JP2003155356A - 熱収縮性ポリスチレン系フィルム - Google Patents

熱収縮性ポリスチレン系フィルム

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JP2003155356A
JP2003155356A JP2002003015A JP2002003015A JP2003155356A JP 2003155356 A JP2003155356 A JP 2003155356A JP 2002003015 A JP2002003015 A JP 2002003015A JP 2002003015 A JP2002003015 A JP 2002003015A JP 2003155356 A JP2003155356 A JP 2003155356A
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styrene
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heat
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Shuji Kobayashi
修二 小林
Takashi Hiruma
隆 比留間
Yusuke Honma
裕介 本間
Tomoki Yanari
朋樹 屋成
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Mitsubishi Plastics Inc
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 収縮包装、収縮結束包装や収縮ラベル等の用
途に使用でき、低温収縮性に優れかつ自然収縮を低減さ
せ、腰の強い、フィルムの主収縮方向にもその直角方向
にも伸び特性を向上させたポリスチレン系熱収縮性フィ
ルムを提供する。 【解決手段】 (a)スチレン含有量が85重量%以上
であり、40℃での貯蔵弾性率(E’)が1.00×1
Pa以上で、かつ損失弾性率(E”)のピーク温度
が30℃以上80℃以下に一つ存在するスチレン−ブタ
ジエンブロック共重合体 …50〜80重量% (b)ブタジエン含有量が20〜50重量%であり、0
℃での貯蔵弾性率(E’)が1.00×10Pa以下
で、かつ損失弾性率(E”)の少なくとも1つのピーク
温度が−30℃以下であるスチレン−ブタジエンブロッ
ク共重合体 …50〜20重量% (c)ポリスチレン系樹脂 …0〜10重量%の混合物
からなり、少なくとも1軸に延伸したフィルムであっ
て、主収縮方向の70℃温水中の10秒間の熱収縮率が
5%以上であることを特徴とする熱収縮性ポリスチレン
系フィルム。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、低温収縮性に優れ
るとともに、剛性のある腰の強い、自然収縮性等に優れ
た特にラベル用として品質上のバランスが良好なポリス
チレン系熱収縮性フィルムに関する。
【0002】
【従来の技術とその課題】収縮包装や収縮結束包装、あ
るいはプラスチック容器の収縮ラベル、ガラス容器の破
壊飛散防止包装やキャップシ−ルなどに広く利用される
熱収縮性フィルムの材質としては、ポリ塩化ビニル(P
VC)が最もよく知られている。これは、PVCから作
られた熱収縮性フィルムが、機械強度、剛性、光学特
性、収縮特性等の実用特性、およびコスト性も含めて、
ユ−ザ−の要求を比較的広く満足するからである。しか
しながら、PVCは廃棄物処理の問題等があることか
ら、PVC以外の材料からなる熱収縮性フィルムが要望
されていた。
【0003】このようなPVC以外の材料の一つとし
て、ポリエステル系樹脂を主たる材料としたポリエステ
ル系熱収縮性フィルムが提案され使用されている。この
ポリエステル系熱収縮性フィルムは室温での剛性、いわ
ゆる腰の強さが良好で、自然収縮(常温よりやや高い温
度、例えば夏場においてフィルムが本来の使用前に少し
収縮してしまうこと)率が小さく自然収縮性は非常に良
好なものの、PVC系と比較すると、加熱収縮時に収縮
斑やしわが発生し易い問題や、ラベルの回収の為に消費
者が実施するミシン目での開封が困難という問題があっ
た。また、スチレン−ブタジエンブロック共重合体(S
BS)を主たる材料とするポリスチレン系熱収縮性フィ
ルムが提案され使用されているが、このポリスチレン系
フィルムは、PVCフィルムに比べ、収縮仕上がり性は
良好であるが、より低温収縮性を付与すると自然収縮率
が大きくなり、スリ−ブ状に加工したラベルの折り径が
減少しラベルを容器に被覆できにくくなるという問題が
あった。
【0004】ポリスチレン系熱収縮性フィルムとして
は、上記SBSやスチレン系エラストマー樹脂等の各種
ポリスチレン系樹脂を組合せて積層構造とした熱収縮性
多層フィルムも提案されている。これらの多層フィルム
は自然収縮性、低温収縮性、腰の強さ等に改善はある程
度みられるものの、ラベル装着物が落下時にミシン目で
破れてしまって商品価値を損なったり、印刷工程やスリ
−ブ加工工程等でのフィルムの破断(キレ)を生じると
いう問題があった。
【0005】近年、ペットボトルに被覆するラベル用途
では、需要の増大が見込まれているため、ボトルへのラ
ベル被覆工程において比較的短時間、なおかつ比較的低
温で高度な収縮仕上がり外観が得られることが要求さ
れ、また、自然収縮性率の小さいフィルムが要求される
ようになってきている。つまり、最近のペットボトルお
よびビンにおけるシュリンクフィルムのラベリング工程
は主に蒸気シュリンカーが主流となっており、さらに無
菌充填や、内容物の温度による品質低下等を回避するた
めに、シュリンカーの温度を下げる必要が出てきてい
る。そのため、フィルムはなるべく低温で収縮を開始す
ることを要求され、シュリンカーに入り、ラベルが低温
の状態において収縮を開始するとともに、シュリンカー
通過後、優れた収縮仕上がりが得られることを要求され
ている。
【0006】また廃棄物の量を減少するという問題か
ら、フィルムを薄肉化することが要求されており、それ
に伴い肉厚が薄くても腰の強いフィルムが要求されてい
る。さらにラベルを被覆した容器をリサイクルして使用
するために、使用後の容器とラベルを分別して回収する
必要があり、ラベルを容器から剥がし易くするためにラ
ベルにミシン目を入れているが、ラベルを被覆した容器
が落下等でミシン目より破袋して商品価値を損なうとい
うトラブルが発生し改良が要求されている。
【0007】上記に示した用途に対しては、主に低温収
縮性を兼ね備えつつ、自然収縮率を抑えることが可能で
あるポリエステル系熱収縮性フィルムが使用されてきて
いる。しかしながら、ポリエステル系熱収縮性フィルム
では低温収縮性は良好なものの、やはり収縮仕上がり性
に問題があるため、収縮仕上がり性に優れたポリスチレ
ン系熱収縮性フィルムでの開発の要求があった。しか
し、ポリスチレン系熱収縮性フィルムでは上記用途に適
応する低温収縮性を延伸温度、倍率等の加工条件によっ
て付与させると、自然収縮性が非常に大きくなってしま
うという課題を残していた。そのため、低温収縮性があ
り、収縮仕上がり性に優れるとともに自然収縮率が低く
抑えられた、品質バランスに優れたスチレン系熱収縮性
フィルムの開発が望まれていた。
【0008】
【課題を解決するための手段】本発明者等は鋭意研究を
重ねた結果、上記問題点を解消できるスチレン系熱収縮
性フィルムを見出したものであって、その要旨とすると
ころは、 (a)スチレン含有量が85重量%以上であり、40℃
での貯蔵弾性率(E’)が1.00×10Pa以上
で、かつ損失弾性率(E”)のピーク温度が30℃以上
80℃以下に一つ存在するスチレン−ブタジエンブロッ
ク共重合体 …50〜80重量% (b)ブタジエン含有量が20〜50重量%であり、0
℃での貯蔵弾性率(E’)が1.00×10Pa以下
で、かつ損失弾性率(E”)の少なくとも1つのピーク
温度が−30℃以下であるスチレン−ブタジエンブロッ
ク共重合体 …50〜20重量% (c)ポリスチレン系樹脂 …0〜10重量%の混合物
からなり、少なくとも1軸に延伸したフィルムであっ
て、主収縮方向の70℃温水中の10秒間の熱収縮率が
5%以上であることを特徴とする熱収縮性ポリスチレン
系フィルムにある。
【0009】本発明では上記熱収縮性ポリスチレン系フ
ィルムの主収縮方向の23℃における引張伸び率が70
%以上であり、かつ主収縮方向と直角方向の0℃におけ
る引張伸び率が100%以上であるものを含み、また、
30℃環境下にて30日保管後の主収縮方向の収縮率が
1.5%以下であるものを含んでいる。
【0010】
【発明の実施の形態】以下、本発明を詳しく説明する。
本発明の熱収縮性フィルムを構成する樹脂の一つは、
(a)スチレン含有量が85重量%以上の40℃での貯
蔵弾性率(E’)が1.00×10Pa以上からな
り、かつ損失弾性率(E”)のピーク温度が30℃以上
80℃以下に一つ存在するスチレン−ブタジエンブロッ
ク共重合体である。貯蔵弾性率(E’)が1.00×1
未満の樹脂では、常温におけるフィルムの腰の強さ
が確保されず、また自然収縮率が大きくなり好ましくな
い。貯蔵弾性率(E’)は1.00×10Pa以上
で、3.00×10Pa以下が好ましい。また、損失
弾性率(E”)のピ−ク温度が30℃未満に存在する樹
脂では、常温におけるフィルムの腰の強さが確保され
ず、また自然収縮率が大きくなるという問題があり、ピ
−ク温度が80℃を超える温度域に存在する樹脂では、
低温での収縮性が充分発現できない。よって、フィルム
の腰の強さと低温収縮のバランスから損失弾性率
(E”)のピ−ク温度は、30〜80℃、好ましくは4
0℃〜68℃の範囲にあるものを用いる。上記(a)の
スチレン−ブタジエンブロック共重合体は単独でもよい
し、また2種以上の組み合わせで用いてもよい。
【0011】本発明の熱収縮性フィルムを構成する必須
の樹脂の一つは、(b) ブタジエン含有量が20〜50
重量%の0℃での貯蔵弾性率(E’)が1.00×10
Pa以下でありかつ損失弾性率(E”)の少なくとも
1つのピーク温度が−30℃以下であるスチレン−ブタ
ジエンブロック共重合体である。0℃での貯蔵弾性率
(E’)が1.00×10Paを超える樹脂や、損失
弾性率(E”)のピ−ク温度が−30℃を超える温度域
にしかない樹脂では、フィルムの伸び特性を充分に付与
することができない。しかし、このような樹脂でも、樹
脂の構成比を変えることで0℃での伸び特性を確保する
ことも考えられるが、これではフィルムの腰が弱くなる
問題がある。また、損失弾性率のピ−ク温度が−30℃
以下に存在しても、0℃での貯蔵弾性率(E’)が1.
00×10Paを超えるものでは充分なフィルムの伸
び特性を確保することはできない。そこで、フィルムの
伸び特性を充分付与するためには、0℃での貯蔵弾性率
(E’)が1.00×10Pa以下であり、かつ損失
弾性率(E”)の少なくとも1つのピーク温度が−30
℃以下のものを用いる必要がある。この(b)スチレン
−ブタジエンブロック共重合体は、単独でもよく、また
2種以上の組み合わせで用いてもよい。
【0012】さらに、(c)ポリスチレン系樹脂をフィル
ムの腰の強さを付与するために混合することができる。
このポリスチレン系の樹脂とはスチレンのみの重合体で
ある一般ポリスチレンを使用するが、ゴム状弾性体を分
散させた耐衝撃性ポリスチレンを用いてもよい。また、
このポリスチレン系の樹脂は単独でもよいし、2種類以
上を組み合わせて用いてもよい。
【0013】本発明熱収縮性フィルムでの上記樹脂成分
の比率は(a)を50〜80重量%、(b)を50〜20
重量%の範囲とする必要があり、(a)が50重量%未満
ではフィルムの腰の強さを確保できず、80重量%を超
えるものでは、主収縮方向とその直角方向の各方向の充
分なフィルムの伸び特性が確保できない。(b)が50
重量%を超えるものではフィルムの腰の強さを確保でき
ず、また自然収縮率が大きくなり、20重量%未満で
は、主収縮方向とその直角方向の各方向の充分なフィル
ムの伸び特性が確保できない。(c)は(a)と(b)の
組み合わせで、フィルムの腰が不足する場合に混合する
ことによりフィルムの腰の強さを向上させることができ
るが、10重量%を超えて使用すると、フィルムの伸び
特性が確保できなくなる。よって、(a)を50〜80重
量%、(b)を50〜20重量%、(c)を0〜10重
量%の範囲で使用するが、好ましくは(a)は55〜75
重量%、(b)は45〜25重量%、(c)は0〜5重
量%の範囲である。
【0014】本発明で使用するスチレン−ブタジエンブ
ロック共重合体(SBS)であるが、工業的に非常に多
くの種類のスチレン−ブタジエンブロック共重合体(共
重合組成比、共重合の構造、ブロック部分の構造、分子
量等が様々に異なっている)、つまり屈折率や熱的性質
をはじめとする特性が異なったスチレン−ブタジエンブ
ロック共重合体が生産されており、要求に応じて様々な
スチレン−ブタジエンブロック共重合体を重合すること
が可能である。これは主にスチレン−ブタジエンブロッ
ク共重合体が溶液中におけるリビング重合によって重合
されているため、スチレンブロックとブタジエンブロッ
クを各々重合過程において添加量を調整したりスチレン
とブタジエンの重合反応速度の違いを利用して、組成
比、構造、熱的特性を調整することが可能であるからで
ある。具体的に述べると、スチレン−ブタジエンブロッ
ク共重合体においてピュアブロックの場合−90℃付近
と110℃付近の2個所にそれぞれブタジエンブロッ
ク、スチレンブロックに起因する損失弾性率のピークが
存在する。また、ピュアブロックのスチレンおよびブタ
ジエンブロックにブタジエン成分およびスチレン成分を
各々導入されたランダムブロックになると損失弾性率の
各ピークは低温側のピークは高温側へ、高温側のピーク
は低温側へそれぞれシフトする。また、各ブロックの分
子量や全体の分子量、ブタジエンにおいては1、4結合
と1、2結合によっても損失弾性率のピーク温度や貯蔵
弾性率の低下具合が変化する。従って、ブロックの共重
合過程を調整することによって、損失弾性率の2つのピ
ーク温度の位置、そのピークにおける貯蔵弾性率の低下
度合いを調整することによって所定の粘弾性特性を持つ
ポリマーを合成させることが可能となる。
【0015】スチレンとブタジエンによって重合される
スチレン−ブタジエンブロック共重合体(SBS)にお
いて上記粘弾性条件を満たすことが出来れば特に限定し
ないが、本発明に示した、(a)の損失弾性率のピーク温
度範囲と40℃での貯蔵弾性率の両方を満たすことが可
能となる重合方法を以下に述べる。通常スチレンの一部
を仕込んで重合を完結させた後、スチレンモノマーとブ
タジエンモノマーの混合物を仕込んで重合反応を続行さ
せる。このようにすると重合活性の高いブタジエンの方
から優先的に重合し、最後にスチレンの単独モノマーか
らなるブロックが生じる。例えば先ず、スチレンを単独
重合させ、重合完結後、スチレンモノマーとブタジエン
モノマーの混合物を仕込んで重合を続行させると両スチ
レンブロックの中間にスチレン・ブタジエンモノマー比
が次第に変化するスチレン・ブタジエン共重合体部位を
もつスチレン−ブタジエンブロック共重合体が得られ
る。この重合過程をスチレンとブタジエンの混合割合を
変え複数回実施することもあるが、この様な部位を持た
せることによって上記粘弾性特性を持つポリマーを得る
ことが可能となる。この場合には前述したブタジエンブ
ロックとスチレンブロックに起因する2つのピークが明
確には確認出きず、見かけ上1つのピークのみが存在す
るようになる。つまりピュアブロック、ランダムブロッ
クのSBSのようなブロック構造ではブタジエンブロッ
クに起因するTgが0℃以下に主に存在してしまうため
に40℃での貯蔵弾性率が所定の値にすることが難しく
なってしまう。
【0016】(b)の損失弾性率のピ−ク温度と0℃で
の貯蔵弾性率(E’)の両方を満たすためには、スチレ
ン−ブタジエンブロック共重合体をピュアブロックかラ
ンダムブロックとなるように重合させるが、その際、ブ
タジエンの組成比や、ブタジエンブロック内のスチレン
組成比を調整することで実施可能となる。
【0017】また、本発明の熱収縮性フィルムでは、特
性を阻害しない範囲で他の樹脂や添加剤を組み合わせる
ことも可能である。但し、透明性を維持する目的からは
屈折率が出来るだけ近い樹脂、または透明性を大きく低
下させない樹脂(主にポリスチレン系樹脂、例えばポリ
スチレン、スチレン−ブタジエンブロック共重合体、ス
チレン−ブタジエンエラストマー、スチレン−アクリル
酸エステル共重合体、スチレン−アクリロニトリル共重
合、エチレン−スチレン共重合、水添スチレン−ブタジ
エン共重合体等)を選択することが好ましい。
【0018】さらに、本発明の熱収縮性フィルムでは、
単層フィルムのみでなく、熱収縮フィルムとしてのさら
なる特性を付与する目的で、本発明構成の混合樹脂を主
体とした層を内層にし、最外層に要求特性に応じた特性
を付与させたフィルム層を、内層の特性を損なわない範
囲で配した3層以上の積層フィルムとすることも可能で
ある。
【0019】上記樹脂組成からなる本発明の熱収縮性フ
ィルムについては、主収縮方向の70℃温水中での10
秒間の熱収縮率が5%以上であることが必要である。本
収縮率が5%未満であると、低温収縮性が不十分となっ
てしまい、本来の目的は達成できない。また、自然収縮
性を小さくするという意味では、30℃環境下にて30
日後の収縮率が1.5%以下であることも重要である。
また主収縮方向の23℃における引張伸び率が70%以
上でありかつ主収縮方向と直角方向の0℃における引張
伸び率が100%以上であることも重要である。引張伸
び率の測定方法は、具体的には下記の方法によった。フ
ィルムの各方向に幅15mm、長さ50mmで試験片を
切り取り、その試験片をチャック間40mmで恒温槽付
引張試験機((株)インテスコ製「201X」)にセッ
トする。これを23℃なら200mm/分で、0℃なら
100mm/分の試験速度で引張り、下記式より引張伸
び率を求めた。TDの伸び率は23℃で、MDの伸び率
は0℃で各々求めた。引張伸び率については、主収縮方
向の23℃における伸び率が低いと、PETボトルのラ
ベル等に設けられたミシン目でラベル破袋をおこし易く
なり、また、顕著に低い場合にはスリ−ブ加工時の折り
目に引き裂きの力が加わると破れて穴開きとなってしま
う。主収縮方向と直角方向(フィルム流れ方向)の低温
での伸び率が低いと、低温環境下の印刷、スリ−ブ加工
等フィルム流れ方向に張力が加わるときに破断して、ト
ラブルを起こしやすくなる。よって、上記トラブルがな
く使用できるためには、主収縮方向の23℃における伸
び率は70%以上、主収縮方向と直角方向の0℃におけ
る伸び率は100%以上のフィルムが好ましい。
【0020】さらに、フィルムの腰もある程度あること
も収縮仕上がり性を向上させる一因となり得る。これ
は、収縮フィルムが印刷・製袋された後にボトルの上か
らボトルに被せられる時に機械的に押し込まれる状態と
なるためにある一定のフィルムの腰がない場合にはフィ
ルムが折れてしまい収縮後にシワになる原因となってい
るからである。従って、本発明にて規定した貯蔵弾性率
や損失弾性率ピ−クを満たすこととが重要となってくる
のである。
【0021】つぎに、本発明フィルムの製造方法を具体
的に説明するが下記製造方法には限定されない。一般的
には混合樹脂を一軸、もしくは二軸(同方向、異方向)
押出機によって押出す製造方法が一般的である。押出に
際しては、Tダイ法、チューブラ法等の既存の方法を採
用してもよい。溶融押出された樹脂は、冷却ロール、空
気、水等で冷却された後、熱風、温水、赤外線等の適当
な方法で再加熱され、ロール法、テンター法、チューブ
ラ法等により、1軸または2軸に延伸される。延伸温度
はフィルムを構成している樹脂の軟化温度や熱収縮性フ
ィルムに要求される用途によって変える必要があるが、
概ね60〜130℃、好ましくは70〜120℃の範囲
で制御される。主収縮方向の延伸倍率は、フィルム構成
組成、延伸手段、延伸温度、目的の製品形態に応じて2
〜7倍の範囲で適宜決定される。また、1軸延伸にする
か2軸延伸にするかは目的の製品の用途によって決定さ
れる。また、延伸した後フィルムの分子配向が緩和しな
い時間内に速やかに、当フィルムの冷却を行うことも、
収縮性を付与して保持する上で重要な技術である。
【0022】
【実施例】以下に実施例を示すが、これらにより本発明
は何ら制限を受けるものではない。なお、実施例に示す
測定値および評価は次のように行った。ここで、フィル
ムの主収縮方向をTD、その直角方向をMDと記載す
る。
【0023】1)熱収縮率 フィルムを、MD100mm、TD100mmの大きさ
に切り取り、主収縮方向(TD)の収縮量を70℃の温
水バスに10秒間浸漬し測定した。熱収縮率は、収縮前
の原寸に対する収縮量の比率を%値で表示した。
【0024】2)自然収縮率 フィルムをTDに1000mmの長さでけがき、30℃
の雰囲気の恒温槽に30日間放置後、けがき間の長さA
(mm)を測定し、下記式より自然収縮率(%)を算出
した。 自然収縮率(%)=(1000−A)/1000×10
【0025】3)フィルムの腰の強さ フィルムのMDの引張弾性率を測定しその値を腰の強さ
とした。測定方法は、MDに350mmの長さで5mm
幅の試験片を切り出し、これをチャック間300mmで
23℃の恒温室に設置した引張試験機にセットする。こ
れを、引張試験速度5mm/分で応力−歪曲線を求め試
験開始直後の直線部を用いて、下記式より引張弾性率を
求めた。 引張弾性率=直線上の2点間の元の平均断面積による応
力差/同じ2点間の歪差
【0026】4)引張伸び率 フィルムの各方向に幅15mm、長さ50mmで試験片
を切り取り、その試験片をチャック間40mmで恒温槽
付引張試験機((株)インテスコ製「201X」)にセ
ットする。これを23℃なら200mm/分で、0℃な
ら100mm/分の試験速度で引張り、下記式より引張
伸び率を求めた。TDの伸び率は23℃で、MDの伸び
率は0℃で各々求めた。引張伸び率=[(破断した時の
チャック間長さ−40mm)/40mm]×100
【0027】5)粘弾性測定(貯蔵弾性率、損失弾性
率) 粘弾性スペクトロメーターDVA−200(アイティ−
計測制御(株)製)を用い、振動周波数10Hz、昇温
速度1℃/分、測定温度−120℃から120℃の範囲
で測定した。測定試験片は測定する樹脂を1mm程度の
厚みに無配向の状態となるように熱プレスした板を用い
た。ここで、デ−タをとる際に用いたスチレン−ブタジ
エンブロック共重合体の特性は表1にまとめた。
【0028】[実施例1]表1中の樹脂70重量%と
樹脂30重量%の混合樹脂を原料とし、該混合原料を
押出機で溶融し、Tダイにて押出した溶融体をキャスト
ロールで冷却し厚さ300μmの未延伸フィルムを得
た。この未延伸フィルムを流れ方向(MD)に90℃で
1.3倍延伸後、その直角方向(TD)にテンタ−にて
延伸工程の温度91℃で6倍延伸し、厚さ約50μmの
フィルムを製作した。このようにしてできたフイルムは
熱収縮率が12%であった。得られたフィルムの特性デ
ータを表2に示した。また、評価結果を表3に示した。
【0029】[実施例2]表1中の樹脂55重量%と
樹脂45重量%の混合樹脂を原料とし、実施例1と同
様の方法で厚さ約50μmのフィルムを製作した。但し
延伸温度は熱収縮率が14%となるように設定した。得
られたフィルムの特性デ−タを表2に示した。また評価
結果を表3に示した。
【0030】[実施例3]表1中の樹脂55重量%と
樹脂40重量%、ポリスチレン「HH102」(エー・
アンド・エムスチレン(株)製)5重量%の混合樹脂を
原料とし、実施例1と同様の方法で厚さ約50μmのフ
ィルムを製作した。得られたフィルムの特性デ−タを表
2に示した。また評価結果を表3に示した。
【0031】[比較例1]表1中の樹脂90重量%と
樹脂10重量%の混合樹脂を原料とし、実施例1と同
様の方法で厚さ約50μmのフィルムを製作した。得ら
れたフィルムの特性デ−タを表2に示した。また評価結
果を表3に示した。
【0032】[比較例2]表1中の樹脂45重量%と
樹脂50重量%、ポリスチレン「HH102」(エー・
アンド・エムスチレン(株)製)5重量%の混合樹脂を
原料とし、実施例1と同様の方法で厚さ約50μmのフ
ィルムを製作した。得られたフィルムの特性デ−タを表
2に示した。また評価結果を表3に示した。
【0033】[比較例4]表1中の樹脂50重量%と
樹脂35重量%、ポリスチレン「HH102」(エー・
アンド・エムスチレン(株)製)15重量%の混合樹脂
を原料とし、実施例1と同様の方法で厚さ約50μmの
フィルムを製作した。但し、テンタ−での延伸温度は9
8℃でその時の熱収縮率は8%であった。得られたフィ
ルムの特性デ−タを表2に示した。また評価結果を表3
に示した。
【0034】[比較例5]表1中の樹脂70重量%と
樹脂30重量%の混合樹脂を原料とし、実施例1と同
様の方法で厚さ約50μmのフィルムを製作した。得ら
れたフィルムの特性デ−タを表2に示した。また評価結
果を表3に示した。
【0035】[実施例4]表1中の樹脂55重量%と
樹脂45重量%の混合樹脂を原料とし、実施例1と同
様の方法で厚さ約50μmのフィルムを製作した。得ら
れたフィルムの特性デ−タを表2に示した。また評価結
果を表3に示した。
【0036】
【表1】
【0037】
【表2】
【0038】
【表3】
【0039】評価結果判断基準は下記の表4で行った。
【表4】
【0040】表3より本件規定の粘弾性特性を満たした
スチレン−ブタジエンブロック共重合体を本件規定量で
構成された熱収縮性ポリスチレン系フィルムは低温収縮
性、自然収縮性、腰の強さに優れ、主収縮方向とその直
角方向の両方向に一定の伸び率を付与できたバランスの
とれたものとなっている。一方、本件規定の粘弾性特性
範囲外のスチレン−ブタジエンブロック共重合体また
は、本件規定の粘弾性特性でもブレンド量外で用いた場
合、いずれかの特性に問題があるアンバランスなものと
なっていることが分かる。
【0041】
【発明の効果】本発明によれば特定の熱的特性(粘弾性
特性)を満たすスチレン−ブタジエンブロック共重合体
を使用することによって低温収縮性に優れかつ自然収縮
を低減させ、腰の強い、フィルムの主収縮方向にもその
直角方向にも伸び特性を向上させたポリスチレン系熱収
縮性フィルムを得ることができる。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) B29K 25:00 B29K 105:02 105:02 B29L 7:00 B29L 7:00 (72)発明者 屋成 朋樹 滋賀県長浜市三ツ矢町5番8号 三菱樹脂 株式会社長浜工場内 Fターム(参考) 4F071 AA12X AA22X AA75 AA80 AF20 AF21 AF61 AH04 BB06 BB07 BC01 BC10 BC17 4F210 AA13 AE01 AG01 RA03 RC02 RG02 RG04 RG43 4J002 AC083 AC113 BB103 BC033 BC063 BC073 BP011 BP012 BP013 GG02

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 (a)スチレン含有量が85重量%以上
    であり、40℃での貯蔵弾性率(E’)が1.00×1
    Pa以上で、かつ損失弾性率(E”)のピーク温度
    が30℃以上80℃以下に一つ存在するスチレン−ブタ
    ジエンブロック共重合体 …50〜80重量% (b)ブタジエン含有量が20〜50重量%であり、0
    ℃での貯蔵弾性率(E’)が1.00×10Pa以下
    で、かつ損失弾性率(E”)の少なくとも1つのピーク
    温度が−30℃以下であるスチレン−ブタジエンブロッ
    ク共重合体 …50〜20重量% (c)ポリスチレン系樹脂 …0〜10重量%の混合物
    からなり、少なくとも1軸に延伸したフィルムであっ
    て、主収縮方向の70℃温水中の10秒間の熱収縮率が
    5%以上であることを特徴とする熱収縮性ポリスチレン
    系フィルム。
  2. 【請求項2】 主収縮方向の23℃における引張伸び率
    が70%以上であり、かつ主収縮方向と直角方向の0℃
    における引張伸び率が100%以上であることを特徴と
    する熱収縮性ポリスチレン系フィルム。
  3. 【請求項3】 30℃環境下にて30日保管後の主収縮
    方向の収縮率が1.5%以下であることを特徴とする請
    求項1又は2記載の熱収縮性ポリスチレン系フィルム。
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