JP2003088148A - 液晶アクチュエータ及びマルチセルアクチュエータ - Google Patents

液晶アクチュエータ及びマルチセルアクチュエータ

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JP2003088148A
JP2003088148A JP2002136151A JP2002136151A JP2003088148A JP 2003088148 A JP2003088148 A JP 2003088148A JP 2002136151 A JP2002136151 A JP 2002136151A JP 2002136151 A JP2002136151 A JP 2002136151A JP 2003088148 A JP2003088148 A JP 2003088148A
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Tetsushi Saito
哲史 斎藤
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 動力の発生源として利用できる液晶アクチュ
エータにおいて、外部に対して仕事をするための動作部
の変位量が小さく限定されてしまうことがなく、幅広い
範囲から選択できる液晶アクチュエータを提供すること
にある。 【解決手段】 同一相内での分子の配向状態の変化、相
転移などによって体積変化する液晶性分子と、この液晶
性分子を封入するための変形可能なセル(伸縮性膜で形
成されたセルなど)と、電界、磁界、及び光から選択さ
れた一つの作用に基づく液晶性分子の配向状態及び/又
は相転移の制御手段とで液晶アクチュエータを構成し、
前記セルとして前記液晶性分子の体積変化に追従して変
形可能であるセルを用いる。前記セル内には、前記液晶
性分子に電圧を負荷するための一対の電極が互いに対向
するように形成するのが望ましい。前記電極は、セルの
内面に直接形成されているのが望ましく、セルの変形に
追従して変形可能であるのが望ましい。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は動力源として有用な
アクチュエータ、より詳細には液晶を利用したアクチュ
エータ及びマルチセルアクチュエータに関するものであ
る。
【0002】
【従来の技術】液晶を利用したアクチュエータとして、
例えば、特開平11−351287号公報には、トルク
コンバータなどに有用なアクチュエータが開示されてい
る。前記アクチュエータは、第1作動部と第2作動部と
の間に液晶を充填し、前記液晶に電界を印加して液晶の
粘性を変化させることにより、第1作動部と第2作動部
間で伝達される動力の制御を可能にしている。しかしな
がらこのアクチュエータは、動力制御手段としてしか利
用できず、動力源として利用することはできない。
【0003】液晶を動力源として利用したアクチュエー
タは、例えば、特開平9−277518号公報に開示さ
れている。このアクチュエータは、液晶と、この液晶を
挟持する一対の液晶配向膜と、これら液晶配向膜を挟持
する一対の電極とで構成されており、前記一対の基板の
少なくとも一方は可動基板になっている。そして前記ア
クチュエータは、前記可動基板が可動する動作原理に応
じて大きく2つのタイプに分けられる。すなわち液晶の
滑り変位を利用する第1のタイプと、液晶の配向方向を
変化させる第2のタイプとに分けられる。
【0004】より詳細には、前記第1のタイプでは、S
mC液晶やSmA*液晶を用いている。そして電極間に
電界を発生させることによって、液晶分子を電極板に対
して水平方向に配向させた後、逆向きの電界を発生させ
て、液晶分子を水平方向に滑らせ、この液晶分子の滑り
によって電極板を水平方向に滑らせている。しかし液晶
分子が滑る場合の変位量は僅かであるため、電極板の移
動量も制限され、大きく変位させることはできない。従
って動力源として利用するとしても、適用範囲は制限さ
れてしまう。
【0005】一方第2のタイプでは、n型ネマチック液
晶又はp型ネマチック液晶を用いている。n型ネマチッ
ク液晶を用いる場合、電圧無印加の状態で基板と直交す
る方向に液晶分子を配向させる一方で、電圧を印加して
基板に対して平行する方向に液晶分子を配向させてい
る。p型ネマチック液晶を用いる場合は、電圧を印加し
て基板と直行する方向に液晶分子を配向させる一方で、
電圧無印加にして基板に対して平行する方向に液晶分子
を配向させている。このようなアクチュエータを用いる
と、液晶分子を基板に対して起立させたり横臥させたり
することによって、可動基板を固定基板に対して離間さ
せたり、近接させたりすることができる。しかし前記ネ
マチック相は液晶の配向方向の位置は無秩序であるた
め、ネマチック液晶の起立を利用して液晶板を離間させ
ようとしても、起立した分子は起立方向にランダムに配
置されてしまうため、液晶板を大きく離間させることは
できない。このため第2のタイプのアクチュエータを動
力源として利用しようとしても、適用範囲は制限されて
しまう。
【0006】なお特開平6−324312号公報には、
低分子液晶物質と、その低分子液晶物質により膨潤され
た液晶エラストマーから成る電界効果型液晶組成物が各
種アクチュエータに利用できることが記載されている。
しかし、前記特定の液晶をどのように作動させてアクチ
ュエータを形成するかについては全く不明である。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】本発明は上記の様な事
情に着目してなされたものであって、その目的は、動力
の発生源として利用できる液晶アクチュエータにおい
て、外部に対して仕事をするための動作部の変位量が小
さく限定されてしまうことがなく、幅広い範囲から選択
できる液晶アクチュエータを提供することにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】本発明者らは前記課題を
解決するために鋭意研究を重ねた結果、液晶の体積変化
を利用すればよいことを突き止めた。図1及び図2は液
晶の体積変化について説明するための概念図である。よ
り詳細には図1は低配向状態の液晶を示しており、図2
は前記図1と同一相でありながら高配向状態となってい
る液晶を示している。そして液晶が低配向状態である場
合、前記図1に示すように、液晶性分子は比較的ランダ
ムに配列しており、一つの液晶性分子1の排除体積(図
中の破線参照)は前記ランダムの程度に応じて大きくな
っている。これに対して液晶が高配向である場合、前記
図2に示すように、一つの液晶性分子1の排除体積(図
中の破線参照)は液晶の配向方向に沿って変形し、小さ
くなっている。すなわち液晶の配向状態を、高配向状態
と低配向状態との間で変化させると、一つの液晶性分子
1の排除体積が変化するため、液晶の体積が変化する。
さらには液晶分子が相転移するときにも液晶の体積が変
化する。そしてこのような液晶の体積変化を利用してア
クチュエーターを形成すると、液晶の量を調製するなど
の簡単な手段によって液晶体積の変化量を調整でき、ア
クチュエータの動作部の変位量を幅広い範囲から選択で
きることを見出し、本発明を完成した。
【0009】すなわち上記目的を達成し得た本発明の液
晶アクチュエータとは、同一相内での分子の配向状態の
変化及び相転移の少なくとも一方によって体積変化する
液晶性分子と、この液晶性分子を封入するための変形可
能なセル(伸縮性膜で形成されたセルなど)と、電界、
磁界、及び光から選択された一つの作用に基づく液晶性
分子の配向状態及び/又は相転移の制御手段とを備えて
おり、前記セルが前記液晶性分子の体積変化に追従して
変形可能である点に要旨を有するものである。好ましく
は、前記セル内に、前記液晶性分子に電圧を負荷するた
めの一対の電極が互いに対向するように形成されてい
る。前記電極は、セルの内面に直接形成されているのが
望ましく、セルの変形に追従して変形可能であるのが望
ましい。
【0010】本発明には前記セルが複数個集合して、二
次元的に又は三次元的に隣接しているマルチセルアクチ
ュエータも含まれる。このアクチュエータを電界によっ
て作動させる場合、一対の正負電極が、前記封入された
液晶を介して互いに対向するように各セル内面に直接形
成されることが多く、前記電極のうちセルの膜を隔てて
隣接する正電極と負電極とは電気的に接続するのが望ま
しい。
【0011】
【発明の実施の形態】本発明の液晶アクチュエータを構
成する液晶性分子は、相転移をすることにより、又は相
転移を伴わなくても分子の配向状態が変化することによ
り、体積変化する。そして前記アクチュエータでは、前
記液晶性分子の体積変化に追従して変形可能なセルに、
前記液晶性分子を封入している。このようなアクチュエ
ータを用いると、液晶性分子の体積変化をセルの変形に
伴う仕事として取り出すことができ、セルそのものを動
力の発生源として利用できる。このようなアクチュエー
タは、前記特開平9−277518号公報のような変形
可能なセルに液晶を封入していないアクチュエータとは
異なり、液晶性分子の量を調製するなどの簡単な手段に
よって体積の変化量を調整でき、セルの変形量を幅広い
範囲から選択できる。
【0012】前記セルとしては、液晶の体積変化に追従
して変形可能であり、液晶が漏れることがない程度の密
閉性を有している限り特に限定されないが、好ましくは
伸縮性(特に弾性)を有している。伸縮性を有するセル
としては、伸縮性の膜、例えば、厚みの薄い膜(熱可塑
性樹脂、光硬化性樹脂などで形成された膜など)、弾性
を有する膜(熱可塑性エラストマーなどのエラストマー
などで形成された膜など)で構成されたセルが使用でき
る。
【0013】なお前記セルは、球体、フットボール型な
どの曲面を有する形状であってもよいが、多面体(好ま
しくは六面体、特に直方体)であることが多い。
【0014】前記液晶性分子としては、相転移に伴って
体積変化する液晶性分子、相転移を伴わず配向秩序の大
小のみで体積変化する液晶性分子、相転移に伴って体積
変化をすると共に相転移を伴わない場合にも配向秩序の
大小のみで体積変化する液晶性分子などが挙げられる。
なお前記相転移には、固体相と液晶相との間の相転移の
他、液晶相とアイソトロピック相との間の相転移、液晶
相間での相転移なども含まれ、これら相転移は透明度の
変化、偏光状態の変化などによって確認できる。相転移
に伴って体積変化する液晶を使用すれば、体積変化を極
めて大きくすることができる。一方、相転移を伴わず同
一相(同一液晶相)であっても体積変化する液晶性分子
を使用すれば、応答速度を速めることができ、さらには
細かな制御が可能となる。
【0015】前記液晶性分子が示す液晶の種類は特に限
定されず、例えば、ネマチック液晶、スメクチック液
晶、コレステリック液晶、カラムナー液晶、ディスコテ
ィック液晶などの種々の液晶から選択できる。好ましい
液晶としては、スメクチック液晶、コレステリック液晶
など(特にコレステリック液晶)が挙げられる。好まし
い液晶を用いれば、体積変化を大きくし易い。
【0016】また前記液晶は、強誘電性液晶であるのが
好ましい。強誘電性液晶には、例えば、カイラルスメク
ティック相を示し、自己分極性がある液晶が含まれる。
強誘電性液晶を用いると、自己分極性があるために、電
圧を印加すると高速に配向するため、アクチュエーター
の応答性を高めることができる。また強誘電性液晶は、
外部電圧が0になってもその状体を維持するメモリー性
を有するため、動作を安定化できる。なお前記メモリー
性を維持する液晶は、当初とは異なる方向に電圧を印加
することによって、再び作動させることができる。
【0017】前記液晶性分子は、高分子、低分子(棒状
分子など)のいずれであってもよい。好ましい液晶は、
高分子液晶、スメクチック相又はコレスティック相を示
す低分子液晶である。これら好ましい液晶を用いると、
体積変化を大きくできる。
【0018】高分子液晶としては、天然高分子液晶(タ
バコモザイクウィルス、DNAなど)、合成高分子液晶
[主鎖又は側鎖に液晶ユニット(後述の棒状分子を一単
位とするユニットなど)がついている高分子など]が挙
げられる。なお高分子液晶は、電界、磁界、光などを作
用させると各分子の主鎖が略同じ方向に揃い、電界、磁
界、光などを作用させないと各分子が鞠状になる。その
ため体積変化するものと思われる。
【0019】低分子液晶としては、スメクチック相又は
コレスティック相を示す公知の種々の棒状分子や、この
棒状分子を適宜改変した分子が使用できる。
【0020】前記液晶性分子は単独で使用してもよく、
複数組合わせて(すなわち混合液晶として)使用しても
よい。
【0021】前記液晶性分子で液晶相を構成する場合、
液晶相中の液晶性分子の密度が大きい程、液晶性分子の
長さが長い程、また液晶性分子の幅が狭いほど、液晶性
分子の配向状態を変化させた際の体積変化を大きくでき
る。また高分子液晶を使用する場合、高分子液晶相中の
液晶ユニットの密度が大きい程、液晶ユニットの長さが
長い程、液晶性分子の幅が狭い程、また高分子に嵩高い
基がついている程、体積変化を大きくできる。
【0022】液晶の体積変化の割合(率)は特に限定さ
れないが膨張前の体積を100とすると、膨張後の体積
は、例えば、105〜200程度、好ましくは105〜
180程度、さらに好ましくは110〜150程度であ
る。
【0023】なお液晶の体積変化の量は、前記変化率に
応じて液晶の量を調節することによって制御できる。
【0024】前記液晶性分子が配向状態の変化によっ
て、又は相転移によって体積変化する場合、体積は等方
的に変化してもよいが、液晶相の種類を選択することに
よって、体積変化の方向性を適宜選択してもよい。すな
わち液晶相では、後述するように、電界、磁界などの作
用によって分子の配向状態を制御することができるた
め、電界Eの方向や磁界Hの方向と液晶が膨張・収縮す
る方向とを関連付けることができる。例えば、電界E又
は磁界H(好ましくは電界E)を発生させて液晶相を高
配向状態にした後、電界E又は磁界Hのエネルギー量を
低下させて(好ましくは無くして)、液晶相を低配向状
態にして膨張させる場合に、電界E又は磁界Hが発生し
ていた方向と略同じ方向に膨張する液晶性分子を使用す
ることができる。また液晶相を高配向状態にしておく
と、アイソトロピック相(等方相)との間で相転移させ
る場合にも膨張・収縮に方向性を持たせることができ
る。なお電界E又は磁界Hが発生していた方向と略同じ
方向に膨張する液晶性分子を使用する場合、前記電界E
又は磁界Hと略直交する方向には、液晶性分子は全体と
して若干収縮することが多い。
【0025】電界Eが発生していた方向と略同じ方向に
膨張する液晶としては、例えば、スメクチック相を示す
低分子液晶、又は高分子液晶が使用できる。
【0026】前記液晶は、電界、磁界、又は光の作用に
よって、分子の配向状態が変化したり、相転移する。従
って本発明の液晶アクチュエータは、電界若しくは磁界
を発生させるための手段、又は光量を変化させるための
手段[これら手段を総称して、「液晶性分子の配向状態
及び/又は相転移の制御手段」(又は単に「制御手
段」)と称する]をも備えている。電界又は磁界によっ
て、液晶性分子の配向状態を変化させたり、相転移させ
る場合、電気的エネルギーを機械的エネルギーに変換さ
せることができる。光によって液晶分子の配向状態を変
化させたり相転移させる場合、光エネルギーを機械的エ
ネルギーに変換させることができる。
【0027】電界を発生させる場合、セル内に一対の電
極を形成すればよい。前記一対の電極は互いに対向して
おり、前記液晶に電圧を負荷することができる。
【0028】前記電極は、セルの内面から離れていても
よいが、セルの内面に接触(面接触)するように形成す
ることが多く、通常、セルの内面に直接形成されてい
る。電極がセルの内面に接触する場合、前記電極はセル
の変形に追従して変形可能であるのが望ましい。電極が
変形可能であると、液晶性分子の体積変化によるセルの
変形を抑止してしまう虞がない。なお変形可能な電極
は、電極の厚みを薄くすることによって形成できる。薄
層電極は、例えば、蒸着や印刷などによって形成でき
る。
【0029】図3及び図4は前記電極が形成された液晶
アクチュエータの一例を示す概略斜視図であり、より詳
細には図3は、液晶性分子が体積膨張する前の状態を示
しており、図4は液晶性分子が体積膨張した後の状態を
示している。図3及び図4に示すように、このアクチュ
エータでは、直方体のセル2内に、液晶性分子3が封入
されている。なおこの例(及び以降の例)では、この液
晶性分子3として、配向状態の変化によって体積変化す
るものを使用している。また前記セル2の内面には、変
形可能な電極板4a、4bが互いに対向するように直接
形成されている。そして図3の場合には、電極間に電圧
を負荷して液晶性分子を配向させることによって液晶性
分子の体積膨張を抑制している。一方図4の場合には、
電極間の電圧を低下させて(特に電圧を無くして)液晶
性分子の配向の程度を低下させ、液晶性分子を膨張させ
ている。このようなアクチュエータを用いると、液晶性
分子の体積変化(膨張、収縮)に併せてセルを膨張及び
収縮させることができ、外部に対して仕事をすることが
できる。
【0030】なお前記図3及び図4の例では、液晶性分
子3として、電界Eが発生していた方向と同じ方向に膨
張する液晶を用いている。そのため電極板4a、4bが
離間する方向にセル2は膨張する。
【0031】また電極は少なくとも一対(一組)形成さ
れていればよく、二組以上であってもよい。二組以上電
極を形成すると、電界Eを発生させる方向を選択でき
る。そのため、電界Eが発生していた方向と同じ方向に
膨張する液晶性分子を用いることによって、セルの膨張
方向を選択できる。例えば、前記図3に示すような直方
体のセルにおいて、セルの全ての面(6面)に電極板を
形成し、電極板の組(対)が3つになるようにすると、
電荷を印加する電極の組を選択することによって、体積
が変化する方向を3つの方向から選択することができ
る。
【0032】一方磁界の作用によって液晶アクチュエー
タを作動させる場合、例えば、コイル内に液晶性分子を
封入したセルを挿入すればよい。また光によって液晶ア
クチュエータを作動させる場合、例えば、セルを透明性
樹脂で形成し、このセル内に液晶性分子を封入した後、
適当な光量制御手段(光源、シャッターなど)を配設す
ればよい。
【0033】好ましい液晶アクチュエータは、電界の作
用によって作動するアクチュエータである。
【0034】さらに本発明では前記セルを複数個組合わ
せて、マルチセルアクチュエータを構成してもよい。複
数個のセルは、二次元的に隣接していてもよく、三次元
的に隣接していてもよい。以下、複数個のセルが三次元
的に隣接する電界作動型のマルチセルアクチュエータを
例にとって詳細に説明する。
【0035】図5は、マルチセルアクチュエータの一例
を示す概略斜視図である。このアクチュエータでは、複
数個のセル2が、前後、左右、及び上下に三次元的に隣
接している。なお図5は、マルチセルアクチュエータの
一部分を示しているに過ぎず、セル2は図示されている
範囲を超えて、さらに前後、左右、及び上下に三次元的
に隣接しているが、説明を簡単にするため、図示されて
いる範囲に基づいて説明する。
【0036】前記アクチュエータでは、より詳細には、
複数個のセル2a〜2fがx方向に一列になって隣接し
ており、第1のセル列5aを形成している。また第1の
セル列5aと、このセル列5aと同様の複数個のセル列
5b〜5dが、前記セル列の並進方向(x方向)と直交
する方向(y方向)に隣接しており、第1の平面状セル
群6aを形成している。そして複数個の平面状セル群6
aから6hがz方向に積み重なってアクチュエータを形
成している。
【0037】また各セル内には、液晶として電界Eが発
生していた方向(電圧を負荷していた方向)と同じ方向
に膨張する液晶を封入している。そして各セルの内面
に、変形可能な一対の正負電極板(図示せず)が液晶を
介して互いに対向するように直接形成されている。前記
正負極板は、列の並進方向(x方向)に電圧を負荷でき
るように、すなわち列の並進方向に正電極と負電極が並
ぶように配設されている。
【0038】このようなアクチュエータを用いると、例
えば、図5及び図6に示すような直線型の膨張収縮をさ
せたり、図5及び図7に示すような曲線型の膨張収縮を
させたりすることができる。直線型の膨張収縮(図5及
び図6)について詳細に説明すると、図5の場合には、
電極間に電圧を負荷して液晶性分子を配向させることに
よって、液晶の体積膨張を抑制している。また図6の場
合には、電極間の電圧を低下させて(特に電圧を無くし
て)液晶性分子の配向の程度を低下させており、電圧を
負荷していた方向(この例では、セル列の並進方向、す
なわちx方向)にアクチュエータが膨張している。すな
わち電圧を切り替えて、液晶性分子の配向の程度を切り
替えることによって、アクチュエータをx方向に直線的
に膨張させたり収縮させたりすることができる。
【0039】一方、曲線型の膨張収縮(図5及び図7)
について詳細に説明すると、図5の状態は前記直線型の
場合と同様である。また図7の場合には、複数の平面状
セル群6a〜6hのうち、一方の側の平面状セル群6a
において電極間に電圧を負荷して液晶性分子を配向させ
ることによって、液晶性分子の体積膨張を抑制する一方
で、他方の側の平面状セル群6hでは電極間の電圧を低
下させて(特に電圧を無くして)液晶性分子の配向の程
度を低下させ、電圧を負荷していた方向にセルを膨張さ
せている。なお前記一方のセル群6aと他方のセル群6
hとの間の他のセル群6b〜6gでは、一方のセル群6
aに近いセル群において電圧を負荷して液晶性分子を配
向させており、他方のセル群6hに近いセル群において
電圧を低下させて液晶性分子の配向の程度を低下させて
いる。このように平面状セル群6a〜6hの積層方向
(z方向)において、液晶性分子の配向の程度を制御し
てセルの膨張を制御すると、アクチュエータを湾曲させ
ながらx方向に膨張伸縮させることができる。
【0040】なお前記図5〜7の例において、y方向に
電界Eが発生するように電極を配設してもよく、z方向
に電界Eが発生するように電極を配設してもよい。y方
向に電極を配設すると、アクチュエータをy方向に直線
的に又は曲線的に膨張収縮させることができる。z方向
に電極を配設する場合も同様に、アクチュエータをz方
向に直線的に又は曲線的に膨張収縮させることができ
る。
【0041】また電界Eがx方向、y方向、及びz方向
のいずれにも発生するように、各セルに3組の電極を配
設してもよい。3組の電極を配設すると、直線的な膨張
収縮をx、y、zのいずれの方向(3方向)に対しても
行うことができ、曲線的な膨張収縮もx、y、zのいず
れの方向に対しても行うことができる。そのため、アク
チュエータに複雑な動きをさせることができる。
【0042】さらに図5及び図7の例では、平面状セル
群を単位として液晶性分子の配向の程度を制御している
が、セル列を単位として液晶性分子の配向の程度を制御
してもよく、セル1個を単位として液晶性分子の配向の
程度を制御してもよい。制御単位を小さくすると、より
滑らかにアクチュエータを動かすことができ、またより
複雑な動きをさせることができる。
【0043】なお図5〜図7の例では、セル2はx方向
のみならずy方向にも列を形成しており、z方向には列
を形成していないが、列の形成の有無については特に制
限されない。すなわちx,y,及びz方向のうち、一方
向にのみ列を形成してもよく、全ての方向に列を形成し
てもよい。
【0044】また各セルの電極は、全て外部電源と接続
してもよいが、一部の電極は外部電極と接続しなくても
よい。すなわち前記電極のうちセルの膜を隔てて隣接す
る正電極と負電極とを、導線などの公知の接続手段を用
いて電気的に接続すると、これら正電極及び負電極は、
外部電源と接続しなくてもよい。以下、図面に基づいて
より詳細に説明する。
【0045】図8は、電極同士を接続したアクチュエー
タの部分拡大断面図である。この例では、液晶3が封入
された複数個(図示例では2個)のセル2g,2hが隣
接していると共に、各セル2g,2hには一対の正負電
極(図示例では合計二対の正負電極)4a〜4dが互い
に対向するように形成されている。そして一方のセル2
hの正電極4cと他方のセル2gの負電極4bとは、セ
ルの膜7を隔てて隣接しており、これら正負電極4b,
4cは導線によって電気的に接続している。また他の電
極4a,4dは外部の電源に接続している。
【0046】そして外部電源から電極4a,4d間に電
圧を負荷すると、外部電源に接続していない電極4b,
4cにも誘電分極によって電荷を発生させることができ
る。このため、一方のセル2hの電極4c,4d間、及
び他方のセル2gの電極4a,4b間にも電圧を負荷す
ることができる。すなわち正負電極板4b,4cを電気
的に接続すると、これら正負電極板4b,4cは外部電
源に接続していないにも拘わらず、セル内に電圧を発生
させることができる。そのため外部電源と電極板との間
の配線を省略できる。
【0047】例えば、前記図5〜図7の例において正電
極と負電極とを接続する場合、以下に述べるように接続
するのが望ましい。図5〜図7の例では、セル列の並進
方向(x方向)に正負電極が並んでいるため、前記セル
列を構成する各セルの負電極と、このセルに対して並進
方向下流側に隣接するセルの正電極とを電気的に接続す
るのが望ましい。このようにすれば、セル列の両端の正
負電極のみに外部電源を接続することによって、セル列
内の全てのセルに電圧を負荷することができる。
【0048】なおセルが、y方向やz方向に列を形成
し、この列の並進方向に正負電極が並んでいる場合に
は、前記x方向の場合と同様にするのが望ましい。
【0049】上記マルチセルアクチュエータの例では、
電界Eが発生していた方向に膨張伸縮する液晶性分子を
用いたが、この液晶性分子に限定されず液晶アクチュエ
ータ(モノセルアクチュエータ)で挙げた全ての液晶性
分子を使用することができる。
【0050】磁界作動型又は光作動型のマルチセルアク
チュエータは、電極が形成されていない以外は前記電界
作動型のマルチセルアクチュエータで説明したのと同様
のセル及び液晶性分子を使用することができる。そして
磁界作動型のマルチセルアクチュエータでは、マルチセ
ル全体をコイルで覆うことによって作動させることがで
きる。また光作動型のマルチセルアクチュエータは、光
量制御手段を配設することによって、作動させることが
できる。
【0051】前記液晶アクチュエータ(モノセルアクチ
ュエータ)及びマルチセルアクチュエータの製造方法は
特に限定されず、慣用の方法を適宜組合わせて製造する
ことができるが、電界作動型のアクチュエータは、例え
ば以下のようにして製造することができる。
【0052】すなわち電界作動型のモノセルアクチュエ
ータは、例えば、伸縮性の袋の内面に電極板を印刷又は
蒸着し、袋内の空気を抜出しながら袋の口を閉じた後、
袋内に液晶を注入することによって製造できる。
【0053】また電界作動型のマルチセルアクチュエー
タは、前記モノセルアクチュエータを複数個積み重ねる
ことによって製造してもよく、また複数個のセルを略同
時に形成する方法によって製造してもよい。
【0054】図9〜図10は、複数個のセルを同時に形
成する前記製造方法の一例を示す概略図である。すなわ
ち図9に示すように、フィルム8a,8bの表面に、そ
れぞれ複数個の電極板4を形成する。前記電極板4は、
例えば、印刷や蒸着などによって形成する。前記2枚の
フィルム8a,8bは、電極板の形成面が互いに対向す
るようにして離間させ、これらフィルム8a,8b間
に、液晶と光硬化性樹脂との混合液を流し込む。そし
て、複数個の電極板4の境界部に光を照射すると、当該
部分で光硬化性樹脂が硬化して、図10に示すように膜
面7が形成され、複数個のセル2が略同時に形成され
る。なお図10では、理解を容易にするため、一方のフ
ィルム8aは図示していない。
【0055】なお磁界作動型のアクチュエータ及び光作
動型のアクチュエータは、電極板を形成しない以外は、
前記電界作動型のアクチュエータと同様にして形成する
ことができる。
【0056】上記のようにして得られた液晶アクチュエ
ータ(モノセルアクチュエータ)及びマルチセルアクチ
ュエータは、種々の用途に使用できる。例えば、加圧装
置(インクジェットプリンターにおけるインクの加圧噴
射装置など)として利用できる他、弁の開閉装置、圧電
素子、人工筋肉などとして利用できる。特に本発明に
は、好ましい態様として、3方向(x,y,z方向)に
独立して膨張収縮できるモノセルアクチュエータや、3
方向(x,y,z方向)に独立して直線的又は曲線的に
膨張収縮できるマルチセルアクチュエータが含まれてお
り、これらアクチュエータは複雑な動作をすることがで
きる。そのためロボットなどの間接部の動作手段として
利用した場合、極めて有利である。
【0057】
【発明の効果】本発明によれば、同一相内での配向状態
の変化、相転移などによって体積変化する液晶性分子を
変形可能なセルに封入しているため、液晶性分子の体積
変化を利用して機械的仕事ができる。そして体積変化を
利用しているため、アクチュエータの動作部の変位量が
僅かな範囲に制限されることがなく、動作部の変位量を
幅広い範囲から選択できる。そのため幅広い用途にアク
チュエータを利用することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 図1は液晶性分子の体積膨張について説明す
るための第1の概念図である。
【図2】 図2は液晶性分子の体積膨張について説明す
るため第2の概念図である。
【図3】 図3は本発明の液晶アクチュエータの一例を
示す第1の概略斜視図である。
【図4】 図4は本発明の液晶アクチュエータの一例を
示す第2の概略斜視図である。
【図5】 図5は本発明のマルチセルアクチュエータの
一例を示す第1の概略斜視図(部分図)である。
【図6】 図6は本発明のマルチセルアクチュエータの
一例を示す第2の概略斜視図(部分図)である。
【図7】 図7は本発明のマルチセルアクチュエータの
他の例を示す概略斜視図(部分図)である。
【図8】 図8は本発明のマルチセルアクチュエータの
別の例を示す概略斜視図(部分図)である。
【図9】 図9は本発明のマルチセルアクチュエータの
製造方法の一例を示す第1の概略斜視図である。
【図10】 図10は本発明のマルチセルアクチュエー
タの製造方法の一例を示す第2の概略斜視図である。
【符号の説明】
2,2a〜2h…セル 3…液晶性分子 4a〜4d…電極 7…膜

Claims (8)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 同一相内での配向状態の変化及び相転移
    の少なくとも一方によって体積変化する液晶性分子と、
    この液晶性分子を封入するための変形可能なセルと、電
    界、磁界、及び光から選択された一つの作用に基づく液
    晶性分子の配向状態及び/又は相転移の制御手段とを備
    え、前記セルが前記液晶性分子の体積変化に追従して変
    形可能である液晶アクチュエータ。
  2. 【請求項2】 前記セルが、伸縮性膜で形成されている
    請求項1記載の液晶アクチュエータ。
  3. 【請求項3】 前記セル内に、前記液晶性分子に電圧を
    負荷するための一対の電極が互いに対向するように形成
    されている請求項1又は2に記載の液晶アクチュエー
    タ。
  4. 【請求項4】 前記電極が、セルの内面に直接形成され
    ている請求項3に記載の液晶アクチュエータ。
  5. 【請求項5】 前記電極が、セルの変形に追従して変形
    可能である請求項4に記載の液晶アクチュエータ。
  6. 【請求項6】 請求項1〜5のいずれかに記載のセルの
    複数個が、二次元的に隣接しているマルチセルアクチュ
    エータ。
  7. 【請求項7】 請求項1〜5のいずれかに記載のセルの
    複数個が、三次元的に隣接しているマルチセルアクチュ
    エータ。
  8. 【請求項8】 一対の正負電極が、封入された液晶性分
    子を介して互いに対向するように各セル内面に直接形成
    されており、 前記電極のうちセルの膜を隔てて隣接する正電極と負電
    極とが電気的に接続する構成を有する請求項6又は7に
    記載のマルチセルアクチュエータ。
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