JP7303701B2 - 光学膜厚制御装置、薄膜形成装置、光学膜厚制御方法および薄膜形成方法 - Google Patents
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Description
たとえば、DWDM(Dense Wavelength Division Multiplexing: 高密度波長分割多重)通信方式の光通信などに用いられる狭帯域バンドパスフィルタ(以下NBPフィルタとも称する)は、光学基板上に光学多層膜が形成された構成を有し、高い波長選択性と、選択されていない波長領域の光の高い反射性および選択された波長領域の高い透過性などが求められている。
たとえば、NBPフィルタは、石英ガラスなどの光学基板上に、厚さ220~235nmのTa2O5の薄膜と、厚さ250~260nmのSiO2の薄膜を交互に80~260層積層した光学多層膜が形成されている。
光学多層膜を構成する各薄膜は、所定の光学膜厚を有するように形成されている。光学膜厚は、薄膜の物理的な膜厚と薄膜の屈折率の積で定義され、光学多層膜に所望される光学特性を満たすための重要な要素である。
薄膜の屈折率は薄膜を構成する元素の種類と組成に依存するため、たとえば薄膜を真空蒸着により形成する場合には、真空蒸着源の組成を適宜選択することで所望の屈折率の薄膜を形成することができる。
また、上記の構成の光学多層膜において所望の光学膜厚を得るために、各薄膜の物理的な膜厚の精度として設計値からの誤差を0.1%以下に抑えることが求められている。たとえば特許文献1~4に、直接型あるいは間接型光学膜厚モニタ法により、薄膜の物理的な膜厚を監視しながら形成する方法が開示されている。
成膜対象基板を透過したモニタ光を受光して膜厚をモニタすることから、直接型の膜厚モニタ方法と称する。
モニタ基板からの反射光の変化から成膜対象基板上の薄膜の膜厚を推定してモニタするものであることから、間接型の膜厚モニタ方法と称する。
・設計上の屈折率と実際の屈折率の不一致、
・成膜レートの変動、
・透過率測定の誤差、
・ノイズによるランダムエラー(random error)、
・振動や、成膜時の熱による基板の湾曲等に伴う、測定上の透過率のシステマティックエラー(systematic error)、
・膜の吸収による透過率低下、
等の誤差要因が存在する。
従来、一般的に良く使用される比例制御では、ピーク(Peak)透過率と停止時透過率の比(Final Swing)を成膜停止判断に使用するが、この値が大き過ぎても小さ過ぎても膜厚誤差が大きくなる難点がある。このため、膜設計や制御波長の選択等に制限を受ける。
成膜の途中の層で膜厚の誤差が生じた際、従来、これを補正するように次層以降の膜厚にフィードバック(Feedback)を掛ける手段がない。
[真空成膜装置の構成]
図1は、本発明の第1の実施形態に係る光学膜厚制御装置を採用した真空成膜装置であるイオンビームアシスト真空蒸着装置を模式的に示す構成図である。
第1蒸着材料21はたとえばSiO2であり、第2蒸着材料23はたとえばTiO2あるいはTa2O5である。
各真空蒸着源21,22には、たとえば不図示の抵抗加熱、電子ビーム加熱、レーザービーム加熱、電子銃などの加熱手段が設けられており、真空蒸発源において蒸着材料が加熱されて気化すると蒸着材料の蒸気が噴出する。
たとえば、基板ホルダ31は、真空チャンバ10の上方からホルダ支持部32により支持されている。
3つの真空蒸着源を用いる場合、たとえば第1蒸着材料はSiO2であり、第2蒸着材料はSi3N4であり、第3蒸着材料はa-SiN:Hである。
図2(A)は蒸着材料として2物質を使用した場合の例を、図2(B)は蒸着材料を3物質を使用した場合の例を示している。
たとえば、光学ガラス基板により形成される成膜対象基板30上にSiO2/TiO2を交互に66層積層してNBPフィルタが作製される。たとえば、透過帯の中心波長は827nmであり、帯域幅は12nm以下である。
たとえば、光学ガラス基板により形成される成膜対象基板30上にSiO2/Si3N4/a-SiN:Hを交互に66層積層してBPフィルタが作製される。たとえば、透過帯の中心波長は940nmである。
イオンソース23からイオンを成膜対象基板30の膜形成面に照射することで、成膜材料供給部20から供給される蒸着物質により成膜されて膜厚が厚くなるプロセスと、既に成膜された膜の表面近傍の一部領域が、イオンソース23から照射されるイオンによりスパッタされて膜厚が薄くなるプロセスとを同時に進行させながら成膜できる。
このとき、成膜対象基板30面内において、成膜材料供給部20から供給される成膜物質の密度分布に依存して膜厚差が生じる場合には、その膜厚差を打ち消すような条件でイオンソース23から照射されるイオンによるスパッタを行うことで、均一な面内膜厚分布をもつ多層膜が得ることができる。
投光部40は、真空チャンバ10の外部に設置され、成膜対象基板30にモニタ光Lを投光する投光ヘッドとしての光源41を含んで構成されている。光源40としては、たとえばハロゲンランプを用いることができる。
受光部50は、たとえば真空チャンバ10内に設けられ、成膜対象基板および成膜中の薄膜、多層膜を透過したモニタ光Lを受光する受光部の受光ヘッドとしての受光レンズ51と、受光レンズ51で受光されたモニタ光を分光する分光光度計からなる分光部52と、分光部52で分光された光を検出する光検出部53と、受光レンズ51で受光したモニタ光Lを分光部52に伝達する光ファイバなどの受光光学系54などから構成される。
成膜対象基板30を透過したモニタ光Lが受光レンズ51で受光され、受光光学系54により分光部52に伝達されて分光され、分光されたモニタ光が光検出部53で検出される。
成膜対象基板30を透過したモニタ光Lを分光部52で分光し、分光された光を、受光画素がマトリクス状に配置された光検出部53で検出して受光信号SRを出力する。光検出部53はモニタ光の連続スペクトルを取得することができ、すなわち、モニタ光を多波長で検出することができる。
制御部60は、受光信号SRを信号処理して成膜対象基板30の光透過率を取得する。また、上記のようにモニタ光の連続スペクトルを取得することで、成膜対象基板30の光透過スペクトルを取得する。
制御部60は、得られた光透過率あるいは光透過スペクトルから、所望の光学特性が得られるように成膜条件を変更するように成膜途中においてフィードバックすることができる。
図3は、本実施形態に係る光学膜厚制御に関連する等価膜、反射振幅等の用語とフィッティング関数のパラメータについて説明するための図である。
パラメータrは等価膜330と現在層340の間の(等価)反射振幅を示す。
パラメータr0は現在層340と空気(真空)との間の(現在)反射振幅を示す。
ここで、ωt=4πnd / λ の関係がある。nは屈折率を、dは物理膜厚を、λは監視波長を表している。
パラメータΨは比例定数を示し、膜の吸収や透過率測定の系統誤差(それらが無ければ1になる値)を表現している。
図4において、縦軸が透過率を、横軸が時間を表している。
また、図4において、FCが現在層のフィッティング関数によるフィッティング曲線を示し、MFが透過率変化の測定値データを示している。
すなわち、制御部60は、決定した物理パラメータr,ω,Ψ,φ0とあらかじめ設定された理論値(目標値、設計値)と一致するように現在層の停止時間を決定し、停止時間に成膜を停止する。
なお、本実施形態において、成膜物質の物性は屈折率n(またはN)を含む。
具体的には、既に成膜した層までの特性マトリクスを再計算している。
そして、制御部60は、上記から、制御に用いる設計上の少なくとも反射振幅r,r0、位相δ、光学膜厚ndのうちの少なくとも一つを再計算して成膜停止時間t_stopを修正する。
図5において、縦軸が屈折率を表し、横軸が温度を表している。図5において、Aで示す曲線が波長λが632.8nm時の屈折率特性を、Bで示す曲線が波長λが752.0nm時の屈折率特性を示している。
図6は、a-siサンプルの温度依存性としての吸収(消衰)係数特性を示す図である。図6において、縦軸が吸収(消衰)係数を、横軸が温度を表している。図6において、Cで示す曲線が波長λが632.8nm時の吸収(消衰)特性を、Dで示す曲線が波長λが752.0nm時の吸収(消衰)特性を示している。
"Temperature dependence of optical properties for amorphous silicon at wavelengths of 632.8 and 752 nm," Opt. Lett. 18, 540-542 (1993)
n(T)=4.19-1.43×10-4T
で表すことができる。
波長λが632.8nm時の吸収係数k(T)は、温度計数Tを用いて、
k(T)=0.24+4.85×10-4T
で表すことができる。
n(T)=3.92+2.71×10-4T
で表すことができる。
波長λが632.8nm時の吸収係数k(T)は、温度計数Tを用いて、
k(T)=2.59×10-2+2.25×10-4T
で表すことができる。
これに対して、本実施形態の真空蒸着装置1における成膜中の温度およびそのバラツキは典型的に数十°C~数百°Cである。
つまり、成膜時の屈折率の温度変化が10-2程度あり、光学制御上や製品の再現性確保にとって無視することができない。
そこで、本第1の実施形態においては、成膜中の基板温度を放射温度計70で測定し、制御部60がその結果を用いて成膜制御の光学制御に補正を掛ける構成を採用した。
図7は、本第1の実施形態に係るフィッティング関数によるフィッティング曲線と透過率変化の測定値データと次層の予測曲線との関係の一例を示す図である。
図7において、縦軸が透過率を、横軸が時間を表している。
また、図7において、FCが現在層のフィッティング関数によるフィッティング曲線を示し、MFが透過率変化の測定値データを示し、NPが次層の予測曲線を示している。
図8は、本第1の実施形態に係る真空蒸着装置1における制御部60の光学膜厚制御動作について説明するためのフローチャートである。
そして、utはi層目の塗布開始から現在までの時間t_currentにある程度の許容時間を与えるための単位時間を示している。たとえば1回の投光時間(または測定時間)が単位時間utとして採用される。
δ_designが最適停止位相を示し、これは光学理論による膜設計から計算される。
次に、たとえば、成膜対象基板30を透過したモニタ光Lを受光して受光信号SRを取得する。
制御部60は、受光信号SRを信号処理して成膜中の成膜対象基板30の光透過率を取得する。
制御部60は、i層の膜形成開始から時間t currentを経過すると(ステップST3)、分光器52で測定した透過率の新しいデータポイントを追加する(ステップST4)。
具体的には、制御部60は、図7に示すように、実際の成膜中に透過率時間変化を逐次フィッティング(Fitting)を行い、角速度ωと初期位相φ0を決定する。実際は、物理パラメータr,ω,Ψ,φ0を決定し、更新する(ステップST5)。
具体的には、制御部60は、多層膜の膜設計に基づき、各層の停止時点での理論位相δ_designがあらかじめ与えられ、成膜中に受光信号SRに応じて透過率の時間変化をフィッティング関数に関連付けてフィッティングし、位相δの角速度ωと初期位相φ0を決定し、決定した成膜中の位相δ=ωt+φ0が、あらかじめ与えられた理論位相δ_designと一致する時間t stopで成膜を停止する。
ステップST9において、iが成膜すべき総レイヤー数であると判断した場合には、成膜処理を終了する。
ステップST9において、iが成膜すべき総レイヤー数でないと判断した場合には、iに+1してステップST1の処理から繰り返す。
図9は、トータル位相補償制御(TPC)と比較例としての時間制御と設計における3物質を使用した所定の中心波長を持つバンドパスフィルタ(BPF)の成膜例の波長と透過率との関係を示す特性図である。
図9は、a-Si:H/Si3N4/SiO2の3物質を使用した940nmのnon-QW設計のバンドパスフィルタ(Band Pass Filter)の成膜例の特性図を示している。
図9において、縦軸が透過率を、横軸が波長を表している。
また、図9において、AがTPC制御による特性曲線を示し、Bが時間制御による特性曲線を示し、Cが設計による特性曲線を示している。
屈折率等に何の調整も行わずにTPCで制御した結果、第1バッチ(1st batch)から既に設計に近い分布と中心波長を持つ。
残る中心波長シフトは蒸着物質の1つであるa-Si:Hの屈折率温度変化によるもので、中心波長のシフト幅は理論予想とほぼ一致する。
後述する温度補正機能を用いると、中心波長の設計値との一致はさらに改善する。
このように、TPCを適用することにより、細かな調整を必要とせず、設計に近いスペクトル(Spectrum)の成膜結果を得られることが実証できた。
図10は、本第1の実施形態に係る真空蒸着装置の制御部における光学膜厚制御の成膜物質の屈折率の温度変化に対する補正処理のシミュレーション動作について説明するためのフローチャートである。
レイヤー番号が最終のレイヤーのものでなければ(ステップST22)、モニタ光の投光時間を長くし(ステップST23)、基板温度を取得する(ステップST24)。ステップST24においては、成膜毎のダミー現在温度の計算を行う。
次に、温度に応じて屈折率Nを設定する(ステップST25)。
次に、堆積による最後の厚さの追加を行う(ステップST26)。
そして、特性マトリクスを再計算することによって透過率を計算する(ステップST27)。
次いで、入力透過率のためのSWM制御プロセスを行う(ステップST28)。
これらステップST27,ST28において、制御部60は、成膜物質ごとに設定した温度係数を基に、成膜中の屈折率を求め、膜設計上の物理膜厚と求めた成膜中の屈折率の値を用いて、多層膜の光学特性を再計算する。
そして、制御部60は、上記から、制御に用いる設計上の少なくとも反射振幅r,r0、位相δ、光学膜厚ndのうちの少なくとも一つを再計算して成膜停止時間t_stopを修正する。
レイヤー番号を増加させ(ステップST30)、Temp(温度)をTemp_in_SWMとする(ステップST31)。実際のコーティングの場合、「Temp_in_SWM」は放射温度計からの値に置き換えられる。
そして、Temp_in_SWMを使用してSWMでデザインを変更し(ステップST32)、ステップST22の処理に移行する。
そして、ステップST22において、最終レイヤーと判断した場合に、シミュレーションを終了する。
図11において、縦軸が透過率を、横軸が波長を表している。
図11(A)が温度補正処理がない場合のシミュレーション結果を示し、図11(B)が温度補正処理がある場合のシミュレーション結果を示している。
図中、Aで示す曲線が設計による特性曲線を、Bで示す曲線がシミュレーション結果の特性曲線を表している。
これに対して、屈折率温度変化を考慮して制御すると、成膜結果のスペクトル(Spectrum)がターゲットスペクトル(Target Spectrum)より短波長側にシフトすることなく、設計の特性曲線Aと一致しい、正しく補正されていることがわかる。
図12は、3つのサンプルの中心波長940nmのnon-QW設計BPFによるTPCの再現性のシミュレーション結果を示す図である。
図12において、縦軸が透過率を、横軸が波長を表している。
第1サンプルは中心波長が940.11nmで成膜温度が55~65°C、第2サンプルは中心波長が940.64nmで成膜温度が80°C前後、第3サンプルは中心波長が940.67nmで成膜温度が55~65°Cである。
図12中、Aで示す曲線が第1サンプルによる特性曲線を、Bで示す曲線が第2サンプルによる特性曲線を、Cで示す曲線が第3サンプルによる特性曲線をそれぞれ示している。
図13において、縦軸が透過率を、横軸が波長を表している。
図13中、Aで示す曲線が設計による特性曲線を、Bで示す曲線が温度補正処理のないTPCによる特性曲線を、Cで示す曲線が温度補正処理を伴うTPCによる特性曲線をそれぞれ示している。
また、温度補正処理を伴うTPCによる光学膜厚制御を行うことにより、入力屈折率値を微調整する必要がなく、厚み誤差に対する自己補正を行うことが可能となる。
測定された透過率の系統誤差に対してロバストとなる。
また、SiH(TC)の屈折率の熱光学依存性の補正はたとえば次のようになる。
SiH:dn/dT=~3 x 10-4[1 / K]
本第1の実施形態において、制御部60は、成膜中に透過率時間変化の測定値(データ)をフィッティング関数Tに関連付けてフィッティングし、成膜の途中の層で膜厚の誤差が生じた際、その誤差を補正するように次層以上の膜厚にフィードバックをかけるように制御する。
本第1の実施形態において、制御部60は、成膜中に透過率時間変化の測定値(データ)をフィッティング関数T(t)に関連付けてフィッティングし、成膜時の位相および等価反射振幅を含む物理パラメータr,ω,Ψ,φ0を決定し、決定した物理パラメータr,ω,Ψ,φ0を次の制御に利用する。
すなわち、制御部60は、決定した物理パラメータr,ω,Ψ,φ0とあらかじめ設定された目標値(設計値)と一致するように現在層の停止時間を決定し、停止時間に成膜を停止する。
すなわち、制御部60は、多層膜の膜設計に基づき、各層の停止時点での理論位相δ_designがあらかじめ与えられ、成膜中に受光信号SRに応じて透過率の時間変化をフィッティング関数T(t)に関連付けてフィッティングし、位相δの角速度ωと初期位相φ0を決定し、決定した成膜中の位相δ=ωt+φ0が、あらかじめ与えられた理論位相δ_designと一致する時間t stopで成膜を停止する。
位相情報のみ使用して振幅情報を使用しないため、透過率測定の系統誤差や膜の吸収、基板反り等の悪影響を抑制可能である。
前の層の膜厚誤差が存在しても、その悪影響を打ち消す方向に現在の膜厚が自動補正される。
設計上の屈折率に誤差があっても、光学膜厚ndは設計に一致する方向に膜厚が自動補正される(ωt=4πnd/λの関係より)。
従来の比例制御と異なり、任意の停止位置、監視波長で制御可能である。換言すると、ファイナルスウィング (Final Swing)等の制約を受けない。
レート変動があっても、フィッティング範囲を自動修正することで現在位相の決定精度を保つことが可能となり、レート変動への高い耐性を保持することが可能となる。
より具体的には、成膜時の成膜物質の物性(たとえば屈折率)の温度変化に対しても高精度な光学膜厚制御を実現することが可能となる。
図14は、本発明の第2の実施形態に係る光学膜厚制御装置を採用した真空成膜装置であるイオンビームアシスト真空蒸着装置を模式的に示す構成図である。
本第2の実施形態に係る真空蒸着装置1Aにおいては、真空チャンバ10A内に、成膜材料供給部20Aの複数の蒸着源を含む真空蒸発源21Aの蒸着材料の蒸気を噴出する方向に、複数枚の成膜対象基板30を膜形成面が成膜材料供給部側に臨むように保持し、平面円板形状またはドーム状の形状を有して平面円板の中心またはドームの頂部を回転中心として回転される基板ホルダ31Aが設けられている。
たとえば、基板ホルダ31Aは、ホルダ支持部32Aにより回転可能に支持されており、回転機構を構成するエンコーダ331を有するモータ33の駆動により回転駆動される。
受光部50の受光レンズ51は、成膜対象基板30を透過したモニタ光Lを受光し、分光器52でモニタ光Lを多波長で検出し、光検出部44により各成膜対象基板の多波長での光透過率が反映された受光信号SRをデータプロセッサ61に出力する。
たとえば、受光レンズ51を支持する受光レンズ支持部55は、基板ホルダ31Aおよびホルダ支持部32Aの回転駆動を妨げないように設けられている。
得られた光透過率あるいは光透過スペクトルから、所望の光学特性が得られるように成膜条件を変更するように成膜途中においてフィードバックすることができる。
より具体的には、制御部60Aは、基板ホルダ31Aの回転に同期したトリガー信号STから、回転する基板ホルダ31Aの位置を特定することで、各成膜対象基板の光透過率が間欠的に反映された受光信号SRのどの部分がいずれの成膜対象基板に対する光透過率であるか特定し、受光信号SRのどの部分がいずれの成膜対象基板に対する光透過率であるか特定する。
図15(B)は,図14の真空蒸着装置の回転される基板ホルダ31Aの外周部に円状に保持された複数枚の成膜対象基板30の配置例の様子を模式的に示す図である。
不図示の投光部から成膜対象基板30に対してモニタ光Lが投光され、成膜対象基板30を通過したモニタ光Lが受光レンズ51で受光される。
移動する成膜対象基板(301,302,303・・・30n)を透過したモニタ光Lを受光することで、各成膜対象基板(301,302,303・・・30n)の光透過率が間欠的に反映された受光信号SRが取得される。
ここで、基板ホルダ31Aの回転に同期したトリガー信号STから、回転する基板ホルダ31の位置を特定することで、各成膜対象基板の光透過率が間欠的に反映された受光信号SRのどの部分がいずれの成膜対象基板に対する光透過率であるか特定することができる。トリガー信号STは、基板ホルダ31Aの回転1周期に1回の出力、あるいは多数回の出力とする。
上記の受光信号SRのどの部分がいずれの成膜対象基板に対する光透過率であるか特定することで、受光信号SRから、成膜対象基板301に対する受光信号S1、成膜対象基板302に対する受光信号S2、成膜対象基板303に対する受光信号S3、・・・成膜対象基板30nに対する受光信号Snを取得することができる。
ここで、本第2の実施形態に係る真空蒸着装置1Aにおける制御部60Aの光学膜厚制御動作について説明する。
本第2の実施形態に係る光学膜厚制御は、基本的に、上述した図8の第1の実施形態に係る光学膜厚制御と同様であるが、ステップST3とステップST7の処理が多少異なる。
そして、dtは基板ホルダ31Aのドーム回転の単位時間を示している。
δ_designが最適停止位相を示し、これは光学理論による膜設計から計算される。
図18は、本第2の実施形態に係る真空蒸着装置の制御部における光学膜厚制御の成膜物質の屈折率の温度変化に対する補正処理のシミュレーション動作について説明するためのフローチャートである。
レイヤー番号が最終のレイヤーのものでなければ(ステップST22)、ドームの回転数を上げ(ステップST23A)、基板温度を取得する(ステップST24A)。ステップST24においては、1回転毎のダミー現在温度の計算を行う。
次に、温度に応じて屈折率Nを設定する(ステップST25)。
次に、堆積による最後の厚さの追加を行う(ステップST26)。
そして、特性マトリクスを再計算することによって透過率を計算する(ステップST27)。
次いで、入力透過率のためのSWM制御プロセスを行う(ステップST28)。
これらステップST27,ST28において、制御部60Cは、成膜物質ごとに設定した温度係数を基に、成膜中の屈折率を求め、膜設計上の物理膜厚と求めた成膜中の屈折率の値を用いて、多層膜の光学特性を再計算する。
そして、制御部60Cは、上記から、制御に用いる設計上の少なくとも反射振幅r,r0、位相δ、光学膜厚ndのうちの少なくとも一つを再計算して成膜停止時間t_stopを修正する。
レイヤー番号を増加させ(ステップST30)、Temp(温度)をTemp_in_SWMとする(ステップST31)。実際のコーティングの場合、「Temp_in_SWM」は放射温度計からの値に置き換えられる。
そして、Temp_in_SWMを使用してSWMでデザインを変更し(ステップST32)、ステップST22の処理に移行する。
そして、ステップST22において、最終レイヤーと判断した場合に、シミュレーションを終了する。
本第2の実施形態によれば、位相情報のみ使用して振幅情報を使用しないため、透過率測定の系統誤差や膜の吸収、基板反り等の悪影響を抑制可能である。
前の層の膜厚誤差が存在しても、その悪影響を打ち消す方向に現在の膜厚が自動補正される。
設計上の屈折率に誤差があっても、光学膜厚ndは設計に一致する方向に膜厚が自動補正される(ωt=4πnd/λの関係より)。
従来の比例制御と異なり、任意の停止位置、監視波長で制御可能である。換言すると、ファイナルスウィング (Final Swing)等の制約を受けない。
レート変動があっても、フィッティング範囲を自動修正することで現在位相の決定精度を保つことが可能となり、レート変動への高い耐性を保持することが可能となる。
より具体的には、成膜時の成膜物質の物性(たとえば屈折率)の温度変化に対しても高精度な光学膜厚制御を実現することが可能となる。
すなわち、本第2の実施形態によれば、複数枚の成膜対象基板が基板ホルダに保持され、基板ホルダの外周部に保持された成膜対象基板にモニタ光を投光し、これを透過したモニタ光を受光して成膜対象基板毎の光透過率を取得するものであり、光学フィルタを製造する真空成膜プロセスにおいて、量産化に対応しながら歩留まりを向上させることができる。
図19は、本第3の実施形態に係るフィッティング関数によるフィッティング曲線と透過率変化の測定値データと次層の予測曲線との関係の一例を示す図である。
図19において、縦軸が透過率を、横軸が時間を表している。
また、図19において、FC2が現在層のフィッティング関数によるフィッティング曲線を示し、MF2が透過率変化の測定値データを示し、NP2が次層の予測曲線を示している。
図20は、本第3の実施形態に係る真空蒸着装置における制御部の光学膜厚制御動作について説明するためのフローチャートである。
具体的には、制御部60は、多層膜の膜設計に基づき、各層の停止時点での理論位相δ_designがあらかじめ与えられ、成膜中に受光信号SRに応じて透過率Tの時間変化をフィッティング関数に関連付けてフィッティングし、位相δの角速度ωと初期位相φ0を決定し、決定した成膜中の位相δ=ωt+φ0が、あらかじめ与えられた理論位相δ_designと一致する時間t stopで成膜を停止する。
換言すれば、次の層のピーク(Peak)予想値が設計と一致するように現在の層の成膜停止時間を決める。
物理的には、次層の成膜時における現在層の等価反射振幅の絶対値が設計値と一致するように現在層の停止時間を決定することと同値である。
そして、制御部60Bは、決定した次層の成膜時における現在層340の等価反射振r幅の絶対値が理論等価反射振幅lrと一致するように現在層340の停止時間を決定し、この停止時間で成膜を停止する。
設計上の屈折率に誤差があっても、光学膜厚ndは設計に一致する方向に膜厚が自動補正される(ωt=4πnd/λの関係より)。
従来の比例制御と異なり、任意の停止位置、監視波長で制御可能である。換言すると、ファイナルスウィング (Final Swing)等の制約を受けない。
レート変動があっても、フィッティング範囲を自動修正することで現在位相の決定精度を保つことが可能となり、レート変動への高い耐性を保持することが可能となる。
また、本第2の実施形態によれば、光学フィルタを製造する真空成膜プロセスにおいて、量産化に対応しながら歩留まりを向上させることができる。
たとえば、イオンビームアシスト真空蒸着装置および方法に限らず、その他の真空成膜装置および方法に適用可能である。さらに、真空成膜以外にスパッタリングによる成膜あるいはCVD(化学気相成長)による成膜など、その他の薄膜形成装置および方法にも適用可能である。
トリガー信号の出力は、基板ホルダの回転の1周期に1回の出力でも多数回の出力でもよい。
また、上記の実施形態における、投光部、受光部、トリガー信号出力部、および信号処理部等の制御部は、成膜対象基板毎の光透過率を取得して成膜対象基板に形成された薄膜の光学膜厚をモニタする装置を構成する。光学膜厚モニタ装置として、上記の真空成膜装置から取り外し、他の薄膜形成装置に取り付けて成膜対象基板に形成された薄膜の光学膜厚をモニタすることもできる。
その他、本発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の変更が可能である。
221・・・第2蒸着材料、23・・・イオンソース、30,301~30・・・成膜対象基板、31,31A・・・基板ホルダ、32,32A…ホルダ支持部、33・・・モータ、331・・・エンコーダ、40・・・投光部、41・・・光源、50・・・受光部、51・・・受光レンズ、52・・・分光部、53・・・光検出部、54・・・受光光学系、55・・・受光ヘッド支持部、60,60A,60B・・・制御部、70・・・放射温度計、L・・・モニタ光、S1~Sn…受光信号、SR…受光信号、ST…トリガー信号、SPL…投光スポット。
Claims (16)
- 成膜チャンバ内に配置された成膜材料供給部から供給される成膜材料が成膜されて薄膜の多層膜が形成される成膜対象基板にモニタ光を投光する投光部と、
前記成膜対象基板を透過した前記モニタ光を受光して受光信号を出力する受光部と、
成膜中の基板温度を測定する温度測定部と、
前記受光信号に応じて前記成膜対象基板の光透過率を取得し、取得した光透過率情報に関連付けて薄膜の成膜を制御する制御部と、を有し、
前記制御部は、
形成すべき多層膜に関して、既に成膜済みの多層膜および基板を、ある1つの膜と同一視した物を等価膜、2つの物質間の反射率の平方根を反射振幅として定義し、等価膜と現在層の間の等価反射振幅r、現在層と空気との間の現在反射振幅r0、および位相δに関連付けたフィッティング関数Tを採用し、
成膜中に透過率時間変化の測定値を前記フィッティング関数に関連付けてフィッティングし、成膜時の位相δおよび等価反射振幅rのうちの少なくとも一方の物理パラメータを決定し、決定した物理パラメータとあらかじめ設定された理論値と一致するように現在層の停止時間を決定し、当該停止時間に成膜を停止する成膜制御が可能で、
前記温度測定部により測定される基板温度を基に前記成膜制御に補正をかけることが可能である
光学膜厚制御装置。 - 前記制御部は、
前記温度測定部により測定される基板温度を基に成膜時の成膜物質の物性の温度変化に対して補正を行い、補正した成膜物質の物性に関連付けて前記物理パラメータの再計算を行って成膜停止時間を修正する
請求項1記載の光学膜厚制御装置。 - 前記成膜物質の物性は屈折率を含む
請求項2記載の光学膜厚制御装置。 - 前記制御部は、
成膜物質ごとに設定した温度係数を基に、成膜中の屈折率を求め、
膜設計上の物理膜厚と求めた成膜中の屈折率の値を用いて、多層膜の光学特性を再計算し、
制御に用いる設計上の少なくとも反射振幅、位相、光学膜厚のうちの少なくとも一つを再計算して成膜停止時間を修正する
請求項3記載の光学膜厚制御装置。 - 前記制御部は、
多層膜の膜設計に基づき、各層の停止時点での理論位相δ_designがあらかじめ与えられ、
成膜中に前記受光信号に応じて透過率の時間変化を前記フィッティング関数に関連付けてフィッティングし、前記位相δの角速度ωと初期位相φ0を決定し、
決定した成膜中の位相δ=ωt+φ0が、前記あらかじめ与えられた理論位相δ_designと一致する時間で成膜を停止する
請求項1から4のいずれか一に記載の光学膜厚制御装置。 - 前記制御部は、
多層膜の膜設計に基づき、各層の停止時点での理論等価反射振幅があらかじめ与えられ、
成膜中に前記受光信号に応じて透過率の時間変化を前記フィッティング関数に関連付けてフィッティングし、次層の成膜時における現在層の等価反射振幅を決定し、
決定した次層の成膜時における現在層の等価反射振幅の絶対値が前記理論等価反射振幅と一致するように現在層の停止時間を決定し、当該停止時間で成膜を停止する
請求項1から4のいずれか一に記載の光学膜厚制御装置。 - 前記成膜チャンバ内に設けられ、複数枚の成膜対象基板を膜形成面が前記成膜材料供給部側に臨むように保持し、ホルダ中心を回転中心として回転される基板ホルダと、
回転される前記基板ホルダの外周部に円状に保持された複数枚の前記成膜対象基板にモニタ光をトレースするように投光する前記投光部と、
前記成膜対象基板を透過した前記モニタ光を受光して前記モニタ光を多波長で検出し、前記各成膜対象基板の多波長での光透過率が反映された受光信号を出力する前記受光部と、
前記基板ホルダの回転に同期した回転する前記基板ホルダの位置を特定するためのトリガー信号を出力するトリガー信号出力部と、
前記受光信号と前記トリガー信号が入力され、前記受光信号と前記トリガー信号を信号処理して成膜対象基板毎の光透過率を取得し、取得した光透過率情報に関連付けて成膜対象基板毎の薄膜の成膜を制御する前記制御部と、を有し、
前記制御部は、
前記基板ホルダの回転に同期した前記トリガー信号から、回転する前記基板ホルダの位置を特定することで、各成膜対象基板の光透過率が間欠的に反映された受光信号のどの部分がいずれの成膜対象基板に対する光透過率であるか特定し、前記受光信号のどの部分がいずれの成膜対象基板に対する光透過率であるか特定する
請求項1から6のいずれか一に記載の光学膜厚制御装置。 - 成膜チャンバと、
前記成膜チャンバ内に配置された成膜材料供給部と、
前記成膜材料供給部から供給される成膜材料が成膜されて薄膜の多層膜が形成される成膜対象基板と、
前記成膜対象基板にモニタ光を投光する投光部と、
前記成膜対象基板を透過した前記モニタ光を受光して受光信号を出力する受光部と、
成膜中の基板温度を測定する温度測定部と、
前記受光信号に応じて前記成膜対象基板の光透過率を取得し、取得した光透過率情報に関連付けて薄膜の成膜を制御する制御部と、を有し、
前記制御部は、
形成すべき多層膜に関して、既に成膜済みの多層膜および基板を、ある1つの膜と同一視した物を等価膜、2つの物質間の反射率の平方根を反射振幅として定義し、等価膜と現在層の間の等価反射振幅r、現在層と空気との間の現在反射振幅r0、および位相δに関連付けたフィッティング関数Tを採用し、
成膜中に透過率時間変化の測定値を前記フィッティング関数に関連付けてフィッティングし、成膜時の位相δおよび等価反射振幅rのうちの少なくとも一方の物理パラメータを決定し、決定した物理パラメータとあらかじめ設定された理論値と一致するように現在層の停止時間を決定し、当該停止時間に成膜を停止する成膜制御が可能で、
前記温度測定部により測定される基板温度を基に前記成膜制御に補正をかけることが可能である
薄膜形成装置。 - 前記制御部は、
前記温度測定部により測定される基板温度を基に成膜時の成膜物質の物性の温度変化に対して補正を行い、補正した成膜物質の物性に関連付けて前記物理パラメータの再計算を行って成膜停止時間を修正する
請求項8記載の薄膜形成装置。 - 前記成膜物質の物性は屈折率を含む
請求項9記載の薄膜形成装置。 - 前記制御部は、
成膜物質ごとに設定した温度係数を基に、成膜中の屈折率を求め、
膜設計上の物理膜厚と求めた成膜中の屈折率の値を用いて、多層膜の光学特性を再計算し、
制御に用いる設計上の少なくとも反射振幅、位相、光学膜厚のうちの少なくとも一つを再計算して成膜停止時間を修正する
請求項10記載の薄膜形成装置。 - 前記制御部は、
多層膜の膜設計に基づき、各層の停止時点での理論位相δ_designがあらかじめ与えられ、
成膜中に前記受光信号に応じて透過率の時間変化を前記フィッティング関数に関連付けてフィッティングし、前記位相δの角速度ωと初期位相φ0を決定し、
決定した成膜中の位相δ=ωt+φ0が、前記あらかじめ与えられた理論位相δ_designと一致する時間で成膜を停止する
請求項8から11のいずれか一に記載の薄膜形成装置。 - 前記制御部は、
多層膜の膜設計に基づき、各層の停止時点での理論等価反射振幅があらかじめ与えられ、
成膜中に前記受光信号に応じて透過率の時間変化を前記フィッティング関数に関連付けてフィッティングし、次層の成膜時における現在層の等価反射振幅を決定し、
決定した次層の成膜時における現在層の等価反射振幅の絶対値が前記理論等価反射振幅と一致するように現在層の停止時間を決定し、当該停止時間で成膜を停止する
請求項8から11のいずれか一に記載の薄膜形成装置。 - 前記成膜チャンバ内に設けられ、複数枚の成膜対象基板を膜形成面が前記成膜材料供給部側に臨むように保持し、ホルダ中心を回転中心として回転される基板ホルダと、
回転される前記基板ホルダの外周部に円状に保持された複数枚の前記成膜対象基板にモニタ光をトレースするように投光する前記投光部と、
前記成膜対象基板を透過した前記モニタ光を受光して前記モニタ光を多波長で検出し、前記各成膜対象基板の多波長での光透過率が反映された受光信号を出力する前記受光部と、
前記基板ホルダの回転に同期した回転する前記基板ホルダの位置を特定するためのトリガー信号を出力するトリガー信号出力部と、
前記受光信号と前記トリガー信号が入力され、前記受光信号と前記トリガー信号を信号処理して成膜対象基板毎の光透過率を取得し、取得した光透過率情報に関連付けて成膜対象基板毎の薄膜の成膜を制御する前記制御部と、を有し、
前記制御部は、
前記基板ホルダの回転に同期した前記トリガー信号から、回転する前記基板ホルダの位置を特定することで、各成膜対象基板の光透過率が間欠的に反映された受光信号のどの部分がいずれの成膜対象基板に対する光透過率であるか特定し、前記受光信号のどの部分がいずれの成膜対象基板に対する光透過率であるか特定する
請求項8から13のいずれか一に記載の薄膜形成装置。 - 成膜チャンバ内に配置された成膜材料供給部から供給される成膜材料が成膜されて薄膜の多層膜が形成される成膜対象基板にモニタ光を投光する投光ステップと、
前記成膜対象基板を透過した前記モニタ光を受光して受光信号を取得する受光ステップと、
成膜中の基板温度を測定する温度測定ステップと、
前記受光信号に応じて前記成膜対象基板の光透過率を取得し、取得した光透過率情報に関連付けて薄膜の成膜を制御する制御ステップと、を有し、
前記制御ステップにおいては、
形成すべき多層膜に関して、既に成膜済みの多層膜および基板を、ある1つの膜と同一視した物を等価膜、2つの物質間の反射率の平方根を反射振幅として定義し、等価膜と現在層の間の等価反射振幅r、現在層と空気との間の現在反射振幅r0、および位相δに関連付けたフィッティング関数Tを採用し、
成膜中に透過率時間変化の測定値を前記フィッティング関数に関連付けてフィッティングし、成膜時の位相δおよび等価反射振幅rのうちの少なくとも一方の物理パラメータを決定し、決定した物理パラメータとあらかじめ設定された理論値と一致するように現在層の停止時間を決定し、当該停止時間に成膜を停止する成膜制御を行い、
前記温度測定ステップより測定される基板温度を基に前記成膜制御に補正をかける
光学膜厚制御方法。 - 成膜チャンバ内に配置された成膜材料供給部から成膜材料を供給して成膜対象基板上に薄膜の多層膜を成膜する成膜ステップと、
前記成膜対象基板にモニタ光を投光する投光ステップと、
前記成膜対象基板を透過した前記モニタ光を受光して受光信号を取得する受光ステップと、
成膜中の基板温度を測定する温度測定ステップと、
前記受光信号に応じて前記成膜対象基板の光透過率を取得し、取得した光透過率情報に関連付けて薄膜の成膜を制御する制御ステップと、を有し、
前記制御ステップにおいては、
形成すべき多層膜に関して、既に成膜済みの多層膜および基板を、ある1つの膜と同一視した物を等価膜、2つの物質間の反射率の平方根を反射振幅として定義し、等価膜と現在層の間の等価反射振幅r、現在層と空気との間の現在反射振幅r0、および位相δに関連付けたフィッティング関数Tを採用し、
成膜中に透過率時間変化の測定値を前記フィッティング関数に関連付けてフィッティングし、成膜時の位相δおよび等価反射振幅rのうちの少なくとも一方の物理パラメータを決定し、決定した物理パラメータとあらかじめ設定された理論値と一致するように現在層の停止時間を決定し、当該停止時間に成膜を停止する成膜制御を行い、
前記温度測定ステップより測定される基板温度を基に前記成膜制御に補正をかける
薄膜形成方法。
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