JP2004022704A - 半導体レーザ光出力制御回路 - Google Patents
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Abstract
【課題】引き込み時間の短縮とAPCループの外乱からの影響を少なくしたAPC回路を提供する。
【解決手段】APC回路において、光出力設定手段による設定出力と光出力検波手段による半導体レーザの光出力の検波出力とを比較して比較結果を出力する比較増幅手段を、回路のループ帯域を異ならせる二系統の比較増幅手段により構成し、半導体レーザ光出力制御回路における引き込み動作では帯域を広くし、それ以外は帯域を狭くした。
【選択図】 図1
【解決手段】APC回路において、光出力設定手段による設定出力と光出力検波手段による半導体レーザの光出力の検波出力とを比較して比較結果を出力する比較増幅手段を、回路のループ帯域を異ならせる二系統の比較増幅手段により構成し、半導体レーザ光出力制御回路における引き込み動作では帯域を広くし、それ以外は帯域を狭くした。
【選択図】 図1
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、半導体レーザ光出力制御回路に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
半導体レーザはきわめて小型であり、かつ高速に応答するため、光ディスク装置、光通信装置、レーザプリンタの光源として広く使用されている。
【0003】
上記光ディスク装置に用いられる光ディスクの中で、書換え可能なものとしては相変化光ディスク、光磁気ディスクが広く知られており、これらは記録、再生、消去する際に照射されるレーザ光の出力を異ならせている。
【0004】
例えば相変化光ディスクは、レーザ光を用いて結晶構造を変化させることでデータを記録しており、結晶構造の変化(結晶、非結晶)によって反射率が異なることを利用して「0」と「1」を記録するようにしている。
【0005】
そして、記録時は光ディスクにピットと呼ばれる記録マークを作るために、レーザビームの出力を高くし(例えば30mW以上)、再生時はピットを破壊することなく情報の読み出しを行えるように記録時よりも弱い出力(例えば3mW程度)のレーザビームを光ディスクに照射するようにしている。
【0006】
また、記録に関していえば、記録マークの両端の変化を記録するマークエッジ記録と、記録マークの中心位置に情報を載せるマークポジション記録が知られているが、近年、高密度化の優位性からマークエッジ記録を用いた書換え可能な相変化光ディスクの研究が進んでいる。
【0007】
上記マークエッジ記録におけるマークの形状歪によるデータ誤りを抑える変調技術としてライトストラテジが知られている。これは、レーザ光による記録波形を複数の短パルスに分割してレーザ光を照射する技術であり、記録マーク後端部における熱の蓄積を抑えて記録マークの涙滴型現象(記録マーク後方が前方に比べて幅広になる)を抑え、記録マークの歪を解消するようにしたものである。
【0008】
図8にライトストラテジの一例を示す。なお、図中のTは記録データの1ビットのビット周期を示す。
【0009】
レーザ駆動波形はパルス幅変調と強度変調が複合された変調波形であり、三種類のパワーレベルをもつ複数のレーザパルスを利用し、作りたい記録マーク長によってパルスの数を変え、パルス幅、レベル幅を最適に設定することにより最適な記録マークができるようにしている。
【0010】
三種類のパワーレベルを、高い順にピークレベル、イレーズレベル、クールレベルとした場合、ピークレベルのレーザ光でディスクを照射すると、ディスクの記録膜が溶融され、その後急冷(クールレベル)すると、光の反射率が低いアモルファス(非結晶)状態となる。これが記録マークとして利用されている。
【0011】
また、イレーズレベルのレーザ光でディスクを照射すると記録膜は結晶状態となる。すなわち、レーザ光の照射前に非結晶状態であった部分は結晶状態になり、元々結晶状態であったところはそのまま結晶状態に留まることから記録マークを消去することができ、オーバーライト(重ね書きによる書換え)が可能となるのである。
【0012】
他方、近年の高密度、高転送レートの光ディスクにおいて、記録再生が可能なエラーレートを得るためには、前記各モード(再生、記録、消去)においてレーザビームの強度を十分に制御する必要がある。しかし、半導体レーザは駆動電流対光出力特性の温度特性変化が著しいので、その光出力を所望の強度に設定するためにはAPC(Auto Power Control)回路、所謂半導体レーザ光出力制御回路が必要となる。
【0013】
このAPC回路は次の二種類に大別される。
【0014】
1)サンプルホールド方式
これは、後述するALPC部と呼ばれるパワー設定期間に半導体レーザの光出力をフォトダイオードによりモニタし、このフォトダイオードに発生する受光電流(半導体レーザの光出力に比例)と、発光指令信号とが等しくなるように、半導体レーザの駆動電流を制御する光・電気負帰還ループを構成し、この駆動電流の制御値を前記ALPC部以外でも保持し、このALPC部以外では、この保持した制御値をもとに変調をかけるものである。
【0015】
2)リアルタイム方式
これは、半導体レーザの光出力をフォトダイオードによりモニタし、このフォトダイオードに発生する受光電流(半導体レーザの光出力に比例)と、発光指令信号とが等しくなるように、常時、半導体レーザの駆動電流を制御する光・電気負帰還ループを構成したものである。
【0016】
図10に上記サンプルホールド方式のAPC回路を示す。
【0017】
図中、LD1は光ディスクに照射するレーザビームを出力する半導体レーザ、PD2は同半導体レーザLD1の光出力をモニタするフォトダイオード、3は同フォトダイオードPD2から出力されたモニタ電流IPDを電圧へ変換する電流電圧変換回路、4は誤差増幅器、5は光パワー設定電圧用スイッチ回路、61,62・・・6nは光パワー設定電圧、71,72・・・7nはサンプルホールド回路、81,82・・・8nは前記サンプルホールド回路71,72・・・7nにそれぞれ設けられたホールド回路制御端子、91,92・・・9nは電圧電流変換回路、10はスイッチ回路、11は電流増幅器からなるドライバである。
【0018】
前記誤差増幅器4は、前記電流電圧変換回路3の出力電圧と光パワー設定電圧61,62・・・6nとの誤差を検出して誤差電圧として出力するものである。また、光パワー設定電圧用スイッチ回路5は光パワー設定電圧61,62・・・6nのいずれかを選択して出力するものであり、同光パワー設定電圧61,62・・・6nはレーザパワー設定用の設定電圧である。
【0019】
サンプルホールド回路71,72・・・7nは、前記誤差増幅器4が出力した誤差電圧をホールドするもので、同サンプルホールド回路71,72・・・7nのホールド動作を制御するサンプルゲート信号が前記ホールド回路制御端子81,82・・・8nに入力される。
【0020】
電圧電流変換回路91,92・・・9nはサンプルホールド回路71,72・・・7nの出力を電流信号へ変換するもので、スイッチ回路10は前記電圧電流変換回路91,92・・・9nの出力を切替えるものである。
【0021】
また、ドライバ11は前記スイッチ回路10で切替えられた電圧電流変換回路91,92・・・9nの出力である電流信号を増幅し、半導体レーザLD1を駆動するものである。また、スイッチ回路10には、同スイッチ回路10の切替動作を制御するための切替タイミング信号が入力される制御用端子(図示せず)が設けられている。
【0022】
次に、かかるサンプルホールド方式のAPC回路の動作について説明すると、例えば光磁気ディスクフォーマットでは、図9(a)に示すように、各セクタのデータ部(記録領域)の前にアドレス部と、パワー設定期間である前記ALPC(Auto Laser Power Control)部が設けられている。
【0023】
アドレス部にはセクタのアドレス情報が記録されており、再生モードでアドレス情報を読み出し、ALPC部の区間では再生、消去、記録の各パワーレベルの設定を行う。他の区間ではスイッチ回路10により選択されたサンプルホールド回路71,72・・・7nによりホールドされた制御値を基に、電圧電流変換回路91,92・・・9nが出力した電流値により半導体レーザLD1を発光させる。
【0024】
この方式によれば、前記ALPC部にて半導体レーザをDC発光させて設定値を決める。図9(b)〜(e)はALPC部でのパワー設定選択信号であり、図9(f)はALPC部で設定される光出力波形である。
【0025】
上記したサンプルホールド方式では、光出力を受けたフォトダイオードPD2の受光電流であるモニタ電流IPDを電流電圧変換回路3により電圧に変換し、その電圧と光パワー設定電圧用スイッチ回路5で選択された前記光パワー設定電圧61とが誤差増幅器4に入力される。このとき、サンプルホールド回路71は、ホールド回路制御端子81によりサンプリング状態に選択されて負帰還ループが閉じた状態になっており、その結果、誤差増幅器4の+−入力電圧が釣り合うように負帰還がかかり、誤差増幅器4の出力電圧が決定する。
【0026】
この誤差増幅器4の出力した制御電圧を電圧電流変換回路91にて電流に変換し、ドライバ11によって増幅され半導体レーザLD1を駆動する。
【0027】
すなわち、前記ホールド回路制御端子81へ入力されるサンプルゲート信号をHighレベルにし、誤差増幅器4により電流電圧変換回路3の出力電圧と光パワー設定電圧61とを比較して、誤差増幅器4が出力する制御電圧をもとに半導体レーザLD1を駆動してレーザパワーの設定を行うのである。
【0028】
そして、この負帰還ループの帯域を数MHz程度の広帯域にすることで、1μsには十分にレーザパワーの設定に対する引き込みが行われる。このレーザパワーの制御電圧は、ホールド回路制御端子81へ与えるサンプルゲート信号をLowレベルにすることによりサンプルホールド回路71へホールドされる。順に、他の光パワーの設定も同様に行い、これ以降、前記セクタのデータ部(記録領域)においては、保持されたこれら制御電圧により生成された電圧電流変換回路91,92・・・9nの出力をスイッチ回路10により切替えることにより、半導体レーザLD1の制御が可能となる。
【0029】
しかし、上述したサンプルホールド方式のAPC回路は、ループ帯域を数MHz程度の広帯域にすることで、1μsには十分にレーザパワーの設定に対する引き込みが行われるものの、前記光磁気ディスクフォーマットのALPC部の数μsは記録時のレーザパルスの発生周期に比べて相当に長い期間となっているので半導体レーザLD1の寿命に影響する。また、前記光磁気ディスクフォーマットにおけるデータ部の区間ではホールド状態であるために、半導体レーザLD1の温度ドループ特性や緩和振動を補正できず、ALPC部で設定した直流での発光パワーとデータ部区間での記録パルスでの発光パワーに差が生じてしまうという問題があった。
【0030】
そこで、常時、半導体レーザの駆動電流を制御可能なリアルタイム方式のAPC回路が注目されてきている。
【0031】
図11にリアルタイム方式のAPC回路を示す。なお、図11において、図10と同一又は相当する構成要素については同一符号を付して説明を省略する。
【0032】
図中、111はフォトダイオードPD2から出力されたモニタ電流IPDを電流電圧変換した電圧VSが入力されるピーク値検波回路、112は同様に前記電圧VSが入力されるボトム値検波回路、11nは同様に前記電圧VSが入力される平均値検波回路であり、前述した三種類のパワーレベル(ピークパワー、イレーズパワー、クールパワー)にそれぞれ対応している。
【0033】
41、42、4nは誤差増幅器、61、62、6nは光パワー設定電圧であり、誤差増幅器41は、前記ピーク値検波回路111の出力と光パワー設定電圧61とを比較し、誤差増幅器42は、前記ボトム値検波回路112の出力と光パワー設定電圧62とを比較し、誤差増幅器4nは、前記平均値検波回路11nの出力と光パワー設定電圧6nとを比較するものである。
【0034】
このAPC回路では、図10で示したサンプルホールド方式のAPC回路に対して、モニタ電流IPDを電流電圧変換した電圧VSを、設定する光パワーに応じてそれぞれピーク値検波回路111、ボトム値検波回路112、平均値検波回路11nに入力して検波し、これらの出力と光パワー設定電圧61、62、6nを各誤差増幅器41、42、4nにそれぞれ入力することにより各設定パワーの制御電圧を生成するものである。
【0035】
すなわち、光出力を受けたフォトダイオードPD2のモニタ電流IPDを電流電圧変換回路3により電圧VSに変換し、これらのピーク値検波、ボトム値検波、平均値検波を行う。ピーク値検波、ボトム値検波、平均値検波の各出力と、光パワー設定電圧61、62、6nとの各誤差電圧を各誤差増幅器41、42、4nにより増幅し、その結果、誤差増幅器41、42、4nの+−入力電圧が釣り合うように負帰還がかかり、誤差増幅器4の出力電圧が決定する。
【0036】
その出力電圧を電圧電流変換回路91,92・・・9nにより電流に変換し、スイッチ回路10にて半導体レーザ駆動電流波形を生成し、ドライバ11により増幅して半導体レーザLD1を駆動するのである。
【0037】
なお、かかるリアルタイム方式のAPC回路では、2値制御の場合はピーク値検波回路111、ボトム値検波回路112のみでよく、サンプルゲート信号入力も必要ない。また、3値以上の制御の場合は、それぞれの検波区間をゲートする必要が生じる。
【0038】
【発明が解決しようとする課題】
ところが、上記したリアルタイム方式のAPC回路すなわち半導体レーザ光出力制御回路にも、未だ、以下に説明するような課題が残されていた。
【0039】
すなわち、リアルタイム方式のAPC回路は、サンプルホールド方式とは異なり、パワー設定を時系列で行わずにすむので十分なALPC部の領域を取れるとともに、パルスに対して常に制御がなされるために半導体レーザLD1の温度ドループ特性に対しても安定して光出力を制御できる。
【0040】
しかし、このリアルタイム方式ではループ帯域内の外乱に対しても応答してしまうという問題がある。
【0041】
例えば、図12に示すように、(a)で示すWrite CLK、(b)で示す5Tマーク5Tスペースの記録データに対して、(c)に示すような最終クール(PostCool)のみが幅広いライトストラテジにてレーザ駆動する場合、駆動回路や半導体レーザLD1、その他寄生容量、寄生インダクタンスなどによって周波数帯域が制限されると、(d)で示すレーザ駆動波形(1)のように、最終クール以外はパルス幅が狭いために落ちきらず、クールレベルの不均一が生じる。
【0042】
ボトム値検波回路112はクールレベルだけを検波するために、(e)で示すゲートパルス信号に応じてサンプリング/ホールド動作をさせるが、前記レーザ駆動波形(1)のボトムレベルを検波すると、(f)で示すボトムホールド波形のように、前記Write CLK(a)の1/10の周期で変動してしまう。
【0043】
仮に同Write CLK(a)の周波数が50MHzとすると、5MHzの周期でボトムホールドは変動することになり、APCループ帯域が数MHzの広帯域であればこの変動に応答してしまうために(g)で示すレーザ駆動波形(2)のように1データ毎に波形が暴れてしまうのである。
【0044】
以上のことから、外乱に対してはループ帯域をなるべく落として狭くする必要があるが、帯域を狭くすると、それだけAPC回路におけるレーザパワーの設定に対する引き込み時間が長くなってALPC区間も長くなってしまう。他方、今後光ディスクの記録密度向上を図るためには、なるべくALPC区間を少なくして記録領域であるデータ部を増やす必要があり、これでは相反することになってしまうという問題があった。
【0045】
本発明は、上記課題を解決することのできる半導体レーザ光出力制御回路を提供することを目的としている。
【0046】
【発明が解決するための手段】
上記課題を解決するために、請求項1記載の本発明では、半導体レーザを駆動する電流供給手段と、前記半導体レーザの光出力を検出する光出力検出手段と、同光出力検出手段が検出した光出力を検波する光出力検波手段と、前記半導体レーザの記録モードにおける光出力の設定値を付与する光出力設定手段と、同光出力設定手段による設定出力と前記光出力検波手段による検波出力とを比較して比較結果を出力する比較増幅手段と、前記比較結果を前記電流供給手段へ供給する比較結果供給手段とを備え、光ディスクに対してデータの記録、再生、消去を行う半導体レーザの光出力を、所望の強度に制御する半導体レーザ光出力制御回路において、前記比較増幅手段を、回路のループ帯域を異ならせる二系統の比較増幅手段により構成するとともに、同二系統の比較増幅手段を切替える系統切替手段を設けた。
【0047】
また、請求項2記載の本発明では、上記二系統の比較増幅手段の切替えは、再生モードから記録モードへ移行して所定時間経過した後に広帯域から狭帯域へ切替えることとした。
【0048】
【発明の実施の形態】
本発明は、半導体レーザを駆動する電流供給手段と、前記半導体レーザの光出力を検出する光出力検出手段と、同光出力検出手段が検出した光出力を検波する光出力検波手段と、前記半導体レーザの記録モードにおける光出力の設定値を付与する光出力設定手段と、同光出力設定手段による設定出力と前記光出力検波手段による検波出力とを比較して比較結果を出力する比較増幅手段と、前記比較結果を前記電流供給手段へ供給する比較結果供給手段とを備え、光ディスクに対してデータの記録、再生、消去を行う半導体レーザの光出力を、所望の強度に制御する半導体レーザ光出力制御回路において、前記比較増幅手段を、回路のループ帯域を異ならせる二系統の比較増幅手段により構成するとともに、同二系統の比較増幅手段を切替える系統切替手段を設けたものである。
【0049】
すなわち、サンプルホールド方式、リアルタイム方式と大別される半導体レーザ光出力制御回路(APC回路)において、リアルタイム方式のAPC回路が抱えていた回路内外乱の影響を受けやすいという課題を解消したもので、上記したように構成することにより、APC回路においてALPC区間の引き込み時はループ帯域を広くし、データ区間ではループ帯域を狭くすることによって、引き込み時間を短縮しながらAPCループの外乱からの影響を可及的に少なくして、安定したAPC動作を実現して効率的に精度よく光出力制御を行えるようにしている。
【0050】
光ディスクに対してデータの記録、再生、消去を行う半導体レーザの光出力を所望の強度に制御する場合、記録モードでは記録信号によって記録のための光出力の設定を、各セクタのデータ部(記録領域)の前にアドレス部とともに設定されたALPC(Auto Laser Power Control)部と呼ばれるパワー設定期間内に行っている。
【0051】
このALPC部で記録のパワーレベルの設定を行う際には、APC回路の帯域が数MHzの広帯域であれば、数μsの短時間で所望のレベルまで回路への信号引き込みが完了する。
【0052】
その後、記録領域ではAPC回路の帯域を落として狭帯域とし、APC回路内における外乱による影響を可及的に排除しつつ、記録パルスに対して常に制御を実行することで、半導体レーザの温度ドループ特性に対しても安定して光出力を制御できるようにしているものである。
【0053】
そのために、半導体レーザの記録モードにおける光出力の設定値を付与する光出力設定手段の設定出力と、半導体レーザの光出力をモニタ検出する光出力検出手段からのモニタ信号を光出力検波手段により検波し、この検波出力と前記設定出力とを比較して比較結果を出力する比較増幅手段を、APC回路の帯域を切替えできるように二系統設定して、光ディスクフォーマットにおけるALPC部でのパワー設定時における光出力制御と、他の区間での光出力制御とで、APC回路の帯域を切替えた状態で実行するようにしている。
【0054】
また、二系統の比較増幅手段の切替えは、再生モードから記録モードへ移行して所定時間経過した後に広帯域から狭帯域へ切替えるようにすることが望ましい。
【0055】
すなわち、再生モードでは、一定の弱い光出力がなされているので広帯域のままで構わないが、記録モードに移った場合は前述したように狭帯域に切替えることになる。このとき、上記したALPC部での引き込み時間を終了するまでの時間に対して余裕をとって、再生モードから記録モードへ移行して所定時間経過した後に広帯域から狭帯域へ切替えるようにしている。
【0056】
したがって、光ディスクフォーマットにおけるALPC部でのパワー設定時における光出力制御は広帯域で短時間に実行でき、記録モードでは確実に狭帯域として、外乱の影響を可及的に避けながらリアルタイムで光出力制御が実行可能となる。
【0057】
このようにして、ALPC部でのAPC回路の引き込み時間を短縮することと、記録領域での波形の安定化を同時に実現することが可能となるとともに、半導体レーザの光出力を高精度で制御可能となる。
【0058】
以下、本発明の実施の形態を、図面を参照しながらより具体的に説明する。
【0059】
図1に本発明に係る半導体レーザ光出力制御回路(以下「APC回路」とする)の一例を示す。
【0060】
本実施の形態におけるAPC回路は、図1に示すように、半導体レーザLD1を駆動する電流供給手段としてのドライバ11と、前記半導体レーザLD1の光出力を検出する光出力検出手段としてのフォトダイオードPD2と、同フォトダイオードPD2が検出したモニタ電流IPDを電圧へ変換する電流電圧変換回路3と、光出力検波手段として、前記電流電圧変換回路3により電流電圧変換された電圧VSが入力されるピーク値検波回路111、同様に前記電圧VSが入力されるボトム値検波回路112、同様に前記電圧VSが入力される平均値検波回路11nと、前記半導体レーザLD1の記録モードにおける光出力の設定値をそれぞれ付与する光出力設定手段としての光パワー設定電圧61,62・・・6nと、各光パワー設定電圧61,62・・・6nによる各設定出力とこれらにそれぞれ対応する前記したピーク値検波回路111、ボトム値検波回路112、平均値検波回路11nによる検波出力とを比較して比較結果を出力する各一対の誤差増幅器41、42、4n及び、201、202、20nと、これら一対の誤差増幅器41,201、42,202、4n,20nとをそれぞれ切替える選択スイッチ211、212、21nと、前記誤差増幅器41、42、4n及び、201、202、20nのいずれかから出力された比較結果を前記ドライバ11へ供給する比較結果供給手段としての電圧電流変換する電圧電流変換回路91,92・・・9n、及び同電圧電流変換回路91,92・・・9nの出力を切替える切替えスイッチ15を備えている。
【0061】
本発明の特徴となるのは、上記したように、比較増幅手段として、APC回路のループ帯域を異ならせた二種類の誤差増幅器41、42、4n及び誤差増幅器201、202、20nとを設けて比較増幅手段を二系統に構成するとともに、同二系統の比較増幅手段を切替える系統切替手段として、選択スイッチ211、212、21nを設けたことにある。
【0062】
すなわち、本実施の形態におけるAPC回路は、従来技術で説明したリアルタイム方式のAPC回路(図11参照)に対して、ピークパワー、イレーズパワー、クールパワーにそれぞれ対応させて、新たな誤差増幅器201、202、20nと、選択スイッチ211、212、21nとを追加した構成としている。
【0063】
このAPC回路は、従来のリアルタイム方式のAPC回路同様に、モニタ電流IPDを電流電圧変換した電圧VSを、ピーク、イレーズ、クールの各設定光パワーに応じてそれぞれ常時パルス制御可能としたもので、しかも、上記した新たな構成を付加したことで、光ディスクフォーマットにおけるALPC部でのパワー設定時における光出力制御と他の区間での光出力制御とで、APC回路の帯域を、広帯域と狭帯域とに切替え可能としている。
【0064】
図中、SはAPC回路の帯域を広帯域と狭帯域とに切替えるための制御信号発生回路であり、同回路Sについては後述する。
【0065】
図2に本APC回路のオープンループ特性の一例を示している。
【0066】
すなわち、オープンループゲイン0dBでの周波数を交差周波数と呼び、これがループ帯域となる。本実施の形態では、ループ帯域が誤差増幅器のみで決まるその一次系において、交差周波数の異なる誤差増幅器41、42、4n及び誤差増幅器201、202、20nとを設け、これらを切替えることによって、APC回路の帯域を切替えるようにしている。ここでは、誤差増幅器41、42、4nを広帯域、誤差増幅器201、202、20nをその1/10の狭帯域にして、APC回路の帯域を広帯域と狭帯域とに切替えるようにしている。
【0067】
図3に本実施の形態で用いる上記誤差増幅器41、42、4n、201、202、20nの回路図を示す。
【0068】
上記交差周波数は、
ω=gm/Cで与えられる。
【0069】
gm:電圧電流変換ゲイン
また、gm_1=1/(R1+2re)
gm_2=1/(R2+2re)
で表され、R1、R2を任意に設定することにより、交差周波数の異なる誤差増幅器を作ることができる。そして、所定の制御信号Aにより誤差増幅器の電流源をON/OFFすることで帯域を切替えることができる。
【0070】
また、誤差増幅器41、42、4n、201、202、20nの他の実施態様例となる回路図を図4に示す。
【0071】
動作としては図3に説明した回路と同様であり、
交差周波数は、
ω=gm/Cで与えられ、
また、 gm_1=1/(R1+2re)
gm_2=1/(R2+2re)
で表される。そして、やはり所定の制御信号Aにより誤差増幅器の電流源をON/OFFすることで帯域を切替えることができる。なお、本回路とすれば、動作点としては広くなる。
【0072】
帯域を切替えるための制御信号Aの生成方法についての一例を、図5(a)に示す制御信号発生回路Sを参照しながら説明する。なお、制御信号の生成方法については図示した制御信号発生回路Sを用いることに限定するものではない。
【0073】
図5(a)に示すように、再生/記録(Read/write)信号に応じて、充電電流(Icharge)、放電電流(Idischarge)をON/OFFし、コンデンサC1に放充電させる。
【0074】
放電側の電流を少なくして電圧Vaの落ちるスピードを遅くし、比較器の閾値電圧V1を任意に設定することにより、図5(b)のタイミングチャートに示すように、再生/記録信号から数μs遅れて立ち下がる信号Vbが生成される。この時間は、前記コンデンサC1の容量、閾値電圧V1、充放電電流によって任意に設定可能である。
【0075】
かかる信号Vbを制御信号として前述した誤差増幅器41、42、4n、201、202、20nに用いることにより、記録モードになった後、数μs後にAPC回路の帯域を切替えることが可能となる。
【0076】
また、上記した誤差増幅器41、42、4n、201、202、20nからなる二系統の比較増幅手段の切替えは、再生モードから記録モードへ移行して所定時間経過した後に広帯域から狭帯域へ切替えるようにしている。
【0077】
すなわち、再生モードでは、一定の弱い光出力がなされているので広帯域のままで構わないが、本実施の形態においては、記録モードに移った場合は前述したように狭帯域に切替えることになる。このとき、上記した光ディスクフォーマットにおけるALPC部での引き込み時間を終了するまでの時間に対して余裕をとって、再生モードから記録モードへの移行して所定時間経過した後に広帯域から狭帯域へ切替えるようにしているのである。
【0078】
本実施の形態におけるAPC回路において帯域を切替えた場合のレーザ駆動電流波形を図6に示す。
【0079】
図示するように、再生/記録信号の記録信号によって記録のためのAPC回路が引き込み動作を開始し、ループ帯域が数MHzの広帯域に切替えられた状態では、数μsの短時間で所望のレベルまで引き込み動作が完了する。この引き込み動作が終了する時間に対してやや余裕をみて前記制御信号Vbによって狭帯域に切替えている。そして、この切替えに際して、前述した構成の誤差増幅器41、42、4n、201、202、20nを用いることによって、レーザ駆動電流に誤差増幅器の切替わりで発生するレベル変動を生じることなく帯域切替えを行うことができる。
【0080】
このように、本実施の形態によれば、引き込み動作では広帯域となって引き込み動作が終了するまでの数μsの時間内には上記したように光ディスクフォーマットにおけるALPC部でのパワー設定は完了し、その後の記録領域においては外乱の影響の少ない狭帯域でリアルタイムに光出力の制御が行われていくことになるので、引き込み時間の短縮と記録領域における波形の安定を同時に実現することができ、かつ半導体レーザの光出力を高精度で制御可能となる。
【0081】
図7に他の実施形態としてのAPC回路を示す。
【0082】
これは、上述してきた実施形態では、ピークパワー、イレーズパワー、クールパワーごとにそれぞれ設けた一対の誤差増幅器41,201、42,202、4n,20nに対して、検出した半導体レーザLD1の光出力をピーク値検波回路111、ボトム値検波回路112、平均値検波回路11nで検波した検波出力をそれぞれ入力するとともに、やはりピークパワー、イレーズパワー、クールパワーごとに設けた光パワー設定電圧61,62,6nからの出力をそれぞれ入力して比較するようにしたのに対し、図7に示すAPC回路では、検出した半導体レーザLD1の光出力を検波するピーク値検波回路111、ボトム値検波回路112、平均値検波回路11nと、光パワー設定電圧用スイッチ回路5を介して切替え出力される光パワー設定電圧61,62,6nをそれぞれ検波する第二のピーク値検波回路121、ボトム値検波回路122、平均値検波回路12nとを備えた構成としている。
【0083】
かかる実施形態としても帯域の切替えは可能であり、先の実施の形態と同様の効果を得ることができる。
【0084】
【発明の効果】
本発明は、以上説明してきたような形態で実施され、以下の効果を奏する。
【0085】
(1)請求項1記載の本発明によれば、半導体レーザを駆動する電流供給手段と、前記半導体レーザの光出力を検出する光出力検出手段と、同光出力検出手段が検出した光出力を検波する光出力検波手段と、前記半導体レーザの記録モードにおける光出力の設定値を付与する光出力設定手段と、同光出力設定手段による設定出力と前記光出力検波手段による検波出力とを比較して比較結果を出力する比較増幅手段と、前記比較結果を前記電流供給手段へ供給する比較結果供給手段とを備え、光ディスクに対してデータの記録、再生、消去を行う半導体レーザの光出力を所望の強度に制御する半導体レーザ光出力制御回路において、前記比較増幅手段を、回路のループ帯域を異ならせる二系統の比較増幅手段により構成するとともに、同二系統の比較増幅手段を切替える系統切替手段を設けた。したがって、半導体レーザ光出力制御回路における引き込み動作では帯域を広くし、それ以外は帯域を狭くすることができ、引き込み時間を短縮しながらAPCループの外乱からの影響を可及的に少なくして、安定したAPC動作を実現して効率的かつ高精度な光出力制御を可能とする。
【0086】
(2)請求項2記載の本発明によれば、上記二系統の比較増幅手段の切替えは、再生モードから記録モードへ移行して所定時間経過した後に広帯域から狭帯域へ切替えることとしたので、光ディスクフォーマットにおけるALPC部でのパワー設定時における光出力制御は広帯域で短時間に実行でき、記録モードでは確実に狭帯域として、外乱の影響を可及的に避けながらリアルタイムで光出力制御が実行できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る半導体レーザ光出力制御回路(APC回路)の第1の実施形態を示す回路図である。
【図2】APC回路のオープンループ特性の一例を示すグラフである。
【図3】誤差増幅器の回路の一例を示す説明図である。
【図4】誤差増幅器の回路の一例を示す説明図である。
【図5】帯域を切替えるための制御信号生成方法の一例を示す説明図である。
【図6】帯域を切替えた場合のレーザ駆動電流波形を示す説明図である。
【図7】他の実施形態に係るAPC回路図である。
【図8】ライトストラテジの一例を示す説明図である。
【図9】光磁気ディスクフォーマット図とALPC部において設定される光出力波形を含む波形図である。
【図10】サンプルホールド方式のAPC回路の一例を示す回路図である。
【図11】リアルタイム方式のAPC回路の一例を示す回路図である。
【図12】APC回路におけるループ帯域内の外乱による影響を示す説明図である。
【符号の説明】
LD1 半導体レーザ
PD2 フォトダイオード(光検出手段)
3 電流電圧変換回路
41、42、4n 誤差増幅器(比較増幅手段)
61,62,6n 光パワー設定電圧
91,92,9n 電圧電流変換回路(比較結果供給手段)
10 切替えスイッチ(比較結果供給手段)
11 ドライバ(電流供給手段)
111 ピーク値検波回路
112 ボトム値検波回路
11n 平均値検波回路
201、202、20n 誤差増幅器(比較増幅手段)
211、212、21n 選択スイッチ
【発明の属する技術分野】
本発明は、半導体レーザ光出力制御回路に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
半導体レーザはきわめて小型であり、かつ高速に応答するため、光ディスク装置、光通信装置、レーザプリンタの光源として広く使用されている。
【0003】
上記光ディスク装置に用いられる光ディスクの中で、書換え可能なものとしては相変化光ディスク、光磁気ディスクが広く知られており、これらは記録、再生、消去する際に照射されるレーザ光の出力を異ならせている。
【0004】
例えば相変化光ディスクは、レーザ光を用いて結晶構造を変化させることでデータを記録しており、結晶構造の変化(結晶、非結晶)によって反射率が異なることを利用して「0」と「1」を記録するようにしている。
【0005】
そして、記録時は光ディスクにピットと呼ばれる記録マークを作るために、レーザビームの出力を高くし(例えば30mW以上)、再生時はピットを破壊することなく情報の読み出しを行えるように記録時よりも弱い出力(例えば3mW程度)のレーザビームを光ディスクに照射するようにしている。
【0006】
また、記録に関していえば、記録マークの両端の変化を記録するマークエッジ記録と、記録マークの中心位置に情報を載せるマークポジション記録が知られているが、近年、高密度化の優位性からマークエッジ記録を用いた書換え可能な相変化光ディスクの研究が進んでいる。
【0007】
上記マークエッジ記録におけるマークの形状歪によるデータ誤りを抑える変調技術としてライトストラテジが知られている。これは、レーザ光による記録波形を複数の短パルスに分割してレーザ光を照射する技術であり、記録マーク後端部における熱の蓄積を抑えて記録マークの涙滴型現象(記録マーク後方が前方に比べて幅広になる)を抑え、記録マークの歪を解消するようにしたものである。
【0008】
図8にライトストラテジの一例を示す。なお、図中のTは記録データの1ビットのビット周期を示す。
【0009】
レーザ駆動波形はパルス幅変調と強度変調が複合された変調波形であり、三種類のパワーレベルをもつ複数のレーザパルスを利用し、作りたい記録マーク長によってパルスの数を変え、パルス幅、レベル幅を最適に設定することにより最適な記録マークができるようにしている。
【0010】
三種類のパワーレベルを、高い順にピークレベル、イレーズレベル、クールレベルとした場合、ピークレベルのレーザ光でディスクを照射すると、ディスクの記録膜が溶融され、その後急冷(クールレベル)すると、光の反射率が低いアモルファス(非結晶)状態となる。これが記録マークとして利用されている。
【0011】
また、イレーズレベルのレーザ光でディスクを照射すると記録膜は結晶状態となる。すなわち、レーザ光の照射前に非結晶状態であった部分は結晶状態になり、元々結晶状態であったところはそのまま結晶状態に留まることから記録マークを消去することができ、オーバーライト(重ね書きによる書換え)が可能となるのである。
【0012】
他方、近年の高密度、高転送レートの光ディスクにおいて、記録再生が可能なエラーレートを得るためには、前記各モード(再生、記録、消去)においてレーザビームの強度を十分に制御する必要がある。しかし、半導体レーザは駆動電流対光出力特性の温度特性変化が著しいので、その光出力を所望の強度に設定するためにはAPC(Auto Power Control)回路、所謂半導体レーザ光出力制御回路が必要となる。
【0013】
このAPC回路は次の二種類に大別される。
【0014】
1)サンプルホールド方式
これは、後述するALPC部と呼ばれるパワー設定期間に半導体レーザの光出力をフォトダイオードによりモニタし、このフォトダイオードに発生する受光電流(半導体レーザの光出力に比例)と、発光指令信号とが等しくなるように、半導体レーザの駆動電流を制御する光・電気負帰還ループを構成し、この駆動電流の制御値を前記ALPC部以外でも保持し、このALPC部以外では、この保持した制御値をもとに変調をかけるものである。
【0015】
2)リアルタイム方式
これは、半導体レーザの光出力をフォトダイオードによりモニタし、このフォトダイオードに発生する受光電流(半導体レーザの光出力に比例)と、発光指令信号とが等しくなるように、常時、半導体レーザの駆動電流を制御する光・電気負帰還ループを構成したものである。
【0016】
図10に上記サンプルホールド方式のAPC回路を示す。
【0017】
図中、LD1は光ディスクに照射するレーザビームを出力する半導体レーザ、PD2は同半導体レーザLD1の光出力をモニタするフォトダイオード、3は同フォトダイオードPD2から出力されたモニタ電流IPDを電圧へ変換する電流電圧変換回路、4は誤差増幅器、5は光パワー設定電圧用スイッチ回路、61,62・・・6nは光パワー設定電圧、71,72・・・7nはサンプルホールド回路、81,82・・・8nは前記サンプルホールド回路71,72・・・7nにそれぞれ設けられたホールド回路制御端子、91,92・・・9nは電圧電流変換回路、10はスイッチ回路、11は電流増幅器からなるドライバである。
【0018】
前記誤差増幅器4は、前記電流電圧変換回路3の出力電圧と光パワー設定電圧61,62・・・6nとの誤差を検出して誤差電圧として出力するものである。また、光パワー設定電圧用スイッチ回路5は光パワー設定電圧61,62・・・6nのいずれかを選択して出力するものであり、同光パワー設定電圧61,62・・・6nはレーザパワー設定用の設定電圧である。
【0019】
サンプルホールド回路71,72・・・7nは、前記誤差増幅器4が出力した誤差電圧をホールドするもので、同サンプルホールド回路71,72・・・7nのホールド動作を制御するサンプルゲート信号が前記ホールド回路制御端子81,82・・・8nに入力される。
【0020】
電圧電流変換回路91,92・・・9nはサンプルホールド回路71,72・・・7nの出力を電流信号へ変換するもので、スイッチ回路10は前記電圧電流変換回路91,92・・・9nの出力を切替えるものである。
【0021】
また、ドライバ11は前記スイッチ回路10で切替えられた電圧電流変換回路91,92・・・9nの出力である電流信号を増幅し、半導体レーザLD1を駆動するものである。また、スイッチ回路10には、同スイッチ回路10の切替動作を制御するための切替タイミング信号が入力される制御用端子(図示せず)が設けられている。
【0022】
次に、かかるサンプルホールド方式のAPC回路の動作について説明すると、例えば光磁気ディスクフォーマットでは、図9(a)に示すように、各セクタのデータ部(記録領域)の前にアドレス部と、パワー設定期間である前記ALPC(Auto Laser Power Control)部が設けられている。
【0023】
アドレス部にはセクタのアドレス情報が記録されており、再生モードでアドレス情報を読み出し、ALPC部の区間では再生、消去、記録の各パワーレベルの設定を行う。他の区間ではスイッチ回路10により選択されたサンプルホールド回路71,72・・・7nによりホールドされた制御値を基に、電圧電流変換回路91,92・・・9nが出力した電流値により半導体レーザLD1を発光させる。
【0024】
この方式によれば、前記ALPC部にて半導体レーザをDC発光させて設定値を決める。図9(b)〜(e)はALPC部でのパワー設定選択信号であり、図9(f)はALPC部で設定される光出力波形である。
【0025】
上記したサンプルホールド方式では、光出力を受けたフォトダイオードPD2の受光電流であるモニタ電流IPDを電流電圧変換回路3により電圧に変換し、その電圧と光パワー設定電圧用スイッチ回路5で選択された前記光パワー設定電圧61とが誤差増幅器4に入力される。このとき、サンプルホールド回路71は、ホールド回路制御端子81によりサンプリング状態に選択されて負帰還ループが閉じた状態になっており、その結果、誤差増幅器4の+−入力電圧が釣り合うように負帰還がかかり、誤差増幅器4の出力電圧が決定する。
【0026】
この誤差増幅器4の出力した制御電圧を電圧電流変換回路91にて電流に変換し、ドライバ11によって増幅され半導体レーザLD1を駆動する。
【0027】
すなわち、前記ホールド回路制御端子81へ入力されるサンプルゲート信号をHighレベルにし、誤差増幅器4により電流電圧変換回路3の出力電圧と光パワー設定電圧61とを比較して、誤差増幅器4が出力する制御電圧をもとに半導体レーザLD1を駆動してレーザパワーの設定を行うのである。
【0028】
そして、この負帰還ループの帯域を数MHz程度の広帯域にすることで、1μsには十分にレーザパワーの設定に対する引き込みが行われる。このレーザパワーの制御電圧は、ホールド回路制御端子81へ与えるサンプルゲート信号をLowレベルにすることによりサンプルホールド回路71へホールドされる。順に、他の光パワーの設定も同様に行い、これ以降、前記セクタのデータ部(記録領域)においては、保持されたこれら制御電圧により生成された電圧電流変換回路91,92・・・9nの出力をスイッチ回路10により切替えることにより、半導体レーザLD1の制御が可能となる。
【0029】
しかし、上述したサンプルホールド方式のAPC回路は、ループ帯域を数MHz程度の広帯域にすることで、1μsには十分にレーザパワーの設定に対する引き込みが行われるものの、前記光磁気ディスクフォーマットのALPC部の数μsは記録時のレーザパルスの発生周期に比べて相当に長い期間となっているので半導体レーザLD1の寿命に影響する。また、前記光磁気ディスクフォーマットにおけるデータ部の区間ではホールド状態であるために、半導体レーザLD1の温度ドループ特性や緩和振動を補正できず、ALPC部で設定した直流での発光パワーとデータ部区間での記録パルスでの発光パワーに差が生じてしまうという問題があった。
【0030】
そこで、常時、半導体レーザの駆動電流を制御可能なリアルタイム方式のAPC回路が注目されてきている。
【0031】
図11にリアルタイム方式のAPC回路を示す。なお、図11において、図10と同一又は相当する構成要素については同一符号を付して説明を省略する。
【0032】
図中、111はフォトダイオードPD2から出力されたモニタ電流IPDを電流電圧変換した電圧VSが入力されるピーク値検波回路、112は同様に前記電圧VSが入力されるボトム値検波回路、11nは同様に前記電圧VSが入力される平均値検波回路であり、前述した三種類のパワーレベル(ピークパワー、イレーズパワー、クールパワー)にそれぞれ対応している。
【0033】
41、42、4nは誤差増幅器、61、62、6nは光パワー設定電圧であり、誤差増幅器41は、前記ピーク値検波回路111の出力と光パワー設定電圧61とを比較し、誤差増幅器42は、前記ボトム値検波回路112の出力と光パワー設定電圧62とを比較し、誤差増幅器4nは、前記平均値検波回路11nの出力と光パワー設定電圧6nとを比較するものである。
【0034】
このAPC回路では、図10で示したサンプルホールド方式のAPC回路に対して、モニタ電流IPDを電流電圧変換した電圧VSを、設定する光パワーに応じてそれぞれピーク値検波回路111、ボトム値検波回路112、平均値検波回路11nに入力して検波し、これらの出力と光パワー設定電圧61、62、6nを各誤差増幅器41、42、4nにそれぞれ入力することにより各設定パワーの制御電圧を生成するものである。
【0035】
すなわち、光出力を受けたフォトダイオードPD2のモニタ電流IPDを電流電圧変換回路3により電圧VSに変換し、これらのピーク値検波、ボトム値検波、平均値検波を行う。ピーク値検波、ボトム値検波、平均値検波の各出力と、光パワー設定電圧61、62、6nとの各誤差電圧を各誤差増幅器41、42、4nにより増幅し、その結果、誤差増幅器41、42、4nの+−入力電圧が釣り合うように負帰還がかかり、誤差増幅器4の出力電圧が決定する。
【0036】
その出力電圧を電圧電流変換回路91,92・・・9nにより電流に変換し、スイッチ回路10にて半導体レーザ駆動電流波形を生成し、ドライバ11により増幅して半導体レーザLD1を駆動するのである。
【0037】
なお、かかるリアルタイム方式のAPC回路では、2値制御の場合はピーク値検波回路111、ボトム値検波回路112のみでよく、サンプルゲート信号入力も必要ない。また、3値以上の制御の場合は、それぞれの検波区間をゲートする必要が生じる。
【0038】
【発明が解決しようとする課題】
ところが、上記したリアルタイム方式のAPC回路すなわち半導体レーザ光出力制御回路にも、未だ、以下に説明するような課題が残されていた。
【0039】
すなわち、リアルタイム方式のAPC回路は、サンプルホールド方式とは異なり、パワー設定を時系列で行わずにすむので十分なALPC部の領域を取れるとともに、パルスに対して常に制御がなされるために半導体レーザLD1の温度ドループ特性に対しても安定して光出力を制御できる。
【0040】
しかし、このリアルタイム方式ではループ帯域内の外乱に対しても応答してしまうという問題がある。
【0041】
例えば、図12に示すように、(a)で示すWrite CLK、(b)で示す5Tマーク5Tスペースの記録データに対して、(c)に示すような最終クール(PostCool)のみが幅広いライトストラテジにてレーザ駆動する場合、駆動回路や半導体レーザLD1、その他寄生容量、寄生インダクタンスなどによって周波数帯域が制限されると、(d)で示すレーザ駆動波形(1)のように、最終クール以外はパルス幅が狭いために落ちきらず、クールレベルの不均一が生じる。
【0042】
ボトム値検波回路112はクールレベルだけを検波するために、(e)で示すゲートパルス信号に応じてサンプリング/ホールド動作をさせるが、前記レーザ駆動波形(1)のボトムレベルを検波すると、(f)で示すボトムホールド波形のように、前記Write CLK(a)の1/10の周期で変動してしまう。
【0043】
仮に同Write CLK(a)の周波数が50MHzとすると、5MHzの周期でボトムホールドは変動することになり、APCループ帯域が数MHzの広帯域であればこの変動に応答してしまうために(g)で示すレーザ駆動波形(2)のように1データ毎に波形が暴れてしまうのである。
【0044】
以上のことから、外乱に対してはループ帯域をなるべく落として狭くする必要があるが、帯域を狭くすると、それだけAPC回路におけるレーザパワーの設定に対する引き込み時間が長くなってALPC区間も長くなってしまう。他方、今後光ディスクの記録密度向上を図るためには、なるべくALPC区間を少なくして記録領域であるデータ部を増やす必要があり、これでは相反することになってしまうという問題があった。
【0045】
本発明は、上記課題を解決することのできる半導体レーザ光出力制御回路を提供することを目的としている。
【0046】
【発明が解決するための手段】
上記課題を解決するために、請求項1記載の本発明では、半導体レーザを駆動する電流供給手段と、前記半導体レーザの光出力を検出する光出力検出手段と、同光出力検出手段が検出した光出力を検波する光出力検波手段と、前記半導体レーザの記録モードにおける光出力の設定値を付与する光出力設定手段と、同光出力設定手段による設定出力と前記光出力検波手段による検波出力とを比較して比較結果を出力する比較増幅手段と、前記比較結果を前記電流供給手段へ供給する比較結果供給手段とを備え、光ディスクに対してデータの記録、再生、消去を行う半導体レーザの光出力を、所望の強度に制御する半導体レーザ光出力制御回路において、前記比較増幅手段を、回路のループ帯域を異ならせる二系統の比較増幅手段により構成するとともに、同二系統の比較増幅手段を切替える系統切替手段を設けた。
【0047】
また、請求項2記載の本発明では、上記二系統の比較増幅手段の切替えは、再生モードから記録モードへ移行して所定時間経過した後に広帯域から狭帯域へ切替えることとした。
【0048】
【発明の実施の形態】
本発明は、半導体レーザを駆動する電流供給手段と、前記半導体レーザの光出力を検出する光出力検出手段と、同光出力検出手段が検出した光出力を検波する光出力検波手段と、前記半導体レーザの記録モードにおける光出力の設定値を付与する光出力設定手段と、同光出力設定手段による設定出力と前記光出力検波手段による検波出力とを比較して比較結果を出力する比較増幅手段と、前記比較結果を前記電流供給手段へ供給する比較結果供給手段とを備え、光ディスクに対してデータの記録、再生、消去を行う半導体レーザの光出力を、所望の強度に制御する半導体レーザ光出力制御回路において、前記比較増幅手段を、回路のループ帯域を異ならせる二系統の比較増幅手段により構成するとともに、同二系統の比較増幅手段を切替える系統切替手段を設けたものである。
【0049】
すなわち、サンプルホールド方式、リアルタイム方式と大別される半導体レーザ光出力制御回路(APC回路)において、リアルタイム方式のAPC回路が抱えていた回路内外乱の影響を受けやすいという課題を解消したもので、上記したように構成することにより、APC回路においてALPC区間の引き込み時はループ帯域を広くし、データ区間ではループ帯域を狭くすることによって、引き込み時間を短縮しながらAPCループの外乱からの影響を可及的に少なくして、安定したAPC動作を実現して効率的に精度よく光出力制御を行えるようにしている。
【0050】
光ディスクに対してデータの記録、再生、消去を行う半導体レーザの光出力を所望の強度に制御する場合、記録モードでは記録信号によって記録のための光出力の設定を、各セクタのデータ部(記録領域)の前にアドレス部とともに設定されたALPC(Auto Laser Power Control)部と呼ばれるパワー設定期間内に行っている。
【0051】
このALPC部で記録のパワーレベルの設定を行う際には、APC回路の帯域が数MHzの広帯域であれば、数μsの短時間で所望のレベルまで回路への信号引き込みが完了する。
【0052】
その後、記録領域ではAPC回路の帯域を落として狭帯域とし、APC回路内における外乱による影響を可及的に排除しつつ、記録パルスに対して常に制御を実行することで、半導体レーザの温度ドループ特性に対しても安定して光出力を制御できるようにしているものである。
【0053】
そのために、半導体レーザの記録モードにおける光出力の設定値を付与する光出力設定手段の設定出力と、半導体レーザの光出力をモニタ検出する光出力検出手段からのモニタ信号を光出力検波手段により検波し、この検波出力と前記設定出力とを比較して比較結果を出力する比較増幅手段を、APC回路の帯域を切替えできるように二系統設定して、光ディスクフォーマットにおけるALPC部でのパワー設定時における光出力制御と、他の区間での光出力制御とで、APC回路の帯域を切替えた状態で実行するようにしている。
【0054】
また、二系統の比較増幅手段の切替えは、再生モードから記録モードへ移行して所定時間経過した後に広帯域から狭帯域へ切替えるようにすることが望ましい。
【0055】
すなわち、再生モードでは、一定の弱い光出力がなされているので広帯域のままで構わないが、記録モードに移った場合は前述したように狭帯域に切替えることになる。このとき、上記したALPC部での引き込み時間を終了するまでの時間に対して余裕をとって、再生モードから記録モードへ移行して所定時間経過した後に広帯域から狭帯域へ切替えるようにしている。
【0056】
したがって、光ディスクフォーマットにおけるALPC部でのパワー設定時における光出力制御は広帯域で短時間に実行でき、記録モードでは確実に狭帯域として、外乱の影響を可及的に避けながらリアルタイムで光出力制御が実行可能となる。
【0057】
このようにして、ALPC部でのAPC回路の引き込み時間を短縮することと、記録領域での波形の安定化を同時に実現することが可能となるとともに、半導体レーザの光出力を高精度で制御可能となる。
【0058】
以下、本発明の実施の形態を、図面を参照しながらより具体的に説明する。
【0059】
図1に本発明に係る半導体レーザ光出力制御回路(以下「APC回路」とする)の一例を示す。
【0060】
本実施の形態におけるAPC回路は、図1に示すように、半導体レーザLD1を駆動する電流供給手段としてのドライバ11と、前記半導体レーザLD1の光出力を検出する光出力検出手段としてのフォトダイオードPD2と、同フォトダイオードPD2が検出したモニタ電流IPDを電圧へ変換する電流電圧変換回路3と、光出力検波手段として、前記電流電圧変換回路3により電流電圧変換された電圧VSが入力されるピーク値検波回路111、同様に前記電圧VSが入力されるボトム値検波回路112、同様に前記電圧VSが入力される平均値検波回路11nと、前記半導体レーザLD1の記録モードにおける光出力の設定値をそれぞれ付与する光出力設定手段としての光パワー設定電圧61,62・・・6nと、各光パワー設定電圧61,62・・・6nによる各設定出力とこれらにそれぞれ対応する前記したピーク値検波回路111、ボトム値検波回路112、平均値検波回路11nによる検波出力とを比較して比較結果を出力する各一対の誤差増幅器41、42、4n及び、201、202、20nと、これら一対の誤差増幅器41,201、42,202、4n,20nとをそれぞれ切替える選択スイッチ211、212、21nと、前記誤差増幅器41、42、4n及び、201、202、20nのいずれかから出力された比較結果を前記ドライバ11へ供給する比較結果供給手段としての電圧電流変換する電圧電流変換回路91,92・・・9n、及び同電圧電流変換回路91,92・・・9nの出力を切替える切替えスイッチ15を備えている。
【0061】
本発明の特徴となるのは、上記したように、比較増幅手段として、APC回路のループ帯域を異ならせた二種類の誤差増幅器41、42、4n及び誤差増幅器201、202、20nとを設けて比較増幅手段を二系統に構成するとともに、同二系統の比較増幅手段を切替える系統切替手段として、選択スイッチ211、212、21nを設けたことにある。
【0062】
すなわち、本実施の形態におけるAPC回路は、従来技術で説明したリアルタイム方式のAPC回路(図11参照)に対して、ピークパワー、イレーズパワー、クールパワーにそれぞれ対応させて、新たな誤差増幅器201、202、20nと、選択スイッチ211、212、21nとを追加した構成としている。
【0063】
このAPC回路は、従来のリアルタイム方式のAPC回路同様に、モニタ電流IPDを電流電圧変換した電圧VSを、ピーク、イレーズ、クールの各設定光パワーに応じてそれぞれ常時パルス制御可能としたもので、しかも、上記した新たな構成を付加したことで、光ディスクフォーマットにおけるALPC部でのパワー設定時における光出力制御と他の区間での光出力制御とで、APC回路の帯域を、広帯域と狭帯域とに切替え可能としている。
【0064】
図中、SはAPC回路の帯域を広帯域と狭帯域とに切替えるための制御信号発生回路であり、同回路Sについては後述する。
【0065】
図2に本APC回路のオープンループ特性の一例を示している。
【0066】
すなわち、オープンループゲイン0dBでの周波数を交差周波数と呼び、これがループ帯域となる。本実施の形態では、ループ帯域が誤差増幅器のみで決まるその一次系において、交差周波数の異なる誤差増幅器41、42、4n及び誤差増幅器201、202、20nとを設け、これらを切替えることによって、APC回路の帯域を切替えるようにしている。ここでは、誤差増幅器41、42、4nを広帯域、誤差増幅器201、202、20nをその1/10の狭帯域にして、APC回路の帯域を広帯域と狭帯域とに切替えるようにしている。
【0067】
図3に本実施の形態で用いる上記誤差増幅器41、42、4n、201、202、20nの回路図を示す。
【0068】
上記交差周波数は、
ω=gm/Cで与えられる。
【0069】
gm:電圧電流変換ゲイン
また、gm_1=1/(R1+2re)
gm_2=1/(R2+2re)
で表され、R1、R2を任意に設定することにより、交差周波数の異なる誤差増幅器を作ることができる。そして、所定の制御信号Aにより誤差増幅器の電流源をON/OFFすることで帯域を切替えることができる。
【0070】
また、誤差増幅器41、42、4n、201、202、20nの他の実施態様例となる回路図を図4に示す。
【0071】
動作としては図3に説明した回路と同様であり、
交差周波数は、
ω=gm/Cで与えられ、
また、 gm_1=1/(R1+2re)
gm_2=1/(R2+2re)
で表される。そして、やはり所定の制御信号Aにより誤差増幅器の電流源をON/OFFすることで帯域を切替えることができる。なお、本回路とすれば、動作点としては広くなる。
【0072】
帯域を切替えるための制御信号Aの生成方法についての一例を、図5(a)に示す制御信号発生回路Sを参照しながら説明する。なお、制御信号の生成方法については図示した制御信号発生回路Sを用いることに限定するものではない。
【0073】
図5(a)に示すように、再生/記録(Read/write)信号に応じて、充電電流(Icharge)、放電電流(Idischarge)をON/OFFし、コンデンサC1に放充電させる。
【0074】
放電側の電流を少なくして電圧Vaの落ちるスピードを遅くし、比較器の閾値電圧V1を任意に設定することにより、図5(b)のタイミングチャートに示すように、再生/記録信号から数μs遅れて立ち下がる信号Vbが生成される。この時間は、前記コンデンサC1の容量、閾値電圧V1、充放電電流によって任意に設定可能である。
【0075】
かかる信号Vbを制御信号として前述した誤差増幅器41、42、4n、201、202、20nに用いることにより、記録モードになった後、数μs後にAPC回路の帯域を切替えることが可能となる。
【0076】
また、上記した誤差増幅器41、42、4n、201、202、20nからなる二系統の比較増幅手段の切替えは、再生モードから記録モードへ移行して所定時間経過した後に広帯域から狭帯域へ切替えるようにしている。
【0077】
すなわち、再生モードでは、一定の弱い光出力がなされているので広帯域のままで構わないが、本実施の形態においては、記録モードに移った場合は前述したように狭帯域に切替えることになる。このとき、上記した光ディスクフォーマットにおけるALPC部での引き込み時間を終了するまでの時間に対して余裕をとって、再生モードから記録モードへの移行して所定時間経過した後に広帯域から狭帯域へ切替えるようにしているのである。
【0078】
本実施の形態におけるAPC回路において帯域を切替えた場合のレーザ駆動電流波形を図6に示す。
【0079】
図示するように、再生/記録信号の記録信号によって記録のためのAPC回路が引き込み動作を開始し、ループ帯域が数MHzの広帯域に切替えられた状態では、数μsの短時間で所望のレベルまで引き込み動作が完了する。この引き込み動作が終了する時間に対してやや余裕をみて前記制御信号Vbによって狭帯域に切替えている。そして、この切替えに際して、前述した構成の誤差増幅器41、42、4n、201、202、20nを用いることによって、レーザ駆動電流に誤差増幅器の切替わりで発生するレベル変動を生じることなく帯域切替えを行うことができる。
【0080】
このように、本実施の形態によれば、引き込み動作では広帯域となって引き込み動作が終了するまでの数μsの時間内には上記したように光ディスクフォーマットにおけるALPC部でのパワー設定は完了し、その後の記録領域においては外乱の影響の少ない狭帯域でリアルタイムに光出力の制御が行われていくことになるので、引き込み時間の短縮と記録領域における波形の安定を同時に実現することができ、かつ半導体レーザの光出力を高精度で制御可能となる。
【0081】
図7に他の実施形態としてのAPC回路を示す。
【0082】
これは、上述してきた実施形態では、ピークパワー、イレーズパワー、クールパワーごとにそれぞれ設けた一対の誤差増幅器41,201、42,202、4n,20nに対して、検出した半導体レーザLD1の光出力をピーク値検波回路111、ボトム値検波回路112、平均値検波回路11nで検波した検波出力をそれぞれ入力するとともに、やはりピークパワー、イレーズパワー、クールパワーごとに設けた光パワー設定電圧61,62,6nからの出力をそれぞれ入力して比較するようにしたのに対し、図7に示すAPC回路では、検出した半導体レーザLD1の光出力を検波するピーク値検波回路111、ボトム値検波回路112、平均値検波回路11nと、光パワー設定電圧用スイッチ回路5を介して切替え出力される光パワー設定電圧61,62,6nをそれぞれ検波する第二のピーク値検波回路121、ボトム値検波回路122、平均値検波回路12nとを備えた構成としている。
【0083】
かかる実施形態としても帯域の切替えは可能であり、先の実施の形態と同様の効果を得ることができる。
【0084】
【発明の効果】
本発明は、以上説明してきたような形態で実施され、以下の効果を奏する。
【0085】
(1)請求項1記載の本発明によれば、半導体レーザを駆動する電流供給手段と、前記半導体レーザの光出力を検出する光出力検出手段と、同光出力検出手段が検出した光出力を検波する光出力検波手段と、前記半導体レーザの記録モードにおける光出力の設定値を付与する光出力設定手段と、同光出力設定手段による設定出力と前記光出力検波手段による検波出力とを比較して比較結果を出力する比較増幅手段と、前記比較結果を前記電流供給手段へ供給する比較結果供給手段とを備え、光ディスクに対してデータの記録、再生、消去を行う半導体レーザの光出力を所望の強度に制御する半導体レーザ光出力制御回路において、前記比較増幅手段を、回路のループ帯域を異ならせる二系統の比較増幅手段により構成するとともに、同二系統の比較増幅手段を切替える系統切替手段を設けた。したがって、半導体レーザ光出力制御回路における引き込み動作では帯域を広くし、それ以外は帯域を狭くすることができ、引き込み時間を短縮しながらAPCループの外乱からの影響を可及的に少なくして、安定したAPC動作を実現して効率的かつ高精度な光出力制御を可能とする。
【0086】
(2)請求項2記載の本発明によれば、上記二系統の比較増幅手段の切替えは、再生モードから記録モードへ移行して所定時間経過した後に広帯域から狭帯域へ切替えることとしたので、光ディスクフォーマットにおけるALPC部でのパワー設定時における光出力制御は広帯域で短時間に実行でき、記録モードでは確実に狭帯域として、外乱の影響を可及的に避けながらリアルタイムで光出力制御が実行できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る半導体レーザ光出力制御回路(APC回路)の第1の実施形態を示す回路図である。
【図2】APC回路のオープンループ特性の一例を示すグラフである。
【図3】誤差増幅器の回路の一例を示す説明図である。
【図4】誤差増幅器の回路の一例を示す説明図である。
【図5】帯域を切替えるための制御信号生成方法の一例を示す説明図である。
【図6】帯域を切替えた場合のレーザ駆動電流波形を示す説明図である。
【図7】他の実施形態に係るAPC回路図である。
【図8】ライトストラテジの一例を示す説明図である。
【図9】光磁気ディスクフォーマット図とALPC部において設定される光出力波形を含む波形図である。
【図10】サンプルホールド方式のAPC回路の一例を示す回路図である。
【図11】リアルタイム方式のAPC回路の一例を示す回路図である。
【図12】APC回路におけるループ帯域内の外乱による影響を示す説明図である。
【符号の説明】
LD1 半導体レーザ
PD2 フォトダイオード(光検出手段)
3 電流電圧変換回路
41、42、4n 誤差増幅器(比較増幅手段)
61,62,6n 光パワー設定電圧
91,92,9n 電圧電流変換回路(比較結果供給手段)
10 切替えスイッチ(比較結果供給手段)
11 ドライバ(電流供給手段)
111 ピーク値検波回路
112 ボトム値検波回路
11n 平均値検波回路
201、202、20n 誤差増幅器(比較増幅手段)
211、212、21n 選択スイッチ
Claims (2)
- 半導体レーザを駆動する電流供給手段と、
前記半導体レーザの光出力を検出する光出力検出手段と、
同光出力検出手段が検出した光出力を検波する光出力検波手段と、
前記半導体レーザの記録モードにおける光出力の設定値を付与する光出力設定手段と、
同光出力設定手段による設定出力と前記光出力検波手段による検波出力とを比較して比較結果を出力する比較増幅手段と、
前記比較結果を前記電流供給手段へ供給する比較結果供給手段とを備え、光ディスクに対してデータの記録、再生、消去を行う半導体レーザの光出力を、所望の強度に制御する半導体レーザ光出力制御回路において、
前記比較増幅手段を、回路のループ帯域を異ならせる二系統の比較増幅手段により構成するとともに、同二系統の比較増幅手段を切替える系統切替手段を設けたことを特徴とする半導体レーザ光出力制御回路。 - 二系統の比較増幅手段の切替えは、再生モードから記録モードへ移行して所定時間経過した後に広帯域から狭帯域へ切替えることを特徴とする請求項1記載の半導体レーザ光出力制御回路。
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