JP2004111389A - ニッケル系化合物正極材料一次電池 - Google Patents

ニッケル系化合物正極材料一次電池 Download PDF

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Abstract

【課題】 この発明は、高容量かつハイレート特性に優れたアルカリ一次電池を実現することを目的とする。
【解決手段】 この発明は、正極材料として、亜鉛及びコバルト単独もしくはこれらを共晶させたオキシ水酸化ニッケル系化合物であって、この粒子の表面がコバルト高次酸化物で被覆され、x線回折パターンにおいて、回折角18°付近の回折ピークの半値幅が0.4〜0.48である正極活物質を用いることによって特性の優れた電池を実現する。負極材料として、粒径が75μm以下の亜鉛粉末を10質量%以上20質量%以下含んでいる亜鉛を用いることによって、さらに優れた電池とすることができる。
【選択図】 なし

Description

 本発明は、ニッケル系化合物を正極活物質として用いた一次電池に関し、特に容量およびハイレート特性において改善された一次電池に関する。
 ノート型パソコン、CDプレーヤー、MDプレーヤー、液晶テレビ等の携帯用AV機器また、携帯電話などの普及にともない、最近のアルカリ乾電池には超重負荷、重負荷の用途に適用できることが要求されてきており、電池容量の改善が求められている。大電流を長時間取り出すためには、大電流放電時の電圧降下を抑制する必要があるが、正極の放電に伴う電圧降下は、(1)二酸化マンガンなどの正極活物質自身のプロトン拡散性、及び(2)正極中の反応物質の拡散性に大きく依存しているとされており、これらの要因を基にした一次電池の改善が検討されている。
 これらの点を改善するために、従来正極活物質の基本的物性についての検討が行われ、その製造方法の改善が試みられている。また、正極中の活物質の表面積を増大させれば反応物質の拡散性に寄与するため、正極活物質の小粒径化が検討され、さらに充填性の改善が検討されている。
 また、アルカリ乾電池において高容量化を実現させるため、正極合剤中の正極活物質含有率を増加させることも検討されている。しかしながら、正極活物質の含有率を増加させることは、必然的に正極合剤中に含まれている導電材の黒鉛粉末の含有率を低下させることになる。その結果、正極合剤の成形性・導電性の低下及び正極缶との接触抵抗の増加をまねき、短絡電流の低下や重負荷特性を低下させる原因となる。
 一方、高率放電特性の良好な電池として、水酸化ニッケル系化合物を正極活物質、亜鉛を負極活物質とする、インサイドアウト型の形状をしているアルカリ電池が知られており(例えば特許文献1、特許文献2参照)、このような高率放電特性に優れた正極活物質を用いることによって、前述のアルカリ一次電池に対する要求に応えた電池が開発されている。これらの電池においては、正極合剤は、水酸化ニッケル系化合物と黒鉛に、アルカリ電解液を添加して混合し、プレス成形により中空円筒状に成形されており、これがセパレータ、ゲル状亜鉛負極とともに有底円筒状の正極缶に収容され電池が構成されている。この水酸化ニッケル系化合物を用いたアルカリ電池においても、放電容量を向上させる試みがなされており、直接放電容量に寄与しない黒鉛の含有量を削減しようとすることも考えられる。ところでこのようなオキシ水酸化ニッケル系化合物を正極合剤とした電池においては、電池容量および高率放電特性は優れているものの、今後の重負荷を必要とする携帯機器の普及によりさらに電池容量および高率放電特性を改善することが求められている。
特開2000−67910号公報 特開2001−6665公報
 本発明は、従来の前記課題を解決するために成されたものであり、高容量かつハイレート特性に優れた一次電池を実現することを目的としている。
 第1の本発明は、表面をコバルト高次酸化物で被覆された、亜鉛及びコバルト単独もしくはこれらを共晶させたオキシ水酸化ニッケル系化合物粒子であって、x線源としてCuKαを用いたときのx線回折パターンの回折ピークの半値幅が0.4〜0.48であるオキシ水酸化ニッケル系化合物粒子を正極活物質として用いたことを特徴とするニッケル系化合物正極材料一次電池である。
 前記第1の本発明において、前記正極活物質表面に被覆されるコバルト高次酸化物の含有量が、0.5質量%以上20質量%以下であることが好ましい。
 第2の本発明は、表面をコバルト高次酸化物で被覆された、亜鉛及びコバルト単独もしくはこれらを共晶させたオキシ水酸化ニッケル系化合物粒子であって、x線源としてCuKαを用いたときのx線回折パターンの回折ピークの半値幅が0.4〜0.48であるオキシ水酸化ニッケル系化合物粒子を正極活物質として用い、負極材料として、粒径が75μm以下の粉末を10質量%以上20質量%以下含んでいる亜鉛もしくはその合金を用いることを特徴とするニッケル系化合物正極材料一次電池である。
 前記第2の本発明において、前記負極材料として、粒径が75μm以下の粉末を10質量%以上15質量%以下含んでいる亜鉛もしくはその合金を用いることが好ましい。
 本発明によれば高容量でしかもハイレートでの放電特性に優れた一次電池を供給することができる。
 以下本発明の作用について説明する。
 本発明者らは上記した問題を解決するために鋭意研究を行なった結果、ニッケル系化合物正極活物質においては、x線回折パターンにおいて18°付近の回折ピークの半値幅と電池容量とに相関があることを見出した。すなわち、正極活物質の各種試料において製作した電池の容量と半値幅との結果を調べた結果、次の事実を見出した。
 オキシ水酸化ニッケルの容量は結晶内のプロトンの拡散が律速となる場合が多い。このオキシ水酸化ニッケルの結晶は層状構造であり、プロトンは主にこの層間を拡散経路として結晶内に拡散していくので、この層間を広げることはプロトンの拡散を促進させることに非常に有効である。層間を広げるための最も一般的な方法は層間に異なった種類の元素などを共晶させることであり、最適の共晶量では結晶性をそれほど損なわずに層間が広がり、結晶内に歪みが導入されることになる。
 異なった種類の元素の共晶量を多くしすぎると、逆に結晶性が著しく損なわれたり、不純物が出来たりしてプロトンの拡散を妨げる。また、共晶量を増やすことは実質的な容量が減少し、容量が得られなくなる。また、少なすぎると共晶の効果が表れない。
 オキシ水酸化ニッケルのx線回折パターンにおいて回折角18°付近の回折ピークの半値幅がこの層間の歪みと相関があり、この半値幅が0.40よりも小さいと結晶内にプロトンの拡散を促進させるに必要な歪みが導入されず容量が得られない。また半値幅が0.48よりも大きいと結晶性が悪くなり容量が得られにくくなる。
 また、ハイレートでの放電においては、プロトンの拡散経路が十分に確保されていることももちろん重要であるが、電子の移動も重要となる。正極活物質の電気抵抗が大きい場合には、活物質表面と導電材との間で電子の授受が円滑に行われず、容量が得られなくなる。活物質表面と導電材間での電子の授受を円滑に行うために活物質表面に導電性のある物質で予め被覆しておくことが重要である。この被覆により表面抵抗を小さくでき、活物質表面と導電材と電子の授受が円滑に行われることになる。
 さらに、負極に用いる亜鉛の粒径も電池の容量に対して重要である。特にハイレートでの放電においては負極の反応が律速となって、容量が得られなくなることがある。そのために負極の活物質の粒径を小さくすることでハイレートでの容量を得ることができる。具体的には、通常微細粒子を篩分する篩いである200メッシュを通過する微細粒子である75μm以下の粒子の量を10質量%以上に制御することによってハイレート特性を改善することが可能となる。
 一方で、かかる微細粒子の量が、20質量%を超えて過大となると、この負極を用いた電池において、水素ガスの発生が増加し、電池内部の圧力を高める結果となる。
 本発明は、ニッケル系化合物を正極活物質として用いた一次電池における上記知見に基づいて成されたものである。
 以下、本発明を実施するための最良の態様を詳細に説明する。
[電池構造]
 以下、本実施の形態の電池の詳細な実施の形態について、図面を参照しながら詳細に説明する。図1は、本発明をいわゆるインサイドアウト構造(電池缶体が正極側、電池蓋側が負極側となっている構造)と呼ばれているJIS規格のLR6形(単3形)の電池に応用した例である。
 図1において1は、正極端子を兼ねる有底円筒形の金属缶であり、この金属缶1の内部に中空円筒状の正極活物質を含有する正極合剤2が収容されている。この正極合剤2の中空内部には不織布などからなる有底円筒状のセパレータ3を介して、ゲル状亜鉛負極材料4が充填されている。そして、この負極材料4には金属棒からなる負極集電棒5が挿着され、この負極集電棒5の一端は負極材料4の表面から突出してリング状金属板7及び陰極端子を兼ねる金属封口板8に電気的に接続されている。そして、正極となる金属缶1内面と、負極集電棒5の突出部外周面には、二重環状のプラスチック樹脂からなる絶縁ガスケット6が配設され、これらは絶縁されている。また、金属缶1の開口部はかしめられて液密に封止されている。
[正極合剤]
 本発明において、正極合剤は、正極活物質、導電性付与剤としての炭素系導電材、及びバインダーを少なくとも含むものであり、通常これらの正極合剤成分が混合され、ペレット状に成形されて使用される。正極合剤におけるこれらの成分の配合の比率は、正極合剤:炭素系導電材:バインダーが、質量比にして100:10〜15:0.05〜0.5の範囲が好ましい。
 本発明において用いられる炭素系導電材としては、黒鉛、カーボンブラックなど公知の炭素材料を用いることができるが、特に黒鉛が好ましい。炭素系導電材の配合量が上記範囲を下回った場合、導電性が低下し、起電力が低下する。一方、上記範囲を上回った場合、正極活物質の量が制限されるため、放電容量が低下する。
 また、本発明においては、バインダーとしてポリオレフィン、ポリテトラフルオロエチレン、ポリフッ化ビニリデン(PVdF)、PVdFの水素もしくはフッ素のうち少なくとも1つを他の置換基で置換した変性PVdF、フッ化ビニリデン−6フッ化プロピレンの共重合体、ポリフッ化ビニリデン−テトラフルオロエチレン−6フッ化プロピレンの3元共重合体等を用いることができる。これらの内で、特に、ポリオレフィンが好ましい。本発明において、バインダーを添加する理由は、正極合剤において黒鉛を減量した場合、正極合剤の結着性が低下し、正極合剤の保形性が低下するのを防止するものであり、黒鉛より少量で正極合剤成分を結着することができる。本発明においては、ポリオレフィンとして、ポリエチレン及びポリプロピレンが挙げられる。これらのポリオレフィンは、正極合剤に粒子状で添加される。その平均粒径は、およそ10〜1000μmの範囲が好ましい。
 本発明において用いるのに適したバインダーの量は前述したとおりであるが、バインダー量がこの範囲を下回った場合、成形体の強度が低く電池制作時に歩留まりが低下する。一方、バインダーの量がこの範囲を上回った場合、正極活物質の量が制限されるため、放電容量が低下するため、それぞれ好ましくない。
 さらに、本発明の正極合剤には、正極合剤成型時に電解液が混合されることにより成形性及び導電性が改善される。本発明のオキシ水酸化ニッケルを正極活物質として用いた一次電池の正極における放電反応は下記の化学式によって表される。
  NiOOH + HO + e → Ni(OH) + OH
 従って、このオキシ水酸化ニッケルを正極活物質として用いた電池においては、電解液として水溶液が必要となる。
[正極活物質]
 本発明で用いるニッケル系化合物正極活物質としては、オキシ水酸化ニッケルが好ましい。
 このオキシ水酸化ニッケル粒子は、以下に説明する本発明の正極活物質の製造法によれば、球状もしくは球状に近い形状の粒子とすることができる。このような球状の形状を有する正極活物質粒子は、圧縮成形した際に充填密度を高めることができ、インサイドアウト型の電池に適用した場合、高容量の電池を実現できるため、好ましい。すなわち、本発明においてオキシ水酸化ニッケルの球状結晶を用いることにより、成形密度が大幅に改善され、好適な2.7〜3.5g/cm程度の値を得ることができる。本発明において、使用するニッケル化合物粒子の平均粒径が1〜50μmの範囲にあることが好ましい。その理由は、圧縮成形における高密度充填に適する平均粒径だからである。
 本発明のオキシ水酸化ニッケル化合物は、亜鉛およびコバルト単独もしくはこれらを共晶させて用いることが必要である。この共晶オキシ水酸化ニッケルは、その結晶構造変化を少なくでき、かつプロトン拡散にとって有利な層間距離を容易に得られる利点がある。特に、亜鉛を共晶することによって、オキシ水酸化ニッケルの結晶性を改善することができるため、酸化還元時の結晶膨潤すなわち体積変化を抑制することができ、低電解液量の電池設計に大きく貢献する。さらに、オキシ水酸化ニッケル極に亜鉛極を組み合わせて成るニッケル亜鉛電池の場合、電解液に酸化亜鉛を飽和溶解させて亜鉛極の自己放電を抑制する手段がとられるが、無共晶のオキシ水酸化ニッケルは、貯蔵中に電解液中の亜鉛イオンを吸収してしまうため、その効果が低減してしまう。この場合、最初から亜鉛をドープしたオキシ水酸化ニッケルを用いることによってこの影響を取り除くことができる。また、コバルトを共晶することによって、オキシ水酸化ニッケルの放電利用率を改善することができる。また、亜鉛、コバルトを併せて共晶することによって酸素過電圧を大きくすることができるので正極における自己放電特性を改善することができる。
 また、オキシ水酸化ニッケルに共晶させる亜鉛もしくはコバルトの量としては、1〜10%の範囲が好ましく、3〜5%の範囲が特に好ましい。亜鉛またはコバルトの量をこの範囲外とすると、前述の回折角18°付近の回折ピークの半値幅が0.38〜0.50の正極活物質を得ることができない。
 また、水酸化ニッケル表面に、さらに高導電性の高次コバルト化合物を被着させた複合オキシ水酸化物とすることが、オキシ水酸化ニッケル粒子同士の電子導電性を確保する理由で好ましい。前記表面に被着するコバルト化合物としては、出発原料として例えば、水酸化コバルト(Co(OH))、一酸化コバルト(CoO)、三酸化二コバルト(Co)、などをあげることができ、これを酸化処理してオキシ水酸化コバルト(CoOOH)、四酸化三コバルト(Co)などの高導電性高次コバルト酸化物に転化させる。
 さらに、上記ニッケル水酸化物の正極活物質にY、Er、Yb、Caの化合物を添加することにより、貯蔵時の容量維持率を改善することができる。本発明において用いられる上記化合物としては、例えばY、Er、Yb、などの金属酸化物、およびCaFなどの金属フッ化物があげられる。これらの金属酸化物および金属フッ化物は、正極活物質であるニッケル水酸化物に対して、0.1〜2質量%の範囲で用いることができる。金属酸化物もしくは金属フッ化物の配合量が上記範囲を下回った場合、貯蔵特性の改善効果が得られず、一方配合量が上記範囲を上回った場合、相対的に正極活物質の量が減るので高容量化に適さなくなるため好ましくない。
(正極活物質の製造方法:球状オキシ水酸化ニッケルの製造方法)
 本発明でオキシ水酸化ニッケル粒子は次の工程によって製造される。1)水酸化ニッケルの製造、2)コバルト化合物被着水酸化ニッケルの製造、3)コバルト化合物被着オキシ水酸化ニッケルの製造。
 以下、各工程に沿って説明する。
1)水酸化ニッケルの製造 
 水酸化ニッケルは、金属ニッケルを酸に溶解した後、アルカリで中和して作製される。この工程で用いる酸としては、硝酸、硫酸などの無機強酸を用いることができるが、電池とした場合の自己放電抑制の観点から硫酸を用いることが好ましい。この工程において、強酸による溶解は、硫酸もしくは硝酸中に、ニッケル粉末を攪拌しながら添加することによって行うことができる。また、この工程においてアルカリによる中和工程は、上記工程で得られたニッケルの無機酸塩水溶液と、水酸化ナトリウム水溶液などの強アルカリを混合することによって行うことができる。この工程において水酸化ニッケルの結晶を制御することが重要である。本発明においては、ニッケル無機酸水溶液と無機アルカリ水溶液の混合は激しく攪拌しながら徐々に混合していくと共に、pHを11前後に維持しながら攪拌を継続することにより所望の球状の結晶を得ることができる。これによって平均粒径が10μm程度の結晶が得られる。
 この工程において、水酸化ナトリウムなどの強アルカリに加えてアンモニウム塩を併用することがpHを11前後に維持するために好適である。このアンモニウム塩を併用することによって、より粒径が均一でかつ整った球形をした粒子を得ることができる。この中和工程の温度は、30〜40℃の範囲が好ましい。この温度が上記範囲を下回った場合、結晶成分供給の点で好ましくない。一方、温度が上記範囲を上回った場合、強酸、強アルカリ水溶液を用いるため、安全を考慮した設備コストや作業性などの点で好ましくない。また、本発明のオキシ水酸化ニッケルとして、亜鉛やコバルトを共晶して用いる場合には、金属ニッケルを強酸に溶解する際に亜鉛、コバルト、あるいはそれらの化合物を同時に溶解することによって行うことができる。
2)コバルト化合物被着水酸化ニッケルの製造
 上記工程で得られた水酸化ニッケル結晶は、次いで水酸化コバルトによって被覆される。この水酸化コバルトの被覆は、平均粒径10μmの球状水酸化ニッケル結晶100質量部に対して、平均粒径1〜5μmのコバルト化合物を5〜7質量部、酸素を含む気体雰囲気中でマイクロウェーブなどの手段による加熱により60〜150℃程度に加熱し、攪拌しながら、水酸化ナトリウムなどのアルカリ水溶液を5〜20質量部の割合で噴霧すると、水酸化コバルト化合物はアルカリ水溶液に溶解して水酸化ニッケル粒子表面にフィルムコートされながら一旦、Co(OH)となって再析出した後、CoOOHやCoなどの高導電性のコバルト高次化合物に転移する。これによって高導電性の球状を有するコバルト化合物被覆水酸化ニッケル粒子が得られる。
 かかる際に用いるコバルト粒子あるいはコバルト化合物粒子は、比表面積が2.5〜30m/gである水酸化コバルトを用いることが好ましい。コバルト粒子あるいはコバルト化合物粒子としてこの範囲のものを採用することによって水酸化ニッケルと水酸化コバルトとの接触面積が確保され、正極の利用率の向上につながる。このような正極合剤の製造については、特開平10−233229号公報、特開平10−275620号公報、特開平10−188969号公報などに説明されており、本発明においてもこれらの正極合剤の製造方法を採用することができる。
 以下このコバルト被着水酸化ニッケル化合物の製造工程を詳述する。
 まず所定量の水酸化ニッケル粒子と水酸化コバルト粒子をミキサの中に投入し、撹拌・混合を行う。
 本発明においては、ミキサの中を例えば大気のような含酸素雰囲気にした状態で加熱手段を作動させ、撹拌,混合している混合物の温度を所定温度に制御する熱処理を施して、同時に、ノズルから所定濃度のアルカリ水溶液を供給し、このミキサを運転して混合する。
 この過程で、水酸化ニッケル粒子とコバルト化合物粒子との均一混合が進み、同時に供給されたアルカリ水溶液は混合物の表面に被着し、水酸化ニッケル粒子の表面にはアルカリ水溶液とコバルト化合物粒子と酸素とが共存する反応場が形成され、その結果、コバルト化合物粒子は高次酸化物に転化してそれが水酸化ニッケル粒子の表面を被覆する。 
 ここで、コバルト化合物粒子としては、金属コバルト粒子,水酸化コバルト粒子,三酸化コバルト粒子,四酸化コバルト粒子,一酸化コバルト粒子をそれぞれ単独で用いることもでき、またこれらの2種類以上を混合した状態で用いることもできる。その場合、上記粒子系におけるコバルト化合物粒子の含有量は0.5〜20質量%の範囲に設定されることが好ましい。0.5質量%より少ない場合は、水酸化ニッケル粒子表面の導電性マトリックスの形成が不充分となってその利用率は高くならず、また20質量%よりも多くすると、水酸化ニッケル粒子の相対的な割合が減少して、放電容量を低下させるようになるからである。
 また、用いるアルカリ水溶液としては、水酸化ナトリウム水溶液,水酸化カリウム水溶液単独、またはそれらの混合液、更に前述の系に水酸化リチウム水溶液を混合したものをあげることができる。このときのアルカリ水溶液の濃度は1〜14Nの範囲に設定することが好ましい。1Nより低濃度である場合には、混合物に含有されているコバルト化合物粒子に対する溶解能が低くなって前記した導電性マトリックスの形成が充分に進まず、活物質の利用率をあまり高められないからであり、また14Nより高濃度にすると、当該アルカリ水溶液の粘度が高くなって粒子系の内部にまで充分に滲透せず、コバルト化合物粒子を充分に溶解できなくなるからである。
 アルカリ水溶液の使用量は、粒子系100質量部に対し5〜20質量部に設定することが好ましい。5質量部より少ない場合は、粒子系に含有されているコバルト化合物粒子の全量を溶解させることが困難となるため、得られた活物質の利用率は向上せず、またそれを用いて製造した電池の保管後の容量回復率もあまり高くならないからである。そして、20質量部より多い場合は、粒子系は造粒されるようになるからである。好ましい使用量は粒子系100質量部に対し10〜15質量部である。
3)コバルト化合物被着オキシ水酸化ニッケルの製造
 上記コバルト化合物被覆水酸化ニッケルは、これに水を加えてスラリー状とするとともに、次いで酸化剤を添加し、酸化させることによって、コバルト化合物被覆オキシ水酸化ニッケルにまで酸化する。この際、コバルト化合物被覆水酸化ニッケル粒子と水との比率は、コバルト化合物被覆水酸化ニッケル粒子100質量部に対して水5〜30質量部の比率が適切である。本発明において用いられる酸化剤としては、次亜塩素酸ナトリウムなどの酸化剤を用いることができる。次亜塩素酸ナトリウムとしては、濃度5〜15%の水溶液が用いられ、さらに好ましい濃度は10〜12%である。この濃度が上記範囲を下回った場合、コバルト化合物被覆水酸化ニッケルの酸化の点で不都合であり、一方、濃度が上記範囲を上回った場合、この溶液は、空気、熱、光などに極めて不安定になるため安定した酸化度のコバルト被覆オキシ水酸化ニッケルを得る点で不都合である。前記コバルト被覆水酸化ニッケル粒子スラリーに添加する酸化剤の量は、水酸化ニッケルに対して105〜120当量の範囲が好ましい。これによって、確実に水酸化ニッケルを、オキシ水酸化ニッケルに転化することができる。
 上記のような正極活物質原料および製造方法によって正極活物質を製造することによって、本発明のx線回折ピークを有するオキシ水酸化ニッケルを製造することができる。
[負極材料]
 本発明で用いられる負極材料は、負極活物質である亜鉛もしくは亜鉛合金を主成分とする負極材料であり、公知の二酸化マンガン−亜鉛一次電池で使用されている亜鉛ゲルを用いることができる。この負極材料は、ゲル状であることが取り扱いの点で望ましい。負極をゲル状とするためには、電解液と増粘剤から作製されるゲル状電解液に負極活物質の亜鉛もしくは亜鉛合金の亜鉛材料を分散させることにより容易にゲル状物にすることができる。
 本発明において用いる亜鉛材料としては、純亜鉛でも差し支えないが、無汞化亜鉛合金として知られている水銀及び鉛を含まない亜鉛合金を用いることができる。具体的には、インジウム0.06質量%、ビスマス0.014質量%、アルミニウム0.0035質量%を含む亜鉛合金が、水素ガス発生の抑制効果があり望ましい。特にインジウム、ビスマスは放電性能を向上させるため望ましい。このような亜鉛合金を使用することによって、アルカリ性電解液中での自己溶解速度を遅くし、密閉系の電池製品とした場合の電池内部での水素ガス発生を抑制して、漏液などによる事故を防止することができる。
 また、亜鉛材料の形状は、表面積を大きくして大電流放電に対応できるように粉末状とすることが好ましい。本実施の形態の亜鉛材料としては、75μm以下の粒径の成分を10質量%以上、20質量%以下含むものであることが好ましい。75μm以下の粒径成分が10質量%に満たない場合には、特にハイレート放電を行う場合の電池容量の向上を望むことが困難になる。一方、亜鉛材料として、75μm以下の粒径の成分が20質量%を超える場合には、ガス発生を抑制することが困難となり、電池特性が低下して、好ましくない。亜鉛材料の75μm以下の粒径の成分のより好ましい範囲は、15質量%以下である。
 また、本発明において用いられる増粘剤としては、ポリビニルアルコール、ポリアクリル酸塩、CMC、アルギン酸などを用いることができる。特に、ポリアクリル酸ナトリウムが、強アルカリ水溶液に対する吸水倍率に優れているため好ましい。
[電解液]
 本発明で用いられる電解液は、水酸化カリウム、水酸化ナトリウム、水酸化リチウムなどのアルカリ塩を溶質として用いた水溶液が好ましく、特に、水酸化カリウムを用いることが、好ましい。また、本発明においては、上記水酸化カリウムなどのアルカリ塩を水に溶解して電解液とするが、さらに電解液中に亜鉛化合物を添加することが望ましい。かかる亜鉛化合物としては、酸化亜鉛、水酸化亜鉛などの化合物が挙げられるが、特に酸化亜鉛が好ましい。
 電解液として少なくとも亜鉛化合物を含有するアルカリ性水溶液を用いるのは、アルカリ性水溶液中での亜鉛合金の自己溶解が酸性系の電解液と比較して格段に少なく、更には亜鉛合金のアルカリ性電解液中での自己溶解を亜鉛化合物、例えば酸化亜鉛を溶解して亜鉛イオンを予め存在させておくことにより更に抑制するためである。
 以下に本発明を実施例および比較例によって説明する。しかしながら、本発明は下記実施例に限定されるものではなく、その要旨を変更しない範囲において変更実施可能なものである。
[試験例1]
(正極活物質の製造)
 まず、以下の方法によって、共晶する亜鉛およびコバルトの量を変えた12種類のオキシ水酸化ニッケルを作製した。すなわち、反応槽に、2Mの硫酸ニッケル水溶液、0.158Mの硫酸亜鉛水溶液、0.035Mの硫酸コバルト水溶液に対して、25%アンモニア水溶液を8体積%一定の割合で供給しつつ、pHコントローラで11.5〜11.9程度に制御しながら6.5Mの水酸化ナトリウム水溶液を連続供給し1日の滞留時間で安定させた後スラリーをオーバーフロー採取した。この時の温度は37℃に維持した。得られたスラリーを脱水・水洗を繰り返して洗浄水のpHが7〜8になった時点で脱水・乾燥して終了とした。
 このようにして得られた粒子が、Zn−Co共晶水酸化ニッケルであることは、粉末X線回折法によって結晶が水酸化ニッケルであることの確認を行うとともに(この時、Zn、Coのピークが現れないことを確認)、この粉末を塩酸に溶解させて原子吸光法で定量することによって水酸化ニッケルに対してZn−Coが共晶されていることの確認を行った。
 次いで、上記Zn−Coを共晶した水酸化ニッケル粒子100質量部に、大気雰囲気で7質量部のCo(OH)を加え攪拌しながら10N NaOHを15質量部噴霧しながらマイクロウェーブによる加熱によって表面にコバルト高次酸化物を配した複合水酸化ニッケル粒子を作製し、更にこの系に次亜塩素酸ナトリウムを加えて酸化を進め、最後に水洗・乾燥して、コバルト高次酸化物を配した複合オキシ水酸化ニッケルとした。これが複合オキシ水酸化ニッケル粒子であることの確認は、XRDによる同定と、硫酸第一鉄アンモニウム/過マンガン酸カリウムの逆滴定でNiのほぼ総量が3価になっていることから確認した。また、この時の複合オキシ水酸化ニッケルの粒度分布は、レーザ法により、D50値が10μmで、1〜20μmにわたる正規分布に近似される曲線であることを確認した。さらに、走査型電子顕微鏡により、この粒子が球状、ほぼ球状もしくはこれらの集合体であることを確認した。
(半値幅の算出)
 上述のようにして得られた12種類の活物質の粉末を、粉末x線回折装置を用いて、約18°付近の回折ピークのピーク強度の値の半分の値のピーク幅を半値幅として算出した。各活物質の半値幅を表1に示す。
Figure 2004111389
(負極の作製)
 公知の二酸化マンガン−亜鉛一次電池の負極の無水銀、無鉛の亜鉛合金であって75μm以下の粒径を有する粒子の比率が、粒子全体の15質量%を占める亜鉛合金粒子を用いて、KOH電解液と混合して、下記ゲル状負極合剤を形成した。負極合剤の亜鉛ゲル組成は次の様な組成とした。
  亜鉛:KOH電解液=100:55 (質量比)
 電解液としては、12NのKOH水溶液を用いた。この時の亜鉛ゲルの密度は2.70g/cm程度であった。
(電池の作製)
 次いで、上記方法によって作製したオキシ水酸化ニッケル粉末100質量部に、導電剤として黒鉛8質量部を加え、続いてバインダーとしてポリエチレン粒子0.1質量部を加えてから乾式攪拌を10分間、回転数300rpmで行なった後、練液である40質量%水酸化カリ水溶液5質量部を加え、湿式攪拌を10分間、回転数300rpmで行ない、さらに、均一に混合するため、湿式攪拌を回転数600rpmで10分間行なって攪拌合剤とした。続いて、この攪拌合剤を、圧縮強度1.96×10MPa(200kg/mm)で圧粉を行ない、薄片状態のものを作製した。さらに、分級機を用い薄片状態のものを破砕することにより顆粒合剤を作製した。その後、一定重量、一定寸法の正極合剤を成形した。
 ついで、上記正極合剤成形体の中空内部にセパレータを配置し、その内部に上記ゲル状負極合剤を注入した。
 このようにして、図1に示すJIS規格LR6形(単3形)亜鉛アルカリ電池を、12種類組立てた。
(電池の評価)
 上記方法によって得られた電池を室温が20℃に保たれた部屋で、3時間放置した後、一定電流値20mAで放電終止電圧が0.8Vになるまで放電し、容量を測定した。その結果を表1に併記するとともに図2に示す。図2は、負極として粒径が75μm以下の粒径を有する亜鉛粒子が亜鉛粒子全体の15%を占める亜鉛粒子を使用して作製した電池について、20mAで放電した電池の容量を示すものである。
 また、ハイレート放電の評価は、室温が20℃に保たれた部屋で3時間放置した後、一定電流750mAで終止電圧が0.8Vになるまで放電し容量を測定した。その結果を表1に併記するとともに、図3に示す。図3は、前記図2と同様に、粒径が75μm以下の粒径を有する亜鉛粒子が亜鉛粒子全体の15%を占める亜鉛粒子を使用して作製した電池のハイレート放電後の容量を示すものである。
[試験例2]
 亜鉛合金粒子として、75μm以下の粒径を有する粒子の比率が、7質量%の亜鉛合金粒子を用いたゲル状負極を用いたこと以外は、上記試験例と同様にして、JIS規格LR6形(単3形)亜鉛アルカリ電池を、12種類組立て、これらの電池について、上記試験例と同様にして電池の評価を行った。
 その結果を表2および図4、図5に示す。図4は、粒径が75μm以下の粒径を有する粒子が全体の10%未満である亜鉛粒子を使用した電池の容量を示すものである。また、図5は、前述の図4と同様、粒径が75μm以下の粒径を有する粒子が全体の10%未満である亜鉛粒子を使用した電池の容量を示すものである。
Figure 2004111389
(結果)
 上記試験例1および試験例2の図2および図4の結果から明らかなように、電流値20mAの放電評価において、本発明の範囲の負極材料である亜鉛粒子を用いた場合、放電容量は半値幅と共に増加し、0.42〜0.47でほぼ一定の放電容量を示し、さらに半値幅が大きくなると放電容量は減少していく。このことは半値幅が小さい領域では、オキシ水酸化ニッケルの結晶内に歪みが少ないためにプロトンの拡散が促進されず容量が得られない。一方、半値幅が大きいと、結晶内に共晶している放電に寄与しない元素が多くなるためにプロトンの拡散が妨げられ、容量が低下していく。よって、半値幅が、0.4〜0.48、特に0.4〜0.475である活物質を用いることにより、改善された20mAの放電容量を有する電池を得ることができる。また、本発明の範囲をはずれた亜鉛粒子を用いた例を示す図4に見られるように、亜鉛粒子の平均的な径が大きいと、本発明の範囲の正極活物質を使用していた場合と比較して、放電容量が低下することが明かとなった。
 次に、電流値750mAで放電したときの容量を図3および図5に示す。このハイレート放電においては、正極の活物質の違いよりも負極の粒径の違いによる影響が大きい。750mAの放電では、正極活物質のプロトンの拡散も電流値が20mAよりももっと速い拡散が要求されるために重要であり、そのために半値幅が小さいものはプロトンの拡散が律速となり容量が低くなる。また、半値幅が、大きいものも結晶性が悪かったり、不純物などの影響で容量が低くなってしまう。そのために、同じ負極活物質を用いた場合には活物質の半値幅にハイレートでの容量も依存する。また、一方では、負極活物質での反応の方も律速となるために、粒径75μmが10%以上入っていた方が負極での反応面積が増加し、もう一方よりも高い容量が得られると考えられる。
[試験例3]
 上記試験例1の試料7の正極活物質を用い、負極として、75μm以下の粒子の比率が、下記表3に示す亜鉛合金粒子を含有するゲル状負極を用いたこと以外は、上記試験例1と同様にして電池を作製した。
 これらの電池について、ハイレートでの容量、および電池使用後のガス発生の状況を検査した。その結果を表3に併記する。表中、ガスリークの結果は、試料電池10本の内、ガスリークが発生した電池の本数である。
Figure 2004111389
 上記表3の結果から明らかなように、負極として、75μm以下の粒子の含有率が20質量%を上回る亜鉛合金粒子を用いた場合には、水素ガスの発生量が上昇し、電池内圧が高まり、電池のガスリーク発生が急激に高まることが判明した。従って、負極亜鉛合金粒子としては、75μm以下の粒子を10〜20質量%の範囲で含有するものが好ましいことがわかった。
[試験例4]
 半値幅が0.45であるオキシ水酸化ニッケル系化合物粒子を用い、その表面に被着するコバルト高次酸化物を表4に示す量として、前記試験例1と同様にして電池を作製した。
 得られた電池について、電流値750mAで放電したときの容量を表4に併記する。
Figure 2004111389
 表4に示したように、被着Co量が、0.5から20.0質量%の範囲において、放電容量において優れていることが判明した。より好ましい被着Co量は、0.6〜15.0質量%の範囲である。さらに好ましい被着Co量は、0.6〜3.6質量%の範囲である。
実施例に係る亜鉛アルカリ電池の要部構成を示す断面図。 異なる半値幅を有する正極活物質の20mAh放電時の放電容量を示すグラフ。 異なる半値幅を有する正極活物質の750mAh放電時の放電容量を示すグラフ。 異なる半値幅を有する正極活物質の20mAh放電時の放電容量を示すグラフ。 異なる半値幅を有する正極活物質の750mAh放電時の放電容量を示すグラフ。
符号の説明
  1……金属缶(外装缶)
  2……正極(正極合剤)
  3……セパレータ
  4……ゲル状負極
  5……負極集電体
  6……絶縁性ガスケット
  7……リング状金属板
  8……金属封口板

Claims (4)

  1.  表面をコバルト高次酸化物で被覆された、亜鉛及びコバルト単独もしくはこれらを共晶させたオキシ水酸化ニッケル系化合物粒子であって、x線源としてCuKαを用いたときのx線回折パターンの回折ピークの半値幅が0.4〜0.48であるオキシ水酸化ニッケル系化合物粒子を正極活物質として用いたことを特徴とするニッケル系化合物正極材料一次電池。
  2.  前記正極活物質表面に被覆されるコバルト高次酸化物の含有量が、0.5質量%以上20質量%以下であることを特徴とする請求項1記載のニッケル系化合物正極材料一次電池。
  3.  表面をコバルト高次酸化物で被覆された、亜鉛及びコバルト単独もしくはこれらを共晶させたオキシ水酸化ニッケル系化合物粒子であって、x線源としてCuKαを用いたときのx線回折パターンの回折ピークの半値幅が0.4〜0.48であるオキシ水酸化ニッケル系化合物粒子を正極活物質として用い、負極材料として、粒径が75μm以下の粉末を10質量%以上20質量%以下含んでいる亜鉛もしくはその合金を用いることを特徴とするニッケル系化合物正極材料一次電池。
  4.  前記負極材料として、粒径が75μm以下の粉末を10質量%以上15質量%以下含んでいる亜鉛もしくはその合金を用いることを特徴とする請求項3に記載のニッケル系化合物正極材料一次電池。
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