。すなわち、図6の縦断面図に示す様に、絶縁樹脂層
21の内壁面24eが縦断面で見て曲線状となってい
る。
部分の貫通孔24は、液状エッチャントによってエッチ
ングによって形成することができ、液状エッチャントの
粘性や、反応・物質移動の等方性により、エッチングの
キャビティ形状が円弧状になることを利用して貫通孔2
4の内壁面を近円弧面24eとすることができる。これ
により、この場合も、図2に示されているように、(絶
縁性基材厚さT)/(サイドエッチL)=(エッチング
ファクタ)とし、エッチングファクタは1以下になり、
貫通孔24の内壁面が近円弧面24eをもって、角張っ
た変局部を含むことなく、導電層22の裏面22aと滑
らかに接続される。
脂組成物25の充填時の貫通孔24内の空気抜きがすべ
て良好に行われるようになり、貫通孔24に穴埋め充填
された導電性樹脂組成物25内に気泡が残存しなくな
り、バイアホール(貫通孔24)に充填された導電性樹
脂組成物25と導電層22の裏面22aとの接触による
導通が所要の接触面積をもって信頼性高く行われる。
の実施形態を示している。この多層配線基板は、図6に
示されている構造の多層配線基板用基材を、1層目の基
材20Aと2層目の基材20Bとして、2枚重ね合わ
せ、1層目の基材20Aの接着性を有する絶縁樹脂層2
1によって1層目の基材20Aと2層目の基材20Bと
を互いに接着接合してなる。2層目の基材20Bの絶縁
樹脂層21上には表面部の配線パターンをなす銅箔によ
る導電層26が形成されている。
孔24はIVHをなし、各貫通孔24の内壁面が近円弧
面24eをもって、角張った変局部(隅角部)を含むこ
となく、導電層22の裏面22aと滑らかに接続される
形状になっているから、貫通孔24に穴埋め充填された
導電性樹脂組成物25内に気泡が残存することがなく、
貫通孔24に穴埋め充填された導電性樹脂組成物25に
よって、各層の導電層22、あるいは導電層22と26
の層間導通が信頼性高く行われる。
用基材、およびその多層配線基板用基材による多層配線
基板の製造方法の一実施形態を図8、図9を参照して説
明する。
ように、絶縁樹脂層(熱可塑性ポリイミドフィルム)2
1の片面に銅箔による導電層22を貼り付ける。逆に云
えば、銅箔による導電層22の片面に熱可塑性ポリイミ
ドフィルム(ポリイミド系接着材)を貼り付ける。
に、導電層22にエッチングを行って導電層22による
配線パターン(回路パターン)を形成する。導電層22
が銅箔の場合、銅箔のエッチングは、塩化第2鉄を主成
分とした水溶液、塩化第2銅を主成分としたエッチャン
トを用いて行うことができる。
に、絶縁樹脂層(熱可塑性ポリイミドフイルム)21の
エッチングのためのエッチングレジスト(図示省略)を
絶縁樹脂層21の表面に形成し、絶縁樹脂層21をエッ
チングして当該部分の孔24bを形成する。
る場合には、絶縁樹脂層21は、水酸化カリウムとヒド
ラジンとエチレンジアミンの混合物や水酸化アルカリと
ヒドラジンと1.3−ジメチル−2−イミダゾリジノン
を主成分とする熱可塑性ポリイミド用液状エッチャント
によってエッチングすることができる。その後、接着層
表面のエッチングレジストは除去する。
2と絶縁樹脂層21との境界付近は、絶縁樹脂層21の
エッジが急峻であると、後の工程である貫通孔24に対
する導電性樹脂組成物充填の際に気泡が入り込んでしま
うが、液状エッチャントで絶縁樹脂層21をエッチング
したところ、この場合も、図2で定義しているエッチン
グファクタは1以下となり、エッジが急峻にならず、絶
縁樹脂層21の部分の貫通孔24の内壁面が近円弧面2
4eをもって、角張った変局部(隅角部)を含むことな
く、導電層22の裏面22aと滑らかに接続される形状
になり、気泡排出の効率がよくなる。
に、エッチングあるいはレーザ加工等により、導電層2
2に小さい孔24cを穿設し、貫通孔24を完成する。
(f)に示されているように、絶縁樹脂層21上にメタ
ルマスク50を載せ、メタルマスク50の開口50aが
各貫通孔24に整合するように、マスク合わせを行い、
スクリーン印刷で使用するようなスクイジプレート(ス
キージプレート)51を使用してメタルマスク50の面
側から導電性樹脂組成物(導電ペースト)25をスクイ
ジング(印刷法)によって貫通孔24に穴埋め充填す
る。図8(g)は、導電性樹脂組成物25の穴埋め充填
完了状態を示している。
る加熱に対する酸化を避けるため、銀ペーストを使用し
た。この時、粘度を300dPa・sのものを使用した
ところ、銅箔部(導電層22)の小孔24cから導電ペ
ーストが抜け落ちることなく的確に穴埋め充填すること
ができた。なお、導電性樹脂組成物25としては、銀ペ
ースト以外に、銅フィラーやカーボン混合物による導電
性ペーストを使用することも可能である。
は、マスクを介して行うが、スクリーンマスクを使用し
た場合にはスクリーン開口部のメッシュに導電性樹脂組
成物が持っていかれてしまい、積層後の電気的信頼性を
確保できないため、メタルマスク50を介して印刷を行
ったところ、このような不具合が解消された。
樹脂層部分(熱可塑性ポリイミド部分)24bの形状が
滑らかな近円弧状であるため、銅箔(導電層22)の小
孔24cから気泡が速やかに排出され、銅箔部(導電層
22)と導電性樹脂組成物25との密着が導電層22の
裏面22aで十分に行われる。また、図8(g)に示す
ように、この実施形態では、導電性樹脂組成物25の後
端25aは、接続を良くするため、絶縁樹脂層21の上
端より少し突出している。
脂組成物25との接触抵抗からの要求に加えて、導電性
樹脂組成物25の粘度やチキソ性といった諸特性に応
じ、気泡の残留と導電性樹脂組成物25の脱落を回避で
きるように選択することになり、例えば、絶縁樹脂層2
1を貫通する部分24bの口径を通常のバイアホール
径、例えば、100μmとすると、導電層22を貫通す
る部分24cの口径は、バイアホール径より小径の30
〜50μm程度になる。
ば、図8(g)に示されているようにメタルマスク50
を外して1枚の基材20Aを完成する。
(a)〜(f)に示されているこれまでと同様の製法で
作製した基材20Bと、銅箔による導電層26を各々適
当な位置合わせ法によって位置合わせしつつ積層加熱圧
着(ラミネーション)することで、図9(a)、(b)
に示されているように、多層化が達成される。
ながら加熱圧着することで、導電層22による回路パタ
ーンの凹凸に対する絶縁樹脂層21の追従性を高くする
ことができる。また、導電性樹脂組成物25が柔らかい
状態で積層を行い、導電性樹脂組成物25と他層の銅箔
との接触を密接にすることができる。
に、最外層の導電層26をエッチングによって回路形成
することで、多層配線板として完成を見る。(その他の
実施形態)
が必ずしも1以下のものでなくてもよく、例えば、図1
0に示されているように、絶縁樹脂層21の部分の貫通
孔24の内壁面がR面24fをもって角張った変局部を
含むことなく導電層22の裏面22aと滑らかに接続さ
れる形状であってもよい。このことは、実施形態1のも
のでも同様である。
レキシブルプリント配線板について述べたが、この発明
はこれに限られることはなく、リジットタイプのプリン
ト配線板にも同様に適用でき、絶縁性基材が、エポキシ
樹脂系やプリプレグによるものである場合には、プラズ
マエッチングによって貫通孔形状を上述の実施形態と同
様に、すり鉢状にすることができる。
明による多層配線基板、多層配線基板用基材およびその
製造方法によれば、貫通孔の絶縁性基材部分の内壁面が
縦断面で見て曲線状であることにより、貫通孔の内壁面
と導電層裏面との接続が、角張った変局部を含むことな
く滑らかに行われ、貫通孔に対する導電性樹脂組成物の
充填時の貫通孔内の空気抜きがすべて良好に行われるよ
うになり、貫通孔に穴埋め充填された導電性樹脂組成物
内に気泡が残存しなくなるから、導電性樹脂組成物と導
電層との導通が高い信頼性をもって安定して行われるよ
うになる。
基材の基本構成を示す断面図である。
基材の貫通孔形状を示す断面図である。
示す断面図である。
る多層配線基板用基材の製造方法の一実施形態を示す工
程図である。
る多層配線基板の製造方法の一実施形態を示す工程図で
ある。
基材の基本構成を示す断面図である。
示す断面図である。
る多層配線基板用基材の製造方法の一実施形態を示す工
程図である。
る多層配線基板の製造方法の一実施形態を示す工程図で
ある。
板用基材の基本構成を示す断面図である。
す断面図である。
ける不具合を示す断面図である。
す断面図である。
ける不具合を示す断面図である。
Claims (12)
- 【請求項1】 絶縁性基材の片面に配線パターンをなす
導電層を設けられ、前記絶縁性基材と前記導電層を貫通
する貫通孔に層間導通を得るための導電性樹脂組成物を
充填された多層配線基板用基材であって、 前記貫通孔の導電層部分の口径が絶縁性基材部分の口径
より小さく、当該貫通孔の前記絶縁性基材部分の内壁面
が縦断面で見て曲線状であることを特徴とする多層配線
基板用基材。 - 【請求項2】 絶縁性基材の一方の面に配線パターンを
なす導電層を、他方の面に層間接着のための接着層を設
けられ、前記導電層と前記絶縁性基材と前記接着層を貫
通する貫通孔に層間導通を得るための導電性樹脂組成物
を充填された多層配線基板用基材であって、 前記貫通孔の導電層部分の口径が絶縁性基材部分および
接着層部分の口径より小さく、当該貫通孔の絶縁性基材
部分の内壁面が縦断面で見て曲線状であることを特徴と
する多層配線基板用基材。 - 【請求項3】 前記貫通孔の内壁面が近円弧面をもって
前記導電層の裏面と滑らかに接続されていることを特徴
とする請求項1または2記載の多層配線基板用基材。 - 【請求項4】 前記貫通孔はエッチングにより形成され
た孔であり、(絶縁性基材厚さT)/(サイドエッチ
L)=(エッチングファクタ)とし、エッチングファク
タが1以下であることを特徴とする請求項1〜3の何れ
か1項記載の多層配線基板用基材。 - 【請求項5】 前記絶縁性基材はポリイミド等の可撓性
樹脂フィルムであることを特徴とする請求項1〜4の何
れか1項記載の多層配線基板用基材。 - 【請求項6】 接着層は熱可塑性ポリイミドにより構成
されていることを特徴とする請求項2〜5の何れか1項
記載の多層配線基板用基材。 - 【請求項7】 請求項1〜6の何れか1項記載の多層
配線基板用基材を複数枚、重ねて接合してなる多層配線
基板。 - 【請求項8】 絶縁性基材の片面に配線パターンをなす
導電層を設けられたものに、導電層部分の口径が絶縁性
基材部分の口径より小さく、当該貫通孔の前記絶縁性基
材部分の断面形状が近円弧状の貫通孔を穿孔する穿孔工
程と、 導電性樹脂組成物を前記貫通孔に充填する充填工程と、 を有する多層配線基板用基材の製造方法。 - 【請求項9】 絶縁性基材の一方の面に配線パターンを
なす導電層を、他方の面に層間接着のための接着層を設
けられたものに、導電層部分および接着層部分の口径が
絶縁性基材部分の口径より小さく、当該貫通孔の前記絶
縁性基材部分の断面形状が近円弧状の貫通孔を穿孔する
穿孔工程と、 導電性樹脂組成物を前記貫通孔に充填する充填工程と、 を有する多層配線基板用基材の製造方法。 - 【請求項10】 前記穿孔工程はエッチングによって前
記絶縁性基材部分の前記貫通孔を形成する請求項8また
は9記載の多層配線基板用基材の製造方法。 - 【請求項11】 絶縁性基材をポリイミド等の可撓性樹
脂フィルムにより構成し、当該絶縁性基材を液状エッチ
ャントによってエッチングして前記貫通孔を形成する請
求項10記載の多層配線基板用基材の製造方法。 - 【請求項12】 (絶縁性基材厚さT)/(サイドエッ
チL)=(エッチングファクタ)とし、エッチングファ
クタを1以下である孔を前記絶縁性基材部分に形成する
請求項10または11記載の多層配線基板用基材の製造
方法。
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