JP2003284375A - モータ温度推定装置およびモータ制御装置 - Google Patents
モータ温度推定装置およびモータ制御装置Info
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Abstract
とともに、同検出温度に応じて電動モータに流れる電流
を的確に制御する。 【解決手段】 モータ電流2乗値演算部45は、電動モ
ータに流れる3相電流を2相に変換した2相電流の各2
乗値の和をモータ電流2乗値として計算する。温度推定
演算部44は、このモータ電流2乗値をローパスフィル
タ処理し、かつ同処理されたモータ電流2乗値に基づい
てマス部およびコイルの温度増加分を計算する。ローパ
スフィルタ処理においては、電動モータの回転速度RV
に基づいて、電動モータが回転状態にあるときと停止状
態にあるときとでフィルタ処理演算の態様が異なる。そ
して、マス部の温度増加分を電動モータの置かれた雰囲
気温度に加算してマス部の温度を推定し、またコイルの
温度増加分をマス部の推定温度に加算してコイルの温度
を推定する。
Description
ジング、ステータ、コイルなどのモータ温度を推定する
モータ温度推定装置、および同温度推定装置によって推
定された電動モータのコイル温度に応じて電動モータに
流れる電流を制限するモータ制御装置に関する。
5号公報に示されているように、電動モータ内に温度セ
ンサを設け、同温度センサにより検出された温度を用い
て駆動電流を補正して、電動モータのステータにおける
温度上昇に伴う透磁率の低下を補正するようにすること
は知られている。また、前記公報には,電動モータの温
度を、電動モータに流れる駆動電流の積分値に基づいて
推定することも提案されている。
タ内に温度センサを組み込むことは、温度センサが必要
なこと、同温度センサと電動モータの制御回路とを接続
する接続線が必要なことからして、電動モータを利用す
る装置への搭載性およびコストの面で好ましくない。ま
た、上記公報には、電動モータの温度を、電動モータに
流れる駆動電流の積分値に基づいて電動モータの温度を
推定することは提案されているものの、具体的な内容は
開示されていない。
されたもので、その目的は、電動モータ内に温度センサ
を組み込むことなく、電動モータのハウジング、ステー
タ、コイルなどのモータ温度を正確に検出することが可
能なモータ温度推定装置を提供することにある。また、
この温度推定装置によって推定された電動モータのコイ
ル温度に応じて電動モータに流れる電流を制限し、電動
モータのコイルの温度上昇を的確に抑制するモータ制御
装置を提供することにもある。
は、電動モータのコイルに流れる電流値を検出する電流
検出手段と、電動モータが回転状態および停止状態のい
ずれかの状態にあるかを判定する判定手段と、前記判定
された電動モータの回転状態と停止状態とにおいてそれ
ぞれ異なる演算態様で、前記検出された電流値に基づい
て電動モータの温度を推定演算する推定演算手段とを備
えたことにある。この場合、電動モータの温度とは、例
えば、ハウジングの温度、ステータの温度またはコイル
の温度である。
記検出された電流値の2乗値を計算する2乗値計算手段
と、前記計算した2乗値に、前記判定による電動モータ
の回転状態と停止状態とで異なるローパスフィルタ処理
演算を施すローパスフィルタ処理手段と、前記ローパス
フィルタ処理した2乗値に基づいて、前記コイルに流れ
る電流値による温度上昇分を計算する温度上昇分計算手
段と、前記計算した温度上昇分を用いて電動モータの温
度を計算する温度計算手段とで構成するとよい。
流の2乗値(発熱量に相当するパラメータ)の変化を、
遅延する(言いかえれば、滑らかにする)ものである。
そして、電動モータが停止状態にある場合には、電動モ
ータが回転状態にある場合に比べて、電流の2乗値の変
化を急にする、すなわち遅延を少なくするとよい。ま
た、温度計算手段は、電動モータの配置された雰囲気温
度に、上昇分計算手段によって計算した温度上昇分を加
算して、電動モータの温度を計算できる。
タに適用する場合、前記電流検出手段が3相電流値を2
相に変換した2相電流値を検出し、前記推定演算手段が
2相電流値の各2乗値の和に基づいて電動モータの温度
を推定演算するように構成できる。また、前記電流検出
手段が3相電流値を検出し、前記推定演算手段が3相電
流値の各2乗値を用いて電動モータの温度を推定演算す
るように構成することもできる。
定手段によって判定された電動モータの回転状態と停止
状態とにおいてそれぞれ異なる演算態様で、電動モータ
の温度が推定される。一方、電動モータにおいては、停
止状態(回転拘束状態)時にコイルを流れる電流による
温度上昇は、回転状態時にコイルを流れる電流による温
度上昇よりも大きい。したがって、本発明によれば、こ
のような回転状態時と停止状態時とにコイルをそれぞれ
流れる電流による温度上昇の違いが考慮され、電動モー
タの温度の推定が高精度で行われるようになる。その結
果、電動モータに温度センサを組み込まなくても、電動
モータの温度を用いた各種制御、例えばコイル電流の制
限、上述したステータにおける温度上昇に伴う透磁率の
低下の補正などが、簡単な構成によって可能になる。
構成したモータ温度推定装置によって推定したコイル温
度に応じて前記電動モータに流れる電流を制限する電流
制限手段を備えたモータ制御装置にもある。これによれ
ば、高精度で検出されたコイル温度に応じて電動モータ
に流れる電流が制限されるので、電動モータのコイルの
温度上昇が的確に抑制される。
記推定したコイル温度が所定温度以上のとき、前記電動
モータに流れる電流を所定の制限値以下に制限するよう
に構成できる。これによれば、電動モータに流れる電流
が強制的に制限値以内に制限されるので、電動モータの
コイルの温度上昇が確実に抑制される。
限値以下に制限する際には、同制限値を徐々に変化させ
るようにするとよい。これによれば、コイル温度が急変
しても、電動モータに流れる電流は徐々に変化するの
で、電動モータ出力の急変を避けることができる。
を用いて説明すると、図1は、本発明に係るモータ温度
推定装置およびモータ制御装置の適用された車両の電動
パワーステアリング装置の全体を概略的に示している。
置について簡単に説明しておく。この電動パワーステア
リング装置は、電動モータとして、三相同期式永久磁石
モータで構成したブラシレスモータ11を備えている。
このブラシレスモータ11は、ハウジング内に固定され
たステータを備え、ステータに巻かれたコイルに3相電
流を流すことにより3相回転磁界を形成し、この3相回
転磁界内を永久磁石を固着したロータが3相電流に応じ
て回転するものである。
レスモータ11は、操舵ハンドル12の回動操作による
前輪の操舵に対してアシスト力を付与する。具体的に
は、操舵ハンドル12に操舵軸13およびピニオンギヤ
(図示しない)を介して接続されて、操舵ハンドル12
の回転により軸線方向に変位するラックバー14が、ブ
ラシレスモータ11の回転によって軸線方向に駆動され
る。ラックバー14の両端には、タイロッドおよびナッ
クルアーム(共に図示しない)を介して、左右前輪が操
舵可能に連結されている。
サ15が組み付けられている。操舵トルクセンサ15
は、操舵軸13に作用する操舵トルクTRを検出する。ま
た、ブラシレスモータ11には、モータ回転角(機械
角)θmを検出するためのエンコーダにより構成された
回転角センサ16が組み付けられている。回転角センサ
16は、ブラシレスモータ11の回転子の回転に応じて
π/2ずつ位相の異なる2相パルス列信号と基準回転位
置を表す零相パルス列信号を出力する。操舵トルクセン
サ15によって検出された操舵トルクTRおよび回転角セ
ンサ16によって検出されたモータ回転角θmは、電子
制御回路ユニットECU(図示一点鎖線枠)に供給され
る。また、この電子制御回路ユニットECUには、車速セ
ンサ17によって検出された車速Vも入力されている。
モータ11のコイルに流す3相電流(アシスト電流)を
制御するもので、車速Vおよび操舵トルクTRを入力する
アシスト電流演算部21を有する。アシスト電流演算部
21は、操舵トルクTRの増加にしたがって増加するとと
もに、車速Vの増加にしたがって減少するアシストトル
クに対応した2相指令電流Id*,Iq*を計算する。な
お、これらの2相指令電流Id*,Iq*は、ブラシレスモ
ータ11の回転子上の永久磁石が作り出す回転磁束と同
期した回転座標系において、永久磁石と同一方向のd軸
及びこれに直交したq軸にそれぞれ対応するもので、本
実施形態では、指令電流Id*は「0」に設定される。こ
れらの2相指令電流Id*,Iq*は、詳しくは後述する電
流制限部22を介してフィードバック制御部23に供給
される。
シレスモータ11のコイルに流れる3相電流Iu,Iv,
Iwを変換した2相電流Id,Iqが供給されている。3
相電流Iu,Iv,Iwは電流センサ24によって検出さ
れ、3相電流Iu,Iv,Iwから2相電流Id,Iqへの
変換は3相/2相変換部25によって行われる。この3
相/2相変換のために、3相/2相変換部25には、モ
ータ回転角θmを電気角θeに変換する回転角変換部26
が接続されている。フィードバック制御部23は、ブラ
シレスモータ11のコイルに流れる3相電流Iu,Iv,
Iwをフィードバック制御するために,2相指令電流Id
*,Iq*と2相電流Id,Iqとの各差を表す差信号Id*
−Id,Iq*−Iqを形成する。
Iqは、2相/3相変換部27にて3相の信号に変換さ
れてPWM制御回路28に供給される。なお、この2相
/3相変換のために、2相/3相変換部27には回転角
変換部26からの電気角θeが供給されている。PWM
制御回路28は、2相/3相変換部27からの3相信号
に基づいて、差信号Id*−Id,Iq*−Iqに対応したパ
ルス幅変調(PWM)制御信号を形成して駆動回路31
に供給する。
リ電圧Ebtを、前記PWM制御信号に応じてスイッチン
グすることにより、同PWM制御信号に応じた3相電流
Iu,Iv,Iwを電磁リレー33を介してブラシレスモ
ータ11のコイルに出力する。なお、電磁リレー33
は、詳しくは後述するリレー制御回路34によって制御
されるもので、イグニッションスイッチ35の投入後に
は通常オン状態にある。したがって、ブラシレスモータ
11による操舵アシスト中には、通常、前記PWM制御
された3相電流Iu,Iv,Iwがブラシレスモータ11
のコイルに流れる。
モータ11には、操舵トルクTRおよび車速Vに応じた3
相電流Iu,Iv,Iwが流される。したがって、運転者
の操舵ハンドル12の回動操作に対して、操舵トルクTR
および車速Vに応じたアシストトルクがブラシレスモー
タ11によって付与されることになる。なお、電子制御
回路ユニットECU内の前述したアシスト電流演算部2
1、電流制限部22、フィードバック制御部23、3相
/2相変換部25、回転角変換部26および2相/3相
変換部27は、ハード回路で構成してもよいが、本実施
形態ではマイクロコンピュータのプログラムの実行によ
り実現される。言い換えれば、これらの各部21〜2
3,25〜27は、マイクロコンピュータのプログラム
の実行によって実現される各種機能をブロック図により
表している。
装置に適用されて本発明に直接関係するモータ加熱防止
装置について説明する。このモータ加熱防止装置は、電
子制御回路ユニットECU内に配置したモータ加熱防止制
御部40を有する。このモータ加熱防止制御部40は、
ブラシレスモータ11のハウジング、ステータおよびコ
イルの温度を推定して、コイルの温度が高いときにはブ
ラシレスモータ11に流れる電流を制限するものであ
る。
は、雰囲気温度センサ51、基板温度センサ52、速度
変換部53およびポテンショメータ54が接続されてい
る。雰囲気温度センサ51は、操舵トルクセンサ15に
組み付けられて、ブラシレスモータ11が配置されてい
る雰囲気温度TPtr(外気温度)を検出する。なお、雰囲
気温度センサ51は、特に操舵トルクセンサ15に組み
付ける必要はなく、ブラシレスモータ11の近傍であっ
て同モータ11に流れる電流の影響を受けて温度上昇す
る部位以外の温度を検出可能であれば、いずれの箇所の
温度を検出するものでもよい。
ユニットECUが配置されているプリント基板に組み付け
られて、プリント基板温度TPbdを検出する。なお、この
プリント基板温度TPbdは、ブラシレスモータ11の作動
停止からブラシレスモータ11の作動再開までの時間お
よび雰囲気温度に関係した温度降下の推定に用いられる
ものである。したがって、ブラシレスモータ11に流す
電流の影響を受けて温度上昇する部位の温度を検出する
ものであれば、プリント基板以外の温度を検出するも
の、例えば電子制御回路ユニットECUを構成する素子の
温度を検出する温度センサを、基板温度センサ52に代
えて用いるようにしてもよい。
からの電気角θeを微分することにより、ブラシレスモ
ータ11のロータの回転速度RVを表す信号を出力する。
ポテンショメータ54は、イグニッションスイッチ35
を介してバッテリ32に接続されており、イグニッショ
ンスイッチ35のオン・オフの検出のために同スイッチ
35を介したバッテリ電圧Ebtを出力する。
には、電流制限部22、リレー制御回路34および電源
回路55が接続されている。電流制限部22は、モータ
加熱防止制御部40からのモータ電流制限値ILmを入力
して、アシスト電流演算部21にて計算した2相指令電
流Iq*(Id*は「0」である)をモータ電流制限値ILm以
内に制限することにより、ブラシレスモータ11のコイ
ルに流れる電流をモータ電流制限値ILm以内に制限す
る。ただし、実際には、ブラシレスモータ11に流れる
電流は3相電流Iu,Iv,Iwであるので、この3相電
流Iu,Iv,Iwはモータ電流制限値ILmを3相電流に換
算した電流値以内に制限されることになる。
11への電流路に設けた電磁リレー33をモータ加熱防
止制御部40の制御のもとにオン・オフ制御するもので
ある。電源回路55は、バッテリ32に接続されてい
て、モータ加熱防止制御部40の制御のもとに、バッテ
リ32からの電圧を昇圧または降圧して各種制御部およ
び各種回路のための作動電圧を供給する。
書込み可能の不揮発性メモリ(以下、EEPROM60
という)も接続されている。EEPROM60は、ブラ
シレスモータ11の作動時におけるハウジング、ステー
タおよびコイルの温度を推定するために必要な各種変数
を、ブラシレスモータ11の作動終了時に記憶しておく
ためのものである。なお、前記モータ加熱防止制御部4
0および速度変換部53は、ハード回路で構成してもよ
いが、本実施形態ではマイクロコンピュータのプログラ
ムの実行により実現される。言い換えれば、これらの各
部40,53は、マイクロコンピュータのプログラムの
実行によって実現される各種機能をブロック図により表
している。
図2の機能ブロック図を用いて詳しく説明する。なお、
この場合も、以下の説明における各部は、マイクロコン
ピュータのプログラムの実行によって実現される各種機
能をブロック図により表したものである。また、以下の
説明においては、特に明記しない限り、電源回路55か
ら各部および各回路には作動に必要な電圧が供給されて
いるとともに、電磁リレー33はオン状態にあって駆動
回路31からブラシレスモータ11のコイルには3相電
流Iu,Iv,Iwが流れているものとする。
する前に、イグニッションスイッチ35のオン・オフ操
作とモータ加熱防止制御部40の全体の動作の流れを図
3のタイムチャートを用いて説明しておく。イグニッシ
ョンスイッチ35が時刻t0にてオン操作されると、イグ
ニッションオン検出部41aがポテンショメータ54か
らのバッテリ電圧Ebtの上昇に応じてイグニッションス
イッチ35のオン操作を検出する。なお、ポテンショメ
ータ54からのバッテリ電圧Ebtは、図示しないA/D
変換器によりアナログ・ディジタル変換される。このイ
グニッションスイッチ35のオン操作の検出に応答し
て、モータ加熱防止制御部40は、図示しないイニシャ
ルチェック処理を行う。このイニシャルチェック中の所
定の時刻t1にて、データ読み出し・書き込み処理部42
は、EEPROM60内に記憶されている各種データを
読み出して、初期温度補正演算部43に供給する。
ータ11のマス部(ハウジングおよびステータに相当)
の推定温度を表す変数であるマス推定温度TPmaと、コイ
ルの推定温度を表す変数であるコイル推定温度TPcoの初
期値を計算する。そして、温度推定演算部44が、これ
らの初期値およびモータ電流2乗値演算部45にて計算
されたモータ電流2乗値Ismtを用いてマス推定温度TPma
およびコイル推定温度TPcoを所定の短時間ごとに推定し
始める。第1電流制限値演算部46a、第2電流制限値
演算部46bおよび最小値選択部46cは、時刻t2に
て、前記推定されたコイル推定温度TPcoを用いてブラシ
レスモータ11に流れる電流を制限するため制御を開始
する。なお、これらのマス推定温度TPmaおよびコイル推
定温度TPcoの初期値演算および推定演算と、ブラシレス
モータ11の電流制限動作については詳しく後述する。
(時刻t2の直後)には、データ読み出し・書き込み処理
部42は、以降のデータ書き込みが不能であったことに
備えて、雰囲気温度TPtr、マス推定温度TPmaおよびコイ
ル推定温度TPcoの各記憶値TPtrep,TPmaep,TPcoepの仮デ
ータとして、予め決められた大きな所定値をEEPRO
M60に書き込んでおく。大きな所定値を採用する理由
は、今後推定される雰囲気温度TPtrおよびマス推定温度
TPmaとして実際よりも低い温度が計算されることを避け
るためである。
ニッションスイッチ35が時刻t3にてオフ操作される
と、イグニッションオフ検出部41bがポテンショメー
タ54からのバッテリ電圧Ebtの下降に応じてイグニッ
ションスイッチ35のオフ操作を検出する。この場合、
イグニッションオフ検出部41bは、バッテリ電圧Ebt
が所定値未満であること、同所定値未満である状態が所
定時間以上継続したことを条件に、イグニッションスイ
ッチ35のオフ操作を検出する。
作の検出に応答して、モータ加熱防止制御部40は、同
スイッチ35のオフ操作に関連した種々の制御(IGオ
フ制御)を行う。このイグニッションオフ制御(IGオ
フ制御)として、データ読み出し・書き込み処理部42
は、イグニッションスイッチ35のオフ操作検出直後
(時刻t3の直後)に、そのときのマス推定温度TPmaおよ
びコイル推定温度TPcoを、マス温度記憶値TPmaepおよび
コイル温度記憶値TPcoepとしてEEPROM60に書き
込む。これは、パワーオフ時におけるEEPROM60
へのデータ書き込みが不能になった場合に備えるための
処理である。
オフ操作検出に応答して、パワーオフ制御部47は、パ
ワーオフまでの待機時間を設定する。この待機時間の設
定においては、同制御部47に記憶されている待機時間
テーブルが参照されて、そのときのコイル推定温度TPco
に対応した待機時間が設定される。この待機時間テーブ
ルは、図4に示すように、コイル推定温度TPcoの増加に
従って増加する待機時間を記憶している。
した時点t4にて、パワーオフ制御部47は、前記設定し
た待機時間の計測を開始するとともに、リレー制御回路
34に電磁リレー33をオフするためのリレーオフ信号
Roffを出力する。これにより、リレー制御回路34は
電磁リレー33をオフするので、以降、ブラシレスモー
タ11には電流が流れなくなる。これは、電子制御回路
ユニットECU内に流れる電流をできるだけ小さくするた
めである。
した待機時間の計測を終了すると、時刻t5にてデータ読
み出し・書き込み処理部42にデータの書き込みを指示
する。データ読み出し・書き込み処理部42は、そのと
きの雰囲気温度TPtrおよびプリント基板温度TPbdを雰囲
気温度記憶値TPtrepおよびプリント基板温度記憶値TPbd
epとしてEEPROM60に書き込む。また、そのとき
のマス推定温度TPmaと雰囲気温度TPtrとの差分値TPma−
TPtrおよびそのときのコイル推定温度TPcoとマス推定温
度TPmaとの差分値TPco−TPmaを、マス−雰囲気温度差記
憶値ΔTPmtepおよびコイル−マス温度差記憶値ΔTPcmep
としてEEPROM60に書き込む。
ト基板温度記憶値TPbdep、マス−雰囲気温度差記憶値Δ
TPmtepおよびコイル−マス温度差記憶値ΔTPcmepとして
EEPROM60に書き込みが終了した時点で、パワー
オフ制御部47は、電源回路55にパワーオフ信号Pof
fを出力する。これにより、電源回路55は、全ての回
路に対する電力の供給を停止する。このようにパワーオ
フまでの待機時間を設けたのは、マス推定温度TPmaおよ
びコイル推定温度TPcoがある程度下がるのを待つことを
目的とするもので、もちろんこの待機中にもマス推定温
度TPmaおよびコイル推定温度TPcoの推定演算は続行され
る。これにより、次に、イグニッションスイッチ35が
オン操作された状態におけるマス推定温度TPmaおよびコ
イル推定温度TPcoの推定精度が良好になる。
温度TPcoの初期値演算および推定演算と、ブラシレスモ
ータ11の電流制限動作について詳しく説明する。マス
推定温度TPmaおよびコイル推定温度TPcoの初期値演算お
よび推定演算は、初期温度補正演算部43にて行われ
る。この初期値演算においては、そのときの雰囲気温度
TPtrおよびプリント基板温度TPbdが利用されるととも
に、雰囲気温度記憶値TPtrep、プリント基板温度記憶値
TPbdep、マス−雰囲気温度差記憶値ΔTPmtepおよびコイ
ル−マス温度差記憶値ΔTPcmepが利用される。また、特
殊な状況下における初期値演算においては、雰囲気温度
記憶値TPtrep、マス温度記憶値TPmaepおよびコイル温度
記憶値TPcoepが利用される。これらの記憶値TPtrep,TP
bdep,ΔTPmtep,ΔTPcmep,TPmaep,TPcoepは、前述の
ように、EEPROM60に記憶されて、イグニッショ
ンスイッチ35のオン操作時にデータ読み出し・書き込
み処理部42によって読み出されて初期温度補正演算部
43に供給されるものである。
の場合について説明する。この場合、初期温度補正演算
部43は、最初に、プリント基板温度記憶値TPbdepから
プリント基板温度TPbdを減算して、イグニッションスイ
ッチ35をオフしたときから同スイッチ35を再びオン
したときまでのプリント基板温度変化量ΔTPbd(=TPbd
ep−TPbd)を計算する。
たマス温度初期補正係数マップおよびコイル温度初期補
正係数マップを参照して、プリント基板温度変化量ΔTP
bdに対応したマス温度初期補正係数Ktpmおよびコイル
温度初期補正係数Ktpcをそれぞれ計算する。これらの
マス温度初期補正係数マップおよびコイル温度初期補正
係数マップは、プリント基板温度TPbdの変化に対するマ
ス温度およびコイル温度の変化特性をそれぞれ示すもの
で、図5(A)(B)に示すように、共にプリント基板温度
変化量ΔTPbdの増加に従って減少するものである。な
お、これらのマップは、プリント基板の放熱特性と、マ
ス部およびコイルの放熱特性との関係から計算され、ま
たは実験により得られる。
ep、コイル−マス温度差記憶値ΔTPcmep、マス温度初期
補正係数Ktpm、コイル温度初期補正係数Ktpcおよび雰
囲気温度TPtrを用いた下記数1,2の演算を順に実行し
て、マス推定温度TPmaおよびコイル推定温度TPcoの初期
値をそれぞれ計算する。
推定温度TPcoの初期値の演算をそれぞれ分けて行い、ま
た後述するマス推定温度TPmaおよびコイル推定温度TPco
の推定演算においてもそれぞれ分けて行う理由は、マス
部とコイルの放熱および発熱の特性が異なるからであ
る。
変化量ΔTPbdを用いてマス温度初期補正係数Ktpmおよ
びコイル温度初期補正係数Ktpcを計算するようにした
が、雰囲気温度変化量ΔTPtrを用いて前記両初期補正係
数Ktpm,Ktpcを計算するようにしてもよい。この場
合、雰囲気温度TPtrの変化に応じて変化するマス温度初
期補正係数Ktpmおよびコイル温度初期補正係数Ktpcを
それぞれ記憶したマス温度初期補正係数マップおよびコ
イル温度初期補正係数マップを用意する。そして、EE
PROM60に記憶されている雰囲気温度記憶値TPtrep
から雰囲気温度TPtrを減算して、この減算値ΔTPtr(=
TPtrep−TPtr)に対応したマス温度初期補正係数Ktpm
およびコイル温度初期補正係数Ktpcを、マス温度初期
補正係数マップおよびコイル温度初期補正係数マップを
用いて計算するようにすればよい。
度TPmaおよびコイル推定温度TPcoの初期値の演算につい
て説明する。第1の特殊な状況は、パワーオフ時(図3
の時刻t5直前)にEEPROM60にデータが書き込め
なかった場合、言いかえれば前回の雰囲気温度記憶値TP
trep、プリント基板温度記憶値TPbdep、マス−雰囲気温
度差記憶値ΔTPmtepおよびコイル−マス温度差記憶値Δ
TPcmepをEEPROM60から読み出すことができなか
った場合である。これは、上記数1および数2の演算が
不能であるからである。この場合、マス推定温度TPmaお
よびコイル推定温度TPcoは、イグニッションスイッチ3
5のオフ時(図3の時刻t3)にEEPROM60に書き
込んだマス温度記憶値TPmaepおよびコイル温度記憶値TP
coepにそれぞれ初期設定される。また、これらのマス温
度記憶値TPmaepおよびコイル温度記憶値TPcoepもEEP
ROM60に書き込まれていない場合には、図3の時刻
t2にてEEPROM60に書き込んだ仮データを利用す
る。
bdが異常値を示している場合である。これは、プリント
基板温度変化量ΔTPbdに対応したマス温度初期補正係数
Ktpmおよびコイル温度初期補正係数Ktpcの計算が不能
で、上記数1および数2の演算が不能であるからであ
る。この場合も、前記第1の特殊な場合と同様に、マス
推定温度TPmaおよびコイル推定温度TPcoは、マス温度記
憶値TPmaepおよびコイル温度記憶値TPcoepにそれぞれ初
期設定される。
めて低い所定値以下(例えば、摂氏0度以下)の場合で
ある。これは、雰囲気温度TPtrが極めて低く、ブラシレ
スモータ11のハウジング、ステータおよびコイルも、
極めて低い雰囲気温度TPtrであることが予想されるから
である。この場合、マス推定温度TPmaおよびコイル推定
温度TPcoは、共に雰囲気温度TPtrに初期設定される。
置かれた場合である。この状況は、雰囲気温度TPtrが雰
囲気温度記憶値TPtrepよりも高い、プリント基板温度TP
bdが極めて高い所定温度(例えば、摂氏85度)以上、
雰囲気温度TPtrが極めて高い所定温度(例えば、摂氏8
5度)以上などの条件により判定される。そして、この
場合、マス推定温度TPmaは、雰囲気温度TPtrおよびマス
温度記憶値TPmaepのうちでいずれか高い方の値に初期設
定される。また、コイル推定温度TPcoは、雰囲気温度TP
trおよびコイル温度記憶値TPcoepのうちのいずれか高い
方の値に初期設定される。
されたマス推定温度TPmaおよびコイル推定温度TPcoを順
次更新しながら、ブラシレスモータ11のハウジング
(またはステータ)およびコイルの時間経過に従って変
化する温度を計算する。この温度の計算においては、回
転速度RVおよびモータ電流2乗値Ismtが利用される。
回転速度RVは、速度変換部53にて計算されたブラシ
レスモータ11の回転速度である。モータ電流2乗値Is
mtは、モータ電流2乗値演算部45にて計算されるブラ
シレスモータ11に流れる2相電流Id,Iqの2乗値の和
Id2+Iq2に等しい。なお、このモータ電流2乗値Ismt
は、ブラシレスモータ11のコイルに流れる電流による
発熱量に比例するものである。
度TPmaおよびコイル推定温度TPcoの推定演算処理を図6
のフローチャートにモータ温度推定プログラムとして示
す。このモータ温度推定プログラムは、ステップS10
〜S38からなり、短時間(例えば、80ミリ秒)ごと
に繰り返し実行される。ステップS10によるプログラ
ムの実行開始後、ステップS12にて回転フラグRVF
が“0”であるか判定される。この回転フラグRVF
は、“1”によってブラシレスモータ11の回転状態を
表し、“0”によってブラシレスモータ11の停止状態
を表す。いま、回転フラグRVFが“0”であれば、ス
テップS12にて「Yes」と判定して、ステップS14
に進む。ステップS14においては、回転速度RVが小
さな所定速度RV2(例えば、0.3ラジアン/秒)以
上であるかを判定する。回転速度RVが小さな所定速度
RV2以上であれば、ステップS14にて「Yes」と判
定し、ステップS16にて回転フラグRVFを“1”に
変更してステップS18に進む。回転速度RVが小さな
所定速度RV2未満であれば、ステップS14にて「N
o」と判定し、ステップS26に進む。
処理にて利用するパラメータをブラシレスモータ11の
回転時に関する回転用パラメータに設定する。これらの
パラメータとしては、電流マス遅延回数Nima、電流マ
ス温度補正係数Kima、電流コイル遅延回数Nicoおよび
電流コイル温度補正係数Kicoである。
ば、ステップS12にて「No」と判定して、ステップS
20に進む。ステップS20においては、回転速度RV
が前記所定速度RV2よりも小さな所定速度RV1(例え
ば、0.1ラジアン/秒)以下であるかを判定する。な
お、所定速度RV1を所定速度RV2よりも小さく設定し
た理由は、ブラシレスモータ11の回転状態と停止状態
との検出にヒステリシスをもたせてハンチングを避ける
ためである。回転速度RVが所定速度RV1以下であれ
ば、ステップS20にて「Yes」と判定し、ステップS
22にて回転フラグRVFを“0”に変更してステップ
S24に進む。回転速度RVが所定速度RV1よりも大
きければ、ステップS20にて「No」と判定し、ステッ
プS26に進む。
メータをブラシレスモータ11の停止時に関する停止用
パラメータに設定する。
時と停止時とで、各種パラメータは異なる値に設定され
る。具体的には、電流マス遅延回数Nimaおよび電流コ
イル遅延回数Nicoは、マス推定温度TPmaおよびコイル
推定温度TPcoの推定演算における値の変化を遅らす、す
なわち値の変化を滑らかにするためのパラメータであ
る。そして、電流マス遅延回数Nimaおよび電流コイル
遅延回数Nicoは値が大きくなるに従って遅延量が大き
いことを表すので、ブラシレスモータ11の停止時には
回転時に比べて小さな値に設定される。また、電流マス
温度補正係数Kimaおよび電流コイル温度補正係数Kico
は、マス推定温度TPmaおよびコイル推定温度TPcoに対す
るマス用電流2乗値Ismaおよびコイル用電流2乗値Is
coの影響の大きさを表すパラメータである。そして、電
流マス温度補正係数Kimaおよび電流コイル温度補正係
数Kicoは値が大きくなるに従って影響度が大きいこと
を表すので、ブラシレスモータ11の停止時には回転時
に比べて大きな値に設定される。なお、マス用電流2乗
値Ismaおよびコイル用電流2乗値Iscoは、マス部およ
びコイルの温度上昇の原因となる発熱量に対応するもの
で、モータ電流2乗値Ismtをローパスフィルタ処理した
値である。
ータ加熱防止制御部40においては、ステップS26に
て、モータ電流2乗値Ismtおよび電流マス遅延回数Ni
maを用いた下記数3のローパスフィルタ処理演算を実行
することにより、マス用電流2乗値Ismaが計算され
る。
用電流2乗値Ismaの今回演算値(現在の値)を示し、
Isma(n-1)はマス用電流2乗値Ismaの前回演算値(8
0ミリ秒前の値)を示す(図7参照)。次に、ステップ
S28にて、前記計算したマス用電流2乗値Isma(n)お
よび電流マス温度補正係数Kimaを用いた下記数4の演
算の実行により、マス温度増加分ΔTPmaが計算される。
れた比例定数である。次に、ステップS30にて、前記
計算したマス温度増加分ΔTPmaおよび雰囲気温度TPtrを
用いた下記数5の演算の実行により、マス推定温度TPma
が計算される。
テップS32にて、モータ電流2乗値Ismtおよび電流コ
イル遅延回数Nicoを用いた下記数6のローパスフィル
タ処理演算を実行することにより、コイル用電流2乗値
Iscoが計算される。
ル用電流2乗値Iscoの今回演算値(現在の値)を示
し、Isco(n-1)はコイル用電流2乗値Iscoの前回演算
値(80ミリ秒前の値)を示す(図7参照)。次に、ス
テップS34にて、前記計算したコイル用電流2乗値I
sco(n)および電流コイル温度補正係数Kicoを用いた下
記数7の演算の実行により、コイル温度増加分ΔTPcoが
計算される。
れた比例定数である。次に、ステップS32にて、前記
計算したコイル温度増加分ΔTPcoおよびマス推定温度TP
maを用いた下記数8の演算の実行により、コイル推定温
度TPcoが計算される。そして、ステップS38にて、モ
ータ温度推定プログラムの実行を終了する。
ブラシレスモータ11の回転状態と停止状態とにおいて
それぞれ異なる演算態様で、すなわちブラシレスモータ
11の回転状態時と停止状態時とでコイルを流れる電流
による温度上昇の違いが考慮されて、ブラシレスモータ
11のマス部およびコイルの温度が推定される。その結
果、ブラシレスモータ11に温度センサを組み込まなく
ても、簡単な構成によってブラシレスモータ11のマス
部およびコイルの温度が高精度で検出される。また、コ
イルの温度の推定にあっては、放熱および発熱特性の異
なるマス部とコイルとに分け、異なるパラメータを用い
て演算するようにしたので、コイルの温度が高精度で検
出される。
イル推定温度TPcoは、第1電流制限値演算部46aおよ
び第2電流制限値演算部46bに供給される。第1電流
制限値演算部46aは、電流制限値テーブルを参照する
ことにより、コイル推定温度TPcoに対応した第1電流制
限値IL1を計算する。この電流制限値テーブルは第1電
流制限値演算部46aに設けられていて、同テーブルに
は、図8に示すように、コイル推定温度TPcoの増加に従
って減少する第1電流制限値IL1が記憶されている。
制限値演算部46aにて計算された第1電流制限値IL1
を補うもので、コイル推定温度TPcoが極めて高くなった
場合に強制的に電流を制限するための第2電流制限値IL
2を計算する。第2電流制限値演算部46bは、コイル
推定温度TPcoが極めて高い所定温度以上になると、目標
電流制限値ILtgを小さな所定値に設定して、下記数9の
演算(ローパスフィルタ処理演算)を所定の短時間ごと
に繰り返し実行する。
流制限値IL2の今回演算値(現在の値)を示し、IL2(n-
1)は第2電流制限値IL2の前回演算値(80ミリ秒前の
値)を示す。また、係数Kflは、予め決めた「1」未満
の定数である。この数9の演算の実行により、コイル推
定温度TPcoが前記所定温度以上になった時点で、第2電
流制限値IL2は、目標電流制限値ILtgまで徐々に減少し
ていく。
定温度以下になれば、目標電流制限値ILtgを予め決めた
所定電流値(例えば、60A)に設定した後、前述した
数9の演算を繰り返し実行する。これにより、前記強制
的な電流制限が解除されて、第2電流制限値IL2は、前
記所定電流値に設定した目標電流制限値ILtgまで徐々に
上昇する。
IL1および第2電流制限値IL2は、最小値選択部46cに
供給される。最小値選択部46cは、前記第1電流制限
値IL1および第2電流制限値IL2のうちで、小さい方の電
流制限値をモータ電流制限値ILmとして決定する。この
決定されたモータ電流制限値ILmは、電流制限部22に
供給される。電流制限部22は、上述のようにブラシレ
スモータ11に流れる3相電流Iu,Iv,Iwをモータ
電流制限値ILmに応じて制限する。
ルの温度が上昇すると、同モータ11に流される電流が
制限されるので、コイルの温度が上昇しなくなる。これ
により、コイルに施されている被覆などが解けて絶縁が
破壊されることがなくなる。また、第1電流制限値IL1
に加えて第2電流制限値IL2が考慮されるので、第1電
流制限値IL1によるブラシレスモータ11の電流制限で
は、コイルの温度が上昇するような場合でも、ブラシレ
スモータ11のコイルの温度上昇を良好に抑えることが
できる。
ル推定温度TPcoが所定温度以上のとき、ブラシレスモー
タ11に流れる電流が強制的に所定の制限値以下に制限
される。したがって、ブラシレスモータ11のコイルの
温度上昇が確実に抑制される。また、このブラシレスモ
ータ11に流れる電流を制限値以下に制限する際には、
同制限値は徐々に変化する。したがって、ブラシレスモ
ータ11の出力の急変を避けることができる。
Id,Iqを用いてモータ電流2乗値Ismt(=Id2+Iq
2)を計算し、モータ電流2乗値Ismtを用いてブラシレ
スモータ11のコイル全体の温度を推定するようにし
た。しかし、これに代えて、ブラシレスモータ11に実
際に流れる3相電流Iu,Iv,Iwを用いて、各相ごと
にコイルの温度を推定するようにしてもよい。この場
合、モータ加熱防止制御部40は、電流センサ24によ
って検出されたブラシレスモータ11の3相電流Iu,
Iv,Iwを入力する。そして、モータ加熱防止制御部4
0は、上記実施形態のモータ電流2乗値Ismtに代えて
各相ごとの電流2乗値Iu2,Iv2,Iw2を計算し、上記
実施形態のモータ電流2乗値Ismtに適用した演算処理
を前記各電流2乗値Iu2,Iv2,Iw2に対してそれぞれ
適用して、各相のコイルの温度を推定するようにする。
そして、これらの各相ごとのコイル温度のうちで最高の
コイル温度を選択して、ブラシレスモータ11に流れる
電流を制限するようにすればよい。
タ11のコイル推定温度TPcoを計算する過程で、マス部
(ハウジング、ステータなど)のマス推定温度TPmaを利
用するだけで、このマス推定温度TPmaに関する利用につ
いては説明しなかった。しかし、このマス推定温度TPma
を、ブラシレスモータ11における温度上昇に伴うステ
ータの透磁率の低下の補正制御に用いるようにしてもよ
い。この場合、マス推定温度TPmaの上昇に従って、ブラ
シレスモータ11の3相電流を増加させるようにすれば
よい。
ブラシレスモータ11に適用した例について説明した
が、この発明は、ブラシレスモータ11以外の各種モー
タにも適用できるものである。
舵ハンドル12の回動操作に対してアシストトルクを付
与するための電動モータに本発明を適用した。しかし、
本発明は、ステヤバイワイヤ方式の操舵装置における車
輪に操舵トルクを与える電動モータなど、車両に搭載さ
れた各種電動モータに適用されるものである。また、本
発明は、車両以外の各種装置に搭載された電動モータに
も適用される。
例に限定されることなく、本発明の範囲内において種々
の変形例を採用することができる。
置およびモータ制御装置を適用した車両の電動パワース
テアリング装置の全体概略図である。
能ブロック図である。
モータ加熱防止制御部の全体の動作の流れを示すタイム
チャートである。
すグラフである。
るマス温度初期補正係数Ktpmの変化特性を示すグラフ
であり、(B)はプリント基板温度変化量ΔTPbdに対する
コイル温度初期補正係数Ktpcの変化特性を示すグラフ
である。
定プログラムのフローチャートである。
smaおよびコイル用電流2乗値Iscoの時間変化を示すタ
イムチャートである。
の関係を示すグラフである。
操舵トルクセンサ、22…電流制限部、16…回転角セ
ンサ、24…電流センサ、32…バッテリ、35…イグ
ニッションスイッチ、40…モータ加熱防止制御部、4
3…初期温度補正演算部、44…温度推定演算部、45
…モータ電流2乗値演算部、46a,46b…電流制限
値演算部、51…雰囲気温度センサ、52…基板温度セ
ンサ、53…速度変換部、60…EEPROM。
0)
れた比例定数である。次に、ステップS36にて、前記
計算したコイル温度増加分ΔTPcoおよびマス推定温度TP
maを用いた下記数8の演算の実行により、コイル推定温
度TPcoが計算される。そして、ステップS38にて、モ
ータ温度推定プログラムの実行を終了する。
Claims (7)
- 【請求項1】電動モータのコイルに流れる電流値を検出
する電流検出手段と、 前記電動モータが回転状態および停止状態のいずれかの
状態にあるかを判定する判定手段と、 前記判定された電動モータの回転状態と停止状態とにお
いてそれぞれ異なる演算態様で、前記検出された電流値
に基づいて電動モータの温度を推定演算する推定演算手
段とを備えたモータ温度推定装置。 - 【請求項2】前記請求項1に記載したモータ温度推定装
置において、 前記推定演算手段を、 前記検出された電流値の2乗値を計算する2乗値計算手
段と、 前記計算した2乗値に、前記判定による電動モータの回
転状態と停止状態とで異なるローパスフィルタ処理演算
を施すローパスフィルタ処理手段と、 前記ローパスフィルタ処理した2乗値に基づいて、前記
コイルに流れる電流値による温度上昇分を計算する温度
上昇分計算手段と、 前記計算した温度上昇分を用いて電動モータの温度を計
算する温度計算手段とで構成したモータ温度推定装置。 - 【請求項3】前記請求項1に記載したモータ温度推定装
置において、 前記電動モータは3相モータで構成されており、 前記電流検出手段は、3相電流値を2相に変換した2相
電流値を検出し、 前記推定演算手段は、前記2相電流値の各2乗値の和に
基づいて電動モータの温度を推定演算するものであるモ
ータ温度推定装置。 - 【請求項4】前記請求項1に記載したモータ温度推定装
置において、 前記電動モータは3相モータで構成されており、 前記電流検出手段は、3相電流値を検出し、 前記推定演算手段は、前記3相電流値の各2乗値を用い
て電動モータの温度を推定演算するものであるモータ温
度推定装置。 - 【請求項5】電動モータのコイルに流れる電流値を検出
する電流検出手段と、 前記電動モータが回転状態および停止状態のいずれかの
状態にあるかを判定する判定手段と、 前記判定された電動モータの回転状態と停止状態とにお
いてそれぞれ異なる演算態様で、前記検出された電流値
に基づいて電動モータのコイル温度を推定演算するコイ
ル温度推定演算手段と、 前記推定したコイル温度に応じて前記電動モータに流れ
る電流を制限する電流制限手段と、を備えたモータ制御
装置。 - 【請求項6】前記請求項5に記載したモータ制御装置に
おいて、 前記電流制限手段は、前記推定したコイル温度が所定温
度以上のとき、前記電動モータに流れる電流を所定の制
限値以下に制限するものであるモータ制御装置。 - 【請求項7】前記請求項6に記載したモータ制御装置に
おいて、 前記電流制限手段が、前記電動モータに流れる電流を所
定の制限値以下に制限する際には、同制限値を徐々に変
化させるようにしたモータ制御装置。
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