JP2003308892A - 有機色素増感型金属酸化物半導体電極及び有機色素増感型太陽電池 - Google Patents

有機色素増感型金属酸化物半導体電極及び有機色素増感型太陽電池

Info

Publication number
JP2003308892A
JP2003308892A JP2002115919A JP2002115919A JP2003308892A JP 2003308892 A JP2003308892 A JP 2003308892A JP 2002115919 A JP2002115919 A JP 2002115919A JP 2002115919 A JP2002115919 A JP 2002115919A JP 2003308892 A JP2003308892 A JP 2003308892A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
metal oxide
oxide semiconductor
organic dye
sensitized
electrode
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP2002115919A
Other languages
English (en)
Inventor
Shingo Ono
信吾 大野
Taichi Kobayashi
太一 小林
Takayuki Sugimura
孝之 杉村
Masahito Yoshikawa
雅人 吉川
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Bridgestone Corp
Original Assignee
Bridgestone Corp
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Bridgestone Corp filed Critical Bridgestone Corp
Priority to JP2002115919A priority Critical patent/JP2003308892A/ja
Publication of JP2003308892A publication Critical patent/JP2003308892A/ja
Pending legal-status Critical Current

Links

Classifications

    • YGENERAL TAGGING OF NEW TECHNOLOGICAL DEVELOPMENTS; GENERAL TAGGING OF CROSS-SECTIONAL TECHNOLOGIES SPANNING OVER SEVERAL SECTIONS OF THE IPC; TECHNICAL SUBJECTS COVERED BY FORMER USPC CROSS-REFERENCE ART COLLECTIONS [XRACs] AND DIGESTS
    • Y02TECHNOLOGIES OR APPLICATIONS FOR MITIGATION OR ADAPTATION AGAINST CLIMATE CHANGE
    • Y02EREDUCTION OF GREENHOUSE GAS [GHG] EMISSIONS, RELATED TO ENERGY GENERATION, TRANSMISSION OR DISTRIBUTION
    • Y02E10/00Energy generation through renewable energy sources
    • Y02E10/50Photovoltaic [PV] energy
    • Y02E10/542Dye sensitized solar cells

Landscapes

  • Photovoltaic Devices (AREA)
  • Hybrid Cells (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【課題】 光のエネルギーを効率よく利用することがで
きる有機色素増感型金属酸化物半導体電極を有する有機
色素増感太陽電池を提供すること。 【解決手段】 表面に透明電極を有する透明基板、その
透明電極上に形成された金属酸化物半導体膜及びその半
導体膜表面に吸着した有機色素からなる有機色素増感型
金属酸化物半導体電極と、この電極に対向して設けられ
た対電極とからなり、さらに両電極間にレッドクス電解
質が注入されてなる有機色素増感型太陽電池において、
前記透明基板の透明電極の設けられていない側の表面
に、基板保護用下塗層を介して光触媒機能を有する金属
化合物を含む光触媒層が設けられていることを特徴とす
る有機色素増感型太陽電池。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、有機色素増感型太
陽電池に有利に使用される有機色素増感型金属酸化物半
導体電極及び有機色素増感型太陽電池に関する。
【0002】
【従来の技術】近年、省エネルギー、資源の有効利用や
環境汚染の防止等の面から、太陽光を直接電気エネルギ
ーに変換する太陽電池が注目され、開発が進められてい
る。
【0003】太陽電池は、光電変換材料として、結晶性
シリコン、アモルファスシリコンを用いたものが主流で
ある。しかしながら、このような結晶性シリコン等を形
成するには多大なエネルギーを要し、従ってシリコンの
利用は、太陽光を利用する省エネルギー電池である太陽
電池の本来の目的とは相反するものとなっている。また
多大なエネルギーを使用する結果として、光電変換材料
としてシリコンを用いる太陽電池は高価なものとならざ
るを得ない。
【0004】光電変換材料は、電極間の電気化学反応を
利用して光エネルギーを電気エネルギーに変換する材料
である。例えば、光電変換材料に光を照射すると、一方
の電極側で電子が発生し、対電極に移動する。対電極に
移動した電子は、電解質中をイオンとして移動して一方
の電極にもどる。すなわち、光電変換材料は光エネルギ
ーを電気エネルギーとして連続して取り出せる材料であ
り、このため太陽電池に利用される。
【0005】光電変換材料として、シリコンを用いず、
有機色素で増感された酸化物半導体を用いた太陽電池が
知られている。Nature, 268 (1976), 402頁に、酸化亜
鉛粉末を圧縮成形し、1300℃で1時間焼結して形成
した焼結体ディスク表面に有機色素としてローズベンガ
ルを吸着させた金属酸化物半導体電極を用いた太陽電池
が提案されている。この太陽電池の電流/電圧曲線は、
0.2Vの起電圧時の電流値は約25μA程度と非常に
低く、その実用化は殆ど不可能と考えられるものであっ
た。しかしながら、前記シリコンを用いる太陽電池とは
異なり、使用される酸化物半導体及び有機色素はいずれ
も大量生産されており、且つ比較的安価なものであるこ
とから、材料の点からみると、この太陽電池は非常に有
利であることは明らかである。
【0006】光電変換材料として、前記のように有機色
素で増感された酸化物半導体を用いた太陽電池として
は、前記のもの以外に、たとえば、特開平1−2203
80号公報に記載の金属酸化物半導体の表面に、遷移金
属錯体などの分光増感色素層を有するもの、また、特表
平5−504023号公報に記載の、金属イオンでドー
プした酸化チタン半導体層の表面に、遷移金属錯体など
の分光増感色素層を有するものが知られている。
【0007】上記太陽電池は実用性のある電流/電圧曲
線が得られない。電流/電圧曲線が実用性レベルに達し
た分光増感色素層を有する太陽電池として、特開平10
−92477号公報に、酸化物半導体微粒子集合体の焼
成物からなる酸化物半導体膜を用いた太陽電池が開示さ
れている。このような半導体膜は、酸化物半導体微粉末
のスラリーを透明電極上に塗布し、乾燥させ、その後5
00℃、1時間程度で焼成させることにより形成してい
る。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】このような有機色素増
感型金属酸化物半導体電膜を用いた有機色素増感太陽電
池は、一般に半導体膜の両側をガラス基板で挟んだ構成
を採っている。有機色素増感太陽電池は、前記のように
その特性を実用レベルにするために半導体膜、色素につ
いて種々検討されている。しかしながら、太陽光エネル
ギーのさらなる高効率利用する方法については関心が払
われていない。本発明者等の検討によると、この点につ
いても重要であることを見出した。
【0009】即ち、太陽電池のガラス基板の表面は、通
常屋外におかれることとなるため、風雨によりその表面
は汚染され、太陽光の吸収が減少していくこととなる。
従って、太陽電池における太陽エネルギーの利用効率は
徐々に低下する。またその汚染を除去することも、太陽
電池の設置場所が屋根上等の簡単に清掃が困難な所が多
く難しい。従って、このような太陽エネルギーの利用効
率の低下を防止する必要がある。
【0010】従って、かかる点に鑑みなされた本発明の
目的は、光のエネルギーを効率よく利用することができ
る有機色素増感型金属酸化物半導体電極を有する有機色
素増感型太陽電池及びこの電池に有用な有機色素増感型
金属酸化物半導体電極を提供することにある。
【0011】
【課題を解決するための手段】本発明は、表面に透明電
極を有するガラス基板、その透明電極上に形成された金
属酸化物半導体膜及びその半導体膜表面に吸着した有機
色素からなる有機色素増感型金属酸化物半導体電極にお
いて、前記ガラス基板の透明電極の設けられていない側
の表面に、光触媒機能を有する金属化合物を含む光触媒
層が設けられていることを特徴とする有機色素増感型金
属酸化物半導体電極;及び表面に透明電極を有する透明
基板、その透明電極上に形成された金属酸化物半導体膜
及びその半導体膜表面に吸着した有機色素を含むからな
る有機色素増感型金属酸化物半導体電極において、前記
透明基板(好ましくは透明有機ポリマー基板)の透明電
極の設けられていない側の表面に、基板保護用下塗層を
介して光触媒機能を有する金属化合物を含む光触媒層が
設けられていることを特徴とする有機色素増感型金属酸
化物半導体電極;そして上記の有機色素増感型金属酸化
物半導体電極と、この電極に対向して設けられた対電極
とからなり、さらに両電極間にレッドクス電解質が注入
されてなる有機色素増感型太陽電池にある。
【0012】上記有機色素増感型金属酸化物半導体電極
において、下塗層が、光触媒機能を持たないアモルファ
ス型過酸化チタン及び/又は酸化チタンを含んでいるこ
とが好ましい。これにより光触媒層から基板を高度に保
護することが可能である。光触媒機能を有する金属酸化
物がアナタース型酸化チタンである(エネルギー変換効
率が高い)ことが好ましい。透明基板の表面が親水化処
理されていることが好ましい(上層との密着性が向上す
る、あるいは表面の超親水性が発現しやすい)。下塗層
が塗布層である、及び光触媒層が塗布層であることが好
ましい(生産性の向上から)。
【0013】前記特開平10−92477号公報の有機
色素増感型金属酸化物半導体電極を有する太陽電池で
は、いわゆるゾルゲル法により、酸化物半導体微粒子集
合体の焼成物の酸化物半導体膜を形成している。このよ
うな形成方法は、塗布後、高温で長時間の加熱が必要な
ため、基材、透明電極にも耐熱性が要求される。通常の
透明電極であるITO等では、このような耐熱性を有し
ていないため、特に耐熱性に優れた透明電極であるフッ
素ドープ酸化スズを用いる必要があるが、フッ素ドープ
酸化スズは、導電性が劣り、太陽電池のような大面積を
必要とする用途には不適当である。
【0014】本出願人は、色素吸着性の向上した金属酸
化物半導体膜を低温で簡易に得ることができる有機色素
増感型金属酸化物半導体膜及びこれを用いた有機色素増
感太陽電池に関する出願を既に行っている(特願200
1−314334号等)。これにより導電性に優れた透
明電極上に有機色素増感型金属酸化物半導体膜の形成が
可能となった。
【0015】従って、本発明の金属酸化物半導体膜は、
色素吸着性の向上した金属酸化物半導体膜を低温で簡易
に得ることができる金属酸化物半導体膜が好ましい。即
ち、このような半導体膜は、一般に気相成膜法により形
成されている。気相成膜法が、物理蒸着法、真空蒸着
法、スパッタリング法、イオンプレーティング法、CV
D法またはプラズマCVD法であることが好ましい。気
相成膜法が、対向2極ターゲット方式スパッタリング法
又はデュアルカソード型スパッタリング法である;或い
は反応性スパッタリング法であることが好ましい。金属
酸化物半導体膜が、酸化チタン、酸化亜鉛、酸化スズ、
酸化アンチモン、酸化ニオブ、酸化タングステン又は酸
化インジウム、或いはこれらの金属酸化物に他の金属若
しくは他の金属酸化物をドーピングしたものであり、特
に酸化チタン、中でもアナタース型酸化チタンであるこ
とが好ましい。金属酸化物半導体膜の膜厚が、10nm
以上であることが好ましい。
【0016】
【発明の実施の形態】以下図面を参照して、本発明の金
属酸化物半導体電極を有する有機色素増感型太陽電池の
実施の形態を詳細に説明する。
【0017】図1は本発明の有機色素増感型太陽電池の
実施形態の一例を示す断面図である。
【0018】図1において、透明基板1a、その表面に
透明電極2aが設けられ、透明電極表面に分光増感色素
4を吸着させた金属酸化物半導体膜(電極)3が形成さ
れ、その下方に透明電極と対向して対電極6(例、Pt
電極)が設置されており、この対電極6は 透明基板1
bの上に設けられた透明電極2b上に形成されており、
そして金属酸化物半導体膜3と対電極4との間に電解質
(溶液)5が封入されている。さらに、透明基板1a上
には、基板を光触媒層から保護するための下塗層8を介
して光触媒機能を有する金属酸化物を含む光触媒層7が
形成されている。透明基板がガラス基板の場合は、光触
媒層で侵されることはほとんどないので下塗層は一般に
設けられない。また、透明電極2bは設けなくても良い
が、設けることにより対電極のPt層を薄くすることが
でき好ましい。
【0019】なお、本発明の有機色素増感型金属酸化物
半導体電極は、上記下塗層8及び光触媒層7を有する透
明基板1a、その上に透明電極2a及び、透明電極上に
分光増感色素4を吸着させた金属酸化物半導体膜3から
基本的に構成される。
【0020】有機色素増感型金属酸化物半導体電極を用
いた有機色素増感型太陽電池においては、その特性を実
用レベルとするために、半導体膜、色素について種々検
討されているが、太陽光エネルギー自体を高効率で利用
することについては目が向けられていない。本発明者等
は、この点に注目して検討し、本発明の上記太陽電池を
見出した。即ち、本発明の有機色素増感型太陽電池は、
透明基板上に光触媒層を設けて透明基板表面の汚染が防
止されており、これにより太陽光エネルギーの高効率受
光が常時可能となる。この光触媒層は、表面に付着した
汚れを分解して自己洗浄するだけでなく、表面が超親水
性化されるので自然の雨等の作用により洗浄されやすく
なる。さらに、半導体膜をスパッタリング等の気相成膜
法で形成した場合、膜が非常に薄い膜で且つ従来のもの
に比べて光のエネルギー変換効率が向上しており、変換
に必要な光量が低減されており、光触媒層により若干光
量低下するが、これを充分補償するものである。
【0021】前記のように透明基板1aの透明電極の設
けられない側の表面には、上記の光触媒層又は下塗層及
び光触媒層が設けられている。
【0022】透明基板の表面は、親水化処理されていて
も良い。従来公知の親水化処理方法であればどのような
ものでも使用することができ、例えば、親水性有機ポリ
マーをコーティングする方法や、界面活性剤及び/又は
親水剤をコーティングする方法の他、基材が有機高分子
樹脂基材である場合には表面に多孔質親水処理(例、プ
ラズマ、電磁波、近紫外線以下の波長の光の照射)を施
す方法を例示することができる。
【0023】本発明の下塗層に使用されるアモルファス
型の過酸化チタンTiO やアモルファス型酸化チタ
ンTiO は、光触媒能を有するアナタース型酸化チ
タンTiO やルチル型酸化チタンTiO と異な
り、光触媒機能は実質上殆どない。これら光触媒能を有
さないアモルファス型チタン酸化物の中でも、特開平9
−71418号公報や特開平9−262481号公報に
記載されているアモルファス型過酸化チタンゾルが成膜
性等の点から特に好ましく使用することができる。
【0024】このアモルファス型過酸化チタンゾルは、
例えば以下のようにして製造することができる。四塩化
チタンTiCl 等のチタン塩水溶液に、アンモニア
水ないし水酸化ナトリウム等の水酸化アルカリを加え
る。生じる淡青味白色、無定形の水酸化チタンTi(O
H)はオルトチタン酸HTiOとも呼ばれ、この
水酸化チタンを洗浄・分離後、過酸化水素水で処理する
と、アモルファス状態の過酸化チタン液が得られる。こ
のアモルファス型過酸化チタンゾルは、pH6.0〜
7.0、粒子径8〜20nmであり、その外観は黄色透
明の液体であり、常温で長期間保存しても安定である。
また、ゾル濃度は通常1.40〜1.60%に調整され
ているが、必要に応じてその濃度を調整することがで
き、低濃度で使用する場合は、蒸留水等で希釈して使用
する。
【0025】また、このアモルファス型過酸化チタンゾ
ルは、常温ではアモルファスの状態で未だアナタース型
酸化チタンには結晶化しておらず、密着性に優れ、造膜
性が高く、均一でフラットな薄膜を作成することがで
き、かつ、乾燥被膜は水に溶けないという性質の他に、
光触媒に対して安定であるという特性を有している。な
お、アモルファス型の過酸化チタンのゾルを100℃以
上で加熱すると、アナタース型酸化チタンゾルに変化し
始め、アモルファス型過酸化チタンゾルを基板にコーテ
ィング後乾燥固定したものは、250℃以上の加熱によ
りアナタース型酸化チタンになる。
【0026】本発明で用いられるアモルファス型酸化チ
タンとしては、上記以外に微粉末状のものや、この微粉
末状のものを硝酸等の溶媒に懸濁分散させたゾル状のも
のが知られている。この光触媒機能を有さないアモルフ
ァス型酸化チタンの内、微粉末状のものを用いる場合に
は、熱硬化水溶性樹脂などのバインダーと混合してコー
ティングする必要がある。
【0027】本発明の透明基板(又は親水性処理が施さ
れた透明基板)の表面に、下塗層として、光触媒能を有
さないアモルファス型過酸化チタン、光触媒能を有さな
いアモルファス型酸化チタン又はそれらの混合物からな
るコーティング層が設けられる。あるいは、本発明の基
板の表面に、親水性有機高分子樹脂や、界面活性剤や、
親水剤や、界面活性剤と親水剤の混合物や、これら親水
性有機高分子樹脂、界面活性剤、親水剤、又は界面活性
剤と親水剤の混合物を含む機能性素材や、親水作用を有
する帯電防止剤等の機能性素材と、光触媒能を有さない
アモルファス型過酸化チタン及び/又はアモルファス型
酸化チタンとの混合物とからなるコーティング層を設け
てもよい。
【0028】また、本発明の下塗層の成分として、上記
アモルファス型過酸化チタン等と共に、紫外線遮断機能
や静電気放電防止機能を有する誘電体セラミックス材料
や導電性セラミックス材料を、必要に応じて含有せしめ
ることができる。
【0029】アモルファス型過酸化チタン等を含む下塗
層を設ける方法としては、スプレーコート、ディッピン
グ、スピンコート等により薄膜を作る方法が挙げること
ができる。また、コーティング層の厚さとしては、親水
性付与という目的が達成しうる厚みやバインダー等の造
膜性能により決定されるが、例えばバインダー機能をも
兼ね備えているアモルファス型過酸化チタンゾルと、コ
ロイダルシリカとの混合物からなるコーティング剤を用
いる場合、通常0.5μm〜5.0μmの厚さにコーテ
ィングされる。コーティング後は通常乾燥することによ
り造膜工程が終了する。
【0030】上記の本発明の下塗層上に本発明の光触媒
層を設けられる。即ち、光触媒層は、透明基板上に設け
られた光触媒能を有する光触媒体(金属酸化物等)を含
有するコーティング層や、あるいは光触媒能を有さない
アモルファス型過酸化チタンゾル等と光触媒能を有する
光触媒体との混合物を含有するコーティング層を設ける
ことによって得られる。
【0031】本発明の光触媒層は、紫外線照射時には優
れた親水機能と光触媒による防汚機能とを有し、紫外線
非照射時には光触媒による防汚機能は発揮し得ないが優
れた親水機能を有するという特徴をもつ。そして、この
本発明の光触媒層と親水性表面を有する基板との間に
は、光触媒機能による劣化をブロッキングする機能も併
せもつアモルファス型過酸化チタン及び/又はアモルフ
ァス型酸化チタンを含有する下塗層が通常あるので、親
水作用が劣化することなく、優れた親水機能と防汚機能
が長期にわたって維持される。
【0032】本発明の光触媒層において使用しうる金属
化合物としては、Ti0、ZnO、SrTiO、C
dS、Cd0、CaP、InP、In、CaA
s、BaTiO、KNbO、Fe、Ta
、WO、SaO、Bi 、NiO、Cu
O、SiC、SiO、MoS、MoS、InP
b、RuO、CeOなどを挙げることができるが、
これらの中でも粉末状又はゾル状のアナタース型酸化チ
タンTi0 が好ましい。
【0033】ゾル状のアナタース型酸化チタン、すなわ
ちアナタース型酸化チタンゾルは、前記のように、アモ
ルファス型過酸化チタンゾルを100℃以上の温度で加
熱することにより製造できるが、アナタース型酸化チタ
ンゾルの性状は加熱温度と加熱時間とにより多少変化
し、例えば100℃で6時間処理により生成するアナタ
ース型の酸化チタンゾルは、pH7.5〜9.5、粒子
径8〜20nmであり、その外観は黄色懸濁の液体であ
る。このアナタース型酸化チタンゾルのゾル濃度は通常
2.70〜2.90重量%に調整されているが、必要に
応じてその濃度を調整して使用することもできる。
【0034】酸化チタンとしては、上記のアナタース型
酸化チタンゾルの他、粉末状の二酸化チタンとして、例
えば市販の「ST−01」(石原産業株式会社製)や
「ST−31」(石原産業株式会社製)をも使用しう
る。この場合、バインダーとしては、光触媒作用により
劣化を受けないもので、かつ、光触媒機能を低下させな
いものであればどのようなものでも使用できるが、常温
での優れた接着性を有する上記アモルファス型過酸化チ
タンゾルをバインダーとして用いることが望ましい。
【0035】光触媒機能を有する金属化合物には、光触
媒反応を促進補完するものとして、その製造過程で、光
触媒機能補助添加金属(Pt,Ag,Rh,RuO,N
b,Cu,Sn,NiOなど)を添加しておくこともで
きる。また、成形前に、光触媒と共に、自発型紫外線放
射剤又は蓄光型紫外線放射剤の粒子あるいはこれらの放
射剤を混入した粒子を混合しておくこともできる。
【0036】前述の本発明の金属酸化物半導体電極及び
これを有する有機色素増感型太陽電池は、基板上の透明
電極に設けられる金属酸化物半導体膜3は、図1から明
らかなように、大小様々な球状粒子が接合した形状を有
し、表面に大きな凹凸と、内部に多数の空隙を有するも
のである。本発明の金属酸化物半導体膜は、従来の酸化
物半導体微粉末のスラリーを透明電極上に塗布し、乾燥
させ、その後500℃等の高温で、1時間程度で焼成さ
せることにより形成しても良いし、気相成膜法で形成し
ても良い。本発明では気相成膜法により形成することが
好ましい。
【0037】本発明の金属酸化物半導体膜(特に気相成
膜法の場合)は、表面が粗く、空隙率が25%以上であ
ることが好ましい。さらに、空隙率は30%以上、特に
35%以上であることが好ましい。このような形状によ
り、有機色素の吸着量が多くな。空隙率の上限も有機色
素の吸着量が多くなるのであれば100%近くであって
も良いが、膜としての形状を保持する観点から95%程
度が好ましい。
【0038】特に気相成膜法により形成された金属酸化
物半導体膜3は、表面の表面積が大きく、且つ内部の空
洞の表面積も大きく、このため有機色素が吸着する面積
が大きい。さらには、このような構造(形状)のため、
有機色素の表面及び内部への侵入が容易であり、短時間
に色素吸着を完遂することができる。また、表面及び内
部共に大きな表面積を有しているため、有機色素吸着量
が増大しており、光のエネルギー変換効率が向上してい
る。
【0039】このような構造を有する金属酸化物半導体
膜3は、一般に、種々の気相成膜の形成条件により得る
ことができるが、基本的には、高電力での短時間成膜、
高ガス圧下での成膜が好ましく、さらにガス混合流量比
の変化、アークイオンスパッタリングの使用等により、
或いはこれらの方法を適宜組合せることにより行うこと
ができる。
【0040】上記金属酸化物半導体膜3を形成するため
の方法は後述するが、特に好ましい方法としては、スパ
ッタリング法を用いることである。
【0041】上記透明基板1a,1bとしては、透明な
基板であればよく、ガラス板又は有機ポリマー板であ
り、通常珪酸塩ガラスである。しかしながら、可視光線
の透過性を確保できる限り、種々の有機ポリマー基板等
を使用することができる。基板の厚さは、0.1〜10
mmが一般的であり、0.1〜5mmが好ましい。ガラ
ス板は、化学的に、或いは熱的に強化させたものが好ま
しい。有機ポリマーの例としては、ポリエチレンテレフ
タレート等のポリエステル、ポリメチルメタクリレート
等のアクリル樹脂、ポリカーボネート等を挙げることが
できる。
【0042】上記透明電極2としては、InやS
nOの導電性金属酸化物薄膜を形成したものや金属等
の導電性材料からなる基板が用いられる。導電性金属酸
化物の好ましい例としては、In:Sn(IT
O)、SnO:Sb、SnO :F、ZnO:Al、
ZnO:F、CdSnOを挙げることができる。
【0043】上記透明電極上には、光電変換材料用半導
体である、分光増感色素を吸着させる金属酸化物半導体
膜が形成される。本発明の金属酸化物半導体としては、
酸化チタン、酸化亜鉛、酸化タングステン、酸化アンチ
モン、酸化ニオブ、酸化インジウム、チタン酸バリウ
ム、チタン酸ストロンチウム、硫化カドミウムなどの公
知の半導体の一種または二種以上を用いることができ
る。特に、安定性、安全性の点から酸化チタンが好まし
い。酸化チタンとしてはアナタース型酸化チタン、ルチ
ル型酸化チタン、無定形酸化チタン、メタチタン酸、オ
ルソチタン酸などの各種の酸化チタンあるいは水酸化チ
タン、含水酸化チタンが含まれる。本発明ではアナター
ス型酸化チタンが好ましい。金属酸化物半導体の膜厚
が、10nm以上であることが一般的であり、100〜
1000nmが好ましい。
【0044】本発明の金属酸化物半導体膜は、例えば、
上記材料に対応する金属及び/又は金属酸化物をターゲ
ットとして用いて、気相成膜法、例えば、物理蒸着法、
真空蒸着法、スパッタリング法、イオンプレーティング
法、CVD法またはプラズマCVD法、前記のようにス
パッタリング法により、前記のような条件で形成するこ
とができる。本発明の金属酸化物半導体膜3を形成する
ための好ましい方法は、スパッタリング法を用い、前記
のターゲット投入電力密度及び圧力の条件下に行うこと
であり、スパッタリング法としては、対向2極ターゲッ
ト方式スパッタリング法又はデュアルカソード型スパッ
タリング法、特に対向2極ターゲット方式スパッタリン
グ法が好適であり、また反応性スパッタリング法も好ま
しい。
【0045】上記金属酸化物半導体膜3を形成するため
の特に好ましい方法としては、スパッタリング法を用
い、1.3W/cm以上、さらに2.6W/cm
上、特に11W/cm以上のターゲット投入電力密
度、及び0.6Pa以上、さらに2.0Pa以上、特に
2.6Pa以上の圧力の条件下に行うことであり、スパ
ッタリング法としては、特に対向2極ターゲット方式ス
パッタリング法が好適であり、また反応性スパッタリン
グ法も好ましい。
【0046】対向2極ターゲット方式スパッタリング法
は、反応性スパッタリング法、即ち酸素ガス等の反応性
のガスを導入しながら金属又は金属酸化物をスパッタリ
ングすることが好ましい。特にターゲットとして金属チ
タン、酸化チタン、とりわけ導電性酸化チタンを用い
て、酸素ガスを供給しながらスパッタリングを行うこと
が好ましい。
【0047】このような、通常のスパッタリング条件よ
り、過激な条件で行うことにより、半導体膜を急速に形
成することができ、これにより前記特定の形状、構造を
有する金属酸化物半導体膜を得ることができる。これに
より有機色素の吸着量を大幅に増加させることが可能
で、高いエネルギー変換効率を有し、高効率の太陽電池
を得ることができる。
【0048】前記のようにして得られた基板上の酸化物
半導体膜表面に、有機色素(分光増感色素)を単分子膜
として吸着させる。
【0049】分光増感色素は、可視光領域および/また
は赤外光領域に吸収を持つものであり、本発明では、種
々の金属錯体や有機色素の一種または二種以上を用いる
ことができる。分光増感色素の分子中にカルボキシル
基、ヒドロキシアルキル基、ヒドロキシル基、スルホン
基、カルボキシアルキル基の官能基を有するものが半導
体への吸着が早いため、本発明では好ましい。また、分
光増感の効果や耐久性に優れているため、金属錯体が好
ましい。金属錯体としては、銅フタロシアニン、チタニ
ルフタロシアニンなどの金属フタロシアニン、クロロフ
ィル、ヘミン、特開平1−220380号公報、特許出
願公表平5−504023号公報に記載のルテニウム、
オスミウム、鉄、亜鉛の錯体を用いることができる。有
機色素としては、メタルフリーフタロシアニン、シアニ
ン系色素、メロシアニン系色素、キサンテン系色素、ト
リフェニルメタン色素を用いることができる。シアニン
系色素としては、具体的には、NK1194、NK34
22(いずれも日本感光色素研究所(株)製)が挙げら
れる。メロシアニン系色素としては、具体的には、NK
2426、NK2501(いずれも日本感光色素研究所
(株)製)が挙げられる。キサンテン系色素としては、
具体的には、ウラニン、エオシン、ローズベンガル、ロ
ーダミンB、ジブロムフルオレセインが挙げられる。ト
リフェニルメタン色素としては、具体的には、マラカイ
トグリーン、クリスタルバイオレットが挙げられる。
【0050】有機色素(分光増感色素)を導電体膜に吸
着させるこのためには、有機色素を有機溶媒に溶解させ
て形成した有機色素溶液中に、常温又は加熱下に酸化物
半導体膜を基板ととも浸漬すればよい。前記の溶液の溶
媒としては、使用する分光増感色素を溶解するものであ
ればよく、具体的には、水、アルコール、トルエン、ジ
メチルホルムアミドを用いることができる。
【0051】このようにして、本発明の有機色素増感型
金属酸化物半導体電極(光電変換材料用半導体)を得
る。
【0052】このようにして得られた基板上に、透明電
極及び有機色素吸着金属酸化物半導体が形成された有機
色素増感型金属酸化物半導体電極を用いて、太陽電池を
作製する。すなわち、透明電極(透明性導電膜)をコー
トしたガラス板などの基板上に光電変換材料用半導体膜
を形成して電極とし、次に、対電極として別の透明性導
電膜をコートしたガラス板などの基板を封止剤により接
合させ、これらの電極間に電解質を封入して太陽電池と
することができる。
【0053】本発明の半導体膜に吸着した分光増感色素
に太陽光を照射すると、分光増感色素は可視領域の光を
吸収して励起する。この励起によって発生する電子は半
導体に移動し、次いで、透明導電性ガラス電極を通って
対電極に移動する。対電極に移動した電子は、電解質中
の酸化還元系を還元する。一方、半導体に電子を移動さ
せた分光増感色素は、酸化体の状態になっているが、こ
の酸化体は電解質中の酸化還元系によって還元され、元
の状態に戻る。このようにして、電子が流れ、本発明の
光電変換材料用半導体を用いた太陽電池を構成すること
ができる。
【0054】上記電解質(レドックス電解質)として
は、I/I 系や、Br/Br 系、キノン/
ハイドロキノン系等が挙げられる。このようなレドック
ス電解質は、従来公知の方法によって得ることができ、
例えば、I/I 系の電解質は、ヨウ素のアンモニ
ウム塩とヨウ素を混合することによって得ることができ
る。電解質は、液体電解質又はこれを高分子物質中に含
有させた固体高分子電解質であることができる。液体電
解質において、その溶媒としては、電気化学的に不活性
なものが用いられ、例えば、アセトニトリル、炭酸プロ
ピレン、エチレンカーボネート等が用いられる。対極と
しては、導電性を有するものであればよく、任意の導電
性材料が用いられるが、I イオン等の酸化型のレド
ックスイオンの還元反応を充分な速さで行わせる触媒能
を持ったものの使用が好ましい。このようなものとして
は、白金電極、導電材料表面に白金めっきや白金蒸着を
施したもの、ロジウム金属、ルテニウム金属、酸化ルテ
ニウム、カーボン等が挙げられる。
【0055】本発明の太陽電池は、前記酸化物半導体電
極、電解質及び対極をケース内に収納して封止するが、
それら全体を樹脂封止しても良い。この場合、その酸化
物半導体電極には光があたる構造とする。このような構
造の電池は、その酸化物半導体電極に太陽光又は太陽光
と同等な可視光をあてると、酸化物半導体電極とその対
極との間に電位差が生じ、両極間に電流が流れるように
なる。
【0056】
【実施例】以下に実施例を示し、本発明についてさらに
詳述する。
【0057】[実施例1] (1)透明電極の作製 スパッタリング装置を用いて、透明電極膜を作製した。
5×5cmのポリエチレンテレフタレート基板(厚さ:
2mm)上に、100mmφのITO(インジウム−ス
ズ酸化物)のセラミックターゲットを用い、アルゴンガ
スを10cc/分、酸素ガスを1.5cc/分で供給し
ながら、装置内の圧力を5ミリトール(mTorr)に設定
し、供給電力500Wの条件で5分間スパッタリングを
行い、厚さ3000ÅのITO膜を形成した。表面抵抗
は10Ω/□であった。
【0058】(2)光触媒層の形成 <下塗層の形成>アモルファス型過酸化チタン0.85
質量%溶液(TK100 、(株)TAO製)を、前記
ポリエチレンテレフタレート基板の透明電極の設けられ
ていない側に、直径0.5mmの丸型吹き出しノズルを
有するスプレーガンFS−G05−1(明治機械(株)
製)を用いて、塗布量0.4g/100cmで塗布
し、乾燥して色素含有下塗層を形成した。
【0059】<光触媒層の形成>アモルファス型過酸化
チタン0.85質量%溶液(TK100 、(株)TA
O製)と、アナターゼ型酸化チタン0.85質量%溶液
(TA100 、(株)TAO製)とを等量で均一で混
合して光触媒層形成用水性塗布液を得た。この水性塗布
液を、上記下塗層上に、直径0.5mmの丸型吹き出し
ノズルを有するスプレーガンFS−G05−1(明治機
械(株)製)を用いて、塗布量0.8g/100cm
で塗布し、常温乾燥した後赤外線加熱ヒータで100℃
に加熱し造膜させた。これにより光触媒層を形成した。
【0060】(3)金属酸化物半導体膜の作製 対向ターゲット方式スパッタリング装置を用いて、上記
のITO透明電極ガラス上に、直径100mmの金属チ
タンターゲットを2枚配置し、酸素ガスを5cc/分、
アルゴンガスを5cc/分で供給した後、装置内の圧力
を5ミリトール(0.7Pa)に設定し、供給電力3k
W(電力密度19W/cm)の条件で32分間スパッ
タリングを行い、厚さ3000Åの酸化チタン膜を形成
した。得られた半導体膜の空隙率を測定した。
【0061】空隙率の測定方法:下記の重量をそれぞれ
測定し、下記式より求めた(測定はJISZ8807に
準じて行った): w1:水を充分に含ませた試料質量(g) w2:試料の絶乾質量(g) w3:試料の浮力(g) 空隙率=(w1−w2)/w3×100 上記測定により、上記半導体膜の空隙率は32%であっ
た。
【0062】(4)分光増感色素の吸着 シス−ジ(チオシアナト)−ビス(2,2’−ビピリジ
ル−4−ジカルボキシレート−4’−テトラブチルアン
モニウムカルボキシレート)ルテニウム(II)で表され
る分光増感色素をエタノール液に溶解した。この分光増
感色素の濃度は3×10−4モル/lであった。次に、
このエタノールの液体に、膜状の酸化チタンを形成した
前記の基板を入れ、室温で18時間浸漬して、本発明の
金属酸化物半導体電極を得た。この試料の分光増感色素
の吸着量は、酸化チタン膜の比表面積1cmあたり1
0μgであった。
【0063】(5)太陽電池の作製 前記の金属酸化物半導体電極を一方の電極として備え、
対電極として、フッ素をドープした酸化スズをコート
し、さらにその上に白金を担持した透明導電性ガラス板
を用いた。2つの電極の間に電解質を入れ、この側面を
樹脂で封入した後、リード線を取付けて、本発明の太陽
電池を作製した。なお、電解質は、アセトニトリルの溶
媒に、ヨウ化リチウム、1,2−ジメチル−3−プロピ
ルイミダゾリウムアイオダイド、ヨウ素及びt−ブチル
ピリジンを、それぞれの濃度が0.1モル/l、0.3
モル/l、0.05モル/l、0.5モル/lとなるよ
うに溶解したものを用いた。
【0064】得られた太陽電池に、ソーラーシュミレー
ターで100W/m の強度の光を照射したところ、
Voc(開回路状態の電圧)は0.58Vであり、Js
c(回路を短絡したとき流れる電流の密度)は1.30
mA/cmであり、FF(曲線因子)は0.53であ
り、η(変換効率)は4.01%であった。これは太陽
電池として有用であることがわかった。この太陽電池を
屋外に1ヶ月曝した後、上記測定を行ったが、上記値と
ほとんど変わらないデータが得られた。
【0065】[実施例2] (1)透明電極の作製を下記のように行い、(2)の光
触媒層を下塗層を形成せず基板に直接形成した以外、実
施例1と同様にして太陽電池を作製した。 (1)透明電極の作製 スパッタリング装置を用いて、透明電極膜を作製した。
5×5cmのガラス基板(厚さ:2mm)上に、100
mmφのITO(インジウム−スズ酸化物)のセラミッ
クターゲットを用い、アルゴンガスを10cc/分、酸
素ガスを1.5cc/分で供給しながら、装置内の圧力
を5ミリトール(mTorr)に設定し、供給電力500Wの
条件で5分間スパッタリングを行い、厚さ3000Åの
ITO膜を形成した。表面抵抗は10Ω/□であった。
実施例1と同じ測定により得られた、空隙率は38%で
あった。
【0066】得られた太陽電池に、ソーラーシュミレー
ターで100W/m の強度の光を照射したところ、
Voc(開回路状態の電圧)は0.59Vであり、Js
c(回路を短絡したとき流れる電流の密度)は1.31
mA/cm であり、FF(曲線因子)は0.53で
あり、η(変換効率)は4.12%であり、太陽電池と
して有用であることがわかった。この太陽電池を屋外に
1ヶ月曝した後、上記測定を行ったが、上記値とほとん
ど変わらないデータが得られた。
【0067】[実施例3]金属酸化物半導体膜を従来の
ゾルゲル法で作製した以外、実施例1と同様にして太陽
電池を作製した。得られた太陽電池に、ソーラーシュミ
レーターで100W/m の強度の光を照射したとこ
ろ、Voc(開回路状態の電圧)は0.62Vであり、
Jsc(回路を短絡したとき流れる電流の密度)は1.
00mA/cm であり、FF(曲線因子)は0.5
6であり、η(変換効率)は3.50%であった。これ
は前記実施例の太陽電池に比較して、変換効率が低く、
太陽電池としての有用性にやや劣る。これは光触媒層の
光吸収の影響があると考えられる。この太陽電池を屋外
に1ヶ月曝した後、上記測定を行ったが、上記値とほと
んど変わらないデータが得られた。
【0068】[比較例1]実施例1において、(2)の
光触媒層、下塗層の形成を行わなかった以外、実施例1
と同様にして太陽電池を作製した。Voc(開回路状態
の電圧)は0.59V、Jsc(回路を短絡したとき流
れる電流の密度)は1.37mA/cm 、FF(曲
線因子)は0.55であった。この太陽電池を屋外に1
ヶ月曝した後、上記測定を行ったところ、Vocは0.
59V、Jscは0.96mA/cm 、FFは0.
52であり、実施例1に比較して屋外暴露後の性能の低
下が目立った。
【0069】
【発明の効果】以上から明らかなように、本発明の有機
色素増感型金属酸化物半導体電極を有する有機色素増感
型太陽電池は、透明基板上に光触媒層を設けて透明基板
表面の汚染が防止されており、これにより太陽光エネル
ギーの高効率受光が常時可能となる。この光触媒層は、
表面に付着した汚れを分解して自己洗浄するだけでな
く、表面が超親水性化されるので自然の雨等の作用によ
り洗浄されやすくなることから、基板表面が常に汚れの
ない状態で維持され得る。従って、常に高い発電を維持
することができる。さらに、半導体膜をスパッタリング
等の気相成膜法で形成した場合、膜が非常に薄く且つ従
来のものに比べて光のエネルギー変換効率が向上してお
り、変換に必要な光量が低減されており、光触媒層によ
り若干光量低下するが、これを充分補償するものである
と言うことができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の太陽電池の実施形態の一例を示す断面
図である。
【符号の説明】
1a 透明基板 1b 透明基板 2a 透明電極 2b 透明電極 3 金属酸化物半導体膜(電極) 4 分光増感色素 5 電解質 6 対電極 7 光触媒層 8 下塗層
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 吉川 雅人 東京都小平市小川東町3−1−1 Fターム(参考) 5F051 AA07 AA14 BA18 CB15 FA03 FA04 FA06 GA03 HA20 5H032 AA06 AS06 AS16 BB05 CC16 EE02 EE04 EE07 EE16 HH04

Claims (17)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 表面に透明電極を有するガラス基板、そ
    の透明電極上に形成された金属酸化物半導体膜及びその
    半導体膜表面に吸着した有機色素からなる有機色素増感
    型金属酸化物半導体電極において、 前記ガラス基板の透明電極の設けられていない側の表面
    に、光触媒機能を有する金属化合物を含む光触媒層が設
    けられていることを特徴とする有機色素増感型金属酸化
    物半導体電極。
  2. 【請求項2】 表面に透明電極を有する透明基板、その
    透明電極上に形成された金属酸化物半導体膜及びその半
    導体膜表面に吸着した有機色素からなる有機色素増感型
    金属酸化物半導体電極において、 前記透明基板の透明電極の設けられていない側の表面
    に、基板保護用下塗層を介して光触媒機能を有する金属
    化合物を含む光触媒層が設けられていることを特徴とす
    る有機色素増感型金属酸化物半導体電極。
  3. 【請求項3】 透明基板が、透明有機ポリマー基板であ
    る請求項2に記載の有機色素増感型金属酸化物半導体電
    極。
  4. 【請求項4】 下塗層が、光触媒機能を持たないアモル
    ファス型過酸化チタン及び/又は酸化チタンを含んでい
    る請求項2又は3に記載の有機色素増感型金属酸化物半
    導体電極。
  5. 【請求項5】 光触媒機能を有する金属化合物がアナタ
    ース型酸化チタンである請求項1〜4のいずれかに記載
    の有機色素増感型金属酸化物半導体電極。
  6. 【請求項6】 透明基板の表面が親水化処理されている
    請求項1〜5のいずれかに記載の有機色素増感型金属酸
    化物半導体電極。
  7. 【請求項7】 下塗層が塗布層である請求項2〜6のい
    ずれかに記載の有機色素増感型金属酸化物半導体電極。
  8. 【請求項8】 光触媒層が塗布層である請求項1〜7の
    いずれかに記載の有機色素増感型太陽電池。
  9. 【請求項9】 金属酸化物半導体膜が気相成膜法により
    形成されている請求項1〜8に記載の有機色素増感型金
    属酸化物半導体電極。
  10. 【請求項10】 気相成膜法が、物理蒸着法、真空蒸着
    法、スパッタリング法、イオンプレーティング法、CV
    D法またはプラズマCVD法である請求項9に記載の有
    機色素増感型金属酸化物半導体電極。
  11. 【請求項11】 気相成膜法が、対向2極ターゲット方
    式スパッタリング法又はデュアルカソード型スパッタリ
    ング法である請求項9又は10に記載の有機色素増感型
    金属酸化物半導体電極。
  12. 【請求項12】 気相成膜法が、反応性スパッタリング
    法である請求項9〜11のいずれかに記載の有機色素増
    感型金属酸化物半導体電極。
  13. 【請求項13】 金属酸化物半導体膜が、酸化チタン、
    酸化亜鉛、酸化スズ、酸化アンチモン、酸化ニオブ、酸
    化タングステン又は酸化インジウム、或いはこれらの金
    属酸化物に他の金属若しくは他の金属酸化物をドーピン
    グしたものである請求項1〜12のいずれかに記載の有
    機色素増感型金属酸化物半導体電極。
  14. 【請求項14】 金属酸化物半導体膜が、酸化チタンで
    ある請求項1〜13のいずれかに記載の有機色素増感型
    金属酸化物半導体電極。
  15. 【請求項15】 金属酸化物半導体膜が、アナタース型
    酸化チタンである請求項1〜14のいずれかに記載の有
    機色素増感型金属酸化物半導体電極。
  16. 【請求項16】 金属酸化物半導体膜の膜厚が、10n
    m以上である請求項1〜15のいずれかに記載の有機色
    素増感型金属酸化物半導体電極。
  17. 【請求項17】 請求項1〜16に記載の有機色素増感
    型金属酸化物半導体電極と、この電極に対向して設けら
    れた対電極とからなり、さらに両電極間にレッドクス電
    解質が注入されてなる有機色素増感型太陽電池。
JP2002115919A 2002-04-18 2002-04-18 有機色素増感型金属酸化物半導体電極及び有機色素増感型太陽電池 Pending JP2003308892A (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2002115919A JP2003308892A (ja) 2002-04-18 2002-04-18 有機色素増感型金属酸化物半導体電極及び有機色素増感型太陽電池

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2002115919A JP2003308892A (ja) 2002-04-18 2002-04-18 有機色素増感型金属酸化物半導体電極及び有機色素増感型太陽電池

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JP2003308892A true JP2003308892A (ja) 2003-10-31

Family

ID=29396985

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2002115919A Pending JP2003308892A (ja) 2002-04-18 2002-04-18 有機色素増感型金属酸化物半導体電極及び有機色素増感型太陽電池

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP2003308892A (ja)

Cited By (10)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2005166389A (ja) * 2003-12-02 2005-06-23 Sk Kaken Co Ltd 色素増感型太陽電池
JP2006185805A (ja) * 2004-12-28 2006-07-13 Sumitomo Osaka Cement Co Ltd 色素増感型光電変換素子、色素増感型光電変換素子の製造方法、及び色素増感型光電変換素子用塗料
JP2007073326A (ja) * 2005-09-07 2007-03-22 National Institute Of Advanced Industrial & Technology 酸化チタン粒子を酸化物半導体として用いた色素増感型光電変換素子及び太陽電池
JP2008112705A (ja) * 2006-10-31 2008-05-15 Kubota Matsushitadenko Exterior Works Ltd 色素増感型太陽電池及び太陽電池付き建築板
JP2008112704A (ja) * 2006-10-31 2008-05-15 Kubota Matsushitadenko Exterior Works Ltd 色素増感型太陽電池及び太陽電池付き建築板
JP2010041040A (ja) * 2008-07-10 2010-02-18 Semiconductor Energy Lab Co Ltd 光電変換装置および光電変換装置の製造方法
WO2010050575A1 (ja) 2008-10-29 2010-05-06 富士フイルム株式会社 色素、これを用いた光電変換素子、光電気化学電池、および色素の製造方法
EP2302650A2 (en) 2009-09-28 2011-03-30 Fujifilm Corporation Method of producing photoelectric conversion element, photoelectric conversion element, and photoelectrochemical cell
EP2306479A2 (en) 2009-09-28 2011-04-06 Fujifilm Corporation Method of producing photoelectric conversion element, photoelectric conversion element, and photoelectrochemical cell
WO2014129575A1 (ja) 2013-02-22 2014-08-28 富士フイルム株式会社 光電変換素子、光電変換素子の製造方法および色素増感太陽電池

Cited By (13)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP4637474B2 (ja) * 2003-12-02 2011-02-23 エスケー化研株式会社 色素増感型太陽電池
JP2005166389A (ja) * 2003-12-02 2005-06-23 Sk Kaken Co Ltd 色素増感型太陽電池
JP2006185805A (ja) * 2004-12-28 2006-07-13 Sumitomo Osaka Cement Co Ltd 色素増感型光電変換素子、色素増感型光電変換素子の製造方法、及び色素増感型光電変換素子用塗料
JP2007073326A (ja) * 2005-09-07 2007-03-22 National Institute Of Advanced Industrial & Technology 酸化チタン粒子を酸化物半導体として用いた色素増感型光電変換素子及び太陽電池
JP4565158B2 (ja) * 2005-09-07 2010-10-20 独立行政法人産業技術総合研究所 酸化チタン粒子を酸化物半導体として用いた色素増感型光電変換素子及び太陽電池
JP2008112705A (ja) * 2006-10-31 2008-05-15 Kubota Matsushitadenko Exterior Works Ltd 色素増感型太陽電池及び太陽電池付き建築板
JP2008112704A (ja) * 2006-10-31 2008-05-15 Kubota Matsushitadenko Exterior Works Ltd 色素増感型太陽電池及び太陽電池付き建築板
JP2010041040A (ja) * 2008-07-10 2010-02-18 Semiconductor Energy Lab Co Ltd 光電変換装置および光電変換装置の製造方法
WO2010050575A1 (ja) 2008-10-29 2010-05-06 富士フイルム株式会社 色素、これを用いた光電変換素子、光電気化学電池、および色素の製造方法
EP2845882A2 (en) 2008-10-29 2015-03-11 Fujifilm Corporation Dye, Photoelectric Conversion Element and Photoelectrochemical Cell
EP2302650A2 (en) 2009-09-28 2011-03-30 Fujifilm Corporation Method of producing photoelectric conversion element, photoelectric conversion element, and photoelectrochemical cell
EP2306479A2 (en) 2009-09-28 2011-04-06 Fujifilm Corporation Method of producing photoelectric conversion element, photoelectric conversion element, and photoelectrochemical cell
WO2014129575A1 (ja) 2013-02-22 2014-08-28 富士フイルム株式会社 光電変換素子、光電変換素子の製造方法および色素増感太陽電池

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP4392741B2 (ja) 光電気セル
EP1523019A2 (en) Dye-sensitized solar cell with a buffer layer
JP5314253B2 (ja) 光電気セル
JP2003123859A (ja) 有機色素増感型金属酸化物半導体電極及びこの半導体電極を有する太陽電池
JP2002110261A (ja) 新規な金属酸化物粒子およびその用途
JP2824749B2 (ja) 表面改質された酸化チタン膜およびその製造方法ならびにそれを用いた光電変換素子
JPH11339867A (ja) 光電気セルおよび光電気セル用金属酸化物半導体膜の製造方法
JP4384389B2 (ja) 金属酸化物半導体膜の形成方法、有機色素増感型金属酸化物半導体電極及びこの半導体電極を有する太陽電池
JP2003168495A (ja) 光電気セルおよび光触媒
JP4596305B2 (ja) 半導体電極およびその製造方法、ならびにそれを用いた色素増感型太陽電池
JP2004311197A (ja) 光電極およびそれを使用した色素増感型太陽電池
JP2003308892A (ja) 有機色素増感型金属酸化物半導体電極及び有機色素増感型太陽電池
JP4637470B2 (ja) 積層体の製造方法
JP5348962B2 (ja) 光電気セルの製造方法
JP5199587B2 (ja) 光電気セルおよびその製造方法
JP2002319439A (ja) 光電気セル
JP5354960B2 (ja) 光電気セル用多孔質金属酸化物半導体膜形成用塗料および光電気セル
JP5503143B2 (ja) 多孔質金属酸化物半導体膜形成用塗料および光電気セル
JP5426876B2 (ja) 多孔質半導体膜形成用塗料の製造方法および光電気セル
JP2001155791A (ja) 光電気セル
JP5140031B2 (ja) 光電気セル
JP2001015182A (ja) 光電気セル
JP2003123853A (ja) 有機色素増感型金属酸化物半導体電極及びその製造方法、並びにこの半導体電極を有する太陽電池
JP2002293541A (ja) 酸化チタン膜およびその製造方法と光電変換素子
JP2003142169A (ja) 有機色素増感型金属酸化物半導体電極及びこの半導体電極を有する太陽電池