JP2003027295A - ステンレス鋼帯の酸洗方法 - Google Patents

ステンレス鋼帯の酸洗方法

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JP2003027295A JP2001221332A JP2001221332A JP2003027295A JP 2003027295 A JP2003027295 A JP 2003027295A JP 2001221332 A JP2001221332 A JP 2001221332A JP 2001221332 A JP2001221332 A JP 2001221332A JP 2003027295 A JP2003027295 A JP 2003027295A
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Koji Ito
宏治 伊藤
Toru Matsuhashi
透 松橋
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Sumitomo Metal Industries Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】ステンレス鋼帯表面のSi酸化物を除去する酸洗
方法の提供。 【解決手段】ステンレス鋼帯をpHが1〜6の硫酸ナトリ
ウム水溶液または硫酸水溶液(第1水溶液)中で間接通
電によって交番電解した後に、硫酸ナトリウム及び硝酸
を混合した水溶液(第2水溶液)中で間接通電によって
交番電解することを特徴とするステンレス鋼帯の酸洗方
法。第1水溶液が硫酸イオン濃度が35〜170g/lであり、
かつ液温が50〜70℃であり、第2水溶液が硫酸ナトリウ
ム濃度が80〜140g/lであり、硝酸濃度が80〜140g/lであ
り、かつ液温が20〜60℃であるのが望ましい。また、第
1水溶液中で間接通電によって行う交番電解の電気量密
度が60〜400C/dmであり、第2水溶液中で間接通電に
よって行う交番電解の電気量密度が50〜200C/dmであ
るのが望ましい。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、ステンレス鋼帯の
酸洗方法に係り、ステンレス鋼帯の表面に生成したFeま
たはCrを主体とする酸化物だけでなく、Si酸化物も除去
できる酸洗方法に関する。
【0002】
【従来の技術】一般に、ステンレス冷延鋼帯は、その製
造過程において焼鈍および酸洗が施されて製造される。
この焼鈍は、ステンレス鋼帯が圧延により加工硬化して
いるため、これを軟化または再結晶化するために行われ
る。また、酸洗は、焼鈍によってステンレス鋼帯の表面
に生成した酸化スケールを除去することを目的として行
われる。
【0003】焼鈍には、水素ガスおよび窒素ガスの混合
ガス雰囲気中で行う方法と大気中で行う方法とがある。
前者の方法による焼鈍は、ステンレス鋼帯の表面に生成
する酸化スケールがごく薄いため、焼鈍処理後の酸洗処
理が簡便な設備で対応できることから、後者の方法によ
る焼鈍と比べて有利である。しかし、水素ガスは、爆発
の危険性があることから、作業安全性を十分に確保する
必要がある等の保守管理上の問題があるとともに、高価
であるため、コスト面での問題もある。
【0004】このような事情から、従来、ステンレス鋼
帯の焼鈍には後者の大気ガス中で行う方法が多く実施さ
れてきた。しかし、この方法による焼鈍を行ったステン
レス鋼帯の表面に生成する酸化スケールが厚く、その後
に続く酸洗処理において完全にこれらのスケールを取り
除くのは困難である。
【0005】大気ガス中で焼鈍を行った後のステンレス
鋼帯の表面には、その外層にFeやCrを主成分とするコラ
ンダム型酸化物(Fe、Cr)があり、その内
層にSi酸化物が濃化している。この酸化スケールを除去
する方法として、NaOHやNaNOを主成分とする溶融
アルカリ塩浴に浸漬する、いわゆるソルト処理を行い、
続いて中性塩水溶液中において陽極電解処理をする、い
わゆる中性塩電解を行った後、硝酸水溶液に浸漬する方
法が良く知られている。
【0006】しかし、この方法には、雰囲気環境が悪い
こと、処理費用が高いこと、保守管理が難しいこと、ソ
ルト液の粘性が高くなると鋼帯による持ち出しが多くな
ること等の問題があるため、最近では、上記のソルト処
理を省略した方法が採用されてきている。
【0007】特開平11-61500号公報には、ステンレス鋼
帯および耐熱鋼帯を中性塩水溶液中で陽極電解した後
に、硫酸硝酸混合水溶液中で陽極電解および陰極電解
し、場合によっては更に、硝酸水溶液中で陰極電解処理
または硝酸弗酸混合水溶液中に浸漬処理する脱スケール
方法が開示されている。
【0008】この方法によれば、酸化スケール中のCr酸
化物は、中性塩水溶液中における陽極電解または硫酸硝
酸混合水溶液中における陽極電解によって酸化されて溶
解しやすいCr酸イオンとなる。また、酸化スケール中の
Fe酸化物は、硫酸硝酸混合水溶液中における陰極電解に
よって還元されて溶解しやすい2価のFeイオンとなる。
また、酸化スケール中のFe酸化物は、更に、硝酸水溶液
中で陰極電解処理または硝酸弗酸混合水溶液中に浸漬処
理によって還元されて溶解しやすい2価のFeイオンとな
る。このように、酸化スケール中のクロム酸化物および
Fe酸化物は、除去されるが、Si酸化物の濃化層は、その
除去が不十分であり、結果として鋼帯表面にSi酸化物が
残存する。
【0009】また、上記の方法においては、硫酸硝酸混
合水溶液中で陽極電解および陰極電解する必要がある
が、硫酸硝酸混合水溶液では、ポリプロピレン系の材料
を設備に使用した場合には劣化の促進が懸念され、補修
費用の負担または初期投資の高額化といったコストアッ
プの問題が生じる。
【0010】特開平10-219500号公報には、硫酸および
硫酸塩を混合した水溶液で電解酸洗する脱スケール方法
が開示されている。しかし、この方法では、単に硝酸を
使用せず、硫酸濃度を高めるだけであるため、酸洗能力
を大幅に向上させることができず、鋼帯表面にSi酸化物
が残存する。
【0011】特公平7-11079号公報および特公平7-11080
号公報には、NO3−イオンを含有する硫酸水溶液で電
解酸洗を行う脱スケール方法が開示されている。しか
し、これらの方法は、熱間圧延後のホットコイルの表面
に生成する酸化スケールの除去方法であるため、冷間圧
延後のステンレス鋼帯の最終焼鈍後に生成する酸化スケ
ールに対しては表面ピットまたは肌荒れの発生が懸念さ
れるので、適用は困難である。
【0012】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、上記の問題
を解決するためになされたものであって、酸洗後にステ
ンレス鋼帯表面をSi酸化物が残存しない状態とし、優れ
た表面性状を有するステンレス鋼帯を製造する仕上げ酸
洗方法を提供することを目的とする。
【0013】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、ステンレ
ス鋼帯の硝酸水溶液の電解酸洗処理における組成の条件
について詳しく検討を重ねた結果、Si酸化物を完全に除
去し、安定的に優れた表面性状を有するステンレス鋼帯
を製造でき酸洗方法を見出し、本発明を完成した。
【0014】本発明は、「ステンレス鋼帯をpHが1〜6
の硫酸ナトリウム水溶液または硫酸水溶液中で間接通電
によって交番電解した後に、硫酸ナトリウム及び硝酸を
混合した水溶液中で間接通電によって交番電解すること
を特徴とするステンレス鋼帯の酸洗方法」を要旨とす
る。
【0015】なお、上記の硫酸ナトリウム水溶液または
硫酸水溶液は、硫酸イオン濃度が35〜170g/lであり、か
つ液温が50〜70℃であるのが望ましく、上記の硫酸ナト
リウムおよび硝酸を混合した水溶液は、硫酸ナトリウム
濃度が80〜140g/lであり、硝酸濃度が80〜140g/lであ
り、かつ液温が20〜60℃であるのが望ましい。
【0016】また、上記の硫酸ナトリウム水溶液又は硫
酸水溶液中で間接通電によって行う交番電解の電気量密
度が60〜400C/dmであるのが望ましく、上記の硫酸ナ
トリウムおよび硝酸を混合した水溶液中で間接通電によ
って行う交番電解の電気量密度が50〜200C/dmである
のが望ましい。
【0017】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施の形態を図を
使って説明する。
【0018】図1は、本発明を実施するための装置の一
例を示す模式図である。同図に示すとおり、本発明の酸
洗方法においては、焼鈍されたステンレス鋼帯1は、ま
ず、硫酸ナトリウム水溶液または硫酸水溶液で満たされ
た電解酸洗槽2を通過し、酸洗洗浄ブラシスタンド4の
ブラシによって、鋼帯表面に付着したスマットが取り除
かれ、更に、硫酸ナトリウムおよび硝酸を混合した水溶
液で満たされた電解酸洗槽3を通過し、再び、酸洗洗浄
ブラシスタンド4のブラシによって、スマットが取り除
かれる。その後、ステンレス鋼帯1は、水槽5および酸
洗洗浄ブラシスタンド4を通過して次工程に送られる。
【0019】ここで、電解酸洗槽2および電解酸洗槽3
には、陰電極6および陽電極7がステンレス鋼帯1の表
裏面に対向するように設置されており、さらに、ステン
レス鋼帯1の進行方向においては、陰電極6と陽電極7
とが交互に設置されている。陰電極6および陽電極7
は、直流電圧が印可され、各酸洗槽に満たされた水溶液
を通してステンレス鋼帯1を間接電解する。このように
陰電極6と陽電極7との組み合わせが少なくとも2以上
ある装置によって電解することを交番電解という。ま
た、通常、ステンレス鋼帯1の表面に疵を付けないた
め、陰電極6および陽電極7は、ステンレス鋼帯1と接
触しない位置に設置されて通電されるが、このような通
電方法を間接通電というものとする。
【0020】通常のステンレス鋼帯の製造工程において
は、降伏応力を低減させる等の目的で図1に示したよう
な調質圧延機8が設置されているが、鋼帯の表面に酸化
スケールが残存していると、調質圧延を行った際に光沢
不良(いわゆる、ロールコーティング)が発生する。こ
れは、鋼帯表面に残存した酸化スケールが調質圧延機の
ロールに巻き付き、巻き付いてできたロール表面の凹凸
形状が鋼板に転写し、鋼板表面も凹凸形状となるために
発生するものである。このロールコーティングは、特に
フェライト系ステンレス鋼を調質圧延した場合に発生し
やすい。
【0021】鋼帯表面にロールコーティングが発生する
と調質圧延機を開放して再度調質圧延を行わなければな
らないため、作業が無駄となるばかりか、ロールコーテ
ィングが発生した部分は格下げ品またはスクラップ品と
なるために歩留り悪化の原因ともなる。
【0022】しかし、Cr酸化物およびFe酸化物をほぼ完
全に除去した鋼帯に調質圧延を行った場合にでも、上記
のロールコーティングの発生を抑制することができな
い。本発明者の研究の結果、鋼板表面に付着したSi酸化
物を低減することによってロールコーティングの発生を
抑制できることが分かった。さらに、本発明者らは、鋼
帯表面に付着したSi酸化物を除去する効果が極めて高い
本発明の酸洗方法を完成した。
【0023】本発明の酸洗方法は、まず、ステンレス鋼
帯をpHが1〜6の硫酸ナトリウム水溶液または硫酸水溶
液中で間接通電によって交番電解する必要がある。これ
は、下記の理由による。
【0024】即ち、硫酸ナトリウム水溶液または硫酸水
溶液中に設置した陰電極近傍においては、鋼帯表面は、
陽極電解(アノード反応)により酸素ガスが発生すると
ともに、スケール中のCr(3価のCr)がCr
2−(6価のCr)に酸化され、スケール中のCrが水溶液
中に溶解することが一般に知られている。
【0025】一方、これらの水溶液中に設置した陽電極
近傍においては、鋼帯表面は、陰極電解(カソード反
応)により水素ガスが発生する。このガスは、鋼帯表面
に付着したCr酸化物またはFe酸化物を除去する作用を有
している。特に、これらの水溶液が酸性領域(具体的に
は、pHが1〜6の領域)にある場合には、陽電極近傍に
おいて、鋼帯表面は、陰極電解によりスケール中のFe
(3価のFe)が2価のFeに還元されて、水溶液中に
Fe2+として溶解する。更に、厳密な理由は定かではな
いが、この3価のFeが水溶液中にFe2+として溶解する
際に、鋼板表面に濃化していたSi酸化物が離脱する。
【0026】しかし、上記の硫酸ナトリウム水溶液また
は硫酸水溶液のpHが1未満の場合には、陰極電解(カソ
ード反応)が十分に促進されSi酸化物が離脱しやすくな
る反面、鋼板表面に肌荒れを生じ、表面性状が悪化す
る。一方、そのpHが6を超える場合には、陰極電解(カ
ソード反応)が作用せず、陽極電解(アノード反応)に
よってスケール中のCrが水溶液中に溶解するのみとなる
ので、スケールの溶解減量が低下し、Si酸化物は離脱し
ない。
【0027】図2は、硫酸ナトリウム水溶液のpHと酸化
スケールの溶解減量との関係を示す図である。なお、こ
の実験は、試験室において厚さ0.4mmのSUS430冷延鋼板
を硫酸ナトリウム水溶液(硫酸ナトリウム濃度:220g/
l、液温:60℃)中で間接通電によって交番電解(電気
量密度:100C/dm)する際に、当該水溶液に硫酸を適
当量加えることによってpH値を変化させて、各pH値に対
応した酸洗処理前後の溶解減量を測定して行った。
【0028】同図に示すとおり、pH値が大きくなるほ
ど、溶解減量が低下し、pHが6を超える場合には、溶解
減量が0.2g/mを下回り、脱スケールが不十分であるこ
とが分かる。従って、当該水溶液中のpHを1〜6とする
必要がある。
【0029】上記のとおり、硫酸ナトリウム水溶液また
は硫酸水溶液中においては、陽極電解および陰極電解と
もに、Cr、Fe等の酸化物を除去する効果を有する。更
に、このような電解を繰り返し、交番電解することによ
って、この効果は、更に大きくなる。従って、本発明に
おいては、ステンレス鋼帯をpHが1〜6の硫酸ナトリウ
ム水溶液または硫酸水溶液中で間接通電によって交番電
解することとした。
【0030】本発明の酸洗方法においては、上記の酸洗
処理に続いて、硫酸ナトリウム及び硝酸を混合した水溶
液中で間接通電によって交番電解する必要がある。
【0031】一般に、硫酸ナトリウム水溶液中で電解酸
洗を行った後、硝酸水溶液中で電解酸洗を行う方法が広
く用いられている。その原理は、硝酸水溶液中の陰極電
解によりスケール中のFe(3価のFe)が2価のFe
に還元されて、水溶液中にFe 2+として溶解することに
より、前段階の硫酸ナトリウム水溶液中の電解酸洗にお
いて残存したスケールを除去することである。
【0032】しかし、本発明者らの研究により、硝酸水
溶液中での電解酸洗および硫酸ナトリウム水溶液中での
電解酸洗をそれぞれ単独で行うよりも、これらの混合液
中で電解酸洗した方が脱スケール量を増加できることが
明らかとなった。さらに、この混合水溶液中で陽極電解
と陰極電解との組み合わせが少なくとも2以上繰り返さ
れる交番電解を施せば、より大きな効果を得ることがで
きる。従って、本発明においては、上記の酸洗処理に続
いて、硫酸ナトリウム及び硝酸を混合した水溶液中で間
接通電によって交番電解する必要がある。
【0033】本発明の酸洗方法において、硫酸ナトリウ
ム水溶液または硫酸水溶液は、硫酸イオン濃度が35〜17
0g/lであり、かつ液温が50〜70℃であるのが望ましい。
これは、下記の理由による。
【0034】即ち、当該水溶液中の硫酸イオン濃度が35
g/l未満の場合には、脱スケールが完了しないため、鋼
帯表面にSi酸化物が残存する原因となる。一方、その硫
酸イオン濃度が170g/lを超えると、脱スケール効果が飽
和するばかりか、特に、硫酸ナトリウム水溶液を使用す
る場合には、溶解しきれない硫酸ナトリウムが沈殿し、
更に結晶化して、鋼帯表面に押し込み疵を発生する。従
って、当該水溶液中の硫酸イオン濃度を35〜170g/lとす
るのが望ましい。
【0035】当該水溶液の液温が50℃未満の場合、電解
効率が低下してSi酸化物が残留する原因となる。一方、
その液温が70℃を超えると、脱スケール効果が飽和する
ばかりか、特に、硫酸ナトリウム水溶液を使用する場合
には、溶解しきれない硫酸ナトリウムが沈殿し、更に結
晶化して、鋼帯表面に押し込み疵を発生する。従って、
当該水溶液の液温を50〜70℃とするのが望ましい。
【0036】本発明の酸洗方法において、硫酸ナトリウ
ムおよび硝酸を混合した水溶液は、硫酸ナトリウム濃度
が80〜140g/lであり、硝酸濃度が80〜140g/lであり、か
つ液温が20〜60℃であるのが望ましい。これは下記の理
由による。
【0037】即ち、当該水溶液中の硫酸ナトリウム濃度
が80g/l未満の場合には、脱スケールが完了しないた
め、鋼帯表面にSi酸化物が残存する原因となる。一方、
その硫酸ナトリウム濃度が140g/lを超えると、電解作用
が強く働くため、表面に電解ピットが形成され表面性状
が悪化する。従って、当該水溶液中の硫酸ナトリウム濃
度を80〜140g/lとするのが望ましい。
【0038】当該水溶液中の硝酸濃度が80g/l未満の場
合には、脱スケールが完了しないため、鋼帯表面にSi酸
化物が残存する原因となる。一方、その硝酸濃度が140g
/lを超えると、電解作用が強く働くため、表面に電解ピ
ットが形成され表面性状が悪化する。従って、当該水溶
液中の硝酸濃度を80〜140g/lとするのが望ましい。
【0039】当該水溶液の液温が20℃未満の場合、電解
効率が低下してSi酸化物が残留する原因となる。一方、
その液温が60℃を超えると、水溶液中の水分が蒸発し
て、硫酸ナトリウムが沈殿し、更に結晶化して、鋼帯表
面に押し込み疵を発生する。従って、当該水溶液の液温
を20〜60℃とするのが望ましい。
【0040】本発明の酸洗方法において、硫酸ナトリウ
ム水溶液又は硫酸水溶液中で間接通電によって行う交番
電解の電気量密度が60〜400C/dmであるのが望まし
い。これは、電解の電気量密度が60C/dm未満の場合に
は、十分にCr酸化物およびFe酸化物を除去できず、続い
て施される酸洗においてSi酸化物を完全に除去するのが
困難となるからであり、また、その電気量密度が400C/d
mを超える場合には、鋼帯自体の溶解が促進されて表
面に肌荒れが発生するからである。従って、硫酸ナトリ
ウム水溶液又は硫酸水溶液中で間接通電によって行う交
番電解の電気量密度は、60〜400C/dmであるのが望ま
しい。
【0041】本発明の酸洗方法において、硫酸ナトリウ
ムおよび硝酸を混合した水溶液中で間接通電によって行
う交番電解の電気量密度が50〜200C/dmであるのが望
ましい。これは、電解の電気量密度が50C/dm未満の場
合には、十分にCr酸化物およびFe酸化物を除去できず、
続いて施される酸洗においてSi酸化物を完全に除去する
のが困難となるからであり、また、その電気量密度が20
0C/dmを超える場合には、鋼帯自体の溶解が促進され
て表面に肌荒れが発生するからである。従って、硫酸ナ
トリウムおよび硝酸を混合した水溶液中で間接通電によ
って行う交番電解の電気量密度は、50〜200C/dmであ
るのが望ましい。
【0042】
【実施例】(実施例1)厚さ0.4mmのSUS430冷延ステン
レス鋼板を、大気中、直火型加熱焼鈍炉で狙い板温を84
0℃、在炉時間78.8秒として焼鈍した試験片に下記の表
1に示す条件で酸洗処理を施した。
【0043】
【表1】
【0044】表1に示す条件の酸洗処理を施した各試験
片についてSi酸化物の残留状況をXPS分析によって観
察した。なお、XPS分析は、スパッタリング時間2秒
で10回行い、約10nmの深さまで成分分析を行った。
【0045】図3は、上記の分析の結果得られた鋼板表
面からの深さと残留しているSi酸化物の割合との関係を
示す図である。同図に示すとおり、本発明例1〜5にお
いては、表層部においても最大5質量%程度のSi酸化物
が付着していたのみであり、深さ4nm以上の位置におい
てはSi酸化物の残留量は1質量%以下であった。一方、
比較例1〜4では、表層部において7質量%を超えるSi
酸化物が付着しており、深さ8nmの位置においても2質量
%を超えるSi酸化物が残留していた。以上の結果から、
本発明の優れたSi酸化物除去効果を確認できた。
【0046】(実施例2)厚さ0.4mmのSUS430冷延ステ
ンレス鋼板を、大気中、直火型加熱焼鈍炉で狙い板温を
840℃、在炉時間78.8秒として焼鈍した試験片に前記の
表1に示す条件で酸洗処理を施し、その後、各試験片
を、前記の図1に示した装置を使用して鋼帯を製造した
際に、調質圧延機におけるロールコーティングの発生の
有無を調査した。その結果を下記の表2に示す。
【0047】
【表2】
【0048】表2に示すとおり、本発明例1〜5のいず
れの試験片においても、ロールコーティングが発生しな
かったのに対し、比較例1〜4の試験片では、いずれも
ロールコーティングが発生した。この結果から、前記の
実施例1の結果を考慮すると、ロールコーティングの発
生を完全になくするためには、鋼帯表面からの深さ3nm
までに3.5質量%以下に制御する必要があり、本発明の
酸洗方法によれば、この条件を達成できることが分か
る。
【0049】
【発明の効果】本発明によれば、ステンレス鋼帯表面の
Si酸化物を除去することができるので、調質圧延機での
ロールコーティングの発生がなく、安定的に優れた表面
性状を有するステンレス鋼帯を製造することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明を実施するための装置の一例を示す模式
図である。
【図2】硫酸ナトリウム水溶液のpHと酸化スケールの溶
解減量との関係を示す図である。
【図3】鋼板表面からの深さと残留しているSi酸化物の
割合との関係を示す図である。 1.ステンレス鋼帯、 2.硫酸ナトリウム水溶液または硫酸水溶液で満たされ
た電解酸洗槽、 3.硫酸ナトリウムおよび硝酸を混合した水溶液で満た
された電解酸洗槽、 4.酸洗洗浄ブラシスタンド、 5.水槽、 6.陰電極、 7.陽電極、 8.調質圧延機 9.ホットリンスタンク 10.ドライヤー

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】ステンレス鋼帯をpHが1〜6の硫酸ナトリ
    ウム水溶液または硫酸水溶液中で間接通電によって交番
    電解した後に、硫酸ナトリウム及び硝酸を混合した水溶
    液中で間接通電によって交番電解することを特徴とする
    ステンレス鋼帯の酸洗方法。
  2. 【請求項2】上記の硫酸ナトリウム水溶液または硫酸水
    溶液は、硫酸イオン濃度が35〜170g/lであり、かつ液温
    が50〜70℃であることを特徴とする請求項1に記載のス
    テンレス鋼帯の酸洗方法。
  3. 【請求項3】上記の硫酸ナトリウムおよび硝酸を混合し
    た水溶液は、硫酸ナトリウム濃度が80〜140g/lであり、
    硝酸濃度が80〜140g/lであり、かつ液温が20〜60℃であ
    ることを特徴とする請求項1または2のいずれかに記載
    のステンレス鋼帯の酸洗方法。
  4. 【請求項4】上記の硫酸ナトリウム水溶液又は硫酸水溶
    液中で間接通電によって行う交番電解の電気量密度が60
    〜400C/dmであることを特徴とする請求項1〜3のい
    ずれかに記載のステンレス鋼帯の酸洗方法。
  5. 【請求項5】上記の硫酸ナトリウムおよび硝酸を混合し
    た水溶液中で間接通電によって行う交番電解の電気量密
    度が50〜200C/dmであることを特徴とする請求項1〜
    4のいずれかに記載のステンレス鋼帯の酸洗方法。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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US8128754B2 (en) 2008-11-14 2012-03-06 Ak Steel Properties, Inc. Ferric pickling of silicon steel
CN109267142A (zh) * 2018-09-26 2019-01-25 中国民航大学 一种沉淀硬化型不锈钢常温电解酸洗方法

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