JP2003128995A - 帯電防止コーティング剤および無色透明帯電防止フィルム - Google Patents

帯電防止コーティング剤および無色透明帯電防止フィルム

Info

Publication number
JP2003128995A
JP2003128995A JP2001327711A JP2001327711A JP2003128995A JP 2003128995 A JP2003128995 A JP 2003128995A JP 2001327711 A JP2001327711 A JP 2001327711A JP 2001327711 A JP2001327711 A JP 2001327711A JP 2003128995 A JP2003128995 A JP 2003128995A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
tin oxide
water
film
antistatic
coating agent
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Granted
Application number
JP2001327711A
Other languages
English (en)
Other versions
JP4064086B2 (ja
Inventor
Akifumi Yamada
昌文 山田
Masashi Okamoto
昌司 岡本
Hayami Onishi
早美 大西
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Unitika Ltd
Original Assignee
Unitika Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Unitika Ltd filed Critical Unitika Ltd
Priority to JP2001327711A priority Critical patent/JP4064086B2/ja
Publication of JP2003128995A publication Critical patent/JP2003128995A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP4064086B2 publication Critical patent/JP4064086B2/ja
Anticipated expiration legal-status Critical
Expired - Lifetime legal-status Critical Current

Links

Landscapes

  • Coating Of Shaped Articles Made Of Macromolecular Substances (AREA)
  • Laminated Bodies (AREA)
  • Paints Or Removers (AREA)
  • Conductive Materials (AREA)
  • Non-Insulated Conductors (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【課題】 透明性が高く、適度な基材との密着性を有し
た被膜を得ることができる、液安定性に優れた帯電防止
コーティング剤および透明帯電防止フィルムを安価に提
供する。 【解決手段】 アニオン性またはノニオン性の水溶性高
分子および/または水分散性高分子の固形分100質量
部と、酸化スズ超微粒子30〜1500質量部とがアル
キルアミンを含有する水性媒体中に均一に分散し、実質
的にアンモニア、アミノアルコール、第4級アンモニウ
ム水酸化物を含まないことを特徴とする帯電防止コーテ
ィング剤。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、帯電防止コーティ
ング剤及び無色透明帯電防止フィルムに関するものであ
り、更に詳しくは、安価に、透明性が高い被膜を得るこ
とができる、液安定性に優れた帯電防止コーティング剤
および無色透明帯電防止フィルムに関するものである。
【0002】
【従来の技術】従来、一般的な工業材料や磁気記録材料
としてフィルム、とくにポリエチレンテレフタレートな
どのポリエステル系フィルムが広く使用されているが、
ポリエステル系フィルムは表面抵抗率が大きいため、摩
擦などで帯電しやすいという特性を有している。これら
のフィルムは帯電することによって、そのフィルム表面
にほこり、ごみなどが付着するといった問題が発生す
る。
【0003】そこで、帯電防止性能が付与されたフィル
ムとして、帯電防止剤を練り込んだ樹脂から得られるフ
ィルムまたは表面に帯電防止塗膜を形成したフィルムが
実用化されている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】しかし、例えば、高分
子型の帯電防止剤を練り込んだ樹脂から得られるフィル
ムは、帯電防止性能を良好なものとするためには帯電防
止剤を多量に含有させる必要があるので、経済的ではな
く、耐水性が十分でないといった問題があった。
【0005】また、表面に帯電防止被膜を形成したフィ
ルムのうち、低分子の界面活性剤型帯電防止剤を用いた
フィルムでは、帯電防止性能が経時的に低下する傾向が
あり、またフィルムをロール状に巻いた状態では帯電防
止剤が隣接するフィルムの背面に移行するといった問題
がある。また、ポリピロールやポリアニリンなどの導電
性高分子を用いたフィルムでは、コストが高くなるとと
もに導電性高分子特有の着色が生ずるという問題が起こ
る。
【0006】また、表面に帯電防止被膜を形成したフィ
ルムについては、導電性を有する酸化スズを主成分とす
る超微粒子を含有させたフィルムも検討されているが、
酸化スズ超微粒子が高価であるためコストが高くなるう
え、密着性が不十分という問題があった。特に、アンチ
モンをドープした酸化スズ超微粒子は、アンチモンが高
価なうえ、製法が複雑であり、コーティン剤の組成物と
して用いるには性能のわりに高価であるという問題があ
った。
【0007】本発明は、透明性が高く、適度な基材との
密着性を有する被膜を得ることができる、液安定性に優
れた帯電防止コーティング剤および無色透明帯電防止フ
ィルムを安価に提供することを目的とするものである。
【0008】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、上記課題
を解決するために鋭意検討の結果、酸化スズ超微粒子単
体を、アルキルアミンを分散安定剤として分散させるこ
とにより、ゾル中の酸化スズ超微粒子の体積平均粒子径
(mv)および数平均粒子径(mn)がともに15nm
以下で、かつ、mv/mnが1.0〜1.1の範囲にあ
るシャープな粒度分布を有する無色透明酸化スズゾルを
安価に製造できることを見出し、この無色透明酸化スズ
ゾルと、アニオン性またはノニオン性の水溶性高分子の
水溶液および/または水分散性高分子の水性分散体とを
混合するのみという簡便な操作で、酸化スズ超微粒子が
充分均一に分散した、液安定性に優れた帯電防止コーテ
ィング剤が安価に得られることを見出し、また、このコ
ーティング剤から形成された被膜は、透明性が高く、適
度な基材との密着性を有していることを見出し、本発明
に到達した。
【0009】すなわち、本発明の第一は、アニオン性ま
たはノニオン性の水溶性高分子および/または水分散性
高分子の固形分100質量部と、酸化スズ超微粒子30
〜1500質量部とがアルキルアミンを含有する水性媒
体中に均一に分散し、実質的にアンモニア、アミノアル
コール、第4級アンモニウム水酸化物を含まないことを
特徴とする帯電防止コーティング剤を要旨とするもので
あり、好ましくは、ゾル中の酸化スズ超微粒子の体積平
均粒子径(mv)および数平均粒子径(mn)がともに
15nm以下で、かつ、mv/mnが1.0〜1.1の
範囲にあるシャープな粒度分布を有する無色透明酸化ス
ズゾルと、アニオン性またはノニオン性の水溶性高分子
溶液および/または水分散性重合体の水性分散体とを撹
拌、混合することで得られることを特徴とするものであ
る。
【0010】本発明の第二は、熱可塑性樹脂フィルムの
少なくとも一方の面に、上記の帯電防止コーティング剤
を塗布、乾燥してなるコート層を有し、表面固有抵抗が
10 10Ω/□未満であり、ヘイズが10%以下であるこ
とを特徴とする無色透明帯電防止フィルムを要旨とする
ものであり、好ましくは、コート層が耐水性に優れてい
るものであり、また、熱可塑性樹脂フィルムがポリエチ
レンテレフタレートからなることを特徴とするものであ
る。
【0011】
【発明の実施の形態】以下、本発明を詳細に説明する。
本発明におけるコーティング剤は、アニオン性またはノ
ニオン性の水溶性高分子および/または水分散性高分子
の固形分100質量部に対して、酸化スズ超微粒子がお
よそ30〜1500質量部含有されたものであり、好ま
しくはアニオン性またはノニオン性の水溶性高分子およ
び/または水分散性高分子の固形分100質量部に対し
て酸化スズ超微粒子が50〜1000質量部、より好ま
しくは100〜800質量部混合されたものである。酸
化スズ超微粒子の割合が30質量部未満ではこのコーテ
ィング剤を用いて得られる被膜の帯電防止性が不十分に
なることがあり、一方、1500質量部を越えると、被膜
と基材との密着性が低下することがある。
【0012】また、上記アニオン性またはノニオン性の
水溶性高分子および/または水分散性高分子と酸化スズ
超微粒子とを分散させる溶媒としては、水性媒体が用い
られる。この水性媒体としては水を主成分とするものが
用いられ、好ましくは水または60質量%以上が水であ
る水性媒体が用いられる。
【0013】アニオン性またはノニオン性の水溶性高分
子としては、ポリビニルアルコール、カルボキシル基変
性ポリビニルアルコール、カルボキシメチルセルロー
ス、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピル
セルロース、変性デンプン、ポリビニルピロリドン、ポ
リアクリル酸およびその塩、アクリル酸−無水マレイン
酸共重合体およびその塩、スチレン−(メタ)アクリル酸
共重合体、エチレン−(メタ)アクリル酸共重合体、イソ
ブチレン−無水マレイン酸交互共重合体、(メタ)アクリ
ル酸−(メタ)アクリル酸エステル共重合体等の不飽和カ
ルボン酸含有量が10質量%以上のカルボキシル基含有
ポリマーおよびその塩、ポリイタコン酸およびその塩、
アミノ基を有する水溶性アクリル系共重合体、ゼラチ
ン、アラビアゴム、カゼイン等を挙げることができ、こ
れらは2種以上を混合して使用しても良い。
【0014】また、アニオン性またはノニオン性の水分
散性高分子の水性分散体としては、ポリエステル樹脂、
ポリオレフィン樹脂、ポリ酢酸ビニル、エチレン−酢酸
ビニル共重合体、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビリニデ
ン、エチレン−(メタ)アクリル酸共重合体、スチレン
−マレイン酸樹脂、スチレン−ブタジエン樹脂、ブタジ
エン樹脂、アクリロニトリル−ブタジエン樹脂、ポリ
(メタ)アクリロニトリル樹脂、(メタ)アクリルアミ
ド樹脂、塩素化ポリエチレン樹脂、塩素化ポリプロピレ
ン樹脂、変性ナイロン樹脂、ウレタン樹脂、フェノール
樹脂、シリコーン樹脂、エポキシ樹脂等の水性分散体を
挙げることができ、これらは2種以上を混合して使用し
ても良い。さらに、アニオン性またはノニオン性の水溶
性高分子の水溶液と水分散性高分子の水性分散体とを組
み合わせて2種類以上混合して使用しても良い。
【0015】水分散性高分子の水性分散体を使用した場
合、得られる帯電防止コートフィルムのコート層は耐水
性に優れたものとなる場合が多い。本発明において、耐
水性に優れるとは、例えばコートフィルムを流水中に6
0秒間さらした後も、コートフィルムが膨潤せず、流水
中にさらす前の帯電防止性能レベルを保つことをいう。
なお、本発明におけるアニオン性またはノニオン性の水
溶性高分子の水溶液および/または水分散性高分子の水
性分散体は、酸化スズ超微粒子の良好な分散安定性を維
持するために、pH7以上にコントロールされているこ
とが好ましい。
【0016】次に、本発明のコーティング剤における酸
化スズ超微粒子について説明する。本発明における酸化
スズ超微粒子とは、酸化スズ、あるいはその溶媒和物や
配位化合物の超微粒子のことをいい、その数平均粒径は
15nm以下でシャープな粒径分布を持つものである。
ここで、上記酸化スズ超微粒子の数平均粒子径は、微粒
物質の粒子径を測定するために一般的に使用されている
動的光散乱法によって測定される。
【0017】本発明のコーティング剤において、上記ア
ニオン性またはノニオン性の水溶性高分子および/また
は水分散性高分子の微粒子とともに使用される酸化スズ
超微粒子は、あらかじめ水中もしくは水を主成分とする
溶媒中に分散したゾルとして使用され、その分散安定剤
としてアルキルアミンが用いられる。
【0018】なお、本発明におけるゾルとは、1〜10
0nm程度の大きさを持つ固体分散質が液体分散媒中に
分散した流動性のある系で、固体分散質が活発なブラウ
ン運動をしており、速やかに濾紙を通過する程度まで分
散しているものまたはその状態を指す。一方、後述する
スラリーとは、静置により液体分散媒中の固体分散質が
沈降する系を示し、固体分散質の殆どが濾紙を通過でき
ない程度にしか分散していないものまたはその状態を示
す。
【0019】本発明に用いられる酸化スズゾル中には既
述のアニオン性またはノニオン性の水溶性高分子の水溶
液や水分散性高分子の水性分散体に含有される親水性有
機溶剤が含まれていてもよい。
【0020】酸化スズゾルの製造法は、大別して酸化ス
ズ超微粒子含有スラリー製造工程と酸化スズ超微粒子含
有スラリーのゾル化工程との2つに分けることができ
る。酸化スズ超微粒子含有スラリーの製造工程におい
て、酸化スズ超微粒子含有スラリーの製造方法に規定は
ないが、後のゾル化の容易さを考慮すると、湿式法によ
り酸化スズ超微粒子含有スラリーを製造するのが好まし
い。
【0021】本発明において、湿式法で酸化スズ超微粒
子含有スラリーを製造する方法にも特に規定はなく、金
属スズやスズ化合物を加水分解または熱加水分解する方
法や、スズイオンを含む酸性溶液をアルカリ加水分解す
る方法、スズイオンを含む溶液をイオン交換膜やイオン
交換樹脂によりイオン交換する方法など何れの方法も用
いることができる。
【0022】本発明において、湿式法で酸化スズ超微粒
子含有スラリーを製造する方法に用いられるスズ原料に
は、金属スズ、ハロゲン化物や硫酸塩などの水溶性の無
機塩、蓚酸や酢酸などの有機酸塩、有機スズ化合物、ス
ズアルコキシドなどが挙げられるが、何れの化合物にお
いても溶液中におけるスズイオンの価数が4価になり得
るものが用いられる。
【0023】本発明において、酸化スズ超微粒子は酸性
域での調製が可能であるので、酸化スズ超微粒子含有ス
ラリーを製造する際のpHは1.5〜5.0が好まし
く、さらに好ましくは1.5〜3.0である。特にアル
カリ加水分解法において、中性域および塩基性域に到達
するまでアルカリを添加することはコストアップにつな
がるのみならず、生成した酸化スズ超微粒子が過剰のア
ルカリ成分の影響で分散しやすくなるために洗浄時に排
出されてしまい、収率を低下させる。しかも、生成した
ゾルの安定性に問題を生じるため好ましくない。一方、
pH1.5未満では酸化スズ超微粒子の生成量が少なく
不適当である。
【0024】上記のようにして得られた酸化スズ超微粒
子含有スラリーは、次のゾル化工程に移る前に通常、加
熱処理および洗浄を行う。加熱温度は60℃以上が好ま
しく、さらに好ましくは70℃以上である。加熱処理し
なくても目的の無色透明導電性酸化スズゾルを得ること
は可能であるが、加熱処理することにより、後の洗浄お
よびゾル化を速やかに行うことが可能になることから、
加熱処理することが望ましい。
【0025】洗浄工程における固液分離法に特に規定は
なく、デカンテーション、遠心分離、濾過など何れの方
法を用いても良い。
【0026】次に、酸化スズ超微粒子含有スラリーをゾ
ル化する工程に移る。ゾル化工程は、酸化スズ固形分と
ゾル媒体、分散安定剤を混合し、撹拌、加温することか
らなる。なお、酸化スズ固形分とゾル媒体、分散安定剤
との混合順序は任意であり、固形分をスラリー化した
後、分散安定剤を添加し混合・分散・加温しても良い
し、または分散安定剤を添加したゾル媒体中に酸化スズ
固形分を添加、混合・分散・加温しても良い。
【0027】本発明において、ゾルの媒体には水以外に
水と親水性有機溶媒との混合溶媒も用いることができ
る。親水性有機溶媒としては、既述の水溶性高分子の水
溶液や水分散性高分子の水性分散体中に含まれる親水性
有機溶剤をはじめとし、メチルアルコールやエチルアル
コール、プロピルアルコール、イソプロピルアルコー
ル、n−ブチルアルコール、sec−ブチルアルコー
ル、tert−ブチルアルコール、エチレングリコー
ル、トリエチレングリコール、グリセリンなどのアルコ
ール類、2−メトキシエタノール、2−エトキシエタノ
ール、テトラヒドロフランなどのエーテル類、ジメチル
ホルムアミド、N−メチル−2−ピロリドンなどの酸ア
ミド類、また後述するアミン類を挙げることができる。
【0028】本発明において、ゾル化する酸化スズ超微
粒子含有スラリー中の固形分濃度は5wt%〜15wt
%が好ましく、さらに好ましくは8wt%〜12wt%
である。固形分濃度が低いと出来上がった際の無色透明
酸化スズゾルの濃度も低くなるため、十分な導電性を得
るためには濃縮工程が必要となる。一方で固形分濃度が
15wt%を超えると、酸化スズ超微粒子含有スラリー
の粘度が高くなるため取り扱いにくく、ゾル化が困難に
なる。また、解膠が不十分になり、シャープな粒度分布
を得ることが困難になる。
【0029】本発明においてゾル化に用いられる分散安
定剤として、アルキルアミンを用いることが必要であ
る。本発明におけるアルキルアミンとは、一般式RNH
2、R2NHまたはR3Nで表される塩基性を示す化合物
であり、ここでRはアルキル基であるが、ゾル媒体との
相溶性、取り扱いの点から鎖状アルキル基を主とするも
のが好ましい。そのようなアルキルアミンの具体例とし
ては、ジメチルアミン、トリメチルアミン、エチルアミ
ン、ジエチルアミン、トリエチルアミン、n−プロピル
アミン、イソプロピルアミン、n−ブチルアミン、イソ
ブチルアミン,sec−ブチルアミン、tert−ブチ
ルアミン、3−エトキシプロピルアミン、3−ジエチル
アミノプロピルアミン、メチルアミノプロピルアミン、
メチルイミノビスプロピルアミン、3−メトキシプロピ
ルアミンなどを挙げることができ、中でも沸点が30〜
200℃のものが好ましく、50〜100℃のものが特
に好ましい。このようなアルキルアミンの中でもジエチ
ルアミン、トリエチルアミン、イソプロピルアミンが工
業的に入手しやすいので特に好ましい。なお、これらの
アルキルアミンはゾル中で塩を形成していても良い。
【0030】分子内に水酸基を有するアミノアルコール
を分散安定剤として用いるには、アミノアルコールの必
要量が多く、また塗布膜に斑が生じてヘイズが大きくな
る場合がある。また、水分散性高分子の水性分散体を含
む塗布加工液の組成物として用いたとき、塗布加工液の
液安定性に乏しい場合があるので採用できない。
【0031】また、第4級アンモニウム水酸化物を分散
安定剤として用いるには、第4級アンモニウム水酸化物
が高価であるうえ、他の塩基性分散安定剤に比べて必要
量が多いので用いられない。
【0032】一方、アンモニアを分散安定剤として用い
る場合、高濃度の酸化スズ含有スラリーをゾル化するこ
とが困難であることから、ゾル調製時の酸化スズ含有ス
ラリー中固形分濃度の上限が低くなるために低固形分濃
度のものしか製造できず、利用可能な濃度にするために
は濃縮工程が必要となり、しかも、高濃度化のための濃
縮工程において、随時アンモニア水を添加しなければな
らないうえに、細やかなpHコントロールが必要とされ
るなどの操作上の煩わしさがあるので本発明では採用し
ない。
【0033】アルキルアミンのゾル媒体への混合量とし
ては、得られる混合溶媒のpHが8.5〜10.0にな
るよう添加することが好ましく、さらに好ましくは8.
5〜9.5である。pHが8.5未満では酸化スズ超微
粒子の解膠が不完全になり透明なゾルが得られない場合
があるうえ、ゾルの安定性が悪くなる場合がある。しか
も、アニオン性またはノニオン性の水溶性高分子の水溶
液および/または水分散性高分子の水性分散体との混合
安定性が乏しくなる場合がある。一方でpHが10.0
を越えるとコストアップの原因となるうえ、後の塗布加
工液調製時に混合する高分子によっては塗布加工液が凝
集する場合がある。媒体のpHが10.0以上になった
場合には、後の加温工程において加温時間を長くし、ア
ルキルアミンの含有量を低減させることでpHを下げる
ことが可能である。
【0034】pHが上記範囲を逸脱すると、分散性に優
れたゾルは得られない。なお、この場合必要なアルキル
アミンの添加量は、酸化スズ超微粒子含有スラリーに残
存する不純物の量や種類に、あるいは酸化スズ超微粒子
濃度によっても若干異なるが、酸化スズ超微粒子1モル
に対して0.15〜0.50モルになるよう添加するこ
とが好ましく、さらに好ましくは0.20〜0.40モ
ルである。
【0035】本発明のゾル化工程においては通常、攪拌
することが行われるが、撹拌方法に特に規定はなく、一
般的な撹拌子や撹拌羽を用いる撹拌方法以外に、ホモミ
キサーやホモジナイザーを用いる分散法や、高圧分散器
や超音波分散器などを用いることも可能である。
【0036】酸化スズ固形分とゾル媒体、分散安定剤と
を混合した後、ゾル化の加速と出来上がった際の酸化ス
ズゾルの透明性確保から、25℃以上、より好ましくは
30℃以上に加温することが好ましい。これにより無色
透明酸化スズゾルを得ることができるが、さらに必要に
応じて濃縮することも可能である。
【0037】本発明で使用される無色透明酸化スズゾル
は、酸化スズ超微粒子の体積平均粒子径(mv)および
数平均粒子径(mn)が15nm以下で、かつ、mv/
mnが1.0〜1.1の範囲にあるシャープな粒度分布
を有するものである。mv/mnが1.1を超えると、
コロイド色が強くなり、塗布加工液組成物として用いた
とき、得られた塗布膜のヘイズが大きくなる場合がある
ので好ましくない。
【0038】上記のアルキルアミンを用いる酸化スズゾ
ル製造法によれば、酸化スズ超微粒子が一次粒子レベル
まで解膠された、着色が無く良好な導電性を有する高固
形分濃度の無色透明酸化スズゾルを濃縮工程や細やかな
pHコントロールなしで製造することが可能であるた
め、安価に所望の無色透明酸化スズゾルを得ることがで
きる。
【0039】本発明におけるコーティング剤は、例え
ば、上記無色透明酸化スズゾルと上記アニオン性または
ノニオン性の水溶性高分子の水溶液および/または水分
散性高分子の水性分散体とを混合することによって調製
される。その際に、アニオン性またはノニオン性の水溶
性高分子の水溶液および/または水分散性高分子の水性
分散体に無色透明酸化スズゾルを加えて混合してもよ
く、逆に無色透明酸化スズゾルに上記アニオン性または
ノニオン性の水溶性高分子の水溶液および/または水分
散性高分子の水性分散体を加えて混合してもよく、混合
順序は任意である。
【0040】なお、両者を混合する際、コーティング剤
の分散安定性を維持するために、必要に応じて、混合液
のpHが8〜10になるようにpH調整を行うことが好
ましい。
【0041】上記コーティング剤を調製する際に、無色
透明酸化スズゾルとアニオン性またはノニオン性の水溶
性高分子の水溶液および/または水分散性高分子の水性
分散体とを混合する際の撹拌装置としては、広く知られ
ている装置を使用することが可能であり、混合液の分散
性が良好であるため、極めて短時間かつ簡単な混合操作
でよい。
【0042】このようにして得られたコーティング剤中
には、上記アニオン性またはノニオン性の水溶性高分子
の水溶液および/または水分散性高分子の水性分散体に
由来する有機溶媒が含まれており、また、塗布性能を向
上させるために例えばイソプロピルアルコールなどの低
沸点アルコールのような有機溶媒を加えることもある
が、有機溶媒の含有量は溶媒全体の40質量%以下に抑
え、60質量%以上は水であることが作業環境の上から
好ましい。
【0043】本発明のコーティング剤における固形分濃
度すなわち酸化スズ超微粒子とアニオン性またはノニオ
ン性の水溶性高分子および/または水分散性高分子の総
濃度は1〜40質量%が好ましい。固形分濃度が1質量
%以下では、基材に塗布する際に十分な厚さの被膜を形
成しにくくなる傾向があり、一方40質量%を越える
と、酸化スズ超微粒子の分散性が不十分になることがあ
る。
【0044】また、本発明のコーティング剤には、架橋
剤を混合して被膜の硬度および耐水性を上げることがで
きる。架橋剤としては、アニオン性またはノニオン性の
水溶性高分子および/または水分散性高分子が有する官
能基、例えばカルボキシル基や水酸基と反応性を有する
ものが用いられ、例えば、フェノール樹脂、アミノ樹
脂、多官能エポキシ樹脂、多官能イソシアネート化合物
及びその各種ブロックイソシアネート化合物、多官能ア
ジリジン化合物、カルボジイミド基含有化合物、オキサ
ゾリン基含有化合物などが挙げられる。このような架橋
剤は1種類のみでも、2種類以上を併用してもよい。
【0045】さらに、本発明のコーティング剤には、そ
の特性が損なわれない範囲で、酸化防止剤、滑剤、着色
剤などを添加することができる。
【0046】本発明のコーティング剤は、塗料、接着
剤、インキ、繊維処理剤、紙塗工剤などの各種コーティ
ング剤として、フィルムなどの樹脂形成体、紙、ガラス
などの各種基材上に均一に塗布することができる。
【0047】塗布方法としては、ディップコート法、は
け塗り法、ロールコート法、スプレーコート法、グラビ
アコート法、カーテンフローコート法、各種印刷法など
が挙げられる。
【0048】また、塗布されたコーティング剤の乾燥方
法としては、通常、熱風循環型のオーブンや赤外線ヒー
ターなどにより、60℃〜230℃で例えば2秒間〜5
0秒間乾燥する方法が挙げられ、それによって基材上に
被膜が形成される。
【0049】また、被膜の厚さとしては、強度および傷
が付きにくい均一な厚さの被膜が得られる0.01〜1
00μmが好ましく、0.05〜20μmがより好まし
く、0.1〜5μmがさらに好ましい。
【0050】本発明のコーティング剤を塗布して得られ
る被膜は、表面固有抵抗が1010Ω/□未満と低い表面
固有抵抗値を示し、優れた帯電防止能を有する。そし
て、この被膜は耐水性にも優れている。さらに、本発明
のコーティング剤を塗布して得られるフィルムは、ヘイ
ズが10%以下と低く非常に透明性に優れており、アニ
オン性またはノニオン性の水溶性高分子および/または
水分散性高分子と酸化スズ超微粒子との組み合わせによ
り、被膜の透明性を変化させることによって、フィルム
のヘイズは8%以下がより好ましく、5%以下がさらに
好ましい。
【0051】本発明のコーティング剤は、特に熱可塑性
のフィルムのコーティング剤として好適に用いることが
でき、これによって熱可塑性フィルムの表面に被膜を形
成すると、被膜の表面固有抵抗が1010Ω/□未満と低
い表面固有抵抗を示す、優れた帯電防止性を有し、かつ
フィルムのヘイズが10%以下と透明性に優れた無色透
明帯電防止フィルムを得ることができる。
【0052】
【実施例】次に、実施例により本発明をより具体的に説
明する。以下の実施例において各種の特性は次に示す方
法によって測定した。 (1)被膜の厚さ 接触式膜厚計により、コーティング剤を基材フィルムに
塗布、乾燥して被膜を形成したフィルム(以下コートフ
ィルムという)の全体の厚さから、基材フィルムの厚さ
を減じて求めた。
【0053】(2)ヘイズ JIS−K7361−1に基づいて、濁度計(日本電色
工業株式会社製、NDH2000)を用いて、コートフ
ィルムのヘイズ測定を行った。ただし、この評価値は、
実施例で用いた、ヘイズが2.8%の2軸延伸PETフ
ィルムにコートしたフィルム全体のヘイズの値である。
【0054】(3)コートフィルムの帯電防止特性 JIS−K6911に基づいて、株式会社アドバンテス
ト製デジタル超高抵抗/微少電流計、R8340を用い
て、コートフィルムの被膜の表面固有抵抗値を次の2つ
の条件下で測定して、それぞれについて評価した。 (3-a)標準特性評価 温度20℃、湿度60%雰囲気下での評価。 (3-b)耐流水性評価 コートフィルムを流水中に60秒間さらした後、3-a
と同一条件で評価。
【0055】(4)密着性 基材フィルムと被膜との密着性をテープ剥離により、以
下の基準で評価した。 ○:剥離なし ×:剥離あり
【0056】(5)粒子径 酸化スズ超微粒子の体積平均粒子径および数平均粒子径
は日機装株式会社製のマイクロトラック粒度分布計UP
A150(Model No.9340)を用いて、動
的光散乱法によって測定した。 (6)液安定性 ○:室温で3ヶ月後も安定 △:室温で1ヶ月以内にゲル化 ×:室温で1週間以内にゲル化
【0057】実施例1 塩化第二スズ五水和物0.1モルを200mlの水に溶
解して0.5Mの水溶液とし、アルカリ加水分解法によ
りスラリーを生成するために、撹拌しながら28%のア
ンモニア水を添加することでpH1.5の白色酸化スズ
超微粒子含有スラリーを得た。得られた酸化スズ超微粒
子含有スラリーを70℃まで加熱した後、50℃前後ま
で自然冷却したうえで純水を加え1Lの酸化スズ超微粒
子含有スラリーとし、遠心分離器を用いて固液分離を行
った。この含水固形分に800mlの純水を加えて、ホ
モジナイザーにより撹拌・分散を行った後、遠心分離器
を用いて固液分離を行うことで洗浄を行った。洗浄後の
含水固形分に純水を75ml加えて酸化スズ超微粒子含
有スラリーを調製した。
【0058】得られたスラリーは酸化スズ超微粒子が凝
集した状態にあり、この酸化スズ超微粒子の凝集をほぐ
して分散安定化するためにトリエチルアミン3.0ml
(酸化スズに対して0.2倍モル)を加え撹拌し、透明
感が出てきたところで50℃まで昇温した後、加温をや
め自然冷却した。加温中に酸化スズ超微粒子の凝集がほ
ぐれて分散安定化され、スラリーは無色透明の酸化スズ
ゾルになった。この酸化スズゾルのpHは8.9であっ
た。得られた酸化スズゾルは無色透明で、これを強熱乾
燥させることで得られた固形分濃度は10.3wt%で
あった。また、ゾル中の酸化スズの体積平均粒径(m
v)は8.9nm、数平均粒子径(mn)は8.7nm
で、mv/mnは1.02であった。このゾルは室温で
6ヶ月以上放置しても安定であった。
【0059】ポリエステル樹脂水性分散体(ユニチカ株
式会社製、製品名エリーテルKA5034)に、無色透
明酸化スズゾルをポリエステル樹脂固形分100質量部
に対して酸化スズ超微粒子が800質量部となるように
混合した後、イソプロピルアルコール(以下、IPA)
を全液量の10wt%相当添加し、手で軽く攪拌するこ
とによって、帯電防止コーティング剤を得た。
【0060】得られたコーティング剤を2軸延伸PET
フィルム(ユニチカ株式会社製、製品名エンブレット、
厚さ12μm)の片面にフィルムアプリケーター(株式
会社安田精機製作所製、542-AB)を使用して塗布
後、130℃で30秒間乾燥することにより、フィルム
面に厚さ0.2μmの被膜を形成したコートフィルムを
得た。得られたコートフィルムの特性評価結果を表1に
示した。
【0061】実施例2 ポリエステル樹脂固形分100質量部に対して酸化スズ
超微粒子が400質量部となるようにした以外は、実施
例1と同様の方法により、コーティング剤およびコート
フィルムを得た。得られたコートフィルムの特性評価結
果を表1に示した。
【0062】実施例3 ポリエステル樹脂固形分100質量部に対して酸化スズ
超微粒子が200質量部となるようにした以外は、実施
例1と同様の方法により、コーティング剤およびコート
フィルムを得た。得られたコートフィルムの特性評価結
果を表1に示した。
【0063】実施例4 混合する高分子の水性分散体をポリオレフィン樹脂水性
分散体にした以外は、実施例1と同様の方法により、コ
ーティング剤およびコートフィルムを得た。得られたコ
ートフィルムの特性評価結果を表1に示した。
【0064】なお、ここで使用したポリオレフィン樹脂
水性分散体は以下の方法により製造した。ヒーター付き
の密閉できる耐圧1リットル容ガラス容器を備えた撹拌
機を用いて、60.0gのポリオレフィン樹脂(ボンダ
インHX-8290、住友化学工業株式会社製)、6
0.0gのIPA、4.5g(樹脂中の無水マレイン酸
のカルボキシル基に対して1.8倍当量)のトリエチル
アミン(以下、TEA)および175.5gの蒸留水を
ガラス容器内に仕込み、撹拌翼の回転速度を300rpm
として撹拌したところ、容器底部には樹脂粒状物の沈澱
は認められず、浮遊状態となっていることが確認され
た。そこでこの状態を保ちつつ、10分後にヒーターの
電源を入れ加熱した。そして系内温度を140〜145
℃に保ってさらに20分間撹拌した。その後、水浴につ
けて、回転速度300rpmのまま攪拌しつつ室温(約2
5℃)まで冷却した後、300メッシュのステンレス製
フィルター(線径0.035mm、平織)で加圧濾過(空
気圧0.2MPa)し、乳白色の均一なポリオレフィン樹
脂水性分散体を得た。
【0065】得られたポリオレフィン樹脂水性分散体2
50g、蒸留水85gを1Lの2口丸底フラスコに仕込
み、メカニカルスターラーとリービッヒ型冷却器を設置
し、フラスコをオイルバスで加熱していき、水性媒体を
留去した。冷却後、フラスコ内の液状成分を300メッ
シュのステンレス製フィルター(線径0.035mm、平
織)で加圧濾過(空気圧0.2MPa)し、濾液の固形分
濃度を測定したところ、20.5質量%であった。この
濾液を撹拌しながら蒸留水を添加し、固形分濃度が2
0.0質量%になるように調整した。
【0066】実施例5 洗浄済み酸化スズ超微粒子含有スラリーに添加するアル
キルアミンをイソプロピルアミンにした以外は、実施例
1と同様の方法により、コーティング剤およびコートフ
ィルムを得た。得られたコートフィルムの特性評価結果
を表1に示した。なお、この際の酸化スズに対するイソ
プロピルアミンの添加量は0.35倍モルであり、得ら
れた酸化スズゾルのpHは9.1であった。また、得ら
れた無色透明酸化スズゾルを強熱乾燥させることで得ら
れた固形分濃度は10.9wt%であり、ゾル中の酸化
スズの体積平均粒子径(mv)は8.7nm、数平均粒
子径(mn)は8.5nmで、mv/mnは1.02で
あった。このゾルは室温で6ヶ月以上放置しても安定で
あった。
【0067】比較例1 ポリエステル樹脂固形分100質量部に対して酸化スズ
超微粒子が20質量部となるようにした以外は、実施例
1と同様の方法により、コーティング剤およびコートフ
ィルムを得た。得られたコートフィルムの特性評価結果
を表1に示した。
【0068】比較例2 ポリエステル樹脂固形分100質量部に対してカチオン
系界面活性剤(三洋化成工業株式会社製、商品名サンス
タット2012A)を固形分で1質量部添加したものを
コーティング剤とし、実施例1と同様の方法により、コ
ートフィルムを得た。得られたコートフィルムの特性評
価結果を表1に示した。
【0069】比較例3 ポリエステル樹脂固形分100質量部に対してアルキル
燐酸塩(三洋化成工業株式会社製、商品名RPS−2)
を固形分で1質量部添加したものをコーティング剤と
し、実施例1と同様の方法によりコートフィルムを得
た。得られたコートフィルムの特性評価結果を表1に示
した。
【0070】比較例4 洗浄済み酸化スズ超微粒子含有スラリーに添加するアミ
ンをN,N−ジメチルエタノールアミンにした以外は、
実施例1と同様の方法により、コーティング剤およびコ
ートフィルムを得た。得られたコートフィルムの特性評
価結果を表1に示した。
【0071】
【表1】
【0072】実施例1〜5によって得られたコーティン
グ液は液安定性に優れ、また、コートフィルムの特性
は、表1に示したようにいずれも透明性に優れ、高い帯
電防止性を示し、流水処理によっても表面固有抵抗が大
きく変化せず、密着性にも優れていた。これに対して、
比較例1によって得られたコートフィルムは、コーティ
ング剤中に含有する酸化スズ系超微粒子の量が少ないた
め、表1に示したように表面固有抵抗の値が高いもので
あり、帯電防止性が不十分であった。
【0073】また、比較例2、3によって得られたコー
トフィルムは、表1に示したようにいずれも標準状態で
も表面固有抵抗が大きく、流水処理によって表面固有抵
抗の値はさらに大きくなり、帯電防止性が低下するもの
であった。また標準状態における密着性にも劣ってい
た。さらに、比較例4によって得られたコーティング剤
は、表1に示したように液安定性に乏しく、室温で1週
間もたずゲル化してしまうものであった。
【0074】以上の実施例から明らかなように、本発明
のコーティング剤は液安定性に優れ、かつ本発明のコー
ティング剤から得られるコートフィルムは、透明性が高
く、適度な基材との密着性を有した帯電防止コートフィ
ルムであることが分かる。
【0075】
【発明の効果】本発明における酸化スズ超微粒子とアニ
オン性またはノニオン性の水溶性高分子および/または
水分散性高分子の微粒子とは、それぞれ優れた水分散性
を有するので、水を主成分とする水性媒体に均一に分散
する。このため、本発明の帯電防止コーティング剤は貯
蔵安定性に優れ、また、有機溶媒の含有量を少なくする
ことが可能であり、環境問題の解消、作業環境の改善に
も寄与することができる。しかも、本発明のコーティン
グ剤の原料となる無色透明酸化スズゾルはアルキルアミ
ンを分散安定剤とすることにより安価に製造が可能であ
り、したがって本発明の帯電防止コーティング剤も安価
に提供される。また、本発明の帯電防止コーティング剤
は、透明性が高く、適度な基材との密着性を有した無色
透明の帯電防止性被膜を安価に得ることができる。した
がって、本発明のコーティング剤はプラスチックフィル
ムをはじめとして各種基材に帯電防止性を付与するため
のコーティング剤として好適に利用することができる。
【0076】本発明のコートフィルムは、酸化スズ単体
の超微粒子によって導電性が与えられるため安価であ
り、かつ、高い帯電防止性を示す。また、酸化スズ超微
粒子は粒子径が非常に小さく、可視光線を散乱しないの
で、フィルムの透明性が維持される。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) C09D 7/12 C09D 7/12 H01B 1/20 H01B 1/20 Z 5/14 5/14 A 5/16 5/16 // C08L 67:02 C08L 67:02 Fターム(参考) 4F006 AA35 AB35 AB74 BA07 DA04 4F100 AA28A AH03A AK01A AK01B AK42B AT00B BA02 CC00A DE01A EH46A EJ86A JB07A JB09A JB16B JG03 JG03A JG04 JK06 JL02 JL11 JN01 JN01A YY00 YY00A 4J038 BA011 BA091 BA121 BA191 CA021 CB001 CB131 CC021 CD021 CE021 CF021 CG031 CG061 CG141 CG161 CG171 CK031 DD001 DH001 EA011 GA06 HA216 JB03 JB08 KA09 KA12 KA20 MA08 MA10 NA01 NA04 NA12 NA20 NA25 PA18 PC08 5G301 DA23 DA42 DD05 5G307 FA02 FB01 FC05 FC09 HA01 HB05 HC01

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 アニオン性またはノニオン性の水溶性高
    分子および/または水分散性高分子の固形分100質量
    部と、酸化スズ超微粒子30〜1500質量部とがアル
    キルアミンを含有する水性媒体中に均一に分散し、実質
    的にアンモニア、アミノアルコール、第4級アンモニウ
    ム水酸化物を含まないことを特徴とする帯電防止コーテ
    ィング剤。
  2. 【請求項2】 アルキルアミンを分散安定剤とし、ゾル
    中の酸化スズ超微粒子の体積平均粒子径(mv)および
    数平均粒子径(mn)がともに15nm以下で、かつ、
    mv/mnが1.0〜1.1の範囲にあるシャープな粒
    度分布を有する無色透明酸化スズゾルと、アニオン性ま
    たはノニオン性の水溶性高分子の水溶液および/または
    水分散性高分子の水性分散体とを撹拌、混合することで
    得られることを特徴とする請求項1記載の帯電防止コー
    ティング剤。
  3. 【請求項3】 熱可塑性樹脂フィルムの少なくとも一方
    の面に、請求項1または2に記載の帯電防止コーティン
    グ剤を塗布、乾燥してなるコート層を有し、表面固有抵
    抗が1010Ω/□未満であり、ヘイズが10%以下であ
    ることを特徴とする無色透明帯電防止フィルム。
  4. 【請求項4】 コート層が耐水性に優れていることを特
    徴とする請求項3記載の無色透明帯電防止フィルム。
  5. 【請求項5】 熱可塑性樹脂フィルムがポリエチレンテ
    レフタレートからなることを特徴とする請求項3〜4の
    いずれかに記載の無色透明帯電防止フィルム。
JP2001327711A 2001-10-25 2001-10-25 帯電防止コーティング剤および無色透明帯電防止フィルム Expired - Lifetime JP4064086B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2001327711A JP4064086B2 (ja) 2001-10-25 2001-10-25 帯電防止コーティング剤および無色透明帯電防止フィルム

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2001327711A JP4064086B2 (ja) 2001-10-25 2001-10-25 帯電防止コーティング剤および無色透明帯電防止フィルム

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2003128995A true JP2003128995A (ja) 2003-05-08
JP4064086B2 JP4064086B2 (ja) 2008-03-19

Family

ID=19143898

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2001327711A Expired - Lifetime JP4064086B2 (ja) 2001-10-25 2001-10-25 帯電防止コーティング剤および無色透明帯電防止フィルム

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP4064086B2 (ja)

Cited By (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2006198938A (ja) * 2005-01-21 2006-08-03 Unitika Ltd 積層体
JP2010134075A (ja) * 2008-12-03 2010-06-17 Toppan Printing Co Ltd 反射防止フィルム
JP2020097682A (ja) * 2018-12-18 2020-06-25 花王株式会社 水性グラビアインキ
JP2020097683A (ja) * 2018-12-18 2020-06-25 花王株式会社 水性グラビアインキ

Cited By (6)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2006198938A (ja) * 2005-01-21 2006-08-03 Unitika Ltd 積層体
JP2010134075A (ja) * 2008-12-03 2010-06-17 Toppan Printing Co Ltd 反射防止フィルム
JP2020097682A (ja) * 2018-12-18 2020-06-25 花王株式会社 水性グラビアインキ
JP2020097683A (ja) * 2018-12-18 2020-06-25 花王株式会社 水性グラビアインキ
JP7261577B2 (ja) 2018-12-18 2023-04-20 花王株式会社 水性グラビアインキ
JP7335692B2 (ja) 2018-12-18 2023-08-30 花王株式会社 水性グラビアインキ

Also Published As

Publication number Publication date
JP4064086B2 (ja) 2008-03-19

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP3937113B2 (ja) 有機−無機複合導電性ゾル及びその製造法
US5454864A (en) Layered composite pigments and methods of making same
EP0630950B1 (en) White conductive powder, a process for its production and a resin composition containing the powder
CN87107768A (zh) 阳离子聚合物的水分散体
CN1655946A (zh) 包含胶态二氧化硅的涂料组合物和由它制备的有光喷墨记录片材
EP2097908B2 (en) Waterborne conductive compositions
JP4409169B2 (ja) 着色顔料粒子を含む塗料、可視光遮蔽膜付基材
US20080214718A1 (en) Hydrophobic metal and metal oxide particles with unique optical properties
JP2003268164A (ja) 水性分散体および積層フィルム
JP2003128995A (ja) 帯電防止コーティング剤および無色透明帯電防止フィルム
CN118027790A (zh) 一种抗菌水性涂层及其制备方法
JP2009051981A (ja) 水性分散体およびそれを用いた加工品
JP4722412B2 (ja) 導電性酸化錫粉末、その製造方法、導電性ペースト及び導電性塗料
JP4097925B2 (ja) 無色透明酸化スズゾルおよびその製造法
JP3979465B2 (ja) 導電性粉末有機溶剤系分散体及び導電性塗料
JP3976484B2 (ja) 導電性粉末有機溶剤系分散体及び導電性塗料
GB2498877A (en) Aqueous silver halide and polyvinyl alcohol antimicrobial composition
TW202128564A (zh) 硫酸鋇粒子分散體、塗料、塗膜和膜
JP3230367B2 (ja) 導電膜形成用組成物
JP5052158B2 (ja) 帯電防止コート剤および積層体
JPH06107849A (ja) 繊維状導電性フィラー及びその製造方法
CN1030785C (zh) 通过添加阳离子聚合物水分散体制得的上胶纸的用途
JPH0277473A (ja) 無機導電塗料
JPS6262826A (ja) 被覆有機球状微粒子の製造方法
JP5014690B2 (ja) 酸化スズ系超微粒子含有コーティング剤

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20041012

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20070410

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20070417

A521 Written amendment

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20070615

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20071211

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20071226

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

Ref document number: 4064086

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20110111

Year of fee payment: 3

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20110111

Year of fee payment: 3

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20120111

Year of fee payment: 4

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20120111

Year of fee payment: 4

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20130111

Year of fee payment: 5

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20130111

Year of fee payment: 5

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20140111

Year of fee payment: 6

EXPY Cancellation because of completion of term