JP2003322053A - 車両用多気筒内燃機関の失火検出装置 - Google Patents
車両用多気筒内燃機関の失火検出装置Info
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Abstract
の運転状態をより精度良く検知し、失火の誤判定をより
確実に回避する車両用多気筒内燃機関の失火検出装置を
提供する。 【解決手段】 車輪速度センサの出力信号に基づき、第
1のフィルタを用いて車輪の回転速度の第1の変動値を
算出すると共に、第2のフィルタを用いて第2の変動値
を算出し、それらを乗じて車輪の回転速度の変動度合い
を示すパラメータ(悪路判定パラメータ)DISTNC
を算出し、しきい値DISTNCJDと比較し、しきい
値以上となった回数をカウンタNDISTでカウント
し、カウント値が所定値以上となったとき、悪路走行な
どの特定の運転状態と判断して失火判定を禁止する。
Description
機関の失火検出装置に関する。
火が生じると、運転性能や燃費性能を悪化させると共
に、未燃焼ガスが排気系でアフタファイヤを生じて排気
ガス浄化装置に悪影響を与える恐れがあることから、失
火が生じたときは早期に検出するのが望ましい。
を走行するときなど、失火判定を行うと誤判定を招き易
い。従って、悪路走行など失火判定を行うと誤判定を招
き易い特定の運転状態を精度良く検知し、失火判定を禁
止する必要がある。その意図から、例えば、特許第29
76684号公報記載の技術にあっては、車輪速度セン
サが出力するパルス信号の周期を測定すると共に、所定
数のパルス信号群の平均値を算出し、前回算出した平均
値との差を求めて変動量とし、その変動量を所定値と比
較することで悪路走行など失火判定に影響を与える、即
ち、失火の誤判定を招き易い特定の運転状態にあるか否
か判断し、そのような運転状態にあるときは失火判定を
禁止している。
た従来技術にあっては、車輪速度センサの出力パルスの
周期を測定し、その変動量から判定するに止まっている
ため、失火による車輪速度の変動と悪路走行などの特定
の運転状態での車輪速度の変動との区別が難しく、悪路
走行など特定の運転状態にあるか否かの判定精度が、必
ずしも十分に満足し難いものであった。
を解消することにあり、悪路走行などの失火判定に影響
を与える特定の運転状態をより精度良く検知し、失火の
誤判定をより確実に回避するようにした車両用多気筒内
燃機関の失火検出装置を提供することにある。
ために請求項1項にあっては、車両に搭載される車両用
多気筒内燃機関の失火検出装置において、前記内燃機関
の回転に応じて所定回転角度ごとに回転信号を出力する
回転信号出力手段、前記回転信号出力手段が出力する回
転信号に基づいて前記内燃機関に失火が発生したか否か
を気筒ごとに判定する失火判定手段、前記車両の車輪の
回転速度を示す信号を出力する車輪速度センサ、前記車
輪速度センサの出力信号に基づき、第1のフィルタを用
いて前記車輪の回転速度の第1の変動値を算出する第1
の変動値算出手段、前記車輪速度センサの出力信号に基
づき、第2のフィルタを用いて前記車輪の回転速度の第
2の変動値を算出する第2の変動値算出手段、前記第1
の変動値算出手段と第2の変動値算出手段の算出値から
前記車輪の回転速度の変動度合いを示すパラメータを算
出し、算出したパラメータに基づいて前記失火判定手段
による失火判定に影響を与える特定の運転状態を検出す
る特定運転状態検出手段、および前記特定運転状態検出
手段によって前記特定の運転状態が検出されたとき、前
記失火判定手段による失火判定を禁止する失火判定禁止
手段を備える如く構成した。
基づき、第1のフィルタを用いて車輪の回転速度の第1
の変動値を算出し、同様に車輪速度センサの出力信号に
基づき、第2のフィルタを用いて車輪の回転速度の第2
の変動値を算出し、それらから車輪の回転速度の変動度
合いを示すパラメータを算出し、算出したパラメータに
基づいて前記失火判定手段による失火判定に影響を与え
る特定の運転状態を検出し、その運転状態が検出された
とき、失火判定を禁止するようにしたので、悪路走行な
どの失火判定に影響を与える特定の運転状態を、その失
火時に誤って失火判定を禁止することなく、より精度良
く検知することができ、失火の誤判定をより確実に回避
することができる。
タは前記車輪速度センサの出力信号の中の所定の周波数
を通過させるバンドパスフィルタであり、前記第2のフ
ィルタは前記所定の周波数より高い周波数で、かつ前記
所定の周波数の非整数倍に相当する周波数(換言すれば
そのn次高調波ではない周波数)を通過させるバンドパ
スフィルタである如く構成した。
ば車両の駆動系の固有振動数を選択して第1のフィルタ
を介してその周波数成分を抽出すると共に、第2のフィ
ルタを介して所定の周波数より高い周波数で、かつ前記
所定の周波数の非整数倍に相当する周波数、例えば失火
の影響が車輪速度センサの出力信号に現れ難い周波数成
分を選択することで、悪路による車輪速度センサの出力
信号の変動のみを抽出することができ、換言すれば、失
火による車輪速度センサの出力信号の変動を排除するこ
とができる。
する周波数を選択することで、失火時に第1のフィルタ
の出力と第2のフィルタの出力の両方が同時に現れるこ
とがないため、失火による車輪速度センサの出力信号の
変動を排除することができると共に、悪路による車輪速
度センサの出力信号のみを抽出することができる。これ
によって、悪路走行などの特定の運転状態を、その失火
時に誤って失火判定を禁止することなく、より精度良く
検知することができ、失火の誤判定をより確実に回避す
ることができる。
タは前記車輪速度センサの出力信号の中の所定の周波数
を通過させるバンドパスフィルタであり、前記第2のフ
ィルタは前記所定の周波数より高い周波数で、かつ前記
所定の周波数の整数倍に相当する周波数(換言すればそ
のn次高調波に相当する周波数)を通過させるバンドパ
スフィルタである如く構成した。
2のフィルタを介して所定の周波数より高い周波数で、
かつ前記所定の周波数の整数倍に相当する周波数成分を
選択するようにした。この結果、ランダムに失火が発生
して前記した車両の駆動系の固有振動数に相当するよう
な所定の周波数で失火が発生したとき、その整数倍のの
高調波成分を選択し、かかる第1、第2のフィルタを用
いて得た第1、第2の変動値算出手段の出力から、例え
ば、第1のフィルタの出力を第2のフィルタのそれで除
算することで、車輪速度センサの出力信号の変動が失火
によるものなのか、悪路走行などの特定の運転状態によ
るものなのかを一層精度良く判別することができる。こ
れによって、例えば、失火を悪路走行などと誤判定して
失火判定を禁止することがなく、失火の誤判定を一層確
実に回避することができる。
フェールに起因すると、点火系のフェールに起因すると
を問わず、さらには火花放電が発生したと否とを問わ
ず、燃焼が生じない場合を全て含む意味で使用する。
の実施の形態を説明する。
る車両用多気筒内燃機関の失火検出装置を概略的に示す
全体図である。
「エンジン」という)を示す。エンジン10はV型6気
筒(多気筒)OHCエンジンである。簡略化のため、左
右のバンク(図示せず)に3個ずつ配置された6個の気
筒の中、1つの気筒についてのみ図示する。
配置されたエアクリーナ14から吸入された吸気は、ス
ロットルバルブ16でその流量を調節されつつインテー
クマニホルド(吸気マニホルド)18を流れ、それぞれ
の気筒20の吸気バルブ22まで流れる。
(燃料噴射弁)24が設けられ、図示しない燃料供給系
から圧送された燃料を噴射する。噴射されて吸気と一体
となった混合気は、吸気バルブ22が開放されるとき、
それぞれの気筒20の燃焼室28に流入し、燃焼室28
を臨む位置に配置された点火プラグ30によって第1、
第4、第2、第5、第3、第6気筒の順に火花放電で着
火されて燃焼し、ピストン(図示せず)を駆動する。
エキゾーストマニホルド32を経て排気管(図示せず)
に流れ、そこで触媒装置(図示せず)で浄化されて大気
に放出される。
付近には複数個の電磁ピックアップからなるカムシャフ
トセンサ(回転信号出力手段)36が配置され、第1気
筒の所定のクランク角度で気筒判別信号を、6個の気筒
のTDC付近の所定のクランク角度でTDC信号を、T
DCを細分した30度(所定回転角度)ごとにクランク
角度信号(回転角度を示す信号)をパルスで出力する。
また、シリンダブロック38の冷却水路には水温センサ
40が配置され、エンジン冷却水温TWに応じた信号を
出力する。
の下流には絶対圧センサ44が設けられ、スロットル弁
下流の吸気管内絶対圧(エンジン負荷)PBAに比例し
た信号を出力すると共に、スロットルバルブ16にはス
ロットル開度センサ46が接続され、スロットル開度T
Hに比例した信号を出力する。さらに、吸気管12の適
宜位置には吸気温センサ48が配置され、エンジン10
に吸入される外気の温度TAに比例した信号を出力す
る。
示せず)には前進6速(段)、後進1段の手動変速機
(図に「M/T」と示す)60が設けられ、エンジン1
0の出力を変速して駆動輪(図示せず)に伝達する。ま
た、ドライブシャフト(図示せず)の付近には、電磁ピ
ックアップからなる車輪速度センサ62が配置され、ド
ライブシャフトの所定回転角度、即ち、車輪の所定回転
角度ごとに上記した駆動輪(車輪)の回転速度TNCD
を示す信号を出力する。
ンサ(図示せず)が配置され、排気ガス中の酸素濃度に
応じた信号を出力する。
ニット)70へ送出される。
て図示せず)などを備えるマイクロコンピュータからな
り、前記したカムシャフトセンサ36と車輪速度センサ
62の出力はECU70内においてカウントされ、エン
ジン回転数NEおよび車速Vが算出される。
エンジン回転数NEと吸気管内絶対圧PBA(エンジン
負荷)とから予め設定されてROM内に格納されている
マップを検索し、基本燃料噴射量(インジェクタ24の
開弁時間で示される)および基本点火時期を算出し、エ
ンジン冷却水温TWなどから算出した基本値を補正して
出力燃料噴射量および出力点火時期を算出する。
路(共に図示せず)を介し、前記した気筒順で、算出し
た出力燃料噴射量に相当する時間だけインジェクタ24
を開弁させると共に、イグナイタ(図示せず)を介して
出力点火時期に相当するクランク角度で点火プラグ30
に火花放電を生じさせて混合気を点火し、燃焼させる。
判定を行うと共に、判定結果に基づいてエンジン10が
異常か否か判定する。
その失火判定および異常判定、即ち、この実施の形態に
係る車両用多気筒内燃機関の失火検出装置の動作を説明
する。
チャートである。尚、図示のプログラムは、各気筒のT
DC(上死点)ごとに実行される。
F.MCNDのビットが1にセットされているか判断す
る。このフラグF.MCNDは、続いて述べる失火判定
を許可する条件(以下「モニタ条件」という)の成立・
不成立を判定するルーチンにおいて、モニタ条件成立と
判定されるとき、そのビットが1にセットされる。従っ
て、この処理は、モニタ条件が成立しているか否か判断
することを意味する。
明を続ける前に、そのモニタ条件の成立・不成立を判定
するルーチンについて先に説明する。
ある。図示のプログラムも各気筒のTDC(上死点)ご
とに実行される。
検出されたエンジン回転数NEが所定回転数#NMFL
(アイドル回転数相当。具体的には500rpm)を超
えているか否か判断する。尚、この明細書および図面で
#を付した値は、予め設定された所定の値であることを
示す。
んでタイマ(ダウンカウンタ。後述)TMCNDに所定
値#TMMCND(具体的には1sec)をセットして
ダウンカウント(時間計測)を開始し、S104に進ん
でフラグF.MCNDのビットを0にリセットし、以降
の処理をスキップする。フラグF.MCNDのビットを
0にリセットすることは、モニタ条件が成立しないと判
定したことを意味する。
6に進み、検出されたエンジン冷却水温TWが所定値#
TWMF(具体的には−10℃)を超え、かつ吸気温T
Aが所定値#TAMF(具体的には−10℃)を超え、
かつエンジン回転数NEが所定値#NMFH(具体的に
は6300rpm)未満か否か判断する。
ン10が失火検出すべき運転状態にあるか否か判断する
ことを意味し、従ってS106で否定されるときはS1
00で否定される場合と同様、S102に進むと共に、
肯定されるときはS108に進み、フラグF.FCのビ
ットが1にセットされているか否か判断する。
チンでFC(フューエルカット。燃料供給停止)が実行
されているときにそのビットが1にセットされることか
ら、この処理は、エンジン10への燃料(ガソリン燃
料)の供給が停止されているか否かを判断することに相
当する。
むと共に、否定されるときはS110に進み、検出され
た吸気管内絶対圧PBAが所定値#PBMF以上か否か
判断する。所定値#PBMFは、エンジン回転数NEか
ら検索自在に設定される値である。失火検出はエンジン
10が仕事をしているときのみ行えば足ることから、こ
の判断は、エンジン負荷が走行負荷を超えているか、換
言すればエンジン10が車両側から駆動されるモータリ
ング状態にないことを確認するための処理である。
状態にあって失火検出する必要がないことからS102
に進むと共に、肯定されてエンジン10がファイアリン
グ状態にあると判断されるときはS112に進み、今回
検出されたスロットル開度THと前回(即ち、前回プロ
グラムループ時に)検出されたスロットル開度THの差
分DTHを算出し、その絶対値が所定値#DTHMF
(具体的には5度)を超えているか否か判断する。
るときは失火の誤判定の恐れがあることから、エンジン
10が急加減速状態にあるか否か判断するための処理で
ある。従って、S112で肯定されるときは定常運転状
態にないと判断してS102に進むと共に、否定される
ときはS114に進み、フラグF.DISTのビットが
1にセットされているか否か判断する。
どの特定の運転状態にあると判定されるとき、そのビッ
トが1にセットされる。尚、その判定処理については後
述する。S114で肯定されるときはS116に進み、
前記したタイマTMCNDに所定値#TMMCNDをセ
ットしてダウンカウント(時間計測)を開始する。次い
でS118に進み、先に述べたように悪路走行などの特
定の運転状態にあるときは失火を誤判定し易いことか
ら、フラグF.MCNDのビットを0にリセットし、S
120に進み、フラグF.DISTのビットを0にリセ
ットすると共に、NDIST(カウンタ。後述)の値を
0にリセットする。
2に進み、前記したタイマTMCNDの値が0に達した
か否か、具体的にはモニタ条件の成立を否定する状況が
解消されてから1sec経過したか、換言すればエンジ
ン10の運転状態が失火検出を行うのに安定したか否か
判断する。
04に進むと共に、肯定されるときはS124に進み、
フラグF.MCNDのビットを1にセットする。このフ
ラグのビットを1にセットすることは、モニタ条件、即
ち、失火判定を許可する条件が成立したことを意味す
る。
転状態にあるか否かの判断処理を説明する。
トである。尚、図示のプログラムは、各気筒のTDC付
近、より具体的にはATDC10度で実行される。
出された車速Vが所定値#VL(具体的には20km/
h)以上で、所定値#VH(具体的には120km/
h)未満か否か判断する。これは、悪路判定は車速がこ
の範囲にあるときに行えば足るためである。
判断自体が不要であることから、S202に進み、タイ
マ(ダウンカウンタ)NDSTに所定値#CDST(具
体的には1sec)をセットしてダウンカウント(時間
計測)を開始し、以降の処理をスキップする。
4に進み、フラグF.MCNDのビットが1にセットさ
れているか否か判断する。否定されるときはモニタ条件
が不成立で同様に悪路判断自体が不要であることからS
202に進むと共に、肯定されるときはS206に進
み、値DISTNCを算出する。
ー・チャートである。
るフィルタFILT.1(n) の出力を算出する。この処
理は、車輪速度センサ62の出力信号に基づき、第1の
フィルタFILT.1を用いて車輪の回転速度TNCD
の第1の変動値(即ち、フィルタFILT.1の出力)
を算出することに相当する。尚、この場合、車輪の回転
速度TNCDは、より詳しくは時間値を意味する。
び(n-m) は離散系のサンプル時間、換言すれば、図4、
図5などのフロー・チャートのプログラムループ時刻を
意味する。具体的には、(n) は今回の、(n-m) はm回前
のプログラムループ時刻の値を意味する。
れるフィルタFILT.2(n) の出力を算出する。この
処理は、車輪速度センサ62の出力信号に基づき、第2
のフィルタFILT.2を用いて車輪の回転速度TNC
Dの第2の変動値(即ち、フィルタFILT.2の出
力)を算出することに相当する。
FILT.1,2の出力を乗算し、前記した値DIST
NCを算出する。この値DISTNCは、車輪(駆動
輪)の回転速度の変動度合いを示すパラメータ(悪路判
定パラメータ)を意味する。尚、図5の処理については
後述する。
いでS208に進み、手動変速機60で現在係合されて
いるギヤ位置(変速段あるいは変速比)を適宜な手法で
検出し、それに応じて車速Vと吸気管内絶対圧(エンジ
ン負荷)PBAから、値DISTNCJDをマップ検索
する。値DISTNCJDは、上記した悪路判定パラメ
ータDISTNCと比較されて車両が悪路を走行する特
定の運転状態にあるか否かを判断するためのしきい値で
ある。尚、これについても後述する。
性を示す説明図である。この実施の形態に係る手動変速
機60は前進6速(段)であることから、マップは、
1,2速、3,4速および5,6速の3組が用意され
る。従って、検出されたギヤ位置が例えば3速とする
と、3,4速のマップを選択し、車速Vと吸気管内絶対
圧PBAから検索してしきい値DISTNCJDを算出
することになる。
DSTの値が零に達したか否か判断する。これは、先に
述べたタイマTMCNDと同様、悪路判断を許可しない
状況が解消されてから1sec経過したか、より具体的
にはエンジン10の運転状態が悪路判断を行うのに安定
したか否か判断するためである。
んでタイマ値を1つデクリメントすると共に、肯定され
るときはS214に進み、前回算出した悪路判定パラメ
ータDISTNC(n-1) が、前回算出されたしきい値D
ISTNCJD(n-1) 以上か否か判断する。
ける前に、この悪路判定パラメータDISTNCおよび
しきい値DISTNCJDなどについて説明する。
ると、車輪が路面から離れたり、逆に強く接地する現象
が生じることがあり、かかる現象が生じると、その影響
がエンジン回転にも現れてエンジン回転が急激に変動す
る。従って、失火の誤判定を招く恐れがあることから、
車両が悪路走行などの特定の運転状態にあるか否かを精
度良く判定する必要がある。その点で上記した従来技術
にあっては車輪速度センサの出力パルス信号の周期の変
動から悪路走行か否かを判定しているため、精度におい
て十分に満足し難いものであった。
両の駆動系の持つ固有振動数に基づいて悪路判定パラメ
ータを求めることで悪路走行などの特定の運転状態を精
度良く判断できることを見い出した。即ち、車輪から車
軸、さらに手動変速機60からエンジン10の回転系ま
でに至る駆動系の持つ固有振動数は、それらの物理的な
構造から一義的に決まる。この実施の形態に係る車両に
あっては、その固有振動数は2Hzであった。
ときの加振による、駆動系、より具体的には車輪の自由
振動の応答を示す実測データ、図8は車両が(失火な
く)平坦路を走行したときの同様の実測データ、および
図9は平坦路において失火が生じたときの同様の実測デ
ータである。
た車速変動の周波数特性に着目すると、悪路を走行した
場合、同図に符号hで示すように、固有振動数(周波
数)2Hzの付近で振動値の振幅は大きくなると共に、
周波数が高くなるにつれて次第に減衰する一方、符号i
で示すように、10Hzから15Hzの間でも振動値の
振幅が比較的大きくなるのが知見された。他方、図8に
示す如く、平坦路を走行するときは、このような振幅の
変化は見られなかった。
き、固有振動数に相当する2Hzとその整数倍の4H
z,6Hzなどで振幅が大きくなってスパイクが見られ
たが、固有振動数の非整数倍に相当する周波数(換言す
ればそのn次高調波ではない周波数。例えば13Hz)
では、そのようなスパイクは見られなかった。
車両の駆動系の固有振動数(所定周波数)2Hz付近で
車速変動が大きくなると共に、10Hzから15Hzな
ど、固有振動数より大きく、かつ固有振動数の非整数倍
に相当する周波数、例えば13Hzで車速変動は大きく
なるが、2Hz周期で失火が発生したとしても、13H
zでは変動が現れない。このことは、悪路と失火の影響
とが区別可能であることを意味する。
図5のS300で定義されるようなフィルタFILT.
1を用い、その出力を算出することで車輪速度センサ6
2の2Hz分に相当する成分を抽出(算出)すると共
に、S302で定義されるようなフィルタFILT.2
を用い、その出力を算出することで車輪速度センサ62
の13Hz分に相当する成分を抽出(算出)するように
した。即ち、演算量が多いフーリエ変換に代え、実時間
で処理可能なデジタルフィルタを用いて処理するように
した。
ィルタ)が車輪速度センサ62の出力信号の中の所定の
周波数(固有振動数)を通過させるバンドパスフィルタ
に相当し、フィルタFILT.2(第2のフィルタ)
が、前記所定の周波数より高い周波数で、かつ前記所定
の周波数の非整数倍の周波数を通過させるバンドパスフ
ィルタに相当する。
固有振動数の非整数倍に相当する周波数、例えば13H
zとしたのは、固有振動数より少しだけ大きい場合には
その影響を受ける一方、極めて大きい場合には信号その
ものが減衰することから、両者を勘案して11Hzから
13Hz、例えば13Hzとした。
びFILT.2の出力を乗算し、よって得た積を悪路判
定パラメータDISTNCとすると共に、それに比較さ
れるべきしきい値DISTNCJDを実験を通じて求め
ておき、ギヤ位置に応じて車速Vと吸気管内絶対圧PB
Aとから検索するようにした。
路走行時には、失火の有無に関わらず、車速Vが符号j
で示すように変動して失火の誤判定の一因となるが、同
図(b)に示す如く、悪路判定パラメータDISTNC
をしきい値DISTNCJDと比較し、後述するよう
に、パラメータがしきい値を超えたとき、超えた回数を
カウンタNDISTでカウントし、カウンタ値が所定値
に達したとき、悪路と判定することで、悪路走行を精度
良く判定することができる。それによってモニタ条件が
成立しないと判定することで、失火の誤判定を回避する
ことができる。
T.2の出力の積を求めてパラメータとしたのは、悪路
走行時には2Hz成分と13Hz成分が共にある程度以
上の値になるからである。また、失火時には両者のいず
れかが零(あるいは微少な値)となって積として零(あ
るいは微少の値)となってしきい値DISTNCJD未
満となり、失火による回転変動を排除して路面の凹凸に
よる回転変動のみを抽出できるからである。
吸気管内絶対圧PBAとから検索自在としたのは、これ
らによって主として車両の駆動系の振動特性およびエン
ジンの駆動トルクから悪路判定パラメータDISTNC
の値が決定されるためである。また、しきい値DIST
NCJDをギヤ位置で相違させたのは、ギヤ位置によっ
て車両の駆動系の振動特性が変わり、パラメータDIS
TNCの値が変化するためである。
した悪路判定パラメータDISTNC(n-1) が前回算出
したしきい値DISTNCJD(n-1) 以上と判断される
ときは以降の処理をスキップすると共に、否定されると
きはS216に進み、今回算出した悪路判定パラメータ
DISTNC(n) が同様に今回算出したしきい値DIS
TNCJD(n) 以上か否か判断する。
処理をスキップすると共に、肯定されるときはS218
に進み、カウンタNDISTの値を1つインクリメント
する。図10(c)にその処理を示す。
は、悪路判定パラメータが初めてしきい値以上となった
場合の回数のみをカウントするための処理であり、換言
すれば、前回以前に悪路判定パラメータがしきい値以上
となった場合および悪路判定パラメータが今回しきい値
未満となった場合を除外するための作業である。
Tの値が所定値#NDISTJD(具体的には10回)
以上となったか否か判断し、否定されるときは以降の処
理をスキップすると共に、肯定されるときはS222に
進み、フラグF.DISTのビットを1にセットする。
このフラグのビットを1にセットすることは、悪路走行
などの特定運転状態にあると判定したことを意味する。
と、S10で肯定されるときはS12に進み、クランク
シャフトの回転変動を計測する。即ち、前記した30度
ごとのクランク角度信号からクランク角度120度分の
回転時間TREV(n) を計測し、前回のプログラムルー
プ時の回転時間TREV(n-1) との偏差ΔTREV(n)
を算出する。そして、前回算出された偏差ΔTREV(n
-1) 、2回前(前前回)に算出された偏差ΔTREV(n
-2) 、および3回前に算出された偏差ΔTREV(n-3)
の平均値を算出し、その平均値と算出した偏差ΔTRE
V(n) の差を求めて回転変動量ΔΔTREV(n) とす
る。
ち、先ずエンジン回転数NEと吸気管内絶対圧PBAか
ら予め設定されたマップ(特性図示省略)を検索して失
火判定値MFDELを適宜な手法で算出し、失火判定値
MFDELを回転変動量ΔΔTREV(n) と比較し、回
転変動量ΔΔTREV(n) が失火判定値MFDELを超
えるとき、失火と判定してフラグF.MFを1にセット
すると共に、回転変動量ΔΔTREV(n) が失火判定値
MFDEL以下のとき、失火ではないと判定してフラグ
F.MFを0にリセットする。
系のフェールに起因すると点火系のフェールに起因する
とを問わず、さらには火花放電が発生したと否とを問わ
ず、燃焼が生じない場合を全て含む意味する。
ットが1にセットされているか否か判断し、肯定される
ときはS18に進み、前記した気筒判別信号に基づいて
失火と判定された気筒を判別する。換言すれば、エンジ
ン10に失火が発生したか否かを気筒ごとに判定する。
失火回数カウンタNMFの中、該当する気筒のカウンタ
の値を1つインクリメントし、S22に進み、S12以
降の処理で失火判定を行ったTDC数が所定値C(具体
的には3000回)を超えたか否か判断する。S22で
否定されるときは以降の処理をスキップすると共に、肯
定されるときはS24に進み、異常判定を行う。尚、所
定値Cは、600回などとしても良い。
れた失火回数カウンタNMFの値を通算して6気筒につ
いては失火回数の合算値を求め、合算値が所定値を超え
たとき、エンジン10が異常と判定する。あるいは、い
ずれかの気筒の失火回数カウンタNMFの値が別途設定
された値を超えたときも、エンジン10が異常と判定す
るようにしても良い。
MFの値をリセットする。尚、S10で否定されるとき
は以降の処理をスキップすると共に、S16で否定され
るときはS22に進む。また、S22で否定されるとき
は、以降の処理をスキップする。
で、悪路走行などの失火判定に影響を与える特定の運転
状態を、その失火時には誤って失火判定を禁止すること
なく、より精度良く検知することができ、失火の誤判定
をより確実に回避することができる。
ば車両の駆動系の固有振動数を選択して第1のフィルタ
を介してその周波数成分を抽出すると共に、第2のフィ
ルタを介して所定の周波数より高い周波数で、かつ前記
所定の周波数の非整数倍に相当する周波数、例えば失火
の影響が車輪速度センサ62の出力信号に現れ難い周波
数成分を選択することで、悪路による車輪速度センサ6
2の出力信号の変動のみを抽出することができ、換言す
れば、失火による車輪速度センサ62の出力信号の変動
を排除することができる。
する周波数を選択するようにしたので、失火時に第1の
フィルタの出力と第2のフィルタの出力の両方が同時に
現れることがないため、失火による車輪速度センサの出
力信号の変動を排除することができると共に、悪路によ
る車輪速度センサの出力信号のみを抽出することができ
る。これによって、悪路走行などの特定の運転状態を、
その失火時には誤って失火判定を禁止することなく、よ
り精度良く検知することができ、失火の誤判定をより確
実に回避することができる。
係る車両用多気筒内燃機関の失火検出装置の動作を示
す、図5と同様の悪路判定パラメータの算出処理を示す
フロー・チャートである。
置の動作を説明する前に、図12を参照して第2の実施
の形態に係る装置の課題について説明する。
イクルごとに発生する失火では、失火による回転変動
は、エンジン回転数に比例する成分が主となる。尚、サ
イクルごとに発生する失火(以下「サイクル失火」とい
う)とは、図12に示すような失火、即ち、エンジン1
0において第1気筒に始まって第6気筒で終わる燃焼を
1サイクルとすると、図示のようなサイクルごとに同じ
パターンが繰り返されるような失火を意味する。
0において例えば1気筒連続失火の状態で1200rp
mで回転している場合、1secの間に10サイクル、
即ち、10Hz成分が大きくなる。
いるとき、失火による回転変動が2Hzおよび13Hz
の成分を持つエンジン回転数を計算すると、240rp
mおよび1560rpmとなる。前記した駆動系の固有
振動数である2Hzが大きくなる240rpmについて
は第1の実施の形態の図3のS100で述べた#NMF
L(アイドル回転数相当。失火検知の下限回転数)以下
のため、支障ない。
関しても、そのような回転変動が生じても、それより低
い周波数である2Hz成分が励起されないので、第1の
実施の形態で述べた2Hz成分と13Hz成分を乗じて
得た悪路判定パラメータDISTNCで悪路か失火か精
度良く判別することができる。このように、サイクル失
火では、2Hz成分が甚だしくなる回転数がアイドル回
転数以下にあって十分に低いため、問題ない。
に発生する失火では、アイドル回転数から3000rp
m程度までの常用回転域で2Hz成分が大きくなる可能
性がある。尚、ここで、数サイクルおきにランダムに発
生する失火(以下「ランダム失火」という)とは、失火
発生が等間隔であり、かつサイクル中の失火がランダム
に選択された気筒で発生するような失火を意味する。
は、図13に示すように、49TDCごとに発生する単
発失火を意味する(実失火率=1/49=2.04
%)。図示の6気筒のエンジン10についてより一般的
にいえば、エンジン回転数[rpm]x、失火間隔[T
DC数]yで失火が発生しているときの間隔[Hz]Z
は、Z=x/(20・y)となる(サイクル失火と異な
り、ランダム失火にあっては、失火間隔は、エンジン回
転数に加え、何TDCおきに失火が発生しているかによ
って決まる)。
が起こる2%のランダム失火の場合、エンジン10が1
960rpmで運転されると、失火間隔が2Hzとなる
ため、13Hz成分がある程度発生すると、第1の実施
の形態で述べた悪路判定手法では失火発生を悪路走行
(失火なしの)と誤認する恐れがある。
っては、かかるランダム失火が生じた場合であっても、
失火と悪路走行(失火なし)を精度良く判別できるよう
にした。
を参照して第2の実施の形態に係る装置における悪路判
定パラメータの算出を説明すると、先ずS400におい
て図示の式で定義されるフィルタFILT.1(n) の出
力を算出する。第1の実施の形態と同様、フィルタFI
LT.1(第1のフィルタ)が車輪速度センサ62の出
力信号の中の所定の周波数(固有振動数)を通過させる
バンドパスフィルタに相当し、この処理が、車輪速度セ
ンサ62の出力信号に基づき、第1のフィルタFIL
T.1を用いて車輪の回転速度TNCDの第1の変動値
(即ち、フィルタFILT.1の出力)を算出すること
に相当する。
れるフィルタFILT.2(n) の出力を算出する。フィ
ルタFILT.2(第2のフィルタ)が前記所定の周波
数より高い周波数で、かつ前記所定の周波数の整数倍の
周波数を通過させるバンドパスフィルタに相当し、この
処理が、車輪速度センサ62の出力信号に基づき、第2
のフィルタFILT.2を用いて車輪の回転速度TNC
Dの第2の変動値(即ち、フィルタFILT.2の出
力)を算出することに相当する。
FILT.1,2の出力に基づき、図示の式に従って悪
路判定パラメータDISTNCを算出する。尚、残余の
処理は、第1の実施の形態と異ならない。
ける悪路判定パラメータの算出を説明すると、上記した
ように、ランダム失火において失火間隔が2Hzとなる
ような回転数でエンジン10が運転されるとき、13H
z成分がある程度発生すると、第1の実施の形態で述べ
た悪路判定手法では失火発生を悪路走行(失火なしの)
と誤認する恐れがある。
合の車速変動の周波数特性(フーリエ変換結果)に着目
すると、第1の実施の形態において図9に示すように、
失火が発生したとき、失火間隔(固有振動数に相当する
2Hz)の整数倍成分の高調波が発生するのに対し、
(失火なしの)悪路走行では図7に示すように、かかる
高調波は発生しない。このことは、高調波成分と2Hz
成分の関係から、(失火なしの)悪路走行と失火発生の
有無が判別可能なことを意味する。
なされたものであり、FILT.1(第1のフィルタ)
で第1の実施の形態と同様の固有振動数に相当する2H
z成分を抽出すると共に、FILT.2(第2のフィル
タ)では、2Hz周期で失火が発生するときに変動が現
れ難い固有振動数の非整数倍に相当する周波数(例えば
13Hz)に代え、整数倍の高調波成分、例えば8Hz
を抽出するようにした。
404に示すように、FILT.1の出力を自乗して2
Hz成分を強調すると共に、FILT.2の出力から得
た2Hz間隔で失火したときに現れる8Hz成分の積算
値(より正確にはFILT.2の出力の絶対値の所定回
(例えば20回)分の積算値)で除算して悪路判定パラ
メータDISTNCを算出することで:実際に失火が発
生するときに悪路判定パラメータが増大するのを防止す
るようにした。さらに、分母に1を加えることで、8H
z成分がほとんど現れない非失火時に、分母が0に近く
なって商が無限大となるのを防止するようにした。
で、悪路判定パラメータDISTNCを(失火なしに)
悪路を走行するときに大きな値とすることができる一
方、失火が発生したときはほぼ0とすることができる。
よって失火と悪路走行を精度良く判別することができ、
失火発生を悪路走行(失火なしの)と誤認することがな
く、失火の誤判定をより確実に回避することができる。
T.2で2Hz(固有振動数)の整数倍の高調波成分と
して8Hz成分を抽出するようにしたが、それに限られ
るものではなく、車両の駆動系の固有振動数の整数次成
分であれば良い。
(4Hz)の場合、フィルタを介して抽出するとき、符
号aで示す領域で2Hz(固有振動数相当)との分離が
困難となって失火と悪路走行の判別精度が低下する。
尚、同図で符号bで示す領域は4次(8Hz)成分の場
合を示し、2次の場合に比して分離困難な領域が減少し
ているので、支障ない。さらに、図9に示すように、6
次以上(12Hz以上)の成分の場合、失火時に発生す
る高調波の振幅が減衰することから、同様に失火と悪路
走行の判別精度が低下する。
振動数の整数倍の高調波成分として3次から5次(6H
zから10Hz)程度を抽出するのが望ましい。また、
積算回数を20回としたが、それに限られるものではな
いことはいうまでもない。
く、車両に搭載される車両用多気筒内燃機関(エンジ
ン)10の失火検出装置において、前記内燃機関の回転
に応じて所定回転角度(具体的には30度)ごとに回転
信号を出力する回転信号出力手段(カムシャフトセンサ
36)、前記回転信号出力手段が出力する回転信号に基
づいて前記内燃機関に失火が発生したか否かを気筒ごと
に判定する失火判定手段(S12,S16)、前記車両
の車輪の回転速度TNCDを示す信号を出力する車輪速
度センサ62、前記車輪速度センサの出力信号に基づ
き、第1のフィルタを用いて前記車輪の回転速度の第1
の変動値(幅)FILT.1を算出する第1の変動値算
出手段(S206,S300,S400)、前記車輪速
度センサの出力信号に基づき、第2のフィルタを用いて
前記車輪の回転速度の第2の変動値FILT.1を算出
する第2の変動値算出手段(S206,S302,S4
02)、前記第1の変動値算出手段と第2の変動値算出
手段の算出値から、より具体的には前記第1の変動値算
出手段と第2の変動値算出手段の算出値を乗じて前記車
輪の回転速度の変動度合いを示すパラメータ(悪路判定
パラメータ)DISTNCを算出し(S206,S30
4,S404)、算出したパラメータに基づいて、より
具体的には算出したパラメータをしきい値DISTNC
JDと比較し、算出パラメータがしきい値以上となった
回数をカウンタNDISTでカウントすることで前記失
火判定手段による失火判定に影響を与える、悪路走行な
どの特定の運転状態を検出する特定運転状態検出手段
(S200からS222)、および前記特定運転状態検
出手段によって前記特定の運転状態が検出されたとき、
前記失火判定手段による失火判定を禁止する失火判定禁
止手段(S114,S118,S10)を備える如く構
成した。
第1のフィルタは前記車輪速度センサ62の出力信号の
中の所定の周波数、具体的には車両の駆動系の固有振動
数、より具体的には実施の形態の車両にあっては2H
z、を通過させるバンドパスフィルタ(FILT.1)
であり、前記第2のフィルタは10から15Hz、例え
ば13Hzなど前記所定の周波数より高い周波数で、か
つ前記所定の周波数の非整数倍に相当する周波数(換言
すればそのn次高調波ではない周波数)を通過させるバ
ンドパスフィルタ(FILT.2)である如く構成し
た。
第1のフィルタは前記車輪速度センサ62の出力信号の
中の所定の周波数、具体的には車両の駆動系の固有振動
数、より具体的には実施の形態の車両にあっては2H
z、を通過させるバンドパスフィルタ(FILT.1)
であり、前記第2のフィルタは前記所定の周波数より高
い周波数で、かつ前記所定の周波数の整数倍に相当する
周波数(換言すればそのn次高調波、具体的には3次か
ら5次の高調波に相当する周波数)を通過させるバンド
パスフィルタ(FILT.2)である如く構成した。
分の回転時間などから失火を判定したが、失火判定手法
はこれに限られるものではなく、この発明は、エンジン
の回転変動から検出するものであれば、どのような手法
にも妥当する。
て説明したが、この発明は、手動変速機に代えて自動変
速機を備える車両についても同様に妥当する。
述べた各種の変数の具体値は一例であり、それに限定さ
れるものではないことはいうまでもない。
失火判定に影響を与える特定の運転状態を、その失火時
に誤って失火判定を禁止することなく、より精度良く検
知することができ、失火の誤判定をより確実に回避する
ことができる。
として例えば車両の駆動系の固有振動数を選択して第1
のフィルタを介してその周波数成分を抽出すると共に、
第2のフィルタを介して所定の周波数より高い周波数
で、かつ前記所定の周波数の非整数倍に相当する周波
数、例えば失火の影響が車輪速度センサの出力信号に現
れ難い周波数成分を選択することで、悪路による車輪速
度センサの出力信号の変動のみを抽出することができ、
換言すれば、失火による車輪速度センサの出力信号の変
動を排除することができる。即ち、前記所定の周波数の
非整数倍に相当する周波数を選択することで、失火時に
第1のフィルタの出力と第2のフィルタの出力の両方が
同時に現れることがないため、失火による車輪速度セン
サの出力信号の変動を排除することができると共に、悪
路による車輪速度センサの出力信号のみを抽出すること
ができる。これによって、悪路走行などの特定の運転状
態を、その失火時に誤って失火判定を禁止することな
く、より精度良く検知することができ、失火の誤判定を
より確実に回避することができる。
2のフィルタを介して所定の周波数より高い周波数で、
かつ前記所定の周波数の整数倍に相当する周波数成分を
選択するようにした。この結果、ランダムに失火が発生
して前記した車両の駆動系の固有振動数に相当するよう
な所定の周波数で失火が発生したとき、その整数倍のの
高調波成分を選択し、かかる第1、第2のフィルタを用
いて得た第1、第2の変動値算出手段の出力から、例え
ば、第1のフィルタの出力を第2のフィルタのそれで除
算することで、車輪速度センサの出力信号の変動が失火
によるものなのか、悪路走行などの特定の運転状態によ
るものなのかを一層精度良く判別することができる。こ
れによって、例えば、失火を悪路走行などと誤判定して
失火判定を禁止することがなく、失火の誤判定を一層確
実に回避することができる。
筒内燃機関の失火検出装置を概略的に示す全体図であ
る。
る。
定許可条件)モニタ条件の成立・不成立の判定処理を示
すフロー・チャートである。
などの特定の運転状態にあるか否かの判断処理を示すフ
ロー・チャートである。
算出処理を示すサブルーチン・フロー・チャートであ
る。
JDの検索で使用されるマップの特性を示す説明図であ
る。
系、より具体的には車輪の自由振動の応答を示す実測デ
ータである。
タである。
合の同様の実測データである。
経時的な変動を示す実測データである。
気筒内燃機関の失火検出装置の動作を示す、図5と同様
のフロー・チャートである。
るためのサイクル失火の説明図である。
るためのランダム失火の説明図である。
(FILT.2)で抽出すべき固有振動数の整数倍の高
調波成分の範囲を説明するためのグラフ図である。
Claims (3)
- 【請求項1】 車両に搭載される車両用多気筒内燃機関
の失火検出装置において、 a.前記内燃機関の回転に応じて所定回転角度ごとに回
転信号を出力する回転信号出力手段、 b.前記回転信号出力手段が出力する回転信号に基づい
て前記内燃機関に失火が発生したか否かを気筒ごとに判
定する失火判定手段、 c.前記車両の車輪の回転速度を示す信号を出力する車
輪速度センサ、 d.前記車輪速度センサの出力信号に基づき、第1のフ
ィルタを用いて前記車輪の回転速度の第1の変動値を算
出する第1の変動値算出手段、 e.前記車輪速度センサの出力信号に基づき、第2のフ
ィルタを用いて前記車輪の回転速度の第2の変動値を算
出する第2の変動値算出手段、 f.前記第1の変動値算出手段と第2の変動値算出手段
の算出値から前記車輪の回転速度の変動度合いを示すパ
ラメータを算出し、算出したパラメータに基づいて前記
失火判定手段による失火判定に影響を与える特定の運転
状態を検出する特定運転状態検出手段、 および g.前記特定運転状態検出手段によって前記特定の運転
状態が検出されたとき、前記失火判定手段による失火判
定を禁止する失火判定禁止手段、 を備えたことを特徴とする車両用多気筒内燃機関の失火
検出装置。 - 【請求項2】 前記第1のフィルタは前記車輪速度セン
サの出力信号の中の所定の周波数を通過させるバンドパ
スフィルタであり、前記第2のフィルタは前記所定の周
波数より高い周波数で、かつ前記所定の周波数の非整数
倍に相当する周波数を通過させるバンドパスフィルタで
あることを特徴とする請求項1項記載の車両用多気筒内
燃機関の失火検出装置。 - 【請求項3】 前記第1のフィルタは前記車輪速度セン
サの出力信号の中の所定の周波数を通過させるバンドパ
スフィルタであり、前記第2のフィルタは前記所定の周
波数より高い周波数で、かつ前記所定の周波数の整数倍
に相当する周波数を通過させるバンドパスフィルタであ
ることを特徴とする請求項1項記載の車両用多気筒内燃
機関の失火検出装置。
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JP2002054267 | 2002-02-28 | ||
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JP (1) | JP3958636B2 (ja) |
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