JP2004020779A - 液晶表示装置用カラーフィルターおよびこれを用いた液晶表示装置 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】透過用領域と反射用領域を含むカラーフィルターであって、反射用領域において基板と着色層の間に透明樹脂層を有し、反射用領域と透過用領域の着色層膜厚が異なり、かつ反射用領域には開口領域を有する少なくとも1色の画素を含むことを特徴とする液晶表示装置用カラーフィルター。
【選択図】図1
Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、カラーフィルター、およびそれを用いた液晶表示装置、とくに透過型液晶表示装置と反射型液晶表示装置、両方の特性を兼ね備えた半透過型液晶表示装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
現在、液晶表示装置は軽量、薄型、低消費電力等の特性を生かし、ノートPC、携帯情報端末、デスクトップモニタ、デジタルカメラなど様々な用途で使用されている。バックライトを使用した液晶表示装置においては、低消費電力化を進めるためにバックライト光の利用効率を高めることが求められ、カラーフィルターの高透過率化が要求されている。一方、カラーフィルターの透過率は年々向上しているが、透過率向上による消費電力の大幅な低下は望めなくなってきている。最近では電力消費量の大きなバックライト光源を必要としない反射型液晶表示装置の開発が進められており、透過型液晶表示装置にくらべ約1/7と大幅な消費電力の低減が可能であることが発表されている(日経マイクロデバイス別冊フラットパネル・ディスプレイ1998、P.126)。
【0003】
反射型液晶表示装置は、透過型液晶表示装置に比べ低消費電力であり、屋外での視認性に優れるという利点はあるものの、十分な環境光強度が確保されない場所では表示が暗くなってしまい、視認性が極端に悪くなるという問題点がある。暗い環境化でも表示が視認されるようにするために、(1)バックライトを設け、反射膜の一部に切り欠きを入れ、一部が透過型表示方式、一部を反射型表示方式とした液晶表示装置(いわゆる半透過半反射型表示方式、文献としては例えばファインプロセステクノロジージャパン’99、専門技術セミナーテキストA5)、(2)フロントライトを設けた液晶表示装置などが考案されている。
【0004】
バックライトを設けた半透過型液晶表示装置では、バックライト光を利用する透過表示と環境光を利用する反射表示がある。透過表示を行うときにはバックライト光がカラーフィルターを1回透過するのに対して、反射表示では、環境光が入射時と反射時の2回カラーフィルターを透過する。図3に示すような従来の構成のカラーフィルターでは、透過表示と反射表示とでカラーフィルターを透過する回数が異なるため、反射表示での明るさが不十分になるという問題点、もしくは鮮やかな透過表示が出来ないという問題点があった。また、透過表示では光源がバックライト光である一方、反射表示では光源が自然光であるために、反射表示と透過表示で色の濃さが異なるだけでなく、色調も変化してしまう問題もあった。
【0005】
透過表示と反射表示の色の濃さ(色再現性)を同じにする方法としては、反射用領域にスペーサー部を形成して、透過用領域と反射用領域で着色層の膜厚を変えることが特開2001−33778号公報に記載されている。図4は、従来知られている構成の半透過型液晶表示装置用カラーフィルターの断面図を模式的に示したものである。反射用領域6には透明樹脂層3が形成され、反射用領域6の着色層5の膜厚は、透過用領域7の着色層5の膜厚に比べて、薄くなっている。しかし、反射用領域6の着色層膜厚を薄く変えただけでは、色純度、明るさは大きな違いをなくすことができるものの赤、緑、青それぞれ単色の反射表示の色調は透過表示での色調と異なってしまい、反射と透過における見え方に違和感があるという問題点があった。また、反射用領域の膜厚を精度よく制御するためには、透過膜厚の1/2〜1/3の範囲に調整する必要があるが、透過表示での色再現性を高くした場合、反射用領域6の着色層膜厚を薄く変えただけでは、反射表示での十分な明るさを得ることが出来ないという問題点があった。
【0006】
図5に示すような透過用領域および/または反射用領域を塗り分ける方法では、透過用領域と反射用領域の色調を同じにして色純度、明るさを変え、目的にあった透過表示色と反射表示色を達成すること、または透過表示での色再現性を高くし、かつ反射表示での十分な明るさを得ることができると考えられる。しかし、現在主流のフォトリソ法では、一色の画素を形成するのに二度以上色材料を塗布しフォトリソ加工することになり、赤、緑、青の三色の画素を形成するには各色2回、すなわち計6回のフォトリソ加工が必要となり、製造コストが増大してしまうという問題点があった。
【0007】
反射用領域に開口領域を形成し、反射表示での明るさを向上させる方法が特開2000−111902号公報に記載されている。図6は、従来知られている構成の半透過型液晶表示装置用カラーフィルターの断面図を模式的に示したものである。この場合には、フォトリソ工程は3回で済むものの反射表示での色純度−反射率特性が低下してしまい、透過表示での色再現性を高くした場合には色の鮮やかさと十分な明るさを両立することが出来ないという問題点があった。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、かかる従来技術の欠点に鑑み創案されたもので、半透過型液晶表示装置用の色純度の高い透過表示と明るい反射表示を両立し、製造工程増加を抑えて安価に製造可能なカラーフィルターを提供することにある。
【0009】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するため、本発明は以下の構成からなる。
(1)少なくとも一色の画素が透過用領域と反射用領域を含んだカラーフィルターであって、前記の画素は反射用領域において基板と着色層との間に透明樹脂層を有し、反射用領域と透過用領域の着色層膜厚は異なるものであり、かつ反射用領域の着色層が開口領域を有することを特徴とする液晶表示装置用カラーフィルター。
(2)透過用領域と反射用領域に形成された着色層が、複数の着色層を基板上に積層された構造を有することを特徴とする(1)に記載の液晶表示装置用カラーフィルター。
(3)複数の着色層が基板上に積層された着色層のうちの最上層が感光性カラーレジストから形成されることを特徴とする(2)に記載の液晶表示装置用カラーフィルター。
(4)(1)〜(3)の何れかに記載のカラーフィルターを用いたものである液晶表示装置。
【0010】
【発明の実施の形態】
本発明における「透過用領域」とは、カラーフィルター側に反射膜が形成されている場合は、画素領域の中で反射膜が形成されていない領域のことをいい、反射膜がカラーフィルターに対向する基板上に形成されている場合は、該基板の反射膜が形成されていない領域に対応するカラーフィルター画素領域のことをいう。「反射用領域」とは、カラーフィルター側に反射膜が形成されている場合は、色材料が形成されている画素領域の内、反射膜が形成されている領域のことをいい、反射膜がカラーフィルターに対向する基板上に形成されている場合は、該基板の反射膜形成領域に対応するカラーフィルター画素領域のことをいう。
また、「開口領域」とは、基板上に形成された反射用領域のうち着色層が形成されていない領域のことを言う。
【0011】
以下、本発明をカラーフィルタ、および液晶表示装置の作成の順序に従って説明する。
【0012】
本発明に用いる基板としては、無機ガラス、高分子フィルムなどが挙げられる。ここで、耐熱性、透明性、耐薬品性などの点を考慮すると、特にソーダライムガラス、低アルカリガラス、無アルカリガラス、シリカガラスを用いることが好ましい。
【0013】
次に、基板上の反射領域に透明樹脂層を形成する。
基板上の反射用領域に透明樹脂層を形成すると、反射用領域は透明樹脂層部分の膜厚分凸になり、透過用領域は反射用領域に比べて低い部分的に凸のある基板となる。透明樹脂層が形成された凸のある基板上に、後の工程で非感光性カラーペーストおよび/または感光性カラーレジストを塗布し着色層を形成すると、透過用領域の着色層の膜厚は、非感光性カラーペーストや感光性カラーレジストによる平坦化(レベリング)によって凸が形成されている反射用領域の膜厚に比べて厚くなる。このように平坦化により反射用領域の着色と透過用領域の着色を変えることができるため、透明樹脂層を形成する。
【0014】
本発明の透明樹脂層は感光性レジストを使用して形成することができる。感光性樹脂材料としてはポリイミド系樹脂、エポキシ系樹脂、アクリル系樹脂、ウレタン系樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリオレフィン系樹脂等の材料が使用でき、アクリル系樹脂が好ましく用いられる。感光性アクリル系樹脂としては、感光性を持たせるため、少なくともアクリル系ポリマー、アクリル系多官能モノマーあるいはオリゴマー、光重合開始剤を含有させた構成を有するのが一般的であるがエポキシモノマーを加えたいわゆるアクリルエポキシ樹脂としてもよい。透明樹脂層を感光性レジストで形成した場合は、フォトリソ加工の露光工程で、露光マスクと透明樹脂層を形成する基板の距離を変えることで透明樹脂層の表面の丸みや平坦性を制御することが可能である。
【0015】
本発明の透明樹脂層は非感光性ペーストを使用しても形成することができる。非感光性樹脂材料としてはポリイミド系樹脂、エポキシ系樹脂、アクリル系樹脂、ウレタン系樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリオレフィン系樹脂等の材料が使用でき、ポリイミド系樹脂が好ましく用いられる。透明樹脂層を非感光性ペーストで形成した場合は、透明樹脂層の上部表面が平坦な構造になり、より小さな面積の透明樹脂層を形成することが可能である。
【0016】
反射用領域に形成する透明樹脂層には光散乱のための粒子を含んでもよい。透明樹脂層に光拡散の粒子を含むことで、正反射成分による表示のギラツキを押さえ、良好な表示特性を得ることができ、かつ透過用領域には透明樹脂層は存在しないので光散乱せずに効率的にバックライトを使用することができる。光散乱のための粒子としてはシリカ、アルミナ、チタニアなどの無機酸化物粒子、金属粒子、アクリル、スチレン、シリコーン、フッ素含有ポリマーなどの樹脂粒子などの材料を使用することができ、シリカ粒子を用いることが好ましい。光散乱粒子の粒径としては0.1〜10μmの範囲で用いることができる。光拡散の粒子径が透明樹脂層の厚み以下である場合は透明樹脂層が平坦になるのでより好ましい。
【0017】
本発明での反射用領域に形成される透明樹脂層の膜厚は、光源の違いを勘案したうえで反射用領域と透過用領域の色純度、明るさ、色調が所望の特性となるように選択させる。透明樹脂の膜厚が大きいほど、平坦化により反射用領域と透過用領域に形成される着色層の膜厚差が大きくなり、反射用領域の明るさを向上させる効果が大きい。透明樹脂層の膜厚があまり大きくなるとカラーフィルター表面の段差が大きくなり、液晶配向に悪影響を及ぼし表示品位が悪化するので透明樹脂層の膜厚は5μm以下が好ましい。
【0018】
次に、着色層の形成について説明する。
着色層は、上述の透明樹脂層が形成された基板上に、非感光性カラーペーストおよび/または感光性カラーレジストを塗布、乾燥、露光、現像することにより得られる。
【0019】
本発明で使用する色材料は、着色成分と樹脂成分を含むペーストである。樹脂成分としては、ポリイミド系樹脂、エポキシ系樹脂、アクリル系樹脂、ウレタン系樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリオレフィン系樹脂等の材料が好ましく用いられる。感光性、非感光性のどちらの材料でも使用することが可能である。
【0020】
感光性カラーレジストは、着色成分と樹脂成分を含み、樹脂成分は光によって反応する感光成分を含む。光照射された樹脂が現像液への溶解速度のあがるポジ型と、光照射された樹脂が現像液への溶解速度の下がるネガ型があり、どちらも使用することが可能であるが、可視光で感光成分の透明性の高いネガ型樹脂が好ましく用いられる。感光性カラーレジストの樹脂成分としてはポリイミド系樹脂、エポキシ系樹脂、アクリル系樹脂、ウレタン系樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリオレフィン系樹脂等の材料が好ましく用いられる。
【0021】
非感光性カラーペーストに使用する樹脂成分の例としてポリイミド系樹脂について述べる。ポリイミド系樹脂としてはポリイミド前駆体であるポリアミック酸を、加熱又は適当な触媒によってイミド化したものが好適に用いられる。ポリアミック酸は、テトラカルボン酸二無水物とジアミンを反応させることにより得ることができる。
【0022】
本発明におけるポリアミック酸の合成には、テトラカルボン酸二無水物として、たとえば、脂肪族系または脂環式系のものを用いることができ、その具体的な例として、1,2,3,4−シクロブタンテトラカルボン酸二無水物、1,2,3,4−シクロペンタンテトラカルボン酸二無水物、1,2,3,5−シクロペンタンテトラカルボン酸二無水物、1,2,4,5−ビシクロヘキセンテトラカルボン酸二無水物、1,2,4,5−シクロヘキサンテトラカルボン酸二無水物、1,3,3a,4,5,9b−ヘキサヒドロ−5−(テトラヒドロ−2,5−ジオキソ−3−フラニル)−ナフト[1,2−C]フラン−1,3−ジオンなどが挙げられる。また、芳香族系のものを用いると、耐熱性の良好な膜に変換しうるポリアミック酸を得ることができ、その具体的な例として、3,3´,4,4´−ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物、ピロメリット酸二無水物、3,4,9,10−ペリレンテトラカルボン酸二無水物、3,3´,4,4´−ジフェニルスルホンテトラカルボン酸二無水物、4,4´−オキシジフタル酸無水物、3,3´,4,4´−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物、1,2,5,6−ナフタレンテトラカルボン酸二無水物、3,3”,4,4”−パラターフェニルテトラカルボン酸二無水物、3,3”,4,4”−メタターフェニルテトラカルボン酸二無水物が挙げられる。また、フッ素系のものを用いると、短波長領域での透明性が良好な膜に変換しうるポリアミック酸を得ることができ、その具体的な例として、4,4´−(ヘキサフルオロイソプロピリデン)ジフタル酸無水物などが挙げられる。なお、本発明は、これらに限定されずにテトラカルボン酸二無水物が1種または2種以上用いられる。
【0023】
また、本発明におけるポリアミック酸の合成には、ジアミンとして、たとえば、脂肪族系または脂環式系のものを用いることができ、その具体的な例として、エチレンジアミン、1,3−ジアミノシクロヘキサン、1,4−ジアミノシクロヘキサン、4,4´−ジアミノ−3,3´−ジメチルジシクロヘキシルメタン、4,4´−ジアミノ−3,3´−ジメチルジシクロヘキシルなどが挙げられる。また、芳香族系のものを用いると、耐熱性の良好な膜に変換しうるポリアミック酸を得ることができ、その具体的な例として、4,4´−ジアミノジフェニルエーテル、3,4´−ジアミノジフェニルエーテル、4,4´−ジアミノジフェニルメタン、3,3´−ジアミノジフェニルメタン、4,4´−ジアミノジフェニルスルホン、3,3´−ジアミノジフェニルスルホン、4,4´−ジアミノジフェニルサルファイド、m−フェニレンジアミン、p−フェニレンジアミン、2,4−ジアミノトルエン、2,5−ジアミノトルエン、2,6−ジアミノトルエン、ベンジジン、3,3´−ジメチルベンジジン、3,3´−ジメトキシベンジジン、o−トリジン、4,4”−ジアミノターフェニル、1,5−ジアミノナフタレン、3,3´−ジメチル−4,4´−ジアミノジフェニルメタン、4,4´−ビス(4−アミノフェノキシ)ビフェニル、2,2−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]プロパン、ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]エ−テル、ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]スルホン、ビス[4−(3−アミノフェノキシ)フェニル]スルホンなどが挙げられる。また、フッ素系のものを用いると、短波長領域での透明性が良好な膜に変換しうるポリアミック酸を得ることができ、その具体的な例として、2,2−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]ヘキサフルオロプロパンなどが挙げられる。
【0024】
また、ジアミンの一部として、シロキサンジアミンを用いると、無機基板との接着性を良好にすることができる。シロキサンジアミンは、通常、全ジアミン中の1〜20モル%量用いる。シロキサンジアミンの量が少なすぎれば接着性向上効果が発揮されず、多すぎれば耐熱性が低下する。シロキサンジアミンの具体例としては、ビス−3−(アミノプロピル)テトラメチルシロキサンなどが挙げられる。本発明は、これに限定されずにジアミンが1種または2種以上用いられる。
【0025】
ポリアミック酸の合成は、極性有機溶媒中でテトラカルボン酸二無水物とジアミンを混合して反応させることにより行うのが一般的である。この時、ジアミンとテトラカルボン酸二無水物の混合比により、得られるポリアミック酸の重合度を調節することができる。
【0026】
このほか、テトラカルボン酸ジクロライドとジアミンを極性有機溶媒中で反応させて、その後、塩酸と溶媒を除去することによってポリアミック酸を得るなど、ポリアミック酸を得るには種々の方法がある。しかし、本発明はその合成法によらずにポリアミック酸に対して適用が可能である。
【0027】
次に、本発明で使用する非感光性カラーペーストに使用するポリアミック酸の構造単位の繰り返し数について述べる。ポリイミド膜の力学的特性は、分子量が大きいほど良好であるため、ポリイミド前駆体であるポリアミック酸の分子量も大きいことが望まれる。一方、ポリアミック酸膜を湿式エッチングによりパターン加工を行う場合、ポリアミック酸の分子量が大きすぎると、現像に要する時間が長くなりすぎるという問題がある。したがって、構造単位の繰り返し数の好ましい範囲は15〜1000、より好ましくは18〜400、さらに好ましくは20〜100である。なお、ポリアミック酸の分子量には一般にばらつきがあるため、ここでいう構造単位の繰り返し数の好ましい範囲とは、この範囲の中に全ポリアミック酸の50モル%以上、好ましくは70モル%以上、さらに好ましくは90モル%以上が入っていることを意味する。
【0028】
感光性カラーレジストに使用する樹脂成分の例として、アクリル系樹脂について述べる。感光性アクリル系樹脂としては、感光性を持たせるため、少なくともアクリル系ポリマー、アクリル系多官能モノマーあるいはオリゴマー、光重合開始剤を含有させた構成を有するのが一般的である。さらにエポキシを加えた、いわゆるアクリルエポキシ樹脂も用いることができる。
【0029】
使用できるアクリル系ポリマーとしては、特に限定はないが、不飽和カルボン酸とエチレン性不飽和化合物の共重合体を好ましく用いることができる。不飽和カルボン酸の例としては、例えばアクリル酸、メタクリル酸、イタコン酸、クロトン酸、マレイン酸、フマル酸、ビニル酢酸、あるいは酸無水物などがあげられる。
【0030】
これらは単独で用いても良いが、他の共重合可能なエチレン性不飽和化合物と組み合わせて用いても良い。共重合可能なエチレン性不飽和化合物としては、具体的には、アクリル酸メチル、メタクリル酸メチル、アクリル酸エチル、メタクリル酸エチル、アクリル酸n−プロピル、アクリル酸イソプロピル、メタクリル酸nープロピル、メタクリル酸イソプロピル、アクリル酸n−ブチル、メタクリル酸n−ブチル、アクリル酸sec−ブチル、メタクリル酸sec−ブチル、アクリル酸イソ−ブチル、メタクリル酸イソ−ブチル、アクリル酸tert−ブチル、メタクリル酸tert−ブチル、アクリル酸n−ペンチル、メタクリル酸n−ペンチル、2−ヒドロキシエチルアクリレート、2−ヒドロキシエチルメタクリレート、ベンジルアクリレート、ベンジルメタクリレートなどの不飽和カルボン酸アルキルエステル、スチレン、p−メチルスチレン、o−メチルスチレン、m−メチルスチレン、α−メチルスチレンなどの芳香族ビニル化合物、アミノエチルアクリレートなどの不飽和カルボン酸アミノアルキルエステル、グリシジルアクリレート、グリシジルメタクリレートなどの不飽和カルボン酸グリシジルエステル、酢酸ビニル、プロピオン酸ビニルなどのカルボン酸ビニルエステル、アクリロニトリル、メタクリロニトリル、α−クロルアクリロニトリルなどのシアン化ビニル化合物、1,3−ブタジエン、イソプレンなどの脂肪族共役ジエン、それぞれ末端にアクリロイル基、あるいはメタクリロイル基を有するポリスチレン、ポリメチルアクリレート、ポリメチルメタクリレート、ポリブチルアクリレート、ポリブチルメタクリレート、ポリシリコーンなどのマクロモノマーなどがあげられるが、これらに限定されるものではない。
【0031】
また、側鎖にエチレン性不飽和基を付加したアクリル系ポリマーを用いると、加工の際の感度がよくなるので好ましく用いることができる。エチレン性不飽和基としては、ビニル基、アリル基、アクリル基、メタクリル基のようなものがある。このような側鎖をアクリル系(共)重合体に付加させる方法としては、アクリル系(共)重合体のカルボキシル基や水酸基などを有する場合には、これらにグリシジル基を有するエチレン性不飽和化合物やアクリル酸またはメタクリル酸クロライドを付加反応させる方法が一般的である。その他、イソシアネートを利用してエチレン性不飽和基を有する化合物を付加させることもできる。ここでいうグリシジル基を有するエチレン性不飽和化合物やアクリル酸またはメタクリル酸クロライドとしては、アクリル酸グリシジル、メタクリル酸グリシジル、α−エチルアクリル酸グリシジル、クロトニルグリシジルエーテル、クロトン酸グリシジルエーテル、イソクロトン酸グリシジルエーテル、アクリル酸クロライド、メタクリル酸クロライドなどがあげられる。
【0032】
多官能モノマーとしては、例えば、ビスフェノールAジグリシジルエーテル(メタ)アクリレート、ポリ(メタ)アクリレートカルバメート、変性ビスフェノールAエポキシ(メタ)アクリレート、アジピン酸1,6−ヘキサンジオール(メタ)アクリル酸エステル、無水フタル酸プロピレンオキサイド(メタ)アクリル酸エステル、トリメリット酸ジエチレングリコール(メタ)アクリル酸エステル、ロジン変性エポキシジ(メタ)アクリレート、アルキッド変性(メタ)アクリレートのようなオリゴマー、あるいはトリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、1,6−ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、ビスフェノールAジグリシジルエーテルジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、トリアクリルホルマール、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレートなどがあげられる。これらは単独または混合して用いることができる。また、次にあげるような単官能モノマーも併用することができ、例えば、エチル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、n−ブチルメタクリレート、グリシジルメタクリレート、ラウリル(メタ)アクリレート、ステアリル(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレートなどがあり、これらの2種以上の混合物、あるいはその他の化合物との混合物などが用いられる。これらの多官能及び単官能モノマーやオリゴマーの選択と組み合わせにより、ペーストの感度や加工性の特性をコントロールすることが可能である。特に、硬度を高くするにはアクリレート化合物よりメタクリレート化合物が好ましく、また、感度を上げるためには、官能基が3以上ある化合物が好ましい。また、メラミン類、グアナミン類などもアクリル系モノマーの代わりに好ましく用いることができる。
【0033】
光重合開始剤としては、特に限定はなく、公知のものが使用でき、例えば、ベンゾフェノン、N,N’−テトラエチル−4,4’−ジアミノベンゾフェノン、4−メトキシ−4’−ジメチルアミノベンゾフェノン、2,2−ジエトキシアセトフェノン、ベンゾイン、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインイソブチルエーテル、ベンジルジメチルケタール、α−ヒドロキシイソブチルフェノン、チオキサントン、2−クロロチオキサントン、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、2−メチル−1−[4−(メチルチオ)フェニル]−2−モルホリノ−1−プロパン、t−ブチルアントラキノン、1−クロロアントラキノン、2,3−ジクロロアントラキノン、3−クロル−2−メチルアントラキノン、2−エチルアントラキノン、1,4−ナフトキノン、9,10−フェナントラキノン、1,2−ベンゾアントラキノン、1,4−ジメチルアントラキノン、2−フェニルアントラキノン、2−(o−クロロフェニル)−4,5−ジフェニルイミダゾール2量体などがあげられる。また、その他のアセトフェノン系化合物、イミダゾール系化合物、ベンゾフェノン系化合物、チオキサントン系化合物、リン系化合物、トリアジン系化合物、あるいはチタネート等の無機系光重合開始剤なども好ましく用いることができる。また、p−ジメチルアミノ安息香酸エステルなどの増感助剤を添加すると、さらに感度を向上させることができ好ましい。また、これらの光重合開始剤は2種類以上を併用して用いることもできる。
【0034】
光重合開始剤の添加量としては、特に限定はないが、ペースト全固形分に対して、好ましくは1〜30wt%、より好ましくは5〜25wt%、さらに好ましくは10〜20wt%である。
【0035】
本発明で用いる溶媒としては、樹脂成分を容易に溶解するものを使用することができる。
非感光性樹脂であるポリアミック酸の例では、溶解する溶媒として、例えばN―メチル―2―ピロリドン、N,N―ジメチルアセトアミド、N,N―ジメチルホルムアミドなどのアミド系極性溶媒、β―プロピオラクトン、γ―ブチロラクトン、γ―バレロラクトン、δ―バレロラクトン、γ―カプロラクトン、ε―カプロラクトンなどのラクトン類などが挙げられる。また、感光性樹脂であるアクリル系樹脂の例では、これらに加え、例えばメチルセロソルブ、エチルセロソルブ、メチルカルビトール、エチルカルビトール、プロピレングリコールモノエチルエーテルなどのエチレングリコールあるいはプロピレングリコール誘導体、あるいは、プロピレングリコールモノエチルエーテルアセテート、アセト酢酸エチル、メチル―3―メトキシプロピオネート、3―メチル―3―メトキシブチルアセテートなどの脂肪族エステル類、あるいは、エタノール、3―メチル―3―メトキシブタノールなどの脂肪族アルコール類、シクロペンタノン、シクロヘキサノンなどのケトン類を用いることも可能である。
【0036】
本発明に用いるカラーペースト用溶媒としては使用樹脂を溶解する単独あるいは2種類以上の溶媒の混合溶媒を、適宜組み合わせて使用するのが好ましい。この場合は、副溶剤として、使用する樹脂に対する貧溶媒を用いることも可能である。好ましい溶媒としては、特に限定されるわけではないが、例えばN−メチルピロリドンとシクロペンタノンの混合溶媒などがあげられ、特にアクリル系樹脂の場合には、シクロペンタノン単独でも好ましく用いることができる。
【0037】
本発明のカラーぺーストにおいて、ポリアミック酸あるいはアクリル系樹脂といった樹脂成分と顔料等の着色成分(白色の体質顔料なども含む)とは、通常、重量比で5:95〜90:10、好ましくは20:80〜80:20、より好ましくは30:70〜70:30の範囲で混合して用いられる。樹脂成分の量が少なすぎると、着色被膜の基板との接着性が不良となり、逆に顔料の量が少なすぎると着色度が問題となる。また、該ペーストにおいては、塗工性、乾燥性などの観点から、樹脂成分と顔料をあわせた固形分濃度は、2〜40%、好ましくは3〜30%、さらに好ましくは5〜25%の範囲で使用する。
【0038】
本発明のカラーフィルターは、少なくとも赤、緑、青の3色の色画素から構成され、使用される着色材料は、有機顔料、無機顔料、染料問わず着色剤全般を使用することができる。さらには、紫外線吸収剤、分散剤などの種々の添加剤を添加してもよい。分散剤としては界面活性剤、顔料の中間体、染料の中間体、高分子分散剤などの広範囲のものが使用される。また、塗布性やレベリング性向上のために種々の添加剤を加えても良い。
【0039】
顔料の具体的な例としては、ピグメントレッド(PR−)2、3、9、22、38、81、97、122、123、144、146、149、166、168、169、177、179、180、190、192、206、207、209、215、216、224、242、254、266、ピグメントグリーン(PG−)7、10、36、37、38、47、ピグメントブルー(PB−)15(15:1、15:2、15:3、15:4、15:6)、16、17、21、22、60、64、ピグメントイエロー(PY−)12、13、14、17、20、24、83、86、93、94、95、109、110、117、125、129、137、138、139、147、148、150、153、154、155、166、173、180、185、ピグメントバイオレット(PV−)19、23、29、30、32、33、36、37、38、40、50、ピグメントオレンジ(PO−)5、13、17、31、36、38、40、42、43、51、55、59、61、64、65、71、
などが挙げられる。これらの顔料は1種類のみで使用しても良く、2種類以上で組み合わせて使用しても良い。
【0040】
上記顔料は必要に応じて、ロジン処理、酸性基処理、塩基性処理、顔料誘導体処理などの表面処理が施されているものを使用しても良い。
なお、PR(ピグメントレッド)、PY(ピグメントイエロー)、PV(ピグメントバイオレット)、PO(ピグメントオレンジ)等は、カラーインデックス(C.I.;The Society of Dyers and Colourists社発行)の記号であり、正式には頭にC.I.を付するもの(例えば、C.I.PR254など)である。これは染料や染色の標準を規定したものであり、それぞれの記号は特定の標準となる染料とその色を指定するものもである。なお、以下の本発明の説明においては、原則として、前記C.I.の表記は省略(例えば、C.I.PR254ならば、PR254)する。
【0041】
なかでも、本発明のカラーフィルターの赤画素用着色剤においては、PR48:1、PR122、PR202、PR206、PR207,PR209、PR242、PR254、PO38、PY17、PY138、PY150、PV19を使用することがより好ましい。
【0042】
本発明のカラーフィルターの緑画素用着色剤においては、PG7、PG36、PY17、PY138、PY150を使用することがより好ましい。また、青画素用着色剤としてはPB15(15:1、15:2、15:3、15:4、15:6)、60、PV19、23を使用することがより好ましい。
【0043】
非感光性カラーペーストまたは感光性カラーレジストを塗布する方法としては、ディップ法、ロールコーター法、スピンコーティング法、ダイコーティング法、ダイコーティングとスピンコーティング併用法、ワイヤーバーコーティング法などが好適に用いられる。
画素の形成方法については、フォトリソ法、印刷法、電着法等があげられるが特に限定されない。パターン形成性などを考慮するとフォトリソ法で行うことがより好ましい。
【0044】
非感光性ペーストを用いて透明樹脂層を形成する例としては、透明基板上に非感光性ペーストを塗布し、ホットプレート、オーブン、真空乾燥などを用いて加熱乾燥(セミキュア)する。セミキュア膜上にポジ型フォトレジストを塗布し、加熱乾燥(プリベーク)する。プリベーク後にマスク露光し、アルカリ現像し、フォトレジストを溶剤で剥離することで透明樹脂層を形成し加熱硬化させる。
【0045】
感光性レジストを用いて透明樹脂層を形成する方法としては、透明基板上に感光性レジストを塗布し、ホットプレート、オーブン、真空乾燥を用いて加熱乾燥(プリベーク)する。プリベーク後にマスク露光し、アルカリ現像し後に加熱硬化することで、透明樹脂層を得る。形成する透明樹脂層の膜厚が厚すぎると透明基板全体に均一な膜厚と形状で形成することが困難になるので、透明樹脂層の膜厚は5μm以下が好ましい。
【0046】
画素を形成する方法としては、画素の反射用領域に透明樹脂層が形成された透明基板上に、たとえば非感光性カラーペーストを塗布、ホットプレート、オーブン、真空乾燥を用いて加熱乾燥(セミキュア)する。このセミキュア膜上にポジ型感光性レジスト、または感光性カラーレジストを塗布し、加熱乾燥(プリベーク)する。プリベーク後にマスク露光、アルカリ現像し、加熱硬化させる。ポジ型感光性レジストの代わりに感光性カラーレジストを用いた場合は、フォトリソ工程で非感光性カラーペースト層と感光性カラーレジスト層とを同時にパターニングでき、積層構成でありながら1回のフォトリソ加工で1色の画素を形成することができる。
【0047】
感光性カラーレジストからなる着色層はフォトリソ加工におけるマスク露光の露光量により硬化する膜厚を変えることができる。感光性アクリルカラーレジストの場合について述べるが、本発明の感光性カラーレジストはこれに限定されない。感光性カラーレジストをフォトリソ加工する場合には、露光量が十分多いと感光性カラーレジストの光架橋が進み、露光された部分は現像液にほとんど溶解されない(いわゆる「膜べり」(膜厚方向にも現像が進んで膜厚が減少する)も起こらない)。未露光部分はアクリル樹脂の光架橋が進まないので、現像液に溶解する。露光はするが、露光量が感光性樹脂の硬化に十分でない場合はアクリル樹脂の光架橋が十分進まないので、露光された部分は現像液に一部の塗膜が溶解するいわゆる「膜べり」が起こるので、露光量によって感光性樹脂の膜厚を調整することも可能である。
【0048】
露光量を調節する方法としては半透過フォトマスクを使用する方法や、スリットまたは網点フォトマスクを使用する方法がある。半透過フォトマスクはフォトマスクに0より大きく100%未満の透過率の半透過領域を持つ。この半透過フォトマスクを使用することで、露光量が多い部分と少ない部分で膜厚を調整する方法である。スリットフォトマスクはフォトマスクの遮光部分に20μm以下の幅でスリットを形成し、単位面積あたりでスリットを通過した露光量を平均化して露光量を調整する方法である。網点フォトマスクはフォトマスクの遮光部分に1個あたりの面積400μm2以下の円形、楕円形、四角形、長方形、菱形、台形、などを1個以上形成し、単位面積あたりでスリットを通過した露光量を平均化して露光量を調整する方法である。感光性カラーレジストを露光する場合、光源にg線、h線、i線の混合スペクトルを持つ高圧水銀灯を用ることが好ましい。露光量は感光性カラーレジストの感度によるが、i線で50mJ/cm2以上が好ましい。
【0049】
アルカリ現像液は有機アルカリ現像液と無機アルカリ現像液のどちらも用いることができる。無機アルカリ現像液では炭酸ナトリウム、水酸化ナトリウム、水酸化カリウムの水溶液などが好適に用いられる。有機アルカリ現像液ではテトラメチルアンモニウムヒドロキシド水溶液、メタノールアミンなどのアミン系水溶液が好適に用いられる。現像液には現像の均一性を上げるために界面活性剤を添加することが好ましい。アルカリ現像はディップ現像、シャワー現像、パドル現像などの方法が可能である。現像後はアルカリ現像液を除去するために純水洗浄を行う。シャワー現像では最適な画素形状になるようにシャワー圧力を調整することが好ましい。シャワー圧力が弱いと、画素の解像度が低下する。シャワー圧力が強いと画素が基板から剥がれることがある。シャワーの圧力は0.05〜5MPaが好ましい。
【0050】
本発明においては、反射用領域ならびに透過用領域に塗布された非感光性カラーペーストおよび/または感光性カラーレジスト上にさらに感光性カラーレジストからなる着色層を積層してもよい。本発明においては、最上層の感光性カラーレジストの下の非感光性カラーペーストおよび/または感光性カラーレジスト着色層を何層でも積層することができる。何層積層するかは目標の着色を達成するために適宜選択されるが、生産性から着色層は感光性カラーレジストと他の1層を組み合わせた2層積層構造であることがより好ましい。
【0051】
次に、開口領域の形成について説明する。
透明樹脂層を形成させた画素の反射用領域に開口領域を有することで、色純度の高い透過表示のための着色層を形成した場合においてさえ、反射表示での明るさを十分に向上させることが出来る。
【0052】
具体的には、まずはじめに反射用領域に透明樹脂層を形成した基板上に非感光性カラーペーストおよび/または感光性カラーレジストを1回以上塗布する。透過用領域の着色層の膜厚は、非感光性カラーペーストや感光性カラーレジストによる平坦化(レベリング)のため、凸が形成されている反射用領域の膜厚に比べて厚くなる。つぎに、反射用領域に開口領域を形成できるフォトマスクを介し、紫外線露光、現像、熱処理を行い、着色膜を形成する。
【0053】
透明樹脂層ならびに開口領域を形成させる色については、特に限定はなく赤画素、緑画素、青画素のいずれでもよい。しかしながら、用いるバックライト光源と環境光の特性差を勘案し、目標の着色を達成できるように透明樹脂層ならびに開口領域を形成させる色、反射用領域に対する開口領域の割合(以下「開口領域率」と呼ぶ)を決めることが好ましい。ここでいう透明樹脂層ならびに開口領域とは具体的には可視領域での平均透過率が80%以上である樹脂層ならびに領域である。
【0054】
開口領域を含む色画素が複数ある場合は、開口領域率が緑>赤の順に大きいことが好ましい。青は赤とほぼ同等である。具体的には、緑画素についていえば、開口領域率が10%以上50%以下、赤画素についていえば、5%以上30%以下、青画素についていえば、30%以下であることが好ましい。さらには緑画素についていえば、開口領域率が10%以上40%以下、赤画素についていえば、6%以上25%以下、青画素についていえば、4%以上25%以下であることがより好ましい。上記範囲から開口領域率が狭い方向にはずれると、反射表示の時に明るい表示が得られず、また、開口領域率が広い方向にはずれると反射表示の時に色鮮やかな表示を得ることができない。
【0055】
非感光性カラーペーストからなる未硬化の複数の着色層からなる着色層上に未硬化の感光性カラーレジストからなる着色層を積層して、露光、現像を行いフォトリソ加工することで感光性カラーレジストと未硬化の着色層を同時に加工することができるので生産性が向上して好ましい。非感光性カラーペーストは通常ポジ型フォトレジストを積層し、フォトリソ加工し、フォトレジストを剥離する工程が必要であるが、本発明の最上層に感光性カラーレジストを積層する場合は感光性カラーレジストは着色層なので、フォトリソ加工後に感光性樹脂を剥離することなく、カラーフィルターを作製することが可能であり、フォトレジスト剥離工程が短縮できるので好ましい。
【0056】
次に、オーバーコート層について説明する。
開口領域や透明樹脂層の形成によって、表面の平坦性が損なわれる可能性があるので、色材料の上に平坦化層としてオーバーコート層を形成するのが好ましい。具体的には、エポキシ膜、アクリルエポキシ膜、アクリル膜、シロキサンポリマ系の膜、ポリイミド膜、ケイ素含有ポリイミド膜、ポリイミドシロキサン膜等が挙げられる。
【0057】
次に、光源について説明する。
好ましい画素の着色設計は、光源の違いを考慮に入れるため、透過用領域はバックライト光源、反射用領域は太陽光(自然光)に近いD65光源で行うことが好ましい。バックライト光源の種類としては、2波長型光源、3波長型光源があげられる。ここでいう2波長型のLED光源の例としては、青色LEDと黄色蛍光体または黄緑色蛍光体とを組み合わせて白色光を発するLED光源があげられる。また、3波長型光源の例としては、3波長冷陰極管、紫外LEDと赤、青、緑蛍光体とを組み合わせた白色LED光源、赤、青、緑各色のLEDを組み合わせた白色LED光源、有機エレクトロルミネッセンス光源などがあげられる。
【0058】
カラーフィルターの形成は、ガラス、高分子フィルム等の透明基板側に限定されず、駆動素子側基板にも行うことができる。カラーフィルターのパターン形状については、ストライプ状、アイランド状などがあげられるが特に限定されるものではない。また、必要に応じてカラーフィルター上に柱状の固定式スペーサーが配置されていてもよい。
【0059】
本発明のカラーフィルターは、半透過型液晶表示装置と組み合わせて使用される。ここで、半透過型液晶表示装置とは、アルミニウム膜や銀膜等から成る反射膜を備え、スリットを有することを特徴とする液晶表示装置である。本発明のカラーフィルターは、液晶表示装置の駆動方法、表示方式にも限定されず、アクティブマトリクス方式、パッシブマトリクス方式、TNモード、STNモード、ECBモード、OCBモードなど種々の液晶表示装置に適用される。また、液晶表示装置の構成、例えば偏光板の数、散乱体の位置等にも限定されずに使用することができる。
【0060】
本発明のカラーフィルター作製方法の一例を述べる。
【0061】
透明基板上にポリアミック酸と溶剤からなる非感光性ペーストを全面に塗布し、ホットプレートを使用し、60〜200℃の範囲で1〜60分間加熱乾燥する。次にこのようにして得られたポリアミック酸被膜にポジ型フォトレジストを塗布し、ホットプレートを使用して60〜150℃の範囲で1〜30分加熱乾燥させる。露光装置を用いて、紫外線を照射し目的のパターンを焼き付け、アルカリ現像して所望位置に所望パターンで透明樹脂層を得る。透明樹脂層は200〜300℃で加熱硬化させる。
【0062】
次に、少なくとも1色について、反射用領域に透明樹脂層が形成され、反射用領域と透過用領域の着色層膜厚が異なり、反射用領域に開口領域を含む画素を形成する。少なくともアクリル系ポリマー、アクリル系多官能モノマー、光重合開始剤からなる感光性アクリル樹脂、着色剤、溶剤からなる感光性カラーレジストを塗布した後、風乾、加熱乾燥、真空乾燥などにより、感光性アクリル着色被膜を形成する。加熱乾燥の場合、オーブン、ホットプレートなどを使用し、60〜200℃の範囲で1分〜3時間行うのが好ましい。続いて感光性アクリル着色被膜に上に開口領域を形成するためのパターンを含むマスクを置き、露光装置を用いて紫外線を照射する。露光後、アルカリ現像液により、感光性アクリル着色被膜のエッチングを行う。感光性アクリル着色被膜は、その後加熱硬化を行う。加熱硬化は通常、空気中、窒素雰囲気中、あるいは、真空中などで、150〜350℃、好ましくは180〜250℃の温度のもとで、0.5〜5時間、連続的または段階的に行われる。
【0063】
また、必要に応じて、反射用領域に透明樹脂層が形成され、かつ透過用領域と反射用領域が複数の着色層を積層させ、反射用領域に開口領域を含む画素を形成してもよい。感光性カラーレジストを塗布する前に、少なくともポリアミック酸、着色剤、溶剤からなる非感光性カラーペーストを塗布する。非感光性カラーペーストの塗布後に、風乾、加熱乾燥、真空乾燥などを行い、ポリアミック酸着色被膜を形成する。加熱乾燥の場合、オーブン、ホットプレートなどを使用し、60〜200℃の範囲で1分〜60分行うのが好ましい。このようにして得られたポリアミック酸着色被膜に、感光性カラーレジストを塗布し、風乾、加熱乾燥、真空乾燥などにより、感光性アクリル着色被膜を積層させる。続いて感光性アクリル着色被膜に上に開口領域を形成するためのパターンを含むマスクを置き、露光装置を用いて紫外線を照射する。露光後、アルカリ現像液により、感光性アクリル着色被膜とポリアミック酸着色被膜の同時エッチングを行う。
【0064】
ポリアミック酸着色被膜は、その後、加熱硬化することによって、ポリイミド着色被膜に変換される。加熱硬化は通常、空気中、窒素雰囲気中、あるいは、真空中などで、150〜350℃、好ましくは180〜250℃の温度のもとで、0.5〜5時間、連続的または段階的に行われる。
【0065】
また、必要に応じて、透過用領域と反射用領域が異なる着色層からなる形成してもよい。少なくともポリイミド前駆体、着色剤、溶剤からなるカラーペースト、もしくは少なくともアクリル系ポリマー、アクリル系多官能モノマー、光重合開始剤からなる感光性アクリル樹脂、着色剤、溶剤からなる感光性カラーレジストを塗布した後、風乾、加熱乾燥、真空乾燥などにより着色被膜を形成する。加熱乾燥の場合、オーブン、ホットプレートなどを使用し、50〜200℃の範囲で1分〜3時間行うのが好ましい。
【0066】
次に、着色被膜がポリイミド前駆体である場合にはポジ型フォトレジストを塗布し、フォトレジスト被膜を形成する。続いて透過領域を形成するためのパターンを含むマスクを置き、露光装置を用いて紫外線を照射する。露光後、ポジ型フォトレジスト用アルカリ現像液により、フォトレジスト被膜とポリイミド前駆体着色被膜のエッチングを同時に行う。エッチング後、不要となったフォトレジスト被膜を剥離する。ポリイミド前駆体着色被膜は、その後、加熱処理することによって、ポリイミド着色被膜に変換される。
【0067】
着色被膜が感光性アクリル樹脂である場合は、感光性アクリル着色被膜にフォトマスクと露光装置を用いて紫外線をパターン状に照射する。露光後、アルカリ現像液により、感光性アクリル着色被膜のエッチングを行う。感光性アクリル着色被膜は、その後加熱硬化を行う。加熱硬化は通常、空気中、窒素雰囲気中、あるいは、真空中などで、150〜350℃、好ましくは180〜250℃の温度のもとで、0.5〜5時間、連続的または段階的に行われる。次に、透過領域の形成と同様にして反射用領域に着色塗膜を形成する。
【0068】
以上の工程を赤、緑、青の画素(必要に応じてブラックマトリックス)について行うと、液晶表示装置用カラーフィルターが作製できる。
【0069】
次に、このカラーフィルターを用いて作成した半透過型液晶表示装置の一例について述べる。上記カラーフィルター上に、透明保護膜を形成し、さらにその上にITO膜などの透明電極を製膜する。次に、このカラーフィルター基板と、金属蒸着膜などがパターニングされた半透過反射膜、半透過反射膜上の透明絶縁膜、さらにその上にITO膜などの透明電極が形成された半透過反射基板とを、さらにそれらの基板上に設けられた液晶配向のためのラビング処理を施した液晶配向膜、およびセルギャップ保持のためのスペーサーを介して、対向させてシールし貼りあわせる。なお、半透過反射基板上には、反射膜、透明電極以外に、光拡散用の突起物、薄膜トランジスタ(TFT)素子や薄膜ダイオード(TFD)素子、および走査線、信号線などを設け、TFT液晶表示装置や、TFD液晶表示装置を作成することができる。次に、シール部に設けられた注入口から液晶を注入した後に、注入口を封止する。つぎに、ICドライバー等を実装することによりモジュールが完成する。
【0070】
【実施例】
<測定法>
透過率、色座標:大塚電子(株)製、“MCPD−2000”顕微分光光度計を用い、カラーフィルター上に製膜されているものと同一製膜条件により作製されるITOを製膜したガラスをリファレンスとして測定した。
【0071】
ここでいう透過領域色度とは、上述のカラーフィルター透過領域を顕微分光光度計などで測定したときに得られる分光スペクトルから求められるものである。反射領域色度とは該領域中の着色領域の分光スペクトル、開口領域がある場合にはその分光スペクトルをそれぞれ各波長について、自乗し、反射領域中の着色領域と開口領域との面積についての加重平均を取ることにより求められるものである。
以下、実施例に基づいて本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらに限定されない。
【0072】
なお、以下の実施例、比較例では、特に断りがない場合は画素領域に対する反射板の形成領域(反射用領域)の割合は50%とする。また、透明樹脂層を形成する領域は、各画素の反射用領域とする。
【0073】
実施例1
A.感光性カラーレジストの作製
ピグメントレッドPR254、21.1g、ピグメントレッドPR177、14.1gを3−メチル−3−メトキシブタノール50gとともに仕込み、ホモジナイザーを用い、7000rpmで5時間分散後、ガラスビーズを濾過し、分散液を得た。アクリル共重合体溶液(ダイセル化学工業株式会社製サイクロマーP、ACA−250、43wt%溶液)35.00g、多官能モノマーとしてペンタエリスリトールテトラメタクリレート15.00g、光重合開始剤として“イルガキュア”369 7.50gにシクロペンタノン130.00gを加えた濃度20重量%の感光性樹アクリル樹脂溶液(AC−1)を得た。赤分散液20gと感光性樹アクリル樹脂溶液(AC−1)27.7gを加え、赤レジスト(RAC−1)を得た。同様にして、表1に示す割合で赤レジスト(RAC−2)、緑レジスト(GAC−1、GAC−2)、青レジスト(BAC−1、BAC−2)を得た。
【0074】
【表1】
【0075】
B.ポリアミック酸溶液の作成
4,4′−ジアミノジフェニルエーテル 95.1gおよびビス(3−アミノプロピル)テトラメチルジシロキサン 6.2gをγ−ブチロラクトン 525g、N−メチル−2−ピロリドン 220gと共に仕込み、3,3′,4,4′−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物 144.1gを添加し、70℃で3時間反応させた後、無水フタル酸 3.0gを添加し、さらに70℃で2時間反応させ、25重量%のポリアミック酸溶液(PAA)を得た。
【0076】
C.ポリマー分散剤の合成
4,4′−ジアミノベンズアニリド 161.3g、3,3′−ジアミノジフェニルスルホン 176.7g、およびビス(3−アミノプロピル)テトラメチルジシロキサン 18.6gをγ−ブチロラクトン 2667g、N−メチル−2−ピロリドン 527gと共に仕込み、3,3′,4,4′−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物 439.1gを添加し、70℃で3時間反応させた後、無水フタル酸2.2gを添加し、さらに70℃で2時間反応させ、20重量%のポリアミック酸溶液であるポリマー分散剤(PD)を得た。
【0077】
D.非感光性カラーペーストの作成
ピグメントレッドPR209、1.8g、ピグメントオレンジPO38、2.7gとポリマー分散剤(PD) 22.5gおよびγ−ブチロラクトン 42.8g、3−メトキシ−3−メチル−1−ブタノール 20.2gをガラスビーズ 90gとともに仕込み、ホモジナイザーを用い、7000rpmで5時間分散後、ガラスビーズを濾過し、除去した。このようにしてPR209とPO38からなる分散液5%溶液(RD)を得た。
【0078】
分散液(RD) 23.5gにポリアミック酸溶液(PAA) 11.0gをγ−ブチロラクトン 50.0gで希釈した溶液を添加混合し、赤色カラーペースト(RPI−1)を得た。同様にして、表1に示す割合で黄ペースト(YPI−1)、青ペースト(BPI−1)を得た。
【0079】
E.非感光性ペースト(透明樹脂層に用いる)の作製
ポリアミック酸溶液(PAA) 16.0gをγ−ブチロラクトン 34.0gで希釈し非感光性透明ペースト(TPI−1)を得た。
【0080】
F.着色塗膜の作成と評価
ブラックマトリクスがパターン加工されたガラス基板上に非感光性ペースト(TPI−1)をスピンナーで塗布した。
該塗膜を、120℃のオーブンで20分乾燥し、この上にポジ型フォトレジスト(東京応化株式会社製OFPR−800)を塗布し、90℃で10分オーブン乾燥した。キャノン株式会社製紫外線露光機PLA−501Fを用い、フォトマスクパターンを介して赤、緑、青の各画素の反射用領域に透明樹脂層が残るように60mJ/cm2(365nmの紫外線強度)で露光した。露光後、テトラメチルアンモニウムハイドロオキサイドの1.6%の水溶液からなる現像液に浸漬し、フォトレジストの現像、ポリアミック酸の塗膜のエッチングを同時に行った。エッチング後不要となったフォトレジスト層をアセトンで剥離し、240℃で30分熱処理し、各画素の反射用領域に透明樹脂層を得た。このときの透明樹脂層の膜厚は2.8μmであった。
【0081】
次に、透明樹脂層を形成したガラス基板上に赤レジスト(RAC−1)をスピンナーで基板上に塗布し、該塗膜を80℃のオーブンで10分熱処理した。紫外線露光機を用い、赤画素の透過用領域と反射用領域は光が透過するクロム製フォトマスクを介して、100mJ/cm2(365nmの紫外線強度)で露光した。このとき用いたフォトマスクは、反射用領域内での開口領域の割合(開口領域率)が20%のものである。露光後にテトラメチルアンモニウムハイドロオキサイドの1.6%の水溶液からなる現像液に浸漬し、着色層を現像した。現像後に240℃のオーブンで30分熱処理をし、赤画素を得た。透過用領域の画素の中央での膜厚は2.0μmで、C光源を通したときの色度(x、y)は(0.634、0.316)であった。また、透過用領域の画素の中央での膜厚(TPI−1とRAC−1からなる塗膜との合計)は3.6μmで、反射用領域と透過用領域の着色層の膜厚比は2/5であった。
【0082】
同様にして、緑レジスト(GAC−1)をスピンナーで基板上に塗布し、着色塗膜を作製した。このとき用いたフォトマスクは、反射用領域内での開口領域の割合(開口領域率)が30%のものである。透過用領域の画素の中央での膜厚は2.0μmで、C光源を通したときの色度(x、y)は(0.271、0.604)であった。また、透過用領域の画素の中央での膜厚(TPI−1とGAC−1からなる塗膜との合計)は3.6μmで、反射用領域と透過用領域の着色層の膜厚比は2/5であった。
【0083】
同様にして、青レジスト(BAC−1)をスピンナーで基板上に塗布し、着色塗膜を作製した。このとき用いたフォトマスクは、反射用領域内での開口領域の割合(開口領域率)が0%のものである。透過用領域の画素の中央での膜厚は2.0μmで、C光源を通したときの色度(x、y)は(0.141、0.068)であった。また、反射用領域の画素の中央での膜厚(TPI−1とBAC−1からなる塗膜との合計)は3.6μmで、反射用領域と透過用領域の着色層の膜厚比は2/5であった。使用した感光性カラーレジストおよび透明樹脂層、開口領域率について表2にまとめた。
【0084】
【表2】
【0085】
このようにして得られた画素膜上にオーバーコート層(JSR社製”オプトマーSS6500/SS0500”)を2μmの厚みで製膜した。さらにもう一度オーバーコート層(JSR社製”オプトマーSS6500/SS0500”)を2μmの厚みで製膜し、その上にITO膜を膜厚0.1μmとなるようにスパッタリングした。この様にして得られたカラーフィルター基板について、基板中央部の1つの画素、基板のそれぞれの角部の4つの画素について、分光スペクトルを測定した。測定した画素スペクトルを各測定部について平均し、色度を求めた。D65光源での反射領域色度、2波長型LED光源での透過領域色度を表3に示す。
【0086】
【表3】
【0087】
実施例2
赤画素、緑画素、青画素それぞれに形成する開口領域率を10%、20%、13%としたこと以外は実施例1と同様にカラーフィルターを作成した。作製したカラーフィルターの構成を図1に示す。この様にして得られたカラーフィルター基板について、基板中央部の1つの画素、基板のそれぞれの角部の4つの画素について、分光スペクトルを測定した。測定した画素スペクトルを各測定部について平均し、色度を求めた。D65光源での反射領域色度、2波長型LED光源での透過領域色度を表4に示す。
【0088】
【表4】
【0089】
実施例3
ブラックマトリクスがパターン加工されたガラス基板上に実施例1と同様に非感光性ペースト(TPI−1)を塗布し、各画素の反射用領域に3.0μmの透明樹脂層を形成した。
【0090】
次に、透過用領域の画素の中央での熱処理後の膜厚が0.8μmになるように赤ペースト(RPI−1)をスピンナーで基板上に塗布し、該塗膜を120℃のオーブンで20分乾燥した。該塗膜の上に赤レジスト(RAC−1)をスピンナーで基板上に塗布し、該塗膜を80℃のオーブンで10分熱処理した。紫外線露光機を用い、緑画素の透過用領域と反射用領域は光が透過するクロム製フォトマスクを介して、100mJ/cm2(365nmの紫外線強度)で露光した。このとき用いたフォトマスクは、反射用領域内での開口領域の割合(開口領域率)が10%のものである。露光後にテトラメチルアンモニウムハイドロオキサイドの1.6%の水溶液からなる現像液に浸漬し、RPI−1およびRAC−1を積層した着色層を現像した。現像後に240℃のオーブンで30分熱処理をし、赤画素を得た。透過用領域の画素の中央での膜厚(RPI−1とRAC−1からなる塗膜との合計)は2.6μmで、C光源を通したときの色度(x、y)は(0.645、0.323)であった。また、反射用領域の画素の中央での膜厚(TPI−1、RPI−1とRAC−1からなる塗膜との合計)は、4.5μmであった。また、RPI−1着色層の反射用領域と透過用領域の膜厚比は1/1、RAC−1着色層の反射用領域と透過用領域の膜厚比は1/3であった。
【0091】
次に赤画素と同様にして、YPI−1、GAC−1からなる緑画素を作成した。このとき用いたフォトマスクは、反射用領域内での開口領域の割合(開口領域率)が20%のものである。透過用領域の画素の中央での膜厚(YPI−1とGAC−1からなる塗膜との合計)は2.6μmで、C光源を通したときの色度(x、y)は(0.276、0.603)であった。また、反射用領域の画素の中央での膜厚(TPI−1、YPI−1とGAC−1からなる塗膜との合計)は、4.5μmであった。また、YPI−1着色層の反射用領域と透過用領域の膜厚比は1/1、GAC−1着色層の反射用領域と透過用領域の膜厚比は1/3であった。
【0092】
次に赤画素と同様にして、BPI−1、BAC−1からなる青画素を作成した。このとき用いたフォトマスクは、反射用領域内での開口領域の割合(開口領域率)が13%のものである。透過用領域の画素の中央での膜厚(BPI−1とBAC−1からなる塗膜との合計)は2.6μmで、C光源を通したときの色度(x、y)は(0.140、0.067)であった。また、反射用領域の画素の中央での膜厚(TPI−1、BPI−1とBAC−1からなる塗膜との合計)は、4.5μmであった。また、BPI−1着色層の反射用領域と透過用領域の膜厚比は1/1、BAC−1着色層の反射用領域と透過用領域の膜厚比は1/3であった。カラーフィルターを作製した。作製したカラーフィルターの構成を図2に示す。このようにして得られた画素膜上に実施例1と同様にしてオーバーコート層、ITO膜を膜厚を形成した。この様にして得られたカラーフィルター基板について、基板中央部の1つの画素、基板のそれぞれの角部の4つの画素について、分光スペクトルを測定した。測定した画素スペクトルを各測定部について平均し、色度を求めた。D65光源での反射領域色度、2波長型LED光源での透過領域色度を表5に示す。
【0093】
【表5】
【0094】
比較例1
透明樹脂層を形成しないこと以外は実施例1と同様にして、ブラックマトリクスがパターン加工されたガラス基板上に赤画素、緑画素、青画素を形成した。このときの各色画素の膜厚は2.0μmであった。この様にして得られたカラーフィルター基板について、基板中央部の1つの画素、基板のそれぞれの角部の4つの画素について、分光スペクトルを測定した。測定した画素スペクトルを各測定部について平均し、色度を求めた。D65光源での反射領域色度、2波長型LED光源での透過領域色度を表6に示す。
【0095】
【表6】
【0096】
比較例2
ブラックマトリクスがパターン加工されたガラス基板上に実施例1と同様に非感光性ペースト(TPI−1)を塗布し、各画素の反射用領域に2.8μmの透明樹脂層を形成した。このとき用いたフォトマスクは、すべての画素において反射用領域内での開口領域の割合(開口領域率)が0%のものである。
【0097】
この様にして得られたカラーフィルター基板について、基板中央部の1つの画素、基板のそれぞれの角部の4つの画素について、分光スペクトルを測定した。測定した画素スペクトルを各測定部について平均し、色度を求めた。D65光源での反射領域色度、2波長型LED光源での透過領域色度を表7に示す。
【0098】
【表7】
【0099】
比較例3
透明樹脂層を形成しないこと、赤画素、緑画素、青画素それぞれに形成する開口領域率を22%、40%、22%としたこと以外は実施例1と同様にして、ブラックマトリクスがパターン加工されたガラス基板上に赤画素、緑画素、青画素を形成した。このときの各色画素の膜厚は2.0μmであった。この様にして得られたカラーフィルター基板について、基板中央部の1つの画素、基板のそれぞれの角部の4つの画素について、分光スペクトルを測定した。測定した画素スペクトルを各測定部について平均し、色度を求めた。D65光源での反射領域色度、2波長型LED光源での透過領域色度を表8に示す。
【0100】
【表8】
【0101】
比較例4
透過用領域に光が透過するフォトマスクを用いたこと以外は比較例3と同様にして、赤画素、緑画素、青画素の透過用領域を形成した。次に、反射用領域に光が透過するフォトマスクを用いたこと、以下のカラーレジストを用いたこと以外は比較例3と同様にして、反射用領域に着色層パターンを形成した。このときのレジストは赤画素用にRAC−2、緑画素用にGAC−2、青画素用にBAC−2である。作製した各色画素の反射用領域の着色層膜厚は2.0μmであった。C光源を通したときの赤色画素の色度(x、y)は(0.453、0.308)、緑色画素の色度(x、y)は(0.329、0.444)、青色画素の色度(x、y)は(0.170、0.205)であった。
【0102】
この様にして得られたカラーフィルター基板について、基板中央部の1つの画素、基板のそれぞれの角部の4つの画素について、分光スペクトルを測定した。測定した画素スペクトルを各測定部について平均し、色度を求めた。D65光源での反射領域色度、2波長型LED光源での透過領域色度を表9に示す。
【0103】
【表9】
【0104】
比較例で作製したカラーフィルターを用いた半透過型液晶表示装置と実施例のカラーフィルターを用いた液晶表示装置との表示特性の違いを反射表示について屋外の環境光下で、また透過表示について暗室で評価した。なお、透過表示に使用する光源は2波長型のLED光源を用いた。
【0105】
実施例1、2のカラーフィルターを用いた液晶表示装置は、透過表示ではCRTテレビと同等の色鮮やかさを示し、反射表示での明るさも十分なものであった。反射表示での色の鮮やかさも視認性のある十分なものであった。
【0106】
実施例3のカラーフィルターを用いた液晶表示装置は、実施例1と同様に透過表示ではCRTテレビと同等の色鮮やかさを示し、反射表示での明るさも十分なものであった。反射表示での色の鮮やかさも視認性のある十分なものであった。また、反射表示での色調は、実施例1、2にくらべ、透過表示での色調に近く、反射表示と透過表示での差が少なく、より違和感のない表示であった。
【0107】
一方、比較例1のカラーフィルターを用いた液晶表示装置は、透過表示ではCRTテレビと同等の色鮮やかさを示すものの、反射表示での明るさは非常に暗く実用的な視認性を得ることができなかった。
【0108】
比較例2のカラーフィルターを用いた液晶表示装置は、透過表示ではCRTテレビと同等の色鮮やかさを示すものの、反射表示での明るさは実施例の液晶表示装置に比べて暗く、十分な視認性を得ることができなかった。
【0109】
比較例3のカラーフィルターを用いた液晶表示装置は、透過表示ではCRTテレビと同等の色鮮やかさを示し、反射表示での明るさも十分であったが、実施例の液晶表示装置に比べて反射表示での色の鮮やかさに劣り、視認性が不十分であった。
【0110】
比較例4のカラーフィルターを用いた液晶表示装置は、透過表示ではCRTテレビと同等の色鮮やかさを示し、反射表示での明るさ、色鮮やかさともに十分であったが、着色層の形成に6回のフォトリソ工程が必要であり、製造コストが高いものであった。
【0111】
【発明の効果】
本発明は上述のごとく構成したので、半透過型液晶表示装置用の色純度の高い透過表示と明るい反射表示を両立し、製造工程増加を抑えて安価に製造可能なカラーフィルターを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の液晶表示装置の構成図
【図2】本発明の液晶表示装置の構成図
【図3】従来の液晶表示装置の構成図
【図4】従来の液晶表示装置の構成図
【図5】従来の液晶表示装置の構成図
【図6】従来の液晶表示装置の構成図
【符号の説明】
1 :透明基板
2 :ブラックマトリックス
3 :透明樹脂層
4 :非感光性カラーペーストからなる着色層
5 :感光性カラーレジストからなる着色層
6 :反射用領域
7 :透過用領域
8B:青画素領域
8G:緑画素領域
8R:赤画素領域
9 :開口領域
10:オーバーコート層
Claims (4)
- 少なくとも一色の画素が透過用領域と反射用領域を含んだカラーフィルターであって、前記の画素は反射用領域において基板と着色層との間に透明樹脂層を有し、反射用領域と透過用領域の着色層膜厚は異なるものであり、かつ反射用領域の着色層が開口領域を有することを特徴とする液晶表示装置用カラーフィルター。
- 透過用領域と反射用領域に形成された着色層が、複数の着色層を基板上に積層された構造を有することを特徴とする請求項1に記載の液晶表示装置用カラーフィルター。
- 複数の着色層が基板上に積層された着色層のうちの最上層が感光性カラーレジストから形成されることを特徴とする請求項2に記載の液晶表示装置用カラーフィルター。
- 請求項1〜3の何れかに記載のカラーフィルターを用いたものである液晶表示装置。
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