JP4392202B2 - 熱収縮性ポリスチレン系積層フィルム - Google Patents
熱収縮性ポリスチレン系積層フィルム Download PDFInfo
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、熱収縮性ポリスチレン系積層フィルムに係り、特に収縮包装、収縮結束包装や収縮ラベル等の用途に使用でき、架橋ブツ(フィッシュアイ)の少ない熱収縮性フィルムに関する。
【0002】
【従来の技術とその課題】
収縮包装や収縮結束包装、あるいはプラスチック容器の収縮ラベル、ガラス容器の破壊飛散防止包装やキャップシール等に広く使用される熱収縮性フィルムでは、使用する材料として、ポリ塩化ビニル(PVC)に代えて、ポリエステル系樹脂を主たる材料とするポリエステル系熱収縮性フィルムや、スチレン−ブタジエンブロック共重合体(SBS)を主たる材料とするポリスチレン系熱収縮性フィルムが使用されている。
このポリスチレン系フィルムは、PVCフィルムに比べ、収縮仕上がり性は良好なものの、自然収縮率が大きい等の問題を有していた。
また、近年ますます需要の向上が見込まれているペットボトルのラベル用途等では、比較的短時間でなおかつ比較的低温において高度な収縮仕上がり外観を得ることが要求され、かつ自然収縮率の小さいフィルムが要求されるようになってきた。
【0003】
その理由としては、ペットボトルや、ガラス瓶等の表面にシュリンクフィルムを被覆するラベリング工程で使用するシュリンカーとして、最近では主に蒸気シュリンカーが主流となっており、さらに無菌充填や、内容物の温度による品質低下を回避するために、シュリンカーの温度を下げる必要が出てきている。そのため、フィルムはなるべく低温で収縮を開始することを要求され、ラベリング工程でシュリンカーに入ったボトル等表面のフィルムが低温の状態において収縮を開始するとともにシュリンカー通過後、しわ入り等のない優れた収縮仕上がりが得られることを要求されている。
上記に示した用途に対しては、主に低温収縮性を有するとともに、自然収縮が抑えられているポリエステル系熱収縮性フィルムが使用されてきている。
しかし、ポリエステル系熱収縮性フィルムでは低温収縮性は良好なものの、やはり収縮仕上がり性に問題があり、収縮仕上がり性に優れたポリスチレン系熱収縮性フィルムでの開発が望まれていた。
その結果、ポリスチレン系熱収縮性フィルムでは様々な改良が進められ上記問題に対してはほぼ実用特性を満たす程となってきている。
しかしながら、スチレン−ブタジエンブロック共重合体(SBS)を主たる材料とするポリスチレン系熱収縮性フィルムでは加熱溶融加工時にてブタジエンブロック共重合体中のブタジエンが熱架橋を発現して架橋ゲル(フィッシュアイ)を発生させてしまい、フィルムに印刷する際、その部分のインキが架橋ゲルの、特に延伸時に表面に移行することによって生じる凹凸に起因して抜けてしまう等の問題を生じていた。
【0004】
加熱溶融加工時に上記架橋反応を防止する方法として様々な熱安定剤、酸化防止剤が開発され使用されてきた。例えば特許文献1、特許文献2等には主に共役ジエン系重合体の安定剤をいくつか組み合わせて用いることが記載されている。また特許文献3にも主にスチレン系樹脂とSBS系樹脂の混合物に対する安定剤について記載されている。しかしこれらの安定剤の使用については一定の効果は認められているが、なお一層の改良が求められて、またこれらの安定剤は高価なためコストの問題やフィルム表面への吹出し(ブリード)の問題も指摘されていた。
【0005】
さらに、ポリマーにおける改良も行われ、例えば特許文献4にはイソプレン含有を規定したブロック共重合体および、そのブロック共重合体とスチレン系樹脂からなる組成物が提案され、実施例8にスチレン−アクリル酸ブチル共重合体とスチレン−イソプレン−スチレン(SIS)の混合物を用いた熱収縮フィルムが記載されているが、一部熱収縮特性などは記載されているもののより良好な収縮特性や耐破断性を付与する方法等については何も記載されていない。
ポリスチレン系熱収縮性フィルムにおいて低温収縮性があり、耐破断性が優れかつ加熱溶融工程にて熱架橋を発現して架橋ゲル(フィッシュアイ)を発生せずに、印刷時にインクが抜けてしまわないようなスチレン系シュリンクフイルムの開発が望まれていた。
【0006】
【特許文献1】
特公平2−53459号公報
【特許文献2】
特開平2−279756号公報
【特許文献3】
特開2001−2872号公報
【特許文献4】
特開2002−105154号公報
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明者等は鋭意研究を重ねた結果、上記問題点を解消できる熱収縮性ポリスチレン系積層フィルムを見出したものであって、本発明の要旨は
スチレン系炭化水素と異なる2種の共役ジエン系炭化水素のうち1種をイソプレンとしたブロック共重合体(A)と、スチレン系炭化水素と脂肪族不飽和カルボン酸エステルからなる共重合体(B)との混合樹脂層を少なくとも一層以上有する実質的に無配向の積層シートの0℃での貯蔵弾性率(E')が1.00×109Pa以上で、かつ損失弾性率(E")の少なくとも1つのピーク温度が−20℃以下、更に少なくとも一つのピーク温度が50℃以上90℃以下に存在する上記積層シートを少なくとも1軸に延伸し、主収縮方向における80温水中の10秒間における熱収縮率が30%以上であることを特徴とする熱収縮性ポリスチレン系積層フィルムにある。
【0008】
【発明の実施の形態】
以下、本発明を詳しく説明する。
本発明の積層フィルムの少なくとも一層以上に用いられるスチレン系樹脂としては、スチレン系炭化水素と異なる2種の共役ジエン系炭化水素のうち1種をイソプレンとしたブロック共重合体(A)と、スチレン系炭化水素と脂肪族不飽和カルボン酸エステルからなる共重合体(B)との混合樹脂を使用する。
上記ブロック共重合体(A)を構成するスチレン系炭化水素ブロックには、例えばスチレン、o−メチルスチレン、p−メチルスチレン、α−メチルスチレン等の単独重合体、それらの共重合体及び/又はスチレン系炭化水素以外の共重合可能なモノマーをブロック内に含む共重合体等がある。
【0009】
また、異なる2種の共役ジエン系炭化水素により構成される共役ジエン系炭化水素ブロックには、例えばブタジエン、イソプレン、1、3−ペンタジエン等の単独重合体、それらの共重合体及び/又は共役ジエン系炭化水素以外の共重合可能なモノマーをブロック内に含む共重合体があるが、本発明は異なる2種の共役ジエン系炭化水素のうち一方をイソプレンと規定するため、もう一方はイソプレン以外の共役ジエン系炭化水素となる。
【0010】
本発明において最も好適に用いられる上記ブロック共重合体(A)の組成は、スチレン系炭化水素はスチレンであり、異なる2種の共役ジエン系炭化水素がイソプレンとブタジエンのいわゆるスチレン−イソプレン−ブタジエン共重合体(SIBS)を主体とする混合物である。
この混合物において、スチレン含有量が60〜90重量%、イソプレン含有量が10〜40重量%、ブタジエン含有量が5〜30重量%で構成されるブロック共重合体を含むことが好ましい。
また、分子量に関してはメルトフローレート(MFR)測定値(測定条件:温度200℃、荷重49N)が2以上15以下で調整される。
【0011】
ここで、熱安定性という視点ではスチレン−イソプレン−スチレンの共重合体でも構わないのであるが、一定量のイソプレンがブタジエンと共重合されることによって熱安定性は十分保持される。さらに工業的に見た場合、イソプレンはブタジエンと比較して生産量が少なく、その結果イソプレンはブタジエンと比較して単価が高くなってしまい、ポリマーの単価もイソプレン含有量が増えるに従って高くなってしまうので、出来る限りイソプレン量は少ない方が好ましいのである。
ブタジエン含有量が多い(イソプレン含有量が少ない)と押出機内部等で加熱されたブタジエンが架橋反応を起こしやすくなり、ブツレベルが上昇する。また、ブタジエン含有量が少ない(イソプレン含有量が多い)と、コスト面において好ましくない。
よって、スチレン含有量が60〜90重量%、イソプレン含有量が10〜40重量%、ブタジエン含有量が5〜30重量%であることが必要であり、好ましくはスチレン含有量が60〜80重量%、イソプレン含有量が10〜25重量%、ブタジエン含有量が5〜20重量%であり、特に限定しないがイソプレン含有量はブタジエン含有量と比較して同等量以上であることがより好ましい。
【0012】
本発明のSIBSは重合時のブロック構造調整によって様々な粘弾性特性にすることが可能である。
一例を示すと、まずスチレン−イソプレンブロック共重合体においてピュアーブロック構造(スチレンのみのブロックとイソプレンのみのブロックより構成されている)の場合約−70℃付近と110℃付近の2カ所にそれぞれイソプレンブロックおよびスチレンブロックに起因する損失弾性率ピークが存在する。その場合の貯蔵弾性率は各ブロックつまりスチレンとイソプレンの組成比に応じて変動する。また、各スチレンおよびイソプレンブロックにイソプレン成分およびスチレン成分を導入したランダムブロックになると損失弾性率の低温側のピークは高温側へ高温側のピークは低温側へそれぞれシフトする。また、各ブロックの分子量や、イソプレンの重合形式における結合様式によっても上記ピーク温度や貯蔵弾性率の低下具合が変化する。
【0013】
従って、ブロックの共重合過程を調整することにより、2つのピークの位置、そのピークにおける貯蔵弾性率の低下度合いを調整することによって所定の粘弾性特性を持つポリマーの重合が可能となる。またスチレンーブタジエンブロック共重合体においても同様な事が可能となる。つまり、ピュアーブロックの場合には−90℃付近と110℃付近の2個所にそれぞれブタジエンブロック、スチレンブロックに起因する損失弾性率(E")のピークが存在する。また、各スチレンおよびブタジエンブロックにブタジエン成分およびスチレン成分を導入したランダムブロックになると損失弾性率の各ピークは低温側のピークは高温側へ、高温側のピークは低温側へそれぞれシフトする。
【0014】
各ブロックの分子量や、ブタジエンの重合形式における1,4結合と1,2結合によっても上記ピーク温度や貯蔵弾性率の低下具合が変化する。従って、ブロックの共重合過程を調整することにより、2つのピークの位置、そのピークにおける貯蔵弾性率の低下度合いを調整することによって所定の粘弾性特性を持つポリマーの重合が可能となる。本発明においては上記のスチレン−イソプレンブロック共重合およびスチレン−ブタジエンブロック共重合体の重合特性同様に用いゴム成分としてイソプレンおよびブタジエンをゴム成分として混合的に用い重合時に組成比を制御する事によってスチレン−イソプレンブロック共重合およびスチレン−ブタジエンブロック共重合体と同様に構造を制御することが可能となる。
【0015】
本発明に用いられるSIBSは主にフィルムの耐破断性を付与する役割をになっていることより、粘弾性特性としては下記の特性を満たすことが好ましい。
0℃での貯蔵弾性率が1.00×108Pa以上あり、更に、損失弾性率のピーク温度の少なくとも一つは−20℃以下にあること。まず、0℃での貯蔵弾性率はフィルムの剛性、つまりフィルム腰を表す。本発明に用いられるSIBSは主に耐破断性を付与する役割を担っており、フィルム全体としての腰は本SIBS以外での樹脂にて付与することも可能とはなるが、本SIBSの0℃での貯蔵弾性率が1.0×108Pa未満ではブレンド量も増やすことによっても付与することが困難となるからである。
次に損失弾性率のピーク温度について説明する。この損失弾性率のピーク温度において低温側の温度は主に耐破断性を示す。本特性も延伸条件によって変化するものの、延伸前の状態で損失弾性率のピーク温度が−20℃以下に存在しない場合、やはりフィルムにおいて十分なフィルム破断性を付与することが困難となるからである。
【0016】
次に、スチレン系炭化水素と脂肪族不飽和カルボン酸エステル共重合体(B)について説明する。
このスチレン系炭化水素と脂肪族不飽和カルボン酸エステルとの共重合体のスチレン系炭化水素とはスチレン、o-メチルスチレン、p−メチルスチレン、α−メチルスチレン等がある。また、脂肪族不飽和カルボン酸エステルとは、メチル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、ラウリル(メタ)アクリレート、ステアリル(メタ)アクリレートを用いることが出来る。ここで上記(メタ)アクリレートとはアクリレート及び/メタクリレートを示している。
本発明に最も好適に用いられる樹脂のスチレン系炭化水素はスチレンであり、脂肪族不飽和カルボン酸エステルはブチル(メタ)アクリレートである。
【0017】
本樹脂を混合する主な目的はフィルムに剛性を与えることである。該スチレン系炭化水素と脂肪族不飽和カルボン酸エステルとの共重合体は、特にスチレンとブチルアクリレートの共重合体はそのブチルアクリレートを共重合していることによってそのガラス転移温度(損失弾性率のピーク温度)が低下させることが可能となる。
本発明において好ましいガラス転移温度(損失弾性率のピーク温度)は50℃以上90℃以下であることが好ましい。
従って、スチレンとブチルアクリレートの共重合比は使用用途に応じて適宜調整されるが上記ガラス転移温度の範囲を満たすために一般的にはスチレンが70重量%以上90重量%の範囲である。
【0018】
スチレンが70重量%未満ではそのガラス転移温度(損失弾性率のピーク温度)が50℃以下となってしまい熱収縮フィルムとして特性が出にくい。一方、90重量%を越えるものはそのガラス転移温度(損失弾性率のピーク温度)が90℃以上となり低温収縮率を低下させ易い。
また、分子量も関してはメルトフローレート(MFR)測定値(測定条件:温度200℃、荷重49N)が2以上15以下で調整される。
該スチレンとブチルアクリレートの共重合体のブレンド量はその組成比よって変更するものの、その熱収縮性フィルムの特性に応じて適宜調整されるが大方20重量%〜70重量%の範囲で調整される。
70重量%ブレンドした場合にはフィルムの剛性は大幅に向上するがその一方で耐破断性が低下し易い。また、20重量%未満ではフィルムに剛性を付与する効果が少ない傾向がある。
【0019】
本発明では、上述したスチレン−イソプレン−ブタジエンのブロック共重合体(A)と、スチレン系炭化水素と脂肪族不飽和カルボン酸エステル共重合体(B)がブレンドされた混合樹脂を少なくとも一層以上有する積層フィルムであり、積層構成としては特に限定しないが、最も好ましい形態は2種3層もしくは3種5層である。この場合該混合樹脂は2種3層の中間層に配しても構わないし、表裏層に配しても構わない。
本発明において具体例を挙げると、表裏層にスチレン−イソプレン−ブタジエンブロック共重合体とスチレンとブチルアクリレートの共重合体を配し、中心層にスチレン−イソプレン−ブタジエンブロック共重合体を配した2種3層フィルムや、逆に、中心層にスチレン−イソプレン−ブタジエンブロック共重合体とスチレンとブチルアクリレートの共重合体を配し、表裏層にスチレン−イソプレン−ブタジエンブロック共重合体配した2種3層フィルム等が挙げられる。
また、中心層にスチレン−イソプレン−ブタジエンブロック共重合体とスチレンとブチルアクリレートの共重合体配し、表裏層にはスチレン−イソプレン−ブタジエンブロック共重合体を含まない混合樹脂や、スチレン−イソプレン−ブタジエンブロック共重合体とスチレン系樹脂との混合樹脂を配した2種3層フィルム等であっても構わない。またその層構成も、2種3層以外にも2種2層、3種5層等となっても本発明の規定範囲であれば特に制限されない。
【0020】
積層フィルム構成の中でも最も好ましい積層形態は、スチレン−イソプレン−ブタジエンのブロック共重合体(A)とスチレン系炭化水素と脂肪族不飽和カルボン酸エステル共重合体(B)がブレンドされた混合樹脂層と、スチレン−イソプレン−ブタジエンのブロック共重合体(A)とスチレン系炭化水素と共役ジエン系炭化水素共重合体がブレンドされた、特に該スチレン系炭化水素と共役ジエン系炭化水素が0℃での貯蔵弾性率(E')が2.00×109Pa以上であることを満たす混合樹脂層を用いた積層構成である。
【0021】
上記のスチレン系ブロック共重合体において最も好適に用いられる樹脂の組成は、スチレン系炭化水素はスチレンであり、共役ジエン系炭化水素がブタジエンのいわゆるスチレン−ブタジエン系ブロック共重合体(SBS)である。但し、本発明において使用されるスチレン−ブタジエンブロック共重合体は下記特性を満たすことが重要である。本発明の目的は特性の優れた熱収縮性フィルムを得ることであるが、更にゲル架橋が生じにくい樹脂でありその結果としてフィッシュアイの少ないフィルムを得ることである。従って、ゲル架橋が進行し易いスチレン−ブタジエンブロック共重合を使用する場合にはゲル架橋が進行しづらいようにブロック構造を規定し、かつ熱収縮性フィルムの特性を損なわない事であることが必要となる。その結果、本発明に用いられるスチレン−ブタジエンブロック共重合体の特性として0℃での貯蔵弾性率(E')が2.00×109Pa以上であることが好ましい。
【0022】
粘弾性特性については、スチレン−ブタジエンブロック共重合体においてピュアーブロックの場合−90℃付近と110℃付近の2個所にそれぞれブタジエンブロック、スチレンブロックに起因する損失弾性率(E")のピークが存在する。
また、各スチレンおよびブタジエンブロックにブタジエン成分およびスチレン成分を導入したランダムブロックになると損失弾性率の各ピークは低温側のピークは高温側へ、高温側のピークは低温側へそれぞれシフトする。また、各ブロックの分子量や、ブタジエンの重合形式における1,4結合と1,2結合によっても上記ピーク温度や貯蔵弾性率の低下具合が変化する。
従って、ブロックの共重合過程を調整することにより、2つのピークの位置、そのピークにおける貯蔵弾性率の低下度合いを調整することによって所定の粘弾性特性を持つポリマーの重合が可能となる。
【0023】
本発明においてスチレン−イソプレン−ブタジエンのブロック共重合体とブレンドする場合、該スチレン−ブタジエンブロック共重合体は熱収縮性フィルムにおいて剛性を担う役割を持っていることより上記粘弾性特性を満たすことが重要となる。
さらに、好ましくはその収縮特性を制御するために、損失弾性率のピーク温度が40℃以上にあることが好ましい。また、より好ましくは40℃以下には明確な損失弾性率のピーク温度がない事が好ましい。損失弾性率のピーク温度が40℃まで見かけ上存在しない場合、ほぼポリスチレンと同様な貯蔵弾性率特性を示すため、フィルムの剛性を付与することが可能となる。また、40℃以上、好ましくは40℃以上90℃以下に損失弾性率のピーク温度が存在することである。このピーク温度は主に収縮率に影響を及ぼす因子であり、この温度が40℃以下にある場合には自然収縮が低下してしまい、また90℃以上にある場合には低温収縮性が低下してしまうからである。
【0024】
本発明に示した、粘弾性特性を満たすことが可能となる重合方法例を以下に示す。通常にスチレンまたはブタジエンの一部を仕込んで重合を完結させた後、スチレンモノマーとブタジエンモノマーの混合物を仕込んで重合反応を続行させる。このようにすると重合活性の高いブタジエンの方から優先的に重合し、最後にスチレンの単独モノマーからなるブロックが生じる。例えば先ず、スチレンを単独重合させ、重合完結後、スチレンモノマーとブタジエンモノマーの混合物を仕込んで重合を続行させるとスチレンブロックとブタジエンブロックとの中間にスチレン・ブタジエンモノマー比が次第に変化するスチレン・ブタジエン共重合体部位をもつスチレン−ブタジエンブロック共重合体が得られる。この様な部位を持たせることによって上記粘弾性特性を持つポリマーを得ることが可能となる。この場合には前述した様なブタジエンブロックとスチレンブロックに起因する2つのピークが明確には確認出きず、見かけ上一つのピークのみが存在するように見えるようになる。つまりピュアブロックやブタジエンブロックが明確に存在するランダムブロックのSBSのようなブロック構造ではブタジエンブロックに起因するTgが0℃以下に主に存在してしまうために0℃での貯蔵弾性率が所定の値以上にすることが難しくなってしまう。
また、分子量に関してはメルトフローレート(MFR)測定値(測定条件:温度200℃、荷重49N)が2以上15以下で調整される。
【0025】
この混合樹脂のブレンド比はスチレン−イソプレン−ブタジエンのブロック共重合体(A)が耐破断性を、スチレン−ブタジエンブロック共重合体が剛性を付与していため、その使用用途、要求特性によって適宜調整されるが、スチレン−イソプレン−ブタジエンのブロック共重合体(A)が20重量%以上70重量%以下、より好ましくは30重量%以上60重量%以下であることである。20重量%以下ではフィルムに十分な耐破断性を付与することが困難となり、一方70重量%以上では耐破断性は十分となるがフィルムの腰やその他収縮特性において弊害を及ぼす傾向がある。
さらに、本発明において最も好ましい積層形態は、表裏層にスチレン−イソプレン−ブタジエンのブロック共重合体(A)とスチレン系炭化水素と脂肪族不飽和カルボン酸エステル共重合体(B)がブレンドされた混合樹脂層を配し、中間層にスチレン−イソプレン−ブタジエンのブロック共重合体(A)と0℃での貯蔵弾性率(E')が2.00×109Pa以上からなるるスチレン系炭化水素と共役ジエン系炭化水素がブレンドされた混合樹脂を配した積層構成である。積層構成としては2種3層が好ましいが中間層と表裏層の間に更に1層加えた3種5層であることも好ましい。
【0026】
表裏層にスチレン−イソプレン−ブタジエンブロック共重合体とスチレンとブチルアクリレートの共重合体の混合樹脂を配する理由としてはフィルム腰とインキ密着性の向上があげられる。
該配合ではスチレン−ブチルアクリレートの共重合体が延伸後にも非相溶系として存在するためにフィルム弾性率の低下を抑えることが可能となり、かつ該配合を表裏層、つまり弾性率の高い構成樹脂をフィルムの外側に持ってくることで、該積層フィルムの腰、特に折り曲げなどに対する弾性を向上させることが可能となる。また、インキ密着性に関してはブチルアクリレート成分が極性を持っているため、インキ密着性を向上させることが可能となるのである。
【0027】
本発明の熱収縮性フィルムが良好な収縮率、耐破断性、剛性を付与させるためには下記に示した特性を満たすことが重要となる。
つまり、本発明フィルムを構成するフィルムの延伸前の実質的に無配向の積層シート、もしくは本フィルムを構成する混合樹脂の配向緩和シート状況において粘弾性特性が下記の条件を満たすことが重要となる。
延伸前のシート状況、もしくは本フィルムを構成する混合樹脂の配向緩和シートの0℃での貯蔵弾性率が1.00×109Pa以上あることが必要である。
また、損失弾性率のピーク温度の少なくとも一つは−20℃以下にあることが好ましく、より好ましくは少なくとも一つは−20℃以下にあり、少なくとももう一つが50℃〜90℃の範囲にあることである。
まず、0℃での貯蔵弾性率はフィルムの剛性、つまりフィルム腰を表す。延伸後のフィルムの剛性もしくは腰はその延伸条件によって変化するものの、延伸前の状態で上記条件を満たさない場合、つまり0℃での貯蔵弾性率が1.0×109Pa未満ではどの様な延伸方法をとっても十分なフィルム腰を付与することが困難となるからである。
【0028】
次に損失弾性率のピーク温度について説明する。この損失弾性率のピーク温度において低温側の温度は主に耐破断性を示す。本特性も延伸条件によって変化するものの、延伸前の状態で損失弾性率のピーク温度が−20℃以下に存在しない場合、やはりフィルムにおいて十分なフィルム破断性を付与することが困難となるからである。
また、少なくとももう一つが50℃〜90℃範囲にあることも重要である。このピーク温度は主に収縮率に影響を及ぼす因子であり、この温度が50℃以下にある場合には自然収縮が低下してしまい、また90℃以上にある場合には低温収縮性が低下してしまうからである。
但し、積層フィルムの場合各層を構成する混合物のピーク温度が異なる場合その積層フィルムは両層を構成するピーク温度範囲でブロード化して明確なピークが確認出来ない場合がある。この場合にはほぼ各層のピーク温度の構成比の割合で規定する。
【0029】
これらの損失弾性率のピーク温度を規定する理由としては以下理由も挙げられる。
つまり該イソプレンやブタジエンを含むスチレン系樹脂を熱収縮フィルムとして用い延伸した場合、延伸時にこの軟質部分(主にイソプレン−ブタジエン主体のブロック)のブロックが硬質部分のブロック(スチレン主体のブロック)と見かけ上相溶する傾向となってしまい、その低温側の損失弾性率のピーク温度が消滅してしまうのである。その結果、耐破断性が延伸されていない方向で低下してしまう結果となるのである。その為、本発明者は鋭意検討を重ねた結果、この軟質部分のブロックと硬質部分のブロックをもつ樹脂が延伸後において、主延伸方向と垂直な方向(主にラベル用フィルムの様に一軸延伸に近い場合)における耐破断性を付与させるにはこの軟質部分と硬質部分の二つのピークの温度差を大きくすることによって改善出来ることを見いだしたのである。その結果、−20℃以上にピーク温度が存在すると、延伸後にそのピークが極端に減少してしまうために耐破断性が付与できないのである。
【0030】
本発明の熱収縮性フィルムは該記載のスチレン−イソプレン−ブタジエンのブロック共重合体を含む積層フィルムであり、かつ本発明の粘弾性特性を満たしていれば他の樹脂とブレンドしても構わない。但し、透明性を維持する目的からは屈折率が出来るだけ近い樹脂、または透明性を大きく低下させない樹脂を選択することが好ましく、例えばエラストマー成分を含まないスチレン系重合体、スチレン系炭化水素と脂肪族不飽和カルボン酸エステル共重合体、スチレン−アクリロニトリル共重合体、エチレン−スチレン共重合体、水添スチレン−ブタジエン共重合体等が挙げられる。
また、上記スチレン−ブタジエンブロック共重合体以外のスチレン−ブタジエンブロック共重合体もブレンドする事も可能となる。但し、先に記載したゲル架橋が進行しフィッシュアイが生じる恐れがあるので添加量についてはそのブロック構造による安定性度合いによって適宜調整する必要がある。
【0031】
上記例示した中で最も好ましいエラストマー成分を含まないスチレン系樹脂としてはポリスチレンが挙げられる。ポリスチレンとしてはその分子量が重量平均分子量(Mw)で10万〜50万であることが好ましい。本樹脂を混合する主な目的は本発明フィルムに剛性を与えることである。しかし、該ポリスチレンの場合にはガラス転移温度(損失弾性率のピーク温度)が100℃程度と非常に高いため、ブレンド量としては20重量%、好ましくは15重量%、より好ましくは10重量%以下であることが必要である。20重量%以上ブレンドした場合にはそのガラス転移温度(損失弾性率のピーク温度)の高さに起因して低温での収縮率が(本発明内での低温収縮率は70℃にて10秒間温水での収縮率が5%以上とする)低下してしまうからである。
【0032】
次に上記条件を満たした延伸前のシートを延伸した後のフィルム特性について説明する。
本発明フィルムを上記粘弾性特性を満たした配合構成シートを所定の延伸条件にて延伸した熱収縮フィルムにおいて、主収縮方向の80℃温水中で10秒間の熱収縮率が30%以上を満足する必要がある。またより好ましくは主収縮方向の70℃温水中での10秒間の熱収縮率が5%以上あることである。
これらの収縮特性を満たすためには先に記載した粘弾性特性を満たす混合樹脂もしくは混合積層樹脂であることが必要となるのである。
【0033】
本発明のフィルムは製品用途に応じて収縮開始温度を低下させる目的で可塑剤及び/又は粘着付与樹脂を1〜10重量部、さらに好ましくは2〜8重量部添加することが可能である。可塑剤及び/又は粘着付与樹脂の量が10重量部を越えるものでは溶融粘度の低下、耐熱融着性の低下を招き、自然収縮を起こしてしまうという問題が生じ易い。
また、本発明のフィルムには、上記に示した可塑剤もしくは粘着付与樹脂以外にも目的に応じて各種の添加剤、例えば紫外線吸収剤、光安定剤、酸化防止剤、安定剤、着色剤、帯電防止剤、滑剤、無機フィラー等を各用途に応じて適宜添加できる。
【0034】
つぎに本発明フィルムの製造方法を具体的に説明するが本発明は下記製造方法には限定されない。
一般的には混合樹脂を一軸、もしくは二軸(同方向、異方向)押出機によって押出す製造方法が一般的である。押出に際しては、Tダイ法、チューブラ法等の既存の方法を採用してもよい。溶融押出された樹脂は、冷却ロール、空気、水等で冷却された後、熱風、温水、赤外線等の適当な方法で再加熱され、ロール法、テンター法、チューブラ法等により、1軸または2軸に延伸される。
延伸温度はフイルムを構成している樹脂の軟化温度や熱収縮性フイルムに要求される用途によって変える必要があるが、概ね60〜130℃、好ましくは70〜120℃の範囲で制御される。
主収縮方向の延伸倍率は、フイルム構成組成、延伸手段、延伸温度、目的の製品形態に応じて2〜7倍の範囲で適宜決定される。また、1軸延伸にするか2軸延伸にするかは目的の製品の用途によって決定される。
【0035】
また、PETボトル用ラベルのようにほぼ一方向の収縮特性を必要とする用途の場合でもその垂直方向に収縮特性を阻害しない範囲で延伸をすることも効果的となる。その延伸温度については混合樹脂に依存するために一概には言えないが60℃以上110℃以下が好ましい。さらにその延伸倍率については大きくなるほど耐破断性は向上するものの、それに伴い収縮率が上がってしまい良好な収縮仕上がりを得ることが困難となることより1.1倍以上1.5倍以下であることが特に好ましい。
本発明においてPETラベル用の縦方向の収縮率については、80℃温水10秒において5%以下であることが好ましく、より好ましくは2%、更により好ましくは0%以下である。本収縮率が5%を越えるとラベル用途において収縮後に縦方向の収縮が顕著となり、寸法ずれや外観上不具合を生じる結果となるからである。
また、延伸した後フイルムの分子配向が緩和しない時間内に速やかに、当フイルムの冷却を行うことも、収縮性を付与して保持する上で重要な技術である。
【0036】
【実施例】
以下に実施例を示すが、これらにより本発明は何ら制限を受けるものではない。
なお、実施例に示す測定値および評価は次のように行った。ここで、フィルムの引取り(流れ)方向をMD、その直交方向をTDと記載する。
【0037】
1)熱収縮率
フィルムをMD100mm、TD100mmの大きさに切り取り、主収縮方向(TD)の収縮量を70℃、又は80℃の温水バスに10秒間浸漬し測定した。熱収縮率は、収縮前の原寸に対する収縮量の比率を%値で表示した。
【0038】
2)引張伸び率
フィルムのMD方向において幅15mm、長さ50mmで試験片を切り取り、その試験片をチャック間40mmで恒温槽付引張試験機にセットする。これを23℃、200mm/minの試験速度で引張り、下記の計算式より引張り伸び率を求めた。
引張り伸び率=((破断したときのチャック間の長さ−40(mm))/40(mm))×100
【0039】
3)粘弾性測定(貯蔵弾性率、損失弾性率)
粘弾性スペクトロメーターDVA−200(アイティー計測制御株式会社製)を用い、振動周波数10Hz、昇温速度3℃/分、測定温度−120℃から130℃の範囲で測定した。損失弾性率のピーク温度は、損失弾性率の温度依存曲線の傾きが零(一次微分が零)となる温度のことである。なお、測定フィルム(シート)は構成する樹脂を0.2〜1.0mm程度の厚み範囲で作成し、ほぼ無配向の方向を測定した。具体的には、構成樹脂を押出機にて押出した後に、横方向を測定するかもしくは熱プレスにて配向を緩和して測定しても構わない。また延伸、未延伸に関わらず構成樹脂のフィルム、シートもしくはペレットを熱プレスにてシート化した後に測定してもよい。
【0040】
4)フィッシュアイ評価
積層押出において通常210℃の押出温度を240℃に変更し、フィルムを1時間連続製膜し、最後の5分間に採取したフィルムの1m2あたりのブツの個数を評価した。
○:99個以下、△:100個〜199個、×:200個以上
【0041】
[実施例1]
樹脂A−1(スチレン/ブタジエン/イソプレン=71/14/15、E'(0℃)=4.03×108Pa、E"ピーク温度−32℃)50重量%、樹脂B(スチレン/ブチルアクリレート=83/17、E'=3.01×109Pa、E"ピーク温度78℃)50重量%の混合樹脂を表裏層とし、上記樹脂A−1、50重量%、樹脂C(スチレン/ブタジエン=90/10、E'=3.15×109Pa、E"ピーク温度55℃)50重量%の混合樹脂を中間層として、押出量を表裏層:中間層=1:4の割合にて別々の二軸押出機で溶融し口金にて合流させ2種3層(積層比=1:8:1)にて押出し、キャストロールで冷却し厚さ300μmの未延伸フィルムを得た。
この未延伸フィルムを流れ方向(MD)に92℃で1.3倍延伸後、その直角方向(TD)に90℃で4倍延伸し、厚さ約50μm(積層比=1:8:1)のフィルムを製作した。
混合積層樹脂の粘弾性特性:E'(0℃)=1.77×109Pa、E"ピーク温度−33℃、67℃
得られたフィルムの特性データを表1に示した。
【0042】
[実施例2]
実施例1で用いた樹脂A−1、50重量%、樹脂B、50重量%の混合樹脂を表裏層とし、樹脂A−1、60重量%、樹脂C、35重量%、樹脂D(スチレン/イソプレン=30/70、E'(0℃)=1.26×107Pa、E"ピーク温度−56℃)5重量%の混合樹脂を中間層として、押出量を表裏層:中間層=1:4の割合にて別々の二軸押出機で溶融し口金にて合流させ2種3層にて押出し、キャストロールで冷却し厚さ300μmの未延伸フィルムを得た。この未延伸フィルムを流れ方向(MD)に92℃で1.3倍延伸後、その直角方向(TD)に90℃で4倍延伸し、厚さ約50μm(積層比=1:8:1)のフィルムを製作した。
混合積層樹脂の粘弾性特性:E'(0℃)=1.72×109Pa、E"ピーク温度−33℃、67℃
得られたフィルムの特性データを表1に示した。
【0043】
[実施例3]
樹脂A−1、50重量%、樹脂B、50重量%の混合樹脂を表裏層とし、樹脂A−2(スチレン/ブタジエン/イソプレン=70/10/16、E'(0℃)=1.86×109Pa、E"ピーク温度−59℃、79℃)100重量%を中間層として、押出量を表裏層:中間層=1:4の割合にて別々の二軸押出機で溶融し口金にて合流させ2種3層にて押出し、キャストロールで冷却し厚さ300μmの未延伸フィルムを得た。この未延伸フィルムを流れ方向(MD)に92℃で1.3倍延伸後、その直角方向(TD)に90℃で4倍延伸し、厚さ約50μm(積層比=1:8:1)のフィルムを製作した。
混合積層樹脂の粘弾性特性:E'(0℃)=1.78×109Pa、E"ピーク温度−50℃、78℃
得られたフィルムの特性データを表1に示した。
【0044】
[比較例1]
樹脂E(スチレン/ブタジエン=70/30、E'(0℃)=2.98×108Pa、E"ピーク温度−44℃)50重量%、樹脂B、50重量%の混合樹脂を表裏層とし、樹脂E、40重量%、樹脂C、60重量%の混合樹脂を中間層として、押出量を表裏層:中間層=1:4の割合にて別々の二軸押出機で溶融し口金にて合流させ2種3層にて押出し、キャストロールで冷却し厚さ300μmの未延伸フィルムを得た。この未延伸フィルムを流れ方向(MD)に92℃で1.3倍延伸後、その直角方向(TD)に90℃で4倍延伸し、厚さ約50μm(積層比=1:8:1)のフィルムを製作した。
混合積層樹脂の粘弾性特性:E'(0℃)=1.82×109Pa、E"ピーク温度−41℃、63℃
得られたフィルムの特性データを表1に示した。
【0045】
[比較例2]
樹脂A−1、50重量%、樹脂F(スチレン=100、E'=2.89×109Pa、E"ピーク温度107℃)50重量%の混合樹脂を表裏層とし、樹脂A−1、50重量%、樹脂C、50重量%の混合樹脂を中間層として、押出量を表裏層:中間層=1:4の割合にて別々の二軸押出機で溶融し口金にて合流させ2種3層にて押出し、キャストロールで冷却し厚さ300μmの未延伸フィルムを得た。この未延伸フィルムを流れ方向(MD)に117℃で1.3倍延伸後、その直角方向(TD)に115℃で4倍延伸し、厚さ約50μm(積層比=1:8:1)のフィルムを製作した。
混合積層樹脂の粘弾性特性:E'(0℃)=1.79×109Pa、E"ピーク温度−29℃、90℃
得られたフィルムの特性データを表1に示した。
【0046】
【表1】
【0047】
表1から実施例1〜3はいずれの特性も優れており熱収縮性フィルム、特に印刷用途として優れていることが分かる。
これに対して比較例1〜2ではいずれもゲル化による異物が多く発生し、印刷時にインクの抜け等が発生し易いことが分かる。
【0048】
【発明の効果】
本発明の熱収縮性ポリスチレン系積層フィルムによれば、特に架橋ブツ(フィッシュアイ)の少ない、印刷時のインキ抜けが極めて少ない熱収縮性フィルムが得られ、特に収縮包装、収縮結束包装や収縮ラベル等での用途に好適に使用できる。
Claims (4)
- スチレン系炭化水素と異なる2種の共役ジエン系炭化水素のうち1種をイソプレンとしたブロック共重合体(A)と、スチレン系炭化水素と脂肪族不飽和カルボン酸エステルからなる共重合体(B)との混合樹脂層を少なくとも一層以上有する実質的に無配向の積層シートの0℃での貯蔵弾性率(E')が1.00×109Pa以上で、かつ損失弾性率(E")の少なくとも1つのピーク温度が−20℃以下、更に少なくとも一つのピーク温度が50℃以上90℃以下に存在する上記積層シートを少なくとも1軸に延伸し、主収縮方向における80温水中の10秒間における熱収縮率が30%以上であることを特徴とする熱収縮性ポリスチレン系積層フィルム。
- スチレン系炭化水素と異なる2種の共役ジエン系炭化水素のうち1種をイソプレンとしたブロック共重合体(A)と、スチレン系炭化水素と脂肪族不飽和カルボン酸エステルからなる共重合体(B)との混合樹脂層を表裏層とし、スチレン系炭化水素と異なる2種の共役ジエン系炭化水素のうち1種をイソプレンとしたブロック共重合体(A)と、0℃での貯蔵弾性率(E')が2.00×109Pa以上からなるスチレン系炭化水素と共役ジエン系炭化水素からなる共重合体との混合樹脂を中間層とする積層フィルムであることを特徴とする請求項1記載の熱収縮性ポリスチレン系積層フィルム。
- スチレン系炭化水素含有量が60〜90重量%、イソプレン含有量が10〜40重量%、ブタジエン含有量が5〜30重量%の範囲で重合されているブロック共重合体(A)を特徴とする請求項1又は2記載の熱収縮性ポリスチレン系積層フィルム。
- 主にラベル用用途において、主収縮方向と直交する方向に延伸倍率1.1倍以上1.5倍以下に延伸し、該方向における80温水中の10秒間における熱収縮率が5%以下であることを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項記載の熱収縮性ポリスチレン系積層フィルム。
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