JP2003013234A - 気化器及び気化供給装置 - Google Patents

気化器及び気化供給装置

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JP2003013234A
JP2003013234A JP2001349840A JP2001349840A JP2003013234A JP 2003013234 A JP2003013234 A JP 2003013234A JP 2001349840 A JP2001349840 A JP 2001349840A JP 2001349840 A JP2001349840 A JP 2001349840A JP 2003013234 A JP2003013234 A JP 2003013234A
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JP2001349840A
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Yukichi Takamatsu
勇吉 高松
Gakuo Yoneyama
岳夫 米山
Koji Kiriyama
晃二 桐山
Akiyoshi Asano
彰良 淺野
Kazuaki Tonari
和昭 十七里
Mitsuhiro Iwata
充弘 岩田
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Japan Pionics Ltd
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Japan Pionics Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 半導体の製造等に用いられる化学気相成長
(CVD)装置にガス状のCVD原料を供給するための
気化器、気化供給装置において、固体CVD原料を用い
た場合においても、原料供給口で固体CVD原料が析出
して付着することなく、所望の濃度及び流量で効率よく
気化供給が可能な気化器、気化供給装置を提供する。 【解決手段】 CVD原料供給部のCVD原料との接触
部が耐腐食性合成樹脂で構成される気化器とする。ま
た、前記気化器に加えて、気化室の加熱時にCVD原料
供給部の金属構成部分を冷やすための冷却器を備えた気
化供給装置とする。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、半導体の製造等に
用いられる化学気相成長(CVD)装置にガス状のCV
D原料を供給するための気化器及び気化供給装置に関す
る。さらに詳細には、液体CVD原料、または液体CV
D原料若しくは固体CVD原料を溶媒に溶解させた液体
CVD原料を、品質を低下させることなく、所望の濃度
及び流量で効率よく気化供給するための気化器及び気化
供給装置に関する。
【0002】
【従来の技術】半導体デバイスの絶縁薄膜には、ゲート
絶縁膜としてSiO2、キャパシタ絶縁膜としてSi3
4、層間絶縁膜としてPSG(リン・シリコン・ガラ
ス)、BPSG(ボロン・リン・シリコン・ガラス)が
ある。従来よりこれらをCVD装置により製造するため
の材料としては、SiH4、NH3、PH3、B26等の
気体原料が用いられてきたが、デバイスの三次元化や配
線の多層化が進むにつれて、絶縁膜の平坦化に対する要
求が高まってきており、ボイド等の欠陥が発生しにくく
高品質の薄膜形成が可能な液体原料も使用されている。
例えば、SiO2膜の原料としてはテトラエトキシケイ
素(Si(OC254)が、BPSG膜の原料として
はトリメトキシホウ素(B(OCH33)、トリメトキ
シリン(P(OCH33)等が用いられている。
【0003】また、このほかにもSiO2の数倍の高い
誘電率を示すTa25膜等の新しい種類の薄膜も開発さ
れており、Ta25膜の原料としては、液体であるペン
タエトキシタンタル(Ta(OC255)が用いられ
ている。さらに近年においては、半導体メモリー用の酸
化物系誘電体薄膜として、より高誘電率でステップカバ
レッジ性が高いチタン酸ジルコン酸鉛(PZT)膜、チ
タン酸バリウムストロンチウム(BST)膜等が用いら
れている。これらの薄膜の原料としては、例えばPb源
としてPb(DPM)2(固体原料)、Zr源としてZ
r(OC(CH334(液体原料)、Ti源としてT
i(OCH(CH324(液体原料)、Ba源として
Ba(DPM)2(固体原料)、Sr源としてSr(D
PM)2(固体原料)が用いられている。
【0004】CVD原料として液体原料を使用する場合
は、液体原料は気化器等でガス状にされた後、CVD装
置に供給される。しかし、液体原料は、一般的に蒸気圧
が低く、粘度が高く、気化温度と分解温度が接近してい
るため、その品質を低下させることなく、しかも所望の
濃度及び流量で効率よく気化させることは困難なことで
あった。また、固体原料は、高温に保持し昇華して気化
供給することにより高純度の原料を得ることが可能であ
るが、工業的には充分な供給量を確保することが極めて
困難であるため、通常はテトラヒドロフラン等の溶媒に
溶解させて液体原料とすることにより気化させて使用し
ている。しかし、固体原料は、気化温度が溶媒と大きく
相異するため、加熱により溶媒のみが気化しやすく、液
体原料の気化よりもさらに困難であった。
【0005】このように液体原料あるいは固体原料を用
いた絶縁薄膜の製造は、高度の技術を必要とするが、気
体原料を用いた絶縁薄膜より高品質、高純度のものが期
待できるため、これらの原料を劣化させずに効率よく気
化する目的で、種々の気化器あるいは気化供給装置が開
発されてきた。例えば、液体原料を気化するための気化
器としては、気化容器の形状が、球形、楕球形、樽形、
または端部が丸みをおびた円筒形、円錐形、円錐台形、
半球形、またはこれらに類似する形状若しくはこれらを
組み合せた形状であり、キャリアガスが気化容器内で旋
回流を形成するように設定された気化器(特開平11−
342328号公報)が挙げられる。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】前記気化器は、加熱さ
れたキャリアガスを気化容器の内壁面に沿って旋回させ
ることで、原料供給口において霧化器等により霧化され
た原料がこのキャリアガスに巻き込まれて接触加熱され
るので、内壁面からの直接的な加熱による原料の品質低
下や内壁面への付着物の堆積が極めて少なくなり、また
気化効率の向上が期待できる優れた気化器である。しか
しながら、固体CVD原料を有機溶媒に溶解させたCV
D原料を用いた場合には、このような気化器を用いて
も、原料供給口では溶媒のみが気化しやすく、長時間の
使用により固体CVD原料が析出してCVD原料の流路
内に付着し、絶縁薄膜の品質、純度に悪影響を及ぼす虞
があった。
【0007】また、CVD原料は一般的に高価なもので
あり、化学気相成長においてはCVD原料を高濃度で供
給することによりその利用効率を上げることが好ましい
が、CVD原料に伴って供給されるキャリアガスの供給
量を減少させると、溶媒が気化し固体CVD原料が析出
する傾向が大きくなるという不都合があった。従って、
本発明が解決しようとする課題は、固体CVD原料を用
いた場合においても、CVD原料供給口で固体CVD原
料が析出して付着することなく、所望の濃度及び流量で
効率よく気化供給が可能な気化器及びそのような気化器
を有する気化供給装置を提供することである。
【0008】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、これらの
課題を解決すべく鋭意検討した結果、CVD原料供給部
においてCVD原料との接触部の構成材料を、耐熱性の
ほか、断熱性があり、CVD原料が付着しにくい特性を
有する耐腐食性合成樹脂、特にフッ素系樹脂、ポリイミ
ド系樹脂等とすることにより、また、それに加えて、気
化室の加熱時にCVD原料供給部を冷却することによ
り、固体CVD原料を有機溶媒に溶解させたCVD原料
を用いた場合においても、有機溶媒のみが気化する一因
である急激なCVD原料の加熱を防止できること、及び
固体CVD原料が析出しても付着しにくくなることを見
い出し本発明に到達した。
【0009】すなわち本発明は、CVD原料の気化室、
CVD原料を該気化室に供給するためのCVD原料供給
部、気化ガス排出口、及び該気化室の加熱手段を有する
気化器であって、該CVD原料供給部のCVD原料との
接触部の少なくとも一部が耐腐食性合成樹脂で構成され
ることを特徴とする気化器である。また、本発明は、C
VD原料の気化室、CVD原料を該気化室に供給するた
めのCVD原料供給部、気化ガス排出口、及び該気化室
の加熱手段を有する気化器であって、該CVD原料供給
部が、内部及び気化室側の表面が耐腐食性合成樹脂で構
成され、気化器外部との接触部が金属で構成されること
を特徴とする気化器でもある。
【0010】さらに、本発明は、CVD原料の気化室、
CVD原料を該気化室に供給するためのCVD原料供給
部、気化ガス排出口、及び該気化室の加熱手段を内蔵す
る気化器と、冷却器を有する気化供給装置であって、気
化器のCVD原料供給部は、内部及び気化室側の表面が
耐腐食性合成樹脂で構成され気化器の外部との接触部が
金属で構成されており、気化室の加熱時に加熱手段から
熱伝導を受ける該CVD原料供給部の金属構成部分の少
なくとも一部が、冷却器により冷却可能な構成であるこ
とを特徴とする気化供給装置でもある。
【0011】
【発明の実施の形態】本発明は、液体CVD原料、また
は液体CVD原料あるいは固体CVD原料を溶媒に溶解
させた液体CVD原料を気化させて、CVD装置等に供
給する気化器に適用されるが、固体CVD原料を使用す
る場合において、気化器のCVD原料供給口における固
体CVD原料の析出、付着を防止できる点で特に効果を
発揮する。
【0012】本発明の気化器は、CVD原料供給部のC
VD原料との接触部の少なくとも一部が、耐熱性のほ
か、断熱性がありCVD原料が付着しにくい特性を有す
る耐腐食性合成樹脂、例えば、フッ素系樹脂またはポリ
イミド系樹脂で構成される気化器であり、好ましくは、
CVD原料供給部の内部及び気化室側の表面が、前記特
性を有する耐腐食性合成樹脂で構成され、CVD原料供
給部の気化器外部との接触部が高い気密性を有する金属
で構成される気化器とされる。また、本発明の気化供給
装置は、少なくとも上記気化器及び冷却器からなり、気
化室の加熱時に加熱手段から熱伝導を受ける前記金属構
成部分が、冷却器により冷却可能な気化供給装置であ
る。
【0013】本発明の気化器及び気化供給装置に適用で
きるCVD原料は、常温で液体であってもまた固体を溶
媒に溶解したものであっても、液状を保持し得るもので
あれば特に制限はなく、用途に応じて適宜選択、使用さ
れる。例えばテトラiso-プロポキシチタン(Ti(OC
H(CH324)、テトラn-プロポキシチタン(Ti
(OC374)、テトラtert-ブトキシジルコニウム
(Zr(OC(CH334)、テトラn-ブトキシジル
コニウム(Zr(OC494)、テトラメトキシバナ
ジウム(V(OCH34)、トリメトキシバナジルオキ
シド(VO(OCH 33)、ペンタエトキシニオブ(N
b(OC255)、ペンタエトキシタンタル(Ta
(OC255)、トリメトキシホウ素(B(OCH3
3)、トリiso-プロポキシアルミニウム(Al(OCH
(CH323)、テトラエトキシケイ素(Si(OC2
54)、テトラエトキシゲルマニウム(Ge(OC2
54)、テトラメトキシスズ(Sn(OCH34)、
トリメトキシリン(P(OCH33)、トリメトキシホ
スフィンオキシド(PO(OCH33)、トリエトキシ
ヒ素(As(OC253)、トリエトキシアンチモン
(Sb(OC253)等の常温で液体のアルコキシド
を挙げることができる。
【0014】また、前記のほかに、トリメチルアルミニ
ウム(Al(CH33)、ジメチルアルミニウムハイド
ライド(Al(CH32H)、トリiso-ブチルアルミニ
ウム(Al(iso-C493)、ヘキサフルオロアセチ
ルアセトン銅ビニルトリメチルシラン((CF3CO)2
CHCu・CH2CHSi(CH33)、ヘキサフルオ
ロアセチルアセトン銅アリルトリメチルシラン((CF
3CO)2CHCu・CH2CHCH2Si(CH33)、
ビス(iso-プロピルシクロペンタジエニル)タングステ
ンジハライド((iso-C37552WH2)、テトラ
ジメチルアミノジルコニウム(Zr(N(C
324)、ペンタジメチルアミノタンタル(Ta
(N(CH325)、ペンタジエチルアミノタンタル
(Ta(N(C2525)、テトラジメチルアミノチ
タン(Ti(N(CH324)、テトラジエチルアミ
ノチタン(Ti(N(C2524)等の常温で液体の
原料を例示することができる。
【0015】さらに、ヘキサカルボニルモリブデン(M
o(CO)6)、ジメチルペントオキシ金(Au(C
32(OC57))、ビス(2,2,6,6,-テトラメチル-
3,5ヘプタンジオナイト)バリウム(Ba((C(C
3323HO22)、ビス(2,2,6,6,-テトラメチ
ル-3,5ヘプタンジオナイト)ストロンチウム(Sr
((C(CH3323HO22)、テトラ(2,2,6,6,
-テトラメチル-3,5ヘプタンジオナイト)チタニウム
(Ti((C(CH3323HO24)、テトラ(2,
2,6,6,-テトラメチル-3,5ヘプタンジオナイト)ジルコ
ニウム(Zr((C(CH3 323HO24)、ビス
(2,2,6,6,-テトラメチル-3,5ヘプタンジオナイト)鉛
(Pb((C(CH3323HO22)、(ジターシ
ャリーブトキシドビス)(2,2,6,6,-テトラメチル-3.5.
ヘプタンジオナイト)チタニウム、(ジ-イソプロポキ
シ)(2,2,6,6,-テトラメチル-3,5,-ヘプタンジオナイ
ト)チタニウム、テトラキス(イソブチリルピバロイル
メタナート)ジルコニウム、または(イソプロポキシ)
トリス(2,2,6,6,-テトラメチル-3,5,-ヘプタンジオナ
イト)ジルコニウム等の常温で固体の原料を例示するこ
とができる。ただし、これらは通常0.1〜1.0mo
l/L程度の濃度で有機溶媒に溶解して使用する必要が
ある。
【0016】固体CVD原料の溶媒として用いられる前
記有機溶媒は、通常はその沸点温度が40℃〜140℃
の有機溶媒である。それらの有機溶媒として、例えば、
プロピルエーテル、メチルブチルエーテル、エチルプロ
ピルエーテル、エチルブチルエーテル、酸化トリメチレ
ン、テトラヒドロフラン、テトラヒドロピラン等のエー
テル、メチルアルコール、エチルアルコール、プロピル
アルコール、ブチルアルコール等のアルコール、アセト
ン、エチルメチルケトン、iso-プロピルメチルケトン、
iso-ブチルメチルケトン等のケトン、プロピルアミン、
ブチルアミン、ジエチルアミン、ジプロピルアミン、ト
リエチルアミン等のアミン、酢酸エチル、酢酸プロピ
ル、酢酸ブチル等のエステル、ヘキサン、ヘプタン、オ
クタン等の炭化水素等を挙げることができる。
【0017】以下、本発明の気化器を、図1〜図3に基
づいて詳細に説明するが、本発明はこれらにより限定さ
れるものではない。図1は本発明の気化器の例を示す断
面図、図2は本発明の気化器のCVD原料供給部の一例
を示す断面図、図3は本発明の気化器の図2以外のCV
D原料供給部の例を示す断面図である。
【0018】本発明の気化器は、図1に示すように、C
VD原料の気化室5、CVD原料を気化室に供給するた
めのCVD原料供給部6、気化ガス排出口7、及び気化
室の加熱手段(ヒーター等)8を有する気化器であり、
CVD原料供給部のCVD原料との接触部(CVD原料
の流路12、流路14の周辺部)の少なくとも一部が、
フッ素系樹脂、ポリイミド系樹脂等の耐腐食性合成樹脂
で構成される気化器である。さらに本発明の気化器は、
好ましくは図2に示すように、CVD原料供給部の内部
9及び気化室側の表面10がフッ素系樹脂またはポリイ
ミド系樹脂等の耐腐食性合成樹脂で構成され、CVD原
料供給部の気化器外部との接触部11が金属で構成され
る気化器である。
【0019】本発明において、耐腐食性合成樹脂の構成
部は、通常はCVD原料供給部の内部に形成される。耐
腐食性合成樹脂の構成部の形状については特に制限され
ることがないが、通常は図2に示すように円柱形または
これに類似する形状である。CVD原料は、例えばステ
ンレス管17及び耐腐食性合成樹脂により構成された流
路12を通過して気化室に供給される。尚、前記のよう
にステンレス管を耐腐食性合成樹脂の構成部の内部まで
挿入して装着する場合は、接続箇所で漏れがないように
することが必要であり、さらに継手を用いる場合は回転
トルクを生じないシールを行なうことが好ましい。
【0020】耐腐食性合成樹脂の構成部は、CVD原料
の流路の周辺部のみでもよいが、CVD原料として固体
CVD原料を有機溶媒に溶解させたものを使用した場
合、ヒーター等の加熱手段により溶媒が急激に加熱され
て流路内で気化することを防止するために厚くすること
が好ましい。しかし、金属の構成部を薄くしすぎると気
密性を保つことが困難になるので、金属の厚みは通常は
1.0mm以上とされる。また、本発明の気化器はこの
ような構成となっているので、溶媒のみが気化し固体C
VD原料が析出しても、耐腐食性合成樹脂で構成される
流路の壁面には固体CVD原料が付着しにくい。
【0021】尚、従来の気化器のCVD原料供給部の構
成材料としては、通常はSUS316、SUS316L
等のステンレス鋼が用いられているが、これらの構成材
料は、熱伝導性が高く固体CVD原料が付着しやすい特
性を有するため、気化室の加熱手段により急激にCVD
原料が加熱されて有機溶媒のみが気化し、原料供給口で
固体CVD原料が析出して付着する虞があった。しか
し、本発明の気化器は、前述のようにCVD原料供給部
のCVD原料との接触部を、断熱性がありCVD原料が
付着しにくい特性を有する耐腐食性合成樹脂としたの
で、このような虞が極めて少なくなった。
【0022】本発明の気化器においては、固体CVD原
料を使用する場合、さらに気化器のCVD原料供給部に
おける固体CVD原料の付着を防止するために、CVD
原料にキャリアガスを添加して線速度を上げた後、気化
室に供給する構成とすることが好ましい。また、このよ
うな構成においては、気化室への供給口における付着を
防止するために、CVD原料供給部内のCVD原料流路
を、気化室への供給口近辺で細くして、線速度を高くす
る構成とすることが好ましい。さらに同様の目的で、図
3(C)に示すように、CVD原料供給部の気化室側の
外形が、気化室に向かって凸形状となるように、円錐
形、円錐台形、半球形またはこれらに類似する形状とす
ることが好ましい。
【0023】また、本発明の気化器においては、液体原
料の種類、供給量、気化ガス濃度、その他の操作条件な
どに応じて所望の温度に設定できるような加熱手段が付
与される。加熱手段の設置形態については、気化室を精
度良く加熱保温できれば特に限定されることがなく、例
えばヒーターが気化器側面の構成部等に内蔵されて設け
られる。しかし、固体CVD原料を有機溶媒に溶解させ
たCVD原料を用いた場合において、CVD原料供給部
の急激なCVD原料の加熱を防止する効果をさらに向上
させるために、CVD原料供給部の側面周辺の気化室外
壁に空間部が設けられてCVD原料供給部への熱伝導が
制限されることが好ましい。気化室の加熱温度は、液体
原料の種類、供給量、気化ガス濃度、その他の操作条件
などによっても異なるが、通常は40〜250℃程度と
なるように設定される。
【0024】尚、本発明の気化器において、CVD原料
供給部のCVD原料との接触部、あるいは内部及び気化
室側の表面の構成材料として使用される耐腐食性合成樹
脂としては、使用される溶媒の沸点温度以上の耐熱性を
有し、かつCVD原料と溶媒に対する耐腐食性を有する
ものであれば特に限定されることがなく、例えばフェノ
ール樹脂、ユリア樹脂、メラミン樹脂、ポリエステル樹
脂、エポキシ樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリアミド系樹
脂、フッ素系樹脂、ポリイミド系樹脂等を使用すること
ができる。但し、フッ素系樹脂、ポリイミド系樹脂以外
の合成樹脂を使用する場合は、CVD原料、溶媒によっ
てはこれらの作用を受ける虞があるので、CVD原料、
溶媒との接触面をフッ素系樹脂またはポリイミド系樹脂
により被覆することが好ましい。
【0025】フッ素系樹脂の種類としては、耐熱性、耐
腐食性、断熱性を有し、CVD原料が付着しにくい特性
を有する材質であればいずれも用いることができる。こ
のようなフッ素系樹脂として、例えば、ポリテトラフル
オロエチレン(PTFE)、ポリトリフルオロエチレン
(PTrFE)、ポリフッ化ビニリデン(PVdF)、
テトラフルオロエチレン−パーフルオロアルキルビニル
エーテル共重合体(PFA)等が挙げられる。
【0026】また、ポリイミド系樹脂としては、ポリイ
ミド樹脂、ポリイミドアミド樹脂等分子内に(−N(C
O)−)の構造を有し、耐熱性、耐腐食性、断熱性の
他、CVD原料が付着しにくい特性を有するものであれ
ばいずれも用いることができる。また、CVD原料供給
部の気化器外部との接触部の構成材料として使用される
金属としては、炭素鋼、マンガン鋼、クロム鋼、モリブ
デン鋼、ステンレス鋼、ニッケル鋼等を挙げることがで
きる。
【0027】本発明の気化器において、気化室の形状に
ついては特に制限されることがないが、通常は円筒形ま
たは円筒形に類似する形状とされる。気化室の構成材料
についても特に制限されることがなく、炭素鋼、マンガ
ン鋼、クロム鋼、モリブデン鋼、ステンレス鋼、ニッケ
ル鋼等の金属を用いることができるが、これらのうちで
は、耐腐食性の点でSUS316、SUS316L等の
ステンレス鋼、またはインコネル、ハステロイ等の高ニ
ッケル鋼を用いることが好ましい。
【0028】本発明の気化器は、他の気化効率を向上さ
せるための手段と組合せて使用することができる。例え
ば、CVD原料供給部のCVD原料との接触部を耐腐食
性合成樹脂とするとともに、気化室の形状を、球形、楕
球形、樽形、円筒形、円錐形、円錐台形、半球形、また
はこれらに類似する形状とし、キャリヤーガスの供給口
の向きを、キャリヤーガスが気化室内で旋回流を形成す
るように設定した気化器とすることができる。これによ
り、固体CVD原料を有機溶媒に溶解させたCVD原料
を、原料供給口で固体CVD原料が析出して付着するこ
となく、気化室の内壁面による加熱とともに、気化室の
キャリヤーガス供給口より供給され気化室の内壁面に沿
って旋回する加熱されたキャリヤーガスに巻き込ませ接
触加熱させて、所望の濃度及び流量で効率よく気化させ
ることができる。
【0029】また、その他の気化効率を向上させるため
の手段と組合せとしては、CVD原料供給部のCVD原
料との接触部を耐腐食性合成樹脂とするとともに、気化
室の中央部に、加熱手段を有する突起が気化室の下部に
固定されて設けられている気化器を例示することができ
る。これにより、固体CVD原料を有機溶媒に溶解させ
たCVD原料を、原料供給口で固体CVD原料が析出し
て付着することなく、気化室の内壁面及び気化室の中央
部の突起で加熱させて、所望の濃度及び流量で効率よく
気化させることができる。
【0030】次に、本発明の気化供給装置を、図4、図
5に基づいて詳細に説明する。図4、図5は本発明の気
化供給装置の例を示す構成図である。本発明の気化供給
装置は、図4に示すように、気化器1及び冷却器2を有
する装置であるが、図5に示すように、気化器、冷却器
とともに、CVD原料の脱ガス器3及び/またはマスフ
ローコントローラー4を設置することもできる。本発明
においては、これらの図に示すように、気化器のCVD
原料供給部の気化器外部との接触部11(金属構成部
分)の少なくとも一部が、冷却器により冷却可能な構成
とされる。尚、これらの図では、冷却器2はシロッコフ
ァンであり、送風によりCVD原料供給部の金属構成部
分が冷却される構成となっているが、本発明の気化供給
装置はこれに限定されることがなく、例えば冷却水を利
用した冷却器を用いることも可能である。また、本発明
の気化供給装置においては、気化器を断熱材で保温する
ことが好ましい。
【0031】図6、図7は、本発明の気化器、気化供給
装置を適用した気化供給システムの一例を示す構成図で
ある。本発明は、液体原料を所望の濃度及び流量で効率
よく気化供給することを目的としているが、そのために
は気化器に原料が供給される前に既に原料が劣化してい
たり濃度及び流量が不均一であってはならない。液体原
料容器は、液体原料を供給するための容器であり、液体
原料を変質することなく保有することができるものであ
れば大きさ、形状等には特に限定はない。また、液体原
料容器を加圧下に保持し、液体流量制御部に加圧供給す
る場合には、5kgf/cm2程度の加圧に耐え得る構
造とすることが好ましい。
【0032】液体流量制御部は、液体原料を高い精度で
定量的に気化器に供給するものであり、例えば液体マス
フローコントローラーを使用することによって精度良く
供給することができる。また、流量変更可能なポンプと
制御弁、あるいはポンプと流量制御器等で構成すること
も可能である。ポンプを使用する場合は、液体原料を脈
流なしに供給するために、通常は二連あるいは多連の耐
食性べローズポンプ等が用いられる。また、ポンプの二
次側にはCVD装置が減圧で操作される場合であっても
流量制御ができるように逆止弁を設けることもできる。
【0033】さらに、マスフローコントローラーにおい
て正確にCVD原料を計量するために、CVD原料に溶
存している不活性ガスを除去できる脱ガス器をマスフロ
ーコントローラーの前段に設けることもできる。このよ
うな脱ガス器としては、ガス透過性の合成樹脂チューブ
の内部側に、第1の不活性ガスが溶存した液体原料を流
通させるとともに、この合成樹脂チューブの外部側表面
に沿って、合成樹脂チューブに対する透過性が第1の不
活性ガスより低い第2の不活性ガスを流通させて、第2
の不活性ガスの合成樹脂チューブ内部側への透過を抑制
しながら、第1の不活性ガスを合成樹脂チューブ外部側
へ透過させることにより脱ガスを行なう脱ガス器(特願
平11−348156)を例示することができる。
【0034】本発明の気化供給装置を用いて、固体CV
D原料を有機溶媒に溶解させたCVD原料を気化する際
は、気化室が加熱されるとともに、気化器のCVD原料
供給部の金属構成部分11の少なくとも一部が冷却器に
より冷却される。この時の前記金属構成部分の温度は、
使用される有機溶媒により一概に限定することはできな
いが、通常は80℃以下、好ましくは50℃以下とされ
る。本発明の気化供給装置を用いた気化供給方法におい
ては、金属より断熱性が優れている合成樹脂をCVD原
料供給部の内部構成材料として用いるほか、気化室の加
熱時にCVD原料供給部を冷却することにより、CVD
原料供給部における急激なCVD原料の加熱あるいは有
機溶媒の加熱を防止することができる。
【0035】
【実施例】次に、本発明を実施例により具体的に説明す
るが、本発明がこれらにより限定されるものではない。
【0036】実施例1 図2に示すような内部及び気化室側の表面がフッ素系樹
脂(PFA)で構成され、気化器外部との接触部がステ
ンレス鋼(SUS316)で構成されるCVD原料供給
部を製作した。フッ素系樹脂の構成部は、外径16m
m、高さ34.2mmの円柱状であり、その外側のステ
ンレス鋼の厚みは2.0mmである。また、CVD原料
及びキャリアガスの配管として、先端に継手(厚木バル
ブ・フィッティング(株)製SWAGELOK)を有す
る内径が1.5mmのステンレス管2本をフッ素系樹脂
の構成部の内部まで挿入して装着し、CVD原料及びキ
ャリアガスがフッ素系樹脂の構成部の内部で混合した
後、気化室に供給される構成とした。尚、フッ素系樹脂
で構成されるCVD原料及びキャリアガスの流路の内径
は0.3mmとした。
【0037】前記のCVD原料供給部のほか、気化ガス
排出口、気化室の加熱手段、及びヒーターが内蔵された
突起を有する図1に示すようなステンレス製(SUS3
16)の気化器を製作した。尚、気化室は、内径が65
mm、高さが92.5mmの円柱状で、底部の突起は高
さ27.5mmであり、また底部から15mmの高さに
は気化ガス排出口を設けた。次に、液体マスフローコン
トローラー、キャリアガス供給ライン等を接続し、図6
に示すような気化供給システムを製作した。
【0038】前記のような装置を用いて以下のように気
化供給試験を行なった。気化室を10torr、270
℃の温度とし、固体CVD原料であるSr(DPM)
を0.1mol/Lの濃度でTHF溶媒に溶解させた液
体CVD原料及び窒素ガスを、各々1.0g/min、
0.3L/minの流量で、気化器のCVD原料供給部
に供給することにより、フッ素系樹脂の構成部の内部で
混合させた後、気化室で液体CVD原料を気化させた。
1時間継続して気化供給試験を行なった後、CVD原料
供給部の流路におけるCVD原料の付着状態を調査した
が、固体CVD原料の析出はなく、CVD原料が効率よ
く気化供給されていることが確認できた。
【0039】実施例2 実施例1におけるCVD原料供給部の内部及び気化室側
の表面の構成材料をポリイミド樹脂に替えたほかは実施
例1と同様にして気化器を製作した。この気化器を用い
て実施例1と同様にして気化供給試験を1時間継続して
行なった。その結果、CVD原料供給部の流路における
固体CVD原料の析出はなく、CVD原料が効率よく気
化供給されていることが確認できた。
【0040】比較例1 実施例1におけるCVD原料供給部を、全てステンレス
鋼(SUS316)から成るCVD原料供給部に替えた
ほかは実施例1と同様にして気化器を製作した。この気
化器を用いて実施例1と同様にして気化供給試験を行な
った。その結果、試験開始15分後に、Sr(DPM)
の析出によりCVD原料供給部の流路が閉塞したので
試験を中止した。
【0041】実施例3 (気化供給装置の製作)図2に示すような内部及び気化
室側の表面がフッ素系樹脂(PFA)で構成され、気化
器外部との接触部がステンレス鋼(SUS316)で構
成されるCVD原料供給部を製作した。フッ素系樹脂の
構成部は、外径16mm、高さ34.2mmの円柱状で
あり、その外側のステンレス鋼の厚みは2.0mmであ
る。また、CVD原料及びキャリアガスの配管として、
先端に継手(厚木バルブ・フィッティング(株)製SW
AGELOK)を有する内径が1.5mmのステンレス
管2本をフッ素系樹脂の構成部の内部まで挿入して装着
し、CVD原料及びキャリアガスがフッ素系樹脂の構成
部の内部で混合した後、気化室に供給される構成とし
た。尚、フッ素系樹脂で構成されるCVD原料及びキャ
リアガスの流路の内径は0.3mmとした。
【0042】前記のCVD原料供給部のほか、気化ガス
排出口、気化室の加熱手段、及びヒーターが内蔵された
突起を有する図3に示すようなステンレス製(SUS3
16)の気化器を製作した。尚、気化室は、内径が65
mm、高さが92.5mmの円柱状で、底部の突起は高
さ27.5mmであり、また底部から15mmの高さに
気化ガス排出口を設けた。また、未気化のCVD原料を
気化器の底部から取出せるような構成とした。
【0043】次に、気化器に、脱ガス器、液体マスフロ
ーコントローラー、CVD原料供給管、キャリアガス供
給管等を接続するとともに、シロッコファンをCVD原
料供給部のステンレス鋼の構成部分が冷却可能なように
設置して、図5に示すような気化供給装置を製作した。
さらに、気化供給装置を、CVD原料容器、キャリアガ
ス供給ラインと接続するとともに、気化器の気化ガス排
出口は、気化ガス中のCVD原料を捕取するための液体
窒素冷却トラップと接続した。
【0044】(気化供給試験)前記のような装置を用い
て以下のように気化供給試験を行なった。気化室を10
torr、270℃の温度とし、シロッコファンにより
CVD原料供給部のステンレス鋼の構成部分(CVD原
料供給部の頂部)を、45〜50℃の温度に保持した。
次に固体CVD原料であるSr(DPM)を0.1m
ol/Lの濃度でTHF溶媒に溶解させた液体CVD原
料及び窒素ガスを、各々1.0g/min、0.3L/
minの流量で、気化器のCVD原料供給部に供給し、
フッ素系樹脂の構成部の内部で混合させた後、気化室で
液体CVD原料を気化させた。気化器排出口から排出さ
れる気化ガスを5時間にわたり冷却捕取し気化供給を終
了した。
【0045】冷却捕取した液体CVD原料からSr(D
PM)を採取し電子天秤で捕取量を測定するとともに
FT−IRにより分析して調べた結果、気化効率は9
9.7%であった。また、気化供給試験を行なった後、
CVD原料供給部の流路におけるCVD原料の付着状態
を調査したが、固体CVD原料の析出はなく、CVD原
料が効率よく気化供給されていることが確認できた。
【0046】実施例4 実施例3の気化供給装置の製作において、気化器のCV
D原料供給部の内部及び気化室側の表面の構成材料をポ
リイミド樹脂に替えたほかは実施例3と同様にして気化
器を製作した。この気化器を用いて実施例3と同様にし
て気化供給装置を製作した。次に実施例3と同様にして
気化供給試験を5時間継続して行なった。その結果、気
化効率は99.6%であった。また、CVD原料供給部
の流路における固体CVD原料の付着はなく、CVD原
料が効率よく気化供給されていることが確認できた。
【0047】実施例5 実施例3の気化供給装置の製作において、気化器のCV
D原料供給部の内部及び気化室側の表面の構成材料を、
CVD原料との接触面をテフロン(登録商標)コーティ
ングしたフェノール樹脂に替えたほかは実施例3と同様
にして気化器を製作した。この気化器を用いて実施例3
と同様にして気化供給装置を製作した。次に実施例3と
同様にして気化供給試験を5時間継続して行なった。そ
の結果、気化効率は99.7%であった。また、CVD
原料供給部の流路における固体CVD原料の付着はな
く、CVD原料が効率よく気化供給されていることが確
認できた。
【0048】実施例6 実施例3と同様の気化供給装置を使用し、液体CVD原
料であるTTIP(テトラiso-プロポキシチタン)を用
いて気化供給試験を行なった。気化室を20torr、
190℃の温度とし、TTIP及び窒素ガスを、各々
2.0g/min、0.1L/minの流量で、気化器
のCVD原料供給部に供給したほかは実施例3と同様に
して気化供給試験を5時間継続して行なった。その結
果、気化効率は99.4%であった。また、CVD原料
供給部の流路におけるCVD原料の付着はなく、CVD
原料が効率よく気化供給されていることが確認できた。
【0049】実施例7 実施例3と同様の気化供給装置を2個使用し、各々CV
D原料容器、キャリアガス供給ラインと接続するととも
に、2個の気化器の気化ガス排出口を直径6インチのシ
リコン基板がセットされた1個のCVD装置と接続し
た。2個の気化供給装置内及びCVD装置内を窒素ガス
で置換した後、両方の気化供給装置とも気化室を10t
orr、270℃の温度とするとともに、シロッコファ
ンによりCVD原料供給部のステンレス鋼の構成部分
(CVD原料供給部の頂部)を、45〜50℃の温度に
保持した。
【0050】次にSr(DPM)を0.1mol/L
の濃度でTHF溶媒に溶解させた液体CVD原料及び窒
素ガスを、各々1.0g/min、0.5L/minの
流量で片方の気化供給装置に供給するとともに、TiO
(DPM)を0.1mol/Lの濃度でTHF溶媒に
溶解させた液体CVD原料及び窒素ガスを、各々1.0
g/min、0.5L/minの流量で他の片方の気化
供給装置に供給して、これらを気化させてCVD装置に
供給し、シリコン基板上にSrTiOを結晶成長させ
た。この結晶についてX線回析を行なった結果、均一な
結晶が得られていることが確認できた。
【0051】比較例2 実施例3の気化供給装置の製作において、気化器のCV
D原料供給部を、全てステンレス鋼(SUS316)か
ら成るものに替えたほかは実施例3と同様にして気化器
を製作した。また、この気化器を用いたこと及びシロッ
コファンを使用しなかったこと以外は実施例3と同様に
して気化供給装置を製作した。次に実施例3と同様にし
て気化供給試験を行なったが、試験開始20分後に、S
r(DPM)の付着によりCVD原料供給部の流路が
閉塞したので試験を中止した。尚、CVD原料供給部の
ステンレス鋼の構成部分は、試験中120〜150℃で
あった。
【0052】比較例3 比較例2と同様の気化供給装置を使用し、液体CVD原
料であるTTIP(テトラiso-プロポキシチタン)を用
いて気化供給試験を行なった。実施例6と同様に、気化
室を20torr、190℃の温度とし、TTIP及び
窒素ガスを、各々2.0g/min、0.1L/min
の流量で、気化器のCVD原料供給部に供給して気化供
給試験を行なったが、試験開始250分後に、TTIP
の付着によりCVD原料供給部の流路が閉塞したので試
験を中止した。尚、CVD原料供給部のステンレス鋼の
構成部分は、試験中90〜110℃であった。
【0053】
【発明の効果】本発明の気化器は、CVD原料供給部に
おいて、CVD原料との接触部の構成材料として、耐熱
性のほか、断熱性があり、CVD原料が付着しにくい特
性を有する耐腐食性合成樹脂を用いており、本発明の気
化供給装置は、さらに前記気化器に加えて、気化室の加
熱時にCVD原料供給部の金属構成部分を冷やすための
冷却器を備えているので、固体CVD原料を有機溶媒に
溶解させたCVD原料を用いた場合においても、気化器
の加熱手段から熱伝導を受けて有機溶媒のみが気化する
ことがなく、また固体CVD原料が析出してもこの析出
物が付着しにくい特長がある。その結果、原料供給口で
固体CVD原料が析出、付着することによる絶縁薄膜の
品質、純度の低下がなく、所望の濃度及び流量で効率よ
くCVD原料を気化供給することが可能である。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の気化器の例を示す断面図
【図2】本発明の気化器のCVD原料供給部の一例を示
す断面図
【図3】本発明の気化器の図2以外のCVD原料供給部
の例を示す断面図
【図4】本発明の気化供給装置の一例を示す構成図
【図5】本発明の図4以外の気化供給装置の一例を示す
構成図
【図6】本発明の気化器を適用した気化供給システムの
一例を示す構成図
【図7】本発明の気化供給装置を適用した気化供給シス
テムの一例を示す構成図
【符号の説明】
1 気化器 2 冷却器 3 脱ガス器 4 マスフローコントローラー 5 気化室 6 CVD原料供給部 7 気化ガス排出口 8 加熱手段(ヒーター) 9 CVD原料供給部の内部(耐腐食性合成樹脂構成部
分) 10 気化室側の表面 11 気化器外部との接触部(金属構成部分) 12 CVD原料の流路 13 キャリアガスの流路 14 CVD原料及びキャリアガスの流路 15 空間部 16 加熱手段を有する突起 17 ステンレス管 18 CVD原料供給管 19 キャリアガス供給管 20 断熱材 21 CVD原料容器 22 CVD原料 23 気化供給装置 24 ガス流量制御器 25 キャリアガス供給ライン 26 化学気相成長(CVD)装置
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 淺野 彰良 神奈川県平塚市田村5181番地 日本パイオ ニクス株式会社平塚研究所内 (72)発明者 十七里 和昭 神奈川県平塚市田村5181番地 日本パイオ ニクス株式会社平塚研究所内 (72)発明者 岩田 充弘 神奈川県平塚市田村5181番地 日本パイオ ニクス株式会社平塚研究所内 Fターム(参考) 4K030 AA11 BA42 CA04 EA01 FA10 KA47 LA15 5F045 AA03 AB31 AC08 AC15 BB08 EB03 EE02 EE03

Claims (17)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 CVD原料の気化室、CVD原料を該気
    化室に供給するためのCVD原料供給部、気化ガス排出
    口、及び該気化室の加熱手段を有する気化器であって、
    該CVD原料供給部のCVD原料との接触部の少なくと
    も一部が耐腐食性合成樹脂で構成されることを特徴とす
    る気化器。
  2. 【請求項2】 CVD原料の気化室、CVD原料を該気
    化室に供給するためのCVD原料供給部、気化ガス排出
    口、及び該気化室の加熱手段を有する気化器であって、
    該CVD原料供給部が、内部及び気化室側の表面が耐腐
    食性合成樹脂で構成され、気化器外部との接触部が金属
    で構成されることを特徴とする気化器。
  3. 【請求項3】 耐腐食性合成樹脂がフッ素系樹脂または
    ポリイミド系樹脂である請求項1または請求項2に記載
    の気化器。
  4. 【請求項4】 CVD原料供給部の耐腐食性合成樹脂の
    構成部が、円柱形または円柱形に類似する形状である請
    求項1または請求項2に記載の気化器。
  5. 【請求項5】 CVD原料供給部が、CVD原料及びキ
    ャリアガスが内部で混合した後、気化室に供給される構
    成の流路を有する請求項1または請求項2に記載の気化
    器。
  6. 【請求項6】 CVD原料供給部内のCVD原料流路
    が、気化室への供給口近辺で細く構成される請求項4に
    記載の気化器。
  7. 【請求項7】 CVD原料供給部の気化室側の外形
    が、円錐形、円錐台形、半球形またはこれらに類似する
    形状である請求項1または請求項2に記載の気化器。
  8. 【請求項8】 CVD原料供給部の側面周辺の気化室外
    壁に空間部を設けた請求項1または請求項2に記載の気
    化器。
  9. 【請求項9】 さらに、キャリアガスが気化室内で旋回
    流を形成するような向きに設定されたキャリアガス供給
    口を有する請求項1または請求項2に記載の気化器。
  10. 【請求項10】 気化室の中央部に、加熱手段を有する
    突起が該気化室の下部に固定されて設けられている請求
    項1または請求項2に記載の気化器。
  11. 【請求項11】 CVD原料が固体CVD原料を有機溶
    媒に溶解させたCVD原料である請求項1または請求項
    2に記載の気化器。
  12. 【請求項12】 固体CVD原料が、ビス(2,2,6,6,-
    テトラメチル-3,5ヘプタンジオナイト)バリウム、ビス
    (2,2,6,6,-テトラメチル-3,5ヘプタンジオナイト)ス
    トロンチウム、テトラ(2,2,6,6,-テトラメチル-3,5ヘ
    プタンジオナイト)チタニウム、テトラ(2,2,6,6,-テ
    トラメチル-3,5ヘプタンジオナイト)ジルコニウム、ビ
    ス(2,2,6,6,-テトラメチル-3,5ヘプタンジオナイト)
    鉛、ビス(シクロペンタジエニル)バリウム、ビス(シ
    クロペンタジエニル)ストロンチウム、ヘキサカルボニ
    ルモリブデン、ジメチルペントオキシ金、(ジターシャ
    リーブトキシドビス)(2,2,6,6,-テトラメチル-3.5.ヘ
    プタンジオナイト)チタニウム、(ジ-イソプロポキ
    シ)(2,2,6,6,-テトラメチル-3,5,-ヘプタンジオナイ
    ト)チタニウム、テトラキス(イソブチリルピバロイル
    メタナート)ジルコニウム、または(イソプロポキシ)
    トリス(2,2,6,6,-テトラメチル-3,5,-ヘプタンジオナ
    イト)ジルコニウムである請求項11に記載の気化器。
  13. 【請求項13】 有機溶媒が、沸点温度として40℃〜
    140℃であるエーテル類、アルコール類、ケトン類、
    アミン類、エステル類及び炭化水素類から選ばれる一種
    以上である請求項11に記載の気化器。
  14. 【請求項14】 CVD原料の気化室、CVD原料を該
    気化室に供給するためのCVD原料供給部、気化ガス排
    出口、及び該気化室の加熱手段を内蔵する気化器と、冷
    却器を有する気化供給装置であって、気化器のCVD原
    料供給部は、内部及び気化室側の表面が耐腐食性合成樹
    脂で構成され気化器の外部との接触部が金属で構成され
    ており、気化室の加熱時に加熱手段から熱伝導を受ける
    該CVD原料供給部の金属構成部分の少なくとも一部
    が、冷却器により冷却可能な構成であることを特徴とす
    る気化供給装置。
  15. 【請求項15】 気化器、冷却器とともに、CVD原料
    の脱ガス器及び/またはマスフローコントローラーを有
    する請求項14に記載の気化供給装置。
  16. 【請求項16】 冷却器がシロッコファンである請求項
    14に記載の気化供給装置。
  17. 【請求項17】 CVD原料供給部の耐腐食性合成樹脂
    構成部分が、円柱形または円柱形に類似する形状である
    請求項14に記載の気化供給装置。
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