JP2004060763A - 板ブラシシール分割単板の製造方法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】シールする側にブラシ部分とスリットとを有すると共に取付側に基部を有する板ブラシシール分割単板と金属薄板とを加工後も接続する連結部を金属薄板にエッチングレジストし、エッチングレジストした金属薄板をエッチング加工して金属薄板から板ブラシシール分割単板を連結部が残されて切り出すものである。
【選択図】 図5
Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、軸と相対変位する相対部品との間をシールする板ブラシシールの構成部品である板ブラシシール分割単板の製造方法に関する。
更に詳しくは、例えば、航空機、ガスタービン等の回転軸と相対変位する相対部品との間をシールする板ブラシシールの部品である板ブラシシール分割単板の製造方法である。
【0002】
【従来技術】
本発明に関する関連技術には、図11に示すブラシシール装置100Aが存在する。
図11は、回転軸120が貫通するケーシング110との間に取り付けられたブラシシール装置100Aの断面図である。このブラシシール装置100Aはケーシング110に取り付けられて回転軸120との間を剛毛101により仕切って被密封流体をシールしている。
【0003】
図11において、ブラシシール装置100Aは、リング状に形成されて、ケーシング110の取付溝部112に取り付けられる。このブラシシール装置100Aの主要な構成は、ブラシシール109と背板102と支持板103である。このブラシシール109は、剛毛101が円周に沿ってある厚さに束ねられて壁状に配列され、一端部が結合されて取付部104を形成している。又、ブラシシール109の自由端面105は回転軸120に対向して配置される。この剛毛101の線径は、一般に、0.02mmから0.2mmのものが用いられている。そして、その本数は何万、何十万本となる。
【0004】
このブラシシール109の側面には、環状に形成された背板102が側面108をブラシシール109と接触状態にして配置されおり、この背板102は被密封流体の圧力を受けて剛毛101が変形しないように支持している。
又、ブラシシール109の他方の面には、保持板103がリング板に形成されて背板102との間でブラシシール109の取付部104側を狭持している。この保持板103は、ブラシシール109の自由端側が動きの自由度を発揮できるように径方向の幅が狭くされてブラシシール109を被密封流体側に露出させている。
【0005】
そして、背板102とブラシシール109の取付部104と保持板103とは、一端が溶接されて結合部106を成している。
この結合部106に於いて、前述したように剛毛101は細線から形成されているから、剛毛101よる厚肉の背板部102と保持板部103との間に挟持して溶接すると、剛毛101が背板部102や保持板部103よりも早く溶けてしまうので、特殊の溶接機で溶接しなければならない。このために製造がコスト高になる。
【0006】
又、このブラシシール109は、何万本数の剛毛101がある厚さの束にされて周方向に沿って配列されている。更に、剛毛101は、回転軸120の径方向に対して回転軸120の回転する方向へ傾斜している。
このような状態に剛毛101を配列することは剛毛101が細線であり、しかも短いから、その剛毛101の配列が困難をきたしている。
【0007】
そして、このブラシシール109の正常状態は、図11の実線で示すように回転軸120が自由端面105に接触又は近接している。このために、ブラシシール109の自由端面105は、回転軸に嵌合するようにワイヤ放電加工機などにより精密仕上げ加工されている。しかし、剛毛101は変形しやすいので、この加工が極めて困難になっている。更に、剛毛101は細線から製作されているから、剛毛101の間から被密封流体が流出してシール能力を向上させることが製作上から困難である。
【0008】
又、他の関連技術として、図12に示すブラシシール装置100Bが存在する。この図12は、薄板の板シール209を回転軸120の周方向に積層状態に重ねて高圧側領域P1と低圧側領域P2をシールするものである。
この板シール209の外周部は、ろう付けされて取付部104に形成されている。そして、ろう付けされた取付部104を介してケーシング110の溝部に取り付けられる。又、板シール209の低圧側領域P2の側面には背板102が配置されていると共に、高圧領域側P1の側面には保持板103が配置されており、この両板102,103により板シール209の両側を支持している。そして、板シール205により被密封流体をシールする。
【0009】しかし、板シール209は剛性があるので、板シール209の自由端面と回転軸120の外周面との間隔を大きく組立なければならず、被密封流体をシールする能力に問題が生じると共に、この板シール209と回転軸120との間隙を1定に組み立てることが困難である。
しかも、板シール209は、0.02から0.2mmのような薄板を方形に加工すると共に、円弧状に曲げなければならないので、この円弧状に塑性した曲げ加工が困難である。更に、回転軸120の周面に積層するので何十万枚も積層しなければならない上に、積層した環状の外周側が内径より大径になる寸法だけ各板シール209の積層間にスペーサを設けなければならない。これらの加工と組立作業が困難を来すことになる。
【0010】
更に、被密封流体の圧力が作用する方向に接合して重ねられる板シール209は、単なる平板のみであるために、外周をプレス切断すると簡単なようであるが、板シール板209の厚さが薄肉になると、このプレス切断する切断面が折れ曲がるように切断されて、板シール板209を積層したとき切断面のかえりが積層配列に隙間を生じさせてシール能力が低下する。
【0011】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、上述のような問題点に鑑み成されたものであって、その技術的課題は、板ブラシシールの加工を容易にすると共に、安価に製造することにある。
更に、板ブラシシールの材料の歩留まりを向上させることにある。更に又、板ブラシシールの組立を容易にして組立コストを低減することにある。
【0012】
そして、板ブラシール単板の板ブラシ部、特に板ブラシ部の自由端部の加工精度を向上させてシール能力を発揮させることにある。更に、板ブラシール単板の肉厚を薄肉にしても必要とする形状の寸法と加工を容易にできるようにすることにある。
【0013】
【課題を解決するための手段】
本発明は上述のような課題を解決するために成されたものであって、その課題を解決するための技術的手段は以下のように構成されている。
【0014】
請求項1に係わる本発明の板ブラシシール製造方法は、間隙を有して相対移動する部品間の前記一方の部品に取付けられて前記他方の部品との間をシールする板ブラシシール用の板ブラシシール分割単板の製造方法であって、スリットを設けてブラシ部分を形成すると共に前記ブラシ部分の一端部に一体の基部を形成した板ブラシシール分割単板と前記板ブラシシール分割単板を加工した後も前記板ブラシシール分割単板と前記金属薄板とを接続する連結部を前記金属薄板にレジストし、前記レジストした金属薄板の外形を微細加工して前記金属薄板から板ブラシシール分割単板と前記連結部との外形を切り出し、その後に連結部を切断して前記金属薄板から板ブラシシール分割単板を分離するものである。
【0015】
この請求項1に係わる本発明の板ブラシシール分割単板の製造方法では、金属薄板からエッチング等の微細加工によりシールする側にブラシ部分とスリットとを交互に形成して可撓性を有する板ブラシ部の形に加工すると共に、外形を切断加工するときに、このブラシ部分を正確な寸法に加工できるように又外形を正確に加工できるように板ブラシシール分割単板を連結部を介して金属薄板に保持されているから、板ブラシシール分割単板の微細な加工が正確な寸法で形成することを可能にする。
又、板ブラシシール分割単板をエッチング等の加工により切り出すときに各連結部により各板ブラシシール分割単板が保持されているから、金属薄板から多数の板ブラシシール分割単板を隙間無く切り出すことが可能になる。このために、金属薄板からの歩留まりが向上する。そして、製作コストを低減することが可能になる。
しかも、金属薄板をエッチング等の応力が作用しない加工で形成するので、薄板を加工することが容易になり、板ブラシ部に可撓性を付与することが可能になる。又、連結部により加工中に保持された板ブラシシール分割単板は、板ブラシ部の寸法精度も向上し、更に、製作コストも飛躍的に低減することが可能になる。
【0016】
請求項2に係わる本発明の板ブラシシール分割単板の製造方法は、前記連結部は前記基部の凹部内で前記基部に連結した形状に加工すると共に前記連結部に横断する切断溝を加工し、前記板ブラシシール分割単板に加工した後に前記切断溝を切断して前記金属薄板から分離するものである。
【0017】
この請求項2に係わる本発明の板ブラシシール分割単板の製造方法では、基部の凹部内で基部と連結部が接続しているので、連結部の切断溝から切断するときに、基部に応力が作用せずに連結部の切断溝に応力が集中し、容易に切断することが可能になる。
又、基部の凹部に連結部が接続しているので、連結部を基部から突出させることなく分離することができる。このために、板ブラシシール分割単板を組み立てるときに連結部により不具合になるのが防止できる。
【0018】
請求項3に係わる本発明の板ブラシシール分割単板の製造方法は、前記レジストはエッチングレジスト処理であり、前記微細加工はエッチング加工であり、前記ブラシ部分の自由端部に抑え板を一体加工すると共に前記抑え板と前記金属薄板とを前記連結部により連結した加工をし、且つ前記抑え板と前記ブラシ部分との境界に沿って切断溝を加工すると共に前記板ブラシシール分割単板に加工した後に前記連結部を切断し、その後に前記ブラシ部分から前記抑え板を前記切断溝に沿って切断するものである。
【0019】
この請求項3に係わる本発明の板ブラシシール分割単板の製造方法では、ブラシ部分に連結した抑え板に連結部を介して金属薄板が結合しているから、板ブラシシール分割単板を抑え板を介して加工中に金属薄板に保持することが可能になる。そして、板ブラシシール分割単板を組み立てるときには、板ブラシシール分割単板から抑え板を切断するので、連結部が板ブラシシール分割単板に残り不具合になるのを防止できる。このために、極めて効果的に板ブラシシール分割単板を保持して板ブラシシール分割単板の加工寸法を正確に加工することが可能になる。
【0020】
【発明の実施の形態】
以下、本発明に係わる実施の形態についての板ブラシシールの製造方法を図面に基づいて詳述する。尚、以下の図面は、設計に基づく図面である。
【0021】
先ず、本発明の板ブラシシール2を組み立てた板ブラシシール装置1の構成を説明する。
図1は、ガスタービンのケーシング50の孔にロータ60が嵌通した両部品間の間隙を高圧P1側と低圧P2側とに仕切るように組み立てた板ブラシシール装置1の半断面図である。又、図2は、図1に示す板ブラシシール2の平面図である。更に、図3は、図2の板ブラシシール2を構成部品である板ブラシシール単板3の平面図である。更に又、図4は、図3の板ブラシシール単板3に結合して組み立てる1部の板ブラシシール分割単板4の平面図である。
【0022】
図1において、1は板ブラシシール装置である。この板ブラシシール装置1は、板ブラシシール2をケーシング50に組み立てた全体の構造を言う。板ブラシシール装置1の固定部20は、構成部品の一方の部品であるケーシング50の内周面に設けられた段部51にスナップリング14を介して取り付けられている。又、板ブラシシール2の内周側の自由端部5は他方の部品であるロータ60の外周面と対向して接面又は近接した状態に配置されている。そして、板ブラシシール2により高圧P1側の被密封流体をシールする。
【0023】
図2に於いて、板ブラシシール2は、板ブラシシール2のみから成る場合と、板ブラシシール2に背板部6と保持部10とを取り付けた構成から成る場合とがある。この背板部6及び保持部10は板ブラシシール2の補助部品である。
この板ブラシシール2は一般に複数枚の板ブラシール単板3の積層構造であるが、シール構造によって被密封流体の圧力が小さいときは、板ブラシール単板3の1枚構造でも機能する。
【0024】
この板ブラシシール2は、図2に示すように、複数枚のリング状の板ブラシシール単板3を積層状態に接合し、所定の厚さの環状体に形成されている。そして、板ブラシシール単板3の環状を成す内周側がロータ60の回転方向へ傾斜した列状の細梁により板ブラシ部3Aに形成されている。更に、板ブラシシール単板3の積層基部3Bの積層構造が、背板部6等を取り付けて板ブラシシール2の取付部2Aとなる。この取付部2Aは溶接又はピン止め等により一体化される。ピン止めとは、積層した取付部2Aに軸方向へ貫通したピン用孔を設けピンを打ち込んで固着するものである。
【0025】
板ブラシシール単板3の板ブラシ部3Aは、環状の薄板の内径が細梁状に形成したもので、その断面が長方形状又は正方形状の方形にしたブラシ部分4Aにスリット4Bを設けたものである。又、外周の積層基部3Bは基部4Cの積層体に構成されている。
図2に示す板ブラシシール2は、図3に示す板ブラシシール単板3が複数枚に積層されて環状体を成している。この板ブラシシール単板3は、図3に示すように、円弧状を成す板ブラシシール分割単板4を環状に連結して形成されている。そして、板ブラシール単板3を分割して板ブラシシール分割単板4に形成する意味は、金属薄板からの材料取りの歩留まりを向上させるためである。
【0026】
図4の板ブラシシール分割単板4は、本発明の第1実施例に係わるものである。図4に示す板ブラシシール分割単板4には、基部4Cの分割面11に凹部12Aと凸部12Bとが設けられている。この板ブラシシール分割単板4は、内径となる側がブラシ部分4Aとスリット4Bとが交互に形成されている。
又、基部4Cに位置決め孔を設け、この位置決め孔を利用して板ブラシール単板3又は板ブラシール分割単板4を積層するときに対向する両方の板ブラシール単板3又は板ブラシール分割単板4の一方のブラシ部分4Aと他方のスリット4Bとを位置決め孔をずらして重ね、各スリット4Bから被密封流体が漏洩しないように塞ぐこともできる。
【0027】
この板ブラシシール単板3は、図3に示すように、周方向に沿って略等配に分割され板ブラシシール分割単板4が結合される。この板ブラシシール分割単板4に於ける基部4Cの分割面11に設けた凹部12Aと凸部11Bとは、対向する凹部12Aと凸部12Bに互いに填め合うような形に形成されており、この凹部12Aと凸部11Bが結合して一対の係合部12を構成する。そして、板ブラシシール分割単板4は、この係合部12を結合することにより図3に示すように平板状に形成される。
【0028】
次に、この板ブラシシール分割単板4の製造方法について詳述する。
図5は、パターン形成の第1実施の形態であって、ニッケル基合金、ステンレス鋼、鋼板等の金属薄板Pに図5に示すような板ブラシシール分割単板4の形状をレジストによりパターン形成したものである。このレジストは、0.005から0.5の厚さの金属薄板Pの表面をクリーニングし、その後に金属薄板Pの表面にスクリーン印刷法、ドライフイルム/写真法、液体レジスト/写真法により板ブラシール分割単板4の形のパターンにレジストする。本発明では、エッチングレジストがパターン形成に適している。
【0029】
次に、薄板金属Pのパターン面を、レジストに沿って微細加工する。この微細加工としてはエッチングが好ましい。このエッチングは、レーザルーチング、プラズマエッチング、化学エッチング、ショットブラスト等の技術を利用して行う。板ブラシシール分割単板4の加工精度は、上記の加工技術で十分な寸法精度が保証できる。
又、位置決め孔等は、ガイドホール、パンチング、ルーチング加工等で行うことも可能である。これらの精密微細加工は、現在、開発されたエッチング等の加工技術で行うことができる。
【0030】
図5は、板ブラシシール分割単板4の形にレジストした金属薄板Pからエッチング処理により外形を切断して多数の板ブラシシール分割単板4に加工したものである。この第1実施の形態では、1枚の金属薄板Pから35個の板ブラシシール分割単板4を切り出すことが可能となり材料の歩留まりが向上する。この多数個取りは、各板ブラシシール分割単板4に連結部4Eを設けることにより可能になる。
そして、この板ブラシシール分割単板4を結合することにより大型の板ブラシール単板3を容易に製作できるから、従来の高価な金属薄板Pから1個しか取り出せない板ブラシール単板3に比較して本発明のブラシール分割単板4の材料コストを大きく低減することが可能になる。
【0031】
図6は、図5に示す板ブラシシール分割単板4の1個を拡大して示すものである。図6に示す板ブラシシール分割単板4は、凹部12Aと凸部12Bとを除いて図4の板ブラシシール分割単板4と略同様に形成されている。尚、板ブラシ部3Aの自由端部5にはブラシ部分4Aがばらつくのを防止する抑え板7が一体に設けられている。この抑え板7と板ブラシ部3Aとの境界には第2切断溝4F1が設けられており、この第2切断溝4F1を利用して板ブラシシール2に組立るときに抑え板7をブラシ部分から除去して図4に示すような板ブラシシール分割単板4に形成する。このために、板ブラシ部3Aは、作業中に又は保管中に他の部品に当接して折曲げられ、ブラシ部分4Aが不具合となるのを防止する。
【0032】
この板ブラシシール分割単板4を金属薄板Pからエッチングにより切り出すときは、板ブラシシール分割単板4が固定して保持されていないと、板ブラシシール分割単板4がばたついて(変動して)加工中に加工寸法精度が不正確になる。特に、板ブラシ部3Aの加工精度が不良となり、板ブラシ部3Aのシール能力に影響する。
このために、本発明の板ブラシシール分割単板4の基部4Cと金属薄板Pとの間の1部をエッチングせずに連結する帯状の連結部4Eが形成されている。この連結部4Eにより板ブラシシール分割単板4はエッチング中でも金属薄板Pに保持されているから、板ブラシシール分割単板4は、エッチング中にばたつく(変動して)こともなく、加工精度が保持される。特に、細梁から成る板ブラシ部3Aの寸法が正確に加工することが可能になる。
【0033】
この連結部4Eは、図6に示すように、基部4Cの凹部4C1には入り込んだ連結部分4E1で基部4Cと連結している。この連結部4Eは3カ所に渡り設けられている。
そして、この連結部分4E1には連結部4Eを横断する切断溝4Fが形成されている。この切断溝4Fの配列は、3カ所が1直線上に形成されている。このために、切断溝4Fを折曲げて切断すると、応力が直線上に集中して簡単に切断溝4Fから切断できることになる。
【0034】
又、切断溝4Fの幅は、連結部4Eの板厚寸法よりも小さな寸法に形成されている。この切断溝4Fの幅が小さくされている技術は、連結部4Eの切断溝4Fを切断したときに惹起するかえりバリの高さを小さくし、板ブラシシール単板3がかえりバリに当接して正確に積層でき無くなるのを防止することになる。
この連結部4Eは、この第1実施の形態の他に1カ所、2カ所等保持強度に応じて任意に設計することが可能である。この連結部4Eにより、エッチング中でも板ブラシシール分割単板4は、金属薄板Pに保持されているから、ブラシ部分4Aやスリット4Bや切断溝4Fの幅の寸法を正確に加工することが可能になる。
【0035】
図7は、本発明の第2実施の形態の板ブラシシール分割単板4を図6と同様に示す平面図である。この板ブラシシール分割単板4を金属薄板Pにエッチングした状態は図5と同様である。
この第2実施の形態の板ブラシシール分割単板4は、抑え板7に連結部4Eを3カ所に設けたものである。この切断溝4Fの配列及び形状は図6と同様に構成されている。又、ブラシ部分4Aと抑え板7との境界には第2切断溝4F1が加工される。この第2切断溝4F1の幅も板厚よりも小さい寸法に形成されている。そして、板ブラシシール分割単板4に加工した後に必要な時期(例えば組立時)に抑え板7を切断する。
この抑え板7に連結部4Eを設けると、板ブラシシール分割単板4の完成品からは、抑え板7が第2切断溝4F1を利用して除去されるから、板ブラシシール分割単板4には、連結部4Eの残部が残存しないので、組立上不具合になるのが防止される。
【0036】
図8は、本発明の第3実施の形態に係わる板ブラシシール分割単板4のエッチング加工した平面図である。この図8は、金属薄板Pにエッチング加工した板ブラシシール分割単板4の1部を示す平面図である。この金属薄板Pに配置した板ブラシシール分割単板4の全体構成は図5に示すものと略同様である。但し、この板ブラシシール分割単板4には、抑え板7を設けることなく金属薄板Pから板ブラシシール分割単板4の形状を加工したものである。
この板ブラシシール分割単板4と金属薄板Pとの連結部4Eに設けられた切断溝4Fは、金属薄板Pの直線上に配置されて折曲げ切断するときに容易に切断できるように構成されているが、凹部4C1内に配置されていれば、連結部分4E1が基部4Cより突出しないので、装置へ組み立てるとき問題にならない。
【0037】
図9は図10の板ブラシシール分割単板4を切断して取り出した金属薄板Pの不要部分の1部を示す平面図である。又、図10は、金属薄板Pからエッチング加工して板ブラシシール分割単板4に形成すると共に、連結部4Eの切断溝4Fを折曲げ切断して板ブラシシール分割単板4を金属薄板Pから取り出した平面図である。
この板ブラシシール分割単板4には、基部4Cに連結部分4E1が残存するが、基部4Cより突出していないので組み立てるときに問題にならない。
【0038】
次に、板ブラシシール分割単板4の形状について補足する。この板ブラシシール分割単板4のブラシ部分4Aの断面は方形状(長方形又は正方形)に形成される。そして、ブラシ部分4Aの断面寸法の幅各辺が、0.5〜0.005×0.5〜0.005mm、好ましくは0.20〜0.008×0.2〜0.018mmである。又、長さはこの実施例では5〜50mmの範囲を採用した。
【0039】
図4に示す板ブラシシール分割単板4は、両分割面11、11に設けられた凹部12Aと凸部12Bを係合させた係合部12により環状体に形成する。
又は、図6に示すように分割面11、11に凹部12A、凸部12Bを設けることなく分割面11、11を接合した係合部により円環状体に形成することもできる。
【0040】
板ブラシシール2は、積層するときに各ブラシ部分4Aとスリット4Bの自由端部5側を互いに接合又は微小な間隙を設けて噛み合わせることによりシール能力が飛躍的に向上させることもできる。
しかも、板ブラシシール2に板ブラシシール単板3を用いることにより板ブラシ部3Aの弾性変形により可撓性が発揮される。
【0041】
上述した製造方法に係わる各実施の形態の板ブラシシール2における積層厚さは0.5〜5mmの範囲に積層されているが、この積層厚さは、被密封流体の圧力により決められるものである。
更に、板ブラシシール単板3の材質は、鋼、ステンレス、ニッケル基の合金、セラミック材等が用いられる。
【0042】
一方、最新の加工方法でも、従来のように薄板にスリット4Bを加工する場合は、薄板の厚さより小さな隙間寸法のスリット4Bを形成することが不可能である。このため、各ブラシ部分4A間に間隙が生じるため、この板ブラシシール2では、シール能力を向上させることが困難である。
しかし、本発明の板ブラシシール単板3を積層して組み合わせることにより、板ブラシシール2はシール能力を向上させることが可能になる。しかも、板ブラシ部3Aは、多数の細梁が組み合わされているだけであるから、可撓性を有し、板ブラシシール2のブラシ部分4Aに回転軸60が当接しても摩擦を和らげるように弾性変形し、この回転軸60との当接によって生じる摩耗が効果的に防止できる。
この板ブラシシール分割単板4は種々のエッチング加工、上述の他に更には、ワイヤー放電加工、プレス加工などの微細加工により容易に形成される。
【0043】
【発明の効果】
本発明に係わる板ブラシシールの製造方法によれば、以下のような効果を奏する。
本発明の板ブラシシール分割単板の製造方法は、1枚の金属薄板から多数の板ブラシシール単板が切り出せるから、材料歩留まりが向上する。このために、板ブラシシールのコストを飛躍的に低減する効果が期待できる。
更に、金属薄板と板ブラシシール分割単板とを連結部を介して連結された状態でエッチング等の加工をするので、板ブラシシール分割単板は金属薄板に保持されているから微細な寸法の加工が可能となる。
特に、板ブラシシール分割単板のブラシ部分は、微小な細梁に形成しなければならないので、この板ブラシシール分割単板の固定した加工が寸法精度を決定し、シール能力を向上させる効果が期待できる。
【0044】
又、本発明の板ブラシシール単板は、連結部により金属薄板に固定して加工されるので、どのように薄肉な金属薄板でも正確な寸法の板ブラシシール分割単板を加工することができる。
しかも、連結部には切断溝が設けられているから、金属薄板から簡単に板ブラシシール分割単板を切断することができると共に、切断するときに板ブラシシール分割単板を曲げたりして不良品にするのを効果的に防止できる。更に、切断溝を1直線上に配置することにより、折曲げ切断を容易にして切断時に不具合発生を効果的に防止し、不良品の発生を防止する効果が期待できる。
更に、切断溝の深さを設定することにより、連結部の切断かえりの高さを低減し、組立時の不具合を効果的に防止する。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係わる板ブラシシール装置の半断面図である。
【図2】図1に示す軸方向の板ブラシシールの正面図である。
【図3】図2の板ブラシシール単板の平面図である。
【図4】図3の板ブラシシール単板の第1実施例に係わる板ブラシシール分割単板の平面図である。
【図5】金属薄板に多数の板ブラシシール分割単板をパターン印刷した後にエッチング加工して板ブラシシール分割単板を形成した製造方法の第1実施の形態に係わる平面図である。
【図6】図5の板ブラシシール分割単板の1部を示す平面図である。
【図7】本発明の製造方法の第2実施の形態の板ブラシシール分割単板を金属薄板から加工した状態の1枚の平面図である。
【図8】本発明の製造方法の第3実施の形態の板ブラシシール分割単板を金属薄板から加工した状態の1部の平面図である。
【図9】図8の板ブラシシール分割単板を加工して残存する金属薄板の平面図である。
【図10】図8の板ブラシシール分割単板の完成した板ブラシシール分割単板の平面図である。
【図11】関連技術のブラシシール装置の半断面図である
【図12】関連技術の他のブラシシール装置の斜視図である。
【符号の説明】
1 板ブラシシール装置
2 板ブラシシール
2A 取付部
3 板ブラシシール単板
3A 板ブラシ部
3B 積層基部
4 板ブラシシール分割単板
4A ブラシ部分
4B スリット
4C 基部
4C1 凹部
4E 連結部
4E1 連結部分
4F 切断溝
4F1 第2切断溝
5 自由端部
6 背板部
7 抑え板
10 保持部
11 分割面
12 係合部
12A 凹部
12B 凸部
20 固定部
50 一方の部品(ケーシング)
51 段部
60 他方の部品(ロータ)
P 金属薄板
Claims (3)
- 間隙を有して相対移動する部品間の前記一方の部品に取付けられて前記他方の部品との間をシールする板ブラシシール用の板ブラシシール分割単板の製造方法であって、スリットを設けてブラシ部分を形成すると共に前記ブラシ部分の一端部に一体の基部を形成した板ブラシシール分割単板と前記板ブラシシール分割単板を加工した後も前記板ブラシシール分割単板と前記金属薄板とを接続する連結部を前記金属薄板にレジストし、前記レジストした金属薄板の外形を微細加工して前記金属薄板から板ブラシシール分割単板と前記連結部との外形を切り出し、その後に連結部を切断して前記金属薄板から板ブラシシール分割単板を分離することを特徴とする板ブラシール分割単板の製造方法。
- 前記連結部は前記基部の凹部内で前記基部に連結した形状に加工すると共に前記連結部に横断する切断溝を加工し、前記板ブラシシール分割単板に加工した後に前記切断溝を切断して前記金属薄板から分離することを特徴とする請求項1に記載の板ブラシシール分割単板の製造方法。
- 前記レジストはエッチングレジスト処理であり、前記微細加工はエッチング加工であり、前記ブラシ部分の自由端部に抑え板を一体加工すると共に前記抑え板と前記金属薄板とを前記連結部により連結した加工をし、且つ前記抑え板と前記ブラシ部分との境界に沿って切断溝を加工すると共に前記板ブラシシール分割単板に加工した後に前記連結部を切断し、その後に前記ブラシ部分から前記抑え板を前記切断溝に沿って切断することを特徴とする請求項1に記載の板ブラシシール分割単板の製造方法。
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