JP2003121118A - 膜厚モニタリング装置および方法 - Google Patents
膜厚モニタリング装置および方法Info
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Abstract
する多層膜の光学的膜厚をλ0/4の整数倍に制御する
ことを可能とする膜厚モニタリング装置および方法を実
現すること。 【解決手段】基板3上に、可視光波長λVの3倍の波長
λ0を設計とする多層膜を形成するために、ECRスパ
ッタ源4から膜物質をスパッタし、高屈折率膜(H膜)
と低屈折率膜(L膜)とを交互に成膜する過程で、光源
5からの光を光ファイバー6を通して、基板3に入射さ
せ、透過光を光ファイバー9を通して可視光分光器10
に入れ、分光器10と出力と演算器11とにより、設計
波数:1/λ0の3倍の波数の可視光に対する透過を算
出し、その算出値を用いて、成膜中のH膜またはL膜の
光学的膜厚がλ0/4の整数倍に、誤差の範囲内で、等
しいか否かを判別することを特徴とする膜厚モニタリン
グ方法を構成する。
Description
装置および方法に関し、特に、光通信装置や光学デバイ
スおよび半導体装置等に使用される多層膜を形成する場
合に使用される膜厚モニタリング装置および方法に関す
る。
いての状況について述べる。
積み重ねて形成する多層膜は、眼鏡等のガラス上および
プラスチック上への無反射コーティング、ビデオカメラ
の色分解プリズム、各種光学フィルタ、発光レーザの端
面コーティング等に使用されている。
重通信(DWDM通信)に用いる合波フィルタや分波フ
ィルタに応用されるようになってきた。多層膜の層数も
数十層から数百層と非常に多くなり、膜厚や膜質の均一
性もこれまで以上に高精度なものが要求されるようにな
ってきた。このような、層数の多い多層膜を作製する際
には、後述する理由によって、実基板とは別の膜厚モニ
タリング用のモニタ基板を実基板に近接させて設置し、
そのモニタ基板によって膜厚制御を行い、しかも、1つ
の多層膜を作製するのに、モニタ基板を何回か新しいも
のと交換しなければならないので、多層膜作製効率が低
下するという問題あり、その問題を解消するために、多
層膜を堆積する実基板を、直接、膜厚モニタリングの対
象として膜厚制御を行いたいという要求が高まってきて
いる。
(H膜)と低屈折率膜(L膜)とを交互に重ねて一体化
したものであり、設計波長と呼ばれる光の波長をλ0、
H膜の屈折率をnH、L膜の屈折率をnLとした時に、
H膜の膜厚およびL膜の膜厚が、それぞれ、λ0/(4n
H) の整数倍およびλ0/(4nL) の整数倍に等しい、
という条件を満足するものである。多くの場合に、上記
の整数は1または2である。
を示す。物理的膜厚に光学的屈折率を乗じた光学的膜厚
が設計波長λ0の2分の1つまりλ0/2(この場合
に、上記の整数は2である)となるようなキャビティ層
と呼ばれる層を、光学的膜厚がλ0/4の高屈折率膜と
低屈折率膜に相当する膜を交互に積層して形成した多層
膜で上下を挟んだ構造となっている。
板を用い、高屈折率膜として屈折率が2.14のTa2
O5を、低屈折率膜として屈折率が1.48のSiO2
を、キャビティ層に屈折率が1.48のSiO2を用
い、下層に高屈折率膜と低屈折率膜の対を21層、上層
に高屈折率膜と低屈折率膜の対を21層、その間にキャ
ビティ層を1層堆積した場合の透過率の波長依存性を示
す。この場合の設計波長λ 0は、1550nmとした。
の赤外光領域と、500nmから550nmの可視光領
域の波長領域において非透過領域が存在することがわか
る。それぞれの設計波長λ0で半値幅が約0.1nmの
非常に狭い透過領域が存在する。可視光波長領域に現れ
る波形は、波長が赤外光領域の波長の3以上の奇数分の
1、すなわち、波数で表現すれば、波数が赤外光領域の
波数の3以上の奇数倍となる鏡像波形である。
は、この半値幅が約0.1nmの非常に狭い透過領域を
光学フィルタとして用いるのであるが、このように層数
の非常の多い多層膜を成膜する場合には、成膜中の多層
膜を直接観察し、高屈折率膜の膜厚と低屈折率膜の膜厚
とを制御する方法が、成膜効率向上のために、極めて望
ましいとされている。
グ方法としては、単色測光法や二色測光法がある。しか
し、いずれの方法も、層数が少ない場合には有効である
が、層数が数十以上と非常に多い場合には、赤外光領域
において精度良く分光測光できる分光器が提供されない
ため、精度よく膜厚モニタリングを行うことは難しいと
いう問題がある。
簡単に説明する。
成してゆく過程で、光学的膜厚dn(ここに、dは物理
的膜厚であり、nは膜の屈折率である)が、設計波長の
4分の1(λ0/4)の整数倍に相当する時に、透過率
または反射率の時間変化が極値をとることを利用する。
たとえば、高屈折率膜と低屈折率膜を組み合わせて多層
膜を形成する場合、高屈折率膜の成膜中に設計波長λ0
の光を照射し、透過率または反射率を観察しながら、そ
の変化率が0になったときに成膜を停止する。このとき
の膜厚は、(λ0/4)/(高屈折率膜の屈折率)となり、
高屈折率膜にとってλ0/4の光学的膜厚となる。続い
て、低屈折率膜の成膜に切替えて、上記と同様に設計波
長λ0の光を照射しながら透過率または反射率を観測
し、その変化率が0になったときに成膜を停止する。こ
のときの膜厚は、(λ0/4)/(低屈折率膜の屈折率)
となり、低屈折率膜にとってλ0/4の光学的膜厚とな
る。この操作を順次繰り返すことによって、各屈折率膜
にとって光学的膜厚がλ0/4の多層膜を形成すること
ができる。
板を用い、高屈折率膜として屈折率が2.14のTa2
O5を用い、低屈折率膜として屈折率が1.48のSi
O2を用い、高屈折率膜と低屈折率膜の対を26層堆積
した場合の透過率の堆積膜厚依存性の計算結果を示す。
但し、設計波長λ0は1550nmで、透過率または反
射率が設計波長に対応する波数κ0(κ0=1/λ0、
以下これを設計波数と呼ぶ)は6451cm−1で、波
長分解能は赤外分光器の一般的な値の3nmとした。光
学的膜厚がλ0であるTa2O5の膜厚はλ0/(Ta
2O5の屈折率)すなわち724nmであり、光学的膜
厚がλ0/4であるTa2O5の膜厚は181nmとな
り、光学的膜厚がλ0であるSiO2の膜厚はλ0/
(SiO2の屈折率)すなわち1047nmであり、光
学的膜厚がλ0/4であるSiO2の膜厚は261nm
となる。
なわち、設計波数κ0=1/λ0における透過率は、堆
積膜厚が増加するに従って、高屈折率膜の堆積で減少
し、低屈折率膜の堆積で増加するという周期的変化を示
すが、層数が増加するにつれて透過率は減少してゆき、
10層以上で変化する割合が非常に小さくなる。赤外分
光器の測定分解能の限界、および、赤外光領域における
熱ノイズ(雑音)の影響により、極値を観測することで
きるのは最大値の1%程度であり、通常は、数%程度で
信号/雑音比(S/N比)が取れなくなってしまう。その
ため層数15以上の多層膜において、透過率が赤外分光
器の安定測定範囲(図7に示す)の限界に近づき、λ0
/4の光学的膜厚を判定することが困難となる。このこ
とは、1枚のモニタ基板で精度よくモニタリングできる
のは、15層程度が限界であり、それ以上の多層膜を堆
積するためには、膜厚モニタリング用モニタ基板を新し
いものと交換する必要があることを示している。
対して透過率または反射率の変化を示した場合、上記光
学的膜厚がλ0/4の整数倍の時に、設計波数κ0を中
心に対称となることを利用する。設計波数κ0を中心と
して、等間隔離れた任意の波数の対(たとえば、これら
をκ1とκ2とし、これらに対応する波長をλ1とλ 2
とする)について観測すると、光学的膜厚がλ0/4に
なるごとにλ1、λ2における透過率または反射率は等
しくなる。従って、観測している波長λ1とλ 2におけ
る透過率または反射率が等しくなるたびに、堆積する膜
種を切替えて、高屈折率膜と低屈折率膜を堆積すること
で、各屈折率膜にとって光学的膜厚がλ 0/4の多層膜
を形成することができる。
47の石英とし、高屈折率膜として屈折率が2.14の
Ta2O5を、低屈折率膜として屈折率が1.48のS
iO2を、それぞれ、用いた場合の、任意の波長の対の
一例における透過率差の膜厚依存性を図8に示す。但
し、設計波長λ0は1550nmで、設計波数κ0は6
451cm−1で、波長分解能は3nmとした。任意に
とれる波長の対(但し、1/λ1 +1/λ2 =κ1+κ
2=2κ0 =2/λ0が成立するものとする)を、ここ
では、図8中に示すように、λ1:2188nm
(κ1:4570cm−1)、λ2:1200nm(κ
2:8333cm−1)とした。1層目から7層目まで
は、透過率差((波数κ1における透過率)−(波数κ
2における透過率)、図8における縦軸)は周期的に変
化し、光学的膜厚がλ0/4の時に透過率差が0となる
のを観測し、その時に膜種を切替えることで、膜厚を制
御しながら多層膜を堆積することができる。
層目の堆積時に急激に透過率差が小さくなると同時に透
過率差が0にならず、膜厚モニタリングができなくな
る。これは、赤外分光器の波長分解能と測定感度の問題
であり、1200nmから2188nmの範囲では波長
分解能と測定感度を両立する分光器を入手するのは現在
においても困難である。このことは、8層以上の多層膜
を形成するためには、モニタ基板を交換しながら層を堆
積する必要があることを示している。
50nmを中心とした1260nmから1675nmの
赤外光領域にある、として設計されたデバイスを用い
る。そのため、単色測光法と二色測光法ともに赤外光領
域での測光で行われる。しかし、赤外分光器は、一般的
に熱ノイズの影響が大きく、1nm以下の波長分解能を
得ることが困難である。より高い分解能が得られるグレ
ーティングを用いた測光方法は、測定速度が遅く、か
つ、駆動部を有するために、長時間となる多層膜の堆積
の間、安定して測光することは難しい。また、CCDを
用いた測光方法では、測定速度は高速だが、波長分解能
がCCDの素子分解能に支配されてしまい、1nm以下
の波長分解能を実現することは難しい。あえて高精度で
リアルタイムに測光できるシステムを作ったとしても、
かなり高価なものになってしまう。
波長領域にある多層膜を作製する際の、従来の単色測光
法による膜厚モニタリングにおいては、上記のように、
層数が増加するにつれて透過率は減少してゆき、層数1
5以上の多層膜において、透過率が赤外分光器の安定測
定範囲(図7に示す)の限界に近づき、λ0/4の光学
的膜厚を判定することが困難となる。このことは、1枚
のモニタ基板で精度よくモニタリングできるのは、15
層程度が限界であり、それ以上の多層膜を堆積するため
には、膜厚モニタリング用モニタ基板を新しいものと交
換する必要があることを意味する。このようなモニタ基
板の交換は、多層膜作製効率の低下を招くので、多層膜
作製上の問題となる。
層膜を作製する際の、従来の二色測光法による膜厚モニ
タリングにおいては、例えば、図8において、7層目と
8層目の堆積時に急激に透過率差が小さくなると同時に
透過率差が0にならず、膜厚をモニタリングできなくな
るという問題が生じ、これは、赤外分光器の波長分解能
と測定感度の問題であり、1200nmから2188n
mの範囲では波長分解能と測定感度を両立する分光器を
入手するのは現在においても困難である。このことは、
8層以上の多層膜を形成するためには、モニタ基板を交
換しながら層を堆積する必要があることを示している。
信(DWDM通信)に用いる合波フィルタや分波フィル
タに応用される多層膜の層数は数十層から数百層と非常
に多くなり、膜厚や膜質の均一性もこれまで以上に高精
度なものが要求されるようになってきている。
基板交換の問題点や膜厚や膜質の均一性の高精度化の課
題を解決し、λ0を設計波長とする多層膜の光学的膜厚
をλ 0/4の整数倍に制御することを可能とする膜厚モ
ニタリング装置および方法を実現することを目的とす
る。
に、本発明においては、請求項1に記載のように、基板
上に形成され、可視光波長λVの3以上の奇数倍の波長
λ0を設計波長とする多層膜の上に重ねて形成された誘
電体膜の膜厚をモニタリングする膜厚モニタリング装置
であって、光源と、前記光源からの、波長λVを含む可
視光領域の波長の可視光を前記基板と前記多層膜と前記
誘電体膜との合体物に照射する光照射部と、前記照射に
よって生じる前記合体物からの透過光または反射光の単
数または複数の可視光波長における光の強度を測定する
光測定部と、前記光測定部の出力である前記光の強度の
データを用いて、前記誘電体膜の膜厚が、波長λ0を設
計波長とする多層膜の構成要素である誘電体膜の膜厚と
して適当であるか否かを判別する演算処理手段とを有す
ることを特徴とする膜厚モニタリング装置を構成する。
のように、基板上に形成され、可視光波長λVの3以上
の奇数倍の波長λ0を設計波長とする多層膜の上に重ね
て形成された誘電体膜の膜厚をモニタリングする膜厚モ
ニタリング方法であって、光源からの、波長λVを含む
可視光領域の波長の可視光を前記基板と前記多層膜と前
記誘電体膜との合体物に照射し、前記照射によって生じ
る前記合体物からの透過光または反射光の単数または複
数の可視光波長における光の強度を測定し、前記測定に
よって得られる光の強度のデータを用いて、前記誘電体
膜の膜厚が、波長λ0を設計波長とする多層膜の構成要
素である誘電体膜の膜厚として適当であるか否かを判別
することを特徴とする膜厚モニタリング方法を構成す
る。
のように、前記光の強度のデータを用いて、前記合体物
の、波数1/λVよりもΔκだけ小さい波数κ1におけ
る前記合体物の透過率T(κ1)と波数1/λVよりもΔ
κだけ大きい波数κ2における前記合体物の透過率T
(κ2)とを求め、T(κ1)とT(κ2)とが、測定誤差に
起因する誤差範囲内において、等しいか否かによって、
前記誘電体膜の膜厚が、波長λ0を設計波長とする多層
膜の構成要素である誘電体膜の膜厚として適当であるか
否かを判別することを特徴とする請求項2に記載の膜厚
モニタリング方法を構成する。
置および方法が、従来の単色測光法と二色測光法と大き
く異なる点は、膜厚モニタリングに用いる光の波長にあ
る。
設計波長λ0の光を膜厚モニタリングに用いるのに対し
て、本発明においては、設計波長λ0の3以上の奇数分
の1の波長λV(波数1/λVは波数1/λ0の3以上の
奇数倍)を含む可視光領域の波長の光を膜厚モニタリン
グに用いる。
波長λ0を挟んで、λ0よりも短い波長の光とλ0より
も長い波長の光とを膜厚モニタリングに用いるのに対し
て、本発明に係る膜厚モニタリング装置および方法おい
ては、2波長における光の透過率を膜厚モニタリングに
用いる場合にも、その2つの波長は、波数1/λ0の3
以上の奇数倍の波数1/λVを含む可視光領域の波数に
対応する波長であり、必ず、設計波長λ0よりも小さ
く、λ0を挟むことはない。
測光法において膜厚モニタリングに用いる光の波長は、
本発明に係る膜厚モニタリング装置および方法において
用いる光の波長のおよそ、3以上の奇数倍であり、本発
明に係る膜厚モニタリング装置および方法において用い
る光の波長が可視光領域にあるので、同じ多層膜の膜厚
モニタリングを行う従来の単色測光法および二色測光法
において膜厚モニタリングに用いる光の波長は赤外領域
にあることになる。
長分解能で測定可能であり、しかも比較的安価な可視光
分光光度計を用いることができるので、設計波長λ0が
赤外領域にある、層数の多い多層膜の膜厚モニタリング
が本発明に係る膜厚モニタリング装置および方法によっ
て可能となる。
視光波長λVの3以上の奇数倍の波長λ0を設計波長と
する多層膜の上に重ねて形成された誘電体膜の膜厚をモ
ニタリングする膜厚モニタリング装置であって、光源
と、前記光源からの可視光を前記基板と前記多層膜と前
記誘電体膜との合体物に照射する光照射部と、前記照射
によって生じる前記合体物からの透過光または反射光の
単数または複数の可視光波長における光の強度を測定す
る光測定部と、前記光測定部の出力である前記光の強度
のデータを用いて、前記誘電体膜の膜厚が、波長λ0を
設計波長とする多層膜の構成要素である誘電体膜の膜厚
として適当であるか否かを判別する演算処理手段とを有
する膜厚モニタリング装置を構成する。ここで、「誘電
体膜の膜厚が、波長λ0を設計波長とする多層膜の構成
要素である誘電体膜の膜厚として適当であるか否か」
は、その誘電体膜の光学的膜厚(屈折率×膜厚)がλ0
/4の整数倍に、測定誤差に起因する誤差の範囲内で、
等しいか否か、を意味する。
れ、可視光波長λVの3以上の奇数倍の波長λ0を設計
波長とする多層膜の上に重ねて形成された誘電体膜の膜
厚をモニタリングする膜厚モニタリング方法であって、
光源からの可視光を前記基板と前記多層膜と前記誘電体
膜との合体物に照射し、前記照射によって生じる前記合
体物からの透過光または反射光の単数または複数の可視
光波長における光の強度を測定し、前記測定によって得
られる光の強度のデータを用いて、前記誘電体膜の膜厚
が、波長λ0を設計波長とする多層膜の構成要素である
誘電体膜の膜厚として適当であるか否かを判別する膜厚
モニタリング方法を構成する。ここで、「誘電体膜の膜
厚が、波長λ0を設計波長とする多層膜の構成要素であ
る誘電体膜の膜厚として適当であるか否か」は、その誘
電体膜の光学的膜厚(屈折率×膜厚)がλ0/4の整数
倍に、測定誤差に起因する誤差の範囲内で、等しいか否
か、を意味する。この膜厚モニタリング方法は、上記
の、本発明に係る膜厚モニタリング装置によって実行す
ることができる。
設計波長とする多層膜の構成要素である誘電体膜の膜厚
として適当であるか否か」を判別する方法として、上記
測定によって得られる光の強度のデータを用いて、単数
または複数の可視光波長における上記多層膜と上記誘電
体膜とを合わせたものの透過率または反射率の測定値を
算出し、その値を、それに対応する、あらかじめ理論計
算によって求められている計算値と比較する方法があ
る。すなわち、理想的な多層膜の可視光波長領域におけ
る分光透過率(図6に例示)または分光反射率は、多層
膜の構成材料と層構成とを決めれば、理論計算によって
求めることができる。そこで、そのような理論計算によ
って求めた多層膜の分光透過率または分光反射率を層構
成の関数として、上記の演算処理手段に記憶させてお
き、上記の測定および演算によって得た、単数または複
数の可視光波長における透過率または反射率の測定値
が、それぞれに対応する計算値と、測定誤差に起因する
誤差の範囲内で一致するか否かによって、上記誘電体膜
の膜厚が、波長λ0を設計波長とする多層膜の構成要素
である誘電体膜の膜厚として適当であるか否かを判別す
ることができる。数値比較に用いる測定値の個数が多け
れば、それだけ、判別の精度を高くすることができる。
また、測定値を取得する時の可視光波長としては、測定
値が精度良く求められる波長を選ぶことができる。
ングステンランプ等が用いられる。
する光照射部としては、光ファイバーを用いることがで
きる。光ファイバーは上記合体物からの透過光または反
射光を上記の光測定部に導く手段としても利用される。
る。この分光器は、上記合体物の可視光域における単数
または複数の波長における光の強度を測定する。
ソナルコンピュータ等の演算器を用いることができる。
この演算処理手段によって、上記の光測定部の出力であ
る、単数または複数の波長における光の強度のデータ
は、あらかじめ取得し記憶されている参照データで規格
化されて、分光透過率または分光反射率のデータに変換
される。
測光が難しい赤外光領域の測光ではなく、設計波数の3
以上の奇数倍である波数を中心とした可視光領域におけ
る単数または複数の波長における光の強度の測定によっ
て、赤外光領域の波長を設計波長とする多層膜の膜厚モ
ニタリングを行うことができる。この場合に、安価で、
高信頼・高精度の可視光領域の分光器を使用することが
でき、膜厚モニタリングを高精度で行うことができる。
膜の成膜装置内に組み込まれて使用された場合に、その
効果を発揮する。
に波長λ0を設計波長とする多層膜が形成される成膜工
程中、上記の誘電体膜に該当する、最上層の高屈折率膜
(H膜)または低屈折率膜(L膜)の膜厚が膜厚モニタ
リング装置によってモニタリングされ、その膜厚が適当
であると判定された時点で、その膜の成膜は中止され、
他の膜種の成膜が開始されるか、または、多層膜成膜工
程が終了する。
お、実施例は一つの例示であって、本発明の精神を逸脱
しない範囲で主旨の変更あるいは改良を行い得ることは
言及するまでもない。
例を示す。図中、1は成膜室2内の基板3上に成膜を行
う成膜装置であり、4は基板3上に膜物質をスパッタす
るECRスパッタ源であり、5は基板3に可視光を投光
するための光源であり、6は光源5からの光を基板4に
照射する光照射部である光源用光ファイバであり、7は
光を成膜室2内に導入するための真空封止用窓であり、
8は基板3を透過した光を空気中に取り出すための真空
封止用窓であり、9は透過光を可視光分光器10に導く
ための光ファイバであり、可視光分光器10は請求項1
に記載の光測定部に該当し、透過光の単数または複数の
可視光波長における強度を計測する。11は、可視光分
光器10の出力である前記光の強度のデータを用いて、
成膜中の誘電体膜の膜厚が、波長λ0を設計波長とする
多層膜の構成要素である誘電体膜の膜厚として適当であ
るか否かを判別する演算処理手段である演算器である。
光源5と光ファイバ6と光ファイバ9と可視光分光器1
0と演算器11とが請求項1に記載の膜厚モニタリング
装置に該当し、基板3は請求項1および2に記載の合体
物に該当する。
鳴スパッタ(ECRスパッタ)源4を用いる手段を図に
示しているが、言及するまでもなく、他の成膜手段、例
えば、高周波バイアススパッタ装置(RFバイアススパ
ッタ装置)、マグネトロンスパッタ装置、抵抗加熱蒸着
装置、プラズマ化学気相堆積装置(プラズマCVD装
置)、分子線ビーム成長装置(MBE装置)、原子層成
長装置(ALE装置およびALD装置)、有機金属熱分
解堆積装置(MOCVD装置)等を用いても良い。
の透過スペクトルを測定できるように、基板に対して斜
めにECRスパッタ源4を配置してある。基板3上での
膜の均一性を向上するために基板3を成膜中に回転でき
る構造とした。
いて、基板3上に、ECRスパッタ源4からのスパッタ
によって誘電体膜(H膜とL膜)が形成され、光源5か
らの可視光は光ファイバ6を通り、成膜装置1の窓7を
通って、基板3に垂直に入射し、基板3を透過した光は
窓8を通り、光ファイバ9を通って、可視光分光器10
に入り、可視光分光器10によって単数または複数の波
長における透過光の強度が計測され、可視光分光器10
の出力である透過光の強度のデータが演算器11に入力
される。この場合に、成膜中のH膜またはL膜は請求項
1および2に記載の誘電体膜に該当する。
ロゲンランプを用いているが、赤外領域に対する発光の
強度の安定性にくらべて、可視光領域では容易に比較的
平坦な発光スペクトルが得られるため、安価に光源を得
ることができる。また、可視光領域では、ハロゲンラン
プよりも高安定な発光強度が得られるキセノンランプや
タングステンランプ等も使用できる。
めに、また、透過光を分光器に導くために光ファイバ
6、9を用いているが、反射ミラーやハーフミラー等を
用いた光学系を用いても良い。
度・高速に、かつ、安価なシステムが提供されている可
視光分光器を用い、図6中の可視光領域に出現する設計
波長1550nmに相当する設計波数6451cm−1
の3倍にあたる波数19354cm−1(波長516n
m)を含む、300nmから800nmの領域の分光ス
ペクトルを観測できるようにした。測定波長分解能は、
0.1nmであった。
I標準のI/Oバスである小規模コンピュータシステム
インターフェイス(SCSI)を使用して演算器にデー
タ転送を行った。演算器としては、汎用のパーソナルコ
ンピュータを用いているが、専用の演算回路を有する装
置を作成して使用しても良い。また、インターフェイス
もSCSIに限定するものではなく、シリアル、US
B、IEEE1394、光ファイバリンク等の方法でも
良い。転送されたデータは、演算器上で成膜前に取得し
た参照データで規格化を行い透過率のスペクトルを取得
する。さらに、その透過率スペクトルを差分法、最小二
乗法や微分法等の数値処理を行うことにより、成膜中の
膜の膜厚が、多層膜の構成要素である膜の膜厚として適
当であるか否かを判別し、その判別結果によって膜厚制
御(成膜を続けるか、膜種を切替えるか、等)を行うた
めの信号を得る構成とした。
の一例を以下に説明する。
し、高屈折率膜として屈折率が2.14のTa2O5、
低屈折率膜として屈折率が1.48のSiO2を用い、
高屈折率膜と低屈折率膜の対を26層堆積した場合の、
設計波数(1/設計波長)の3倍に当たる波数における
透過率の堆積膜厚依存性の計算結果を示す。但し、設計
波長λ0は1550nm、設計波数κ0は6451cm
−1であり、計算に用いた、設計波数の3倍に当たる波
数は19361cm−1(波長は516nm)であり、
波長分解能は1nmであるとした。Ta2O5の光学的
膜厚λ0に対応する膜厚(λ0/2.14)は724nm
であり、光学的膜厚λ0/4に相当する膜厚は181n
mとなり、SiO2の光学的膜厚λ0に対応する膜厚
(λ0/1.48)は1047nmであり、光学的膜厚λ
0/4に相当する膜厚は261nmとなる。
数における透過率は、堆積膜厚が増加するに従って、高
屈折率膜の堆積で減少し、低屈折率膜の堆積で増加する
という周期的変化を示すが、層数が増加するにつれて透
過率は減少してゆくことがわかる。しかし、可視光分光
器の測定分解限界は、赤外光領域における測定よりノイ
ズの影響を受けにくく、赤外分光器の測定分解限界の
0.01%程度であるため、25層程度の多層膜の堆積
において膜厚を判定することが可能となる。堆積中の膜
の光学的膜厚がλ0/4の整数倍になったか否かの判別
は、上記の透過率が、あらかじめ計算してある数値と一
致するか否か、あるいは、時間に対して極値に達したか
否かによって行うことができる。
率分光スペクトルに変換するための参照光を成膜途中で
定期的に取得できるように、光源からの光を2分岐光フ
ァイバ12と切替器13により直接、可視光分光器10
に取り込める構成を示す。この構成を用いることで長時
間の成膜を行う場合でも、光源の出力を定期的に測定し
て、その変動を校正できるため、より正確な測定が可能
となる。
す。装置の構成は第1の実施例と同じである。
折率膜として屈折率が2.14のTa 2O5を、低屈折
率膜として屈折率が1.48のSiO2を用いた場合の
設計波数の3倍に当たる波数を中心対称とした、波長の
対の透過率差の膜厚依存性を図10に示す。但し、設計
波長λ0は1550nm、設計波数κ0は6451cm
−1であり、設計波数κ0の3倍に当たる波数は193
61cm−1(波長は516nm)であり、波長分解能
は1nmであるとした。波数の対をλ1:471nmと
λ2:570nmとした。この対を波数で表すとκ1:
21231cm− 1とκ2:17543cm−1とな
る。このκ1とκ2とは、設計波数κ0の3倍に当たる
波数(19361cm−1)を中心として、対称の位置
にある(すなわち、κ1+κ2=6κ0を満足する)。
このような条件を満足する限り、波数の対(波長の対と
いい換えてもよい)は任意にとってよい。
は、透過率差、すなわち、波数κ1における透過率−波
数κ2における透過率(縦軸の値)は堆積膜厚の増加と
ともに、0を中心として周期的に変化し、堆積多層膜の
光学的膜厚がλ0/4の整数倍の時に0となるので、透
過率差が0となるのを観測することによって、膜厚をモ
ニタリングでき、その結果によって膜厚を制御しなが
ら、多層膜を堆積することができる。
と同様に、7層目と8層目の堆積時に急激に透過率差が
小さくなる現象はあるが、分光器の波長分解能と感度が
高く設定できるために、透過率差の0を高精度で観測で
きる。この急に透過率差が小さくなる現象は、周期的に
みられるが、このことによって膜厚をモニタリングでき
なくなることはない。そのため、30層以上の多層膜に
おいても、膜厚のモニタリングと制御とが可能となる。
ものとして示したが、実際には、誘電体の屈折率には波
長依存性が存在し、λ0とλVの付近の屈折率が異なる
場合が有る。そのため、設計波長λ0からずれた多層膜
が形成される場合がある。このような場合には、予め誘
電体の屈折率の波長依存性を分光エリプソメータ等で測
定し、その数値をもとに、シミュレーションによる事前
比較を実施して実際の測定に反映することで、設計波長
λ0の多層膜を得ることが可能となる。
発明の第3の実施例を示す。基板3上に成膜を行う成膜
装置1、基板3に可視光を投光するための光源5、光投
光用光ファイバ6と可視光を成膜室2内に導入するため
の真空封止用窓7を含む投光部、多層膜を堆積する基体
となり可視光領域で適当な反射率を示す基板3と、基板
3で反射した光を可視光分光器10に導くためのハーフ
ミラ14ーと光ファイバ9を含む受光部と、受光部で受
けた光を分光スペクトルとして測光する可視光分光器1
0からなる光測定部と、可視光分光器10の出力である
前記光の強度のデータを用いて、成膜中の誘電体膜の膜
厚が、波長λ0を設計波長とする多層膜の構成要素であ
る誘電体膜の膜厚として適当であるか否かを判別する演
算処理手段である演算器11とからなる。
領域の光を透過しないシリコン基板等の不透明基板上へ
の成膜でも膜厚の制御が可能となる。
=1−(反射率)の式より、透過率として扱うことがで
きるので、実施例1と同様の手順で、膜厚のモニタリン
グおよび制御が可能となる。
率分光スペクトルに変換するための参照光を成膜途中で
定期的に取得できるように、光源からの光を2分岐光フ
ァイバ12と切替器13により直接、可視光分光器10
に取り込める構成を示す。この構成を用いることで長時
間の成膜を行う場合でも、光源の出力を定期的に測定し
て、その変動を校正できるため、より正確な測定が可能
となる。
り、従来技術のように高精度測光が難しい赤外光領域の
測光ではなく、安価で、高信頼・高精度の可視光領域の
分光器を使用する可視光領域の測光手段を用い、設計波
数の3以上の奇数倍に当たる波数またはその波数を中心
とする可視光波数域における光の透過率または反射率を
測光および演算によって求め、求めた値を用いて光学的
膜厚の膜厚モニタリングを高精度で行うという優れた効
果が得られる。
数が数十層から数百層の、λ0を設計波長とする多層膜
の光学的膜厚をλ0/4の整数倍に制御することを可能
とする膜厚モニタリング装置および方法を実現すること
が可能となる。
モニタ基板交換の問題点や膜厚や膜質の均一性の高精度
化の課題を解決し、λ0を設計波長とする多層膜の光学
的膜厚をλ0/4の整数倍に制御することを可能とする
膜厚モニタリング装置および方法を実現することが可能
となる。
うに、2分岐ファイバと切替器を用いた構成図である。
うに、2分岐ファイバと切替器を用いた構成図である。
す図である。
トルを示す図である。
す図である。
示す図である。
波数の透過率の膜厚依存性を示す図である。
る波数を中心とした任意の波数の対の透過率差の膜厚依
存性を示す図である。
ッタ源、5…光源、6…光ファイバ、7、8…窓、9…
光ファイバ、10…可視光分光器、11…演算器、12
…2分岐光ファイバ、13…切替器、14…ハーフミラ
ー。
Claims (3)
- 【請求項1】基板上に形成され、可視光波長λVの3以
上の奇数倍の波長λ0を設計波長とする多層膜の上に重
ねて形成された誘電体膜の膜厚をモニタリングする膜厚
モニタリング装置であって、光源と、前記光源からの、
波長λVを含む可視光領域の波長の可視光を前記基板と
前記多層膜と前記誘電体膜との合体物に照射する光照射
部と、前記照射によって生じる前記合体物からの透過光
または反射光の単数または複数の可視光波長における光
の強度を測定する光測定部と、前記光測定部の出力であ
る前記光の強度のデータを用いて、前記誘電体膜の膜厚
が、波長λ0を設計波長とする多層膜の構成要素である
誘電体膜の膜厚として適当であるか否かを判別する演算
処理手段とを有することを特徴とする膜厚モニタリング
装置。 - 【請求項2】基板上に形成され、可視光波長λVの3以
上の奇数倍の波長λ0を設計波長とする多層膜の上に重
ねて形成された誘電体膜の膜厚をモニタリングする膜厚
モニタリング方法であって、光源からの、波長λVを含
む可視光領域の波長の可視光を前記基板と前記多層膜と
前記誘電体膜との合体物に照射し、前記照射によって生
じる前記合体物からの透過光または反射光の単数または
複数の可視光波長における光の強度を測定し、前記測定
によって得られる光の強度のデータを用いて、前記誘電
体膜の膜厚が、波長λ0を設計波長とする多層膜の構成
要素である誘電体膜の膜厚として適当であるか否かを判
別することを特徴とする膜厚モニタリング方法。 - 【請求項3】前記光の強度のデータを用いて、前記合体
物の、波数1/λVよりもΔκだけ小さい波数κ1にお
ける前記合体物の透過率T(κ1)と波数1/λVよりも
Δκだけ大きい波数κ2における前記合体物の透過率T
(κ2)とを求め、T(κ1)とT(κ2)とが、測定誤差に
起因する誤差範囲内において、等しいか否かによって、
前記誘電体膜の膜厚が、波長λ0を設計波長とする多層
膜の構成要素である誘電体膜の膜厚として適当であるか
否かを判別することを特徴とする請求項2に記載の膜厚
モニタリング方法。
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JP2006009099A (ja) * | 2004-06-25 | 2006-01-12 | Asahi Glass Co Ltd | 膜厚制御方法及び装置、並びに光学多層膜の製造方法 |
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JP2021031693A (ja) * | 2019-08-19 | 2021-03-01 | 株式会社オプトラン | 光学膜厚制御装置、薄膜形成装置、光学膜厚制御方法および薄膜形成方法 |
-
2001
- 2001-10-15 JP JP2001316324A patent/JP3737408B2/ja not_active Expired - Lifetime
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