JP2003171564A - 射出圧縮成形品 - Google Patents

射出圧縮成形品

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JP2003171564A JP2001373773A JP2001373773A JP2003171564A JP 2003171564 A JP2003171564 A JP 2003171564A JP 2001373773 A JP2001373773 A JP 2001373773A JP 2001373773 A JP2001373773 A JP 2001373773A JP 2003171564 A JP2003171564 A JP 2003171564A
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 寸法安定性に優れると共に、衝撃強度にも優
れた射出圧縮成形法により製造された大型の樹脂射出成
形品を提供することにあり、更に詳しくは、結晶性熱可
塑性ポリマーと非晶性熱可塑性ポリマーからなる樹脂組
成物、殊に強化フィラーで強化された樹脂組成物におい
て、組成によることなく大型の樹脂射出成形品における
耐衝撃性を向上させる方法を提供する。 【解決手段】 結晶性熱可塑性ポリマー(a1成分)5
〜90重量部、および非晶性熱可塑性ポリマー(a2成
分)10〜95重量部の合計100重量部からなる樹脂
組成物を射出圧縮成形して得られた、最大投影面積が1
000cm2以上の射出圧縮成形品。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は大型の樹脂射出成形
品に関する。更に詳しくは寸法安定性に優れると共に、
衝撃強度にも優れた射出圧縮成形法により製造された大
型の樹脂射出成形品、殊に強化フィラーで強化された該
射出成形品に関する。
【0002】
【従来の技術】近年、自動車の外装材料においてプラス
チック化の動きが再び活発化している。外装材料として
はバックパネル、フェンダー、バンパー、ドアパネル、
ピラー、サイドプロテクター、サイドモール、各種スポ
イラー、ボンネット、ルーフパネル、トランクリッドな
どが挙げられる。中でも、バックパネル、フェンダー、
ドアパネル、ボンネット、ルーフパネル、およびトラン
クリッドなど、未だプラスチック化が不十分な外板にお
いて活発であり、特にバックパネル、フェンダーおよび
ドアパネルなどのいわゆる垂直外板において盛んとなっ
ている。プラスチック化のメリットとしては、軽量化が
可能な点、デザインの自由度が高められる点、モジュー
ルアッセンブリー化によるコストダウンが可能になる
点、および軽い衝突においては全く変形・破損がない点
などを挙げることができる。特に軽い衝突において変形
がない点は、荒地などを走行するため比較的粗く扱われ
やすい四輪駆動の多目的車、見切りの悪い大型のミニバ
ン、および道具としてより高い機能性が求められるスモ
ールカーなどにおいて適した特性である。
【0003】一方で外装材料は、鋼板などからなる金属
製のフレームに取り付けられるため良好な寸法安定性が
求められる。すなわち外装材料には、低い線膨張係数や
低い吸水による寸法変化が求められる。フレームとの寸
法変化の差が大きい場合には、外装材料のいびつな変形
や外装材料と他の部分との干渉を生じるようになる。通
常かかる変形や干渉を防止するため、外装材料のフレー
ムへの取り付けは変形が目立たない配置で行われ、変形
代としての隙間を設けて行われている。もちろん材料は
比較的寸法変化の低いものが使用される。しかしながら
寸法安定性は次の理由などにより更に低下させることが
求められる場合がある。すなわち、近年四輪駆動の多目
的車はクロスオーバー化しており、高級車の風格が求め
られている。よって隙間の減少が更に必要となる。また
ミニバンはより大型化して外装材料も大型化している。
よって変形代としてこれ以上の隙間を設けることができ
ない場合がある。
【0004】自動車用の外装材料としては、既にGE社
が製造しているNORYL GTX(商品名)シリーズ
(ポリアミド樹脂と変性ポリフェニレンエーテル樹脂の
ポリマーアロイ)、トヨタ自動車社が主として開発して
トヨタスーパーオレフィンポリマー(商品名)シリーズ
(ポリプロピレン樹脂と、ポリオレフィン系エラストマ
ーとのポリマーアロイ)、芳香族ポリエステル樹脂と芳
香族ポリカーボネートとのポリマーアロイ、並びにポリ
アミド樹脂とABS樹脂とのポリマーアロイなどが広く
知られるところである。これらの材料はいずれも自動車
用の外装材料に求められる、耐薬品性、耐熱性、耐衝撃
性、外観、および寸法安定性などをバランスよく満足す
るものである。またその多くはかかる特性を満足すべ
く、結晶性熱可塑性ポリマーと非晶性熱可塑性ポリマー
とのポリマーアロイである。これらの材料を通常に射出
成形して自動車用の外装材料、殊に自動車外板が製造さ
れていた。
【0005】これらの材料に対して更に低い寸法変化が
求められた場合、寸法安定性の高い非晶性熱可塑性ポリ
マーの割合を増加させる方法が考えられる。またより好
適には無機強化フィラーなどを配合また増量する方法が
考えられる。しかしながらかかる前者の方法はポリアミ
ド樹脂を組み合わせたポリマーアロイにおいて耐衝撃性
の低下を招く。更により好適な後者の方法ではほとんど
の樹脂材料において耐衝撃性の低下を招く。よってベー
スの耐衝撃性をより高めて各種の強化フィラーを配合す
るとの考え方もある。しかしながらかかる方法も相反す
る特性を組成のみによって達成する点において限界があ
り、十分に有効な方法とはいえなかった。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】本発明の課題は、寸法
安定性に優れると共に、衝撃強度にも優れた射出圧縮成
形法により製造された大型の樹脂射出成形品を提供する
ことにあり、更に詳しくは、結晶性熱可塑性ポリマーと
非晶性熱可塑性ポリマーからなる樹脂組成物、殊に強化
フィラーで強化された樹脂組成物において、組成による
ことなく大型の樹脂射出成形品における耐衝撃性を向上
させる方法を提供する点にある。
【0007】本発明者らは、上記目的を達成すべく鋭意
検討を重ねた結果、驚くべきことに、強化フィラーで強
化された結晶性熱可塑性ポリマーと非晶性熱可塑性ポリ
マーからなる樹脂組成物より形成された大型の射出圧縮
成形品が、かかる樹脂組成物の通常の射出成形品と比較
して耐衝撃性が大きく向上することを見出した。逆にい
えば、大型の射出成形品においては材料が有する耐衝撃
性が十分に発揮されていない場合があることを見出し
た。本発明はかかる知見に基づき更に鋭意検討を行い、
完成に至ったものである。
【0008】
【課題を解決するための手段】本発明は、結晶性熱可塑
性ポリマー(a1成分)5〜90重量部、および非晶性
熱可塑性ポリマー(a2成分)10〜95重量部の合計
100重量部からなる熱可塑性ポリマー成分(A成分)
100重量部からなる樹脂組成物を射出圧縮成形して得
られた、最大投影面積が1000cm2以上の射出圧縮
成形品にかかるものである。
【0009】本発明の好適な態様の1つは、上記樹脂組
成物がa1成分とa2成分の合計100重量部当り、更
に強化フィラー(B成分)0.5〜100重量部を含ん
でなる上記射出圧縮成形品にかかるものである。
【0010】本発明の好適な態様の1つは、上記樹脂組
成物がa1成分とa2成分の合計100重量部当り、ゴ
ム質ポリマー(C成分)0.5〜50重量部を含んでな
る上記射出圧縮成形品にかかるものである。
【0011】本発明の好適な態様の1つは、上記a1成
分がポリアミドおよび芳香族ポリエステルから選択され
る少なくとも1種の結晶性熱可塑性ポリマーである上記
射出圧縮成形品にかかるものであり、また本発明の好適
な態様の1つは、上記a2成分が芳香族ポリカーボネー
ト、ポリフェニレンエーテル、ポリアリレート、および
スチレン系ポリマーから選択される少なくとも1種であ
る上記射出圧縮成形品にかかるものである。
【0012】本発明の好適な態様の1つは、上記B成分
がタルク、およびワラストナイトから選択される少なく
とも1種である上記射出圧縮成形品にかかるものであ
る。
【0013】更に本発明の好適な態様の1つは、上記射
出圧縮成形品が、その成形品側面部分にゲートを有して
なる上記射出圧縮成形品にかかるものであり、また本発
明の好適な態様の1つは、上記射出圧縮成形が、少なく
ともその供給完了時において目的とする成形品容量より
も1.1倍以上大なる容量の金型キャビティ内に溶融し
た熱可塑性樹脂材料を充填するものである上記射出圧縮
成形品にかかるものである。
【0014】更に本発明の詳細について説明する。
【0015】本発明における射出圧縮成形とは、少なく
ともその供給完了時において目的とする成形品容量より
も大なる容量の金型キャビティ内に溶融した熱可塑性樹
脂を供給し、その供給完了後に金型キャビティ容量を目
的とする成形品容量まで減少し、金型キャビティ内の成
形品をその取り出しが可能な温度以下まで冷却後成形品
を取り出す成形方法である。かかる技術内容をより明確
にするため更に以下に説明する。
【0016】上記の“その供給完了時”とは金型キャビ
ティ(以下単に“キャビティ”と称することがある)内
への樹脂の供給完了時をいう。更に樹脂の供給とは少な
くとも外見的に樹脂の流れの伴うものをいう。すなわ
ち、供給方法が射出成形であれば通常射出工程をいい、
その供給完了時とは射出工程終了時をいう。一方保圧工
程は外見的には樹脂の流れを伴わず(樹脂内部では樹脂
の流れはわずかに生ずるが)、樹脂を圧縮する工程であ
ることから本発明にいうキャビティ内への樹脂の供給に
は含まれない。また溶融樹脂の供給は射出成形方法、す
なわちシリンダー中の樹脂をピストンを用いて排出する
方法である。
【0017】更に上記の“少なくとも”とは、樹脂の供
給完了時にキャビティ容量が目的とする成形品容量より
も大きいことのみを要件とし、樹脂の供給開始時より大
きいことは要件としないことを意味する。例えば、樹脂
の供給と共にキャビティ容量を拡大させ、樹脂を過剰に
充填した後、キャビティ容量を減少して樹脂を圧縮する
方法であってもよい。ここで過剰の溶融樹脂は捨てキャ
ビ(製品以外の樹脂流入のためのキャビティ)など別の
空間に流入させることができる。また過剰の溶融樹脂
は、シリンダー側に直接逆流させることができる。尚、
目的とする成形品容量に対して予め大なる容量とした金
型キャビティに対し、溶融樹脂を過剰に供給することも
可能である。
【0018】また上記“目的とする成形品容量よりも大
なる容量の金型キャビティ”の意味するところは、キャ
ビティ容量が変化しない通常の成形方法における容量を
同一容量とする基準に基づく。すなわち通常の成形方法
においても厳密には成形品容量はキャビティ容量よりも
ごくわずかに小さいことになるが、本発明においてこの
程度の大小関係は問題にしない。本発明においてかかる
“大なる容量”の程度としては目的とする成形品容量の
1.1倍以上が好ましく、1.2倍以上がより好まし
く、1.5倍以上が更に好ましい。一方かかる上限とし
ては目的とする成形品容量の3倍以下が好ましく、2.
5倍以下がより好ましく、2倍以下が更に好ましい。
【0019】またキャビティの容量を拡大する方法とし
ては(逆方向の動作になれば所定の容量まで減少する方
法ともいえる)、(i)可動側金型の後退による方法、
(ii)キャビティ内の可動コアプレートの後退による
方法、および(iii)その他キャビティ内に備えられ
た可動部の後退による方法などを挙げることができる。
特に上記(i)の方法(いわゆる型圧縮法)、および
(ii)の方法(いわゆるコア圧縮法)が一般的であ
る。尚、これらキャビティ容量を拡大させる可動部分
は、該容量を所定容量まで減少させる場合に樹脂を圧縮
するため、該可動部分を以下“圧縮部”、またキャビテ
ィ容量を所定の容量まで減少させる工程を“圧縮工程”
と称する場合がある。
【0020】上記“その供給完了後に金型キャビティ容
量を目的とする成形品容量まで減少し”とは、圧縮工
程は溶融樹脂の供給完了後に完了すること、圧縮工程
の開始時期は供給完了前後のいずれでもよいこと、およ
び上述のとおりキャビティ内に供給する樹脂の量は成
形品容量より過剰であってもよいことを意味する。殊に
圧縮工程は、溶融樹脂の充填終了前に開始することが外
観、耐衝撃性および寸法安定性に優れた成形品を得るた
めに好ましい。尚、圧縮工程と溶融樹脂の充填工程が重
なる時間をオーバーラップ時間という。
【0021】上述のとおり、本発明の射出圧縮成形にお
いてキャビティ内に供給する樹脂の量は成形品容量より
過剰であってもよい。但しキャビティ内に供給する樹脂
の量は成形品容量相当とすることが耐衝撃性および製造
コストの点でより好ましい。溶融樹脂のシリンダへの逆
流は耐衝撃性の点で不利となりやすく、捨てキャビは経
済的効率に欠ける場合がある。
【0022】また本発明の成形方法においては、成形品
の外観を更に改良するため金型キャビティを母型とは独
立して局所的に高温化することができる。かかる高温化
の方法としては、加熱源による方法および断熱層を配し
たキャビティにより高温化する方法が挙げられ、いずれ
も適用可能であるが、より好ましくは加熱源による方法
である。更に加熱源としては、電気ヒーター、赤外線ヒ
ーター、高周波誘導加熱、熱媒体、超音波加熱、レーザ
ー加熱等が挙げられ、これらのいずれか一つまたは二つ
以上の組合せが選ばれる。金型キャビティを局所的に高
温化することにより外観を改良する方法としては、例え
ば特公平5−19443号公報に加熱源により成形品表
面に生ずるコールドマークを解消する方法が開示されて
いる。
【0023】更に金型キャビティを局所的に高温化する
際の温度としては、樹脂のガラス転移温度(Tg)以上
になることが好ましく、より好ましくはTg+1〜Tg
+10℃の範囲、更に好ましくはTg+1〜Tg+8℃
の範囲である。かかる温度範囲に0.1秒以上あること
が好ましく、0.5秒以上あることがより好ましい。ま
た上限としては10秒以下が好ましく、5秒以下が更に
好ましい。
【0024】結晶性熱可塑性ポリマーと非晶性熱可塑性
ポリマーからなる樹脂組成物、殊に強化フィラーで強化
した該樹脂組成物を、射出圧縮成形法により製造した大
型の樹脂射出成形品が、通常の射出成形品と比較して良
好な耐衝撃性を達成する原因は十分に解明されていない
ものの、以下のような要因を挙げることができる。第1
に、大型の射出成形品においてはその熱負荷が極めて高
くなることが要因として考えられる。強化フィラーで強
化された結晶性熱可塑性ポリマーと非晶性熱可塑性ポリ
マーからなる樹脂組成物が良好な耐衝撃性を得るために
は、制御されたモルフォロジーを形成する必要があり、
またポリマー間に生ずる分解反応などを抑制する必要が
ある。高い熱負荷はこれらの必要な因子に対して不利に
働いていると考えられる。第2に、不均一な内部応力が
生じ難いことが要因として考えられる。不均一な内部応
力は、成形品の破壊挙動において欠陥として作用し得
る。大型の成形品になるほど成形品に生ずる歪は大きく
なる。一方で射出圧縮成形においては成形品に生ずる歪
は少ない(樹脂内部の圧力は均一でムラが少ない)。第
3に、結晶性熱可塑性ポリマーの結晶化挙動が考えられ
る。結晶化は熱履歴、外力、および核剤などの種々の因
子に影響を受ける。射出圧縮成形は通常の射出成形に比
較して異なる熱履歴や外力を生ずる。射出圧縮成形では
樹脂の冷却は遅延するとともに、内部の圧力は均一でム
ラが少ない。これらの因子によって結晶化挙動が異なる
可能性がある。更に核剤効果を有する成分が含まれる場
合、その挙動は極めて複雑なものとなり得る。
【0025】次に本発明において使用する熱可塑性ポリ
マー成分(A成分)について説明する。尚、以下結晶性
熱可塑性ポリマー(a1成分)と非晶性熱可塑性ポリマ
ー(a2成分)とを合わせて熱可塑性ポリマー成分(A
成分)と称する。
【0026】本発明における結晶性熱可塑性ポリマー
(a1成分)は、熱可塑性を有する結晶性ポリマーであ
れば特に制限されないが、その融点が180℃以上であ
るものが好ましく、200℃以上がより好ましい。かか
る熱的性質を有することにより高い寸法安定性が達成で
きる。一方、成形加工性を考慮すると融点は300℃以
下が好ましく、290℃以下が更に好ましい。尚、かか
る融点は、JIS K7121に準拠し、DSC装置を
用いて室温から20℃/minの昇温速度により昇温し
た時の融点ピークの値である。かかる結晶性熱可塑性ポ
リマーとしては、例えばポリアミド、芳香族ポリエステ
ル、ポリフェニレンスルフィド、ポリ−4−メチルペン
テン−1、およびシンジオタクティックポリスチレンな
どを挙げることができる。
【0027】中でもa1成分としては、ポリアミドおよ
び芳香族ポリエステルから選択される少なくとも1種の
結晶性熱可塑性ポリマーがより好ましく挙げられる。ポ
リアミドは良好な耐衝撃性を有し、また後述するポリフ
ェニレンエーテルと良好なポリマーアロイを形成する。
芳香族ポリエステルは寸法安定性に優れた結晶性ポリマ
ーであり、また後述する芳香族ポリカーボネートと良好
なポリマーアロイを形成する。特に好ましくは寸法安定
性の点で芳香族ポリエステルが好ましい。
【0028】a1成分のポリアミドについて説明する。
かかるポリアミドとしては、たとえば(i)アミノ基と
カルボン酸基との間に少なくとも2個の炭素原子を含む
モノアミン−モノカルボン酸又はそのラクタムの重合に
よって、または(ii)2個のアミノ基間に少なくとも
2個の炭素原子を含むジアミンとジカルボン酸との実質
的に等モル割合での重合によって、または(iii)モ
ノアミノカルボン酸またはそのラクタムを実質的に等モ
ル割合のジアミン及びジカルボン酸とともに重合させる
ことによって製造される。該ジカルボン酸はその官能性
誘導体の形、たとえばエステルまたは酸塩化物であり得
る。
【0029】上記の“実質的に等モル”割合(のジアミ
ン及びジカルボン酸)は、(i)厳密に等モルの割合お
よび(ii)得られるポリアミドの粘度を安定化させる
ための慣用の技術において使用される等モルから幾分逸
脱する割合の両者を含む意味で使用する。ポリアミドの
製造に有用なモノアミノモノカルボン酸またはそのラク
タムの例はアミノ基とカルボン酸基との間に2〜16個
の炭素原子を含むかかる化合物であり、ラクタムの場合
には該炭素原子は−CO−NH−基とともに環を形成し
ている。アミノカルボン酸及びラクタムの特定の例とし
てはアミノカプロン酸、ブチロラクタム、ピバロラクタ
ム、カプロラクタム、カプリルラクタム、エナントラク
タム、ウンデカノラクタム、ドデカノラクタム、並びに
3−および4−アミノ安息香酸を挙げることができる。
【0030】ポリアミドの製造に使用するに好適なジア
ミンは直鎖および分岐鎖の、アルキル基、アリール基お
よびアルキル−アリール基を有するジアミンを含む。か
かるジアミンの例は下記一般式(1) H2N(CH2nNH2 (1) (式中、nは2〜16の整数である)によって表わされ
るものであり、たとえばトリメチレンジアミン、テトラ
メチレンジアミン、ペンタメチレンジアミン、オクタメ
チレンジアミン、ヘキサメチレンジアミン、トリメチル
ヘキサメチレンジアミン、m−フェニレンジアミン、m
−キシリレンジアミン等を含み、特にヘキサメチレンジ
アミンが好適である。
【0031】ポリアミドにおけるジカルボン酸は芳香族
ジカルボン酸、たとえばイソフタル酸およびテレフタル
酸であり得る。好ましいジカルボン酸は下記一般式
(2) HOOC−Y−COOH (2) (式中、Yは少なくとも2個の炭素原子を含む二価脂肪
族基を表わす)で表わされるものであり、例えばセバシ
ン酸、オクタデカン酸、スベリン酸、グルタル酸、ピメ
リン酸およびアジピン酸を含み、特にアジピン酸が好適
である。
【0032】本発明に有用なポリアミド(ナイロン)の
典型的な例は、いわゆるポリアミド46、ポリアミド
6、ポリアミド66、ポリアミド11、ポリアミド1
2、ポリアミド63、ポリアミド64、ポリアミド61
0およびポリアミド612を含み、並びにテレフタル酸
および/またはイソフタル酸とトリメチルヘキサメチレ
ンジアミンから得られるポリアミド、アジピン酸とm−
キシリレンジアミンから得られるポリアミド、アジピン
酸および/またはアゼライン酸と2,2−ビス−(p−
アミノシクロヘキシル)プロパンから得られるポリアミ
ド、テレフタル酸および/またはイソフタル酸および/
またはアジピン酸とヘキサメチレンジアミンから得られ
るポリアミド、テレフタル酸および/またはイソフタル
酸とヘキサメチレンジアミンおよび2−メチルペンタメ
チレンジアミンとから得られるポリアミド、およびテレ
フタル酸と4,4’−ジアミノ−ジシクロヘキシルメタ
ンから得られるポリアミドを包含する。好ましいポリア
ミドはポリアミド6、ポリアミド66、ポリアミド61
0、およびポリアミド46であり、もっとも好ましくは
ポリアミド66である。
【0033】a1成分の芳香族ポリエステルについて説
明する。芳香族ポリエステルとはポリエステルを形成す
るジカルボン酸成分とジオール成分の内、ジカルボン酸
成分100モル%の70モル%以上、好ましくは90モ
ル%以上、最も好ましくは99モル%以上が芳香族ジカ
ルボン酸であるポリエステルである。
【0034】このジカルボン酸の例として、テレフタル
酸、イソフタル酸、2−クロロテレフタル酸、2,5−
ジクロロテレフタル酸、2−メチルテレフタル酸、4,
4−スチルベンジカルボン酸、4,4−ビフェニルジカ
ルボン酸、オルトフタル酸、2,6−ナフタレンジカル
ボン酸、2,7−ナフタレンジカルボン酸、ビス安息香
酸、ビス(p−カルボキシフェニル)メタン、アントラ
センジカルボン酸、4,4−ジフェニルエーテルジカル
ボン酸、4,4−ジフェノキシエタンジカルボン酸、5
−Naスルホイソフタル酸、エチレン−ビス−p−安息
香酸等があげられる。これらのジカルボン酸は単独でま
たは2種以上混合して使用することができる。
【0035】本発明の芳香族ポリエステルには、上記の
芳香族ジカルボン酸以外に、30モル%未満の脂肪族ジ
カルボン酸成分を共重合することができる。その具体例
として、アジピン酸、セバシン酸、アゼライン酸、ドデ
カン二酸、1,3−シクロヘキサンジカルボン酸、1,
4−シクロヘキサンジカルボン酸等があげられる。
【0036】本発明のジオール成分としては、例えばエ
チレングリコール、ジエチレングリコール、1,2−プ
ロピレングリコール、1,3−プロパンジオール、2,
2−ジメチル−1,3−プロパンジオール、トランス−
またはシス−2,2,4,4−テトラメチル−1,3−
シクロブタンジオール、1,4−ブタンジオール、ネオ
ペンチルグリコール、1,5−ペンタンジオール、1,
6−ヘキサンジオール、1,4−シクロヘキサンジメタ
ノール、1,3−シクロヘキサンジメタノール、デカメ
チレングリコール、シクロヘキサンジオール、p−キシ
レンジオール、ビスフェノールA、テトラブロモビスフ
ェノールA、テトラブロモビスフェノールA−ビス(2
−ヒドロキシエチルエーテル)などを挙げることができ
る。これらは単独でも、2種以上を混合して使用するこ
とができる。尚、ジオール成分中の二価フェノールは3
0モル%以下であることが好ましい。
【0037】上記芳香族ジカルボン酸、脂肪族ジカルボ
ン酸およびジオール成分のそれぞれの種類および組成割
合は、本発明のより好ましい融点ピーク温度条件を満足
すべく選択することが好ましい。
【0038】具体的な芳香族ポリエステルとしては、ポ
リエチレンテレフタレート(PET)、ポリプロピレン
テレフタレート、ポリブチレンテレフタレート(PB
T)、ポリへキシレンテレフタレート、ポリエチレンナ
フタレート(PEN)、ポリブチレンナフタレート(P
BN)、ポリエチレン−1,2−ビス(フェノキシ)エ
タン−4,4’−ジカルボキシレートなどの他、ポリエ
チレンイソフタレート/テレフタレート共重合体、ポリ
ブチレンテレフタレート/イソフタレート共重合体など
のような共重合ポリエステルが挙げられる。
【0039】また本発明に使用される芳香族ポリエステ
ルの末端基構造は特に限定されるものではなく、末端基
における水酸基とカルボキシル基の割合がほぼ同量の場
合以外に、一方の割合が多い場合であってもよい。また
かかる末端基に対して反応性を有する化合物を反応させ
る等により、それらの末端基が封止されているものであ
ってもよい。
【0040】本発明に使用される芳香族ポリエステルの
製造方法については、常法に従い、チタン、ゲルマニウ
ム、アンチモン等を含有する重縮合触媒の存在下に、加
熱しながらジカルボン酸成分と前記ジオール成分とを重
合させ、副生する水または低級アルコールを系外に排出
することにより行われる。例えば、ゲルマニウム系重合
触媒としては、ゲルマニウムの酸化物、水酸化物、ハロ
ゲン化物、アルコラート、フェノラート等が例示でき、
更に具体的には、酸化ゲルマニウム、水酸化ゲルマニウ
ム、四塩化ゲルマニウム、テトラメトキシゲルマニウム
等が例示できる。また本発明では、従来公知の重縮合の
前段階であるエステル交換反応において使用される、マ
ンガン、亜鉛、カルシウム、マグネシウム等の化合物を
併せて使用でき、およびエステル交換反応終了後にリン
酸または亜リン酸の化合物等により、かかる触媒を失活
させて重縮合することも可能である。更に芳香族ポリエ
ステルの製造方法は、バッチ式、連続重合式のいずれの
方法をとることも可能である。
【0041】更に上記芳香族ポリエステル中でも特に好
適であるのは、ポリブチレンテレフタレートである。本
発明のポリブチレンテレフタレートとは、テレフタル酸
あるいはその誘導体と、1,4−ブタンジオールあるい
はその誘導体とから重縮合反応により得られるポリマー
であるが、上述のとおり他のジカルボン酸成分および他
のアルキレングリコール成分を共重合したものを含む。
【0042】ポリブチレンテレフタレートの末端基構造
は上記と同様、特に限定されるものではないが、より好
ましいのは末端カルボキシル基が末端水酸基に比較して
少ないものである。
【0043】また製造方法についても上記の各種方法を
取り得るが好ましくは次のものである。製造方法として
は、連続重合式のものがより好ましい。これはその品質
安定性が高く、またコスト的にも有利なためである。更
に重合触媒としては有機チタン化合物を用いることが好
ましい。これはエステル交換反応などへの影響が少ない
傾向にあるからである。
【0044】かかる有機チタン化合物としては、好まし
い具体例としてチタンテトラブトキシド、チタンイソプ
ロポキシド、蓚酸チタン、酢酸チタン、安息香酸チタ
ン、トリメリット酸チタン、テトラブチルチタネートと
無水トリメリット酸との反応物などを挙げることができ
る。有機チタン化合物の使用量は、そのチタン原子がポ
リブチレンテレフタレートを構成する酸成分に対し、3
〜12mg原子%となる割合が好ましい。
【0045】本発明の芳香族ポリエステル樹脂の分子量
については特に制限されないが、o−クロロフェノール
を溶媒として35℃で測定した固有粘度が0.5〜1.
5であるのが好ましく、特に好ましくは0.6〜1.2
である。
【0046】本発明における非晶性熱可塑性ポリマー
(a2成分)は、熱可塑性を有する非晶性ポリマーであ
れば特に制限されないが、そのガラス転移温度が100
℃以上であるものが好ましく、120℃以上がより好ま
しい。かかる熱的性質を有することにより高い寸法安定
性が達成できる。一方、成形加工性を考慮するとガラス
転移温度は250℃以下が好ましく、200℃以下が更
に好ましい。尚、かかるガラス転移温度は、JIS K
7121に準拠し、DSC装置を用いて室温から20℃
/minの昇温速度により昇温して測定された値であ
る。尚、上記ガラス転移温度はa2成分全体として把握
される温度であり、例えばa2成分としてポリフェニレ
ンエーテルおよびポリスチレンが含まれる場合は、かか
るポリマーアロイにおけるガラス転移温度をいう。かか
る非晶性熱可塑性ポリマーとしては、例えば芳香族ポリ
カーボネート、ポリフェニレンエーテル、ポリアリレー
ト、スチレン系ポリマー、ポリエーテルスルホン、およ
び環状ポリオレフィンなどを挙げることができる。
【0047】中でもa2成分としては、芳香族ポリカー
ボネート、ポリフェニレンエーテル、ポリアリレート、
およびスチレン系ポリマーから選択される少なくとも1
種の非晶性熱可塑性ポリマーがより好ましく挙げられ
る。芳香族ポリカーボネートは良好な耐衝撃性を有す
る。ポリフェニレンエーテルはガラス転移温度が高く寸
法安定性の点で有利である一方、ポリスチレンなどとの
相溶性に優れ、広範な特性制御が可能である。ポリアリ
レートは耐衝撃性とガラス転移温度の特性において、芳
香族ポリカーボネートとポリフェニレンエーテルとの中
間的な性質を有している。スチレン系ポリマーは良好な
成形加工性を有し、上記の非晶性ポリマーとの相溶性が
良好である。特に好ましくは耐衝撃性の点で芳香族ポリ
カーボネートである。
【0048】a2成分の芳香族ポリカーボネートについ
て説明する。本発明に用いられるa2成分の芳香族ポリ
カーボネートは、二価フェノールとカーボネート前駆体
とを反応させて得られるものであり、反応の方法として
は界面重縮合法、溶融エステル交換法、カーボネートプ
レポリマーの固相エステル交換法、および環状カーボネ
ート化合物の開環重合法などを挙げることができる。
【0049】二価フェノールの代表的な例としては、
2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン(通
称ビスフェノールA)、2,2−ビス{(4−ヒドロキ
シ−3−メチル)フェニル}プロパン、2,2−ビス
(4−ヒドロキシフェニル)ブタン、2,2−ビス(4
−ヒドロキシフェニル)−3−メチルブタン、9,9−
ビス{(4−ヒドロキシ−3−メチル)フェニル}フル
オレン、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−
3,3−ジメチルブタン、2,2−ビス(4−ヒドロキ
シフェニル)−4−メチルペンタン、1,1−ビス(4
−ヒドロキシフェニル)−3,3,5−トリメチルシク
ロヘキサンおよびα,α'−ビス(4−ヒドロキシフェ
ニル)−m−ジイソプロピルベンゼンなどを挙げること
ができる。特に、ビスフェノールAの単独重合体を挙げ
ることができる。かかる芳香族ポリカーボネート樹脂は
特に耐衝撃性が優れる点で好ましい。
【0050】カーボネート前駆体としてはカルボニルハ
ライド、カーボネートエステルまたはハロホルメート等
が使用され、具体的にはホスゲン、ジフェニルカーボネ
ートまたは二価フェノールのジハロホルメート等が挙げ
られる。
【0051】上記二価フェノールとカーボネート前駆体
を界面重縮合法または溶融エステル交換法によって反応
させて芳香族ポリカーボネートを製造するに当っては、
必要に応じて触媒、末端停止剤、二価フェノールが酸化
するのを防止するための酸化防止剤等を使用してもよ
い。また芳香族ポリカーボネートは三官能以上の多官能
性芳香族化合物を共重合した分岐ポリカーボネートであ
ってもよい。三官能以上の多官能性芳香族化合物として
は、1,1,1−トリス(4−ヒドロキシフェニル)エ
タン、1,1,1−トリス(3,5−ジメチル−4−ヒ
ドロキシフェニル)エタンなどが使用できる。
【0052】分岐ポリカーボネートを生ずる多官能性化
合物を含む場合、かかる割合は、芳香族ポリカーボネー
ト全量中、0.001〜1モル%、好ましくは0.00
5〜0.5モル%、特に好ましくは0.01〜0.3モ
ル%である。また特に溶融エステル交換法の場合、副反
応として分岐構造が生ずる場合があるが、かかる分岐構
造量についても、芳香族ポリカーボネート全量中、0.
001〜1モル%、好ましくは0.005〜0.5モル
%、特に好ましくは0.01〜0.3モル%であるもの
が好ましい。尚、かかる割合については1H−NMR測
定により算出することが可能である。
【0053】更に芳香族または脂肪族の二官能性カルボ
ン酸を共重合したポリエステルカーボネートであっても
よい。脂肪族の二官能性カルボン酸としては、例えば炭
素数8〜20、好ましくは10〜12の脂肪族の二官能
性カルボン酸が挙げられる。かかる脂肪族の二官能性の
カルボン酸は、直鎖状、分枝状、環状のいずれであって
もよい。脂肪族の二官能性のカルボン酸は、α,ω−ジ
カルボン酸が好ましい。脂肪族の二官能性のカルボン酸
としては例えば、セバシン酸(デカン二酸)、ドデカン
二酸、テトラデカン二酸、オクタデカン二酸、イコサン
二酸等の直鎖飽和脂肪族ジカルボン酸が好ましく挙げら
れる。
【0054】芳香族ポリカーボネートは、上述した各種
二価フェノールの異なるポリカーボネート、分岐成分を
含有するポリカーボネート、各種のポリエステルカーボ
ネート、ポリカーボネート−ポリオルガノシロキサン共
重合体など各種の芳香族ポリカーボネートの2種以上を
混合したものであってもよい。更に下記に示す製造法の
異なるポリカーボネート、末端停止剤の異なるポリカー
ボネートなど各種についても2種以上を混合したものが
使用できる。
【0055】芳香族ポリカーボネートの重合反応におい
て界面重縮合法による反応は、通常二価フェノールとホ
スゲンとの反応であり、酸結合剤および有機溶媒の存在
下に反応させる。酸結合剤としては、例えば水酸化ナト
リウム、水酸化カリウム等のアルカリ金属水酸化物また
はピリジン等のアミン化合物が用いられる。有機溶媒と
しては、例えば塩化メチレン、クロロベンゼン等のハロ
ゲン化炭化水素が用いられる。また、反応促進のために
例えばトリエチルアミン、テトラ−n−ブチルアンモニ
ウムブロマイド、テトラ−n−ブチルホスホニウムブロ
マイド等の第三級アミン、第四級アンモニウム化合物、
第四級ホスホニウム化合物等の触媒を用いることもでき
る。その際、反応温度は通常0〜40℃、反応時間は1
0分〜5時間程度、反応中のpHは9以上に保つのが好
ましい。
【0056】また、かかる重合反応において、通常末端
停止剤が使用される。かかる末端停止剤として単官能フ
ェノール類を使用することができる。単官能フェノール
類の具体例としては、例えばフェノール、p−tert
−ブチルフェノール、p−クミルフェノールおよびイソ
オクチルフェノールが挙げられる。また、末端停止剤は
単独でまたは2種以上混合して使用してもよい。
【0057】溶融エステル交換法による反応は、通常二
価フェノールとカーボネートエステルとのエステル交換
反応であり、不活性ガスの存在下に二価フェノールとカ
ーボネートエステルとを加熱しながら混合して、生成す
るアルコールまたはフェノールを留出させる方法により
行われる。反応温度は生成するアルコールまたはフェノ
ールの沸点等により異なるが、通常120〜350℃の
範囲である。反応後期には系を1.33×103〜1
3.3Pa程度に減圧して生成するアルコールまたはフ
ェノールの留出を容易にさせる。反応時間は通常1〜4
時間程度である。
【0058】カーボネートエステルとしては、置換され
ていてもよい炭素数6〜10のアリール基、アラルキル
基あるいは炭素数1〜4のアルキル基などのエステルが
挙げられ、なかでもジフェニルカーボネートが好まし
い。
【0059】また、重合速度を速めるために重合触媒を
用いることができ、かかる重合触媒としては、例えば水
酸化ナトリウム、水酸化カリウム、二価フェノールのナ
トリウム塩、カリウム塩等のアルカリ金属化合物、水酸
化カルシウム、水酸化バリウム、水酸化マグネシウム等
のアルカリ土類金属化合物、テトラメチルアンモニウム
ヒドロキシド、テトラエチルアンモニウムヒドロキシ
ド、トリメチルアミン、トリエチルアミン等の含窒素塩
基性化合物などの触媒を用いることができる。更にアル
カリ(土類)金属のアルコキシド類、アルカリ(土類)
金属の有機酸塩類、ホウ素化合物類、ゲルマニウム化合
物類、アンチモン化合物類、チタン化合物類、ジルコニ
ウム化合物類などの通常エステル化反応、エステル交換
反応に使用される触媒を用いることができる。触媒は単
独で使用してもよいし、2種以上を組み合わせて使用し
てもよい。これらの重合触媒の使用量は、原料の二価フ
ェノール1モルに対し、好ましくは1×10-8〜1×1
-3当量、より好ましくは1×10-7〜5×10-4当量
の範囲で選ばれる。
【0060】溶融エステル交換法による反応ではフェノ
ール性の末端基を減少するために、重縮反応の後期ある
いは終了後に、例えば2−クロロフェニルフェニルカー
ボネート、2−メトキシカルボニルフェニルフェニルカ
ーボネートおよび2−エトキシカルボニルフェニルフェ
ニルカーボネート等の化合物を加えることができる。
【0061】さらに溶融エステル交換法では触媒の活性
を中和する失活剤を用いることが好ましい。かかる失活
剤の量としては、残存する触媒1モルに対して0.5〜
50モルの割合で用いるのが好ましい。また重合後のポ
リカーボネートに対し、0.01〜500ppmの割
合、より好ましくは0.01〜300ppm、特に好ま
しくは0.01〜100ppmの割合で使用する。失活
剤としては、ドデシルベンゼンスルホン酸テトラブチル
ホスホニウム塩などのホスホニウム塩、テトラエチルア
ンモニウムドデシルベンジルサルフェートなどのアンモ
ニウム塩なとが好ましく挙げられる。
【0062】芳香族ポリカーボネートの粘度平均分子量
は特定されないが、粘度平均分子量が10,000未満
であると強度などが低下し、50,000を超えると成
形加工性が低下するようになるので、10,000〜5
0,000のものが好ましく、12,000〜30,0
00のものがより好ましく、更に好ましくは18,00
0〜28,000である。この場合粘度平均分子量が上
記範囲外であるポリカーボネートとを混合することも当
然に可能である。
【0063】本発明でいう粘度平均分子量はまず次式に
て算出される比粘度を20℃で塩化メチレン100ml
に芳香族ポリカーボネート0.7gを溶解した溶液から
オストワルド粘度計を用いて求め、 比粘度(ηSP)=(t−t0)/t0 [t0は塩化メチレンの落下秒数、tは試料溶液の落下
秒数] 求められた比粘度を次式にて挿入して粘度平均分子量M
を求める。 ηSP/c=[η]+0.45×[η]2c(但し[η]
は極限粘度) [η]=1.23×10-40.83 c=0.7
【0064】本発明における芳香族ポリカーボネートの
態様として以下のものを挙げることができる。すなわ
ち、粘度平均分子量70,000〜300,000の芳
香族ポリカーボネート(PC)、および粘度平均分子
量10,000〜30,000の芳香族ポリカーボネー
ト(PC)からなり、その粘度平均分子量が16,0
00〜35,000である芳香族ポリカーボネート(以
下、“高分子量成分含有芳香族ポリカーボネート”と称
することがある)も使用できる。
【0065】かかる高分子量成分含有芳香族ポリカーボ
ネートは、PCの存在によりポリマーのエントロピー
弾性を大きくし射出圧縮成形時においてより有利とな
る。例えばコールドマークなどの外観不良はより低減で
き、その分射出圧縮成形の条件幅を広げることが可能で
ある。一方PC成分の低い分子量成分は全体の溶融粘
度を低下し、樹脂の緩和を促進して、より低歪の成形を
可能とする。尚、同様の効果は分岐成分を含有する芳香
族ポリカーボネートにおいても認められる。
【0066】高分子量成分含有芳香族ポリカーボネート
は上記PCとPCを種々の割合で混合し、所定の分
子量範囲を満足するよう調整して得ることができる。好
ましくは、高分子量成分含有芳香族ポリカーボネート1
00重量%中、PCが2〜40重量%の場合であり、
特に好ましくはPCが5〜20重量%である。
【0067】a2成分のポリフェニレンエーテルについ
て説明する。本発明に用いられるa2成分のポリフェニ
レンエーテルは、フェニレンエーテル構造を有する核置
換フェノールの重合体または共重合体(以下単にPPE
重合体と称する場合がある)である。
【0068】フェニレンエーテル構造を有する核置換フ
ェノールの重合体の代表例としては、ポリ(2,6−ジ
メチル−1,4−フェニレン)エーテル、ポリ(2−メ
チル−6−エチル−1,4−フェニレン)エーテル、ポ
リ(2,6−ジエチル−1,4−フェニレン)エーテ
ル、ポリ(2−エチル−6−n−プロピル−1,4−フ
ェニレン)エーテル、ポリ(2,6−ジ−n−プロピル
−1,4−フェニレン)エーテル、ポリ(2−メチル−
6−n−ブチル−1,4−フェニレン)エーテル、ポリ
(2−エチル−6−イソプロピル−1,4−フェニレ
ン)エーテル、ポリ(2−メチル−6−ヒドロキシエチ
ル−1,4−フェニレン)エーテル、ポリ(2−メチル
−6−クロロエチル−1,4−フェニレン)エーテル等
が挙げられる。この中で、ポリ(2,6−ジメチル−
1,4−フェニレン)エーテルが特に好ましい。
【0069】フェニレンエーテル構造を有する核置換フ
ェノールの共重合体の代表例としては、2,6−ジメチ
ルフェノールと2,3,6−トリメチルフェノールとの
共重合体、2,6−ジメチルフェノールとo−クレゾー
ルとの共重合体あるいは2,6−ジメチルフェノールと
2,3,6−トリメチルフェノール及びo−クレゾール
との共重合体等がある。
【0070】上記のPPE重合体の製造方法は特に限定
されるものではないが例えば米国特許4,788,27
7号明細書(特願昭62−77570号)に記載されて
いる方法に従って、ジブチルアミンの存在下に、2,6
−キシレノールを酸化カップリング重合して製造するこ
とができる。
【0071】また、PPE重合体の分子量および分子量
分布も種々のものが使用可能であるが、分子量として
は、0.5g/dlクロロフォルム溶液、30℃におけ
る還元粘度が0.20〜0.70dl/gの範囲が好ま
しく、0.30〜0.55dl/gの範囲がより好まし
い。
【0072】また、本発明のPPE重合体には、本発明
の主旨に反しない限り、従来PPE重合体中に存在させ
てもよいことが提案されている他の種々のフェニレンエ
ーテルユニットを部分構造として含んでいても構わな
い。少量共存させることが提案されているものの例とし
ては、特願昭63−12698号公報及び特開昭63−
301222号公報に記載されている、2−(ジアルキ
ルアミノメチル)−6−メチルフェニレンエーテルユニ
ットや、2−(N−アルキル−N−フェニルアミノメチ
ル)−6−メチルフェニレンエーテルユニット等が挙げ
られる。また、PPE重合体の主鎖中にジフェノキノン
等が少量結合したものも含まれる。
【0073】さらにPPE重合体には、下記のα,β−
不飽和カルボン酸またはその無水物等のエチレン性不飽
和化合物により変性されたPPE重合体も含むことがで
きる。これらを用いて変性したPPE重合体を用いた場
合には、ポリアミドやスチレン系ポリマーとの相溶性に
優れ、良好な耐衝撃性を有する成形体を提供できる。
α,β−不飽和カルボン酸またはその無水物の例とし
て、特公昭49−2343号公報、特公平3−5248
6号公報等に記載される無水マレイン酸、フタル酸、無
水イタコン酸、無水グルタコン酸、無水シトラコン酸、
無水アコニット酸、無水ハイミツク酸、5−ノルボルネ
ン−2−メチル−2−カルボン酸、あるいはマレイン
酸、フマル酸等が挙げられ、これらに限定されるもので
はないが、無水マレイン酸が特に好ましい。
【0074】無水マレイン酸等のα,β−不飽和カルボ
ン酸またはその無水物とPPE重合体との反応は、有機
過酸化物の存在下、または非存在下で両者を混合しPP
E重合体のガラス転移温度以上の温度まで加熱すること
によって製造できる。本発明の樹脂組成物を製造する際
には、あらかじめ無水マレイン酸等のα,β−不飽和カ
ルボン酸またはその無水物を結合したPPE重合体を用
いてもよい。また、樹脂組成物を製造する際に同時に、
無水マレイン酸等のα,β−不飽和カルボン酸またはそ
の無水物を添加することによりPPE重合体と反応させ
る方法でもよい。
【0075】a2成分のポリアリレートについて説明す
る。本発明に用いられるa2成分のポリアリレートは、
芳香族ジカルボン酸またはその誘導体と二価フェノール
またはその誘導体とから得られるものである。ポリアリ
レートの調製に用いられる芳香族ジカルボン酸として
は、二価フェノールと反応し満足な重合体を与えるもの
であればいかなるものでもよく、1種または2種以上を
混合して用いられる。
【0076】好ましい芳香族ジカルボン酸成分として、
テレフタル酸、イソフタル酸が挙げられる。またこれら
の混合物であってもよい。
【0077】二価フェノール成分の具体例としては、
2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン、
4,4’−ジヒドロキシジフェニルスルホン、4,4’
−ジヒドロキシジフェニルエーテル、4,4’−ジヒド
ロキシジフェニルスルフィド、4,4’−ジヒドロキシ
ジフェニルケトン、4,4’−ジヒドロキシジフェニル
メタン、2,2’−ビス(4ヒドロキシ−3,5−ジメ
チルフェニル)プロパン、1,1−ビス(4−ヒドロキ
シフェニル)エタン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフ
ェニル)シクロヘキサン、4,4’−ジヒドロキシジフ
ェニル、ハイドロキノンなどが挙げられる。これら二価
フェノール成分はパラ置換体であるが、他の異性体を使
用してもよく、さらに二価フェノール成分にエチレング
リコール、プロピレングリコール、ネオペンチルグリコ
ールなどを併用してもよい。
【0078】上記の中でも好ましいポリアリレートとし
ては、芳香族ジカルボン酸成分がテレフタル酸およびイ
ソフタル酸からなり、二価フェノール成分として2,2
−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン(ビスフェ
ノールA)からなるものが挙げられる。テレフタル酸と
イソフタル酸との割合は、テレフタル酸/イソフタル酸
=9/1〜1/9(モル比)が好ましく、特に溶融加工
性、性能バランスの点で7/3〜3/7が望ましい。
【0079】他の代表的なポリアリレートとしては、芳
香族ジカルボン酸成分がテレフタル酸からなり、二価フ
ェノール成分がビスフェノールAおよびハイドロキノン
からなるものが挙げられる。かかるビスフェノールAと
ハイドロキノンとの割合は、ビスフェノールA/ハイド
ロキノン=50/50〜70/30(モル比)が好まし
く、55/45〜70/30がより好ましく、60/4
0〜70/30が更に好ましい。
【0080】ポリアリレートの粘度平均分子量は約7,
000〜100,000の範囲が物性および成形加工性
の点から好ましい。またポリアリレートは界面重縮合法
およびエステル交換反応法のいずれの重合方法により製
造されたものも選択できる。
【0081】a2成分のスチレン系ポリマーについて説
明する。本発明に用いられるa2成分のスチレン系ポリ
マーは、スチレン系単量体と必要に応じてこれらと共重
合可能な他のビニル単量体とを重合して得られるもので
ある。
【0082】スチレン系単量体としては、スチレン、α
−メチルスチレン、o−メチルスチレン、p−メチルス
チレン、ビニルキシレン、エチルスチレン、ジメチルス
チレン、p−tert−ブチルスチレン、ビニルナフタ
レン、メトキシスチレン、モノブロムスチレン、ジブロ
ムスチレン、フルオロスチレン、トリブロムスチレンな
どが挙げられ、特にスチレンが好ましい。これらは1種
でまたは2種以上を混合して用いることができる。
【0083】前記スチレン系単量体と共重合可能な他の
ビニル単量体としては、アクリロニトリル、メタクリロ
ニトリルなどのシアン化ビニル化合物、メチル(メタ)
アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、プロピル
(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート、
アミル(メタ)アクリレート、ヘキシル(メタ)アクリ
レート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、オ
クチル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)
アクリレート、ドデシル(メタ)アクリレートなどの
(メタ)アクリル酸のアルキルエステル、フェニル(メ
タ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレートなど
の(メタ)アクリル酸のアリールエステル(ここで(メ
タ)アクリレートおよび(メタ)アクリル酸の表現は、
アクリレートおよびメタクリレート、並びにアクリル酸
およびメタクリル酸のいずれも含むことを示す)、グリ
シジルメタクリレートなどのエポキシ基含有メタクリル
酸エステル、マレイミド、N−メチルマレイミド、N−
フェニルマレイミドなどのマレイミド系単量体、アクリ
ル酸、メタクリル酸、マレイン酸、無水マレイン酸、フ
タル酸、イタコン酸などのα,β−不飽和カルボン酸お
よびその無水物が挙げられる。
【0084】かかるスチレン系ポリマーとしては、例え
ばポリスチレン、アクリロニトリル・スチレン共重合体
(ASコポリマー)、スチレン・メチルメタクリレート
共重合体(MSコポリマー)、メチルメタクリレート・
アクリロニトリル・スチレン共重合体(MASコポリマ
ー)、スチレン・無水マレイン酸共重合体(SMAコポ
リマー)、またはこれらの混合物が挙げられる。尚かか
るスチレン系ポリマーは、アニオンリビング重合、ラジ
カルリビング重合等の方法により得られる、分子量分布
の狭い重合体および共重合体、ブロック共重合体、およ
び立体規則性の高い重合体、共重合体を使用することも
可能である。これらは1種でまたは2種以上を混合して
使用することも可能である。これらの中でもポリスチレ
ンおよびASコポリマーが好ましい。ポリスチレンは特
にポリフェニレンエーテルとの相溶性に優れ、ASコポ
リマーは芳香族ポリカーボネートとの相溶性に優れる。
【0085】スチレン系ポリマーの分子量は、GPC測
定(ゲルパーミエーションクロマトグラフィー測定)に
より算出された重量平均分子量(Mw)で表わして1
0,000〜500,000が好ましく、50,000
〜250,000がより好ましく、70,000〜20
0,000が特に好ましい。なお、ここで示す重量平均
分子量は、標準ポリスチレン樹脂による較正直線を使用
したGPC測定によりポリスチレン換算の値として算出
されたものである。
【0086】また上記スチレン系ポリマーが共重合体で
ある場合、スチレン系単量体の割合は、全単量体100
モル%中、20モル%以上であることが好ましく、30
モル%以上がより好ましく、40モル%以上が更に好ま
しい。また上限としては90モル%以下、好ましくは8
5モル%以下であるとコポリマーとしての利点が得られ
やすい。例えばASポリマーにおいては、スチレンとア
クリロニトリルとのモル比(St/AN)は、St/A
N=30/70〜85/15の範囲が好ましく、St/
AN=45/55〜80/20の範囲がより好ましく、
St/AN=50/50〜75/25の範囲が更に好ま
しい。
【0087】上記の中でもa1成分とa2成分との好ま
しい組み合わせとしては次のものが挙げられる。第1に
a1成分としてポリアミドおよびa2成分としてポリフ
ェニレンエーテルの組み合わせが挙げられ、かかる組み
合わせはa2成分として更にポリスチレンを含んでよ
い。第2にa1成分として芳香族ポリエステルおよびa
2成分として芳香族ポリカーボネートの組み合わせが挙
げられ、かかる組み合わせはa2成分として更にASコ
ポリマーを含んでよい。殊に吸水による寸法変化が少な
い点でa1成分として芳香族ポリエステルおよびa2成
分として芳香族ポリカーボネートの組み合わせが好適で
ある。
【0088】次に本発明のB成分である強化フィラーに
ついて説明する。本発明の強化フィラーとしては各種の
無機充填材および耐熱有機充填材を使用することができ
る。強化フィラーとしては板状および/または繊維状の
無機充填材がより好ましい。これはかかる強化フィラー
は特に寸法変化の低減効果が高いためである。
【0089】板状の無機充填材としては、具体的には、
タルク、マイカ、ガラスフレーク、金属フレーク、グラ
ファイトフレーク、スメクタイト、カオリンなどを挙げ
ることができる。尚、例えばガラスバルーンなどの中空
充填材は、樹脂と溶融混練することにより破砕して板状
の無機充填材と同様に剛性向上の効果が得られる場合が
ある。本発明の板状充填材にはかかる効果を発現するも
のを含む。また繊維状の無機充填材としては、具体的に
は、ガラス繊維、炭素繊維、耐熱有機繊維、金属繊維、
セラミック繊維、スラグ繊維、ロックウール、ワラスト
ナイト、ゾノトライト、チタン酸カリウムウイスカー、
ホウ酸アルミニウムウイスカー、ボロンウイスカー、塩
基性硫酸マグネシウムウイスカーなどを挙げることがで
きる。これらの板状の無機充填材および繊維状の無機充
填材は、異種材料を表面被覆したものが挙げられる。異
種材料としては金属、合金、金属酸化物などが代表的で
ある。金属や合金などの被覆は高い導電性を付与でき、
また意匠性を向上させる場合もある。金属酸化物の被覆
は光導電性などの機能が付与できる場合があり、また意
匠性の向上も可能である。
【0090】上記板状の無機充填材の平均粒子径は0.
05〜50μmが好ましく、0.05〜10μmがより
好ましく、0.05〜5μmが更に好ましく、0.05
〜2μmが特に好ましい。尚、かかる平均粒子径は、液
相沈降法の1つであるX線透過法で測定されたD50
(粒子径分布のメジアン径)をいう。かかる測定を行う
装置の具体例としてはマイクロメリティックス社製Se
digraph5100などを挙げることができる。
【0091】上記の板状の無機充填材としてはタルクが
好適である。更にかさ密度を0.5(g/cm3)以上
としたタルクを原料として使用することが特に好適であ
る。かさ密度が低い場合、溶融混練時に熱安定性が低下
する等の問題が生ずる場合がある。タルクを造粒してか
さ密度を高くする方法としては、バインダーを使用する
方法と、実質的に使用しない方法がある。バインダーを
使用する方法は、通常、バインダーとなる樹脂などが溶
解または分散した液体とタルクをスーパーミキサーなど
の混合機で均一に混合し、その後乾燥する。その他液体
とタルクとの均一混合物を造粒機を通して造粒し、その
後乾燥する。尚、いずれの場合も乾燥を省略する場合が
ある。バインダーを使用しない方法は、通常脱気圧縮の
方法である。かかる方法は、脱気しながらブリケッティ
ングマシーンなどでローラー圧縮する方法を代表例とし
て挙げることができる。一方で特に水などの粉砕助剤を
使用して粉砕されたタルクの場合には、転動造粒や凝集
造粒の方法が好ましい。更にその後かかるタルクを乾燥
処理をして十分に水などの成分をそこから取り除くこと
が好ましい。かかるタルクの好ましいものとしては、水
と粉砕されたタルクの混合物からなるスラリーを、転動
造粒などの方法で造粒し、その後乾燥した造粒品を挙げ
ることができる。
【0092】更に耐衝撃性の点からタルクの平均粒径と
して特に0.1〜1.5μmの範囲が好適である。これ
は結晶性ポリマーの結晶がより微結晶化するなどの要因
が考えられる。かかるより好適なタルクの具体例として
は、イタリア国IMI−FABI社で製造されているH
iTalc HTP ultra10C、およびHiT
alc HTP ultra5C、並びに日本タルク
(株)製SG2000、およびSG1000などを挙げ
ることができる。
【0093】繊維状の無機充填材の繊維径は0.1〜1
0μmが好ましく、0.1〜5μmがより好ましく、
0.1〜3μmが更に好ましい。またそのアスペクト比
(平均繊維長/平均繊維径)は3以上が好ましい。アス
ペクト比の上限としては30以下が挙げられる。すなわ
ち繊維状の無機充填材の好ましい態様として繊維径0.
1〜10μm、およびアスペクト比3〜30の繊維状の
無機充填材が挙げられる。ここで繊維径は電子顕微鏡で
無機充填材を観察し、個々の繊維径を求め、その測定値
から数平均繊維径を算出する。電子顕微鏡を使用するの
は、対象とするレベルの大きさを正確に測定することが
光学顕微鏡では困難なためである。繊維径は、電子顕微
鏡の観察で得られる画像に対して、繊維径を測定する対
象のフィラーをランダムに抽出し、中央部の近いところ
で繊維径を測定し、得られた測定値より数平均繊維径を
算出する。観察の倍率は約1000倍とし、測定本数は
500本以上で行う。一方平均繊維長の測定は、フィラ
ーを光学顕微鏡で観察し、個々の長さを求め、その測定
値から数平均繊維長を算出する。光学顕微鏡の観察は、
フィラー同士があまり重なり合わないように分散された
サンプルを準備することから始まる。観察は対物レンズ
20倍の条件で行い、その観察像を画素数が約25万で
あるCCDカメラに画像データとして取り込む。得られ
た画像データを画像解析装置を使用して、画像データの
2点間の最大距離を求めるプログラムを使用して、繊維
長を算出する。かかる条件の下では1画素当りの大きさ
が1.25μmの長さに相当し、測定本数は500本以
上で行う。
【0094】上記の繊維状の無機充填材としては、ワラ
ストナイト、各種ウイスカー、炭素繊維などが好適であ
り、特にワラストナイトが好適である。
【0095】本発明の射出圧縮成形品を形成する樹脂組
成物は、結晶性熱可塑性ポリマー(a1成分)5〜90
重量部、および非晶性熱可塑性ポリマー(a2成分)1
0〜95重量部の合計100重量部からなる(熱可塑性
ポリマー成分(A成分))。
【0096】上記熱可塑性ポリマー成分(A成分)にお
けるa1成分の割合の下限としては、A成分100重量
部当り10重量部以上が好ましく、15重量部以上がよ
り好ましく、20重量部以上が更に好ましい。一方a1
成分の割合の上限としては、A成分100重量部当り8
0重量部以下が好ましく、70重量部以下がより好まし
い。a2成分の割合の下限としてはA成分100重量部
当り20重量部以上が好ましく、30重量部以上がより
好ましい。一方a2成分の割合の上限としては、A成分
100重量部当り90重量部以下が好ましく、85重量
部以下がより好ましく、80重量部以下が更に好まし
い。
【0097】B成分の割合の下限としては、A成分10
0重量部当り、1重量部以上が好ましく、5重量部以上
がより好ましく、10重量部以上が更に好ましく、15
重量部以上が特に好ましい。B成分の割合の上限として
は、A成分100重量部当り、70重量部以下が好まし
く、60重量部以下がより好ましく、50重量部以下が
更に好ましい。
【0098】尚、本発明の熱可塑性ポリマー成分には、
結晶性熱可塑性ポリマーおよび非晶性熱可塑性ポリマー
が結合してなる各種のブロックコポリマーやグラフトコ
ポリマーを含むことができる。更に結晶性熱可塑性ポリ
マー、非晶性熱可塑性ポリマーおよびこれらの結合して
なるポリマーのいずれかと、後述するゴム質ポリマーと
が結合してなる各種のブロックポリマーなどを含むこと
ができる。このような異種ポリマーが結合してなるポリ
マー成分は、相溶化剤として樹脂組成物を製造する際に
原材料の一部として混合される場合の他、樹脂組成物を
製造する際にポリマー間において生ずる化学反応により
生成する場合もある。かかる異種ポリマーが結合したポ
リマー成分が存在する場合、本発明においては結晶性熱
可塑性ポリマーの部分をa1成分として、非晶性熱可塑
性ポリマーの部分をa2成分として、また後述するゴム
質ポリマーの部分はC成分として組成割合に反映させ
る。これはかかる異種ポリマーが結合してなるポリマー
成分における各ブロックは、少なからずそれぞれのポリ
マーの性質を有するためである。したがって、本発明の
A成分は、かかる異種ポリマーが結合してなるポリマー
からなる相溶化剤を含むものである。
【0099】本発明の射出圧縮成形品を構成する樹脂組
成物は、上記A成分およびB成分はに加えて、更にゴム
質ポリマー(C成分)を含むことができる。かかるゴム
質ポリマーの存在は耐衝撃性の向上に大きく寄与するた
め、ゴム質ポリマーを含むことがより好適である。
【0100】かかるゴム質ポリマーとは、ガラス転移温
度が10℃以下、好ましくは−10℃以下、より好まし
くは−30℃以下であるゴム成分と、該ゴム成分と共重
合可能な単量体成分とを共重合した重合体をいう。ゴム
成分としては、ポリブタジエン、ポリイソプレン、ジエ
ン系共重合体(例えば、スチレン・ブタジエンのランダ
ム共重合体およびブロック共重合体、アクリロニトリル
・ブタジエン共重合体、並びにアクリル・ブタジエンゴ
ム(アクリル酸アルキルエステルまたはメタクリル酸ア
ルキルエステルおよびブタジエンの共重合体)など)、
エチレンとα−オレフィンとの共重合体(例えば、エチ
レン・プロピレンランダム共重合体およびブロック共重
合体、エチレン・ブテンのランダム共重合体およびブロ
ック共重合体など)、エチレンと不飽和カルボン酸エス
テルとの共重合体(例えばエチレン・メタクリレート共
重合体、およびエチレン・ブチルアクリレート共重合体
など)、エチレンと脂肪族ビニルとの共重合体(例え
ば、エチレン・酢酸ビニル共重合体など)、エチレンと
プロピレンと非共役ジエンターポリマー(例えば、エチ
レン・プロピレン・ヘキサジエン共重合体など)、アク
リルゴム(例えば、ポリブチルアクリレート、ポリ(2
−エチルヘキシルアクリレート)、およびブチルアクリ
レートと2−エチルヘキシルアクリレートとの共重合体
など)、並びにシリコーン系ゴム(例えば、ポリオルガ
ノシロキサンゴム、ポリオルガノシロキサンゴム成分と
ポリアルキル(メタ)アクリレートゴム成分とからなる
IPN型ゴム;すなわち2つのゴム成分が分離できない
ように相互に絡み合った構造を有しているゴム、および
ポリオルガノシロキサンゴム成分とポリイソブチレンゴ
ム成分からなるIPN型ゴムなど)が挙げられる。
【0101】かかるゴム成分に共重合される単量体成分
としては、スチレン系単量体、シアン化ビニル化合物、
(メタ)アクリル酸エステル化合物、(メタ)アクリル
酸化合物などが好適に挙げられる。その他の単量体成分
としては、グリシジルメタクリレートなどのエポキシ基
含有メタクリル酸エステル、マレイミド、N−メチルマ
レイミド、N−フェニルマレイミドなどのマレイミド系
単量体、アクリル酸、メタクリル酸、マレイン酸、無水
マレイン酸、フタル酸、イタコン酸などのα,β−不飽
和カルボン酸およびその無水物等を挙げることができ
る。
【0102】より具体的には、SB(スチレン−ブタジ
エン)重合体、ABS(アクリロニトリル−ブタジエン
−スチレン)重合体、MBS(メチルメタクリレート−
ブタジエン−スチレン)重合体、MABS(メチルメタ
クリレート−アクリロニトリル−ブタジエン−スチレ
ン)重合体、MB(メチルメタクリレート−ブタジエ
ン)重合体、ASA(アクリロニトリル−スチレン−ア
クリルゴム)重合体、AES(アクリロニトリル−エチ
レンプロピレンゴム−スチレン)重合体、MA(メチル
メタクリレート−アクリルゴム)重合体、MAS(メチ
ルメタクリレート−アクリルゴム−スチレン)重合体、
メチルメタクリレート−アクリル・ブタジエンゴム共重
合体、メチルメタクリレート−アクリル・ブタジエンゴ
ム−スチレン共重合体、メチルメタクリレート−(アク
リル・シリコーンIPNゴム)重合体などを挙げること
ができる。
【0103】その他ゴム質ポリマーとしては、スチレン
系熱可塑性エラストマー、オレフィン系熱可塑性エラス
トマー、ポリウレタン系熱可塑性エラストマー、ポリエ
ステル系熱可塑性エラストマー、ポリアミド系熱可塑性
エラストマーなど各種の熱可塑性エラストマーが挙げら
れる。
【0104】上記ゴム質ポリマー中、ゴム成分の割合は
5〜95重量%が好ましく、より好ましくは10〜90
重量%、更に好ましくは50〜85重量%である。同様
に熱可塑性エラストマーの場合ソフトセグメントの割合
は5〜95重量%が好ましく、より好ましくは10〜9
0重量%、更に好ましくは50〜85重量%である。ゴ
ム質ポリマー(C成分)の割合は、A成分100重量部
当り、0.5〜50重量部が好ましく、より好ましくは
1〜30重量部、更に好ましくは2〜20重量部であ
る。またゴム質ポリマー中に含まれるゴム成分の割合
は、A成分100重量部当り、0.3〜40重量部が好
ましく、0.5〜24重量部がより好ましく、1〜15
重量部が更に好ましい。
【0105】更に本発明の射出圧縮成形品を構成する樹
脂組成物には、溶融弾性効果改質剤を含むことができ
る。かかる改質剤の効果は溶融弾性を向上し、射出圧縮
成形時の外観改良を可能とする。その他ガスアシスト射
出成形時の溶融弾性改良による偏肉の防止、およびバラ
ス効果による射出成形時のジェッティング防止などが挙
げられる。
【0106】かかる溶融弾性の改質効果は、基本的に高
分子量のポリマーにより得られ、エチレン不飽和化合物
のポリマーまたはコポリマーの場合には、その重量平均
分子量が100万〜2000万、より好ましくは200
万〜1000万のものが好適である。エチレン不飽和化
合物のポリマーまたはコポリマーとしては、ポリスチレ
ン、ポリメチルメタクリレート、ポリ(アクリロニトリ
ル−スチレン)コポリマー、およびポリテトラフルオロ
エチレンなどを代表的に挙げることができる。中でもポ
リテトラフルオロエチレンが好ましい。これは緩和時間
が長いほど効果を得る上で有利であり、そのためには軟
化温度や融点が本発明の熱可塑性樹脂組成物の成形加工
温度よりも高いものがより好ましいためである。
【0107】かかるポリテトラフルオロエチレン(以下
単にPTFEと称することがある)は、通常フィブリル
形成能を有するPTFEとして溶融滴下防止剤などに広
く利用されている。かかるフィブリル形成能を有するP
TFEの市販品としては例えば三井・デュポンフロロケ
ミカル(株)のテフロン6J、ダイキン化学工業(株)
のポリフロンMPA FA500、F−201Lなどを
挙げることができる。PTFEの水性分散液の市販品と
しては、旭アイシーアイフロロポリマーズ(株)製のフ
ルオンAD−1、AD−936、ダイキン工業(株)製
のフルオンD−1、D−2、三井・デュポンフロロケミ
カル(株)製のテフロン30Jなどを代表として挙げる
ことができる。
【0108】更に、PTFEとしては樹脂との混合形態
のものも使用可能である。混合形態のPTFEとして
は、(1)PTFEの水性分散液と有機重合体の水性分
散液または溶液とを混合し共沈殿を行い共凝集混合物を
得る方法(特開昭60−258263号公報、特開昭6
3−154744号公報などに記載された方法)、
(2)PTFEの水性分散液と乾燥した有機重合体粒子
とを混合する方法(特開平4−272957号公報に記
載された方法)、(3)PTFEの水性分散液と有機重
合体粒子溶液を均一に混合し、かかる混合物からそれぞ
れの媒体を同時に除去する方法(特開平06−2202
10号公報、特開平08−188653号公報などに記
載された方法)、(4)PTFEの水性分散液中で有機
重合体を形成する単量体を重合する方法(特開平9−9
5583号公報に記載された方法)、および(5)PT
FEの水性分散液と有機重合体分散液を均一に混合後、
更に該混合分散液中でビニル系単量体を重合し、その後
混合物を得る方法(特開平11−29679号などに記
載された方法)により得られたものが使用できる。これ
らの混合形態のPTFEの市販品としては、三菱レイヨ
ン(株)の「メタブレンA3000」(商品名)、およ
びGEスペシャリティーケミカルズ社製 「BLEND
EX B449」(商品名)などを挙げることができ
る。
【0109】かかる溶融弾性効果改質剤の組成割合は、
樹脂組成物100重量%中0.01〜20重量%が好ま
しく、0.05〜10重量%がより好ましく、0.1〜
5重量%が更に好ましい。
【0110】更に本発明においては上記強化フィラー
(B成分)の折れを抑制するための折れ抑制剤を含むこ
とができる。かかる折れ抑制剤はとしては、(i)強化
フィラーとの間に反応性を有する官能基を含む滑剤、お
よび(ii)強化充填剤に予め表面被覆された滑剤から
選択される成分が使用できる。中でも好適な折れ抑制剤
としては、カルボキシル基および/またはカルボン酸無
水物基を含有するオレフィンワックスが好ましく、α−
オレフィンと無水マレイン酸との共重合体が更に好まし
い。かかる折れ抑制剤は樹脂組成物100重量%中0.
01〜5重量%が好ましく、0.05〜3重量%がより
好ましく、0.05〜1重量%が更に好ましい。
【0111】本発明の射出圧縮成形品を構成する樹脂組
成物には、本発明の目的を損なわない範囲で、更に、難
燃剤、難燃助剤(例えば、アンチモン酸ナトリウム、お
よび三酸化アンチモン等)、チャー形成化合物(例え
ば、ノボラック型フェノール樹脂、ピッチ類とホルムア
ルデヒドとの縮合物など)、核剤(例えば、ステアリン
酸ナトリウム、およびエチレン−アクリル酸ナトリウム
等)、熱安定剤、酸化防止剤(例えば、ヒンダ−ドフェ
ノ−ル系酸化防止剤、およびイオウ系酸化防止剤等)、
紫外線吸収剤、光安定剤、離型剤、帯電防止剤、発泡
剤、流動改質剤、抗菌剤、光触媒系防汚剤(微粒子酸化
チタン、微粒子酸化亜鉛など)、滑剤、着色剤、蛍光増
白剤、蓄光顔料、蛍光染料、赤外線吸収剤、フォトクロ
ミック剤などを配合することができる。
【0112】熱安定剤としては亜リン酸、リン酸、亜ホ
スホン酸、ホスホン酸およびこれらのエステル等が挙げ
られ、具体的にはトリフェニルホスファイト、トリス
(ノニルフェニル)ホスファイト、トリス(2,4−ジ
−t−ブチルフェニル)ホスファイト、トリデシルホス
ファイト、トリオクチルホスファイト、トリオクタデシ
ルホスファイト、ジデシルモノフェニルホスファイト、
ジオクチルモノフェニルホスファイト、ジイソプロピル
モノフェニルホスファイト、モノブチルジフェニルホス
ファイト、モノデシルジフェニルホスファイト、モノオ
クチルジフェニルホスファイト、ビス(2,6−ジ−t
−ブチル−4−メチルフェニル)ペンタエリスリトール
ジホスファイト、ビス(2,6−ジ−t−ブチル−4−
エチルフェニル)ペンタエリスリトールジホスファイ
ト、2,2−メチレンビス(4,6−ジ−t−ブチルフ
ェニル)オクチルホスファイト、ビス(ノニルフェニ
ル)ペンタエリスリトールジホスファイト、ビス(2,
4−ジ−t−ブチルフェニル)ペンタエリスリトールジ
ホスファイト、ジステアリルペンタエリスリトールジホ
スファイト、トリブチルホスフェート、トリエチルホス
フェート、トリメチルホスフェート、トリフェニルホス
フェート、ジフェニルモノオルソキセニルホスフェー
ト、ジブチルホスフェート、ジオクチルホスフェート、
ジイソプロピルホスフェート、4,4’−ビフェニレン
ジホスホスフィン酸テトラキス(2,4−ジ−t−ブチ
ルフェニル)、ベンゼンホスホン酸ジメチル、ベンゼン
ホスホン酸ジエチル、ベンゼンホスホン酸ジプロピル等
が挙げられる。これらの熱安定剤は、単独でもしくは2
種以上混合して用いてもよい。かかる熱安定剤の組成割
合は樹脂組成物100重量%中、0.0001〜1重量
%が好ましく、0.0005〜0.5重量%がより好ま
しく、0.001〜0.1重量%が更に好ましい。
【0113】フェノール系酸化防止剤の具体例として
は、例えばn−オクタデシル−β−(4’−ヒドロキシ
−3’,5’−ジ−tert−ブチルフェニル)プロピ
オネート、2−tert−ブチル−6−(3’−ter
t−ブチル−5’−メチル−2’−ヒドロキシベンジ
ル)−4−メチルフェニルアクリレート、3,9−ビス
{2−[3−(3−tert−ブチル−4−ヒドロキシ
−5−メチルフェニル)プロピオニルオキシ]−1,
1,−ジメチルエチル}−2,4,8,10−テトラオ
キサスピロ[5,5]ウンデカン、およびテトラキス
[メチレン−3−(3’,5’−ジ−tert−ブチル
−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]メタンな
どを好ましく挙げることができ、n−オクタデシル−β
−(4’−ヒドロキシ−3’,5’−ジ−tert−ブ
チルフェニル)プロピオネートをより好ましく挙げるこ
とができる。
【0114】本発明のイオウ系酸化防止剤の具体例とし
ては、ジラウリル−3,3’−チオジプロピオン酸エス
テル、ジトリデシル−3,3’−チオジプロピオン酸エ
ステル、ジミリスチル−3,3’−チオジプロピオン酸
エステル、ジステアリル−3,3’−チオジプロピオン
酸エステル、ラウリルステアリル−3,3’−チオジプ
ロピオン酸エステル、ペンタエリスリトールテトラ(β
−ラウリルチオプロピオネート)エステル、ビス[2−
メチル−4−(3−ラウリルチオプロピオニルオキシ)
−5−tert−ブチルフェニル]スルフィド、オクタ
デシルジスルフィド、メルカプトベンズイミダゾール、
2−メルカプト−6−メチルベンズイミダゾール、1,
1’−チオビス(2−ナフトール)などを挙げることが
できる。より好ましくは、ペンタエリスリトールテトラ
(β−ラウリルチオプロピオネート)エステルを挙げる
ことができる。
【0115】紫外線吸収剤としては、例えば2−ヒドロ
キシ−4−n−ドデシルオキシベンゾフェノン、2,
2’−ジヒドロキシ−4,4’−ジメトキシベンゾフェ
ノン、ビス(5−ベンゾイル−4−ヒドロキシ−2−メ
トキシフェニル)メタンなどに代表されるベンゾフェノ
ン系紫外線吸収剤を挙げることができる。
【0116】また紫外線吸収剤としては例えば2−
(2’−ヒドロキシ−5’−メチルフェニル)ベンゾト
リアゾール、2−(2’−ヒドロキシ−3’,5’−ジ
−tert−アミルフェニル)ベンゾトリアゾール、2
−(2’−ヒドロキシ−3’,5’−ビス(α,α’−
ジメチルベンジル)フェニルベンゾトリアゾール、2,
2’メチレンビス[4−(1,1,3,3−テトラメチ
ルブチル)−6−(2H−ベンゾトリアゾール−2−イ
ル)フェノール]、メチル−3−[3−tert−ブチ
ル−5−(2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)−4
−ヒドロキシフェニルプロピオネート−ポリエチレング
リコールとの縮合物に代表されるベンゾトリアゾール系
紫外線吸収剤を挙げることができる。
【0117】更に紫外線吸収剤としては例えば、2−
(4,6−ジフェニル−1,3,5−トリアジン−2−
イル)−5−ヘキシルオキシフェノール、2−(4,6
−ビス(2,4−ジメチルフェニル)−1,3,5−ト
リアジン−2−イル)−5−ヘキシルオキシフェノール
などのヒドロキシフェニルトリアジン系化合物を挙げる
ことができる。
【0118】またビス(2,2,6,6−テトラメチル
−4−ピペリジル)セバケート、ビス(1,2,2,
6,6−ペンタメチル−4−ピペリジル)セバケート、
テトラキス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペ
リジル)−1,2,3,4−ブタンテトラカルボキシレ
ート、テトラキス(1,2,2,6,6−ペンタメチル
−4−ピペリジル)−1,2,3,4−ブタンテトラカ
ルボキシレート、ポリ{[6−(1,1,3,3−テト
ラメチルブチル)アミノ−1,3,5−トリアジン−
2,4−ジイル][(2,2,6,6−テトラメチルピ
ペリジル)イミノ]ヘキサメチレン[(2,2,6,6
−テトラメチルピペリジル)イミノ]}、ポリメチルプ
ロピル3−オキシ−[4−(2,2,6,6−テトラメ
チル)ピペリジニル]シロキサンなどに代表されるヒン
ダードアミン系の光安定剤も含むことができ、かかる光
安定剤は上記紫外線吸収剤や各種酸化防止剤との併用に
おいて、耐候性などの点においてより良好な性能を発揮
する。
【0119】フェノール系酸化防止剤、またはイオウ系
酸化防止剤の組成割合は、樹脂組成物100重量%中、
0.001〜2重量%が好ましく、0.005〜1重量
%がより好ましく、0.01〜0.5重量%が更に好ま
しい。
【0120】また紫外線吸収剤、光安定剤の組成割合
は、それぞれ樹脂組成物100重量%中、0.001〜
2重量%が好ましく、より好ましくは0.005〜1重
量%、更に好ましくは0.01〜1重量%、特に好まし
くは0.01〜0.5重量%である。
【0121】また離型剤としては、例えば、飽和脂肪酸
エステル、不飽和脂肪酸エステル、ポリオレフィン系ワ
ックス(ポリエチレンワックス、1−アルケン重合体な
ど。酸変性などの官能基含有化合物で変性されているも
のも使用できる)、フッ素化合物(ポリフルオロアルキ
ルエーテルに代表されるフッ素オイルなど)、パラフィ
ンワックス、蜜蝋などを挙げることができる。好ましい
離型剤としては飽和脂肪酸エステル、ポリオレフィン系
ワックスが挙げられ、例えばグリセリンモノステアレー
ト、グリセリンジステアレート、グリセリントリステア
レートなどグリセリン脂肪酸エステル類、デカグリセリ
ンデカステアレートおよびデカグリセリンテトラステア
レート等のポリグリセリン脂肪酸エステル類、ステアリ
ルステアレートなどの低級脂肪酸エステル類、セバシン
酸ベヘネートなどの高級脂肪酸エステル類、ペンタエリ
スリトールテトラステアレートなどのエリスリトールエ
ステル類が使用される。離型剤は本発明の樹脂組成物1
00重量%中、0.001〜2重量%が好ましく、より
好ましくは0.005〜1重量%、更に好ましくは0.
01〜1重量%、特に好ましくは0.01〜0.5重量
%である。
【0122】また帯電防止剤としては、例えばポリエー
テルエステルアミド、グリセリンモノステアレート、ド
デシルベンゼンスルホン酸アンモニウム塩、ドデシルベ
ンゼンスルホン酸ホスホニウム塩、アルキルスルホン酸
ナトリウム塩、無水マレイン酸モノグリセライド、無水
マレイン酸ジグリセライドなどが挙げられる。
【0123】更に難燃剤としては、赤リンまたは赤リン
表面を公知の熱硬化樹脂および/または無機材料を用い
てマイクロカプセル化されている安定化赤リンに代表さ
れる赤リン系難燃剤;テトラブロムビスフェノールA、
テトラブロムビスフェノールAのオリゴマー、ブロム化
ビスフェノール系エポキシ樹脂、ブロム化ビスフェノー
ル系フェノキシ樹脂、ブロム化ビスフェノール系ポリカ
ーボネート、ブロム化ポリスチレン、ブロム化架橋ポリ
スチレン、ブロム化ポリフェニレンエーテル、ポリジブ
ロムフェニレンエーテル、デカブロモジフェニルオキサ
イドビスフェノール縮合物および含ハロゲンリン酸エス
テルに代表されるハロゲン系難燃剤;モノホスフェート
化合物としてトリフェニルホスフェート、縮合リン酸エ
ステルとしてレゾルシノールビス(ジキシレニルホスフ
ェート)およびビスフェノールAビス(ジフェニルホス
フェート)、その他ペンタエリスリトールジフェニルジ
ホスフェートなどに代表される有機リン酸エステル系難
燃剤;ポリリン酸アンモニウム塩、リン酸アルミニウ
ム、リン酸ジルコニウムなどの無機系リン酸塩、水酸化
アルミニウム、水酸化マグネシウムなどの無機金属化合
物の水和物、ホウ酸亜鉛、メタホウ酸亜鉛、酸化マグネ
シウム、酸化モリブデン、酸化ジルコニウム、酸化ス
ズ、酸化アンチモンなどに代表される無機系難燃剤;パ
ーフルオロブタンスルホン酸カリウム、パーフルオロブ
タンスルホン酸カルシウム、パーフルオロブタンスルホ
ン酸セシウム、ジフェニルスルホン−3−スルホン酸カ
リウム、ジフェニルスルホン−3,3’−ジスルホン酸
カリウムに代表される有機アルカリ(土類)金属塩系難
燃剤;フェニル基、ビニル基およびメチル基を含有する
(ポリ)オルガノシロキサン化合物や(ポリ)オルガノ
シロキサンとポリカーボネート樹脂の共重合体に代表さ
れるシリコーン系難燃剤;フェノキシホスファゼンオリ
ゴマーや環状フェノキシホスファゼンオリゴマーに代表
されるホスファゼン系難燃剤などを挙げることができ
る。
【0124】本発明の射出圧縮成形品を構成する樹脂組
成物を製造するには、任意の方法が採用される。例えば
a1成分およびa2成分、並びに任意にB成分、C成分
および他の添加剤を、V型ブレンダー、ヘンシェルミキ
サー、メカノケミカル装置、押出混合機などの予備混合
手段を用いて充分に混合した後、必要に応じて押出造粒
機やブリケッティングマシーンなどにより造粒を行い、
その後ベント式二軸押出機に代表される溶融混練機で溶
融混練、およびペレタイザー等の機器によりペレット化
する方法が挙げられる。
【0125】他に、各成分をそれぞれ独立にベント式二
軸押出機に代表される溶融混練機に供給する方法や、各
成分の一部を予備混合した後、残りの成分と独立に溶融
混練機に供給する方法なども挙げられる。予備混合する
方法としては例えば、A成分としてパウダーの形態を有
するものを含む場合、かかるパウダーの一部と配合する
添加剤とをブレンドして、パウダーで希釈した添加剤の
マスターバッチとする方法が挙げられる。更に一成分を
独立に溶融押出機の途中から供給する方法なども挙げら
れる。尚、配合する成分に液状のものがある場合には、
溶融押出機への供給にいわゆる液注装置、または液添装
置を使用することができる。
【0126】かくして得られた樹脂組成物のペレットを
射出圧縮成形することで、本発明の射出圧縮成形品を得
ることができる。尚、かかるペレットは射出圧縮成形品
を構成する全ての成分を含んだ単一のペレットであるこ
とが好ましいが、成分の異なるペレットを射出圧縮成形
時に混合し、本発明の射出圧縮成形品を得ることも可能
である。かかる射出成形においては、通常のコールドラ
ンナー方式の成形法だけでなく、ホットランナー方式の
成形法も可能であり、該方法の適用が好ましい。本発明
は大型の成形品であるため、コールドランナー部の重量
が大きくなり経済的ではない。一方本発明の射出圧縮成
形品はかかる熱負荷の高いホットランナーにおいても良
好な耐衝撃性を有する成形品が得られる点に価値があ
る。更に本発明では、ガスアシスト射出成形、発泡成形
(超臨界流体の注入によるものを含む)、インサート成
形、インモールド成形、局所高温金型成形(断熱金型成
形を含む)、二色成形、サンドイッチ成形、超高速射出
成形などと併用して成形品を得ることができる。
【0127】本発明の射出圧縮成形品は、その最大投影
面積が1000cm2以上であり、より好ましくは20
00cm2以上である。一方上限としては50,000
cm2以下が適切であり、25,000cm2以下がより
好ましい。また射出圧縮成形品の厚みとしては0.5〜
10mmの範囲が好ましく、1〜8mmがより好まし
く、1.5〜7mmが更に好ましく、特に2〜6mmが
好ましい。また流動長は30cm以上が好ましく、35
cm以上がより好ましい。上限としては150cm以下
が適切であり、100cm以下がより好ましい。更に本
発明は流動長が大きくなりやすい成形品側面部分にゲー
トを有する射出成形品において極めて好適な効果を有す
る。したがって本発明の射出成形品の好適な態様とし
て、成形品側面部分にゲートを有する射出圧縮成形品が
挙げられる。
【0128】本発明は、寸法安定性に優れる一方で十分
な耐衝撃性を有する大型の樹脂射出成形品の提供を可能
とする。殊に耐衝撃性においてより具体的には次のよう
な特性を有する大型の樹脂射出成形品を提供するもので
ある。
【0129】すなわち、射出圧縮成形を行うことなく射
出成形して得られた大型射出成形品から、その流動端部
を含むように長さ50mm×幅50mmの試験片を切り
出し、かかる試験片における高速面衝撃試験の破壊エネ
ルギー(J)を(E2)とする。一方、射出圧縮成形を
して得られた同じ成形品から、上記と同じ箇所を試験片
として切り出し、かかる試験片における高速面衝撃試験
の破壊エネルギー(J)を(E1)とする。このときか
かるE1はE2の少なくとも1.1倍以上であることを
満足し、より好ましくは1.2倍以上であり、更に好ま
しくは1.3倍以上である。尚、上限は通常の射出成形
では完全に充填された成形品が取れない場合(すなわち
破壊エネルギー0)となる。
【0130】かかる高速面衝撃試験は、上記試験片を直
径25.4mmの円形の穴のあいた受け台に取り付け、
直径が12.7mmである先端が半球状の撃芯を用いて
打ち抜き速度5m/秒、測定温度23℃で行われる。
【0131】本発明の射出圧縮成形品は、成形品にコー
ティング、塗装、メッキ、印刷、シール等の表面処理が
されていてもよい。本発明の有効な用途である自動車外
装材料、殊に自動車外板においては、通常樹脂成形品に
対して塗装がなされる。塗装焼付け温度はしばしば12
0℃以上となるが、a1成分やa2成分の好ましい態様
においては、本発明の射出圧縮成形品はかかる塗装に十
分耐え得る。また、近年環境問題から、新規塗料(水性
塗料、パウダー塗料等)も検討されているが、本発明の
射出圧縮成形品には、これら新規塗料も好適に使用でき
る。更に塗装レスの目的でフィルムインサート成形が盛
んに検討されているが、本発明の射出圧縮成形品は、通
常の射出成形品と比較してもフィルムインサート成形の
適性に優れ、特に深絞り形状のフィルムインサート成形
に適するものである。
【0132】かくして得られた本発明の射出圧縮成形品
は、既に述べているとおり自動車の外装材料、殊に外板
に好適である。特にフェンダーおよびドアパネルなどの
いわゆる垂直外板に好適である。
【0133】
【実施例】以下に実施例をあげて本発明を更に詳細に説
明する。成形条件および主たる評価を下記に示す。 (1)射出圧縮成形条件 射出圧縮成形機は、型締め力12700kNの射出成形
機((株)日本製鋼所製J1300E−C5)を型圧縮
タイプの射出圧縮が可能となるよう油圧回路および制御
システムを変更した仕様を用いた。射出圧縮成形品は、
自動車のリアドアを約1/2スケールとした投影面積約
2100cm2、および厚み3mmの成形品であった。
該成形品は成形品側面部分にゲートを有するものであっ
た。かかる成形品の形状を図1に示す。射出圧縮成形に
おける圧縮のストロークは2mmとした。また予め最終
型締め位置から2mm後退させたキャビティ内に溶融樹
脂を充填した。したがって目的とする成形品容量に対し
て1.7倍の容量を有する金型キャビティ内に成形品容
量分の樹脂を充填した。射出速度は20mm/secの
単一速度で充填を行った。また圧縮工程は充填終了の
0.5秒前から開始し(すなわちオーバーラップ時間
0.5秒)、約2mm/secの速度で行った。また圧
縮の圧力は最大で30MPaとした。成形はバルブゲー
ト型の直径3mmφのホットランナーで行い、充填終了
直後にバルブを閉め保圧を掛けない条件とした。冷却時
間は60秒とした。金型の温度制御は水循環型の金型温
調機を使用し直列回路として行った。成形サイクルはサ
ンプルの取り出しの時間の関係上常に一定ではなかった
が、約110秒で行った。また成形中ホッパードライヤ
ー内の温度は100℃とした。成形は20ショットを連
続して行い6〜15ショット目のサンプルから下記の高
速面衝撃試験および線膨張係数の測定を行い、塗装のテ
ストは16〜20ショット目のものを使用した。
【0134】(2)射出圧縮成形品の評価 (i)高速面衝撃試験 上記射出圧縮成形品から図1に示すように流動端を含む
ほぼ中央部分から長さ50mm×幅50mmの試験片を
4点切り出した。かかる部分はわずかに湾曲した板状体
であった。該板状体を23℃×50%RHの環境下で1
週間放置して試験片の状態調節を行った後、高速面衝撃
試験を行った。試験機は高速面衝撃試験機 ハイドロシ
ョットHTM−1(島津製作所(株)製)を使用し、試
験には撃芯の先端が半球状で直径12.7mmの撃芯お
よび受台穴径25.4mmの受台を使用した。撃芯の衝
突速度として5m/秒および15m/秒の2水準を取
り、また測定温度は23℃および−30℃の2水準とし
た(尚、上記4点のサンプルはそれぞれの水準に対して
ランダムに抽出した)。それぞれの水準において10点
の試験片を測定し、その平均値を求めた。また−30℃
における測定は次のように行った。ステンレス容器を準
備し、そこにポリエチレンビーズを充填した。更に試験
片をかかるビーズ中に埋めた。これは熱伝導の偏りによ
る影響を低減するためである。このステンレス容器を−
30℃の冷凍庫に保管し、試験片を−30℃とした。試
験時には冷凍庫から試験片をすばやく取出し、衝撃試験
機に装着し、試験を実施した。試験片の温度がほぼ−3
0℃の状態で試験されていることはサーモグラフィーに
より確認した。
【0135】(ii)線膨張係数の測定 上記射出圧縮成形品のうち6〜8ショット目の成形品か
ら図1に示すような領域より線膨張係数測定用のサンプ
ル(長さ4mm×幅4mm)をベルナスカッターを用い
て切り出した。かかるサンプルを120℃で5時間アニ
ール処理した後、JIS K7197に準拠した方法で
TMA装置(熱機械分析装置:TA Instrume
nte社製TA2200)を用いて成形品の横方向(流
れ方向と直角方向)の線膨張係数を求めた。測定は−4
0℃〜100℃まで行い、線膨張係数は−30℃〜90
℃における傾きからその値を算出した。昇温速度は2℃
/minとした。測定は合計で6点行いその平均値を算
出した。
【0136】(実施例1)ポリアミド66樹脂(旭化成
工業(株)製レオナ1200S)45重量部、ポリフェ
ニレンエーテル樹脂(旭化成工業(株)製ザイロンX9
102)55重量部の合計100重量部に対し、カーボ
ンブラック(アセチレンブラック、電気化学工業(株)
製デンカブラック)2重量部、および約30重量%のス
チレン単位を含んでなる酸変性水添スチレン−ブタジエ
ン−スチレントリブロックコポリマー(シェル社製KR
ATON FG1901X)22重量部をタンブラーで
予備混合した後、同方向ベント付き2軸押出機((株)
日本製鋼所製TEX−α、スクリュー径30mm)にて
スクリュー回転数150rpm、シリンダ温度280
℃、ベント吸引度3kPaで押出し、ペレットを得た。
該ペレットを真空乾燥機にて100℃にて12時間乾燥
し、図1に示す自動車リアドアパネルの1/2スケール
成形品を成形した。成形条件はシリンダー温度280
℃、金型温度80℃、およびホットランナー部の温度は
300℃とした。得られた成形品の高速面衝撃試験破壊
エネルギー(E1)を表1に示す。また線膨張係数は
8×10-5 -1であった。
【0137】(比較例1)上記成形品を成形する際、射
出圧縮成形を行わず最終型締めされたキャビティ内に樹
脂を充填する通常の射出成形法により、実施例1とほぼ
同様の条件で成形を行った。充填後もホットランナーバ
ルブは開放とし、保圧を100MPaで12秒間かけ
た。得られた成形品の高速面衝撃試験破壊エネルギー
(E2)を表1に示す。また線膨張係数は10×10
-5-1であった。
【0138】(実施例2)実施例1で得た大型射出圧縮
成形品に、自動車外板用に米国で常用されているPPG
塗料で粉体塗装した。塗料は樹脂に良好に付着した。ま
た塗装外観も問題なく自動車用外板として十分使用でき
る水準にあった。
【0139】(比較例2)比較例1で得た大型射出圧縮
成形品に、実施例2と同様にPPG塗料で粉体塗装し
た。成形品ゲート部付近に塗膜剥離が確認された。
【0140】(実施例3)芳香族ポリカーボネート樹脂
(帝人化成(株)製パンライトL−1250WP)30
重量部、PBT樹脂(長春人造樹脂廠股ふん有限公司製
1100211S)30重量部、相溶化剤((株)クラ
レ製TKS−7300)10重量部、タルク(IMI
Fabi S.p.A製 Hitalc Ultra5
c)25重量部、ゴム質重合体((株)クラレ製SEP
TON2005)5重量部、およびホスフエート系熱安
定剤(旭電化工業(株)製アデカスタブPEP−8)
0.2重量部をタンブラーで均一に混合した後、ベント
吸引度を30kPaにした以外は、実施例1とほぼ同様
の方法および条件で押出を行いペレットを得た。
【0141】尚、相溶化剤は、ポリブチレンテレフタレ
ート(PBT)成分70重量%および水添スチレン−
(ブタジエン−イソプレン共重合体)−スチレントリブ
ロックコポリマー(水添SBIS)成分30重量%から
なるものであり、PBTブロックと水添SBISブロッ
クが結合してなるブロックコポリマー成分35重量%、
PBT55重量%、および水添SBIS(尚、末端に水
酸基を有する)10重量%を含んでなるものである。し
たがって上記の組成は本発明にしたがって表記すると、
a1成分(ポリブチレンテレフタレート)55重量部お
よびa2成分(芳香族ポリカーボネート)45重量部の
合計100重量部に対し、B成分(タルク)37重量
部、C成分(水添SBIS)12重量部、および安定剤
からなる。
【0142】得られたペレットは熱風乾燥機で120℃
にて5時間乾燥し、図1に示す自動車リアドアパネルの
1/2スケール成形品を成形した。成形条件はシリンダ
温度270℃、金型温度120℃、およびホットランナ
部の温度は290℃とした。得られた成形品の高速面衝
撃試験破壊エネルギー(E1)を表2に示す。また線
膨張係数は4×10-5-1であった。
【0143】(比較例3)上記成形品を成形する際、射
出圧縮成形を行わず最終型締めされたキャビティ内に樹
脂を充填する通常の射出成形法により、実施例3とほぼ
同様の条件で成形を行った。充填後もホットランナーバ
ルブは開放とし、保圧を100MPaで12秒間かけ
た。得られた成形品の高速面衝撃試験破壊エネルギー
(E2)を表2に示す。また線膨張係数は5×10-5
-1であった。
【0144】(実施例4)実施例3で得た大型射出圧縮
成形品に、自動車外板用に欧州で常用されている水性塗
料で塗装した。塗料は樹脂に良好に付着した。また塗装
外観も問題なく自動車用外板として十分使用できる水準
にあった。
【0145】(比較例4)比較例3で得た大型射出圧縮
成形品に、自動車外板用に欧州で常用されている水性塗
料で塗装した。成形品外観に塗装ムラが発生した。
【0146】(実施例5)上記実施例3において、タル
クの割合を25重量部から20重量部に変更した以外は
実施例3と同様にペレットを得た。かかる組成は本発明
にしたがって表記すると、a1成分(ポリブチレンテレ
フタレート)55重量部およびa2成分(芳香族ポリカ
ーボネート)45重量部の合計100重量部に対し、B
成分(タルク)30重量部、C成分(水添SBIS)1
2重量部、および安定剤からなる。かかるペレットを実
施例3と同じ条件で成形し大型射出圧縮成形品を得た。
得られた成形品の高速面衝撃試験破壊エネルギー(E1
)を表3に示す。また線膨張係数は5×10-5-1
あった。
【0147】(比較例5)上記成形品を成形する際、射
出圧縮成形を行わず最終型締めされたキャビティ内に樹
脂を充填する通常の射出成形法により、実施例5とほぼ
同様の条件で成形を行った。充填後もホットランナーバ
ルブは開放とし、保圧を100MPaで12秒間かけ
た。得られた成形品の高速面衝撃試験破壊エネルギー
(E2)を表3に示す。また線膨張係数は5×10-5
-1であった。
【0148】(実施例6)上記実施例3において、強化
フィラーをタルク25重量部からワラストナイト(ナイ
コミネラルズ社製NYGLOS4)15重量部に変更し
た以外は実施例3と同様にペレットを得た。かかる組成
は本発明にしたがって表記すると、a1成分(ポリブチ
レンテレフタレート)55重量部およびa2成分(芳香
族ポリカーボネート)45重量部の合計100重量部に
対し、B成分(ワラストナイト)22重量部、C成分
(水添SBIS)12重量部、および安定剤からなる。
かかるペレットを実施例3と同じ条件で成形し大型射出
圧縮成形品を得た。得られた成形品の高速面衝撃試験破
壊エネルギー(E1)を表4に示す。また線膨張係数
は7×10-5-1であった。
【0149】(比較例6)上記成形品を成形する際、射
出圧縮成形を行わず最終型締めされたキャビティ内に樹
脂を充填する通常の射出成形法により、実施例5とほぼ
同様の条件で成形を行った。充填後もホットランナーバ
ルブは開放とし、保圧を100MPaで12秒間かけ
た。得られた成形品の高速面衝撃試験破壊エネルギー
(E2)を表4に示す。また線膨張係数は8×10-5
-1であった。
【0150】
【表1】
【0151】
【表2】
【0152】
【表3】
【0153】
【表4】
【0154】これらの実験から明らかなように、本発明
で得られた大型の射出圧縮成形品は、線膨張係数を犠牲
にすることなく衝撃強度が達成できることが分かる。逆
にいえば更に従来と同等の衝撃強度を有しながら、より
良好な線膨張係数を達成できる。またその他外観等の付
加価値も容易に付随することができることが分かる。
【0155】
【発明の効果】本発明の射出圧縮成形品は、衝撃強度に
優れ、更に寸法安定性および外観を高いレベルで併せ持
つものであり、建築物、建築資材、農業資材、海洋資
材、車両、電気・電子機器、機械、その他の各種分野に
おいて幅広く有用であり、中でも自動車用をはじめとす
る車輌用の外装材料、殊に自動車外板に好適な成形品を
提供するものであることから、その奏する工業的効果は
極めて大である。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施例において成形した自動車リアドアパネル
の1/2スケールの成形品を示す。[1−A]は正面図
(成形時のプラテン面に投影した図。したがってかかる
面積が最大投影面積となる。尚、ゲートは成形品の下側
に位置する)を示し、[1−B]は底面図、[1−C]
は側面図である。
【符号の説明】
1 射出圧縮成形品本体 2 成形品の稜線(鋭角ではないため明確ではない) 3 成形品のゲート(フィルムゲート) 4 ホットランナーノズル部(直径3mmφ) 5 成形品の稜線(鋭角である) 6 成形品の樹脂縦方向の大きさ(38cm) 7 成形品の樹脂横方向の大きさ(55cm) 8 線膨張係数測定用の試験片切り出し部分 9 高速面衝撃試験測定用の試験片切り出し部分(50
mm×50mm片を4枚) 10 成形品の稜線(鋭角ではないため明確ではない) 11 成形品の高さ方向の大きさ(12cm)
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) C08L 77/00 C08L 77/00 // B29K 101:12 B29K 101:12 B29L 31:30 B29L 31:30 Fターム(参考) 4F206 AA13 AA24 AA27 AA28 AA29 AA32 AB16 AH24 AH25 JA03 JN33 JQ81 JQ83 4J002 AC02Y AC03Y AC06Y AC07X BB06Y BB07Y BB15Y BB17X BC02W BC03W BC03X BC04W BC05Y BC06W BC07W BC08W BC09W BC11W BC12W BC13W BG04Y BG05Y BH01W BN06Y BN07Y BN12Y BN14Y BN15Y BN16Y BP01Y BP02Y CF03Y CF05X CF06X CF07X CF08X CF09X CF16W CG01W CH07W CK02Y CL00Y CL01X CL03X CL05X CN01X CP02Y DA016 DA026 DA066 DE186 DG046 DJ006 DJ036 DJ046 DJ056 DK006 DL006 DM006 FA016 FA046 FA066 FA106 FD050 FD060 FD070 FD100 FD130 FD160 GN00

Claims (8)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 結晶性熱可塑性ポリマー(a1成分)5
    〜90重量部、および非晶性熱可塑性ポリマー(a2成
    分)10〜95重量部の合計100重量部からなる樹脂
    組成物を射出圧縮成形して得られた、最大投影面積が1
    000cm2以上の射出圧縮成形品。
  2. 【請求項2】 上記樹脂組成物は、a1成分とa2成分
    との合計100重量部当り、更に強化フィラー(B成
    分)0.5〜100重量部を含んでなる請求項1に記載
    の射出圧縮成形品。
  3. 【請求項3】 上記樹脂組成物は、更にA成分100重
    量部当りゴム質ポリマー(C成分)を0.5〜50重量
    部含んでなる請求項1または2のいずれか1項に記載の
    射出圧縮成形品。
  4. 【請求項4】 上記a1成分は、ポリアミドおよび芳香
    族ポリエステルから選択される少なくとも1種の結晶性
    熱可塑性ポリマーである請求項1〜3のいずれか1項に
    記載の射出圧縮成形品。
  5. 【請求項5】 上記a2成分は、芳香族ポリカーボネー
    ト、ポリフェニレンエーテル、ポリアリレート、および
    スチレン系ポリマーから選択される少なくとも1種であ
    る請求項1〜4のいずれか1項に記載の射出圧縮成形
    品。
  6. 【請求項6】 上記B成分はタルク、およびワラストナ
    イトから選択される少なくとも1種である請求項2〜5
    のいずれか1項に記載の射出圧縮成形品。
  7. 【請求項7】 上記射出圧縮成形品は、その成形品側面
    部分にゲートを有してなる請求項1〜6のいずれか1項
    に記載の射出圧縮成形品。
  8. 【請求項8】 上記射出圧縮成形は、少なくともその供
    給完了時において目的とする成形品容量よりも1.1倍
    以上大なる容量の金型キャビティ内に溶融した熱可塑性
    樹脂材料を充填するものである請求項1〜7のいずれか
    1項に記載の射出圧縮成形品。
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