JP2004279765A - 液晶表示装置用カラーフィルター、および液晶表示装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】反射表示と透過表示とでそれぞれ所望の色特性(色純度、明るさ、色調)をもつ半透過型液晶表示装置用カラーフィルターを低コストに製造する。
【解決手段】一画素中に透過用領域と反射用領域を含み、複数色の画素が配されたカラーフィルターであって、少なくとも1色の画素の透過用領域には複数の着色層が積層され、かつ反射用領域には透過用領域よりも少ない数の着色層が形成されており、透過用領域と反射用領域の少なくとも境界部には着色層以外の樹脂層が形成され、反射用領域の有効表示領域に対応する着色層の一部に除去部を形成したことを特徴とする液晶表示装置用カラーフィルター、および、該カラーフィルターを用いた液晶表示装置。
【選択図】図1
【解決手段】一画素中に透過用領域と反射用領域を含み、複数色の画素が配されたカラーフィルターであって、少なくとも1色の画素の透過用領域には複数の着色層が積層され、かつ反射用領域には透過用領域よりも少ない数の着色層が形成されており、透過用領域と反射用領域の少なくとも境界部には着色層以外の樹脂層が形成され、反射用領域の有効表示領域に対応する着色層の一部に除去部を形成したことを特徴とする液晶表示装置用カラーフィルター、および、該カラーフィルターを用いた液晶表示装置。
【選択図】図1
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、透過型液晶表示と反射型液晶表示の両方の方式を兼ね備えた半透過型液晶表示装置用カラーフィルター、およびそれを用いた液晶表示装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
現在、液晶表示装置は軽量、薄型、低消費電力等の特性を生かし、ノートPC、携帯情報端末、デスクトップモニタ、デジタルカメラなど様々な用途で使用されている。バックライトを使用した液晶表示装置においては、低消費電力化を進めるためにバックライト光の利用効率を高めることが求められ、カラーフィルターの高透過率化が要求されている。一方、カラーフィルターの透過率は年々向上しているが、透過率向上による消費電力の大幅な低下は望めなくなってきている。最近では電力消費量の大きなバックライト光源を必要としない反射型液晶表示装置の開発が進められており、透過型液晶表示装置にくらべ約1/7と大幅な消費電力の低減が可能であることが発表されている(例えば、非特許文献1参照)。 反射型液晶表示装置は、透過型液晶表示装置に比べ低消費電力であり、屋外での視認性に優れるという利点はあるものの、十分な環境光強度が確保されない場所では表示が暗くなってしまい、視認性が極端に悪くなるという問題点がある。暗い環境下でも表示が視認されるようにするために、(1)バックライトを設け、反射膜の一部に切り欠きを入れ、一部が透過型表示方式、一部を反射型表示方式とした液晶表示装置、半透過半反射型表示方式(いわゆる半透過型表示方式、例えば、非特許文献2参照)、(2)フロントライトを設けた液晶表示装置などが考案されている。
【0003】
反射膜の一部に切り欠きを入れ、バックライトを設けた半透過型液晶表示装置では、バックライト光を利用する透過表示と環境光を利用する反射表示が1画素内に共存するため、環境光強度によらず、視認性のよい表示を行うことが出来る(例えば、特許文献1参照)。しかし、図8に示すような従来の構成のカラーフィルター、すなわち、反射用領域と透過用領域が特別には設けられていない、1画素内での着色が均一なカラーフィルターを用いた場合には、鮮やかな透過表示を得ようとすると問題点が生じていた。具体的には透過色の色鮮やかさ(色純度)を向上させると、反射色もそれに伴いさらに色純度が高くなり、色純度とトレードオフの関係にある明るさが極端に低下し、十分な視認性が得られないというものである。この問題点は、透過表示を行うときにはバックライト光がカラーフィルターを1回透過するのに対して、反射表示では、環境光が入射時と反射時の2回カラーフィルターを透過することに起因する。また、半透過型液晶表示装置では透過表示での光源がバックライト光である一方、反射表示での光源が環境光であるために、色純度だけでなく色調も変化してしまうという問題点もある。これは、環境光がD65光源に代表されるような連続的なスペクトルを持つのに対して、バックライト光源がある特定の波長にスペクトルのピークをもつという光源のスペクトル特性の違いに起因する。
【0004】
そこで、透過用領域と反射用領域の表示色を同一にする(色純度、明るさ、色調を同一にする)方法として、反射用領域にスペーサー部を形成して、透過用領域と反射用領域で着色層の膜厚を変えることが記載されている(例えば、特許文献2参照)。図9は、従来知られている膜厚を調整する方式での半透過型液晶表示装置用カラーフィルターの断面図を模式的に示したものである。反射用領域7には透明樹脂層3が形成され、反射用領域7の着色層4の膜厚は、透過用領域6の着色層4の膜厚に比べて、薄くなっている。しかし、反射用領域7の着色層膜厚を薄く変えただけでは、色純度、明るさは大きな違いをなくすことができるものの赤、緑、青それぞれ単色の反射表示の色調は透過表示での色調と異なってしまい、反射と透過における見え方に違和感があるという問題点があった。また、透過表示での色純度を向上させた場合には、反射表示での十分な明るさを得ることが出来ないという問題点があった。
【0005】
また、透過用領域と反射用領域の表示色を同一にする別の方法としては、図10に示すような透過用領域および/または反射用領域をバックライト光と環境光を考慮した適切な複数の色材料で塗り分ける方法がある(例えば、特許文献3参照)。透過用領域および/または反射用領域を塗り分ける方法では、透過用領域6と反射用領域7の色調を同じにして色純度、明るさを変え、目的にあった透過表示色と反射表示色を達成することができると考えられるが、現在主流のフォトリソ法では、一色の画素を形成するのに二度以上の色材料塗布、フォトリソ加工をすることになる。すなわち、赤、緑、青の三色の画素を形成するには各色2回、計6回のフォトリソ加工が必要となり、製造コストが増加してしまうという問題点があった。
【0006】
一方、製造コストを増加させず、明るい反射表示を実現する方法として、図11に示すような反射用領域7に着色層を形成する領域4と形成しない領域5とを含む構成が提案されている(特許文献4、参照)。この方法によれば、着色層を形成しない領域5を各色毎に異ならせることにより、反射表示での適切な色純度と明るさを得ることが出来るとされている。しかし、本来波長選択性が要求されるカラーフィルターに選択性のない無着色領域を形成することにより、カラーフィルターとしての特性が低下してしまう。すなわち、同じ色純度で比較すると明るさに劣ったカラーフィルターとなってしまう。この傾向は、透過用領域の色純度を向上させると顕著になり、反射表示での十分な明るさが得られなくなってしまう。
【0007】
こうした問題点を解消するために、一画素中に透過用領域と反射用領域を含み、少なくとも1色の画素については、非感光性樹脂を含む着色層24b上に感光性樹脂を含む着色層24aを積層させ、一括加工したカラーフィルターが提案されている(特許文献5、参照)。図12は、特許文献5に記載の半透過型液晶表示装置用カラーフィルターの断面図を模式的に示したものである。この方法によれば、反射用領域の感光性樹脂を含む着色層24aは、半透過フォトマスクを使用することにより、透過用領域の感光性樹脂層膜厚の1/2以下に調整することが出来、反射表示での明るさを向上させることが出来る。また、積層させる着色層の着色特性をそれぞれ最適化することで、透過用領域6と反射用領域7とでの表示特性を所望の色調にすることができる。
【0008】
しかし、感光性樹脂からなる着色層24aについては、反射用領域7の着色層を薄くすることが出来るものの、下層の非感光性樹脂からなる着色層24bは、透過用領域6と反射用領域7との膜厚が同等であるため、透過表示での色純度を向上させた場合には、反射表示での十分な明るさを実現することが困難であった。
【0009】
すなわち、従来知られている方法では、反射用領域と透過用領域とをそれぞれ所望の色特性にすること、ならびに製造工程増加を抑えて安価に製造することを両立することが困難であった。
【0010】
本発明者らは、反射用領域と透過用領域とをそれぞれ所望の色特性にすること、ならびに製造工程増加を抑えて安価に製造することを両立するカラーフィルターとして、複数の着色層が積層され、かつ、最上層が感光性カラーレジストからなる構造を有し、かつ、反射用領域において基板と着色層の間に透明樹脂層を有することを特徴とするカラーフィルターを提案している(特願2002−350830号、参照)。その中でも、反射用領域の着色層数が透過用領域に積層された着色層数よりも少ないカラーフィルター構成では、反射表示での明るさが特に向上できる。しかしながら、反射用領域に塗布された最上層以外の着色層を安定的に除去する加工条件や、歩留まりをさらに高くすることが望まれていた。
【0011】
【特許文献1】
特開平11−109417号公報(第1図)
【0012】
【特許文献2】
特開2001−33778号公報(第3〜4頁、第2図、第8図)
【0013】
【特許文献3】
特開2001−183646号公報(第1図)
【0014】
【特許文献4】
特開2000−111902号公報
【0015】
【特許文献5】
特開2002−365419号公報
【0016】
【非特許文献1】
「日経マイクロデバイス別冊フラットパネル・ディスプレイ」、1998年、p.126。
【0017】
【非特許文献2】
「ファインプロセステクノロジージャパン’99、専門技術セミナーテキストA5」、1998年7月2日、p.6。
【0018】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、かかる従来技術の欠点に鑑み創案されたもので、半透過型液晶表示装置用カラーフィルターにおいて、反射用領域と透過用領域とをそれぞれ所望の色特性にすること、ならびに製造工程増加を抑えて安定的に製造することを目的とする。
【0019】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、従来技術の課題を解決するために鋭意検討した結果、以下のカラーフィルターによって半透過型液晶表示装置の反射表示と透過表示とで所望の色特性(色純度、明るさ、色調)を得ることが可能であって、かつ工程増加を抑えて、低コストにカラーフィルターを製造可能であることを見いだした。また、表示品位の高い半透過型液晶表示装置を低コストに実現可能であることを見出した。
すなわち、
(1) 一画素中に透過用領域と反射用領域を含み、複数色の画素が配されたカラーフィルターであって、少なくとも1色の画素の透過用領域には複数の着色層が積層され、かつ反射用領域には透過用領域よりも少ない数の着色層が形成されており、透過用領域と反射用領域の少なくとも境界部には着色層以外の樹脂層が形成され、反射用領域の有効表示領域に対応する着色層の一部に除去部を形成したことを特徴とする液晶表示装置用カラーフィルター。
【0020】
(2)複数色の画素が、緑画素、赤画素、青画素であって、各画素における反射領域の面積に対する除去部の面積の比率が、緑画素≧赤画素≧青画素の順であることを特徴とする
(1)に記載の液晶表示装置用カラーフィルター。
【0021】
(3) 積層された着色層のうち下層の着色層がポリイミド樹脂からなる上記(1)、(2)のいずれかに記載の液晶表示装置用カラーフィルター。
【0022】
(4) 上記(1)〜(3)のいずれかに記載のカラーフィルターを用いたことを特徴とする液晶表示装置。
【0023】
【発明の実施の形態】
本発明のカラーフィルターは一画素内に透過用領域と反射用領域を持つ半透過液晶表示装置に好適に用いることができる。
【0024】
外光を利用するための反射膜が形成される基板は、カラーフィルター側基板、カラーフィルターに対向する基板のいずれでもよい。カラーフィルター側に反射膜が形成されている場合は、色材料が形成されている画素領域の内、反射膜が形成されている領域が反射用領域となり、画素領域の中で反射膜が形成されていない領域が透過用領域となる。反射膜がカラーフィルターに対向する基板上に形成されている場合は、該基板の反射膜形成領域に対応するカラーフィルター画素領域が反射用領域となり、該基板の反射膜が形成されていない領域に対応するカラーフィルター画素領域が透過用領域となる。
【0025】
本発明においては、反射用領域と透過用領域の配置について特に限定はないが、反射用領域の内側に透過用領域が含まれることが好ましい。
【0026】
本発明者らは、反射用領域の着色層数を透過用領域の着色層よりも少なくする、すなわち反射表示での明るさを向上させるための手段として、感光性レジストと非感光性ペーストとの現像特性の違いに着目し、それぞれからなる着色層を積層させ、一括パターン加工する加工方法を考案した。透過用領域に複数の着色層を積層させること、ならびに反射用領域の着色層数を透過用領域の着色層よりも少なくすることで、透過表示での色純度を向上させた場合でも、明るい反射表示を得ることが出来る。また、積層させるそれぞれの着色塗膜の着色を適宜異ならせることで、透過表示と反射表示のそれぞれで所望の色純度、明るさ、色調を得ることが可能となる。
【0027】
ここで、ネガ型感光性レジストと非感光性ペーストの現像特性の違いについて述べる。ネガ型感光性レジストでは、紫外線などにより露光された領域は、光架橋反応が進行し、現像液に不溶となる一方、未露光部分は、現像液に溶解する。したがって、十分な露光量の紫外線を照射することで、現像時間によらず、一定のパターンを形成することが出来る。
【0028】
一方、非感光性ペーストのフォトリソ加工では、それ自体が感光性能を持たないため、感光性のレジストを非感光性ペーストからなる塗膜上に塗布する必要がある。紫外線などの露光により、感光性レジストは露光部分、未露光部分での溶解性が変化するが、非感光性ペーストからなる塗膜層は、光照射によって、なんら溶解性が変化することがない。そのため、適正現像時間よりも現像時間を長くした過現像条件とすることで、上層の感光性レジストに比べて、下層の非感光性ペーストのエッチングをさらに進めることが出来る。
【0029】
本発明者らは、このような現像特性の違いに着目し、感光性レジストならびに非感光性ペーストの積層膜を露光後、過現像条件で一括現像することにより、感光性レジスト層と非感光性ペースト層とを異なった形状に形成出来ることを見出した。
【0030】
さらに、本発明者らは凹状に形成された樹脂層上に、非感光性ペースト、さらにその上に感光性レジストを積層し、パターン加工する際に、凹状樹脂層の段差部分で非感光性ペーストのエッチング速度が非常に遅くなり、非感光着色層の現像性が制御出来ることを見出した。すなわち、段差形状を作るための樹脂層をあらかじめ任意のパターンに形成しておき、その上に非感光性ペースト、さらにその上に感光性レジストを積層し、一括現像することで、感光性レジスト層と非感光性ペースト層とを所望の形状に加工出来ることを見出した。
【0031】
本発明においては、透過用領域と反射用領域の少なくとも境界部には着色層以外の樹脂層を形成し、その段差をエッチング速度の制御に利用することで反射用領域の着色層数を透過用領域の着色層よりも少なくする構成を実現する。透過用領域と反射用領域の境界部に作られた段差形状により、非感光性ペーストのエッチング速度が非常に遅くはなるものの、ある時間が経過すると現像液の浸透がおこる。すなわち、本来現像されるべきではない透過用領域へのエッチングが進行する。したがって、反射用領域の非感光性ペーストからなる着色層は、カラーフィルターを安定に加工するために、速やかに現像される方が好ましい。
【0032】
本発明者らは、着色層の一部に除去部を形成することで、下層の非感光性ペーストからなる着色層への現像液の浸透が促進され、速やかに現像が進むことにより、安定したカラーフィルター製造が可能になることを見出した。さらに、着色層の一部に除去部を形成することで、反射表示での明るさが向上できることも見出した。
【0033】
ここでいう「除去部」とは、着色層をすべて取り除いた領域、もしくは着色層膜厚がハーフエッチング状に薄くなった領域を指す。本発明においては、反射用領域の下層非感光性ペーストからなる着色層への現像液の浸透が促進されることが重要であり、ここでいう「除去部」とは、その目的を達するものであれば、その形状については特に限定されない。
【0034】
例えば、除去部の平面形状については、スリット形状、長方形、円形などいずれであってもよい。スリット形状である場合は、そのスリット間隙が10μm以下であることが好ましく、7μm以下であることがさらに好ましい。10μmより大きなスリット間隙の場合、現像時に着色パターンの欠け、剥がれなどが起こる可能性があり、好ましくない。
【0035】
除去部は、下層の非感光性ペーストからなる着色層への現像液の浸透が速やかに進む領域に形成することが好ましく、有効表示領域内の反射用領域のおおむね中央に形成することがより好ましい。反射用領域のおおむね中央に除去部を形成することは、フォトリソ加工時の着色層アライメントずれに対するマージンを広くする観点からも好ましい。ここでいう有効表示領域とは、液晶表示装置の表示に主として用いられる領域で、例えば、遮光部、コンタクトホール部、固定スペーサー突き当て部、配向制御用突起状樹脂形成部、パターン加工された透明導電膜の間隙などは含まない。上記に例をあげた有効表示領域以外の領域は、表示に影響を与えないよう画素の周辺部に配置されるため、除去部を形成した場合でも下層の非感光性ペーストからなる着色層のエッチングを進める効果が制限される場合がある。
【0036】
また、除去部はすべての画素について形成されている必要はなく、少なくとも1色の画素について形成されていれば、本発明の効果が発揮される。例えば、除去部の有無、位置、個数などを各色毎に変えてもよい。具体的には、1色目に比べ、下層の非感光性ペースト層の現像が進みにくい2色目、3色目の除去部は、1色目に比べ、数を増やす、面積を大きくするなどがあげられる。より具体的には、2色目の除去部については、1色目と色重なりの可能性があるストライプ片側の端面に除去部を形成し、3色目については、ストライプ両側の端面に除去部を形成することなどである。
【0037】
反射用領域の面積に対する除去部の面積の比率は、特に制限はないが、色特性を著しく落とさない範囲にすることが好ましい。色特性を著しく落とさない範囲とは、具体的には、その比率が50%以下であり、より好ましくは40%以下であり、さらに好ましくは30%以下のことを指す。反射用領域の面積に対する除去部の面積が大きくなると、カラーフィルターの特性が低下してしまい、同じ明るさの時に色鮮やかさが低下してしまう。
【0038】
反射用領域の面積に対する除去部の面積の比率は、赤画素、緑画素、青画素でそれぞれ同じでもよいし、異なっていてもよい。反射用領域に対する除去部の面積を異ならせる場合には、除去部の面積を緑≧赤≧青の順に大きくすることが好ましい。この序列とすることで、色バランスに優れた、明るく、視認性のよい反射表示を実現することが出来る。具体的には、赤画素についていえば、25%以下、より好ましくは20%以下、緑画素についていえば、10%以上50%以下、より好ましくは20%以上35%以下、青画素についていえば、20%以下、より好ましくは13%以下であるのがよい。
【0039】
ここで、より具体的に本発明のカラーフィルター加工の一例について述べる。図7(a)には透過用領域と反射用領域の境界に段差をもつようパターン加工された透明樹脂層3の例を示す。この樹脂層上に、非感光性ペースト、さらにその上に感光性レジストを積層したものが図7(b)である。フォトマスクを介した露光の後、現像液に浸漬すると、上層の感光性レジスト層24aのうち、未露光部は溶解し、露光部は溶解せずに現像される。一方、下層の非感光性ペースト層24bは、現像時間と共に溶解が進行するが、樹脂層の段差部分で非感光性ペーストのエッチング速度が極めて遅くなり、透過用領域6の非感光性ペースト24bは現像されずに、反射用領域7の非感光性ペースト24bのみが選択的に現像される。結果として、透過用領域6に感光性レジスト層24aと非感光性ペースト24bが積層され、反射用領域7には感光性レジスト層24aのみが得られる(図7(c))。この際、適切な現像時間を超えて、現像時間が長くなると、非感光性ペーストのエッチングがさらに進行し、透過用領域6の非感光性ペーストからなる着色層への現像液の浸透が起こることになる。
【0040】
反射用領域7の下層にある非感光性ペースト層を速やかにエッチングし、透過用領域への現像液の浸透を抑制するための本発明における「除去部」の位置の例について、図1〜図5に示す。
【0041】
本発明においては、積層される樹脂層は最上層に感光性レジストからなる樹脂層が形成されることが必要であるが、感光性レジストの下の非感光性ペーストおよび/または感光性レジスト樹脂層は何層でも積層することが可能である。何層積層するかは目標の色特性を達成するために適宜選択されるが、生産性の観点からは樹脂層としては感光性レジストと他の1層を組み合わせた2層積層構造であることがより好ましい。
【0042】
本発明においては、現像性を制御するよう透過用領域と反射用領域の境界部に、段差形状を形成することが重要である。現像性を制御するための着色層以外の樹脂層は、透過用領域と反射用領域の境界部のみに形成されていてもよく、反射用領域の全体に渡って形成されていてもよい。ここでいう着色層とは、液晶表示装置の発色のために用いられる層を指し、例えば透明樹脂層、遮光層などは含まないものとする。
【0043】
着色層以外の樹脂層が遮光層である場合は、透過用領域と反射用領域の境界部のみに樹脂層が形成されている方が、画素の有効表示面積(開口率)の減少が抑えられ好ましい。また、開口率の低下をさらに少なくするため、その線幅は10μm以下が好ましく、7μm以下がより好ましい。また、パターン加工性の観点からは、遮光層の膜厚は、7μm以下が好ましく、5μm以下がより好ましく、3μm以下がさらに好ましい。
【0044】
一方、着色層以外の樹脂層が透明樹脂層である場合は、透過用領域と反射用領域の境界部のみに樹脂層が形成されていてもよく、反射用領域全体について樹脂層が形成されていてもよい。
【0045】
反射用領域の全体に渡って、樹脂層を形成する場合は、樹脂層は透明であることが好ましい。ここで「透明」とは、具体的には可視光領域の平均透過率が80%以上であることをいう。
【0046】
本発明においては、透過表示と反射表示の色純度、明るさ、色調を所望の特性とするためには、透過用領域の着色と反射用領域の着色が異なることが好ましい。反射用領域の着色と透過用領域の着色を変える方法としては、最上層の感光性カラーレジストからなる着色層とそれ以外の着色層の着色が異なる構成とすることがあげられる。「着色が異なる」とは、同一光源(例えばC光源)で透過用領域と反射用領域を見たときの色純度、明るさ(透過率)、色調が異なることを指す。最上層の感光性カラーレジストと感光性カラーレジストおよび/または非感光性カラーペーストからなる下層着色層との着色は同一とする必要はなく目的に応じて異なることが好ましい。
【0047】
着色を異ならせる方法としては、使用する着色剤数、着色剤種類、着色剤組成、着色剤濃度を異ならせることで達成することができる。勿論、使用される着色剤が同じであっても混合比率を変えれば達成される色度を異ならせることができる。たとえば、最上層を主顔料と副顔料の両者を使用した着色とし、下層着色層には主顔料あるいは副顔料のみを使用した着色とする、あるいは、最上層と下層着色層で主顔料の種類を変えるなどが可能である。
【0048】
また、着色塗液の平坦化(レベリング)によっても、反射用領域の着色と透過用領域の着色(同一光源(例えばC光源)で見たときの「色の濃さ」)を変えることができる。例えば、基板上の反射用領域に透明樹脂層を形成すると反射用領域は透明樹脂層部分の膜厚分凸になり、透過用領域は反射用領域に比べて低い部分的に凸のある基板となる。凸のある基板上に非感光性カラーペーストおよび/または感光性カラーレジストを塗布し着色層を形成すると、透過用領域の着色層の膜厚は、非感光性カラーペーストや感光性カラーレジストによる平坦化(レベリング)によって凸が形成されている反射用領域の膜厚に比べて厚くなる。すなわち、反射用領域の着色に比べ、透過用領域の着色を濃くすることが出来る。
【0049】
着色塗液の平坦化(レベリング)の程度は、塗液の粘度、固形分濃度により調整することが出来る。塗液の粘度が低いとより平坦化しやすくなり、また塗液中の固形分濃度が高いとより平坦化しやすくなる。最上層の着色層に用いる感光性カラーレジスト中の固形分濃度は10重量%から30重量%であることが好ましく、下層の着色層に用いる非感光性カラーペーストおよび/または感光性カラーレジスト中の固形分濃度は3重量%から15重量%であることが好ましい。
【0050】
本発明では少なくとも一色の画素について非感光性カラーペーストおよび/または感光性カラーレジストからなる着色層と感光性カラーレジストからなる着色層を積層させるが、積層させる色については、特に限定はなく赤画素、緑画素、青画素のいずれでもよく、積層させる色画素は1色でも2色でも3色でもよいが、用いるバックライト光源と環境光の特性差を勘案し、目標の着色を達成できるように個々の積層させる色材料の着色を決めることが好ましい。
【0051】
好ましい画素の着色設計には、光源の違いを考慮に入れるため、透過用領域はバックライトに用いられる光源としてC光源、2波長型光源、3波長型光源の内のいずれか、反射用領域は環境光としての太陽光(自然光)に近いD65光源で行うことが好ましい。ここでいう2波長型のLED光源の例としては、青色LEDと黄色蛍光体または黄緑色蛍光体とを組み合わせて白色光を発するLED光源があげられる。また、3波長型光源の例としては、3波長冷陰極管、紫外LEDと赤、青、緑蛍光体とを組み合わせた白色LED光源、赤、青、緑各色のLEDを組み合わせた白色LED光源、青色LEDと赤色蛍光体ならびに緑色蛍光体とを組み合わせた白色LED光源、有機エレクトロルミネッセンス光源などがあげられる。
【0052】
反射用領域に形成される透明樹脂層の膜厚は、光源の違いを勘案したうえで反射用領域と透過用領域の色純度、明るさ、色調が所望の特性となるように選択させる。透明樹脂の膜厚が大きいほど、平坦化により反射用領域と透過用領域に形成される着色層の膜厚差が大きくなり、反射用領域の明るさを明るくする効果が大きい。透明樹脂層の膜厚があまり大きくなるとカラーフィルター表面の段差が大きくなり、液晶配向に悪影響を及ぼし表示品位が悪化するので透明樹脂層の膜厚は10μm以下が好ましい。
【0053】
透明樹脂層は感光性レジストを使用して形成することができる。感光性樹脂材料としてはポリイミド系樹脂、エポキシ系樹脂、アクリル系樹脂、ウレタン系樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリオレフィン系樹脂等の材料が使用できる。感光性を持たせるためには、少なくとも光重合開始剤を含有させ、単官能または多官能モノマー、オリゴマーを有するのが一般的である。
【0054】
アクリル系樹脂は、可視光域での透明性が高く好ましく用いられるが、エポキシモノマーを加えたいわゆるアクリルエポキシ樹脂としてもよい。
【0055】
透明樹脂層を感光性レジストで形成した場合は、フォトリソ加工の露光工程で、露光マスクと透明樹脂層を形成する基板の距離を変えることで透明樹脂層の表面の丸みや平坦性を制御することが可能である。
【0056】
透明樹脂層は非感光性ペーストを使用しても形成することができる。非感光性樹脂材料としてはポリイミド系樹脂、エポキシ系樹脂、アクリル系樹脂、ウレタン系樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリオレフィン系樹脂等の材料が使用でき、ポリイミド系樹脂が好ましく用いられる。透明樹脂層を非感光性ペーストで形成した場合は、透明樹脂層の上部表面が平坦な構造になり、より小さな面積の透明樹脂層を形成することが可能である。
【0057】
反射用領域に形成する透明樹脂層には光散乱のための粒子を含んでもよい。透明樹脂層に光拡散の粒子を含むことで、正反射成分による表示のギラツキを押さえ、良好な表示特性を得ることができ、かつ透過用領域には透明樹脂層は存在しないので光散乱せずに効率的にバックライトを使用することができる。光散乱のための粒子としてはシリカ、アルミナ、チタニアなどの無機酸化物粒子、金属粒子、アクリル、スチレン、シリコーン、フッ素含有ポリマーなどの樹脂粒子などの材料を使用することができ、シリカ粒子を用いることが好ましい。光散乱粒子の粒径としては0.1〜10μmの範囲で用いることができる。光拡散の粒子径が透明樹脂層の厚み以下である場合は透明樹脂層が平坦になるのでより好ましい。
【0058】
非感光性ペーストを用いて透明樹脂層を形成する例としては、透明基板上に非感光性ペーストを塗布し、ホットプレート、オーブン、真空乾燥などを用いて加熱乾燥(セミキュア)する。セミキュア膜上にポジ型フォトレジストを塗布し、加熱乾燥(プリベーク)する。プリベーク後にマスク露光し、アルカリ現像し、フォトレジストを溶剤で剥離することで透明樹脂層を形成し加熱硬化させる。
【0059】
感光性レジストを用いて透明樹脂層を形成する方法としては、透明基板上に感光性レジストを塗布し、ホットプレート、オーブン、真空乾燥を用いて加熱乾燥(プリベーク)する。プリベーク後にマスク露光し、アルカリ現像し、後に加熱硬化することで、透明樹脂層を得る。
【0060】
本発明で使用する色材料は、着色成分と樹脂成分を含むペーストである。樹脂成分としては、ポリイミド系樹脂、エポキシ系樹脂、アクリル系樹脂、ウレタン系樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリオレフィン系樹脂等の材料が好ましく用いられる。感光性、非感光性のどちらの材料でも使用することが可能である。
【0061】
感光性カラーレジストは、着色成分と樹脂成分を含み、樹脂成分は光によって反応する感光成分を含む。光照射された樹脂が現像液への溶解速度のあがるポジ型と、光照射された樹脂が現像液への溶解速度の下がるネガ型があり、どちらも使用することが可能であるが、可視光で感光成分の透明性の高いネガ型樹脂が好ましく用いられる。感光性カラーレジストの樹脂成分としてはポリイミド系樹脂、エポキシ系樹脂、アクリル系樹脂、ウレタン系樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリオレフィン系樹脂等の材料が好ましく用いられる。
【0062】
感光性カラーレジストに使用する樹脂成分の例として、アクリル系樹脂について述べる。感光性アクリル系樹脂としては、感光性を持たせるため、少なくともアクリル系ポリマー、アクリル系多官能モノマーあるいはオリゴマー、光重合開始剤を含有させた構成を有するのが一般的である。さらにエポキシを加えた、いわゆるアクリルエポキシ樹脂も用いることができる。
【0063】
使用できるアクリル系ポリマーとしては、特に限定はないが、不飽和カルボン酸とエチレン性不飽和化合物の共重合体を好ましく用いることができる。不飽和カルボン酸の例としては、例えばアクリル酸、メタクリル酸、イタコン酸、クロトン酸、マレイン酸、フマル酸、ビニル酢酸、あるいは酸無水物などがあげられる。
【0064】
これらは単独で用いても良いが、他の共重合可能なエチレン性不飽和化合物と組み合わせて用いても良い。共重合可能なエチレン性不飽和化合物としては、具体的には、アクリル酸メチル、メタクリル酸メチル、アクリル酸エチル、メタクリル酸エチル、アクリル酸n−プロピル、アクリル酸イソプロピル、メタクリル酸nープロピル、メタクリル酸イソプロピル、アクリル酸n−ブチル、メタクリル酸n−ブチル、アクリル酸sec−ブチル、メタクリル酸sec−ブチル、アクリル酸イソ−ブチル、メタクリル酸イソ−ブチル、アクリル酸tert−ブチル、メタクリル酸tert−ブチル、アクリル酸n−ペンチル、メタクリル酸n−ペンチル、2−ヒドロキシエチルアクリレート、2−ヒドロキシエチルメタクリレート、ベンジルアクリレート、ベンジルメタクリレートなどの不飽和カルボン酸アルキルエステル、スチレン、p−メチルスチレン、o−メチルスチレン、m−メチルスチレン、α−メチルスチレンなどの芳香族ビニル化合物、アミノエチルアクリレートなどの不飽和カルボン酸アミノアルキルエステル、グリシジルアクリレート、グリシジルメタクリレートなどの不飽和カルボン酸グリシジルエステル、酢酸ビニル、プロピオン酸ビニルなどのカルボン酸ビニルエステル、アクリロニトリル、メタクリロニトリル、α−クロルアクリロニトリルなどのシアン化ビニル化合物、1,3−ブタジエン、イソプレンなどの脂肪族共役ジエン、それぞれ末端にアクリロイル基、あるいはメタクリロイル基を有するポリスチレン、ポリメチルアクリレート、ポリメチルメタクリレート、ポリブチルアクリレート、ポリブチルメタクリレート、ポリシリコーンなどのマクロモノマーなどがあげられるが、これらに限定されるものではない。
【0065】
また、側鎖にエチレン性不飽和基を付加したアクリル系ポリマーを用いると、加工の際の感度がよくなるので好ましく用いることができる。エチレン性不飽和基としては、ビニル基、アリル基、アクリル基、メタクリル基のようなものがある。このような側鎖をアクリル系(共)重合体に付加させる方法としては、アクリル系(共)重合体のカルボキシル基や水酸基などを有する場合には、これらにグリシジル基を有するエチレン性不飽和化合物やアクリル酸またはメタクリル酸クロライドを付加反応させる方法が一般的である。その他、イソシアネートを利用してエチレン性不飽和基を有する化合物を付加させることもできる。ここでいうグリシジル基を有するエチレン性不飽和化合物やアクリル酸またはメタクリル酸クロライドとしては、アクリル酸グリシジル、メタクリル酸グリシジル、α−エチルアクリル酸グリシジル、クロトニルグリシジルエーテル、クロトン酸グリシジルエーテル、イソクロトン酸グリシジルエーテル、アクリル酸クロライド、メタクリル酸クロライドなどがあげられる。
【0066】
多官能モノマーとしては、例えば、ビスフェノールAジグリシジルエーテル(メタ)アクリレート、ポリ(メタ)アクリレートカルバメート、変性ビスフェノールAエポキシ(メタ)アクリレート、アジピン酸1,6−ヘキサンジオール(メタ)アクリル酸エステル、無水フタル酸プロピレンオキサイド(メタ)アクリル酸エステル、トリメリット酸ジエチレングリコール(メタ)アクリル酸エステル、ロジン変性エポキシジ(メタ)アクリレート、アルキッド変性(メタ)アクリレートのようなオリゴマー、あるいはトリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、1,6−ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、ビスフェノールAジグリシジルエーテルジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、トリアクリルホルマール、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレートなどがあげられる。これらは単独または混合して用いることができる。また、次にあげるような単官能モノマーも併用することができ、例えば、エチル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、n−ブチルメタクリレート、グリシジルメタクリレート、ラウリル(メタ)アクリレート、ステアリル(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレートなどがあり、これらの2種以上の混合物、あるいはその他の化合物との混合物などが用いられる。これらの多官能及び単官能モノマーやオリゴマーの選択と組み合わせにより、ペーストの感度や加工性の特性をコントロールすることが可能である。特に、硬度を高くするにはアクリレート化合物よりメタクリレート化合物が好ましく、また、感度を上げるためには、官能基が3以上ある化合物が好ましい。また、メラミン類、グアナミン類などもアクリル系モノマーの代わりに好ましく用いることができる。
【0067】
光重合開始剤としては、特に限定はなく、公知のものが使用でき、例えば、ベンゾフェノン、N,N’−テトラエチル−4,4’−ジアミノベンゾフェノン、4−メトキシ−4’−ジメチルアミノベンゾフェノン、2,2−ジエトキシアセトフェノン、ベンゾイン、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインイソブチルエーテル、ベンジルジメチルケタール、α−ヒドロキシイソブチルフェノン、チオキサントン、2−クロロチオキサントン、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、2−メチル−1−[4−(メチルチオ)フェニル]−2−モルホリノ−1−プロパン、t−ブチルアントラキノン、1−クロロアントラキノン、2,3−ジクロロアントラキノン、3−クロル−2−メチルアントラキノン、2−エチルアントラキノン、1,4−ナフトキノン、9,10−フェナントラキノン、1,2−ベンゾアントラキノン、1,4−ジメチルアントラキノン、2−フェニルアントラキノン、2−(o−クロロフェニル)−4,5−ジフェニルイミダゾール2量体などがあげられる。また、その他のアセトフェノン系化合物、イミダゾール系化合物、ベンゾフェノン系化合物、チオキサントン系化合物、リン系化合物、トリアジン系化合物、あるいはチタネート等の無機系光重合開始剤なども好ましく用いることができる。また、p−ジメチルアミノ安息香酸エステルなどの増感助剤を添加すると、さらに感度を向上させることができ好ましい。また、これらの光重合開始剤は2種類以上を併用して用いることもできる。
【0068】
光重合開始剤の添加量としては、特に限定はないが、ペースト全固形分に対して、好ましくは1〜30wt%、より好ましくは5〜25wt%、さらに好ましくは10〜20wt%である。
【0069】
非感光性カラーペーストまたは感光性カラーレジストを塗布する方法としては、ディップ法、ロールコーター法、スピンコーティング法、ダイコーティング法、ダイコーティングとスピンコーティング併用法、ワイヤーバーコーティング法などが好適に用いられる。
【0070】
画素を形成する方法としては、画素の反射用領域に透明樹脂層が形成された透明基板上に、たとえば非感光性カラーペーストを塗布、ホットプレート、オーブン、真空乾燥を用いて加熱乾燥(セミキュア)する。このセミキュア膜上に感光性カラーレジストを塗布し、加熱乾燥(プリベーク)する。プリベーク後にマスク露光し、アルカリ現像し、加熱硬化させるフォトリソ工程で非感光性カラーペースト層と感光性カラーレジスト層とを同時にパターニングでき、積層構成でありながら1回のフォトリソ加工で1色の画素を形成することができる。
【0071】
カラーフィルターの形成は、ガラス、高分子フィルム等の透明基板側に限定されず、駆動素子側基板にも行うことができる。カラーフィルターのパターン形状については、ストライプ状、アイランド状などがあげられるが特に限定されるものではない。また、必要に応じてカラーフィルター上に柱状の固定式スペーサーが配置されていてもよい。
【0072】
本発明のカラーフィルターは、半透過型液晶表示装置に組み込まれて使用される。ここで、半透過型液晶表示装置とは、対向基板あるいはカラーフィルターの反射領域にはアルミニウム膜や銀膜等から成る反射膜を備え、透過領域にはそのような反射膜がないことを特徴とする液晶表示装置である。本発明のカラーフィルターは、液晶表示装置の駆動方法、表示方式にも限定されず、アクティブマトリクス方式、パッシブマトリクス方式、TNモード、STNモード、ECBモード、OCB、VAモードなど種々の液晶表示装置に適用される。また、液晶表示装置の構成、例えば偏光板の数、散乱体の位置等にも限定されずに使用することができる。
【0073】
本発明のカラーフィルター作製方法の一例を述べる。
【0074】
透明基板上に少なくともポリアミック酸、黒色着色剤、溶剤からなる非感光性カラーペーストを透明基板上に塗布した後、風乾、加熱乾燥、真空乾燥などにより、ポリアミック酸黒色着色被膜を形成する。加熱乾燥の場合、オーブン、ホットプレートなどを使用し、60〜200℃の範囲で1分〜60分行うのが好ましい。次にこのようにして得られたポリアミック酸黒色被膜にポジ型フォトレジストを塗布し、ホットプレートを使用して60〜150℃の範囲で1〜30分加熱乾燥させる。露光装置を用いて、紫外線を照射し目的のパターンを焼き付け、アルカリ現像して所望位置に所望パターンで樹脂ブラックマトリクス層を得る。樹脂ブラックマトリクス層は200〜300℃で加熱硬化させる。
【0075】
次にポリアミック酸と溶剤からなる非感光性ペーストをブラックマトリクスが形成された透明基板の全面に塗布し、ホットプレートを使用し、60〜200℃の範囲で1〜60分間加熱乾燥する。次にこのようにして得られたポリアミック酸被膜にポジ型フォトレジストを塗布し、ホットプレートを使用して60〜150℃の範囲で1〜30分加熱乾燥させる。露光装置を用いて、紫外線を照射し目的のパターンを焼き付け、アルカリ現像して所望位置に所望パターンで透明樹脂層を得る。透明樹脂層は200〜300℃で加熱硬化させる。
【0076】
次に着色層を積層して画素を形成する。少なくともポリアミック酸、着色剤、溶剤からなる非感光性カラーペーストを透明樹脂層が形成された透明基板上に塗布した後、風乾、加熱乾燥、真空乾燥などにより、ポリアミック酸着色被膜を形成する。加熱乾燥の場合、オーブン、ホットプレートなどを使用し、60〜200℃の範囲で1分〜60分行うのが好ましい。次に、このようにして得られたポリアミック酸着色被膜に、アクリル系ポリマー、アクリル系多官能モノマー、光重合開始剤からなる感光性アクリル樹脂、着色剤、溶剤からなる感光性カラーレジストを塗布した後、風乾、加熱乾燥、真空乾燥などにより、感光性アクリル着色被膜を積層形成する。加熱乾燥の場合、オーブン、ホットプレートなどを使用し、60〜200℃の範囲で1分〜3時間行うのが好ましい。続いて感光性アクリル着色被膜にフォトマスクと露光装置を用いて紫外線をパターン状に照射する。露光後、アルカリ現像液により、感光性アクリル着色被膜とポリアミック酸着色被膜のエッチングを同時に行う。
【0077】
ポリアミック酸着色被膜は、その後、加熱硬化することによって、ポリイミド着色被膜に変換される。加熱硬化は通常、空気中、窒素雰囲気中、あるいは、真空中などで、150〜350℃、好ましくは180〜250℃の温度のもとで、0.5〜5時間、連続的または段階的に行われる。
【0078】
感光性アクリル着色層を積層しない他の色の画素がある場合は、ポリアミック酸着色被膜を形成した後、フォトレジストを塗布し、フォトレジスト被膜を形成する。続いて該フォトレジスト被膜上にフォトマスクと露光装置を用いてパターン状に紫外線照射する。露光後、アルカリ現像液により、フォトレジスト被膜とポリアミック酸被膜のエッチングを同時に行う。エッチング後、不要となったフォトレジスト被膜を剥離し、ポリアミック酸を加熱硬化することでポリイミド着色膜を得る。
【0079】
以上の工程を赤、緑、青の画素について行うと、液晶表示装置用カラーフィルターが作製できる。
【0080】
次に、このカラーフィルターを用いて作成した半透過型液晶表示装置の一例について述べる。上記カラーフィルター上に、透明保護膜を形成し、さらにその上にITO膜などの透明電極を製膜する。次に、このカラーフィルター基板と、金属蒸着膜などがパターニングされた半透過反射膜、半透過反射膜上の透明絶縁膜、さらにその上にITO膜などの透明電極が形成された半透過反射基板とを、さらにそれらの基板上に設けられた液晶配向のためのラビング処理を施した液晶配向膜、およびセルギャップ保持のためのスペーサーを介して、対向させてシールし貼りあわせる。なお、半透過反射基板上には、反射膜、透明電極以外に、光拡散用の突起物、薄膜トランジスタ(TFT)素子や薄膜ダイオード(TFD)素子、および走査線、信号線などを設け、TFT液晶表示装置や、TFD液晶表示装置を作成することができる。次に、シール部に設けられた注入口から液晶を注入した後に、注入口を封止する。つぎに、ICドライバー等を実装することによりモジュールが完成する。
【0081】
【実施例】
以下、実施例に基づいて本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらに限定されない。
【0082】
以下で用いる「最適現像時間」とは、反射用領域の非感光性ペースト層が完全に現像される時間を指し、「現像マージン」とは反射用領域の非感光性ペースト層が完全に現像されてから、透過用領域の非感光性ペースト層へ現像液が浸透し始めるまでの時間をいう。
<測定法>
透過率、色座標:大塚電子(株)製、MCPD−2000顕微分光光度計を用い、カラーフィルター上に製膜されているものと同一製膜条件により作製されるITOを製膜したガラスをリファレンスとして測定した。
【0083】
ここでいう反射色度とは、反射用領域中の着色領域、および除去部をそれぞれ顕微分光光度計などで測定し、得られた分光スペクトルをそれぞれ各波長で自乗し、着色領域と除去部との面積についての加重平均を取ったスペクトルより求められるものである。
【0084】
実施例1
A.ポリアミック酸溶液の作製
4,4′−ジアミノジフェニルエーテル 95.1gおよびビス(3−アミノプロピル)テトラメチルジシロキサン 6.2gをγ−ブチロラクトン 525g、N−メチル−2−ピロリドン 220gと共に仕込み、3,3′,4,4′−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物 144.1gを添加し、70℃で3時間反応させた後、無水フタル酸 3.0gを添加し、さらに70℃で2時間反応させ、25重量%のポリアミック酸溶液(PAA)を得た。
【0085】
B.ポリマー分散剤の合成
4,4′−ジアミノベンズアニリド 161.3g、3,3′−ジアミノジフェニルスルホン 176.7g、およびビス(3−アミノプロピル)テトラメチルジシロキサン 18.6gをγ−ブチロラクトン 2667g、N−メチル−2−ピロリドン 527gと共に仕込み、3,3′,4,4′−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物 439.1gを添加し、70℃で3時間反応させた後、無水フタル酸 2.2gを添加し、さらに70℃で2時間反応させ、20重量%のポリアミック酸溶液であるポリマー分散剤(PD)を得た。
【0086】
C.非感光性黒色ペーストの作製
3,3’,4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物、4,4’− ジアミノジフェニルエーテル及びビス(3−アミノプロピル)テトラメチルジシロキサンをN−メチル−2−ピロリドンを溶媒として反応させ、ポリイミド前駆体(ポリアミック酸)溶液を得た。
【0087】
三菱化成(株)製カーボンブラック“MA100”4.6g、ポリイミド前駆体溶液24gおよびN−メチルピロリドン61.4gををホモジナイザーを用いて、7000 rpmで30分間分散し、ガラスビーズをろ過してブラックペーストを調製した。
【0088】
D.非感光性カラーペーストの作製
ピグメントレッドPR254、3.6g(80wt%)、ピグメントレッドPR177、0.9g(20wt%)とポリマー分散剤(PD) 22.5gおよびγ−ブチロラクトン 42.8g、3−メトキシ−3−メチル−1−ブタノール 20.2gをガラスビーズ 90gとともに仕込み、ホモジナイザーを用い、7000rpmで5時間分散後、ガラスビーズを濾過し、除去した。このようにしてPR254とPR177からなる分散液5%溶液(RD)を得た。
【0089】
分散液(RD) 45.6gにポリアミック酸溶液(PAA) 18.2gをγ−ブチロラクトン 39.52gで希釈した溶液を添加混合し、顔料/樹脂比率が25/75である赤色カラーペーストを得た。同様にして、ピグメントグリーンPG36とピグメントイエローPY150の重量混合比(G/Y)が60/40で、顔料/樹脂比率が35/65である緑色カラーペースト、ピグメントブルーPB15:6からなり、顔料/樹脂比率が20/80である青色カラーペーストを得た。各カラーペーストの固形分濃度は5.3%に調製した。
【0090】
E.非感光性ペースト(透明樹脂層に用いる)の作製
ポリアミック酸溶液(PAA) 16.0gをγ−ブチロラクトン 34.0gで希釈し非感光性透明ペーストを得た。
【0091】
F.感光性カラーレジストの作製
ピグメントレッドPR254、6.0g(85wt%)、ピグメントレッドPR122、1.05g(15wt%)を3−メチル−3−メトキシブタノール50gとともに仕込み、ホモジナイザーを用い、7000rpmで5時間分散後、ガラスビーズを濾過し、除去した。アクリル共重合体溶液(ダイセル化学工業株式会社製サイクロマーP、ACA−250、43wt%溶液)70.00g、多官能モノマーとしてペンタエリスリトールテトラメタクリレート30.00g、光重合開始剤として“イルガキュア”369 15.00gにシクロペンタノン260.00gを加えた濃度20重量%の感光性樹アクリル樹脂溶液(AC−1)160gを加え、顔料/樹脂比率が18/82である赤色カラーレジストを得た。同様にして、ピグメントグリーンPG36とピグメントイエローPY150の重量混合比(G/Y)が70/30で、顔料/樹脂比率が10/90である緑色カラーレジスト、ピグメントブルーPB15:6からなり、顔料/樹脂比率が13/87である青色カラーレジストを得た。各カラーレジストの固形分濃度は17.2%に調製した。
【0092】
コーニングジャパン株式会社製0.7mm厚ガラス基板“1737”上に、ポリアミック酸、カーボンブラック、溶剤からなる非感光性黒色ペーストを熱処理後の膜厚が1.0μmとなるようスピンナーで塗布した。該塗膜を、120℃のオーブンで20分乾燥し、この上にポジ型フォトレジスト(東京応化株式会社製“OFPR−800”)を塗布し、90℃で10分オーブン乾燥した。キャノン株式会社製紫外線露光機“PLA−501F”を用い、各色画素の周辺部に格子状にブラックマトリクスが残るフォトマスクパターンを介して、60mJ/cm2(365nmの紫外線強度)で露光した。露光後、テトラメチルアンモニウムハイドロオキサイドの2.0%の水溶液からなる現像液に浸漬し、フォトレジストの現像、ポリアミック酸の黒色塗膜のエッチングを同時に行った。エッチング後不要となったフォトレジスト層をアセトンで剥離し、240℃で30分熱処理し、樹脂ブラックマトリクスを得た。
【0093】
ブラックマトリクスがパターン加工されたガラス基板上に熱処理後の膜厚が5.0μmになるようポリアミック酸、溶剤からなる非感光性ペーストをスピンナーで塗布した。該塗膜を120℃のオーブンで20分乾燥し、この上にポジ型フォトレジストを塗布し、90℃で10分オーブン乾燥した。透過用領域が画素のストライプ長手方向の一端に配置され、赤、緑、青、各画素の透過用領域以外の領域に透明樹脂層が残るフォトマスクパターンを介して、60mJ/cm2(365nmの紫外線強度)で露光した。露光後、テトラメチルアンモニウムハイドロオキサイドの2.0%の水溶液からなる現像液に浸漬し、フォトレジストの現像、ポリアミック酸の塗膜のエッチングを同時に行った。エッチング後不要となったフォトレジスト層をアセトンで剥離し、240℃で30分熱処理し、赤、緑、青画素の透過用領域以外の領域に透明樹脂層を得た。
【0094】
次に透過用領域の画素中央での熱処理後の膜厚が1.2μmになるように、ポリアミック酸、赤顔料、溶剤からなる非感光性赤ペーストをスピンナーで基板上に塗布し、該塗膜を120℃のオーブンで20分乾燥した。該塗膜の上に、反射用領域での熱処理後の膜厚が1.0μmになるように、アクリルポリマー、アクリル系2官能モノマー、光開始剤、赤顔料、溶剤からなる感光性赤レジストをスピンナーで塗布した。該塗膜を80℃のオーブンで10分熱処理し、紫外線露光機を用い、反射用領域の中央に12μmのスリットが形成されるフォトマスクを介して、100mJ/cm2(365nmの紫外線強度)で露光した。露光後にテトラメチルアンモニウムハイドロオキサイドの1.0%の水溶液からなる現像液に浸漬し、非感光性赤ペーストならびに感光性赤レジストが積層された着色層を現像時間を変えて、現像した。
【0095】
赤画素と同様にして、緑画素、青画素についても、非感光性ペーストならびに感光性レジストからなる積層着色層を現像時間を変えて、フォトリソ加工し、カラーフィルターを作成した。反射用領域に対する除去部の面積比率は各色画素共に16%であった。このようにして得られた画素膜上にオーバーコート層を2μmの厚みで製膜し、さらにその上にITO膜を膜厚0.1μmとなるようにスパッタリングした。得られたカラーフィルターのD65光源での反射領域色度を表2に示す。
【0096】
最適現像条件により、得られた画素パターンを図1に示す。また、各色画素の最適現像時間ならびに現像マージンを表1に示す。
【0097】
【表1】
【0098】
【表2】
【0099】
実施例2
反射用領域の中央に15μmの円形除去部が形成されるフォトマスクを介して露光したこと以外は、実施例1と同様にしてカラーフィルターを作成した。反射用領域に対する除去部の面積比率は各色画素共に5%であった。このようにして得られた画素膜上にオーバーコート層を2μmの厚みで製膜し、さらにその上にITO膜を膜厚0.1μmとなるようにスパッタリングした。得られたカラーフィルターのD65光源での反射領域色度を表3に示す。
【0100】
最適現像条件により、得られた画素パターンを図2に示す。また、各色画素の最適現像時間ならびに現像マージンを表1に示す。
【0101】
【表3】
【0102】
実施例3
反射用領域の中央端部に15μmの半円形除去部が形成されるフォトマスクを介して露光したこと以外は、実施例1と同様にしてカラーフィルターを作成した。反射用領域に対する除去部の面積比率は各色画素共に5%であった。このようにして得られた画素膜上にオーバーコート層を2μmの厚みで製膜し、さらにその上にITO膜を膜厚0.1μmとなるようにスパッタリングした。得られたカラーフィルターのD65光源での反射領域色度は、実施例3と同等であった。
【0103】
最適現像条件により、得られた画素パターンを図3に示す。また、各色画素の最適現像時間ならびに現像マージンを表1に示す。
【0104】
実施例4
透過用領域の中央端部に15μmの半円形除去部が形成されるフォトマスクを介して露光すること以外は、実施例1と同様にしてカラーフィルターを作成した。反射用領域に対する除去部の面積比率は各色画素共に5%であった。このようにして得られた画素膜上にオーバーコート層を2μmの厚みで製膜し、さらにその上にITO膜を膜厚0.1μmとなるようにスパッタリングした。得られたカラーフィルターのD65光源での反射領域色度は実施例3と同等であった。
【0105】
最適現像条件により、得られた画素パターンを図4に示す。また、各色画素の最適現像時間ならびに現像マージンを表1に示す。
【0106】
実施例5
画素の反射用領域幅よりも線幅が狭い着色層が形成されるフォトマスクを介して積層着色層を形成したこと以外は、実施例1と同様にしてカラーフィルターを作成した。反射用領域に対する除去部の面積比率は各色画素共に28%であった。このようにして得られた画素膜上にオーバーコート層を2μmの厚みで製膜し、さらにその上にITO膜を膜厚0.1μmとなるようにスパッタリングした。得られたカラーフィルターのD65光源での反射領域色度を表4に示す。
【0107】
最適現像条件により、得られた画素パターンを図5に示す。また、各色画素の最適現像時間ならびに現像マージンを表1に示す。
【0108】
【表4】
【0109】
実施例6
赤画素について実施例1のフォトマスク、緑画素について実施例5のフォトマスク、青画素について実施例2のフォトマスクを介して積層着色層を形成したこと以外は、実施例1と同様にしてカラーフィルターを作成した。反射用領域に対する除去部の面積比率は赤画素、緑画素、青画素についてそれぞれ16%、28%、5%であった。このようにして得られた画素膜上にオーバーコート層を2μmの厚みで製膜し、さらにその上にITO膜を膜厚0.1μmとなるようにスパッタリングした。得られたカラーフィルターのD65光源での反射領域色度を表5に示す。
【0110】
各色画素の最適現像時間ならびに現像マージンを表1に示す。
【0111】
【表5】
【0112】
比較例1
同色隣接画素間の遮光部上にスリットを形成しないフォトマスクを介して、積層着色層を形成したこと以外は、実施例1と同様にしてカラーフィルターを作成した。得られたカラーフィルターのD65光源での反射領域色度を表6に示す。
【0113】
最適現像条件により、得られた画素パターンを図6に示す。また、各色画素の最適現像時間ならびに現像マージンを表1に示す。
【0114】
【表6】
【0115】
実施例でのカラーフィルターの現像マージンは、いずれの実施例においても20秒よりも長く、より安定してカラーフィルターを作成することが出来た。一方、比較例でのカラーフィルターの現像マージンがいずれの色でも20秒以下、特に3色目に加工した青画素では10秒以下であり、製造工程でのプロセス変動に対してのマージンがほとんど無かった。そのため、比較例で作成したカラーフィルター基板面内の一部には、透過用領域の非感光性ペースト層の溶解が見受けられた。
【0116】
<液晶表示装置の作成>
実施例、および比較例で作成したカラーフィルター基板に反射用領域でのセルギャップが3μmとなるよう固定スペーサーを形成した。
薄膜ダイオード(TFD)素子、走査線、信号線、透明電極からなる駆動素子基板上に、コンタクトホールを備えた光拡散用の樹脂突起層、さらにその上にアルミ蒸着膜をパターンニングした半透過反射膜、さらにそれらの基板上に設けられた液晶配向のためのラビング処理を施した液晶配向膜を形成し、半透過反射基板を作成した。該半透過反射基板とカラーフィルター基板とを対向させて、シール剤を用いて、貼り合わせた。次に、シール部に設けられた注入口から液晶を注入した後に、注入口を封入した。つぎに、ICドライバー等を実装することにより液晶表示装置を完成させた。
【0117】
実施例1から6および比較例1で作製したカラーフィルターを用いた半透過型液晶表示装置、それぞれ1000個について、表示特性を全数検査した。
【0118】
実施例1から6のカラーフィルターを用いた半透過型液晶表示装置では、すべての液晶表示装置について、反射表示が明るく、透過表示が色鮮やかな所望の特性が得られた。特に実施例6のカラーフィルターを用いた半透過型液晶表示装置では、明るく、色バランスに優れた、視認性のよい反射表示を示した。一方、比較例1のカラーフィルターを用いた半透過型液晶表示装置では、反射表示での色鮮やかさについては、実施例よりも若干鮮やかなものの、1000個中122個の液晶表示装置が透過表示において色純度が低下していた。これは、透過用領域の非感光性ペースト層の溶解によるカラーフィルターの色純度低下が原因であった。
【0119】
以上のように、本発明のカラーフィルターを用いることで反射用領域と透過用領域とをそれぞれ所望の色特性にし、安定してカラーフィルターを製造することができた。
【0120】
【発明の効果】
本発明は上述のごとく構成したので、反射用領域と透過用領域とをそれぞれ所望の色特性にしたカラーフィルターを低コストに安定して製造することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明のカラーフィルター加工の例(実施例1)
【図2】本発明のカラーフィルター加工の例(実施例2)
【図3】本発明のカラーフィルター加工の例(実施例3)
【図4】本発明のカラーフィルター加工の例(実施例4)
【図5】本発明のカラーフィルター加工の例(実施例5)
【図6】従来技術でのカラーフィルター加工の例(比較例1)
【図7】本発明のカラーフィルター加工の模式説明図
【図8】従来のカラーフィルターの模式断面図
【図9】従来のカラーフィルターの模式断面図
【図10】従来のカラーフィルターの模式断面図
【図11】従来のカラーフィルターの模式断面図
【図12】従来のカラーフィルターの模式断面図
【符号の説明】
1 :透明基板
2 :ブラックマトリックス
3 :透明樹脂層
4 :着色層
5 :無着色領域
6 :透過用領域
7 :反射用領域
8B:青画素領域
8G:緑画素領域
8R:赤画素領域
9 :オーバーコート層
14a:濃色着色層(透過用領域用)
14b:淡色着色層(反射用領域用)
24a:感光性樹脂からなる着色層
24b:非感光性樹脂からなる着色層
34:感光性樹脂からなる着色層
35:感光性樹脂と非感光性樹脂の積層膜からなる着色層
36:着色層除去部
37:配向制御用突起部
【発明の属する技術分野】
本発明は、透過型液晶表示と反射型液晶表示の両方の方式を兼ね備えた半透過型液晶表示装置用カラーフィルター、およびそれを用いた液晶表示装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
現在、液晶表示装置は軽量、薄型、低消費電力等の特性を生かし、ノートPC、携帯情報端末、デスクトップモニタ、デジタルカメラなど様々な用途で使用されている。バックライトを使用した液晶表示装置においては、低消費電力化を進めるためにバックライト光の利用効率を高めることが求められ、カラーフィルターの高透過率化が要求されている。一方、カラーフィルターの透過率は年々向上しているが、透過率向上による消費電力の大幅な低下は望めなくなってきている。最近では電力消費量の大きなバックライト光源を必要としない反射型液晶表示装置の開発が進められており、透過型液晶表示装置にくらべ約1/7と大幅な消費電力の低減が可能であることが発表されている(例えば、非特許文献1参照)。 反射型液晶表示装置は、透過型液晶表示装置に比べ低消費電力であり、屋外での視認性に優れるという利点はあるものの、十分な環境光強度が確保されない場所では表示が暗くなってしまい、視認性が極端に悪くなるという問題点がある。暗い環境下でも表示が視認されるようにするために、(1)バックライトを設け、反射膜の一部に切り欠きを入れ、一部が透過型表示方式、一部を反射型表示方式とした液晶表示装置、半透過半反射型表示方式(いわゆる半透過型表示方式、例えば、非特許文献2参照)、(2)フロントライトを設けた液晶表示装置などが考案されている。
【0003】
反射膜の一部に切り欠きを入れ、バックライトを設けた半透過型液晶表示装置では、バックライト光を利用する透過表示と環境光を利用する反射表示が1画素内に共存するため、環境光強度によらず、視認性のよい表示を行うことが出来る(例えば、特許文献1参照)。しかし、図8に示すような従来の構成のカラーフィルター、すなわち、反射用領域と透過用領域が特別には設けられていない、1画素内での着色が均一なカラーフィルターを用いた場合には、鮮やかな透過表示を得ようとすると問題点が生じていた。具体的には透過色の色鮮やかさ(色純度)を向上させると、反射色もそれに伴いさらに色純度が高くなり、色純度とトレードオフの関係にある明るさが極端に低下し、十分な視認性が得られないというものである。この問題点は、透過表示を行うときにはバックライト光がカラーフィルターを1回透過するのに対して、反射表示では、環境光が入射時と反射時の2回カラーフィルターを透過することに起因する。また、半透過型液晶表示装置では透過表示での光源がバックライト光である一方、反射表示での光源が環境光であるために、色純度だけでなく色調も変化してしまうという問題点もある。これは、環境光がD65光源に代表されるような連続的なスペクトルを持つのに対して、バックライト光源がある特定の波長にスペクトルのピークをもつという光源のスペクトル特性の違いに起因する。
【0004】
そこで、透過用領域と反射用領域の表示色を同一にする(色純度、明るさ、色調を同一にする)方法として、反射用領域にスペーサー部を形成して、透過用領域と反射用領域で着色層の膜厚を変えることが記載されている(例えば、特許文献2参照)。図9は、従来知られている膜厚を調整する方式での半透過型液晶表示装置用カラーフィルターの断面図を模式的に示したものである。反射用領域7には透明樹脂層3が形成され、反射用領域7の着色層4の膜厚は、透過用領域6の着色層4の膜厚に比べて、薄くなっている。しかし、反射用領域7の着色層膜厚を薄く変えただけでは、色純度、明るさは大きな違いをなくすことができるものの赤、緑、青それぞれ単色の反射表示の色調は透過表示での色調と異なってしまい、反射と透過における見え方に違和感があるという問題点があった。また、透過表示での色純度を向上させた場合には、反射表示での十分な明るさを得ることが出来ないという問題点があった。
【0005】
また、透過用領域と反射用領域の表示色を同一にする別の方法としては、図10に示すような透過用領域および/または反射用領域をバックライト光と環境光を考慮した適切な複数の色材料で塗り分ける方法がある(例えば、特許文献3参照)。透過用領域および/または反射用領域を塗り分ける方法では、透過用領域6と反射用領域7の色調を同じにして色純度、明るさを変え、目的にあった透過表示色と反射表示色を達成することができると考えられるが、現在主流のフォトリソ法では、一色の画素を形成するのに二度以上の色材料塗布、フォトリソ加工をすることになる。すなわち、赤、緑、青の三色の画素を形成するには各色2回、計6回のフォトリソ加工が必要となり、製造コストが増加してしまうという問題点があった。
【0006】
一方、製造コストを増加させず、明るい反射表示を実現する方法として、図11に示すような反射用領域7に着色層を形成する領域4と形成しない領域5とを含む構成が提案されている(特許文献4、参照)。この方法によれば、着色層を形成しない領域5を各色毎に異ならせることにより、反射表示での適切な色純度と明るさを得ることが出来るとされている。しかし、本来波長選択性が要求されるカラーフィルターに選択性のない無着色領域を形成することにより、カラーフィルターとしての特性が低下してしまう。すなわち、同じ色純度で比較すると明るさに劣ったカラーフィルターとなってしまう。この傾向は、透過用領域の色純度を向上させると顕著になり、反射表示での十分な明るさが得られなくなってしまう。
【0007】
こうした問題点を解消するために、一画素中に透過用領域と反射用領域を含み、少なくとも1色の画素については、非感光性樹脂を含む着色層24b上に感光性樹脂を含む着色層24aを積層させ、一括加工したカラーフィルターが提案されている(特許文献5、参照)。図12は、特許文献5に記載の半透過型液晶表示装置用カラーフィルターの断面図を模式的に示したものである。この方法によれば、反射用領域の感光性樹脂を含む着色層24aは、半透過フォトマスクを使用することにより、透過用領域の感光性樹脂層膜厚の1/2以下に調整することが出来、反射表示での明るさを向上させることが出来る。また、積層させる着色層の着色特性をそれぞれ最適化することで、透過用領域6と反射用領域7とでの表示特性を所望の色調にすることができる。
【0008】
しかし、感光性樹脂からなる着色層24aについては、反射用領域7の着色層を薄くすることが出来るものの、下層の非感光性樹脂からなる着色層24bは、透過用領域6と反射用領域7との膜厚が同等であるため、透過表示での色純度を向上させた場合には、反射表示での十分な明るさを実現することが困難であった。
【0009】
すなわち、従来知られている方法では、反射用領域と透過用領域とをそれぞれ所望の色特性にすること、ならびに製造工程増加を抑えて安価に製造することを両立することが困難であった。
【0010】
本発明者らは、反射用領域と透過用領域とをそれぞれ所望の色特性にすること、ならびに製造工程増加を抑えて安価に製造することを両立するカラーフィルターとして、複数の着色層が積層され、かつ、最上層が感光性カラーレジストからなる構造を有し、かつ、反射用領域において基板と着色層の間に透明樹脂層を有することを特徴とするカラーフィルターを提案している(特願2002−350830号、参照)。その中でも、反射用領域の着色層数が透過用領域に積層された着色層数よりも少ないカラーフィルター構成では、反射表示での明るさが特に向上できる。しかしながら、反射用領域に塗布された最上層以外の着色層を安定的に除去する加工条件や、歩留まりをさらに高くすることが望まれていた。
【0011】
【特許文献1】
特開平11−109417号公報(第1図)
【0012】
【特許文献2】
特開2001−33778号公報(第3〜4頁、第2図、第8図)
【0013】
【特許文献3】
特開2001−183646号公報(第1図)
【0014】
【特許文献4】
特開2000−111902号公報
【0015】
【特許文献5】
特開2002−365419号公報
【0016】
【非特許文献1】
「日経マイクロデバイス別冊フラットパネル・ディスプレイ」、1998年、p.126。
【0017】
【非特許文献2】
「ファインプロセステクノロジージャパン’99、専門技術セミナーテキストA5」、1998年7月2日、p.6。
【0018】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、かかる従来技術の欠点に鑑み創案されたもので、半透過型液晶表示装置用カラーフィルターにおいて、反射用領域と透過用領域とをそれぞれ所望の色特性にすること、ならびに製造工程増加を抑えて安定的に製造することを目的とする。
【0019】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、従来技術の課題を解決するために鋭意検討した結果、以下のカラーフィルターによって半透過型液晶表示装置の反射表示と透過表示とで所望の色特性(色純度、明るさ、色調)を得ることが可能であって、かつ工程増加を抑えて、低コストにカラーフィルターを製造可能であることを見いだした。また、表示品位の高い半透過型液晶表示装置を低コストに実現可能であることを見出した。
すなわち、
(1) 一画素中に透過用領域と反射用領域を含み、複数色の画素が配されたカラーフィルターであって、少なくとも1色の画素の透過用領域には複数の着色層が積層され、かつ反射用領域には透過用領域よりも少ない数の着色層が形成されており、透過用領域と反射用領域の少なくとも境界部には着色層以外の樹脂層が形成され、反射用領域の有効表示領域に対応する着色層の一部に除去部を形成したことを特徴とする液晶表示装置用カラーフィルター。
【0020】
(2)複数色の画素が、緑画素、赤画素、青画素であって、各画素における反射領域の面積に対する除去部の面積の比率が、緑画素≧赤画素≧青画素の順であることを特徴とする
(1)に記載の液晶表示装置用カラーフィルター。
【0021】
(3) 積層された着色層のうち下層の着色層がポリイミド樹脂からなる上記(1)、(2)のいずれかに記載の液晶表示装置用カラーフィルター。
【0022】
(4) 上記(1)〜(3)のいずれかに記載のカラーフィルターを用いたことを特徴とする液晶表示装置。
【0023】
【発明の実施の形態】
本発明のカラーフィルターは一画素内に透過用領域と反射用領域を持つ半透過液晶表示装置に好適に用いることができる。
【0024】
外光を利用するための反射膜が形成される基板は、カラーフィルター側基板、カラーフィルターに対向する基板のいずれでもよい。カラーフィルター側に反射膜が形成されている場合は、色材料が形成されている画素領域の内、反射膜が形成されている領域が反射用領域となり、画素領域の中で反射膜が形成されていない領域が透過用領域となる。反射膜がカラーフィルターに対向する基板上に形成されている場合は、該基板の反射膜形成領域に対応するカラーフィルター画素領域が反射用領域となり、該基板の反射膜が形成されていない領域に対応するカラーフィルター画素領域が透過用領域となる。
【0025】
本発明においては、反射用領域と透過用領域の配置について特に限定はないが、反射用領域の内側に透過用領域が含まれることが好ましい。
【0026】
本発明者らは、反射用領域の着色層数を透過用領域の着色層よりも少なくする、すなわち反射表示での明るさを向上させるための手段として、感光性レジストと非感光性ペーストとの現像特性の違いに着目し、それぞれからなる着色層を積層させ、一括パターン加工する加工方法を考案した。透過用領域に複数の着色層を積層させること、ならびに反射用領域の着色層数を透過用領域の着色層よりも少なくすることで、透過表示での色純度を向上させた場合でも、明るい反射表示を得ることが出来る。また、積層させるそれぞれの着色塗膜の着色を適宜異ならせることで、透過表示と反射表示のそれぞれで所望の色純度、明るさ、色調を得ることが可能となる。
【0027】
ここで、ネガ型感光性レジストと非感光性ペーストの現像特性の違いについて述べる。ネガ型感光性レジストでは、紫外線などにより露光された領域は、光架橋反応が進行し、現像液に不溶となる一方、未露光部分は、現像液に溶解する。したがって、十分な露光量の紫外線を照射することで、現像時間によらず、一定のパターンを形成することが出来る。
【0028】
一方、非感光性ペーストのフォトリソ加工では、それ自体が感光性能を持たないため、感光性のレジストを非感光性ペーストからなる塗膜上に塗布する必要がある。紫外線などの露光により、感光性レジストは露光部分、未露光部分での溶解性が変化するが、非感光性ペーストからなる塗膜層は、光照射によって、なんら溶解性が変化することがない。そのため、適正現像時間よりも現像時間を長くした過現像条件とすることで、上層の感光性レジストに比べて、下層の非感光性ペーストのエッチングをさらに進めることが出来る。
【0029】
本発明者らは、このような現像特性の違いに着目し、感光性レジストならびに非感光性ペーストの積層膜を露光後、過現像条件で一括現像することにより、感光性レジスト層と非感光性ペースト層とを異なった形状に形成出来ることを見出した。
【0030】
さらに、本発明者らは凹状に形成された樹脂層上に、非感光性ペースト、さらにその上に感光性レジストを積層し、パターン加工する際に、凹状樹脂層の段差部分で非感光性ペーストのエッチング速度が非常に遅くなり、非感光着色層の現像性が制御出来ることを見出した。すなわち、段差形状を作るための樹脂層をあらかじめ任意のパターンに形成しておき、その上に非感光性ペースト、さらにその上に感光性レジストを積層し、一括現像することで、感光性レジスト層と非感光性ペースト層とを所望の形状に加工出来ることを見出した。
【0031】
本発明においては、透過用領域と反射用領域の少なくとも境界部には着色層以外の樹脂層を形成し、その段差をエッチング速度の制御に利用することで反射用領域の着色層数を透過用領域の着色層よりも少なくする構成を実現する。透過用領域と反射用領域の境界部に作られた段差形状により、非感光性ペーストのエッチング速度が非常に遅くはなるものの、ある時間が経過すると現像液の浸透がおこる。すなわち、本来現像されるべきではない透過用領域へのエッチングが進行する。したがって、反射用領域の非感光性ペーストからなる着色層は、カラーフィルターを安定に加工するために、速やかに現像される方が好ましい。
【0032】
本発明者らは、着色層の一部に除去部を形成することで、下層の非感光性ペーストからなる着色層への現像液の浸透が促進され、速やかに現像が進むことにより、安定したカラーフィルター製造が可能になることを見出した。さらに、着色層の一部に除去部を形成することで、反射表示での明るさが向上できることも見出した。
【0033】
ここでいう「除去部」とは、着色層をすべて取り除いた領域、もしくは着色層膜厚がハーフエッチング状に薄くなった領域を指す。本発明においては、反射用領域の下層非感光性ペーストからなる着色層への現像液の浸透が促進されることが重要であり、ここでいう「除去部」とは、その目的を達するものであれば、その形状については特に限定されない。
【0034】
例えば、除去部の平面形状については、スリット形状、長方形、円形などいずれであってもよい。スリット形状である場合は、そのスリット間隙が10μm以下であることが好ましく、7μm以下であることがさらに好ましい。10μmより大きなスリット間隙の場合、現像時に着色パターンの欠け、剥がれなどが起こる可能性があり、好ましくない。
【0035】
除去部は、下層の非感光性ペーストからなる着色層への現像液の浸透が速やかに進む領域に形成することが好ましく、有効表示領域内の反射用領域のおおむね中央に形成することがより好ましい。反射用領域のおおむね中央に除去部を形成することは、フォトリソ加工時の着色層アライメントずれに対するマージンを広くする観点からも好ましい。ここでいう有効表示領域とは、液晶表示装置の表示に主として用いられる領域で、例えば、遮光部、コンタクトホール部、固定スペーサー突き当て部、配向制御用突起状樹脂形成部、パターン加工された透明導電膜の間隙などは含まない。上記に例をあげた有効表示領域以外の領域は、表示に影響を与えないよう画素の周辺部に配置されるため、除去部を形成した場合でも下層の非感光性ペーストからなる着色層のエッチングを進める効果が制限される場合がある。
【0036】
また、除去部はすべての画素について形成されている必要はなく、少なくとも1色の画素について形成されていれば、本発明の効果が発揮される。例えば、除去部の有無、位置、個数などを各色毎に変えてもよい。具体的には、1色目に比べ、下層の非感光性ペースト層の現像が進みにくい2色目、3色目の除去部は、1色目に比べ、数を増やす、面積を大きくするなどがあげられる。より具体的には、2色目の除去部については、1色目と色重なりの可能性があるストライプ片側の端面に除去部を形成し、3色目については、ストライプ両側の端面に除去部を形成することなどである。
【0037】
反射用領域の面積に対する除去部の面積の比率は、特に制限はないが、色特性を著しく落とさない範囲にすることが好ましい。色特性を著しく落とさない範囲とは、具体的には、その比率が50%以下であり、より好ましくは40%以下であり、さらに好ましくは30%以下のことを指す。反射用領域の面積に対する除去部の面積が大きくなると、カラーフィルターの特性が低下してしまい、同じ明るさの時に色鮮やかさが低下してしまう。
【0038】
反射用領域の面積に対する除去部の面積の比率は、赤画素、緑画素、青画素でそれぞれ同じでもよいし、異なっていてもよい。反射用領域に対する除去部の面積を異ならせる場合には、除去部の面積を緑≧赤≧青の順に大きくすることが好ましい。この序列とすることで、色バランスに優れた、明るく、視認性のよい反射表示を実現することが出来る。具体的には、赤画素についていえば、25%以下、より好ましくは20%以下、緑画素についていえば、10%以上50%以下、より好ましくは20%以上35%以下、青画素についていえば、20%以下、より好ましくは13%以下であるのがよい。
【0039】
ここで、より具体的に本発明のカラーフィルター加工の一例について述べる。図7(a)には透過用領域と反射用領域の境界に段差をもつようパターン加工された透明樹脂層3の例を示す。この樹脂層上に、非感光性ペースト、さらにその上に感光性レジストを積層したものが図7(b)である。フォトマスクを介した露光の後、現像液に浸漬すると、上層の感光性レジスト層24aのうち、未露光部は溶解し、露光部は溶解せずに現像される。一方、下層の非感光性ペースト層24bは、現像時間と共に溶解が進行するが、樹脂層の段差部分で非感光性ペーストのエッチング速度が極めて遅くなり、透過用領域6の非感光性ペースト24bは現像されずに、反射用領域7の非感光性ペースト24bのみが選択的に現像される。結果として、透過用領域6に感光性レジスト層24aと非感光性ペースト24bが積層され、反射用領域7には感光性レジスト層24aのみが得られる(図7(c))。この際、適切な現像時間を超えて、現像時間が長くなると、非感光性ペーストのエッチングがさらに進行し、透過用領域6の非感光性ペーストからなる着色層への現像液の浸透が起こることになる。
【0040】
反射用領域7の下層にある非感光性ペースト層を速やかにエッチングし、透過用領域への現像液の浸透を抑制するための本発明における「除去部」の位置の例について、図1〜図5に示す。
【0041】
本発明においては、積層される樹脂層は最上層に感光性レジストからなる樹脂層が形成されることが必要であるが、感光性レジストの下の非感光性ペーストおよび/または感光性レジスト樹脂層は何層でも積層することが可能である。何層積層するかは目標の色特性を達成するために適宜選択されるが、生産性の観点からは樹脂層としては感光性レジストと他の1層を組み合わせた2層積層構造であることがより好ましい。
【0042】
本発明においては、現像性を制御するよう透過用領域と反射用領域の境界部に、段差形状を形成することが重要である。現像性を制御するための着色層以外の樹脂層は、透過用領域と反射用領域の境界部のみに形成されていてもよく、反射用領域の全体に渡って形成されていてもよい。ここでいう着色層とは、液晶表示装置の発色のために用いられる層を指し、例えば透明樹脂層、遮光層などは含まないものとする。
【0043】
着色層以外の樹脂層が遮光層である場合は、透過用領域と反射用領域の境界部のみに樹脂層が形成されている方が、画素の有効表示面積(開口率)の減少が抑えられ好ましい。また、開口率の低下をさらに少なくするため、その線幅は10μm以下が好ましく、7μm以下がより好ましい。また、パターン加工性の観点からは、遮光層の膜厚は、7μm以下が好ましく、5μm以下がより好ましく、3μm以下がさらに好ましい。
【0044】
一方、着色層以外の樹脂層が透明樹脂層である場合は、透過用領域と反射用領域の境界部のみに樹脂層が形成されていてもよく、反射用領域全体について樹脂層が形成されていてもよい。
【0045】
反射用領域の全体に渡って、樹脂層を形成する場合は、樹脂層は透明であることが好ましい。ここで「透明」とは、具体的には可視光領域の平均透過率が80%以上であることをいう。
【0046】
本発明においては、透過表示と反射表示の色純度、明るさ、色調を所望の特性とするためには、透過用領域の着色と反射用領域の着色が異なることが好ましい。反射用領域の着色と透過用領域の着色を変える方法としては、最上層の感光性カラーレジストからなる着色層とそれ以外の着色層の着色が異なる構成とすることがあげられる。「着色が異なる」とは、同一光源(例えばC光源)で透過用領域と反射用領域を見たときの色純度、明るさ(透過率)、色調が異なることを指す。最上層の感光性カラーレジストと感光性カラーレジストおよび/または非感光性カラーペーストからなる下層着色層との着色は同一とする必要はなく目的に応じて異なることが好ましい。
【0047】
着色を異ならせる方法としては、使用する着色剤数、着色剤種類、着色剤組成、着色剤濃度を異ならせることで達成することができる。勿論、使用される着色剤が同じであっても混合比率を変えれば達成される色度を異ならせることができる。たとえば、最上層を主顔料と副顔料の両者を使用した着色とし、下層着色層には主顔料あるいは副顔料のみを使用した着色とする、あるいは、最上層と下層着色層で主顔料の種類を変えるなどが可能である。
【0048】
また、着色塗液の平坦化(レベリング)によっても、反射用領域の着色と透過用領域の着色(同一光源(例えばC光源)で見たときの「色の濃さ」)を変えることができる。例えば、基板上の反射用領域に透明樹脂層を形成すると反射用領域は透明樹脂層部分の膜厚分凸になり、透過用領域は反射用領域に比べて低い部分的に凸のある基板となる。凸のある基板上に非感光性カラーペーストおよび/または感光性カラーレジストを塗布し着色層を形成すると、透過用領域の着色層の膜厚は、非感光性カラーペーストや感光性カラーレジストによる平坦化(レベリング)によって凸が形成されている反射用領域の膜厚に比べて厚くなる。すなわち、反射用領域の着色に比べ、透過用領域の着色を濃くすることが出来る。
【0049】
着色塗液の平坦化(レベリング)の程度は、塗液の粘度、固形分濃度により調整することが出来る。塗液の粘度が低いとより平坦化しやすくなり、また塗液中の固形分濃度が高いとより平坦化しやすくなる。最上層の着色層に用いる感光性カラーレジスト中の固形分濃度は10重量%から30重量%であることが好ましく、下層の着色層に用いる非感光性カラーペーストおよび/または感光性カラーレジスト中の固形分濃度は3重量%から15重量%であることが好ましい。
【0050】
本発明では少なくとも一色の画素について非感光性カラーペーストおよび/または感光性カラーレジストからなる着色層と感光性カラーレジストからなる着色層を積層させるが、積層させる色については、特に限定はなく赤画素、緑画素、青画素のいずれでもよく、積層させる色画素は1色でも2色でも3色でもよいが、用いるバックライト光源と環境光の特性差を勘案し、目標の着色を達成できるように個々の積層させる色材料の着色を決めることが好ましい。
【0051】
好ましい画素の着色設計には、光源の違いを考慮に入れるため、透過用領域はバックライトに用いられる光源としてC光源、2波長型光源、3波長型光源の内のいずれか、反射用領域は環境光としての太陽光(自然光)に近いD65光源で行うことが好ましい。ここでいう2波長型のLED光源の例としては、青色LEDと黄色蛍光体または黄緑色蛍光体とを組み合わせて白色光を発するLED光源があげられる。また、3波長型光源の例としては、3波長冷陰極管、紫外LEDと赤、青、緑蛍光体とを組み合わせた白色LED光源、赤、青、緑各色のLEDを組み合わせた白色LED光源、青色LEDと赤色蛍光体ならびに緑色蛍光体とを組み合わせた白色LED光源、有機エレクトロルミネッセンス光源などがあげられる。
【0052】
反射用領域に形成される透明樹脂層の膜厚は、光源の違いを勘案したうえで反射用領域と透過用領域の色純度、明るさ、色調が所望の特性となるように選択させる。透明樹脂の膜厚が大きいほど、平坦化により反射用領域と透過用領域に形成される着色層の膜厚差が大きくなり、反射用領域の明るさを明るくする効果が大きい。透明樹脂層の膜厚があまり大きくなるとカラーフィルター表面の段差が大きくなり、液晶配向に悪影響を及ぼし表示品位が悪化するので透明樹脂層の膜厚は10μm以下が好ましい。
【0053】
透明樹脂層は感光性レジストを使用して形成することができる。感光性樹脂材料としてはポリイミド系樹脂、エポキシ系樹脂、アクリル系樹脂、ウレタン系樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリオレフィン系樹脂等の材料が使用できる。感光性を持たせるためには、少なくとも光重合開始剤を含有させ、単官能または多官能モノマー、オリゴマーを有するのが一般的である。
【0054】
アクリル系樹脂は、可視光域での透明性が高く好ましく用いられるが、エポキシモノマーを加えたいわゆるアクリルエポキシ樹脂としてもよい。
【0055】
透明樹脂層を感光性レジストで形成した場合は、フォトリソ加工の露光工程で、露光マスクと透明樹脂層を形成する基板の距離を変えることで透明樹脂層の表面の丸みや平坦性を制御することが可能である。
【0056】
透明樹脂層は非感光性ペーストを使用しても形成することができる。非感光性樹脂材料としてはポリイミド系樹脂、エポキシ系樹脂、アクリル系樹脂、ウレタン系樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリオレフィン系樹脂等の材料が使用でき、ポリイミド系樹脂が好ましく用いられる。透明樹脂層を非感光性ペーストで形成した場合は、透明樹脂層の上部表面が平坦な構造になり、より小さな面積の透明樹脂層を形成することが可能である。
【0057】
反射用領域に形成する透明樹脂層には光散乱のための粒子を含んでもよい。透明樹脂層に光拡散の粒子を含むことで、正反射成分による表示のギラツキを押さえ、良好な表示特性を得ることができ、かつ透過用領域には透明樹脂層は存在しないので光散乱せずに効率的にバックライトを使用することができる。光散乱のための粒子としてはシリカ、アルミナ、チタニアなどの無機酸化物粒子、金属粒子、アクリル、スチレン、シリコーン、フッ素含有ポリマーなどの樹脂粒子などの材料を使用することができ、シリカ粒子を用いることが好ましい。光散乱粒子の粒径としては0.1〜10μmの範囲で用いることができる。光拡散の粒子径が透明樹脂層の厚み以下である場合は透明樹脂層が平坦になるのでより好ましい。
【0058】
非感光性ペーストを用いて透明樹脂層を形成する例としては、透明基板上に非感光性ペーストを塗布し、ホットプレート、オーブン、真空乾燥などを用いて加熱乾燥(セミキュア)する。セミキュア膜上にポジ型フォトレジストを塗布し、加熱乾燥(プリベーク)する。プリベーク後にマスク露光し、アルカリ現像し、フォトレジストを溶剤で剥離することで透明樹脂層を形成し加熱硬化させる。
【0059】
感光性レジストを用いて透明樹脂層を形成する方法としては、透明基板上に感光性レジストを塗布し、ホットプレート、オーブン、真空乾燥を用いて加熱乾燥(プリベーク)する。プリベーク後にマスク露光し、アルカリ現像し、後に加熱硬化することで、透明樹脂層を得る。
【0060】
本発明で使用する色材料は、着色成分と樹脂成分を含むペーストである。樹脂成分としては、ポリイミド系樹脂、エポキシ系樹脂、アクリル系樹脂、ウレタン系樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリオレフィン系樹脂等の材料が好ましく用いられる。感光性、非感光性のどちらの材料でも使用することが可能である。
【0061】
感光性カラーレジストは、着色成分と樹脂成分を含み、樹脂成分は光によって反応する感光成分を含む。光照射された樹脂が現像液への溶解速度のあがるポジ型と、光照射された樹脂が現像液への溶解速度の下がるネガ型があり、どちらも使用することが可能であるが、可視光で感光成分の透明性の高いネガ型樹脂が好ましく用いられる。感光性カラーレジストの樹脂成分としてはポリイミド系樹脂、エポキシ系樹脂、アクリル系樹脂、ウレタン系樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリオレフィン系樹脂等の材料が好ましく用いられる。
【0062】
感光性カラーレジストに使用する樹脂成分の例として、アクリル系樹脂について述べる。感光性アクリル系樹脂としては、感光性を持たせるため、少なくともアクリル系ポリマー、アクリル系多官能モノマーあるいはオリゴマー、光重合開始剤を含有させた構成を有するのが一般的である。さらにエポキシを加えた、いわゆるアクリルエポキシ樹脂も用いることができる。
【0063】
使用できるアクリル系ポリマーとしては、特に限定はないが、不飽和カルボン酸とエチレン性不飽和化合物の共重合体を好ましく用いることができる。不飽和カルボン酸の例としては、例えばアクリル酸、メタクリル酸、イタコン酸、クロトン酸、マレイン酸、フマル酸、ビニル酢酸、あるいは酸無水物などがあげられる。
【0064】
これらは単独で用いても良いが、他の共重合可能なエチレン性不飽和化合物と組み合わせて用いても良い。共重合可能なエチレン性不飽和化合物としては、具体的には、アクリル酸メチル、メタクリル酸メチル、アクリル酸エチル、メタクリル酸エチル、アクリル酸n−プロピル、アクリル酸イソプロピル、メタクリル酸nープロピル、メタクリル酸イソプロピル、アクリル酸n−ブチル、メタクリル酸n−ブチル、アクリル酸sec−ブチル、メタクリル酸sec−ブチル、アクリル酸イソ−ブチル、メタクリル酸イソ−ブチル、アクリル酸tert−ブチル、メタクリル酸tert−ブチル、アクリル酸n−ペンチル、メタクリル酸n−ペンチル、2−ヒドロキシエチルアクリレート、2−ヒドロキシエチルメタクリレート、ベンジルアクリレート、ベンジルメタクリレートなどの不飽和カルボン酸アルキルエステル、スチレン、p−メチルスチレン、o−メチルスチレン、m−メチルスチレン、α−メチルスチレンなどの芳香族ビニル化合物、アミノエチルアクリレートなどの不飽和カルボン酸アミノアルキルエステル、グリシジルアクリレート、グリシジルメタクリレートなどの不飽和カルボン酸グリシジルエステル、酢酸ビニル、プロピオン酸ビニルなどのカルボン酸ビニルエステル、アクリロニトリル、メタクリロニトリル、α−クロルアクリロニトリルなどのシアン化ビニル化合物、1,3−ブタジエン、イソプレンなどの脂肪族共役ジエン、それぞれ末端にアクリロイル基、あるいはメタクリロイル基を有するポリスチレン、ポリメチルアクリレート、ポリメチルメタクリレート、ポリブチルアクリレート、ポリブチルメタクリレート、ポリシリコーンなどのマクロモノマーなどがあげられるが、これらに限定されるものではない。
【0065】
また、側鎖にエチレン性不飽和基を付加したアクリル系ポリマーを用いると、加工の際の感度がよくなるので好ましく用いることができる。エチレン性不飽和基としては、ビニル基、アリル基、アクリル基、メタクリル基のようなものがある。このような側鎖をアクリル系(共)重合体に付加させる方法としては、アクリル系(共)重合体のカルボキシル基や水酸基などを有する場合には、これらにグリシジル基を有するエチレン性不飽和化合物やアクリル酸またはメタクリル酸クロライドを付加反応させる方法が一般的である。その他、イソシアネートを利用してエチレン性不飽和基を有する化合物を付加させることもできる。ここでいうグリシジル基を有するエチレン性不飽和化合物やアクリル酸またはメタクリル酸クロライドとしては、アクリル酸グリシジル、メタクリル酸グリシジル、α−エチルアクリル酸グリシジル、クロトニルグリシジルエーテル、クロトン酸グリシジルエーテル、イソクロトン酸グリシジルエーテル、アクリル酸クロライド、メタクリル酸クロライドなどがあげられる。
【0066】
多官能モノマーとしては、例えば、ビスフェノールAジグリシジルエーテル(メタ)アクリレート、ポリ(メタ)アクリレートカルバメート、変性ビスフェノールAエポキシ(メタ)アクリレート、アジピン酸1,6−ヘキサンジオール(メタ)アクリル酸エステル、無水フタル酸プロピレンオキサイド(メタ)アクリル酸エステル、トリメリット酸ジエチレングリコール(メタ)アクリル酸エステル、ロジン変性エポキシジ(メタ)アクリレート、アルキッド変性(メタ)アクリレートのようなオリゴマー、あるいはトリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、1,6−ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、ビスフェノールAジグリシジルエーテルジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、トリアクリルホルマール、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレートなどがあげられる。これらは単独または混合して用いることができる。また、次にあげるような単官能モノマーも併用することができ、例えば、エチル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、n−ブチルメタクリレート、グリシジルメタクリレート、ラウリル(メタ)アクリレート、ステアリル(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレートなどがあり、これらの2種以上の混合物、あるいはその他の化合物との混合物などが用いられる。これらの多官能及び単官能モノマーやオリゴマーの選択と組み合わせにより、ペーストの感度や加工性の特性をコントロールすることが可能である。特に、硬度を高くするにはアクリレート化合物よりメタクリレート化合物が好ましく、また、感度を上げるためには、官能基が3以上ある化合物が好ましい。また、メラミン類、グアナミン類などもアクリル系モノマーの代わりに好ましく用いることができる。
【0067】
光重合開始剤としては、特に限定はなく、公知のものが使用でき、例えば、ベンゾフェノン、N,N’−テトラエチル−4,4’−ジアミノベンゾフェノン、4−メトキシ−4’−ジメチルアミノベンゾフェノン、2,2−ジエトキシアセトフェノン、ベンゾイン、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインイソブチルエーテル、ベンジルジメチルケタール、α−ヒドロキシイソブチルフェノン、チオキサントン、2−クロロチオキサントン、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、2−メチル−1−[4−(メチルチオ)フェニル]−2−モルホリノ−1−プロパン、t−ブチルアントラキノン、1−クロロアントラキノン、2,3−ジクロロアントラキノン、3−クロル−2−メチルアントラキノン、2−エチルアントラキノン、1,4−ナフトキノン、9,10−フェナントラキノン、1,2−ベンゾアントラキノン、1,4−ジメチルアントラキノン、2−フェニルアントラキノン、2−(o−クロロフェニル)−4,5−ジフェニルイミダゾール2量体などがあげられる。また、その他のアセトフェノン系化合物、イミダゾール系化合物、ベンゾフェノン系化合物、チオキサントン系化合物、リン系化合物、トリアジン系化合物、あるいはチタネート等の無機系光重合開始剤なども好ましく用いることができる。また、p−ジメチルアミノ安息香酸エステルなどの増感助剤を添加すると、さらに感度を向上させることができ好ましい。また、これらの光重合開始剤は2種類以上を併用して用いることもできる。
【0068】
光重合開始剤の添加量としては、特に限定はないが、ペースト全固形分に対して、好ましくは1〜30wt%、より好ましくは5〜25wt%、さらに好ましくは10〜20wt%である。
【0069】
非感光性カラーペーストまたは感光性カラーレジストを塗布する方法としては、ディップ法、ロールコーター法、スピンコーティング法、ダイコーティング法、ダイコーティングとスピンコーティング併用法、ワイヤーバーコーティング法などが好適に用いられる。
【0070】
画素を形成する方法としては、画素の反射用領域に透明樹脂層が形成された透明基板上に、たとえば非感光性カラーペーストを塗布、ホットプレート、オーブン、真空乾燥を用いて加熱乾燥(セミキュア)する。このセミキュア膜上に感光性カラーレジストを塗布し、加熱乾燥(プリベーク)する。プリベーク後にマスク露光し、アルカリ現像し、加熱硬化させるフォトリソ工程で非感光性カラーペースト層と感光性カラーレジスト層とを同時にパターニングでき、積層構成でありながら1回のフォトリソ加工で1色の画素を形成することができる。
【0071】
カラーフィルターの形成は、ガラス、高分子フィルム等の透明基板側に限定されず、駆動素子側基板にも行うことができる。カラーフィルターのパターン形状については、ストライプ状、アイランド状などがあげられるが特に限定されるものではない。また、必要に応じてカラーフィルター上に柱状の固定式スペーサーが配置されていてもよい。
【0072】
本発明のカラーフィルターは、半透過型液晶表示装置に組み込まれて使用される。ここで、半透過型液晶表示装置とは、対向基板あるいはカラーフィルターの反射領域にはアルミニウム膜や銀膜等から成る反射膜を備え、透過領域にはそのような反射膜がないことを特徴とする液晶表示装置である。本発明のカラーフィルターは、液晶表示装置の駆動方法、表示方式にも限定されず、アクティブマトリクス方式、パッシブマトリクス方式、TNモード、STNモード、ECBモード、OCB、VAモードなど種々の液晶表示装置に適用される。また、液晶表示装置の構成、例えば偏光板の数、散乱体の位置等にも限定されずに使用することができる。
【0073】
本発明のカラーフィルター作製方法の一例を述べる。
【0074】
透明基板上に少なくともポリアミック酸、黒色着色剤、溶剤からなる非感光性カラーペーストを透明基板上に塗布した後、風乾、加熱乾燥、真空乾燥などにより、ポリアミック酸黒色着色被膜を形成する。加熱乾燥の場合、オーブン、ホットプレートなどを使用し、60〜200℃の範囲で1分〜60分行うのが好ましい。次にこのようにして得られたポリアミック酸黒色被膜にポジ型フォトレジストを塗布し、ホットプレートを使用して60〜150℃の範囲で1〜30分加熱乾燥させる。露光装置を用いて、紫外線を照射し目的のパターンを焼き付け、アルカリ現像して所望位置に所望パターンで樹脂ブラックマトリクス層を得る。樹脂ブラックマトリクス層は200〜300℃で加熱硬化させる。
【0075】
次にポリアミック酸と溶剤からなる非感光性ペーストをブラックマトリクスが形成された透明基板の全面に塗布し、ホットプレートを使用し、60〜200℃の範囲で1〜60分間加熱乾燥する。次にこのようにして得られたポリアミック酸被膜にポジ型フォトレジストを塗布し、ホットプレートを使用して60〜150℃の範囲で1〜30分加熱乾燥させる。露光装置を用いて、紫外線を照射し目的のパターンを焼き付け、アルカリ現像して所望位置に所望パターンで透明樹脂層を得る。透明樹脂層は200〜300℃で加熱硬化させる。
【0076】
次に着色層を積層して画素を形成する。少なくともポリアミック酸、着色剤、溶剤からなる非感光性カラーペーストを透明樹脂層が形成された透明基板上に塗布した後、風乾、加熱乾燥、真空乾燥などにより、ポリアミック酸着色被膜を形成する。加熱乾燥の場合、オーブン、ホットプレートなどを使用し、60〜200℃の範囲で1分〜60分行うのが好ましい。次に、このようにして得られたポリアミック酸着色被膜に、アクリル系ポリマー、アクリル系多官能モノマー、光重合開始剤からなる感光性アクリル樹脂、着色剤、溶剤からなる感光性カラーレジストを塗布した後、風乾、加熱乾燥、真空乾燥などにより、感光性アクリル着色被膜を積層形成する。加熱乾燥の場合、オーブン、ホットプレートなどを使用し、60〜200℃の範囲で1分〜3時間行うのが好ましい。続いて感光性アクリル着色被膜にフォトマスクと露光装置を用いて紫外線をパターン状に照射する。露光後、アルカリ現像液により、感光性アクリル着色被膜とポリアミック酸着色被膜のエッチングを同時に行う。
【0077】
ポリアミック酸着色被膜は、その後、加熱硬化することによって、ポリイミド着色被膜に変換される。加熱硬化は通常、空気中、窒素雰囲気中、あるいは、真空中などで、150〜350℃、好ましくは180〜250℃の温度のもとで、0.5〜5時間、連続的または段階的に行われる。
【0078】
感光性アクリル着色層を積層しない他の色の画素がある場合は、ポリアミック酸着色被膜を形成した後、フォトレジストを塗布し、フォトレジスト被膜を形成する。続いて該フォトレジスト被膜上にフォトマスクと露光装置を用いてパターン状に紫外線照射する。露光後、アルカリ現像液により、フォトレジスト被膜とポリアミック酸被膜のエッチングを同時に行う。エッチング後、不要となったフォトレジスト被膜を剥離し、ポリアミック酸を加熱硬化することでポリイミド着色膜を得る。
【0079】
以上の工程を赤、緑、青の画素について行うと、液晶表示装置用カラーフィルターが作製できる。
【0080】
次に、このカラーフィルターを用いて作成した半透過型液晶表示装置の一例について述べる。上記カラーフィルター上に、透明保護膜を形成し、さらにその上にITO膜などの透明電極を製膜する。次に、このカラーフィルター基板と、金属蒸着膜などがパターニングされた半透過反射膜、半透過反射膜上の透明絶縁膜、さらにその上にITO膜などの透明電極が形成された半透過反射基板とを、さらにそれらの基板上に設けられた液晶配向のためのラビング処理を施した液晶配向膜、およびセルギャップ保持のためのスペーサーを介して、対向させてシールし貼りあわせる。なお、半透過反射基板上には、反射膜、透明電極以外に、光拡散用の突起物、薄膜トランジスタ(TFT)素子や薄膜ダイオード(TFD)素子、および走査線、信号線などを設け、TFT液晶表示装置や、TFD液晶表示装置を作成することができる。次に、シール部に設けられた注入口から液晶を注入した後に、注入口を封止する。つぎに、ICドライバー等を実装することによりモジュールが完成する。
【0081】
【実施例】
以下、実施例に基づいて本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらに限定されない。
【0082】
以下で用いる「最適現像時間」とは、反射用領域の非感光性ペースト層が完全に現像される時間を指し、「現像マージン」とは反射用領域の非感光性ペースト層が完全に現像されてから、透過用領域の非感光性ペースト層へ現像液が浸透し始めるまでの時間をいう。
<測定法>
透過率、色座標:大塚電子(株)製、MCPD−2000顕微分光光度計を用い、カラーフィルター上に製膜されているものと同一製膜条件により作製されるITOを製膜したガラスをリファレンスとして測定した。
【0083】
ここでいう反射色度とは、反射用領域中の着色領域、および除去部をそれぞれ顕微分光光度計などで測定し、得られた分光スペクトルをそれぞれ各波長で自乗し、着色領域と除去部との面積についての加重平均を取ったスペクトルより求められるものである。
【0084】
実施例1
A.ポリアミック酸溶液の作製
4,4′−ジアミノジフェニルエーテル 95.1gおよびビス(3−アミノプロピル)テトラメチルジシロキサン 6.2gをγ−ブチロラクトン 525g、N−メチル−2−ピロリドン 220gと共に仕込み、3,3′,4,4′−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物 144.1gを添加し、70℃で3時間反応させた後、無水フタル酸 3.0gを添加し、さらに70℃で2時間反応させ、25重量%のポリアミック酸溶液(PAA)を得た。
【0085】
B.ポリマー分散剤の合成
4,4′−ジアミノベンズアニリド 161.3g、3,3′−ジアミノジフェニルスルホン 176.7g、およびビス(3−アミノプロピル)テトラメチルジシロキサン 18.6gをγ−ブチロラクトン 2667g、N−メチル−2−ピロリドン 527gと共に仕込み、3,3′,4,4′−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物 439.1gを添加し、70℃で3時間反応させた後、無水フタル酸 2.2gを添加し、さらに70℃で2時間反応させ、20重量%のポリアミック酸溶液であるポリマー分散剤(PD)を得た。
【0086】
C.非感光性黒色ペーストの作製
3,3’,4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物、4,4’− ジアミノジフェニルエーテル及びビス(3−アミノプロピル)テトラメチルジシロキサンをN−メチル−2−ピロリドンを溶媒として反応させ、ポリイミド前駆体(ポリアミック酸)溶液を得た。
【0087】
三菱化成(株)製カーボンブラック“MA100”4.6g、ポリイミド前駆体溶液24gおよびN−メチルピロリドン61.4gををホモジナイザーを用いて、7000 rpmで30分間分散し、ガラスビーズをろ過してブラックペーストを調製した。
【0088】
D.非感光性カラーペーストの作製
ピグメントレッドPR254、3.6g(80wt%)、ピグメントレッドPR177、0.9g(20wt%)とポリマー分散剤(PD) 22.5gおよびγ−ブチロラクトン 42.8g、3−メトキシ−3−メチル−1−ブタノール 20.2gをガラスビーズ 90gとともに仕込み、ホモジナイザーを用い、7000rpmで5時間分散後、ガラスビーズを濾過し、除去した。このようにしてPR254とPR177からなる分散液5%溶液(RD)を得た。
【0089】
分散液(RD) 45.6gにポリアミック酸溶液(PAA) 18.2gをγ−ブチロラクトン 39.52gで希釈した溶液を添加混合し、顔料/樹脂比率が25/75である赤色カラーペーストを得た。同様にして、ピグメントグリーンPG36とピグメントイエローPY150の重量混合比(G/Y)が60/40で、顔料/樹脂比率が35/65である緑色カラーペースト、ピグメントブルーPB15:6からなり、顔料/樹脂比率が20/80である青色カラーペーストを得た。各カラーペーストの固形分濃度は5.3%に調製した。
【0090】
E.非感光性ペースト(透明樹脂層に用いる)の作製
ポリアミック酸溶液(PAA) 16.0gをγ−ブチロラクトン 34.0gで希釈し非感光性透明ペーストを得た。
【0091】
F.感光性カラーレジストの作製
ピグメントレッドPR254、6.0g(85wt%)、ピグメントレッドPR122、1.05g(15wt%)を3−メチル−3−メトキシブタノール50gとともに仕込み、ホモジナイザーを用い、7000rpmで5時間分散後、ガラスビーズを濾過し、除去した。アクリル共重合体溶液(ダイセル化学工業株式会社製サイクロマーP、ACA−250、43wt%溶液)70.00g、多官能モノマーとしてペンタエリスリトールテトラメタクリレート30.00g、光重合開始剤として“イルガキュア”369 15.00gにシクロペンタノン260.00gを加えた濃度20重量%の感光性樹アクリル樹脂溶液(AC−1)160gを加え、顔料/樹脂比率が18/82である赤色カラーレジストを得た。同様にして、ピグメントグリーンPG36とピグメントイエローPY150の重量混合比(G/Y)が70/30で、顔料/樹脂比率が10/90である緑色カラーレジスト、ピグメントブルーPB15:6からなり、顔料/樹脂比率が13/87である青色カラーレジストを得た。各カラーレジストの固形分濃度は17.2%に調製した。
【0092】
コーニングジャパン株式会社製0.7mm厚ガラス基板“1737”上に、ポリアミック酸、カーボンブラック、溶剤からなる非感光性黒色ペーストを熱処理後の膜厚が1.0μmとなるようスピンナーで塗布した。該塗膜を、120℃のオーブンで20分乾燥し、この上にポジ型フォトレジスト(東京応化株式会社製“OFPR−800”)を塗布し、90℃で10分オーブン乾燥した。キャノン株式会社製紫外線露光機“PLA−501F”を用い、各色画素の周辺部に格子状にブラックマトリクスが残るフォトマスクパターンを介して、60mJ/cm2(365nmの紫外線強度)で露光した。露光後、テトラメチルアンモニウムハイドロオキサイドの2.0%の水溶液からなる現像液に浸漬し、フォトレジストの現像、ポリアミック酸の黒色塗膜のエッチングを同時に行った。エッチング後不要となったフォトレジスト層をアセトンで剥離し、240℃で30分熱処理し、樹脂ブラックマトリクスを得た。
【0093】
ブラックマトリクスがパターン加工されたガラス基板上に熱処理後の膜厚が5.0μmになるようポリアミック酸、溶剤からなる非感光性ペーストをスピンナーで塗布した。該塗膜を120℃のオーブンで20分乾燥し、この上にポジ型フォトレジストを塗布し、90℃で10分オーブン乾燥した。透過用領域が画素のストライプ長手方向の一端に配置され、赤、緑、青、各画素の透過用領域以外の領域に透明樹脂層が残るフォトマスクパターンを介して、60mJ/cm2(365nmの紫外線強度)で露光した。露光後、テトラメチルアンモニウムハイドロオキサイドの2.0%の水溶液からなる現像液に浸漬し、フォトレジストの現像、ポリアミック酸の塗膜のエッチングを同時に行った。エッチング後不要となったフォトレジスト層をアセトンで剥離し、240℃で30分熱処理し、赤、緑、青画素の透過用領域以外の領域に透明樹脂層を得た。
【0094】
次に透過用領域の画素中央での熱処理後の膜厚が1.2μmになるように、ポリアミック酸、赤顔料、溶剤からなる非感光性赤ペーストをスピンナーで基板上に塗布し、該塗膜を120℃のオーブンで20分乾燥した。該塗膜の上に、反射用領域での熱処理後の膜厚が1.0μmになるように、アクリルポリマー、アクリル系2官能モノマー、光開始剤、赤顔料、溶剤からなる感光性赤レジストをスピンナーで塗布した。該塗膜を80℃のオーブンで10分熱処理し、紫外線露光機を用い、反射用領域の中央に12μmのスリットが形成されるフォトマスクを介して、100mJ/cm2(365nmの紫外線強度)で露光した。露光後にテトラメチルアンモニウムハイドロオキサイドの1.0%の水溶液からなる現像液に浸漬し、非感光性赤ペーストならびに感光性赤レジストが積層された着色層を現像時間を変えて、現像した。
【0095】
赤画素と同様にして、緑画素、青画素についても、非感光性ペーストならびに感光性レジストからなる積層着色層を現像時間を変えて、フォトリソ加工し、カラーフィルターを作成した。反射用領域に対する除去部の面積比率は各色画素共に16%であった。このようにして得られた画素膜上にオーバーコート層を2μmの厚みで製膜し、さらにその上にITO膜を膜厚0.1μmとなるようにスパッタリングした。得られたカラーフィルターのD65光源での反射領域色度を表2に示す。
【0096】
最適現像条件により、得られた画素パターンを図1に示す。また、各色画素の最適現像時間ならびに現像マージンを表1に示す。
【0097】
【表1】
【0098】
【表2】
【0099】
実施例2
反射用領域の中央に15μmの円形除去部が形成されるフォトマスクを介して露光したこと以外は、実施例1と同様にしてカラーフィルターを作成した。反射用領域に対する除去部の面積比率は各色画素共に5%であった。このようにして得られた画素膜上にオーバーコート層を2μmの厚みで製膜し、さらにその上にITO膜を膜厚0.1μmとなるようにスパッタリングした。得られたカラーフィルターのD65光源での反射領域色度を表3に示す。
【0100】
最適現像条件により、得られた画素パターンを図2に示す。また、各色画素の最適現像時間ならびに現像マージンを表1に示す。
【0101】
【表3】
【0102】
実施例3
反射用領域の中央端部に15μmの半円形除去部が形成されるフォトマスクを介して露光したこと以外は、実施例1と同様にしてカラーフィルターを作成した。反射用領域に対する除去部の面積比率は各色画素共に5%であった。このようにして得られた画素膜上にオーバーコート層を2μmの厚みで製膜し、さらにその上にITO膜を膜厚0.1μmとなるようにスパッタリングした。得られたカラーフィルターのD65光源での反射領域色度は、実施例3と同等であった。
【0103】
最適現像条件により、得られた画素パターンを図3に示す。また、各色画素の最適現像時間ならびに現像マージンを表1に示す。
【0104】
実施例4
透過用領域の中央端部に15μmの半円形除去部が形成されるフォトマスクを介して露光すること以外は、実施例1と同様にしてカラーフィルターを作成した。反射用領域に対する除去部の面積比率は各色画素共に5%であった。このようにして得られた画素膜上にオーバーコート層を2μmの厚みで製膜し、さらにその上にITO膜を膜厚0.1μmとなるようにスパッタリングした。得られたカラーフィルターのD65光源での反射領域色度は実施例3と同等であった。
【0105】
最適現像条件により、得られた画素パターンを図4に示す。また、各色画素の最適現像時間ならびに現像マージンを表1に示す。
【0106】
実施例5
画素の反射用領域幅よりも線幅が狭い着色層が形成されるフォトマスクを介して積層着色層を形成したこと以外は、実施例1と同様にしてカラーフィルターを作成した。反射用領域に対する除去部の面積比率は各色画素共に28%であった。このようにして得られた画素膜上にオーバーコート層を2μmの厚みで製膜し、さらにその上にITO膜を膜厚0.1μmとなるようにスパッタリングした。得られたカラーフィルターのD65光源での反射領域色度を表4に示す。
【0107】
最適現像条件により、得られた画素パターンを図5に示す。また、各色画素の最適現像時間ならびに現像マージンを表1に示す。
【0108】
【表4】
【0109】
実施例6
赤画素について実施例1のフォトマスク、緑画素について実施例5のフォトマスク、青画素について実施例2のフォトマスクを介して積層着色層を形成したこと以外は、実施例1と同様にしてカラーフィルターを作成した。反射用領域に対する除去部の面積比率は赤画素、緑画素、青画素についてそれぞれ16%、28%、5%であった。このようにして得られた画素膜上にオーバーコート層を2μmの厚みで製膜し、さらにその上にITO膜を膜厚0.1μmとなるようにスパッタリングした。得られたカラーフィルターのD65光源での反射領域色度を表5に示す。
【0110】
各色画素の最適現像時間ならびに現像マージンを表1に示す。
【0111】
【表5】
【0112】
比較例1
同色隣接画素間の遮光部上にスリットを形成しないフォトマスクを介して、積層着色層を形成したこと以外は、実施例1と同様にしてカラーフィルターを作成した。得られたカラーフィルターのD65光源での反射領域色度を表6に示す。
【0113】
最適現像条件により、得られた画素パターンを図6に示す。また、各色画素の最適現像時間ならびに現像マージンを表1に示す。
【0114】
【表6】
【0115】
実施例でのカラーフィルターの現像マージンは、いずれの実施例においても20秒よりも長く、より安定してカラーフィルターを作成することが出来た。一方、比較例でのカラーフィルターの現像マージンがいずれの色でも20秒以下、特に3色目に加工した青画素では10秒以下であり、製造工程でのプロセス変動に対してのマージンがほとんど無かった。そのため、比較例で作成したカラーフィルター基板面内の一部には、透過用領域の非感光性ペースト層の溶解が見受けられた。
【0116】
<液晶表示装置の作成>
実施例、および比較例で作成したカラーフィルター基板に反射用領域でのセルギャップが3μmとなるよう固定スペーサーを形成した。
薄膜ダイオード(TFD)素子、走査線、信号線、透明電極からなる駆動素子基板上に、コンタクトホールを備えた光拡散用の樹脂突起層、さらにその上にアルミ蒸着膜をパターンニングした半透過反射膜、さらにそれらの基板上に設けられた液晶配向のためのラビング処理を施した液晶配向膜を形成し、半透過反射基板を作成した。該半透過反射基板とカラーフィルター基板とを対向させて、シール剤を用いて、貼り合わせた。次に、シール部に設けられた注入口から液晶を注入した後に、注入口を封入した。つぎに、ICドライバー等を実装することにより液晶表示装置を完成させた。
【0117】
実施例1から6および比較例1で作製したカラーフィルターを用いた半透過型液晶表示装置、それぞれ1000個について、表示特性を全数検査した。
【0118】
実施例1から6のカラーフィルターを用いた半透過型液晶表示装置では、すべての液晶表示装置について、反射表示が明るく、透過表示が色鮮やかな所望の特性が得られた。特に実施例6のカラーフィルターを用いた半透過型液晶表示装置では、明るく、色バランスに優れた、視認性のよい反射表示を示した。一方、比較例1のカラーフィルターを用いた半透過型液晶表示装置では、反射表示での色鮮やかさについては、実施例よりも若干鮮やかなものの、1000個中122個の液晶表示装置が透過表示において色純度が低下していた。これは、透過用領域の非感光性ペースト層の溶解によるカラーフィルターの色純度低下が原因であった。
【0119】
以上のように、本発明のカラーフィルターを用いることで反射用領域と透過用領域とをそれぞれ所望の色特性にし、安定してカラーフィルターを製造することができた。
【0120】
【発明の効果】
本発明は上述のごとく構成したので、反射用領域と透過用領域とをそれぞれ所望の色特性にしたカラーフィルターを低コストに安定して製造することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明のカラーフィルター加工の例(実施例1)
【図2】本発明のカラーフィルター加工の例(実施例2)
【図3】本発明のカラーフィルター加工の例(実施例3)
【図4】本発明のカラーフィルター加工の例(実施例4)
【図5】本発明のカラーフィルター加工の例(実施例5)
【図6】従来技術でのカラーフィルター加工の例(比較例1)
【図7】本発明のカラーフィルター加工の模式説明図
【図8】従来のカラーフィルターの模式断面図
【図9】従来のカラーフィルターの模式断面図
【図10】従来のカラーフィルターの模式断面図
【図11】従来のカラーフィルターの模式断面図
【図12】従来のカラーフィルターの模式断面図
【符号の説明】
1 :透明基板
2 :ブラックマトリックス
3 :透明樹脂層
4 :着色層
5 :無着色領域
6 :透過用領域
7 :反射用領域
8B:青画素領域
8G:緑画素領域
8R:赤画素領域
9 :オーバーコート層
14a:濃色着色層(透過用領域用)
14b:淡色着色層(反射用領域用)
24a:感光性樹脂からなる着色層
24b:非感光性樹脂からなる着色層
34:感光性樹脂からなる着色層
35:感光性樹脂と非感光性樹脂の積層膜からなる着色層
36:着色層除去部
37:配向制御用突起部
Claims (4)
- 一画素中に透過用領域と反射用領域を含み、複数色の画素が配されたカラーフィルターであって、少なくとも1色の画素の透過用領域には複数の着色層が積層され、かつ反射用領域には透過用領域よりも少ない数の着色層が形成されており、透過用領域と反射用領域の少なくとも境界部には着色層以外の樹脂層が形成され、反射用領域の有効表示領域に対応する着色層の一部に除去部を形成したことを特徴とする液晶表示装置用カラーフィルター。
- 複数色の画素が、緑画素、赤画素、青画素であって、各画素における反射領域の面積に対する除去部の面積の比率が、緑画素≧赤画素≧青画素の順であることを特徴とする請求項1に記載の液晶表示装置用カラーフィルター。
- 積層された着色層のうち下層の着色層がポリイミド樹脂からなる請求項1、2いずれかに記載の液晶表示装置用カラーフィルター。
- 請求項1〜3のいずれかに記載の液晶表示装置用カラーフィルターを用いたことを特徴とする液晶表示装置。
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