JP2003313636A - 高延性かつ高強度の溶融めっき鋼板およびその製造方法 - Google Patents

高延性かつ高強度の溶融めっき鋼板およびその製造方法

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JP2003313636A
JP2003313636A JP2002123844A JP2002123844A JP2003313636A JP 2003313636 A JP2003313636 A JP 2003313636A JP 2002123844 A JP2002123844 A JP 2002123844A JP 2002123844 A JP2002123844 A JP 2002123844A JP 2003313636 A JP2003313636 A JP 2003313636A
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Akio Tosaka
章男 登坂
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JFE Steel Corp
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JFE Steel Corp
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 高加工性および高い部品強度を安定した品質
の下に実現した、主に自動車車体用の高強度溶融めっき
鋼板を、提供する。 【解決手段】 C:0.05mass%以上0.25mass%以下、S
i:3.0mass%以下、Mn:1.2〜3.5mass%、P:0.01mass
%以下、S:0.003mass%以下、Al:0.02mass%以下お
よびN:0.0050mass%〜0.025mass%以下を含み、残部
鉄および不可避的不純物の成分組成の下、面積率で60%
以上のフェライト相と、第2相として、面積率で10%以
上のマルテンサイトおよび面積率で5%以上の残留オー
ステナイトとを含む組織とし、引張り強さ:590 MPa以
上、均一伸び:10%以上および局部伸び:3%以上に制
御する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】この発明は、主として自動車
の部品に適用される、引張り強さが590MPa以上の高強度
溶融めっき鋼板およびその製造方法に関するものであ
る。具体的な用途としては軽度の曲げ加工、フォーム成
形やロールフォーミングしてパイプ状に成形されるよう
な比較的軽加工用途から比較的厳しい絞り成形の用途に
適する製品である。製法としては常法により冷延鋼板ま
でしたのち、箱焼鈍と連続溶融亜鉛めっき工程を経るこ
とに特徴がある。これにより微細組織の調整が達成さ
れ、望ましい特性を付与することができる。特に歪み時
効により顕著に硬化するにもかかわらず、室温での時効
劣化が小さいという特徴を有する鋼板である。
【0002】
【従来の技術】自動車の車体用には、多くの薄鋼板が適
用されているが、自動車の防錆性能に対する要求が厳し
くなってきていることから、塗装技術の進歩もあるが、
より高い信頼性を付与するために、防錆鋼板の適用が一
般的になってきている。特に、製造コストの観点から溶
融めっき鋼板、中でも溶融亜鉛めっき鋼板が広く用いら
れてきている。
【0003】ところで、昨今の地球環境問題に端を発す
る、排出ガス規制に関して、車体重量の低減は極めて重
要な課題である。車体重量軽減のためには、鋼板の強度
を増加させて、すなわち高張力鋼板を適用して、鋼板の
板厚を低減することが有効である。しかし、高張力鋼板
化の対象となる自動車部品は、その製造過程において、
鋼板に対するプレス成形が必須であるため、降伏応力ま
たは引張り強さの高い高強度鋼板を使用する場合には、
以下のような問題があった。
【0004】すなわち、 1)鋼板の強度が増加すると、形状凍結性が低下するた
めに、スプリングバック量の顕著な増加や、ねじれ、反
りの発生などの問題を生ずる。 2)鋼板の延性が低下するために、成形時に割れやネッ
キングなどの不具合を生じる。また、単純に高強度鋼板
を適用して薄肉化を図った場合、剛性および耐デント特
性(局部的な圧縮荷重負荷により生ずる凹みに対する抵
抗性)が低下することも問題であった。これらの問題
は、いずれも自動車車体に対する高強度鋼板の適用を妨
げるものであった。
【0005】これらの問題を打開するための手法とし
て、自動車の外板パネル用の冷間圧延鋼板において、例
えば極低炭素鋼を素材とし、最終的に固溶状態で残存す
るC量を適正範囲に制御した鋼板の製造技術が、知られ
ている。すなわち、プレス成形後に行われる170℃およ
び20分程度の塗装焼き付け工程で起こる、歪み時効硬化
現象を利用することによって、成形時は軟質であるため
にプレス成形時の形状凍結性の低下をまねくことなく、
部品強度として重要な耐デント特性を確保するものであ
る。しかし、表面欠陥であるストレッチャーストレイン
の発生防止の観点から、その強度上昇量は小さいもので
あり、実際の鋼板の薄肉化に寄与するところは小さいと
いう難点があった。
【0006】さらに、特公平8-23048号公報には、熱延
鋼板について組織をフェライトとマルテンサイトとから
なる複合組織とすることによって、より大きな焼き付け
硬化性を有する鋼板を製造する技術が開示されている。
しかし、極めて低い巻き取り温度で製造するために、歪
み時効硬化により引張強さは増加するものの、降伏応力
の増加量はばらつきが大きく、また機械的性質の変動も
大きいという問題があった。特に、薄肉化を達成するた
めに板厚が2.0mm以下の薄物の鋼板を製造する場合に
は、鋼板の形状が大きく乱れるため、プレス成形が著し
く困難になるという問題点があった。なお、冷延鋼板で
は、このような大きな歪み時効硬化特性を有する鋼板の
製造技術は開示されていない。
【0007】また、前述の塗装焼き付け硬化型冷延鋼板
をベースに、固溶C量を増加させて塗装焼き付け硬化量
を増加させた場合は、室温での時効劣化、すなわち時間
の経過とともに顕著な降伏応力の増加並びに伸びの低下
を生ずることが知られており、広範囲な適用は困難であ
った。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】以上述べたように、自
動車用鋼板として強度並びに延性に対して高度な極めて
強い要求があるにもかかわらず、これらの特性を満足す
る鋼板を、工業的に安価にかつ安定して製造する技術
は、知られていなかった。
【0009】この発明は、上記の問題点を解決し、高加
工性および高い部品強度を安定した品質の下に実現し
た、主に自動車車体用の高強度溶融めっき鋼板を、その
製造方法に併せて提供しようとするものである。
【0010】すなわち、部品強度として、引張り強さが
590 MPaを超える強度領域を対象とし、また原板の状態
において、従来鋼に比して優れた延性を有するが、プレ
ス成形後の熱処理(通常の塗装焼き付け処理あるいはさ
らに行う後熱処理)により顕著な歪み時効硬化を生じる
こと、また室温時効劣化が実質的にないこと、を併せ持
つ高強度溶融めっき鋼板を提供する。
【0011】かような高強度溶融めっき鋼板は、成形時
は軟質で、かつ十分な延性を有しているため、鋼板の単
純な高強度化に伴って発生する、上記のプレス成形時の
形状不良や割れ発生などの問題は回避される一方、成形
後の熱処理により顕著に歪み時効硬化するため、高強度
の鋼板を適用したと同等の十分な部品強度が得られ、そ
の結果優位に鋼板の薄肉化が達成できる。
【0012】
【課題を解決するための手段】発明者らは、上記の問題
を解決するために、種々の成分並びに製造法に従って鋼
板を製造し、多くの材質評価実験を行ったところ、微視
組織的にはフェライト主体の組織として、さらにマルテ
ンサイトと残留オーステナイトを含有させること、また
化学成分組成としては、従来このような加工性が要求さ
れる分野にはあまり積極的に利用されていなかった、窒
素を強化元素として活用し、さらにC、Si、Mn、P、S
およびAlなどの添加量を制御することが、高強度溶融め
っき鋼板において、所期した特性の向上に極めて有効で
あることが明らかとなった。さらに、窒素が持つ大きな
歪み時効硬化現象を自動車の塗装焼き付け条件あるいは
さらに積極的に行う成形後熱処理と結合することによっ
て、歪み時効硬化特性を安定させることも明らかとなっ
た。また、従来、歪み時効硬化現象に利用されていた、
固溶Cを極めて低く抑制することによって、室温での時
効劣化が低減されることも判明した。
【0013】すなわち、Nを固溶状態で強化元素として
用い、キーとなる元素であるAlの含有量を適正な範囲に
制御し、さらに熱間圧延、冷間圧延および焼鈍の各条件
を適正化して微視組織と固溶N量とを最適化することに
よって、従来の固溶強化型のC−Mn系析出強化鋼に比べ
て、格段に優れた成形性と歪み時効硬化特性とを得るこ
とが可能になる。ところで、従来の引張り試験による検
討では、従来の鋼および高張力鋼においても焼き付け硬
化性の寄与が示唆されていたが、実際のプレス成形条件
において十分な対応があるとはいえず、発明者らの検討
では大きなばらつきが存在しており、信頼性が要求され
る部品への適用においては障害となっていた。これに対
して、この発明では、塗装焼き付け硬化量そのものを高
レベル化し、これらを安定して発現させることができ
る。
【0014】この発明は、上記の知見に基づくものであ
り、その要旨構成は、次に示すとおりである。 (1)C:0.05mass%以上0.25mass%以下、Si:3.0mass
%以下、Mn:1.2〜3.5mass%、P:0.01mass%以下、
S:0.005mass%以下、Al:0.02mass%以下およびN:
0.0050mass%〜0.025mass%以下を含み、残部鉄および
不可避的不純物の成分組成を有し、かつ面積率で60%以
上のフェライト相と、第2相として、面積率で10%以上
のマルテンサイトおよび面積率で5%以上の残留オース
テナイトとを含む組織を有し、引張り強さ:590 MPa以
上、均一伸び:10%以上および局部伸び:3%以上であ
ること特徴とする高延性かつ高強度の溶融めっき鋼板。
【0015】(2)上記(1)において、成分組成とし
て、さらにCu、Ni、CrおよびMoのいずれか1種または2
種以上を合計で1.0mass%以下と、Nb、TiおよびVのい
ずれか1種または2種以上を合計で0.1mass%以下とを
含有することを特徴とする高延性かつ高強度の溶融めっ
き鋼板。
【0016】(3)上記(1)または(2)において、
Nは0.0030mass%以上が固溶状態にあり、5%以上の塑
性変形を与えて100℃以上300℃以下にて30s以上20min
以下の熱処理を行った後の、変形応力増加量が80MPa以
上および引張強さ増加量が40MPa以上であることを特徴
とする高延性かつ高強度の溶融めっき鋼板。
【0017】(4)C:0.05mass%以上0.25mass%以
下、Si:3.0mass%以下、Mn:1.2〜3.5mass%、P:0.0
1mass%以下、S:0.005mass%以下、Al:0.02mass%以
下およびN:0.0050mass%〜0.025mass%以下を含む、
鋼スラブを1000℃以上に加熱後、仕上げ圧延出側温度を
800℃以上とする熱間圧延を施し、650℃以下の温度で巻
取り、その後酸洗および冷間圧延を施し、次いで再結晶
温度以上900℃以下の温度にて、加熱速度10℃/h以上
かつ冷却速度10℃/h以上の箱焼鈍を行い、引き続き溶
融めっきを行うことを特徴とする高延性かつ高強度の溶
融めっき鋼板の製造方法。
【0018】(5)上記(4)において、溶融めっき処
理後に、1.5%以上10%以下の調質圧延およびレベラー
掛けの少なくともいずれか一方を行うことを特徴とする
高延性かつ高強度の溶融めっき鋼板の製造方法。
【0019】この発明は、自動車車体用の冷延薄めっき
鋼板であり、当然、鋼板の形状・寸法精度の向上および
鋼板の長手方向および幅方向の材質均一化のために、熱
間圧延工程にて、現在一部で実用化されている、連続圧
延技術を適用することは極めて有効であり、同時に材質
均一化のために、圧延温度をコイルの長手方向および幅
方向に均一化する、シートバーエッジヒーター、あるい
はシートバーヒーターを加えて使用することも極めて有
効である。また、圧延後の冷却において、エッジ部の過
冷却を防止するために、幅方向に冷却水のマスキングを
行う技術も、材質均一化の観点では重要な技術の一つで
ある。
【0020】
【発明の実施の形態】まず、この発明の溶融めっき鋼板
における、鋼の化学成分の各限定理由について説明す
る。 C:0.05mass%以上0.25mass%以下 C量が0.25mass%をこえると、スポット溶接性やアーク
溶接性などが顕著に低下するため、C量は0.25mass%以
下とする。なお、成形性の向上という観点からは、0.20
mass%以下とすることが好適であり、特に良好な延性が
重要となる用途では、0.18mass%以下が好ましい。一
方、C量が0.05mass%未満となると、この発明の重要な
案件である高強度化のための硬質な第2相組織が十分な
分率で得ることが困難となるため、0.05mass%以上とす
る。
【0021】Si:3.0mass%以下 Siは、この発明において、延性に有利な残留γ量を安定
して得るために、必要な元素である。特に、箱焼鈍のよ
うな、比較的長時間の焼鈍を行った後でも、固溶Nを確
保するために3.0mass%以下に低減する必要がある。さ
らに大きな歪み時効硬化を安定して得るためには2.0mas
s%以下とすることが望ましい。下限は特に規制されな
いが、概ね0.2mass%以上で添加することによって、強
度と延性とのバランスを改善することが可能である。な
お、めっき工程で不めっき等の欠陥を発生せずに良好な
機械的性質を得るには、0.2〜1.0mass%の範囲とするこ
とが望ましい。
【0022】Mn:1.2〜3.5mass% Mnは、Sによる熱間割れを防止する有効な元素であり、
含有するS量に応じて添加する必要がある。また、Mnは
結晶粒を微細化する効果があるため添加することは材質
上望ましい。また、Mnの添加は、固溶Nを安定して確保
するという観点からも望ましい。すなわち、Sを安定し
て固定し、かつ固溶Nを安定して確保し、さらには安定
して強度を上昇させるためには、1.2mass%程度以上の
添加が望ましい。特に、Mnの添加量を高めることによっ
て、熱延条件の変動に対する鋼板の機械的性質、中でも
この発明が目的とする、優れた歪み時効硬化特性の敏感
性が顕著に改善されるという、大きな利点があり、その
ためには、1.5mass%以上の添加が望ましい。しかし、M
nを過度に添加すると、詳細な機構は不明であるが、鋼
板の熱間変形抵抗を増加させる傾向があり、好ましくな
い。さらに、溶接性および溶接部の成形性も悪化する傾
向にある。また、延性の観点でもフェライトの生成が抑
制されるために、延性が顕著に低下する。以上のことか
ら、その上限を3.5mass%とした。より良好な耐食性並
びに成形性が要求される用途では、3.0mass%以下が望
ましい。
【0023】P:0.01mass%以下 Pは、鋼の固溶強化元素として有効であるが、過度に含
有する場合、鋼を脆化させ、さらに鋼板の伸びフランジ
加工性を悪化させる。また、鋼中において偏析する傾向
が強いため、それに起因した溶接部の脆化をもたらし、
好ましくない。以上のことから、その上限を0.01mass%
とした。上記の特性低下が、特に重要視される場合は0.
005mass%以下とする必要がある。
【0024】S:0.005mass% Sは、介在物として存在し、鋼板の延性を減少させ、さ
らに耐食性の劣化をもたらす元素であるため、その上限
を0.005mass%とした。特に、S量に敏感な伸びフラン
ジ特性において優れた加工性が要求される場合は、0.00
2mass%以下とすることが望ましい。また、詳細な機構
は不明であるが、Sを0.003mass%以下まで低減するこ
とは、この発明の鋼板において、歪み時効硬化特性を安
定して高いレベルに維持するために有効である。
【0025】Al:0.02mass%以下 Alは、鋼の脱酸元素として添加され、鋼の清浄度を向上
させるのに有用な元素であり、鋼の組織微細化にも有効
な元素である。この発明においては、固溶状態のNを強
化元素として利用するが、適性範囲のAlを添加したアル
ミキルド鋼のほうが、Alを全く添加しない従来のリムド
鋼に比して、伸び、絞り等の機械的性質が優れている。
Al含有量が多くなると、表面性状の悪化、固溶Nの顕著
な低下につながり、この発明の目的である、極めて大き
な時効硬化特性を確保することが困難となる。このた
め、上限は従来鋼より低い0.02mass%とした。材質の安
定性という観点では、0.001〜0.015mass%がさらに望ま
しい。また、Al添加量の低減は結晶粒の粗大化につなが
る懸念があるが、この発明ではMn等の他の合金元素を
最適量に制限することと、焼鈍条件を最適な範囲とする
ことで防止することができる。
【0026】N:0.0050〜0.025mass% 固溶状態のN:0.0030mass%以上 Nは、この発明において最も重要な添加元素である。す
なわち、適正範囲のNを添加して、製造条件を制御する
と、最終のめっき製品の状態で必要かつ十分な固溶状態
のNを確保することができ、固溶強化と歪時効硬化での
強度(降伏応力および引張り強さ)上昇効果が得られ、
さらに、これらの特性の増加が安定して得られる。ま
た、Nは、鋼の変態点を降下させる効果もあり、薄物で
変態点を大きく割り込んだ圧延を避けたい状況では、そ
の添加は有効である。以上の効果は、0.0050mass%以上
の添加によって安定して得られる。しかし0.025mass%
を超えると、鋼板の内部欠陥の発生率が高くなるととも
に、連続錆造時のスラブ割れなどの発生も顕著となるた
め、その上限を0.025mass%とした。製造工程全体を考
慮した材質の安定性・歩留まり向上という観点からは、
0.0070〜0.0170mass%の範囲がさらに好適である。な
お、窒素を添加しても、この発明の範囲であれば、アー
クおよびスポットなどの溶接性等にはまったく悪影響は
ない。
【0027】また、鋼板の十分な強度が確保され、さら
にNによる歪み時効効果が有効に発揮されるには、固溶
状態のNが0.0030mass%以上である必要がある。ここ
で、固溶Nの分析法は、鋼中の全N量から析出N(電解
抽出による溶解法にて求める)を差し引いた値を、固溶
Nとする。この析出Nの分析法について、種々の方法を
検討したが、電解抽出による溶解を適用する方法が最も
良く、材質の変化とよく対応する。また、さらに大きな
歪み時効硬化による降伏応力の増加や、引張強さの増加
が必要な場合は、固溶Nを0.0050mass%さらには0.0070
mass%以上とすることが有効である。
【0028】また、選択的に添加する元素は、以下の範
囲に抑える必要がある。 (A群):Cu、Ni、CrおよびMoのいずれか1種または2
種以上を合計で1.0mass%以下 (B群):Nb、Ti、VおよびBのいずれか1種または2
種以上を合計で0.1mass%以下 A群、B群の単独添加、複合添加あるいはA,B群にわ
たって添加しても、これらの固溶強化元素としての望ま
しい効果は、相殺されることはない。これらの元素が含
有されることによって、この発明で所期する、結晶粒径
の均一かつ微細化が達成される。また、同時に鋼板の製
品としての強度も高まるが、副作用として、鋼板を熱間
圧延する場合の熱間変形抵抗の増加、化成処理性および
より広義の表面処理特性の悪化、さらには溶接部の硬化
に由来する溶接部成形性の低下、が顕著にあらわれる。
そこで、これらの元素を上記の範囲内で添加する。これ
らの元素は、単独でも複合添加でも同様の挙動を示すた
め、熱間変形抵抗に及ぼす実験式をもとに2つのグルー
プに分類し、各々の含有量の上限を上記に設定した。
【0029】さらに、伸びフランジ成形性が要求される
場合は、CaおよびREMのいずれか一方または両方を添加
して、介在物の形態制御を行うことも有効である。各々
の添加量の合計を0.0010〜0.010mass%とすることによ
って、表面欠陥の発生などを伴うことなく伸びフランジ
特性を改善することができる。
【0030】次に、鋼板の組織と機械的特性の限定理由
について述べる。 フェライト相の面積率:60%以上 この発明は、高度な加工性が要求される自動車用鋼板を
対象としており、フェライト(ポリゴナルフェライト)
が面積率で60%未満では、必要な延性を確保することが
困難となる。さらに、良好な延性が要求される場合は70
%以上のフェライト分率が望ましい。ここで、フェライ
トとしては、いわゆるフェライトのみでなく、炭化物の
析出を含まないベイニティックフェライトやアシキュラ
ーフェライトも含むものとする。
【0031】第2相として、マルテンサイトを10%以上
および残留オーステナイトを5%以上を含むマルテンサ
イトが10%未満では、優れた延性を得ることができな
い。さらに、高い強度を得るためには、12%以上の含有
が望ましい。このマルテンサイトは特に均一伸びの改善
に有効である。また、残留オーステナイトは5%以上含
有することが、局部伸びの改善に特に有効である。更な
る延性の改善のためには、7%以上の含有が望ましい。
さらに、詳細な機構は不明であるが、残留オーステナイ
ト量が増加すると、歪み時効硬化量が増加する傾向にあ
り望ましい。
【0032】〔機械的特性〕 引張り強さ(TS):590MPa以上 引張り強さを590MPa以上とすることによって、特に鋼板
の強度化による薄肉化、すなわち軽量化が可能となる。
また、この発明では、硬質な第2相と残留γ相を利用す
るため、その引張り強さは必然的に590MPa以上となる。
【0033】なお、引張試験において得られる伸びは、
均一伸び(一様伸び)と局部伸びから成り立っている
(均一伸びと局部伸びについては日本鉄鋼協会編;鉄鋼
便覧第3版、第IV巻鉄鋼材料、試験・分析、丸善株式会
社(1981)によった)。この発明においては、均一伸びは
最大引張荷重における永久伸びとした。また、局部伸び
は、破断伸び(全伸び)から均一伸びを差し引いた値とし
た。
【0034】均一伸び:10%以上; 均一伸びの向上は、ネック、割れ等の不具合を防止する
上で重要である。この値が10%以上であると、ほぼどの
ような成形モードであっても安定して、成形の際の不具
合を防止することができる。
【0035】局部伸び:3%以上; 局部伸びを3%以上とすることで、成形時の潤滑の不良
などが発生しても、不安定な割れを発生する危険性を回
避することができる。
【0036】〔歪み時効硬化特性〕 予歪み量(塑性変形):5% まず、歪み時効硬化特性を規定するに当り、予歪み量は
重要な因子となる。そこで、自動車用鋼板が適用される
変形様式を想定して、歪み量がその後の歪み時効硬化特
性に及ぼす影響について調査したところ、極めて深い絞
り加工以外はおおむね1軸相当歪み量で整理できること
が明らかになった。また、実際の部品においては、この
1軸相当歪み量がおおむね5%を上回っていることと、
部品強度が5%の歪み量で時効後に得られる強度と良く
対応することも明らかになった。従って、ここでは5%
の塑性歪みを予歪み条件とした。
【0037】熱処理温度と時間:100〜300℃で30s〜20
min 従来の塗装焼き付け処理条件は、170℃×20分が標準と
して採用されているが、この発明に従って多量の固溶N
を残存させて、かつ5%以上の歪みを付与する場合は、
より緩やかな処理でも硬化が達成され、言い換えればよ
り幅広い時効条件が設定可能である。一般に、時効は高
温、長時間ほど硬化処理には有利である。この発明に従
う鋼では、予加工後、おおむね100℃に加熱することで
硬化が顕著となる。一方、300℃を超えると、その効果
が飽和し、逆にやや軟化する傾向を示す。また、300℃
以上の温度に加熱すると、熱歪みやテンパーカラー発生
などの問題が顕著となり、望ましくない。
【0038】熱処理時間については、200℃でおおむね3
0S程度以上保持すれば、ほぼ十分な歪み時効硬化が達
成される。より大きな安定した歪み時効硬化を達成する
場合は60S以上の保持が望ましい。しかし、20minをこ
える長時間の熱処理は、実用上生産効率の顕著な低下を
もたらすため、20min以下とする。
【0039】加熱方法は通常の塗装焼き付けの際のよう
に炉で雰囲気加熱される場合のみでなく、例えば誘導加
熱、無酸化炎、レザー、プラズマなどによる局部的な加
熱も当然有効となる。従来の焼き付け硬化型鋼板では十
分な硬化が達成されないような低温、短時間でも本発明
鋼では大きな硬化が達成される。
【0040】歪み時効による強度上昇 変形応力増加量(BH):80MPa以上 引張強さ増加量(ΔTS):40Mpa以上 この発明に従う鋼板においては、歪み時効硬化量は引張
にて5%予歪みを付与した後に100℃以上300℃以下にて
30s以上20min以下の熱処理を付与した条件で規定す
る。変形応力増加量は予歪後の時効前後の降伏応力の増
加(5%変形応力−時効後の降伏応力)を指し、この発
明に従う鋼板においては、80MPa以上必要である。引張
強さ増加量は歪み時効を与えない材料の引張強さと歪み
時効後の引張強さを指し、この発明に従う鋼板において
は、40MPa以上必要である。
【0041】これらはどちらか一方だけでは不十分であ
る。すなわち、自動車用の部品強度としては、複雑な外
部からの応力負荷があり、したがって小さな歪み域での
強度特性だけでなく大きな歪み域での強度特性も重要と
なるためである。これらの値は、さらに望ましくは降伏
応力が100MPa以上および引張強さが50Ma以上である。ま
た、時効温度を上昇させ、時効時間を長くすることで、
さらに高強度を得ることができる。
【0042】また、この発明に従う鋼板では、特に加熱
して加速時効(人工的な時効)を行なわなくとも、成形
後に室温で放置しておくだけでも、強度の増加が期待で
き、完全な時効の概ね40%程度は最低限見込むことが可
能である。これは、この発明の優位性の一つである。一
方、塑性加工を付与しない状態では、いわゆる室温での
保持による時効劣化(ここでは降伏応力の増加と伸びの
減少)は起こらないことも、この発明の特徴である。
【0043】次に、製造条件の限定理由について説明す
る。まず、素材となる鋼スラブは、成分のマクロな偏析
を防止すべく連続鋳造法で製造することが望ましいが、
造塊法、薄スラブ鋳造法によっても可能である。また、
スラブを製造したのち、一旦室温まで冷却し、その後再
度加熱する従来法に加えて、冷却しないで温片のままで
加熱炉に挿入するか、あるいは僅かの保熱を行った後に
直ちに圧延する、直送圧延・直接圧延などの省エネルギ
ープロセスも問題なく適用できる。特に、固溶状態のN
を有効に確保するには直送圧延は有用な技術の一つであ
る。
【0044】その後、熱間圧延を施すが、その熱延条件
については、以下のように規定する。 スラブ加熱温度:1000℃以上 スラブ加熱温度は、初期状態として固溶状態のNを確保
するという観点から下限を1000℃に規定する。上限は、
特に規制されないが、酸化重量の増加にともなうロスの
増大などから、1280℃以下とすることが望ましい。
【0045】仕上げ圧延温度:800℃以上 仕上げ圧延温度は、800℃以上とすることによって、均
一かつ微細な熱延母板組織を得ることができ、この鋼板
の用途上、問題なく使用することができる。しかし、仕
上げ圧延温度が800℃を下回ると、鋼板の組織が不均一
になり、冷間圧延、焼鈍後にも組織の不均一性が消えず
に残留するため、プレス成形時に種々の不具合を発生す
る危険性が増大する。また、これより低い圧延温度の場
合に加工組織の残留を回避すべく高い巻取り温度を採用
しても、望ましくない集合組成の発達や粗大粒の発生に
ともなう同様の不具合を生じ、さらに固溶Nの顕著な低
下も生ずるため、目標とする590MPaの引張強さを得る事
が困難となる。従って、仕上げ圧延温度は800℃以上と
した。特に、機械的性質を向上させるには、820℃以上
であることが望まれる。一方、上限温度は規制されない
が、過度に高い温度で圧延した場合は、スケール庇など
の原因となるため、1000℃程度を上限とすることが好ま
しい。
【0046】熱間圧延終了後の冷却については、特に限
定する必要はないが、圧延終了後、早期に(例えば0.5
s以内に)水冷を開始し、冷却中の平均冷却速度を40℃
/s以上とすることが、歪み時効硬化特性を大きくする
のに有利である。これらの条件を満足することによっ
て、結晶粒径の微細化が達成され、固溶N量も十分な量
を確保できる。すなわち、熱間圧延後は、圧延歪により
窒化アルミの析出が促進される傾向にあるが、そのよう
な高温域をできるだけ速く冷却することによって、窒化
アルミの析出を防止できるため、固溶状態のNの確保が
促進される。
【0047】一方、冷却速度の上限は、特に規定しない
が、300℃/sを上回ると材質の均一性と形状の均一性
を両立するうえで不利となるため、300℃/s以下とす
ることが好ましい。
【0048】熱延巻き取り温度:650℃以下 熱延巻取り温度を、低下させることによって、強度が増
加し、また歪み時効特性が改善することが可能である。
そして、車体の軽量化に寄与する十分に高い引張強さ並
びに歪み時効硬化量を得るには、650℃以下の巻取り温
度とすることが必要である。下限は、材質上厳しく限定
されないが、200℃を下回ると鋼板の形状乱れが顕著に
なり、実際の使用に当り不具合を生ずる危険性が増大す
る。また、材質の均一性も低下する傾向にあり望ましく
ない。従って、熱延巻取り温度は200℃以上とすること
が望ましい。さらに、高い材質均一性が要求される場合
は、300℃以上とすることが望ましい。
【0049】その後、酸洗を通常法に準じて行うが、極
めて薄いスケールの状態であれば、直接冷間圧延するこ
とも可能である。また、冷間圧延は、この種鋼板の一般
に従うものでよい。
【0050】次いで、冷間圧延後に、再結晶温度以上90
0℃以下の温度で箱焼鈍を行う。この箱焼鈍を行うこと
によって、微細組織を改善して、引き続いて実施する連
続溶融めっき工程にて、所期する組織を最終的に得るこ
とができる。また、この工程を追加することによって、
室温時効の劣化を防止することも可能である。
【0051】ここで、焼鈍温度が再結晶温度以下では強
度は確保できるものの、未再結晶組織を含むために延性
が極めて低くなり、自動車用鋼板としての適用が難しく
なる。一方、焼鈍温度の上限は、固溶Nが析出して減少
することを防止するために、900℃以下とする。
【0052】また、焼鈍時の加熱速度は10℃/h以上と
する必要がある。すなわち、10℃/h未満では、組織が
粗大となる結果、歪み時効硬化特性が低下する。一方、
上限は特に制限する必要はなく、通常の箱焼鈍の設備達
成可能な範囲であれば許容される。
【0053】さらに、焼鈍時の冷却速度は10℃/h以上
とする必要がある。冷却速度が10℃/h未満では、歪み
時効特性が低下する。一方、冷却速度が300℃/h以上
では、固溶C量が増加する結果、室温での時効劣化が顕
著となるため、上限を300℃/hとすることが好まし
い。
【0054】なお、箱焼鈍条件としては、急速加熱およ
び急速冷却が望ましいため、このような要求に応えるこ
とができる、オール水素焼鈍炉がこの点では発明鋼板に
適している。また、箔焼鈍の際に生ずる内部酸化層を利
用して、次工程の溶融めっきの際に表面に不純物の酸化
物が凝縮する現象を抑制し、めっき性を改善することが
できる。このために連続溶融めっき前に軽酸洗を行うこ
とが望ましい。また、めっき前の酸洗は処理中に生じる
種々の表面欠陥の防止にも有効である。
【0055】引き続いて、連続溶融めっき処理を行う。
このめっき種については、特に制限はなく、通常の亜鉛
めっき(合金・非合金)やアルミめっき、さらには各種
組成の亜鉛−アルミめっきを適用できる。
【0056】なお、溶融めっきに先立つ加熱温度は、再
結晶温度以上であることが好ましい。なぜなら、再結晶
温度以下では、十分な成形性が得られない、おそれがあ
るためである。しかし、必ずしも完全再結晶状態にする
必要はなく、概ね80%以上の再結晶率であれば良い。さ
らに高温の焼鈍を行っても望ましい特性は得られるが、
概ね900℃以上の焼鈍を行う場合は鋼板表面の合金元素
濃化が顕著となり不めっきの原因となる。前述したが溶
融めっきを行う前に、ラインの入側にて酸洗を行うこと
によって、最終製品のめっき密着性を向上させることが
できるため、有利である。
【0057】上記溶融めっき処理後に、必要に応じて、
調質圧延あるいはレベラー加工を行うことができる。こ
こで、レベラー加工とは、鋼板に軽度の曲げ、曲げ戻し
加工を付与して鋼板の形状を改善するものである。
【0058】すなわち、この発明では、形状矯正、粗度
調整という、従来の目的だけでなく、鋼板の歪み時効硬
化特性を安定して高めるために、必要に応じて、調質圧
延またはレベラー加工を行うことができる。これらの処
理による伸び率を、合計量で1.5%以上とすることによ
って、歪み時効硬化特性を安定して高めることができ
る。一方、伸び率が10%を超えると、延性の低下をもた
らす場合があるため、伸び率は10%以下とすることが好
ましい。この発明の鋼板に対しては、調質圧延でもレベ
ラー加工でも、大きな差異がないことを確認している。
したがって、上記の伸び率は、両者の少なくとも一方の
伸び率にて規定すればよい。
【0059】また、上記の製造工程を基本として、この
製造工程に補助的に適用することが望ましい製造条件に
ついて述べる。まず、仕上げ圧延機の入側でシートバー
同士を接合し連続的圧延することが望ましい。すなわ
ち、連続的に圧延することにより、コイルの先端および
後端のいわゆる圧延の非定常部がなくなり、安定した熱
延条件をコイル全長および全幅に渡って付与することが
可能である。これは、熱延鋼板のみでなく、冷延鋼板の
断面の形状および寸法を改善するのに極めて有効であ
る。この際の接合方法については特に規制条件はなく、
圧接法でも、レーザー溶接法や電子ビーム溶接法でも、
またその他の接合法でも、全く同様に適用できる。さら
に、圧延後の鋼板をホットランテーブル上で冷却する際
に、常に張力を鋼板に付与できるため、鋼板の形状を良
好に保つことが可能である。この観点からも連続的な熱
間圧延の適用が望ましい。さらにまた、連続圧延を行な
うことでコイル先端を安定して通板できるため、通常の
単発のバッチ圧延条件では通板性および噛込み性の観点
から適用できなかった、潤滑圧延を適用することができ
る。これにより、圧延荷重を低減することができると同
時に、ロールの面圧をも低減できるのでロールの寿命延
長が可能となる。以上のことから薄物の冷延鋼板におい
ては、連続的にタンデム圧延することが極めて有効であ
る。
【0060】次に、仕上げ圧延機入側でのシートバーエ
ッジヒーターおよびシートバーヒーターにより、エッジ
部を加熱することが好ましい。まず、エッジヒーターに
より幅方向の圧延温度の差異を補償することが望まし
い。この際の加熱量は、最終的な仕上げ圧延での温度差
が概ね20℃以下となるような条件が推奨されるが、鋼組
成その他で変化する。また、シートバーヒーターによ
り、コイルの先尾端の温度低下部分をより均一なものと
することが可能である。この場合の加熱量は、中央部に
対して概ね +200℃の範囲が材質均一化という観点から
推奨される。
【0061】また、熱間加工時に荷重を低減するため
に、潤滑圧延を行うことは、形状の均一化、材質の均一
化の観点からも有効である。この際の摩擦係数は、0.25
〜0.10の範囲であることが好ましく、さらに前述の連続
圧延プロセスを適用することが熱間圧延の操業安定性の
観点からも望ましい。
【0062】
【実施例】実施例1 まず、表1に示す成分組成を含み、残部が実質的にFeか
らなる鋼を転炉で溶製し、この鋼スラブを表2に示す条
件で熱間圧延、そして酸洗、冷間圧延、箱焼鈍して冷延
鋼板を製造し、さらに連続溶融亜鉛めっきラインにてめ
っき鋼板を製造した。なお、めっき条件としては、加熱
温度は表中に記載した各件で冷却速度は20〜70℃/sと
し、500〜580℃にて合金化処理を行った。また、めっき
ラインの入側にて通常のHCl溶液での酸洗処理を実施し
た。
【0063】かくして得られためっき鋼板について、機
械的特性および焼き付け硬化量を調査した。その結果
を、表3に示す。なお、機械的特性は、JIS5号試験
片を使用して測定し、焼き付け硬化量は7%予歪みで17
0℃にて20分の標準的な時効条件の下で評価した。ま
た、各々の(微細)組織については、通常の方法にて鋼
板断面を光学顕微鏡にて観察して評価した。この結果に
ついても、表3に併記する。
【0064】
【表1】
【0065】
【表2】
【0066】
【表3】
【0067】実施例2 0.15mass%C−0.35mass%Si−1.85mass%Mn−0.005mas
s%P−0.001mass%S−0.015mass%Al−0.0126mass%
Nの成分を有する鋼スラブを素材とし、表4に示す幅広
い製造条件の下に、実施例1と同様のめっき条件に従っ
て溶融亜鉛めっき鋼板を製造した。かくして得られため
っき鋼板について、実施例1と同様に機械的特性を調査
した。その結果を、表5に示す。
【0068】
【表4】
【0069】
【表5】
【0070】
【発明の効果】この発明によれば、大きな歪み時効硬化
特性を有する高延性高強度の溶融めっき鋼板が提供され
るため、特に自動車車体の外板に適用した際に、該車体
の軽量化に大きく寄与する材料を与えることができる。
また、この発明の方法は、化学組成、熱延条件および冷
延・焼鈍条件を適正化して、最終の製品段階での微視組
織、固溶状態のNを十分な量で確保しつつ、固溶C量を
制限することによって、強度を増加させ、さらにNによ
る歪み時効硬化をも使い、室温時効劣化を抑制すること
によって、優れたプレス成形性と十分な部品としての強
度を確保したため、高延性高強度の溶融めっき鋼板を確
実に製造することができる。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) C22C 38/58 C22C 38/58 C23C 2/06 C23C 2/06 2/26 2/26 2/40 2/40 Fターム(参考) 4E002 AA07 AD04 BC07 BD03 BD09 BD10 CB01 4K027 AA02 AA05 AA23 AB05 AB42 AB43 AB44 AB48 AC12 AC87 4K037 EA01 EA05 EA06 EA11 EA13 EA15 EA16 EA17 EA18 EA19 EA20 EA23 EA25 EA27 EA28 EA31 EA32 EB05 EB07 EB09 FA02 FA03 FB00 FC03 FC04 FD04 FE01 FE02 FG00 FH03 FJ01 FJ04 FJ05 FJ06 FK01 FM02 GA05 JA06

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】C:0.05mass%以上0.25mass%以下、 Si:3.0mass%以下、 Mn:1.2〜3.5mass%、 P:0.01mass%以下、 S:0.005mass%以下、 Al:0.02mass%以下および N:0.0050mass%〜0.025mass%以下 を含み、残部鉄および不可避的不純物の成分組成を有
    し、かつ面積率で60%以上のフェライト相と、第2相と
    して、面積率で10%以上のマルテンサイトおよび面積率
    で5%以上の残留オーステナイトとを含む組織を有し、
    引張り強さ:590 MPa以上、均一伸び:10%以上および
    局部伸び:3%以上であること特徴とする高延性かつ高
    強度の溶融めっき鋼板。
  2. 【請求項2】 請求項1において、成分組成として、さ
    らにCu、Ni、CrおよびMoのいずれか1種または2種以上
    を合計で1.0mass%以下と、Nb、TiおよびVのいずれか
    1種または2種以上を合計で0.1mass%以下とを含有す
    ること特徴とする高延性かつ高強度の溶融めっき鋼板。
  3. 【請求項3】 請求項1または2において、Nは0.0030
    mass%以上が固溶状態にあり、5%以上の塑性変形を与
    えて100℃以上300℃以下にて30s以上20min以下の熱処
    理を行った後の、変形応力増加量が80MPa以上および引
    張強さ増加量が40MPa以上であることを特徴とする高延
    性かつ高強度の溶融めっき鋼板。
  4. 【請求項4】C:0.05mass%以上0.25mass%以下、 Si:3.0mass%以下、 Mn:1.2〜3.5mass%、 P:0.01mass%以下、 S:0.005mass%以下、 Al:0.02mass%以下および N:0.0050mass%〜0.025mass%以下 を含む、鋼スラブを1000℃以上に加熱後、仕上げ圧延出
    側温度を800℃以上とする熱間圧延を施し、650℃以下の
    温度で巻取り、その後酸洗および冷間圧延を施し、次い
    で再結晶温度以上900℃以下の温度にて、加熱速度10℃
    /h以上かつ冷却速度10℃/h以上の箱焼鈍を行い、引
    き続き溶融めっきを行うことを特徴とする高延性かつ高
    強度の溶融めっき鋼板の製造方法。
  5. 【請求項5】 請求項4において、溶融めっき処理後
    に、1.5%以上10%以下の調質圧延およびレベラー掛け
    の少なくともいずれか一方を行うことを特徴とする高延
    性かつ高強度の溶融めっき鋼板の製造方法。
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