JP2004311197A - 光電極およびそれを使用した色素増感型太陽電池 - Google Patents

光電極およびそれを使用した色素増感型太陽電池 Download PDF

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Abstract

【課題】高い光電変換効率と低コスト製造の可能性を持つグレッツエル・セルではあるが、実用化するためには、まだ変換効率が十分とは言えない。この変換効率を向上させるための方法として、半導体微粒子からなる多孔質層である光吸収層を厚くする方法もあるが、直列抵抗の増加や膜にクラックが入ってしまうといった問題があった。
【解決手段】光の入射側から順に導電性基板3、半導体微粒子からなり色素9を吸着した光吸収層7および前記光吸収層の平均屈折率より小さい平均屈折率を有する光散乱層8を配置することを特徴とする光電極。
【選択図】 図1

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、色素が吸着された半導体電極層を有する光電極を備えた色素増感型太陽電池に関する。
【0002】
【従来の技術】
環境汚染のないクリーンなエネルギーの一つとして、太陽光エネルギーを電気エネルギーとして取り出す太陽電池が開発されている。現在実用化されている太陽電池は、シリコン結晶系(単結晶系、多結晶系)、または非晶質系シリコン半導体を用いてガラス基板上にp型半導体とn型半導体を形成したpn接合型であり、変換効率は高い(11〜23%程度)が、製造コストが高いので、限られた用途にしか適用されていないのが実情である。また1991年に発表された色素増感型太陽電池(グレッツエル・セル)は、透明基板とそれに担持される透明電極層とからなる導電性基板(導電性ガラス基板)の表面(透明電極層上)に酸化チタンの微粒子からなる多孔質半導体層を形成しそこにルテニウム色素を吸着させた光電極と、透明導電膜の表面に白金をコーティングした対極とを酸化還元系を含む電解質溶液を介して向い合せて構成される。この色素増感型太陽電池は、化合物半導体を用いた湿式太陽電池と同じ動作原理を有するが、半導体層が多孔質化され、内部実表面積が広いため色素を多量に吸着できる。その結果、可視光線のほぼ全波長領域の光を電気に変換することができ、10%以上の光電変換効率が得られる。また、安価な酸化チタンを高純度に精製することなく使用できることや酸化チタンの焼結を大気中で行なうことができること等の理由から低コスト化が可能であるという利点があり、その実用化が検討されている。
【0003】
上記のように高い光電変換効率と低コスト製造の可能性を持つグレッツエル・セルではあるが、実用化するためには、まだ変換効率が十分とは言えない。この変換効率を向上させるための方法として、半導体微粒子からなる多孔質層である光吸収層を厚くする方法もあるが、直列抵抗の増加や膜にクラックが入ってしまうといった問題があった。
【0004】
光電変換効率を向上させる別の試みが特許文献1に開示されている。特許文献1記載の色素増感太陽電池は、半導体微粒子による光吸収粒子層を入射光側の高屈折材料薄膜と対極側の高屈折材料粒子を堆積させた光反射粒子層とで挟む構成を採用することで、光吸収粒子層を透過していた光エネルギーの多くをこの光吸収粒子層に吸収して閉じ込める。これにより入射した太陽光は有効に吸収され変換効率を高めることができるというものである。
【0005】
【特許文献1】
特開平10−255863号公報
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、入射光強度をより大きく反射させるためにはこの構造ではまだ不十分である。
【0007】
従って本発明の目的は、光吸収層が薄くても効率の高い光電極およびそれを使用した色素増感型太陽電池を提供することである。
【0008】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために、本発明者は、光吸収層粒子よりも低屈折率材料を用いた光散乱層を設置した場合に変換効率が向上することを見出し、本発明に想到した。
【0009】
本願第一の発明は、光の入射側から順に導電性基板、半導体微粒子からなり色素を吸着した光吸収層および前記光吸収層の平均屈折率より小さい平均屈折率を有する光散乱層を配置することを特徴とする光電極である。
【0010】
本発明においては、前記光散乱層の平均屈折率を1.3〜2.8とすることが好ましい。
【0011】
本発明においては、導電性基板と光吸収層との間に緻密層を配置することが好ましい。緻密層により導電性基板と光吸収層との密着強度が増加して安定した変換効率が得られる。
【0012】
本発明においては、光散乱層が体積平均粒径0.05μm以上の粒子から形成されることが好ましい。粒径がこれより小さいと可視光を透過してしまい十分な散乱効果が得られないためである。
【0013】
本願第二の発明は、本願第一の発明の光電極の光散乱層と対極とを電解質を介して対向配置させてなることを特徴とする色素増感型太陽電池である。
【0014】
【発明の実施の形態】
以下本発明の詳細を添付図面により説明する。図1は、本発明の実施の形態に係わる色素増感型太陽電池の断面図である。図1に示す色素増感型太陽電池1は、絶縁性を有する透明基板4の表面に透明な電極層5を有する導電性基板3と電極層5上に金属酸化物からなる半導体層6を有する光電極2と、透明基板11の表面に電極層12を有する対極10と、半導体層6と電極層12との間に封入され、両端部がシール材(不図示)で封止された電解質13とを含み、電極層5と電極層12は起電力を取り出し外部回路(不図示)に供給するために電気的に接続されている。半導体層6は、増感色素9が吸着された金属酸化物の微粒子からなる光吸収層7と、光吸収層よりも低屈折率材料からなる光散乱層8を含む。この色素増感型太陽電池1によれば、透明基板4から太陽光を入射すると、半導体層6の表面に吸着された増感色素9が励起され、それにより発生した電子が電極層5を通って、外部回路(不図示)に送り出され、対極10の電極層12に移動する。電極層12に達した電子は、電解質13の酸化還元系を還元する。一方、半導体層6に電子を注入した増感色素9は、酸化された状態となるが、電解質13の酸化還元系により還元され、元の状態に戻る。このようにして、色素増感型太陽電池1内を電子が流れることにより、起電力が発生し、光電池として機能する。なお、光散乱層は金属酸化物の他、ポリカーボネートなどのプラスチックも使用できる。この色素増感型太陽電池1の各部は、例えば次のように構成される。
【0015】
導電性基板3は、絶縁性をもつ透明基板4とその表面に支持された透明な電極層5で形成され、光が入射する側の基板として機能するために、可視領域乃至近赤外領域に波長をもつ光の透過率が高い(約50%以上)ことが好ましい。透明基板4を形成する材料としては、価格及び強度の点から、例えばソーダライムガラス、無アルカリガラスなどの透明なガラスや、ポリエチレンテレフタレート、ポリフェニレンスルフィド、ポリカーボネート等の透明なエンジニアリングプラスチックを使用できる。透明電極層5は光を透過しかつ集電体として機能するために高い光透過性と低い表面抵抗を有することが必要であり、具体的な表面抵抗としては、30Ω/□以下が好ましく10Ω/□以下がより好ましい。電極層5の厚さは、均一な厚さを保ちかつ光の透過率を低下させないために、0.1〜10μmの範囲が好ましい。電極層5を形成する材料としては、例えば酸化錫(TCO)、フッ素をドープした酸化錫(FTO)、酸化インジウム(ICO)、酸化錫をドープした酸化インジウム(ITO)、アンチモンをドープした酸化錫(ATO)、アルミニウムをドープした酸化亜鉛(AZO)等を使用できる。
【0016】
光吸収層7は、電子キャリアの電子授受が可能な特性を具備し光電極として機能するために、例えば酸化チタン(TiO)、酸化ニオブ(Nb)、酸化亜鉛(ZnO)、酸化スズ(SnO)、酸化タングステン(WO)、チタン酸バリウム(BaTiO)、チタン酸ストロンチウム(SrTiO)等の金属酸化物で形成される。これらの内では、特に、半導体特性、耐食性、安定性の点で優れた酸化チタンが好適で、特にアナターゼ型結晶構造を有するものがよい。金属酸化物粒子の粒径は、1〜100nmであるのが好ましく、7〜50nmがより好ましい。この光吸収層7は、薄いと色素量が不十分となり、厚いと直列抵抗が増加したりクラックが入ってしまうため、0.1〜20μmが好ましい。
【0017】
光散乱層8は、光吸収層7を透過した光を反射・散乱させ、光強度を増強する。ガラス側より入射された光は、ガラス(n=1.4〜1.6)、透明導電膜(n=1.9〜2.0)、TiO微粒子(n=2.5〜2.7)、を通過し光散乱層8にて反射・散乱する。一般に垂直入射光に対し、屈折率nの媒質から屈折率nの媒質へ光が入射するときの反射率Rは、フレネルの法則より次のように表される。
【0018】
【数1】
Figure 2004311197
【0019】
いま、TiOを通過した光を考えるとn=2.5〜2.7 であるから、Rを大きくするには光散乱層8の粒子の屈折率nは低い方がよい。表1にn=2.5の場合で光散乱層に屈折率の異なる粒子を用いた時のRの計算値を示した。反射率は低屈折率であるSiOを使用した場合が最も高くなると想定される。
【0020】
【表1】
Figure 2004311197
【0021】
光散乱層8が粒子の場合の体積平均粒径は0.05μm以上が好適である。ミー散乱の散乱効率Kと屈折率nの関係が実験により求められており(A.N.Lowan: Tables of Scatt. Fn. For Spher. Particles, NBS Appl. Math. Series 4 (1948))それから可視光線における散乱効率が最も高い場合の粒径が求まる。SiOの場合では0.3〜0.5μm、TiOの場合では0.1〜0.3μである。また、光散乱が大きくなるように異なる屈折率の物質で粒子設計した粒子を利用でき、その場合はその粒子の平均屈折率を用いる。
【0022】
光吸収層7と透明な電極層5との間に緻密層を設置することにより、光吸収層の密着強度が増加し、安定した変換効率を与えられる。この緻密層はペルオキソ基を有する金属酸化物を含む溶液から作製でき、酸化チタン粒子を使用した場合、例えば次の手順に従って形成することが好ましい。
(1)ペルオキソ基を有する酸化チタンを含む溶液、例えばペルオキソチタン酸を準備する。ペルオキソチタン酸(過酸化チタン)は、含水チタン酸ゲル(またはゾル)あるいはチタン化合物の水溶液に過酸化水素を添加して、含水チタン酸を溶解して調製される。チタン化合物としては、ハロゲン化チタン、硫酸チタン等のチタン塩、テトラアルコキシチタン等のチタンアルコキシド、水素化チタン等を使用できる。
(2)上記ゾル溶液を、透明電極層の表面にスプレー法、スピンコート法、ドクターブレード法、ディップ法等の公知の手法により塗布する。
(3)蒸留水にジルコニアビーズ、ポリエチレングリコール(PEG)、硝酸、酸化チタン微粒子とを加えて攪拌することによりスラリーを作製する。
(4)散乱粒子を含むスラリーも同様に作製する。
(5)酸化チタン微粒子を含むスラリーを(2)の基板の表面に所定の厚さに塗布後、室温〜100℃以下の温度で乾燥する。
(6)更に散乱粒子を含むスラリーを塗布後、室温〜100℃以下の温度で乾燥する。
(7)乾燥後は、加熱炉に装入して、450〜600℃の温度で10分〜1時間焼成する。
【0023】
光散乱層8は、例えば酸化チタン(TiO)、酸化ニオブ(Nb)、酸化スズ(SnO)、チタン酸バリウム(BaTiO)、チタン酸ストロンチウム(SrTiO)、酸化ケイ素(SiO)、酸化ジルコニア(ZrO)等の屈折率1.3〜2.8からなる金属酸化物粒子で形成される。これらの内では特に、耐食性、安定性、屈折率の点で適したSiOが好適である。このSiO粒子の粒径は0.3μm以上が好ましく、さらに好ましくは0.3〜0.5μmの範囲が好ましい。これは、ミー散乱の散乱効率Kと屈折率nの関係が実験により求められており可視光線における散乱効率が最も高い場合の粒径がこの範囲にあるためである。また光散乱層8の膜厚は、1〜50μmの範囲がよい。これより薄いと入射光が透過してしまい十分な効果が得られないが、ある一定以上の膜厚は反射・散乱に寄与しないためである。
【0024】
光吸収層7に吸着される増感色素9としては、可視光領域及び/又は近赤外光領域に吸収をもち、半導体を増感させる機能を有する色素、例えば金属錯体あるいは有機色素が使用できる。金属錯体としては、ルテニウム、オスミニウム、鉄、亜鉛などの金属錯体や銅フタロシアニン、チタニルフタロシアニンなどの金属フタロシアニン、クロロフィル誘導体、ヘミンが例示される。これらのうちでは、ルテニウム錯体が、増感効果、耐久性の点で優れている。特に800nmまでの光を吸収するルテニウムビピリジン錯体(N719色素)と900nmまでの光を吸収するルテニウムターピリジン錯体(ブラック・ダイ色素)が好ましい。有機色素としては、メタルフリーフタロシアニン、シアニン系色素、メロシアニン系色素、トリフェニルメタン系色素、クマリン系色素が有効で、特に分子中にカルボキシル基、カルボキシアルキル基、ヒドロキシル基、スルホン基、カルボキシアルキル基等の官能基を有するものが、吸着性の点で好ましい。
【0025】
増感色素9の吸着量は、光吸収層7の単位面積(1×10−4)当たり10−7mol以上が好ましい。光吸収層7への増感色素9の吸着量が少ないと十分な増感効果が得られないためである。光吸収層7への増感色素9の吸着は、増感色素9を溶媒(水、アルコール、トルエン等)に溶かした溶液に光吸収層7を含む光電極を浸漬させることによって行えばよく、特に浸漬中に加熱還流をすることにより、効率よく吸着することができる。
【0026】
電解質13は、増感色素の酸化体に電子を補充する機能を担うもので、通常は、酸化還元系のイオンが溶解した溶液、例えば電気化学的に活性な塩と酸化還元系を形成する少なくとも1種の化合物との混合物が使用される。電気化学的に活性な塩としては、テトラプロピルアンモニウムアイオダイドなどの4級アンモニウム塩が挙げられる。酸化還元系を形成する化合物としては、キノン、ヒドロキノン、ヨウ素、ヨウ化カリウム、臭素、臭化カリウム等が挙げられる。これらの電解質は、必要に応じ溶媒を用いて電解質溶液とすることができる。溶媒としては、増感色素が光吸収層から脱着して溶解しないものが望ましく、水、アルコール類、オリゴエーテル類、カーボネート類、リン酸エステル類、アセトニトリル等を用い得る。この他、低分子または高分子のゲル化剤やP型半導体(CuI)を添加して固体化した電解質を使用してもよく、固体電解質は、電解質溶液よりも光電変換効率はやや低下するが、封止を容易に行えるという利点を有する。
【0027】
対極10は、透明基板4と同様の材料で形成される透明基板11の上に良好な耐食性を有する電極層12を形成することにより作製される。対極10側から光が入射しない場合は、透明基板11の代わりにセラミックなどの不透明な基板を使用することができる。電極層12は、集電体として機能するために低い表面抵抗を有することが必要であり、具体的な表面抵抗としては、30Ω/□以下が好ましく、10Ω/□以下がより好ましい。電極層5の厚さは、均一な厚さを保ちかつ低い表面抵抗を保つために、1nm〜1μmの範囲が好ましい。電極層12は、例えば白金、金、銀、チタン、バナジウム、クロム、ジルコニウム、ニオブ、モリブデン、パラジウム、タンタル、タングステン及びこれらの合金(パラジウム−白金、白金−金−パラジウム等)を使用して形成することができる。これらの内では、白金及びその合金は、電解質の酸化体に電子を与える触媒作用をもち、太陽電池の正極として効率よく作用するので好適である。特に、電極層12は、ガラス基板上にスパッタリングにて白金を担持して作製することが望ましい。
【0028】
上記の構造を有する色素増感型太陽電池1は、例えば次の手順で作製することができる。所定温度に加熱した透明導電性基板3の表面に、ペルオキソチタン酸を含む溶液を塗布、乾燥することにより、緻密な接着層を形成する。その表面に酸化チタン微粒子を含むスラリーを塗布後乾燥、さらに散乱粒子を含むスラリーを塗布する。その後450〜600℃程度にて焼成して酸化物層を形成し、ついで増感色素9を吸着させることにより、光電極2を作製する。光電極2と対極10との間に電解質13を封入することにより、色素増感型太陽電池1が作製される。
【0029】
(実施例)
(実施例1)
チタニウムテトライソプロポキシドのイソプロピルアルコール溶液(モル比1:5)を冷却し、純水20%を含むイソプロピルアルコール溶液をゆっくりと加え、加水分解を行い非晶質酸化チタンゲルを沈殿させた。沈殿物を濾別し乾燥後、過酸化水素水を加えて攪拌することにより、ペルオキソチタン酸溶液を作製した。蒸留水8mlにジルコニアビーズ30×10−3Kg、結晶性酸化チタン(P25:日本アエロジル社製)6g、分子量2万のポリエチレングリコール2×10−3Kg、硝酸0.6mlを加えてハイブリットミキサー(キーエンス社製HM−500)にて攪拌することによりスラリーを作製した。同様にして、散乱粒子としてSiO(関東化学社製:粒径0.5μm)を含むスラリーを作製した。次に厚さ0.6μmのFTO膜を有するソーダライムガラスからなる透明基板(8Ω/□、日本板硝子社製)を100℃に加熱し、FTO膜の表面に上記ペルオキソチタン酸溶液をスプレーにより塗布し、乾燥させることにより、厚さ0.2μm程度の酸化チタン緻密層を形成した。その表面に上記酸化チタン微粒子のスラリーを均一に塗布後乾燥した。さらにSiO散乱粒子を含む光散乱層を形成し、550℃の温度で30分間焼成して厚さ6μm程度の光吸収層と、厚さ20μm程度の光散乱層を形成した。次いでこの基板を、増感色素{N719[Ru(4,4−ジカルボキシ−2,2−ビピリジン(TBA))2(NCS)2]}を分散させたエタノール溶液中に浸漬し、80℃の温度で加熱還流することにより、光吸収層に増感色素を吸着させて、光電極を作製した。透明基板(5Ω/□、セントラル硝子社製)上に白金を厚さ60nmまでスパッタリングし、対極を作製した。光電極と対極との間に電解質(ヨウ素、ヨウ化リチウム、イミダゾリウム塩、t−ブチルピリジンをメトキシアセトニトリルに溶解)を封入することにより色素増感型太陽電池を作製した。
【0030】
上記光電極の断面の透過型電子顕微鏡像から接着層は粒径が10nm程の結晶性酸化チタンの緻密層であり、光吸収層は粒径が30nm程の酸化チタンからなる多孔質層であることが確認された。また、X線回折にて分析したところ緻密層はアナターゼ型酸化チタンからなり、光吸収層は2割程度ルチル型を含むことが確認された。また、屈折率計にて各層の屈折率を測定した結果、表2に示すような値となった。
【0031】
【表2】
Figure 2004311197
【0032】
(実施例2)
散乱粒子をZrO(関東化学社製:粒径0.1μm)を使用した以外は実施例1と同様にして色素増感型太陽電池を作製した。
【0033】
(実施例3)
散乱粒子をアナターゼ型TiO(関東化学社製:粒径0.1μm)を使用した以外は実施例1と同様にして色素増感型太陽電池を作製した。
【0034】
(比較例1)
光散乱層を形成せず、他は実施例1と同様にして色素増感型太陽電池を作製した。
【0035】
(比較例2)
散乱粒子をルチル型TiO(関東化学社製:粒径0.1μm)を使用した以外は実施例1と同様にして色素増感型太陽電池を作製した。
【0036】
屈折率は屈折率計にて測定し、光電変換効率(η)はソーラーシミュレーターを用いて擬似太陽光(AM1.5、1kW/m)を照射しI−Vトレーサーにより短絡電流(Jsc)、開放電圧(Voc)、フィルファクター(ff)を測定することにより算出した。各実施例、比較例の測定結果を表3に示す。また、そのときの光吸収層、光散乱層の膜厚をそれぞれ表4に示す。
【0037】
【表3】
Figure 2004311197
【0038】
【表4】
Figure 2004311197
【0039】
【発明の効果】
以上に記述の如く、本発明によれば、多孔質層である光吸収層の上層部に半導体層よりも低屈折材料の光散乱層を設置することにより、光吸収層が薄くても効率の高い光電極およびそれを使用した色素増感型太陽電池を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施の形態に係わる色素増感型太陽電池の断面図である。
【符号の説明】
1:色素増感型太陽電池
2:光電極
3:導電性基板
4:透明基板
5:電極層
6:半導体層
7:光吸収層(多孔質層)
8:光散乱層
9:増感色素
10:対極
11:透明基板
12:電極層
13:電解質

Claims (5)

  1. 光の入射側から順に導電性基板、半導体微粒子からなり色素を吸着した光吸収層および前記光吸収層の平均屈折率より小さい平均屈折率を有する光散乱層を配置することを特徴とする光電極。
  2. 前記光散乱層の平均屈折率を1.3〜2.8とする請求項1記載の光電極。
  3. 導電性基板と光吸収層との間に緻密層を配置した請求項1又は2に記載の光電極。
  4. 散乱層が体積平均粒径0.05μm以上の粒子からなる請求項1乃至3の何れかに記載の光電極。
  5. 請求項1乃至4の何れかに記載の光電極の光散乱層と対極とを電解質を介して対向配置させたことを特徴とする色素増感型太陽電池。
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