JP4622187B2 - 歪時効硬化特性に優れるとともに室温時効劣化のない冷延鋼板および冷延めっき鋼板ならびにそれらの製造方法 - Google Patents

歪時効硬化特性に優れるとともに室温時効劣化のない冷延鋼板および冷延めっき鋼板ならびにそれらの製造方法 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、自動車用鋼板等として用いられる、歪時効硬化特性に優れるとともに、室温での時効劣化のない冷延鋼板および冷延めっき鋼板ならびにそれらの製造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
一般に、自動車の車体には、各種の薄鋼板が使用され、とくに成形性に優れた冷延鋼板が多く使われているが、最近、とくに高張力鋼板の使用量が増大している。その理由は、昨今の地球環境問題に由来する自動車の排気ガス規制などから、車体重量の軽減が求められているところ、高張力鋼板を採用すると、鋼板の薄肉化に寄与できるからである。しかし、単に高張力鋼板を用いれば足りるのではなく、例えば、自動車用部品の場合、その要求特性は部品によっても異なるが、曲げ、ねじり変形に対する静的強度、疲労強度、耐衝撃特性などが個別に求められる。これらの特性は、鋼板の強度に依存するため、部品の軽量化(薄肉化)にあたっては、使用する鋼板に対して、下限強度が設定され、この下限強度を満足することが要求される。
【0003】
一般に、降伏応力または引張強度の高い高強度鋼板から部品をプレス成形する場合、次のような問題点があった。
1)降伏強度の上昇により、スプリングバック量が増加し、形状凍結性が低下する結果、ねじれ、ひねれ、反りなどの問題を生ずる。
2)鋼板の延性が低下し、成形時に割れやネッキングなどの不具合を生ずる。
3)単純に、高強度鋼板を適用して薄肉化を図った場合、剛性、耐デント特性(局部的な圧縮荷重負荷により生ずる凹みに対する抵抗性)が低下する。
そして、これらの問題点は、自動車車体への高強度鋼板の適用を妨げるものである。
【0004】
こうした問題点を打開する方法として、例えば、自動車外板用の冷延鋼板においては、極低炭素鋼を素材とし、最終的に、固溶状態で残存するC量を適正範囲に制御した鋼板を製造する技術が提案されている。この技術は、プレス成形後に行われる170℃×20分程度の塗装焼付工程で起こる歪時効による硬化現象を利用するものである。すなわち、プレス成形時は軟質で、形状凍結性の低下を生ずることがなく、また部品としての強度や耐デント特性は、焼付けによる歪時効硬化によって確保しようとするものである。
しかし、固溶C量の増加によって硬化量を大きくした塗装焼付硬化型の冷延鋼板の場合、室温での時効劣化、すなわち時間の経過とともに顕著な降伏応力の増加、並びに伸びの低下が生ずることが知られており、広範囲な適用は困難である。さらに、表面欠陥であるストレッチャーストレインを防止する必要性から、その強度上昇量は限られたものとなり、鋼板の薄肉化に寄与するところは小さいという難点がある。
【0005】
また、特公平8-23048号公報は、組織をフェライトとマルテンサイトからなる複合組織とすることで、より大きな焼付硬化性を有する熱延鋼板を製造する方法を開示している。しかし、この方法によって製造した鋼板は、極めて低い温度でコイルを巻取るため、歪時効硬化によって引張強度は増加するものの、機械的性質の変動、特に、降伏応力のばらつきが大きいという問題点があった。しかも、板厚が2.0mm以下の薄鋼板の場合には、冷却歪により鋼板の形状が大きく悪化し、プレス成形が著しく困難になるという問題点もあった。なお、冷延鋼板では、このような大きな歪時効硬化特性を有する鋼板の製造技術は開示されていない。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
以上説明したように、従来技術は、高い加工性を有するとともに、歪時効硬化特性に優れ、かつ時効劣化も小さいという諸特性を満足する鋼板を、工業的にかつ安価に、しかも安定して製造し得る方法ではなかった。
【0007】
本発明の目的は、高い加工性が要求され、かつ高強度で安定した品質を有する冷延鋼板および冷延めっき鋼板とそれらの製造方法を提案することにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】
さて、発明者は、上述の課題を解決し、上記目的を実現するため、種々の成分組成の鋼板を製造し、材質評価実験を行った。その結果、従来、加工性が要求される鋼板には積極的に利用されていなかった窒素を強化元素として活用すること、そしてその窒素が持つ大きな歪時効硬化能を、自動車の塗装焼付処理あるいはさらに成形後の後熱処理による時効処理と組み合わせてより有効に活用するためには、鋼板の微視組織を制御すること等が、有効であるとの知見を得た。また、冷延鋼板等において、歪時効硬化特性を安定して出現させるためには、特にAlの添加量を制御することが重要であること、さらには、室温での時効劣化を低減するためには、従来技術において歪時効硬化に利用していた固溶Cを、むしろ低く抑制することが有効であるとの知見を得た。
【0009】
すなわち、固溶状態のNを強化元素として用い、Al含有量を適正な範囲に制御し、さらに熱延、冷延、焼鈍条件を適正化して、微視組織と固溶N量を最適化した場合、従来の固溶強化型のC−Mn鋼、析出強化鋼に比べて格段に優れた成形性と、歪時効硬化特性を有することが明らかになったのである。
このような知見の下に開発した本発明に係る冷延鋼板は、とくに自動車用部品に適用したときに、安定して高い諸特性が得られることがわかった。
また、係る冷延鋼板を原板とするめっき鋼板も、冷延鋼板と同様に優れた成形性と、歪時効硬化特性を有することがわかった。
【0010】
上記した知見に基づいて開発した本発明は、基本的に
C:0.01〜0.15mass%、Si:0.1mass%以下、
Mn:3.0mass%以下、 P:0.08mass%以下、
S:0.02mass%以下、 Al:0.02mass%以下、
N:0.0050〜0.0250mass%を含み、
固溶状態としてのNを0.0030mass%以上含み、
固溶状態としてのCの含有量が3mass ppm以下を満足し、かつ
N(mass%)/Al(mass%)が0.3以上であって、
残部がFeおよび不可避的不純物からなる成分組成と、フェライト相が面積率で50%以上の組織を有することを特徴とする歪時効硬化特性に優れるとともに室温時効劣化のない冷延鋼板である。
また、本発明は、上記の成分組成に加えてさらに、下記A群および/またはB群を含む成分組成からなる歪時効硬化特性に優れるとともに室温時効劣化のない冷延鋼板を提案する。

A群:Cu、Ni、CrおよびMoのうちから選ばれるいずれか1種または2種以上を合計で1.0 mass%以下
B群:Nb、Ti、VおよびBのうちから選ばれるいずれか1種または2種以上を合計で0.1 mass%以下
さらに、本発明は、上記の成分組成に加えてさらに、
Ca,REMの1種または2種を合計で0.0010〜0.010mass%含む成分組成からなる歪時効硬化特性に優れるとともに室温時効劣化のない冷延鋼板を提案する。
また、本発明に係る上記各冷延鋼板表面に、めっき層を有する冷延めっき鋼板を提案する。
【0011】
本発明はまた、
C:0.01〜0.15mass%、Si:0.1mass%以下、
Mn:3.0mass%以下、P:0.08mass%以下、
S:0.02mass%以下、Al:0.02mass%以下、
N:0.0050〜0.0250mass%を含有し、かつ
N(mass%)/Al(mass%)が0.3以上であって、残部がFeおよび不可避的不純物からなる成分組成を有する鋼スラブを、1000℃以上に加熱したのち、仕上圧延出側温度を800℃以上として熱間圧延を行い、650℃以下の温度で巻き取った後、酸洗と冷間圧延を行い、次いで箱焼鈍法により、加熱速度30℃/h以上、最高到達温度900℃以下、冷却速度10℃/h以上とする再結晶焼鈍を行うことを特徴とする歪時効硬化特性に優れ室温時効劣化のない冷延鋼板の製造方法を提案する。
本発明はまた、
C:0.01〜0.15mass%、Si:0.1mass%以下、
Mn:3.0mass%以下、P:0.08mass%以下、
S:0.02mass%以下、Al:0.02mass%以下、
N:0.0050〜0.0250mass%を含有し、かつ
N(mass%)/Al(mass%)が0.3以上であって、残部がFeおよび不可避的不純物からなる成分組成を有する鋼スラブを、1000℃以上に加熱したのち、仕上圧延出側温度を800℃以上として熱間圧延を行い、650℃以下の温度で巻き取った後、酸洗と冷間圧延を行い、次いで箱焼鈍法により、加熱速度30℃/h以上、最高到達温度900℃以下、冷却速度10℃/h以上とする再結晶焼鈍を行って冷延鋼板とし、次いでめっき処理を施すことを特徴とする歪時効硬化特性に優れ室温時効劣化のない冷延めっき鋼板の製造方法を提案する。
【0012】
なお、上記冷延鋼板あるいは冷延めっき鋼板の製造方法における鋼スラブとしては、上記成分組成に加えてさらに、下記(1)および/または(2)に記載の成分を含む成分組成からなる鋼スラブとすることが好ましい。
(1)A群および/またはB群の成

A群:Cu、Ni、CrおよびMoのうちから選ばれるいずれか1種または2種以上を合計で1.0mass%以下
B群:Nb、Ti、VおよびBのうちから選ばれるいずれか1種または2種以上を合計で0.1mass%以下
2)Ca,REMの1種または2種を合計で0.0010〜0.010mass
【0013】
ここで、本発明において、「歪時効硬化特性に優れた」とは、5%以上の引張予歪を付与後、100℃以上300℃以下にて30秒以上20分以下の熱処理を行うことにより、変形応力の増加と引張り強度の上昇が有利に得られることを意味する。特に、引張予歪5%を付与後、170℃で20分の時効処理を行った時の、時効処理前後の変形応力増加量、すなわち(時効処理後の降伏応力)−(時効処理前の予変形応力)をBH量と称する。また、歪時効処理後の引張強さすなわち(予歪変形+時効処理)後の引張強さと予歪付与前の引張強さの差をΔTSと称する。そして、歪時効硬化特性に優れるとは、BH量が80MPa以上であり、かつΔTSが40MPa以上であるものを指す。
【0014】
また、本発明において、「室温時効劣化のない」とは、製造後、長期間室温で保持しても降伏応力の増加や伸びの低下が無いことを意味し、特に、製造後1年間室温で保管する時効実験後の全伸びの低下で評価した場合、その低下量が2%以下であるものを指す。
【0015】
【発明の実施の形態】
本発明に係る冷延鋼板は、プレス成形後の熱処理(通常の塗装焼付処理あるいはさらに時効処理)により顕著に歪時効硬化するにもかかわらず、室温における時効劣化が実質的にないという特徴を有する。このような鋼板は、成形時は軟質であるため、高強度化に伴うプレス成形時の形状不良、割れなどの問題を生ずることはないし、一方で、かかる鋼板から成形された部品は、熱処理により顕著に歪時効硬化し、しかも高い剛性が得られるため、高強度鋼板を適用したのと同等の効果が得られるので、鋼板の薄肉化の実現に有効であるという特徴がある。
なお、本発明に係る鋼板は、強度的には軟鋼から、いわゆる高強度鋼板までを含む。また、その鋼板の用途は、比較的軽い加工用から、比較的厳しい絞り成形用にも適する。
以下、本発明の実施の形態について、具体的に説明する。
【0016】
まず、本発明鋼において、鋼板の化学成分を限定した理由について説明する。
C:0.01〜0.15mass%
Cは、0.15mass%を超えると鋼中の炭化物の分率が増加し、鋼板の延性さらには成形性を顕著に悪化させるため、成形性の上からは好ましくない。さらに、より重要な問題として、C量が0.15mass%を超えると、スポット溶接性、アーク溶接性などが顕著に低下する。したがって、C量は0.15mass%以下とするが、成形性の向上のためには0.08mass%以下が好ましい。特に、良好な延性が求められる用途に対しては、0.05mass%以下がより好ましい。一方、このC量は0.01mass%未満となると、本発明の特徴である固溶C量の低減が困難となるため、0.01mass%以上とする。これは、結晶粒径が顕著に粗大化し、炭化物の分率も低下する結果、固溶Cの析出サイトが減少するためと考えられる。
【0017】
Si:0.1mass%以下
Siは、本発明で採用する箱焼鈍のような比較的長時間の焼鈍後に、固溶Nを確保するためには0.1mass%以下に低減する必要がある。さらに、大きな歪み時効硬化を安定して得るためには0.05mass%以下とすることが望ましい。
【0018】
Mn:3.0mass%以下
Mnは、熱延条件の変動に対する鋼板の機械的性質、とくに本発明が目的とする優れた歪時効硬化特性の敏感性が顕著に改善されるという大きな利点があるため、0.1mass%以上の添加が好ましい。さらに、Mnは、Sによる熱間脆性を防止する有効な元素であり、S量に応じて添加することが好ましい。また、Mnは、結晶粒を微細化する効果がある他、固溶Nを安定して確保するという点からも有効な元素である。Sを安定して固定し、固溶Nを安定して確保するためには0.2mass%以上の添加がより好ましい。
しかし、このMnは、過度に添加すると、フェライトの生成が抑制され、延性が顕著に低下する。また、詳細な機構は不明であるが、鋼板の熱間変形抵抗を増加させる傾向があり、さらに、溶接性、溶接部の成形性も悪化する傾向にある。以上のことから、その上限を3.0mass%とする。より良好な耐食性と成形性が要求される用途では0.80mass%以下とすることが望ましい。
【0019】
P:0.08mass%以下
Pは、鋼の固溶強化元素として有効であり、要求される強度に応じ、適宜添加してよい元素であるが、過度に含有すると、鋼を脆化させ、さらに鋼板の伸びフランジ加工性を悪化させる。また、Pは、鋼中において偏析する傾向が強く、それに起因して、溶接部の脆化をもたらすので好ましくない。以上のことから、その上限を0.08mass%とする。これらの特性低下が特に重要視される場合には、0.04mass%以下とする必要がある。
【0020】
S:0.02mass%以下
Sは、鋼中に介在物として存在し、鋼板の延性を減少させ、さらに耐食性の劣化をもたらす元素なので、その上限を0.02mass%とする。特に、良好な加工性が要求される用途においては0.015mass%以下とすることが好ましい。さらに、S量に敏感な伸びフランジ特性が特に要求される場合は0.008mass%以下とすることが望ましい。また詳細な機構は不明であるが、Sを0.008mass%以下まで低減することは、歪み時効硬化特性を安定して高いレベルに維持するために有効である。
【0021】
Al:0.02mass%以下
Alは、鋼の脱酸元素として添加され、鋼の清浄度を向上させるのに有用な元素であると共に、本発明において重要な役割を担う成分である。また、鋼の組織を微細化するため、材質上も望ましい元素である。本発明においては、固溶状態のNを強化元素として利用するが、適正範囲のAlを添加したアルミキルド鋼の方が、Alを全く添加しないリムド鋼に比して、機械的性質が優れている。Al含有量が多くなると、表面性状の悪化、固溶Nの顕著な低下につながり、本発明の目的である極めて大きな時効硬化特性を確保することが困難となる。このため、上限は、従来鋼より低い0.020mass%とした。材質の安定性という観点からは0.001〜0.015mass%が好ましい。なお、Al添加量の低減は、結晶粒を粗大化し、材質劣化につながる懸念があるが、本発明では、Mn等の他の合金元素を適量添加することと、焼鈍条件を最適な範囲とすることで防止することができる。
【0022】
N:0.0050〜0.0250mass%
Nは、本発明においては最も重要な添加元素の1つである。すなわち、適正範囲のNを添加し、製造条件を制御することにより、必要かつ十分な固溶状態のNを確保することが可能となり、固溶強化と歪時効硬化による降伏応力および引張強度の上昇効果が安定して得られる。また、Nは、鋼の変態点を低下させる効果があり、薄物で変態点以下での熱間圧延を避けたい場合には、有効な添加元素である。このような効果は、0.0050mass%以上の添加によって安定して得られる。しかし、0.0250mass%を超えて添加すると、鋼板の内部欠陥の発生率が高くなるとともに、連続鋳造時のスラブ割れなどの発生も顕著となるため、上限を0.0250mass%とした。製造工程全体を考慮した、材質の安定性・歩留まり向上という観点からは、0.0070〜0.0170mass%の範囲が好適である。なお、本発明の窒素の添加範囲であれば、溶接性等には悪影響はない。
【0023】
固溶状態のN:0.0030mass%以上
鋼板の十分な強度が確保され、かつ、Nによる歪時効硬化が有効に発揮されるためには、固溶状態のNは、0.0030mass%以上が必要である。なお、ここで、固溶Nは、鋼中の全N量から、電解抽出による溶解法で求めた析出Nを差し引いた値とする。これは、析出Nの分析法を種々検討した結果、本発明で採用した方法が、最も良く材質の変化と対応したことに基づく。さらに大きな歪み時効硬化が必要な場合は、固溶Nを0.0050mass%以上とすることが有効である。
【0024】
固溶状態としてのCの含有量:3mass ppm以下
本発明においては、固溶状態としてのCの含有量(固溶C量ともいう)は、極力少なくする必要があり、固溶C量を3mass ppm以下の微量な範囲に抑制する必要がある。Cは、Nと異なり、固溶状態で多量に存在すると、室温での時効劣化が顕著である。このような低い固溶C量とするためには、合金元素の適正範囲での添加と、適正条件での箱焼鈍が必須条件となる。
なお、このような極微量Cの分析方法は、内部摩擦法によるのが好ましい。
【0025】
N(mass%)/Al(mass%)の比:0.3以上
Alは、Nを強力に固定する効果を有する元素であり、N含有量に応じてAlの添加量を低く制限することが望ましい。固溶N量に及ぼすAlの影響を調査した結果、本発明の鋼組成の場合には、N(mass%)/Al(mass%)の値を0.3以上とすることにより、安定して固溶N量を0.0030mass%以上確保でき、目標とする歪時効効果が得られることが確認された。したがって、N(mass%)/Al(mass%)の比は0.3以上とする。
【0026】
本発明に係る冷延鋼板は、上記した成分に加え、さらに次のA群および/またはB群の成分を含有することが、下記の効果を得るために好ましい。なお、A群、B群の各元素を単独あるいは複合添加しても、あるいはA,B群にわたって複合添加しても、これらの望ましい効果は相殺されることはない。
・A群:Cu,Ni,CrおよびMoのうちから選ばれるいずれか1種または2種以上を合計で1.0mass%以下
・B群:Nb、Ti、VおよびBのうちから選ばれるいずれか1種または2種以上を合計で0.1 mass%以下
【0027】
上記A群、B群の各元素は、いずれも鋼の組織を均一かつ微細化する効果があり、強度の上昇にも有効である。これらの効果は、それぞれ、Cu:0.01mass%以上、Ni:0.01mass%以上、Cr:0.01mass%以上、Mo:0.01mass%以上、Nb:0.002mass%以上、Ti:0.002mass%以上、V:0.01mass%以上、B:0.0002mass%以上で特に大きく認められる。
しかしながら、A群の元素およびB群の元素とも多量に含有すると、熱間圧延時の変形抵抗が大きくなり、また化成処理性等の表面処理特性が悪化する傾向にあり、さらに、溶接部の硬化により成形性の低下も顕著となる。そこで、これらの元素の添加量は、A群の各元素は合計で1.0mass%以下、B群の各元素は合計で0.1mass%以下とする必要がある。
【0028】
なお、特に、伸びフランジ成形性が要求される場合には、Ca,REMを添加して介在物の形態制御を行うことも有効である。おのおのの添加量は、合計で0.0010〜0.010mass%とすることにより、表面欠陥の発生などを伴うことなく伸びフランジ特性を改善することができる。
【0029】
次に、本発明に係る冷延鋼板の組織の限定理由について説明する。
フェライト相の面積率:50%以上
本発明は、高度な加工性が要求される自動車用鋼板等を対象としている。このような鋼板は、フェライトの面積率が50%未満では、必要な延性を確保することが困難となる。より良好な延性が要求される場合は、75%以上のフェライト分率が望ましい。ここで、フェライトとは、いわゆるポリゴナルフェライトのみでなく、炭化物の析出を含まないベイニティックフェライト、アシキュラーフェライトも含むものとする。フェライト以外の第2相組織としては、パーライト、セメンタイト、ベイナイト、残留オーステナイト、マルテンサイト等を含み得るが、歪時効硬化の観点からはマルテンサイトを含むことが好ましい。
なお、組織の微細化、特に主相であるフェライト組織を微細化することは、歪時効硬化特性の向上に効果的であるため、フェライトの平均結晶粒径を15μm程度以下とすることが好ましい。
【0030】
次に、歪時効の測定条件および歪時効特性について説明する。
5%の塑性変形
歪み時効硬化特性を規定する場合、予歪量は重要な因子である。自動車用鋼板が適用される変形様式を想定して、歪量が、その後の歪時効硬化特性に及ぼす影響について調査したが、極めて深い絞り加工以外は、おおむね1軸相当の歪量で整理できることが明らかになった。また、実部品においては、この1軸相当の歪量がおおむね5%を上回っていることと、部品強度が、5%の歪を付与した後に塗装焼付処理等の熱処理をして得られる強度と良く対応することが明らかになった。したがって、本発明では5%の塑性歪みを予歪条件とした。
【0031】
熱処理温度と時間
本発明に係る鋼板では、従来の鋼板では十分な硬化が達成されない低温、短時間でも大きな硬化が達成されるが、焼付硬化特性評価のための熱処理条件としては、従来から標準とされている170℃×20分を採用する。
一般に、時効温度には上限があるが、高温、長時間ほど硬化には有利である。
しかしながら、本発明に係る冷延鋼板のように、多量の固溶Nを残存させ、5%以上の歪みを付与する場合は、より緩やかな処理でも硬化が達成され、100℃に加熱することで硬化が顕著となる。また、300℃を超えるとその効果が飽和し、逆にやや軟化する傾向を示すほか、熱歪みやテンパーカラーなどの問題点が顕著となるので望ましくない。
熱処理時間は30秒以上20分以下とする。時効温度200℃では、30秒以上の保持により、ほぼ十分な硬化が得られる。より大きな安定した歪時効硬化を達成する場合には、60秒以上の保持が望ましい。しかし、20分以上の長時間の熱処理は、実用上、強度の変化が小さいため好ましくない。
加熱方法は、通常の塗装焼付のように、炉内の雰囲気で加熱される場合のみでなく、たとえば誘導加熱、無酸化炎、レーザー、プラズマなどによる加熱も当然有効となる。
【0032】
歪時効による強度上昇量(BH量:80MPa以上、ΔTS:40MPa以上)
本発明に係る鋼板においては、歪時効硬化により得られる降伏応力の増加(BH量)は80MPa以上、引張強度の増加(ΔTS)は40MPa以上とする。これらは、どちらか一方だけでは不十分である。すなわち、自動車用の部品には、複雑な外部応力がかかるため、小さな歪み域での強度特性だけでなく、大きな歪み域での強度特性も重要となるためである。これらの値は、さらに望ましくは、各々100MPa、50MPaである。また時効温度を上昇させ、時効時間を長くすることでさらに高強度を得ることができる。
なお、本発明鋼板では、特に加熱して加速時効(人工的な時効)を行なわなくとも、成形後に室温で放置しておくだけで、強度の増加が期待でき、標準条件で時効を行った時の40%程度は最低限見込むことが可能である。これは本発明鋼板の優位性の一つである。
しかし、一方で、塑性加工を付与しない状態では、いわゆる室温での保持による時効劣化は起こらないことが本発明鋼板の特徴である。本発明鋼板では、室温時効による伸び(El)の減少が2%以下である。
【0033】
次に、製造条件の限定理由について説明する。
スラブの製造方法は、成分のマクロな偏析を防止するために、連続鋳造法で製造することが望ましいが、造塊法、薄スラブ鋳造法によっても可能である。
スラブを熱間圧延するに当たっては、スラブ製造後、いったん室温まで冷却し、その後、再加熱する従来法に加え、冷却しないで温片のまま加熱炉に装入する、あるいはわずかの保熱をおこなった後に直ちに圧延する直送圧延、直接圧延などの省エネルギープロセスも問題なく適用できる。特に、固溶状態のNを有効に確保するには、直送圧延は有用な技術の一つである。
【0034】
熱延条件については、以下のように規定される。
スラブ加熱温度:1000℃以上
スラブ加熱温度は、固溶状態のNを確保するという点から下限が規定される。上限は特に規制しないが、酸化ロスの増大などから、1280℃以下とすることが望ましい。
【0035】
仕上圧延出側温度:800℃以上
仕上圧延出側温度を800℃以上として熱間圧延することにより、均一微細な熱延板組織を得ることができる。しかし、仕上圧延終了温度が800℃を下回ると、加工組織が残留し、鋼板の組織が不均一になり、冷延、焼鈍後にも均一な組織が得られないため、プレス成形時に種々の不具合を発生する危険性が増大する。この不均一性は、高温巻取を採用しても解消できず、逆に、粗大粒の発生による不具合を生ずる。また、固溶Nも低下し、目標とする固溶N量を得ることが難しくなる。従って、仕上圧延出側温度は800℃以上とする。さらに機械的性質を向上させるためには820℃以上が好ましい。特に上限温度は規制しないが、過度に高い温度で圧延した場合に、スケール疵が発生するので、1000℃程度を上限とする。
【0036】
熱延巻取温度:650℃以下
熱延巻取温度を低下することで、強度、歪時効特性は改善する傾向にある。車体の軽量化に寄与する十分高い引張強度、歪時効硬化量を得るには650℃以下の巻取温度とすることが必要である。下限温度は、材質上は厳しく規定しないが、200℃を下回ると鋼板の形状が乱れだし、使用上不具合を生ずる可能性が増大する。また、材質の均一性も低下する傾向にある。従って、熱延巻取温度は200℃以上が好ましい。より高い材質の均一性が要求される場合は、巻取温度300℃以上がより好ましい。
【0037】
酸洗、冷間圧延
酸洗は、常法に準じて行えばよい。なお、極めて薄いスケールの状態であれば酸洗を行わずに冷間圧延することも可能である。冷間圧延も、常法に準じて行えばよく、冷間圧延の圧下率は通常行われる40〜90%とすればよい。
【0038】
再結晶焼鈍
本発明においては、再結晶焼鈍を箱焼鈍法にておこなうことが特徴である。これにより、固溶Cを3mass ppm以下とし、室温時効劣化を防止することができる。焼鈍時の加熱速度は30℃/h以上とする必要がある。30℃/h未満では、組織が粗大となり、加工性が低下する。上限は特に制限する必要はなく、通常の箱焼鈍の設備で達成可能な300℃/h程度であれば許容される。箱焼鈍時の最高到達温度は、固溶Nが析出して減少することを防止するため900℃以下とする。なお、箱焼鈍における最高到達温度は、再結晶が完了する温度以上とすればよいが、再結晶温度以下では強度の確保はできるものの、未再結晶組織を含むため、延性が極めて低くなり好ましくない。また、冷却速度は、10℃/h未満では、フェライト結晶粒が粗大化して歪時効特性が低下する傾向にあるため、10℃/h以上とする必要がある。さらに、冷却速度が300℃/h以上では固溶C量が増加し、室温での時効劣化が顕著となるため好ましくない。
なお、本発明の効果は、板厚に関係なく発現するが、本発明では、焼鈍法として箱焼鈍法を採用しているので、連続焼鈍法に比べて板厚に対する柔軟性は高く、鋼板の厚みを特に限定する必要はない。
【0039】
めっき処理
また、本発明では、本願発明の冷延鋼板の表面に、電気めっきまたは溶融めっき等のめっき処理を施してめっき層を形成し、冷延めっき鋼板としても何ら問題はない。これら冷延めっき鋼板も、めっき前と同程度のTS、BH量、ΔTS量を示す。めっきの種類としては、電気亜鉛めっき、溶融亜鉛めっき、合金化溶融亜鉛めっき、電気錫めっき、電気クロムめっき、電気ニッケルめっき等、いずれも好ましく適用しうる。本発明では、上記再結晶焼鈍を行い冷延鋼板とした後、めっき処理を行うが、このときのめっき条件は、従来の鋼板と変える必要はなく、常法に従って行えばよい。
【0040】
調質圧延またはレベラー加工
調質圧延は、形状矯正、粗度調整という従来の目的以外に、鋼板の歪時効硬化特性を安定して高めるうえでも行うことが好ましい。本発明鋼板においては、レベラー加工によっても調質圧延と同じ効果が得られる。それらの効果は、圧下率、伸び率で評価でき、おおむね0.5%以上であれば十分であるが、5%を超えて付与した場合は、加工性が低下するので好ましくない。
【0041】
次いで、適用することが望ましい、その他の製造条件について述べる。
熱間圧延は、仕上圧延機の入側でシートバー同士を接合し、連続圧延することが望ましい。連続圧延を行うことにより、コイルの先端および後端のいわゆる非定常部がなくなり、コイル全長に亘って安定した熱延が可能となる。また、圧延後の鋼板をホットランテーブル上で冷却する場合にも、常に張力を鋼板に付与できるため、鋼板の形状を良好に保つことが可能である。さらに、通常のバッチ圧延では、通板性および噛込み性の観点から適用できなかった潤滑圧延を適用することも可能となり、圧延荷重の低減と同時に、ロール面圧の低減もできるので、ロール寿命の延長が可能となる。そのほかに、連続圧延は、熱延鋼板のみでなく冷延鋼板の断面の形状および寸法を改善するのにも極めて有効である。シートバーの接合方法については、特に規制はなく、圧接法、レーザー溶接法、電子ビーム溶接法、その他の接合法でも同様に適用できる。
【0042】
さらに、仕上圧延機入側では、シートバーにエッジヒーターおよびシートバーヒーターを適用することが望ましい。エッジヒーターによりシートバーのエッジ部を加熱することは、幅方向の圧延温度の差異を補償する上で望ましい。この際の加熱量は、仕上圧延での幅方向の温度差が20℃以下となるような条件が推奨されるが、鋼組成その他で変化する。また、シートバーヒーターの適用により、コイル先後端の温度低下部分をより均一なものとすることが可能である。この場合の加熱量は、材質均一化という観点から、長手方向中央部に対して+20℃以内の範囲が推奨される。
【0043】
また、熱間圧延荷重を低減するために潤滑圧延を行うことは、形状の均一化、材質の均一化の点からも有効である。潤滑圧延は、摩擦係数0.25〜0.10の範囲で行うことが好ましく、さらに、前述の連続圧延プロセスを適用することが熱間圧延の操業安定性の観点からも望ましい。
さらに、熱間圧延後の冷却において、エッジ部の過冷却を防止し、幅方向の材質の変動を抑えるために、エッジ部の冷却水のマスキング技術を用いることも有効である。
【0044】
【実施例】
次に、本発明の実施例について説明する。
(実施例1)
表1に示す成分組成を含み、残部が実質的にFeからなる鋼を転炉で溶製し、この鋼スラブを表2に示す条件で熱間圧延し、さらに酸洗、冷延後、箱焼鈍での再結晶焼鈍を行い、冷延鋼板を製造した。これらの鋼板について、固溶N量を前述の方法により求め、また、固溶C量を内部摩擦法で測定した。また、微視組織、引張特性および歪時効硬化特性の評価を下記の方法で行った。
・微視組織:各冷延焼鈍板から試験片を採取し、圧延方向に直交する断面(C断面)について、微視組織を観察し、フェライトの面積率および第2相の種類を調査した。また、主相であるフェライトの平均結晶粒径は、圧延方向に直交する断面(C断面)についての組織写真から、ASTMに規定の求積法により算出した値またはASTMに規定の切断法により求めた公称粒径のうち、いずれか大きい方を採用した。
・引張特性:各冷延焼鈍板から、JIS 5号試験片を圧延方向に採取し、JIS Z2241の規定に準拠して引張試験を行い、降伏強さ(YS)、引張強さ(TS)、伸び(El)を求めた。
・歪時効硬化特性:各試験材から、JIS 5号試験片を圧延方向に採取し、前述した5%の引張予歪と、170℃×20分の熱処理を施したのち、先述した定義に従い、BH量、ΔTSを求めた。
・室温時効特性:各冷延鋼板を製造後、室温(常温)にて1年間保管した後、前記引張特性の調査と同様に、引張試験を行って伸びを求め、製造直後の伸び(El1)、1年間保管した後の伸び(El2)の差(El1−El2)により評価した。なお、前記室温における1年間保持前後の伸びの差(低下量)が2%以下であれば、実質的に室温時効劣化がないといえる。
【0045】
【表1】
Figure 0004622187
【0046】
【表2】
Figure 0004622187
【0047】
表3に、調査の結果を示した。本発明の条件に適合したものは、引張特性、歪時効特性および室温時効特性のいずれも良好な特性を示しているのに対し、本発明の条件を外れるNo.15,16,17は、いずれかの特性を満たしていない。特に、No.16は、C量が高いため、スポット溶接性に劣るため自動車用鋼板としては不適である。
【0048】
【表3】
Figure 0004622187
【0049】
(実施例2)
C:0.015mass%、Si:0.005mass%、Mn:0.55mass%、P:0.009mass%、S:0.005mass%、Al:0.015mass%、N:0.0126mass%、N(mass%)/Al(mass%):0.84の鋼スラブを素材とし、表4に示したような製造条件で冷延鋼板とし、引き続き、溶融亜鉛めっき処理を常法に従って行い溶融亜鉛めっき鋼板を製造し、実施例1と同様にして機械的性質を調査した。その結果を表5に示す。
表5から、本願発明の製造方法に従えば、歪時効硬化特性、室温時効特性に優れ、かつ高加工性、高強度の溶融亜鉛めっき鋼板の製造が可能であることがわかる。
【0050】
【表4】
Figure 0004622187
【0051】
【表5】
Figure 0004622187
【0052】
【発明の効果】
以上説明したように、本願発明によれば、化学組成、熱延条件および冷延、焼鈍条件を適正化し、最終の製品段階での固溶状態のNを十分な量確保しつつ、固溶Cを制限することにより、加工するときは軟質で高い成形性を有しながら、加工後の歪時効により大きな強度上昇が得られ、かつ室温時効劣化のない冷延鋼板が得られる。また、この冷延鋼板を用いて、ほぼ同等の機械的性質を有する溶融亜鉛めっき鋼板などのめっき鋼板も製造できる。

Claims (10)

  1. C:0.01〜0.15mass%、
    Si:0.1mass%以下、
    Mn:3.0mass%以下、
    P:0.08mass%以下、
    S:0.02mass%以下、
    Al:0.02mass%以下、
    N:0.0050〜0.0250mass%を含み、
    固溶状態としてのNを0.0030mass%以上含み、
    固溶状態としてのCの含有量が3massppm以下を満足し、かつ
    N(mass%)/Al(mass%)が0.3以上であって、残部がFeおよび不可避的不純物からなる成分組成と、フェライト相が面積率で50%以上の組織を有することを特徴とする歪時効硬化特性に優れるとともに室温時効劣化のない冷延鋼板。
  2. 請求項1に記載の成分組成に加えてさらに、
    下記A群および/またはB群を含む成分組成からなることを特徴とする請求項1に記載の冷延鋼板。

    A群:Cu、Ni、CrおよびMoのうちから選ばれるいずれか1種または2種以上を合計で1.0mass%以下
    B群:Nb、Ti、VおよびBのうちから選ばれるいずれか1種または2種以上を合計で0.1mass%以下
  3. 請求項1または2に記載の成分組成に加えてさらに、
    Ca,REMの1種または2種を合計で0.0010〜0.010mass%含む成分組成からなることを特徴とする請求項1または2に記載の冷延鋼板。
  4. 請求項1〜3のいずれかに記載の冷延鋼板の表面にめっき層を有することを特徴とする歪時効硬化特性に優れるとともに室温時効劣化のない冷延めっき鋼板。
  5. C:0.01〜0.15mass%、
    Si:0.1mass%以下、
    Mn:3.0mass%以下、P:0.08mass%以下、
    S:0.02mass%以下、
    Al:0.02mass%以下、
    N:0.0050〜0.0250mass%を含有し、
    かつN(mass%)/Al(mass%)が0.3以上であって、残部がFeおよび不可避的不純物からなる成分組成を有する鋼スラブを、1000℃以上に加熱したのち、仕上圧延出側温度を800℃以上として熱間圧延を行い、650℃以下の温度で巻き取った後、酸洗と冷間圧延を行い、次いで箱焼鈍法により、加熱速度30℃/h以上、最高到達温度900℃以下、冷却速度10℃/h以上とする再結晶焼鈍をおこなうことを特徴とする歪時効硬化特性に優れ室温時効劣化のない冷延鋼板の製造方法。
  6. 上記鋼スラブが、上記成分組成に加えてさらに、
    下記A群および/またはB群を含む成分組成からなることを特徴とする請求項5に記載の冷延鋼板の製造方法。

    A群:Cu、Ni、CrおよびMoのうちから選ばれるいずれか1種または2種以上を合計で1.0mass%以下
    B群:Nb、Ti、VおよびBのうちから選ばれるいずれか1種または2種以上を合計で0.1mass%以下
  7. 上記鋼スラブが、上記成分組成に加えてさらに、
    Ca,REMの1種または2種を合計で0.0010〜0.010mass%含む成分組成からなることを特徴とする請求項5または6に記載の冷延鋼板の製造方法。
  8. C:0.01〜0.15mass%、
    Si:0.1mass%以下、
    Mn:3.0mass%以下、
    P:0.08mass%以下、
    S:0.02mass%以下、
    Al:0.02mass%以下、
    N:0.0050〜0.0250mass%を含有し、かつ
    N(mass%)/Al(mass%)が0.3以上であって、残部がFeおよび不可避的不純物からなる成分組成を有する鋼スラブを、1000℃以上に加熱したのち、仕上圧延出側温度を800℃以上として熱間圧延を行い、650℃以下の温度で巻き取った後、酸洗と冷間圧延を行い、次いで箱焼鈍法により、加熱速度30℃/h以上、最高到達温度900℃以下、冷却速度10℃/h以上とする再結晶焼鈍を行って冷延鋼板とし、次いでめっき処理を施すことを特徴とする歪時効硬化特性に優れ室温時効劣化のない冷延めっき鋼板の製造方法。
  9. 上記鋼スラブが、上記成分組成に加えてさらに、下記A群および/またはB群を含む成分組成からなることを特徴とする請求項8に記載の冷延めっき鋼板の製造方法。

    A群:Cu、Ni、CrおよびMoのうちから選ばれるいずれか1種または2種以上を合計で1.0mass%以下
    B群:Nb、Ti、VおよびBのうちから選ばれるいずれか1種または2種以上を合計で0.1mass%以下
  10. 上記鋼スラブが、上記成分組成に加えてさらに、Ca,REMの1種または2種を合計で0.0010〜0.010mass%含む成分組成からなることを特徴とする請求項8または9に記載の冷延めっき鋼板の製造方法。
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