JP2004059401A - ガラス板の風冷強化装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】冷却エアをガラス板の曲面に直交方向に当てることができるガラス板の風冷強化装置を提供する。
【解決手段】上部吹口部材24A、24Bがガラス板18の曲面に対応して上下移動すると、上部吹口部材24A、24Bを連結したリンク162が揺動し、これに連動して上下駆動レバー164が上下移動する。上下駆動レバー164の上下移動の動作が揺動レバー166に伝達され、そして、揺動レバー166のピン150を中心とする揺動動作によってエアノズル25A、25B…が中心軸134を中心に揺動し、エアノズル25Aのエア噴射口138、138がガラス板の曲面に対面する。
【選択図】 図16
【解決手段】上部吹口部材24A、24Bがガラス板18の曲面に対応して上下移動すると、上部吹口部材24A、24Bを連結したリンク162が揺動し、これに連動して上下駆動レバー164が上下移動する。上下駆動レバー164の上下移動の動作が揺動レバー166に伝達され、そして、揺動レバー166のピン150を中心とする揺動動作によってエアノズル25A、25B…が中心軸134を中心に揺動し、エアノズル25Aのエア噴射口138、138がガラス板の曲面に対面する。
【選択図】 図16
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明はガラス板の風冷強化装置に係り、特に曲げ成形された高温状態下にある湾曲ガラス板の両面に冷却エアを吹き付けてガラス板を風冷強化するガラス板の風冷強化装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
ガラス板を加熱炉で軟化点近くまで加熱し、これを成形部にて曲げ成形した後、風冷強化装置で急冷することにより自動車用窓ガラス板を製造する製造方法が従来から知られている。
【0003】
前記風冷強化装置は、複数の上部吹口部材と複数の下部吹口部材とから構成され、複数の上部吹口部材のエアノズルから湾曲ガラス板の上面に冷却エアを吹きつけるとともに、複数の下部吹口部材のエアノズルから湾曲ガラス板の下面に冷却エアを吹きつけることにより、ガラス板が風冷強化される。
【0004】
複数の上部吹口部材及び複数の下部吹口部材は、湾曲ガラス板の湾曲面に対応した位置に取り付けられている。すなわち、複数の上部吹口部材の各々のエアノズルを結ぶ曲線及び複数の下部吹口部材の各々のエアノズルの結ぶ曲線が湾曲ガラス板の湾曲面に沿うように、各吹口部材がそれぞれ位置決めされて取り付けられている。また、複数の上部吹口部材及び複数の下部吹口部材は、冷却能の低下を防止するために、上部吹口部材のノズルと下部吹口部材のノズルが対向するように取り付けられている。
【0005】
ところで、近年の自動車産業では少量多品種の要求が高まっており、これに対応して自動車用窓ガラス板も効率のよい少量多品種の生産が要求されている。
【0006】
そこで、本願出願人は、特開2001−2434号公報において、ジョブチェンジを実質無くすことにより、湾曲面の異なる多品種のガラス板を効率よく生産できる風冷強化装置を開示している。
【0007】
この風冷強化装置は、曲げ成形されたガラス板を搬送するとともに上下移動されることによりガラス板の曲げ形状に対応するように搬送面を湾曲させる複数本のローラを有し、この複数本のローラの上方に上部吹口部材を設置するとともに、下方に下部吹口部材を設置し、かつ、上部吹口部材と、この上部吹口部材に対向する下部吹口部材との間隔を一定に保持した状態で前記ローラの上下位置に応じて上部吹口部材と下部吹口部材とを上下移動させるものである。かかる風冷強化装置によれば、ローラの上下移動量等を制御することにより、ジョブチェンジを要することなく、湾曲面の異なる多品種のガラス板に対応でき、また、ガラス板を連続搬送しながら風冷強化するので、生産性が向上する。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、風冷強化装置において、ガラス板の冷却能力を高めるためには、吹口部材のエアノズルから噴射された冷却エアを、ガラス板の曲面に直交方向に当てることが好ましい。
【0009】
この観点からみると、前記特開2001−2434号公報の風冷強化装置は、エアノズルとガラス板との距離は不変であるが、上部吹口部材のエアノズルは常に下方に向き、下部吹口部材のエアノズルは常に上方に向いているため、冷却エアをガラス板の曲面に常に直交方向に当てることができないという欠点があった。
【0010】
本発明は、このような事情に鑑みて成されたもので、冷却エアをガラス板の曲面に直交方向に当てることができるガラス板の風冷強化装置を提供することを目的とする。
【0011】
【課題を解決するための手段】
本発明は、前記目的を達成するために、曲げ成形された高温状態下にあるガラス板の上面に冷却エアを吹きつけるエアノズルが各々揺動自在に支持された複数の上部吹口部材であって、各々の上部吹口部材が上下移動機構によって上下移動されて各々のエアノズルを結ぶ曲線の曲率がガラス板の曲面形状に応じて変更されるとともに、該エアノズルをガラス板の曲面に対して常時直交するように傾斜させる傾斜機構が設けられた複数の上部吹口部材と、該上部吹口部材に対向配置され、曲げ成形された高温状態下にあるガラス板の下面に冷却エアを吹きつけるエアノズルが各々揺動自在に支持された複数の下部吹口部材であって、各々の下部吹口部材が上下移動機構によって上下移動されて各々のエアノズルを結ぶ曲線の曲率がガラス板の曲面形状に応じて変更されるとともに、該エアノズルをガラス板の曲面に対して常時直交するように傾斜させる傾斜機構が設けられた複数の下部吹口部材と、を備えたことを特徴とする。
【0012】
請求項1に記載の発明と特開2001−2434号公報の風冷強化装置とを比較して異なる点は、エアノズルを上部及び下部吹口部材に揺動自在に支持するとともに、エアノズルをガラス板の曲面に対して直交する方向に傾斜させる傾斜機構を付加した点にある。これにより、本発明によれば、エアノズルからの冷却エアをガラス板の曲面に直交方向に当てることができる。
【0013】
請求項2に記載の発明は、上部及び下部吹口部材の傾斜機構を平行運動機構によって構成したことを特徴としている。この平行運動機構の第1のリンクに上部及び下部吹口部材のエアノズルを連結するとともに、第1のリンクに対向する第2のリンクを、ガラス板の曲面に対して略平行に傾動する傾動部材に当接させる。これにより、第1のリンクがガラス板の曲面に対して平行運動するので、第1のリンクに連結されているエアノズルがガラス板の曲面に対して直交するように傾斜する。
【0014】
請求項3に記載の発明は、上部及び下部吹口部材の傾斜機構を、隣接する吹口部材同士を連結するリンクと、リンクとエアノズルとを連結するとともに吹口部材の上下移動に連動して揺動するリンクの動作をエアノズルに伝達することによりエアノズルをガラス板の曲面に対して直交するように傾斜させるレバーとから構成した。上部及び下部吹口部材がガラス板の曲面に対応して上下移動すると、リンクが揺動し、これに連動してレバーが上下移動する。この上下移動の動作がエアノズルに伝達し、エアノズルがガラス板の曲面に対して直交するように傾斜する。
【0015】
請求項4に記載の発明は、曲げ成形されたガラス板を搬送するとともに上下移動されることによりガラス板の曲げ形状に対応するように搬送面を湾曲させる複数本のローラを挟んで、上部吹口部材を上方に、そして、下部吹口部材を下方に配置し、上部吹口部材と、この上部吹口部材に対向する下部吹口部材との間隔を一定に保持した状態で前記ローラの上下位置に応じて上部吹口部材と下部吹口部材とを上下移動させる。これにより、ローラの上下移動量等を制御することにより、ジョブチェンジを要することなく、湾曲面の異なる多品種のガラス板に対応でき、また、ガラス板を連続搬送しながら風冷強化するので、生産性が向上する。
【0016】
請求項5に記載の発明は、風冷強化装置のガラス板搬送方向上流側に、加熱炉と曲げ成形装置とを設置し、この曲げ成形装置は、ガラス板を搬送するための搬送面を形成する複数の成形ローラからなるローラコンベアと、複数の成形ローラを上下移動させる上下方向駆動手段と、ガラス板が搬送されている位置の複数の成形ローラにより、搬送面の少なくとも一部にガラス板の搬送方向に湾曲した所望の湾曲面が形成されるとともに、ガラス板の搬送にともない、順次複数の成形ローラを上下させて湾曲面がガラス板の搬送方向に進行するように駆動手段を制御する制御手段とを備え、ガラス板を所定の曲率に曲げ成形する。これにより、加熱炉、曲げ成形装置、及び風冷強化装置からなる曲げガラス板の製造装置において、ジョブチェンジを実質的に無くすことができるので、湾曲面の異なる多品種のガラス板を効率よく生産できる。
【0017】
【発明の実施の形態】
以下添付図面に従って本発明に係るガラス板の風冷強化装置の好ましい実施の形態について詳説する。
【0018】
図1は、実施の形態に係る風冷強化装置が組み込まれたガラス板の曲げ製造装置10の構造を示す斜視図である。
【0019】
このガラス板の曲げ製造装置10によれば、まず、曲げ成形前のガラス板18は、加熱炉12の入口において搬送位置が位置決めされた後、図示しない搬入用のローラコンベアによって加熱炉12内に搬入される。そして、加熱炉12内を搬送される過程で所定の曲げ成形温度まで加熱される。
【0020】
曲げ成形温度まで加熱されたガラス板18は、加熱炉12の出口から成形ゾーン14の曲げ成形用ローラコンベア20に移載されて成形ゾーン14内で搬送される。ガラス板18は、成形ゾーン14内で搬送される過程において、曲げ成形用ローラコンベア20の上下移動動作により所定の湾曲面を有する形状に曲げ成形される。
【0021】
曲げ成形されたガラス板18は、成形ゾーン14の出口から風冷強化用ローラコンベア22に移載される。そして、風冷強化用ローラコンベア22によって風冷強化装置16に搬送されて風冷強化される。
【0022】
風冷強化されたガラス板18は、搬出用ローラコンベア28に移載され、次工程の図示しない検査装置に向けて搬送される。
【0023】
以上のように、ガラス板18は加熱炉12によって曲げ成形温度まで加熱され、成形ゾーン14によって所定の湾曲形状に曲げ成形されたのち、風冷強化装置16によって風冷強化される。
【0024】
次に、成形ゾーン14の構成について説明する。曲げ成形用ローラコンベア20は図1、図2に示すように、直棒状に形成された複数本のローラ20A、20B…によって構成されており、各ローラ20A、20B…は所定の間隔をもって並列配置されている。ガラス板18は、これらのローラ20A、20B…が回転することで、ローラ20A、20B…によって形成される搬送面に沿って搬送される。また、ローラコンベア20を構成する各ローラ20A、20B…は、回転駆動手段によって各々が独立して回転されるとともに、上下方向駆動手段によって各々が独立して上下方向に移動される。
【0025】
以下に、成形ゾーン14に設置されている回転駆動手段及び上下方向駆動手段の構成について説明する。なお、各ローラ20A、20B…の回転駆動手段及び上下方向駆動手段の構造は同一なので、ここではローラ20Aの回転駆動手段及び上下方向駆動手段の構造について説明し、他のローラ20B、20C…の各手段の説明は省略する。
【0026】
〔回転駆動手段〕
図3に示すようにローラ20Aは、その両端が上下移動フレーム30上に配設された軸受32、32によって回転自在に支持されている。また、ローラ20Aの図3の左端にはギヤ34が取り付けられ、ギヤ34は、駆動ギヤ36に噛合されている。駆動ギヤ36は、上下移動フレーム30上に設けられたサーボモータ38の回転軸40に連結されている。ローラ20Aは、このサーボモータ38を駆動することにより所定の角速度で回転される。以上が回転駆動手段の構造である。
【0027】
〔上下方向駆動手段〕
図3に示すように上下移動フレーム30は、固定フレーム42に上下移動自在に支持されている。すなわち、上下移動フレーム30の両側部にはガイドレール44、44が上下方向に沿って配設され、このガイドレール44、44が固定フレーム42に固着されたガイドブロック46、46に係合されている。また、上下移動フレーム30には、両端下部にラック48、48が下側に向けて突設されている。ラック48、48にはピニオン50、50が噛合され、ピニオン50、50は回転軸52に固定されている。回転軸52は、両端が軸受54、54に軸支され、図3の左端にはサーボモータ56のスピンドル58が連結されている。回転軸52は、サーボモータ56を駆動することにより回転され、その回転運動がピニオン50とラック48との作用によって直線運動に変換される。これにより、上下移動フレーム30が上下方向に移動される。そして、上下移動フレーム30の上下移動によって、ローラ20Aが上下方向に移動される。以上が上下方向駆動手段の構造である。なお、図3において符号60、62は、成形ゾーン14に設けられたヒータを示している。
【0028】
上述した回転駆動手段と上下方向駆動手段とは、他のローラ20B、20C…全てに設けられている。そして、これらの駆動手段のサーボモータ38、56が、すべてモーションコントローラによって制御されている。
【0029】
モーションコントローラは、外部入力手段からガラス板18の型式が入力されると、その型式のガラス板18の曲率に対応するローラ20A、20B…の角速度制御データ及び上下移動制御データを作成する。そして、この作成した角速度制御データに基づきサーボモータ38を制御するとともに、上下移動制御データに基づきサーボモータ56を制御する。すなわち、モーションコントローラは、ガラス板18がローラ20A、20B…による搬送中に所望の曲率で搬送方向に曲げ成形されるように、各ローラ20A、20B…を多軸制御する。
【0030】
前記のごとく構成されたローラコンベア20によるガラス板18を曲げ成形動作を図2を用いて説明する。
【0031】
図2(A)に示す初期状態において、全てのローラ20A、20B…は最上位の位置に位置している。そして、図2(B)に示すようにガラス板18の搬送が開始されると、ローラ20D〜20Fが下降する。これにより、ローラ20D〜20Fで形成される搬送面が曲率半径の大きい緩やかな湾曲状に変形する。ガラス板18は、このローラ20D〜20F上を通過することにより、自重でローラ20D〜20Fの湾曲面に沿って撓み、搬送方向に沿って曲げ成形される。
【0032】
そして、図2(C)の如くガラス板18が更に搬送されると、ローラ20F〜20Hが、先のローラ20D〜20Fよりも大きく下降する。これにより、ローラ20F〜20Hで形成される搬送面が、先の湾曲面よりも曲率半径の小さい湾曲状に変形する。ガラス板18は、このローラ20F〜20H上を通過することにより、自重でローラ20F〜20Hの湾曲面に沿って更に撓み、搬送方向に沿って曲げ成形される。
【0033】
そして、図2(D)の如くガラス板18が更に搬送されると、ローラ20H〜20Jが、先のローラ20F〜20Hよりも更に大きく下降する。これにより、ローラ20H〜20Jで形成される搬送面が、先の湾曲面よりも曲率半径の小さい湾曲状に変形する。ガラス板18は、このローラ20H〜20J上を通過することにより、自重でローラ20H〜20Jの湾曲面に沿って更に撓み、搬送方向に沿って曲げ形成される。
【0034】
更に、図2(E)の如くガラス板18が前方に搬送されると、ローラ20J〜20Lが、先のローラ20H〜20Jよりも更に大きく下降する。そして、ローラ20J〜20Lで形成される搬送面が、最終的に得ようとするガラス板18の曲率と同じ曲率の湾曲面に変形する。ガラス板18は、このローラ20J〜20L上を通過することにより、最終的に得ようとする曲率に搬送方向に沿って曲げ成形される。以後、ローラ20M…は、この曲率の湾曲面を維持するように上下移動する。
【0035】
このように、ローラコンベア20は、ローラ20A、20B…の上下移動によって形成される湾曲面の曲率半径を順次小さくして行くことで、ガラス板18を搬送方向に沿って曲げ成形する。
【0036】
次に、風冷強化装置16の構成について説明する。風冷強化装置16は、風冷強化用ローラコンベア22によって搬送されるガラス板18の上面と下面とにエアを吹き付けることによってガラス板18を風冷強化する。また、風冷強化用ローラコンベア22は、前述した曲げ成形用ローラコンベア20と同様に上下移動可能に構成されている。
【0037】
図4に示すローラコンベア22は直棒状に形成された複数本のローラ22A、22Bで構成され、各ローラ22A、22B…は所定の間隔をもって並列配置されている。各ローラ22A、22B…は、回転駆動手段によって各々が独立して回転駆動されるとともに、上下方向駆動手段によって各々が独立して上下方向に移動される。
【0038】
ここで、風冷強化装置16内に設置されている回転駆動手段及び上下方向駆動手段の構成について説明する。なお、各ローラ22A、22B…の回転駆動手段及び上下方向駆動手段の構造は同一なので、ここではローラ22Aの回転駆動手段及び上下方向駆動手段の構造についてを説明し、他のローラ22B、22C…の各手段の説明は省略する。
【0039】
〔回転駆動手段〕
図5に示すようにローラ22Aは、その両端が一対の上下移動フレーム70A、70A上に配設された軸受72A、72Aによって回転自在に支持されている。また、ローラ22Aの図5の右端にはサーボモータ78Aの出力軸が連結されている。ローラ22Aは、サーボモータ78Aを駆動することにより所定の角速度で回転される。以上が回転駆動手段の構造である。
【0040】
〔上下方向駆動手段〕
一対の上下移動フレーム70A、70Aは、それぞれ一対の固定フレーム82A、82Aによって上下移動自在に支持されている。すなわち、各上下移動フレーム70Aの外側部にはガイドレール84Aが上下方向に沿って配設されており、このガイドレール84Aが固定フレーム82Aの内側部に固着されたガイドブロック86A、86Aに摺動自在に支持されている。また、この上下移動フレーム70Aの外側部にはラック88A、88Aが配設され、ラック88A、88Aにはピニオン90A、90Aが噛合されている。このピニオン90A、90Aは回転軸92Aに固定され、回転軸92Aは、両端が軸受94A、94Aに軸支されている。そして、この回転軸92Aの図5の右端には、一方の固定フレーム82Aの頂部に配設されたサーボモータ96Aのスピンドルが連結されている。回転軸92Aは、サーボモータ96Aを駆動することにより回転され、その回転運動がピニオン90Aとラック88Aとの作用によって直線運動に変換される。これにより、上下移動フレーム70Aが上下方向に移動されるので、ローラ22Aが上下方向に移動される。以上が上下方向駆動手段の構造である。
【0041】
上述した回転駆動手段と上下方向駆動手段とは、他のローラ22B、22C…全てに設けられている。そして、これらの駆動手段のサーボモータ78A、78B…、96A、96B…が、すべてモーションコントローラによって制御されている。
【0042】
モーションコントローラは、外部入力手段からガラス板18の型式が入力されると、その型式のガラス板18の曲率に対応するローラ22A、22B…の角速度制御データ及び上下移動制御データを作成する。そして、この作成した角速度制御データに基づきサーボモータ78A、78B…を制御するとともに、上下移動制御データに基づきサーボモータ96A、96B…を制御する。すなわち、モーションコントローラは、成形ゾーン14で曲げ成形されたガラス板18が、その形状を保持したまま搬送されるように、各ローラ22A、22B…を多軸制御する。
【0043】
次に、風冷強化装置16の構成について説明する。風冷強化装置16は図6の如く、ローラコンベア22を挟んで、上方に上部送風ボックス100、下方に下部送風ボックス102が設置されている。上部送風ボックス100と下部送風ボックス102とには各々ダクト104、106が連結され、これらのダクト104、106には図示しないブロアが連結されている。したがって、ブロアからの冷却エアが、ダクト104、106を介して上部送風ボックス100と下部送風ボックス102とに供給される。
【0044】
上部送風ボックス100に供給された冷却エアは、各ローラ22A、22B…間の上方に配設された上部吹口部材24A、24B…にフレキシブルダクト108、108を介して供給された後、上部吹口部材24A、24B…の各エアノズル25A、25B…からローラコンベア22に向けて吹き出される。一方で、下部送風ボックス102に供給された冷却エアは、各ローラ22A、22B…間の下方に配設された下部吹口部材26A、26B…にフレキシブルダクト110、110を介して供給された後、下部吹口部材26A、26B…の各エアノズル27A、27B…からローラコンベア22に向けて吹き出される。これにより、ローラコンベア22によって搬送されるガラス板18の上面と下面とが冷却される。
【0045】
また、上部吹口部材24A、24B…と下部吹口部材26A、26B…とは、それぞれ上下移動自在に設けられている。そして、上部吹口部材24A、24B…と下部吹口部材26A、26B…とは、それぞれローラ22A、22B…に連動して上下移動される。ローラ22A、22B…は、ガラス板18の搬送に伴い上下動されるが、この場合、ローラ22A、22B…のうちのガラス板18が搬送されている位置のローラが上下動し、これらの位置の複数のローラにより形成される搬送面がガラス板の搬送方向について、曲げ成形されたガラス板の湾曲形状に対応した湾曲面を有する。そして、ガラス板の搬送に伴い各ローラを順次上下動させ、各ローラにより形成される湾曲面をガラス板の搬送方向に進行させる。
【0046】
次に、上部吹口部材24A、24B…と下部吹口部材26A、26B…とを上下移動させる機構について説明する。なお、双方の機構は同一なので、ここでは上部吹口部材24Aの上下移動機構の構造についてのみを説明し、他の上部吹口部材24B、24C…、及び下部吹口部材26A、26B…の構造に関しては同一の符号を付すことによりその説明は省略する。また、以下では吹口部材に駆動機構を取り付け上下動させる例について説明するが、吹口部材に駆動装置を設けず、ローラの上下駆動装置を利用するようにしてもよい。
【0047】
〔上下移動機構〕
上部吹口部材24Aの両側にはフレーム112、112が固定され、このフレーム112、112は、ガイドフレーム114、114にスライダ116、116を介して取り付けられ、ガイドフレーム114、114に沿って上下移動可能に支持される。ガイドフレーム114は、上部送風ボックス100を支持する支持体118の下部に上下方向に延設されている。
【0048】
また、フレーム112、112にはラック120、120が上下方向に固定され、このラック120、120にピニオン122、122が噛合されている。ピニオン122、122は、軸124に取り付けられており、この軸124は支持体118に軸受126、126を介して支持されるとともに、軸124の図6上で右端部がサーボモータ128の回転軸に連結されている。よって、軸124がサーボモータ96Aによって回転されると、その回転運動がピニオン122とラック120との作用によって直線運動に変換される。これにより、上部吹口部材24Aが上下方向に移動される。以上が上下移動機構の構造である。
【0049】
この上下移動機構は、他の上部吹口部材24B、24C…及び下部吹口部材26A、26B…全てに設けられている。そして、これらの上下移動機構の全てのサーボモータ128、128…が、すべてモーションコントローラによって制御されている。
【0050】
モーションコントローラは、外部入力手段からガラス板18の型式が入力されると、その型式のガラス板18の曲率に対応する上部吹口部材24A、24B、24C…及び下部吹口部材26A、26B…上下移動制御データを作成する。そして、この作成した上下移動制御データに基づきサーボモータ128、128…を制御する。すなわち、モーションコントローラは、上部吹口部材24A、24B…と、この上部吹口部材24A、24B…に対向する下部吹口部材26A、26B…との間隔を一定に保持した状態で前記ローラ22A、22B…の上下位置に応じて上部吹口部材24A、24B…と下部吹口部材26A、26B…とを上下移動させる。これにより、ガラス板18の上面と上部吹口部材24A、24B…との距離、及びガラス板18の下面と下部吹口部材26A、26B…との距離が一定に制御されている。
【0051】
ところで、実施の形態の風冷強化装置16のエアノズル25A、25B…、27A、27B…は、吹口部材24A、24B…26A、26B…に各々揺動自在に取り付けられている。ここで、エアノズル25A、25B…、27A、27B…は同一構造であり、また、吹口部材24A、24B…、26A、26B…に対する取付構造及びその作用も同一なので、ここでは、上部吹口部材24A、24B…に対するエアノズル25A、25B…の取付構造及び作用を説明し、下部吹口部材26A、26B…に対するエアノズル27A、27B…の取付構造及び作用の説明は省略する。
【0052】
エアノズル25Aは図7に示すように、その外周面130が円弧状に形成され、この外周面130が上部吹口部材24Aのガラス板搬送方向上流側及び下流側に形成された下部円弧面132、132に摺動自在に係合されている。これにより、エアノズル25Aは、上部吹口部材24Aに対し、中心軸134を中心として揺動自在に取り付けられるとともに、その下方を通過する図4のガラス板18に対し、ガラス板搬送方向に沿った方向に揺動される。なお、図4は、上部吹口部材24A、24B、24Cにエアノズル25A、25B、25Cが取り付けられた図を示し、他の上部吹口部材24D〜24Jに取り付けられているエアノズルは省略している。
【0053】
また、エアノズル25Aの下部には、薄板136によってその開口が絞られた一対のエア噴射口138、138が形成される。なお、エアノズル25Aは黄銅製であり、ステンレス製の上部吹口部材24Aとの間で自己潤滑性により揺動される。
【0054】
更に、エアノズル25Aには図7の二点鎖線で示す傾斜機構140が取り付けられている。この傾斜機構140は、4本のリンク142、144、146、148からなる平行運動機構であり、第1のリンク142の中央部に、エアノズル25Aの側面でかつエアノズル25Aの中心軸134と同軸上に設けられたピン150が固定されている。
【0055】
また、第1のリンク142に対向する第2のリンク144は、その中央部に取り付けられたピン145を介して上部吹口部材24に回動自在に支持される。また。第2のリンク144の両端には、耐熱製部材で作られた従動ローラ152、152が回転自在に支持され、この従動ローラ152、152は、図4の如くガラス板18の曲面に対して略平行に傾動する傾動部材(二点鎖線で図示)153に接触する。また、従動ローラ152、152が傾動部材153に接触することにより、ガラス板18の湾曲面に沿って平行運動機構が動作し、第1のリンク142がガラス板18の湾曲面と平行になるよう追従動作する。この追従動作によって、第1のリンク142に連結されているピン150が回動するのでエアノズル25Aが中心軸134を中心に揺動し、エア噴射口138、138がガラス板18の湾曲面に対面される。よって、エア噴射口138、138から噴射された冷却エアは、ガラス板18の湾曲面に直交する方向に当たる。なお、傾斜機構140及び傾動部材153は、図6の如くエアノズル25Aの両端に設けられている。
【0056】
次に、前記の如く構成された風冷強化装置16の作用について説明する。
【0057】
図8〜図14に示すように、成形ゾーン14で曲げ成形されたガラス板18は、曲げ成形用ローラコンベア20を介して風冷強化用ローラコンベア22に順に移載され、ここでローラコンベア22A〜22Lが上下移動しながら回転されることにより、ガラス板18は曲げ成形された形状が保持された状態で風冷強化装置16内を通過する。
【0058】
また、ローラコンベア22A〜22Lの上下移動に伴って、上部吹口部材24A〜24L、及びこれらの上部吹口部材24A〜24Lと対向配置された不図示の下部吹口部材が、傾動部材153、153…の動作に連動して上下移動することにより、エアノズル25A〜25L、27A〜27Lを結ぶ曲線の曲率がガラス板の曲面形状に応じて変更されるとともに、ガラス板18の上面と上部吹口部材24A、24B…との距離、及びガラス板18の下面と下部吹口部材26A、26B…との距離が一定に制御された状態でガラス板18が風冷強化装置16内を通過する。
【0059】
その通過中において、上部吹口部材24A、24B…のエアノズル25A、25B…と、下部吹口部材26A、26B…のエアノズル27A、27B…とから噴射される冷却エアによって、ガラス板18は風冷強化されるわけであるが、実施の形態のエアノズル25A、25B…(エアノズル27A、27B…も同様)は、図4、図7に示した傾斜機構140によって、エア噴射口138、138がガラス板18の湾曲面に常に対面するように傾斜される(図8〜図14参照)。これにより、実施の形態の風冷強化装置16によれば、エアノズル25A、25B…(エアノズル27A、27B…も同様)からの冷却エアを、ガラス板18の曲面に常に直交方向に当てることができる。
【0060】
図15、図16には、エアノズル25Aの傾斜機構の第2の実施の形態を示している。なお、エアノズル25B、25C…、27A、27B…の傾斜機構も同一構造なので、ここでは説明を省略する。
【0061】
図15、図16に示す傾斜機構160はリンク162、上下駆動レバー164、揺動レバー166などから構成される。リンク162は、その両端がスリーブ168、168にピン170、170を介して軸支され、スリーブ168、168は、隣接する上部吹口部材24A、24B…にねじ固定された支持板172に突設されている。したがって、リンク162によって隣接する上部吹口部材24A、24B…同士が連結されている。
【0062】
上下駆動レバー164は上ナット部174、ねじ部176、及び下ナット部178から構成される。上ナット部174の上部175は、図15の如く二股状に形成され、この上部175がリンク162の中央部を挟み付けた状態でピン180を介して軸支されている。
【0063】
上ナット部174の下部には、ねじ部176の上端部176Aが螺合され、ねじ部176の下端部176Bは下ナット部178に螺合されている。下ナット部178の下部179は二股状に形成され、この下部179が揺動レバー166の図16の右端部を挟み付けた状態でピン182を介して軸支されている。この揺動レバー166の図16上で左端部がピン150に連結されている。上下駆動レバー164と揺動レバー166とによって本発明のレバーを構成している。
【0064】
このように構成された傾斜機構160によれば、上部及び下部吹口部材24A、24B…、26A、26B…が例えば図8〜図14に示したようにガラス板18の曲面に対応して上下移動すると、図16の如くリンク162が揺動し、これに連動して上下駆動レバー164が上下移動する。この上下駆動レバー164の上下移動の動作が揺動レバー166に伝達され、そして、揺動レバー166のピン150を中心とする揺動動作によってエアノズル25A、25B…が中心軸134を中心に揺動し、エアノズル25Aのエア噴射口138、138がガラス板の曲面に対面する。これにより、エア噴射口138、138の冷却エアがガラス板18の曲面に直交方向に当たる。なお、吹口部材の上下移動に対するエアノズルの揺動角度は、上下駆動レバー164のねじ部176を上ナット部174及び下ナット部178に対して回し、ねじ部176の長さを調節することにより変更することができる。
【0065】
図17は、上下のエアノズルの傾斜機構に関する第3の実施の形態を示す。同図(a)は傾斜機構の側面図、同図(b)はA−A’線矢視図を示す。上部吹口部材24にはエアノズル25Aがピン200を中心として回動可能な状態で取り付けられ、ピン200にはリンク192が固定されている。同様に下部吹口部材26にはエアノズル27Aがピン195を中心として回動可能な状態で取り付けられ、ピン195にはリンク194が固定されている。ピン200および195は、それぞれエアノズル25Aおよび27Aに固定されており、上下の各エアノズルはリンク192および194の傾斜と連動してピンを回転軸として回動するため、エアの噴射方向を傾斜させることができる。なお、エアノズル25Bおよび25Cについてもエアノズル25Aと同様の周辺構造を有する。
【0066】
上下のリンク192および194の両端部には、ピン201を介してリンク198および196がそれぞれ連結され、これら4個のリンク192、195、198および196により、平行運動機構が構成されている。したがって、エアノズル25Aが一方向に所定角度回動すると、対向して設置してあるエアノズル27Aは平行運動機構の働きにより、エアノズル25Aと同じ方向および同じ角度だけ回動する。
【0067】
一方、リンク195の両端部には、それぞれピン201を介して回動自在の2個の従動ローラ202が取り付けられ、各従動ローラ202は傾斜部材203の上面に接している。傾斜部材203は、金属板を加工して作られた部品であり、側面視で略矩形状の形状を有し、一方の端部203A側にはピン206Aによりローラ206が回動自在に取り付けられ、長手方向の略中心から他方の端部にかけての上面には、従動ローラ202が転動するための平坦部203Bが、傾斜部材203の縁部を折り曲げることで作られている。
【0068】
各傾斜部材203は、ローラ22A〜22Dの上下駆動装置(図示せず)に連結されたフレーム204A〜204Dに、ピン206Aを介して連結されている。各傾斜部材203の後方に突出した平坦部203Bの下面は、隣接する傾斜部材203のローラ206上部に接触して配設されている。したがって、ローラ22A〜22Dの上下動に追従して各フレーム204A〜204Dが上下動すると、傾斜部材203の平坦部203Bの傾斜角度は、ローラ22A〜22Dの各中心を結んで作られた折れ線にほぼ平行となるように変化する。また、平坦203Bの傾斜に追従して従動ローラ202が転動するため、上述の平行運動機構の形状が変形して、各エアノズルのエアの噴射方向はローラ上のガラス板(図示せず)の表面に対して常に直交することになる。
【0069】
以上述べたように実施の形態によれば、ローラ22A、22B…、上部吹口部材24A、24B…、及び下部吹口部材26A、26B…をガラス板18の曲げ形状に対応させて上下移動させることにより、実質的なジョブチェンジを無くした風冷強化装置16において、エアノズルの傾斜機構を設けたので、湾曲面の異なる多品種のガラス板を均一に冷却することができる風冷強化装置16を提供できる。
【0070】
また、実施の形態では、加熱炉12、曲げ成形ゾーン14、及び風冷強化装置16からなる曲げガラス板の製造装置10において、ジョブチェンジが実質的に無くなったので、湾曲面の異なる多品種のガラス板を品質よく、かつ効率よく生産できる。
【0071】
【発明の効果】
以上説明したように本発明に係るガラス板の風冷強化装置によれば、エアノズルを上部及び下部吹口部材に揺動自在に支持するとともに、エアノズルをガラス板の曲面に対して直交する方向に傾斜させる傾斜機構を設けたので、エアノズルからの冷却エアをガラス板の曲面に直交方向に当てることができる。
【0072】
また、本発明は、上部及び下部吹口部材の傾斜機構を平行運動機構によって構成したので、エアノズルをガラス板の曲面に対して直交する方向に傾斜させることができる。
【0073】
更に、本発明は、上部及び下部吹口部材の傾斜機構を、隣接する吹口部材同士を連結するリンクと、リンクとエアノズルとを連結するとともに吹口部材の上下移動に連動して揺動するリンクの動作をエアノズルに伝達することによりエアノズルをガラス板の曲面に対して直交する方向に傾斜させるレバーとから構成したので、エアノズルをガラス板の曲面に対して直交する方向に傾斜させることができる。
【0074】
また、本発明は、曲げ成形されたガラス板を搬送するとともに上下移動されることによりガラス板の曲げ形状に対応するように搬送面を湾曲させる複数本のローラを挟んで、上部吹口部材を上方に、そして、下部吹口部材を下方に配置し、上部吹口部材と、この上部吹口部材に対向する下部吹口部材との間隔を一定に保持した状態で前記ローラの上下位置に応じて上部吹口部材と下部吹口部材とを上下移動させるので、ローラの上下移動量等を制御することにより、ジョブチェンジを要することなく、湾曲面の異なる多品種のガラス板に対応でき、また、ガラス板を連続搬送しながら風冷強化するので、生産性が向上する。
【0075】
更に、本発明は、風冷強化装置のガラス板搬送方向上流側に、加熱炉と曲げ成形装置とを設置し、この曲げ成形装置は、ガラス板を搬送するための搬送面を形成する複数の成形ローラからなるローラコンベアと、複数の成形ローラを上下移動させる上下方向駆動手段と、ガラス板が搬送されている位置の複数の成形ローラにより、搬送面の少なくとも一部にガラス板の搬送方向に湾曲した所望の湾曲面が形成されるとともに、ガラス板の搬送にともない、順次複数の成形ローラを上下させて湾曲面がガラス板の搬送方向に進行するように駆動手段を制御する制御手段とを備え、ガラス板を所定の曲率に曲げ成形するので、湾曲面の異なる多品種のガラス板を効率よく生産できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る風冷強化装置が組み込まれたガラス板の曲げ製造装置の構造を示す斜視図
【図2】ローラコンベアによるガラス板の曲げ動作を示す説明図
【図3】ローラの回転駆動手段と上下方向移動手段との構造を示す説明図
【図4】風冷強化装置の概略構造を示す説明図
【図5】風冷強化装置のローラの回転機構及び上下移動機構の構造図
【図6】風冷強化装置の吹口部材の上下移動機構の構造図
【図7】風冷強化装置の吹口部材に揺動自在に取り付けられたエアノズルの断面図
【図8】風冷強化装置のローラと吹口部材との動作説明図
【図9】風冷強化装置のローラと吹口部材との動作説明図
【図10】風冷強化装置のローラと吹口部材との動作説明図
【図11】風冷強化装置のローラと吹口部材との動作説明図
【図12】風冷強化装置のローラと吹口部材との動作説明図
【図13】風冷強化装置のローラと吹口部材との動作説明図
【図14】風冷強化装置のローラと吹口部材との動作説明図
【図15】エアノズルの傾斜機構の第2の実施の形態を示す上面図
【図16】図15に示した傾斜機構の正面図
【図17】(a)上側のエアノズルの傾斜機構の第3の実施の形態を示す側面図、(b)A−A’線矢視図
【符号の説明】
10…ガラス板の曲げ製造装置、12…加熱炉、14…成形ゾーン、16…風冷強化装置、18…ガラス板、20…曲げ成形用のローラコンベア、22…風冷強化用のローラコンベア、22A…ローラ、24A…上部吹口部材、25A…エアノズル、26A…下部吹口部材、27A…エアノズル、140…傾斜機構、142…第1のリンク、144…第2のリンク、160…傾斜機構、162…リンク、164…上下駆動レバー、166…揺動レバー、203…傾動部材、190…傾斜機構、210…傾斜機構
【発明の属する技術分野】
本発明はガラス板の風冷強化装置に係り、特に曲げ成形された高温状態下にある湾曲ガラス板の両面に冷却エアを吹き付けてガラス板を風冷強化するガラス板の風冷強化装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
ガラス板を加熱炉で軟化点近くまで加熱し、これを成形部にて曲げ成形した後、風冷強化装置で急冷することにより自動車用窓ガラス板を製造する製造方法が従来から知られている。
【0003】
前記風冷強化装置は、複数の上部吹口部材と複数の下部吹口部材とから構成され、複数の上部吹口部材のエアノズルから湾曲ガラス板の上面に冷却エアを吹きつけるとともに、複数の下部吹口部材のエアノズルから湾曲ガラス板の下面に冷却エアを吹きつけることにより、ガラス板が風冷強化される。
【0004】
複数の上部吹口部材及び複数の下部吹口部材は、湾曲ガラス板の湾曲面に対応した位置に取り付けられている。すなわち、複数の上部吹口部材の各々のエアノズルを結ぶ曲線及び複数の下部吹口部材の各々のエアノズルの結ぶ曲線が湾曲ガラス板の湾曲面に沿うように、各吹口部材がそれぞれ位置決めされて取り付けられている。また、複数の上部吹口部材及び複数の下部吹口部材は、冷却能の低下を防止するために、上部吹口部材のノズルと下部吹口部材のノズルが対向するように取り付けられている。
【0005】
ところで、近年の自動車産業では少量多品種の要求が高まっており、これに対応して自動車用窓ガラス板も効率のよい少量多品種の生産が要求されている。
【0006】
そこで、本願出願人は、特開2001−2434号公報において、ジョブチェンジを実質無くすことにより、湾曲面の異なる多品種のガラス板を効率よく生産できる風冷強化装置を開示している。
【0007】
この風冷強化装置は、曲げ成形されたガラス板を搬送するとともに上下移動されることによりガラス板の曲げ形状に対応するように搬送面を湾曲させる複数本のローラを有し、この複数本のローラの上方に上部吹口部材を設置するとともに、下方に下部吹口部材を設置し、かつ、上部吹口部材と、この上部吹口部材に対向する下部吹口部材との間隔を一定に保持した状態で前記ローラの上下位置に応じて上部吹口部材と下部吹口部材とを上下移動させるものである。かかる風冷強化装置によれば、ローラの上下移動量等を制御することにより、ジョブチェンジを要することなく、湾曲面の異なる多品種のガラス板に対応でき、また、ガラス板を連続搬送しながら風冷強化するので、生産性が向上する。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、風冷強化装置において、ガラス板の冷却能力を高めるためには、吹口部材のエアノズルから噴射された冷却エアを、ガラス板の曲面に直交方向に当てることが好ましい。
【0009】
この観点からみると、前記特開2001−2434号公報の風冷強化装置は、エアノズルとガラス板との距離は不変であるが、上部吹口部材のエアノズルは常に下方に向き、下部吹口部材のエアノズルは常に上方に向いているため、冷却エアをガラス板の曲面に常に直交方向に当てることができないという欠点があった。
【0010】
本発明は、このような事情に鑑みて成されたもので、冷却エアをガラス板の曲面に直交方向に当てることができるガラス板の風冷強化装置を提供することを目的とする。
【0011】
【課題を解決するための手段】
本発明は、前記目的を達成するために、曲げ成形された高温状態下にあるガラス板の上面に冷却エアを吹きつけるエアノズルが各々揺動自在に支持された複数の上部吹口部材であって、各々の上部吹口部材が上下移動機構によって上下移動されて各々のエアノズルを結ぶ曲線の曲率がガラス板の曲面形状に応じて変更されるとともに、該エアノズルをガラス板の曲面に対して常時直交するように傾斜させる傾斜機構が設けられた複数の上部吹口部材と、該上部吹口部材に対向配置され、曲げ成形された高温状態下にあるガラス板の下面に冷却エアを吹きつけるエアノズルが各々揺動自在に支持された複数の下部吹口部材であって、各々の下部吹口部材が上下移動機構によって上下移動されて各々のエアノズルを結ぶ曲線の曲率がガラス板の曲面形状に応じて変更されるとともに、該エアノズルをガラス板の曲面に対して常時直交するように傾斜させる傾斜機構が設けられた複数の下部吹口部材と、を備えたことを特徴とする。
【0012】
請求項1に記載の発明と特開2001−2434号公報の風冷強化装置とを比較して異なる点は、エアノズルを上部及び下部吹口部材に揺動自在に支持するとともに、エアノズルをガラス板の曲面に対して直交する方向に傾斜させる傾斜機構を付加した点にある。これにより、本発明によれば、エアノズルからの冷却エアをガラス板の曲面に直交方向に当てることができる。
【0013】
請求項2に記載の発明は、上部及び下部吹口部材の傾斜機構を平行運動機構によって構成したことを特徴としている。この平行運動機構の第1のリンクに上部及び下部吹口部材のエアノズルを連結するとともに、第1のリンクに対向する第2のリンクを、ガラス板の曲面に対して略平行に傾動する傾動部材に当接させる。これにより、第1のリンクがガラス板の曲面に対して平行運動するので、第1のリンクに連結されているエアノズルがガラス板の曲面に対して直交するように傾斜する。
【0014】
請求項3に記載の発明は、上部及び下部吹口部材の傾斜機構を、隣接する吹口部材同士を連結するリンクと、リンクとエアノズルとを連結するとともに吹口部材の上下移動に連動して揺動するリンクの動作をエアノズルに伝達することによりエアノズルをガラス板の曲面に対して直交するように傾斜させるレバーとから構成した。上部及び下部吹口部材がガラス板の曲面に対応して上下移動すると、リンクが揺動し、これに連動してレバーが上下移動する。この上下移動の動作がエアノズルに伝達し、エアノズルがガラス板の曲面に対して直交するように傾斜する。
【0015】
請求項4に記載の発明は、曲げ成形されたガラス板を搬送するとともに上下移動されることによりガラス板の曲げ形状に対応するように搬送面を湾曲させる複数本のローラを挟んで、上部吹口部材を上方に、そして、下部吹口部材を下方に配置し、上部吹口部材と、この上部吹口部材に対向する下部吹口部材との間隔を一定に保持した状態で前記ローラの上下位置に応じて上部吹口部材と下部吹口部材とを上下移動させる。これにより、ローラの上下移動量等を制御することにより、ジョブチェンジを要することなく、湾曲面の異なる多品種のガラス板に対応でき、また、ガラス板を連続搬送しながら風冷強化するので、生産性が向上する。
【0016】
請求項5に記載の発明は、風冷強化装置のガラス板搬送方向上流側に、加熱炉と曲げ成形装置とを設置し、この曲げ成形装置は、ガラス板を搬送するための搬送面を形成する複数の成形ローラからなるローラコンベアと、複数の成形ローラを上下移動させる上下方向駆動手段と、ガラス板が搬送されている位置の複数の成形ローラにより、搬送面の少なくとも一部にガラス板の搬送方向に湾曲した所望の湾曲面が形成されるとともに、ガラス板の搬送にともない、順次複数の成形ローラを上下させて湾曲面がガラス板の搬送方向に進行するように駆動手段を制御する制御手段とを備え、ガラス板を所定の曲率に曲げ成形する。これにより、加熱炉、曲げ成形装置、及び風冷強化装置からなる曲げガラス板の製造装置において、ジョブチェンジを実質的に無くすことができるので、湾曲面の異なる多品種のガラス板を効率よく生産できる。
【0017】
【発明の実施の形態】
以下添付図面に従って本発明に係るガラス板の風冷強化装置の好ましい実施の形態について詳説する。
【0018】
図1は、実施の形態に係る風冷強化装置が組み込まれたガラス板の曲げ製造装置10の構造を示す斜視図である。
【0019】
このガラス板の曲げ製造装置10によれば、まず、曲げ成形前のガラス板18は、加熱炉12の入口において搬送位置が位置決めされた後、図示しない搬入用のローラコンベアによって加熱炉12内に搬入される。そして、加熱炉12内を搬送される過程で所定の曲げ成形温度まで加熱される。
【0020】
曲げ成形温度まで加熱されたガラス板18は、加熱炉12の出口から成形ゾーン14の曲げ成形用ローラコンベア20に移載されて成形ゾーン14内で搬送される。ガラス板18は、成形ゾーン14内で搬送される過程において、曲げ成形用ローラコンベア20の上下移動動作により所定の湾曲面を有する形状に曲げ成形される。
【0021】
曲げ成形されたガラス板18は、成形ゾーン14の出口から風冷強化用ローラコンベア22に移載される。そして、風冷強化用ローラコンベア22によって風冷強化装置16に搬送されて風冷強化される。
【0022】
風冷強化されたガラス板18は、搬出用ローラコンベア28に移載され、次工程の図示しない検査装置に向けて搬送される。
【0023】
以上のように、ガラス板18は加熱炉12によって曲げ成形温度まで加熱され、成形ゾーン14によって所定の湾曲形状に曲げ成形されたのち、風冷強化装置16によって風冷強化される。
【0024】
次に、成形ゾーン14の構成について説明する。曲げ成形用ローラコンベア20は図1、図2に示すように、直棒状に形成された複数本のローラ20A、20B…によって構成されており、各ローラ20A、20B…は所定の間隔をもって並列配置されている。ガラス板18は、これらのローラ20A、20B…が回転することで、ローラ20A、20B…によって形成される搬送面に沿って搬送される。また、ローラコンベア20を構成する各ローラ20A、20B…は、回転駆動手段によって各々が独立して回転されるとともに、上下方向駆動手段によって各々が独立して上下方向に移動される。
【0025】
以下に、成形ゾーン14に設置されている回転駆動手段及び上下方向駆動手段の構成について説明する。なお、各ローラ20A、20B…の回転駆動手段及び上下方向駆動手段の構造は同一なので、ここではローラ20Aの回転駆動手段及び上下方向駆動手段の構造について説明し、他のローラ20B、20C…の各手段の説明は省略する。
【0026】
〔回転駆動手段〕
図3に示すようにローラ20Aは、その両端が上下移動フレーム30上に配設された軸受32、32によって回転自在に支持されている。また、ローラ20Aの図3の左端にはギヤ34が取り付けられ、ギヤ34は、駆動ギヤ36に噛合されている。駆動ギヤ36は、上下移動フレーム30上に設けられたサーボモータ38の回転軸40に連結されている。ローラ20Aは、このサーボモータ38を駆動することにより所定の角速度で回転される。以上が回転駆動手段の構造である。
【0027】
〔上下方向駆動手段〕
図3に示すように上下移動フレーム30は、固定フレーム42に上下移動自在に支持されている。すなわち、上下移動フレーム30の両側部にはガイドレール44、44が上下方向に沿って配設され、このガイドレール44、44が固定フレーム42に固着されたガイドブロック46、46に係合されている。また、上下移動フレーム30には、両端下部にラック48、48が下側に向けて突設されている。ラック48、48にはピニオン50、50が噛合され、ピニオン50、50は回転軸52に固定されている。回転軸52は、両端が軸受54、54に軸支され、図3の左端にはサーボモータ56のスピンドル58が連結されている。回転軸52は、サーボモータ56を駆動することにより回転され、その回転運動がピニオン50とラック48との作用によって直線運動に変換される。これにより、上下移動フレーム30が上下方向に移動される。そして、上下移動フレーム30の上下移動によって、ローラ20Aが上下方向に移動される。以上が上下方向駆動手段の構造である。なお、図3において符号60、62は、成形ゾーン14に設けられたヒータを示している。
【0028】
上述した回転駆動手段と上下方向駆動手段とは、他のローラ20B、20C…全てに設けられている。そして、これらの駆動手段のサーボモータ38、56が、すべてモーションコントローラによって制御されている。
【0029】
モーションコントローラは、外部入力手段からガラス板18の型式が入力されると、その型式のガラス板18の曲率に対応するローラ20A、20B…の角速度制御データ及び上下移動制御データを作成する。そして、この作成した角速度制御データに基づきサーボモータ38を制御するとともに、上下移動制御データに基づきサーボモータ56を制御する。すなわち、モーションコントローラは、ガラス板18がローラ20A、20B…による搬送中に所望の曲率で搬送方向に曲げ成形されるように、各ローラ20A、20B…を多軸制御する。
【0030】
前記のごとく構成されたローラコンベア20によるガラス板18を曲げ成形動作を図2を用いて説明する。
【0031】
図2(A)に示す初期状態において、全てのローラ20A、20B…は最上位の位置に位置している。そして、図2(B)に示すようにガラス板18の搬送が開始されると、ローラ20D〜20Fが下降する。これにより、ローラ20D〜20Fで形成される搬送面が曲率半径の大きい緩やかな湾曲状に変形する。ガラス板18は、このローラ20D〜20F上を通過することにより、自重でローラ20D〜20Fの湾曲面に沿って撓み、搬送方向に沿って曲げ成形される。
【0032】
そして、図2(C)の如くガラス板18が更に搬送されると、ローラ20F〜20Hが、先のローラ20D〜20Fよりも大きく下降する。これにより、ローラ20F〜20Hで形成される搬送面が、先の湾曲面よりも曲率半径の小さい湾曲状に変形する。ガラス板18は、このローラ20F〜20H上を通過することにより、自重でローラ20F〜20Hの湾曲面に沿って更に撓み、搬送方向に沿って曲げ成形される。
【0033】
そして、図2(D)の如くガラス板18が更に搬送されると、ローラ20H〜20Jが、先のローラ20F〜20Hよりも更に大きく下降する。これにより、ローラ20H〜20Jで形成される搬送面が、先の湾曲面よりも曲率半径の小さい湾曲状に変形する。ガラス板18は、このローラ20H〜20J上を通過することにより、自重でローラ20H〜20Jの湾曲面に沿って更に撓み、搬送方向に沿って曲げ形成される。
【0034】
更に、図2(E)の如くガラス板18が前方に搬送されると、ローラ20J〜20Lが、先のローラ20H〜20Jよりも更に大きく下降する。そして、ローラ20J〜20Lで形成される搬送面が、最終的に得ようとするガラス板18の曲率と同じ曲率の湾曲面に変形する。ガラス板18は、このローラ20J〜20L上を通過することにより、最終的に得ようとする曲率に搬送方向に沿って曲げ成形される。以後、ローラ20M…は、この曲率の湾曲面を維持するように上下移動する。
【0035】
このように、ローラコンベア20は、ローラ20A、20B…の上下移動によって形成される湾曲面の曲率半径を順次小さくして行くことで、ガラス板18を搬送方向に沿って曲げ成形する。
【0036】
次に、風冷強化装置16の構成について説明する。風冷強化装置16は、風冷強化用ローラコンベア22によって搬送されるガラス板18の上面と下面とにエアを吹き付けることによってガラス板18を風冷強化する。また、風冷強化用ローラコンベア22は、前述した曲げ成形用ローラコンベア20と同様に上下移動可能に構成されている。
【0037】
図4に示すローラコンベア22は直棒状に形成された複数本のローラ22A、22Bで構成され、各ローラ22A、22B…は所定の間隔をもって並列配置されている。各ローラ22A、22B…は、回転駆動手段によって各々が独立して回転駆動されるとともに、上下方向駆動手段によって各々が独立して上下方向に移動される。
【0038】
ここで、風冷強化装置16内に設置されている回転駆動手段及び上下方向駆動手段の構成について説明する。なお、各ローラ22A、22B…の回転駆動手段及び上下方向駆動手段の構造は同一なので、ここではローラ22Aの回転駆動手段及び上下方向駆動手段の構造についてを説明し、他のローラ22B、22C…の各手段の説明は省略する。
【0039】
〔回転駆動手段〕
図5に示すようにローラ22Aは、その両端が一対の上下移動フレーム70A、70A上に配設された軸受72A、72Aによって回転自在に支持されている。また、ローラ22Aの図5の右端にはサーボモータ78Aの出力軸が連結されている。ローラ22Aは、サーボモータ78Aを駆動することにより所定の角速度で回転される。以上が回転駆動手段の構造である。
【0040】
〔上下方向駆動手段〕
一対の上下移動フレーム70A、70Aは、それぞれ一対の固定フレーム82A、82Aによって上下移動自在に支持されている。すなわち、各上下移動フレーム70Aの外側部にはガイドレール84Aが上下方向に沿って配設されており、このガイドレール84Aが固定フレーム82Aの内側部に固着されたガイドブロック86A、86Aに摺動自在に支持されている。また、この上下移動フレーム70Aの外側部にはラック88A、88Aが配設され、ラック88A、88Aにはピニオン90A、90Aが噛合されている。このピニオン90A、90Aは回転軸92Aに固定され、回転軸92Aは、両端が軸受94A、94Aに軸支されている。そして、この回転軸92Aの図5の右端には、一方の固定フレーム82Aの頂部に配設されたサーボモータ96Aのスピンドルが連結されている。回転軸92Aは、サーボモータ96Aを駆動することにより回転され、その回転運動がピニオン90Aとラック88Aとの作用によって直線運動に変換される。これにより、上下移動フレーム70Aが上下方向に移動されるので、ローラ22Aが上下方向に移動される。以上が上下方向駆動手段の構造である。
【0041】
上述した回転駆動手段と上下方向駆動手段とは、他のローラ22B、22C…全てに設けられている。そして、これらの駆動手段のサーボモータ78A、78B…、96A、96B…が、すべてモーションコントローラによって制御されている。
【0042】
モーションコントローラは、外部入力手段からガラス板18の型式が入力されると、その型式のガラス板18の曲率に対応するローラ22A、22B…の角速度制御データ及び上下移動制御データを作成する。そして、この作成した角速度制御データに基づきサーボモータ78A、78B…を制御するとともに、上下移動制御データに基づきサーボモータ96A、96B…を制御する。すなわち、モーションコントローラは、成形ゾーン14で曲げ成形されたガラス板18が、その形状を保持したまま搬送されるように、各ローラ22A、22B…を多軸制御する。
【0043】
次に、風冷強化装置16の構成について説明する。風冷強化装置16は図6の如く、ローラコンベア22を挟んで、上方に上部送風ボックス100、下方に下部送風ボックス102が設置されている。上部送風ボックス100と下部送風ボックス102とには各々ダクト104、106が連結され、これらのダクト104、106には図示しないブロアが連結されている。したがって、ブロアからの冷却エアが、ダクト104、106を介して上部送風ボックス100と下部送風ボックス102とに供給される。
【0044】
上部送風ボックス100に供給された冷却エアは、各ローラ22A、22B…間の上方に配設された上部吹口部材24A、24B…にフレキシブルダクト108、108を介して供給された後、上部吹口部材24A、24B…の各エアノズル25A、25B…からローラコンベア22に向けて吹き出される。一方で、下部送風ボックス102に供給された冷却エアは、各ローラ22A、22B…間の下方に配設された下部吹口部材26A、26B…にフレキシブルダクト110、110を介して供給された後、下部吹口部材26A、26B…の各エアノズル27A、27B…からローラコンベア22に向けて吹き出される。これにより、ローラコンベア22によって搬送されるガラス板18の上面と下面とが冷却される。
【0045】
また、上部吹口部材24A、24B…と下部吹口部材26A、26B…とは、それぞれ上下移動自在に設けられている。そして、上部吹口部材24A、24B…と下部吹口部材26A、26B…とは、それぞれローラ22A、22B…に連動して上下移動される。ローラ22A、22B…は、ガラス板18の搬送に伴い上下動されるが、この場合、ローラ22A、22B…のうちのガラス板18が搬送されている位置のローラが上下動し、これらの位置の複数のローラにより形成される搬送面がガラス板の搬送方向について、曲げ成形されたガラス板の湾曲形状に対応した湾曲面を有する。そして、ガラス板の搬送に伴い各ローラを順次上下動させ、各ローラにより形成される湾曲面をガラス板の搬送方向に進行させる。
【0046】
次に、上部吹口部材24A、24B…と下部吹口部材26A、26B…とを上下移動させる機構について説明する。なお、双方の機構は同一なので、ここでは上部吹口部材24Aの上下移動機構の構造についてのみを説明し、他の上部吹口部材24B、24C…、及び下部吹口部材26A、26B…の構造に関しては同一の符号を付すことによりその説明は省略する。また、以下では吹口部材に駆動機構を取り付け上下動させる例について説明するが、吹口部材に駆動装置を設けず、ローラの上下駆動装置を利用するようにしてもよい。
【0047】
〔上下移動機構〕
上部吹口部材24Aの両側にはフレーム112、112が固定され、このフレーム112、112は、ガイドフレーム114、114にスライダ116、116を介して取り付けられ、ガイドフレーム114、114に沿って上下移動可能に支持される。ガイドフレーム114は、上部送風ボックス100を支持する支持体118の下部に上下方向に延設されている。
【0048】
また、フレーム112、112にはラック120、120が上下方向に固定され、このラック120、120にピニオン122、122が噛合されている。ピニオン122、122は、軸124に取り付けられており、この軸124は支持体118に軸受126、126を介して支持されるとともに、軸124の図6上で右端部がサーボモータ128の回転軸に連結されている。よって、軸124がサーボモータ96Aによって回転されると、その回転運動がピニオン122とラック120との作用によって直線運動に変換される。これにより、上部吹口部材24Aが上下方向に移動される。以上が上下移動機構の構造である。
【0049】
この上下移動機構は、他の上部吹口部材24B、24C…及び下部吹口部材26A、26B…全てに設けられている。そして、これらの上下移動機構の全てのサーボモータ128、128…が、すべてモーションコントローラによって制御されている。
【0050】
モーションコントローラは、外部入力手段からガラス板18の型式が入力されると、その型式のガラス板18の曲率に対応する上部吹口部材24A、24B、24C…及び下部吹口部材26A、26B…上下移動制御データを作成する。そして、この作成した上下移動制御データに基づきサーボモータ128、128…を制御する。すなわち、モーションコントローラは、上部吹口部材24A、24B…と、この上部吹口部材24A、24B…に対向する下部吹口部材26A、26B…との間隔を一定に保持した状態で前記ローラ22A、22B…の上下位置に応じて上部吹口部材24A、24B…と下部吹口部材26A、26B…とを上下移動させる。これにより、ガラス板18の上面と上部吹口部材24A、24B…との距離、及びガラス板18の下面と下部吹口部材26A、26B…との距離が一定に制御されている。
【0051】
ところで、実施の形態の風冷強化装置16のエアノズル25A、25B…、27A、27B…は、吹口部材24A、24B…26A、26B…に各々揺動自在に取り付けられている。ここで、エアノズル25A、25B…、27A、27B…は同一構造であり、また、吹口部材24A、24B…、26A、26B…に対する取付構造及びその作用も同一なので、ここでは、上部吹口部材24A、24B…に対するエアノズル25A、25B…の取付構造及び作用を説明し、下部吹口部材26A、26B…に対するエアノズル27A、27B…の取付構造及び作用の説明は省略する。
【0052】
エアノズル25Aは図7に示すように、その外周面130が円弧状に形成され、この外周面130が上部吹口部材24Aのガラス板搬送方向上流側及び下流側に形成された下部円弧面132、132に摺動自在に係合されている。これにより、エアノズル25Aは、上部吹口部材24Aに対し、中心軸134を中心として揺動自在に取り付けられるとともに、その下方を通過する図4のガラス板18に対し、ガラス板搬送方向に沿った方向に揺動される。なお、図4は、上部吹口部材24A、24B、24Cにエアノズル25A、25B、25Cが取り付けられた図を示し、他の上部吹口部材24D〜24Jに取り付けられているエアノズルは省略している。
【0053】
また、エアノズル25Aの下部には、薄板136によってその開口が絞られた一対のエア噴射口138、138が形成される。なお、エアノズル25Aは黄銅製であり、ステンレス製の上部吹口部材24Aとの間で自己潤滑性により揺動される。
【0054】
更に、エアノズル25Aには図7の二点鎖線で示す傾斜機構140が取り付けられている。この傾斜機構140は、4本のリンク142、144、146、148からなる平行運動機構であり、第1のリンク142の中央部に、エアノズル25Aの側面でかつエアノズル25Aの中心軸134と同軸上に設けられたピン150が固定されている。
【0055】
また、第1のリンク142に対向する第2のリンク144は、その中央部に取り付けられたピン145を介して上部吹口部材24に回動自在に支持される。また。第2のリンク144の両端には、耐熱製部材で作られた従動ローラ152、152が回転自在に支持され、この従動ローラ152、152は、図4の如くガラス板18の曲面に対して略平行に傾動する傾動部材(二点鎖線で図示)153に接触する。また、従動ローラ152、152が傾動部材153に接触することにより、ガラス板18の湾曲面に沿って平行運動機構が動作し、第1のリンク142がガラス板18の湾曲面と平行になるよう追従動作する。この追従動作によって、第1のリンク142に連結されているピン150が回動するのでエアノズル25Aが中心軸134を中心に揺動し、エア噴射口138、138がガラス板18の湾曲面に対面される。よって、エア噴射口138、138から噴射された冷却エアは、ガラス板18の湾曲面に直交する方向に当たる。なお、傾斜機構140及び傾動部材153は、図6の如くエアノズル25Aの両端に設けられている。
【0056】
次に、前記の如く構成された風冷強化装置16の作用について説明する。
【0057】
図8〜図14に示すように、成形ゾーン14で曲げ成形されたガラス板18は、曲げ成形用ローラコンベア20を介して風冷強化用ローラコンベア22に順に移載され、ここでローラコンベア22A〜22Lが上下移動しながら回転されることにより、ガラス板18は曲げ成形された形状が保持された状態で風冷強化装置16内を通過する。
【0058】
また、ローラコンベア22A〜22Lの上下移動に伴って、上部吹口部材24A〜24L、及びこれらの上部吹口部材24A〜24Lと対向配置された不図示の下部吹口部材が、傾動部材153、153…の動作に連動して上下移動することにより、エアノズル25A〜25L、27A〜27Lを結ぶ曲線の曲率がガラス板の曲面形状に応じて変更されるとともに、ガラス板18の上面と上部吹口部材24A、24B…との距離、及びガラス板18の下面と下部吹口部材26A、26B…との距離が一定に制御された状態でガラス板18が風冷強化装置16内を通過する。
【0059】
その通過中において、上部吹口部材24A、24B…のエアノズル25A、25B…と、下部吹口部材26A、26B…のエアノズル27A、27B…とから噴射される冷却エアによって、ガラス板18は風冷強化されるわけであるが、実施の形態のエアノズル25A、25B…(エアノズル27A、27B…も同様)は、図4、図7に示した傾斜機構140によって、エア噴射口138、138がガラス板18の湾曲面に常に対面するように傾斜される(図8〜図14参照)。これにより、実施の形態の風冷強化装置16によれば、エアノズル25A、25B…(エアノズル27A、27B…も同様)からの冷却エアを、ガラス板18の曲面に常に直交方向に当てることができる。
【0060】
図15、図16には、エアノズル25Aの傾斜機構の第2の実施の形態を示している。なお、エアノズル25B、25C…、27A、27B…の傾斜機構も同一構造なので、ここでは説明を省略する。
【0061】
図15、図16に示す傾斜機構160はリンク162、上下駆動レバー164、揺動レバー166などから構成される。リンク162は、その両端がスリーブ168、168にピン170、170を介して軸支され、スリーブ168、168は、隣接する上部吹口部材24A、24B…にねじ固定された支持板172に突設されている。したがって、リンク162によって隣接する上部吹口部材24A、24B…同士が連結されている。
【0062】
上下駆動レバー164は上ナット部174、ねじ部176、及び下ナット部178から構成される。上ナット部174の上部175は、図15の如く二股状に形成され、この上部175がリンク162の中央部を挟み付けた状態でピン180を介して軸支されている。
【0063】
上ナット部174の下部には、ねじ部176の上端部176Aが螺合され、ねじ部176の下端部176Bは下ナット部178に螺合されている。下ナット部178の下部179は二股状に形成され、この下部179が揺動レバー166の図16の右端部を挟み付けた状態でピン182を介して軸支されている。この揺動レバー166の図16上で左端部がピン150に連結されている。上下駆動レバー164と揺動レバー166とによって本発明のレバーを構成している。
【0064】
このように構成された傾斜機構160によれば、上部及び下部吹口部材24A、24B…、26A、26B…が例えば図8〜図14に示したようにガラス板18の曲面に対応して上下移動すると、図16の如くリンク162が揺動し、これに連動して上下駆動レバー164が上下移動する。この上下駆動レバー164の上下移動の動作が揺動レバー166に伝達され、そして、揺動レバー166のピン150を中心とする揺動動作によってエアノズル25A、25B…が中心軸134を中心に揺動し、エアノズル25Aのエア噴射口138、138がガラス板の曲面に対面する。これにより、エア噴射口138、138の冷却エアがガラス板18の曲面に直交方向に当たる。なお、吹口部材の上下移動に対するエアノズルの揺動角度は、上下駆動レバー164のねじ部176を上ナット部174及び下ナット部178に対して回し、ねじ部176の長さを調節することにより変更することができる。
【0065】
図17は、上下のエアノズルの傾斜機構に関する第3の実施の形態を示す。同図(a)は傾斜機構の側面図、同図(b)はA−A’線矢視図を示す。上部吹口部材24にはエアノズル25Aがピン200を中心として回動可能な状態で取り付けられ、ピン200にはリンク192が固定されている。同様に下部吹口部材26にはエアノズル27Aがピン195を中心として回動可能な状態で取り付けられ、ピン195にはリンク194が固定されている。ピン200および195は、それぞれエアノズル25Aおよび27Aに固定されており、上下の各エアノズルはリンク192および194の傾斜と連動してピンを回転軸として回動するため、エアの噴射方向を傾斜させることができる。なお、エアノズル25Bおよび25Cについてもエアノズル25Aと同様の周辺構造を有する。
【0066】
上下のリンク192および194の両端部には、ピン201を介してリンク198および196がそれぞれ連結され、これら4個のリンク192、195、198および196により、平行運動機構が構成されている。したがって、エアノズル25Aが一方向に所定角度回動すると、対向して設置してあるエアノズル27Aは平行運動機構の働きにより、エアノズル25Aと同じ方向および同じ角度だけ回動する。
【0067】
一方、リンク195の両端部には、それぞれピン201を介して回動自在の2個の従動ローラ202が取り付けられ、各従動ローラ202は傾斜部材203の上面に接している。傾斜部材203は、金属板を加工して作られた部品であり、側面視で略矩形状の形状を有し、一方の端部203A側にはピン206Aによりローラ206が回動自在に取り付けられ、長手方向の略中心から他方の端部にかけての上面には、従動ローラ202が転動するための平坦部203Bが、傾斜部材203の縁部を折り曲げることで作られている。
【0068】
各傾斜部材203は、ローラ22A〜22Dの上下駆動装置(図示せず)に連結されたフレーム204A〜204Dに、ピン206Aを介して連結されている。各傾斜部材203の後方に突出した平坦部203Bの下面は、隣接する傾斜部材203のローラ206上部に接触して配設されている。したがって、ローラ22A〜22Dの上下動に追従して各フレーム204A〜204Dが上下動すると、傾斜部材203の平坦部203Bの傾斜角度は、ローラ22A〜22Dの各中心を結んで作られた折れ線にほぼ平行となるように変化する。また、平坦203Bの傾斜に追従して従動ローラ202が転動するため、上述の平行運動機構の形状が変形して、各エアノズルのエアの噴射方向はローラ上のガラス板(図示せず)の表面に対して常に直交することになる。
【0069】
以上述べたように実施の形態によれば、ローラ22A、22B…、上部吹口部材24A、24B…、及び下部吹口部材26A、26B…をガラス板18の曲げ形状に対応させて上下移動させることにより、実質的なジョブチェンジを無くした風冷強化装置16において、エアノズルの傾斜機構を設けたので、湾曲面の異なる多品種のガラス板を均一に冷却することができる風冷強化装置16を提供できる。
【0070】
また、実施の形態では、加熱炉12、曲げ成形ゾーン14、及び風冷強化装置16からなる曲げガラス板の製造装置10において、ジョブチェンジが実質的に無くなったので、湾曲面の異なる多品種のガラス板を品質よく、かつ効率よく生産できる。
【0071】
【発明の効果】
以上説明したように本発明に係るガラス板の風冷強化装置によれば、エアノズルを上部及び下部吹口部材に揺動自在に支持するとともに、エアノズルをガラス板の曲面に対して直交する方向に傾斜させる傾斜機構を設けたので、エアノズルからの冷却エアをガラス板の曲面に直交方向に当てることができる。
【0072】
また、本発明は、上部及び下部吹口部材の傾斜機構を平行運動機構によって構成したので、エアノズルをガラス板の曲面に対して直交する方向に傾斜させることができる。
【0073】
更に、本発明は、上部及び下部吹口部材の傾斜機構を、隣接する吹口部材同士を連結するリンクと、リンクとエアノズルとを連結するとともに吹口部材の上下移動に連動して揺動するリンクの動作をエアノズルに伝達することによりエアノズルをガラス板の曲面に対して直交する方向に傾斜させるレバーとから構成したので、エアノズルをガラス板の曲面に対して直交する方向に傾斜させることができる。
【0074】
また、本発明は、曲げ成形されたガラス板を搬送するとともに上下移動されることによりガラス板の曲げ形状に対応するように搬送面を湾曲させる複数本のローラを挟んで、上部吹口部材を上方に、そして、下部吹口部材を下方に配置し、上部吹口部材と、この上部吹口部材に対向する下部吹口部材との間隔を一定に保持した状態で前記ローラの上下位置に応じて上部吹口部材と下部吹口部材とを上下移動させるので、ローラの上下移動量等を制御することにより、ジョブチェンジを要することなく、湾曲面の異なる多品種のガラス板に対応でき、また、ガラス板を連続搬送しながら風冷強化するので、生産性が向上する。
【0075】
更に、本発明は、風冷強化装置のガラス板搬送方向上流側に、加熱炉と曲げ成形装置とを設置し、この曲げ成形装置は、ガラス板を搬送するための搬送面を形成する複数の成形ローラからなるローラコンベアと、複数の成形ローラを上下移動させる上下方向駆動手段と、ガラス板が搬送されている位置の複数の成形ローラにより、搬送面の少なくとも一部にガラス板の搬送方向に湾曲した所望の湾曲面が形成されるとともに、ガラス板の搬送にともない、順次複数の成形ローラを上下させて湾曲面がガラス板の搬送方向に進行するように駆動手段を制御する制御手段とを備え、ガラス板を所定の曲率に曲げ成形するので、湾曲面の異なる多品種のガラス板を効率よく生産できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る風冷強化装置が組み込まれたガラス板の曲げ製造装置の構造を示す斜視図
【図2】ローラコンベアによるガラス板の曲げ動作を示す説明図
【図3】ローラの回転駆動手段と上下方向移動手段との構造を示す説明図
【図4】風冷強化装置の概略構造を示す説明図
【図5】風冷強化装置のローラの回転機構及び上下移動機構の構造図
【図6】風冷強化装置の吹口部材の上下移動機構の構造図
【図7】風冷強化装置の吹口部材に揺動自在に取り付けられたエアノズルの断面図
【図8】風冷強化装置のローラと吹口部材との動作説明図
【図9】風冷強化装置のローラと吹口部材との動作説明図
【図10】風冷強化装置のローラと吹口部材との動作説明図
【図11】風冷強化装置のローラと吹口部材との動作説明図
【図12】風冷強化装置のローラと吹口部材との動作説明図
【図13】風冷強化装置のローラと吹口部材との動作説明図
【図14】風冷強化装置のローラと吹口部材との動作説明図
【図15】エアノズルの傾斜機構の第2の実施の形態を示す上面図
【図16】図15に示した傾斜機構の正面図
【図17】(a)上側のエアノズルの傾斜機構の第3の実施の形態を示す側面図、(b)A−A’線矢視図
【符号の説明】
10…ガラス板の曲げ製造装置、12…加熱炉、14…成形ゾーン、16…風冷強化装置、18…ガラス板、20…曲げ成形用のローラコンベア、22…風冷強化用のローラコンベア、22A…ローラ、24A…上部吹口部材、25A…エアノズル、26A…下部吹口部材、27A…エアノズル、140…傾斜機構、142…第1のリンク、144…第2のリンク、160…傾斜機構、162…リンク、164…上下駆動レバー、166…揺動レバー、203…傾動部材、190…傾斜機構、210…傾斜機構
Claims (5)
- 曲げ成形された高温状態下にあるガラス板の上面に冷却エアを吹きつけるエアノズルが各々揺動自在に支持された複数の上部吹口部材であって、各々の上部吹口部材が上下移動機構によって上下移動されて各々のエアノズルを結ぶ曲線の曲率がガラス板の曲面形状に応じて変更されるとともに、該エアノズルをガラス板の曲面に対して常時直交するように傾斜させる傾斜機構が設けられた複数の上部吹口部材と、
該上部吹口部材に対向配置され、曲げ成形された高温状態下にあるガラス板の下面に冷却エアを吹きつけるエアノズルが各々揺動自在に支持された複数の下部吹口部材であって、各々の下部吹口部材が上下移動機構によって上下移動されて各々のエアノズルを結ぶ曲線の曲率がガラス板の曲面形状に応じて変更されるとともに、該エアノズルをガラス板の曲面に対して常時直交するように傾斜させる傾斜機構が設けられた複数の下部吹口部材と、
を備えたことを特徴とするガラス板の風冷強化装置。 - 前記上部吹口部材の前記傾斜機構は、平行運動機構によって構成され、該平行運動機構の第1のリンクに上部吹口部材の前記エアノズルが連結されるとともに、該第1のリンクに対向する第2のリンクが前記ガラス板の曲面に対して略平行に傾動する傾動部材に当接されることにより、エアノズルがガラス板の曲面に対して直交するように傾斜され、
前記下部吹口部材の前記傾斜機構は、平行運動機構によって構成され、該平行運動機構の第1のリンクに下部吹口部材の前記エアノズルが連結されるとともに、該第1のリンクに対向する第2のリンクが前記ガラス板の曲面に対して略平行に傾動する傾動部材に当接されることにより、エアノズルがガラス板の曲面に対して直交するように傾斜されることを特徴とする請求項1に記載のガラス板の風冷強化装置。 - 前記上部吹口部材の前記傾斜機構は、隣接する前記上部吹口部材同士を連結するリンクと、該リンクと上部吹口部材の前記エアノズルとを連結するとともに上部吹口部材の上下移動に連動して揺動するリンクの動作をエアノズルに伝達することによりエアノズルをガラス板の曲面に対して直交するように傾斜させるレバーとからなり、
前記下部吹口部材の前記傾斜機構は、隣接する前記下部吹口部材同士を連結するリンクと、該リンクと下部吹口部材の前記エアノズルとを連結するとともに下部吹口部材の上下移動に連動して揺動するリンクの動作をエアノズルに伝達することによりエアノズルをガラス板の曲面に対して直交するように傾斜させるレバーとからなることを特徴とする請求項1に記載のガラス板の風冷強化装置。 - 前記上部吹口部材と前記下部吹口部材とは、曲げ成形されたガラス板を搬送するとともに上下移動されることによりガラス板の曲げ形状に対応するように搬送面を湾曲させる複数本のローラを挟んで上方、下方に配置され、
前記上部吹口部材の前記上下移動機構、及び前記下部吹口部材の前記上下移動機構は、前記上部吹口部材と、該上部吹口部材に対向する下部吹口部材との間隔を一定に保持した状態で前記ローラの上下位置に応じて上部吹口部材と下部吹口部材とを上下移動させることを特徴とする請求項1、2又は3のうちいずれか一つに記載のガラス板の風冷強化装置。 - ガラス板を曲げ成形温度まで加熱する加熱炉と、
該加熱炉の下流側に設けられ、前記ガラス板を搬送するための搬送面を形成する複数の成形ローラからなるローラコンベアと、前記複数の成形ローラを上下移動させる上下方向駆動手段と、ガラス板が搬送されている位置の複数の成形ローラにより、前記搬送面の少なくとも一部にガラス板の搬送方向に湾曲した所望の湾曲面が形成されるとともに、ガラス板の搬送にともない、順次複数の成形ローラを上下させて前記湾曲面がガラス板の搬送方向に進行するように前記駆動手段を制御する制御手段とを備え、ガラス板を所定の曲率に曲げ成形するガラス板の曲げ成形装置とが、前記風冷強化装置のガラス板搬送方向上流側に設置されていることを特徴とする請求項4に記載のガラス板の風冷強化装置。
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- 2002-07-31 JP JP2002223002A patent/JP2004059401A/ja active Pending
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